(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】エチレン系ポリマーを含む多層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20250130BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20250130BHJP
C08F 210/06 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/32 E
C08F210/02
C08F210/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543334
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2023061204
(87)【国際公開番号】W WO2023147320
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ニエト パロモ、ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】エル マラッセ サリオウイ、サルマ
(72)【発明者】
【氏名】テル ボルグ、フレーデリック
【テーマコード(参考)】
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK63C
4F100AK63D
4F100AK63E
4F100AK64C
4F100BA03
4F100BA05
4F100EH20
4F100EJ37
4F100GB23
4F100JA06C
4F100JA07C
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4J100DA04
4J100DA09
4J100DA13
4J100DA14
4J100FA10
(57)【要約】
エチレン系ポリマーを含む多層フィルムが提供される。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流と完全に適合し得る。多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、エチレン-プロピレンコポリマーを含む第1のコア層を含む。本発明の多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流と完全には適合しない既存の多層フィルム構造体と比較して、改善された、維持された、又は望ましい特性、例えば高い引裂き抵抗を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
第1の外層と、第2の外層と、1つ以上のコア層を含むコアと、を含み、前記コアが、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置され、前記コアが、前記コアの総ポリマー重量に基づいて100重量%のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、60~95重量%のエチレンモノマー及び5~40重量%のプロピレンコモノマーを含む、エチレン-プロピレンコポリマーを含み、前記エチレン-プロピレンコポリマーが、以下の特性:
0.865~0.920g/cm
3の範囲の密度と;
少なくとも0.5g/10分以上のメルトインデックス(I
2);及び
3.0~5.0の分子量分布(Mw/Mn)、を有する多層フィルム。
【請求項2】
前記エチレン-プロピレンコポリマーが、改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおいて、40~100℃の温度範囲の間で単一ピークを有することによって更に特徴付けられる、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記エチレン-プロピレンコポリマーが、5~20のメルトフロー比(I
10/I
2)を有することを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記エチレン-プロピレンコポリマーが、シングルサイトメタロセン触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記第1のコア層が、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記第1の外層及び前記第2の外層のそれぞれが、別個に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記コアが、第2のコア層及び第3のコア層を更に含み、前記第2のコア層が、前記第1の外層と前記第1のコア層との間に配置され、前記第3のコア層が、前記第1のコア層と前記第2の外層との間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記第2のコア層及び前記第3のコア層のそれぞれが、別々に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、機械方向に配向されたフィルムである、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フィルムがストレッチフードフィルムである、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層フィルムに関し、具体的には、エチレン系ポリマーを含む、多層フィルムに関する。
【0002】
序論
ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートを含む様々な材料を組み込む多層フィルムは、工業製品及び消費者製品において広く使用されている。工業製品及び消費者製品に使用されるそのようなフィルムは、例えば、パレット上でのフィルム包装プロセス中にフィルムが破損するのを回避するために、十分な引裂き抵抗を必要とすることが多い。層及び材料の組み合わせは、フィルムの良好な性能を可能にできるが、そのような多層フィルムは、互いにリサイクル適合しない異なる種類の材料に起因して、一緒にリサイクルすることが、不可能ではないとしても困難であり得る。持続可能かつリサイクル可能な材料の需要が上昇し続けているため、より容易にリサイクルされ、引裂き抵抗のような性能特性が従来のものと同等であるか改善されている多層フィルムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、従来のものと同等の又は望ましい引裂き抵抗を示し、リサイクル適合性エチレン系ポリマーを含む多層フィルムを提供することによって、前述の必要性の1つ以上を満たすものである。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクルストリームにおいて完全にリサイクル適合性であることができ、本発明の多層フィルムの引裂き抵抗性能は、リサイクル適合性ポリマーを含まない他の多層フィルムに匹敵するか、又はそれよりも良好であり得る。
【0004】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。一態様では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含み、上記のコア層が、第1の外層と第2の外層との間に配置され、コアが、コアの総ポリマー重量に基づいて、100重量%のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、60~95重量%のエチレンモノマーと5~40重量%のプロピレンコモノマーとを含むエチレン-プロピレンコポリマーを含み、エチレン-プロピレンコポリマーが、以下の特性:0.865~0.920g/cm3の範囲内の密度と、少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I2)と、3.0~5.0の分子量分布(Mw/Mn)と、を有する。
