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特表2025-503907エチレン系ポリマーを含む多層フィルム
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  • 特表-エチレン系ポリマーを含む多層フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】エチレン系ポリマーを含む多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20250130BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20250130BHJP
   C08F 210/06 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/32 E
C08F210/02
C08F210/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543306
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2023061206
(87)【国際公開番号】W WO2023147322
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22382070.5
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ニエト パロモ、ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】エル マラッセ サリオウイ、サルマ
(72)【発明者】
【氏名】テル ボルグ、フレーデリック
【テーマコード(参考)】
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AK04B
4F100AK04C
4F100AK04D
4F100AK62B
4F100AK62C
4F100AK62D
4F100AK63A
4F100AK63E
4F100AK64B
4F100AK64D
4F100BA03
4F100BA05
4F100EH20
4F100EJ37
4F100JA06B
4F100JA06D
4F100JA07B
4F100JA07D
4F100JA13B
4F100JA13D
4F100JA20B
4F100JA20D
4F100JK08
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100CA04
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA13
4J100DA14
4J100DA22
4J100FA10
(57)【要約】
エチレン系ポリマーを含む多層フィルムが提供される。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流と完全に適合し得る。多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、エチレン-プロピレンコポリマーを含む第1のコア層を含む。本発明の多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流と完全には適合しない既存の多層フィルム構造体と比較して、改善された、維持された、又は望ましい特性、例えば高い引裂抵抗を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
第1の外層と、第2の外層と、コアであって、前記コアは1つ以上のコア層を含む、コアと、を含み、前記コアが、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置され、前記コアが、前記コアの総ポリマー重量に基づいて、100重量%のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、60~95重量%のエチレンモノマー及び5~40重量%のプロピレンコモノマーを含む、エチレン-プロピレンコポリマーを含み、前記エチレン-プロピレンコポリマーが、以下の特性:
0.890~0.920g/cmの範囲の密度と、
90~150J/gの範囲の融解熱と、
少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I)と、
40~100℃の温度範囲の間の改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークと、
1.5~5.0の分子量分布(Mw/Mn)と、を有する、フィルム。
【請求項2】
前記エチレン-プロピレンコポリマーが、5~14のメルトフロー比(I10/I)を有することを更に特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記エチレン-プロピレンコポリマーが、シングルサイトメタロセン触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記第1の外層及び前記第2の外層のそれぞれが、別個に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記コアが、第2のコア層及び第3のコア層を更に備え、前記第1のコア層は、前記第1の外層と前記第2のコア層との間に配置され、前記第2のコア層は、前記第1のコア層と前記第3のコア層との間に配置され、前記第3のコア層は、前記第2のコア層と第2の外層との間に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記第3のコア層が、60~90重量%のエチレンモノマーと10~40重量%のプロピレンコモノマーとを含むエチレンープロピレンコポリマーを含み、前記エチレンープロピレンコポリマーが、以下の特性:
0.890~0.920g/cmの範囲の密度と、
90~150J/gの範囲の融解熱と、
少なくとも0.5g/10分以上のメルトインデックス(I)と、
40~100℃の間の温度範囲の改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークと、
1.5~5.0の分子量分布(Mw/Mn)と、を有する、請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記第1のコア層及び前記第3のコア層の各々は、前記多層フィルムの総厚の5~20%である厚さを有する、請求項5又は6に記載のフィルム。
【請求項8】
前記フィルムが、機械方向に配向されたフィルムである、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムがキャストストレッチフィルムである、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フィルムがストレッチフードフィルムである、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層フィルムに関し、より具体的には、エチレン系ポリマーを含む多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
序論
ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートを含む様々な材料を組み込む多層フィルムは、工業製品及び消費者製品において広く使用されている。工業製品及び消費者製品に使用されるそのようなフィルムは、例えば、パレット上でのフィルム包装プロセス中にフィルムが破損するのを回避するために、十分な引裂抵抗を必要とすることが多い。層及び材料の組み合わせは、フィルムの良好な性能を可能にできるが、そのような多層フィルムは、互いにリサイクル適合性ではない異なる種類の材料に起因して、一緒にリサイクルすることが、不可能ではないとしても困難であり得る。持続可能かつリサイクル可能な材料の需要が上昇し続けているため、より容易にリサイクルでき、引裂抵抗のような性能特性が従来のものと同等の又は改善されている多層フィルムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、従来のものと同等の又は改善された引裂抵抗を示し、リサイクル適合性エチレン系ポリマーを含む多層フィルムを提供することによって、前述の必要性の1つ以上を満たすものである。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流において完全にリサイクル適合性であることができ、本発明の多層フィルムの引裂抵抗性能は、リサイクル適合性ポリマーを含まない他の多層フィルムと同等か、又はそれよりも良好であり得る。
