(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】細胞組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20250130BHJP
A61K 35/17 20250101ALI20250130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250130BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20250130BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20250130BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250130BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250130BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20250130BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20250130BHJP
C12N 15/19 20060101ALN20250130BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20250130BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20250130BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20250130BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20250130BHJP
C07K 14/55 20060101ALN20250130BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20250130BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20250130BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
A61K35/17
A61P35/00
A61P37/06
A61P31/00
A61P37/04
A61K39/395 N
C12N7/01
C12N15/12
C12N15/19
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/867 Z
C12N5/0783
C07K14/55
C07K14/54
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544751
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 US2023061510
(87)【国際公開番号】W WO2023147515
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カルビン
(72)【発明者】
【氏名】リム,チン-ウェイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AA97X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB19
4B065BD15
4B065BD39
4B065CA24
4B065CA44
4C085AA14
4C085CC03
4C085DD62
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA20
4C087ZB08
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB31
4H045AA30
4H045BA60
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA04
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する細胞を含むT細胞治療薬の生産のためのものを含む、細胞組成物を製造するための連続向流遠心分離方法が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;
(b)ウイルスベクター粒子を前記円錐形の流体エンクロージャーに投入することによって、前記細胞組成物と前記ウイルスベクター粒子とを含むインプット組成物を生成すること;ならびに
(c)第2の遠心力および第2の流量を前記インプット組成物に適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記ウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルスベクター粒子の前記投入が、(a)における前記適用の少なくとも一部分の間に実行される、および/または(c)における前記適用の少なくとも一部分の間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、(i)ウイルスベクター粒子と(ii)T細胞を含む細胞組成物とを含むインプット組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量を前記インプット組成物に前記円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記ウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成すること
を含む、方法。
【請求項4】
前記細胞組成物および前記ウイルスベクター粒子を前記円錐形の流体エンクロージャーに投入することによって前記インプット組成物を生成することをさらに含み、前記細胞組成物の投入が、前記ウイルスベクター粒子の投入前、投入中、および/または投入後である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞組成物の投入および/または前記ウイルスベクター粒子の投入が、(a)における前記適用の前および/または間に実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記遠心分離機システムが、連続向流遠心分離機システムである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第3の遠心力および第3の流量を、前記遺伝子操作されたT細胞に、前記遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、前記遺伝子操作されたT細胞を含むアウトプット組成物を生産することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アウトプット組成物中のT細胞の少なくとももしくは少なくとも約5%、少なくとももしくは少なくとも約10%、少なくとももしくは少なくとも約15%、少なくとももしくは少なくとも約20%、少なくとももしくは少なくとも約25%、または少なくとももしくは少なくとも約30%が、前記ウイルスベクター粒子で形質導入されている、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)前記第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間であり、適宜、前記第1の遠心力および前記第1の流量が、前記細胞組成物または前記インプット組成物に、約15秒間、約30秒間、約45秒間、または約60秒間適用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(Gでの)前記第1の遠心力の(mL/分での)前記第1の流量に対する比率が、約200から約400の間である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(Gでの)前記第1の遠心力の(mL/分での)前記第1の流量に対する比率が、約300である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の遠心力が、約3,000Gであり、前記第1の流量が、約10mL/分である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約20から約100の間、約25から約85の間、または約30から約65の間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約35である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の遠心力が、約1,000Gであり、前記第2の流量が、約28.5mL/分である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
(i)前記第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約10mL/分から約100mL/分の間である、請求項1から10および12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約62.5である、請求項1から15および18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の遠心力が、約625Gであり、前記第2の流量が、約10mL/分である、請求項1から10、12から15、18、および19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記第2の遠心力が、約100Gから約2,000Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約10mL/分から約100mL/分の間である、請求項1から10、12から16、および19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30である、請求項1から15、18、および21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の遠心力が、約300Gであり、前記第2の流量が、約10mL/分である、請求項1から10、12から15、21、および22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の遠心力および前記第2の流量が、前記インプット組成物に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約60分間、少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間適用される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
(i)前記第3の遠心力が、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)前記第3の流量が、約15mL/分から約25mL/分の間である、請求項7から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
(Gでの)前記第3の遠心力の(mL/分での)前記第3の流量に対する比率が、約100から約150の間であり、適宜、(Gでの)前記第3の遠心力の(mL/分での)前記第3の流量に対する比率が、約125である、請求項7から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第3の遠心力が、約2,500Gであり、前記第3の流量が、約20mL/分である、請求項7から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第3の遠心力および前記第3の流量を適用する前に、前記遺伝子操作されたT細胞を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含み、適宜、前記1つまたは複数の洗浄工程が、培地交換を含む、請求項7から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記細胞組成物の前記T細胞を(a)における前記適用の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む、および/または前記細胞組成物の前記T細胞が、(a)における前記適用の前に刺激条件下でインキュベートされる、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である刺激試薬の存在を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記刺激試薬が、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、適宜、CD3に特異的に結合する、一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含み、適宜、前記共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、およびICOSから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記一次および二次薬剤の少なくとも一方が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記一次薬剤が、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片であり、前記二次薬剤が、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記一次薬剤および前記二次薬剤が、各々、固体支持体の表面に存在し、適宜、前記一次薬剤および前記二次薬剤が、各々、ビーズ、さらに適宜、常磁性ビーズの表面に存在する、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記一次薬剤および前記二次薬剤が、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合している、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ストレプトアビジン分子または前記ストレプトアビジン突然変異タンパク質分子が、ビオチンもしくはビオチンアナログに結合するか、またはそれに結合可能である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記一次薬剤が、抗CD3 Fabを含み、前記二次薬剤が、抗CD28 Fabを含む、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激条件が、1つまたは複数の組換えサイトカインの存在を含む、請求項29から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記刺激条件が、組換えIL-2、IL-7およびIL-15のうちの1つまたは複数の存在を含む、請求項29から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記アウトプット組成物を収集することを含む、および/または前記アウトプット組成物が、収集される、請求項7から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、収集されたアウトプット組成物の前記遺伝子操作されたT細胞をインキュベートすることを含む、および/または収集されたアウトプット組成物の前記遺伝子操作されたT細胞が、インキュベートされる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記収集されたアウトプット組成物の前記遺伝子操作されたT細胞が、前記収集の直後に少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、または少なくとも約20日間インキュベートされる、請求項40または請求項41に記載の方法。
【請求項43】
収集の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、または約10日後の前記収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
収集の約1日後の前記収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
収集の約5日後の前記収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、請求項40から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、前記収集されたアウトプット組成物を凍結保存することを含む、および/または前記収集されたアウトプット組成物が、凍結保存されることによって、凍結保存組成物が生成される、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記凍結保存組成物が解凍されて解凍組成物が生産され、前記解凍組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約25%大きいか、または少なくとも約30%大きい、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記インプット組成物が、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、7マイクロメートルより大きいもしくは約7マイクロメートルより大きい、8マイクロメートルより大きいもしくは約8マイクロメートルより大きい、9マイクロメートルより大きいもしくは約9マイクロメートルより大きい、10マイクロメートルより大きいもしくは約10マイクロメートルより大きい、または11マイクロメートルより大きいもしくは約11マイクロメートルより大きい平均直径を有するT細胞を含む、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記インプット組成物が、総数約1×10
6のT細胞から総数約2×10
9のT細胞の間のT細胞を含む、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記インプット組成物が、総数少なくとも約1×10
8のT細胞、総数少なくとも約2×10
8のT細胞、総数少なくとも約3×10
8のT細胞、総数少なくとも約4×10
8のT細胞、総数少なくとも約5×10
8のT細胞、総数少なくとも約6×10
8のT細胞、総数少なくとも約7×10
8のT細胞、総数少なくとも約8×10
8のT細胞、総数少なくとも約7×10
8のT細胞、総数少なくとも約8×10
8のT細胞、総数少なくとも約9×10
8のT細胞、総数少なくとも約1×10
9のT細胞、総数少なくとも約1.25×10
9のT細胞、総数少なくとも約1.50×10
9のT細胞、または総数少なくとも約1.75×10
9のT細胞を含む、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記インプット組成物の体積が、約5mlから約20,000mlの間、約10mLから約2,000mLの間、約15mLから約1,000mLの間、約20mLから約500mLの間、約25mLから約100mLの間、または約30mLから約60mLの間である、請求項1から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記インプット組成物の前記体積が、約30mLから約60mLの間である、請求項1から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記アウトプット組成物の体積が、約2.5mLから約60mLの間、約5mLから約40mLの間、または約10mLから約20mLの間である、請求項7から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記アウトプット組成物の前記体積が、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、または約60mLである、請求項7から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
細胞組成物を生細胞について濃縮するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、前記細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量を前記細胞組成物に適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、前記細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する前記細胞組成物の廃棄物画分を水簸して前記円錐形の流体エンクロージャーから出し、前記円錐形の流体エンクロージャー内で前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生産すること
を含む、方法。
【請求項56】
(i)前記第1の遠心力が、約1,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)前記第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
(Gでの)前記第1の遠心力の(mL/分での)前記第1の流量に対する比率が、約200から約500の間である、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
(Gでの)前記第1の遠心力の(mL/分での)前記第1の流量に対する比率が、約200から約400の間である、請求項55から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の遠心力および前記第1の流量が、前記細胞組成物に少なくとも30秒間、適用される、請求項55から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
(i)前記第2の遠心力が、約350Gから約4,000Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約5mL/分から約100mL/分の間である、請求項55から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の遠心力が、約350Gから3,000Gの間である、請求項55から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記第2の遠心力が、約1,500Gから約3,000Gの間である、請求項55から61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間である、請求項55から61のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記第2の流量が、約65mL/分から約100mL/分の間である、請求項55から63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記第2の流量が、約10mL/分から約65mL/分の間である、請求項55から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の流量が、約10mL/分から約35mL/分の間である、請求項55から63および65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、請求項55から63、65、および66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約70の間である、請求項55から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約40の間である、請求項55から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記T細胞が、約9μm~約20μmの平均直径を有する、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記T細胞が、約9μm~約20μmの平均直径を有し、(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約70の間である、請求項55から68および70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記T細胞が、約9μm未満の平均直径を有する、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記T細胞が、9μm未満の平均直径を有し、(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約40の間である、請求項55から69および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、前記細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含み、(i)前記第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)前記第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量を前記細胞組成物に適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することであって、(i)前記第2の遠心力が、約1,500Gから約3,000Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約65mL/分から約100mL/分の間であり、(iii)(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約40の間である、生成すること
を含み、
前記T細胞が、9μm未満の平均直径を有する、方法。
【請求項75】
前記T細胞が、約6μm~約9μmの平均直径を有する、請求項1から69および72から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
水簸された廃棄物画分を収集することを含む、請求項55から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記水簸された廃棄物画分が、前記円錐形の流体エンクロージャーの広端と流体連通している容器に収集される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
細胞組成物を生細胞について濃縮するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、前記細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;
(b)第2の遠心力および第2の流量を前記細胞組成物に適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、前記細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する前記細胞組成物の廃棄物画分を水簸して前記円錐形の流体エンクロージャーから出し、前記円錐形の流体エンクロージャー内で前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成すること;ならびに
(c)前記濃縮組成物の細胞を工程(a)および(b)の後に凍結保存して、凍結保存細胞組成物を作出すること
を含む、方法。
【請求項79】
(d)前記凍結保存細胞組成物を工程(c)の後に解凍することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の流量が、30mL/分またはそれ未満である、請求項78または請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、請求項78から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、前記細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含み、(i)前記第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)前記第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量を前記細胞組成物に適用し、前記第2の遠心力および第2の流量が前記遠心分離機システムの流路で前記細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することであって、(i)前記第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)前記第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、生成すること
を含む、方法。
【請求項83】
前記T細胞が、約9μm~約20μmの平均直径を有する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記濃縮組成物の細胞を、工程(a)および(b)の適用後に凍結保存して、凍結保存細胞組成物を作出することを含む、請求項82または請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記凍結保存することが、凍結保護剤を含む培地に前記細胞を懸濁させること、および前記細胞を凍結することを含み、適宜、前記凍結することが、速度制御フリーザーにおいてである、請求項78から81および84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記凍結保存細胞組成物を解凍することをさらに含み、適宜、前記解凍することが、凍結保存細胞組成物が少なくとも3日間凍結された後に行われる、請求項78から81、84、および85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の遠心力が、約700Gから約1,300Gの間である、請求項78から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の遠心力が、約800Gから約1,200Gの間である、請求項78から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の遠心力が、約900Gから約1,100Gの間である、請求項78から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
第2の遠心力が、約1,000Gである、請求項78から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
(Gでの)前記第2の遠心力の(mL/分での)前記第2の流量に対する比率が、約30から約40の間である、請求項78から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記細胞組成物を前記遠心分離機システムに投入することを含み、前記投入することが、(a)における前記適用の少なくとも一部分の前および/または間に行われる、請求項55から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記遠心分離機システムが、連続向流遠心分離機システムである、請求項55から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
(a)における前記適用の前に、前記方法が、前記細胞組成物の前記T細胞をウイルスベクター粒子と接触させることによって、遺伝子操作されたT細胞を生産することを含む、および/または前記細胞組成物の前記T細胞が、ウイルスベクター粒子と接触したことによって、遺伝子操作されたT細胞が生産済みである、請求項55から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約10%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約30%大きいか、少なくとも約40%大きいか、少なくとも約50%大きいか、または少なくとも約60%大きい、請求項55から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
(c)第3の遠心力および第3の流量を前記濃縮組成物に前記遠心分離機システムの前記円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、前記濃縮組成物を収集することを含み、(i)前記第3の遠心力が、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)前記第3の流量が、約15mL/分から約25mL/分の間である、請求項55から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記第3の遠心力および前記第3の流量を適用する前に、前記濃縮組成物を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含み、適宜、前記1つまたは複数の洗浄工程が、培地交換を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記1つまたは複数の洗浄工程が、前記第2の遠心力および前記第2の流量で実行される、請求項28から54および96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記細胞組成物が、活性化T細胞を含む、請求項1から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記方法が、収集された濃縮組成物を凍結保存することを含む、および/または収集された濃縮組成物が、凍結保存されることによって、凍結保存濃縮組成物が生成される、請求項55から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記凍結保存濃縮組成物が解凍されて解凍された濃縮組成物が生産され、前記解凍された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、前記細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約25%大きいか、または少なくとも約30%大きい、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記方法の1つまたは複数の工程が自動化され、適宜、前記方法の1つまたは複数の工程が、遠心分離機システムまたはそのコンポーネントによって自動化される、請求項1から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記ウイルスベクター粒子が、組換え分子をコードする異種核酸を含む、請求項1から54および94から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記組換え分子が、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原受容体、またはそれらの組合せである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記組換え分子が、抗原受容体である、請求項103または請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記抗原受容体が、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記抗原受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記キメラ抗原受容体(CAR)が、標的抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記CARが、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインをさらに含む、請求項108または請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通部分を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項108から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記T細胞共刺激分子が、CD28および4-1BBからなる群から選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記ウイルスベクター粒子が、レトロウイルスベクター粒子である、請求項1から54および94から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記レトロウイルスベクター粒子が、γ-レトロウイルスベクターである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記レトロウイルスベクター粒子が、レンチウイルスベクター粒子である、請求項114に記載のベクター。
【請求項117】
前記抗原受容体が、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する、請求項105から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記疾患または状態が、がん、自己免疫疾患もしくは障害、および/または感染症である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記疾患または状態が、がんである、請求項117または請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記T細胞が、適宜ヒト対象からの、初代T細胞である、請求項1から119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
請求項1から120のいずれか一項に記載の方法によって生産される遺伝子操作されたT細胞を含む、組成物。
【請求項122】
約1.0×10
6個のCAR発現T細胞から約2.0×10
9個のCAR発現T細胞の間のCAR発現T細胞を含む、請求項121に記載の組成物。
【請求項123】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項121または請求項122に記載の組成物。
【請求項124】
凍結保護剤をさらに含む、請求項121または請求項122に記載の組成物。
【請求項125】
疾患または障害を有する対象を処置する方法であって、請求項121から123のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項126】
前記遺伝子操作されたT細胞が、前記疾患または障害に関連する抗原に特異的に結合する抗原受容体を発現する、請求項125に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの内容が、全ての目的のために参照により全体が組み込まれる、2022年1月28日に出願した米国仮出願第63/304,502号および2023年1月12日に出願した米国仮出願第63/438,764号の優先権を主張するものである。
【0002】
配列表の参照による組込み
本出願は、電子的フォーマットの配列表と共に提出される。配列表は、2023年1月23日に作成された、735042021040SeqList.xmlと題されたファイルとして提供され、そのサイズは35,102バイトである。配列表の電子的フォーマットの情報は、参照により全体が組み込まれている。
【0003】
本開示は、一部の態様では、操作された細胞組成物を含む細胞組成物の処理および製造における連続向流遠心分離方法に関する。一部の態様では、連続向流遠心分離方法は、細胞組成物を生細胞、例えば、生存可能なT細胞について濃縮する。得られる細胞組成物、例えば、抗原受容体を発現するように遺伝子操作されたT細胞を含むものも、提供される。一部の態様では、細胞組成物、例えば、リンパ球の集団を含む組成物の形質導入は、連続向流遠心分離によって実行される。一部の態様では、本開示は、細胞集団の形質導入のための方法であって、リンパ球およびウイルスベクター粒子の連続向流遠心分離を含み、それによって、形質導入細胞を含有する組成物を生産する、方法を提供する。一部の実施形態では、提供される細胞および組成物は、養子細胞療法の方法において使用され得る。
【背景技術】
【0004】
インビトロ(in vitro)でのT細胞集団の濃縮および/または形質導入には、例えば、養子細胞免疫療法またはがん療法において使用するためのインビトロでの抗原特異的T細胞の濃縮および形質導入には、種々の戦略が利用可能である。大規模研究、診断、および治療を目的としたものを含む、インビトロでの細胞集団の濃縮および/または形質導入のための改善された戦略が、必要とされている。このような必要性に対処する方法および関連組成物が、提供される。
【発明の概要】
【0005】
遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;(b)ウイルスベクター粒子を円錐形の流体エンクロージャーに投入することによって、細胞組成物とウイルスベクター粒子とを含むインプット組成物を生成すること;ならびに(c)第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成することを含む、方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0006】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、(a)における適用の少なくとも一部分の間に実行される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、(c)における適用の少なくとも一部分の間に実行される。
【0007】
遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、(i)ウイルスベクター粒子と(ii)T細胞を含む細胞組成物とを含むインプット組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成することを含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0008】
一部の実施形態では、方法は、細胞組成物およびウイルスベクター粒子を円錐形の流体エンクロージャーに投入することによってインプット組成物を生成することを含む。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、ウイルスベクター粒子の投入前、投入中、および/または投入後である。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、ウイルスベクター粒子の投入前である。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、ウイルスベクター粒子の投入中である。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、ウイルスベクター粒子を投入後である。一部の実施形態では、細胞組成物の投入および/またはウイルスベクター粒子の投入は、(a)における適用の前および/または間に実施される。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、(a)における適用の前および/または間に実施される。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、(a)における適用の前に実施される。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、(a)における適用の間に実施される。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、(a)における適用の前および間に実施される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、(a)における適用の前に実施される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、(a)における適用の間に実施される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、(a)における適用の前および間に実施される。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、第3の遠心力および第3の流量を、遺伝子操作されたT細胞に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、遺伝子操作されたT細胞を含むアウトプット組成物を生産することを含む。
【0010】
一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約5%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約10%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約15%大きい。
【0011】
一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくともまたは少なくとも約5%、少なくともまたは少なくとも約10%、少なくともまたは少なくとも約15%、少なくともまたは少なくとも約20%、少なくともまたは少なくとも約25%、少なくともまたは少なくとも約30%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくとも約20%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくとも約25%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくとも約30%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくとも約35%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の少なくとも約40%は、ウイルスベクター粒子で形質導入されている。
【0012】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物またはインプット組成物に約15秒間、約30秒間、約45秒間、または約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物またはインプット組成物に約30秒間適用される。
【0013】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約60分間、少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約30分間適用される。
【0014】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約60分間、少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約30分間適用される。
【0015】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約60分間、少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約30分間適用される。
【0016】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約400の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約300である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,000Gであり、第1の流量は、約10mL/分である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間、約25から約85の間、または約30から約65の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約35である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gであり、第2の流量は、約28.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約62.5である。
【0017】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約625Gであり、第2の流量は、約10mL/分である。
【0018】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約300Gであり、第2の流量は、約10mL/分である。
【0019】
一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分から約25mL/分の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100から約150の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約125である。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,500Gであり、第3の流量は、約20mL/分である。
【0020】
一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量を適用する前に、方法は、遺伝子操作されたT細胞を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、培地交換を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、第2の遠心力および第2の流量で実行される。
【0021】
一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、細胞組成物は、活性化細胞を含む。一部の実施形態では、刺激条件は、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である刺激試薬の存在を含む。一部の実施形態では、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、適宜、CD3に特異的に結合する、一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、CD3に特異的に結合する。一部の実施形態では、二次薬剤は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、およびICOSから選択される共刺激分子に特異的に結合する。一部の実施形態では、二次薬剤は、CD28に特異的に結合する。
【0022】
一部の実施形態では、一次および二次薬剤の少なくとも一方は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、各々、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、二次薬剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片であり、二次薬剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、各々、固体支持体の表面に存在するか、または付着している。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、表面に抗CD3および抗CD28抗体が付着している常磁性ビーズである。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合している。一部の実施形態では、ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子は、ビオチン、アビジン、ビオチンアナログもしくはビオチン突然変異タンパク質、アビジンアナログもしくはアビジン突然変異タンパク質および/またはその生物活性断片に結合するか、またはそれに結合可能である。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3 Fabを含み、二次薬剤は、抗CD28 Fabを含む。
【0023】
一部の実施形態では、刺激条件は、1つまたは複数の組換えサイトカインの存在を含む。一部の実施形態では、刺激条件は、組換えIL-2、IL-7およびIL-15のうちの1つまたは複数の存在を含む。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、アウトプット組成物を収集することを含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、収集される。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞をインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞は、インキュベートされる。一部の実施形態では、収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞は、収集の直後に少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、または少なくとも約20日間インキュベートされる。
【0026】
一部の実施形態では、収集の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、または約10日後の、収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、収集の約1日後の、収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、収集の約5日後の、収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、収集されたアウトプット組成物を凍結保存することを含む、および/または収集されたアウトプット組成物が凍結保存されることによって凍結保存組成物が生成される。一部の実施形態では、方法は、収集されたアウトプット組成物を凍結保存することによって凍結保存組成物を生成することを含む。一部の実施形態では、収集されたアウトプット組成物が凍結保存されることによって凍結保存組成物が生成される。一部の実施形態では、凍結保存組成物が解凍されて解凍組成物が生産され、解凍組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、解凍組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも25%大きいか、または少なくとも約30%大きい。
【0028】
一部の実施形態では、インプット組成物は、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、7マイクロメートルより大きいもしくは約7マイクロメートルより大きい、8マイクロメートルより大きいもしくは約8マイクロメートルより大きい、9マイクロメートルより大きいもしくは約9マイクロメートルより大きい、10マイクロメートルより大きいもしくは約10マイクロメートルより大きい、または11マイクロメートルより大きいもしくは約11マイクロメートルより大きい平均直径を有するT細胞を含む。
【0029】
一部の実施形態では、インプット組成物は、総数約1×106のT細胞から総数約2×109のT細胞の間のT細胞を含む。一部の実施形態では、インプット組成物は、総数少なくとも約1×108のT細胞、総数少なくとも約2×108のT細胞、総数少なくとも約3×108のT細胞、総数少なくとも約4×108のT細胞、総数少なくとも約5×108のT細胞、総数少なくとも約6×108のT細胞、総数少なくとも7×108のT細胞、総数少なくとも約8×108のT細胞、総数少なくとも約7×108のT細胞、総数少なくとも約8×108のT細胞、総数少なくとも約9×108のT細胞、総数少なくとも約1×109のT細胞、総数少なくとも約1.25×109のT細胞、総数少なくとも約1.50×109のT細胞、または総数少なくとも約1.75×109のT細胞を含む。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約5mlから約20,000mlの間、約10mLから約2,000mLの間、約15mLから約1,000mLの間、約20mLから約500mLの間、約25mLから約100mLの間、または約30mLから約60mLの間である。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約30mLから約60mLの間である。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約30mLである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約60mLである。
【0030】
一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約2.5mLから約60mLの間、約5mLから約40mLの間、または約10mLから約20mLの間である。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、または約60mLである。
【0031】
一部の実施形態では、方法の1つまたは複数の工程は、自動化される。一部の実施形態では、方法の1つまたは複数の工程は、遠心分離機システムまたはそのコンポーネントによって自動化される。
【0032】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、組換え分子をコードする異種核酸を含む。一部の実施形態では、組換え分子は、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原受容体(例えば、CARもしくはTCR)、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、組換え分子は、抗体受容体である。一部の実施形態では、抗原受容体は、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)である。一部の実施形態では、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0033】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)は、標的抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、T細胞共刺激分子は、CD28および4-1BBからなる群から選択される。一部の実施形態では、CARは、組換え発現される。一部の実施形態では、CARは、ベクターから発現される。一部の実施形態では、CARは、γ-レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターからの発現である。一部の実施形態では、CARは、レンチウイルスベクターから発現される。
【0034】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子である。一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、γ-レトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、レンチウイルスベクター粒子である。
【0035】
一部の実施形態では、抗原受容体は、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、自己免疫疾患もしくは障害、および/または感染症である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がんである。一部の実施形態では、T細胞は、適宜ヒト対象からの、初代T細胞である。
【0036】
細胞組成物を生細胞について濃縮するための方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する細胞組成物の廃棄物画分を水簸して円錐形の流体エンクロージャーから出し、円錐形の流体エンクロージャー内で細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生産することを含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0037】
一部の実施形態では、(i)第1の遠心力は、約1,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。
【0038】
一部の実施形態では、(Gでの)第1の遠心力の(mL/分での)第1の流量に対する比率は、約200から約500の間である。一部の実施形態では、(Gでの)第1の遠心力の(mL/分での)第1の流量に対する比率は、約200から約400の間である。
【0039】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約30秒間適用される。
【0040】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約4,000Gの間であり、(ii)第2の流量は、約5mL/分から約100mL/分の間である。
【0041】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,500Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間である。
【0042】
一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約100mL/分の間である。
【0043】
一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約65mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約35mL/分の間である。
【0044】
一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。
【0045】
一部の実施形態では、(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。一部の実施形態では、(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。
【0046】
一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0047】
一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有し、(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。
【0048】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。
【0049】
一部の実施形態では、T細胞は、約9μm未満の平均直径を有し、(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。
【0050】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含み、(i)第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することであって、(i)第2の遠心力が、約1,500Gから約3,000Gの間であり、(ii)第2の流量が、約65mL/分から約100mL/分の間であり、(iii)(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率が、約30から約40の間である、生成することを含み、T細胞が、9μm未満の平均直径を有する、方法も、本明細書で提供される。
【0051】
一部の実施形態では、方法は、水簸された廃棄物画分を収集することを含む。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、円錐形の流体エンクロージャーの広端と流体連通している容器に収集される。
【0052】
細胞組成物を生細胞について濃縮するための方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する細胞組成物の廃棄物画分を水簸して円錐形の流体エンクロージャーから出し、円錐形の流体エンクロージャー内で細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することを含み、細胞組成物が、方法の適用の前に凍結保存され解凍されたT細胞を含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0053】
細胞組成物を生細胞について濃縮するための方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する細胞組成物の廃棄物画分を水簸して円錐形の流体エンクロージャーから出し、円錐形の流体エンクロージャー内で細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成すること;ならびに(c)濃縮組成物の細胞を工程(a)および(b)の後に凍結保存して、凍結保存細胞組成物を作出することを含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、方法は、(d)凍結保存細胞組成物を工程(c)の後に解凍することを含む。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0054】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することを含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、連続向流遠心分離機システムである。
【0055】
一部の実施形態では、方法は、水簸された廃棄物画分を収集することを含む。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、円錐形の流体エンクロージャーの広端と流体連通している容器に収集される。
【0056】
一部の実施形態では、第2の流量は、約30mL/分またはそれ未満である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。
【0057】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含み、(i)第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路で細胞組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することであって、(i)第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、生成することを含む、方法も、本明細書で提供される。
【0058】
一部の実施形態では、細胞組成物は、方法の適用前に凍結保存され解凍されたT細胞を含む。一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍して、T細胞を含む細胞組成物を生産することをさらに含む。
【0059】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約700Gから約1,300Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約800Gから約1,200Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約900Gから約1,100Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gである。
【0060】
一部の実施形態では、(Gでの)第2の遠心力の(mL/分での)第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。
【0061】
一部の実施形態では、(i)第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物を遠心分離機システムに投入することを含む。一部の実施形態では、投入することは、(a)における適用の少なくとも一部分の前および/または間に実施される。一部の実施形態では、投入することは、(a)における適用の前に実施される。一部の実施形態では、投入することは、(a)における適用の少なくとも一部分の間に実施される。一部の実施形態では、投入することは、(a)における適用の少なくとも一部分の前および間に実施される。
【0062】
一部の実施形態では、(a)における適用の前に、方法は、細胞組成物のT細胞をウイルス粒子と接触させることによって遺伝子操作されたT細胞を生産することを含む。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞がウイルスベクター粒子と接触したことによって、遺伝子操作されたT細胞が生産済みである。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、遺伝子操作されたT細胞である。
【0063】
一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約10%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約30%大きいか、少なくとも約40%大きいか、少なくとも50%大きいか、または少なくとも約60%大きい。
【0064】
一部の実施形態では、方法は、(c)第3の遠心力および第3の流量を濃縮組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、濃縮組成物を収集することを含む。一部の実施形態では、(i)第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)第3の流量は、約15mL/分から約25mL/分の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量を適用する前に、方法は、濃縮組成物を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、培地交換を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、第2の遠心力および第2の流量で実行される。
【0065】
一部の実施形態では、収集の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、または約10日後の、収集された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、収集の約1日後の、収集された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、収集の約5日後の、収集された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。
【0066】
一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、細胞組成物は、活性化細胞を含む。一部の実施形態では、刺激条件は、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である刺激試薬の存在を含む。一部の実施形態では、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、適宜、CD3に特異的に結合する、一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、CD3に特異的に結合する。一部の実施形態では、二次薬剤は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、およびICOSから選択される共刺激分子に特異的に結合する。一部の実施形態では、二次薬剤は、CD28に特異的に結合する。
【0067】
一部の実施形態では、一次および二次薬剤の少なくとも一方は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、各々、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、二次薬剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片であり、二次薬剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、各々、固体支持体の表面に存在するか、または付着している。一部の実施形態では、固体支持体は、ビーズであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、固体支持体は、表面に抗CD3および抗CD28抗体が付着している常磁性ビーズである。一部の実施形態では、一次薬剤および二次薬剤は、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合している。一部の実施形態では、ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子は、ビオチン、アビジン、ビオチンアナログもしくはビオチン突然変異タンパク質、アビジンアナログもしくはアビジン突然変異タンパク質および/またはその生物活性断片に結合するか、またはそれに結合可能である。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3 Fabを含み、二次薬剤は、抗CD28 Fabを含む。
【0068】
一部の実施形態では、刺激条件は、1つまたは複数の組換えサイトカインの存在を含む。一部の実施形態では、刺激条件は、組換えIL-2、IL-7およびIL-15のうちの1つまたは複数の存在を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、活性化T細胞を含む。
【0069】
一部の実施形態では、方法は、収集された濃縮組成物を凍結保存することによって凍結保存濃縮組成物を生成することを含む。一部の実施形態では、収集された濃縮組成物が凍結保存されることによって凍結保存濃縮組成物が生成される。一部の実施形態では、凍結保存濃縮組成物が解凍されて解凍された濃縮組成物が生産され、解凍された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい。一部の実施形態では、解凍された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも25%大きいか、または少なくとも約30%大きい。
【0070】
一部の実施形態では、方法は、濃縮組成物の細胞を工程(a)および(b)の適用後に凍結保存して、凍結保存細胞組成物を作出することを含む。一部の実施形態では、凍結保存は、凍結保護剤を含む培地に細胞を懸濁させること、および細胞を凍結することを含む。一部の実施形態では、凍結することは、速度制御フリーザーにおいてである。
【0071】
一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍することをさらに含む。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも3日間凍結された後に行われる。
【0072】
一部の実施形態では、方法の1つまたは複数の工程は、自動化される。一部の実施形態では、方法の1つまたは複数の工程は、遠心分離機システムまたはそのコンポーネントによって自動化される。
【0073】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、組換え分子をコードする異種核酸を含む。一部の実施形態では、組換え分子は、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原受容体(例えば、CARもしくはTCR)、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、組換え分子は、抗体受容体である。一部の実施形態では、抗原受容体は、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)である。一部の実施形態では、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0074】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)は、標的抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、T細胞共刺激分子は、CD28および4-1BBからなる群から選択される。一部の実施形態では、CARは、組換え発現される。一部の実施形態では、CARは、ベクターから発現される。一部の実施形態では、CARは、γ-レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターからの発現である。一部の実施形態では、CARは、レンチウイルスベクターから発現される。
【0075】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子である。一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、γ-レトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、レンチウイルスベクター粒子である。
【0076】
一部の実施形態では、抗原受容体は、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、自己免疫疾患もしくは障害、および/または感染症である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がんである。一部の実施形態では、T細胞は、適宜ヒト対象からの、初代T細胞である。
【0077】
本明細書で提供される方法のいずれかによって生産される遺伝子操作されたT細胞を含む組成物が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、組成物は、約1.0×106個のCAR発現T細胞から約2.0×109個のCAR発現T細胞の間のCAR発現T細胞を含む。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む。一部の実施形態では、組成物は、凍結保護剤を含む。
【0078】
疾患または障害を有する対象を処置する方法であって、本明細書で提供される組成物のいずれかを対象に投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。対象における疾患または障害の処置のための、本明細書で提供される組成物のいずれかの使用が、本明細書で提供される。対象における疾患または障害の処置において使用するための、本明細書で提供される組成物のいずれかが、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、疾患または障害に関連する抗原に特異的に結合する抗原受容体を発現するように操作されている。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、連続向流遠心分離によってインプット細胞組成物を生細胞について濃縮する3つの異なる実験[ラン1~3]の結果を示す。
図1Aは、インプット組成物、ならびに連続向流遠心分離後の産物および廃棄物画分の、総生細胞数および総死細胞数を示す。
図1Bは、連続向流遠心分離による濃縮後の生細胞のパーセンテージの増加を示す。
【
図2】
図2Aおよび2Bは、連続向流遠心分離ベースの方法または規模縮小スピノキュレーション方法のどちらかによって実行した、形質導入産物画分における形質導入効率、ならびにインプット組成物およびウイルスベクターによる形質導入後の多様な産物画分中の生細胞のパーセンテージを、それぞれ示す。対照として、細胞を、規模を縮小した方法によってウイルスベクターと共にインキュベートしたが、いかなる遠心分離にも付さなかった(「無回転」)。
【
図3】