【0005】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】Poly.2(以下に説明する市販のエチレン-プロピレンコポリマー)のICCD溶出プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示された多層フィルムの態様は、以下でより詳細に説明される。多層フィルムは、多種多様な用途を有することができ、例えば、キャストストレッチフィルム、インフレーションフィルム、配向フィルム、ストレッチフードフィルムなどが挙げられる。しかしながら、本開示は、本開示が本明細書に記載の実施形態の例示的な実装であるため、以下に記載の実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語、及びコポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中に取り込まれてもよく、かつ/又はポリマー内に存在してもよい。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、又は重合中にその場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であり得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーの重合反応によって形成されたポリマーを意味する。「コポリマー」という用語は、ターポリマーを含む。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーなどのエチレンコポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み(例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも、エチレンモノマー及びプロピレンモノマーの共重合単位を含む)、任意選択的に、例えば酸、アクリレート、又は無水物官能基などの、追加のモノマー又は官能性材料若しくは改質剤を含むことができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載のコポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み、コポリマーは2つの構造的に異なるモノマーのみからなり得るが、それらは必ずしも2つの構造的に異なるモノマーのみからなるわけではなく、追加のモノマー又は官能性材料若しくは変性剤を含み得る。
【0010】
本明細書で使用する場合、「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」という用語は、過半量(50重量%超)のエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するであろう。これは、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマーを含む。特に明記しない限り、本明細書に開示されるエチレンコポリマー(例えば、本明細書に記載されるエチレン-プロピレンコポリマー)は、エチレン系ポリマーである。
【0011】
当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、エチレン系プラストマー(POP)及びエチレン系エラストマー(POE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、一般に、当該技術分野において周知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立つ場合がある。
【0012】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称されてもよいが、ポリマーが、過酸化物などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的に又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0013】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒、並びにモノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、又は不均質なポリエチレンコポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含み、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当該技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0014】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム又はチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又は置換モノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して製造され、典型的には、2.5超の分子量分布(「MWD」)を有する。
【0015】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm3超~最大約0.980g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。
【0016】
「ULDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、0.855~0.912g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。ULDPEとしては、ポリエチレン(エチレン系)プラストマー及びポリエチレン(エチレン系)エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「コア層」は、多層フィルムの非スキン層又は非外側層を指す。コア層は、多層フィルムの内層、すなわち、2つの外層どうしの間に位置付けられる層である。一実施形態では、コア層は、第1の外層及び第2の外層を含む3層フィルムの非外層である。本発明の多層フィルムのコア層の全体、すなわち、1つ又は複数が、フィルムの「コア」を構成する。
【0018】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、又は手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる構成成分、工程、又は手順を排除する。
【0019】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、機械方向及び/又は横方向に配向されている配向フィルムであることができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、インフレーションフィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、キャストフィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムはストレッチフードフィルムである。
【0020】
本明細書に開示される実施形態による多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは、エチレン-プロピレンコポリマーを含む第1のコア層を含む。
【0021】
多層フィルムの第1の外層及び第2の外層