【0004】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。一態様では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含み、上記のコア層が、第1の外層と第2の外層との間に配置され、コアが、コアの総ポリマー重量に基づいて、100重量%のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、60~95重量%のエチレンモノマーと5~40重量%のプロピレンコモノマーとを含むエチレン-プロピレンコポリマーを含み、エチレン-プロピレンコポリマーが、以下の特性:0.890~0.920g/cmの範囲内の密度と、90~150J/gの範囲の融解熱と、少なくとも0.5g/10分以上のメルトインデックス(I)と、40~100℃の間の温度範囲の改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークと、1.5~5.0の分子量分布Mw/Mnと、を有する。
【0005】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】単一反応器データフロー図の概略図である。
図2】Poly.1(本明細書に記載されている発生樹脂)のICCD溶出プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示された多層フィルムの態様は、以下でより詳細に説明される。多層フィルムは、多種多様な用途を有することができ、例えば、キャストストレッチフィルム、インフレーションフィルム、配向フィルム、ストレッチフードフィルムなどが挙げられる。しかしながら、本開示は、本開示が本明細書に記載の実施形態の例示的な実装であるため、以下に記載の実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語、及びコポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中に取り込まれてもよく、かつ/又はポリマー内に存在してもよい。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、又は重合中にその場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であり得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーの重合反応によって形成されたポリマーを意味する。「コポリマー」という用語は、ターポリマーを含む。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーなどのエチレンコポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み(例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも、エチレンモノマー及びプロピレンモノマーの共重合単位を含む)、任意選択的に、例えば酸、アクリレート、又は無水物官能基などの、追加のモノマー又は官能性材料若しくは改質剤を含むことができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載のコポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み、コポリマーは2つの構造的に異なるモノマーのみからなり得るが、それらは必ずしも2つの構造的に異なるモノマーのみからなるわけではなく、追加のモノマー又は官能性材料若しくは変性剤を含み得る。
【0010】
本明細書で使用する場合、「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」という用語は、過半量(50重量%超)のエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。特に明記しない限り、本明細書に開示されるエチレンコポリマー(例えば、本明細書に記載されるエチレン-プロピレンコポリマー)は、エチレン系ポリマーである。
【0011】
当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、エチレン系プラストマー(POP)及びエチレン系エラストマー(POE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、一般に、当該技術分野において周知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立つ場合がある。
【0012】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称されてもよいが、ポリマーが、過酸化物などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的に又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0013】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒、並びにモノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、又は不均質なポリエチレンコポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含み、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当該技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0014】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム又はチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又は置換モノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して製造され、典型的には、2.5超の分子量分布(「MWD」)を有する。
【0015】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm超~最大約0.980g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。
【0016】
「ULDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、0.855~0.912g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。ULDPEとしては、ポリエチレン(エチレン系)プラストマー及びポリエチレン(エチレン系)エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「コア層」は、多層フィルムの非スキン層又は非外層を指す。コア層は、多層フィルムの内層、すなわち、2つの外層どうしの間に位置付けられる層である。一実施形態では、コア層は、第1の外層及び第2の外層を含む3層フィルムの非外層である。本発明の多層フィルムのコア層の全体、すなわち、1つ又は複数が、フィルムの「コア」を構成する。
【0018】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、又は手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる構成成分、工程、又は手順を排除する。
【0019】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、機械方向及び/又は横方向に配向されている配向フィルムであることができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、インフレーションフィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、キャストストレッチフィルムである。更なる実施形態では、多層フィルムはストレッチフードフィルムである。
【0020】
本明細書に開示される実施形態による多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは、エチレン-プロピレンコポリマーを含む第1のコア層を含む。
【0021】
多層フィルムの第1の外層及び第2の外層