図3は、連続向流遠心分離ベースの方法または規模縮小スピノキュレーション方法のどちらかによって実行した、インプット組成物およびウイルスベクターによる形質導入後の多様な産物画分中の生細胞のパーセンテージを示す。形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法に付したインプット組成物は、30mLまたは60mLのどちらかの総体積を有した。
【
図4】
図4Aは、濃縮および緩衝液交換の連続向流水簸(CCE)ベースの方法(「洗浄」)、またはデッドエンド遠心分離および緩衝液交換の代替方法のどちらかの後の、11名の異なるヒトドナーから生成されたインプット組成物および洗浄済み産物画分中の生細胞のパーセンテージを示す。
図4Bは、CCEベースの方法または代替方法を使用する洗浄前産物(「回収産物」;HP)画分、洗浄済み産物(WP)画分、製剤化薬物製品(FDP)画分および凍結保存薬物製品(CDP)画分中の生細胞のパーセンテージを示す。
図4Cは、洗浄前産物(HP)画分の生存率に対する、洗浄済み産物(WP)画分、製剤化薬物製品(FDP)画分および凍結保存薬物製品(CDP画分)における細胞の生存率を示す。
図4Dは、洗浄前産物(HP)画分、洗浄済み産物(WP)画分および洗浄済み廃棄物画分における生細胞と生存不能な細胞の総数を示す。
図4Eは、多様な遠心力での解凍された凍結保存薬物製品(CDP)画分の洗浄前産物(HP)画分に対する生存率比を示す。
図4Fは、改変されたCCEベースの方法または代替方法のどちらかを使用する最終産物収率を示す。
図4Gは、改変されたCCEベースの方法(Mod CCE)または代替(Alt)方法を低、中または高細胞投入量で使用する解凍された凍結保存薬物製品(CDP)画分の平均生存率を示す。
図4H、4Iおよび4Jは、より低い生存率を示す洗浄前産物(HP)画分を有するドナー(
図4H)および代替方法を使用する低い生存率を有するドナー(
図4J)間のものを含む、代替方法と比較して改変されたCCEベースの方法によって生産されるCDPの細胞生存率についての予測された改善を示す。
図4Kは、改変されたCCEベースの方法の洗浄体積の増加に伴う、流入培地中の不純物の理論および実測濃度、ならびに流出培地中の同じ不純物の理論濃度を示す。
【
図5】
図5Aは、インプット組成物ならびに濃縮の連続向流遠心分離方法後の産物および廃棄物画分中の全および生存不能な細胞の数を示す。濃縮方法の洗浄工程を、62.5または33.3どちらかの遠心力の流量に対する比率(G/FR)で実行した。
図5Bは、インプット組成物および62.5または33.3どちらかの遠心力の流量に対する比率(G/FR)で実施した洗浄工程後の洗浄済み産物画分中の生細胞のパーセンテージを示す。
図5Cは、96時間刺激した(上のパネル)または活性化の開始後15日間培養下で拡大した(下のパネル)生存率向上についてのインプット組成物における生細胞(V)および生存不能な細胞(NV)のサイズを示す。
【
図6】
図6Aは、異なる遠心力および流量のもとで実行した、ウイルスベクターでの形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法の後のCD3+CAR+細胞のパーセンテージを示す。比較のために、CD3+CAR+細胞のパーセンテージを、形質導入の規模縮小スピノキュレーション方法の後に評価した(
図6B)。
図6Cは、3000Gの遠心力および30mL/分の流量を用いる条件下で実行した、ウイルスベクターでの形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法の後のCD3+CAR+細胞のパーセンテージを示す。
図6Dは、遠心力および流量条件をインキュベーション全体にわたって定期的に変える条件下で実行した、ウイルスベクターでの形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法の後のCD3+CAR+細胞のパーセンテージを示す。比較のために、規模縮小スピノキュレーション方法(693G)を使用してウイルスベクターで細胞に形質導入した。
【
図7】
図7Aは、100万細胞当たり11.1μLまたは3.33μLのどちらかのベクター粒子での細胞の連続向流遠心分離ベースの形質導入後の生存CD45+細胞間のCD3+CAR+細胞のパーセンテージを示す。
図7Bは、100万細胞当たり6μLのベクター粒子での細胞の連続向流遠心分離ベースの形質導入後のCD3+CAR+細胞のパーセンテージを示す。比較のために、規模縮小スピノキュレーション方法(693G)を使用してウイルスベクターで細胞に形質導入した。
【
図8】
図8Aは、インプット組成物が30mLまたは60mLのどちらかの総体積を有する、形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法の後のCD3+CAR+細胞のフローサイトメトリー分析を示す。結果が
図8Bにおいて定量化されている。
【
図9】
図9Aは、インプット組成物が総数600×10
6の細胞または総数200×10
6の細胞のどちらかを含む、形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法の後のCD3+CAR+細胞のフローサイトメトリー分析を示す。対照として、総数15×10
6の細胞を形質導入の規模縮小スピノキュレーション方法に付した。結果が
図9Bにおいて定量化されている。
【
図10】
図10Aは、初代T細胞の連続向流遠心分離ベースの形質導入中に逆遠心分離機システムから採取したウイルスベクター上清での形質導入後のCAR+Jurkat細胞のパーセンテージを示す。
図10Bは、逆遠心分離機システムにおける30分または90分の連続向流遠心分離ベースの形質導入後のCD3+CAR+初代T細胞のパーセンテージを示す。
【
図11】
図11は、形質導入の連続向流遠心分離ベースの方法中の連続向流遠心分離機システムにおけるウイルスベクター濃度および分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
細胞組成物に含まれているものなどの標的細胞、およびウイルスベクター粒子を遠心分離に付すことによって細胞に形質導入する方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、遠心分離方法は、連続向流水簸(CCE)に基づく。一部の実施形態では、方法は、標的細胞が遠心分離機のエンクロージャー(例えば、円錐形のエンクロージャー)においてウイルスベクター粒子による接触を繰り返し受けることによって、ウイルスベクターで形質導入された複数の標的細胞を含む組成物が生成される条件下での、CCEベースの遠心分離に関する。一部の実施形態では、形質導入の遠心分離ベースの方法はまた、生存可能な標的細胞を濃縮するか、不純物を除去するか、または両方である。提供される開示に従う方法によって生産されるものなどの、形質導入細胞集団を含有する関連組成物も、提供される。
【0081】
免疫細胞、例えばT細胞、などの細胞の遠心分離による形質導入を含む、細胞(例えば、T細胞)へのウイルスベクターの移入方法も提供される。一部の実施形態では、提供される方法は、免疫細胞(例えば、T細胞)などの細胞とレンチウイルスベクターなどのウイルスベクター粒子とを、遠心分離に付すことを含む。一部の実施形態では、遠心分離方法は、遠心分離の連続向流水簸(CCE)方法であるか、またはそれに基づき、例えば、逆遠心分離機システム(例えば、向流遠心分離システム)において実行される。一部の実施形態では、遠心分離システムは、その全体が参照により本明細書に各々組み込まれるWO2018/204992およびWO2019/140491に記載されているもののいずれかである。一部の実施形態では、提供される方法は、免疫細胞(例えば、T細胞)などの細胞とレンチウイルスベクターなどのウイルスベクター粒子とを逆遠心分離システム(例えば、向流遠心分離システム)において遠心分離に付すこと含み、このシステムにおいて、ウイルスベクター粒子は、システムを通って循環されて細胞と繰り返し接触する。
【0082】
形質導入細胞組成物などの細胞組成物中の生細胞を遠心分離によって濃縮する方法も提供される。一部の実施形態では、細胞組成物は、T細胞組成物、例えば、形質導入T細胞組成物である。一部の実施形態では、遠心分離方法は、遠心分離のCCE法であるか、またはそれに基づき、例えば、逆遠心分離機システム(例えば、向流遠心分離システム)において実行される。提供される開示に従う方法によって生産されるものなどの、生細胞が濃縮された細胞集団を含有する関連組成物も、提供される。
【0083】
細胞組成物、例えばT細胞組成物、から遠心分離によってビーズを除去する(脱ビーズ化する(debeading))方法も提供される。一部の実施形態では、遠心分離方法は、遠心分離のCCE法であるか、またはそれに基づき、例えば、逆遠心分離機システム(例えば、向流遠心分離システム)において実行される。提供される開示に従う方法によって生産されるものなどの、脱ビーズ化細胞集団を含有する関連組成物も、提供される。
【0084】
逆流(「向流」としても公知)遠心分離は、遠心加速下で流体中の粒子の沈降速度を支持培地の流れによって相殺する技術である。粒子は、それによって、流動床として懸濁される。逆流遠心分離は、十分に穏やかであるので細胞を培養することができ、ひいては流動床状態で拡大することができる。細胞凝集も低減させることができる。さらに、この技術は、密度および形態特性の違いから死細胞の生細胞からの分離を可能にする。遠心加速下での細胞または粒子へ半径方向内向きの流体流のデリバリーは、向流状況を作り出す。各粒子が経験する遠心加速は、回転中心からのその粒子の半径方向距離に比例する。流動粒子床を作出するためには、相殺する流量を回転半径ごとに調整する必要がある。提供される実施形態のいずれかにおいて、流量は、蠕動ポンプによって提供される。これは、一般に、円錐の尖端が半径方向外側に向いている円錐として、チャンバーを成形することによって達成される。対向流体流は、円錐尖端を通ってインプットされる。流体流は、比較的高い速度で円錐の尖端に入り、流体流の速度は、それが半径方向内向きに進むにつれて、円錐の断面積が増加するため徐々に低下する。R.J.Sanderson、K.E.Bird、N.F.PalmerおよびJ.Brenmanによって論文:“Design Principles for a Counter Flow Centrifugation Cell Separation Chamber” Analytical Biochemistry 71 , 615-622 (1976)に記録されているように、昔から、逆流遠心分離のためのチャンバー形状および具体的な円錐幾何形状についての研究は行われている。
【0085】
一部の実施形態では、提供される方法は、そのような細胞を、組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)、をコードする異種分子を用いて遺伝子操作するために、使用される。得られる遺伝子操作された細胞を養子免疫療法において使用することができる。一部のそのような実施形態では、提供される方法を使用して、形質導入のスピノキュレーションベースの方法を用いることなく養子療法のための免疫細胞、例えばT細胞、を調製することができる。一部の態様では、提供される方法は、細胞組成物、細胞およびウイルスベクター粒子組成物、ならびに/または形質導入細胞集団を生細胞について濃縮することができる。一部の態様では、生細胞の濃縮は、低い出発生存率を有する組成物においてより顕著である。一部の態様では、提供される方法は、代替方法(例えば、デッドエンド遠心分離方法)と比較して匹敵する最終細胞収率を維持しつつ生細胞を濃縮する。
【0086】
一般に、スピノキュレーションベースの方法を使用して、免疫細胞(例えば、T細胞)などの細胞にウイルスベクター粒子で形質導入することができる。しかし、そのような方法には、生細胞の数が少ないおよび/または生存可能な形質導入細胞の数が少ないという欠点がある。形質導入のスピノキュレーションベースの方法は、細胞組成物を生細胞について本質的に濃縮しないからである。したがって、既存のスピノキュレーションベースの方法を用いると、下流の使用のための、例えば細胞療法における使用のための、生存能が維持された多数の細胞に、必ずしも形質導入できるとは限らない可能性がある。
【0087】
さらに、連続指数関数的速度で不純物を希釈する連続向流遠心分離システムのおかげで、細胞組成物中の不純物のクリアランスが代替方法およびシステムと比較して改善される。一部の態様では、不純物は、タンパク質、DNA、細胞残屑、製造に使用された試薬、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0088】
加えて、遠心分離の代替方法およびシステムを自動化することおよび/または他のシステムに統合することができるとは限らない。対照的に、本明細書で提供される方法の異なる工程を、連続向流遠心分離システム(例えば、CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)を使用すると自動化することができる。さらに、このようなシステムは、他の機器およびシステムと互換性があり、それらと統合することができる。
【0089】
提供される方法は、遠心分離の連続向流水簸ベースの方法、例えば、逆遠心分離機システム(例えば、CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)において実行される該方法が、対象から得られた初代細胞の十分な形質導入を達成することができ、細胞組成物を生細胞について濃縮することができるという観察結果に基づく。
【0090】
一部の実施形態では、方法は、特定の生細胞数またはパーセンテージを獲得可能である。例えば、一部の実施形態では、方法によって生成される組成物中の細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%は、生存可能である。一部の実施形態では、方法は、生細胞のパーセンテージがインプット組成物より大きい、例えば、インプット組成物より5%、10%、15%、または20%大きい、アウトプット組成物を生産する。
【0091】
一部のそのような実施形態では、生細胞の数およびパーセンテージは、細胞の生存率またはその欠如を示すマーカーの発現レベルを測定することによって、モニタリングおよび/または観察することができる。細胞生存率を評価するためのいくつかの周知の方法、例えば、細胞死マーカー、例えば、クロマチン凝縮、アネキシンV、カスパーゼ、ヨウ化プロピジウム(PI)、および/またはホスファチジルセリン(PS)の、例えば、細胞表面タンパク質に関して、フローサイトメトリーまたは細胞染色(例えば、免疫組織化学的検査)などによる検出を、使用することができる。一部の例では、発現は、細胞によって産生される分子、例えば、乳酸デヒドロナーゼ(LDH)またはアデノシン三リン酸(ATP)のレベルの検出によって測定される。
【0092】
一部の実施形態では、方法を使用して、集団におけるT細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多くが、生存可能なT細胞、例えば、細胞死マーカー、例えば、表面マーカーまたは分泌分子または他のマーカーを欠くT細胞である、T細胞の集団に形質導入することができる。
【0093】
一部の実施形態では、方法は、アウトプット組成物中の全細胞の(またはT細胞などの特定の標的細胞型の)少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%が生存可能であり、および/または細胞死マーカー、例えば、表面マーカーもしくは分泌マーカーもしくは他のマーカーを発現しない、アウトプット組成物を生産する。
【0094】
一部の実施形態では、提供される方法は、免疫細胞、例えばT細胞、の比較的高い生存率をもたらす。一部の実施形態では、細胞集団、例えばアウトプット組成物、中のT細胞などの細胞の少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、提供される方法に従って生存可能である。
【0095】
一部の実施形態では、アウトプット組成物中のT細胞の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%以下は、生存不能な細胞であり、アネキシンV、カスパーゼ、ヨウ化プロピジウム(PI)および/もしくはホスファチジルセリン(PS)からなる群から選択される表面マーカーを発現し、ならびに/または比較的高レベルのLDHおよび/もしくは比較的低レベルのATPを分泌する。例えば、一部の態様では、インプット組成物および/またはアウトプット組成物の細胞の集団は、少なくとも40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%がアネキシンV、カスパーゼ、ヨウ化プロピジウム(PI)および/またはホスファチジルセリン(PS)について表面陰性であるものである。
【0096】
細胞の生存率を評価するための方法および技術は、当該技術分野で公知である。そのようなマーカーの検出のための抗体および試薬は、当該技術分野で周知であり、容易に入手可能である。
【0097】
一部の実施形態では、方法は、ある特定の条件下で少なくとも特定の形質導入効率を達成可能である。例えば、インプット組成物が、ウイルスおよび細胞を、細胞1個当たり1または約1感染単位(IU)から細胞1個当たり10IU、例えば、細胞1個当たり少なくとも1もしくは1もしくは約1感染単位(IU)、または細胞1個当たり少なくとも2もしくは2もしくは約2IU、細胞1個当たり少なくとも5もしくは5もしくは約5IU、または細胞1個当たり少なくとも10もしくは10もしくは約10IUの比率で含む、一部の実施形態では、方法は、方法によって生成される組成物における細胞の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも75%がウイルスベクターを含む、例えば、ウイルスベクターで形質導入されている、アウトプット組成物を生産可能である。
【0098】
一部のそのような実施形態では、ウイルスベクター粒子(例えば、レトロウイルスベクター)での細胞の形質導入効率を、細胞、例えば、生存可能な宿主細胞、例えば生存可能なT細胞、またはその細胞の集団へのベクターの形質導入または他の形態の移入後に、ウイルスベクターのゲノムに含有される核酸によりコードされる組換え分子またはタンパク質、例えば異種抗原受容体、の発現のレベルを測定することによって、モニタリングおよび/または観察することができる。組換え分子の発現レベルを評価するためのいくつかの周知の方法、例えば、親和性ベースの方法、例えば免疫親和性ベースの方法による、例えば、細胞表面タンパク質に関して、フローサイトメトリーなどによる検出を、使用することができる。一部の例では、発現は、形質導入マーカーおよび/またはレポーターコンストラクトの検出によって測定される。一部の実施形態では、切断された表面タンパク質をコードする核酸がベクター内に含められ、発現および/またはその増強のマーカーとして使用される。
【0099】
一部の実施形態では、提供される方法は、細胞とウイルス粒子のインキュベーション、例えば、細胞のウイルス粒子での形質導入の前または後に、凍結保存工程を含み得る。一部の実施形態では、提供される方法は、細胞とウイルス粒子のインキュベーション、例えば、細胞のウイルス粒子での形質導入の前または後に、凍結保存工程を含む。一部の実施形態では、そのような工程は、材料の出荷、材料のサンプリング、または患者の状態を保留する治療の「一時停止」を可能にするためのプロセスの中断工程を含むこともあり得る。一部の実施形態では、提供される方法によって達成される細胞生存率の向上は、凍結保存薬物製品において、または以前に凍結保存された解凍薬物製品において維持される。一部の実施形態では、提供される方法によって達成される細胞生存率の向上は、凍結保存薬物製品において維持される。一部の実施形態では、提供される方法によって達成される細胞生存率の向上は、以前に凍結保存された解凍薬物製品において維持される。
【0100】
一部の実施形態では、提供される方法は、例えば養子細胞療法における、臨床使用のための細胞の調製における1つの、より多くの、または全ての工程が、非無菌条件に細胞を曝露することなく、および無菌室またはキャビネットを使用する必要なく実行されるように、実行される。そのようなプロセスの一部の実施形態では、全て閉鎖されたシステム内で、細胞は、生存率について向上され、および/または形質導入される。一部の実施形態では、閉鎖されたシステムは、逆遠心分離機システムの円錐形のエンクロージャーであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、方法、またはそのいずれかの部分は、自動化方式で実行される。一部の実施形態では、方法全体が自動化方式で実行される。
【0101】
一部の実施形態では、提供される方法は、細胞がスピノキュレーションの非存在下で形質導入されおよび/または細胞生存率について向上され、ひいては下流の処理および産物が改善される、最適化されたまたは改善されたプロセスを提供する。一部の態様では、提供される方法はまた、より良好なまたはより望ましい表現型、例えば、より多くの生細胞を有する、対象への投与のための形質導入細胞を生産することができる。
【0102】
一部の実施形態では、方法によって生産されるそのような細胞、またはそのような細胞を含む組成物は、疾患または状態を処置するために対象に投与される。
【0103】
一部の実施形態では、提供される方法は、細胞の準最適用量を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、疾患または状態を処置するための細胞の治療有効用量の1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1もしくは10分の1未満、または約1.5分の1、約2分の1、3分の1、約4分の1、約5分の1もしくは約10分の1未満である。そのような例では、細胞の治療有効量をもたらすための細胞の拡大が、対象への細胞の投与時にインビボ(in vivo)で起こり得る。
【0104】
一部の実施形態では、提供される方法は、細胞のインビボ拡大を含む。一部の態様では、細胞のインビボ拡大は、投与された細胞の導入遺伝子特異的活性化または刺激によってインビボで起こり得る。一部の実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)は、抗原の認識時に刺激される、例えば、活性化または拡大される。一部の実施形態では、1つまたは複数の薬剤が、対象におけるインビボでの細胞の刺激、活性化または拡大をブーストする、増す、または増大させるために、対象に投与される。
【0105】
一部の実施形態では、提供される方法は、対象に投与されたときに持続性および/または拡大の増大を示す遺伝子操作されたT細胞を生産する。一部の実施形態では、持続性および/または拡大が増大された遺伝子操作された細胞は、それが投与される対象において、より良好な効力を示す。一部の実施形態では、提供されるウイルスベクターおよび方法は、例えば、対象への投与の前にT細胞のエクスビボ(ex vivo)マニピュレーションを最小にすることおよび/または低減させることによって、養子細胞療法の方法における処置成績のばらつきを低減させる。一部の実施形態では、形質導入の前にまたはそれと並行して生存可能なT細胞を濃縮することは、エクスビボマニピュレーションに必要とされる時間および試薬を低減させることによって、養子細胞療法のための遺伝子操作されたT細胞を生産または調製するプロセスを改善する。一部の実施形態では、形質導入細胞または操作された細胞の選択が遺伝子操作後に実行される。
【0106】
また、提供される実施形態の中には、本明細書で提供される方法のいずれかによって生産される遺伝子操作された細胞、例えば、組換え抗原受容体(例えば、TCRまたはCAR)を発現する細胞、ならびにそのような遺伝子操作された細胞の養子細胞療法のための方法および使用もある。
【0107】
本出願において参照される特許文書、科学論文およびデータベースを含む全ての出版物は、それぞれ個々の出版物が個々に参照により組み込まれた場合と同程度に、あらゆる目的のために参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開された出願および他の出版物に記載の定義に反するか、または別の状況で矛盾する場合、参照により本明細書に組み込まれる定義より本明細書に記載の定義が優先される。
【0108】
本明細書で使用される節の見出しは、単に系統化する目的のためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されないものとする。
【0109】
I.細胞に形質導入する方法
遺伝子操作されたT細胞の組成物を遠心分離機システムにおいて生産するための方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、遠心分離機システムにおいて細胞組成物を含むインプット組成物にウイルスベクター粒子で形質導入することを含む。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、逆遠心分離機システムとしても公知の、連続向流水簸(「CCE」)遠心分離機システムである。一部の実施形態では、生産される細胞は、例えば養子細胞療法において、自家または同種移植のために調製される初代細胞などの、細胞療法における使用のためのものである。方法は、追加の細胞処理工程、例えば、細胞洗浄、単離、分離、収集、製剤化、または細胞組成物の生産に関連する他の工程を含み得る。
【0110】
一部の実施形態では、提供される方法は、レトロウイルスベクター粒子などのウイルスベクター粒子をT細胞などの細胞に導入するために使用される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、キメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)などの抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有する。したがって、一部の実施形態では、提供される方法は、トランスジェニックTCRまたはCARなどの遺伝子操作された抗原受容体をT細胞などの細胞において発現させるために使用することができる。そのような粒子および方法によって形質導入された細胞、ならびにそのような細胞を含有する組成物、ならびにそれらを使用するための方法も、提供される。
【0111】
一部の実施形態では、方法は、養子細胞療法における使用に望ましい、形質導入細胞および/またはそれらのある特定の集団もしくは亜集団の生存率の増加をもたらす特徴を含む。一部の実施形態では、提供される方法は、生存可能な遺伝子操作された細胞をはじめとする生細胞を濃縮する。したがって、一部の実施形態では、提供される方法から得られる細胞の組成物は、形質導入の前と比較して、形質導入後に細胞生存率の増加を示す。一部の実施形態では、生存率の増加は、形質導入の直後に観察され、および/または形質導入後ある期間(例えば、数時間もしくは数日)にわって維持される。
【0112】
A.インプット組成物
一部の実施形態では、提供される方法は、遠心分離機システムにおいて、T細胞を含細胞組成物と、抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクター粒子(合わせて、「インプット組成物」)を接触させることによって、T細胞を遺伝子操作することを含む。一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することを含む。一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前に円錐形の流体エンクロージャーに細胞組成物を投入することを含む。
【0113】
一部の実施形態では、遠心分離機システムは、円錐形の流体エンクロージャー内にカニューレを含む。一部の実施形態では、カニューレは、円錐形の流体エンクロージャーの長さに沿って伸びている。一部の実施形態では、カニューレの一方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近にある。一部の実施形態では、カニューレの他方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近、例えば、広端の中心またはその付近にある。
【0114】
一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーにカニューレ経由で投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近において、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの尖端または付近におけるカニューレの末端から出ることによって、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。
【0115】
一部の実施形態では、方法は、ウイルスベクター粒子を遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーに投入することを含み、細胞組成物とウイルス粒子とを含む得られる組成物がインプット組成物である。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、第1の遠心力および第1の流量の適用と同時にまたは適用の間に実行される。
【0116】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、円錐形の流体エンクロージャーにカニューレ経由で投入される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近において、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの尖端または付近におけるカニューレの末端から出ることによって、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。
【0117】
一部の実施形態では、方法は、第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に適用することを含む。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させる。したがって、一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、遠心分離機システムを通って再循環している間に細胞の流動床と繰り返し接触する。一部の実施形態では、方法は、抗原受容体を発現する遺伝子操作されたT細胞を生産する。
【0118】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量を適用することによって、細胞組成物の廃棄物画分が水簸されて円錐形の流体エンクロージャーから出される。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する。
【0119】
一部の実施形態では、水簸された細胞は、円錐形の流体エンクロージャーの広端における開口部経由で円錐形の流体エンクロージャーから出る。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を少なくとも部分的に包囲している。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を包囲している。
【0120】
一部の実施形態では、方法は、水簸された廃棄物画分を収集することを含む。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、容器に回収される。一部の実施形態では、容器は、円錐形の流体エンクロージャーの広端と流体連通している。
【0121】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量を適用することによって、円錐形の流体エンクロージャー内で細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物が生産される。
【0122】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子の投入は、第2の遠心力および第2の流量の適用と同時にまたは適用の間に実行される。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、第2の遠心力および第2の流量の適用の少なくとも一部分の間、遠心分離機システムに存在する。
【0123】
一部の実施形態では、方法は、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;(b)抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクター粒子を円錐形の流体エンクロージャーに投入することによって、細胞組成物とウイルスベクター粒子とを含むインプット組成物を生成すること;ならびに(c)第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させ、その結果、ウイルスベクター粒子が細胞の流動床と繰り返し接触し、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成することを含む。
【0124】
一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量を、抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクター粒子とT細胞を含む細胞組成物とを含むインプット組成物に適用することを含む。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子および細胞組成物は、両方とも、第1の遠心力および第1の流量が適用されるとき遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーに存在する。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量の適用は、細胞の流動床を生産する。一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前に円錐形の流体エンクロージャーに細胞組成物およびウイルスベクター粒子を投入することを含む。一部の実施形態では、細胞組成物の投入は、ウイルスベクター粒子の投入前、投入中、および/または投入後である。一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前に円錐形の流体エンクロージャーにインプット組成物を投入することを含む。一部の実施形態では、細胞組成物および/またはウイルスベクター粒子は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前または間に円錐形の流体エンクロージャーに投入される。
【0125】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約625Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約625Gから約3,000Gの間、約625Gから約2,500Gの間、約625Gから約2,000Gの間、約625Gから約1,500Gの間、約625Gから約1,000Gの間、約1,000Gから約3,000Gの間、約1,000Gから約2,500Gの間、約1,000Gから約2,000Gの間、約1,000Gから約1,500Gの間、約1,500Gから約3,000Gの間、約1,500Gから約2,500Gの間、約1,500Gから約2,000Gの間、約2,000Gから約3,000Gの間、約2,000Gから約2,500Gの間、または約2,500Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間である。
【0126】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gから約5,000Gの間、約1,500Gから約4,500Gの間、約2,000Gから約4,000Gの間、約1,500Gから約3,500G、または約2,000Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約4,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約4,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約5,000Gである。
【0127】
一部の実施形態では、第1の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第1の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第1の遠心力は、第1の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第1の流量は、対向流量(counterflow rate)である。
【0128】
一部の実施形態では、第1の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0129】
一部の実施形態では、第1の流量は、約1mL/分から約20mL/分の間、約3mL/分から約18mL/分の間、約5mL/分から約15mL/分の間、または約8mL/分から約12mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約1mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約3mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約5mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約8mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約9mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約10mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約11mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約12mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約18mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約20mL/分である。
【0130】
一部の実施形態では、第1の流量は、約1mL/分から約50mL/分の間、約1mL/分から約40mL/分の間、約1mL/分から約30mL/分の間、約1mL/分から約20mL/分の間、約1mL/分から約10mL/分の間、約10mL/分から約50mL/分の間、約10mL/分から約40mL/分の間、約10mL/分から約30mL/分の間、約10mL/分から約20mL/分の間、約20mL/分から約50mL/分の間、約20mL/分から約40mL/分の間、約20mL/分から約30mL/分の間、約30mL/分から約50mL/分の間、約30mL/分から約40mL/分の間、または約40mL/分から約50mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約10mL/分から約40mL/分の間である。
【0131】
一部の実施形態では、第1の流量は、約10mL/分から約50mL/分の間、約20mL/分から約50mL/分の間、約30mL/分から約50mL/分の間、または約35mL/分から約45mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約40mL/分である。
【0132】
一部の実施形態では、第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。
【0133】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約400の間である。本明細書での遠心力の流量に対する比率は、別段の指示がない限り、Gでの遠心力のmL/分での流量に対する比率である。
【0134】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約400の間、約225から約375の間、約250から約350の間、または約275から約325の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約225である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約250である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約275である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約300である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約325である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約350である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約375である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約400である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,000Gであり、第1の流量は、約10mL/分である。
【0135】
一部の実施形態では、第の遠心力の第1の流量に対する比率は、約20から200の間、約20から180の間、約20から160の間、約20から140の間、約20から120の間、約20から100の間、約20から80の間、約20から60の間、約20から40の間、約40から200の間、約40から180の間、約40から160の間、約40から140の間、約40から120の間、約40から100の間、約40から80の間、約40から60の間、約60から200の間、約60から180の間、約60から160の間、約60から140の間、約60から120の間、約60から100の間、約60から80の間、約80から200の間、約80から180の間、約80から160の間、約80から140の間、約80から120の間、約80から100の間、約100から200の間、約100から180の間、約100から160の間、約100から140の間、約100から120の間、約120から200の間、約120から180の間、約120から160の間、約120から140の間、約140から200の間、約140から180の間、約140から160の間、約160から200の間、約160から180の間、または約180から200の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約40から200の間、約40から180の間、約40から160の間、約40から140の間、約40から120の間、約40から100の間、約40から80の間、または約50から60の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約62.5である。
【0136】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約62.5から約300の間、約62.5から約250の間、約62.5から約200の間、約62.5から約150の間、または約62.5から約100の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約62.5である。
【0137】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約62.5から約300の間、約100から約300の間、約150から約300の間、約200から約300の間、および約250から約300の間である。
【0138】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,500Gであり、第1の流量は、約40mL/分である。
【0139】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約15秒間、約30秒間、約45秒間、約60秒間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約10分間、または約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、約1分間から約15分間の間、約3分間から約12分間の間、または約5分間から約10分間の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約1分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約2分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約3分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約4分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約5分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約6分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約7分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約8分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約9分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約10分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約11分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約12分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約13分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約14分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、少なくとも流動床が確立されるまで、適用される。
【0140】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、少なくとも約15秒間、少なくとも約30秒間、少なくとも約45秒間、少なくとも約60秒間、少なくとも約2分間、少なくとも約3分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、または少なくとも約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約20秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約25秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約2分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約3分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約4分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約5分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約10分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約15分間適用される。
【0141】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に15秒から60秒の間または約15秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に25秒から60秒の間または約25秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に30秒から60秒の間または約30秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に15秒から2分の間または約15秒から約2分の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に25秒から2分の間または約25秒から約2分の間適用される。
【0142】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、所定の数の細胞が円錐形の流体エンクロージャーに投入されるまで適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、所定の数の細胞が細胞の流動床の一部になるまで適用される。一部の実施形態では、所定の数の細胞は、所定の数のT細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約1000万から1億の間、約1000万から9000万の間、約1000万から8000万の間、約1000万から7000万の間、約1000万から6000万の間、約1000万から5000万の間、約1000万から4000万の間、約1000万から3000万の間、約1000万から2000万の間、約2000万から1億の間、約2000万から9000万の間、約2000万から8000万の間、約2000万から7000万の間、約2000万から6000万の間、約2000万から5000万の間、約2000万から4000万の間、約2000万から3000万の間、約3000万から1億の間、約3000万から9000万の間、約3000万から8000万の間、約3000万から7000万の間、約3000万から6000万の間、約3000万から5000万の間、約3000万から4000万の間、約4000万から1億の間、約4000万から9000万の間、約4000万から8000万の間、約4000万から7000万の間、約4000万から6000万の間、約4000万から5000万の間、約5000万から1億の間、約5000万から9000万の間、約5000万から8000万の間、約5000万から7000万の間、約5000万から6000万の間、約6000万から1億の間、約6000万から9000万の間、約6000万から8000万の間、約6000万から7000万の間、約7000万から1億の間、約7000万から9000万の間、約7000万から8000万の間、約8000万から1億の間、約8000万から9000万の間、または約9000万から1億の間の細胞、例えば、T細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約5000万の細胞、例えば、T細胞である。
【0143】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約15秒間、約30秒間、約45秒間、約60秒間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約10分間、または約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に、約1分間から約15分間の間、約3分間から約12分間の間、または約5分間から約10分間の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約1分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約2分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約3分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約4分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約5分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約6分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約7分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約8分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約9分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約10分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約11分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約12分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約13分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約14分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に、少なくとも流動床が確立されるまで、適用される。
【0144】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に、少なくとも約15秒間、少なくとも約30秒間、少なくとも約45秒間、少なくとも約60秒間、少なくとも約2分間、少なくとも約3分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、または少なくとも約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約20秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約25秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約2分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約3分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約4分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約5分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約10分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に少なくとも約15分間適用される。
【0145】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に15秒から60秒の間または約15秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に25秒から60秒の間または約25秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に30秒から60秒の間または約30秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に15秒から2分の間または約15秒から約2分の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に25秒から2分の間または約25秒から約2分の間適用される。
【0146】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に、所定の数の細胞が円錐形の流体エンクロージャーに投入されるまで適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、インプット組成物に、所定の数の細胞が細胞の流動床の一部になるまで適用される。一部の実施形態では、所定の数の細胞は、所定の数のT細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約1000万から1億の間、約1000万から9000万の間、約1000万から8000万の間、約1000万から7000万の間、約1000万から6000万の間、約1000万から5000万の間、約1000万から4000万の間、約1000万から3000万の間、約1000万から2000万の間、約2000万から1億の間、約2000万から9000万の間、約2000万から8000万の間、約2000万から7000万の間、約2000万から6000万の間、約2000万から5000万の間、約2000万から4000万の間、約2000万から3000万の間、約3000万から1億の間、約3000万から9000万の間、約3000万から8000万の間、約3000万から7000万の間、約3000万から6000万の間、約3000万から5000万の間、約3000万から4000万の間、約4000万から1億の間、約4000万から9000万の間、約4000万から8000万の間、約4000万から7000万の間、約4000万から6000万の間、約4000万から5000万の間、約5000万から1億の間、約5000万から9000万の間、約5000万から8000万の間、約5000万から7000万の間、約5000万から6000万の間、約6000万から1億の間、約6000万から9000万の間、約6000万から8000万の間、約6000万から7000万の間、約7000万から1億の間、約7000万から9000万の間、約7000万から8000万の間、約8000万から1億の間、約8000万から9000万の間、または約9000万から1億の間の細胞、例えば、T細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約5000万の細胞、例えば、T細胞である。
【0147】
一部の実施形態では、第2の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第2の遠心力は、第2の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第2の流量は、対向流量である。
【0148】
一部の実施形態では、第2の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0149】
他の実施形態では、第2の流量は、半径方向外向きである。一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端に向けられている。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、同じまたは実質的に同じ方向である。
【0150】
一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から出てカニューレに入る。
【0151】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間、約200Gから約1800Gの間、約500Gから約1,500Gの間、または約750Gから約1,250Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約250Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約600Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約700Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約800Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約900Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,100Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,200Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,300Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,400Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,300Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,750Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約2,000Gである。
【0152】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約4,000Gの間、約100Gから約3,750Gの間、約100Gから約3,500Gの間、約100Gから約3,250Gの間、約100Gから約3,000Gの間、約100Gから約2,750Gの間、約100Gから約2,500Gの間、約100Gから約2,250Gの間、約100Gから約2,000Gの間、約100Gから約1,750Gの間、約100Gから約1,500Gの間、約100Gから約1,250Gの間、約100Gから約1,000Gの間、約100Gから約750Gの間、約100Gから約500Gの間、約100Gから約250Gの間、約250Gから約4,000Gの間、約250Gから約3,750Gの間、約250Gから約3,500Gの間、約250Gから約3,250Gの間、約250Gから約3,000Gの間、約250Gから約2,750Gの間、約250Gから約2,500Gの間、約250Gから約2,250Gの間、約250Gから約2,000Gの間、約250Gから約1,750Gの間、約250Gから約1,500Gの間、約250Gから約1,250Gの間、約250Gから約1,000Gの間、約250Gから約750Gの間、約250Gから約500Gの間、約500Gから約4,000Gの間、約500Gから約3,750Gの間、約500Gから約3,500Gの間、約500Gから約3,250Gの間、約500Gから約3,000Gの間、約500Gから約2,750Gの間、約500Gから約2,500Gの間、約500Gから約2,250Gの間、約500Gから約2,000Gの間、約500Gから約1,750Gの間、約500Gから約1,500Gの間、約500Gから約1,250Gの間、約500Gから約1,000Gの間、約500Gから約750Gの間、約750Gから約4,000Gの間、約750Gから約3,750Gの間、約750Gから約3,500Gの間、約750Gから約3,250Gの間、約750Gから約3,000Gの間、約750Gから約2,750Gの間、約750Gから約2,500Gの間、約750Gから約2,250Gの間、約750Gから約2,000Gの間、約750Gから約1,750Gの間、約750Gから約1,500Gの間、約750Gから約1,250Gの間、約750Gから約1,000Gの間、約1,000Gから約4,000Gの間、約1,000Gから約3,750Gの間、約1,000Gから約3,500Gの間、約1,000Gから約3,250Gの間、約1,000Gから約3,000Gの間、約1,000Gから約2,750Gの間、約1,000Gから約2,500Gの間、約1,000Gから約2,250Gの間、約1,000Gから約2,000Gの間、約1,000Gから約1,750Gの間、約1,000Gから約1,500Gの間、約1,000Gから約1,250Gの間、約1,250Gから約4,000Gの間、約1,250Gから約3,750Gの間、約1,250Gから約3,500Gの間、約1,250Gから約3,250Gの間、約1,250Gから約3,000Gの間、約1,250Gから約2,750Gの間、約1,250Gから約2,500Gの間、約1,250Gから約2,250Gの間、約1,250Gから約2,000Gの間、約1,250Gから約1,750Gの間、約1,250Gから約1,500Gの間、約1,500Gから約4,000Gの間、約1,500Gから約3,750Gの間、約1,500Gから約3,500Gの間、約1,500Gから約3,250Gの間、約1,500Gから約3,000Gの間、約1,500Gから約2,750Gの間、約1,500Gから約2,500Gの間、約1,500Gから約2,250Gの間、約1,500Gから約2,000Gの間、約1,500Gから約1,750Gの間、約1,750Gから約4,000Gの間、約1,750Gから約3,750Gの間、約1,750Gから約3,500Gの間、約1,750Gから約3,250Gの間、約1,750Gから約3,000Gの間、約1,750Gから約2,750Gの間、約1,750Gから約2,500Gの間、約1,750Gから約2,250Gの間、約1,750Gから約2,000Gの間、約2,000Gから約4,000Gの間、約2,000Gから約3,750Gの間、約2,000Gから約3,500Gの間、約2,000Gから約3,250Gの間、約2,000Gから約3,000Gの間、約2,000Gから約2,750Gの間、約2,000Gから約2,500Gの間、約2,000Gから約2,250Gの間、約2,250Gから約4,000Gの間、約2,250Gから約3,750Gの間、約2,250Gから約3,500Gの間、約2,250Gから約3,250Gの間、約2,250Gから約3,000Gの間、約2,250Gから約2,750Gの間、約2,250Gから約2,500Gの間、約2,500Gから約4,000Gの間、約2,500Gから約3,750Gの間、約2,500Gから約3,500Gの間、約2,500Gから約3,250Gの間、約2,500Gから約3,000Gの間、約2,500Gから約2,750Gの間、約2,750Gから約4,000Gの間、約2,750Gから約3,750Gの間、約2,750Gから約3,500Gの間、約2,750Gから約3,250Gの間、約2,750Gから約3,000Gの間、約3,000Gから約4,000Gの間、約3,000Gから約3,750Gの間、約3,000Gから約3,500Gの間、約3,000Gから約3,250Gの間、約3,250Gから約4,000Gの間、約3,250Gから約3,750Gの間、約3,250Gから約3,500Gの間、約3,500Gから約4,000Gの間、約3,500Gから約3,750Gの間、または約3,750Gから約4,000Gの間である。
【0153】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間、約500Gから約1,400Gの間、約500Gから約1,300Gの間、約500Gから約1,200Gの間、約500Gから約1,100Gの間、約500Gから約1,000Gの間、約500Gから約900Gの間、約500Gから約800Gの間、または約500Gから約700Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約625Gである。
【0154】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間、約100Gから約1,900Gの間、約100Gから約1,800Gの間、約100Gから約1,700Gの間、約100Gから約1,600Gの間、約100Gから約1,500Gの間、約100Gから約1,400Gの間、約100Gから約1,300Gの間、約100Gから約1,200Gの間、約100Gから約1,100Gの間、約100Gから約1,000Gの間、約100Gから約900Gの間、約100Gから約800Gの間、約100Gから約700Gの間、約100Gから約600Gの間、約100Gから約500Gの間、または約100Gから約400Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約300Gである。
【0155】
一部の実施形態では、第2の流量は、約10から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間であり、(ii)第2の流量は、約10mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量は、約10mL/分から約100mL/分の間である。
【0156】
一部の実施形態では、第2の流量は、約10から約100mL/分の間、約15から約90mL/分の間、約20から約80mL/分の間、約25から約70mL/分の間、約30から約60mL/分の間、または約35から約50mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約20mL/分、約21mL/分、約22mL/分、約23mL/分、約24mL/分、約25mL/分、約25.5mL/分、約26mL/分、約26.5mL/分、約27mL/分、約27.5mL/分、約28mL/分、約28.5mL/分、約29mL/分、約29.5mL/分、約30mL/分、約31mL/分、約32mL/分、約33mL/分、約34mL/分、または約35mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約26mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約26.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約27mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約27.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約28mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約28.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約29mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約29.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約30mL/分である。
【0157】
一部の実施形態では、第2の流量は、約5から約100mL/分の間、約5から約90mL/分の間、約5から約80mL/分の間、約5から約70mL/分の間、約5から約60mL/分の間、約5から約50mL/分の間、約5から約40mL/分の間、約5から約30mL/分の間、約5から約25mL/分の間、約5から約20mL/分の間、約5から約15mL/分の間、約5から約10mL/分の間、約10から約100mL/分の間、約10から約90mL/分の間、約10から約80mL/分の間、約10から約70mL/分の間、約10から約60mL/分の間、約10から約50mL/分の間、約10から約40mL/分の間、約10から約30mL/分の間、約10から約25mL/分の間、約10から約20mL/分の間、約10から約15mL/分の間、約15から約100mL/分の間、約15から約90mL/分の間、約15から約80mL/分の間、約15から約70mL/分の間、約15から約60mL/分の間、約15から約50mL/分の間、約15から約40mL/分の間、約15から約30mL/分の間、約15から約25mL/分の間、約15から約20mL/分の間、約20から約100mL/分の間、約20から約90mL/分の間、約20から約80mL/分の間、約20から約70mL/分の間、約20から約60mL/分の間、約20から約50mL/分の間、約20から約40mL/分の間、約20から約30mL/分の間、約20から約25mL/分の間、約25から約100mL/分の間、約25から約90mL/分の間、約25から約80mL/分の間、約25から約70mL/分の間、約25から約60mL/分の間、約25から約50mL/分の間、約25から約40mL/分の間、約25から約30mL/分の間、約30から約100mL/分の間、約30から約90mL/分の間、約30から約80mL/分の間、約30から約70mL/分の間、約30から約60mL/分の間、約30から約50mL/分の間、約30から約40mL/分の間、約40から約100mL/分の間、約40から約90mL/分の間、約40から約80mL/分の間、約40から約70mL/分の間、約40から約60mL/分の間、約40から約50mL/分の間、約50から約100mL/分の間、約50から約90mL/分の間、約50から約80mL/分の間、約50から約70mL/分の間、約50から約60mL/分の間、約60から約100mL/分の間、約60から約90mL/分の間、約60から約80mL/分の間、約60から約70mL/分の間、約70から約100mL/分の間、約70から約90mL/分の間、約70から約80mL/分の間、約80から約100mL/分の間、約80から約90mL/分の間、または約90から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。
【0158】
一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。
【0159】
一部の実施形態では、第2の流量は、約5から約40mL/分の間、約5から約35mL/分の間、約5から約30mL/分の間、約5から約25mL/分の間、約5から約20mL/分の間、または約5から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分である。
【0160】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約25から約85の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約65の間である。
【0161】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間、約25から約80の間、または約30から約60の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約25である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約35である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約40である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約45である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約50である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約55である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約60である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約65である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約70である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約75である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gであり、第2の流量は、約28.5mL/分である。
【0162】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から200の間、約20から180の間、約20から160の間、約20から140の間、約20から120の間、約20から100の間、約20から80の間、約20から60の間、約20から40の間、約40から200の間、約40から180の間、約40から160の間、約40から140の間、約40から120の間、約40から100の間、約40から80の間、約40から60の間、約60から200の間、約60から180の間、約60から160の間、約60から140の間、約60から120の間、約60から100の間、約60から80の間、約80から200の間、約80から180の間、約80から160の間、約80から140の間、約80から120の間、約80から100の間、約100から200の間、約100から180の間、約100から160の間、約100から140の間、約100から120の間、約120から200の間、約120から180の間、約120から160の間、約120から140の間、約140から200の間、約140から180の間、約140から160の間、約160から200の間、約160から180の間、または約180から200の間である。
【0163】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間、約20から約80の間、約20から約60の間、または約20から約40の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約300Gであり、第2の流量は、約10mL/分である。
【0164】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約40から200の間、約40から180の間、約40から160の間、約40から140の間、約40から120の間、約40から100の間、約40から80の間、または約50から60の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約62.5である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約625Gであり、第2の流量は、約10mL/分である。
【0165】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約5分間から約100分間の間、約10分間から約90分間の間、約15分間から約80分間の間、約20分間から約70分間の間、約25分間から約60分間の間、約30分間から約50分間の間、または約35分間から約40分間の間、適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約5分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約10分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約15分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約20分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約25分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約30分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約45分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約60分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約75分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に約90分間適用される。
【0166】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約15分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約30分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約45分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約60分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約75分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に少なくとも約90分間適用される。
【0167】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に連続的に適用される。
【0168】
他の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に非連続的に適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に断続的に適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に規則的に生じる間隔で適用される。
【0169】
前述の実施形態のいずれかでは、第2の遠心力および第2の流量がインプット組成物に適用される時間の量は、第2の遠心力および第2の流量が非連続的に適用される時間の総量であり得る。例えば、一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に、30分の期間中に合計で約5分間から約25分間の間、非連続的に適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に、30分の期間中に合計で約15分間適用される。
