(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】デュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20250130BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20250130BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20250130BHJP
H01L 21/223 20060101ALI20250130BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01L21/316 S
H01L21/02 Z
H01L21/318 A
H01L21/223
H01L21/31 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543157
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2023000428
(87)【国際公開番号】W WO2023140552
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0009706
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】26, Samsung 1-ro 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18449, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンギル
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA20
5F045AB06
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
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5F045BB17
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5F045HA24
5F058BA09
5F058BA20
5F058BC02
5F058BC09
5F058BF54
5F058BF55
5F058BF58
5F058BF62
5F058BF64
5F058BJ01
(57)【要約】
本発明は、第1高圧ウエハ処理モジュールの第1処理室にウエハを配置する段階;前記第1処理室において前記ウエハに対して、高圧酸化、高圧窒化、高圧炭素ドープ、及び高圧熱処理のうちいずれか1つである第1工程を行う段階;第2高圧ウエハ処理モジュールの第2処理室に前記ウエハを移動させる段階、及び前記第2処理室において前記ウエハに対して前記高圧酸化、前記高圧窒化、圧力炭素ドープ、及び前記高電圧熱処理のうち他の1つである第2工程を行う段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1高圧ウエハ処理モジュールの第1処理室にウエハを配置する段階;
前記第1処理室において前記ウエハに対して、高圧酸化、高圧窒化、高圧炭素ドープ、及び高圧熱処理のうちいずれか1つである第1工程を行う段階;
第2高圧ウエハ処理モジュールの第2処理室に前記ウエハを移動させる段階;及び
前記第2処理室において前記ウエハに対して、前記高圧酸化、前記高圧窒化、前記高圧炭素ドープ、及び前記高圧熱処理のうちの他の1つである第2工程を行う段階を含み、
前記第1高圧ウエハ処理モジュール及び前記第2高圧ウエハ処理モジュールは1つの収容空間内に配置され、前記ウエハは前記収容空間内において前記第1処理室から前記第2処理室に移動され、
前記第1工程及び前記第2工程は大気圧より高い反応圧力で行われる、デュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項2】
前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープの反応圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項3】
前記高圧熱処理の反応圧力は、
3ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項4】
前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧熱処理の反応温度は、
400℃ないし600℃の範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項5】
前記高圧酸化及び前記高圧窒化それぞれのソースガスは、
酸素ガス、水蒸気、及びアンモニアガスのいずれか1つを含む、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項6】
前記高圧炭素ドープは、
炭素ドープ用ソースガスの熱分解温度未満の反応温度で行われて、前記ソースガスを分子状態で前記ウエハの絶縁膜と化学反応させる、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項7】
前記高圧炭素ドープの反応温度は、
400℃ないし600℃の範囲内で決定される、請求項6に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項8】
前記炭素ドープ用ソースガスは、
エチレンガス及びプロピレンガスのいずれか1つを含む、請求項6に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項9】
前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープのいずれか1つを行った後に、インシチュー方式で前記ウエハに対して前記高圧熱処理を行う段階をさらに含む、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項10】
前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープのいずれか1つと前記高圧熱処理の間にパージを行う段階をさらに含み、
前記パージは、以前の工程での反応圧力及び反応温度を維持した状態で行われる、請求項9に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項11】