多層フィルムの第1外層及び第2外層は、特に限定されない。第1の外層及び第2の外層は、同じポリマー組成又は異なるポリマー組成を有することができる。複数の実施形態では、第1の外層及び第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の10~30%である厚さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、例えばULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、又はHDPE等のエチレン系ポリマーを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、LLDPE、LDPE、又はそれらのブレンドを含む。
【0023】
第1の外層及び/又は第2の外層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.940g/cm以下の密度を有することができる。0.940g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、LLDPEの密度は、下限としての0.870、0.880、0.890、0.910、又は0.920g/cmから、上限としての0.940、0.938、0.936、又は0.935g/cmまでであり得る。0.870~0.940g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0024】
第1の外層及び/又は第2の外層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0025】
第1の外層及び/又は第2の外層に使用され得るLLDPEの市販の例としては、例えば、ELITE(商標)AT6410を含む、The Dow Chemical CompanyからELITE(商標)ATの名称で市販されているものと、例えば、DOWLEX(商標)SC2108Gを含む、DOWLEX(商標)の名称で市販されているものとが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層は、ULDPEを含む。第1の外層及び/又は第2の外層がULDPEを含む実施形態では、ULDPEは、0.912g/cm以下の密度を有することができる。0.912g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、ULDPEの密度は、下限としての0.855、0.860、0.870、0.880、又は0.890g/cmから上限としての0.912、0.910、0.908、又は0.906g/cmまでであり得る。0.855~0.912g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0027】
第1の外層及び/又は第2の外層がULDPEを含む実施形態では、ULDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、ULDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0028】
第1の外層及び/又は第2の外層に使用され得るULDPEの市販の例としては、例えば、ATTANE(商標)AT4607GCを含む、The Dow Chemical CompanyからATTANE(商標)の名称で市販されているものが挙げられる。
【0029】
多層フィルムのコア
多層フィルムは、コアを含む。コアは、1つ以上のコア層を含み、エチレン-プロピレンコポリマー(以下に記載)を含む100重量%のエチレン系ポリマーを含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含む3層フィルムであり、コアは第1のコア層を含む。他の実施形態では、多層フィルムは、少なくとも5つの層を含む。例えば、いくつかの実施形態では、コアは、第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を備え、第1のコア層は、第1の外層と第2のコア層との間に配置され、第2のコア層は、第1のコア層と第3のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第2のコア層と第2の外層との間に配置される。コアが第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を含む実施形態では、多層フィルムは少なくとも5つの層を含む(例えば、第1の外層/第1のコア層/第2のコア層/第3のコア層/第2の外層の構造を有する多層フィルムである)。
【0030】
コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、第1のコア層は、60~90重量%のエチレンモノマー及び10~40重量%のプロピレンコモノマーを含む、エチレン-プロピレンコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、以下の特性:0.890~0.920g/cmの範囲内の密度と;90~150J/gの範囲の融解熱と;少なくとも0.5g/10分以上のメルトインデックス(I)と;40~100℃の間の温度範囲の改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークと、1.5~5.0の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)と、を有する。一部の実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、シングルサイトメタロセン触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーは、エチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて、60~95重量%のエチレンモノマー及び5~40重量%のプロピレンコモノマーを含む。エチレンモノマーの60重量%~95重量%、及びプロピレンコモノマーの5~40重量%の、全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、60~95重量%、60~90重量%、70~90重量%、又は80~90重量%のエチレンモノマーを含むことができ、5~40重量%、10~40重量%、10~30重量%、又は10~20重量%のプロピレンコモノマーを含むことができる。コモノマー含量は、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法に基づく技術などの任意の好適な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載の13C NMR分析によって測定され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、0.890~0.920g/cmの範囲内の密度を有する。0.890~0.920g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、0.890~0.910g/cm、0.890~0.905g/cm、0.895~0.905g/cm、又は0.895~0.910g/cmの範囲内の密度を有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、90~150J/gの範囲内の融解熱を有する。90~150J/gの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、90~150J/g、90~140J/g、90~130J/g、90~120J/g、又は90~110J/gの範囲内の融解熱を有することができ、融解熱は、以下に記載される試験方法に従って測定される。
