(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】圧縮機及び冷却機器
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20250130BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20250130BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F04B39/10 L
F04B39/00 B
F04B39/12 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544529
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2022095996
(87)【国際公開番号】W WO2023155331
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202210155326.6
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518056542
【氏名又は名称】安徽美芝制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI MEIZHI COMPRESSOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.418 Caihong Road,Hefei High and New Technical Development District,Hefei,Anhui 230031,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】黄剛
(72)【発明者】
【氏名】張洋洋
(72)【発明者】
【氏名】汪坤
(72)【発明者】
【氏名】晏子涵
(72)【発明者】
【氏名】馬涛
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AB03
3H003AC03
3H003CB02
3H003CC06
3H003CD03
3H003CD07
(57)【要約】
本願は、圧縮機及び冷却機器を開示し、圧縮機は、シリンダーボディと、ピストンコンポーネントと、を含み、シリンダーボディのシリンダーカバーに第1の吸気孔が設置され、ピストンは、可動ストロークにおいてシリンダーボディのシリンダーカバーに近い上死点と、シリンダーボディのシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、上死点と下死点との間の距離はSであり、シリンダーボディ又はピストンに第2の吸気孔が設置され、第2の吸気孔は、ピストンが設定位置まで動いたときに作動室と連通するように設置され、設定位置では、ピストンと上死点との距離はL1であり、且つL1>0.5Sである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーボディであって、前記シリンダーボディのシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔が設置されるシリンダーボディと、
ピストンコンポーネントであって、前記シリンダーボディ内に可動に設置されたピストンを含み、前記ピストンと前記シリンダーボディの底部との間に作動室が形成され、前記ピストンは、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディのシリンダーカバーに近い上死点と、前記シリンダーボディのシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであるピストンコンポーネントと、を含み、
前記シリンダーボディ又は前記ピストンには、第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔が設置され、前記第2の吸気孔は、前記ピストンが設定位置まで動いたときに前記作動室と連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストンと前記上死点との距離はL1であり、且つL1>0.5Sである、圧縮機。
【請求項2】
前記シリンダーボディの側壁に第2の吸気孔が貫設され、