前記第1高圧ウエハ処理モジュール及び前記第2高圧ウエハ処理モジュールそれぞれは、
前記第1処理室及び第2処理室のいずれか1つを収容し、保護圧力に維持される保護室をさらに含み、
前記保護室の保護圧力は、
前記反応圧力より高い関係を有するように前記反応圧力と連携して調節される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項12】
前記収容空間の圧力は、
大気圧より高い圧力に維持される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項13】
前記第2高圧ウエハ処理モジュールの第2処理室に前記ウエハを移動させる段階は、
前記ウエハを前記第1処理室においてアンロードした後に冷却過程を排除して前記第2処理室にロードする段階を含む、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項14】
前記第2処理室において前記ウエハに対して、前記高圧酸化、前記高圧窒化、前記高圧炭素ドープ、及び前記高圧熱処理のうちの他の1つである第2工程を行う段階は、
前記第1工程の完了後の待機時間を考慮して工程条件を確定する段階を含む、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項15】
前記第1工程は前記高圧酸化であり、前記第2工程は前記高圧炭素ドープであり、
前記高圧酸化及び前記高圧炭素ドープの反応圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項16】
前記第2工程は、
前記高圧炭素ドープ以後にインシチュー方式で行われる前記高圧熱処理をさらに含み、
前記高圧熱処理の反応圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項15に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項17】
前記第1工程は前記高圧熱処理であり、前記第2工程は前記高圧酸化であり、
前記高圧熱処理及び前記高圧酸化の反応圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項18】
前記第1工程は前記高圧熱処理であり、前記第2工程は前記高圧窒化であり、
前記高圧熱処理及び前記高圧窒化の反応圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項19】
前記第1工程は前記高圧酸化であり、前記第2工程は前記高圧熱処理であり、
前記高圧酸化の反応圧力は、
5ATMから20ATMの範囲で決定され、
前記高圧熱処理の反応圧力は、
3ATMないし20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【請求項20】
前記第1工程は前記高圧窒化であり、前記第2工程は前記高圧熱処理であり、
前記高圧窒化の反応圧力は、
5ATMから20ATMの範囲で決定され、
前記高圧熱処理の反応圧力は、
10ATMから20ATMの範囲で決定される、請求項1に記載のデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製造工程は大きく前工程と後工程に大別される。前工程は酸化、蒸着、露光、エッチング、イオン注入、配線などの工程を含む。
【0003】
酸化工程または蒸着工程により、ウエハには絶縁膜が形成される。絶縁膜は回路パターンが形成された後も漏洩電流が発生しないようにする。絶縁膜は続くエッチング工程などにおいて保護膜の役割もする。従って、絶縁膜の質的特性、例えば、密度などは一定水準以上に確保されなければならない。
【0004】
しかしながら、従来の蒸着工程または酸化工程によって形成された絶縁膜は、十分な水準の質的特性を備えていない。これは、絶縁膜ではない他の薄膜にも現れる現象である。
【0005】
また、ウエハに対する複数の処理、例えば、酸化、窒化、熱処理などが行われる場合、各処理は別途の装備で行われている。これにより、ウエハが別途の装備間を移動して、待機時間(Queue time)が長くなる。前記待機時間中にウエハは大気(Atmosphere)に露出して自然酸化されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、ウエハが自然酸化することを抑制しながらも、処理されたウエハの質的特性を向上できる、デュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を実現するための本発明の一側面によるデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法は、第1高圧ウエハ処理モジュールの第1処理室にウエハを配置する段階;前記第1処理室において前記ウエハに対して、高圧酸化、高圧窒化、高圧炭素ドープ、及び高圧熱処理のうちいずれか1つである第1工程を行う段階;第2高圧ウエハ処理モジュールの第2処理室に前記ウエハを移動させる段階;及び第2処理室において前記ウエハに対して、前記高電圧酸化前記高電窒化、前記高圧炭素ドープ及び前記高圧熱処理のうち他の1つである第2工程を行う段階を含み、前記第1高圧ウエハ処理モジュール及び前記第2高圧ウエハ処理モジュールは1つの収容空間内に配置され、前記ウエハは前記収容空間内において前記第1処理室から前記第2処理室に移動され、前記第1工程及び前記第2工程は大気圧より高い反応圧力で行われることができる。
【0008】
ここで、前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープの反応圧力は、5ATMないし20ATM範囲で決定されてもよい。
【0009】
ここで、前記高圧熱処理の反応圧力は、3ATMないし20ATM範囲で決定されてもよい。
【0010】
ここで、前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧熱処理の反応温度は、400℃ないし600℃の範囲で決定されてもよい。
【0011】
ここで、前記高圧酸化及び前記高圧窒化のそれぞれのソースガスは、酸素ガス、水蒸気、及びアンモニアガスのいずれか1つを含んでもよい。
【0012】
ここで、前記高圧炭素ドープは、炭素ドープ用ソースガスの熱分解温度未満の反応温度で行われて、前記ソースガスが分子状態で前記ウエハの絶縁膜と化学反応するようにする。
【0013】