【0170】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、インプット組成物に第1の期間に適用され、この期間に第2の期間が続き、第2の期間では、第2の遠心力および第2の流量がインプット組成物に適用されない。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量とはそれぞれ異なる遠心力および流量が、インプット組成物に適用される。一部の実施形態では、第2の期間中に適用される遠心力および流量は、本明細書に記載される遠心力および流量のいずれか、例えば、記載される第2の遠心力および第2の流量のいずれか、例えば、本明細書に記載される第2の遠心力の第2の流量に対する比率のいずれかでの遠心力および流量である。
【0171】
一部の実施形態では、第1の期間および第2の期間は、長さがほぼ等しい。
【0172】
一部の実施形態では、第1の期間および第2の期間は、長さが異なる。
【0173】
一部の実施形態では、第1および第2の期間は、所定の回数、繰り返される。一部の実施形態では、第1および第2の期間は、所定の時間量が経過し終えるまで繰り返される。一部の実施形態では、所定の時間量は、約5分から約100分の間、約10分から約90分の間、約15分から約80分の間、約20分から約70分の間、約25分から約60分の間、約30分から約50分の間、または約35分から約40分の間である。
【0174】
一部の実施形態では、第1の期間は、約1分から約10分の間、約1分から約9分の間、約1分から約8分の間、約1分から約7分の間、約1分から約6分の間、約1分から約5分の間、約1分から約4分の間、約1分から約3分の間、約1分から約2分の間、約2分から約10分の間、約2分から約9分の間、約2分から約8分の間、約2分から約7分の間、約2分から約6分の間、約2分から約5分の間、約2分から約4分の間、約2分から約3分の間、約3分から約10分の間、約3分から約9分の間、約3分から約8分の間、約3分から約7分の間、約3分から約6分の間、約3分から約5分の間、約3分から約4分の間、約4分から約10分の間、約4分から約9分の間、約4分から約8分の間、約4分から約7分の間、約4分から約6分の間、約4分から約5分の間、約5分から約10分の間、約5分から約9分の間、約5分から約8分の間、約5分から約7分の間、約5分から約6分の間、約6分から約10分の間、約6分から約9分の間、約6分から約8分の間、約6分から約7分の間、約7分から約10分の間、約7分から約9分の間、約7分から約8分の間、約8分から約10分の間、約8分から約9分の間、または約9分から約10分の間である。一部の実施形態では、第1の期間は、約1分から約10分の間、約1分から約9分の間、約1分から約8分の間、約1分から約7分の間、約1分から約6分の間、約1分から約5分の間、約1分から約4分の間、約1分から約3分の間、または約1分から約2分の間である。一部の実施形態では、第1の期間は、約1分である。
【0175】
一部の実施形態では、第2の期間は、約1分から約10分の間、約1分から約9分の間、約1分から約8分の間、約1分から約7分の間、約1分から約6分の間、約1分から約5分の間、約1分から約4分の間、約1分から約3分の間、約1分から約2分の間、約2分から約10分の間、約2分から約9分の間、約2分から約8分の間、約2分から約7分の間、約2分から約6分の間、約2分から約5分の間、約2分から約4分の間、約2分から約3分の間、約3分から約10分の間、約3分から約9分の間、約3分から約8分の間、約3分から約7分の間、約3分から約6分の間、約3分から約5分の間、約3分から約4分の間、約4分から約10分の間、約4分から約9分の間、約4分から約8分の間、約4分から約7分の間、約4分から約6分の間、約4分から約5分の間、約5分から約10分の間、約5分から約9分の間、約5分から約8分の間、約5分から約7分の間、約5分から約6分の間、約6分から約10分の間、約6分から約9分の間、約6分から約8分の間、約6分から約7分の間、約7分から約10分の間、約7分から約9分の間、約7分から約8分の間、約8分から約10分の間、約8分から約9分の間、または約9分から約10分の間である。一部の実施形態では、第2の期間は、約1分から約10分の間、約1分から約9分の間、約1分から約8分の間、約1分から約7分の間、約1分から約6分の間、約1分から約5分の間、約1分から約4分の間、約1分から約3分の間、または約1分から約2分の間である。一部の実施形態では、第2の期間は、約1分である。
【0176】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,500Gであり、第2の流量は、約10mL/分であり、第2の遠心力および第2の流量は、約1分の第1の期間、インプット組成物に適用され、その後、約300Gの遠心力および約10mL/分の流量が、約1分の第2の期間、インプット組成物に適用される。一部の実施形態では、第1および第2の期間は、約30分が経過し終えるまで繰り返される。
【0177】
一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約5mlから約20,000mlの間、約10mLから約2,000mLの間、約15mLから約1,000mLの間、約20mLから約500mLの間、約25mLから約100mLの間、または約30mLから約60mLの間の体積を含む。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約30mLから約60mLの間である。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約5mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約10mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約15mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約20mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約25mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約30mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約35mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約40mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約45mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約50mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約55mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約60mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約65mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約70mlである。一部の実施形態では、インプット組成物の体積は、約75mlである。
【0178】
用語「G」または「相対遠心力」(RCF)は、一般に、回転軸に照らして空間内の特定の位置における、地球の重力に対する、物体または物質(例えば、回転しているチャンバーまたは他の容器内の細胞、試料またはペレットおよび/または箇所)に付与される有効力であると理解される。値は、重力、回転速度および回転の半径(回転の軸と、RCFが測定されている物体、物質または粒子からの距離)を考慮して周知の式を使用して決定され得る。
【0179】
一部の実施形態では、提供される方法から生産される細胞(本明細書では以降、「遺伝子操作されたT細胞」または「アウトプット組成物」とも呼ばれる)は、組換え受容体、例えばCAR、などの異種タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターなどの、ウイルスベクターで形質導入された細胞を含む。この文脈での異種とは、ウイルスから通常は発現されない、および/またはウイルスゲノムによってコードされない、タンパク質を指す。一部の実施形態では、ウイルスベクターの宿主ゲノムへの統合は、インキュベーション後に、ウイルスベクター粒子のゲノムに含有されている核酸によってコードされる組換えタンパク質、例えば異種タンパク質、の発現レベルを測定することによって、評価することができる。組換え分子の発現レベルを評価するためのいくつかの周知の方法、例えば、親和性ベースの方法、例えば免疫親和性ベースの方法による、例えば、細胞表面タンパク質に関して、フローサイトメトリーなどによる検出を、使用することができる。一部の例では、発現は、形質導入マーカーおよび/またはレポーターコンストラクトの検出によって測定される。一部の実施形態では、切断された表面タンパク質をコードする核酸がベクター内に含められ、発現および/またはその増強のマーカーとして使用される。
【0180】
i.細胞組成物
一部の実施形態では、T細胞を含む細胞組成物は、ウイルスベクター粒子で、例えば、記載される方法に従って、形質導入される。一部の実施形態では、インプット組成物の細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~約1.0×108細胞/mL、例えば、少なくともまたは約少なくともまたは約1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mLまたは1×108細胞/mLである。一部の実施形態では、細胞組成物は、約1×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約1.25×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約1.5×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約1.75×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約2×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約2.25×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約2.5×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約2.75×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約3×106細胞/mLを含む。
【0181】
一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約20mLから約300mLの間、約25mLから約250mLの間、約30mLから約200mLの間、約35mLの間、および約150mLの間、または約40mLから約100mL間からなる。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約20mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約25mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約30mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約35mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約40mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約45mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約50mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約55mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約60mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約70mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約80mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約100mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約125mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約150mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約175mLである。一部の実施形態では、細胞組成物の体積は、約200mLである。
【0182】
一部の実施形態では、細胞組成物は、総数約1×108の細胞、総数約2×108の細胞、総数約3×108の細胞、総数約4×108の細胞、総数約5×108の細胞、総数約6×108の細胞、総数約7×108の細胞、総数約8×108の細胞、総数約9×108の細胞、または総数約1×109の細胞を含む。
【0183】
一部の実施形態では、T細胞は、約5μm~約25μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約10μm~約20μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。
【0184】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。
【0185】
一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0186】
一部の実施形態では、細胞組成物は、方法の適用前に凍結保存され解凍されたT細胞を含有する。一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍して、T細胞を含む細胞組成物を生産することをさらに含む。
【0187】
一部の実施形態では、細胞組成物は、方法の適用前に凍結保存されても解凍されてもいないT細胞を含有する。
【0188】
一部の実施形態では、細胞は、提供される方法による形質導入の前にインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を第1の遠心力および第1の流量の適用の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。そのような条件は、集団内の細胞の増殖、拡大、活性化および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または遺伝子操作のために、例えば組換え抗原受容体の導入のために、細胞を刺激するように、設計されたものを含む。条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、薬剤、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するように設計された任意の他の薬剤のうち1つまたは複数を含み得る。
【0189】
一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を、細胞組成物を遠心分離機システムに投入する前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、遠心分離機システムへの細胞組成物の投入の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、細胞組成物は、活性化T細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、4-1BBまたはこれらの任意の組合せを発現するT細胞を含む。
【0190】
一部の実施形態では、刺激条件は、刺激試薬の存在を含む。一部の実施形態では、刺激試薬は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化できる。一部の態様では、薬剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを活性化または開始する。そのような薬剤としては、抗体、例えば、例えばビーズなどの固体支持体に結合した、TCR構成要素および/もしくは共刺激受容体に対して特異的な抗体、例えば抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインを挙げることができる。一部の実施形態では、刺激試薬は、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である。一部の実施形態では、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、CD3に特異的に結合する。一部の実施形態では、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSから選択される。一部の実施形態では、一次および二次薬剤の少なくとも一方は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、二次薬剤は、抗CD28抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。適宜、拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含み得る。
【0191】
一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの、技術に従って実行される。
【0192】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、一般に少なくとも約30度、および一般に摂氏37度または摂氏約37度を含む。適宜、インキュベーションは、非分裂EBVで形質転換したリンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することをさらに含み得る。LCLには約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線が照射され得る。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の適した量で、例えば、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞の最初のTリンパ球に対する比率で提供される。
【0193】
実施形態では、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、感染対象からT細胞を単離することおよび同じ抗原を用いてインビトロで細胞を刺激することによって、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンを生成できる。
【0194】
一部の場合には、細胞、例えばT細胞、が活性化されることを必要としないウイルスベクター粒子が、使用され得る。一部のそのような例では、細胞は、活性化の前におよびまたは活性化の非存在下で、選択および/または形質導入され得る。
【0195】
一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞、例えばT細胞、の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多くは活性化され、例えば、一部の場合には、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40Lおよび/または4-1BBのうちの1つまたは複数について表面陽性である。一部の実施形態では、細胞は、第1の遠心力および第1の流量の適用の開始前に、例えば、流動床の確立前および/または形質導入の開始前に、例えば、抗CD3/抗CD28の存在下で、活性化剤を用いて活性化される。T細胞集団をインビトロで、外因性増殖因子の非存在下でまたは少量の外因性増殖因子で拡大する方法は、当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,352,694B1号および欧州特許EP 0 700 430 B1を参照されたい)。一般に、そのような方法は、多様な結合剤(例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体)が固定化されている、1μMを超える固相表面を利用する。例えば、Dynabeads(登録商標)CD3/CD28(Invitrogen)は、T細胞拡大のための市販の試薬であり、これは、ヒトT細胞上のCD3およびCD28細胞表面分子に対する親和性精製モノクローナル抗体の混合物でコーティングされた均一な、4.5μm超常磁性、滅菌、非発熱性ポリスチレンビーズである。一部の実施形態では、活性化剤、例えば、抗CD3および/または抗CD28は、磁性ビーズなどのビーズに固定化され得る。
【0196】
一部の実施形態では、細胞活性化も、IL-2(例えば、50IU/mL~200IU/mLまたは約50IU/mL~約200IU/mL、例えば、100IU/mLまたは約100IU/mL)の存在下で行われる。一部の実施形態では、活性化は、1時間から96時間、1時間から72時間、1時間から48時間、4時間から36時間、8時間から30時間もしくは12時間から24時間の間、または約1時間から約96時間、約1時間から約72時間、約1時間から約48時間、約4時間から約36時間、約8時間から約30時間もしくは約12時間から約24時間の間、例えば、少なくともまたは約少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間または72時間、実行される。一部の実施形態では、活性化は、25℃より高いまたは約25℃より高い、例えば、一般に、32℃、35℃もしくは37℃より高いまたは約32℃、約35℃もしくは約37℃より高い、例えば、37℃±2℃または約37℃±2℃の温度で、例えば、37℃または約37℃の温度で実行される。
【0197】
一部の実施形態では、細胞は、接触の開始前に、例えば、形質導入の開始前に、例えば、抗CD3/抗CD28の存在下で、活性化剤を用いて活性化されない。一部の実施形態では、細胞組成物は、複数の休止細胞を含む。一部の実施形態では、集団内のT細胞の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多くは、休止T細胞、例えば、T細胞活性化マーカー、例えば、表面マーカーもしくは細胞内サイトカインもしくは他のマーカー、を欠いているT細胞、および/または細胞周期のG0もしくはG1期にあるT細胞である。
【0198】
特定の態様では、提供される方法は、接触および/またはインキュベーションの前に活性化する必要なく、T細胞への形質導入を起こさせる。一部の実施形態では、方法は、T細胞を最初に、例えば形質導入の前に、活性化および/または刺激することなく、休止またはナイーブT細胞を含有するT細胞の集団にウイルスベクターで形質導入することを含む。一部のそのような実施形態では、提供される方法は、養子療法のための細胞、例えばT細胞、を調製するために使用することができ、T細胞を活性化および/または刺激する工程を含まない。
【0199】
一部の実施形態では、細胞は、一般に、真核細胞、例えば哺乳動物細胞、典型的にはヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、もしくはリンパ器官に由来するか、または免疫系の細胞、例えば、自然もしくは適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/もしくはNK細胞を含む、骨髄性もしくはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞としては、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、複能性および多能性幹細胞などの、幹細胞が挙げられる。細胞は、典型的には初代細胞、例えば、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離され、凍結されたものである。一部の実施形態では、細胞は、初代T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト対象からの初代T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化の可能性、拡大、再循環、局在化、および/もしくは持続能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。一部の実施形態では、細胞は、CD3+T細胞を含むか、またはCD3+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD4+T細胞を含むか、またはCD4+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD8+T細胞を含むか、またはCD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD4+およびCD8+T細胞を含む。処置されるべき対象を基準にして、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。方法には、既成の方法も含まれる。既成の技術についてのものなどの、一部の態様では、細胞は、多能性および/または複能性、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、対象から細胞を単離すること、本明細書に記載されるように、それらを調製すること、処理すること、培養することおよび/または操作すること、ならびに凍結乾燥の前または後に、それらを同じ患者に再導入することを含む。
【0200】
T細胞のおよび/またはCD4+T細胞のおよび/またはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、記憶T細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞記憶T(TSCM)、中枢記憶T(TCM)、エフェクター記憶T(TEM)、または最終分化型エフェクター記憶T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在するおよび適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞もある。
【0201】
一部の実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0202】
一部の実施形態では、細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られたものまたは対象に由来するものから単離され得る。一部の実施形態では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有する者、または細胞療法を必要とする者、または細胞療法が投与されることになる者である。対象は、一部の実施形態では、細胞が単離、処理および/または操作されることになる養子細胞療法などの、特定の治療介入を必要とするヒトである。
【0203】
したがって、細胞は、一部の実施形態では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料は、対象から直接採取された組織、流体および他の試料、ならびに1つまたは複数の処理工程、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターでの形質導入)、洗浄および/またはインキュベーション、から得られる試料を含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られる試料、または処理される試料であり得る。生物学的試料としては、これらに限定されないが、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織ならびに臓器試料が、それらに由来する処理された試料を含めて、挙げられる。
【0204】
一部の態様では、細胞が由来するかまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物に由来する。例示的試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸関連リンパ系組織、粘膜関連リンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の臓器および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、PBMCである。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法の文脈では、自家および同種異系供給源からの試料を含む。
【0205】
一部の実施形態では、細胞は、細胞株、例えば、T細胞株に由来する。細胞は、一部の実施形態では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、またはブタから得られる。
【0206】
一部の実施形態では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。一部の例では、細胞は、例えば、望ましくない構成要素を除去するために、所望の構成要素を濃縮するために、特定の試薬に対して感受性の細胞を溶解または除去するために、1つまたは複数の試薬の存在下で洗浄、遠心分離、および/またはインキュベートされる。一部の例では、細胞は、1つまたは複数の特性、例えば、密度、接着特性、サイズ、特定の構成要素に対する感受性および/または耐性に基づいて分離される。
【0207】
一部の例では、細胞は、対象の循環血液から、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、一部の態様では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、一部の態様では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0208】
一部の実施形態では、対象から収集された血液細胞は、例えば、血漿画分を除去するために、および細胞をその後の処理工程のための適切な緩衝液または培地に入れるために、洗浄される。一部の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくは全ての二価カチオンを欠く。一部の態様では、洗浄工程は、半自動化「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991セルプロセッサー、Baxter)によって製造元の説明書に従って達成される。一部の態様では、洗浄工程は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造元の説明書に従って達成される。一部の実施形態では、細胞は、洗浄後、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca++/Mg++非含有のPBSなどに再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の構成要素は除去され、細胞は培養培地に直接再懸濁される。
【0209】
一部の実施形態では、方法は、密度ベースの細胞分離方法、例えば、赤血球の溶解およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離による末梢血液からの白血球の調製を含む。
【0210】
一部の実施形態では、提供される方法を実施する前に細胞を濃縮または選択する必要がない。
【0211】
一部の実施形態では、単離方法は、細胞における1つまたは複数の特定の分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸の発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。一部の実施形態では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が使用され得る。分離方法は、可逆的試薬系、例えば、本明細書に記載されるような薬剤(例えば、受容体結合剤または選択剤)および試薬を使用する方法を含む、本明細書に開示されるもののいずれかを含み得る。
【0212】
一部の実施形態では、分離は、親和性ベースのまたは免疫親和性ベース分離である。例えば、単離は、一部の態様では、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカー、の細胞の発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離であって、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて、一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合している細胞の分離による、分離を含む。
【0213】
そのような分離工程は、試薬に結合している細胞がさらなる使用のために保持されるポジティブ選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持されるネガティブ選択に基づき得る。一部の例では、両方の画分がさらなる使用のために保持される。一部の態様では、不均一な集団において細胞型を特異的に識別する抗体が利用可能でない場合、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最良に実行されるようなネガティブ選択は、特に有用であり得る。
【0214】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮または除去をもたらす必要がない。例えば、マーカーを発現するものなどの特定の型の細胞のポジティブ選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現するものなどの特定の型の細胞のネガティブ選択、除去または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、全てのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0215】
一部の実施形態では、細胞組成物は、CD3+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD4+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD4+およびCD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD4+またはCD8+T細胞である。
【0216】
一部の例では、ある工程からポジティブまたはネガティブ選択された画分がその後のポジティブまたはネガティブ選択などの別の分離工程に付される、複数ラウンドの分離工程が、実行される。一部の例では、単一分離工程は、例えば、細胞を、ネガティブ選択の標的となるマーカーに対して各々特異的な複数の抗体または結合パートナーと共にインキュベートすることによって、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、種々の細胞型上に発現される複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時にポジティブに選択することができる。
【0217】
例えば、一部の態様では、1つもしくは複数の表面マーカーについて陽性の細胞または高レベルの1つもしくは複数の表面マーカー発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞などの、T細胞の特定の亜集団が、ポジティブまたはネガティブ選択技術によって単離される。
【0218】
例えば、CD3+、CD28+T細胞を、CD3/CD28がコンジュゲートしている磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用してポジティブ選択することができる。
【0219】
一部の実施形態では、単離は、ポジティブ選択による特定の細胞集団についての濃縮、またはネガティブ選択による特定の細胞集団の枯渇によって実行される。一部の実施形態では、ポジティブまたはネガティブ選択は、それぞれ、ポジティブまたはネガティブ選択された細胞上に発現されるまたは相対的に高いレベルで(マーカーhigh)発現される(マーカー+)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合剤と共に細胞をインキュベートすることによって、達成される。
【0220】
一部の実施形態では、T細胞は、PBMC試料から、非T細胞、例えば、B細胞、単球、または他の白血球上に発現されるマーカー、例えばCD14、のネガティブ選択によって分離される。一部の態様では、CD4+またはCD8+選択工程は、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、記憶および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるまたは相対的により高度に発現されるマーカーについてのポジティブまたはネガティブ選択によって、亜集団にさらに選別され得る。
【0221】
一部の実施形態では、CD8+細胞は、ナイーブ、中枢記憶、エフェクター記憶および/または中枢記憶幹細胞について、例えば、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づくポジティブまたはネガティブ選択によって、さらに濃縮または枯渇される。一部の実施形態では、中枢記憶T(TCM)細胞についての濃縮は、有効性を増大させるために、例えば、投与後の長期間生存、拡大および/または生着を改善するために実行され、これは、一部の態様では、このような亜集団において特に頑強である。Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82;Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の実施形態では、TCMが濃縮されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせることによって、有効性がさらに増強される。
【0222】
一部の実施形態では、記憶T細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCを、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分について、例えば、抗CD8および抗CD62L抗体を使用して、濃縮または枯渇することができる。
【0223】
一部の実施形態では、中枢記憶T(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき、一部の態様では、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するまたは高度に発現する細胞についてのネガティブ選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞について濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞についてのポジティブ選択または濃縮によって実行される。一態様では、中枢記憶T(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞のネガティブ画分を用いて出発して実行され、この画分が、CD14およびCD45RAの発現に基づくネガティブ選択ならびにCD62Lに基づくポジティブ選択に付される。このような選択は、一部の態様では、同時に実行され、他の態様では、いずれかの順序で逐次的に実行される。一部の態様では、CD8+細胞集団または亜集団の調製において使用される同じCD4発現ベースの選択工程が、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも使用され、したがって、CD4ベースの分離から得られたポジティブ画分とネガティブ画分の両方が保持され、方法のその後の工程において、適宜、1つまたは複数のさらなるポジティブまたはネガティブ選択工程後に、使用される。
【0224】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料がCD4+細胞の選択に付され、ネガティブ画分とポジティブ画分の両方が保持される。次いで、ネガティブ画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づくネガティブ選択、ならびに中枢記憶T細胞に特有のマーカー、例えばCD62LまたはCCR7、に基づくポジティブ選択に付され、ポジティブおよびネガティブ選択は、いずれかの順序で実行される。
【0225】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによってナイーブ、中枢記憶およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、中枢記憶CD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。一部の実施形態では、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0226】
一例では、ネガティブ選択によってCD4+細胞について濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、ポジティブおよび/またはネガティブ選択のための細胞の分離を可能にするために固体支持体またはマトリックス、例えば、磁性ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、一部の実施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技術を使用して分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher (c) Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説されている)。
【0227】
一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さい、磁化できる、または磁気的に応答性の材料、例えば、磁気的に応答性の粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気的に応答性の材料、例えば粒子、は一般に、分離することが所望される、例えばネガティブまたはポジティブ選択することが所望される、細胞、複数の細胞、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカー、に特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接的または間接的に付着される。
【0228】
一部の実施形態では、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的な結合メンバーに結合した磁気的に応答性の材料を含む。磁気分離方法において使用される多くの周知の磁気的に応答性の材料がある。適する磁性粒子としては、これにより参照により本明細書に組み込まれるMoldayの米国特許第4,452,773号におよび欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものが挙げられる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるものが、他の例である。
【0229】
インキュベーションは一般に、磁性粒子もしくはビーズに付着している抗体もしくは結合パートナーまたはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば、二次抗体もしくは他の試薬が、細胞表面分子が試料内の細胞上に存在する場合、それに特異的に結合する条件下で実行される。
【0230】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、磁気的に応答性のまたは磁化できる粒子が付着している細胞は、磁石に引き付けられ、非標識細胞から分離されることになる。ポジティブ選択については、磁石に引き付けられる細胞が保持され、ネガティブ選択については、引き付けられない細胞(非標識細胞)が保持される。一部の態様では、ポジティブ選択とネガティブ選択の組合せが同じ選択工程の間に実施され、ポジティブおよびネガティブ画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離工程に付される。
【0231】
磁化できる粒子を細胞から除去するための方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化できる粒子、または切断可能なリンカーにコンジュゲートした抗体などの使用を含む。一部の実施形態では、磁化できる粒子は、生分解性である。
【0232】
一部の実施形態では、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech、Auburn、CA)によるものである。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化された粒子が付着している細胞の高純度選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、外部の磁場の適用後に非標的および標的種が逐次的に溶出される様式で作動する。つまり、磁化された粒子に付着している細胞はその場に保持されるが、付着していない種は溶出される。次いで、この第1の溶出工程が完了した後、磁場にトラップされ、溶出が妨げられた種は、それらを溶出および回収することができるような何らかのやり方で解放される。ある特定の実施形態では、非標的細胞が標識され、細胞の不均一集団から枯渇される。
【0233】
ある特定の実施形態では、単離または分離は、方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、デバイスまたは装置を使用して、実行される。一部の態様では、システムは、例えば、エラー、ユーザーによる取扱い、および/または汚染を最小にするために、閉鎖または無菌環境でこれらの工程の各々を実行するために使用される。一例では、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003、または米国特許出願公開第20110003380A1号に記載されているようなシステムである。
【0234】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、単離、処理、および/または製剤化工程の1つまたは複数、例えば全てを、統合もしくは内蔵システムにおいて、および/または自動化もしくはプログラム可能な方式で実行する。一部の態様では、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信しているコンピューターおよび/またはコンピュータープログラムを含み、このコンピューターおよび/またはコンピュータープログラムによって、ユーザーが処理、単離、操作および製剤化工程をプログラムすること、制御すること、前記工程の結果を評価すること、および/または前記工程の多様な態様を調整することが可能になる。
【0235】
一部の態様では、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖および無菌システムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を使用して実行される。ある特定の実施形態では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。CliniMACS Prodigyシステムには、一部の態様では、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットが装備されている。
【0236】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流で運ばれるフローサイトメトリーによって収集および濃縮(または枯渇)される。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、分取スケール(FACS)選別によって収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを使用することによって収集および濃縮(または枯渇)される[例えば、WO2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい]。どちらの場合も、細胞は、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする複数のマーカーで標識され得る。
【0237】
一部の実施形態では、調製方法は、単離、インキュベーションおよび/または遺伝子操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結するための、例えば、凍結保存するための工程を含む。一部の実施形態では、凍結し、その後に解凍する工程によって、細胞集団中の顆粒球およびある程度まで単球が除去される。一部の実施形態では、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程後に、凍結溶液に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれかが一部の態様では使用され得る。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適する細胞凍結培地の使用を含む。次いで、これは、培地を用いてDMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように1:1希釈される。次いで、細胞は、毎分1°の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの蒸気相内で保管される。
【0238】
ii.ウイルスベクター粒子
一部の実施形態では、T細胞を含む細胞組成物は、本明細書で提供される方法のいずれかによって、ウイルスベクター、例えば、節IVに記載されるもののいずれかで、形質導入される。
【0239】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターが遠心分離機の中の組成物に投入される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクター粒子を含む組成物の体積は、約1mL、約1mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、約10mL、約11mL、約12mL、約13mL、約14mL、約15mL、約16mL、約17mL、約18mL、約19mL、または約20mLである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターを含む組成物の体積は、約5mLである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターを含む組成物の体積は、約10mLである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターを含む組成物の体積は、約15mLである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターを含む組成物の体積は、約20mLである。
【0240】
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、ウイルスベクター粒子のコピー数またはその感染単位(IU)の、インプット組成物中の細胞の総数または形質導入される細胞の総数当たりの、ある特定の比率(IU/細胞)で提供される。例えば、一部の実施形態では、ウイルス粒子は、接触中に細胞1個当たり0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60IU、または約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約30、約40、約50、もしくは約60IU、または少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60IU、または少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約もしくは少なくとも約60IUのウイルスベクター粒子で存在する。
【0241】
一部の実施形態では、形質導入は、100未満の、例えば一般に60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、5未満のまたはそれより低い感染多重度(MOI)で達成することができる。
【0242】
B.アウトプット組成物
一部の実施形態では、方法は、第3の遠心力および第3の流量を、遺伝子操作されたT細胞に適用して、遺伝子操作されたT細胞を含むアウトプット組成物を生産することを含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、細胞療法における下流の使用などのために収集または回収される。一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量は、遺伝子操作されたT細胞に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用される。一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞への第3の遠心力および第3の流量の適用は、アウトプット組成物の収集または回収を可能にする。
【0243】
一部の実施形態では、アウトプット組成物は、カニューレ経由で収集される。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの広端または付近におけるカニューレの末端から出る。
【0244】
一部の実施形態では、方法は、アウトプット組成物を凍結保存することを含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生細胞のレベルは、凍結保存されたアウトプット組成物において維持される。一部の実施形態では、方法は、凍結保存されたアウトプット組成物を解凍することを含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生細胞のレベルは、解凍されたアウトプット組成物において維持される。
【0245】
一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間である。
【0246】
一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間、約2200Gから約2,800Gの間、または約2,400Gから約2,600Gの間である。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,100Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,200Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,300Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,400Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,500Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,600Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,700Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,800Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,900Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約3,000Gである。
【0247】
一部の実施形態では、第3の流量は、半径方向外向きである。一部の実施形態では、第3の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端に向けられている。一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量は、同じまたは実質的に同じ方向である。
【0248】
一部の実施形態では、第3の流量は、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から出てカニューレに入る。
【0249】
一部の実施形態では、第3の流量は、約10mL/分から約30mL/分の間、約12mL/分から約28mL/分の間、約15mL/分から約25mL/分の間、または約18mL/分から約22mL/分の間である。一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約16mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約17mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約18mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約19mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約20mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約21mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約22mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約23mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約24mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約25mL/分である。
【0250】
一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分から約25mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)第3の流量は、約15mL/分から約25mL/分の間である。
【0251】
一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100から約150の間、約110から140の間、または約120から130の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約105である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約110である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約115である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約120である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約125である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約130である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約135である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約140である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約145である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約150である。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,500Gであり、第3の流量は、約20mL/分である。
【0252】
一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100から約150の間である。
【0253】
一部の実施形態では、方法は、アウトプット組成物の細胞を凍結保存して、凍結保存組成物を作出することを含む。一部の実施形態では、凍結保存は、凍結保護剤を含む培地に細胞を懸濁させること、および細胞を凍結することを含む。一部の実施形態では、凍結することは、速度制御フリーザーにおいてである。一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍することを含む。一部の実施形態では、方法は、解凍された細胞を製剤化して薬物製品としての投与のための細胞組成物を作製することを含む。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも1日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも2日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも3日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも1週間、10日間、2週間、または1カ月間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が最大10日間、2週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、または6カ月間凍結された後に行われる。
【0254】
C.他の処理工程
一部の実施形態では、細胞操作に関連してなどの、形質導入のための処理工程は、細胞の洗浄、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、増殖および/または製剤化をさらに含み得る。一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、アウトプット組成物として収集される前に1つまたは複数の洗浄工程に付される。一部の実施形態では、収集されたアウトプット組成物は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。このような条件は、集団中の細胞の増殖、拡大、活性化および/もしくは生存を誘導するように、ならびに/または抗原曝露を模倣するように、設計されたものを含む。刺激は、対象への投与後にエクスビボまたはインビボで実行され得る。
【0255】
i.洗浄
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞への第3の遠心力および第3の流量の適用の前に、方法は、遺伝子操作された細胞を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、生存不能な細胞を除去する。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、不純物(例えば、タンパク質、DNA、細胞残屑、試薬)を除去する。
【0256】
一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約500Gから約3,000Gの間の遠心力を適用することを含む。一部の実施形態では、遠心力は、約500Gである。一部の実施形態では、遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、遠心力は、約2,000Gである。一部の実施形態では、遠心力は、約2,500Gである。一部の実施形態では、遠心力は、約3,000Gである。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約20mL/分から約100mL/分の流量を適用することを含む。一部の実施形態では、流量は、約20mL/分、約30mL/分、約40mL/分、約50mL/分、約60mL/分、約70mL/分、約80mL/分、約90mL/分、または約100mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約30mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約35mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約40mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約45mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約50mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約55mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約60mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約65mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約70mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約75mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約80mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約85mL/分である。一部の実施形態では、流量は、約90mL/分である。
【0257】
一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、遠心力(G)および流量(FR)を約20G/FRから約80G/FRの間の比率で適用することを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、または約75のG/F比率を適用することを含む。一部の実施形態では。一部の実施形態では、G/FR比率は、約62.5G/FRである。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約2,500Gの遠心力および約40mL/分の流量を適用することを含む。一部の実施形態では、G/FR比率は、約33.3G/FRである。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約2,500Gの遠心力および約75mL/分の流量を適用することを含む。一部の実施形態では、G/FR比率は、約35G/FRである。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、約1,000Gの遠心力および約28.5mL/分の流量を適用することを含む。
【0258】
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、1つまたは複数の洗浄工程の前に遠心分離機内の培地に懸濁される。一部の実施形態では、1つまたは複数の洗浄工程は、培地交換を含む。したがって、一部の態様では、培地は、1つまたは複数の洗浄工程中に異なる溶液に交換される。一部の態様では、生存不能な細胞は、1つまたは複数の洗浄工程中に水簸される。一部の態様では、生存不能な細胞は、1つまたは複数の洗浄工程中に廃棄物画分として収集される。一部の態様では、細胞組成物の細胞は、1つまたは複数の洗浄工程中に形質導入される。したがって、一部の実施形態では、細胞組成物の細胞は、同時に、形質導入されかつ洗浄される。
【0259】
ii.細胞の形質導入後の活性化および/または拡大
一部の実施形態では、細胞、例えば、収集されたアウトプット組成物は、遺伝子操作に関連して、さらにインキュベートおよび/またはさらに培養される。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。一部のそのような実施形態では、さらなるインキュベーションは、1つまたは複数の細胞の宿主ゲノムへのウイルスベクターの組込みをもたらす条件下で行われる。インキュベーションおよび/または操作は、培養または細胞培養のためのユニット、チャンバー、ウェル、カラム、管、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または他の容器などの培養容器で実施され得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団での細胞の増殖、拡大、活性化、および/もしくは生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、ならびに/または組換え抗原受容体の導入などの遺伝子操作のためにプライムするように設計された条件が挙げられる。
【0260】
一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、室温を超える、例えば25℃を超えるまたは約25℃を超える、例えば一般に約32℃、35℃もしくは37℃を超えるまたは約32℃、約35℃もしくは約37℃を超える温度で実施される。一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、37℃±2℃または約37℃±2℃の温度、例えば37℃または約37℃の温度で行われる。
【0261】
一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、細胞の刺激および/または活性化のための条件下で行われ、該条件には、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、剤、例えば、栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の薬剤のうちの1つまたは複数を挙げることができる。
【0262】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の剤(例えば、刺激剤および/または補助剤)、例えばリガンドが挙げられる。一部の態様では、一次シグナルをデリバリーする、例えば、ITAM誘導シグナルの活性化を開始するのに適した剤、例えばTCR成分に特異的なもの、および/または共刺激シグナルを促進する剤、例えばT細胞共刺激受容体に特異的なもの、例えば、例えばビーズなどの固体支持体に適宜結合された抗CD3、抗CD28、もしくは抗41-BB、および/または1つもしくは複数のサイトカインなどの剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを活性化または開始する。抗CD3/抗CD28ビーズ[例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander、および/またはExpACT(登録商標)ビーズ]は、刺激剤の中の1つである。適宜、拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に添加する工程をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0263】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の剤、例えばリガンドが挙げられる。一部の態様では、剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを活性化または開始する。そのような剤には、抗体、例えば、例えばビーズなどの固体支持体に結合した、TCR成分および/もしくは共刺激受容体に特異的な抗体、例えば抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインを挙げることができる。適宜拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に添加する工程(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mL、少なくとも約50単位/mL、少なくとも約100単位/mLまたは少なくとも約200単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0264】
条件には、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、剤、例えば、栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の剤のうちの1つまたは複数を挙げることができる。
【0265】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,1 77号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9): 689-701に記載されているものなどの手法に従って実施される。
【0266】
一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、遠心分離機において実行される。一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、回転も遠心分離も伴わずに実行され、一般に、アウトプット組成物の収集の後に行われる。一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、クロマトグラフィーマトリックスの外側などの固定相の外側で、例えば、溶液中で実行される。
【0267】
一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、遠心分離後の異なる容器または装置への細胞、例えば収集されたアウトプット組成物、の移送、例えば自動移送などによって、接触が行われたものとは異なる容器または装置において実行される。
【0268】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を添加すること(例えば、得られる細胞の集団が、拡大されることになる最初の集団中の各Tリンパ球について少なくとも約5、10、20または40もしくはそれより多いPBMCフィーダー細胞を含有するように);および培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞の数を拡大するのに十分な時間)によって拡大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ線照射PBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、細胞分裂を防ぐために約3000~3600ラドの範囲のガンマ線がPBMCに照射される。一部の態様では、フィーダー細胞は、遺伝子操作されたT細胞の集団の添加の前に培養培地に添加される。
【0269】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、一般に少なくとも約30度、および一般に摂氏37度または摂氏約37度を含む。適宜、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂ウイルス形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含むことがあり、例えば、ウイルスは、EBV、CMV、またはインフルエンザであり得、形質転換LCLは、それらの表面にウイルス由来の抗原を、適宜、MHCに関連して、提示する。一部の実施形態では、T細胞は、ウイルス抗原を認識するTCRを発現する。一部の実施形態では、ウイルス抗原は、EBV、CMV、またはインフルエンザからのものであり得る。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線を照射され得る。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の適した量で、例えば、約10:1のLCLフィーダー細胞の最初のTリンパ球に対する比率で提供される。
【0270】
一部の実施形態では、例えばエクスビボ拡大を促進するためのさらなる培養またはインキュベーションは、24時間超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、10日超、11日超、12日超、13日超、14日超もしくは15日超、または約24時間超、約2日超、約3日超、約4日超、約5日超、約6日超、約7日超、約8日超、約9日超、約10日超、約11日超、約12日超、約13日超、約14日超もしくは約15日超にわたって実施される。一部の実施形態では、さらなる培養またはインキュベーションは、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2日以下または24時間以下にわたって実施される。
【0271】
一部の実施形態では、例えば刺激剤とのインキュベーションの合計持続時間は、1時間~96時間、1時間~72時間、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間もしくは12時間~24時間、または約1時間~約96時間、約1時間~約72時間、約1時間~約48時間、約4時間~約36時間、約8時間~約30時間もしくは約12時間~約24時間、例えば少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間もしくは少なくとも72時間、または約少なくとも6時間、約少なくとも12時間、約少なくとも18時間、約少なくとも24時間、約少なくとも36時間もしくは約少なくとも72時間である。一部の実施形態では、さらなるインキュベーションは、1時間以上48時間以下、4時間以上36時間以下、8時間以上30時間以下もしくは12時間以上24時間以下、または約1時間以上約48時間以下、約4時間以上約36時間以下、約8時間以上約30時間以下もしくは約12時間以上約24時間以下の時間にわたる。
【0272】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、さらなる培養またはインキュベーションを含まない、例えば、エクスビボ拡大工程を含まないか、または実質的により短いエクスビボ拡大工程を含む。
【0273】
一部の実施形態では、細胞を操作する全プロセス、例えば、選択および/または濃縮、形質導入に関連したインキュベーション、および/またはさらなる培養(culturing)もしくは培養(cultivation)は、対照から細胞を得た後、9日より長い、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2日以下または1日以下の期間内に実行される。そのようなタイミングは、細胞が凍結保存に付されるいずれの期間も含まないことは理解される。
【0274】
本明細書で提供される方法の一部の実施形態では、操作された細胞、例えば、アウトプット組成物または製剤化された組成物は、有意なエクスビボ拡大を行わずに、形質導入の直後にまたは形質導入後間もなく対象に投与される。一部の実施形態では、操作された細胞は、形質導入工程の直後に投与され得る。一部の実施形態では、操作された細胞は、例えば、有意なエクスビボ拡大を行わずに、または有意なインビトロ活性化、拡大および/もしくは濃縮を必要とし得る従来の方法におけるエクスビボ拡大より実質的に短いエクスビボ拡大を行って、形質導入工程後間もなく投与され得る。例えば、本明細書で提供される方法の一部の実施形態では、操作された細胞は、形質導入から3、2または1日以内に投与され得る。一部の実施形態では、操作された細胞は、形質導入工程から48、36、24、20、16、12、8、4、2、1またはそれより短い時間以内に投与され得る。一部の実施形態では、操作された細胞は、従来の方法より実質的に短いインビトロ拡大、例えば、48、36、24、20、16、12、8、4、2、1またはそれより短い時間のインビトロ拡大に付される。
【0275】
そのような実施形態のいずれかでは、細胞の拡大および/または活性化、例えば、細胞の投与後の対象の体内での操作された細胞の拡大が、抗原への曝露後にインビボで生じ得る。一部の実施形態では、インビボ拡大の程度、度合いまたは大きさを、投与される細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の拡大、増殖、生存および/または有効性をモジュレートすることができる、例えば増大させることができる、様々な方法によって、さらに増すことができるか、ブーストすることができるか、または増強することができる。
【0276】
一部の実施形態では、そのような方法は、分子の発現または活性を変更する(例えば、増加または減少させる)ための薬剤、例えば、核酸を用いてさらに改変される操作された細胞の投与を含む方法であって、そのような変更された発現または活性が、投与される細胞の拡大、増殖、生存および/または有効性を増す、ブーストするまたは増強する、方法を含む。一部の実施形態では、薬剤、例えば核酸、の発現は、誘導物質または他のモジュレ-ティング分子の投与などによって誘導可能である、抑制可能である、調節可能である、および/またはユーザーによって制御される。