【0034】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I)を有する。少なくとも0.5g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも0.5g/10分、少なくとも0.6g/10分、少なくとも0.7g/10分、少なくとも0.8g/10分、少なくとも0.9g/10分、若しくは少なくとも1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有することができ、又は0.5g/10分~500g/10分、0.5g/10分~200g/10分、0.5g/10分~100g/10分、0.5g/10分~50g/10分、0.5g/10分~10g/10分、若しくは0.5g/10分~8g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークを、40~100℃の間の温度範囲で有する。エチレン-プロピレンコポリマーの改良型コモノマー組成分布(ICCD)プロファイルは、以下に記載される試験方法によって得ることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、1.5~5.0の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)を有する。1.5~5.0の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、1.5~5.0、1.6~5.0、1.8~5.0、2.0~5.0、1.5~4.0、1.6~4.0、1.8~4.0、2.0~4.0、1.5~3.0、1.8~3.0、2.0~3.0、1.5~2.5、1.8~2.5、又は2.0~2.5の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。分子量分布(Mw/Mn)は、下記のGPC試験方法に従って測定することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、5~14のメルトフロー比(I10/I)を有することによって更に特徴付けられる。5~14の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、5~14、6~12、6~10、又は5~10のメルトフロー比(I10/I)を有し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて80~100重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含む。80~100重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて80~100重量%、80~95重量%、80~90重量%、又は90~100重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーに加えて、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて、0~20重量%、又は5~20重量%のエチレン系ポリマー、例えば、ULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、又はHDPEを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて5~20重量%のLLDPEを含む。
【0040】
第1のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm以下の密度を有することができる。0.930g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cmであり得る。0.870~0.930g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0041】
第1のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のコア層に加えて、多層フィルムのコアは、第2のコア層及び第3のコア層を更に含み、第2のコア層は、第1のコア層と第3のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第2のコア層と第2の外層との間に配置される(例えば、多層フィルムは、第1の外層/第1のコア層/第2のコア層/第3のコア層/第2の外層という構造を有する)。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2のコア層及び/又は第3のコア層は、第1のコア層と同じポリマー組成を有する。他の実施形態では、第2のコア層及び/又は第3のコア層は、第1のコア層とは異なるポリマー組成を有する。例えば、いくつかの実施形態では、第3のコア層もエチレンープロピレンコポリマーを含む。すなわち、いくつかの実施形態では、第3のコア層は、60~90重量%のエチレンモノマーと10~40重量%のプロピレンコモノマーとを含むエチレン-プロピレンコポリマーを含み、このエチレン-プロピレンコポリマーは、以下の特性:0.890~0.920g/ccの範囲内の密度と;90~150 J/gの範囲の融解熱と;少なくとも0.5g/10分以上のメルトインデックス(I2)と;40~100℃の間の温度範囲の改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークと、1.5~5.0の分子量分布Mw/Mnと、を有する。そのような実施形態では、第3のコア層は、第1のコア層と同じポリマー組成を有することができ、第3のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーは、第1のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーの特性(上述)と同じ特性を有することができる。
【0044】
多層フィルムが第1のコア層、第2のコア層、第3のコア層を含む実施形態では、第2のコア層は、ULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、又はHDPEなどのエチレン系ポリマーを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のコア層は、ULDPEを含む。第2のコア層がULDPEを含む実施形態では、ULDPEは、0.912g/cm以下の密度を有することができる。0.912g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、ULDPEの密度は、下限としての0.865、0.870、0.880、又は0.890g/cmから、上限としての0.912、0.910、0.908、又は0.906g/cmまでであり得る。0.865~0.912g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0045】
第2の層がULDPEを含む実施形態では、ULDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、ULDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0046】
第2のコア層に使用され得るULDPEの市販の例としては、例えば、ATTANE(商標)AT4607GCを含む、The Dow Chemical CompanyからATTANE(商標)の名称で市販されているものが挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、第2のコア層はLLDPEを含む。第2のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm以下の密度を有することができる。0.930g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cmであり得る。0.870~0.930g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0048】
第2のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0049】
第2のコア層に使用され得るLLDPEの市販の例としては、例えば、ELITE(商標)5230Gを含む、The Dow Chemical CompanyからELITE(商標)の名称で市販されているものが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1のコア層及び第3のコア層の各々は、多層フィルムの総厚の5~20%である厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2のコア層は、多層フィルムの総厚に基づいて、20%~70%の総厚を有する。いくつかの実施形態では、多層フィルムのコアは、多層フィルムの総厚に基づいて70~90%の厚さを有する。
【0051】
添加剤
前述の層のいずれかは更に、当業者に既知の1つ以上の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、粘着防止剤、帯電防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤及び発泡剤などを含むことができると理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層はそれぞれ、粘着防止剤を含む。
【0052】
多層フィルム