ここで、前記高圧炭素ドープの反応温度は、400℃ないし600℃の範囲内で決定されてもよい。
【0014】
ここで、前記炭素ドープ用ソースガスは、エチレンガス及びプロピレンガスのいずれか1つを含んでもよい。
【0015】
ここで、前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープのいずれか1つを行った後に、インシチュー方式で前記ウエハに対して前記高圧熱処理を行う段階がさらに含まれてもよい。
【0016】
ここで、前記高圧酸化、前記高圧窒化、及び前記高圧炭素ドープのうちいずれか1つと前記高圧熱処理の間にパージを行う段階がさらに含まれ、前記パージは、以前の工程での反応圧力及び反応温度を維持した状態で行われてもよい。
【0017】
ここで、前記第1高圧ウエハ処理モジュール及び前記第2高圧ウエハ処理モジュールのそれぞれは、前記第1処理室及び第2処理室のいずれか1つを収容し、保護圧力に維持される保護室をさらに含み、前記保護室の保護圧力は、前記反応圧力より高い関係を有するように前記反応圧力と連携して調節されることができる。
【0018】
ここで、前記収容空間の圧力は、大気圧より高い圧力に維持されることができる。
【0019】
ここで、前記第2高圧ウエハ処理モジュールの第2処理室に前記ウエハを移動させる段階は、前記ウエハを前記第1処理室においてアンロードした後に冷却過程を排除し、前記第2処理室にロードする段階を含んでもよい。
【0020】
ここで、前記第2処理室において前記ウエハに対して、前記高圧酸化、前記高圧窒化、前記高圧炭素ドープ、及び前記高圧熱処理のうちの他の1つである第2工程を行う段階は、前記第1工程の完了後の待機時間を考慮して工程条件を確定する段階を含んでもよい。
【0021】
ここで、前記第1工程は前記高圧酸化であり、前記第2工程は前記高圧炭素ドープであり、前記高圧酸化及び前記高圧炭素ドープの反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい。
【0022】
ここで、前記第2工程は、前記高圧炭素ドープ以後にインシチュー方式で行われる前記高圧熱処理をさらに含み、前記高圧熱処理の反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい。
【0023】
ここで、前記第1工程は前記高圧熱処理であり、前記第2工程は前記高圧酸化であり、前記高圧熱処理及び前記高圧酸化の反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい。
【0024】
ここで、前記第1工程は前記高圧熱処理であり、前記第2工程は前記高圧窒化であり、前記高圧熱処理及び前記高圧窒化の反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい。
【0025】
ここで、前記第1工程は前記高圧酸化であり、前記第2工程は前記高圧熱処理であり、前記高圧酸化の反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定され、前記高圧熱処理の反応圧力は、3ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい。
【0026】
ここで、前記第1工程は前記高圧窒化であり、前記第2工程は前記高圧熱処理であり、前記高圧窒化の反応圧力は、5ATMないし20ATMの範囲で決定され、前記高圧熱処理の反応圧力は、10ATMないし20ATMの範囲で決定されてもよい
【発明の効果】
【0027】
前記のように構成される本発明によるデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法によれば、第1処理室においてウエハに対して高圧の第1工程を行った後に収容空間内においてウエハを第2処理室に移動させて高圧の第2工程を行うことにより、ウエハに対しては待機時間(Queue time)がほとんど発生しない。これにより、ウエハが大気(Atmosphere)に露出される時間が最小になるため、ウエハに対する自然酸化は強力に抑制される。また、第1工程及び第2工程が両方とも高圧で行われることにより、処理されたウエハの質的特性が大きく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例によるウエハ高圧処理方法の実行に利用されるデュアル高圧ウエハ処理設備に対する概念図である。
【
図2】
図1の第1高圧ウエハ処理モジュール100をより具体的に示した概念図である。
【
図3】
図1の第1高圧ウエハ処理モジュール100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例によるウエハ高圧処理方法を示したフローチャートである。
【
図5】第2工程の具体的な進行方法を示したフローチャートである。
【
図6】高圧炭素ドープ(HPCD)の作用メカニズムを説明するためのフローチャートである。
【
図7】高圧酸化(HPO)によって製造された絶縁膜の段差被覆性に対する比較グラフである。
【
図8】高圧酸化(HPO)及び高圧炭素ドープ(HPCD)によって製造された絶縁膜の屈折率に対する比較グラフである。
【
図9】高圧酸化(HPO)及び高圧炭素ドープ(HPCD)によって製造された絶縁膜の誘電率に対する比較グラフである。
【
図10】高圧熱処理(HPA)を追加で行ってドープされた絶縁膜の誘電率変化を示した比較グラフである。
【
図11】高圧熱処理(HPA)及び高圧酸化(HPO)を順次に経たウエハの水素濃度に対する比較グラフである。
【
図12】高圧熱処理(HPA)及び高圧酸化(HPO)による境界面での水素濃度に対する比較グラフである。
【
図13】高圧熱処理(HPA)及び高圧窒化(HPN)による境界面での水素濃度に対する比較グラフである。
【
図14】高圧酸化(HPO)及び高圧熱処理(HPA)による絶縁膜の湿式エッチング率に対する比較グラフである。
【
図15】高圧窒化(HPN)による酸化ハフニウム膜の窒素濃度に対する比較グラフである。
【
図16】高圧窒化(HPN)及び高圧熱処理(HPA)による酸化ハフニウム膜の窒素濃度の変化を示した比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施例によるデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法について添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書では、異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に置き換える。