【0277】
一部の実施形態では、そのような方法は、投与される細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の拡大、増殖、生存および/または有効性を増すことができるかブーストすることができるかまたは増強することができる薬物または薬剤との併用投与、例えば同時または逐次投与、を含む方法を含む。
【0278】
iii.製剤化
一部の実施形態では、さらなるインキュベーションの後、細胞を調製するためのプロセスは、細胞を製剤化することをさらに含み得る。したがって、処理工程には、上記の組成物を製剤化することも含まれ得る。
【0279】
上記の方法における使用のための医薬組成物または医薬品製剤であって、一部の実施形態では、提供される処理方法に関連して、例えば、他の処理工程が実行される閉鎖されたシステムにおいて、例えば、自動化されたまたは部分的に自動化された方式で製剤化される、医薬組成物または医薬品製剤も、提供される。
【0280】
一部の実施形態では、細胞および組成物は、細胞または細胞集団と薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物などの、医薬組成物または医薬品製剤の形態で、対象に投与される。
【0281】
用語「医薬品製剤」とは、その中に含有される有効成分の生物活性を有効にさせるような形態にあり、製剤が投与される対象にとって容認しがたい毒性となる追加の成分を含有しない調製物を指す。
【0282】
医薬組成物は、一部の実施形態では、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどをさらに含む。一部の実施形態では、薬剤は、塩、例えば薬学的に許容される塩、の形態で投与される。適する薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホ難、例えばp-トルエンスルホン酸、から誘導されるものが挙げられる。
【0283】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性の、有効成分以外の医薬品製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0284】
一部の態様では、担体の選択は、一部には特定の細胞および/または投与の方法によって決定される。したがって、様々な適切な製剤がある。例えば、医薬組成物は保存料を含んでもよい。適切な保存料には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。一部の態様では、2つまたはそれより多い保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は、典型的には、組成物全体の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、使用される投与量および濃度ではレシピエントにとって非毒性であり、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
【0285】
一部の態様では緩衝剤が組成物に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、および様々な他の酸および塩が挙げられる。一部の態様では、2つまたはそれより多い緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には組成物全体の約0.001%~約4重量%の量で存在する。投与可能な医薬組成物を調製する方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)により詳細に記載されている。
【0286】
製剤は、水溶液を含み得る。製剤または組成物は、細胞で処置される特定の適応症、疾患または状態に有用な1つより多くの有効成分、好ましくは、細胞を補完する活性を有する有効成分であって、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない、有効成分も含有し得る。そのような有効成分は、意図された目的に有効である量で組み合わせて適切に存在する。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。
【0287】
医薬組成物は一部の実施形態では、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば、治療有効量または予防有効量で細胞を含有する。治療的有効性または予防的有効性は一部の実施形態では、処置された対象の定期的な評価によってモニタリングされる。所望の投与量を、細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続注入投与によってデリバリーすることができる。
【0288】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺内、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下、または坐薬投与用のものを含む。一部の実施形態では、細胞集団は非経口投与される。用語「非経口」は本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣内、および腹腔内投与を含む。一部の実施形態では、細胞は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身デリバリーを使用して対象に投与される。
【0289】
一部の実施形態における組成物は、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供され、該調製物は、一部の態様では選択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物より調製するのが容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのに幾分より便利である。一方、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間をもたらす適切な粘度範囲内で製剤化され得る。液体組成物または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であってもよい。
【0290】
滅菌注射用溶液は、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロース等などの適切な担体、希釈液、または賦形剤との混合物などの溶媒に、細胞を組み込むことによって調製することができる。組成物は、所望の投与経路および調製物に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または粘性増強添加物、保存料、香味剤、および/または着色料などの補助物質を含有することができる。一部の態様では、適切な調製物を調製するのに標準的なテキストが調べられてもよい。
【0291】
抗菌保存料、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝液を含む、組成物の安定性および無菌性を増強する様々な添加物が添加され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸によって確保することができる。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0292】
インビボ投与に使用される製剤は、一般に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって容易に達成され得る。
【0293】
D.アウトプット組成物の例示的な特徴
一部の実施形態では、アウトプット組成物(例えば、収集されるアウトプット組成物)の体積は、約1mlから約20,000mlの間、約5mLから約2,000mLの間、約10mLから約1,000mLの間、約15mLから約500mLの間、または約20mLから約100mLの間からなる。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約1mL、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、約60mL、約65mL、約70mL、約75mL、約80mL、約85mL、約90mL、約95mL、または約100mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約1mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約5mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約10mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約15mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約20mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約25mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約30mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約35mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約40mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約45mLである。一部の実施形態では、アウトプット組成物の体積は、約50mLである。
【0294】
一部の実施形態では、アウトプット組成物は、細胞組成物またはインプット組成物より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、細胞組成物より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約5%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約10%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約15%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約20%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約25%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約30%大きい。
【0295】
一部の実施形態では、アウトプット組成物は、インプット組成物より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約5%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約10%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約15%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約20%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約25%大きい。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、インプット組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約30%大きい。
【0296】
特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生細胞を含有する。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生細胞を含有する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生細胞を含有する。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。
【0297】
特定の実施形態では、アウトプット細胞は、アポトーシスを遂げることになる細胞ならびに/または調製され、刺激され、および/もしくはアポトーシスに入ることになる細胞の割合および/または頻度が低い。特定の実施形態では、アウトプット細胞は、アポトーシスマーカーについて陽性である細胞の割合および/または頻度が低い。一部の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、または1%もしくは約1%未満は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の25%または約25%未満は、アポトーシスのマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスのマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の10%未満または約10%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の5%未満または約5%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の1%未満または約1%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。
【0298】
特定の実施形態では、アウトプット組成物は、CD3+T細胞について濃縮された細胞の組成物である。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の全細胞の少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約98%、少なくとももしくは約98.5%、少なくとももしくは約99%、少なくとももしくは約99.5%、少なくとももしくは約99.9%、100%、または約100%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の全細胞の少なくとももしくは約86%、少なくとももしくは約86.5%、少なくとももしくは約87%、少なくとももしくは約87.5%、少なくとももしくは約88%、少なくとももしくは約88.5%、少なくとももしくは約89%、少なくとももしくは約89.5%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約90.5%、少なくとももしくは約91%、少なくとももしくは約91.5%、少なくとももしくは約92%、少なくとももしくは約92.5%、少なくとももしくは約93%、少なくとももしくは約93.5%、少なくとももしくは約94%、少なくとももしくは約94.5%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約95.5%、少なくとももしくは約96%、少なくとももしくは約96.5%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約97.5%、少なくとももしくは約98%、または少なくとももしくは約98.5%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の全細胞の約80%から約100%の間、約85%から約98%の間、約88%から約96%の間、または約90%から約94%の間は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、CD3+T細胞から本質的になる。一部の実施形態では、アウトプット組成物中の全細胞の少なくともまたは約90%は、CD3+T細胞であり、アウトプット組成物中の全細胞の少なくともまたは約40%は、組換え受容体(例えば、CAR)を発現する。
【0299】
ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞について濃縮された細胞の組成物である。特定の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、アウトプット組成物中の全細胞の少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約98%、少なくとももしくは約98.5%、少なくとももしくは約99%、少なくとももしくは約99.5%、少なくとももしくは約99.9%、100%、または約100%を占める。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、アウトプット組成物中の全細胞の少なくとももしくは約86%、少なくとももしくは約86.5%、少なくとももしくは約87%、少なくとももしくは約87.5%、少なくとももしくは約88%、少なくとももしくは約88.5%、少なくとももしくは約89%、少なくとももしくは約89.5%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約90.5%、少なくとももしくは約91%、少なくとももしくは約91.5%、少なくとももしくは約92%、少なくとももしくは約92.5%、少なくとももしくは約93%、少なくとももしくは約93.5%、少なくとももしくは約94%、少なくとももしくは約94.5%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約95.5%、少なくとももしくは約96%、少なくとももしくは約96.5%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約97.5%、少なくとももしくは約98%、または少なくとももしくは約98.5%を占める。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、アウトプット組成物中の全細胞の約80%から約100%の間、約85%から約98%の間、約88%から約96%の間、または約90%から約94%の間を占める。一部の実施形態では、アウトプット組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞から本質的になる。
【0300】
特定の実施形態では、アウトプット組成物は、10%から90%もしくは約10%から約90%の間、20%から80%もしくは約20%から約80%の間、25%から75%もしくは約25%から約75%の間、30%から70%もしくは約30%から約70%の間、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD4+T細胞、および10%から90%もしくは約10%から約90%の間、20%から80%もしくは約20%から約80%の間、25%から75%もしくは約25%から約75%の間、30%から70%もしくは約30%から約70%の間、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD8+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物は、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD4+T細胞、および35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD8+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプットは、35%から65%または約35%から約65%の間のCD4+T細胞、および35%から65%または約35%から約65%の間のCD8+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプット組成物は、3:1から1:3の間、2.5:1から1:2.5の間、2:1から1:2の間、1.5:1から1:1.5の間、1.4:1から1:1.4の間、1.3:1から1:1.3の間、1.2:1から1:1.2の間、または1.1:1から1:1.1の間の、CD4+T細胞のCD8+T細胞に対する比率を含有する。一部の実施形態では、細胞の組成物は、3:1のもしくは約3:1の、2.8:1のもしくは約2.8:1の、2.5:1のもしくは約2.5:1の、2.25:1のもしくは約2.25:1の、2:1のもしくは約2:1の、1.8:1のもしくは約1.8:1の、1.7:1のもしくは約1.7:1の、1.6:1のもしくは約1.6:1の、1.5:1のもしくは約1.5:1の、1.4:1のもしくは約1.4:1の、1.3:1のもしくは約1.3:1の、1.2:1のもしくは約1.2:1の、1.1:1のもしくは約1.1:1の、1:1のもしくは約1:1の、1:1.1のもしくは約1:1.1の、1:1.2のもしくは約1:1.2の、1:1.3のもしくは約1:1.3の、1:1.4のもしくは約1:1.4の、1:1.5のもしくは約1:1.5の、1:1.6のもしくは約1:1.6の、1:1.7のもしくは約1:1.7の、1:1.8のもしくは約1:1.8の、1:2のもしくは約1:2の、1:2.25のもしくは約1:2.25の、1:2.5のもしくは約1:2.5の、1:2.8のもしくは約1:2.8の、または1:3のもしくは約1:3の、CD4+T細胞のCD8+T細胞に対する比率を有する。
【0301】
一部の実施形態では、アウトプット組成物は、3:1から1:3の間、2.5:1から1:2.5の間、2:1から1:2の間、1.5:1から1:1.5の間、1.4:1から1:1.4の間、1.3:1から1:1.3の間、1.2:1から1:1.2の間、または1.1:1から1:1.1の間の、組換え受容体、例えばCAR、を発現するCD4+T細胞の、組換え受容体、例えばCAR、を発現するCD8+T細胞に対する比率を含有する。一部の実施形態では、アウトプット組成物における、組換え受容体(例えば、CAR)を発現するCD4+T細胞の、組換え受容体(例えばCAR)を発現するCD8+T細胞に対する比率は、3:1のもしくは約3:1の、2.8:1のもしくは約2.8:1の、2.5:1のもしくは約2.5:1の、2.25:1のもしくは約2.25:1の、2:1のもしくは約2:1の、1.8:1のもしくは約1.8:1の、1.7:1のもしくは約1.7:1の、1.6:1のもしくは約1.6:1の、1.5:1のもしくは約1.5:1の、1.4:1のもしくは約1.4:1の、1.3:1のもしくは約1.3:1の、1.2:1のもしくは約1.2:1の、1.1:1のもしくは約1.1:1の、1:1のもしくは約1:1の、1:1.1のもしくは約1:1.1の、1:1.2のもしくは約1:1.2の、1:1.3のもしくは約1:1.3の、1:1.4のもしくは約1:1.4の、1:1.5のもしくは約1:1.5の、1:1.6のもしくは約1:1.6の、1:1.7のもしくは約1:1.7の、1:1.8のもしくは約1:1.8の、1:2のもしくは約1:2の、1:2.25のもしくは約1:2.25の、1:2.5のもしくは約1:2.5の、1:2.8のもしくは約1:2.8の、または1:3のもしくは約1:3の比率である。
【0302】
一部の実施形態では、提供される方法に関連して生成または生産されるアウトプット組成物は、組換え受容体、例えばTCRまたはCAR、を発現する細胞を含有する。一部の実施形態では、組換え受容体を発現することは、細胞膜および/もしくは細胞表面に局在する1つもしくは複数の組換え受容体タンパク質を有すること、検出可能な量の組換え受容体タンパク質を有すること、組換え受容体をコードする検出可能な量のmRNAを有すること、組換え受容体をコードする組換えポリヌクレオチドを有することもしくは含有すること、ならびに/または組換え受容体発現についてのサロゲートマーカーであるmRNAもしくはタンパク質を有することもしくは含有することを含み得るが、これらに限定されない。
【0303】
一部の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD3+T細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、アウトプット組成物のCD3+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現するCD3+T細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現するCD3+T細胞である。
【0304】
特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD4+T細胞の少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD4+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、アウトプット組成物のCD8+T細胞の少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD8+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。
【0305】
特定の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物のCD3+T細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD3+T細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、アウトプット組成物のCD3+T細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。
【0306】
特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の、平均で、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の、平均で、少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物のCD3+T細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物のCD3+T細胞の、平均で、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物のCD3+T細胞の平均で少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の、平均で、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の、平均で、少なくとも90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。
【0307】
前記実施形態のいずれかでは、本明細書で開示される方法によって生産される複数のアウトプット組成物は、同じまたは異なるドナーに由来し得る。一部の態様では、複数のアウトプット組成物のうちの少なくとも2つは、異なるドナーに由来する。一部の態様では、複数のアウトプット組成物の各々は、いくつかの異なるドナーのうちの1つに由来し、例えば、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、または約60より多くの異なるドナー、例えば、CAR-T細胞療法などの細胞療法を必要とする患者に由来する。
【0308】
特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の大部分は、ナイーブもしくはナイーブ様細胞、中枢記憶細胞、および/またはエフェクター記憶細胞である。特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の大部分は、ナイーブ様細胞または中枢記憶細胞である。一部の実施形態では、アウトプット組成物の細胞の大部分は、中枢記憶細胞である。一部の態様では、より分化度の低い細胞、例えば、中枢記憶細胞は、より長寿命であり、あまり急速に疲弊せず、そのため持続性および耐久性が増大される。一部の態様では、CAR-T細胞療法などの細胞療法の奏効者は、中枢記憶遺伝子の発現増加を有する。例えば、Fraietta et al. (2018) Nat Med. 24(5):563-571を参照されたい。
【0309】
ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞は、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞の、割合および/または頻度が高い。ある特定の実施形態では、アウトプット組成物の細胞は、代替プロセス、例えば、拡大を含むプロセス(例えば、拡大ユニット作動を含む、および/または細胞の拡大を引き起こすことを目的とする工程を含む、プロセス)から生成されるアウトプット組成物よりナイーブ様細胞の割合および/または頻度が大きい。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、種々の分化状態の細胞を含み得、ある特定の細胞マーカーの陽性もしくは高発現(例えば、表面発現もしくは細胞内発現)および/または他の細胞マーカーの陰性もしくは低発現(例えば、表面発現もしくは細胞内発現)を特徴とし得る。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CCR7、CD45RA、CD28、および/またはCD27の陽性または高発現を特徴とする。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD25、CD45RO、CD56、CD62L、および/またはKLRG1の陰性発現を特徴とする。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD95の低発現を特徴とする。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CCR7+CD45RA+であり、これらの細胞は、CD27+またはCD27-である。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CD27+CCR7+であり、これらの細胞は、CD45RA+またはCD45RA-である。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CD62L-CCR7+である。
【0310】
II.生細胞を濃縮する方法
遠心分離機システムにおいて細胞組成物(例えば、操作された細胞組成物)を生細胞について濃縮するための方法が提供される。一部の実施形態では、遠心分離機システムは、逆遠心分離機システムとしても公知の、連続向流水簸(「CCE」)遠心分離機システムである。一部の実施形態では、生産される細胞は、例えば養子細胞療法における、自家または同種移植のために調製される初代細胞などの、細胞療法における使用のための細胞である。方法は、追加の細胞処理工程、例えば、細胞洗浄、単離、分離、収集、製剤化、または細胞組成物の生産に関連する他の工程を含み得る。
【0311】
細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含む、生産すること;ならびに(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でインプット組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することを含む、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物(例えば、操作された細胞組成物)を遠心分離機システムに投入することを含み、投入することは、(a)における適用の少なくとも一部分の前および/または間に実施される。
【0312】
一部の実施形態では、遠心分離機システムは、円錐形の流体エンクロージャー内にカニューレを含む。一部の実施形態では、カニューレは、円錐形の流体エンクロージャーの長さに沿って伸びている。一部の実施形態では、カニューレの一方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近にある。一部の実施形態では、カニューレの他方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近、例えば、広端の中心またはその付近にある。
【0313】
一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーにカニューレ経由で投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近において、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近におけるカニューレの末端から出ることによって、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。
【0314】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量を適用することによって、細胞組成物の廃棄物画分が水簸されて円錐形の流体エンクロージャーから出される。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、細胞組成物中の生存不能なT細胞のパーセンテージより高い生存不能なT細胞のパーセンテージを有する。
【0315】
一部の実施形態では、水簸された細胞は、円錐形の流体エンクロージャーの広端における開口部経由で円錐形の流体エンクロージャーから出る。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を少なくとも部分的に包囲している。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を包囲している。
【0316】
一部の実施形態では、方法は、水簸された廃棄物画分を収集することを含む。一部の実施形態では、水簸された廃棄物画分は、容器に回収される。一部の実施形態では、容器は、円錐形の流体エンクロージャーの広端と流体連通している。
【0317】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量を適用することによって、円錐形の流体エンクロージャー内で細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物が生産される。
【0318】
一部の実施形態では、提供される方法は、生細胞、例えばT細胞(例えば、操作されたT細胞)を濃縮するために使用される。一部の実施形態では、細胞にはキメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)などの抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドが事前に導入されている。一部の実施形態では、細胞にはウイルスベクター粒子によって異種核酸が事前に導入されていた。一部の実施形態では、細胞には、抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターで事前に形質導入されている。一部の実施形態では、遺伝子操作することは、細胞組成物のT細胞を、抗原受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクター粒子と接触させることを含む。一部の実施形態では、細胞は、抗原受容体を発現する。一部の実施形態では、(a)における適用の前に、方法は、抗原受容体を発現するように細胞組成物のT細胞を遺伝子操作することを含み、および/または細胞組成物のT細胞は、抗原受容体を発現するように遺伝子操作されている。したがって、一部の実施形態では、提供される方法は、トランスジェニックTCRまたはCARなどの抗原受容体を発現するように事前に操作されている生存可能なT細胞の濃縮に使用することができる。
【0319】
一部の実施形態では、細胞組成物は、方法の適用前に凍結保存され解凍されたT細胞を含有する。一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍して、T細胞を含む細胞組成物を生産することを含む。
【0320】
一部の実施形態では、方法は、濃縮組成物の細胞を凍結保存して、凍結保存組成物を作出することを含む。一部の実施形態では、凍結保存は、凍結保護剤を含む培地に細胞を懸濁させること、および細胞を凍結することを含む。一部の実施形態では、凍結することは、速度制御フリーザーにおいてである。一部の実施形態では、方法は、凍結保存細胞組成物を解凍することを含む。一部の実施形態では、方法は、解凍された細胞を製剤化して薬物製品としての投与のための細胞組成物を作製することを含む。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも1日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも2日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも3日間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が少なくとも1週間、10日間、2週間、または1カ月間凍結された後に行われる。一部の実施形態では、解凍することは、凍結保存細胞組成物が最大10日間、2週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、または6カ月間凍結された後に行われる。
【0321】
一部の実施形態では、細胞組成物は、方法の適用前に凍結保存されても解凍されてもいないT細胞を含有する。
【0322】
そのような方法によって生産される細胞の集団、およびそれを使用するための方法も、提供される。
【0323】
したがって、一部の実施形態では、提供される方法から得られる細胞の組成物は、遠心分離の前と比較して、遠心分離後に生存率の増加を示す。一部の実施形態では、生存率の増加は、遠心分離の直後に観察され、および/または遠心分離後ある期間(例えば、数時間もしくは数日)にわたって維持される。
【0324】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約500Gから約5,000Gの間、約500Gから約4,500Gの間、約500Gから約4,000Gの間、約500Gから約3,500Gの間、約500Gから約3,000Gの間、約500Gから約2,500Gの間、約500Gから約2,000Gの間、約500Gから約1,500Gの間、約500Gから約1,000Gの間、約1,000Gから約5,000Gの間、約1,000Gから約4,500Gの間、約1,000Gから約4,000Gの間、約1,000Gから約3,500Gの間、約1,000Gから約3,000Gの間、約1,000Gから約2,500Gの間、約1,000Gから約2,000Gの間、約1,000Gから約1,500Gの間、約1,500Gから約5,000Gの間、約1,500Gから約4,500Gの間、約1,500Gから約4,000Gの間、約1,500Gから約3,500Gの間、約1,500Gから約3,000Gの間、約1,500Gから約2,500Gの間、約1,500Gから約2,000Gの間、約2,000Gから約5,000Gの間、約2,000Gから約4,500Gの間、約2,000Gから約4,000Gの間、約2,000Gから約3,500Gの間、約2,000Gから約3,000Gの間、約2,000Gから約2,500Gの間、約2,500Gから約5,000Gの間、約2,500Gから約4,500Gの間、約2,500Gから約4,000Gの間、約2,500Gから約3,500Gの間、約2,500Gから約3,000Gの間、約3,000Gから約5,000Gの間、約3,000Gから約4,500Gの間、約3,000Gから約4,000Gの間、約3,000Gから約3,500Gの間、約3,500Gから約5,000Gの間、約3,500Gから約4,500Gの間、約3,500Gから約4,000Gの間、約4,000Gから約5,000Gの間、約4,000Gから約4,500G、または4,500Gから5,000G間もしくは約4,500Gから約5,000G間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gから約4,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間である。
【0325】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gから約5,000Gの間、約1,500Gから約4,500Gの間、約2,000Gから約4,000Gの間、約1,500Gから約3,500G、または約2,000Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約4,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約4,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約5,000Gである。
【0326】
一部の実施形態では、第1の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第1の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第1の遠心力は、第1の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第1の流量は、対向流量である。
【0327】
一部の実施形態では、第1の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0328】
一部の実施形態では、第1の流量は、約1mL/分から約20mL/分の間、約3mL/分から約18mL/分の間、約5mL/分から約15mL/分の間、または約8mL/分から約12mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約1mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約3mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約5mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約8mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約9mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約10mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約11mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約12mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約18mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約20mL/分である。
【0329】
一部の実施形態では、第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第1の遠心力は、約1,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。
【0330】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約100から約600の間、約100から約500の間、約100から約400の間、約100から約300の間、約100から約200の間、約200から約600の間、約200から約500の間、約200から約400の間、約200から約300の間、約300から約600の間、約300から約500の間、約300から約400の間、約400から約600の間、約400から約500の間、または約500から約600の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約500の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約400の間である。本明細書での遠心力の流量に対する比率は、別段の指示がない限り、Gでの遠心力のmL/分での流量に対する比率である。
【0331】
一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200から約400の間、約225から約375の間、約250から約350の間、または約275から約325の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約200である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約225である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約250である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約275である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約300である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約325である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約350である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約375である。一部の実施形態では、第1の遠心力の第1の流量に対する比率は、約400である。
【0332】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gから約4,000Gの間であり、第1の流量は、約5mL/分から約15mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約3,000Gであり、第1の流量は、約10ml/分である。
【0333】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物(例えば、操作された細胞組成物)に約15秒間、約30秒間、約45秒間、約60秒間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約10分間、または約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、少なくとも細胞の流動床が確立されるまで、適用される。
【0334】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、少なくとも約15秒間、少なくとも約30秒間、少なくとも約45秒間、少なくとも約60秒間、少なくとも約2分間、少なくとも約3分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、または少なくとも約15分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約15秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約20秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約25秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約30秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約45秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約60秒間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約2分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約3分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約4分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約5分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約10分間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に少なくとも約15分間適用される。
【0335】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に15秒から60秒の間または約15秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に25秒から60秒の間または約25秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に30秒から60秒の間または約30秒から約60秒の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に15秒から2分の間または約15秒から約2分の間適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に25秒から2分の間または約25秒から約2分の間適用される。
【0336】
一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、所定の数の細胞が円錐形の流体エンクロージャーに投入されるまで適用される。一部の実施形態では、第1の遠心力および第1の流量は、細胞組成物に、所定の数の細胞が細胞の流動床の一部になるまで適用される。一部の実施形態では、所定の数の細胞は、所定の数のT細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約1000万から1億の間、約1000万から9000万の間、約1000万から8000万の間、約1000万から7000万の間、約1000万から6000万の間、約1000万から5000万の間、約1000万から4000万の間、約1000万から3000万の間、約1000万から2000万の間、約2000万から1億の間、約2000万から9000万の間、約2000万から8000万の間、約2000万から7000万の間、約2000万から6000万の間、約2000万から5000万の間、約2000万から4000万の間、約2000万から3000万の間、約3000万から1億の間、約3000万から9000万の間、約3000万から8000万の間、約3000万から7000万の間、約3000万から6000万の間、約3000万から5000万の間、約3000万から4000万の間、約4000万から1億の間、約4000万から9000万の間、約4000万から8000万の間、約4000万から7000万の間、約4000万から6000万の間、約4000万から5000万の間、約5000万から1億の間、約5000万から9000万の間、約5000万から8000万の間、約5000万から7000万の間、約5000万から6000万の間、約6000万から1億の間、約6000万から9000万の間、約6000万から8000万の間、約6000万から7000万の間、約7000万から1億の間、約7000万から9000万の間、約7000万から8000万の間、約8000万から1億の間、約8000万から9000万、または約9000万から1億の間の細胞、例えば、T細胞である。一部の実施形態では、所定の数の細胞、例えば、T細胞は、約5000万の細胞、例えば、T細胞である。
【0337】
一部の実施形態では、第2の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第2の遠心力は、第2の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第2の流量は、対向流量である。
【0338】
一部の実施形態では、第2の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0339】
他の実施形態では、第2の流量は、半径方向外向きである。一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端に向けられている。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、同じまたは実質的に同じ方向である。
【0340】
一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から出てカニューレに入る。
【0341】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約4,000Gの間、約100Gから約3,500Gの間、約100Gから約3,000Gの間、約100Gから約2,500Gの間、約100Gから約2,000Gの間、約100Gから約1,500Gの間、約100Gから約1,000Gの間、約100Gから約500Gの間、約100Gから約350Gの間、約350Gから約4,000Gの間、約350Gから約3,500Gの間、約350Gから約3,000Gの間、約350Gから約2,500Gの間、約350Gから約2,000Gの間、約350Gから約1,500Gの間、約350Gから約1,000Gの間、約350Gから約500Gの間、約500Gから約4,000Gの間、約500Gから約3,500Gの間、約500Gから約3,000Gの間、約500Gから約2,500Gの間、約500Gから約2,000Gの間、約500Gから約1,500Gの間、約500Gから約1,000Gの間、約1,000Gから約4,000Gの間、約1,000Gから約3,500Gの間、約1,000Gから約3,000Gの間、約1,000Gから約2,500Gの間、約1,000Gから約2,000Gの間、約1,000Gから約1,500Gの間、約1,500Gから約4,000Gの間、約1,500Gから約3,500Gの間、約1,500Gから約3,000Gの間、約1,500Gから約2,500Gの間、約1,500Gから約2,000Gの間、約2,000Gから約4,000Gの間、約2,000Gから約3,500Gの間、約2,000Gから約3,000Gの間、約2,000Gから約2,500Gの間、約2,500Gから約4,000Gの間、約2,500Gから約3,500Gの間、約2,500Gから約3,000Gの間、約3,000Gから約4,000Gの間、約3,000Gから約3,500Gの間、または約3,500Gから約4,000Gの間である。
【0342】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約4,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,500Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、T細胞は、活性化T細胞である。一部の実施形態では、T細胞、例えば、活性化T細胞は、約5μm~約25μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約10μm~約20μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。
【0343】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。
【0344】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約4,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約350Gから約3,000Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約700Gから約1,300Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約800Gから約1,200Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約900Gから約1,100Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、方法の適用前に凍結保存され、解凍された。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0345】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約2,000Gの間、約200Gから約1800Gの間、約500Gから約1,500Gの間、または約750Gから約1,250Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約250Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約600Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約700Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約800Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約900Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,100Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,200Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,300Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,400Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,300Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,750Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約2,000Gである。
【0346】
一部の実施形態では、第2の流量は、約5mL/分から約100mL/分の間、約5mL/分から約90mL/分の間、約5mL/分から約80mL/分の間、約5mL/分から約70mL/分の間、約5mL/分から約60mL/分の間、約5mL/分から約50mL/分の間、約5mL/分から約40mL/分の間、約5mL/分から約30mL/分の間、約5mL/分から約20mL/分の間、約5mL/分から約10mL/分の間、約10mL/分から約100mL/分の間、約10mL/分から約90mL/分の間、約10mL/分から約80mL/分の間、約10mL/分から約70mL/分の間、約10mL/分から約60mL/分の間、約10mL/分から約50mL/分の間、約10mL/分から約40mL/分の間、約10mL/分から約30mL/分の間、約10mL/分から約20mL/分の間、約20mL/分から約100mL/分の間、約20mL/分から約90mL/分の間、約20mL/分から約80mL/分の間、約20mL/分から約70mL/分の間、約20mL/分から約60mL/分の間、約20mL/分から約50mL/分の間、約20mL/分から約40mL/分の間、約20mL/分から約30mL/分の間、約30mL/分から約100mL/分の間、約30mL/分から約90mL/分の間、約30mL/分から約80mL/分の間、約30mL/分から約70mL/分の間、約30mL/分から約60mL/分の間、約30mL/分から約50mL/分の間、約30mL/分から約40mL/分の間、約40mL/分から約100mL/分の間、約40mL/分から約90mL/分の間、約40mL/分から約80mL/分の間、約40mL/分から約70mL/分の間、約40mL/分から約60mL/分の間、約40mL/分から約50mL/分の間、約50mL/分から約100mL/分の間、約50mL/分から約90mL/分の間、約50mL/分から約80mL/分の間、約50mL/分から約70mL/分の間、約50mL/分から約60mL/分の間、約60mL/分から約100mL/分の間、約60mL/分から約90mL/分の間、約60mL/分から約80mL/分の間、約60mL/分から約70mL/分の間、約70mL/分から約100mL/分の間、約70mL/分から約90mL/分の間、約70mL/分から約80mL/分の間、約80mL/分から約100mL/分の間、約80mL/分から約90mL/分の間、または約90mL/分から約100mL/分の間である。
【0347】
一部の実施形態では、第2の流量は、約5mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約350Gから約4,000Gの間であり、(ii)第2の流量は、約5mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約65mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約35mL/分の間である。一部の実施形態では、T細胞は、活性化T細胞である。一部の実施形態では、T細胞、例えば、活性化T細胞は、約5μm~約25μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約10μm~約20μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。
【0348】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。
【0349】
一部の実施形態では、第2の流量は、30mL/分またはそれ未満である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、方法の適用前に凍結保存され、解凍された。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の場合には、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0350】
一部の実施形態では、第2の流量は、30mL/分またはそれ未満である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量を細胞組成物に適用する前に細胞組成物の細胞を活性化することおよび培養すること(例えば、細胞を少なくとも24、48、72または96時間培養すること)を含む。一部の実施形態では、方法は、濃縮組成物のT細胞を凍結保存することおよび適宜、解凍することを含む。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0351】
一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約1,500Gから約3,000Gの間であり、(ii)第2の流量は、約65mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約90mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約80mL/分の間である。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、方法の適用前に凍結保存され、解凍された。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0352】
一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、(i)第2の遠心力は、約1,500Gから約3,000Gの間であり、(ii)第2の流量は、約65mL/分から約100mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約90mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約65mL/分から約80mL/分の間である。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、方法は、濃縮組成物の細胞を凍結保存することおよび適宜、解凍することを含む。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0353】
一部の実施形態では、第2の流量は、約10から約100mL/分の間、約15から約90mL/分の間、約20から約80mL/分の間、約25から約70mL/分の間、約30から約60mL/分の間、または約35から約50mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約20mL/分、約21mL/分、約22mL/分、約23mL/分、約24mL/分、約25mL/分、約25.5mL/分、約26mL/分、約26.5mL/分、約27mL/分、約27.5mL/分、約28mL/分、約28.5mL/分、約29mL/分、約29.5mL/分、約30mL/分、約31mL/分、約32mL/分、約33mL/分、約34mL/分、または約35mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約25.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約26mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約26.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約27mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約27.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約28mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約28.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約29mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約29.5mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約30mL/分である。
【0354】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間、約20から約90の間、約20から約80の間、約20から約70の間、約20から約60の間、約20から約50の間、約20から約40の間、約20から約30の間、約30から約100の間、約30から約90の間、約30から約80の間、約30から約70の間、約30から約60の間、約30から約50の間、約30から約40の間、約40から約100の間、約40から約90の間、約40から約80の間、約40から約70の間、約40から約60の間、約40から約50の間、約50から約100の間、約50から約90の間、約50から約80の間、約50から約70の間、約50から約60の間、約60から約100の間、約60から約90の間、約60から約80の間、約60から約70の間、約70から約100の間、約70から約90の間、約70から約80の間、約80から約100の間、約80から約90の間、または約90から約100の間である。
【0355】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。一部の実施形態では、T細胞は、活性化T細胞である。一部の実施形態では、T細胞、例えば、活性化T細胞は、約5μm~約25μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約10μm~約20μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。
【0356】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。
【0357】
一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有し、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。一部の実施形態では、T細胞は、10μm~20μM(例えば、12μm~20μmまたは14μm~20μm)の平均直径を有し、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。一部の実施形態では、T細胞は、12μm~20μmの平均直径を有し、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。一部の実施形態では、T細胞は、14μm~20μmの平均直径を有し、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約70の間である。
【0358】
一部の実施形態では、T細胞は、約9μm未満の平均直径を有し、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。
【0359】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30から約40の間である。一部の実施形態では、T細胞は、非活性化T細胞またはあまり活性化されていないT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、方法の適用前に凍結保存され、解凍された。一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0360】
一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20から約100の間、約25から約80の間、または約30から約60の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約20である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約25である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約30である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約35である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約40である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約45である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約50である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約55である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約60である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約65である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約70である。一部の実施形態では、第2の遠心力の第2の流量に対する比率は、約75である。
【0361】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gから約1,500Gの間であり、第2の流量は、約25mL/分から約30mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約1,000Gであり、流量は、約28.5mL/分である。
【0362】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約5分間から約100分間の間、約10分間から約90分間の間、約15分間から約80分間の間、約20分間から約70分間の間、約25分間から約60分間の間、約30分間から約50分間の間、または約35分間から約40分間の間、適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約5分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約10分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約15分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約20分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約25分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約30分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約45分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約60分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約75分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に約90分間適用される。
【0363】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約15分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約30分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約45分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約60分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約75分間適用される。一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量は、細胞組成物に少なくとも約90分間適用される。
【0364】
A.細胞組成物(例えば、操作された細胞組成物)
一部の実施形態では、T細胞(例えば、抗原受容体を発現するように事前に操作されたT細胞)を含む細胞組成物は、連続向流遠心分離機システムにおいて生細胞について濃縮される。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~約1.0×108細胞/mL、例えば、少なくともまたは約少なくともまたは約1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mLまたは1×108細胞/mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約1×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約1.25×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約1.5×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約1.75×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約2×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約2.25×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約2.5×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約2.75×106細胞/mLを含む。一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、約3×106細胞/mLを含む。
【0365】
一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約20mLから約300mLの間、約25mLから約250mLの間、約30mLから約200mLの間、約35mLの間、および約150mLの間、または約40mLから約100mL間からなる。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約20mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約25mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約30mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約35mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約40mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約45mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約50mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約55mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約60mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約70mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約80mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約100mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約125mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約150mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約175mLである。一部の実施形態では、操作された細胞組成物の体積は、約200mLである。
【0366】
一部の実施形態では、操作された細胞組成物は、総数約1×108の細胞、総数約2×108の細胞、総数約3×108の細胞、総数約4×108の細胞、総数約5×108の細胞、総数約6×108の細胞、総数約7×108の細胞、総数約8×108の細胞、総数約9×108の細胞、または総数約1×109の細胞を含む。
【0367】
一部の実施形態では、T細胞は、約5μm~約25μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約10μm~約20μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約9μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、活性化T細胞である。
【0368】
一部の実施形態では、T細胞は、約10μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約12μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約14μm~約20μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、活性化T細胞である。
【0369】
一部の実施形態では、T細胞は、9μm未満の平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約3μm~約9μm、約4μm~約9μm、約5μm~約9μm、約6μm~約9μm、約7μm~約9μm、または約8μm~約9μmの平均直径を有する。一部の実施形態では、T細胞は、約6μm~約9μmの平均直径を有する。
【0370】
一部の実施形態では、細胞は、提供される方法による遺伝子操作の前にインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を遺伝子操作の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。そのような条件は、集団内の細胞の増殖、拡大、活性化および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または遺伝子操作のために、例えば組換え抗原受容体の導入のために、細胞を刺激するように、設計されたものを含む。条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、薬剤、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するように設計された任意の他の薬剤のうち1つまたは複数を含み得る。
【0371】
