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特表2025-503993多環式ジサリチレートリンカーの合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】多環式ジサリチレートリンカーの合成
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/15 20060101AFI20250130BHJP
   C07C 65/105 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
C07C51/15
C07C65/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544697
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 US2023061257
(87)【国際公開番号】W WO2023147354
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/304,287
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】カペレフスキー,マシュー ティー
(72)【発明者】
【氏名】ウエストン,サイモン シー
(72)【発明者】
【氏名】フェイラー,キャサリン エイ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC46
4H006BB25
4H006BB70
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC19
4H006BC35
4H006BE41
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BS30
(57)【要約】
多環式ジサリチレートリンカーを合成するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、反応環境において溶媒の量を低減または最小化しながら(別の溶媒を持たない可能性まであるような)、ジサリチレートリンカーを合成することを可能にする。合成は、出発試薬として4,4’-ビフェノール等の化合物から出発して行うことができる。次に、4,4’-ビフェノール(および/または他のアルコール置換ビフェニル化合物)を、塩基の存在下、加圧されたCOに反応環境でさらすことができる。反応環境中の温度および圧力は、COの超臨界条件(ニートCOの相図に基づく)および/または超臨界条件に実質的に類似する亜臨界条件のいずれかを達成するために上昇させることができる。これにより、4,4’-ビフェノール(または他のアルコール置換ビフェニル化合物)を多環式ジサリチレートリンカーに変換することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多環式ジサリチレート化合物の製造方法であって、以下を含む製造方法:
i)多環式芳香族アルコールおよび塩基から本質的になる、または
ii)多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を反応器容積中に含み、前記溶媒は50vol%以上のジオキサンを含む、試薬混合物を形成すること、
COを反応器容積に添加すること、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱すること、前記処理温度における反応器容積は1.0MPa-a以上の全圧を含むこと、および
反応器容積を前記処理温度で0.5時間以上維持し、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成すること。
【請求項2】
多環式ジサリチレート生成物の少なくとも一部を生成物混合物から分離することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
処理温度における全圧が、1.0MPa-a~7.35MPa-aである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
処理温度における全圧が、1.0MPa-a~6.5MPa-aである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
処理温度における全圧が、7.40MPa-a~20MPa-aである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
処理温度が、150℃~500℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
試薬混合物を形成することが、0.5~2.0の塩基に対する多環式芳香族アルコールのモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
試薬混合物を形成することが、0.15~2.0の塩基に対する多環式芳香族アルコールのモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
多環式芳香族アルコールが4,4’-ビフェノールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
塩基が炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、水酸化アルカリ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれかに一項に記載の製造方法。
