(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】超音波装置インタラクションインジケータの生成
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544631
(86)(22)【出願日】2023-03-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2023056684
(87)【国際公開番号】W WO2023186550
(87)【国際公開日】2023-10-05
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】サットン ジョナサン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ダン
(72)【発明者】
【氏名】カイン ショーン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン ミンシン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD01
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA26
4C601GC04
4C601GC07
4C601GC28
4C601JB40
4C601JB42
4C601JC23
4C601KK31
4C601LL17
(57)【要約】
音響的に半透明なスタンドオフ層は、超音波装置と被検体との間に配置される。スタンドオフ層からの超音波エコーを含む、超音波装置によって受信された超音波エコーは、超音波装置によって加えられる軸方向の力又は圧力によって引き起こされるスタンドオフ層の変形を決定するために処理される。スタンドオフ層の変形はスタンドオフ層の特性とともに、超音波装置インタラクションインジケータを生成するために使用される。別の態様では、音響的に半透明なスタンドオフ層及び超音波信号の一つ又はそれより多くの特性が音響的に半透明なスタンドオフ層の歪みヒステリシスの測定値を決定するために処理され、歪みヒステリシスの測定値が所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、音響的に半透明なスタンドオフ層が置換を必要とするという指標が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する超音波装置の方向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのコンピュータ実装方法であって、コンピュータ実装方法は、
入力インターフェースにおいて、前記超音波装置の表面と前記被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を取得するステップと、
前記入力インターフェースにおいて、前記超音波装置から超音波信号を取得するステップであって、前記超音波信号は、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から前記超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す、ステップと、
前記超音波信号を処理して、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するステップと、
前記変形の尺度及び前記音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を処理して、被検体に対する前記超音波装置の方向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記超音波装置インタラクションインジケータは、超音波装置によって被検体に及ぼされる力又は圧力をさらに表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層の前記一つ又はそれより多くの特性は、ゼロ力状態における厚さ、所定の非ゼロ圧縮力又は圧力における厚さ、及び/又は弾性率のうちの少なくとも1つを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性は、ヒステリシス挙動をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波信号内の一つ又はそれより多くのスキャン線の各々からの複数の超音波エコーを識別するステップと、
各スキャン線について、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の遠位表面の深度を決定するために前記スキャン線からの複数のエコーを処理するステップであって、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の遠位表面は前記超音波装置の遠位にある、ステップと、
前記一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について前記遠位表面の深度を処理して、前記変形の尺度を決定するステップと
をさらに有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スキャン線からの複数のエコーを処理して、信号強度値が強度閾値を最初に超えるエコーを識別するステップと、
前記識別されたエコーの深度を前記遠位表面の深度として選択するステップと
をさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波信号を処理して、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の少なくとも一部を有する画像を生成するステップと、
前記生成された画像と基準画像との相互相関を実行して、前記変形の尺度を決定するステップと
をさらに有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数の所定の超音波装置インタラクションインジケータのうちの1つを選択することによって、前記超音波装置インタラクションインジケータを生成するステップ
をさらに有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記超音波装置インタラクションインジケータは、前記超音波装置によって前記被検体に及ぼされる力又は圧力の数値である、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層及び前記超音波信号の一つ又はそれより多くの特性を処理して、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の歪みヒステリシスの尺度を決定するステップと、
前記歪みヒステリシスの尺度は所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、
前記音響的に半透明なスタンドオフ層は置換を必要とするというインジケーションを生成するステップと、
出力インターフェースにおいて、前記音響的に半透明なスタンドオフ層は置換を必要とするというインジケーションを出力するステップと
をさらに有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
超音波装置の表面と被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層は置換を必要とするかを決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
入力インターフェースにおいて、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を取得するステップと、
前記入力インターフェースにおいて、前記超音波装置から超音波信号を取得するステップであって、前記超音波信号は、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から前記超音波装置によって受信される複数の超音波エコーを表す、ステップと、
前記超音波信号を処理して、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するステップと、
前記音響的に半透明なスタンドオフ層及び前記超音波信号の一つ又はそれより多くの特性を処理して、前記音響的に半透明なスタンドオフ層の歪みヒステリシスの尺度を決定するステップと、
前記歪みヒステリシスの尺度は所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、
前記音響的に半透明なスタンドオフ層は置換を必要とするというインジケーションを生成するステップと、
出力インターフェースにおいて、前記音響的に半透明なスタンドオフ層は置換を必要とするというインジケーションを出力するステップと
を有する、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法を実行するように構成される処理システム。
【請求項13】
超音波装置インタラクションインジケータを提供するためのシステムであって、
超音波を送受信し、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度からの複数の受信された超音波を表す超音波信号を生成するように構成された超音波装置と、
前記超音波装置の表面と前記被検体の皮膚との間に配置された音響的に半透明なスタンドオフ層と、
請求項12に記載の処理システムと
を有する、システム。
【請求項14】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層は水性ゲルパッドを有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層は、前記音響的に半透明なスタンドオフ層を前記超音波装置に固定するための結合部を備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記音響的に半透明なスタンドオフ層の厚さは、標的撮像解剖学的構造に従って選択される、請求項13乃至15の何れか一項に記載のシステム。