一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、第1の遠心力および第1の流量の適用の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、方法は、細胞組成物のT細胞を、細胞組成物を遠心分離機システムに投入する前に刺激条件下でインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、細胞組成物のT細胞は、遠心分離機システムへの細胞組成物の投入の前に刺激条件下でインキュベートされる。一部の実施形態では、細胞組成物は、活性化T細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40L、4-1BBまたはこれらの組合せを発現するT細胞を含む。
【0372】
一部の実施形態では、刺激条件は、刺激試薬の存在を含む。一部の実施形態では、刺激試薬は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化できる。一部の態様では、薬剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを活性化または開始する。そのような薬剤としては、抗体、例えば、例えばビーズなどの固体支持体に結合した、TCR構成要素および/もしくは共刺激受容体に対して特異的な抗体、例えば抗CD3、抗CD28、ならびに/または1つもしくは複数のサイトカインを挙げることができる。一部の実施形態では、刺激試薬は、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である。一部の実施形態では、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、CD3に特異的に結合する。一部の実施形態では、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSから選択される。一部の実施形態では、一次および二次薬剤の少なくとも一方は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、二次薬剤は、抗CD28抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。適宜、拡大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含み得る。
【0373】
一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの、技術に従って実行される。
【0374】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、一般に少なくとも約30度、および一般に摂氏37度または摂氏約37度を含む。適宜、インキュベーションは、非分裂EBVで形質転換したリンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することをさらに含み得る。LCLには約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線が照射され得る。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の適した量で、例えば、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞の最初のTリンパ球に対する比率で提供される。
【0375】
実施形態では、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、感染対象からT細胞を単離することおよび同じ抗原を用いてインビトロで細胞を刺激することによって、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンを生成できる。
【0376】
一部の場合には、細胞、例えばT細胞、が活性化されることを必要としないウイルスベクター粒子が、使用され得る。一部のそのような例では、細胞は、活性化の前におよびまたは活性化の非存在下で、選択および/または形質導入され得る。
【0377】
一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞、例えばT細胞、の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多くは活性化され、例えば、一部の場合には、HLA-DR、CD25、CD69、CD71、CD40Lおよび/または4-1BBのうちの1つまたは複数について表面陽性である。一部の実施形態では、細胞は、第1の遠心力および第1の流量の適用の開始前に、例えば、流動床の確立前および/または形質導入の開始前に、例えば、抗CD3/抗CD28の存在下で、活性化剤を用いて活性化される。T細胞集団をインビトロで、外因性増殖因子の非存在下でまたは少量の外因性増殖因子で拡大する方法は、当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第6,352,694B1号および欧州特許EP 0 700 430 B1を参照されたい)。一般に、そのような方法は、多様な結合剤(例えば、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体)が固定化されている、1μMを超える固相表面を利用する。例えば、Dynabeads(登録商標)CD3/CD28(Invitrogen)は、T細胞拡大のための市販の試薬であり、これは、ヒトT細胞上のCD3およびCD28細胞表面分子に対する親和性精製モノクローナル抗体の混合物でコーティングされた均一な、4.5μm超常磁性、滅菌、非発熱性ポリスチレンビーズである。一部の実施形態では、活性化剤、例えば、抗CD3および/または抗CD28は、磁性ビーズなどのビーズに固定化され得る。
【0378】
一部の実施形態では、細胞活性化も、IL-2(例えば、50IU/mL~200IU/mLまたは約50IU/mL~約200IU/mL、例えば、100IU/mLまたは約100IU/mL)の存在下で行われる。一部の実施形態では、活性化は、1時間から96時間、1時間から72時間、1時間から48時間、4時間から36時間、8時間から30時間もしくは12時間から24時間の間、または約1時間から約96時間、約1時間から約72時間、約1時間から約48時間、約4時間から約36時間、約8時間から約30時間もしくは約12時間から約24時間の間、例えば、少なくともまたは約少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間または72時間、実行される。一部の実施形態では、活性化は、25℃より高いまたは約25℃より高い、例えば、一般に、32℃、35℃もしくは37℃より高いまたは約32℃、約35℃もしくは約37℃より高い、例えば、37℃±2℃または約37℃±2℃の温度で、例えば、37℃または約37℃の温度で実行される。
【0379】
一部の実施形態では、細胞は、接触の開始前に、例えば、形質導入の開始前に、例えば、抗CD3/抗CD28の存在下で、活性化剤を用いて活性化されない。一部の実施形態では、細胞組成物は、複数の休止細胞を含む。一部の実施形態では、集団内のT細胞の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより多くは、休止T細胞、例えば、T細胞活性化マーカー、例えば、表面マーカーもしくは細胞内サイトカインもしくは他のマーカー、を欠いているT細胞、および/または細胞周期のG0もしくはG0G1a期にあるT細胞である。
【0380】
特定の態様では、提供される方法は、オリゴマータンパク質試薬、例えば多量体化試薬、との接触および/またはインキュベーションの前に活性化する必要なく、T細胞への形質導入を起こさせる。一部の実施形態では、方法は、T細胞を最初に、例えば形質導入の前に、活性化および/または刺激することなく、休止またはナイーブT細胞を含有するT細胞の集団にウイルスベクターで形質導入することを含む。一部のそのような実施形態では、提供される方法は、養子療法のための細胞、例えばT細胞、を調製するために使用することができ、T細胞を活性化および/または刺激する工程を含まない。
【0381】
一部の実施形態では、細胞は、一般に、真核細胞、例えば哺乳動物細胞、典型的にはヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、もしくはリンパ器官に由来するか、または免疫系の細胞、例えば、自然もしくは適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/もしくはNK細胞を含む、骨髄性もしくはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞としては、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、複能性および多能性幹細胞などの、幹細胞が挙げられる。細胞は、典型的には初代細胞、例えば、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離され、凍結されたものである。一部の実施形態では、細胞は、初代T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト対象からの初代T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化の可能性、拡大、再循環、局在化、および/もしくは持続能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。一部の実施形態では、細胞は、CD3+T細胞を含むか、またはCD3+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD4+T細胞を含むか、またはCD4+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD8+T細胞を含むか、またはCD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞は、CD4+およびCD8+T細胞を含む。処置されるべき対象を基準にして、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。方法には、既成の方法も含まれる。既成の技術についてのものなどの、一部の態様では、細胞は、多能性および/または複能性、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、対象から細胞を単離すること、本明細書に記載されるように、それらを調製すること、処理すること、培養することおよび/または操作すること、ならびに凍結乾燥の前または後に、それらを同じ患者に再導入することを含む。
【0382】
T細胞のおよび/またはCD4+T細胞のおよび/またはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、記憶T細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞記憶T(TSCM)、中枢記憶T(TCM)、エフェクター記憶T(TEM)、または最終分化型エフェクター記憶T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在するおよび適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞もある。
【0383】
一部の実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0384】
一部の実施形態では、細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られたものまたは対象に由来するものから単離され得る。一部の実施形態では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有する者、または細胞療法を必要とする者、または細胞療法が投与されることになる者である。対象は、一部の実施形態では、細胞が単離、処理および/または操作されることになる養子細胞療法などの、特定の治療介入を必要とするヒトである。
【0385】
したがって、細胞は、一部の実施形態では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料は、対象から直接採取された組織、流体および他の試料、ならびに1つまたは複数の処理工程、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターでの形質導入)、洗浄および/またはインキュベーション、から得られる試料を含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られる試料、または処理される試料であり得る。生物学的試料としては、これらに限定されないが、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織ならびに臓器試料が、それらに由来する処理された試料を含めて、挙げられる。
【0386】
一部の態様では、細胞が由来するかまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物に由来する。例示的試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸関連リンパ系組織、粘膜関連リンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の臓器および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、PBMCである。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法の文脈では、自家および同種異系供給源からの試料を含む。
【0387】
一部の実施形態では、細胞は、細胞株、例えば、T細胞株に由来する。細胞は、一部の実施形態では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、またはブタから得られる。
【0388】
一部の実施形態では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。一部の例では、細胞は、例えば、望ましくない構成要素を除去するために、所望の構成要素を濃縮するために、特定の試薬に対して感受性の細胞を溶解または除去するために、1つまたは複数の試薬の存在下で洗浄、遠心分離、および/またはインキュベートされる。一部の例では、細胞は、1つまたは複数の特性、例えば、密度、接着特性、サイズ、特定の構成要素に対する感受性および/または耐性に基づいて分離される。
【0389】
一部の例では、細胞は、対象の循環血液から、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、一部の態様では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、一部の態様では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0390】
一部の実施形態では、対象から収集された血液細胞は、例えば、血漿画分を除去するために、および細胞をその後の処理工程のための適切な緩衝液または培地に入れるために、洗浄される。一部の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくは全ての二価カチオンを欠く。一部の態様では、洗浄工程は、半自動化「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991セルプロセッサー、Baxter)によって製造元の説明書に従って達成される。一部の態様では、洗浄工程は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造元の説明書に従って達成される。一部の実施形態では、細胞は、洗浄後、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca++/Mg++非含有のPBSなどに再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の構成要素は除去され、細胞は培養培地に直接再懸濁される。
【0391】
一部の実施形態では、方法は、密度ベースの細胞分離方法、例えば、赤血球の溶解およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離による末梢血液からの白血球の調製を含む。
【0392】
一部の実施形態では、提供される方法を実施する前に細胞を濃縮または選択する必要がない。
【0393】
一部の実施形態では、単離方法は、細胞における1つまたは複数の特定の分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸の発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。一部の実施形態では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が使用され得る。分離方法は、可逆的試薬系、例えば、本明細書に記載されるような薬剤(例えば、受容体結合剤または選択剤)および試薬を使用する方法を含む、本明細書に開示されるもののいずれかを含み得る。
【0394】
一部の実施形態では、分離は、親和性ベースのまたは免疫親和性ベースの分離である。例えば、単離は、一部の態様では、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカー、の細胞の発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離であって、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて、一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合している細胞の分離による、分離を含む。
【0395】
そのような分離工程は、試薬に結合している細胞がさらなる使用のために保持されるポジティブ選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持されるネガティブ選択に基づき得る。一部の例では、両方の画分がさらなる使用のために保持される。一部の態様では、不均一な集団において細胞型を特異的に識別する抗体が利用可能でない場合、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最良に実行されるようなネガティブ選択は、特に有用であり得る。
【0396】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮または除去をもたらす必要がない。例えば、マーカーを発現するものなどの特定の型の細胞のポジティブ選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現するものなどの特定の型の細胞のネガティブ選択、除去または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、全てのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0397】
一部の実施形態では、細胞組成物は、CD3+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD4+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、細胞組成物は、CD4+およびCD8+T細胞について濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物中の細胞の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、CD4+またはCD8+T細胞である。
【0398】
一部の例では、ある工程からポジティブまたはネガティブ選択された画分がその後のポジティブまたはネガティブ選択などの別の分離工程に付される、複数ラウンドの分離工程が、実行される。一部の例では、単一分離工程は、例えば、細胞を、ネガティブ選択の標的となるマーカーに対して各々特異的な複数の抗体または結合パートナーと共にインキュベートすることによって、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、種々の細胞型上に発現される複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時にポジティブに選択することができる。
【0399】
例えば、一部の態様では、1つもしくは複数の表面マーカーについて陽性の細胞または高レベルの1つもしくは複数の表面マーカー発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞などの、T細胞の特定の亜集団が、ポジティブまたはネガティブ選択技術によって単離される。
【0400】
例えば、CD3+、CD28+T細胞を、CD3/CD28がコンジュゲートしている磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用してポジティブ選択することができる。
【0401】
一部の実施形態では、単離は、ポジティブ選択による特定の細胞集団についての濃縮、またはネガティブ選択による特定の細胞集団の枯渇によって実行される。一部の実施形態では、ポジティブまたはネガティブ選択は、それぞれ、ポジティブまたはネガティブ選択された細胞上に発現されるまたは相対的に高いレベルで(マーカーhigh)発現される(マーカー+)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合剤と共に細胞をインキュベートすることによって、達成される。
【0402】
一部の実施形態では、T細胞は、PBMC試料から、非T細胞、例えば、B細胞、単球、または他の白血球上に発現されるマーカー、例えばCD14、のネガティブ選択によって分離される。一部の態様では、CD4+またはCD8+選択工程は、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、記憶および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるまたは相対的により高度に発現されるマーカーについてのポジティブまたはネガティブ選択によって、亜集団にさらに選別され得る。
【0403】
一部の実施形態では、CD8+細胞は、ナイーブ、中枢記憶、エフェクター記憶および/または中枢記憶幹細胞について、例えば、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づくポジティブまたはネガティブ選択によって、さらに濃縮または枯渇される。一部の実施形態では、中枢記憶T(TCM)細胞についての濃縮は、有効性を増大させるために、例えば、投与後の長期間生存、拡大および/または生着を改善するために実行され、これは、一部の態様では、このような亜集団において特に頑強である。Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82;Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の実施形態では、TCMが濃縮されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせることによって、有効性がさらに増強される。
【0404】
一部の実施形態では、記憶T細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCを、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分について、例えば、抗CD8および抗CD62L抗体を使用して、濃縮または枯渇することができる。
【0405】
一部の実施形態では、中枢記憶T(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき、一部の態様では、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するまたは高度に発現する細胞についてのネガティブ選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞について濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞についてのポジティブ選択または濃縮によって実行される。一態様では、中枢記憶T(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞のネガティブ画分を用いて出発して実行され、この画分が、CD14およびCD45RAの発現に基づくネガティブ選択ならびにCD62Lに基づくポジティブ選択に付される。このような選択は、一部の態様では、同時に実行され、他の態様では、いずれかの順序で逐次的に実行される。一部の態様では、CD8+細胞集団または亜集団の調製において使用される同じCD4発現ベースの選択工程が、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも使用され、したがって、CD4ベースの分離から得られたポジティブ画分とネガティブ画分の両方が保持され、方法のその後の工程において、適宜、1つまたは複数のさらなるポジティブまたはネガティブ選択工程後に、使用される。
【0406】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料がCD4+細胞の選択に付され、ネガティブ画分とポジティブ画分の両方が保持される。次いで、ネガティブ画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づくネガティブ選択、ならびに中枢記憶T細胞に特有のマーカー、例えばCD62LまたはCCR7、に基づくポジティブ選択に付され、ポジティブおよびネガティブ選択は、いずれかの順序で実行される。
【0407】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによってナイーブ、中枢記憶およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、中枢記憶CD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。一部の実施形態では、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0408】
一例では、ネガティブ選択によってCD4+細胞について濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、ポジティブおよび/またはネガティブ選択のための細胞の分離を可能にするために固体支持体またはマトリックス、例えば、磁性ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、一部の実施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技術を使用して分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher (c) Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説されている)。
【0409】
一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さい、磁化できる、または磁気的に応答性の材料、例えば、磁気的に応答性の粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気的に応答性の材料、例えば粒子、は一般に、分離することが所望される、例えばネガティブまたはポジティブ選択することが所望される、細胞、複数の細胞、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカー、に特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接的または間接的に付着される。
【0410】
一部の実施形態では、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的な結合メンバーに結合した磁気的に応答性の材料を含む。磁気分離方法において使用される多くの周知の磁気的に応答性の材料がある。適する磁性粒子としては、これにより参照により本明細書に組み込まれるMoldayの米国特許第4,452,773号におよび欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものが挙げられる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるものが、他の例である。
【0411】
インキュベーションは一般に、磁性粒子もしくはビーズに付着している抗体もしくは結合パートナーまたはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば、二次抗体もしくは他の試薬が、細胞表面分子が試料内の細胞上に存在する場合、それに特異的に結合する条件下で実行される。
【0412】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、磁気的に応答性のまたは磁化できる粒子が付着している細胞は、磁石に引き付けられ、非標識細胞から分離されることになる。ポジティブ選択については、磁石に引き付けられる細胞が保持され、ネガティブ選択については、引き付けられない細胞(非標識細胞)が保持される。一部の態様では、ポジティブ選択とネガティブ選択の組合せが同じ選択工程の間に実施され、ポジティブおよびネガティブ画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離工程に付される。
【0413】
磁化できる粒子を細胞から除去するための方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化できる粒子、または切断可能なリンカーにコンジュゲートした抗体などの使用を含む。一部の実施形態では、磁化できる粒子は、生分解性である。
【0414】
一部の実施形態では、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech、Auburn、CA)によるものである。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化された粒子が付着している細胞の高純度選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、外部の磁場の適用後に非標的および標的種が逐次的に溶出される様式で作動する。つまり、磁化された粒子に付着している細胞はその場に保持されるが、付着していない種は溶出される。次いで、この第1の溶出工程が完了した後、磁場にトラップされ、溶出が妨げられた種は、それらを溶出および回収することができるような何らかのやり方で解放される。ある特定の実施形態では、非標的細胞が標識され、細胞の不均一集団から枯渇される。
【0415】
ある特定の実施形態では、単離または分離は、方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、デバイスまたは装置を使用して、実行される。一部の態様では、システムは、例えば、エラー、ユーザーによる取扱い、および/または汚染を最小にするために、閉鎖または無菌環境でこれらの工程の各々を実行するために使用される。一例では、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003、または米国特許出願公開第20110003380A1号に記載されているようなシステムである。
【0416】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、単離、処理、操作および製剤化工程の1つまたは複数、例えば全てを、統合もしくは内蔵システムにおいて、および/または自動化もしくはプログラム可能な方式で実行する。一部の態様では、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信しているコンピューターおよび/またはコンピュータープログラムを含み、このコンピューターおよび/またはコンピュータープログラムによって、ユーザーが処理、単離、操作および製剤化工程をプログラムすること、制御すること、前記工程の結果を評価すること、および/または前記工程の多様な態様を調整することが可能になる。
【0417】
一部の態様では、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖および無菌システムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を使用して実行される。ある特定の実施形態では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。CliniMACS Prodigyシステムには、一部の態様では、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニティーが装備されている。
【0418】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流で運ばれるフローサイトメトリーによって収集および濃縮(または枯渇)される。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、分取スケール(FACS)選別によって収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを使用することによって収集および濃縮(または枯渇)される[例えば、WO2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい]。どちらの場合も、細胞は、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする複数のマーカーで標識され得る。
【0419】
一部の実施形態では、調製方法は、単離、インキュベーションおよび/または遺伝子操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結するための、例えば、凍結保存するための工程を含む。一部の実施形態では、凍結し、その後に解凍する工程によって、細胞集団中の顆粒球およびある程度まで単球が除去される。一部の実施形態では、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程後に、凍結溶液に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれかが一部の態様では使用され得る。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適する細胞凍結培地の使用を含む。次いで、これは、培地を用いてDMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように1:1希釈される。次いで、細胞は、毎分1°の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの蒸気相内で保管される。
【0420】
B.濃縮組成物
一部の実施形態では、方法は、第3の遠心力および第3の流量を濃縮組成物に適用して、生存率が向上した細胞を含む(例えば、操作された細胞を含む)濃縮組成物を生産することを含む。一部の実施形態では、濃縮組成物は、細胞療法における下流の使用などのために収集または回収される。一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量は、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて濃縮組成物の細胞に適用される。一部の実施形態では、濃縮細胞への第3の遠心力および第3の流量の適用は、濃縮組成物の収集または回収を可能にする。
【0421】
一部の実施形態では、濃縮組成物は、カニューレ経由で収集される。一部の実施形態では、濃縮組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端から出る。
【0422】
一部の実施形態では、方法は、濃縮組成物を凍結保存することを含む。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生細胞のレベルは、凍結保存濃縮組成物において維持される。一部の実施形態では、方法は、凍結保存濃縮組成物を解凍することを含む。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生細胞のレベルは、解凍された濃縮組成物において維持される。
【0423】
一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間、約2,200Gから約2,800Gの間、または約2,400Gから約2,600Gの間である。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,100Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,200Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,300Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,400Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,500Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,600Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,700Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,800Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,900Gである。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約3,000Gである。
【0424】
一部の実施形態では、第3の流量は、半径方向外向きである。一部の実施形態では、第3の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端に向けられている。一部の実施形態では、第3の遠心力および第3の流量は、同じまたは実質的に同じ方向である。
【0425】
一部の実施形態では、第3の流量は、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、円錐形の流体エンクロージャーを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から出てカニューレに入る。
【0426】
一部の実施形態では、第3の流量は、約10mL/分から約30mL/分の間、約12mL/分から約28mL/分の間、約15mL/分から約25mL/分の間、または約18mL/分から約22mL/分の間である。一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約16mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約17mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約18mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約19mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約20mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約21mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約22mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約23mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約24mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約15mL/分である。一部の実施形態では、第3の流量は、約25mL/分である。
【0427】
一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100から約150の間、約110から140の間、または約120から130の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約100である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約105である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約110である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約115である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約120である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約125である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約130である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約135である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約140である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約145である。一部の実施形態では、第3の遠心力の第3の流量に対する比率は、約150である。
【0428】
一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,000Gから約3,000Gの間であり、第3の流量は、約15mL/分から約25mL/分の間である。一部の実施形態では、第3の遠心力は、約2,500Gであり、第3の流量は、約20mL/分である。
【0429】
一部の実施形態では、処理工程は、細胞の洗浄、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、増殖および/または製剤化をさらに含み得る。一部の実施形態では、濃縮細胞は、アウトプット組成物として収集される前に1つまたは複数の洗浄工程に付される。一部の実施形態では、収集された濃縮組成物細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。このような条件は、集団中の細胞の増殖、拡大、活性化および/もしくは生存を誘導するように、ならびに/または抗原曝露を模倣するように設計されたものを含む。刺激は、対象への投与後にエクスビボまたはインビボで実行され得る。一部の実施形態では、濃縮組成物は収集され、節I.Cに記載されるもののいずれかを含むさらなる処理工程に付される。
【0430】
C.濃縮組成物の例示的な特徴
一部の実施形態では、濃縮組成物(例えば、収集された濃縮組成物)の体積は、約1mlから約20,000mlの間、約5mLから約2,000mLの間、約10mLから約1,000mLの間、約15mLから約500mLの間、または約20mLから約100mLの間である。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約1mL、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、約60mL、約65mL、約70mL、約75mL、約80mL、約85mL、約90mL、約95mL、または約100mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約1mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約5mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約10mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約15mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約20mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約25mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約30mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約35mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約40mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約45mLである。一部の実施形態では、濃縮組成物の体積は、約50mLである。
【0431】
一部の実施形態では、濃縮組成物は、細胞組成物または細胞組成物より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、濃縮組成物は、細胞組成物より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約5%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約10%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約15%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約20%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約25%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより約30%大きい。
【0432】
一部の実施形態では、濃縮組成物は、細胞組成物(例えば、操作された細胞組成物)より大きいパーセンテージの生存可能なT細胞を含む。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約5%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約10%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約15%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約20%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約25%大きい。一部の実施形態では、濃縮組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージは、細胞組成物中の生存可能なTインプットのパーセンテージより約30%大きい。
【0433】
特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生細胞を含有する。一部の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生細胞を含有する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生細胞を含有する。一部の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD3+T細胞を含有する。一部の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD4+T細胞を含有する。特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。一部の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも75%または少なくとも約75%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の生存可能なCD8+T細胞を含有する。
【0434】
特定の実施形態では、アウトプット細胞は、アポトーシスを遂げることになる細胞ならびに/または調製され、刺激され、および/もしくはアポトーシスに入ることになる細胞の割合および/または頻度が低い。特定の実施形態では、アウトプット細胞は、アポトーシスマーカーについて陽性である細胞の割合および/または頻度が低い。一部の実施形態では、濃縮組成物の細胞の40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、または1%もしくは約1%未満は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞の25%または約25%未満は、アポトーシスのマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスのマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の10%未満または約10%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の5%未満または約5%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の1%未満または約1%未満の細胞は、アポトーシスマーカーを発現する、含有する、および/またはアポトーシスマーカーについて陽性である。
【0435】
特定の実施形態では、濃縮組成物は、CD3+T細胞について濃縮された細胞の組成物である。一部の実施形態では、濃縮組成物中の全細胞の少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約98%、少なくとももしくは約98.5%、少なくとももしくは約99%、少なくとももしくは約99.5%、少なくとももしくは約99.9%、100%、または約100%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物中の全細胞の少なくとももしくは約86%、少なくとももしくは約86.5%、少なくとももしくは約87%、少なくとももしくは約87.5%、少なくとももしくは約88%、少なくとももしくは約88.5%、少なくとももしくは約89%、少なくとももしくは約89.5%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約90.5%、少なくとももしくは約91%、少なくとももしくは約91.5%、少なくとももしくは約92%、少なくとももしくは約92.5%、少なくとももしくは約93%、少なくとももしくは約93.5%、少なくとももしくは約94%、少なくとももしくは約94.5%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約95.5%、少なくとももしくは約96%、少なくとももしくは約96.5%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約97.5%、少なくとももしくは約98%、または少なくとももしくは約98.5%は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物中の全細胞の約80%から約100%の間、約85%から約98%の間、約88%から約96%の間、または約90%から約94%の間は、CD3+T細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物は、CD3+T細胞から本質的になる。一部の実施形態では、濃縮組成物中の全細胞の少なくともまたは約90%は、CD3+T細胞であり、濃縮組成物中の全細胞の少なくともまたは約40%は、組換え受容体(例えば、CAR)を発現する。
【0436】
ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞について濃縮された細胞の組成物である。特定の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、濃縮組成物中の全細胞の少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約98%、少なくとももしくは約98.5%、少なくとももしくは約99%、少なくとももしくは約99.5%、少なくとももしくは約99.9%、100%、または約100%を占める。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、濃縮組成物中の全細胞の少なくとももしくは約86%、少なくとももしくは約86.5%、少なくとももしくは約87%、少なくとももしくは約87.5%、少なくとももしくは約88%、少なくとももしくは約88.5%、少なくとももしくは約89%、少なくとももしくは約89.5%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約90.5%、少なくとももしくは約91%、少なくとももしくは約91.5%、少なくとももしくは約92%、少なくとももしくは約92.5%、少なくとももしくは約93%、少なくとももしくは約93.5%、少なくとももしくは約94%、少なくとももしくは約94.5%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約95.5%、少なくとももしくは約96%、少なくとももしくは約96.5%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約97.5%、少なくとももしくは約98%、または少なくとももしくは約98.5%を占める。一部の実施形態では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞は、濃縮組成物中の全細胞の約80%から約100%の間、約85%から約98%の間、約88%から約96%の間、または約90%から約94%の間を占める。一部の実施形態では、濃縮組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞から本質的になる。
【0437】
特定の実施形態では、濃縮組成物は、10%から90%もしくは約10%から約90%の間、20%から80%もしくは約20%から約80%の間、25%から75%もしくは約25%から約75%の間、30%から70%もしくは約30%から約70%の間、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD4+T細胞、および10%から90%もしくは約10%から約90%の間、20%から80%もしくは約20%から約80%の間、25%から75%もしくは約25%から約75%の間、30%から70%もしくは約30%から約70%の間、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD8+T細胞を含有する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物は、35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD4+T細胞、および35%から65%もしくは約35%から約65%の間、40%から60%もしくは約40%から約60%の間、55%から45%もしくは約55%から約45%の間、または約50%もしくは50%のCD8+T細胞を含有する。特定の実施形態では、アウトプット組成物は、35%から65%または約35%から約65%の間のCD4+T細胞、および35%から65%または約35%から約65%の間のCD8+T細胞を含有する。特定の実施形態では、濃縮組成物は、3:1から1:3の間、2.5:1から1:2.5の間、2:1から1:2の間、1.5:1から1:1.5の間、1.4:1から1:1.4の間、1.3:1から1:1.3の間、1.2:1から1:1.2の間、または1.1:1から1:1.1の間の、CD4+T細胞のCD8+T細胞に対する比率を含有する。一部の実施形態では、細胞の組成物は、3:1のもしくは約3:1の、2.8:1のもしくは約2.8:1の、2.5:1のもしくは約2.5:1の、2.25:1のもしくは約2.25:1の、2:1のもしくは約2:1の、1.8:1のもしくは約1.8:1の、1.7:1のもしくは約1.7:1の、1.6:1のもしくは約1.6:1の、1.5:1のもしくは約1.5:1の、1.4:1のもしくは約1.4:1の、1.3:1のもしくは約1.3:1の、1.2:1のもしくは約1.2:1の、1.1:1のもしくは約1.1:1の、1:1のもしくは約1:1の、1:1.1のもしくは約1:1.1の、1:1.2のもしくは約1:1.2の、1:1.3のもしくは約1:1.3の、1:1.4のもしくは約1:1.4の、1:1.5のもしくは約1:1.5の、1:1.6のもしくは約1:1.6の、1:1.7のもしくは約1:1.7の、1:1.8のもしくは約1:1.8の、1:2のもしくは約1:2の、1:2.25のもしくは約1:2.25の、1:2.5のもしくは約1:2.5の、1:2.8のもしくは約1:2.8の、または1:3のもしくは約1:3の、CD4+T細胞のCD8+T細胞に対する比率を有する。
【0438】
一部の実施形態では、濃縮組成物は、3:1から1:3の間、2.5:1から1:2.5の間、2:1から1:2の間、1.5:1から1:1.5の間、1.4:1から1:1.4の間、1.3:1から1:1.3の間、1.2:1から1:1.2の間、または1.1:1から1:1.1の間の、組換え受容体、例えばCAR、を発現するCD4+T細胞の、組換え受容体、例えばCAR、を発現するCD8+T細胞に対する比率を含有する。一部の実施形態では、濃縮組成物における、組換え受容体(例えば、CAR)を発現するCD4+T細胞の、組換え受容体(例えばCAR)を発現するCD8+T細胞に対する比率は、3:1のもしくは約3:1の、2.8:1のもしくは約2.8:1の、2.5:1のもしくは約2.5:1の、2.25:1のもしくは約2.25:1の、2:1のもしくは約2:1の、1.8:1のもしくは約1.8:1の、1.7:1のもしくは約1.7:1の、1.6:1のもしくは約1.6:1の、1.5:1のもしくは約1.5:1の、1.4:1のもしくは約1.4:1の、1.3:1のもしくは約1.3:1の、1.2:1のもしくは約1.2:1の、1.1:1のもしくは約1.1:1の、1:1のもしくは約1:1の、1:1.1のもしくは約1:1.1の、1:1.2のもしくは約1:1.2の、1:1.3のもしくは約1:1.3の、1:1.4のもしくは約1:1.4の、1:1.5のもしくは約1:1.5の、1:1.6のもしくは約1:1.6の、1:1.7のもしくは約1:1.7の、1:1.8のもしくは約1:1.8の、1:2のもしくは約1:2の、1:2.25のもしくは約1:2.25の、1:2.5のもしくは約1:2.5の、1:2.8のもしくは約1:2.8の、または1:3のもしくは約1:3の比率である。
【0439】
一部の実施形態では、提供される方法に関連して生成または生産される濃縮組成物は、組換え受容体、例えばTCRまたはCAR、を発現する細胞を含有する。一部の実施形態では、組換え受容体を発現することは、細胞膜および/もしくは細胞表面に局在する1つもしくは複数の組換え受容体タンパク質を有すること、検出可能な量の組換え受容体タンパク質を有すること、組換え受容体をコードする検出可能な量のmRNAを有すること、組換え受容体をコードする組換えポリヌクレオチドを有することもしくは含有すること、ならびに/または組換え受容体発現についてのサロゲートマーカーであるmRNAもしくはタンパク質を有することもしくは含有することを含み得るが、これらに限定されない。
【0440】
一部の実施形態では、濃縮組成物の細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物のCD3+T細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または約99%より多くは、組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、濃縮組成物のCD3+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞の少なくとももしくは約5%、少なくとももしくは約10%、少なくとももしくは約20%、少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または99%より多くは、組換え受容体を発現するCD3+T細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物の細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現するCD3+T細胞である。
【0441】
特定の実施形態では、濃縮組成物のCD4+T細胞の少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または99%より多くは、組換え受容体を発現する。特定の実施形態では、濃縮組成物のCD4+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、濃縮組成物のCD8+T細胞の少なくとももしくは約30%、少なくとももしくは約40%、少なくとももしくは約45%、少なくとももしくは約50%、少なくとももしくは約55%、少なくとももしくは約60%、少なくとももしくは約65%、少なくとももしくは約70%、少なくとももしくは約75%、少なくとももしくは約80%、少なくとももしくは約85%、少なくとももしくは約90%、少なくとももしくは約95%、少なくとももしくは約97%、少なくとももしくは約99%、または99%より多くは、組換え受容体を発現する。ある特定の実施形態では、濃縮組成物のCD8+T細胞の少なくともまたは約50%は、組換え受容体を発現する。
【0442】
特定の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物のCD3+T細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物のCD3+T細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、濃縮組成物のCD3+T細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。
【0443】
特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の、平均で、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の平均で少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物のCD3+T細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物のCD3+T細胞の、平均で、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物のCD3+T細胞の平均で少なくとも90%または少なくとも約90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の、平均で、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の、平均で、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物の組換え受容体発現(例えば、CAR+)CD3+T細胞の平均で少なくとも90%は、生細胞、例えば、カスパーゼ(例えば、活性化カスパーゼ-3)などのアポトーシスマーカーについて陰性の細胞である。
【0444】
前記実施形態のいずれかでは、本明細書で開示される方法によって生産される複数の濃縮組成物は、同じまたは異なるドナーに由来し得る。一部の態様では、複数の濃縮組成物のうちの少なくとも2つは、異なるドナーに由来する。一部の態様では、複数の濃縮組成物の各々は、いくつかの異なるドナーのうちの1つに由来し、例えば、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、または約60より多くの異なるドナー、例えば、CAR-T細胞療法などの細胞療法を必要とする患者に由来する。
【0445】
特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞の大部分は、ナイーブもしくはナイーブ様細胞、中枢記憶細胞、および/またはエフェクター記憶細胞である。特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞の大部分は、ナイーブ様細胞または中枢記憶細胞である。一部の実施形態では、濃縮組成物の細胞の大部分は、中枢記憶細胞である。一部の態様では、より分化度の低い細胞、例えば、中枢記憶細胞は、より長寿命であり、あまり急速に疲弊せず、そのため持続性および耐久性が増大される。一部の態様では、CAR-T細胞療法などの細胞療法の奏効者は、中枢記憶遺伝子の発現増加を有する。例えば、Fraietta et al. (2018) Nat Med. 24(5):563-571を参照されたい。
【0446】
ある特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞は、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞の、割合および/または頻度が高い。ある特定の実施形態では、濃縮組成物の細胞は、代替プロセス、例えば、拡大を含むプロセス(例えば、拡大ユニット作動を含む、および/または細胞の拡大を引き起こすことを目的とする工程を含む、プロセス)から生成される濃縮組成物よりナイーブ様細胞の割合および/または頻度が大きい。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、種々の分化状態の細胞を含み得、ある特定の細胞マーカーの陽性もしくは高発現(例えば、表面発現もしくは細胞内発現)および/または他の細胞マーカーの陰性もしくは低発現(例えば、表面発現もしくは細胞内発現)を特徴とし得る。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CCR7、CD45RA、CD28、および/またはCD27の陽性または高発現を特徴とする。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD25、CD45RO、CD56、CD62L、および/またはKLRG1の陰性発現を特徴とする。一部の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD95の低発現を特徴とする。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CCR7+CD45RA+であり、これらの細胞は、CD27+またはCD27-である。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CD27+CCR7+であり、これらの細胞は、CD45RA+またはCD45RA-である。ある特定の実施形態では、ナイーブ様T細胞、またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞は、CD62L-CCR7+である。
【0447】
III.細胞組成物を脱ビーズ化する方法
遠心分離機システム(例えば、「逆」または連続向流遠心分離機システム)を使用してビーズを除去するまたは細胞組成物を「脱ビーズ化」する方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、細胞組成物は、節I.A.iに記載のもののいずれか、例えば、事前にビーズ(例えば、常磁性ビーズ)とインキュベートされた細胞組成物を含む。したがって、一部の実施形態では、細胞組成物は、細胞(例えば、T細胞)およびビーズ(例えば、常磁性ビーズ)を含む。
【0448】
一部の実施形態では、ビーズは、常磁性ビーズ、例えば、常磁性ポリスチレンビーズである。一部の実施形態では、細胞は、例えば、細胞を活性化または刺激するために、ビーズとのインキュベーションに事前に付された。一部の実施形態では、ビーズは、刺激剤でコーティングされている。一部の実施形態では、刺激試薬は、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である。一部の実施形態では、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、CD3に特異的に結合する。一部の実施形態では、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSから選択される。一部の実施形態では、一次および二次薬剤の少なくとも一方は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、一次薬剤は、抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、二次薬剤は、抗CD28抗体もしくはその抗原結合性断片であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ビーズは、抗CD3抗体でコーティングされたビーズを含む。一部の実施形態では、ビーズは、抗CD28抗体でコーティングされたビーズを含む。一部の実施形態では、ビーズは、抗CD3抗体でコーティングされたビーズ、および抗CD28抗体でコーティングされたビーズを含む。
【0449】
一部の実施形態では、細胞組成物は、少なくとも約10×106個のビーズ、少なくとも約25×106個のビーズ、少なくとも約50×106個のビーズ、少なくとも約75×106個のビーズ、少なくとも約100×106個のビーズ、少なくとも約125×106個のビーズ、少なくとも約150×106個のビーズ、少なくとも約175×106個のビーズ、少なくとも約200×106個のビーズ、少なくとも約225×106個のビーズ、少なくとも約250×106個のビーズ、少なくとも約275×106個のビーズ、または少なくとも約300×106個のビーズを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約100×106個のビーズを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約150×106個のビーズを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約200×106個のビーズを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約250×106個のビーズを含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、約300×106個のビーズを含む。
【0450】
一部の実施形態では、方法は、(i)第1の遠心力および第1の流量を適用して細胞の流動床を確立すること;および(ii)第2の遠心力および第2の流量を適用して細胞組成物からビーズを除去することによって、脱ビーズ化組成物を生成することを含む。
【0451】
一部の実施形態では、方法は、第1の遠心力および第1の流量を適用する前に円錐形の流体エンクロージャーに細胞組成物を投入することを含む。
【0452】
一部の実施形態では、遠心分離機システムは、円錐形の流体エンクロージャー内にカニューレを含む。一部の実施形態では、カニューレは、円錐形の流体エンクロージャーの長さに沿って伸びている。一部の実施形態では、カニューレの一方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近にある。一部の実施形態では、カニューレの他方の末端は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近、例えば、広端の中心またはその付近にある。
【0453】
一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーにカニューレ経由で投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近において、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。一部の実施形態では、細胞組成物は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの尖端または付近におけるカニューレの末端から出ることによって、円錐形の流体エンクロージャーに投入される。
【0454】
一部の実施形態では、ビーズは、円錐形の流体エンクロージャーから細胞を水簸することによって細胞組成物から除去される。一部の実施形態では、水簸された細胞は、円錐形の流体エンクロージャーの広端における開口部経由で円錐形の流体エンクロージャーから出る。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を少なくとも部分的に包囲している。一部の実施形態では、開口部は、円錐形の流体エンクロージャーの広端またはその付近におけるカニューレの末端を包囲している。
【0455】
一部の実施形態では、ビーズは、円錐形の流体エンクロージャーの中に残存する。一部の実施形態では、ビーズは、細胞の水簸後に円錐形の流体エンクロージャーから除去される。一部の実施形態では、ビーズは、カニューレ経由で除去される。一部の実施形態では、ビーズは、円錐形の流体エンクロージャーの尖端またはその付近におけるカニューレの末端に入り、円錐形の流体エンクロージャーの広端または付近におけるカニューレの末端から出る。
【0456】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約500Gから約2,000Gの間、または約750Gから約1,500Gの間、または約500Gから約1,000Gの間である。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,500Gである。一部の実施形態では、第1の遠心力は、約2,000Gである。
【0457】
一部の実施形態では、第1の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第1の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第1の遠心力は、第1の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第1の流量は、対向流量である。
【0458】
一部の実施形態では、第1の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0459】
一部の実施形態では、第1の流量は、約10mL/分から約50mL/分の間、約15mL/分から約45mL/分の間、約20mL/分から約40mL/分の間、または約25mL/分から約35mL/分の間である。一部の実施形態では、第1の流量は、約20mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約25mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約30mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約35mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約40mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約45mL/分である。一部の実施形態では、第1の流量は、約50mL/分である。
【0460】
一部の実施形態では、第1の遠心力は、約1,000Gであり、第1の流量は、約30mL/分である。
【0461】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gから約1,000Gの間、約200Gから約800Gの間、または約400Gから約600Gの間である。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約100Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約200Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約300Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約400Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約500Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約600Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約700Gである。一部の実施形態では、第2の遠心力は、約800Gである。
【0462】
一部の実施形態では、第2の流量は、半径方向内向きである。一部の実施形態では、第2の流量は、円錐形の流体エンクロージャーの尖端から離れる方向に向けられている。一部の実施形態では、第2の遠心力は、第2の流量によって相殺される。一部の実施形態では、第2の流量は、対向流量である。
【0463】
一部の実施形態では、第2の流量は、カニューレを通る培地の流れによる影響を受ける。一部の実施形態では、カニューレを通る培地の流れは、円錐形の流体エンクロージャーの広端から尖端への流れである。一部の実施形態では、培地は、カニューレから出て、円錐形の流体エンクロージャーにその尖端から入る。
【0464】
一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分から約100mL/分の間、約20mL/分から約80mL/分の間、または約30mL/分から約60mL/分の間である。一部の実施形態では、第2の流量は、約10mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約20mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約30mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約40mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約50mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約60mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約70mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約80mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約90mL/分である。一部の実施形態では、第2の流量は、約100mL/分である。
【0465】
一部の実施形態では、第2の遠心力は、約600Gであり、第2の流量は、約50mL/分である。
【0466】
一部の実施形態では、第2の遠心力および第2の流量の適用は、細胞組成物からビーズの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%を除去する。
【0467】
一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、約0.02%未満、または約0.01%未満を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約10%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約5%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約1%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約1%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約0.5%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約0.1%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約0.05%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、細胞組成物に含有されるビーズの約0.01%を含有する。一部の実施形態では、脱ビーズ化組成物は、脱ビーズ化アウトプット組成物として収集される。一部の実施形態では、方法は、脱ビーズ化アウトプット組成物を1つまたは複数の追加の処理工程、例えば、細胞の形質導入、洗浄、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、増殖、および/または製剤化に付すことを含む。一部の実施形態では、脱ビーズ化アウトプット組成物は、その後、細胞療法における使用などのために形質導入に付される。