【請求項11】
多環式芳香族アルコールが、芳香族環の炭素に結合した少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、芳香族環のオルト位の各炭素原子が水素に結合している、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
試薬混合物を形成することが、3.0以下の多環式芳香族アルコールに対する溶媒のモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
試薬混合物が、多環式芳香族アルコールと塩基から本質的になる、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
試薬混合物が、多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を含む、請求項1~12のいずれかに一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
金属有機構造体材料を形成するためのリンカーとして有用なジサリチレート化合物等の、ジサリチレート化合物の合成方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
金属有機構造体材料は、2座リンカー(または他の多座リンカー)によって配位された金属イオンを含み、結晶構造を形成する化合物である。金属とリンカーの性質によって、金属有機構造体は商業的に興味深い様々な特性を有することができる。
【0003】
分離および/または触媒用途での使用に関心のある金属有機構造体材料の一群は、多環式ジサリチレートリンカーを含む金属有機構造体材料である。MOF-274は、多環式ジサリチレートリンカーを含む金属有機構造体材料の一例である。多環式ジサリチレートリンカーをベースとする金属有機構造体材料は、流体ストリームからのCOおよび/または他の成分の選択的吸着に使用できる可能性がある。
【0004】
MOF-274のような材料を商業的用途に応用する際の困難の一つは、多環式ジサリチレートリンカーを既存の方法で製造するのが比較的高価であることである。多環式ジサリチレートリンカーの合成のためのいくつかの従来の方法は、商業的な量のリンカーの生産のためのスケールアップが困難な方法に相当する。加えて、あるいはその代わりに、いくつかの合成法は試薬として高コストの出発原料を必要とすることがある。必要とされているのは、ジサリチレートリンカーを合成するための改良された方法であり、より大量のリンカーを合成するために容易にスケールアップすることができ、同時に合成に関連するコストを削減または最小化することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2021/0230092号明細書には、塩基の存在下、アミド溶媒(ジメチルホルムアミド等)中における4,4-ビフェノールの反応に基づいて、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸]を形成する方法が記載されている。この反応は、従来の合成法よりも低い圧力と低い温度で実施できる合成ルートを提供することで有益であると説明されている。
【発明の概要】
【0006】
様々な態様において、多環式ジサリチレート化合物の製造方法が提供される。この方法は試薬混合物を形成することを含む。いくつかの態様において、試薬混合物は、反応器容積中の多環式芳香族アルコールおよび塩基から本質的になり得る。他の態様において、試薬混合物は、反応器容積中の多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を含むことができ、溶媒は50vol%以上のジオキサンを含む。本方法は、反応器容積にCOを添加することをさらに含む。本方法はさらに、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱することを含み、反応器容積は処理温度で1.0MPa-a以上の全圧を有する。さらに、この方法は、反応器容積を処理温度で0.5時間以上維持して、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本明細書に記載の方法に従って多環式ジサリチレート生成物を形成することによる反応生成物のH-NMR特性を示す。
【0008】
図2図2は、本明細書に記載の方法に従って多環式ジサリチレート生成物を形成することによる反応生成物の13C-NMR特性を示す。
【0009】
図3図3は、本明細書に記載の方法に従って多環式ジサリチレート生成物を形成することによる反応生成物のH-NMR特性評価の別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲に記載された数値はすべて、「約(about)」または「おおよそ(approximately)」で修飾されており、当業者であれば予想される実験誤差およびばらつきを考慮している。
【0011】