本明細書に開示の多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して製造することができる。例えば、多層フィルムは、共押出しによって生産することができる。共押出し多層フィルムの形成は当技術分野で知られており、本開示に適用可能である。多層フィルムを作製するための共押出しシステムは、共通のダイアセンブリに供給する少なくとも2つの押出機を使用する。押出機の数は、共押出フィルムを構成する異なる材料又はポリマーの数に依存する。例えば、5層の共押出には、最大で5つの押出機が必要になる場合があるが、2つ以上の層が同じ材料又はポリマーで作製されている場合は、使用する押出機は少なくなり得る。
【0053】
本発明の多層フィルムは、様々な実施形態では、いくつかの望ましい特性を有することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、多層フィルムの特定の構造は、コア中の特定のエチレン-プロピレンコポリマーの包含と共に、高い引裂抵抗特性を有する多層フィルムをもたらすことができる。同様に、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、少なくとも500g(又は少なくとも600g、又は少なくとも700g、又は少なくとも800g)、又は500g~1000g、600g~1000g、700g~1000g、又は800g~1000gの範囲内の横方向引裂抵抗を示す。横方向引裂抵抗は、多層フィルムの厚さ(μm)あたりのグラム数単位で表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、少なくとも16.66g/μm(又は少なくとも20g/μm、又は少なくとも23.33g/μm、又は少なくとも26.66g/μm)、又は16.66g/μm~33.33g/μm、20g/μm~33.33g/μm、23.33g/μm~33.33g/μm、又は26.66g/μm~33.33g/μmの範囲内の横方向引裂抵抗を示し得る。横方向引裂抵抗は、ASTMのD1922-09に従って測定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、6~150ミクロン、又はあるいは6~100ミクロン、又はあるいは6~50ミクロンの厚さを有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、多層フィルムの全重量に基づいて、少なくとも90重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも95重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99.5重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99.9重量%のエチレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態における多層フィルムは、少なくとも90重量%のエチレン系ポリマーを含むため、それらは、ポリエチレンリサイクル流と適合し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、機械方向の配向フィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、キャストストレッチフィルムである。更なる実施形態では、多層フィルムはストレッチフードフィルムである。
【0057】
キャストストレッチフィルム
一実施形態では、本発明の多層フィルムは、キャストストレッチフィルムである。キャストストレッチフィルムは、輸送及び保管のために製造物品又は品目を保護及び一体化するために利用される高透明度フィルムである。キャストストレッチフィルムは、パレットでのラッピング中に壊滅的な破損を最小限に抑えるために、高い横方向引裂き強度を有することが非常に望ましい。キャストストレッチフィルムは、製造方法によってインフレーションストレッチフィルムと区別することができる。キャストフィルムとインフレーションフィルムとの主な違いは、冷却方法、フィルム配向、ライン速度、及びゲージ制御に関連する。キャストフィルムは、典型的には、インフレーションフィルムと比較して、より良好な光学特性及び非常に高い機械方向配向度を示す。キャストストレッチフィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して製造することができる。
【0058】
物品
本発明の実施形態は、本明細書に記載の本発明の多層フィルムのいずれかを含む物品も提供する。そのような物品の例としては、ラップ、包装、可撓性包装、パウチ、及びサシェが挙げられ得る。本発明の物品は、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の技法を使用して、本明細書に開示される多層フィルムから形成することができる。
【0059】
試験方法
密度
密度は、ASTMのD792に従って測定し、グラム/cm(g/cm)で表す。
【0060】
メルトインデックス(I及びI10
メルトインデックス(I)は、ASTMのD-1238に従って、190℃、2.16kgで測定される。メルトインデックス(I10)は、ASTMのD-1238に従って、190℃、10kgで測定される。メルトインデックスの値はg/10分を単位として報告され、これは10分当たりに溶出したグラム数に相当する。メルトフロー比は、I10/Iである。
【0061】
DSC法-融解熱
示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)は、半結晶性ポリマーの溶融及び結晶化を調べるために使用することができる一般的な技術である。DSC測定の一般的及び半結晶性ポリマーの研究へのDSCの適用は、標準的な教科書(例えば、E.A.Turi編、Thermal Characterization of Polymeric Materials、Academic Press、1981年)に説明されている。
【0062】
融解熱は、TA Instruments,Inc.からのDSCを使用して決定される。試験は、ASTM規格D3428を参照して行われる。較正は、2~3mgのインジウムを調製し、それをTzeroアルミニウムパンに入れることによって行われる。次いで、パンをDSC機器に装填し、以下の加熱プログラムサイクルに供する:1)試験チャンバーを180℃で平衡化し、2)180℃で1分間温度を保持し、3)10℃/分で130℃まで温度を下げ、4)130℃で3分間温度を保持し、5)10℃/分で180℃まで温度を上げる。完了したら、工程5で行った最後の加熱曲線を分析して、インジウム試料の融解温度を決定する。DSCは、融解温度が156.6℃の0.5℃公差内であれば、規格に準拠して機能していると見なされる。
【0063】
試料の試験のために、ポリマー試料を最初に190℃の温度で薄いフィルム状にプレスする。約4~5mgの試料が、計量され、DSCパン内に配置される。密閉された環境を確保するために受皿に蓋を圧着する。サンプルパンをDSCセルに入れ、180℃で平衡化する。この温度で試料を5分間保持する。次いで、試料は、10℃/分の速度で-90℃まで冷却され、その温度で5分間等温に保持される。続いて、試料を10℃/分の速度で150℃まで(完全な溶融を確実にするため)加熱するが、この工程を第2の加熱曲線と呼ぶ。得られたエンタルピー曲線を、ピーク融解温度、結晶化開始温度及び結晶化ピーク温度、並びに融解熱(溶融熱としても知られる)ΔHfについて分析する。融解熱(単位:ジュール/グラム)は、ベースラインに従って融解吸熱の線形積分を行うことによって第2の加熱曲線から測定される。
【0064】
改良型コモノマー組成分布(ICCD)
改善型コモノマー含有量分析法(iCCD)は、2015年に開発された(Cong and Parrott et al.,国際公開第2017040127(A1)号)。iCCD試験を、IR-5検出器(PolymerChar社(スペイン)製)及び二角光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors社、現在はAgilent Technologies社製)を備えた結晶化溶出分画機器(Crystallization Elution Fractionation、CEF)(PolymerChar社(スペイン)製)を用いて実施した。検出器オーブン中のIR-5検出器の直前に、5cm又は10cm(長さ)×1/4インチ(内径)のステンレスに20~27ミクロンのガラス(MoSCi Corporation社(USA)製)を充填したガードカラムを設置した。オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenzene、ODCB、99%無水グレード又はテクニカルグレード)を使用した。EMD Chemicals社からシリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3)を入手した(先にODCB溶媒を乾燥させるために使用され得る)。乾燥シリカを3本の空のHT-GPCカラムに充填して、溶離液としてODCBを更に精製した。CEF機器に、N2パージ能力を備えたオートサンプラを装備している。使用前に、ODCBに乾燥窒素(N2)を注入して1時間かき混ぜる。試料の調製は、160℃で1時間、振とうしながら、オートサンプラを用いて(特に指定のない限り)4mg/mLで行った。注入量は300μLであった。iCCDの温度プロファイルは、105℃から30℃まで3℃/分での結晶化、30℃で2分間の熱平衡(可溶性画分溶出時間を2分に設定することを含む)、30℃から140℃まで3℃/分での溶出であった。結晶化中の流量は、0.0mL/分である。溶出中の流量は0.50mL/分である。データは、1データポイント/秒で収集する。