多層フィルムの第1外層及び第2外層は、特に限定されない。第1の外層及び第2の外層は、同じポリマー組成又は異なるポリマー組成を有することができる。複数の実施形態では、第1の外層及び第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の10~30%である厚さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、例えばLLDPE、LDPE、MDPE、又はHDPE等のエチレン系ポリマーを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、LLDPE、LDPE、又はそれらのブレンドを含む。
【0023】
第1の外層及び/又は第2の外層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm3以下の密度を有することができる。0.930g/cm3以下の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm3~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cm3であり得る。0.870~0.930g/cm3の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。
【0024】
第1の外層及び/又は第2の外層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0025】
第1の外層及び/又は第2の外層に使用され得るLLDPEの市販の例としては、例えば、ELITE(商標)AT6410を含む、The Dow Chemical CompanyからELITE(商標)ATの名称で市販されているものが挙げられる。
【0026】
多層フィルムのコア
多層フィルムは、コアを含む。コアは、1つ以上のコア層を含み、エチレン-プロピレンコポリマー(以下に記載)を含む100重量%のエチレン系ポリマーを含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含む3層フィルムであり、コアは第1のコア層を含む。他の実施形態では、コアは、第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を備え、第1のコア層は、第2のコア層と第3のコア層との間に配置され、第2のコア層は、第1の外側層と第1のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第1のコア層と第2の外側層との間に配置される。コアが第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を含む実施形態では、多層フィルムは少なくとも5つの層(例えば、第1の外層/第2のコア層/第1のコア層/第3のコア層/第2の外層の構造を有する多層フィルム)を含む。
【0027】
コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、第1のコア層は、60~95重量%のエチレンモノマー及び5~40重量%のプロピレンコモノマーを含む、エチレン-プロピレンコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、以下の特性を有する:0.865~0.920g/cm3の範囲内の密度;少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I2);及び3.0~5.0の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)。一部の実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、シングルサイトメタロセン触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、改良型コモノマー組成分布(improved comonomer composition distribution、ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークを、40~100℃の温度範囲の間で有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーは、エチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて、60~95重量%のエチレンモノマー及び5~40重量%のプロピレンコモノマーを含む。エチレンモノマーの60重量%~95重量%、及びプロピレンコモノマーの5~40重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、エチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて、60~95重量%、60~90重量%、70~90重量%、又は80~90重量%のエチレンモノマーを含むことができ、5~40重量%、10~40重量%、10~30重量%、又は10~20重量%のプロピレンコモノマーを含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、0.865~0.920g/cm3の範囲内の密度を有する。0.865~0.920g/cm3の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、0.865~0.910g/cm3、0.865~0.905g/cm3、0.865~0.900g/cm3、又は0.865~0.895g/cm3の範囲内の密度を有し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、40~110J/gの範囲内の融解熱を有する。40~110J/gの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、40~110J/g、45~110J/g、50~110J/g、60~110J/g、70~110J/g、80~110J/g、90~110J/gの範囲内の融解熱を有することができ、融解熱は、以下に記載されるDSC試験方法に従って測定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。少なくとも0.5g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、少なくとも0.5g/10分、少なくとも0.6g/10分、少なくとも0.7g/10分、少なくとも0.8g/10分、若しくは少なくとも0.9g/10分のメルトインデックス(I2)を有することができ、又は0.5g/10分~500g/10分、0.5g/10分~200g/10分、0.5g/10分~100g/10分、0.5g/10分~50g/10分、0.5g/10分~10g/10分、若しくは0.5g/10分~2g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおける単一ピークを、40~100℃の温度範囲の間で有する。第1のエチレン-プロピレンコポリマーの改良型コモノマー組成分布(ICCD)プロファイルは、以下に記載される試験方法によって得ることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、3.0~5.0の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する。3.0~5.0の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、3.0~5.0、3.2~5.0、3.4~5.0、3.0~4.5、3.2~4.5、3.4~4.5、3.0~4.0、3.2~4.0、又は3.4~4.0の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。