様々な態様において、多環式ジサリチレートリンカーを合成するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、反応環境において溶媒の量を低減または最小化しながら(例えば、別の溶媒を有さない可能性まで)、ジサリチレートリンカーを合成することを可能にする。合成は、出発試薬として4,4’-ビフェノール等の化合物から出発して行うことができる。次に、4,4’-ビフェノール(および/または他のアルコール置換ビフェニル化合物)を、塩基の存在下、反応環境中で加圧COに曝すことができる。いくつかの態様において、塩基は、KHCO、KCO、NaOH、または他の好適な選択のような固体塩基に対応し得る。反応環境の温度と圧力は、COの超臨界条件(ニートCOの相図に基づく)および/または超臨界条件と実質的に類似した亜臨界条件のいずれかを達成するために上昇させることができる。これにより、4,4’-ビフェノール(または他のアルコール置換ビフェニル化合物)を多環式ジサリチレートリンカーに変換することができる。
【0012】
従来、多環式ジサリチレートリンカーの形成は溶媒環境で行われてきた。多環式ジサリチレートリンカーを形成するための試薬の水への溶解度は比較的低いため、従来の溶媒はトリクロロベンゼンまたはジメチルホルムアミド等の溶媒に相当する。このような溶媒ベースの合成法は、多環式ジサリチレートリンカーを製造するのに有効であるが、金属有機構造体材料を商業規模で製造するためのスケールアップに関しては、いくつかの課題がある。第一に、このような溶媒ベースの合成法は、実験室スケールのビーカーから商業スケールの生産タンクに合成条件を変更しようとすると、しばしば困難を伴うことがある。第二に、トリクロロベンゼンやジメチルホルムアミド等の溶媒は危険なため、そのような物質を大量に含む大きな反応器は避けることが望ましい。
【0013】
このような従来の方法とは対照的に、多環式芳香族アルコール化合物を、塩基の存在下、超臨界状態または超臨界状態に近い温度・圧力条件下でCOにさらすことにより、多環式ジサリチレート化合物を形成できることが発見された。(ニートCOの相図による)COの超臨界状態を達成するのに必要な温度と圧力は、反応器設計の観点からよく理解されている温度と圧力である。このような高温高圧を使用することで、溶媒の必要性を実質的に、あるいは完全に回避することができる。溶媒を反応環境に含めることができるが、溶媒を必要としないので、反応環境に含める溶媒の体積を比較的少量に維持することができる。さらに、溶媒を必要としないので、反応環境に含まれる「溶媒」は、任意に、多環式ジサリチレートリンカーを製造するために使用される試薬に限定された溶解性しか与えない溶媒に対応することができる。
【0014】
本明細書に記載した合成の反応条件は、例えばサリチル酸の製造に使用できるKolbe-Schmitt反応の反応条件と同様であることに留意されたい。しかしながら、多環式芳香族アルコール化合物を多環式試薬として使用することにより、様々なプロセスの利点を得ることができる。第一に、純粋なCOの相図に対して、超臨界以下の反応圧力で反応を行うことができる。これは、反応を行うための加圧容器の構造的要件を低減または最小化できるため、商業的なスケールアップに有益である。
【0015】
第二に、標的化合物によっては、多環式ジサリチレート化合物を形成するための合成条件は、従来のKolbe-Schmitt反応と比較して、生成物の純度に関して予想外の利点を提供することができる。特に、目的とするジサリチレート生成物によっては、多環式ジサリチレートを形成することで、従来のKolbe-Schmittプロセスに関連し得る立体化学の不確実性を回避することができる。従来のKolbe-Schmitt反応を用いてナトリウムフェノキシドからサリチル酸を形成する場合、CO付加は芳香族環上のオルト位とパラ位の両方で起こりうる。これとは対照的に、目的とするジサリチレート生成物によっては、反応生成物をより高度に制御することができる。例えば、多環式試薬として4,4-ビフェノールを使用する場合、パラ位はビフェニル結合で占められているため、COとの反応には利用できない。このビフェニル結合は自由に回転するため、どちらのオルト位でも同じ生成物が得られる。これにより、異性体を実質的に含まない反応生成物を製造しながら、Kolbe-Schmittスタイルのプロセスを使用できるという予想外の利点が得られる。
【0016】
Kolbe-Schmitt型プロセスに対する利点に加えて、本明細書に記載されるような多環式ジサリチレート化合物の合成は、Kolbe-Schmitt型プロセスの利点のいくつかを共有することができる。例えば、Kolbe-Schmitt型反応は、サリチル酸(アスピリン製造の前駆体として)の製造に既に工業的に使用されている。したがって、多環式ジサリチレートの製造のための実験室規模の方法とは対照的に、本明細書に記載の合成法は、多環式ジサリチレート化合物の商業的量の製造のために容易にスケールアップできると考えられる。
【0017】
反応環境として高圧高温COを使用するもう一つの利点は、このような環境はジサリチレート生成化合物の回収を単純化できることである。4,4’-ビフェノール等の試薬は、水やアルコールへの溶解度が比較的低い。これとは対照的に、多環式ジサリチレート化合物は一般的に水に溶けやすく、様々な種類のアルコールに溶けることが多い。そのため、多環式ジサリチレートを生成する合成反応を行った後、生成物に水を加えることで、生成化合物(ジサリチレート)と未反応の多環式試薬(4,4-ビフェノール等)とを分離することができる。未反応の多環式試薬は、得られた混合物からろ過によって分離することができる。その後、水を酸性にして目的のジサリチレート生成物を沈殿させることができる。
【0018】
この合成から得られる化合物はジサリチレートとして記載されていることに留意されたい。芳香族環に結合した3個以上のアルコール基を有する適当な出発試薬を用いれば、2個以上のサリチル酸基を有する化合物も形成され得ることが理解される。この議論では、合成法の説明の便宜上、生成化合物をジサリチレートとして記述する。