【0065】
iCCDカラムを、15cm(長さ)×1/4インチ(内径)のステンレス管中の金でコーティングされたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS、Nippon Chemical Industrial Co.製)で充填した。カラム充填及び調整は、参考文献(Cong,R.;Parrott,A.;Hollis,C.;Cheatham,M.国際公開第2017040127(A1)号)に従ってスラリー法で行った。TCBスラリー充填を用いた最終圧力は、150バールであった。
【0066】
カラム温度較正を、ODCB中の参照物質の線状ホモポリマーポリエチレン(コモノマー含有量がゼロ、メルトインデックス(I)が1.0、多分散度M/Mが従来のゲル浸透クロマトグラフィで約2.6、1.0mg/mL)と、エイコサン(2mg/mL)との混合物を使用して実行した。iCCD温度較正は、以下の4つの工程からなった:(1)エイコサンの測定されたピーク溶出温度間の温度オフセットから30.00℃を引いたものとして定義される遅延体積を計算する工程;(2)iCCD生温度データから、溶出温度の温度オフセットを差し引く工程。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい;(3)線状ホモポリマーポリエチレン基準が101.0℃でピーク温度を有し、かつエイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたって溶出温度を変換する線形較正線を作成する工程;(4)30℃の等温で測定される可溶性画分について、30.0℃未満の溶出温度を、参照文献(Cerk及びCongら、米国特許第9,688,795号)に従って3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって直線的に外挿する工程。
【0067】
コモノマー含有量対iCCDの溶出温度は、12個の参照物質(エチレンホモポリマー及びシングルサイトメタロセン触媒で作製されたエチレン-オクテンランダムコポリマー、35,000~128,000の範囲のエチレン等価重量平均分子量を有する)を使用することで構築した。これらの参照物質の全てを、4mg/mLで以前に指定したものと同じ手法で分析した。報告された溶出ピーク温度は、0.978のRでiCCDの溶出温度に対するオクテンのモル%の図に従った。
【0068】
【0069】
ポリマーの分子量及びポリマー画分の分子量は、フォームファクタを1及び全てのビリアル係数をゼロと仮定することによって、Rayleigh-Gans-Debys近似(Striegel and Yau,「Modern Size Exclusion Liquid Chromatogram」,Page 242 and Page 263)に従って、LS検出器(90度の角度)及び濃度検出器(IR-5)から直接決定した。23.0~120℃の範囲の溶出温度(温度較正は、上記で特定)で、全てのクロマトグラムを積分するために積分ウィンドウを設定する。
【0070】
iCCDからの分子量(Mw)の計算には、次の工程が含まれる:(1)検出器間オフセットを測定する。オフセットは、濃度検出器に対するLS検出器間の幾何学的体積オフセットとして定義される。これは、濃度検出器とLSクロマトグラムとの間のポリマーピークの溶出量(mL)の差として計算される。これが、溶出熱速度及び溶出流量を使用することによって、温度オフセットに変換される。線状高密度ポリエチレン(コモノマー含有量がゼロ、メルトインデックス(I)が1.0、多分散度M/Mが従来のゲル浸透クロマトグラフィで約2.6)を使用する。以下のパラメータを除いて、上記の通常のiCCD法と同じ実験条件を使用する:140℃から137℃まで10℃/分での結晶化、可溶性画分溶出時間として137℃で1分間の熱平衡、7分間の可溶性画分(SF)時間、137℃から142℃まで3℃/分での溶出。結晶化中の流量は、0.0mL/分である。溶出中の流量は、0.80mL/分である。試料濃度は、1.0mg/mLである。(2)LSクロマトグラムの各LSデータポイントをシフトして、積分前に検出器間オフセットを補正する。(3)ベースラインを差し引いたLS及び濃度クロマトグラムが、工程(1)の溶出温度範囲全体について積分される。MW検出器定数を、100,000~140,000Mwの範囲内の既知のMWのHDPE試料、及びLSと濃度積分信号との面積比を使用して計算する。(4)ポリマーのMwを、統合光散乱検出器(90度の角度)と濃度検出器との比を使用し、MW検出器定数を使用することによって計算した。
【0071】
従来のGPC(Mw/Mn)
クロマトグラフィシステムは、Precision Detectors(現在はAgilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された内部IR5赤外検出器(IR5)を備えた、PolymerChar(スペイン、バレンシア)社製GPC-IR高温GPCクロマトグラフからなっていた。全ての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用する。オートサンプラオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用したカラムは、4本のAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの線形混床式カラムであった。使用されたクロマトグラフィ溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。採用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
【0072】
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質は、Agilent Technologies社から購入した。1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムで、ポリスチレン標準を調製した。ポリスチレン標準を、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解させた。ポリスチレン標準のピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)、
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(式1)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0073】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。NIST標準NBS 1475が52,000Mwで得られるように、カラム分解能及びバンドの広がり効果を補正するために、Aに対してわずかな調整(約0.415~0.44)を行った。
【0074】
GPCカラムセットの総プレートカウントは、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解された)Eicosaneを用いて実施した。プレートカウント(等式2)及び対称性(等式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従って測定した。
【0075】
【数1】

式中、RVは、ミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【0076】
【数2】

式中、RVは保持体積(ミリリットル単位)であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィシステムのプレートカウントは、24,000超になるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
【0077】