【0030】
図1は、本発明の一実施例によるウエハ高圧処理方法の実行に利用されるデュアル高圧ウエハ処理設備に対する概念図である。
【0031】
本図を参照すると、デュアル高圧ウエハ処理設備は、第1高圧ウエハ処理モジュール100、第2高圧ウエハ処理モジュール200、ケース300、及び搬送ロボット400を含む。
【0032】
第1高圧ウエハ処理モジュール100と第2高圧ウエハ処理モジュール200のそれぞれはウエハ(図示せず)に対する高圧処理を行う装置である。モジュール100及び200のそれぞれは高圧酸化(High Pressure Oxidation、HPO)、高圧窒化(High Pressure Nitridation、HPN)、高圧炭素ドープ(High Pressure Carbon Doping、HPCD)、及び高圧熱処理(High Pressure Anealing、HPA)を行うように構成されたものである。
【0033】
ケース300は1つの収容空間350を形成する構成である。収容空間350にはモジュール100及び200が配置される。前記ウエハが第1高圧ウエハ処理モジュール100から第2高圧ウエハ処理モジュール200に移動される時、前記ウエハは収容空間350内において搬送される。収容空間350は、大気圧より若干高い圧力に維持される。収容空間350にはファンフィルタユニット(FFU)で濾過された空気が充填される。
【0034】
搬送ロボット400は、前記ウエハをモジュール100及び200間に搬送する構成である。例えば、搬送ロボット400は前記ウエハを第1高圧ウエハ処理モジュール100においてアンロードして、第2高圧ウエハ処理モジュール200にロードすることができる。
【0035】
このような構成によれば、前記ウエハは、第1高圧ウエハ処理モジュール100から第2高圧ウエハ処理モジュール200にロードされる過程で、大気に露出せず収容空間350にのみ留まることになる。前記ウエハは、フープ(FOUP)に入れる必要がないため、常温に冷却される冷却過程を経なくても良い。
【0036】
図2及び
図3を参照して、第1高圧ウエハ処理モジュール100について説明する。
【0037】
図2は、
図1の第1高圧ウエハ処理モジュール100をより具体的に示した概念図である。
【0038】
本図を参照すると、第1高圧ウエハ処理モジュール100は、内部チャンバ110、外部チャンバ120、給気ユニット130、及び排気ユニット140を含んでもよい。
【0039】
内部チャンバ110は、ウエハを高圧処理するための処理室115を有する。内部チャンバ110は、工程環境で汚染物(パーティクル)が発生する可能性を減らすために非金属材、例えば、石英で製作されてもよい。図面上には簡略化されているが、内部チャンバ110の下端には処理室115を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより処理室115が開放され、ウエハはホルダー(図示せず)に装着されたまま処理室115に投入される。内部チャンバ110の外側に配置されるヒーター(図示せず)の作動により、処理室115の温度は数百℃に達することができる。前記ホルダーは、ウエハを複数層に積層できるウエハボート(wafer boat)であってもよい。前記ウエハボートも石英材質で形成されてもよい。
【0040】
外部チャンバ120は内部チャンバ110を収容する構成である。外部チャンバ120は、内部チャンバ110とは異なってウエハに対する汚染問題から自由であるため、金属材で製作されてもよい。外部チャンバ120は、内部チャンバ110を収容する保護室125を有する。外部チャンバ120も下部にはドア(図示せず)を備えるが、前記ドアは内部チャンバ110のドアと共に下降して保護室125を開放する。
【0041】
給気ユニット130は、チャンバ110、120に対してガスを供給する構成である。給気ユニット130は、半導体工場のユーティリティに連通するガス供給器131を有する。ガス供給器131は内部チャンバ110、具体的に処理室115に対して、ソースガス、パージガス、及び雰囲気ガスを供給することができる。前記ソースガスは、例えば、酸素ガス、水蒸気、アンモニアガス、エチレンガス、またはプロピレンガスを含んでもよい。前記パージガスは、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスを含んでもよい。前記雰囲気ガスは、例えば、水素ガス、重水素ガス、三重水素ガス、窒素ガス、またはアルゴンガスを含んでもよい。ガス供給器131は、保護室125に対しては保護ガスとして、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスを提供することができる。前記保護ガスは、前記パージガスと同種のガスが選定されてもよい。保護室125に注入された前記保護ガスは、具体的に保護室125中に内部チャンバ110を除いた領域に充填される。これらのガスは、それぞれ内部ガスライン133または外部ガスライン135を介して処理室115または保護室125に注入される。
【0042】
前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスは、大気圧より高い圧力、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧の反応圧力を形成するように内部チャンバ110に供給される。本明細書において、「高圧」は大気圧(1ATM)より高い圧力を指す。前記保護ガスは、前記反応圧力に対して一定の関係を有する保護圧力を形成するように外部チャンバ120に供給される。例えば、前記保護圧力は前記反応圧力より多少高く設定されて、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスが処理室115から漏れないようにする。前記保護圧力は、前記反応圧力との関係に順応して、前記反応圧力に連携調節される。
【0043】
排気ユニット140は、前記ソースガス、前記パージガス、前記雰囲気ガス、及び前記保護ガスをチャンバ110、120から排気するための構成である。内部チャンバ110、具体的に処理室115から前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスを排気するために、内部チャンバ110の上部には排気管141が連結される。排気管141にはガス排出器143が設置される。ガス排出器143は、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスの排気を断続するバルブであってもよい。