【0468】
IV.ウイルスベクター粒子
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子、例えば、レンチウイルス粒子である。一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、ウイルスベクターのゲノムに、組換えおよび/または異種分子、例えば、組換えまたは異種タンパク質、例えば、組換えおよび/または異種受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)または他の抗原受容体をコードする核酸を含有する。一部の実施形態では、組換え分子は、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原受容体(例えば、CARもしくはTCR)、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、組換え分子は、ケモカインである。一部の実施形態では、組換え分子は、ケモカイン受容体である。一部の実施形態では、組換え分子は、サイトカインである。一部の実施形態では、組換え分子は、サイトカイン受容体である。一部の実施形態では、組換え分子は、抗体受容体(例えば、CARまたはTCR)である。一部の実施形態では、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。一部の実施形態では、抗原受容体は、T細胞受容体(TCR)である。ウイルスベクター粒子のゲノムは、典型的には、組換え分子をコードする核酸に加えて配列を含む。そのような配列には、ゲノムをウイルス粒子にパッケージングことを可能にする配列、および/またはCARなどの組換え受容体をコードする核酸の発現を促進する配列を挙げることができる。
【0469】
A.ウイルスベクター
一部の実施形態では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスゲノムベースのベクターに由来するゲノム、例えば、レンチウイルスゲノムベースのベクターに由来するゲノムを含有する。提供されるウイルスベクターの一部の態様では、組換え受容体、例えば、抗原受容体、例えばCAR、をコードする異種核酸は、ベクターゲノムの5’LTRと3’LTR配列の間に含有される、および/またはその間に位置する。
【0470】
一部の実施形態では、ウイルスベクターゲノムは、レンチウイルスゲノム、例えば、HIV-1ゲノムまたはSIVゲノムである。例えば、レンチウイルスベクターは、病原性遺伝子を多様に弱毒化するによって生成されており、例えば、治療目的のために遺伝子env、vif、vpuおよびnefを欠失させて、ベクターをより安全にすることができる。レンチウイルスベクターは周知である。Naldini et al.. (1996 and 1998);Zufferey et al., (1997);Dull et al., 1998、米国特許第6,013,516号;および同5,994,136号を参照されたい。一部の実施形態では、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸を統合するための、選択のための、および宿主細胞への核酸の移動のための必須の配列を保持するように構成される。公知のレンチウイルスは、保管所またはコレクション、例えば、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.、Manassas、Va. 20110-2209)から容易に得ることができる、または商業的に利用可能な技術を使用して公知の供給源から単離できる。
【0471】
レンチウイルスベクターの限定されない例として、レンチウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)、HTLV-2またはウマ感染貧血ウイルス(E1AV)に由来するものが挙げられる。例えば、レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多様に弱毒化することによって生成されており、例えば、治療目的のために遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させ、ベクターをより安全にする。レンチウイルスベクターは当該技術分野で公知であり、Naldini et al., (1996 and 1998);Zufferey et al., (1997);Dull et al., 1998、米国特許第6,013,516号;および同5,994,136号を参照されたい。一部の実施形態では、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸を統合するための、選択のための、および宿主細胞への核酸の移動のための必須の配列を保持するように構成される。公知のレンチウイルスは、保管所またはコレクション、例えば、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.、Manassas、Va. 20110-2209)から容易に得ることができる、または商業的に利用可能な技術を使用して公知の供給源から単離できる。
【0472】
一部の実施形態では、ウイルスゲノムベクターは、レンチウイルスなどのレトロウイルスの5’および3’LTRの配列を含有し得る。一部の態様では、ウイルスゲノムコンストラクトは、レンチウイルスの5’および3’LTR由来の配列を含有し得る、特に、レンチウイルスの5’LTR由来のRおよびU5配列ならびにレンチウイルス由来の不活性化された3’LTRまたは自己不活性化3’LTRを含有し得る。LTR配列は、任意の種に由来する任意のレンチウイルスに由来するLTR配列であり得る。例えば、それらは、HIV、SIV、FIVまたはBIV由来のLTR配列であり得る。通常、LTR配列は、HIV LTR配列である。
【0473】
一部の実施形態では、HIVウイルスベクターなどのウイルスベクターの核酸は、追加の転写ユニットを欠く。ベクターゲノムは、不活性化または自己不活性化3’LTRを含有することができる(Zufferey et al. J Virol 72: 9873, 1998;Miyoshi et al., J Virol 72:8150, 1998)。例えば、ウイルスベクターRNAを生成するために使用される核酸の3’LTRのU3領域における欠失を使用して、自己不活性化(SIN)ベクターを生成できる。次いで、この欠失を逆転写の際にプロウイルスのDNAの5’LTRに移すことができる。自己不活性化ベクターは一般に、3’の長い末端反復配列(LTR)からエンハンサーおよびプロモーター配列の欠失を有し、これは、ベクター統合の際に5’LTR中にコピーされる。一部の実施形態では、LTRの転写活性を消失させるために、TATAボックスの除去を含む十分な配列が排除され得る。これは、形質導入された細胞における全長ベクターRNAの産生を妨げ得る。一部の態様では、3’LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、TATAボックス、Sp1およびNF-カッパB部位の欠失を含有する。自己不活性化3’LTRの結果として、侵入および逆転写後に生成されるプロウイルスは、不活性化された5’LTRを含有する。これは、ベクターゲノムの動員および隣接する細胞性プロモーターに対するLTRの影響のリスクを低減することによって安全性を改善し得る。自己不活性化3’LTRは、当該技術分野で公知の任意の方法によって構築できる。一部の実施形態では、これは、ベクターのベクター力価またはインビトロもしくはインビボ特性に影響しない。
【0474】
適宜、ウイルスコンストラクト、例えば、異種プロモーター配列において、レンチウイルス5’LTR由来のU3配列をプロモーター配列と置き換えることができる。これは、パッケージング細胞株から回収されたウイルスの力価を増大し得る。エンハンサー配列もまた、含まれ得る。 パッケージング細胞株においてウイルスRNAゲノムの発現を増大する任意のエンハンサー/プロモーターの組合せが使用され得る。一例では、CMVエンハンサー/プロモーター配列が使用される(米国特許第5,385,839号および米国特許第5,168,062号)。
【0475】
ある特定の実施形態では、統合に欠陥のあるレトロウイルスベクターゲノム、例えば、レンチウイルスベクターゲノムを構築することによって、挿入変異誘発のリスクを最小にすることができる。非組込みベクターゲノムを生成するために様々なアプローチを追求できる。一部の実施形態では、不活性インテグラーゼを有するタンパク質をコードするように、pol遺伝子のインテグラーゼ酵素構成要素中に突然変異(複数可)を操作することができる。一部の実施形態では、ベクターゲノム自体を改変して、例えば、一方または両方の付着部位を変異または欠失させることによって、または欠失もしくは改変によって3’LTR近位ポリプリントラクト(PPT)を非機能性にすることによって統合を妨げることができる。一部の実施形態では、非遺伝的アプローチが利用可能であり、これらには、インテグラーゼの1つまたは複数の機能を阻害する薬理学的薬剤が含まれる。アプローチは、相互に排他的ではなく、すなわち、それらのうち2つより多くを一度に使用できる。例えば、インテグラーゼおよび付着部位の両方が非機能的である場合があり、またはインテグラーゼおよびPPT部位が非機能的である場合があり、または結合部位およびPPT部位が非機能的である場合があり、またはそれらの全てが非機能的である場合がある。そのような方法およびウイルスベクターゲノムは公知であり、利用可能である[Philpott and Thrasher, Human Gene Therapy 18:483, 2007;Engelman et al. J Virol 69:2729, 1995;Brown et al J Virol 73:9011 (1999);WO2009/076524;McWilliams et al., J Virol 77:11150, 2003;Powell and Levin J Virol 70:5288, 1996を参照されたい]。
【0476】
一部の実施形態では、ベクターは、宿主細胞、例えば、原核生物の宿主細胞における増殖のための配列を含有する。一部の実施形態では、ウイルスベクターの核酸は、原核細胞、例えば、細菌細胞における増殖のための1つまたは複数の複製の起源を含有する。一部の実施形態では、原核生物の複製起点を含むベクターはまた、その発現が検出可能なまたは薬物耐性などの選択マーカーを付与する遺伝子を含有し得る。
【0477】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、異種組換えタンパク質をコードする核酸を含有する。一部の実施形態では、異種組換え分子は、組換え受容体、例えば、抗原受容体、SB-トランスポゾン、例えば遺伝子サイレンシングのためSB-トランスポゾン、カプシドに閉じ込められたトランスポゾン、相同二本鎖核酸、例えば、ゲノム組換えのための相同二本鎖核酸、もしくはレポーター遺伝子(例えば、蛍光タンパク質、例えば、GFPもしくはルシフェラーゼ)であるか、またはそれを含む。
【0478】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、組換え受容体および/またはキメラ受容体、例えば異種受容体タンパク質、をコードする、核酸を含有する。組換え受容体、例えば、異種受容体は、抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)をはじめとする機能的非TCR受容体、および他の抗原結合受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含み得る。受容体は、他の受容体、例えば、他のキメラ受容体、例えば、特定のリガンドに結合する受容体であって、CARに存在するものに類似している膜貫通および/または細胞内シグナル伝達ドメインを有する受容体も含み得る。
【0479】
そのような例のいずれかでは、核酸は、ウイルスベクターの領域に、例えば、一般にウイルスゲノムの非必須領域に、挿入されるか、またはそこに位置する。一部の態様では、核酸は、複製欠損性であるウイルスを生産するために、ある特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入される。
【0480】
一部の実施形態では、コードされる組換え抗原受容体、例えば、CARは、提供される方法および組成物による標的化のための本明細書に記載されるものを含む、がん、感染症、炎症性もしくは自己免疫疾患、または他の疾患もしくは状態などの標的化される疾患の細胞における1つまたは複数のリガンドに特異的に結合できるものである。
【0481】
ある特定の実施形態では、例示的な抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、またCAIXもしくはG250としても公知)、がん精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、またNY-ESO-1およびLAGE-2としても公知)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体突然変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;またFc受容体ホモログ5もしくはFCRH5としても公知)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Ra)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児性抗原、黒色腫の優先的に発現される抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異的抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(5T4としても公知のTPBG)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的抗原、またはユニバーサルタグと会合した抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるか、あるいはこれらを含む。一部の実施形態において受容体によって標的化される抗原は、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば多くの公知のB細胞マーカーのいずれかを含む。一部の実施形態では、受容体によって標的化される抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30である。
【0482】
一部の実施形態では、例示的な抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、tEGFR、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、0EPHa2、ErbB2、3もしくは4、FBP、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、がん胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1(CCNA1)、ならびに/あるいはビオチン化分子、ならびに/あるいはHIV、HCV、HBV、HPVおよび/もしくは他の病原体および/もしくはこれらの発がん性バージョンによって発現されるおよび/またはそれらに特有のもしくは特異的な分子である。
【0483】
一部の実施形態では、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原であるか、またはこれを含む。一部の実施形態では、抗原は、ウイルス抗原(HIV、HCV、HBV等由来のウイルス抗原など)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0484】
CARおよび組換えTCRをはじめとする例示的な組換え受容体、ならびにそれらの産生および導入は、一部の実施形態では、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号および同第8,479,118号ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov.2013 April; 3(4): 388-398;Davila et al. (2013) PloS ONE 8(4): e61338;Turtle et al., Curr.Opin. Immunol., 2012 October;24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって記載されているものを含む。
【0485】
i.キメラ抗原受容体(CAR)
一部の実施形態では、ウイルスベクターのゲノムに含有される核酸は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。CARは、一般に、1つまたは複数の細部内シグナル伝達構成要素に連結されている細胞外リガンド結合ドメイン、例えば抗体またはその断片を含有する細胞外部分、を有する遺伝子操作された受容体である。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する、膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインを含む。そのような分子は、典型的には、天然の抗原受容体を通じたシグナル、および/または共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を通じたシグナルを模倣または近似する。
【0486】
一部の実施形態では、特定のマーカー、例えば、養子療法の標的とされる特定の細胞型に発現されるマーカー、例えば、がんマーカー、および/または記載される抗原のいずれかに対する特異性を有する、CARが、構築される。したがって、CARは、典型的に、抗体の1つもしくは複数の抗原結合性断片、ドメインもしくは一部分、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。一部の実施形態では、CARは、抗体分子の抗原結合部分(単数もしくは複数)、例えば、可変重鎖(VH)もしくはその抗原結合部分、またはモノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)を含む。
【0487】
一部の実施形態では、特定の細胞型の表面に発現される抗原などの特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)に対する特異性を有するCARを発現する操作された細胞、例えば、T細胞が、提供される。一部の実施形態では、抗原は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、それは、炭水化物または他の分子である。一部の実施形態では、抗原は、正常な、または標的化されていない細胞または組織と比較して、疾患または状態を有する細胞で、例えば、腫瘍または病原性の細胞で、選択的に発現または過剰発現される。他の実施形態では、抗原は、正常細胞で発現され、および/または操作された細胞で発現される。
【0488】
特定の実施形態では、組換え受容体、例えば、キメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域であって、細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域(互換的に、細胞内シグナル伝達ドメインもしくは領域とも呼ばれる)、例えば、T細胞において一次活性化シグナルを誘導可能である細胞質(細胞内)領域、例えば、T細胞受容体(TCR)構成要素の細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域[例えば、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域、またはその機能性変異体もしくはシグナル伝達部分]を含む、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む、細胞内シグナル伝達領域を含有する。
【0489】
一部の実施形態では、キメラ受容体は、リガンド(例えば抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含有する。一部の実施形態では、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。一部の実施形態では、抗原などのリガンドは、細胞の表面に発現されるタンパク質である。一部の実施形態では、CARは、TCR様CARであり、抗原は、処理されたペプチド抗原、例えば、細胞内タンパク質のペプチド抗原であり、これは、TCRと同様に、主要組織適合複合体(MHC)分子の文脈において細胞表面で認識される。
【0490】
CARをはじめとする例示的な抗原受容体、ならびにそのような受容体を操作するためのおよび細胞に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号および同第8,479,118号ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov.2013 April; 3(4): 388-398;Davila et al. (2013) PloS ONE 8(4): e61338;Turtle et al., Curr.Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39;Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって記載されているものを含む。一部の態様では、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものが挙げられる。CARの例には、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの上述の刊行物のいずれかに開示のCARが挙げられる。WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照のこと。
【0491】
一部の実施形態では、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば、養子療法の標的とされる特定の細胞型に発現される抗原、例えば、がんマーカー、および/または弱める応答を誘導することを目的とする抗原、例えば、正常もしくは非罹病細胞型上に発現される抗原に対する特異性を有する、CARが、構築される。したがって、CARは、典型的には、その細胞外部分に1つまたは複数の抗原結合分子、例えば、1つもしくは複数の抗原結合性断片、ドメインもしくは部分、または1つもしくは複数の可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。一部の実施形態では、CARは、抗体分子の抗原結合部分(単数または複数)、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)を含む。
【0492】
CARをはじめとする例示的な抗原受容体、ならびにそのような受容体を操作するためのおよび細胞に導入するための方法は、例えば、国際特許公開番号WO2000/14257、WO2013/126726、WO2012/129514、WO2014/031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、WO2016/0046724、WO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/094304、WO2017/025038およびWO2017/173256、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号および同第20130149337号、ならびに米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、同第8,479,118号および同第9,765,342号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338;Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39;およびWu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって記載されているものを含む。一部の態様では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているようなCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055658 A1に記載されているものを含む。CARの例としては、上述の刊行物のいずれか、例えば、WO2014031687、米国特許第8,339,645号、米国特許第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)において開示されているようなCARが挙げられる。WO2014031687、米国特許第8,339,645号、米国特許第7,446,179号、米国特許出願公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0493】
例示的な抗原受容体、例えば、CARはまた、Marofi et al., Stem Cell Res Ther 12: 81 (2021);Townsend et al., J Exp Clin Cancer Res 37: 163 (2018);Ma et al., Int J Biol Sci 15(12): 2548-2560 (2019);Zhao and Cao, Front Immunol 10: 2250 (2019);Han et al., J Cancer 12(2): 326-334 (2021);Specht et al., Cancer Res 79: 4 Supplement, Abstract P2-09-13;Byers et al., Journal of Clinical Oncology 37, no. 15_suppl (2019);Panowski et al., Cancer Res 79 (13 Supplement) 2326 (2019);およびSauer et al., Blood 134 (Supplement_1): 1932 (2019)に記載されているいずれかを含むか、または米国特許第8,153,765号、同第8,603,477号および同第8,008,450号、米国特許出願公開第20120189622号および同第20100260748号、ならびに国際PCT公開番号WO2006099875、WO2009080829、WO2012092612およびWO2014210064に記載されている抗体もしくは抗原結合性断片のいずれかを含有し得る。
【0494】
さらなる例示的な抗原受容体、例えば、CAR、例えば抗BCMA CARは、イデカブタゲンビクルユーセル、ABECMA(著作権)、BCMA02、JCARH125、JNJ-68284528[LCAR-B38M;シルタカブタジンオートルーセル;CARVYKTI(商標)](Janssen/Legend)、P-BCMA-101(Poseida)、PBCAR269A(Poseida)、P-BCMA-Allo1(Poseida)、Allo-715(Pfizer/Allogene)、CT053(Carsgen)、Descartes-08(Cartesian)、PHE885(Novartis)、ARI-002(Hospital Clinic Barcelona、IDIBAPS)、およびCTX120(CRISPR Therapeutics)のCARを含む。特定の実施形態では、CARは、イデカブタゲンビクルユーセル細胞のCARである。特定の実施形態では、CARは、ABECMA(登録商標)細胞(ABECMA(登録商標)免疫療法において使用される細胞)のCARである。特定の実施形態では、CARは、シルタカブタジンオートルーセル細胞のCARである。特定の実施形態では、CARは、CARVYKTI(商標)細胞[CARVYKTI(商標)免疫療法において使用される細胞]のCARである。
【0495】
例示的な抗原受容体、例えばCARはまた、FDA承認製品BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲンマラルユーセル)、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタゲンオートルユーセル)、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)、およびYESCARTA(商標)(アキシカブタゲンシロルユーセル)、ABECMA(登録商標)(イデカブタゲンビクルユーセル)、およびCARVYKTI(商標)(シルタカブタジンオートルーセル)のCARも含む。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、BREYANZI(登録商標)(リソカブタゲンマラルユーセル)、TECARTUS(商標)(ブレクスカブタゲンオートルユーセル)、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル)、YESCARTA(商標)(アキシカブタゲンシロルユーセル)、ABECMA(登録商標)(イデカブタゲンビクルユーセル)、またはCARVYKTI(商標)(シルタカブタジンオートルーセル)のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、BREYANZI(登録商標)[リソカブタゲンマラルユーセル、参照:Sehgal et al., 2020, Journal of Clinical Oncology 38:15_suppl, 8040;Teoh et al., 2019, Blood 134(Supplement_1):593;およびAbramson et al., 2020, The Lancet 396(10254): 839-852]のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、TECARTUS(商標)[ブレクスカブタゲンオートルユーセル、参照:Mian and Hill, 2021, Expert Opin Biol Ther; 21(4):435-441;および Wang et al., 2021, Blood 138(Supplement 1):744]のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、KYMRIAH(商標)[チサゲンレクルユーセル、参照:Bishop et al., 2022, N Engl J Med 386:629:639;Schuster et al., 2019, N Engl J Med 380:45-56;Halford et al., 2021, Ann Pharmacother 55(4):466-479;Mueller et al., 2021, Blood Adv. 5(23):4980-4991;およびFowler et al., 2022, Nature Medicine 28:325-332]のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、YESCARTA(商標)[アキシカブタゲンシロルユーセル、参照:Neelapu et al., 2017, N Engl J Med 377(26):2531-2544;Jacobson et al., 2021, The Lancet 23(1):P91-103;およびLocke et al., 2022, N Engl J Med 386:640-654]のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、ABECMA(登録商標)[イデカブタゲンビクルユーセル、参照:Raje et al., 2019, N Engl J Med 380:1726-1737;およびMunshi et al., 2021, N Engl J Med 384:705-716]のCARである。提供される実施形態のいずれかの一部では、CARは、CARVYKTI(商標)[シルタカブタジンオートルーセル、参照:Berdeja et al., Lancet. 2021 Jul 24;398(10297):314-324;およびMartin, Abstract #549 [Oral], presented at 2021 American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting & Exposition)]のCARである。
【0496】
一部の実施形態では、抗原は、BCMAである。一部の実施形態では、CARは、抗体分子のBCMA部分(単数または複数)、例えば、抗体、例えばscFv抗体断片、の重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む。キメラ受容体、例えば、CARは、一般に、細胞外抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部分、一般に、抗体、例えばscFv抗体断片、の可変重鎖(VH)領域および/または可変軽鎖(VL)領域を含む。一部の実施形態では、提供されるBCMA結合CARは、抗BCMA抗体などの抗体またはその抗原結合性断片を含有し、これが、提供されるCARのBCMA結合特性を付与する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合ドメインは、記載されるいずれかの抗BCMA抗体であり得るか、または記載されるいずれかの抗BCMA抗体に由来し得る。例えば、Carpenter et al., Clin. Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060;Feng et al., Scand. J. Immunol. (2020) 92:e12910;米国特許第9,034,324号、米国特許第9,765,342号、米国特許出願公開第2016/0046724号、同第20170183418号、および国際PCT出願番号WO2016090320、WO2016090327、WO2016094304、WO2016014565、WO2016014789、WO2010104949、WO2017025038、WO2017173256、WO2018085690、またはWO2021091978を参照されたい。このような抗BCMA抗体または抗原結合性断片のいずれかを、提供されるCARにおいて使用することができる。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、1つまたは複数の単一ドメイン抗BCMA抗体を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数の単一ドメイン抗BCMA抗体は、WO2017025038またはWO2018028647に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、2つの単一ドメイン抗BCMA抗体を含有する。一部の実施形態では、2つの単一ドメイン抗BCMA抗体は、WO2017025038またはWO2018028647に記載されている1つまたは複数の抗体に由来する。一部の実施形態では、BCMA結合ドメインは、WO2017025038またはWO2018028647に記載されており、例えば、WO2017025038またはWO2018028647の配列番号300、301および302(シグナルペプチドを伴うまたは伴わない)に提供されている、A37353-G4S-A37917(G4Sは、2つの結合ドメイン間のリンカーである)を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvである抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態では、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvは、WO2016090320またはWO2016090327に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvは、WO2019/090003に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvは、WO2016094304またはWO2021091978に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvは、WO2018133877に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有するscFvは、WO2019149269に記載されている抗体に由来する。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2019173636またはWO2020051374Aに記載のいずれかである。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2018102752に記載のいずれかである。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2020112796またはWO2021173630に記載のいずれかである。
【0497】
一部の実施形態では、CARは、BCMA、例えばヒトBCMA、に対して特異的である抗BCMA CARである。マウス抗ヒトBCMA抗体およびヒト抗ヒトBCMA抗体を含む、抗BCMA抗体を含有するキメラ抗原受容体、ならびにそのようなキメラ受容体を発現する細胞は、以前に記載されている。Carpenter et al., Clin Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060、米国特許第9,765,342号、WO2016/090320、WO2016090327、WO2010104949A2、WO2016/0046724、WO2016/014789、WO2016/094304、WO2017/025038、およびWO2017173256を参照されたい。
【0498】
一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2016094304またはWO2021091978に記載されている抗体に由来する可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有する、抗原結合ドメイン、例えばscFvを含有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を含有する抗体断片である。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2016/090320またはWO2016090327に記載されている抗体に由来する可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含有する、抗原結合ドメイン、例えばscFvを含有する。
【0499】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片(例えば、scFvもしくはVHドメイン)は、CD19などの抗原を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、CD19に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片に由来するか、またはその変異体である。一部の実施形態では、抗原は、CD19である。一部の実施形態では、scFvは、CD19に対して特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。一部の実施形態では、CD19と結合する抗体または抗体断片は、マウス由来の抗体、例えばFMC63およびSJ25C1である。一部の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒト抗体であり、例えば、米国特許公開番号US2016/0152723号に記載されるヒト抗体である。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、一部の態様ではscFvであり得る、FMC63に由来するVHおよび/またはVLを含む。FMC63は、一般的に、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して生じたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、一部の態様ではscFvであり得る、SJ25C1に由来するVHおよび/またはVLを含む。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して生じたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。
【0500】
一部の実施形態では、抗原は、CD20である。一部の実施形態では、scFvは、CD20に対して特異的な抗体または抗原断片に由来するVHおよびVLを含有する。一部の実施形態では、CD20に結合する抗体または抗体断片は、リツキシマブである抗体、またはリツキシマブに由来する抗体、例えば、リツキシマブscFvである。
【0501】
一部の実施形態では、抗原は、CD22である。一部の実施形態では、scFvは、CD22に対して特異的な抗体または抗原断片に由来するVHおよびVLを含有する。一部の実施形態では、CD22に結合する抗体または抗体断片は、m971である抗体、またはm971に由来する抗体、例えばm971 scFvである。
【0502】
一部の実施形態では、抗原または抗原結合ドメインは、GPRC5Dである。一部の実施形態では、scFvは、GPRC5Dに特異的な抗体または抗体断片由来のVHおよびVLを含有する。一部の実施形態では、GPRC5Dと結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO2016/090329およびWO2016/090312に記載の抗体または抗体断片からのVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0503】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として細胞上に発現される。抗原受容体の中には、キメラ抗原受容体(CAR)などの機能性非TCR抗原受容体が含まれる。一般に、ペプチド-MHC複合体に対するTCR様特異性を示す抗体または抗原結合性断片を含有するCARは、TCR様CARとも呼ばれ得る。一部の実施形態では、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合性ドメインは、一部の態様ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に連結される。一部の実施形態では、そのような分子は、典型的には、TCRなどの天然の抗原受容体を通じたシグナル、および適宜、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を通じたシグナルを模倣または近似することができる。
【0504】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、キメラ受容体(例えば、CAR)は、抗原(またはリガンド)に結合する、例えば特異的に結合する、リガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的化される抗原の中には、養子細胞療法による標的にされる疾患、状態または細胞型に関連して発現されるものもある。疾患および状態の中には、血液がん、免疫系のがん、例えば、リンパ腫、白血病および/または骨髄腫、例えば、B、Tおよび骨髄性白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫を含む、がんおよび腫瘍を含む、増殖性、新生物性および悪性疾患および障害もある。
【0505】
一部の実施形態では、抗原(またはリガンド)は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、それは、炭水化物または他の分子である。一部の実施形態では、抗原(またはリガンド)は、正常なまたは標的化されていない細胞または組織と比較して、疾患または状態を有する細胞上に、例えば、腫瘍または病原性の細胞上に、選択的に発現または過剰発現される。他の実施形態では、抗原は、正常な細胞上に発現され、および/または操作された細胞上に発現される。
【0506】
一部の実施形態では、CARは、細胞の表面に発現される無傷抗原などの抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合性断片(例えば、scFv)を含有する。
【0507】
一部の実施形態では、抗原(またはリガンド)は、腫瘍抗原またはがんマーカーである。一部の実施形態では、抗原(またはリガンド)、抗原は、αvβ6インテグリン(αvb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、またCAIXもしくはG250としても公知)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、またNY-ESO-1およびLAGE-2としても公知)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体突然変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;またFc受容体ホモログ5もしくはFCRH5としても公知)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Ra)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児性抗原、黒色腫の優先的に発現される抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異的抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(5T4としても公知のTPBG)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的抗原、またはユニバーサルタグと会合した抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、受容体によって標的化された抗原としては、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば多数の公知のB細胞マーカーのいずれかが挙げられる。一部の実施形態では、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79bもしくはCD30であるか、またはこれらを含む。
【0508】
一部の実施形態では、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原であるか、またはこれを含む。一部の実施形態では、抗原は、ウイルス抗原(HIV、HCV、HBV等由来のウイルス抗原など)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。一部の実施形態では、CARは、MHC-ペプチド複合体として細胞表面に提示される、腫瘍関連抗原などの細胞内抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合性断片(例えば、scFv)などのTCR様抗体を含有する。一部の実施形態では、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として細胞で発現され得る。抗原受容体の中には、機能性非TCR抗原、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)もある。一般に、ペプチド-MHC複合体に対するTCR様特異性を示す抗体または抗原結合性断片を含有するCARは、TCR様CARとも呼ばれ得る。
【0509】
「主要組織適合複合体」(MHC)への言及は、一部の場合には、細胞機構によって処理されたペプチド抗原を含むポリペプチドのペプチド抗原と複合体形成できる多型結合部位または結合溝を含有するタンパク質、一般に、糖タンパク質を指す。一部の場合において、MHC分子は、T細胞上の抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様抗体によって認識可能なコンフォメーションでの抗原提示のために、例えばペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体などとして、細胞表面上に提示されてもよいし、または細胞表面上で発現されてもよい。一般的に、MHCクラスI分子は、膜貫通α鎖、一部の場合において3つのαドメインを有する膜貫通α鎖、および非共有結合で会合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。一般的に、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβで構成され、これらは両方、典型的には膜貫通型である。MHC分子は、抗原結合部位またはペプチド結合のための部位、および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含有するMHCの有効な部分を含んでいてもよい。一部の実施形態では、MHCクラスI分子は、サイトゾルに由来するペプチドを細胞表面に送達する、この場合、MHC-ペプチド複合体は、T細胞、例えば一般的にCD8+T細胞によって認識されるが、一部の場合、CD4+T細胞によって認識される。一部の実施形態では、MHCクラスII分子は、小胞系に由来するペプチドを細胞表面に送達し、この場合、これらは、典型的には、CD4+T細胞によって認識される。一般的に、MHC分子は、連鎖した遺伝子座の群によってコードされており、これは集合的に、マウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれる。したがって、典型的には、ヒトMHCはまた、ヒト白血球抗原(HLA)と称される場合もある。
【0510】
用語「MHC-ペプチド複合体」または「ペプチド-MHC複合体」またはそれらの派生語は、ペプチド抗原およびMHC分子の複合体または会合を指し、これは例えば、一般的に、MHC分子の結合溝またはクレフトにおけるペプチドの非共有結合の相互作用による会合である。一部の実施形態では、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するかまたは提示される。一部の実施形態では、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えばTCR、TCR様CARまたはそれらの抗原結合部位によって特異的に認識され得る。
【0511】
一部の実施形態では、ポリペプチドのペプチド、例えばペプチド抗原またはエピトープは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。一般的に、ペプチドは、それより長い生体分子、例えばポリペプチドまたはタンパク質の断片から誘導されるかまたはそれに基づく。一部の実施形態では、ペプチドは、典型的には、約8~約24アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、ペプチドは、MHCクラスII複合体における認識のために、9~22アミノ酸または約9~約22アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチドは、MHCクラスI複合体における認識のために、8~13アミノ酸または約8~約13アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、MHC分子、例えばMHC-ペプチド複合体の状態でのペプチドの認識のとき、抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARは、T細胞応答、例えばT細胞増殖、サイトカイン生産、細胞傷害性T細胞応答または他の応答を誘導するT細胞への活性化シグナルを生産するかまたはそのきっかけとなる。
【0512】
一部の実施形態では、TCR様抗体または抗原結合部分は公知であるか、または公知の方法によって作製することができる(例えば、米国公開出願番号US 2002/0150914;US 2003/0223994;US 2004/0191260;US 2006/0034850;US 2007/00992530;US20090226474;US20090304679;および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照)。
【0513】
一部の実施形態では、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原で宿主をヒト化して作製されてもよい。一部の例では、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合することができる抗原、例えば腫瘍抗原、例えば、ユニバーサル腫瘍抗原、免疫原抗原または以下に記載の他の抗原のエピトープである。一部の実施形態では、有効量の免疫原が次いで、免疫応答を惹起するために宿主に投与され、この場合、免疫原は、MHC分子の結合溝におけるペプチドの3次元提示に対して免疫応答を惹起するのに十分な期間にわたりその3次元形態を保持する。次いで宿主から収集された血清をアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの3次元提示を認識する望ましい抗体が生産されているかどうかを決定する。一部の実施形態では、抗体が、MHC分子単独、目的のペプチド単独、およびMHCと無関係のペプチドとの複合体からMHC-ペプチド複合体を区別できることを確認するために、生産された抗体を評価することができる。次いで望ましい抗体を単離することができる。
【0514】
一部の実施形態では、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部位は、抗体ライブラリーディスプレイ方法、例えばファージ抗体ライブラリーを採用することによって生産することができる。一部の実施形態では、突然変異体Fab、scFvまたは他の抗体形態のファージディスプレイライブラリーが生成されてもよく、例えば、ライブラリーのメンバーは、CDRまたはCDRsの1つまたは複数の残基で変異される。例えば、米国特許出願公開番号US20020150914、US2014/0294841;およびCohen CJ. Et al. (2003) J Mal. Recogn. 16:324-332を参照のこと。
【0515】
本明細書において用語「抗体」は最も広い意味で使用され、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含み、これらは無傷抗体および機能性(抗原結合性)抗体断片を含み、該断片には、抗原結合性(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合可能である重鎖可変(VH)領域、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片が含まれる。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作された、および/またはそれ以外の方法で改変された形態、例えばイントラボディ(intrabodies)、ペプチボディ(peptibodies)、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性を有する、例えば二重特異性の抗体、ダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、およびテトラボディ(tetrabodies)、タンデムジscFv、タンデムトリscFvを包含する。用語「抗体」は、別段の指定がない限り、それらの機能的な抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、あらゆるクラスまたはサブクラスの抗体を含む無傷または全長抗体、例えば、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDなども包含する。
【0516】
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質、抗体およびその抗原結合性断片は、全長抗体の抗原を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗体の重鎖および軽鎖は、全長であることがあり、または抗原結合部分[Fab、F(ab’)2、Fvもしくは一本鎖Fv断片(scFv)]であることがある。他の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択され、さらに特に、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である。別の実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダから選択され、特にカッパである。
【0517】
提供される抗体の中には抗体断片もある。「抗体断片」は、無傷抗体が結合する抗原に結合する無傷抗体の一部分を含む、無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;可変重鎖(VH)領域、一本鎖抗体分子、例えば、scFvおよび単一ドメインVH単一抗体;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片、例えば、scFvである。
【0518】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般的に、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照)。単一VHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使用して相補的なVLまたはVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングすることによって、単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0519】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、CARは、抗原、例えば、がんマーカー、または腫瘍細胞もしくはがん細胞などの標的化される疾患の細胞の細胞表面抗原、例えば、本明細書に記載されるまたは公知の標的抗原のいずれか、に特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0520】
抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解による消化および組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限定されない様々な技法によって作製することができる。一部の実施形態では、抗体は、組換え生産された断片、例えば、天然に存在しない配置を含む断片、例えば、合成リンカー、例えばペプチドリンカー、によって接合されている2つもしくはそれより多くの抗体領域もしくは鎖を有するもの、および/または天然に存在する無傷抗体の酵素消化によって生産され得ないものである。一部の実施形態では、抗体断片は、scFvである。
【0521】
「ヒト化」抗体は、全てまたは実質的に全てのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、全てまたは実質的に全てのFRアミノ酸残基が非ヒトFRに由来する、抗体である。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、通常、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化を受けている非ヒト抗体の変異体を指す。一部の実施形態では、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復させるまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基と置換される
【0522】
したがって、一部の実施形態では、TCR様CARをはじめとするキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvを含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分と、細胞内シグナル伝達領域とを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導可能であるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。
【0523】
一部の実施形態では、CARの細胞外部分、例えば、その抗体部分は、スペーサー、例えば、抗原認識構成要素、例えばScFv、と膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域を、さらに含む。スペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはその変異型もしくは改変バージョンの少なくとも一部分、例えば、ヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域または位置は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1のものである。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識構成要素、例えば、scFvと膜貫通ドメインの間でスペーサー領域として働く。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1に記載された配列を有し、配列番号2に記載された配列によってコードされる。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載された配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載された配列を有する。
【0524】
一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDの定常領域または部分である。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号5に記載された配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1、3、4および5のいずれかに対して少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0525】
一部の実施形態では、スペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはその変異型もしくは改変バージョンの少なくとも一部分、例えば、ヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgG4またはIgG1などの、ヒトIgGの定常領域または部分である。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識構成要素、例えばscFv、と膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として働く。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後に細胞の応答性増大をもたらす長さのスペーサーであり得る。一部の例では、スペーサーは、長さ12もしくは約12アミノ酸であるか、または長さ12アミノ酸以下である。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有する、およびこれらの列挙された範囲のいずれかの終点間の任意の整数を含む、スペーサーが挙げられる。一部の実施形態では、スペーサー領域は、約12アミノ酸もしくはそれ未満、約119アミノ酸もしくはそれ未満、または約229アミノ酸もしくはそれ未満を有する。例示的なスペーサーとしては、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが挙げられる。例示的なスペーサーとしては、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153または国際特許出願公開番号WO2014/031687に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1に記載された配列を有し、配列番号2に記載された配列によってコードされる。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載された配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載された配列を有する。
【0526】
一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDの定常領域または部分である。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号5に記載された配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1、3、4および5のいずれかに対して少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0527】
細胞外リガンド結合、例えば、抗原認識ドメインは、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素、例えば、CARの場合にはTCR複合体などの抗原受容体複合体を通じての活性化を模倣する、および/または別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達する、シグナル伝達構成要素に、連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞外リガンド結合ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する。一部の実施形態では、抗原結合構成要素(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通および細胞内シグナル伝達領域に結合される。一部の実施形態では、CARは、細胞外ドメインと融合した膜貫通ドメインを含む。一実施形態では、受容体、例えば、CAR中のドメインの1つと天然に関連する膜貫通ドメインが使用される。一部の場合には、膜貫通ドメインは、同一または異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのこのようなドメインの結合を避けて、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するためにアミノ酸置換によって選択または改変される。
【0528】
膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、天然供給源に、または合成供給源に由来する。供給源が天然である場合には、ドメインは、一部の態様では、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、またはCD154に由来するものを含む(例えば、少なくともこれらの膜貫通領域を含む)。あるいは、一部の実施形態における膜貫通ドメインは合成である。一部の態様では、合成膜貫通ドメインは、主に疎水性の残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の態様では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。一部の実施形態では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
【0529】
一部の実施形態では、短いオリゴリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2から10個のアミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含有するもの、例えば、グリシン-セリンダブレットが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインの間の連結を形成する。
【0530】
組換え受容体、例えば、CARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達構成要素(単数または複数)を含む。一部の実施形態では、受容体は、TCR複合体の細胞内構成要素、例えば、T細胞活性化および細胞毒性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖を含む。したがって、一部の態様では、抗原結合部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部をさらに含む。例えば、一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25またはCD16の間のキメラ分子を含む。
【0531】
CARまたは他のキメラ受容体のライゲーション時に、受容体の細胞質ドメインおよび/もしくは領域または細胞内シグナル伝達ドメインおよび/もしくは領域は、CARを発現するように操作された免疫細胞、例えばT細胞、の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、一部の文脈では、CARは、T細胞の機能、例えば、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えば、サイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。一部の実施形態では、無傷の免疫賦活性鎖の代わりに、抗原受容体構成要素または共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの末端切断型部分が、例えば、それがエフェクター機能シグナルを伝達する場合には使用される。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域、例えば、細胞内ドメイン(単数または複数)を含む細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の態様では、天然の状況で抗原受容体会合後にそのような受容体と協調作用してシグナル伝達を開始する共受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子のいずれかの誘導体もしくは変異体、および/または同じ機能を有するいずれかの合成配列も含む。
【0532】
天然TCRの文脈において、完全活性化は、一般に、TCRを介したシグナル伝達だけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、一部の実施形態では、完全活性化を促進するために、二次または共刺激シグナルを生成するための構成要素もCAR中に含まれる。他の実施形態では、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成要素を含まない。一部の態様では、さらなるCARは、同一細胞において発現され、二次または共刺激シグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0533】
T細胞活性化は、一部の態様では、次の2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されると記載される:TCRを通じて抗原依存的一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に作用して二次または共刺激シグナルをもたらすもの(二次細胞質シグナル伝達配列)。一部の態様では、CARは、そのようなシグナル伝達構成要素の一方または両方を含む。
【0534】
一部の態様では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激的方法で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有し得る。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例としては、TCRまたはCD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD8、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものが挙げられる。ある特定の実施形態では、一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMは、TCRまたはCD3ゼータ、FcRガンマ、もしくはFcRベータに由来するものを含む。一部の実施形態では、CARにおける細胞質シグナル伝達分子(複数可)は、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、またはCD3ゼータに由来する配列を含有する。
【0535】
一部の実施形態では、CARは、CD28、4-1BB、OX40、CD27、DAP10およびICOSなどの、共刺激受容体のシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の態様では、同じCARが、活性化またはシグナル伝達領域と共刺激構成要素の両方を含む。
【0536】
一部の実施形態では、活性化ドメインは1つのCARの中に含まれるのに対し、共刺激成分は別の抗原を認識する別のCARによって提供される。一部の実施形態では、CARは、両方とも同じ細胞で発現される活性化CARまたは刺激CAR、および共刺激CARを含む(WO2014/055668を参照)。一部の態様では、CARは、刺激または活性化CARであり、他の態様では、それは、共刺激CARである。一部の実施形態では、抑制性CAR[iCAR、参照:Fedorov et al., Sci. Transl.Medicine, 5(215) (December, 2013)]、例えば、異なる抗原を認識するCARをさらに含み、それにより、抑制性CARがそのリガンドに結合することによって、第1の抗原を認識するCARを通じてデリバリーされる活性化シグナルが減少または抑制されて、例えば、オフターゲット効果が低減される。
【0537】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137共刺激ドメインを含む。
【0538】
一部の実施形態では、CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインと同じである。一部の実施形態では、CD8+細胞傷害性T細胞の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD4+ヘルパーT細胞の細胞内シグナル伝達ドメインとは異なる。
【0539】
一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数の、例えば2つ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを細胞質部分に包含する。例示的なCARには、CD3ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内成分が挙げられる。
【0540】
一部の実施形態では、提供されるウイルスベクター内の核酸(複数可)によってコードされる組換え受容体(複数可)、例えば、CARは、1つまたは複数のマーカーを、例えば、受容体を発現する細胞の形質導入もしくは操作、ならびに/またはポリヌクレオチドによってコードされる分子(複数可)を発現する細胞の選択および/もしくは標的化を目的として、さらに含む。一部の態様では、そのようなマーカーは、異なる核酸またはポリヌクレオチドによってコードされ得、該核酸またはポリヌクレオチドもまた、遺伝子操作プロセス中に、典型的には、同じ方法、例えば、本明細書で提供される方法のいずれかによる形質導入によって、例えば、同じベクターまたは同じタイプのベクターによって導入され得る。
【0541】
一部の態様では、マーカー、例えば、形質導入マーカーは、タンパク質であり、および/または細胞表面分子である。例示的なマーカーは、天然に存在する細胞表面分子などの、天然に存在する、例えば内因性の、マーカーの切断型変異体である。一部の態様では、変異体は、天然または内因性細胞表面分子と比較して免疫原性の低下、輸送機能の低下、および/またはシグナル伝達機能の低下を有する。一部の実施形態では、マーカーは、細胞表面受容体の切断バージョン、例えば、切断型EGFR(tEGFR)である。一部の態様では、マーカーは、CD34の全体もしくは部分(例えば、切断型)、NGFRの全体もしくは部分(例えば、切断型)、または上皮成長因子受容体の全体もしくは部分(例えば、切断型)(例えば、tEGFR)を含む。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、切断可能なリンカー配列、例えば、T2A、P2A、E2Aおよび/またはF2Aなどの、リンカー配列をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。例えば、WO2014/031687を参照されたい。
【0542】
一部の実施形態では、マーカーは、T細胞で天然に見出されない、またはT細胞の表面で天然に見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその部分である。
【0543】
一部の実施形態では、分子は、非自己分子、例えば非自己タンパク質、例えば細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されない分子である。
【0544】
一部の実施形態では、マーカーは、治療機能を提供せず、かつ/または遺伝子操作についてのマーカーとして使用されること、例えば操作に成功した細胞を選択するため以外の効果を生産しない。他の実施形態では、マーカーは、治療用分子または別の方法で一部の所望の効果を発揮する分子、例えばインビボにおいて遭遇される細胞のリガンド、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇に際して細胞の応答を向上および/または減弱する共刺激分子または免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0545】
一部の例では、CARは、第1、第2、および/または第3世代CARと呼ばれる。一部の態様では、第1世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘導シグナルだけをもたらすものであり;一部の態様では、第2世代CARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルをもたらすもの、例えば、CD28またはCD137などの共刺激受容体からの細胞内シグナル伝達ドメインを含むものであり;一部の態様では、第3世代CARは、一部の態様では、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0546】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外リガンド結合部分、例えば、抗原結合部分、例えば、抗体またはその抗原結合性断片と、細胞内ドメインとを含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する、および/またはこれらのドメイン間に配置された、膜貫通ドメインを含む。
【0547】
一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、直接または間接的に連結され得る。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、スペーサー、例えば、本明細書に記載されるいずれかによって連結される。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、例えば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインの間に、含有する。一部の態様では、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0548】