前記第2の吸気孔と前記上死点との距離はL2であり、且つL2>0.5Sである、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記ピストンが前記上死点に位置するとき、前記ピストンの側壁は、前記第2の吸気孔を遮蔽して密封する、請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第2の吸気孔は丸孔である、請求項2に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記第2の吸気孔の孔径はD1であり、D1≦6mmである、請求項2に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記圧縮機は、前記第1の冷却流路と前記第1の吸気孔とを連通するための第1の吸気管と、前記第2の冷却流路と前記第2の吸気孔とを連通するための第2の吸気管と、をさらに含む、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記第2の吸気管の内径はd1であり、前記第2の吸気管の外径はd2であり、0.3mm≦d1≦6mmであり、0.4mm≦d2≦12.5mmである、請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の圧縮機を含む、冷却機器。
【請求項9】
前記冷却機器は冷蔵庫である、請求項8に記載の冷却機器。
【請求項10】
前記第1の吸気孔の給気圧はP1であり、前記第2の吸気孔の給気圧はP2であり、1<P2/P1≦6である、請求項9に記載の冷却機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年2月18日に出願された、出願番号202210155326.6の中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、圧縮機の技術分野に関し、特に圧縮機及び冷却機器に関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮機は冷却システムの最もコアな部材とエネルギー消費の大きい部材として、その冷却性能とエネルギー効率レベルに対する要求もより高い。家庭用冷蔵庫には一般的に冷凍室と冷蔵室があるが、冷凍室と冷蔵室の降温を実現する過程では、対応する冷媒の蒸発温度が異なり、且つ対応する冷媒の圧力も異なる。
【0004】
従来の圧縮機は、直列の形式で1本の吸気管の管路を通じて冷凍と冷蔵の冷却機能を実現することにより、冷蔵庫のCOP(エネルギー効率比)を低くし、良いエネルギー効率比を得るために、従来の単一吸排気圧縮ポンプ本体の機構基礎とは異なり、新型の単シリンダー二重独立吸気のポンプ本体の構造は、往復式圧縮機の全体性能を大幅に向上させる能力を有し、圧縮機の作動中、その冷却量とエネルギー効率比COPを向上させるために、それに対応して第2吸気孔を増設したが、圧縮機のシリンダーの作動中、冷凍室と冷蔵室に対応する冷却需要の違いにより、冷凍室と冷蔵室に必要な冷媒需要はいずれも異なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の主な目的は、圧縮機及び冷却機器を提供することであり、二重吸気を実現しつつ、主吸気量及びガス補給量を合理的に配分することができる圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本願は、圧縮機を提供し、前記圧縮機は、シリンダーボディであって、前記シリンダーボディのシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔が設置されるシリンダーボディと、ピストンコンポーネントであって、前記シリンダーボディ内に可動に設置されたピストンを含み、前記ピストンと前記シリンダーボディの底部との間に作動室が形成され、前記ピストンは、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディのシリンダーカバーに位置する上死点と、前記シリンダーボディのシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであるピストンコンポーネントと、を含み、前記シリンダーボディ又は前記ピストンには、第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔が設置され、前記第2の吸気孔は、前記ピストンが設定位置まで動いたときに前記作動室と連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストンと前記上死点との距離はL1であり、且つL1>0.5Sである。
【0007】
一実施例では、前記シリンダーボディの側壁に第2の吸気孔が貫設され、前記第2の吸気孔と前記上死点との距離はL2であり、且つL2>0.5Sである。
【0008】
一実施例では、前記ピストンが前記上死点に位置するとき、前記ピストンの側壁は、前記第2の吸気孔を遮蔽して密封する。