【0044】
外部チャンバ120、具体的に保護室125から前記保護ガスを排出するためにも、外部チャンバ120に連通する排気管145とそれに設置されるガス排出器147が備えられる。これらの排気管141及び145は互いに連通するため、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスは前記保護ガスに希釈されて排気される。
【0045】
第1高圧ウエハ処理モジュール100の制御的作動は、
図3を参照して説明する。
図3は、
図1の第1高圧ウエハ処理モジュール100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
【0046】
本図(及び
図2)を参照すると、第1高圧ウエハ処理モジュール100は、前述の給気ユニット130などに加えて、ヒーティングユニット150、感知ユニット160、制御ユニット170、及び格納ユニット180をさらに含んでもよい。
【0047】
ヒーティングユニット150は、前述の前記ヒーターを含む構成である。前記ヒーターは保護室125に配置されてもよい。前記ヒーターは、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスを加熱して反応温度に達するようにする。
【0048】
感知ユニット160はチャンバ110、120の環境を感知するための構成である。感知ユニット160は圧力ゲージ161と温度ゲージ165を備えてもよい。圧力ゲージ161及び温度ゲージ165は、チャンバ110、120ごとに設置してもよい。
【0049】
制御ユニット170は、給気ユニット130、排気ユニット140などを制御する構成である。制御ユニット170は、感知ユニット160の感知結果に基づいて、給気ユニット130などを制御することができる。
【0050】
格納ユニット180は、制御ユニット170が制御のために参照できるデータ、プログラムなどを格納する構成である。格納ユニット180は、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk)、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくともいずれか1つのタイプの格納媒体を含んでもよい。
【0051】
このような構成によれば、制御ユニット170は本発明の一実施例によるウエハ高圧処理方法を実行するために、給気ユニット130などを制御することができる。
【0052】
具体的に、制御ユニット170は、圧力ゲージ161により得られたチャンバ110、120の圧力に基づいて、給気ユニット130の作動を制御することができる。給気ユニット130の作動によって、内部チャンバ110には前記ソースガス、前記パージガス、または前記雰囲気ガスが前記反応圧力で充填される。外部チャンバ120には前記保護ガスが前記保護圧力で充填される。
【0053】
制御ユニット170は、温度ゲージ165により得られたチャンバ110、120の温度に基づいて、ヒーティングユニット150の作動を制御することができる。ヒーティングユニット150の作動によって前記ソースガス、前記パージガス、または前記雰囲気ガスは前記反応温度に達することができる。
【0054】
制御ユニット170はまた、圧力ゲージ161により得られたチャンバ110、120の圧力に基づいて、排気ユニット140の作動を制御することができる。排気ユニット140の作動によって、内部チャンバ110から前記ソースガス、前記パージガス、または前記雰囲気ガスが排気される。外部チャンバ120からは前記保護ガスが排気されることができる。
【0055】
第2高圧ウエハ処理モジュール200の具体的構成は、第1高圧ウエハ処理モジュール100の具体的構成と概ね同じである。これにより、第2高圧ウエハ処理モジュール200の具体的な構成に関する説明は省略する。必要な場合に、第2高圧ウエハ処理モジュール200の具体的な構成要素は、第1高圧ウエハ処理モジュール100の対応する構成要素と類似した参照番号で言及することができる。
【0056】
以上の第1高圧ウエハ処理モジュール100を利用してウエハを処理する具体的方法は、
図4ないし
図6を参照して説明する。
【0057】
図4は、本発明の一実施例によるウエハ高圧処理方法を示したフローチャートである。
【0058】
本図(及び
図1ないし
図3)を参照すると、第1高圧ウエハ処理モジュール100の第1処理室115にはウエハが配置される(S1)。前記ウエハは、例えば、シリコンウエハであってもよい。前記ウエハは、絶縁膜または金属酸化膜を有するものであるか、ベアウエハ自体であってもよい。
【0059】
第1処理室115においては、前記ウエハに対して第1工程が行われる(S3)。前記第1工程は、前記高圧酸化(HPO)、前記高圧窒化(HPN)、前記高圧炭素ドープ(HPCD)、及び前記高圧熱処理(HPA)のいずれか1つである。
【0060】
前記第1工程の完了後に、前記ウエハは第2高圧ウエハ処理モジュール200の第2処理室215に移動される(S5)。前記ウエハは収容空間350において搬送されるため、大気に露出しない。前記ウエハが第2処理室215にロードされるまでの待機時間(Queue time)も長くない。
【0061】
第2処理室215においては、前記ウエハに対して第2工程が行われる(S7)。前記第2工程は、前記高圧酸化(HPO)、前記高圧窒化(HPN)、前記高圧炭素ドープ(HPCD)、及び前記高圧熱処理(HPA)のうちの他の1つである。
【0062】
前記第1工程及び前記2工程それぞれの反応圧力は、大気圧より高い圧力(高圧)である。それにより、前記ウエハは前記第1工程及び前記第2工程で順次高圧処理を受けることになる。
【0063】
前記第2工程の進行に対する具体的方法は、
図5を参照して説明する。図 5は、第2工程の具体的な進行方法を示したフローチャートである。
【0064】
本図をさらに参照すると、制御ユニット270は前記第1工程完了後、前記第2工程開始までの待機時間(Queue time)を把握する(S11)。
【0065】
制御ユニット270は、把握された待機時間に対比して、前記第2工程の既に設定された工程条件が適正か否かを判断する(S13)。前記工程条件は、例えば、反応圧力等になり得る。
【0066】
前記工程条件が適正である場合、制御ユニット270は前記工程条件を確定する。制御ユニット270は確定した工程条件で前記第2工程が行われるようにする(S15)。
【0067】