試料を、PolymerChar社製「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar社製高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタム付きのキャップが付いたバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪下で、160℃で2時間溶解した。
【0078】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar社製のGPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ収集点(i)におけるベースラインを減じたIRクロマトグラム、及び式1の点(i)についての狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン等価分子量を使用した、式4~6に従った、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用したGPC結果に基づいた。
【0079】
【数3】
【0080】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar社製GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークとRV整合することによって各試料のポンプ流量(流量(公称))を直線的に較正するために使用された。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量を、等式7のとおり計算する。流速マーカーピークの処理を、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の±2%以内となるようにする。
【0081】
流量(有効)=流量(公称)(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(式7)
【0082】
多重検出器オフセットを決定するための系統的アプローチは、Balke,Mourey,et.al.(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13、(1992))によって公開されたものと一致した様式で行われ、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MW及びIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
【0083】
絶対分子量データは、PolymerChar社製のGPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと合致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度を、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つから導き出した、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量を、以下に述べるポリエチレン標準物質のうちの1つ以上から導き出される、光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得た。概して、(GPCOne(商標)を使用して決定された)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する直鎖状標準物質から決定されるべきである。他のそれぞれのモーメントであるMn(Abs)及びMz(Abs)は、以下の式8~9に従って計算される。
【0084】
【数4】
【0085】
IR5 GPC組成更正
IR5検出器比の較正は、ホモポリマー(0SCB/1000個の合計C)からおよそ50SCB/1000個の合計C(式中、合計C=主鎖中の炭素+分岐中の炭素)までの範囲の既知の短鎖分岐(SCB)頻度(13C NMR法で測定される)の少なくとも10個のエチレン系ポリマー標準(ポリエチレンホモポリマー及びエチレン/オクテンコポリマー)を使用して実施された。各標準は、GPC-LALLSによって決定された36,000g/モル~126,000g/モルの重量平均分子量を有した。各標準は、GPCによって判定されたように、2.0~2.5の分子量分布(Mw/Mn)を有した。コポリマー標準のポリマー特性の例を表Aに示す。
【0086】
【表1】
【0087】
「IR5メチルチャネルセンサのベースラインを差し引いた面積応答」対「IR5測定チャネルセンサのベースラインを差し引いた面積応答」の「IR5面積比(又は「IR5メチルチャネル面積/IR5測定チャネル面積」)」(PolymerChar社によって供給される標準フィルタ及びフィルタホイール:Part Number IR5_FWM01はGPC-IR機器の一部として含まれる)を、「コポリマー」標準の各々について計算した。重量%コモノマー頻度対「IR5面積比」の線形適合を、以下の式10の形態で構築した。
重量%コモノマー=A+[A×(IR5メチルチャネル面積/IR5測定チャネル面積)](式10)
【0088】
各クロマトグラフスライスで判定された分子量によりコモノマー終端(メチル)と有意なスペクトルの重複がある場合、コモノマー重量%データの末端基補正は、終端メカニズムの知識を用いて行うことができる。
【0089】
横方向(CD)の引裂抵抗
実施例の多層フィルムの引裂抵抗が、ASTMのD1922-09に従って、横方向(CD)で測定される。ASTMのD1922-09規格は、引裂きが開始された後、指定された長さのプラスチックフィルムを通した横方向での引裂きを伝播させる平均力を判定する。
【0090】
ハイライト極限伸び、穿刺、及びフィルム保持力
極限伸び、穿刺、及びフィルム保持力試験は、Highlight Industries,Inc.(ミシガン州Wyoming)から市販されているHighlightストレッチフィルム試験スタンドを使用して実施される。Highlightストレッチフィルム試験スタンドは、極限伸び、穿刺、及びフィルム保持力試験などの特定の試験を提供する。試験は、ASTMD4649ー03に基づく。この機械は、2つのローラ間の速度差によるストレッチの原理の下で作動する。油圧ブレーキを有する第1のローラと、一定速度で引っ張る第2のローラとがある。速度は110m/分まで設定することができるが、以下の試験では、ライン速度は55m/分である。フィルムをストレッチする2つのローラの間に、200キログラムの容量を有するロードセルがある。更に、巻き戻し力及び巻き取り力を測定するために、2つの60キログラム容量ロードセルがある。それはまた、乱用試験を実施するための取り付け可能な先端を有する、2.5キログラム容量のロードセルを担持する金属ドラムも利用する。
【0091】
極限伸び試験は、フィルムの伸び及び破断時の力を決定するために使用される。
【0092】
フィルム保持力試験を使用して、フィルムを200%の伸びに供し、丸い先端で打ち抜いた後の2分間での力減衰を百分率で決定する。破損は、フィルム破損又は過度の力減衰として理解される。所望のストレッチレベルに達するように装置を設定し、フィルムが金属ドラムを囲むようにフィルムを通す。所定の伸長レベルに達すると、それは停止し、次いで、先端がドラム内のスロットから出て、ある時間量にわたって保持力を測定し、初期及び最終力データを最終保持力として送達する。
【0093】
穿孔試験は、円錐形端部先端によって貫通されたときのストレッチフィルムの力を決定するために使用される。破損はフィルムの破損として理解される。所望のストレッチレベルに達するように装置を設定し、フィルムが金属ドラムを囲むようにフィルムを通す。所定の伸長レベルに達すると、それは停止し、次いで、先端がドラムのスロットから出て、穿刺力を測定し、穿刺力データを送達する。
【実施例
【0094】
以下で論じられる実施例の多層フィルムには、以下の材料が含まれていた。
【0095】
エチレンープロピレンコポリマーの合成
開発されている樹脂(本明細書では「Poly.1」と呼ぶ)を以下のプロセス及び表に従って調製する。
【0096】
反応環境に導入する前に、全ての原材料(モノマー及びコモノマー)並びにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)を分子ふるいで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上は精製されない。反応器へのモノマー供給流を、機械的圧縮機によって、反応圧力よりも高い圧力に加圧する。溶媒及びコモノマー(存在する場合)の供給は、ポンプを介して反応圧力超まで加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒で、手動でバッチ希釈され、反応圧力超まで加圧される。全ての反応供給流は、質量流量計を用いて測定され、それぞれ独立してコンピュータにより自動化された弁制御システムによって制御される。反応器構成は、以下の表Bに特定されるような単一反応器動作である。
