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特表2025-503899直接接触型のレクリエーション目的で使用される高い透明度の水を浄化及び収容するための低コスト構造物
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  • 特表-直接接触型のレクリエーション目的で使用される高い透明度の水を浄化及び収容するための低コスト構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】直接接触型のレクリエーション目的で使用される高い透明度の水を浄化及び収容するための低コスト構造物
(51)【国際特許分類】
   E04H 4/12 20060101AFI20250130BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20250130BHJP
   E04H 4/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
E04H4/12 210
C02F1/00 L
E04H4/00 502Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543195
(86)(22)【出願日】2023-02-01
(85)【翻訳文提出日】2024-09-18
(86)【国際出願番号】 US2023061777
(87)【国際公開番号】W WO2023150571
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/306,826
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/871,830
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521284554
【氏名又は名称】クリスタル ラグーンズ テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン,フェルナンド
(57)【要約】
低コスト構造物は、透明度の高い水を収容する。この構造物により、直接接触型のレクリエーション目的に使用される水の浄化が可能になる。好ましくは、この構造物は、従来のスイミングプールと比較して、入口、出口、スキマー、及び濾過水量速度が少ない縮小された集中濾過システムと、構造物の内面全体に微小漏水点が分配される恒久的に動作する水微小更新システムと、高品質の補水の供給源と、高頻度スキマーシステムと、雨イベント又は増加した更新イベント時に水量の上部から水を除去することを可能にし、それによって高頻度スキマーシステムの効率を向上させる低頻度スキマーシステムとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2NTU未満の低濁度水を収容して浄化するための、少なくとも3,000mの表面及び少なくとも5,000mの容積を有し、直接接触型のレクリエーション目的に適した低コスト構造物(1)であって、
- 水域の水(2)のある量を濾過し、フロリダ州の公共スイミングプール規則に従って設計及び建設された従来のスイミングプールと比較して、より少ない入口及びより低い濾過速度を必要とする、低コストの縮小された集中濾過システム(20)であって、
- 底部入口(21)の数は従来のスイミングプールの入口の数より少なくとも30%少なく、前記構造物は少なくとも15個の底部入口(21)を有し、
- 前記低コストの縮小された集中濾過システム(20)は、従来のスイミングプールより少なくとも30%少ない量を24時間以内に効果的に濾過することができる、
低コストの縮小された集中濾過システム(20)と、
- 前記構造物(1)の内面に配置された複数の微小漏水点(31)を介して水の微小漏水を可能にする、恒久的に動作する微小更新システム(30)であって、微小漏水総量は、前記微小漏水点(31)を介して構造物から除去される水の総量を指し、前記縮小された低コストの集中濾過システム(20)によって濾過される水の量よりも少なく、前記複数の微小漏水点(31)は、前記構造物の下の土壌又は充填材(3)と接触している前記構造物(1)の内面全体に分配されている、微小更新システム(30)と、
- 二重頻度スキマーシステム(40)であって、少なくとも、
- 前記構造物(1)から表面水を定期的に除去し、そのような除去された水を前記低コストの縮小された集中濾過システム(20)に送る高頻度の縮小されたスキマーシステムHFSS(41)と、
- 雨イベント又は補水の増加した追加などの高更新イベント中に前記構造物(1)から表面水を除去し、前記構造物の周囲の一区画内に配置される、低頻度スキマーシステムLFSS(42)を含み、
前記二重頻度スキマーシステム(40)は少なくとも10のスキマー動作率(SOR)を有し、前記SORは、以下:
【数1】

で見られるように、30日の期間内の前記HFSS(41)の動作時間対前記LFSS(42)の動作時間の比を示す、
二重頻度スキマーシステム(40)と、
- 前記微小更新システムを介して前記構造物から除去された水に加えた前記水域の自然蒸発によって失われた水よりも高い水流を導入することができる補水システムであって、次式:
補水流≧蒸発流+微小更新流
で与えられる水流を提供することができる補水システムと
を含む低コスト構造物(1)。
【請求項2】
前記低コスト構造物(1)が、前記構造物への傾斜したアクセス手段、又は前記構造物の周囲における人工の砂浜エリアの使用のうちの少なくとも1つを含む群から選択される遊泳のための安全な環境を提供することを目的とする要素及び構成を含む、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項3】
前記砂浜エリアの使用が、前記構造物への少なくとも1つの傾斜したアクセス手段に連続している、請求項2に記載の低コスト構造物。
【請求項4】
前記低コストの縮小された集中濾過システム(20)が、
-前記構造物から水を引き出すための複数の出口(22)と、
- 前記出口を介して引き出されたそのような水流を濾過するように構成された縮小された濾過システム(23)と、
- 前記濾過された水を前記構造物に戻すための入口(21)のネットワークと
を含む、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項5】
前記出口(24)のネットワークが、フロリダ州の公共スイミングプール規則に基づく公共スイミングプールからの再循環水量よりも低い速度で前記構造物(1)から水を引き出すように構成される、請求項4に記載の低コスト構造物。
【請求項6】
前記低コストの縮小された集中濾過システム(20)が、完全量の水量を1日4回均質に濾過するのに必要な濾過速度に比べて、24時間以内に少なくとも40%少ない量、又は少なくとも50%少ない量、又は少なくとも60%少ない量、又は少なくとも70%少ない量、又は少なくとも80%少ない量、又は少なくとも90%少ない量、又はそれ未満を効果的に濾過することができる、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項7】
入口の総数が、フロリダ州の公共スイミングプール規則における規制で要求される数よりも少なくとも40%、50%、60%、70%、80%又は90%少ない、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項8】
前記縮小された濾過システム(20)が、少なくとも1つの濾過装置(24)と少なくとも1つのポンプ(26)とを含み、前記構造物から前記出口(22)を介して引き出された水流を濾過するように構成されている、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項9】
前記微小更新システム(30)が、前記構造物(1)からの水のより均質で恒久的な更新を生じさせ、これにより、大規模なデッドゾーンを形成することなく、高効率の水の更新が行われる、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項10】