前記工程条件が適正でない場合、制御ユニット270は前記待機時間を反映して前記第2工程の工程条件を再設定する(S17)。例えば、前記待機時間が予定より長くなった場合、制御ユニット270は前記反応圧力を既に設定された値より高く再設定してもよい(
図10参照)。制御ユニット270は再設定された工程条件を確定し、確定された工程条件で前記第2工程が行われるようにする(S15)。
【0068】
前記高圧酸化(HPO)、前記高圧窒化(HPN)、前記高圧炭素ドープ(HPCD)、及び前記高圧熱処理(HPA)のうち前記高圧炭素ドープ(HPCD)の作用メカニズムについて
図6を参照して説明する。
図6は、高圧炭素ドープ(HPCD)の作用メカニズムを説明するためのフローチャートである。前記高圧炭素ドープ(HPCD)は、第2高圧ウエハ処理モジュール200において行われることを基準に説明される。
【0069】
本図(及び
図2ないし
図3)を参照すると、第2処理室215には絶縁膜を有するウエハが配置される。前記絶縁膜は、例えば、酸化シリコン膜(SiO)として、第1処理室115において前記高圧酸化(HPO)により形成されたものであってもよい。第2処理室215の圧力を反応圧力に到達させるために、第2処理室215には雰囲気ガスが供給される。第2処理室215の温度を反応温度に到達させるために、第2処理室215は加熱される。
【0070】
炭素ドープ用ソースガスとしては、前述のとおり、エチレンガス又はプロピレンガスなどが使用されてもよい。前記ソースガスは第2処理室215において分子状態を維持する(S21)。このために、前記反応温度は前記ソースガスの熱分解温度未満に維持される。具体的に、前記エチレンガスまたは前記プロピレンガスに対して、前記反応温度は400℃ないし600℃の範囲内で決定されてもよい。
【0071】
前記ソースガスは分子状態で前記絶縁膜と化学反応する(S23)。これは、前記反応温度により、前記ソースガスが分子状態に維持されるため可能である。
【0072】
前記ソースガスと前記絶縁膜の化学反応、具体的に化学的吸収(Chemical absorption)により、前記ソースガスのうち炭素は前記絶縁膜に吸収される(S25)。
【0073】
炭素は加圧力により前記絶縁膜内に深く浸透する(S27)。前記加圧力は、前記反応圧力に応じた力をいう。前記加圧力を作るために、前記反応圧力は前記高圧になる。
【0074】
前記第1工程と前記第2工程は多様な組み合わせで行われる。これからは、各組み合わせの内容、工程条件などについて実験結果に基づいて説明する。
【0075】
前記第1工程としての前記高圧酸化(HPO)及び前記第2工程としての前記高圧炭素ドープ(HPCD)の組み合わせについて
図7ないし
図10を参照して説明する。
【0076】
図7は、高圧酸化(HPO)によって製造された絶縁膜の段差被覆性に対する比較グラフである。
【0077】
本図を参照すると、前記第1工程として前記高圧酸化(HPO)は湿式酸化(Wet oxidation)方式で行われた。前記高圧酸化(HPO)による絶縁膜(SiO)は10nmの厚さで形成された。酸化用ソースガスとしては水蒸気が20sccmで第1処理室115に供給され、前記反応圧力は1ATMないし20ATMの範囲で調節された。湿式エッチングに使われた溶液は、純水100重量部に対してフッ酸1重量部を混合したものである。
【0078】
前記高圧酸化(HPO)の反応温度は400℃ないし950℃の範囲内で決定される。本実験で前記反応温度は500℃で行われた。前記反応圧力が高圧として作用するため、前記反応温度は600℃以下に決定されてもよい。前記高圧酸化(HPO)の反応温度は一般的な真空蒸着工程の反応温度に比べて相対的に低い。
【0079】
再び、前記反応圧力に注目しよう。前記反応圧力が1ATMから20ATMまで高くなると、前記絶縁膜の段差被覆性(Step coverage)も高くなる。
【0080】
例えば、1ATMにおいて前記絶縁膜の段差被覆性は82%であり、2ATMにおいては85.4%である。前記段差被覆性は3ATMにおいて85.9%に増加するが、その増加幅は微々たるものである。
【0081】
しかしながら、5ATMにおいて前記段差被覆性は大幅に増加して96.7%に達する。前記第1圧力が10ATM、15ATM、20ATMに高くなるにつれて、前記段差被覆性は97.1%、98.2%、98.9%になる。
【0082】
このような結果を考慮すると、前記反応圧力は5ATM以上であることが前記段差被覆性の観点から好ましい。最高の段差被覆性を得るためには、前記反応圧力は20ATMに設定されなければならない。
【0083】
図8は、高圧酸化(HPO)及び高圧炭素ドープ(HPCD)により製造された絶縁膜の屈折率に対する比較グラフである。
【0084】
本図を参照すると、前記第2工程として前記高圧炭素ドープ(HPCD)は、先の高圧酸化(HPO)(20ATM)で生成された絶縁膜に対して行われた。炭素ドープ用ソースガスとしてはエチレンガスが5Ksccmで第2処理室215に供給され、前記反応圧力は1ATMないし20ATMの範囲で調節された。
【0085】
前記高圧炭素ドープ(HPCD)の反応温度は400℃ないし950℃の範囲内で決定されてもよい。本実験において前記反応温度は400℃で行われた。前記反応圧力が高圧として作用するため、前記反応温度は600℃以下に決定されることができる。
【0086】
再び、前記反応圧力の変化に注目しよう。前記高圧酸化(HPO)のみを経た絶縁膜(HPO only)に比べて、1ATMでも炭素ドープされた絶縁膜の屈折率(Refractive index)は低くなる。前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記屈折率は全体的に低くなる傾向を示す。
【0087】
このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力は高いほど好ましい。20ATMにおいて前記屈折率は1.31として最低値を記録する。また、5ATMにおいて前記屈折率は大幅に低くなる。このような点を考慮すれば、前記高圧炭素ドープ(HPCD)の反応圧力は5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましい。
【0088】
図9は、高圧酸化(HPO)及び高圧炭素ドープ(HPCD)によって製造された絶縁膜の誘電率に対する比較グラフである。
【0089】
本図を参照すると、前記絶縁膜の誘電率(Dielectric constant)の変化は、前述の前記屈折率の変化と類似した傾向性を有する。
【0090】