【請求項17】
処理システムを有するコンピュータ装置上で実行されるとき、前記処理システムに、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法のステップを実行させるコンピュータプログラムコードを有するコンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波撮像の分野に関し、特に、ポイントオブケア超音波撮像に関する。特に、本発明の一態様は、超音波装置インタラクションインジケータを生成することに関する。本発明の別の態様は、音響的に半透明なスタンドオフ層が交換を必要とするかどうかを決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2011/0040187号明細書は、超音波プローブによって試験体に加えられる絶対圧力の検出に関する操作を簡略化する方法を開示している。
【0003】
ポイントオブケア超音波画像はより小さいフォームファクタ、低コストのシステム、人工知能、及びデジタルクラウドなどの技術的進歩として、実用性を改善し、ポイントオブケア超音波のコストを低減するように、ますます普及している。
【0004】
ポイントオブケア超音波の増加は長期モニタリングのためのパッチ、及び血行動態モニタリング(例えば、非侵襲的血圧推定)のような、多くの新しい超音波用途につながっている。
【0005】
ポイントオブケア超音波の1つの問題は一般に、超音波画像における訓練がほとんどないか、又はまったくない臨床医によって実施されることである。そのような臨床医は、撮像手順中に被検体への外乱を低減することにあまり熟練しておらず、超音波プローブを皮膚に結合するときに適切な量の力が加えられているときを判断することができない場合がある。力が不十分であると、最適ではない画像及び/又は画像アーチファクトが生じる可能性がある。一方、超音波プローブ又はパッチと被検体の身体との間の長期間の接触は床ずれを引き起こし得る。これはパッチベースのアプリケーションにとって特に問題であり、これは多くの場合、時間被検体を監視するように設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、被検体に対する超音波トランスデューサの力及び/又は圧力に関する改善された情報が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義する。
【0008】
本発明の一態様による例によれば、被検体に対する超音波装置の少なくとも方向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するための処理システムが提供される。
【0009】
処理システムは入力インタフェースにおいて、超音波装置の表面と被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を取得するステップと、入力インタフェースにおいて、超音波装置からの超音波信号を取得するステップであって、超音波信号は一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す、ステップと、超音波信号を処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の測定値を決定するステップと、変形の測定値と、超音波装置相互作用インジケータを生成するための音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性とを処理するステップとを行うように構成される。
【0010】
音響的に半透明なスタンドオフ層の使用は、超音波装置によって加えられる力によって引き起こされる音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定することによって、超音波装置が生成される被検体に超音波装置が結合されたときに被検体に加えられる力/圧力の指標を可能にする。
【0011】
本発明者らは超音波装置を横切る変形又は力もしくは圧力の指標を使用して、音響的に半透明なスタンドオフ層を横切る(すなわち、撮像方向に垂直な方向の)変形又は力/圧力の尺度の差を識別することによって、超音波装置の配向についての情報を提供することができることを認識した。超音波装置の傾斜位置(すなわち、撮像軸が被検体の皮膚に垂直ではない)は、有効開口幅が切り捨てられ、ビームフォーミングされた信号加算が減少するので、画質の低下をもたらす。したがって、ユーザが超音波装置の方向が正しいかどうかを決定することを可能にする情報を提供することが望ましい。
【0012】
超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのこの方法は超音波装置の動作の一部として受信される超音波エコーを使用し、超音波装置によって加えられる力又は圧力を測定するための別個のセンサの必要性を回避する。
【0013】
音響的に半透明なスタンドオフ層は、超音波撮像装置によって生成される画像の品質を著しく低下させないように十分な音響透過性を有する、超音波撮像装置と被検体の皮膚との間に配置される層である。
【0014】
超音波装置は例えば、手持ち式超音波プローブ又は超音波パッチであってもよい。
【0015】
いくつかの例では、生成された超音波装置インタラクションインジケータが出力インターフェースにおいて出力される。超音波装置インタラクションインジケータは例えば、出力ユーザインターフェースに提供されるユーザ知覚可能な出力を制御又は定義するために使用され得る。
【0016】
いくつかの例ではインタラクションインジケータが臨床医のためのディスプレイ上にはないが、超音波システムによって内部的に消費される。加えられた力に基づいて、超音波システムは、送信ビーム角度を適応的に変更すること、システム電力設定又はTGC(時間利得補償)利得設定を変更すること、撮像モードを起動すること、圧力がエラストグラフィスキャンに適していないことをユーザに警告することなどの挙動を変更することができる。
【0017】
いくつかの例では、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性がゼロ力状態における厚さ、所定の非ゼロ圧縮力又は圧力における厚さ、及び/又は弾性率のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性は、ヒステリシス挙動をさらに含んでもよい。
【0019】
いくつかの例では、処理システムが超音波信号中の一つ又はそれより多くのスキャン線の各々から複数の超音波エコーを識別することと、スキャン線の各々について、複数のエコーを処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層の遠位表面の深度を決定することと、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について遠位表面の深度を処理して、変形の測定値を決定することとによって、変形の測定値を決定するように構成される。
【0020】
この方法は、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形が音響的に半透明なスタンドオフ層の厚さ(したがって、遠位表面が検出される深度)に影響を及ぼすという認識に基づく。
【0021】
音響的に半透明なスタンドオフ層の遠位表面は超音波装置から最も遠い表面(すなわち、音響的に半透明なスタンドオフ層の皮膚に対向する面)である。この表面は隣接する層との境界にあり、これは、被検体の皮膚、又は音響的に半透明なスタンドオフ層と被検体の皮膚との間に配置された層(例えば、接着剤、滅菌フィルム、空気、水、汗など)であってもよく、音響的に半透明なスタンドオフ層と隣接する層との間の音響インピーダンスの差により検出可能である。
【0022】
処理システムは、信号強度値が最初に強度閾値を超えるエコーを識別するためにスキャン線からの複数のエコーを処理することと、識別されたエコーの深度を遠位表面の深度として選択することとによって、各スキャン線について遠位表面の深度を決定するように構成され得る。
【0023】
強度閾値は所定の閾値、又は超音波信号に基づいて(例えば、超音波信号の信号強度値に基づいて)処理システムによって決定される閾値であってもよい。
【0024】
例えば、強度閾値は超音波装置及び音響的に半透明なスタンドオフ層の特性(例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層の音響的な透明度)に基づいて決定された所定の値を有することができる。
【0025】
いくつかの例では、処理システムが超音波信号を処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層の少なくとも一部を含む画像を生成し、生成された画像と基準画像との相互相関を実行して、変形の尺度を決定することによって、変形の尺度を決定するように構成される。
【0026】
基準画像は、力が加えられていないときの音響的に半透明なスタンドオフ層の画像であってもよい。相互相関は、一連の1D Aライン相関又は2D相互相関であってもよい。
【0027】
いくつかの例では、生成された画像が相互相関を実行する前に、たとえば、軸方向補間及び/又は方位デシメーションを実行することによって処理され得る。画像処理パラメータは、超音波装置の撮像周波数と、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性とに基づいて定義され得る。
【0028】
処理システムは、複数の所定の超音波装置相互作用インジケータのうちの1つを選択することによって、超音波装置相互作用インジケータを生成するように構成される。