【0019】
定義
この議論では、芳香族環に結合した2つ以上のヒドロキシルを含む多環式化合物は、化合物内に存在する可能性のある他の置換基とは無関係に、多環式芳香族アルコールとして定義される。いくつかの態様において、多環式芳香族アルコール中の少なくとも2つの異なる芳香族環中の炭素原子は、ヒドロキシル基に結合している炭素原子に対応し得る。この定義では、縮合環構造内の環は別々の環としてカウントされるため、ナフタレン(C10)は2つの芳香族環を含む化合物として定義される。
【0020】
様々な態様において、多環式芳香族アルコールの芳香族環は炭素原子のみを含むことができ、窒素や酸素等の「ヘテロ原子」は多環式芳香族アルコールの芳香族環には存在しない。特定の理論に束縛されることなく、このようなヘテロ原子の存在は反応機構を阻害させると考えられている。
【0021】
本明細書において、「多環式」という用語は、2つ以上の環構造(ring structure)(すなわち、環状構造(cyclic structures))を含む化合物を指すものと定義する。環は、ナフタレン型構造のような縮合環、ビフェニル結合のような原子を共有せずに結合した環、またはメチル結合によって分離された環のような1つ以上の原子によって分離された環に対応することができる。これは単環化合物とは対照的である。多環式化合物は、複数の芳香族環、複数の非芳香族環(飽和環および/または芳香族性を提供するには不十分な数の二重結合を含む環等)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
この議論において、反応器とは、本明細書に記載された反応を実施するための加圧高温反応環境を提供するために使用できる任意の器(vessel)、容器(container)、パイプ、または他の構造として定義される。
【0023】
合成法と生成物の回収
様々な態様において、多環式ジサリチレート化合物は、高温高圧の反応条件下で試薬をCOにさらすことにより形成することができる。多環式ジサリチレート化合物を形成するための反応環境は、a)芳香族環の炭素に結合した2つ以上のヒドロキシル基を含む多環式アルコール試薬、b)塩基、およびc)COを含むことができる。
【0024】
いくつかの態様において、反応環境中の試薬は、多環式アルコール、塩基、およびCOから本質的になり得る。反応環境中の試薬が本多環式アルコール、塩基、およびCOから質的になるそのような態様において、不活性ガス(例えば、N)のような他の成分が反応環境中に存在し得る。さらに、反応環境中の試薬が多環式アルコール、塩基およびCOから本質的になるような態様では、試薬に付随する水和水により水が存在することがあるが、いくつかの態様では、合成前に試薬を乾燥させて水和水を除去することが好ましい場合がある。水和水として存在する水は、反応中にその場で発生する水と結合することができる。任意に、試薬はすべて、合成手順の開始前に固体形態にすることができる。
【0025】
他の態様では、溶媒を存在させることもできる。溶媒が存在する場合、溶媒は好ましくは50vol%以上のジオキサンに相当し得る。トリクロロベンゼンまたはジメチルホルムアミド等のジサリチレートのための従来の合成溶媒も含まれ得るが、そのような溶媒を含めると、合成法の利点のいくつかが減少する傾向があることに留意されたい。特に、このような溶媒を含むと、反応を行うために必要な制限および/または特別な手順が増える傾向がある。
【0026】
多環式アルコール試薬は、化合物内の芳香族環の炭素に結合した少なくとも2つのヒドロキシル(-OH)基を含む多環式化合物に対応することができる。試薬中のアルコール基の相対的な位置が、所望の化合物または標的化合物中のサリチル酸基のヒドロキシル基部分の位置と一致するように、試薬を選択することができる。各ヒドロキシル基に対する芳香族環上の少なくとも1つの「オルト」位置も、カルボキシレート基を形成するためのCOの付加を可能にするために利用可能である必要がある。いくつかの態様では、カルボキシレート基が付加される場所に対して「メタ」である場所に置換基を有することによる収率への悪影響を低減または最小化するように、両方の「オルト」位置が利用可能であることによって、いくつかの利点が提供され得る。ジサリチレートの形成には、多環式アルコール試薬化合物中に少なくとも2つのアルコール基が存在することが必要であることに留意されたい。
【0027】
多環式アルコール試薬の一例は4,4’-ビフェノールである。各アルコール基に対してオルト位にカルボキシレート基を付加することにより、化合物4,4’-ジヒドロキシ-1,1’-ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸を形成することができる。この化合物は、HDOBPDCと呼ぶことができる。ビフェニル結合が自由に回転し、不斉中心がないため、カルボン酸をオルト位に添加しても同じ化合物が生成する。
【0028】
別の試薬は塩基であり得る。適切な塩基の例としては、炭酸アルカリ、重炭酸(又は炭酸水素;bicarbonate)アルカリ、および水酸化アルカリが挙げられるが、これらに限定されない。塩基の例としては、KOH、KHCO、KCO、NaOH、NaHCO、NaCO、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基は反応環境内で化学量論的役割を果たし、その結果、環にカルボキシレート基を付加する反応の副産物として水が形成されることに留意されたい。さらに、COは、試薬と反応媒体の両方の役割を果たす。
【0029】