前記微小漏水点(31)が、前記構造物の内面からの均一な微小漏水を達成するために、網状又は格子状の要素と弁のセットとを使用することによって形成される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項11】
前記微小漏水点(31)は、前記構造物に収容された水量と前記構造物の下の土壌又は充填材との間に水圧的な接続が存在する前記水域の内面内のエリアを指す、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項12】
前記微小漏水点(31)が、前記掘削された土壌と接触する前記構造物の内面全体に位置決めされる、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項13】
前記微小漏水点(31)が、前記充填材と接触する前記構造物の内面全体に位置決めされる、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項14】
前記微小更新システム(30)によって前記構造物から除去される水量が、前記縮小された低コストの集中濾過システム(20)によって均質に濾過される水の量と比較して、少なくとも30%少ないと推定される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項15】
前記微小漏水点(31)から水を受ける土壌の透過係数(透水係数)が、少なくとも1×10-3cm/sである、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項16】
前記微小漏水点(31)から水を受ける土壌の透過係数(透水係数)が、1×10-3~1×10-7cm/sである、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項17】
前記微小漏水点(31)から水を受ける土壌の透過係数(透水係数)が、1×10-7cm/s未満である、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項18】
前記微小漏水点(31)が、前記水域の内面内でのそれらの使用、設置、又は配置を考慮すると、100%の停滞はないか、又は微小漏水を許容するべく前記内面内に隙間又は開口部を形成する、微小漏水材料(33)及びシステムの使用によって形成される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項19】
前記微小漏水点(31)が、前記構造物の内面からの均一な微小漏水を達成するために、網状又は格子状の要素と、弁のセットとを使用することによって形成される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項20】
前記微小漏水点(31)が、グリッド材料(34)織布ジオテキスタイル、網状材料、布材料、織物材料、プラスチック材料、熱可塑性樹脂材料、膜又はそれらの組み合わせを含む微小漏水材料の使用によって形成される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項21】
前記微小漏水材料が、ループ状にされる、取り付けられる、編まれる、ヒートシールされる、誘導ヒートシールされる、溶接される、ねじられる、融着される、結ばれることができ、それにより交差部が存在する、請求項20に記載の低コスト構造物。
【請求項22】
前記微小漏水点(31)が、接合部、隙間、溶接点、又は穿孔を含む、請求項21に記載の低コスト構造物。
【請求項23】
微小漏水水流が、前記水量に曝される前記構造物の内面1ヘクタール当たり毎秒0.1~0.5リットルである、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項24】
前記微小漏水点(31)が、微小漏水水流を形成することを妨げ得るように目詰まりすることも閉塞することもないように、定期的に洗浄装置で洗浄される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項25】
前記微小漏水点(31)が、前記微小漏水点及びその表面から潜在的に目詰まりする沈殿物及び粒子を吸引する真空ベースの装置を使用することによって、ブラッシング洗浄システムを通して、手動又は自動手段のいずれかによって、定期的に洗浄される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項26】
前記高頻度の縮小されたスキマーシステムHFSS(41)が、従来のスイミングプールシステムと比較して、24時間以内に少なくとも30%少ない量の水を引き出すことができるように構成される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項27】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)が、前記低コストの縮小された集中濾過システムに水圧的に接続されていない、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項28】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)が、周囲堰システム、溢流構造、前記構造物の周囲の少なくとも一部分に位置する周囲開口構造、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項29】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)が、豪雨による雨水イベントなどの特定の状況時、又は他の所定のイベント時に、前記構造物から表面水を除去する、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項30】
最小フリーボード容積が前記構造物内に必要であり、その結果、水位と水量の最上部の収容構造との間の最小フリーボード距離が少なくとも5cmである、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項31】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)を通して除去された水が廃棄される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項32】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)を通して除去された水が、灌漑目的、湿潤目的、又はレクリエーション目的に使用される前の濾過及び処理のためのそのような水の使用を含む他の目的に使用される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項33】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)の構成が、前記構造物が配置される特定の場所の降水データ及びIDF曲線(強度、継続時間、頻度曲線)、並びに前記水域の構造物の下の土壌の特性に基づいて設計される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項34】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)が、一般に、前記構造物から水流を除去できるように設計される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項35】
前記低頻度スキマーシステムLFSS(42)が、前記構造物を水で過剰に満たすことを回避できる速度で水を除去することを可能にするのに十分な幅を有する長さ(L)の上の堰構造(43)を含む、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項36】