【0029】
言い換えれば、超音波装置インタラクションインジケータは、バイナリインジケータ又はカテゴリインジケータであり得る。これは、ユーザが力/圧力/配向角の数値を解釈する専門知識を欠く場合があるポイントオブケア超音波用途において特に有益であり得る。
【0030】
所定の超音波装置インタラクションインジケータは、様々なレベルの粒度を有し得る。例えば、超音波装置インタラクションインジケータは3つの状態、すなわち、力又は圧力が第1の閾値を下回る第1の状態、力又は圧力が第1の閾値を上回るが、第2のより高い閾値を下回る第2の状態、及び力又は圧力が第2の閾値を上回る第3の状態を表し得る。
【0031】
指標は例えば、テキスト指標(例えば、「圧力が低すぎる」、「圧力が良好」、及び「圧力が高すぎる」)であってもよい。別の例では、異なる状態を表すために異なる色が使用され得る。
【0032】
超音波装置インタラクションインジケータは、超音波装置によって被検体に及ぼされる力又は圧力の数値であってもよい。
【0033】
超音波相互作用装置インジケータが出力ユーザインターフェースに提供される場合、数値は、臨床医が超音波装置によって及ぼされる力/圧力又は配向角度が適切であるかどうかについて独自の評価を行うことを可能にし、また、力/圧力が不十分であるか過剰であるか、又は配向角度が不適切であるかの何れかである場合に必要とされる変化を決定することを可能にする。
【0034】
いくつかの例では臨床医が超音波装置インタラクションインジケータの粒度のレベルを選択することができる(例えば、臨床医はカテゴリ指標と、力/圧力/配向角度の数値を含む指標との間で選択することができる)。他の例では、粒度のレベルが超音波アプリケーションのタイプに従って自動的に選択され得る。
【0035】
いくつかの例では、超音波装置インタラクションインジケータが所定の超音波装置インタラクションインジケータと数値との両方を備え得る。
【0036】
また、力、圧力、又は配向角度の数値は、処理システムによって内部で、例えば超音波システムを制御するために使用されてもよい。
【0037】
いくつかの例では、処理システムが音響的に半透明なスタンドオフ層の歪ヒステリシスの測定値を決定するために、音響的に半透明なスタンドオフ層及び超音波信号の一つ又はそれより多くの特性を処理することと、歪ヒステリシスの測定値が所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、音響的に半透明なスタンドオフ層が置換する必要があるという表示を生成し、出力インターフェースにおいて、音響的に半透明なスタンドオフ層が置換する必要があるという表示を出力することとを行うようにさらに構成される。
【0038】
本発明の別の態様では、超音波装置の表面と被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層が置換を必要とするかどうかを決定するためのコンピュータ実装方法が提案される。本方法は、
入力インタフェースにおいて、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を得るステップと、
入力インタフェースにおいて、超音波装置からの超音波信号を取得するステップであって、超音波信号は、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す、ステップと、
超音波信号を処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するステップと、
音響的に半透明なスタンドオフ層の歪ヒステリシスの尺度を決定するために、音響的に半透明なスタンドオフ層及び超音波信号の一つ又はそれより多くの特性を処理するステップと、
歪ヒステリシスの尺度が所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、
音響的に半透明なスタンドオフ層を交換する必要があるという指示を生成するステップと、音響的に半透明なスタンドオフ層を交換する必要があるという指示を出力インターフェースにおいて出力するステップと
を含む。
【0039】
ヒドロゲルの歪ヒステリシスは、連続的な力の印加とともに増加する。ヒステリシス効果が変形決定の結果に影響を及ぼすのに十分に大きいときを識別することは、処理システムのユーザがこれが発生したときに音響的に半透明なスタンドオフ層を置き換えることを可能にする。
【0040】
また、超音波装置によって被検体に加えられる力又は圧力を表す超音波装置インタラクションインジケータを提供するためのシステムも提案される。システムは超音波を送受信し、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度からの複数の受信超音波を表す超音波信号を生成するように構成された超音波装置と、超音波装置の表面と被検体の皮膚との間に配置された音響的に半透明なスタンドオフ層と、上述の処理システムとを備える。
【0041】
いくつかの例では、音響的に半透明なスタンドオフ層が水性ゲルパッドを含む。
【0042】
水性ゲルパッドは当技術分野において公知であり、広く入手可能であり、したがって、ユーザ仕様に従って容易に調達することができる。
【0043】
いくつかの例では、音響的に半透明なスタンドオフ層が音響的に半透明なスタンドオフ層を超音波装置に固定するための結合部を備える。
【0044】
これは、超音波装置上の音響的に半透明なスタンドオフ層の迅速な設置を可能にし、臨床医が音響的に半透明なスタンドオフ層を適切に位置決めするのを助けることができる。
【0045】
音響的に半透明なスタンドオフ層は例えば、クリップなどの機械的締結具、又は音響的に半透明なスタンドオフ層の周囲を取り囲む接着剤「スカート」を含むことができる。
【0046】
音響的に半透明なスタンドオフ層の厚さは、標的画像解剖学的構造に従って選択されてもよい。
【0047】
音響的に半透明なスタンドオフ層の望ましい厚さは、画像アプリケーションに依存する。
【0048】
本発明の別の態様によれば、超音波装置によって被検体に及ぼされる力又は圧力及び/又は被検体に対する超音波装置の方向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのコンピュータ実装方法が提供される。
【0049】
コンピュータ実装方法は入力インタフェースにおいて、超音波装置の表面と被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を取得するステップと、入力インタフェースにおいて、超音波装置から超音波信号を取得するステップであって、超音波信号は一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す、ステップと、超音波信号を処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の測定値を決定するステップと、変形の測定値及び音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性を処理して、超音波装置相互作用インジケータを生成するステップとを含む。
【0050】
処理システムを有するコンピュータ装置上で実行されると、処理システムに上述の方法のステップのすべてを実行させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品も提案される。
【0051】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0052】
本発明をより良く理解し、どのように実施することができるかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図2】本発明の実施形態による、超音波装置インタラクションインジケータを提供するためのシステムを図示する。
【
図3A】本発明の実施形態による、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するための方法を図示する。
【
図3B】変形の尺度を決定するために
図3Aの方法がどのように使用され得るかを図示する。
【
図4】本発明の別の実施形態による、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するための方法を図示する。
【
図5】超音波装置インタラクションインジケータに対応する例示的な出力を示す。
【
図6】結合を含む例示的な音響的に半透明なスタンドオフ層を示す。
【
図7】本発明の実施形態による、超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのコンピュータ実装方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
次に、本発明を図面を参照して説明する。
【0055】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるのであろう。図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、同じ又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0056】
本発明の概念によれば、超音波装置によって加えられる力又は圧力、及び/又は被検体に対する超音波装置の方向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのシステム及び方法が提案される。音響的に半透明なスタンドオフ層は、超音波装置と被検体との間に配置される。スタンドオフ層からの超音波エコーを含む、超音波装置によって受信された超音波エコーは、超音波装置によって加えられる軸方向の力又は圧力によって引き起こされるスタンドオフ層の変形を決定するために処理される。スタンドオフ層の変形はスタンドオフ層の特性とともに、超音波装置インタラクションインジケータを生成するために使用される。
【0057】