多環式ジサリチレート化合物の合成を開始するには、多環式アルコール試薬、塩基、およびCOを反応器に加えることができる。その後、反応器を加熱・加圧する。反応器は、任意の都合の良い順序で加熱および加圧することができる。例えば、気相COを25℃付近の温度で添加することにより、反応器を最初に第一の圧力値まで加圧することができる。所望量のCOを添加した後、反応器を加熱することができる。これにより、COが気相にあるか、超臨界流体として存在するため、圧力がさらに上昇する。加圧と加熱は、多環式ジサリチレート化合物を形成する反応を行うための目標条件を達成するために、都合のよい方法で行うことができる。
【0030】
様々な態様において、反応は、反応環境を150℃以上、または200℃以上、または250℃以上、例えば500℃まで、または場合によってはさらに高い温度に維持することによって行うことができる。温度は、反応時間の間、このような目標範囲内に維持することができる。圧力に関しては、様々な態様において、反応環境内の全圧は、反応環境内のCOの圧力に実質的に対応することができる。種々の態様において、反応環境内の全圧は、1.0MPa-a以上、または3.5MPa-a以上、または6.0MPa-a以上、または7.38MPa-a以上、例えば20Mpa-aまで、または場合によってはさらに高い圧力に維持することができる。いくつかの態様において、反応環境は、反応時間の間、純粋なCOの超臨界点未満の全圧に維持することができる。このような態様では、全圧は、反応時間の間、1.0MPa-a~7.35MPa-a(すなわち、超臨界圧7.38MPa-a以下)、または3.5MPa-a~7.35MPa-a、または5.0MPa-a~7.35MPa-a、または6.0MPa-a~7.35MPa-a、または1.0MPa-a~7.0MPa-a、または1.0MPa-a~6.5MPa-a、または3.5MPa-a~7.0MPa-aであることができる。他の流体が存在するため、反応環境中の全圧がCOの圧力より高くなることがあることに注意されたい。例えば、多環式ジサリチレート生成物を形成する反応中に水が発生する。水のモル量は、反応環境中のCOのモル量に対して一般的に少量であるが、それにもかかわらず、そのような水は、総圧がCOの圧力よりもわずかに高くなる一因となる可能性がある。試薬混合物に別の溶媒(ジオキサン等)を加えた場合、全圧とCO分圧の差はより大きくなる。
【0031】
反応環境は、0.5時間~48時間、または0.5時間~24時間、または0.5時間~12時間、または0.5時間~6.0時間、または4.0時間~8.0時間の反応時間、目標範囲内の温度および/または圧力に維持することができる。より長い時間を使用することも可能であるが、そのような長い反応時間は、反応器の達成可能な処理能力を低下させる傾向があることに留意されたい。
【0032】
反応環境中の多環式芳香族アルコール試薬および塩基の量は、反応環境中の塩基に対するアルコール試薬のモル比が0.3~3.0の間(すなわち、0.3対1~3.0対1.0の間)、または0.15~3.0の間、または0.15~2.0の間、または0.5~2.0の間、または0.8~1.2の間になるように選択することができる。COの量は、多環式芳香族アルコール試薬の量に対して実質的にモル過剰のCOが反応環境中に存在するように、任意の好都合な量とすることができ、例えば、多環式芳香族アルコール試薬のモル量の少なくとも5.0倍であるCOのモル量を有するようにすることができる。反応環境を少なくとも部分的に加圧するためにCOを使用する場合、通常、実質的にモル過剰のCOが存在することに留意されたい。
【0033】
任意で、溶媒も反応環境に含めることができる。ジオキサンはそのような溶媒の例である。いくつかの態様において、溶媒の量は、溶媒の重量が反応環境中の多環式芳香族アルコールおよび塩基の合計重量に匹敵するか、またはそれ未満となるように、低減または最小化することができる。そのような態様において、溶媒の重量は、多環式芳香族アルコールおよび塩基の合計重量の3.0倍未満、または2.0倍未満、または1.0倍未満、または0.5倍未満とすることができ、例えば、反応環境中に溶媒を実質的に有さないようにすることができる。多環式ジサリチレート化合物を形成する反応プロセスでは、化学量論的に、形成されるサリチル酸基1つにつき水1つが生成するため、多環式芳香族アルコールと塩基が乾燥した固体試薬として反応環境に導入されても、少量の水が反応環境中にその場で生成することに留意されたい。
【0034】
溶媒として水のみを使用することは、本明細書に記載した合成条件下でのジサリチレートリンカーの形成には有効ではないことに留意されたい。しかしながら、ジオキサンを溶媒として使用できることが予想外に発見された。溶媒の双極子モーメントから、水が溶媒として使用できない場合にジオキサンが溶媒として使用できることは予想外であった。特に、ジメチルホルムアミド(双極子モーメント3.86デバイ)が溶媒として使用できることが知られている。水(双極子モーメント1.85デバイ)は、溶媒として使用した場合、ジサリチレートの有意義な生成をもたらさない。しかしながら、ジオキサン(双極子モーメント0.45デバイ)はジサリチレートの生成をもたらす。
【0035】
反応環境を圧力と温度の目標範囲に反応時間維持した後、反応を停止することができる。その後、多環式ジサリチレート生成物は、任意の都合の良い方法により回収することができる。一つの選択肢は、多環式ジサリチレート生成物を含む溶液を形成するために(必要に応じて)水を添加することであり得る。多環式芳香族アルコール試薬の水への溶解度は典型的には比較的低いので、得られた水混合物を例えば濾過して固体の多環式芳香族アルコール試薬を除去することができる。生成物から回収された任意の多環式芳香族アルコール試薬は、試薬として再度使用するためにリサイクルできる可能性があることに留意されたい。ろ過後、水混合物を酸性化して多環式ジサリチレート生成物を沈殿させることができる。固体生成物は、液体から固体を分離するための任意の便利な方法で回収することができる。