【0009】
一実施例では、前記第2の吸気孔は丸孔である。
【0010】
一実施例では、前記第2の吸気孔の孔径はD1であり、D1≦6mmである。
【0011】
一実施例では、前記圧縮機は、前記第1の冷却流路と前記第1の吸気孔とを連通するための第1の吸気管と、前記第2の冷却流路と前記第2の吸気孔とを連通するための第2の吸気管と、をさらに含む。
【0012】
一実施例では、前記第2の吸気管の内径はd1であり、前記第2の吸気管の外径はd2であり、0.3mm≦d1≦6mmであり、0.4mm≦d2≦12.5mmである。
【0013】
本願は、冷却機器をさらに提供し、前記冷却機器は上記の圧縮機を含み、前記圧縮機は、シリンダーボディであって、前記シリンダーボディのシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔が設置されるシリンダーボディと、ピストンコンポーネントであって、前記シリンダーボディ内に可動に設置されたピストンを含み、前記ピストンと前記シリンダーボディの底部との間に作動室が形成され、前記ピストンは、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディのシリンダーカバーに近い上死点と、前記シリンダーボディのシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであるピストンコンポーネントと、を含み、前記シリンダーボディ又は前記ピストンには、第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔が設置され、前記第2の吸気孔は、前記ピストンが設定位置まで動いたときに前記作動室と連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストンと前記上死点との距離はL1であり、且つL1>0.5Sである。
【0014】
一実施例では、前記冷却機器は冷蔵庫である。
【0015】
一実施例では、前記第1の吸気孔の給気圧はP1であり、前記第2の吸気孔の給気圧はP2であり、1<P2/P1≦6である。
【発明の効果】
【0016】
本願にて提供される技術的解決手段では、圧縮機は、シリンダーボディと、ピストンコンポーネントと、を含み、前記シリンダーボディのシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔が設置され、前記ピストンコンポーネントは、前記シリンダーボディ内に可動に設置されたピストンを含み、前記ピストンと前記シリンダーボディの底部との間に作動室が形成され、前記ピストンは、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディのシリンダーカバーに近い上死点と、前記シリンダーボディのシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離はSであり、前記シリンダーボディ又は前記ピストンに第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔が設置されることにより、前記第2の吸気孔は、前記ピストンが設定位置まで動いたときに前記作動室と連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストンと前記上死点との距離はL1であり、且つL1>0.5Sである。前記第1の冷却流路は冷蔵庫の冷凍室に対応しており、冷凍室に必要な冷却量が大きいため、必要な冷媒量が多く、作動過程において、消費される冷媒の圧力も多い。一方、前記第2の冷却流路は冷蔵庫の冷蔵室に対応しており、冷蔵室に必要な冷却量が小さいため、消費される冷媒の圧力も少ない。このように、前記第1の吸気孔内に還流する圧力は、前記第2の吸気孔の圧力よりも遥かに小さいが、第1の冷却流路の冷媒量が大きい。これにより、前記圧縮機の作動時に、前記ピストンによってまず吸気の最初の半分強の吸気ストロークでは主に第1の吸気孔を開いて主吸気を行い、冷凍室に対応する冷却流路における大きな冷媒量を吸入することができ、後ろの半分弱の吸気ストロークでは、前記第2の吸気孔は前記作動室と連通し、第1の吸気孔が閉じ、前記第2の吸気孔が高圧冷媒ガスの補給を開始し、且つ圧縮段階の最初の半分弱のストロークでガス補給を続け、最後に圧縮の後ろの半分強のストロークでは、前記第2の吸気孔が閉じ、前記ピストンが前記作動室内の冷媒を圧縮し、圧縮機の冷却量及びエネルギー効率比を効果的に向上させるだけでなく、2つの冷却流路における異なる圧力の冷媒ガスを合理的に配分して前記圧縮機に還流させることができる。これにより、二重吸気を実現しつつ主吸気量とガス補給量を合理的に配分することができる圧縮機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある添付図面を簡単に紹介するが、以下の説明にある添付図面は本願の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては創造的な労働を支払うことなく、これらの添付図面に示される構造に基づいて他の添付図面を得ることができることは明らかである。