実施形態は、超音波装置によって被検体に加えられる力/圧力が超音波装置と被検体との間のスタンドオフ層を変形させるという認識、及び装置によって取得される超音波撮像データがスタンドオフの変形、したがって超音波装置によって加えられる力/圧力を決定するために使用され得るという認識に少なくとも部分的に基づく。既知の特性を有するスタンドオフ層の変形を測定することは、組織(例えば、皮膚)の変形を測定することよりも、力又は圧力のより信頼性の高い指標を提供し、その理由は組織の特性が被検体ごとに異なり、さらに環境条件などに依存するからである。本発明者らは、スタンドオフ層を横切る変形又は力/圧力が超音波装置の配向についての情報を提供することをさらに認識した。
【0058】
例示的な実施形態は例えば、ポイントオブケア超音波システムなどの超音波撮像システムにおいて使用することができる。
【0059】
図1を参照して、本発明はトランスデューサアレイによって測定された信号の処理に関するので、例示的な超音波システムの一般的な動作を、システムの信号処理機能に重点を置いて最初に説明する。
【0060】
システムは超音波を送信し、エコー情報を受信するためのトランスデューサアレイ6を有するアレイトランスデューサプローブ4を備える。トランスデューサアレイ6は、CMUT(容量性微細加工超音波トランスデューサ)トランスデューサ、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)又はPVDF(二フッ化ポリビニリデン)などの材料で形成された圧電トランスデューサ、又は任意の他の適切なトランスデューサ技術を含むことができる。この例では、トランスデューサアレイ6が関心領域の2D平面又は3次元ボリュームの何れかをスキャンすることができるトランスデューサ8の2次元アレイである。別の例では、トランスデューサアレイが1Dアレイであってもよい。
【0061】
トランスデューサアレイ6は、トランスデューサ素子による信号の受信を制御するマイクロビームフォーマ12に結合される。マイクロビームフォーマは米国特許第5,997,479号(Savord et al.)、第6,013,032号(Savord)、及び第6,623,432号(Powers et al.)に記載されているように、トランスデューサのサブアレイ(一般に「グループ」又は「パッチ」と呼ばれる)によって受信された信号の少なくとも部分的なビームフォーミングが可能である。
【0062】
マイクロビームフォーマは、完全にオプションであることに留意されたい。さらに、システムは送信/受信(T/R)スイッチ16を含み、これは、マイクロビームフォーマ12が結合され得、送信モードと受信モードとの間でアレイを切り替え、マイクロビームフォーマが使用されず、トランスデューサアレイがメインシステムビームフォーマによって直接動作される場合に、メインビームフォーマ20を高エネルギー送信信号から保護する。トランスデューサアレイ6からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ16によってマイクロビームフォーマに結合されたトランスデューサコントローラ18と、ユーザインターフェース又は制御パネル38のユーザ操作から入力を受け取ることができる主送信ビームフォーマ(図示せず)とによって方向付けられる。コントローラ18は、送信モード中にアレイ6のトランスデューサ素子を(直接又はマイクロビームフォーマを介して)駆動するように構成された送信回路を含むことができる。
【0063】
典型的なラインバイライン撮像シーケンスでは、プローブ内のビームフォーミングシステムが以下のように動作することができる。送信中、ビームフォーマ(実装に応じて、マイクロビームフォーマ又はメインシステムビームフォーマであり得る)は、トランスデューサアレイ、又はトランスデューサアレイのサブアパーチャを活性化する。サブアパーチャは、トランスデューサの1次元線、又はより大きいアレイ内のトランスデューサの2次元パッチであってもよい。送信モードでは、アレイ又はアレイのサブアパーチャによって生成される超音波ビームの焦点及びステアリングが以下に説明するように制御される。
【0064】
被検体から後方散乱エコー信号を受信すると、受信信号は、受信信号を整列させるために(後述するように)受信ビームフォーミングを受け、サブアパーチャが使用されている場合、サブアパーチャは例えば1つのトランスデューサ素子によってシフトされる。次に、シフトされたサブアパーチャが起動され、トランスデューサアレイのトランスデューサ素子の全てが起動されるまで、プロセスが繰り返される。
【0065】
各ライン(又はサブアパーチャ)について、最終超音波画像の関連するラインを形成するために使用される総受信信号は、受信期間中に所与のサブアパーチャのトランスデューサ素子によって測定された電圧信号の合計となる。結果として生じるライン信号は、以下のビームフォーミング処理に続いて、通常、無線周波数(RF)データと呼ばれる。次いで、様々なサブアパーチャによって生成された各線信号(RFデータセット)は、最終的な超音波画像の線を生成するために追加の処理を受ける。時間によるライン信号の振幅の変化は深度による超音波画像の輝度の変化に寄与し、高い振幅ピークは、最終画像における明るいピクセル(又はピクセルの集合)に対応する。線信号の開始付近に現れるピークは浅い構造からのエコーを表すが、線信号の後に徐々に現れるピークは被検体内の深度が深くなる構造からのエコーを表す。
【0066】
トランスデューサコントローラ18によって制御される関数の1つは、ビームがステアリングされ、集束される方向である。ビームはトランスデューサアレイから(直交して)真っ直ぐ前方に、又はより広い視野に対して異なる角度でステアリングされてもよい。送信ビームのステアリング及び集束は、トランスデューサ素子の作動時間の関数として制御され得る。
【0067】
2つの方法、すなわち、平面波撮像及び「ビームステアリング」撮像は、一般的な超音波データ取得において区別することができる。2つの方法は、送信(「ビームステアリング」撮像)及び/又は受信モード(平面波撮像及び「ビームステアリング」撮像)におけるビームフォーミングの存在によって区別される。
【0068】
最初に集束機能を見ると、トランスデューサ素子の全てを同時に作動させることによって、トランスデューサアレイは、被検体を通って進むにつれて発散する平面波を生成する。この場合、超音波のビームは集束されないままである。トランスデューサの活性化に位置依存時間遅延を導入することによって、ビームの波面を、焦点ゾーンと呼ばれる所望の点に収束させることが可能である。焦点ゾーンは、横方向ビーム幅が送信ビーム幅の半分未満である点として定義される。このようにして、最終的な超音波画像の横方向の解像度が改善される。
【0069】
例えば、時間遅延がトランスデューサ素子を、トランスデューサアレイの最も外側の素子から始まり、中央の素子で仕上げて、連続して活性化させる場合、焦点ゾーンは、中央の素子に沿って、プローブから所定の距離だけ離れて形成される。プローブからの焦点ゾーンの距離は、トランスデューサ素子の活性化の各後続のラウンド間の時間遅延に応じて変化する。ビームが焦点ゾーンを通過した後、ビームは発散し始め、遠視野撮像領域を形成する。トランスデューサアレイの近くに配置された焦点ゾーンでは、超音波ビームが遠距離場において急速に発散し、最終画像におけるビーム幅アーチファクトにつながることに留意されたい。典型的には、トランスデューサアレイと焦点ゾーンとの間に位置する近距離場が超音波ビームの大きな重複のために、ほとんど詳細を示さない。したがって、焦点ゾーンの位置を変化させることは、最終的な画像の品質に著しい変化をもたらす可能性がある。
【0070】
送信モードでは、超音波画像が複数の焦点ゾーン(それぞれが異なる送信焦点を有し得る)に分割されない限り、1つの焦点のみが定義され得ることに留意されたい。
【0071】
また、被検体内からエコー信号を受信すると、受信フォーカシングを行うために、上記の処理の逆を行うことができる。言い換えれば、入力信号は、トランスデューサ素子によって受信され、信号処理のためにシステムに渡される前に電子時間遅延を受けることができる。この最も単純な例は、遅延和ビームフォーミングと呼ばれる。トランスデューサアレイの受信焦点を時間の関数として動的に調整することが可能である。
【0072】
ここでビームステアリングの機能を見ると、トランスデューサ素子への時間遅延の正しい適用を通して、トランスデューサアレイを出るときに超音波ビームに所望の角度を与えることが可能である。例えば、トランスデューサアレイの第1の側でトランスデューサを作動させ、その後、アレイの反対側で終わるシーケンスで残りのトランスデューサを作動させることによって、ビームの波面は、第2の側に向かって角度が付けられる。トランスデューサアレイの法線に対するステアリング角の大きさは、後続のトランスデューサ素子の活性化間の時間遅延の大きさに依存する。
【0073】
さらに、各トランスデューサ素子に印加される総時間遅延が、焦点時間遅延とステアリング時間遅延の両方の合計でステアリングビームを焦点させることが可能である。この場合、トランスデューサアレイはフェーズドアレイと呼ばれる。
【0074】
活性化のためにDCバイアス電圧を必要とするCMUTトランスデューサの場合、トランスデューサコントローラ18は、トランスデューサアレイのためのDCバイアス制御部45を制御するように結合することができる。DCバイアス制御部45は、CMUTトランスデューサ素子に印加されるDCバイアス電圧を設定する。
【0075】
トランスデューサアレイの各トランスデューサ素子に対して、典型的にはチャネルデータと呼ばれるアナログ超音波信号が、受信チャネルを経由してシステムに入る。受信チャネルでは部分的にビームフォーミングされた信号がマイクロビームフォーマ12によってチャネルデータから生成され、次いで、主受信ビームフォーマ20に渡され、ここで、トランスデューサの個々のパッチからの部分的にビームフォーミングされた信号は無線周波数(RF)データと呼ばれる完全にビームフォーミングされた信号に組み合わされる。各ステージで実行されるビームフォーミングは、上述のように実行されてもよく、又は追加の機能を含んでもよい。たとえば、メインビームフォーマ20は128個のチャネルを有することができ、その各々は、数十又は数百のトランスデューサ素子のパッチから部分的にビームフォーミングされた信号を受信する。このようにして、トランスデューサアレイの何千ものトランスデューサによって受信される信号は、単一のビーム形成された信号に効率的に寄与することができる。