分子量分布(Mw/Mn)は、下記のGPC試験方法に従って測定することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、5~20のメルトフロー比(I10/I2)を有することを更に特徴とする。5~20の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、5~20、6~20、7~20、8~20、9~10、10~20、5~15、6~15、7~15、8~15、9~15、6~10、6~9、又は5~9のメルトフロー比(I10/I2)を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーは、2,1挿入に基づき逆挿入されたプロピレン単位の割合が、エチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて0.7重量%超である。0.7重量%超の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン-プロピレンコポリマーは、重量パーセントはエチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて、0.7重量%超、0.8重量%超、1.0重量%超、1.5重量%超、2.0重量%超、若しくは2.5重量%超、又は0.7~5.0重量%、0.7~4.5重量%、0.7~4.0重量%、0.7~3.5重量%、若しくは0.7~3.2重量%の範囲内の、2,1挿入に基づく逆挿入プロピレン単位の割合を有することができる。2,1挿入に基づく逆挿入プロピレン単位の割合は、下記の試験方法に従って測定することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて20~40重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含む。20~40重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて20~40重量%、20~35重量%、25~40重量%、又は25~35重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含むことができる。他の実施形態では、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて80~100重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含む。80~100重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて80~100重量%、80~95重量%、80~90重量%、又は90~100重量%のエチレン-プロピレンコポリマーを含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンコポリマーに加えて、第1のコア層は、第1のコア層の総重量に基づいて、60~80重量%のエチレン系ポリマー、例えば、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のコア層は、60~80重量%のLLDPEを含む。
【0038】
第1のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm3以下の密度を有することができる。0.930g/cm3以下の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm3~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cm3であり得る。0.870~0.930g/cm3の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0039】
第1のコア層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1のコア層に加えて、多層フィルムのコアは、第2のコア層及び第3のコア層を更に含み、第2のコア層は、第1の外層と第1のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第2の外層と第1のコア層との間に配置される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2のコア層及び第3のコア層は、第1のコア層と同じポリマー組成を有する。他の実施形態では、第2のコア層及び/又は第3のコア層は、第1のコア層とは異なるポリマー組成を有する。例えば、いくつかの実施形態では、第2のコア層及び/又は第3のコア層はまた、60~95重量%のエチレンモノマーと5~40重量%のプロピレンコモノマーとを含むエチレン-プロピレンコポリマーを含み、このエチレン-プロピレンコポリマーは、以下の特性を有する:0.865~0.920g/ccの範囲内の密度;少なくとも0.5g/10分のメルトインデックス(I2);及び3.0~5.0の分子量分布(Mw/Mn)。そのような実施形態では、第2のコア層及び/又は第3のコア層は、第1のコア層と同じポリマー組成を有することができ、第2のコア層及び/又は第3のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーは、第1のコア層のエチレン-プロピレンコポリマーの特性(上述)と同じ特性を有することができる。
【0042】
多層フィルムが第1のコア層、第2のコア層、第3のコア層を含む実施形態では、第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれは、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、又はこれらの組み合わせなどのエチレン系ポリマーを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれは、別個に、LLDPE、LDPE、又はそれらのブレンドを含む。第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれが別個にLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm3以下の密度を有することができる。0.930g/cm3以下の全ての個々の値及び部分範囲が、含まれ、本明細書に開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm3~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cm3であり得る。0.870~0.930g/cm3の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。
【0043】
第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれがLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.1g/10分~50g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を有することができる。0.1g/10分~50g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、LLDPEは、0.1g/10分~40g/10分、0.1g/10分~30g/10分、0.1g/10分~20g/10分、0.1g/10分~10g/10分、又は0.1g/10分~5g/10分の範囲内のメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0044】