前記LFSSが、前記構造物から水を除去できることを目的とする少なくとも1つの堰構造(43)を含む、請求項1に記載の低コスト構造物。
【請求項37】
前記堰構造(43)が、安全及び排水を目的とする少なくとも2つの開口部を含む、請求項36に記載の低コスト構造物。
【請求項38】
前記LFSSの動作時間数が30日の期間中0である場合、前記HFSSの動作時間が少なくとも180であることが要求される、請求項1に記載の低コスト構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、国際出願として2023年2月1日に提出されたものであり、また本出願は、2022年2月4日に提出された米国仮特許出願第63/306,826号及び2022年7月22日に提出された米国非仮特許出願第17/871,830号に付与された優先権及びそれらの利益を主張するものであり、これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。適切な範囲において、上記開示された出願に付与された優先権の主張がなされる。
【0002】
発明の分野
本発明は、従来のスイミングプールの構造及びスイミングプールの濾過技術よりも低いコストで、直接接触型のレクリエーションを目的とした大きな水域において、高い透明度の水を含有すること、及び濁り及び他の汚染物質を生成する粒子を除去することを可能にする物理的構造に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
スイミングプールなど、直接接触型のレクリエーションを目的として使用される水域の構造は、一般に、完全な水量を1日に約4回均質に濾過することができる濾過システムの使用を必要とする。水量が多く、水面が広いスイミングプールの濾過システムは、非常に複雑で高価である。
【0004】
このため、世界中で少なくとも約3,000mの大型スイミングプールは、プール構造自体に関連する高い建設費及び必要とされる大型濾過システムのコストだけでなく、他の変数の中でも特に、水の処理と、そのような大量の水量用の濾過システムとに関連する高い運営コストのために、あまり一般的ではなくなってきている。
【0005】
例えば、スイミングプールが一定の大きさと全体の処理量に達すると、その完全な水量を均質に濾過することは困難な作業になる。このような大型スイミングプールで必要な濾過速度を達成するために、大型の濾過システムや装置を理論的には使用することができるが、実際には、真に均質で効率的な濾過を達成し、「デッドゾーン」を回避するためには、濾過装置やシステムに加えて、当該構造物は、適切に分配された大量の入口及び出口と、それらに対応する複雑な配管網とを含まなければならない。大量の配管、弁、入口、及び出口を備えたこの非常に複雑な配管網は、関連コストが非常に高く、さらに、そのような配管内で、圧力の低下と水流の減少を引き起こす重要なヘッド損失が発生し、これは投与、循環、及び濾過の均質性に影響を及ぼす可能性がある。このようなヘッド損失は、一般に、エネルギー消費量の多い高コストで大型のポンプを使用することで解消される。
【0006】
さらに、入口は水を押し出すことができる範囲が限られており、その理由は特に、水が同じ水量から主排水路、又はスキマーを通して引き出されるためであり、これはノズルの効果を損ない、入口と出口の間に水流を発生させ、これにより混合も再循環も最小限であるか又は全くない「デッドゾーン」が形成される。したがって、従来のスイミングプールに関する世界的な規制は、処理水をプール全体に均質に行き渡らせるために、均等に分配された入口を使用することと、水を押し出して効率的な水の混合と再循環を実現するために、均等に分配された出口を備えることとを要求している。より大きな水域の場合、この「デッドゾーン」効果は大幅に増幅されるため、従来の小型スイミングプールと同レベルの効率的な濾過を実現するには、非常に多くの均等に分配され、間隔をあけた入口と出口が必要であり得、さらに、1日あたりプールの全容積の少なくとも4倍という高い回転率を達成するための対応する大型濾過ユニットと、それに関連する大型ポンプ及び装置が必要であり得る。この意味において、構造物から水を引き出し、濾過された水を構造物に戻すためのこのような入口と出口のレイアウト及び構成は、他の要因の中でも特に、水域の地理的位置、気候条件、砂、泥砂、空気中の粒子、流入水に含まれる粒子のような局所的汚染、風のパターン、泳ぐ人のパターン、及び内部で発生する流れや流動を含む多くの要因に依存する。
【0007】
一方、大きな水域を含む構造物内で少量の入口と出口を使用する場合、水の均質な混合と再循環がないため濾過効率が低下し、その結果、「デッドゾーン」や水の動きが少ないエリア、したがって水の他の部分と同じ強度で濾過されないエリアが生じる。したがって、建設・運営コストの削減を目的とした大規模な水域でのこのような縮小システムの使用は、より小規模で水量の少ないスイミングプール用の従来の濾過システムの濾過効率を達成することができず、ひいては水質の悪化、濁度の上昇、及び潜在的に危険な状態を引き起こす。
【0008】
参考として、世界中の規制機関は一般に、入口と出口がスイミングプールの水量と構造の周囲に適切に分散配置され、水量の均一な取水と均質な濾過を可能にし、いわゆる「デッドゾーン」のリスクを低減することを要求している。入口及び出口は、適切な設計、位置を有するものとし、プールの水量全体にわたって処理水の効果的な分配を保証するのに十分であり、且つプールの水量に効果的な量の消毒剤の残留を維持することができる数で存在するものとし、それにより、そのような入口及び出口の設計、数、又は位置を前提として、デッドゾーンも、濾過システムによる処理も再循環もない可能性のあるプールのエリアも生じさせることなく、完全な水量が1日に何度も均質に濾過されるようにする。
【0009】
例えば、フロリダのスイミングプール規則は、幅が30フィート(約9メートル)を超え、壁面入口及び床面入口の組み合わせを有するプールは、以下:
- 壁面入口間の最大間隔が20フィート(約6メートル)であり、床面入口がすべての壁面から垂直方向に15フィート(約4.5メートル)超離れてプールの水領域に設けられるような壁面入口の数;及び、
- 隣接する入口間の間隔が20フィート(約6メートル)を超えず、床面入口及び隣接する壁からの距離が25フィート(約7.6メートル)を超えないような床面入口の数
を備えるべきであると要求している。
【0010】
したがって、このような場合、ノズル1個あたりの総面積は20フィート×20フィート、すなわち400平方フィートとなり、これは、100,000平方フィート(約2.3エーカー)のスイミングプールでは、少なくとも250個の底部入口と、それぞれのポンプ、及び非常に複雑な配管網を必要とし得ることを意味する。
【0011】
別の例として、フロリダ州の公共スイミングプール規則では、水量の均質な濾過を達成するために、1日あたりプール水量の最低4回転を提供するように再循環流を設計することが義務付けられている。
【0012】
従来のスイミングプールのスキマーシステムも高価で複雑である。スキマー/ガターの使用に関して、プールの規則は、再循環水流の100%をスキマーで処理することを義務付けており、これは一般に、集中濾過システムに送られるためにプールから引き出される場合、表層水をこのようなシステムを通して均質に分配できるようにするため、プールの完全な周囲に沿って、又は最小限の中断で、ガターを存在させる必要がある。フロリダ州の規則では、水量の均質な濾過を実現するために、プール周囲の少なくとも90%にガターを設け、プール面積400平方フィート(小さいプールの場合)ごとにスキマーを設けることまで義務付けている。つまり、100,000平方フィート(約2エーカー)で周囲1,200フィートのプールでは、同レベルの均質な濾過を達成するために、少なくとも周囲の90%に、約1,000フィートの巨大なガターが必要となる。
【0013】