【0076】
ビームフォーミングされた受信信号は、信号プロセッサ22に結合される。信号プロセッサ22は、受信されたエコー信号を、帯域通過フィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、並びに組織及びマイクロバブルから戻される非線形(基本周波数の高調波)エコー信号の識別を可能にするように線形及び非線形信号を分離するように作用する高調波信号分離などの様々な方法で処理することができる。信号プロセッサはまた、スペックル低減、信号合成、及び雑音除去などの追加の信号拡張を実行し得る。信号プロセッサ内のバンドパスフィルタは追跡フィルタとすることができ、その通過帯域はエコー信号が増加する深度から受信されるにつれて、より高い周波数帯域からより低い周波数帯域へと摺動し、それによって、典型的には解剖学的情報を欠く、より深い深度から、より高い周波数における雑音を排除する。
【0077】
送信及び受信のためのビームフォーマは、異なるハードウェアで実装され、異なる機能を有することができる。もちろん、受信器ビームフォーマは、送信ビームフォーマの特性を考慮するように設計される。
図1では、簡略化のために、受信器ビームフォーマ12、20のみが示されている。完全なシステムでは、送信マイクロビームフォーマと、主送信ビームフォーマとを有する送信チェーンも存在する。
【0078】
マイクロビームフォーマ12の機能はアナログ信号経路の数を減少させるために、信号の初期の組み合わせを提供することである。これは、典型的にはアナログ領域で実行される。
【0079】
最終的なビームフォーミングはメインビームフォーマ20において行われ、典型的にはデジタル化の後である。
【0080】
送信チャネル及び受信チャネルは、固定された周波数帯域を有する同じトランスデューサアレイ6を使用する。しかしながら、送信パルスが占める帯域幅は、使用される送信ビームフォーミングに応じて変化し得る。受信チャネルは(古典的なアプローチ)トランスデューサ帯域幅全体を捕捉することができ、又は帯域通過処理を使用することによって、所望の情報(例えば、主高調波の高調波)を含む帯域幅のみを抽出することができる。
【0081】
次いで、RE信号、Bモード(すなわち、輝度モード、又は2D撮像モード)プロセッサ26及びドップラープロセッサ28に結合され得る。Bモード処理部26は受信した超音波信号に対して振幅検出を行い、臓器組織や血管などの身体構造を撮像する。ライン・バイ・ライン撮像の場合、各ライン(ビーム)は、関連するRE信号振幅がBモード画像内のピクセルに割り当てられるべき輝度値を生成するために使用される。画像内のピクセルの正確な位置は、RE信号関連する振幅測定の位置と、RF信号のライン(ビーム)数とによって決定される。そのような構造のBモード画像は、高調波もしくは基本画像モードで、又はUS 6,283,919(Roundhillら)及びUS 6,458,083(Jagoら)に記載されているように両方の組合せで形成されてもよい。ドップラープロセッサ28は画像フィールド内の血球の流れなどの移動物質の検出のために、組織の動き及び血流から生じる時間的に異なる信号を処理する。ドップラプロセッサ28は、典型的には体内の選択されたタイプの材料から戻されたエコーを通過又は拒絶するように設定されたパラメータを有する壁フィルタを含む。
【0082】
Bモード及びドップラープロセッサによって生成される構造信号及び動き信号は、スキャン変換器32及びマルチプレーナリフォーマッタ44に結合される。スキャンコンバータ32は、エコー信号を、それらがそこから受信された空間関係において、所望の画像フォーマットで配置する。換言すれば、スキャンコンバータはRFデータを円筒座標系から、画像ディスプレイ40上に超音波画像を表示するのに適したデカルト座標系に変換するように作用する。Bモード画像の場合、所与の座標におけるピクセルの輝度は、その位置から受信されるRF信号の振幅に比例する。例えば、スキャンコンバータは、エコー信号を2次元(2D)扇形状フォーマット、又はピラミッド型3次元(3D)画像に配置することができる。スキャンコンバータは画像フィールド内の点における動きに対応する色を有するBモード構造画像を重ね合わせることができ、ここで、ドップラー推定速度は、所与の色を生成する。結合されたBモード構造画像及びカラードップラー画像は、構造画像フィールド内の組織の動き及び血流を描写する。マルチプレーナリフォーマッタは米国特許出願公開第6,443,896号(Detmer)に記載されているように、身体の体積領域内の共通平面内の点から受信されたエコーをその平面の超音波画像に変換する。ボリュームレンダラ42は米国特許出願公開第6,530,885号明細書(Entrekinら)に記載されているように、3Dデータセットのエコー信号を所与の基準点から見た投影3D画像に変換する。
【0083】
2D又は3D画像は、スキャンコンバータ32、マルチプレーナリフォーマッタ44、及びボリュームレンダラ42から画像処理装置30に結合され、画像ディスプレイ40上に表示するためのさらなる強化、バッファリング、及び一時的記憶のために行われる。撮像プロセッサは例えば、強い減衰器又は屈折によって引き起こされる音響シャドウイング、例えば、弱い減衰器によって引き起こされる後方強調、例えば、高反射性組織界面が近接して位置する残響アーチファクトなど、最終超音波画像から特定の撮像アーチファクトを除去するように適合され得る。加えて、画像プロセッサは最終的な超音波画像のコントラストを改善するために、特定のスペックル低減関数を処理するように適合され得る。
【0084】
画像に使用されることに加えて、ドップラープロセッサ28によって生成された血流値及びBモードプロセッサ26によって生成された組織構造情報は、定量化プロセッサ34に結合される。定量化プロセッサは、器官のサイズ及び在胎期間などの構造的測定に加えて、血流の体積速度などの異なる流量条件の測定値を生成する。定量化プロセッサは、測定が行われる画像の解剖学的構造内の点など、ユーザ制御パネル38から入力を受信することができる。
【0085】
定量化プロセッサからの出力データはディスプレイ40上の画像を用いて測定グラフィックス及び値を再生し、表示装置40から音声出力するために、グラフィックスプロセッサ36に結合される。グラフィックスプロセッサ36は、超音波画像と共に表示するためのグラフィックオーバーレイを生成することもできる。これらのグラフィックオーバーレイは、患者名、画像の日付及び時間、撮像パラメータなどの標準識別情報を含むことができる。これらの目的のために、グラフィックスプロセッサは、患者名などの入力をユーザインターフェース38から受信する。ユーザインターフェースはまた、トランスデューサアレイ6からの超音波信号の生成、したがって、トランスデューサアレイ及び超音波システムによって生成される画像の生成を制御するために、送信コントローラ18に結合される。コントローラ18の送信制御機能は、実行される機能のうちの1つに過ぎない。コントローラ18はまた、動作モード(ユーザによって与えられる)と、受信器アナログ/AD変換器における対応する必要な送信器設定及び帯域通過設定とを考慮に入れる。コントローラ18は、固定状態を有する状態機械とすることができる。
【0086】
ユーザインターフェースはまた、MPR画像の画像フィールドにおいて定量化された測定を実行するために使用され得る複数のマルチプレーナリフォーマット(MPR)画像の平面の選択及び制御のために、マルチプレーナリフォーマッタ44に結合される。
【0087】
図2は、本発明の一実施形態による、超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのシステム200を示す。超音波装置インタラクションインジケータは、超音波装置によって被検体210に及ぼされる力又は圧力、及び被検体に対する超音波装置の方向を表すインジケータである。システム200は、処理システム220と、超音波装置230と、音響的に半透明なスタンドオフ層240とを備える。処理システムは、それ自体、本発明の実施形態である。
【0088】
音響的に半透明なスタンドオフ層240は、超音波装置230の表面と被検体の皮膚215との間に配置される。音響的に半透明なスタンドオフ層は材料を通して超音波画像(すなわち、材料を越えた構造の撮像)を可能にする音響透過性を有する材料の層である。音響的に半透明なスタンドオフ層に適した材料は、当業者には容易に明らかであろう。例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層は水性ゲルパッド(例えば、水性ヒドロゲルパッド)を含んでもよい。水性ゲルパッドは当該技術分野において公知であり、可視化が困難な領域を撮像する場合に、超音波装置と皮膚との間の音響結合を提供するために一般に使用される。音響的に半透明なスタンドオフ層は、以下でより詳細に説明される。
【0089】
処理システム220は入力インタフェース221において、又はそれから、音響的に半透明なスタンドオフ層240の一つ又はそれより多くの特性245を取得する。音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性は、変形の測定値と組み合わせて、力、圧力、及び配向を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するために使用され得る特性である。例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性は、ゼロ力状態の厚さ、所定の非ゼロ圧縮力又は圧力における厚さ、及び/又は弾性率のうちの少なくとも1つを含んでもよい。超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのこれらの特性の使用は、以下でより詳細に説明される。