いくつかの実施態様において、第1のコア層及び第2のコア層は、多層フィルムの総厚の5~30%、又は多層フィルムの総厚の10~30%の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2のコア層は、多層フィルムの総厚に基づいて、20%~70%の総厚を有する。いくつかの実施形態では、多層フィルムのコアは、多層フィルムの総厚に基づいて70~90%の厚さを有する。
【0045】
添加剤
前述の層のいずれかは更に、当業者に既知の1つ以上の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、粘着防止剤、帯電防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤及び発泡剤などを含むことができると理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層はそれぞれ、粘着防止剤を含む。
【0046】
多層フィルム
本明細書に開示の多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して製造することができる。例えば、多層フィルムは、共押出しによって生産することができる。共押出し多層フィルムの形成は当技術分野で知られており、本開示に適用可能である。多層フィルムを作製するための共押出しシステムは、共通のダイアセンブリに供給する少なくとも2つの押出機を使用する。押出機の数は、共押出フィルムを構成する異なる材料又はポリマーの数に依存する。例えば、5層の共押出には、最大で5つの押出機が必要になる場合があるが、2つ以上の層が同じ材料又はポリマーで作製されている場合は、使用する押出機は少なくなり得る。
【0047】
本発明の多層フィルムは、様々な実施形態では、いくつかの望ましい特性を有することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、多層フィルムの特定の構造は、コア中の特定のエチレン-プロピレンコポリマーの包含と共に、高い引裂き抵抗特性を有する多層フィルムをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、少なくとも1700g(又は少なくとも1900g、又は少なくとも2000g、又は少なくとも2100g、又は少なくとも2200g)、又は1700g~3000g、2000g~3000g、2100g~3000g、又は2200g~3000gの範囲の機械方向引裂き抵抗を示す。機械方向引裂き抵抗はまた、多層フィルムの厚さ(μm)あたりのグラム数単位で表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、少なくとも170g/μm(又は少なくとも190g/μm、又は少なくとも200g/μm、又は少なくとも210g/μm、又は少なくとも220g/μm)、又は170~300g/μm、200~300g/μm、210~300g/μm、又は220~300g/μmの範囲内の機械方向引裂き抵抗を示す。引裂き抵抗は、ASTMのD1922-09に従って測定することができる。
【0048】
同様に、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、少なくとも1400g(又は少なくとも1600g、又は少なくとも1800g、又は少なくとも1900g、又は少なくとも2000g、又は少なくとも2100g、又は少なくとも2200g)、又は1400g~3000g、2000g~3000g、2100g~3000g、又は2200g~3000gの範囲内の横方向引裂き抵抗を示す。横方向引裂き抵抗は、多層フィルムの厚さ(μm)あたりのグラム数単位で表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、140g/μm(又は少なくとも160g/μm、又は少なくとも180g/μm、又は少なくとも190g/μm、又は少なくとも200g/μm、又は少なくとも210g/μm、又は少なくとも220g/μm)、又は140~300g/μm、200~300g/μm、210~300g/μm、又は220~300g/μmの範囲内の横方向引裂き抵抗を示す。横方向引裂き抵抗は、ASTMのD1922-09に従って測定することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、15~150ミクロンの間、又は50~150ミクロンの間、又は75~125ミクロン、又は90~110ミクロンの厚さを有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、多層フィルムの全重量に基づいて、少なくとも90重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも95重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99.5重量%のエチレン系ポリマー、又は少なくとも99.9重量%のエチレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態における多層フィルムは、少なくとも90重量%のエチレン系ポリマーを含むため、それらは、ポリエチレンリサイクル流と適合し得る。
【0051】
ストレッチフードフィルム
一実施形態では、本発明の多層フィルムは、ストレッチフードフィルムである。ストレッチフードは、一端がシールされたフィルムのチューブであり、パレットに積載された積荷の上で引き伸ばされて、中身をパレットに固定する。フィルムを適切な長さに切断し、上部端をヒートシールし、そして4本の「指」に集める。これらの指は、フィルムの寸法が積荷の寸法よりわずかに大きくなるまでフィルムを水平(横)方向に伸ばし、次に伸したフィルムをパレットの上に引き下げ、動かしながら展開する。展開速度を変えることによって、垂直(機械)方向にある程度の引き伸ばしを得て、パレット上の荷物をよりよく保持することができる。パレットの底部で、指はフィルムを離し、フィルムは通常、パレットの底部の下で巻き付く。ストレッチフードフィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して製造することができる。
【0052】
物品
本発明の実施形態は、本明細書に記載の本発明の多層フィルムのいずれかを含む物品も提供する。そのような物品の例としては、ラップ、包装、可撓性包装、パウチ、及びサシェが挙げられ得る。本発明の物品は、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の技法を使用して、本明細書に開示される多層フィルムから形成することができる。
【0053】
試験方法
密度
密度は、ASTMのD792にしたがって測定し、グラム/cm3(g/cm3)で表す。
【0054】
メルトインデックス(I2及びI10)
メルトインデックス(I2)は、ASTMのD-1238にしたがって、190℃、2.16kgで測定される。メルトインデックス(I10)は、ASTMのD-1238にしたがって、190℃、10kgで測定される。メルトインデックスの値はg/10分を単位として報告され、これは10分当たりに溶出したグラム数に相当する。メルトフロー比は、I10/I2である。
【0055】
DSC法-融解熱
示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)は、半結晶性ポリマーの溶融及び結晶化を調べるために使用することができる一般的な技術である。DSC測定の一般的及び半結晶性ポリマーの研究へのDSCの適用は、標準的な教科書(例えば、E.A.Turi編、Thermal Characterization of Polymeric Materials、Academic Press、1981年)に説明されている。
【0056】