このような規則や衛生上の要件は、大型スイミングプールを収容し処理するための構造に関連する非常に高いコストにつながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、より大きな水域の収容と浄化を提供し、より低い資本コストと運営コストで直接接触型のレクリエーション目的を安全に可能にし、したがって従来のスイミングプールよりも低いコストで大型の透明度の高い水域を提供できるような、代替の構造と構成が必要とされている。
【0015】
図面の簡単な説明
図面中、各要素は同じ指定数字で識別されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】少数の補水管又は入口(5)と、少数の更新出口又は排水管(6)とを有し、水域内に「デッドゾーン」(4)を発生させる、水域の概略的な上空からの図を示す。
図2】少数の補水管又は入口(5)と、水域の内面に沿って分配された多数の微小漏水点(31)とを有し、デッドゾーンの発生を最小限に抑える、本発明の実施形態による水域の概略的な上空からの図を示す。
図3A】1つの補水管又は入口(5)と、1つの更新出口又は排水管(6)とを含み、効果的な水の更新を生じない構造を示す。
図3B】等価の構造であるが、より均質な水の更新を可能にし、微小漏水流(32)を発生させる複数の微小漏水点(31)を含む追加的な微小更新システム(30)で改良された構造を示す。
図4】スイミングプールの規制に準拠し、複数の底部入口(11)、主排水路(12)、スキマー(13)及び集中濾過器(14)を有する従来のスイミングプール(10)の概略側面図を示す。
図5】本発明の低コスト構造物(1)の概略的な実施形態を示し、減少した数の底部入口(21)、高頻度の縮小されたスキマーシステム(41)縮小された濾過器(24)、及び微小更新システム(30)の微小漏水点(31)を流れる微小漏水水流(32)を示す。低頻度スキマーシステムLFSS(42)は図示されていない。
図6】本発明の低コスト構造物(1)の概略的な実施形態を示し、構造物(1)は水量(2)を収容し、構造物は、その内面内に複数の微小漏水点(31)を含み、微小漏水点は、各微小漏水点(31)が構造物(1)から掘削された土壌又は充填材(3)へと除去される関連する微小漏水点水流(32)を有するので、構造物(1)から水を除去することができる。低頻度スキマーシステム(LFSS)は図示されていない。
図7】本発明の微小更新システム(30)の実施形態の拡大断面を示し、微小漏水材料(33)は格子状材料(34)であり、構造物の内面に使用されることにより、構造物から掘削された土壌又は充填材(3)に除去される微小漏水流(32)を実現するための微小漏水点(31)を形成することができる。
図8】本発明の構造物(1)並びに低頻度スキマーシステムLFSS(42)及び1つの排水管(6)の実施形態の概略的な上空からの上面図を示す。
図9】低頻度スキマーシステムLFSS(42)及び水位より上に位置する開口部の実施形態の概略側面図を示す。
図10】低頻度スキマーシステムLFSS(42)、及び、水位から下部堰開口地点までの距離、堰開口部の高さ、及び堰上部構造の厚さをそれぞれ示す参照高さh1、h2、及びh3の実施形態の概略拡大側面図を示す。
図11】開口部が水量(2)の水位より上にある状態で4つの堰構造(43)が配置されている、LFSS(42)の実施形態の概略正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細
本発明は、システムと構造構成要素とを含む低コスト構造物を提供するものであり、この低コスト構造物は、縮小された安価な集中濾過システムにより、直接接触型のレクリエーション用途向けに従来のスイミングプールよりも低コストで水を収容し、浄化することを可能にする。本発明は、少なくとも3,000mの表面及び少なくとも5,000mの水量を有し、2NTU未満の低濁度水(2)を収容及び浄化するように構成され、直接接触型のレクリエーション目的に適した低コストの構造物を開示する。
【0018】
本明細書で使用される際、縮小された集中濾過システムとは、従来式に設計され運営されるスイミングプールよりも少ない入口、出口、スキマー、及び/又は濾過装置を使用するシステムであって、したがって、従来式に設計される集中スイミングプール濾過システムと同じ再循環パターン及び/又は濾過速度を達成するように意図されていないシステムを指す。
【0019】
また、本明細書で使用される際、従来式に設計され運営されるスイミングプールとは、フロリダ州の公共スイミングプール規則に従って設計され運営されるスイミングプールを指す。
【0020】
また、本明細書で使用される際、効果的な濾過とは、水量内の短縮巡回及びデッドゾーンの形成を低減する水量の濾過を指す。
【0021】
さらに、本明細書で使用される際、均質な濾過とは、フロリダ州の公共スイミングプール規則に従って設計及び運営される従来のスイミングプールを運営することから生じる濾過を指す。
【0022】
本発明による低コストの縮小された集中濾過システム(20)は、微小更新システム(30)と、高頻度スキマーシステム(41)及び低頻度スキマーシステム(42)を含む二重頻度スキマーシステム(40)とによって改良される。したがって、本発明の構造は、直接接触型のレクリエーション目的に適した水を収容し、浄化する一方、そのような縮小された低コストの集中濾過システムを改良することを可能にし、本発明の構造は以下の4つの要素を含み、いくつかの好ましい実施形態では4つの要素すべての組み合わせを含む:
A.低コストの縮小された集中濾過システム(20)。これは先に定義したような従来のスイミングプールと比較して、入口、出口、スキマー、及び濾過水量率が少ない。
B.恒久的に動作する水の微小更新システム(30)。これにより構造物(1)からの水の効率的な除去を可能にするために構造物の内面全体に微小漏水点(31)が分配され、システムは、微小漏水点(32)を介した水の部分的な更新を達成するために構造物内に導入される高品質の補水を使用することによって改善される。このシステムにより、低コストの縮小された集中濾過システム(20)の効率を改善することが可能になる。
C.高頻度スキマーシステムHFSS(41)。構造物(1)から表面水を除去することが可能であり、従来のスイミングプールのスキマーシステムと比較して容量を減らした設計である。
D.低頻度スキマーシステムLFSS(42)。他のイベントの中でも特に雨天イベント又は増加した更新イベントの間に水量の上部から水を除去することを可能にし、高頻度スキマーシステムの使用性を向上させる。
【0023】
以下のセクションにおいて、本発明の低コスト構造のこれら4つの構成要素について、より詳細に記載する。
【0024】
A.低コストの縮小された集中濾過システム(20)
本発明において記載される低コストの縮小された集中濾過システムとは、フロリダ州公共スイミングプール規則で定義される従来のスイミングプール集中濾過システムと比較して、構成及び容量が縮小された集中濾過システムを指す。
【0025】
縮小された低コストの集中濾過システムは、以下の表に見られるように、構造物から水を引き出し、構造物へ水を戻すために、より少ない数の入口(21)及び出口(22)を必要とし、また、従来のスイミングプール集中濾過システムと比較して、より少ない水量を濾過することを可能にする、より小型の濾過装置(24)を必要とする。
【0026】
【表1】
【0027】
より詳細には、本発明による縮小された低コストの集中濾過システムは、以下を含む:
I.構造物から水を引き出すための複数の出口(22)、
II.出口を通して引き出されたそのような水流を濾過するように構成された、縮小された濾過装置(23)、及び
III.濾過された水を再び構造物に導入するための入口(21)のネットワーク。
【0028】
本発明の構造物から水を引き出すための複数の出口(22)は、フロリダ州の規則に基づく公共スイミングプールからの再循環水量よりも低い速度で構造物から水を引き出すように構成される。
【0029】