【0090】
音響的に半透明なスタンドオフ層240の一つ又はそれより多くの特性245は
図2に示されるように、メモリユニット250から取得され得る。いくつかの例では、一つ又はそれより多くの特性のいくつか又はすべてはユーザ入力装置からのユーザ入力を介して取得され得る。
【0091】
超音波装置230は、超音波を送受信可能な装置である。ハンドヘルド超音波プローブ及び超音波パッチを含む、任意の適切な超音波装置が使用され得る。システム200はポイントオブケア超音波用途に特に有益であり、これは、しばしば、それ自体を適用するのに適切な圧力量を決定するのにあまり熟練していないユーザによって実行される。
【0092】
超音波装置230は一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す超音波信号235を生成し、処理システム220は、入力インタフェース221において又はそれから超音波装置から超音波信号を取得する。
【0093】
異なる深度は、音響的に半透明なスタンドオフ層に対応する少なくとも1つの深度と、音響的に半透明なスタンドオフ層を越えた層(すなわち、超音波装置に対する音響的に半透明なスタンドオフ層の反対側の層、例えば、皮膚層)に対応する少なくとも1つの深度とを含み得る。言い換えれば、受信された超音波は、音響的に半透明なスタンドオフ層からのエコーと、音響的に半透明なスタンドオフ層を通って送信された別の層からのエコーとを含み得る。
【0094】
処理システム220は、次いで、超音波信号235を処理して、音響的に半透明なスタンドオフ層240の変形の尺度を決定する。変形の尺度は例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層の軸方向歪み及び/又は変形された厚さを含むことができる。
【0095】
いくつかの例では、処理システムが音響的に半透明なスタンドオフ層240の遠位表面(すなわち、超音波装置230から最も遠い表面)の深度に基づいて変形の尺度を決定する。言い換えれば、変形の尺度は音響的に半透明なスタンドオフ層と、超音波装置(例えば、被検体の皮膚215)に対する音響的に半透明なスタンドオフ層の反対側の層との間の境界の深度に基づいて決定され得る。他の例では、処理システムが基準画像との相互相関に基づいて変形の尺度を決定する。
【0096】
図3Aは、本発明の一実施形態による、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するための方法300を示す。方法300において、処理システム220は音響的に半透明なスタンドオフ層の遠位表面(すなわち、皮膚に対向する面)の深度に基づいて、変形の尺度を決定する。この方法は例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイにおいて容易に実施され得る、データ検出段階における変形の尺度を決定するための簡単な方法を提供する。
【0097】
方法300はステップ310で開始し、ここでは、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について、超音波信号235において複数の超音波エコーが識別される。超音波信号中の超音波エコーを識別する方法は、当業者には明らかであろう。
【0098】
ステップ320において、各スキャン線からの複数のエコーが処理されて、各スキャン線について、音響的に半透明なスタンドオフ層240の遠位表面の深度が決定される。
【0099】
特定のスキャン線に対する遠位表面の深度は、信号強度値が最初に強度閾値を超えるエコーを識別するために、スキャン線からの複数のエコーを処理することによって決定され得る。遠位表面に隣接する層(例えば、皮膚、接着剤、空気など)は一般に、音響的に半透明なスタンドオフ層とは異なる音響インピーダンスを有するので、音響的に半透明なスタンドオフ層と隣接する層との間の境界は、信号強度の上方への遷移によって特徴付けられる。
【0100】
複数のエコーは、深度が増加する順に処理されてもよく、所定の強度閾値を超える信号強度値を有するものとして識別されるべき第1のエコーが次いで、スキャン線の遠位表面に対応するエコーとして選択される。識別されたエコーの深度は、スキャン線の遠位表面の深度として選択される。この処理は、スキャン線毎に繰り返される。
【0101】
強度閾値は、所定の閾値、又は超音波信号235に基づいて決定された閾値であってもよい。所定の強度閾値は例えば、超音波装置230及び音響的に半透明なスタンドオフ層240の両方の特性に基づいて決定され得る。いくつかの例では、超音波装置と音響的に半透明なスタンドオフ層との異なる組み合わせの各々についての複数の所定の強度閾値がメモリユニット250に記憶され得、適切な所定の強度閾値がユーザ入力装置からのユーザ入力に基づいて選択され得る。
【0102】
いくつかの例では、処理システム220が超音波信号235を処理することによって強度閾値の値を決定し得る。これは遠位表面深度が、追加の情報(音響的に半透明なスタンドオフ層及び超音波装置の特性など)を必要とせずに識別されることを可能にし、ユーザ適用の全体的な利得変化によって影響を受けない。
【0103】
処理システムは超音波信号の信号強度値に基づいて(例えば、平均最小信号強度及び平均最大信号強度に基づいて)強度閾値を決定することができる。例えば、強度閾値は平均最小信号強度と平均最大信号強度との間の値(例えば、これらの信号強度の中間点、又は中間点と平均最大信号強度との間の値)に設定されてもよい。
【0104】
超音波信号235は、ステップ320の前に前処理することができる。例えば、自動時間利得補償(TGC)は、一組の深度における複数のスキャン線にわたって、又は各スキャン線の深度を通して、輝度を自動正規化するために使用され得る。
【0105】
ステップ330では、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々の遠位表面の深度が処理されて、変形の尺度が決定される。遠位表面の深度は、音響的に半透明なスタンドオフ層240の現在の厚さに対応する。いくつかの例では、変形の尺度が軸方向歪みであるか又は軸方向歪みを含む場合など、変形の尺度の決定は音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性245(たとえば、ゼロ力状態における厚さ)にさらに基づいてもよい。言い換えれば、遠位表面深度は、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形を決定するために、音響的に半透明なスタンドオフ層の既知の特性と併せて使用され得る。
【0106】
いくつかの例では多数のスキャン線が使用される場合、決定された遠位表面深度は変形の尺度を決定する前に前処理され得る。例えば、外れ値分析は偽陽性を識別するために、決定された遠位表面深度に適用されてもよく、偽陽性は、変形の尺度を決定するために使用される遠位表面深度から除外されてもよい。
【0107】
遠位表面の深度は変形の尺度を決定する前に、複数のスキャン線にわたって平均化されてもよく、遠位表面の深度が平均化されるスキャン線の数は所望の粒度レベルに依存してもよい。いくつかの例では遠位表面の平均深度化されるスキャン線の数がスキャンフレーム当たり1つの平均深度を生成するように選択され得る(例えば、遠位表面深度は約128本のスキャン線にわたって平均化され得る)。
【0108】
図3Bは、このアプローチの背後にあるアイデアを示す超音波画像350の一部を示す。超音波装置に最も近い層は音響的に半透明なスタンドオフ層であり、この層は主に無響層であり、次の層は無響層ではないので、信号強度の鋭い差が、これらの層の間の境界で観察される。
【0109】
線355は、(平均最小信号強度と平均最大信号強度との間の差の75%に閾値を有する)グレースケール閾値を使用して検出された境界を描写する。超音波装置の超音波放射面からのこの境界の変位は音響的に半透明なスタンドオフ層の現在の厚さを与え、これは次いで、超音波装置によって加えられる力又は圧力を決定するために使用され得る。
図3Bでは、変位が一方の側でより大きく、視野にわたって減少する。これは、傾斜した超音波装置(すなわち、被検体の皮膚の表面に対して垂直ではない撮像軸を有する超音波装置)を示す。
【0110】
図4は、本発明の一実施形態による、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するための別の方法400を示す。方法400において、処理システム220は、相互相関に基づいて変形の尺度を決定する。この方法は変形の尺度のよりロバストな決定を提供することができ、特に、音響的に半透明なスタンドオフ層に隣接する層が、音響的に半透明なスタンドオフ層と同様の音響インピーダンスを有する場合に使用することができる(この場合、スタンドオフ層の遠位表面を検出することが困難である)。
【0111】
方法400は、超音波信号235を処理することによって超音波画像が生成されるステップ410で開始する。超音波画像は、音響的に半透明なスタンドオフ層の少なくとも一部を含む画像である。
【0112】
ステップ420において、生成された画像と基準画像との相互相関が実行される。基準画像は音響的に半透明なスタンドオフ層を変形させる力がないときの音響的に半透明なスタンドオフ層240の超音波画像に対応する画像 (例えば、空気中で撮影された画像、又はスタンドオフ層上の圧力がゼロになるように得られた画像) である。
【0113】