【
図1】本願にて提供される圧縮機の一実施例の内部構造概略図である。
【
図2】本願にて提供される圧縮機の一実施例の概略断面図である。
【0018】
本願の目的の実現、機能的特徴及び利点は、実施例と関連して、添付図面を参照してさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本願の実施例における図面を参照して本願の実施例における技術的解決手段について明確かつ完全に説明するが、説明された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で取得した他の実施例は全て本願の保護範囲に属する。
【0020】
なお、本願の実施例において方向性表示(例えば、上、下、左、右、前、後…)に言及する場合、当該方向性表示は、ある特定の姿勢(図に示されるように)における各部材間の相対的な位置関係、動き状況などを説明するためにのみ用いられ、当該特定の姿勢が変化すると、当該方向性表示もそれに応じて変化する。
【0021】
また、本願の実施例に「第1の」、「第2の」などに関する記述がある場合、当該「第1の」、「第2の」などの記述は、説明の目的のためにのみ用いられるものであり、その相対的重要性を示すか又は暗示し、又は示された技術的特徴の数を暗示するものとは理解されない。これにより、「第1の」及び「第2の」として定義される特徴には、少なくとも1つの当該特徴が明示的又は暗黙的に含まれる場合がある。また、本明細書全体を通じて「及び/又は」の意味は、3つの並列したスキームを含み、「A及び/又はB」を例にして、Aスキーム、又はBスキーム、又はAとBの両方を満たすスキームを含む。また、各実施例間の技術的解決手段は相互に組み合わせてもよいが、当業者が実現できることを基礎としなければならず、技術的解決手段の組み合わせに矛盾が生じ、又は実現できない場合には、このような技術的解決手段の組み合わせは存在せず、本願の要求する保護範囲内にもないと考えるべきである。
【0022】
圧縮機は冷却システムの最もコアな部材とエネルギー消費の大きい部材として、その冷却性能とエネルギー効率レベルに対する要求もより高い。家庭用冷蔵庫には一般的に冷凍室と冷蔵室があるが、冷凍室と冷蔵室の降温を実現する過程では、対応する冷媒の蒸発温度が異なり、且つ対応する冷媒の圧力も異なる。従来の圧縮機は、直列の形式で1本の吸気管の管路を通じて冷凍と冷蔵の冷却機能を実現することにより、冷蔵庫のCOP(エネルギー効率比)を低くし、良いエネルギー効率比を得るために、従来の単一吸排気圧縮ポンプ本体の機構とは異なり、新型の単シリンダー二重独立吸気のポンプ本体の構造は、往復式圧縮機の全体性能を大幅に向上させる能力を有し、圧縮機の作動中、その冷却量とエネルギー効率比COPを向上させるために、それに対応して第2吸気孔を増設したが、圧縮機のシリンダーの作動中、冷凍室と冷蔵室に対応する冷却需要の違いにより、冷凍室と冷蔵室に必要な冷媒需要はいずれも異なっている。
【0023】
上記問題を解決するために、本願は、圧縮機100を提供し、
図1~
図3は、本願にて提供される圧縮機100の具体的な実施例である。
【0024】
前記圧縮機100を冷蔵庫の冷却システムに用いることを例として説明すると、冷蔵庫は、冷却過程において、高温高圧冷媒の冷媒ガスを圧縮機から対応する冷凍室及び冷蔵室の蒸発器に輸送して蒸発吸熱を行い、冷凍室及び冷蔵室の冷却を実現するが、冷凍室と冷蔵室の設定温度が一致せず、両者の蒸発温度が異なり、冷媒が冷凍室と冷蔵室で熱交換した後の温度及び圧力が異なり、しかも従来技術では、圧縮機が1つの流路を通じて冷凍及び冷蔵の冷却機能を実現し、このように冷凍室又は冷蔵室のいずれの冷却が必要な場合でも、熱交換システム全体が作動に関与する必要があり、エネルギー消費量が大きく、エネルギー効率比が低い。
【0025】
図1~