【0097】
反応器は、液体で満たされた非断熱等温循環ループ反応器、又は熱除去連続撹拌槽反応器(CSTR)からなる連続溶液重合反応器である。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー(存在する場合)、水素、及び触媒成分供給物の独立した制御が可能である。供給流が熱交換器を通過することで単一の液相を維持するため、反応器への追加の総供給流(溶媒、モノマー、コモノマー及び水素)を典型的には15~50℃で温度制御する。CSTRの場合、重合反応器への新鮮な供給物は全て、反応器の底部に注入される。循環ループ反応器の場合、重合反応器への追加の供給物の全ては、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入される。新鮮な供給物は、各注入器が、新鮮供給物全体の質量流量の半分を受容して制御される。触媒成分を、1つ又は複数の注入ノズルを通して重合反応器に注入して、成分を反応器の流れの中心に導入する。特定の値で反応器のモノマー変換を維持するため、触媒成分の供給をコンピュータ制御する。助触媒成分は、計算された特定のモル比に基づいて、主触媒成分に供給される。各反応器供給物の注入箇所の直後に、供給流を、静的混合要素を有する循環重合反応器の内容物と混合する。CSTRの場合、反応熱は冷却ジャケットによって部分的に除去される。冷却剤側の温度は、等温反応環境を特定の温度に維持する役割を果たす。循環ループ反応器の場合、内容物を、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に、特定の温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で、連続的に循環させる。反応器ループを回る循環は、ポンプによってもたらされる。
【0098】
反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加及びそれとの反応により流出物が非活性化される帯域に入る。この同じ反応器の出口の場所では、ポリマー安定化のために他の添加剤が添加される(オクタデシル3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、及びトリス(2,4-ジ-Tert-ブチル-フェニル)ホスファイトのような押出及び製作中の安定化に好適な典型的な酸化防止剤、並びに必要に応じてステアリン酸カルシウムのような酸捕捉剤)。
【0099】
触媒の不活性化及び添加剤の添加に続いて、反応器の流出物は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発系に入る。単離されたポリマー溶融物をペレット化して回収する。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。反応器の設定に応じて、溶媒及び未反応コモノマーは全く、精製系を通過した後、反応器に再循環されないか、又は溶媒及び未反応コモノマーの大部分が、精製系を通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒及びコモノマーを、プロセスからパージする。
【0100】
発生樹脂を生成するために使用された、表Bの値に対応する反応器流供給データフローは、図1で図式的に説明されている。データは、溶媒リサイクル系なしの反応器設定用に、かつ反応系を貫流フローダイアグラムとして処理できるように表示される。以下の表Aは、触媒成分を提供する。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
その他の材料
ELITE(商標)5230Gは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるが、0.916g/cmの密度及び4.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。ELITE(商標)5230Gは、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0104】
DOWLEX(商標)SC2108Gは、0.935g/cmの密度及び2.6g/10分のメルトインデックス(I)を有し、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。DOWLEX((商標)SC2108Gは、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0105】
ATTANE(商標)4607GCは、0.904g/cmの密度及び4.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている極低密度ポリエチレン(ULDPE)である。ATTANE(商標)4607GCは、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0106】
VERSIFY(商標)3401は、0.865g/cmの密度を有するプロピレンエラストマーである。VERSIFY(商標)3401は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。VERSIFY(商標)3401は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーではない。
【0107】
Poly.1は、14.1重量%のプロピレンコモノマー及び85.9重量%超のエチレンモノマーを含み、0.900g/cmの密度と、101.7J/gの融解熱と、6.0g/10分のメルトインデックス(I)と、2.16のMw/Mnと、7.9のI10/Iとを有する、エチレン-プロピレンコポリマーである。図2に見られるように、Poly.1は、改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおいて、40~100℃の間の温度範囲で、単一ピークを有する。Poly.1は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0108】
5層の多層フィルムを、Dr Collin共押出キャストフィルムライン上で、以下のパラメータ:目標フィルム厚:30μm、押出し機:5台の押出し機、層構成:A/B/C/B/D、層比/厚さ:15mm/15mm/40mm/15mm/15mm、フラットダイサイズ:300mm、ライン速度:14m/分、スループット速度:7kg/h、押出し機A、B、C、及びDそれぞれの溶融温度(℃):220℃、226℃、214℃、及び229℃、を用いて形成する。
【0109】
30ミクロンの厚さを有する5層キャストストレッチフィルムを形成し、本発明の実施例及び比較例として指定する。各例のフィルムは、A/B/C/D/Eの構造を有し、Aは第1の外層であり、Bは第1のコア層であり、Cは第2のコア層であり、Dは第3のコア層であり、Eは第2の外層である。表2は、形成された5層の多層フィルムの構造を報告している。各例に関して、第1の外層及び第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の15%である厚さを有し、第1のコア層及び第3のコア層は、フィルムの厚さの15%である厚さを有し、第2のコア層は、フィルムの厚さの40%である厚さを有する。
【0110】
【表4】
【0111】
横方向(CD)の引裂抵抗を、比較例及び本発明の実施例のそれぞれについて測定する。結果を、以下の表3に報告する。結果から分かるように、本発明の実施例は、比較例よりも改善されたCD引裂抵抗を示す。本発明の実施例は、ポリエチレンリサイクル流と適合性があり、100重量%のエチレン系ポリマーを含むが、比較例2はそうではない。
【0112】
【表5】
【0113】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あらゆる文献の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求されたあらゆる発明に関する先行技術であること、又はそれ単独で、若しくはあらゆる他の参考文献とのあらゆる組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0114】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正を全て網羅することが意図されている。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
【国際調査報告】