【0036】
多環式ジサリチレート化合物の構造
一般に、本明細書に記載の合成法は、ジサリチレート化合物の製造に用いることができる。ジサリチレートは、2つのモノヒドロキシ安息香酸基を含む化合物に相当する。
【0037】
一態様において、有用なジサリチレートリンカーには以下のものが含まれる:
【化1】
【0038】
ここで、RはR’に接続され、RはR’に接続されている。
【0039】
そのようなリンカーの例としては、以下のものを含む:
【化2】
ここで、Rは任意の分子断片である。
【0040】
ジサリチレート化合物の例としては、炭素1,1’で結合した2つのフェニル環(すなわちビフェニル型結合)を有し、炭素3,3’にカルボン酸、炭素4,4’にアルコールを有するものがあり得る。この化合物は「HDOBPDC」と呼ぶことができる。
【0041】
ジサリチレートの他の例としては、4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボン酸塩(DOBPDC);4,4’’-ジオキシド-[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-3,3’’-ジカルボキシレート(DOTPDC);およびジオキシドビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(パラカルボキシレート-DOBPDCはPC-DOBPDCとも呼ばれる)ならびに以下の化合物が挙げられる:
【化3】
【0042】
ある態様では、ジサリチレートは式:
【化4】
を有する。
【0043】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、およびR20は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、およびハロゲン置換メチルから選択される。
【0044】
ある態様では、ジサリチレートは式:
【化5】
を有する。
【0045】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、およびハロゲン置換メチルから選択される。
【0046】
ある態様では、有機リンカーは式:
【化6】
を有する。
【0047】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、またはハロゲン置換メチルから選択され、R17は、置換または非置換のアリール、ビニル、アルキニル、および置換または非置換のヘテロアリールから選択される。
【0048】
ある態様では、有機リンカーは式:
【化7】
を有する。
【0049】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、またはハロゲン置換メチルから選択される。
【0050】
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル、またはハロゲン置換メチルから選択され、R17は、置換または非置換のアリール、ビニル、アルキニル、および置換または非置換のヘテロアリールから選択される。
【0051】
ある態様において、有機リンカーは、2つ(またはそれ以上)のフェニル環を有する分子、またはビニル基もしくはアルキニル基によって結合された2つのフェニル環を有する分子のような、複数の架橋されたアリール種を含む。
【0052】
上記の例は、主に2つ以上の芳香族環がビフェニル結合を介して結合した構造に対応することに留意されたい。他の態様において、多環式ジサリチレートリンカーは、2つ以上の縮合芳香族環の芳香族コアを含むことができる。
【0053】
実施例1 4,4’-ビフェノールからのHDOBPDCの合成(溶媒無添加)
DOBPDC(4,4’-ジヒドロキシ-1,1’-ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸)を調製するために、10gの4,4’-ビフェノールを粉砕し、120℃のオーブンでおよそ3時間乾燥させた。別に、16.13gの固体塩基(KHCO)を粉砕し、120℃のオーブンで乾燥させた。この2つの固体をガラス容器中で十分に混合し、オートクレーブに入れ、密閉し、Nでパージした。次に、容器をCOで約3.7MPa-aまで加圧した。その後、容器を280℃まで加熱し、容器内の圧力をおよそ7.6MPa-aまで上昇させた。その結果、容器内のCOは超臨界CO(純COの相図に基づく)に相当した。容器は、温度と圧力の組み合わせでおよそ24時間維持された。その後、反応器を冷却し、減圧した。
【0054】
容器内の反応生成物は固体の混合物に相当する。固形物に水を加え、固形物と水の混合物を形成した。固形物と水の混合物を超音波処理し、少なくとも1時間激しく撹拌した。得られたスラリーをろ過した。濾過により除去された固形物は、実質的に未反応の4,4’-ビフェノールに相当した。濾液を塩酸でpH2以下に酸性化すると、白色固体が析出した。濾過により白色固体を回収した。この白色固体は、実質的に純粋なHDOBPDCに相当した。生成物の純度を高めるために再結晶を行うことができることに留意されたい。
【0055】