図3を参照すると、前記圧縮機100は、シリンダーボディ1とピストンコンポーネント2とを含み、前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔11が設置され、前記ピストンコンポーネント2は、前記シリンダーボディ1内に可動に設置されたピストン21を含み、前記ピストン21と前記シリンダーボディ1の底部との間に作動室1aが形成され、前記ピストン21は、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーに位置する上死点と、前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであり、ここで、前記シリンダーボディ1又は前記ピストン21には、第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔12が設置され、前記第2の吸気孔12は、前記ピストン21が設定位置まで動いたときに前記作動室1aと連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストン21と前記上死点との距離は、L1であり、且つL1>0.5Sである。
【0026】
本願にて提供される技術的解決手段では、圧縮機100は、シリンダーボディ1と、ピストンコンポーネント2と、を含み、前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーには、第1の冷却流路と連通するための第1の吸気孔11が設置され、前記ピストンコンポーネント2は、前記シリンダーボディ1内に可動に設置されたピストン21を含み、前記ピストン21は、可動ストロークにおいて前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーに近い上死点と、前記シリンダーボディ1のシリンダーカバーから遠い下死点と、を有し、前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであり、前記シリンダーボディ1又は前記ピストン21には、第2の冷却流路と連通するように設置されるための第2の吸気孔12が設置され、前記第2の吸気孔12は、前記ピストン21が設定位置まで動いたときに前記作動室1aと連通するように設置され、前記設定位置では、前記ピストン21と前記上死点との距離は、L1であり、且つL1>0.5Sである。前記第1の冷却流路は冷蔵庫の冷凍室に対応しており、冷凍室に必要な冷却量が大きいため、必要な冷媒量が多く、作動過程において、消費される冷媒の圧力も多く、一方、前記第2の冷却流路は冷蔵庫の冷蔵室に対応しており、冷蔵室に必要な冷却量が小さいため、消費される冷媒の圧力も少なく、このように前記第1の吸気孔11内に還流する圧力は、前記第2の吸気孔12の圧力よりも遥かに小さいが、第1の冷却流路の冷媒量が大きく、このように前記圧縮機100の作動時に、前記ピストン21によってまず吸気の最初の半分強の吸気ストロークでは主に第1の吸気孔11を開いて主吸気を行い、冷凍室に対応する冷却流路における大きな冷媒量を吸入することができ、後ろの半分弱の吸気ストロークでは、前記第2の吸気孔12は、前記作動室1aと連通し、第1の吸気孔11が閉じ、前記第2の吸気孔12が高圧冷媒ガスの補給を開始し、且つ圧縮段階の最初の半分弱のストロークでガス補給を続け、最後に圧縮の後ろの半分強のストロークでは、前記第2の吸気孔12が閉じ、前記ピストン21が前記作動室1a内の冷媒を圧縮することにより、前記第1の吸気孔11及び前記第2の吸気孔12の開閉時間を合理的に設定することにより、圧縮機100の冷却量のエネルギー効率比を効果的に向上させるだけでなく、2つの冷却流路における異なる圧力の冷媒ガスを合理的に配分して前記圧縮機100に還流させることができ、これにより二重吸気を実現しつつ主吸入量とガス補給量を合理的に配分することができる圧縮機100を提供する。
【0027】
なお、
図3を参照すると、前記ピストン21と前記上死点との距離は、L1であり、即ち前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端の端面と前記シリンダーボディ1の底壁との間の距離は、L1である。前記上死点と前記下死点との間の距離は、Sであり、即ち前記上死点とは前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端の端面が前記シリンダーボディ1の底壁に最も近い距離まで運動したとき、前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端が位置する位置であり、前記下死点とは前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端の端面が前記シリンダーボディ1の底壁から最も遠い距離まで運動したとき、前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端が位置する位置である。つまり距離Sは前記ピストン21の前記シリンダーボディ1の底壁に近い一端の端面の2つの極限状態の間の距離である。
【0028】