一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片、CD28の膜貫通部分である膜貫通ドメインもしくはCD28の膜貫通部分を含有する膜貫通ドメインまたはその機能性変異体、およびCD28のシグナル伝達部分を含有する細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体、およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変異体を含有する。一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片、CD28の膜貫通部分である膜貫通ドメインもしくはCD28の膜貫通部分を含有する膜貫通ドメインまたはその機能性変異体、および4-1BBのシグナル伝達部分を含有する細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体、およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変異体を含有する。一部のそのような実施形態では、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0549】
一部の実施形態では、受容体、例えばCAR、の膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインもしくはその変異体、例えば、ヒトCD28(アクセッション番号P10747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインであるか、あるいは配列番号8に記載されたアミノ酸の配列、または配列番号8に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む、膜貫通ドメインであり、一部の実施形態では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、配列番号9に記載されたアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれより高い配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0550】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。一部の態様では、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0551】
一部の実施形態では、細胞内ドメインは、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体もしくは部分、例えば、その41アミノ酸ドメイン、および/または天然のCD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域および/またはドメインは、配列番号10もしくは11に記載されたアミノ酸の配列、または配列番号10もしくは11に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を含み得る。一部の実施形態では、細胞内領域および/またはドメインは、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体、例えば、ヒト4-1BB(例えば、アクセッション番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメイン、またはその機能性変異体もしくは部分、例えば、配列番号12に記載されたアミノ酸の配列、または配列番号12に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0552】
一部の実施形態では、細胞内領域および/またはドメインは、ヒトCD3鎖、適宜、CD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインもしくはその機能性変異体、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号P20963.2)の112 AA細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているようなCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、配列番号13、14もしくは15に記載されたアミノ酸の配列、または配列番号13、14もしくは15に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0553】
一部の態様では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えば、IgG4またはIgG1のヒンジ領域のみ、例えば、配列番号1に記載されたヒンジのみのスペーサーを含有する。他の実施形態では、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載されたような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載されたような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または公知のフレキシブルリンカーなどの他のフレキシブルリンカーであるか、またはこれを含む。
【0554】
例えば、一部の実施形態では、CARは、細胞外リガンド結合部分、例えば、抗原、例えば本明細書に記載される抗原、に特異的に結合する抗原結合部分、例えば、sdAbおよびscFvを含む、抗体またはその断片と;スペーサー、例えば、Ig-ヒンジ含有スペーサーのいずれかと;CD28の一部分である膜貫通ドメインまたはその変異体と;CD28のシグナル伝達部分を含有する細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体と;CD3ゼータシグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体のシグナル伝達部分とを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外リガンド結合部分、例えば、抗原、例えば本明細書に記載される抗原、に特異的に結合する抗原結合部分、例えば、sdAbおよびscFvを含む、抗体またはその断片と;スペーサー、例えば、Ig-ヒンジ含有スペーサーのいずれかと;CD28の一部分である膜貫通ドメインまたはその変異体と;4-1BBのシグナル伝達部分を含有する細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体と;CD3ゼータシグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体のシグナル伝達部分とを含む。一部の実施形態では、そのようなCARコンストラクトは、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列を、例えばCARの下流に、さらに含む。
【0555】
ii.T細胞受容体(TCR)
一部の実施形態では、核酸(複数可)によってコードされる組換え分子(複数可)は、組換えT細胞受容体(TCR)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、組換えTCRは、抗原、一般に、標的細胞上に存在する抗原、例えば、腫瘍特異的抗原、自己免疫もしくは炎症性疾患に関連する特定の細胞型上に発現される抗原、またはウイルス性病原体もしくは細菌性病原体に由来する抗原に対して特異的である。一部の実施形態では、標的ポリペプチド、例えば、腫瘍タンパク質、ウイルスタンパク質または自己免疫タンパク質の抗原のペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するTCRまたはその抗原結合部分を発現する、T細胞などの操作された細胞が提供される。
【0556】
一部の実施形態では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変αおよびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γおよびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはそれらの抗原結合部分を含有し、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。一部の実施形態では、TCRはαβ型である。典型的には、αβ型およびγδ型で存在するTCRはおおむね構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は異なる解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面でまたは可溶型で見出され得る。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面で見出され、一般に、そこで主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与している。
【0557】
特に明記しない限り、用語「TCR」は、完全なTCRおよびその抗原結合部分または抗原結合性断片を包含すると理解されるべきである。一部の実施形態では、TCRは、αβ型またはγδ型のTCRを含むインタクトなまたは完全長のTCRである。一部の実施形態では、TCRは、完全長TCRに満たないが、MHC分子中の結合した特定のペプチドに結合する、例えばMHC-ペプチド複合体に結合する、抗原結合部分である。一部の例では、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長またはインタクトなTCRの構造ドメインの一部のみを含有し得るが、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに依然として結合することができる。一部の例では、抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えば、TCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHCおよび/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
【0558】
一部の実施形態では、TCRの可変ドメインは、一般に抗原認識および結合能および特異性に対する主要な寄与因子である、超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含有する。一部の実施形態では、TCRのCDRまたはその組合せは、所与のTCR分子の抗原結合部位の全てまたは実質的に全てを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは、一般にフレームワーク領域(FR)によって隔てられ、CDRと比較してFRは、TCR分子間でより少ない可変性を一般に示す(例えば、Jares et al., Proc. Nat’ l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990;Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照;また、Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照のこと)。一部の実施形態では、CDR3は、抗原結合もしくは特異性に関与する主なCDRであるか、または抗原認識、および/もしくはペプチド-MHC複合体の処理されたペプチド部分との相互作用にとって、所与のTCR可変領域の3つのCDRの中で最も重要である。一部の状況では、アルファ鎖のCDR1は、ある特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。一部の状況では、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。一部の状況では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用もしくは該部分の認識に最も強く寄与するかまたは関与する主要なCDRである。一部の実施形態では、β鎖の可変領域は、一般にスーパー抗原結合に関与し、抗原認識に関与しない、さらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含有することができる[Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426]。
【0559】
一部の実施形態では、TCRは、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短い細胞質テイルも含有することができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照)。一部の態様では、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質テイルを有することができる。一部の実施形態では、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するD3複合体のインバリアントタンパク質と会合する。
【0560】
一部の実施形態では、TCR鎖は1つまたは複数の定常ドメインを含有する。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、細胞膜に隣接する2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば、可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabat番号付けに基づくアミノ酸1~116 Kabat et al., “Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)および定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインまたはCα、典型的にはKabat番号付けに基づくα鎖の117~259位、またはβ鎖定常ドメインまたはCβ、典型的にはKabatに基づくβ鎖の117~295位)を含有する。例えば、一部の例では、2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は2つの膜近位定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含有し、可変ドメインは各々CDRを含有する。TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2つの鎖を連結する短い連結配列を含有してもよい。一部の実施形態では、TCRが定常ドメインに2つのジスルフィド結合を有するように、TCRはαおよびβ鎖の各々に追加のシステイン残基を有してもよい。
【0561】
一部の実施形態では、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは正に荷電される。一部の例では、TCR鎖は細胞質テイルを含有する。一部の例では、構造がTCRをCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合させる。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、細胞膜にタンパク質を固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。CDシグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3εおよびCD3ζ鎖)の細胞内テイルは、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMを含有する。
【0562】
一部の実施形態では、TCRは、2つの鎖αおよびβ(または適宜γおよびδ)のヘテロ二量体であってもよく、または一本鎖TCRコンストラクトであってもよい。一部の実施形態では、TCRは、ジスルフィド結合(複数可)などによって連結された2つの別々の鎖(αおよびβ鎖またはγおよびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。
【0563】
一部の実施形態では、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に利用可能なVα、β鎖の配列などの公知のTCR配列から生成することができる。細胞源からV鎖配列を含む完全長TCR配列を得る方法は周知である。一部の実施形態では、TCRをコードする核酸は、所与の細胞内のもしくは所与の細胞から単離されたTCRコード核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または市販のTCR DNA配列の合成などによって様々な供給源から得ることができる。
【0564】
一部の実施形態では、TCRは、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマなどの細胞などの生物学的供給源、または他の市販の供給源から得られる。一部の実施形態では、T細胞はインビボで単離された細胞から得ることができる。一部の実施形態では、TCRは胸腺で選択されたTCRである。一部の実施形態では、TCRはネオエピトープ拘束性TCRである。一部の実施形態では、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであってもよい。一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合部分もしくは抗原結合性断片は、TCRの配列の知識から合成で生成されてもよい。
【0565】
一部の実施形態では、TCRは、標的ポリペプチド抗原、またはその標的T細胞エピトープに対する候補TCRのライブラリーのスクリーニングから同定または選択されたTCRから生成される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓または他のリンパ器官に存在する細胞を含む対象から単離されたT細胞由来のVαおよびVβのレパートリーの増幅によって生成することができる。一部の例では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅され得る。一部の実施形態では、TCRライブラリーがCD4+またはCD8+ 細胞から生成され得る。一部の実施形態では、TCRは健康な対象の正常なT細胞源から増幅され得る(例えば、正常なTCRライブラリー)。一部の実施形態では、TCRは疾患を有する対象のT細胞源から増幅され得る(例えば、疾患TCRライブラリー)。一部の実施形態では、ヒトから得られたT細胞などの試料でのRT-PCRなどによってVαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するのに縮重プライマーが使用されてもよい。一部の実施形態では、増幅産物がリンカーによって隔てられるようにクローニングされるかまたは組み立てられるナイーブVαおよびVβライブラリーから、scTvライブラリーが組み立てられてもよい。対象および細胞供給源に応じて、ライブラリーはHLA対立遺伝子特異的であり得る。あるいは、一部の実施形態では、TCRライブラリーは、親または足場TCR分子の変異誘発または多様化によって生成することができる。一部の態様では、TCRは、例えばαまたはVβ鎖の変異誘発などによって定向進化に供される。一部の態様では、TCRのCDR内の特定の残基が変更される。一部の実施形態では、選択されたTCRが親和性成熟によって改変され得る。一部の実施形態では、ペプチドに対するCTL活性を評価するためにスクリーニングなどによって抗原特異的T細胞が選択され得る。一部の態様では、例えば抗原特異的T細胞に存在するTCRが、結合活性、例えば、抗原に対する特定の親和性またはアビディティーなどによって選択され得る。
【0566】
一部の実施形態では、遺伝子操作された抗原受容体は、組換えT細胞受容体(TCR)、および/または天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRを含む。一部の実施形態では、TCRは、天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRである。一部の実施形態では、標的抗原(例えば、がん抗原)に対する高親和性T細胞クローンが同定され、患者から単離され、細胞に導入される。一部の実施形態では、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、またはHLA)を用いて操作されたトランスジェニックマウスにおいて生成された。例えば、腫瘍抗原を参照されたい[例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい]。一部の実施形態では、ファージディスプレイが、標的抗原に対するTCRを単離するために使用される[例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい]。一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合部分は、改変または操作されたものである。一部の実施形態では、特異的MHC-ペプチド複合体に対する親和性がより高いなど、特性が変更されたTCRを生成するのに定向進化方法が使用される。一部の実施形態では、定向進化は、酵母ディスプレイ[Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62; Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92]、ファージディスプレイ[Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54]、またはT細胞ディスプレイ[Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84]を含むがこれらに限定されないディスプレイ方法によって達成される。一部の実施形態では、ディスプレイアプローチは、既知の親または参照TCRの操作または改変を必要とする。例えば、一部の例では、CDRの1つまたは複数の残基が変異され、所望の変更された特性、例えば、所望の標的抗原に対するより高い親和性を有する変異体が選択される変異誘発TCRを作製するための鋳型として、野生型TCRが使用され得る。
【0567】
一部の実施形態では、目的のTCRの生産または生成における使用のための標的ポリペプチドのペプチドは、当業者に既知であるか、または当業者によって容易に同定され得る。一部の実施形態では、TCRまたは抗原結合部分の生成における使用に適したペプチドは、以下に記載される標的ポリペプチドなどの目的の標的ポリペプチド中のHLA拘束性モチーフの存在に基づき決定することができる。一部の実施形態では、ペプチドは、利用可能なコンピューター予測モデルを使用して同定される。一部の実施形態では、MHCクラスI結合部位の予測に関するそのようなモデルには、ProPred1[Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12): 1236- 1237]、およびSYFPEITHI[Schuler et al. (2007) 226 Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照]が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、MHC拘束性エピトープは、全白人の約39~46%で発現され、それ故に、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子の調製において使用するためのMHC抗原の適切な選択となるHLA-A0201である。
【0568】
コンピューター予測モデルを使用したHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームの切断部位は公知である。MHCクラスI 結合部位の予測に関するそのようなモデルには、ProPred1[Singh and Raghava, ProPred: prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17(12): 1236-1237 2001により詳細に記載されている]、およびSYFPEITHI[Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. In Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照]挙げられるが、これらに限定されない。
【0569】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の特性が変更されている組換えにより作製された天然のタンパク質またはその変異型であってもよい。一部の実施形態では、TCRは様々な動物種、例えば、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物の1つに由来してもよい。TCRは細胞結合型または可溶型であってもよい。一部の実施形態では、提供される方法の目的のために、TCRは細胞の表面で発現される細胞結合型である。
【0570】
一部の実施形態では、TCRは完全長TCRである。一部の実施形態では、TCRは抗原結合部分である。一部の実施形態では、TCRは二量体TCR(dTCR)である。一部の実施形態では、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。一部の実施形態では、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載の構造を有する。
【0571】
一部の実施形態では、TCRは膜貫通配列に対応する配列を含有する。一部の実施形態では、TCRは細胞質配列に対応する配列を含有する。一部の実施形態では、TCRはCD3とTCR複合体を形成することができる。一部の実施形態では、dTCRまたはscTCRを含むTCRのいずれかが、T細胞の表面で活性TCRを生成するシグナル伝達ドメインに連結されてもよい。一部の実施形態では、TCRは細胞の表面で発現される。
【0572】
一部の実施形態ではdTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合される第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合される第2のポリペプチドを含有し、第1および第2のポリペプチドはジスルフィド結合によって連結される。一部の実施形態では、結合は、天然の二量体αβTCRに存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。一部の実施形態では、鎖間ジスルフィド結合は天然のTCRに存在しない。例えば、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインがdTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込まれてもよい。一部の例では、天然および非天然ジスルフィド結合の両方が望ましい場合がある。一部の実施形態では、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含有する。
【0573】
一部の実施形態では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含有し、第1および第2の二量体化モチーフは容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸の間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を連結する。
【0574】
一部の実施形態では、TCRはscTCRである。典型的には、scTCRは、公知の方法を使用して生成することができ、例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992);Wuelfing, C. and Plueckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994);Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993);国際公開PCT第WO96/13593号、WO96/18105号、WO99/60120号、WO99/18129号、WO03/020763号、WO2011/044186号;およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照のこと。一部の実施形態では、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするための導入された非天然ジスルフィド鎖間結合を含有する(例えば、国際公開PCT第WO03/020763を参照)。一部の実施形態では、scTCRは、そのC末端に融合された異種ロイシンジッパーが鎖の会合を容易にする非ジスルフィド連結切断型TCRである(例えば、国際公開PCT第WO99/60120号を参照)。一部の実施形態では、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、国際公開PCT第WO99/18129号を参照)。
【0575】
一部の実施形態では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合した、TCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0576】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびに配列β鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに適宜、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0577】
一部の実施形態では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびに配列α鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに適宜、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0578】
一部の実施形態では、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCR結合特異性を保持しながら、単一ポリペプチド鎖を形成することができる任意のリンカーであってもよい。一部の実施形態では、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-(式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである)を有し得る。一部の実施形態では、第1および第2のセグメントは対合され、その結果、それらの可変領域配列はそのような結合のために配向される。それ故に、一部の例では、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端の間の距離に及ぶ十分な長さを有するか、またはその逆も同様であるが、標的リガンドへのscTCRの結合をブロックまたは低減するほど長くはない。一部の実施形態では、リンカーは、10~45個のアミノ酸または約10~約45個のアミノ酸、例えば10~30個のアミノ酸または26~41個のアミノ酸残基、例えば29、30、31または32個アミノ酸を含有することができる。一部の実施形態では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-(式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである)(配列番号22)を有する。一部の実施形態では、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKS(配列番号23)を有する。
【0579】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基を、β鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する共有ジスルフィド結合を含有する。一部の実施形態では、天然のTCRの鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインがscTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込まれ得る。一部の例では、天然および非天然ジスルフィド結合の両方が望ましい場合がある。
【0580】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRの一部の実施形態では、天然ジスルフィド結合は存在しない。一部の実施形態では、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する1つまたは複数の天然システインは、別の残基、例えばセリンまたはアラニンに置換される。一部の実施形態では、導入されたジスルフィド結合は、第1および第2のセグメントの非システイン残基をシステインに変異させることによって形成されてもよい。TCRの例示的な非天然ジスルフィド結合は、公開国際PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0581】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性断片は、標的抗原に対する平衡結合定常が、10-5~10-12Mまたは約10-5~約10-12Mおよびその中の全ての個々の値および範囲の親和性を示す。一部の実施形態では、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0582】
一部の実施形態では、αおよびβ鎖などのTCRをコードする核酸は、PCR、クローニングまたは他の適切な手段によって増幅され、適切な発現ベクターにクローニングされ得る。発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターであってもよく、任意の適切な宿主を形質転換またはトランスフェクトするのに使用することができる。適切なベクターには、増殖および拡大、もしくは発現または両方のために設計されたベクター、例えばプラスミドおよびウイルスが挙げられる。
【0583】
一部の実施形態では、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene、ラホヤ、カリフォルニア)、pETシリーズ(Novagen、マジソン、ウィスコンシン)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech、ウプサラ、スウェーデン)、またはpEXシリーズ(Clontech、パロアルト、カリフォルニア)のベクターであってもよい。一部の例では、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも使用することができる。一部の実施形態では、植物発現ベクターが使用されてもよく、これはpBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)を含む。一部の実施形態では、動物発現ベクターは、pEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)を含む。一部の実施形態では、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが使用される。
【0584】
一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA法を使用して調製され得る。一部の実施形態では、ベクターは、必要に応じて、およびベクターがDNAベースかまたはRNAベースかを考慮しながら、ベクターが導入される宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に固有の転写および翻訳の開始および終止コドンなどの調節配列を含有することができる。一部の実施形態では、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された非天然プロモーターを含有することができる。一部の実施形態では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長末端反復で見出されるプロモーターであってもよい。他の既知のプロモーターも企図される。
【0585】
一部の実施形態では、T細胞クローンが得られた後、TCRアルファおよびベータ鎖が単離され、遺伝子発現ベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、TCRアルファおよびベータ遺伝子は、ピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを介して連結され、その結果、両方の鎖が共発現される。一部の実施形態では、TCRをコードする核酸は、受容体を発現させるための細胞の形質導入または操作を確認するためにマーカーを含む。一部の実施形態では、TCRの遺伝子移入は、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクターベクターを介して、またはトランスポゾンを介して達成される[例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063;Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:1748-1757;およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい]。
【0586】
一部の実施形態では、TCRをコードするベクターを生成するために、目的のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAからαおよびβ鎖がPCR増幅され、発現ベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、αおよびβ鎖は同じベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、αおよびβ鎖は異なるベクタークローニングされる。一部の実施形態では、生成されたαおよびβ鎖は、レトロウイルス、例えばレンチウイルスのベクターに組み込まれる。
【0587】
iii.他の調節エレメント
本明細書で提供される方法および組成物の一部の実施形態では、組換えベクター、例えば、抗原受容体、例えばCAR、をコードするウイルスベクターゲノムに含有される核酸配列は、目的の配列の発現を特定の方法で調節するために、他の遺伝子エレメント、例えば、プロモーターまたはエンハンサーをはじめとする転写調節配列と、機能的な関係で作動可能に連結される。ある特定の例では、そのような転写調節配列は、活性に関して時間的におよび/または空間的に調節されるものである。構成要素の発現を調節するために使用することができる発現制御エレメントは公知であり、これらに限定されないが、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、エンハンサーおよび他の調節エレメントを含む。一部の実施形態では、ウイルスベクターゲノムに含有される核酸配列は、異なるコードされた構成要素、例えば、異なる受容体構成要素および/またはシグナル伝達構成要素、を制御する複数の発現制御エレメントを含有し、したがって、組換え受容体および/または操作された細胞、例えば、操作された受容体を発現する細胞、の発現、機能および/または活性を制御することができ、例えば、該発現、機能および/または活性は、誘導可能であり、抑制可能であり、調節可能であり、および/またはユーザーによって制御される。一部の実施形態では、1つまたは複数のベクターは、1つもしくは複数の発現制御エレメントおよび/または1つもしくは複数のコードされた構成要素を含有する、1つまたは複数の核酸配列を含有することができ、したがって、核酸配列は一緒に、コードされた構成要素、例えば組換え受容体、または操作された細胞、の発現、活性および/または機能を調節することができる。
【0588】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、抗原受容体、例えばCAR、をコードする核酸配列は、内部プロモーター/エンハンサー調節配列と作動可能に連結される。利用されるプロモーターは、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指令するために適切な条件下で構成的、組織特異的、誘導可能、および/または有用であり得る。プロモーターは、異種であることがあり、または内因性であることがある。一部の実施形態では、プロモーターおよび/またはエンハンサーは、合成によって生産される。一部の実施形態では、プロモーターおよび/またはエンハンサーは、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を使用して生産される。
【0589】
一部の場合には、組換え受容体をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。一部の態様では、シグナル配列は、天然ポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の態様では、シグナル配列は、異種または非天然シグナルペプチド、例えば、配列番号25に記載され、配列番号24に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる、GMCSFRアルファ鎖の例示的なポリペプチドをコードし得る。一部の場合には、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。シグナルペプチドの限定されない例としては、例えば、配列番号25に記載され、配列番号24に記載されたヌクレオチド配列によってコードされる、GMCSFRアルファ鎖シグナルペプチド;または配列番号26に記載されたCD8アルファシグナルペプチドが挙げられる。
【0590】
一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するように作動可能に連結されている少なくとも1つのプロモーターを含有する。一部の例では、ポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するように作動可能に連結された2つ、3つ、またはそれより多いプロモーターを含有する。
【0591】
核酸分子が、2つまたはそれより多くの異なるポリペプチド鎖、例えば、組換え受容体およびマーカーをコードする、ある特定の場合、ポリヌクレオチド鎖の各々が別々の核酸分子によってコードされ得る。例えば、2つの別々の核酸が提供され、各々が、細胞における発現のために細胞に個々に移入または導入され得る。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸、およびマーカーをコードする核酸は、同じプロモーターに作動可能に連結され、適宜、内部リボソーム侵入部位(IRES)によって隔てられるか、または適宜T2A、P2A、E2AまたはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって隔てられる。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸、および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸、および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる位置に存在するか、または挿入される。一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、培養細胞を含有する組成物に、例えば、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって、導入される。
【0592】
一部の実施形態、例えば、ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含有する実施形態では、異なるポリペプチド鎖の各々をコードするコード配列は、同じであってもまたは異なっていてもよいプロモーターに作動可能に連結され得る。一部の実施形態では、核酸分子は、2つまたはそれより多い異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモーターを含有することができる。一部の実施形態では、そのような核酸分子は、マルチシストロニック(バイシストロニックまたはトリシストロニック、例えば、米国特許第6,060,273号を参照)であり得る。一部の実施形態では、転写ユニットを、単一のプロモーターからのメッセージによる遺伝子産物(例えば、マーカーをコードする、または組換え受容体をコードする)の共発現を可能にするIRES(内部リボソーム侵入部位)を含有するバイシストロニックユニットとして操作することができる。あるいは、一部の例では、単一のプロモーターが、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)中に、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フューリン)をコードする配列によって互いに隔てられた2つまたは3つの遺伝子(例えば、マーカーをコードする、および組換え受容体をコードする)を含有するRNAの発現を指示してもよい。ORFは故に、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のどちらかに、個々のタンパク質にプロセシングされる単一ポリペプチドをコードする。一部の例では、T2Aなどのペプチドは、2AエレメントのC末端におけるペプチド結合の合成をリボソームにスキップさせ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と下流の次のペプチドの間に分離をもたらすことができる[例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい]。様々な2Aエレメントが公知である。本明細書で開示される方法およびシステムにおいて使用することができる2A配列の例としては、米国特許出願公開第20070116690号に記載の口蹄疫ウイルスからの2A配列(F2A、例えば配列番号21)、A型ウマ鼻炎ウイルスからの2A配列(E2A、例えば配列番号20)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルスからの2A配列(T2A、例えば、配列番号6または17)、およびブタテッショウウイルス-1からの2A配列(P2A、例えば、配列番号18または19)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0593】
本明細書に記載される組換え受容体のいずれかは、組換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸を任意の組合せまたは配置で含有するポリヌクレオチドによってコードされ得る。例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くのポリヌクレオチドは、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの異なるポリペプチド、例えば組換え受容体をコードし得る。一部の実施形態では、1つのベクターまたはコンストラクトは、マーカーをコードする核酸配列を含有し、別のベクターまたはコンストラクトは、組換え受容体、例えばCAR、をコードする核酸配列を含有する。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸、および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸は、マーカーをコードする核酸の下流に存在する。
【0594】
一部の実施形態では、ベクター骨格は、1つまたは複数のマーカーをコードする核酸配列を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のマーカーは、形質導入マーカー、サロゲートマーカーおよび/または選択マーカーである。
【0595】
一部の実施形態では、マーカーは、形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーである。形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーを使用して、ポリヌクレオチド、例えば、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞を検出することができる。一部の実施形態では、形質導入マーカーは、細胞の改変を示すことができるか、または確認することができる。一部の実施形態では、サロゲートマーカーは、細胞表面に組換え受容体、例えばCAR、と共発現されるように作製されるタンパク質である。特定の実施形態では、そのようなサロゲートマーカーは、活性をほとんどまたは全く有さないように改変された表面タンパク質である。ある特定の実施形態では、サロゲートマーカーは、組換え受容体をコードする同じポリヌクレオチドにコードされる。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸配列は、マーカーをコードする核酸配列に作動可能に連結され、適宜、内部リボソーム進入部位(IRES)よって隔てられるか、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド、例えばT2A、P2A、E2AもしくはF2A配列をコードする核酸によって隔てられる。外因性マーカー遺伝子は、一部の場合には、細胞の検出または選択を可能にするために、および一部の場合には細胞自殺を促進するためにも、操作された細胞に関連して利用され得る。
【0596】
例示的なサロゲートマーカーとしては、切断型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、切断型上皮成長因子受容体(EGFRt、配列番号7もしくは16に記載された例示的なtEGFR配列)、または前立腺特異的膜抗原(PSMA)もしくはその改変型を挙げることができる。EGFRtは、抗体セツキシマブ[Erbitux(登録商標)]または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含有し得、これらは、EGFRtコンストラクトおよび組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、を用いて操作された細胞を同定もしくは選択するために、ならびに/または受容体を発現する細胞を排除もしくは分離するために、使用され得る。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。一部の態様では、マーカー、例えば、サロゲートマーカーは、CD34の全体もしくは部分(例えば、切断型)、NGFRの全体もしくは部分(例えば、切断型)、または上皮成長因子受容体の全体もしくは部分(例えば、切断型)(例えば、tEGFR)を含む。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、切断可能なリンカー配列、例えばT2Aなどのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。例えば、マーカー、および適宜リンカー配列は、PCT公開番号WO2014031687に開示されているいずれかであってもよい。例えば、マーカーは、T2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に適宜連結されている、切断型EGFR(tEGFR)であり得る。切断型EGFR(例えば、tEGFR)の例示的なポリペプチドは、配列番号7もしくは16に記載されたアミノ酸の配列、または配列番号7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0597】
一部の実施形態では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォールドGFP、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えば、tdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにこれらの変異体であるか、またはそれらを含み、該変異体には、蛍光タンパク質の種変異体、単量体変異体、ならびにコドン最適化および/または増強変異体が含まれる。一部の実施形態では、マーカーは、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、大腸菌(E.coli)からのlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるか、またはこれらを含む。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらの変異体が挙げられる。
【0598】
一部の実施形態では、マーカーは、選択マーカーである。一部の実施形態では、選択マーカーは、外因性薬剤または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるか、またはこれを含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子、もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはこれらの改変型であるか、あるいはそれらを含む。
【0599】
導入のための追加の核酸、例えば遺伝子の中には、移入された細胞の生存能および/または機能の促進することなどによって治療の有効性を改善するためのもの;細胞の選択および/または評価のための、例えばインビボ生存または局在化を評価するための、遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;例えば、Lupton S. D. et al., Mol. And Cell Biol., 11:6 (1991)およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)によって記載されたようにインビボでネガティブ選択を受けやすくすること[優性選択マーカーとネガティブ選択マーカーの融合から得られる二機能性選択融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公報も参照されたい]によって、安全性を改善するための遺伝子もある。Riddellらの米国特許6,040,177号、第14~17欄を参照されたい。
【0600】
一部の実施形態では、プロモーターおよび/またはエンハンサーは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得ることができるような、核酸配列と自然に会合しているものであることがある。あるいは、一部の実施形態では、コード核酸配列セグメントは、自然環境でコード核酸配列と通常は会合していない、組換えおよび/または異種プロモーターおよび/またはエンハンサーの制御下に置かれていることがある。例えば、組換えDNA構築において使用される例示的なプロモーターとしては、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、トリプトファン(trp)、RNAポリメラーゼ(pol)IIIプロモーター(ヒトおよびマウスU6 pol IIIプロモーターならびにヒトおよびマウスH1 RNA pol IIIプロモーターを含む)、RNAポリメラーゼ(pol)IIプロモーター、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(pCMV)、伸長因子-1アルファ(EF-1α)、およびラウス肉腫ウイルス長末端反復(pRSV)プロモーター系が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、プロモーターは、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、得ることができる。プロモーターは、例えば、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーター、または天然配列と通常は会合しているプロモーターであってもよいが、そのようなプロモーターが標的細胞と適合性であることを条件とする。一実施形態では、プロモーターは、ウイルス発現系に天然に存在するウイルスプロモーターである。
【0601】
一部の実施形態では、プロモーターは、構成的に活性であり得る。使用することができる構成的プロモーターの限定されない例としては、ユビキチンのためのプロモーター(米国特許第5,510,474号;WO98/32869)、CMVのためのプロモーター(Thomsen et al., PNAS 81:659, 1984;米国特許第5,168,062号)、ベータ-アクチンのためのプロモーター(Gunning et al. 1989 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4831-4835)およびpgkのためのプロモーター(例えば、Adra et al. 1987 Gene 60:65-74;Singer-Sam et al. 1984 Gene 32:409-417;およびDobson et al. 1982 Nucleic Acids Res. 10:2635-2637)が挙げられる。
【0602】
一部の実施形態では、プロモーターは、組織特異的プロモーターおよび/または標的細胞特異的プロモーターであり得る。一部の実施形態では、プロモーターは、目的の配列の誘導性発現を可能にするように選択され得る。誘導性発現のためのいくつかの系が公知であり、それらには、テトラサイクリン応答系;lacオペレーター-リプレッサー系;ならびに熱ショック、金属イオン、例えばメタロチオネインプロモーター、インターフェロン、低酸素、ステロイド、例えばプロゲステロンまたはグルココルチコイドプロモーター、放射線、例えばVEGFプロモーターを含む、様々な環境または生理的変化に応答性のプロモーターが含まれる。一部の実施形態では、tetオペレーター配列(TECO)に対する大腸菌(Escherichia coli)のtet抑制(tetr)の抑制性作用に基づく、テトラサイクリン-(tet)-調節性の系を、哺乳動物系における使用のために改変することができ、発現カセットの調節性エレメントとして使用することができる。これらの系は、周知である。[Goshen and Badgered, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5547-51 (1992)、Shockett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6522-26 (1996)、Lindemann et al., Mol. Med. 3:466-76 (1997)を参照されたい]。
【0603】
プロモーターの組合せも、目的の遺伝子の所望の発現を達成するために使用することができる。当業者は、目的の生物または標的細胞における遺伝子の所望の発現パターンに基づいてプロモーターを選択することができるであろう。
【0604】
一部の実施形態では、エンハンサーも、目的の遺伝子の発現を増加させるためにウイルスコンストラクトに存在し得る。エンハンサーは典型的に、プロモーターに対してその転写を増加させるように作用する、通常は長さ約10~300byの、シス作用性核酸エレメントである。HIVまたはCMVなどのウイルスゲノムにおける多くのエンハンサーが公知である。例えば、CMVエンハンサー(Boshart et al. Cell, 41:521, 1985)を使用することができる。他の例としては、例えば、複製起点の後期側(bp100~270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマ-エンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。一部の場合には、エンハンサーは、哺乳動物遺伝子からのもの、例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェトプロテインまたはインスリンからのエンハンサーである。エンハンサーを異種プロモーターと組み合わせて使用することができる。エンハンサーをベクターにおける目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドの5’または3’側の位置にスプライシングすることができるが、エンハンサーは、一般に、プロモーターから5’側の部位に位置する。当業者は、所望の発現パターンに基づいて適切なエンハンサーを選択することができるであろう。
【0605】
ウイルスベクターゲノムは、追加の遺伝子エレメントも含有し得る。コンストラクトに含めることができるエレメントのタイプは、いかなる点においても限定されず、当業者によって選択され得る。
【0606】
例えば、標的細胞におけるウイルスゲノムの核侵入を容易にするシグナルを含めることができる。そのようなシグナルの一例は、HIV-1フラップシグナル(一部の場合にはフラップ配列と呼ばれる)である。加えて、ベクターゲノムは、目的の遺伝子の発現を増強するように設計された1つまたは複数の遺伝子エレメントを含有し得る。一部の実施形態では、ゲノムは、転写後調節エレメント(PRE)、または転写後活性を示すその改変型を含有する。例えば、一部の実施形態では、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後応答エレメント(WPRE)をコンストラクトの中に配置することができる(Zufferey et al. 1999. J. Virol. 74:3668-3681;Deglon et al. 2000. Hum. Gene Ther. 11:179-190)。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、フラップ配列を欠き、および/またはWPREを欠く。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、突然変異したまたは欠陥のあるフラップ配列および/またはWPREを含有する。
【0607】
一部の例では、別々の異種タンパク質をコードする1つより多くのオープンリーディングフレームを含めることができる。例えば、一部の実施形態では、レポーターおよび/または検出可能なおよび/または選択遺伝子を発現コンストラクトに含めた場合、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含めることができる。典型的には、追加の遺伝子エレメントは、独立したプロモーター/エンハンサーと作動可能に連結され、それらによって制御される。追加の遺伝子エレメントは、レポーター遺伝子、選択マーカーまたは他の所望の遺伝子であり得る。
【0608】
一部の実施形態では、他の多様な調節エレメントが転写開始領域および/または終結領域を含み得る。発現ベクターは、転写の終結のためのおよびmRNAの安定化のための配列も含有し得る。そのような配列は公知であり、多くの場合、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5’およびときには3’非翻訳領域において自然に見出される。転写終結領域の例としては、ポリアデニル化シグナル配列が挙げられるが、これに限定されない。ポリアデニル化シグナル配列の例としては、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリ(A)、SV40後期ポリ(A)、ウサギベータ-グロビン(RBG)ポリ(A)、チミジンキナーゼ(TK)ポリ(A)配列、およびこれらの任意の変異体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0609】
一部の実施形態では、調節エレメントは、組換え受容体、例えばCAR、の調節可能な発現および/または活性を可能にする調節エレメントおよび/または系を含み得る。一部の実施形態では、調節可能な発現および/または活性は、特定の調節エレメントおよび/または系を含有するようにまたはそれらによって制御されるように組換え受容体を構成することによって達成される。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の受容体を発現調節系において使用することができる。一部の実施形態では、発現調節系は、組換え受容体の発現および/または活性を調節することができる特定のリガンドへの曝露または該リガンドの結合を必要とする系を含み得る。一部の実施形態では、組換え受容体、例えばCAR、の調節された発現は、調節可能な転写因子放出系、例えば、改変されたノッチシグナル伝達系によって達成される[例えば、Roybal et al., Cell (2016) 164:770-779;Morsut et al., Cell (2016) 164:780-791を参照されたい]。一部の実施形態では、組換え受容体の活性の調節は、ポリペプチド、例えば組換え受容体、のコンフォメーション変化および/または多量体化を誘導することができる追加の薬剤の投与によって達成される。一部の実施形態では、追加の薬剤は、化学誘導物質である[例えば、米国特許出願公開第2016/0046700号、Clackson et al. (1998) Proc Natl Acad Sci U S A. 95(18):10437-42;Spencer et al. (1993) Science 262(5136):1019-24;Farrar et al. (1996) Nature 383 (6596):178-81;Miyamoto et al. (2012) Nature Chemical Biology 8(5): 465-70;Erhart et al. (2013) Chemistry and Biology 20(4): 549-57を参照されたい]。
【0610】
B.ウイルスベクター粒子の調製
ウイルスベクターゲノムは、典型的に、パッケージングまたはプロデューサー細胞株にトランスフェクトすることができるプラスミド形態で構築される。そのゲノムがウイルスベクターゲノムのRNAコピーを含有するレトロウイルス粒子を生成するために、様々な公知の方法のいずれも使用できる。一部の実施形態では、少なくとも2つの構成要素が、ウイルスベースの遺伝子デリバリーシステムの作製に関与する:第1に、構造タンパク質とウイルスベクター粒子を生成するのに必要な酵素とを包むパッケージングプラスミド、ならびに第2に、ウイルスベクター自体、例えば、移入すべき遺伝物質。バイオセイフティー保護は、これらの構成要素の一方または両方の設計に導入され得る。
【0611】
一部の実施形態では、パッケージングプラスミドは、全てのレトロウイルス、例えば、HIV-1、エンベロープタンパク質以外のタンパク質を含有し得る(Naldini et al., 1998)。他の実施形態では、ウイルスベクターは、追加のウイルス遺伝子、例えば病原性に関連するもの、例えば、vpr、vif、vpuおよびnef、ならびに/またはHIVの主要なトランス活性化因子であるTatを欠いていてもよい。一部の実施形態では、レンチウイルスベクター、例えば、HIVベースのレンチウイルスベクターは、組換えを介した野生型ウイルスの再構築の可能性を低減または排除する親ウイルスの3つの遺伝子のみ:gag、polおよびrevを含む。
【0612】
一部の実施形態では、ウイルスベクターゲノムは、ウイルスベクターゲノムから転写されたウイルスゲノムRNAをウイルス粒子にパッケージングするために必要な全ての構成要素を含有するパッケージング細胞株に導入される。あるいは、ウイルスベクターゲノムは、目的の1つまたは複数の配列、例えば組換え核酸に加えてウイルス成分をコードする1つまたは複数の遺伝子を含んでもよい。しかし、一部の態様では、標的細胞におけるゲノムの複製を防ぐために、複製に必要とされる内因性ウイルス遺伝子が除去され、パッケージング細胞株に別々に提供される。
【0613】
一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、粒子を生成するために必要な構成要素を含有する1つまたは複数のプラスミドベクターでトランスフェクトされる。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、LTRと、シス作用性パッケージング配列と、目的の配列、例えば、抗原受容体、例えばCAR、をコードする核酸とを含むウイルスベクターゲノムを含有するプラスミド;ならびにウイルスの酵素的および/または構造的構成要素、例えばGag、polおよび/またはrev、をコードする1つまたは複数のヘルパープラスミドで、トランスフェクトされる。一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子を生成する種々の遺伝子構成要素を分離するために複数のベクターが利用される。一部のこのような実施形態では、別個のベクターをパッケージング細胞に提供することによって、そうでなければ複製能力のあるウイルスを生成する可能性がある組換え事象の機会が低減される。一部の実施形態では、レトロウイルス構成要素の全てを有する単一プラスミドベクターが使用され得る。
【0614】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子、例えば、レンチウイルスベクター粒子は、宿主細胞の形質導入効率を増大するための偽型である。例えば、レトロウイルスベクター粒子、例えば、レンチウイルスベクター粒子は、一部の実施形態では、VSV-G糖タンパク質を有する偽型であり、これは、形質導入され得る細胞種に拡大する広い細胞宿主域を提供する。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、異種指向性、多指向性または両種指向性エンベロープ、例えば、Sindbisウイルスエンベロープ、GALVまたはVSV-Gを含むようになど、非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドまたはポリヌクレオチドでトランスフェクトされる。
【0615】
一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、レンチウイルスベクター粒子へのウイルスゲノムRNAのパッケージングにイントランスで(in trans)必要とされるウイルス調節および構造タンパク質を含む構成要素を提供する。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、レンチウイルスタンパク質を発現可能であり、機能的レンチウイルスベクター粒子を生成可能である任意の細胞株であり得る。一部の態様では、適したパッケージング細胞株として、293(ATCC CCL X)、293T、HeLA(ATCC CCL 2)、D17(ATCC CCL 183)、MDCK(ATCC CCL 34)、BHK(ATCC CCL-10)およびCf2Th(ATCC CRL 1430)細胞が挙げられる。
【0616】
一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、ウイルスタンパク質(複数可)を安定に発現する。例えば、一部の態様では、gag、pol、revおよび/または他の構造遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング構成要素を有さないパッケージング細胞株を構築できる。一部の実施形態では、パッケージング細胞株を、異種タンパク質をコードする核酸分子および/またはエンベロープ糖タンパク質をコードする核酸を含有するウイルスベクターゲノムと共に、1つまたは複数のウイルスタンパク質をコードする核酸分子を用いて一過性にトランスフェクトできる。
【0617】
一部の実施形態では、ウイルスベクターならびにパッケージングおよび/またはヘルパープラスミドは、パッケージング細胞株中にトランスフェクションまたは感染を介して導入される。パッケージング細胞株は、ウイルスベクターゲノムを含有するウイルスベクター粒子を産生する。トランスフェクションまたは感染の方法は周知である。限定されない例として、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランおよびリポフェクション法、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションが挙げられる。
【0618】
組換えプラスミドおよびレトロウイルスLTRおよびパッケージング配列が特別の細胞株中に導入される場合に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって、例えば)、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子中にパッケージングされることを可能にでき、次いで、培養培地中に分泌され得る。組換えレトロウイルスを含有する培地は、一部の実施形態では、次いで、収集され、適宜、濃縮され、遺伝子導入のために使用される。例えば、一部の態様では、パッケージング細胞株へのパッケージングプラスミドおよびトランスファーベクターの同時トランスフェクション後に、当業者によって使用される標準方法によってウイルスベクター粒子が培養培地から回収され、力価測定される。
【0619】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターは、レンチウイルス粒子の生成を可能にするプラスミドの導入によって、パッケージング細胞株、例えば、例示的なHEK 293T細胞株において生産され得る。一部の実施形態では、パッケージング細胞は、トランスフェクトされ、ならびに/またはgagおよびpolをコードするポリヌクレオチドおよび組換え受容体、例えば、抗原受容体、例えば、CARをコードするポリヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、適宜および/もしくはさらにトランスフェクトされる、ならびに/またはrevタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する。一部の実施形態では、パッケージング細胞株は、適宜および/もしくはさらにトランスフェクトされる、ならびに/または非天然エンベロープ糖タンパク質、例えば、VSV-Gをコードするポリヌクレオチドを含有する。一部のこのような実施形態では、細胞、例えば、HEK 293T細胞のトランスフェクションのおよそ2日後、細胞上清は、組換えレンチウイルスベクターを含有し、これは回収され、力価測定され得る。
【0620】
回収され、および/または生成されたレトロウイルスベクター粒子を使用して、記載されたような方法を使用して標的細胞に形質導入できる。ひとたび、標的細胞においてウイルスRNAが逆転写されると、核中に移入され、宿主ゲノム中に安定に統合される。ウイルスRNAの統合の1日後または2日後に、組換えタンパク質、例えば、抗原受容体、例えばCAR、の発現が検出され得る。
【0621】
V.組成物、製剤、および投与方法
医薬組成物および医薬品製剤を含む、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)などの操作された受容体(例えば、操作された抗原受容体)を発現する細胞の形質導された集団を含有する組成物、および操作された細胞を含有する組成物も、提供される。組成物の、例えば、抗原が発現される疾患、状態および障害の処置における、または検出、診断および予後予測方法における、使用方法および使用も、提供される。
【0622】
生細胞について濃縮された細胞の形質導入された集団であり得る、生細胞について濃縮された細胞の集団を含有する組成物も、提供される。脱ビーズ化された細胞の形質導入された集団であり得る、脱ビーズ化された細胞の集団を含有する組成物も、提供される。一部の実施形態では、細胞の形質導入された集団は、抗原受容体(例えば、操作された抗原受容体)、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する。一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物および医薬品製剤を含む。組成物の、例えば、抗原が発現される疾患、状態および障害の処置における、または検出、診断および予後予測方法における、使用方法および使用も、提供される。
【0623】
A.組成物および製剤
一部の実施形態では、組換え抗原受容体、例えばCARまたはTCR、を用いて操作された細胞を含む細胞の用量は、医薬組成物または医薬品製剤などの組成物または製剤として提供される。そのような組成物を、提供される方法に従って、および/または提供される製造品もしくは組成物と共に、例えば、疾患、状態および障害の予防または処置において、ならびに検出、診断および予後予測方法において、使用することができる。
【0624】
用語「医薬品製剤」とは、その中に含有される有効成分の生物活性を有効にさせるような形態である調製物であって、製剤が投与される対象にとって容認しがたいほど毒性である追加の構成要素を含有しない調製物を指す。
【0625】
「薬学的に許容される担体」とは、活性成分以外の医薬品製剤中の構成要素であって、対象にとって非毒性である構成要素を指す。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存料を含むが、これらに限定されない。
【0626】
一部の態様では、担体の選択は、一部には、特定の細胞もしくは薬剤によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、様々な適切な製剤がある。例えば、医薬組成物は、保存料を含有し得る。適切な保存料としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。一部の態様では、2つまたはそれより多くの保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は、典型的には、組成物全体の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、以下を含むが、これらに限定されない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
【0627】
緩衝剤が、一部の態様では、組成物に含まれる。適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、および多様な他の酸および塩が挙げられる。一部の態様では、2つまたはそれより多くの緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には、組成物全体の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な医薬組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、より詳細に、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)に記載されている。
【0628】
製剤または組成物は、細胞または薬剤で予防または処置される特定の適応症、疾患または状態に有用な1つより多くの有効成分であって、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない、有効成分も含有し得る。そのような有効成分は、意図された目的に有効である量で組み合わせて適切に存在する。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどをさらに含む。一部の実施形態では、薬剤または細胞は、塩、例えば薬学的に許容される塩、の形態で投与される。適する薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホ難、例えばp-トルエンスルホン酸、から誘導されるものが挙げられる。
【0629】
医薬組成物は、一部の実施形態では、疾患または状態を処置または予防するために有効な量、例えば、治療有効量または予防有効量で、薬剤または細胞を含有する。治療的有効性または予防的有効性は、一部の実施形態では、処置された対象の定期的な評価によってモニタリングされる。状態に応じた数日間またはそれより長い反復投与については、疾患症状の所望の抑制が生じるまで処置が反復される。しかし、他の投与量レジメンが有用であることがあり、該レジメンを決定することができる。所望の投与量を、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によってデリバリーすることができる。
【0630】
薬剤または細胞を、いずれかの適した手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後側デリバリーによって投与することができる。一部の実施形態では、それらは、非経口投与、肺内投与および鼻腔内投与、ならびに局所的処置に望まれる場合は病巣内投与によって、投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。一部の実施形態では、所与の用量が細胞または薬剤の単回ボーラス投与によって投与される。一部の実施形態では、それは、細胞または薬剤の複数回ボーラス投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または細胞または薬剤の連続注入によって投与される。