上記の方法に従って形成したHDOBPDC試料を、H-NMRおよび13C-NMRを用いて特性評価した。図1は、本明細書に記載の方法によって生成された比較的純粋なHDOBPDC試料について得られたH-NMRスペクトルの一例を示し、図2は、13C-NMRスペクトルの一例を示す。図1および図2に示すスペクトルは、HDOBPDCが得られたことを示している。
【0056】
実施例2 4,4’-ビフェノールからの(ジオキサンを溶媒として)HDOBPDCの合成
DOBPDC(4,4’-ジヒドロキシ-1,1’-ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸)を調製するため、3.0gの4,4’-ビフェノールと6.68gの粉砕したてのKCOを40mLの1,4-ジオキサン中で撹拌しながら混合した。得られた溶液をオートクレーブに入れ、密閉し、Nでパージした。次に、容器をCOで加圧し、およそ3.7MPa-aとした。その後、容器を一晩280℃まで加熱した。反応器を常温・常圧に戻した後、内容物を水に溶解し、水中10%塩酸で酸性化した。その結果、固体が析出し、これを濾過して溶液から回収した。固体をアセトンに溶解し、MgSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮すると、二酸が淡黄色の固体として得られた。
【0057】
淡黄色固体のサンプルをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、H-NMRによる特性解析を行った。図3は、得られたスペクトルを示しており、HDOBPDCが得られたことを示している。
【0058】
沈殿を促進するための水を酸性化するために、他の便利な酸を使用できることに留意されたい。例えば、硫酸も使用できる。さらに、あるいはその代わりに、溶液を酸性化する試薬として、より低濃度の酸を使用することもできる。
追加実施形態
【0059】
実施形態1.多環式ジサリチレート(又はジサリチル酸;disalicylate)化合物の製造方法であって、以下を含む製造方法:
i)多環式芳香族アルコールおよび塩基から本質的になる、または
ii)多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を反応器容積中に(又は反応器量で;in a reactor volume)含み、溶媒は50vol%以上のジオキサンを含む、試薬混合物を形成すること、
COを反応器容積に添加すること、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱すること、処理温度における反応器容積が1.0MPa-a以上の圧力を含むこと、および
反応器容積を処理温度で0.5時間以上維持し、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成すること。
【0060】
実施形態2.多環式ジサリチレート生成物の少なくとも一部を生成物混合物から分離することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0061】
実施形態3.処理温度における全圧が、1.0MPa-a~7.35MPa-aである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0062】
実施形態4.処理温度における全圧が、1.0MPa-a~6.5MPa-aである、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0063】
実施形態5.処理温度における全圧が、7.40MPa-a~20MPa-aである、実施形態1または2に記載の方法。
【0064】
実施形態6.処理温度が、150℃~500℃である、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0065】
実施形態7.試薬混合物を形成することが、0.5~2.0の塩基に対する多環式芳香族アルコールのモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0066】
実施形態8.多環式芳香族アルコールが4,4’-ビフェノールを含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0067】
実施形態9.塩基が、炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、水酸化アルカリ、またはそれらの組み合わせを含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0068】
実施形態10.多環式芳香族アルコールが、芳香族環中の炭素に結合した少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、芳香族環中のオルト位の各炭素原子が水素に結合している、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0069】
実施形態11.試薬混合物を形成することが、3.0以下の多環式芳香族アルコールに対する溶媒のモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
【0070】
代替実施形態A.多環式ジサリチレート化合物の製造方法であって、以下を含む製造方法:
多環式芳香族アルコールおよび塩基から本質的になる試薬混合物を反応器容積中に形成すること、
COを反応器容積に添加すること、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱すること、反応器容積は処理温度で1.0MPa-a以上の全圧を含むこと、および