特に、出口(22)のネットワークは、従来のスイミングプール集中濾過システムのように完全な水量を1日に4回均質に濾過するのに必要な濾過速度と比較して、24時間以内に少なくとも30%少ない量を引き出すことができることが要求される。例えば、15,000mの量を有する構造物では、フロリダ州公共スイミングプール規則に基づき、その完全な水量を少なくとも1日4回濾過することを必要とし得、これは、構造物から毎日60,000mを引き出して濾過システムに送ることを必要とし得ることを意味し、その結果、2,500m/hの再循環/濾過水量となる。一方、本発明では、従来のプール濾過システムに比べて、24時間以内に少なくとも30%少ない量を引き出し、効果的に濾過する必要がある。つまり、本発明では、少なくとも30%少ない量を引き出し、効果的に濾過する必要があり、これは1日当たり最大42,000m(60,000m-0.3×60,000m=60,000m-18,000m)の量、最大1,750m/hに相当する。
【0030】
このように、低コストの縮小された集中濾過システム(20)は、完全な容積の水量を1日に4回均質に濾過するのに必要な濾過速度に比べ、例えば、約40%少ない量、約50%少ない量、約60%少ない量、約70%少ない量、約80%少ない量、約90%少ない量、又はそれ未満を含む、その範囲内のすべての値を包含する少なくとも30%少ない量を24時間内に効果的に濾過することができる。
【0031】
低コストの縮小された濾過システム(20)は、一般に、少なくとも1つの濾過装置(24)と少なくとも1つのポンプ装置(25)とを含み、前述したように、出口(22)を介して引き出された減量した水流を濾過するように構成されている。フロリダ州の公共スイミングプールの従来の濾過速度に比べて少なくとも30%少ない量を効果的に濾過するために構造物から引き出される減量された水流は、出口に関連する複雑でない配管網、弁、ポンプ、及びその他の要素を考慮すると、コストを大幅に削減することができる。
【0032】
また、本発明による底部入口の数は、フロリダ州の規則で要求される底部入口の数より少なくとも30%少ないと定義される。先に示したように、フロリダ州の公共スイミングプール規則では、添加物を含む水の均一な分配を可能にするため、また効果的な濾過を達成するために、入口1つあたり約400平方フィートの総面積をカバーし、ここで底部入口は互いに20フィート超離れて配置されないことが要求される。
【0033】
一方、本発明では、フロリダ州プール規則で要求される底部入口の数より少なくとも30%少ない入口を必要とする。したがって、本発明による底部入口の数は、フロリダ州の規則で要求される底部入口の数より少なくとも30%少なく、また、フロリダ州のプール規則で要求される底部入口の数より40%少ない、50%少ない、60%少ない、70%少ない、80%少ない、又は90%少ないなど、その範囲内の入口の数の任意の値であると定義される。数値例として、フロリダ州の公共スイミングプール規則が250個の底部入口の総数を必要とする場合、本発明は、他の入口数の中でも特に、170個の入口、又は150個の入口、又は125個の入口、又は100個の入口、又は75個の入口、又は50個の入口、又は25個の入口を有することを含む、0~175個の入口以内の底部入口の数を含み得る。
【0034】
最小水表面が3,000mであると仮定すると、本発明による底部入口(21)の最低数は、15個の底部入口であると定義され、これは次式で計算される:
- フロリダ州の公共スイミングプール規則に基づく従来のスイミングプールに必要な底部入口(21)の数=75個の底部入口、
- 少なくとも80%少ない入口が使用される=75-0.8×75=75-60=15個の底部入口
【0035】
表1に示すように、参考として、約100,000平方フィート(約2.3エーカー)のスイミングプールは、総表面と入口あたりの最大カバー範囲(100,000平方フィート/400平方フィート)を単純に割った計算から、少なくとも250個の底部入口を必要とし得るため、同じ構造であれば、本発明は175個以下の入口を必要とし得る。その場合、15個~175個の範囲内の任意の底部入口の数が、本発明による底部入口の数の範囲内となり得る。
【0036】
最小数の入口(21)は、本発明からの低コスト構造物(1)が、水の微小更新システムで補完される縮小された濾過システムを達成することを可能にする最小分配を達成するために必要である。
【0037】
入口は従来のスイミングプールシステムにおける問題の一部に過ぎないことに留意することが重要であるが、その理由は、入口は配管に接続される必要があり、それ自体の支持構造を有し、弁及びコネクタを含み、ポンプ要素への水圧式の接続を有するためであり、したがって、入口の量を減らすことにより、関連する配管網及びポンプ要素の複雑さ及びコストを低減することができる。
【0038】
B.水微小更新システム
水微小更新システム(30)は、低コストの縮小された集中濾過システム(20)の改良であり、構造物(1)内に収容された水量の、構造物の内面を通過する水の微小漏れから生じる、一般に恒久的でより均質な水の更新を提供することを可能にする。
【0039】
本発明のように、スイミングプールからの従来の集中濾過システムよりも少ない入口を有する低コストの縮小された集中濾過システム(20)を使用する場合、そのような縮小された集中濾過は、水量の均質な濾過を提供するために多数の入口を必要とし使用する従来式に設計されたスイミングプールほど効果的ではないだろう。したがって、このようなシステムでは、水量の効果的な濾過を依然として可能にするために、水の更新システムを改良する必要がある。しかしながら、低コストの縮小された集中濾過を、例えば、わずか数個の補水管又は入口(5)と、わずか数個の更新用出口又は排水管(6)とを有する更新システムで補完した場合、水の更新は非常に非効率的であり、図1の水量の上空からの斜視図で見られるように、大規模なデッドゾーンが生じることになるだろう。
【0040】
一方、本発明の革新的な水の微小更新システムは、少数の底部入口(21)と複数の微小漏水点(31)とを含み、構造物からの水のより均質で恒久的な更新を可能にする。このような均質な水の更新により、大規模なデッドゾーンを発生させることなく、非常に効率的な水の更新が可能になり、このことは、均質な更新を達成することを可能にする少数の入口(21)と複数の微小漏水点(31)とを有する水量の上空からの斜視図を示す図2で見ることができる。
【0041】
同様の比較が図3にも示されており、図3Aは、複数の微小漏水点(31)を有する実施形態を示す図3Bと比較して、1つの補水管又は入口(5)及び1つの更新用出口又は排水管(6)のみを有する構造の側面図を示している。
【0042】
したがって、複数の微小漏水点(31)を有する微小更新システム(30)を用いて、低コストの縮小された集中濾過システム(20)を改善することが重要であり、複数の微小漏水点(31)は、低コストの縮小された集中濾過システム(20)の効果を改善する、より均質な水の更新を提供することを目的とする。
【0043】
微小漏水とは、水域を収容する構造物の内面を通る小さな水流の漏れを指し、これは、本明細書では微小漏水要素と呼ばれる、構造物の内面全体に分配される複数の微小漏水点(31)を形成するシステム及び/又は材料の使用によって達成することができる。
【0044】
微小漏水点(31)とは、構造物内に収容される水量と構造物下の土壌又は充填材との間に水圧的接続が存在する、水域の内面内のエリアを指す。好ましくは、微小漏水点(31)は、掘削された土壌(3)と接触している構造物の内面全体に位置する。別の実施形態では、微小漏水点(31)は、充填材と接触している構造物の内面全体に位置している。
【0045】
本発明において、微小漏水によって構造物から除去される水量は、好ましくは、低コストの縮小された集中濾過システム(20)によって濾過される水の量よりも少ない。
【0046】
参考として、また特定の実施形態において、構造物から除去される微小漏水水流は、縮小された低コストの集中濾過システム(20)によって濾過される水の量と比較して、少なくとも30%少ないと推定され、ここで微小漏水水量は、微小漏水点(31)を介して構造物から除去される。
【0047】
構造物の下の土壌又は充填材(3)は、そのような土壌又は充填材(3)が微小漏水点(31)から連続的に水を受ける可能性があることを考慮すると、構造物の完全性に影響を及ぼす可能性のある水のかなりの蓄積が構造物の下に存在しないように十分な透過係数を有することが重要である。構造物の下の土壌は、異なるタイプの透過性を有することができ、それらは以下のように分けることができる:
- 低透過性:透水係数が1×10-7cm/s未満の土壌
- 中透過性:透水係数が1×10-3~1×10-7cm/sの土壌
- 高透過性:透水係数が1×10-3cm/sを超える土壌
【0048】
構造物の下の土壌と、微小漏水要素の下で使用される溶液の種類は、構造物に構造的及び/又は美観的な影響を与える可能性のある微小漏水要素の直下の水のかなりの蓄積を発生させることなく、水の通過を可能にするように構成される。
【0049】
微小漏水点(31)は、微小漏水材料及び/又はシステム(33)の使用によって形成することができるが、この微小漏水材料及び/又はシステム(33)は、水域の内面内でのそれらの使用、設置、又は配置を考慮すると、100%の停滞はないか、又は内面内に隙間又は開口部を形成し、したがって、本明細書では微小漏水点(31)と呼ばれる微小漏水を発生させる複数の点を生成する。
【0050】
本発明の一実施形態において、微小漏水点(31)は、構造物の内面からの均一な微小漏水を達成するために、網状又は格子状の要素及び一組の弁を使用することによって形成することができる。
【0051】
微小漏水材料及びシステム(33)は、構造物内に水を収容し、水の通過を可能にするために使用される、グリル構成を有する材料を含む。微小漏水材料は、グリッド材料(34)、織布ジオテキスタイルの使用、網状材料、布材料、織物材料、プラスチック材料、熱可塑性樹脂材料、膜、又はそれらの組み合わせを含み得る。微小漏水材料(33)は点を形成し、交差部が存在するようにループ状にされる、取り付けられる、編まれる、ヒートシールされる、誘導ヒートシールされる、ねじられる、又は結ばれることができ、これによりこのような材料内に複数の微小漏水点が作られる。さらなる代替案として、微小漏水材料(33)は、漏水が発生する隙間、溶接点、又は接合部を含む材料、又は穿孔を有する材料の使用を含む。
【0052】
本発明の微小更新システム(30)は、より小規模でありながら、構造物の内面全体に均等に分布した水の更新を生じさせ、その結果、より均質な更新を促進するので、低コストの縮小された集中濾過システム(20)を改善することを可能にする。微小更新システム(30)は、(図1で見られるように)チャネルやデッドゾーンを形成し得る少数の放出地点や補水入口のみを備えた従来の水の更新よりも効率的である。縮小された低コストの集中濾過システム(20)を改善するこの微小更新システム(30)は、従来のスイミングプールシステムよりもはるかに低い資本コストと運営コストで水の浄化を可能にする低コストの効率的な濾過システムを形成する。
【0053】
微小漏水点(31)は、構造物から除去される水流をそのような地点を通して発生させることを可能にする。本発明の一実施形態において、微小漏水水流は、水量に曝される構造物の内面1ヘクタール当たり毎秒0.1~0.5リットルである。
【0054】
微小漏水点(31)は、微小漏水水流を形成することを妨げ得るように目詰まりすることも閉塞することもないように、定期的に洗浄装置で洗浄する必要がある。このような微小漏水点(31)からの目詰まりの回避を確認し、微小漏水の能力に支障が生じないように、定期的にこのような微小漏水点の洗浄を行う必要がある。微小漏水点(31)は、特に、微小漏水点及びその表面から潜在的に目詰まりする沈殿物及び粒子を吸引する真空ベースの装置を使用することによって、ブラッシング洗浄システムを通して、手動又は自動手段のいずれかによって目詰まりする沈殿物を除去する手段によって閉塞されないようにすることができる。微小漏水点の洗浄により、微小漏水点の目詰まり及び/又は閉塞が回避される。
【0055】
微小更新システム(30)により、低コストの縮小された集中濾過システム(20)の効果を改善し、かくしてより均質な更新を促進することが可能になる。例えば、図4に見られるように、従来のスイミングプールの集中濾過システムは、スイミングプールの濾過速度を達成するために、スイミングプールのスキマー(13)から、及び主排水路(12)を通して水を引き出し、そのような水を集中濾過器(14)に送り、次いで、規則に従って計算され分配された多数の入口(11)を通して濾過された水を戻す。次に、図5に見られるように、本発明の低コストの縮小された集中濾過システムが存在し、このシステムは、従来のスイミングプールよりも少ない数の入口(21)を有し、より小型の濾過装置(24)を有し、このようなシステムは、構造物の内面全体にわたって複数の微小漏水点(31)を含み、このような地点を通じて微小漏水水流(32)を提供することを可能にする微小更新システムによって改良されている。
【0056】
C.高頻度の縮小されたスキマーシステム(HFSS)の使用
微小更新システム(30)は、縮小された集中濾過システムのみの使用と比較して水の更新が増加するために水の浄化を改善することができるという事実にもかかわらず、そのような微小更新システム(30)は、直接接触型のレクリエーション施設の重要な部分である、表面水域構造に近い水部分の浄化又は処理を対象としていない。
【0057】
先に説明したように、従来から規定されているスイミングプールの再循環水流の100%がスキマーを通して処理され得ることを一般にプールの規則が要求するため、従来のスイミングプールは一般に高価で複雑なスキマーシステムを使用する必要がある。したがって、従来のプールのスキマーシステムは、プールの表面水量の適切な再循環及びスキミングを達成し、そのような水を集中濾過システムに送るために、プールのほぼ完全な周囲を取り囲む多数のスキマー又はガターを必要とする。
【0058】
一方、本発明は、構造物(1)内に収容される量(2)の表面(スキマーと接触する水量の上層を含む)から水を除去することができる高頻度の縮小されたスキマーシステムHFSS(41)を利用し、このようなHFSS(41)は、次のセクションで記載するように、従来のスイミングプールのスキマーシステムと比較して縮小された構成を有する。
【0059】
一般的に、従来のスイミングプールのスキマーシステムは、プールから完全な再循環/濾過水流を引き出し、かかる水流を濾過システムに送ることができるように一般的に設計及び構成されなければならない。スキマーシステムは、水の総量を1日に少なくとも4回濾過する結果である、従来のスイミングプールから濾過される必要がある水の総流量を処理するように設計及び計算されなければならない。
【0060】
一方、本発明による高頻度の縮小されたスキマーシステム(HFSS)は、縮小された設計を採用しており、この設計においては、従来のスイミングプール集中濾過システムのように1日に4回完全な容積の水量を均質に濾過するのに必要な濾過速度と比較して、24時間以内に少なくとも30%少ない量を引き出すようにスキマーが位置決めされ構成されている。
【0061】
高頻度の縮小されたスキマーシステム(HFSS)は、従来のスイミングプール集中濾過システムのように完全な水量を1日4回均質に濾過するのに必要な引出し速度と比較して、例えば、24時間以内に少なくとも40%少ない量、少なくとも50%少ない量、少なくとも60%少ない量、少なくとも70%少ない量、少なくとも80%少ない量、又は少なくとも90%少ない量を含む、その範囲内のすべての値を包含する、24時間以内に前記少なくとも30%少ない量を引き出すように位置決めされ構成されてもよい。
【0062】
例えば、15,000mの容積を有する構造物では、フロリダ州公共スイミングプール規則に基づき、その完全な水量を少なくとも1日4回濾過する必要があり、これは、構造物から毎日60,000mを引き出し、濾過システムに送る必要があり、その結果、再循環/濾過水量は2,500m/hとなることを意味する。したがって、このような構造物は、構造物の外周に配置されたスキマーによってのみ、このような水流の100%を引き出すことができるスキマーシステムを必要とし得る。
【0063】