理解されるように、前記第2の吸気孔12は、前記シリンダーボディ1の底壁に設置されてもよく、弁によって開閉され、前記ピストン21が前記設定位置まで運動すると、即ち前記上死点からの距離が0.5Sよりも大きいと、前記弁が開き、前記第2の吸気孔12が開いて前記作動室1aへのガス補給を行うとともに、前記第1の吸気孔11が閉じ、もちろん、前記第2の吸気孔12は前記ピストン21に設置されてもよく、前記弁は前記ピストン21における前記第2の吸気孔12の開閉を制御し、あるいは、前記ピストン21の側壁に前記第2の吸気孔12が設置され、前記シリンダーボディ1の側壁に前記第2の吸気孔12に対応して設置された凹溝が設置され、凹溝の位置を設置することで、前記ピストン21が前記設定位置まで運動したとき、前記第2の吸気孔12が前記凹槽に対応し、前記第2の吸気孔12が前記凹槽を介して前記作動室1aと連通してガス補給を行う。以上の各形態により、前記ピストン21が吸気の後半ストローク及び圧縮の前半ストロークにおいて、前記第2の吸気孔12を開くことで、前記第1の吸気孔11が開いている時間、即ち吸気時間が長くなり、前記第1の吸気孔11の吸気量も大きくなるが、前記第2の吸気孔12が開いている時間が短く、ガス補給時間が短く、それに合理的に応じて前記第2の吸気孔12のガス補給量が小さくなり、それによって2つの冷却流路における冷媒量を合理的に配分することを達成する。
【0029】
具体的には、本実施例では、前記シリンダーボディ1の側壁に第2の吸気孔12が貫設され、前記第2の吸気孔12と前記上死点との距離は、L2であり、且つL2>0.5Sであり、前記第1の吸気孔11にその開閉を実現するための制御弁群が設置されているため、前記ピストン21の運動中、前記第1の吸気孔11及び前記第2の吸気孔12の開閉状態は、以下のようになる。
【0030】
シリンダーの吸気ストロークは、以下を含む。
第1のストロークにおいて、前記ピストン21が前記上死点から前記下死点に向かって動き、且つ前記上死点からの距離が0.5S未満である。第1のストロークにおいて、前記制御弁群が開いて、前記第1の吸気孔11が導通し、且つ前記第2の吸気孔12が前記ピストン21によって遮蔽される。このとき、前記シリンダーボディ1の作動室1aは、前記第1の吸気孔11のみを介して吸気を実現する。このとき前記作動室1a内の冷媒総量はいずれも前記第1の吸気孔11、即ち第1の冷却流路からの冷媒である。理解されるように、前記ピストン21が前記下死点に近い位置に向かって動くと、前記シリンダーボディ1の作動室1aの圧縮空間が増大し、負圧状態となるので、外部の気流が前記第1の吸気孔11から前記シリンダーボディ1の作動室1aに流入しやすくなる。一方、前記第1の吸気孔11を経由する気流圧力は前記第2の吸気孔12を経由する気流圧力よりも小さい。したがって、この動きストロークにおいて、前記ピストン21によって前記第2の吸気孔12を遮蔽することで、前記第2の吸気孔12の気流が前記第1の吸気孔11の気流が前記シリンダーボディ1の作動室1aに入るのを阻害することを回避する。
第2のストロークにおいて、前記ピストン21が前記第1の死点から前記第2の死点に向かって動き、且つ前記第1の死点からの距離が0.5Sよりも大きい。第2のストロークにおいて、前記ピストン21が前記第2の吸気孔12を遮蔽せず、前記第2の吸気孔12が前記シリンダーボディ1の作動室1aと連通するようになる。このとき、前記制御弁群は、実際の要求に応じて開状態と閉状態との間で切り替える。前記制御弁群が開状態にあるとき、前記第1の吸気孔11及び前記第2の吸気孔12は同時に前記シリンダーボディ1の作動室1aに気流を入力する。第1のストロークにおいて、前記シリンダーボディ1の作動室1aの空間内に前記第1の吸気孔11を介して一定量の気流が吸入されるので、圧縮空間内に一定の気流圧力を有する。したがって、前記第2の吸気孔12を介して前記シリンダーボディ1の作動室1aに気流を入力するとき、前記第1の吸気孔11への気流の影響は小さい。且つ前記第2の吸気孔12から前記第1の死点までの距離が0.5Sよりも大きく、つまり前記第1の吸気孔11までの距離が0.5Sよりも大きいため、両者の間に適切な緩衝距離が存在し、前記第2の吸気孔12の気流が前記第1の吸気孔11の気流に及ぼす阻害影響を軽減し、圧縮エネルギー効率を向上させる。前記制御弁群が閉状態にあるとき、前記第2の吸気孔12が前記シリンダーボディ1の作動室1aに気流を入力する。このとき前記作動室1a内に補充された冷媒は前記第2の吸気孔12からのものであり、即ち第2の冷却流路の冷媒はいずれも前記シリンダーボディ1の作動室1a内に還流する。理解されるように、前記第2の吸気孔12が前記第1の死点と前記第2の死点との中間点に近いほど、前記第2の吸気孔12の開時間が早く、閉時間が遅くなり、前記第2の冷却流路から供給される高圧冷媒時間が長く、ガス補給量が大きく、前記第2の吸気孔12が前記第2の死点に近いほど、前記第2の吸気孔12の開時間が遅く、閉時間が早く、前記第2の冷却流路から供給される高圧冷媒時間が短く、ガス補給時間が短く、それによってガス補給量も少なくなる。現実的には、ガス補給量の需要に応じて前記第2の吸気孔12の位置を設定してもよい。