具体的に、前記高圧酸化(HPO)のみを経た絶縁膜(HPO only)に比べて、1ATMでも炭素ドープされた絶縁膜の誘電率はやはり低くなる。前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記誘電率も全体的に低くなる傾向を示す。
【0091】
このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力はやはり高いほど好ましい。20ATMにおいて前記誘電率は3.25として最低値を記録する。また、5ATMにおいて前記誘電率は大幅に低くなる。このような点を考慮すれば、前記高圧炭素ドープ(HPCD)の反応圧力はやはり5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましいという点がもう一度確認される。
【0092】
図10は、高圧熱処理(HPA)を追加で進行してドープされた絶縁膜の誘電率変化を示した比較グラフである。
【0093】
本図(及び
図2ないし
図3)をさらに参照すると、第2処理室215において前記高圧炭素ドープ(HPCD)が行われた後、第2処理室215においてはインシチュー(In-situ)方式で高圧熱処理(HPA)が追加で行われることができる。前記高圧熱処理(HPA)は、先に行われた高圧炭素ドープ(HPCD)(20ATM)によりドープされた絶縁膜に対して行われた。前記高圧熱処理(HPA)は前記第2工程に含まれるとみなされる。
【0094】
インシチュー方式で前記高圧熱処理(HPA)を行うために、前記高圧炭素ドープ(HPCD)と前記高圧熱処理(HPA)の間にはパージ(Purge)工程が行われる。前記パージ工程の反応温度及び反応圧力は、以前の工程である前記高圧炭素ドープ(HPCD)の時と同様に維持できる。制御ユニット270は、給気ユニット230と共に排気ユニット240を制御して、前記パージガスが第2処理室215に供給されるようにし、前記ソースガスはパージされて第2処理室215から排気されるようにする。前記パージ工程にかかる時間は、前記高圧炭素ドープ(HPCD)工程より短くてもよい。
【0095】
前記高圧熱処理(HPA)のために、熱処理用雰囲気ガス、例えば、水素ガスが第2処理室215に供給された。前記雰囲気ガスの反応圧力は、1ATMないし20ATMの範囲で調節された。前記高圧熱処理(HPA)の反応温度は前記パージ工程と同様に400℃に維持された。前記高圧熱処理(HPA)の反応温度も400℃ないし950℃の範囲内で決定されてもよく、本実験では400℃に決定された。前記反応圧力が高圧として作用するため、前記反応温度は600℃以下に決定されることができる。
【0096】
再び、前記反応圧力の変化に注目しよう。まず、待機時間の増加によって前記絶縁膜の誘電率は概ね増加する傾向が現れる。前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記待機時間の増加による前記誘電率の増加幅は小さくなる。
【0097】
このような傾向性を勘案すると、前記反応圧力は高いほど好ましい。20ATMにおいては、前記待機時間が変化しても前記誘電率はほとんど変わらず3.25を維持する。また、5ATMにおいて前記誘電率の変化は大幅に小さくなる。このような点を考慮すると、前記高圧熱処理(HPA)の反応圧力は5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましい。
【0098】
前記第1工程としての前記高圧熱処理(HPA)及び前記第2工程としての前記高圧酸化(HPO)の組み合わせについて
図11ないし
図12を参照して説明する。
【0099】
図11は、高圧熱処理(HPA)及び高圧酸化(HPO)を順次に経たウエハの水素濃度に対する比較グラフである。
【0100】
本図(及び
図2)を参照すると、ウエハは5nm厚さの酸化ハフニウム膜(HfO)を有するものである。前記酸化ハフニウム膜はALD装備を利用して、1torr、450℃の工程条件で形成されたものである。
【0101】
前記ウエハに対して、高圧熱処理(HPA)は20ATM、400℃の工程条件で行われた。前記雰囲気ガスとして水素ガスが5Ksccmで第1処理室115に供給された。前記ウエハは2つが用意された。
【0102】
前記高圧熱処理(HPA)のみが行われた場合、2つのウエハは両方とも前記酸化ハフニウム膜からシリコン基板(silicon substrate)に行くほど水素濃度が低くなる傾向を見せる。具体的に、前記水素濃度は、前記酸化ハフニウム膜の表面付近、そして、前記酸化ハフニウム膜と前記基板の間の境界面(interface、5nm深さ)以後においておおよそ階段状に減少する。
【0103】
前記2つのウエハ両方ともに対しては前記高圧酸化(HPO)が追加で行われた。前記高圧酸化(HPO)は、前記2つのウエハのうち1つに対しては本実施例によってチャンバツーチャンバ(Chamber to Chamber)方式で行われ、また他の1つはそれぞれツールツーツール(Tool to Tool)方式で行われた。2つの方式ともにおいて、前記高圧酸化(HPO)は20ATM、450℃の工程条件で行われた。前記ソースガスとして水蒸気は20sccmで第2処理室215に供給された。
【0104】
前記ツールツーツール方式の場合に、水素濃度のグラフ形態は前記高圧熱処理(HPA)のみを行った場合と似ている。しかしながら、前者の水素濃度は特に前記酸化ハフニウム膜領域において後者より大幅に低い値を有する。
【0105】
これとは異なり、前記チャンバツーチャンバ方式において、水素濃度は前記境界面前後において上昇した値を有する。このような結果は、前記酸化ハフニウム膜の水素が前記境界面に移動されたことと理解される。
【0106】
図12は、高圧熱処理(HPA)及び高圧酸化(HPO)による境界面での水素濃度に対する比較グラフである。
【0107】
本図を追加で参照すると、前記チャンバツーチャンバ方式の反応圧力による前記境界面での水素濃度変化が現れる。前記反応圧力は1ATMから20ATMまで調節された。
【0108】
前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記境界面での水素濃度は概ね高くなる。このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力は高いほど好ましい。
【0109】
20ATMにおいては、前記水素濃度は最大値である2.80E+21atom%となる。また、5ATMにおいて前記水素濃度は大幅に高くなる。このような点を考慮すれば、前記高圧酸化(HPO)の反応圧力は5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましい。