一方、本発明は、HFSS(41)が、従来のスイミングプールシステムと比較して、24時間以内に少なくとも30%少ない量を引き出すことができるように構成されていることを必要とし、したがって、本発明は、HFSS(41)が、スキマーを通して最大1,750m/hの水を引き出すことができるように構成されていることを必要とし得る。これによって今度は以下のことが可能になる、すなわち、構造物からそのような減少した水流を引き出すために必要なスキマーの数と構成は、スキマーシステムに関連するあまり複雑でない配管網その他を考慮すると、コストを大幅に削減することを可能にする。
【0064】
HFFS(41)は、除去された水を低コストの縮小された集中濾過システム(20)に送り、そのような水を構造物内に戻す前に処理及び/又は濾過するようにする。以下の表に記載されているように、HFSSは、規制要件に基づくスイミングプール用の従来のスキマーシステムと比較して、縮小されたスキマーシステムを使用する:
【0065】
【表2】
【0066】
D.低頻度スキマーシステム(LFSS)の使用
本発明はまた、図8図9及び図10に描かれているように、計画的又は特定の状況下で、HFSSよりも少ない頻度で、水域の表面及び/又は上部から水を除去する低頻度スキマーシステムLFSS(42)を含む。LFSSは、好ましくは、増加した水量が構造物に流入する雨イベントの間に動作し、したがって、低頻度スキマーシステム(42)は、雨水のシステム内へのこの追加によって増加した更新を提供するために使用され、これは高頻度の縮小されたスキマーシステムの効果を改善するのに役立つ。低頻度スキマーシステム(42)は、以下の段落で記載するように、豪雨による雨水イベントなどの特定の状況の間、又は決定された増加更新イベントの間に、水域から水を除去することができる。
【0067】
低頻度スキマーシステム(42)の使用により、一般に水の微小更新の影響を受けないか、又は最小限の影響しか受けない水面又は水面の上層から、水の更新の追加的な供給源を提供することができる。その意味で、低頻度スキマーシステム(42)はまた、ある一定期間のイベントの間、水域の上部に位置する水の除去を通じて水の更新の増加を提供することによって、高頻度の縮小されたスキマーシステム(41)の使用を改善するのに役立つ。
【0068】
低頻度スキマーシステム(42)は、一般に、水域の水位が、水を排出しなければならない所定のレベルまで上昇する原因となる豪雨による雨水イベント又は降雨イベントの間に使用される。また、低頻度スキマーシステム(42)は、より高い更新率を達成するために、より大量の補水流が水構造物に流入する高更新イベント中に使用されることもあり、ここで低頻度スキマーは、構造物から水を除去することによって動作し、補水が構造物に導入され、表面に見られる水が構造物から除去される「開放」サイクルを作り出すことを可能にする。
【0069】
低頻度スキマーシステム(42)は、構造物から周囲への単純な溢流ではないことを強調することが重要であり、単純な溢流は、構造物に流入する水量がフリーボード量を上回るように水が構造物に落下し続け、構造物から水を除去するために他の手段が使用されない場合に、豪雨による雨水イベント中に自然に起こり得る。本発明では、水域の上層の効率的な更新を達成するために、水域の上層の水量を混合し移動させる流れが存在することが必要であり、したがって、構造物の周囲への単純な溢流はそのような目的を達成できない可能性がある。
【0070】
本明細書で使用される際、フリーボード量とは、設計水量に加えて構造物が収容し得る水の量のことである。フリーボード量は、水位及びその時間的変化に応じて変化する可能性がある。本発明は最小フリーボード量を必要とし、その結果、水位と水量の最上部の収容構造物との間の最小フリーボード距離は少なくとも5cmである。
【0071】
低頻度スキマーシステム(42)の使用は、構造物の上部セクションから水の上面を含む水量を除去するために、高頻度の縮小されたスキマーシステム(41)の効果を改善し、必要に応じて表面水を除去することを可能にする。
【0072】
本発明の低頻度スキマーシステム(42)は、低コストの縮小された集中濾過システムに水圧的に接続されなくてもよいが、その代わりに、低頻度スキマーシステムを通して抽出された水は構造物から除去することができる。低頻度スキマーシステム(42)を通して除去されたそのような水は、好ましくは、濾過された水を構造物に戻す低コストの縮小された集中濾過システムとは対照的に、廃棄される。しかしながら、このような水は、灌漑目的、湿潤目的、又は、特にレクリエーション目的に使用される前の濾過及び処理のためのこのような水の使用を含む他の目的に使用することもできる。
【0073】
低頻度スキマーシステム(42)は、周囲堰構成、溢流構造、構造物の周囲の少なくとも一部分に位置する周囲開口構造、又はそれらの組み合わせを有し得る。一般に、LFSS(42)の構成は、構造物が配置される特定の場所の降水量データ及びIDF曲線(強度、継続時間、頻度曲線)、並びに水域の構造物の下の土壌の特性に基づいて設計される。構造物の下の土壌の特性は、土壌への水の湿潤と透過の能力を決定する地盤工学的調査に基づいて決定される。さらに、流出係数、水構造物の表面に直接落下する水の計算(直接受水)も考慮しなければならない。その他の変数や計算方法も、LFSS(42)のパラメータや構成を決定するために使用することができる。これらの変数を用いて、少なくとも1つの貯水曲線(SC)が決定され、これは、構造物が保持できる水の量と、その水を保持し、構造物からそのような水を除去する率とを示す。経験に基づき、また構造物からの除去率の評価において、LFSSは一般に、構造物から流出する水を除去できるように設計される。
【0074】
本発明の一実施形態において、図11に見られるように、LFSS(42)は堰構造(43)を含み、構造物を水で過剰に満たすことを避けることができる速度で水を除去することを可能にするのに十分な幅を有する長さ(L)の上に堰構造(43)を含む。つまり、LFSS(42)の長さは、構造物における貯水曲線がフリーボード高さ又は壁高さを決して超えないようにするために、十分に広くなければならない。堰の長さは、一般にレベル法(leveled method)を用いて決定される。このような場合、概略的な実施形態が図9図10に示されており、それぞれ長さ「b」と高さ「h2」を有する「n」個の開口部を含む堰構造(43)が示されている。これらの開口部は、平均設計水面からの高さ「h1」に位置している。水がh1の距離を通過すると、LFSSは動作を開始し、構造物から水を除去する。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、LFSSは、構造物から水を除去できることを目的とする少なくとも1つの堰構造(43)を含む。本発明のさらなる実施形態において、堰構造(43)は、安全及び排出の目的で少なくとも2つの開口部を含む。このような場合、堰構造は一般に構造物の周壁内に配置され、それにより開口部を容易に見ることができ、必要に応じて清掃することができる。
【0076】
低頻度スキマーシステム(42)は、高頻度スキマーシステム(41)の効率を改善するために、決定されたイベントの間に水の排出を達成するように設計されており、スキマー動作率は、30日の期間内のHFSSの動作時間対LFSSの動作時間の比率として定義される。
【数1】
【0077】
スキマー動作率(SOR)は、30日以内のHFSSの動作時間数をLFSSの動作時間数で割った数値であり、各スキマーシステムの平均動作時間数から算出することができる。SORは少なくとも30であると定義され、これはHFSSがLFSSの少なくとも10倍の時間動作することを意味する。
【0078】
例えば、30日以内にLFSSが7時間動作した場合、HFSSは30日間に少なくとも70時間動作する必要がある。
【0079】
LFSSの動作時間数が30日間で0である場合、HFSSの動作時間は少なくとも180であることが要求される。
【0080】
補水の追加の増加
微小更新システムを使用する場合、構造物内の水位を所定の設計範囲内に維持するために、構造物への補水の追加を増やす必要がある。この意味で、補水流は、以下の式で表されるように、構造物内に収容される水からの自然蒸発水流よりも多くなければならない:
補水流≧蒸発流+微小更新流
【0081】
ここで、補水流は、m3/hで表され、少なくとも、以下の水流の合計よりも高いの同じである:
- 蒸発流=構造物内の水量からの平均自然蒸発水流であり、m/hで測定される
- 微小更新流=構造物の微小更新システムを通じて構造物から除去される平均水流であり、このような水流は複数の微小漏水点を通じて構造物から失われ、m/h単位で測定される
【0082】
したがって、この低コスト構造物は補水システムを含み、この補水システムは、システムの残りの要素とともに、高い透明度を有する大きな直接接触型のレクリエーション水域を達成するために水を収容し、浄化することができ、この構造物は、主に、構造物全体で使用される入口の数がより少なく、配管網及び関連する装置及び要素がより小さいために、従来のスイミングプールシステムよりも低コストであり且つ複雑でない構成を有する。本発明による低コスト構造物に関連する入口は、構造物に水を導入するように構成された任意のタイプの入口を含むことができ、特に、底部入口、補水入口、更新流入口、壁面入口を含むことができることに留意することが重要である。さらに、入口の効率的な構成を提供するために、同じ入口を、構造物への補水の導入及び水(化学薬品と混合されていてもよい)の導入に使用することができる。
【0083】
本発明の低コスト構造物は、水の高品質を実現するために、微小更新水システム(30)並びに高頻度スキマーシステム(41)及び低頻度スキマーシステム(42)で改良された低コストの縮小された集中濾過システム(20)を含む。
【0084】
本発明による低コスト構造物を使用することにより、透明度が2NTU未満の水を含む、直接接触型のレクリエーション目的に適した高品質の水を得ることができる。
【0085】
本出願を通して使用される際、本発明による低コスト構造物(1)は、従来のスイミングプールで通常使用されるように、構造物の完全な内面を覆う完全なコンクリートシェルを含まない可能性のある構造物を指す。
【0086】
さらに、本発明による低コスト構造物は、低コスト集中濾過システムの結果として自然な内流及び混合を有する比較的穏やかな水に適用されることを目的とするが、人工波発生装置の使用を含むサーフプール又は波プールなどの非常に高い混合率及び水位変動を有する水域を対象としない。
【0087】
さらに詳細には、本発明による低コスト構造物(1)は、構造物への傾斜したアクセス手段の使用及び構造物の周囲における人工の砂浜エリアの使用を含む、遊泳のための安全な環境を提供することを目的とする要素及び構成を含む。本発明の好ましい実施形態において、砂浜エリアの使用は、構造物への少なくとも1つの傾斜したアクセス手段に連続している。
【0088】
本発明のシステムは、フロリダ州の公共スイミングプール規則に基づいて設計された従来のスイミングプールよりも20%から80%安価であり得、従来のスイミングプールの濾過システムに使用されるエネルギーに関連する運営コストも最大80%安価であると推定されている。
【0089】
構造物の要素
上述したように、本明細書に開示される一実施形態によれば、2NTU未満の低濁度水を収容して浄化するための、少なくとも3,000mの表面及び少なくとも5,000mの容積を有し、直接接触型のレクリエーション目的に適した低コスト構造物(1)が提供され、この構造物は:水域の水(2)のある量を濾過し、フロリダ州の公共スイミングプール規則に従って設計及び建設された従来のスイミングプールと比較して、より少ない入口及びより低い濾過速度を必要とする、低コストの縮小された集中濾過システム(20)であって、底部入口(21)の数は従来のスイミングプールの入口の数より少なくとも30%少なく、この構造物は少なくとも15個の底部入口(21)を有し、低コストの縮小された集中濾過システム(20)は、従来のスイミングプールより少なくとも30%少ない量を24時間以内に効果的に濾過することができる、低コストの縮小された集中濾過システム(20)と;構造物(1)の内面に配置された複数の微小漏水点(31)を介して水の微小漏水を可能にする、恒久的に動作する微小更新システム(30)であって、微小漏水総量は、微小漏水点(31)を介して構造物から除去される水の総量を指し、縮小された低コストの集中濾過システム(20)によって濾過される水の量よりも少なく、複数の微小漏水点(31)は、構造物の下の土壌又は充填材(3)と接触している構造物(1)の内面全体に分配されている、微小更新システム(30)と、二重頻度スキマーシステム(40)であって、少なくとも、構造物(1)から表面水を定期的に除去し、そのような除去された水を低コストの縮小された集中濾過システム(20)に送る高頻度の縮小されたスキマーシステムHFSS(41)と、雨イベント又は補水の増加した追加などの高更新イベント中に構造物(1)から表面水を除去する低頻度スキマーシステムLFSS(42)を含み、LFSSは構造物の周囲の一区画内に配置され、二重頻度スキマーシステム(40)は少なくとも10のスキマー動作率(SOR)を有し、SORは、以下:
【数2】

で見られるように、30日の期間内のHFSS(41)の動作時間対LFSS(42)の動作時間の比を示す、二重頻度スキマーシステム(40)と、微小更新システムを介して構造物から除去された水に加えた水域の自然蒸発によって失われた水よりも高い水流を導入することができる補水システムであって、次式:
補水流≧蒸発流+微小更新流
で与えられる水流を提供することができる補水システムを含む。
【0090】
他の実施形態によれば、この低コスト構造物は、以下の追加的特徴の1つ又は複数を含むことができる。
【0091】
第1に、低コスト構造物は、構造物への傾斜したアクセス手段、又は構造物の周囲における人工の砂浜エリアの使用のうちの少なくとも1つを含む群から選択される遊泳のための安全な環境を提供することを目的とする要素及び構成を含み得る。
【0092】
第2に、低コスト構造物は、構造物への少なくとも1つの傾斜したアクセス手段に連続する砂浜エリアを含み得る。
【0093】
第3に、低コスト構造物は、構造物から水を引き出すための複数の出口と、出口を介して引き出されたそのような水流を濾過するように構成された縮小された濾過システムと、濾過された水を構造物に戻すための入口(21)のネットワークとを含む低コストの縮小された集中濾過システムを含み得る。
【0094】
第4に、低コスト構造物は、出口のネットワークが、フロリダ州の公共スイミングプール規則に基づく公共スイミングプールからの再循環水量よりも低い速度で構造物から水を引き出すように構成される構成とすることができる。
【0095】
第5に、低コスト構造物は、低コストの縮小された集中濾過システムが、完全量の水量を1日4回均質に濾過するのに必要な濾過速度に比べて、24時間以内に少なくとも40%少ない量、又は少なくとも50%少ない量、又は少なくとも60%少ない量、又は少なくとも70%少ない量、又は少なくとも80%少ない量、又は少なくとも90%少ない量、又はそれ未満を効果的に濾過することができる構成とすることができる。
【0096】
第6に、低コスト構造物は、入口の総数が、フロリダ州の公共スイミングプール規則における規制で要求される数よりも少なくとも40%、50%、60%、70%、80%又は90%少ない構成とすることができる。
【0097】
第7に、低コスト構造物は、縮小された濾過システムが、少なくとも1つの濾過装置(24)と少なくとも1つのポンプ(26)を含み、構造物から出口(22)を介して引き出された水流を濾過するような構成とすることができる。
【0098】
第8に、低コスト構造物は、微小更新システム(30)が、構造物(1)からの水のより均質で恒久的な更新を生じさせ、これにより、大規模なデッドゾーンを形成することなく、高効率の水の更新が行われる構成とすることができる。
【0099】
第9に、低コスト構造物は、微小漏水点(31)が、構造物の内面からの均一な微小漏水を達成するために、網状又は格子状の要素と弁のセットとを使用することによって形成される構成とすることができる。
【0100】
【表3】
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】