融解熱は、TA Instruments,Inc.からのDSCを使用して決定される。試験は、ASTM規格D3428を参照して行われる。較正は、2~3mgのインジウムを調製し、それをTzeroアルミニウムパンに入れることによって行われる。次いで、パンをDSC機器に装填し、以下の加熱プログラムサイクルに供する:1)試験チャンバーを180℃で平衡化する、2)180℃で1分間温度を保持する、3)10℃/分で130℃まで温度を下げる、4)130℃で3分間温度を保持する、及び5)10℃/分で180℃まで温度を上げる。完了したら、ステップ5で行った最後の加熱曲線を分析して、インジウム試料の融解温度を決定する。DSCは、融解温度が156.6℃の0.5℃公差内であれば、規格に準拠して機能していると見なされる。
【0057】
試料の試験のために、ポリマー試料を最初に190℃の温度で薄いフィルム状にプレスする。約4~5mgの試料が、計量され、DSCパン内に配置される。密閉された環境を確保するために受皿に蓋を圧着する。サンプルパンをDSCセルに入れ、180℃で平衡化する。この温度で試料を5分間保持する。次いで、試料は、10℃/分の速度で-90℃まで冷却され、その温度で5分間等温に保持される。続いて、試料を10℃/分の速度で150℃まで(完全な溶融を確実にするため)加熱するが、このステップを第2の加熱曲線と呼ぶ。得られたエンタルピー曲線を、ピーク融解温度、結晶化開始温度及び結晶化ピーク温度、並びに融解熱(溶融熱としても知られる)ΔHfについて分析する。融解熱(単位:ジュール/グラム)は、ベースラインに従って融解吸熱の線形積分を行うことによって第2の加熱曲線から測定される。
【0058】
改良型コモノマー組成分布(ICCD)
改善型コモノマー含有量分析法(iCCD)は、2015年に開発された(Cong and Parrott et al.,国際公開第2017/040127(A1)号)。iCCD試験を、IR-5検出器(PolymerChar社(スペイン)製)及び二角光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors社、現在はAgilent Technologies社製)を備えた結晶化溶出分画機器(Crystallization Elution Fractionation、CEF)(PolymerChar社(スペイン)製)を用いて実施した。検出器オーブン中のIR-5検出器の直前に、5cm又は10cm(長さ)×1/4インチ(内径)のステンレスに20~27ミクロンのガラス(MoSCi Corporation社(USA)製)を充填したガードカラムを設置した。オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenzene、ODCB、99%無水グレード又はテクニカルグレード)を使用した。EMD Chemicals社からシリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3)を入手した(先にODCB溶媒を乾燥させるために使用され得る)。乾燥シリカを3本の空のHT-GPCカラムに充填して、溶離液としてODCBを更に精製した。CEF機器に、N2パージ能力を備えたオートサンプラを装備している。使用前に、ODCBを乾燥窒素(N2)を注入して1時間かき混ぜる。試料の調製は、160℃で1時間、振とうしながら、オートサンプラを用いて(特に指定のない限り)4mg/mLで行った。注入量は300μLであった。iCCDの温度プロファイルは、105℃から30℃まで3℃/分での結晶化、30℃で2分間の熱平衡(可溶性画分溶出時間を2分に設定することを含む)、30℃から140℃まで3℃/分での溶出であった。結晶化中の流量は、0.0mL/分である。溶出中の流量は0.50mL/分である。データは、1データポイント/秒で収集する。
【0059】
iCCDカラムを、15cm(長さ)×1/4インチ(内径)のステンレス管中の金でコーティングされたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS、Nippon Chemical Industrial Co.製)で充填した。カラム充填及び調整は、参考文献(Cong,R.;Parrott,A.;Hollis,C.;Cheatham,M.国際公開第2017040127A1号)にしたがってスラリー法で行った。TCBスラリー充填を用いた最終圧力は、150バールであった。
【0060】
カラム温度較正を、ODCB中の参照物質の線状ホモポリマーポリエチレン(コモノマー含有量がゼロ、メルトインデックス(I2)が1.0、多分散度Mw/Mnが従来のゲル浸透クロマトグラフィで約2.6、1.0mg/mL)と、エイコサン(2mg/mL)との混合物を使用して実行した。iCCD温度較正は、以下の4つの工程からなった:(1)エイコサンの測定されたピーク溶出温度間の温度オフセットから30.00℃を引いたものとして定義される遅延体積を計算する工程;(2)iCCD生温度データから、溶出温度の温度オフセットを差し引く工程。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい;(3)線状ホモポリマーポリエチレン基準が101.0℃でピーク温度を有し、かつエイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたって溶出温度を変換する線形較正線を作成する工程;(4)30℃の等温で測定される可溶性画分について、30.0℃未満の溶出温度を、参照文献(Cerk及びCongら、米国特許第9,688,795号)に従って3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって直線的に外挿する工程。
【0061】
コモノマー含有量対iCCDの溶出温度は、12個の参照物質(エチレンホモポリマー及びシングルサイトメタロセン触媒で作製されたエチレン-オクテンランダムコポリマー、35,000~128,000の範囲のエチレン等価重量平均分子量を有する)を使用することで構築した。これらの参照物質の全てを、4mg/mLで以前に指定したものと同じ手法で分析した。報告された溶出ピーク温度は、0.978のR2でiCCDの溶出温度に対するオクテンのモル%の図に従った。
【0062】
【0063】
ポリマーの分子量及びポリマー画分の分子量は、フォームファクタを1及び全てのビリアル係数をゼロと仮定することによって、Rayleigh-Gans-Debys近似(Striegel and Yau,「Modern Size Exclusion Liquid Chromatogram」,Page 242 and Page 263)に従って、LS検出器(90度の角度)及び濃度検出器(IR-5)から直接決定した。23.0~120℃の範囲の溶出温度(温度較正は上記で指定)で、全てのクロマトグラムを積分するために積分ウィンドウを設定する。
【0064】
iCCDからの分子量(Mw)の計算には、次の工程が含まれる:(1)検出器間オフセットを測定する。オフセットは、濃度検出器に対するLS検出器間の幾何学的体積オフセットとして定義される。これは、濃度検出器とLSクロマトグラムとの間のポリマーピークの溶出量(mL)の差として計算される。これが、溶出熱速度及び溶出流量を使用することによって、温度オフセットに変換される。線状高密度ポリエチレン(コモノマー含有量がゼロ、メルトインデックス(I2)が1.0、多分散度Mw/Mnが従来のゲル浸透クロマトグラフィで約2.6)を使用する。以下のパラメータを除いて、上記の通常のiCCD法と同じ実験条件を使用する:140℃から137℃まで10℃/分での結晶化、可溶性画分溶出時間として137℃で1分間の熱平衡、7分間の可溶性画分(soluble fraction、SF)時間、137℃から142℃まで3℃/分での溶出。結晶化中の流量は、0.0mL/分である。溶出中の流量は、0.80mL/分である。試料濃度は、1.0mg/mLである。(2)LSクロマトグラムの各LSデータポイントをシフトして、積分前に検出器間オフセットを補正する。(3)ベースラインを差し引いたLS及び濃度クロマトグラムが、工程(1)の溶出温度範囲全体について積分される。MW検出器定数を、100,000~140,000Mwの範囲内の既知のMWのHDPE試料、及びLSと濃度積分信号との面積比を使用して計算する。(4)ポリマーのMwを、統合光散乱検出器(90度の角度)と濃度検出器との比を使用し、MW検出器定数を使用することによって計算した。