【0031】
シリンダーの圧縮ストロークは、以下を含む。
第3のストロークにおいて、前記ピストン21が前記下死点から前記上死点に近い方向に向かって動き、且つ前記上死点から0.5Sよりも大きい。第3のストロークにおいて、前記制御弁群が閉じ、前記ピストン21が前記上死点に近い方向に向かって急速に動く。このとき、前記第2の吸気孔12が依然として前記シリンダーボディ1の作動室1aに気流を入力する。このとき前記作動室1a内に補充された冷媒は前記第2の吸気孔12からのものである。したがって、第3のストロークにおいて、前記シリンダーボディ1の作動室1a内の気流が圧縮されるとき、前記第2の吸気孔12を介して前記シリンダーボディ1の作動室1a内に入力された気流が過度に阻害されることがなく、前記シリンダーボディ1は圧縮ストロークにおいても気流を吸入することができる。そして、前記シリンダーボディ1の作動室1aに前記第1の吸気孔11及び前記第2の吸気孔12からの気流が混合されるため、前記シリンダーボディ1の作動室1a内の気流圧力は、前記第2の吸気孔12内を経由する気流圧力よりも小さくなる。
第4のストロークにおいて、前記ピストン21が前記下死点から前記上死点に近い方向に向かって動き、且つ前記上死点からの距離が0.5S未満である。第4のストロークにおいて、前記制御弁群が閉じたままであり、且つ前記ピストン21が前記第2の吸気孔12を遮蔽する。この過程で、前記ピストン21は前記シリンダーボディ1の作動室1a内の気流を高圧気流に圧縮する。且つ前記ピストン21が前記下死点まで動くと、前記シリンダーボディ1の作動室1a内の気流圧力が希望程度に圧縮される。このとき、前記シリンダーボディ1の作動室1aに連通する出力配管の制御弁群を閉状態から開状態に切り替え、圧縮された高圧気流を出力する。
【0032】
本実施例の技術的解決手段では、前記第2の吸気孔12を前記下死点に近接して設置することにより、前記圧縮機100は前記第2の吸気孔12の開閉を制御するために特別に制御弁群を設置する必要がなく、前記ピストン21の可動ストロークにおいて前記第2の吸気孔12の自動開閉を実現でき、構造が巧妙でコストも節約され、且つ前記第2の吸気孔12の前記上死点及び前記下死点からの距離を設置することにより、前記第2の吸気孔12の給気量を制御でき、即ち、前記第2の吸気孔12の位置設定により、前記ピストン21が往復運動する時に、前記第2の吸気孔12の開閉の時間を調整し、それによって前記第1の吸気孔11と前記第2の吸気孔12の流量配分調節を実現することができる。
【0033】
なお、前記圧縮機100の対応する2つの冷却流路の作動過程は、以下のとおりである。
第1の吸気流路における気流の流路は、第1の外部吸気管→前記第1の吸気孔11→前記シリンダーボディ1の作動室1aである。
前記第2の吸気流路における気流の流路は、第2の外部吸気管→前記第2の吸気孔12→前記シリンダーボディ1の作動室1aである。
且つ前記圧縮機100は前記シリンダーボディ1の作動室1aと連通する内排管をさらに含み、前記内排管は、排気外管6と連通し、前記シリンダーボディ1の作動室1a内で圧縮された高圧気流を前記内排管から排気外管6に排出するために用いられる。
【0034】
なお、前記第2の吸気孔12と前記上死点との距離は、L2であり、つまり、前記第2の吸気孔12の中心線と前記上死点との距離は、L2である。
【0035】
さらに、前記ピストン21を完全に弁開閉の機能として利用して、前記ピストン21が吸気及び圧縮のストロークにおいて前記第2の吸気孔12が第1のストローク及び第4のストロークにおいて前記第2の吸気孔12を閉じた状態にすることを可能にするために、本実施例では、前記ピストン21が前記上死点に位置するとき、前記ピストン21の側壁は前記第2の吸気孔12と密封するように設置され、即ち前記ピストン21の長さは少なくとも0.5Sよりも大きく、このように前記ピストン21が前記上死点に動いたとき、前記ピストン21の側壁が依然として前記第2の吸気孔12を閉塞する。
【0036】
さらに、本実施例では、前記第2の吸気孔12は、丸孔である。前記第2の吸気孔12の断面が円形である場合、内壁面が受ける圧力が同じであるため、前記第2の吸気孔12の受ける力が最も均一になり、強度が最も高くなる。
【0037】
具体的には、前記第2の吸気孔12のガス補給量を調整する方式は、前記第2の吸気孔12の開閉時間の他に、前記第2の吸気孔12の孔径の大きさを調整することによってもガス補給量を調節可能であり、本実施例では、前記第2の吸気孔12の孔径は、D1であり、ここで、D1≦6mmである。