相互相関は画像処理の分野における周知の技術であり、2つの画像間の構造の変位を測定するために使用することができる。例えば、Bilgen及びInsana(1996)の「Deformation models and correlation analysis in elastography」( J. Accoust. Soc.Am., 99(5):3212―3224)、及びPintonら(2006)の「超音波を用いた小変位の迅速な追跡」(IEEE Transactions on Ultrasonics、Ferroelectrics、and Frequency Control、53(6):1103―1117)である。
【0114】
変形された音響的に半透明なスタンドオフ層240の超音波画像を、変形されていない音響的に半透明なスタンドオフ層の超音波画像と相互相関させることによって(すなわち、力が加えられていないとき)、撮像軸の方向の変位(すなわち、軸方向の歪み)を決定することができる。相互相関は、一連の1D方位線相関又は2D相互相関とすることができる。
【0115】
いくつかの例では、基準画像が音響的に半透明なスタンドオフ層240を撮像する超音波システムのユーザによって取得され得る。ユーザは、例えばユーザインターフェースにユーザ命令を出力することによって、この画像を撮影するように促され得る。
【0116】
他の例では、基準画像が超音波信号235から生成され得る。処理システムは超音波信号を処理して複数のフレームを生成することができ、画像コンテンツを有する第1のフレーム(すなわち、完全に黒ではない第1のフレーム)を基準画像として選択することができ、一方、後のフレームを基準画像と相互相関する超音波画像として選択することができる。このアプローチは、超音波装置が被検体210に押し付けられる前に超音波装置230が超音波信号の取得を開始する場合に使用され得る。
【0117】
さらに他の例では、基準画像が力が加えられないときに音響的に半透明なスタンドオフ層を表すデータから生成される、シミュレートされた画像であってもよい。
【0118】
生成された画像(及び/又は基準画像)は、相互相関が実行される前に前処理され得る。前処理で使用されるパラメータは、超音波信号235を取得するときに超音波装置230によって使用される撮像周波数と、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性とに基づいて選択され得る。軸補間及び方位間引きなど、生成された画像を前処理するための適切な画像処理技術は、当業者には明らかであろう。
【0119】
ステップ430において、相互相関の結果に基づいて、変形の測定値が決定される。変形の尺度は、相互相関に基づいて撮像軸の方向の変位から決定される軸方向歪みであってもよい。
【0120】
図2に戻って、音響的に半透明なスタンドオフ層240の変形の尺度を決定すると、処理システム220は超音波装置インタラクションインジケータを生成するために、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度及び一つ又はそれより多くの特性245を処理する。超音波装置インタラクションインジケータは、超音波装置230によって被検体210に加えられる力又は圧力、及び被検体に対する超音波装置の方向を表す。
【0121】
力/圧力と軸方向歪み(又は変形した厚さ)との間の関係は非常によく知られており、したがって、変形の測定値及び音響的に半透明なスタンドオフ層240の一つ又はそれより多くの特性に基づいて、超音波装置230によって加えられる力又は圧力を表す超音波装置インタラクションインジケータを生成するための方法は、当業者には容易に明らかになるのであろう。超音波装置インタラクションインジケータが圧力の数値を含む場合、超音波装置インタラクションインジケータは超音波装置の超音波出射面(すなわち、音響的に半透明なスタンドオフ層と接触しているか、又はそれに最も近い表面)の表面積にさらに基づいて生成され得る。表面積は例えば、ユーザ入力を介して取得されてもよく、又はメモリユニット250に記憶されてもよい。
【0122】
被検体210に対する超音波装置230の方向を表す超音波装置インタラクションインジケータは、音響的に半透明なスタンドオフ層240にわたる変形された厚さ、力、及び/又は圧力の差に基づいて生成され得る。圧力、力、又は厚さの勾配はまた、プローブの方向の方向を示す。圧力、力、又は厚さが、音響的に半透明なスタンドオフ層にわたって同じ、又は実質的に同じである場合、これは超音波装置の撮像軸が被検体の皮膚に対して垂直で又は実質的に垂直であることを示す。変形された厚さがより薄いか、又は力/圧力がより大きい場合、音響的に半透明なスタンドオフ層の一方の側で、これは、超音波装置が音響的に半透明なスタンドオフ層のこの側に向かって傾斜していることを示す。
【0123】
超音波装置インタラクションインジケータは数値インジケータ(たとえば、超音波装置230によって、又は超音波装置の方向の角度の数値)、カテゴリインジケータ(たとえば、「圧力が高すぎる」、「圧力が正しい」、「圧力が低すぎる」、「力が高すぎる」、「力が正しい」、「力が低すぎる」、「方向が正しい」、「傾いた左」、「傾いた右」)、又はバイナリインジケータ(たとえば、「結合されている」又は「結合されていない」)であり得る。
【0124】
カテゴリ又はバイナリ超音波装置インタラクションインジケータは例えば、複数の所定の超音波装置インタラクションインジケータのうちの1つを選択することによって生成され得る。一つ又はそれより多くの閾値(すなわち、圧力値、力値、又は変形の尺度の閾値)を使用して、複数の所定の超音波装置インタラクションインジケータのうちのどれを選択すべきかを決定することができる。
【0125】
たとえば、3つの所定の超音波装置インタラクションインジケータ(たとえば、「圧力が低すぎる」、「圧力が正しすぎる」、及び「圧力が高すぎる」)が存在する場合、処理システム220は力、圧力、又は変形の尺度が第1の所定の閾値を超えないという決定に応答して、第1の所定の超音波インジケータ(たとえば、「圧力が低すぎる」)と、力、圧力、又は変形の尺度が第1の所定の閾値を超えるが、第2のより高い所定の閾値を超えないという決定に応答して、第2の所定の超音波インジケータ(たとえば、「圧力が正しすぎる」)と、第2の所定の超音波装置インタラクションインジケータ(たとえば、「圧力が高すぎる」)とを選択し得る。
【0126】
別の例では、超音波装置相互作用インジケータがバイナリインジケータ(たとえば、「結合された」又は「結合されていない」)である場合、処理システム220は変形の力、圧力、又は測定値がこの閾値を超えないという決定に応答して第1の所定の超音波装置相互作用インジケータ(たとえば、「結合されていない」)を選択し、変形の力、圧力、又は測定値がこの閾値を超えるという決定に応答して第2の所定の超音波装置相互作用インジケータ(たとえば、「結合されている」)を選択することができる。
【0127】
いくつかの例では、処理システム220が音響的に半透明なスタンドオフ層240の一つ又はそれより多くの特性に基づいて、一つ又はそれより多くの閾値を決定し得る。例えば、一つ又はそれより多くの特性が所定の非ゼロ圧縮力又は圧力で少なくとも1つの厚さを含む場合、所定の力又は圧力は、閾値力又は圧力として選択されていてもよい。次いで、所定の力又は圧力における厚さを閾値厚さとして定義することができ、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形厚さを含む変形の尺度を閾値厚さと比較することができる。したがって、力又は圧力(例えば、力/圧力が高すぎるか、低すぎるか、又は所望のレベルであるかどうか)を表すカテゴリ的超音波装置インタラクションインジケータは、音響的に半透明なスタンドオフ層の(現在の)変形された厚さの測定値から直接生成され得る。
【0128】
いくつかの例では、超音波装置インタラクションインジケータがオーディオ及び/又はビジュアルインジケータなど、ユーザが知覚可能な出力を制御又は定義するために使用され得る。例えば、超音波装置インタラクションインジケータは、音、光、画像、及び/又はテキスト表示を制御又は定義するために使用され得る。
【0129】
処理システム220は、出力インターフェース222において、超音波装置インタラクションインジケータを出力ユーザインターフェース260に出力することができる。
図2では超音波装置インタラクションインジケータがスマートフォンディスプレイに提供されるが、出力ユーザインターフェースはユーザが知覚可能な出力を提供するのに適した任意の装置であり得る。例えば、出力ユーザインターフェースは、表示装置、スピーカ、又は光であってもよく、又はそれを備えてもよい。いくつかの例では出力ユーザインターフェースはまた、ユーザ入力を受信するように構成され得る(例えば、出力ユーザインターフェースはタッチスクリーン装置であり得る)。
【0130】
図5は、超音波装置インタラクションインジケータに対応する出力例を示す。
図5の例は、Philips Lumifyなどの超音波アプリケーションの一部として、スマートフォン又はタブレットのディスプレイにおいて出力される。
【0131】
出力例510は、「未結合」を読み取るテキスト表示を含む。この出力は、超音波装置230が被検体210に力又は圧力を加えていないことを示す超音波装置インタラクションインジケータに応答して提供され得る。
【0132】
例示的な出力520は、複数の可能な力/圧力状態(「オフ」、「低」、「中」、及び「高い」)と、どの状態が超音波装置インタラクションインジケータに対応するかを示す矢印とを含むテキスト表示を含む。
【0133】
例示的な出力530は、超音波装置インタラクションインジケータによって及ぼされる力の数値を提供するテキスト表示を含む。
【0134】
超音波装置インタラクションインジケータによって制御又は定義される適切なユーザ知覚可能出力のさらなる例は、当業者には明らかであろう。例えば、色強調表示は複数の状態のうちのどれが超音波装置インタラクションインジケータに対応するかを示すために使用されてもよく、又は図は超音波装置の方向を示してもよい。
【0135】