【0065】
従来のGPC(Mw/Mn)
従来のGPCは、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)機器(PolymerChar社(スペイン)製)によって得られる。IR5検出器(「測定チャネル」)は、濃度検出器として使用する。GPCOneソフトウェア(PolymerChar社(スペイン)製)を使用して、ポリマーの重量平均(Mw)、及び数平均(Mn)分子量を計算し、分子量分布(Mw/Mn)を決定する。方法は、150℃のシステム温度で動作する、4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラム(Agilent Technologies社製、カラム寸法100×7.6mm)を使用する。試料は、200百万分率の酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン溶媒中で、160℃で3時間、オートサンプラ(PolymerChar社(スペイン)製)による穏やかな振とうで、2mg/mLの濃度で調製される。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、200マイクロリットルである。GPCOneソフトウェアを使用して、プレート数を計算する。クロマトグラフィシステムには、最低22,000枚のプレートが必要である。
【0066】
GPCカラムセットは、少なくとも20つの狭分子量分布ポリスチレン標準物質を流すことによって較正される。較正では、3つの10ミクロンPLゲル混合Bカラムを備えたシステムへの三次フィット、又は4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラムを備えたシステムへの五次フィットが使用される。標準物質の分子量(molecular weight、MW)は、580g/モル~8,400,000g/モルの範囲であり、標準物質は、6つの「カクテル」混合物に含まれている。各標準物質混合物には、個々の分子量間に概ね10個の分離が存在する。標準物質混合物は、Agilent Technologies社から購入される。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/モル以上の分子量については「50mLの溶媒中0.025g」で調製され、1,000,000g/モル未満の分子量については「50mLの溶媒中0.05g」で調製される。ポリスチレン標準物を、80℃で穏やかに撹拌しながら、30分間溶解させる。狭い標準物質混合物を、最初に、かつ最高分子量成分を減少させる順序で実行して、分解を最小限に抑える。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式(1)(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Letters,6,621(1968)に記載のとおり)を使用してポリエチレン分子量に変換する:
【0067】
【数1】
式中、MWは、示されるようにポリエチレン(PE)又はポリスチレン(PS)の分子量であり、Bは、1.0に等しい。A値が標準基準材料(Standard Reference Materials、SRM)1475aについて52,000MWPEを生じるように、A値は約0.38~約0.44の範囲内であり得ることが、当業者には既知である。分子量分布(MWD又はMw/Mn)、及び関連する統計値などの分子量値を得るためのこのポリエチレン較正方法の使用は、本明細書においてWilliams及びWardの修正された方法として定義される。数平均分子量、重量平均分子量、及びz平均分子量は、以下の式から計算される:
【数2】
式中、M
n,cc、M
w,cc、及びM
z,cc(単位:g/モル)は、それぞれ従来の較正から得られる数平均分子量、重量平均分子量、及びz平均分子量である。w
iは、保持容量V
iで溶出されるポリエチレン分子の重量分率である。M
cc,iは、従来の較正(式(1)参照)を使用して得られる保持容量V
iで溶出されるポリエチレン分子の分子量(g/モル)である。
【0068】
クロマトグラフのピークは、クロマトグラムが20%のピーク高さで表示される場合に、ベースラインからの有意な目に見える逸脱を示す面積を含むように設定する必要がある。ベースラインは、100未満のポリエチレン換算分子量に統合されるべきではなく、調製された試料及びクロマトグラフ移動相からの酸化防止剤の不一致の説明には注意が必要である。
【0069】
デカン流量マーカーの使用が、IR5クロマトグラムに示されている。ベースラインの開始と終了の間のベースライン(応答)Y値の差は、クロマトグラムの積分ピーク高さの3%を超えてはならない。そのような場合、クロマトグラフ試料は、試料と移動相の酸化防止剤とを適切に一致させて処理する必要がある。
【0070】
w(105g/モル超の重量分率)は、式(5)にしたがってGPCOneソフトウェアから得られるMWD曲線(wi対log Mcc,i)によって計算される。
【0071】
【0072】
コモノマー含量及び2,1挿入に基づく逆挿入プロピレン単位の割合
コモノマー含量は、欧州特許第3390056B1号に記載されているRandallの計算法にしたがって、13C NMRによって測定した。本明細書に開示される実施形態によるエチレン-プロピレンコポリマーは、エチレン-プロピレンコポリマーの総重量に基づいて0.7重量%超の、2,1挿入に基づき逆挿入されたプロピレン単位の割合を有することができる。プロピレンポリマー中の全プロピレン挿入に対する2,1挿入の割合は、欧州特許第3390056B1号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている計算及び試験方法にしたがって計算した。欧州特許第3390056B1号に記載されているように、プロピレンポリマー中の全プロピレン挿入に対する2,1挿入の割合は、雑誌Polymer,Vol.30(1989),p.1350の記事を参考にして、下記式により算出した。2、1挿入に基づく逆挿入された単位の割合(%)=
【0073】
【0074】
試料を、10mmのNMRチューブ中の0.2gの試料に、クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中の0.025Mである約2.6gの「テトラクロロエタン/テトラクロロエタン-d2オルトジクロロベンゼンの75/25混合物」を添加することによって調製した。チューブおよびその含有物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化した。データは、多核高温CryoProbeを装備したBruker 600MHz分光計を使用して収集した。データは、1データファイル当たり2560回のスキャン、7.8秒のパルス反復遅延を使用して、120℃の試料温度で取得した。35,700Hzの分光幅及び65Kデータポイントのファイルサイズを使用して、取得を行った。
【0075】
横方向(CD)及び機械方向(MD)の引裂き抵抗
実施例の多層フィルムの引裂き抵抗が、ASTMのD1922-09にしたがって、機械方向(MD)及び横方向(CD)の両方で測定される。ASTMのD1922-09規格は、引裂きが開始された後、指定された長さのプラスチックフィルムを通した機械方向及び横方向での引裂きを伝播させる平均力を判定する。
【実施例】
【0076】
以下で論じられる実施例の多層フィルムには、以下の材料が含まれていた。
【0077】