【0038】
具体的には、本実施例では、前記圧縮機100は、前記第1の冷却流路と前記第1の吸気孔11とを連通するための第1の吸気管3と、前記第2の冷却流路と前記第2の吸気孔12とを連通するための第2の吸気管4と、をさらに含み、このように2つの吸気管を設置することにより、対応する2つの吸気孔及び2つの冷却流路を連通させることにより、2つの冷却流路を並列に設置して、異なる圧力の2つの経路の冷媒ガスを供給することができる。
【0039】
理解されるように、もちろん、圧力の異なる2つの冷媒ガスが、前記第1の吸気孔11及び前記第2の吸気孔12に対応して前記シリンダーボディ1に入ることを実現する方式は、上述したように必ず2つの管路を用いることのみに限らず、前記第1の吸気管3のみを設置して、前記第1の冷却流路と前記第1の吸気孔11とを連通させ、前記第2の冷却流路から還流した高圧ガスが直接前記圧縮機100のハウジング5内に流入できるようにし、そして前記第2の吸気孔12が開かれたときに、前記ハウジング5内の高圧ガスが前記第2の吸気孔12によって前記シリンダーボディ1内に圧入され、同様に、前記第2の吸気管4のみを設置して、前記第2の冷却流路と前記第2の吸気孔12とを連通させ、前記第1の冷却流路から還流した高圧ガスが直接前記圧縮機100のハウジング5内に流入できるようにし、そして前記第1の吸気孔11が開かれたときに、前記ハウジング5内の高圧ガスが前記第1の吸気孔11によって前記シリンダーボディ1内に圧入される。
【0040】
具体的には、前記圧縮機100のハウジング5内に前記シリンダーボディ1、消音装置、クランクケースなどの各種部品が設置されているため、その内部空間が小さく、前記第2の吸気管4の連通を実現し、前記ハウジング5の内部空間を合理的に利用できるために、本実施例では、前記第2の吸気管4の内径は、d1であり、前記第2の吸気管4の外径は、d2であり、ここで、0.3mm≦d1≦6mm、0.4mm≦d2≦12.5mmであり、このように前記第2の吸気管4が太くなり過ぎると、他の部品と干渉したり、細くなり過ぎると、ガス補給量に影響を与えたりすることを防止し、また前記第2の吸気管4の管壁の厚さもそれに応じて前記第2の吸気管4を損傷しないような空気圧強度を確保した上で、一定の柔軟性を有し、振動騒音の発生を防止する。
【0041】
さらに、上記の目的を実現するために、本願は、冷却機器をさらに提供し、前記冷却機器は、上記技術的解決手段に記載の圧縮機100を含む。なお、前記冷却機器の圧縮機100の詳細な構造は、上記圧縮機100の実施例を参照することができ、ここでは詳しい説明を省略し、本願の冷却機器に上記圧縮機100が用いられているので、本願の冷却機器の実施例は上記圧縮機100の全ての実施例の全ての技術的解決手段を含み、且つ達成される技術的効果も全て同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0042】
なお、前記冷却機器の具体的な形態は限定されず、冷凍庫であってもよいし、除湿機であってもよいし、その他の機器であってもよい。具体的には、本実施例では、前記冷却機器は、冷蔵庫である。
【0043】
さらに、前記圧縮機100の正常な作動を可能にし、前記シリンダーボディ1の吸気及び圧縮過程で、前記第2の吸気孔12が正常に給気できることを可能にするために、本実施例では、前記第1の吸気孔11の給気圧をP1とし、前記第2の吸気孔12の給気圧をP2とし、ここで、1<P2/P1≦6である。このように冷凍冷却流路と冷蔵冷却流路の2つの並列流路を設置することにより、前記圧縮機100が圧縮して形成した高温高圧の冷媒を冷却流路と冷蔵流路に合理的に配分することができ、これにより、前記シリンダーボディ1が第1の吸気孔11に輸送する冷媒ガスを圧縮するとき、前記第2の吸気孔12は前記作動室1a内のガス補給を行うことができ、それによって前記シリンダーボディ1の作動室1aの吸気量を向上させ、さらに圧縮機の圧縮冷却能力及びエネルギー効率を向上させ、2つの並列流路によりそれぞれの運転条件を実現し、消費電力を低減する。
【0044】
以上の説明は本願の好ましい実施例に過ぎず、これによって本願の特許範囲を制限するものではなく、本願の発明思想の下で、本願の説明書及び添付図面の内容を利用して行われた同等な構造変換、又はその他の関連する技術分野での直接/間接的な運用は全て本願の特許保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
100 圧縮機
1 シリンダーボディ
1a 作動室
11 第1の吸気孔
12 第2の吸気孔
2 ピストンコンポーネント
21 ピストン
3 第1の吸気管
4 第2の吸気管
5 ハウジング
6 排気外管
【国際調査報告】