いくつかの例では、超音波装置インタラクションインジケータが出力ユーザインターフェースに提供されることに加えて、又は代替的に、超音波装置230の動作を制御するために使用され得る。例えば、処理システム220は、力又は圧力が所望の力又は圧力を超えるという決定に応答して、解剖学的構造の超音波撮像データを取得するように超音波装置を制御することによって、解剖学的構造の測定値を取得し得る。別の例では、決定された力又は圧力が歪みエラストグラフィーにおける閾値トリガとして使用され得る。
【0136】
上述のように、本発明は超音波装置インタラクションインジケータを生成するために、音響的に半透明なスタンドオフ層を利用する。音響的に半透明なスタンドオフ層の(ゼロ力状態)厚さは、超音波画像アプリケーション又は標的撮像解剖学的構造のタイプに従って選択され得る。より厚い音響的に半透明なスタンドオフ層は超音波装置の視野を増加させるが、骨及び他の高減衰材料を通した撮像の困難さも増加させる。したがって、薄い音響的に半透明なスタンドオフ層、例えば3mmが例えば経頭蓋及び心尖部心臓用途に好ましい場合があり、より厚い音響的に半透明なスタンドオフ層、例えば7mmが血管用途に使用され得る。
【0137】
他の要因もまた、音響的に半透明なスタンドオフ層の選択された厚さに影響を及ぼし得る。例えば、変形の測定の容易さは厚さが増加することにつれて(圧縮移動が長くなるにつれて)増加するが、より厚い音響的に半透明なスタンドオフ層は増加した脆弱性及び減衰を有する。
【0138】
音響的に半透明なスタンドオフ層は、ヒステリシス挙動を示し得る。歪ヒステリシスは、軸方向歪からの力/圧力の決定に影響を及ぼす周知の現象である。ヒステリシス効果は、連続的な力の印加により大きくなる。
【0139】
いくつかの例では、音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性がヒステリシス挙動を含み得、超音波装置相互作用インジケータを生成するときに、この挙動を考慮に入れることを可能にする。
【0140】
いくつかの例では、処理システム220が音響的に半透明なスタンドオフ層内のヒステリシスを監視するように構成され得る。例えば、処理システムは音響的に半透明なスタンドオフ層の歪ヒステリシスの測定値を決定するために、音響的に半透明なスタンドオフ層及び超音波信号235の一つ又はそれより多くの特性を処理することができる。処理システムは次いで、歪みヒステリシスの尺度が所定のヒステリシス閾値を超えるという決定に応答して、音響的に半透明なスタンドオフ層が置換を必要とするという指示を生成し、出力インターフェース222において指示を(たとえば、ユーザ出力インターフェース260に)出力し得る。所定のヒステリシス閾値は、超音波装置インタラクションインジケータの所望のレベルの不確定性に従って定義され得る。
【0141】
いくつかの例では、ヒステリシスの影響を低減するために、音響的に半透明なスタンドオフ層を選択することができる。例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層の剛性は、ヒステリシス挙動に影響を及ぼす。音響的に半透明なスタンドオフ層は例えば、ヒステリシス効果を低減し、超音波装置インタラクションインジケータの信頼性を改善するために、従来のゲルパッド(例えば、Parker Aquaflex(登録商標)ゲルパッド)で使用される材料よりも高い剛性を有する材料で形成されてもよい。しかしながら、音響的に半透明なスタンドオフ層の剛性を増加させることはまた、変形の尺度を決定することの難しさを増加させ、したがって、ヒステリシスの減少と変形の尺度を決定する能力との間にトレードオフが存在する。
【0142】
他の例では、ヒステリシス問題が音響的に半透明なスタンドオフ層を1回だけ使用することによって回避され得る。言い換えれば、音響的に半透明なスタンドオフ層は、気密パッケージで保存される使い捨てスタンドオフ層であってもよい。これは、音響的に半透明なスタンドオフ層が無菌のスタンドオフ層として提供され得るというさらなる利点を有する。
【0143】
音響的に半透明なスタンドオフ層240は、超音波装置と被検体の皮膚215との間に配置される。いくつかの例では、音響的に半透明なスタンドオフ層が音響的に半透明なスタンドオフ層を超音波装置に固定するための結合部を備えてもよい。これは、音響的に半透明なスタンドオフ層の装置及び位置決めを助ける。
【0144】
図6は、結合を含む例示的な音響半透明のスタンドオフ層640を示す。例示的な音響的に半透明なスタンドオフ層640は、ゲルパッド641と、音響的に半透明なスタンドオフ層の周囲を囲む接着剤「スカート」642とを備える。接着スカートは、ゲルパッドに取り付けられ、音響的に半透明なスタンドオフ層を超音波装置に取り付けることを可能にする接着表面を有する。接着剤スカートはその中心に切り欠きを有し、音響的に半透明なスタンドオフ層は、切り欠き領域が超音波装置の超音波放射領域に対応するように超音波装置上に配置され得、接着剤スカートが超音波装置によって取得された超音波信号に影響を及ぼさないことを確実にする。
【0145】
他の結合が想定され、クリップ、クランプ、及びストラップなどの適切な結合は、当業者には明らかであろう。例えば、音響的に半透明なスタンドオフ層は、超音波プローブにクリップ留めされる剛性ケースに取り付けられてもよい。
【0146】
図7は、本発明の一実施形態による、超音波装置インタラクションインジケータを生成するためのコンピュータ実装方法700を示す。超音波装置インタラクションインジケータは、超音波装置によって被検体に及ぼされる力又は圧力、及び/又は被検体に対する超音波装置の方向を表すインジケータである。
【0147】
この方法は、超音波装置の表面と被検体の皮膚との間の音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性が得られるステップ710から始まる。
【0148】
ステップ720において、超音波信号が超音波装置から取得される。超音波信号は、一つ又はそれより多くのスキャン線の各々について異なる深度から超音波装置によって受信された複数の超音波エコーを表す。
【0149】
ステップ730において、超音波信号は、音響的に半透明なスタンドオフ層の変形の尺度を決定するために処理される。
【0150】
ステップ740において、超音波装置インタラクションインジケータを生成するために、変形の測定値及び音響的に半透明なスタンドオフ層の一つ又はそれより多くの特性が処理される。
【0151】
開示された方法は、コンピュータで実施される方法であることが理解されるのであろう。したがって、前記プログラムが処理システム上で実行されるときに、任意の説明された方法を実装するためのコードを備えるコンピュータプログラムの概念も提案される。
【0152】
当業者は、本明細書に記載の方法を実行するためのプロセッサを容易に開発することができるのであろう。したがって、フローチャートの各ステップは、プロセッサによって実行される異なるアクションを表し得、プロセッサのそれぞれのモジュールによって実行され得る。
【0153】
上述のように、システムは、データ処理を実行するためにプロセッサを利用する。プロセッサは必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、多数の方法で実装され得る。プロセッサは典型的には必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る一つ又はそれより多くのマイクロプロセッサを使用する。プロセッサは、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するための一つ又はそれより多くのプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路との組合せとして実装され得る。
【0154】
本開示の様々な実施形態において使用され得る回路の例は従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0155】
様々な実装形態では、プロセッサがRAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの一つ又はそれより多くの記憶媒体に関連付けられ得る。記憶媒体は、一つ又はそれより多くのプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、必要な機能を実行する一つ又はそれより多くのプログラムで符号化され得る。様々な記憶媒体は、プロセッサ内に固定されてもよく、又はコントローラはその上に記憶された一つ又はそれより多くのプログラムがプロセッサにロードされ得るように、移送可能であってもよい。
【0156】
開示された実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0157】
プロセッサによって実装される関数は、単一のプロセッサによって、又は「プロセッサ」を構成するとみなされ得る複数の別個の処理ユニットによって実装され得る。そのような処理ユニットは場合によっては互いに遠隔にあり、有線又は無線方式で互いに送信し得る。
【0158】
相互に異なる従属請求項に記載された手段は、有利に組み合わせることができる。
【0159】
コンピュータプログラムは他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくはワイヤレス電気通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
【0160】
「に適合された」という用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「に適合された」という用語は、「に構成された」という用語と等価であることが意図されることに留意されたい。用語「装置」が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、用語「装置」は、用語「システム」と等価であることが意図され、逆もまた同様である。
【0161】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】