【0110】
前記第1工程としての前記高圧熱処理(HPA)及び前記第2工程としての前記高圧窒化(HPN)の組み合わせについて
図13を参照して説明する。
図13は、高圧熱処理(HPA)及び高圧窒化(HPN)による境界面での水素濃度に対する比較グラフである。
【0111】
本図(及び
図2)を参照すると、ウエハは、先の実施例と同様に、5nm厚の酸化ハフニウム膜(HfO)を有するものである。前記ウエハに対する高圧熱処理(HPA)も先の実施例と同じ工程条件で第1処理室115に行われた。
【0112】
前記の第2工程として前記ウエハに対して前記高圧窒化(HPN)が行われた。窒化用ソースガスとしてはアンモニアガスが2Ksccmで第2処理室215に供給され、前記反応圧力は1ATMないし20ATMの範囲で調節された。
【0113】
前記の反応温度は400℃ないし950℃の範囲内で決定されてもよく、本実験では450℃に決定された。前記反応圧力が高圧として作用するため、前記反応温度は600℃以下に決定されることができる。
【0114】
再び、前記反応圧力に注目しよう。前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記境界面での水素濃度は概ね高くなる。このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力は高いほど好ましい。
【0115】
20ATMにおいては、前記水素濃度は最大値である8.66E+20atom%となる。また、5ATMにおいて前記水素濃度は大幅に高くなる。このような点を考慮すれば、前記高圧窒化(HPN)の反応圧力は5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましい。
【0116】
前記第1工程としての前記高圧酸化(HPO)及び前記第2工程としての前記高圧熱処理(HPA)の組み合わせについて
図14を参照して説明する。
図14は、高圧酸化(HPO)及び高圧熱処理(HPA)による絶縁膜の湿式エッチング率に対する比較グラフである。
【0117】
本図を参照すると、前記第1工程として前記高圧酸化(HPO)は、先の実施例と同じ工程条件で湿式酸化(Wet oxidation)方式で行われた。前記第2工程として前記高圧熱処理(HPA)も、先の実施例と同じ工程条件で行われた。
【0118】
前記高圧熱処理(HPA)の反応圧力は1ATMないし20ATMで調節された。前記反応圧力が1ATMから20ATMまで高くなると、前記高圧酸化(HPO)で生成された絶縁膜(SiO)(20ATM)の湿式エッチング率は低くなる傾向を見せる。
【0119】
前記反応圧力が1ATMないし2ATMである場合、前記湿式エッチング率は1オングストローム/secより高い。1 オングストローム/secより低い湿式エッチング率を得るために、前記反応圧力は3ATM以上に設定される必要がある。具体的に、3ATMにおいて前記湿式エッチング率は0.972オングストローム/secであって、希望する範囲内に入る。
【0120】
さらに、前記反応圧力が5ATM、10ATM、15ATM、20ATMに高くなるにつれて、前記ウェットエッチング率は0.906 オングストローム/sec, 0.886オングストローム/sec, 0.866 オングストローム/sec, 0.826 オングストローム/secとなる。
【0121】
このような結果を考慮すると、前記高圧熱処理(HPA)の反応圧力は3ATM以上であることが前記湿式エッチング率の観点から好ましい。最高のウェットエッチング率を得るためには、前記反応圧力は20ATMに設定できる。
【0122】
前記第1工程としての前記高圧窒化(HPN)及び前記第2工程としての前記高圧熱処理(HPA)の組み合わせについて
図15ないし
図16を参照して説明する。
【0123】
図15は、高圧窒化(HPN)による酸化ハフニウム膜の窒素濃度に対する比較グラフである。
【0124】
本図を参照すると、前記第1工程として前記高圧窒化(HPN)は、先の実施例と同じ工程条件で行われて、酸化ハフニウム膜を生成した。その場合、反応圧力は1ATMから20ATMまで調節された。
【0125】
前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記酸化ハフニウム膜の窒素濃度は概ね高くなる。ここで、前記窒素濃度は前記酸化ハフニウム膜の厚さ範囲内での平均濃度である。
【0126】
このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力は高いほど好ましい。20ATMにおいては、前記窒素濃度は最大値である1.12E+21atom%となる。また、5ATMにおいて前記窒素濃度は大幅に高くなる。このような点を考慮すれば、前記高圧窒化(HPN)の反応圧力は5ATMないし20ATMの範囲で決定されることが好ましい。
【0127】
図16は、高圧窒化(HPN)及び高圧熱処理(HPA)による酸化ハフニウム膜の窒素濃度の変化を示した比較グラフである。
【0128】
本図を参照すると、前記第2工程として前記高圧熱処理(HPA)もやはり、先の実施例と同じ工程条件で行われた。前記高圧熱処理(HPA)の反応圧力は1ATMから20ATMまで調節された。
【0129】
まず、待機時間の増加によって前記酸化ハフニウム膜の窒素濃度は概ね低くなることが確認できる。前記反応圧力が1ATMから20ATMに高くなるにつれて、前記待機時間の増加による前記窒素濃度の減少幅は小さくなる。このような傾向を勘案すれば、前記反応圧力は高いほど好ましい。
【0130】
20ATMにおいては、前記待機時間が変化しても前記窒素濃度の減少幅は最も小さい。また、10ATMにおいて前記窒素濃度の減少幅は大幅に小さくなる。このような点を考慮すれば、前記高圧熱処理(HPA)の反応圧力は10ATMないし20ATM範囲で決定されることが好ましい。
【0131】
前記のようなデュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理方法は、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わされて多様な変形が行われるように構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、デュアル高圧ウエハ処理設備を利用したウエハ高圧処理分野に産業上利用可能性がある。
【国際調査報告】