ELITE(商標)6410は、直鎖状低密度ポリエチレンであるが、0.912g/cm3の密度及び0.85g/10分のメルトインデックス(I2)を有し、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。ELITE(商標)6410は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0078】
XZ89507.00は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている直鎖状低密度ポリエチレンである。XZ89507.00は、0.902g/cm3の密度及び0.85g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。XZ89507.00は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0079】
XUS 39003.00(本明細書では「Poly.1」)は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されているエチレンープロピレンコポリマーである。Poly.1は、27.1重量%のプロピレンコモノマー及び72.9重量%のエチレンモノマーを含み、0.867g/cm3の密度、0.90g/10分のメルトインデックス(I2)、10.82のI10/I2、50.24J/gの融解熱、及び3.98のMw/Mnを有する。Poly.1は、Poly.1の総重量に基づいて0.8重量%の、2,1挿入に基づき逆挿入されたプロピレン単位の割合を有する。Poly.1は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0080】
XUS 39005.00(本明細書では「Poly.2」とも呼ぶ)は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されているエチレンープロピレンコポリマーである。Poly.2は、17.7重量%のプロピレンコモノマー及び82.3重量%のエチレンモノマーを含み、0.893g/cm
3の密度、1.0g/10分のメルトインデックス(I
2)、17.50のI
10/I
2、90.73J/gの融解熱、及び3.99のMw/Mnを有する。
図1に見られるように、Poly.2は、改良型コモノマー組成分布(ICCD)溶出プロファイルにおいて、40~100℃の温度範囲の間で、単一ピークを有する。Poly.2は、Poly.2の総重量に基づいて3.0重量%の、2,1挿入に基づく逆挿入されたプロピレン単位の割合を有する。Poly.2は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0081】
DOWLEX(商標)GM8090は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている直鎖状低密度ポリエチレンである。DOWLEX(商標)GM8090は、0.916g/cm3の密度及び1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。DOWLEX(商標)GM8090は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0082】
DOWLEX(商標)150Eは、Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている低密度ポリエチレンである。LDPE 150Eは、0.921g/cm3の密度及び0.25g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。LDPE 150Eは、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0083】
VERSIFY(商標)2300は、0.867g/cm3の密度を有するプロピレンエラストマーである。VERSIFY(商標)2300は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。VERSIFY(商標)2300は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーではない。
【0084】
AFFINITY(商標)PF1140は、0.897g/cm3の密度及び1.6g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、エチレン-オクテンポリエチレンプラストマーである。AFFINITY(商標)PF1140は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。AFFINITY(商標)PF1140は、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0085】
AFFINITY(商標)EG 8100Gは、0.870g/cm3の密度及び1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、エチレン-オクテンポリエチレンプラストマーである。AFFINITY(商標)EG 8100Gは、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から市販されている。AFFINITY(商標)EG 8100Gは、その用語が本明細書で定義されるようなエチレン系ポリマーである。
【0086】
多層フィルムは、上記の材料を用いて形成される。多層フィルムは、Collin共押出しインフレーションフィルムライン上で、多層フィルムを押出すことにより、3.5のブローアップ比(Blow-up Ratio、BUR)、及び100μmの総厚で生産される。Collin共押出しインフレーションフィルムラインは、Collin Lab&Pilot Solutions GmbHによって生産される。Collin共押出インフレーションフィルムラインは、表2及び表3に記載の多層フィルムを調製するために、以下の表1に示すように構成されている。表2は、形成された3層多層フィルムの構造を報告する。表3は、20/15/30/15/20ミクロン層の構造で形成された5層の多層フィルムの構造を報告する。表4は、20/20/20/20/20ミクロン層の構造で形成された5層の多層フィルムの構造を報告する。本発明の実施例及び比較例は、100ミクロン(μ)の厚さを有する。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
機械方向(MD)横方向(CD)の引裂き抵抗を、比較例及び本発明の実施例のそれぞれについて測定する。結果を、以下の表5に報告する。結果から分かるように、本発明の実施例は、比較例に匹敵するか又は比較例よりも改善されたCD引裂き抵抗及びMD抵抗を示す。本発明の実施例は、ポリエチレンリサイクルストリームに望ましい全てのエチレン系ポリマーを含むが、比較例1~3は含まない。比較例4及び5は、コア中のエチレン-プロピレンコポリマーとは対照的に、コア中にエチレン-オクテンコポリマーを含み、本発明の実施例と比較して劣った引裂強度を示す。本発明の実施例は、これらの比較例と比較して、予想外に優れた引裂強度特性を示す。
【0092】
【0093】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あらゆる文献の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求されたあらゆる発明に関する先行技術であること、又はそれ単独で、若しくはあらゆる他の参考文献とのあらゆる組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0094】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正を全て網羅することが意図されている。
【国際調査報告】