反応器容積を処理温度で0.5時間以上維持して、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成すること。
【0071】
代替実施形態B.多環式ジサリチレート化合物の製造方法であって、以下を含む製造方法:
多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を含み、溶媒が50vol%以上のジオキサンを含む、試薬混合物を反応器容積中に形成すること、
COを反応器容積に添加すること、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱すること、反応器容積が処理温度で1.0MPa-a以上の全圧を含むこと、および
反応器容積を処理温度で0.5時間以上維持して、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成すること。
【0072】
追加の実施形態C.試薬混合物を形成することが、0.15~2.0の塩基に対する多環式芳香族のモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、実施形態1から6または8から11のいずれかに記載の方法。
【0073】
ある特徴については、上限数値と下限数値を用いて説明した。別段の指示がない限り、任意の下限値から任意の上限値までの範囲が想定されることを理解されたい。特定の下限値、上限値および範囲は、以下の1つまたは複数の請求項に記載されている。すべての数値は、当業者であれば予想される実験誤差やばらつきを考慮している。
【0074】
本開示の前述の説明は、本方法を示し、説明するものである。さらに、本開示は、例示的な方法を示し、説明するが、様々な他の組み合わせ、変更、および環境が採用され得、本方法は、上記の教示および/または関連技術の技術もしくは知識に相応して、本明細書で表される概念の範囲内で変更または修正が可能であることを理解されたい。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多環式ジサリチレート化合物の製造方法であって、以下を含む製造方法:
i)多環式芳香族アルコールおよび塩基から本質的になる、または
ii)多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を反応器容積中に含み、前記溶媒は50vol%以上のジオキサンを含む、試薬混合物を形成すること、
COを反応器容積に添加すること、反応器容積を150℃以上の処理温度に加熱すること、前記処理温度における反応器容積は1.0MPa-a以上の全圧を含むこと、および
反応器容積を前記処理温度で0.5時間以上維持し、多環式ジサリチレート生成物を含む生成物混合物を形成すること。
【請求項2】
多環式ジサリチレート生成物の少なくとも一部を生成物混合物から分離することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
処理温度における全圧が、1.0MPa-a~7.35MPa-aであおよび処理温度は150℃~550℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
処理温度における全圧が、1.0MPa-a~6.5MPa-aである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
処理温度における全圧が、7.40MPa-a~20MPa-aであおよび処理温度は150℃~550℃である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
試薬混合物を形成することが、0.5~2.0の塩基に対する多環式芳香族アルコールのモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
試薬混合物を形成することが、0.15~2.0の塩基に対する多環式芳香族アルコールのモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
i)多環式芳香族アルコールが4,4’-ビフェノールを含む、
ii)塩基が炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、水酸化アルカリ、またはそれらの組み合わせを含む、または
iii)i)とii)の組み合わせである、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
多環式芳香族アルコールが、芳香族環の炭素に結合した少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、芳香族環のオルト位の各炭素原子が水素に結合している、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
試薬混合物を形成することが、3.0以下の多環式芳香族アルコールに対する溶媒のモル比を有する試薬混合物を形成することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
試薬混合物が、多環式芳香族アルコールと塩基から本質的になる、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
試薬混合物が、多環式芳香族アルコール、塩基、および溶媒を含む、請求項1~10のいずれかに一項に記載の製造方法。
【国際調査報告】