【0631】
疾患の予防または処置のための、適切な投与量は、処置されるべき疾患のタイプ、薬剤(単数または複数)のタイプ、細胞型または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、薬剤または細胞が予防目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか、以前の療法、対象の臨床歴および薬剤または細胞に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物は、一部の実施形態では、対象に一度に、または一連の処置にわたって、適切に投与される。
【0632】
細胞または薬剤を、標準的な投与法、製剤および/またはデバイスを使用して投与することができる。組成物の保管および投与ための製剤およびデバイス、例えば、シリンジおよびバイアルが、提供される。細胞に関して、投与は、自家または異種であってもよい。例えば、免疫応答性細胞または前駆体が1つの対象から得られ、同じ対象または異なる適合する対象に投与されてもよい。末梢血由来免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロで得られた)が、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射または非経口投与をはじめとする局所注射によって投与されてもよい。治療用組成物(例えば、神経毒性の症状を処置または改善する、遺伝子改変された免疫応答性細胞または薬剤を含有する医薬組成物)を投与する場合、治療用組成物は、一般に、単位投与量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)で製剤化される。
【0633】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺内、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下または坐薬投与用のものを含む。一部の実施形態では、薬剤または細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣内および腹腔内投与を含む。一部の実施形態では、薬剤または細胞集団は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身デリバリーを使用して対象に投与される。
【0634】
組成物は、一部の実施形態では、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、一部の態様では、選択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は、通常は、ゲル、他の粘性組成物および固体組成物よりも調製するのが容易である。加えて、液体組成物のほうが、特に注射によって投与するのに幾分便利である。その一方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすために適切な粘度範囲内で製剤化され得る。液体または粘性組成物は、担体を含むことができ、担体は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびこれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒体であり得る。
【0635】
滅菌注射用溶液は、溶媒に、例えば、適切な担体、希釈液または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなど、との混合物に、薬剤または細胞を組み入れることによって調製することができる。
【0636】
インビボ投与に使用されることになる製剤は、一般に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって、容易に達成され得る。
【0637】
B.投与量および投与
細胞または組成物は、疾患または状態を処置するためにインビボで組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の治療有効量をもたらすような用量で投与される。疾患の予防または処置のための、適切な投与量は、処置されるべき疾患のタイプ;細胞型または組換え受容体のタイプ;細胞拡大をブーストする、増すまたは増強するものなどの、組合せでの他の薬物または薬剤、の投与;疾患の重症度および経過;細胞が予防目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか;以前の療法;対象の臨床歴および薬剤または細胞に対する応答;ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、一部の実施形態では、対象に一度に、または一連の処置にわたって、適切に投与される。
【0638】
投与の文脈における剤、例えば、医薬品製剤、細胞、または組成物の「有効量」とは、治療的または予防的結果などの所望の結果を達成するために必要な投与量/量および期間での有効な量を指す。
【0639】
剤、例えば、医薬品製剤または細胞の「治療有効量」とは、疾患、状態、もしくは障害の処置などに対する所望の治療的結果、および/または処置の薬物動体的もしくは薬力学的効果を達成するために必要な投与量および期間での有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに投与される細胞集団および組み合わせて、例えば並行して、投与される他の薬物または薬剤などの要因に従って異なり得る。
【0640】
「予防有効量」とは、所望の予防的結果を達成するために必要な投与量および期間での有効な量を指す。典型的には、必ずしもではないが、予防的用量は、疾患の初期段階の前にまたは初期段階で対象において使用されるため、予防有効量は治療有効量より少なくなる。
【0641】
一部の実施形態では、細胞または組成物は、疾患または状態を処置または予防するために有効である量、例えば、治療有効量または予防有効量で投与される。したがって、一部の実施形態では、投与方法は、有効量での細胞および組成物の投与を含む。治療的有効性または予防的有効性は、一部の実施形態では、処置された対象の定期的な評価によってモニタリングされる。状態に応じた数日間またはそれより長い反復投与については、疾患症状の所望の抑制が生じるまで処置が反復される。しかし、他の投与量レジメンが有用であることがあり、該レジメンを決定することができる。
【0642】
一部の実施形態では、細胞の治療有効量が対象に投与される。一部の実施形態では、細胞のインビボ拡大のための条件下で細胞が投与される、ある特定の場合などは、細胞の準最適用量が投与される。
【0643】
ある特定の実施形態では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約10万~約1000億細胞の範囲で、および/または対象の体重1キログラム当たりのその細胞量で、例えば、10万~約500億細胞(例えば、50万細胞未満、100万細胞未満、約10万細胞、約20万細胞、約30万細胞、約40万細胞、約50万細胞、約100万細胞、約500万細胞、約2500万細胞、約5億細胞、約10億細胞、約50億細胞、約200億細胞、約300億細胞、約400億細胞、もしくは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲)、100万~約500億細胞(例えば、約500万細胞、約2500万細胞、約5億細胞、約10億細胞、約50億細胞、約200億細胞、約300億細胞、約400億細胞、もしくは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲)、例えば、約1000万~約1000億細胞(例えば、約2000万細胞、約3000万細胞、約4000万細胞、約6000万細胞、約7000万細胞、約8000万細胞、約9000万細胞、約100億細胞、約250億細胞、約500億細胞、約750億細胞、約900億細胞、もしくは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲)、および一部の場合には、約1億細胞~約500億細胞(例えば、約1億2000万細胞、約2億5000万細胞、約3億5000万細胞、約4億5000万細胞、約6億5000万細胞、約8億細胞、約9億細胞、約30億細胞、約300億細胞、約450億細胞)、またはこれらの範囲の間のおよび/もしくは対象の体重1キログラム当たりの任意の値などで、対象に投与される。投与量は、特に疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置の特質に応じて異なり得る。一部の実施形態では、そのような値は、組換え受容体発現細胞の数を指し、他の実施形態では、それらは、投与されるT細胞またはPBMCまたは全細胞の数を指す。
【0644】
一部の実施形態では、細胞療法は、少なくとももしくは少なくとも約0.1×106細胞/kg(対象の体重)、少なくとももしくは少なくとも約0.2×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約0.3×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約0.4×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約0.5×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約1×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約2.0×106細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約3×106細胞/kg、または少なくとももしくは少なくとも約5×106細胞/kgであるか、あるいは0.1×106細胞/kg(対象の体重)、0.2×106細胞/kg、0.3×106細胞/kg、0.4×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg、1×106細胞/kg、2.0×106細胞/kg、3×106細胞/kgまたは5×106細胞/kgであるか、あるいは約0.1×106細胞/kg(対象の体重)、約0.2×106細胞/kg、約0.3×106細胞/kg、約0.4×106細胞/kg、約0.5×106細胞/kg、約1×106細胞/kg、約2.0×106細胞/kg、約3×106細胞/kgまたは約5×106細胞/kgである、細胞数を含む用量の投与を含む。
【0645】
一部の実施形態では、細胞療法は、各境界を含めて、0.1×106細胞/kg(対象の体重)から1.0×107細胞/kgの間もしくは約0.1×106細胞/kg(対象の体重)から約1.0×107細胞/kgの間、0.5×106細胞/kgから5×106細胞/kgの間もしくは約0.5×106細胞/kgから約5×106細胞/kgの間、0.5×106細胞/kgから3×106細胞/kgの間もしくは約0.5×106細胞/kgから約3×106細胞/kgの間、0.5×106細胞/kgから2×106細胞/kgの間もしくは約0.5×106細胞/kgから約2×106細胞/kgの間、0.5×106細胞/kgから1×106細胞/kgの間もしくは約0.5×106細胞/kgから約1×106細胞/kgの間、1.0×106細胞/kg(対象の体重)から5×106細胞/kgの間もしくは約1.0×106細胞/kg(対象の体重)から約5×106細胞/kgの間、1.0×106細胞/kgから3×106細胞/kgの間もしくは約1.0×106細胞/kgから約3×106細胞/kgの間、1.0×106細胞/kgから2×106細胞/kgの間もしくは約1.0×106細胞/kgから約2×106細胞/kgの間、2.0×106細胞/kg(対象の体重)から5×106細胞/kgの間もしくは約2.0×106細胞/kg(対象の体重)から約5×106細胞/kgの間、2.0×106細胞/kgから3×106細胞/kgの間もしくは約2.0×106細胞/kgから約3×106細胞/kgの間、または3.0×106細胞/kg(対象の体重)から5×106細胞/kgの間もしくは約3.0×106細胞/kg(対象の体重)から約5×106細胞/kgの間である細胞数を含む用量の投与を含む。
【0646】
一部の実施形態では、細胞の用量は、2×105の細胞/kgから2×106の細胞/kgもしくは約2×105の細胞/kgから約2×106の細胞/kgの間、例えば、4×105の細胞/kgから1×106の細胞/kgもしくは約4×105の細胞/kgから約1×106の細胞/kgの間、または6×105の細胞/kgから8×105の細胞/kgもしくは約6×105の細胞/kgから約8×105の細胞/kgの間の用量を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり2×105の細胞(例えば、抗原発現、例えばCAR発現、細胞)(細胞/kg)以下、例えば、3×105細胞/kgもしくは約3×105細胞/kg以下、4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg以下、5×105細胞/kgもしくは約5×105細胞/kg以下、6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg以下、7×105細胞/kgもしくは約7×105細胞/kg以下、8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kg以下、9×105細胞/kgもしくは約9×105細胞/kg以下、1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg以下、または2×106細胞/kgもしくは約2×106細胞/kg以下を含む。
【0647】
一部の実施形態では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり少なくとももしくは少なくとも約2×105のまたは2×105もしくは約2×105の細胞(例えば、抗原発現、例えばCAR発現、細胞)(細胞/kg)、例えば、少なくとももしくは少なくとも約3×105細胞/kgまたは3×105もしくは約3×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約4×105細胞/kgまたは4×105もしくは約4×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約5×105細胞/kgまたは5×105もしくは約5×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約6×105細胞/kgまたは6×105もしくは約6×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約7×105細胞/kgまたは7×105もしくは約7×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約8×105細胞/kgまたは8×105もしくは約8×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約9×105細胞/kgまたは9×105もしくは約9×105細胞/kg、少なくとももしくは少なくとも約1×106細胞/kgまたは1×106もしくは約1×106細胞/kg、あるいは少なくとももしくは少なくとも約2×106細胞/kgまたは2×106もしくは約2×106細胞/kgを含む。
【0648】
一部の実施形態では、細胞の用量は、細胞の一定用量または細胞の固定用量であり、したがって、細胞の用量は、対象の体表面積または体重に縛られも基づきもしない。
【0649】
ある特定の実施形態では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または体重1キログラム当たりのその量の細胞で、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定される範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定される範囲)、および一部の例では約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間のおよび/もしくは体重1キログラム当たりの任意の値で対象に投与される。投与量は、特に疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置の特質に応じて異なり得る。
【0650】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、総数約5×108未満の組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、総数2×106、5×106、1×107、5×107、1×108もしくは5×108のそのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲などの、約1×106~5×106の範囲でそのような細胞を含む。
【0651】
一部の実施形態では、細胞療法は、各境界を含めて、組換え受容体発現細胞総数、T細胞総数もしくは末梢血単核細胞(PBMC)総数1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108、または組換え受容体発現細胞総数、T細胞総数もしくは末梢血単核細胞(PBMC)総数5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107、または組換え受容体発現細胞総数、T細胞総数もしくは末梢血単核細胞(PBMC)総数1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の細胞数を含む用量の投与を含む。一部の実施形態では、細胞療法は、組換え受容体発現細胞総数、T細胞総数または末梢血単核細胞(PBMC)総数少なくともまたは少なくとも約1×105、例えば、そのような細胞少なくとももしくは少なくとも1×106、少なくとももしくは少なくとも約1×107、少なくとももしくは少なくとも約1×108の細胞数を含む細胞の用量の投与を含む。一部の実施形態では、数は、CD3+またはCD8+の総数に準拠しており、一部の場合には、組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞も同様である。一部の実施形態では、細胞療法は、各境界を含めて、CD3+もしくはCD8+T細胞総数またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108、あるいはCD3+もしくはCD8+T細胞総数またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107、あるいはCD3+もしくはCD8+T細胞総数またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の細胞数を含む用量の投与を含む。一部の実施形態では、細胞療法は、各境界を含めて、CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞総数1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108、またはCD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞総数5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107、またはCD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞総数1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の細胞数を含む用量の投与を含む。
【0652】
一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0653】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量におけるものを含む、用量のCD8+T細胞は、総数約1×106から5×108の間の組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、そのような細胞総数1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108もしくは5×108のそのような細胞、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲などの、約5×106~1×108の範囲でそのような細胞を含む。一部の実施形態では、患者に複数用量が投与され、用量の各々または総用量は、前述の値のいずれかの中にあり得る。一部の実施形態では、細胞の用量は、各境界を含めて、総数1×107~0.75×108または約1×107~約0.75×108の組換え受容体発現CD8+T細胞、総数1×107~約2.5×107の組換え受容体発現CD8+T細胞、総数1×107~0.75×108または約1×107~約0.75×108の組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、総数1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、もしくは5×108、または約1×107、約2.5×107、約5×107、約7.5×107、約1×108、もしくは約5×108の組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。
【0654】
一部の実施形態では、細胞、例えば組換え受容体発現T細胞、の用量は、単一用量として対象に投与されるか、または2週間、1カ月、3カ月、6カ月、1年のもしくはそれより長い期間内に1回のみ投与される。
【0655】
養子細胞療法の状況において、細胞の所与の「用量」の投与は、所与の量または数の細胞の単一組成物としての投与、および/または例えば単回注射または連続注入としての、単一の中断されない投与を包含し、また、指定期間にわたって、例えば3日間以下にわたって、複数の個々の組成物または注入で提供される、分割用量としてのまたは複数の組成物としての所与の量または数の細胞の投与も包含する。したがって、一部の状況では、用量は、単一の時点で与えられるまたは開始される指定数の細胞の単回または連続投与である。しかし、一部の状況では、用量は、3日間以下の期間にわたって複数回の注射または注入で、例えば、3日間もしくは2日間、1日1回、または1日の期間にわたって複数回の注入によって、投与される。
【0656】
したがって、一部の態様では、用量の細胞は、単一の医薬組成物で投与される。一部の実施形態では、用量の細胞は、合計で用量の細胞を含有する、複数の組成物で投与される。
【0657】
用語「分割用量」とは、1日より長きにわたって投与されるように分割される用量を指す。このタイプの投薬は、本方法に包含され、単一用量であると見なされる。一部の実施形態では、分割用量の細胞は、合計で用量の細胞を含有する複数の組成物で3日以下の期間にわたって投与される。
【0658】
したがって、細胞の用量は、分割用量、例えば、経時的に投与される分割用量として、投与され得る。例えば、一部の実施形態では、用量は、2日間にわたってまたは3日間にわたって対象に投与され得る。分割投薬のための例示的な方法は、1日目に用量の25%を投与し、2日目に用量の残りの75%を投与することを含む。他の実施形態では、用量の33%が1日目に投与され、残りの67%を2日目に投与され得る。一部の態様では、用量の10%が1日目に投与され、用量の30%が2日目に投与され、用量の60%が3日目に投与される。一部の実施形態では、分割用量は、3日間を超えて広げられない。
【0659】
一部の実施形態では、用量の細胞は、用量の一部の細胞を各々が含有する複数の組成物または溶液、例えば、第1および第2の、適宜それより多くの組成物または溶液の投与によって投与され得る。一部の態様では、細胞の異なる集団および/またはサブタイプを各々が含有する複数の組成物は、別々にまたは独立して、適宜、ある特定の期間内に、投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれ、CD8+およびCD4+T細胞を、および/またはそれぞれ、CD8+濃縮集団およびCD4+濃縮集団、例えば、組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を各々が個々に含むCD4+および/またはCD8+T細胞を、含み得る。一部の実施形態では、用量の投与は、CD8+T細胞の用量またはCD4+T細胞の用量を含む第1の組成物の投与と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のその他の用量を含有する第2の組成物の投与とを含む。
【0660】
一部の実施形態では、組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、別々に細胞組成物の投与を含む。一部の態様では、別々の投与は、同時に、または逐次に、任意の順序で実行される。一部の実施形態では、用量は、第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物および第2の組成物は、0~12時間離して、0~6時間離して、または0~2時間離して投与される。一部の実施形態では、第1の組成物の投与の開始、および第2の組成物の投与の開始は、2時間以下、1時間以下、または30分以下離して、15分以下、10分以下、または5分以下離して実行される。一部の実施形態では、第1の組成物の投与の開始および/または完了、ならびに第2の組成物の投与の開始および/または完了は、2時間以下、1時間以下、または30分以下離して、15分以下、10分以下、または5分以下離して実行される。
【0661】
一部の組成物では、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD4+T細胞を含む。一部の組成物では、第1の組成物、例えば、用量の第1の組成物は、CD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0662】
一部の実施形態では、細胞の用量または組成物は、組換え受容体を発現するCD4+細胞の組換え受容体を発現するCD8+細胞に対する、および/またはCD4+細胞のCD8+細胞に対する、定義されたまたは標的比率を含み、この比率は、およそ1:1であってもよく、またはおよそ1:3からおよそ3:1の間、例えば、およそ1:1であってもよい。一部の態様では、異なる細胞集団の標的または所望の比率(例えば、CD4+:CD8+比率またはCAR+CD4+:CAR+CD8+比率、例えば、1:1)を有する組成物または用量の投与は、集団のうちの1つを含有する細胞組成物の投与、次いで、集団のうちの他のものを含む別の細胞組成物の投与を含み、投与は、標的もしくは所望の比率でのまたはおよそ標的もしくは所望の比率での投与である。一部の態様では、定義された比率での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の改善された拡大、持続性および/または抗腫瘍活性をもたらす。
【0663】
一部の実施形態では、対象は、細胞の複数用量、例えば、2もしくはそれより多くの用量または複数の連続用量を受ける。一部の実施形態では、2用量が対象に投与される。一部の実施形態では、対象は連続用量を受け、例えば、第2の用量は、第1の用量のおよそ4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日後に投与される。一部の実施形態では、複数の連続用量が第1の用量の後に投与され、したがって、追加の用量(単数または複数)が連続用量の投与後に投与される。一部の態様では、追加の用量で対象に投与される細胞の数は、第1の用量および/または連続用量と同じまたは同様である。一部の実施形態では、追加の用量(単数または複数)は、前の用量より多い。
【0664】
一部の態様では、第1の用量および/または連続用量のサイズは、以前の処置、例えば化学療法、への対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、容積、サイズもしくは度合い、転移の程度もしくはタイプ、ステージ、ならびに/または対象が毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性、を生じる可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて決定される。
【0665】
一部の態様では、第1の用量の投与と連続用量の投与の間の時間は、約9~約35日、約14~約28日、または15~27日である。一部の態様では、連続用量の投与は、第1の用量の投与から14日より後、かつ第1の用量の投与後約28日未満の時点である。一部の態様では、第1の用量と連続用量の間の時間は、約21日である。一部の実施形態では、追加の用量(単数または複数)、例えば、連続用量は、連続用量の投与後に投与される。一部の態様では、追加の連続用量(単数または複数)は、前の用量投与から少なくとも約14日後、かつ前の用量の投与後約28日未満に投与される。一部の実施形態では、追加の用量は、前の投与後約14日未満、例えば、前の投与から4、5、6、7、8、9、10、11、12または13日後に投与される。一部の実施形態では、前の投与後約14日未満に投与される用量はなく、および/または前の投与から約28日より後に投与される用量はない。
【0666】
一部の実施形態では、細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の用量は、T細胞の第1の用量とT細胞の連続用量とを含む2用量(例えば、2回用量)であり、第1の用量および第2の用量の一方または両方がT細胞の分割用量の投与を構成する。
【0667】
一部の実施形態では、細胞の用量は、一般に、疾患負荷を低下させる上で有効であるのに十分なほど多い。
【0668】
一部の実施形態では、細胞は、所望の投与量で投与され、所望の投与量は、一部の態様では、細胞もしくは細胞型の所望の用量もしくは数、および/または細胞型の所望の比率を含む。したがって、細胞の投与量は、一部の実施形態では、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)、および個々の集団またはサブタイプの所望の比率、例えば、CD4+のCD8+に対する比率に基づく。一部の実施形態では、細胞の投与量は、個々の集団内の細胞の、または個々の細胞型の、所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。一部の実施形態では、投与量は、全細胞の所望の数、所望の比率、および個々の集団内の細胞の所望の総数などの、そのような特徴の組合せに基づく。
【0669】
一部の実施形態では、細胞の集団またはサブタイプ、例えば、CD8+およびCD4+T細胞は、T細胞の所望の用量などの全細胞の所望の用量でまたは所望の用量の許容差の範囲内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、所望の細胞数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりの所望の細胞数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、最小細胞数または体重の単位当たりの最小細胞数であるか、またはそれより上である。一部の態様では、所望の用量で投与される全細胞の中に、個々の集団またはサブタイプが、所望のアウトプット比率(例えば、CD4+のCD8+に対する比率)で、またはほぼその比率で、例えば、そのような比率のある特定の許容差もしくは誤差の範囲内で存在する。
【0670】
一部の実施形態では、細胞は、細胞の個々の集団もしくはサブタイプの1つもしくは複数についての所望の用量、例えば、CD4+細胞の所望の用量および/もしくはCD8+細胞の所望の用量で、または所望の用量の許容差の範囲内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、サブタイプもしくは集団の所望の細胞数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりのそのような細胞の所望の数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数または体重の単位当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるか、またはそれより上である。
【0671】
したがって、一部の実施形態では、投与量は、全細胞の所望の固定用量、および所望の比率に基づき、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1つもしくは複数、例えば、各々についての所望の固定用量に基づく。したがって、一部の実施形態では、投与量は、T細胞の所望の固定もしくは最小用量およびCD4+細胞のCD8+細胞に対する所望の比率に基づき、ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+細胞の所望の固定もしくは最小用量に基づく。
【0672】
一部の実施形態では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞もしくはサブタイプなどの、複数の細胞集団もしくはサブタイプの所望のアウトプット比率で、または所望のアウトプット比率の許容範囲内で投与される。一部の態様では、所望の比率は、特定の比率であり得るか、または比率の範囲であり得る。例えば、一部の実施形態では、所望の比率(例えば、CD4+細胞のCD8+細胞に対する比率)は、5:1から5:1もしくは約5:1から約5:1の間(または例えば、約1:5より大きく、かつ約5:1未満)、または1:3から3:1もしくは約1:3から約3:1の間(または約1:3より大きく、かつ約3:1未満)、例えば、2:1から1:5または約2:1から約1:5の間(または約1:5より大きく、かつ約2;1未満、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9:1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5もしくは1:5、または約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9:1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5もしくは約1:5)である。一部の態様では、許容差は、所望の比率の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これには、これらの範囲間の任意の値が含まれる。
【0673】
特定の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0674】
一部の態様では、用量のサイズは、以前の処置、例えば化学療法、への対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、容積、サイズもしくは度合い、転移の程度もしくはタイプ、ステージ、ならびに/または対象が毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性、を生じる可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて決定される。
【0675】
一部の実施形態では、方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞および/もしくはリンパ球除去療法の1もしくは複数の追加の用量を投与することも含み、ならびに/または方法の1つもしくは複数の工程が繰り返される。一部の実施形態では、1または複数の追加の用量は、初回用量と同じである。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の用量は、初回用量と異なり、例えば、初回用量より高い、例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍もしくはそれより高いか、あるいは、初回用量より低い、例えば、高い、例えば、初回用量の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1または10分の1もしくはそれ未満である。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の用量の投与は、最初の処置もしくはいずれかの以前の処置への対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍量、容積、サイズもしくは度合い、転移の程度もしくはタイプ、ステージ、ならびに/または対象が毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性、を生じる可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて、決定される。
【0676】
一部の実施形態では、細胞の比較的低い用量、例えば、細胞の準最適用量、または治療有効量より低い細胞の用量であって、インビボ刺激(例えば、内因性抗原または外因性薬剤による)時に対象体内に存在する操作された細胞の数のブースト、例えば増加または拡大、をもたらすことができる用量が、投与され得る。そのような実施形態のいずれかでは、細胞の拡大および/または活性化、例えば、細胞の投与後の対象の体内での操作された細胞の拡大が、抗原への曝露によってインビボで生じ得る。一部の実施形態では、インビボ拡大の程度、度合いまたは大きさを、投与される細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の拡大、増殖、生存および/または有効性をモジュレートすることができる、例えば、増大させることができる様々な方法によって、さらに増すことができるか、ブーストすることができるか、または増強することができる。
【0677】
細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されると、細胞集団の生物活性は、一部の態様では、いくつかの公知方法のいずれかによって測定される。評価するパラメーターは、インビボでの、例えばイメージングによる、またはエクスビボでの、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、抗原への細胞の特異的結合を含む。ある特定の実施形態では、標的細胞を破壊する細胞の能力を、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイなどの、当技術分野において公知のいずれか適する方法を使用して測定することができる。ある特定の実施形態では、細胞の生物活性を、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNFなどのある特定のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定することもできる。一部の態様では、生物活性は、腫瘍負荷または腫瘍量の低下などの臨床転帰を評価することによって測定される。一部の態様では、毒性転帰、細胞の持続性および/もしくは拡大、ならびに/または宿主免疫応答の存在もしくは非存在が評価される。
【0678】
VI.製造品およびキット
一部の実施形態では、提供される方法を実施する際に有用なシステム、装置およびキットも提供される。一部の実施形態では、ウイルス粒子および/または細胞と適宜、使用説明書とを含有する製造品、例えば、キットまたはデバイスが、提供される。一部の実施形態では、キットは、細胞に形質導入するための方法において、例えば、養子細胞療法のための遺伝子操作された細胞を調製することに合わせて、使用され得る。一部の実施形態では、キットは、生細胞、例えば、形質導入細胞中の生細胞を濃縮するための方法において使用され得る。一部の実施形態では、キットは、細胞を脱ビーズ化するために使用され得る。
【0679】
一部の実施形態では、製造品は、1つまたは複数の容器、典型的には複数の容器と、包装材料と、容器(単数もしくは複数)および/もしくは包装材上のまたはそれ(ら)に付随するラベルまたは添付文書とを含み、該ラベルまたは添付文書は、一般に、細胞の形質導入、例えば、対象からの細胞の形質導入についての説明書を含む。あるいは、説明書は、生細胞の濃縮または細胞の脱ビーズ化についての説明書であり得る。
【0680】
本明細書で提供される製造品は、包装材料を含有する。提供される材料の包装における使用のための包装材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、同第5,052,558号および同第5,033,252号を参照されたく、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。包装材料の例としては、ブリスターパック、ビン、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、またはビンが挙げられるが、これらに限定されない。製造品は、材料の分注を容易にするための針または他の注射デバイスを含み得る。典型的に、包装材は、それに収容される組成物と非反応性である。
【0681】
一部の実施形態では、ウイルス粒子および細胞は、別々に包装される。一部の実施形態では、各容器は、単一の区画を有し得る。一部の実施形態では、ウイルス粒子を収容する容器は、例えば、開口部を通って区画内への、ユーザーによる細胞の添加、またはその逆に適応できる容器である。ウイルス粒子および/または細胞の封入のための定義空間を有することに適応でき、細胞と会合しているウイルス粒子を含有するインプット組成物を生産するための混合に必要な最終構成要素の添加を可能にする単純なマニピュレーションに適応できる、任意の容器または他の製造品が、企図される。一部の実施形態では、細胞は、細胞組成物およびウイルス粒子を遠心分離機に投入する前にウイルス粒子に添加される。
【0682】
一部の実施形態では、そのような材料は、同じ容器内に別々に包装され、したがって、例えば、構成要素を容器内で混合することまたは併せることができる。一部の態様では、そのような容器の例としては、容易に除去できる膜によって2つの空間が隔てられているような、ウイルス粒子を収容する定義された密閉空間と細胞を収容する別の定義された密閉空間とを有する容器であって、その膜が除去されると構成要素の混合が可能になる容器が挙げられる。構成要素を別々に保つことができる任意の容器または他の製造品が企図される。一部の実施形態では、製造品は、製造品が圧縮されると破裂し、ひいては隔てられた構成要素の混合が可能になる、膜などの区分け部材によって隔てられている隣接区画に、各構成要素を収容することができる。適する実施形態については、例えば、米国特許第3,539,794号および同第5,171,081号に記載されている容器を参照されたい。
【0683】
VII.定義
別に定義されない限り、本明細書において使用される、本分野の全ての用語、表記法ならびに他の技術および科学用語または用語法は、特許請求の範囲の主題が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有することが意図される。一部の場合、通常理解される意味を有する用語は、明確にするためにおよび/または参照を容易にするために本明細書において定義され、本明細書におけるそのような定義の包含は、必ずしも、当該技術分野において一般的に理解されている定義との実質的な相違を表すとは解釈すべきでない。
【0684】
本明細書において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、別に明確に示されない限り、複数の言及を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」とは、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を含む。本明細書において説明される態様および変形は、態様および変形「からなること」および/または「から本質的になること」を含むことが理解される。
【0685】
本開示を通じて、特許請求される主題の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式における説明は、単に便利および簡潔さのためであり、特許請求の範囲の主題の範囲に対する変更不能な限定として解釈すべきでないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、特に開示される全ての可能な下位範囲およびその範囲内の個々の数値を有すると考えるべきである。例えば、ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各間の値、およびその示される範囲内の任意の他の示される値または間の値は、特許請求の範囲の主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、特許請求の範囲の主題の範囲内に包含され、示される範囲内の任意の特に除外される限定を受ける。示される範囲が限定のうちの1つまたは両方を含む場合、また、それらの含まれる限定のいずれかまたは両方を除外する範囲は、特許請求の範囲の主題に含まれる。これは範囲の広さに関係なく適用される。
【0686】
用語「約」とは、本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者に容易に知られるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の「約」を伴う値またはパラメーターについての言及は、その値またはパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含み(かつ説明する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0687】
用語「ベクター」とは、本明細書において、連結された別の核酸を増殖することが可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、およびそれが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結された核酸の発現を方向付けることができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。ベクターの中には、レトロウイルス、例えば、ガンマレトロウイルスおよびレンチウイルスのベクターなどのウイルスベクター粒子が含まれる。
【0688】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、そのような細胞の子孫を含む、外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これは、一次形質転換細胞および継代数にかかわらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、核酸含量において親細胞に対して完全に同一ではない場合もあり、突然変異を含有する場合もある。元の形質転換細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同一の機能または生物活性を有する突然変異体子孫も本明細書で含まれる。
【0689】
本明細書で使用される場合、組成物は、細胞を含む、2つまたはそれより多くの産物、物質または化合物の任意の混合物を指す。それは、溶液、分散液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0690】
本明細書で使用される場合、1つまたは複数の特定の細胞型または細胞集団に言及するときの「濃縮すること」は、細胞型または集団の数またはパーセンテージを、例えば、組成物中の細胞の総数もしくは組成物の体積と比較して、または他の細胞型と比べて、例えば、集団もしくは細胞によって発現されるマーカーに基づくポジティブ選択によって、または枯渇される細胞集団もしくは細胞上に存在しないマーカーに基づくネガティブ選択によって、増加させることを指す。この用語は、組成物からの他の細胞、細胞型、または集団の完全な除去を必要とせず、そのように濃縮された細胞が、濃縮組成物中100%で存在することも、さらにはほぼ100%で存在することも必要としない。
【0691】
本明細書で使用する場合、細胞または細胞の集団が、特定のマーカーについて「陽性」であるという記載は、特定のマーカー、通常、表面マーカーの細胞上または細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーについて言及する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体により染色し、前記抗体を検出することによって検出される表面発現の存在を指し、ここで、染色は、他は同一の条件下においてアイソタイプ適合対照について同じ手順を行って検出される染色を実質的に超えるレベルにおいて、かつ/またはそのマーカーについて陽性であることが公知の細胞についてのレベルと実質的に同様のレベルにおいて、かつ/またはそのマーカーについて陰性であることが公知の細胞についてのレベルよりも実質的に高いレベルにおいて、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0692】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞集団が特定のマーカーに対して「陰性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの、細胞上または細胞内の実質的な検出可能な存在がないことを指す。表面マーカーに関して、該用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、前記抗体を検出することによって検出されるような表面発現がないことを指し、他は同一の条件下のアイソタイプ適合対照を用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベル、および/またはマーカーに対して陽性であることが公知の細胞より実質的に低いレベル、および/またはマーカーに対して陰性であることが公知の細胞と比較して実質的に同様のレベルでは、染色はフローサイトメトリーによって検出されない。
【0693】
用語「発現」は、本明細書で使用される場合、ポリペプチドが遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいて生産されるプロセスを指す。プロセスは、転写、転写後制御、転写後改変、翻訳、翻訳後制御、翻訳後改変、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0694】
本明細書で使用される場合、「逆」または「向流」遠心分離は、遠心加速下で流体(例えば、支持培地)中の粒子の沈降速度を支持培地の流れによって相殺する技術である。
【0695】
本明細書で使用される場合、「連続」流遠心分離は、「デッドエンド」または「回分式」遠心分離とは対照的に、ローターの頻繁な停止および開始も、遠心分離管の頻繁な濾過およびデカントも必要とすることなく、大きな体積の材料を遠心分離することができる技術であって、高い遠心力を含む技術を指す。連続流システムは、連続流ベースで機能し得る。デッドエンド遠心分離の一例は、スイングバケットローター遠心分離である。
【0696】
本明細書で使用される場合、対照は、試験パラメーターで処理されないことを除いて試験試料と実質的に同一である試料を指し、または対照が血漿試料である場合、対照は、目的の状態に罹患していない正常なボランティアからのものであることがある。対照は、内部対照であることもある。
【0697】
VIII.例示的な実施形態
本明細書で提供される実施形態の中には以下がある:
【0698】
1.遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;
(b)ウイルスベクター粒子を円錐形の流体エンクロージャーに投入することによって、細胞組成物とウイルスベクター粒子とを含むインプット組成物を生成すること;ならびに
(c)第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成すること
を含む、方法。
【0699】
2.ウイルスベクター粒子の投入が、(a)における適用の少なくとも一部分の間に実行される、および/または(c)における適用の少なくとも一部分の間に実行される、実施形態1に記載の方法。
【0700】
3.遺伝子操作されたT細胞の組成物を生産するための方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、(i)ウイルスベクター粒子と(ii)T細胞を含む細胞組成物とを含むインプット組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量をインプット組成物に円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でウイルスベクター粒子を再循環させ、それによって、遺伝子操作されたT細胞を生成すること
を含む、方法。
【0701】
4.細胞組成物およびウイルスベクター粒子を円錐形の流体エンクロージャーに投入することによってインプット組成物を生成することをさらに含み、細胞組成物の投入が、ウイルスベクター粒子の投入前、投入中、および/または投入後である、実施形態3に記載の方法。
【0702】
5.細胞組成物の投入および/またはウイルスベクター粒子の投入が、(a)における適用の前および/または間に実施される、実施形態4に記載の方法。
【0703】
6.遠心分離機システムが、連続向流遠心分離機システムである、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0704】
7.第3の遠心力および第3の流量を、遺伝子操作されたT細胞に、遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、遺伝子操作されたT細胞を含むアウトプット組成物を生産することをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0705】
8.アウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、または少なくとも約25%大きい、実施形態7に記載の方法。
【0706】
9.アウトプット組成物中のT細胞の少なくとももしくは少なくとも約5%、少なくとももしくは少なくとも約10%、少なくとももしくは少なくとも約15%、少なくとももしくは少なくとも約20%、少なくとももしくは少なくとも約25%、または少なくとももしくは少なくとも約30%が、ウイルスベクター粒子で形質導入されている、実施形態7または実施形態8に記載の方法。
【0707】
10.(i)第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間であり、適宜、第1の遠心力および第1の流量が、細胞組成物またはインプット組成物に、約15秒間、約30秒間、約45秒間、または約60秒間適用される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0708】
11.(i)第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0709】
12.第1の遠心力の第1の流量に対する比率が、約200から約400の間である、実施形態11のいずれか1つに記載の方法。
【0710】
13.第1の遠心力の第1の流量に対する比率が、約300である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0711】
14.第1の遠心力が、約3,000Gであり、第1の流量が、約10mL/分である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0712】
15.第2の遠心力の第2の流量に対する比率が、約20から約100の間、約25から約85の間、または約30から約65の間である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0713】
16.第2の遠心力の第2の流量に対する比率が、約35である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0714】
17.第2の遠心力が、約1,000Gであり、第2の流量が、約28.5mL/分である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0715】
18.第2の遠心力の第2の流量に対する比率が、約62.5である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0716】
19.第2の遠心力および第2の流量が、インプット組成物に、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約60分間、少なくとも約75分間、または少なくとも約90分間適用される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0717】
20.(i)第3の遠心力が、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)第3の流量が、約15mL/分から約25mL/分の間である、実施形態7~19のいずれか1つに記載の方法。
【0718】
21.第3の遠心力の第3の流量に対する比率が、約100から約150の間であり、適宜、第3の遠心力の第3の流量に対する比率が、約125である、実施形態7~20のいずれか1つに記載の方法。
【0719】
22.第3の遠心力が、約2,500Gであり、第3の流量が、約20mL/分である、実施形態7~21のいずれか1つに記載の方法。
【0720】
23.第3の遠心力および第3の流量を適用する前に、遺伝子操作されたT細胞を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含み、適宜、1つまたは複数の洗浄工程が、培地交換を含む、実施形態7~22のいずれか1つに記載の方法。
【0721】
24.方法が、細胞組成物のT細胞を(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートすることを含む、および/または細胞組成物のT細胞が、(a)における適用の前に刺激条件下でインキュベートされる、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0722】
25.刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である刺激試薬の存在を含む、実施形態24に記載の方法。
【0723】
26.刺激試薬が、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、適宜、CD3に特異的に結合する、一次薬剤;および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次薬剤を含み、適宜、共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSから選択される、実施形態25に記載の方法。
【0724】
27.一次および二次薬剤の少なくとも一方が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、実施形態26に記載の方法。
【0725】
28.一次薬剤が、抗CD3抗体またはその抗原結合性断片であり、二次薬剤が、抗CD28抗体またはその抗原結合性断片である、実施形態26または実施形態27に記載の方法。
【0726】
29.一次薬剤および二次薬剤が、各々、固体支持体の表面に存在するか、または付着しており、適宜、固体支持体が、ビーズであるか、またはそれを含み、さらに適宜、固体支持体が、表面に抗CD3および抗CD28抗体が付着している常磁性ビーズである、実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0727】
30.一次薬剤および二次薬剤が、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合している、実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0728】
31.ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジン突然変異タンパク質分子が、ビオチン、アビジン、ビオチンアナログもしくはビオチン突然変異タンパク質、アビジンアナログもしくはアビジン突然変異タンパク質および/またはその生物活性断片に結合するか、またはそれに結合可能である、実施形態30に記載の方法。
【0729】
32.一次薬剤が、抗CD3 Fabを含み、二次薬剤が、抗CD28 Fabを含む、実施形態26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0730】
33.刺激条件が、1つまたは複数の組換えサイトカインの存在を含む、実施形態24~32のいずれか1つに記載の方法。
【0731】
34.刺激条件が、組換えIL-2、IL-7およびIL-15のうちの1または複数の存在を含む、実施形態24~33のいずれか1つに記載の方法。
【0732】
35.方法が、アウトプット組成物を収集することを含む、および/またはアウトプット組成物が、収集される、実施形態7~34のいずれか1つに記載の方法。
【0733】
36.方法が、収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞をインキュベートすることを含む、および/または収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞が、インキュベートされる、実施形態35に記載の方法。
【0734】
37.収集されたアウトプット組成物の遺伝子操作されたT細胞が、収集の直後に少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、または少なくとも約20日間インキュベートされる、実施形態35または実施形態36に記載の方法。
【0735】
38.収集の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、または約10日後の収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、実施形態35~37のいずれか1つに記載の方法。
【0736】
39.収集の約1日後の収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、実施形態35~38のいずれか1つに記載の方法。
【0737】
40.収集の約5日後の収集されたアウトプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きい、実施形態35~39のいずれか1つに記載の方法。
【0738】
41.方法が、収集されたアウトプット組成物を凍結保存することを含む、および/または収集されたアウトプット組成物が、凍結保存されることによって、凍結保存組成物が生成される、実施形態35~40のいずれか1つに記載の方法。
【0739】
42.凍結保存組成物が解凍されて解凍組成物が生産され、解凍組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、インプット組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約25%大きいか、または少なくとも約30%大きい、実施形態41に記載の方法。
【0740】
43.インプット組成物が、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、6マイクロメートルより大きいもしくは約6マイクロメートルより大きい、7マイクロメートルより大きいもしくは約7マイクロメートルより大きい、8マイクロメートルより大きいもしくは約8マイクロメートルより大きい、9マイクロメートルより大きいもしくは約9マイクロメートルより大きい、10マイクロメートルより大きいもしくは約10マイクロメートルより大きい、または11マイクロメートルより大きいもしくは約11マイクロメートルより大きい平均直径を有するT細胞を含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0741】
44.インプット組成物が、総数約1×106のT細胞から総数約2×109のT細胞の間のT細胞を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0742】
45.インプット組成物が、総数少なくとも約1×108のT細胞、総数少なくとも約2×108のT細胞、総数少なくとも約3×108のT細胞、総数少なくとも約4×108のT細胞、総数少なくとも約5×108のT細胞、総数少なくとも約6×108のT細胞、総数少なくとも約7×108のT細胞、総数少なくとも約8×108のT細胞、総数少なくとも約7×108のT細胞、総数少なくとも約8×108のT細胞、総数少なくとも約9×108のT細胞、総数少なくとも約1×109のT細胞、総数少なくとも約1.25×109のT細胞、総数少なくとも約1.50×109のT細胞、または総数少なくとも約1.75×109のT細胞を含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0743】
46.インプット組成物の体積が、約5mlから約20,000mlの間、約10mLから約2,000mLの間、約15mLから約1,000mLの間、約20mLから約500mLの間、約25mLから約100mLの間、または約30mLから約60mLの間である、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0744】
47.インプット組成物の体積が、約30mLから約60mLの間である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0745】
48.アウトプット組成物の体積が、約2.5mLから約60mLの間、約5mLから約40mLの間、または約10mLから約20mLの間である、実施形態7~47のいずれか1つに記載の方法。
【0746】
49.アウトプット組成物の体積が、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、約50mL、約55mL、または約60mLである、実施形態7~48のいずれか1つに記載の方法。
【0747】
50.細胞組成物を生細胞について濃縮する方法であって、
(a)第1の遠心力および第1の流量を、T細胞を含む細胞組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、細胞の流動床を生産することであって、細胞組成物が、生存可能および生存不能なT細胞を含み、(i)第1の遠心力が、約2,000Gから約4,000Gの間であり、(ii)第1の流量が、約5mL/分から約15mL/分の間である、生産すること;ならびに
(b)第2の遠心力および第2の流量を細胞組成物に適用し、第2の遠心力および第2の流量が遠心分離機システムの流路でインプット組成物の細胞を再循環させ、それによって、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより高い生存可能なT細胞のパーセンテージを有する濃縮組成物を生成することであって、(i)第2の遠心力が、約500Gから約1,500Gの間であり、(ii)第2の流量が、約25mL/分から約30mL/分の間である、生成すること
を含む、方法。
【0748】
51.細胞組成物を遠心分離機システムに投入することを含み、投入することが、(a)における適用の少なくとも一部分の前および/または間に行われる、実施形態50に記載の方法。
【0749】
52.遠心分離機システムが、連続向流遠心分離機システムである、実施形態50または実施形態51に記載の方法。
【0750】
53.(a)における適用の前に、方法が、細胞組成物のT細胞をウイルスベクター粒子と接触させることによって、遺伝子操作されたT細胞を生産することを含む、および/または細胞組成物のT細胞が、ウイルスベクター粒子と接触したことによって、遺伝子操作されたT細胞が生産済みである、実施形態50~52のいずれか1つに記載の方法。
【0751】
54.濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより少なくとも約10%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約30%大きいか、少なくとも約40%大きいか、少なくとも約50%大きいか、または少なくとも約60%大きい、実施形態50~53のいずれか1つに記載の方法。
【0752】
55.(c)第3の遠心力および第3の流量を濃縮組成物に遠心分離機システムの円錐形の流体エンクロージャーにおいて適用して、濃縮組成物を収集することを含み、(i)第3の遠心力が、約2,000Gから約3,000Gの間であり、(ii)第3の流量が、約15mL/分から約25mL/分の間である、実施形態50~54のいずれか1つに記載の方法。
【0753】
56.第3の遠心力および第3の流量を適用する前に、濃縮組成物を1つまたは複数の洗浄工程に付すことを含み、適宜、1つまたは複数の洗浄工程が、培地交換を含む、実施形態55に記載の方法。
【0754】
57.1つまたは複数の洗浄工程が、第2の遠心力および第2の流量で実行される、実施形態23~49および56のいずれか1つに記載の方法。
【0755】
58.細胞組成物が、活性化T細胞を含む、実施形態1~57のいずれか1つに記載の方法。
【0756】
59.方法が、収集された濃縮組成物を凍結保存することを含む、および/または収集された濃縮組成物が、凍結保存されることによって、凍結保存濃縮組成物が生成される、実施形態50~58のいずれか1つに記載の方法。
【0757】
60.凍結保存濃縮組成物が解凍されて解凍された濃縮組成物が生産され、解凍された濃縮組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージが、細胞組成物中の生存可能なT細胞のパーセンテージより大きく、適宜、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約15%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約25%大きいか、または少なくとも約30%大きい、請実施形態59に記載の方法。
【0758】
61.方法の1つまたは複数の工程が自動化され、適宜、方法の1つまたは複数の工程が、遠心分離機システムまたはそのコンポーネントによって自動化される、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0759】
62.ウイルスベクター粒子が、組換え分子をコードする異種核酸を含む、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。
【0760】
63.組換え分子が、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、抗原受容体(例えば、CARもしくはTCR)、またはそれらの組合せである、実施形態62に記載の方法。
【0761】
64.組換え分子が、抗原受容体である、実施形態62または実施形態63に記載の方法。
【0762】
65.抗原受容体が、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)である、実施形態64に記載の方法。
【0763】
66.抗原受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態65に記載の方法。
【0764】
67.キメラ抗原受容体(CAR)が、標的抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、実施形態66に記載の方法。
【0765】
68.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、実施形態67に記載の方法。
【0766】
69.CARが、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインをさらに含む、実施形態67または実施形態68に記載の方法。
【0767】
70.膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通部分を含む、実施形態69に記載の方法。
【0768】
71.細胞内シグナル伝達ドメインが、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、実施形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0769】
72.T細胞共刺激分子が、CD28および4-1BBからなる群から選択される、実施形態71に記載の方法。
【0770】
73.CARが、組換え発現される、実施形態66~72のいずれか1つに記載の方法。
【0771】
74.CARが、ベクター、適宜、γ-レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターから発現される、実施形態66~73のいずれか1つに記載の方法。
【0772】
75.CARが、レンチウイルスベクターから発現される、実施形態66~74のいずれか1つに記載の方法。
【0773】
76.抗原受容体が、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する、実施形態64~75のいずれか1つに記載の方法。
【0774】
77.疾患または状態が、がん、自己免疫疾患もしくは障害、および/または感染症である、実施形態76に記載の方法。
【0775】
78.疾患または状態が、がんである、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
【0776】
79.T細胞が、適宜ヒト対象からの、初代T細胞である、実施形態1~78のいずれか1つに記載の方法。
【0777】
80.実施形態1~79のいずれか1つに記載の方法によって生産される遺伝子操作されたT細胞を含む、組成物。
【0778】
81.約1×106個のCAR発現T細胞から約2.0×109個のCAR発現T細胞の間のCAR発現T細胞を含む、実施形態80に記載の組成物。
【0779】
82.薬学的に許容される担体をさらに含む、実施形態80または81に記載の組成物。
【0780】
83.凍結保護剤をさらに含む、実施形態80または実施形態81に記載の組成物。
【0781】
84.疾患または障害を有する対象を処置する方法であって、実施形態80~82のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0782】
85.遺伝子操作されたT細胞が、疾患または障害に関連する抗原に特異的に結合する抗原受容体を発現する、実施形態84に記載の方法。
【0783】
IX.実施例
以下の実施例は、説明的な目的のためにのみ含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0784】
[実施例1]
連続向流遠心分離による形質導入中の生細胞の濃縮
A.形質導入中の生細胞の濃縮
CD4+およびCD8+細胞の別々の組成物を、4名のヒトドナーからの白血球アフェレーシス試料から単離したPBMCから免疫親和性ベースの濃縮によって選択した。選択した細胞組成物を凍結保存し、その後、解凍し、生存可能なCD4+細胞の生存可能なCD8+細胞に対する比率1:1で培養した。次いで、複合CD4+およびCD8+細胞組成物を、組換えIL-2、IL-7およびIL-15を含有する培地中で、抗CD3/抗CD28 Fabがコンジュゲートしているオリゴマーストレプトアビジン突然変異タンパク質試薬(例えば、WO2018197949およびPoltorak et al. (2020) Sci Rep 10, 17832を参照されたい)と共にインキュベートして、18~30時間、T細胞を活性化した。
【0785】
活性化後、T細胞組成物を、連続向流遠心分離システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)において、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)をコードするレンチウイルスベクター粒子の存在下で遠心分離の連続向流水簸(「CCE」)ベースの方法に付して、ベクターでT細胞に形質導入した(「インプット組成物」)。CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域、免疫グロブリン由来のスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン)を含有した。ウイルスベクターにおける発現コンストラクトは、切断型受容体をコードする配列をさらに含有しており、この配列は、T2Aリボソームスキップ配列によってCAR配列から分離されおり、CAR発現のサロゲートマーカーとして機能した。
【0786】
初めに、T細胞組成物を、200mLの総培地体積中1~200万細胞/mLを含有するように生成し、システムの円錐形のエンクロージャー部分に、円錐形のエンクロージャー部分の長さに沿って伸びている狭いカニューレ経由で投入した。投入するための、T細胞組成物は、円錐形のエンクロージャー部分の広端においてカニューレに入り、円錐形のエンクロージャー部分の尖端においてカニューレから出た。T細胞組成物を、最初に、3,000:10の遠心力の流量に対する比(300のG/FR)をもたらす3,000×gの遠心力および10mL/分の流量に付して、細胞の流動床を形成した。生存不能な細胞は、円錐形のエンクロージャー部分の尖端の外縁の方に凝集する傾向があった。流動細胞床の確立後、レンチウイルスベクター粒子を含有する10mL溶液を、遠心力および流量を維持しながら円錐形のエンクロージャー部分に連続向流遠心分離機システムのカニューレ経由で投入して、細胞およびベクター粒子の流動床を確立した。
【0787】
細胞およびベクター粒子の流動床を確立した後、625×gの遠心力でだが流量を10mL/分で維持し、その結果、62.5のG/FRをもたらした。これらの条件は、より大きい、粘着性の生存不能なT細胞凝集物を円錐形のエンクロージャー部分の円錐の尖端においてペレットとして凝集し続けさせ(「廃棄物」画分)、その一方で、流動T細胞(生存可能なまたは生存不能などちらかの)およびベクター粒子を強制的に円錐形のエンクロージャー部分の中心に向かわせ、円錐形のエンクロージャー部分の広端から出(水簸)させ、「アウトプット」画分として流路を通って収集チャンバーに流入させた。細胞組成物を方向転換し、最終形質導入細胞「産物」画分として収集するまで、合計30分間、アウトプット画分を、連続向流遠心分離機システムの円錐形のエンクロージャー部分を通って再循環させた。
【0788】
再循環後、アウトプット画分を方向転換し、125のG/FRをもたらす2,500×gの遠心力および20mL/分の流量で最終生細胞「産物」画分として収集した。形質導入「産物」画分をカニューレ経由で収集し、収集細胞は、円錐形のエンクロージャー部分の尖端においてカニューレに入り、円錐形のエンクロージャー部分の広端においてカニューレから出た。形質導入「産物」画分を培地に0.75×106細胞/mLの濃度で再懸濁させ、24時間、摂氏37度でインキュベートしてウイルスベクターを統合させた。多様な画分中の生細胞および生存不能な細胞の数を蛍光顕微鏡法ベースの細胞計数機器によって決定した。
【0789】
3回の異なるランからの結果を
図1Aおよび1Bに示す。形質導入の例示的な遠心分離方法は、生存不能な細胞の平均およそ50%を除去し(
図1A、下のパネル)、生細胞収率を平均およそ20%増加させた(
図1B)。これらの結果は、形質導入のCCEベースの方法が試料中の生細胞を濃縮することができ、そのパーセンテージを増加させることができることを実証する。
【0790】
B.形質導入効率および形質導入後の細胞生存率
節Aで説明したように、初代ヒトT細胞組成物をヒト成人ドナーからの白血球アフェレーシス試料から生成し、抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターの存在下で遠心分離のCCEベースの方法に付してベクターでT細胞に形質導入した(「インプット」組成物)。遠心分離された細胞組成物の形質導入効率および細胞生存率を、形質導入の直後に、およびその後の複数の時点で評価した。
【0791】
対照として、スピノキュレーションを用いるかそれとも用いない、規模を縮小した方法によって、レンチウイルスベクターでT細胞に形質導入した。スピノキュレーション方法については、T細胞組成物を、2×107生細胞/mLを含有するように生成し、実質的に堅い円筒形の遠心分離チャンバーにおいて30分間、693gで遠心分離した。「無回転」対照試料は、同じ条件下で、しかし遠心分離を用いずに、インキュベートした。ベクター力価は、全ての試料について100万細胞当たり1.11μLであった。対照組成物は、ウイルスベクターを統合させるために形質導入後にもインキュベートした。
【0792】
インキュベーション後、形質導入産物画分を収集し、自動化されたデッドエンド遠心分離および緩衝液交換方法によって洗浄した。形質導入効率を、形質導入細胞組成物中のCARの表面発現を有するCD3+T細胞のパーセンテージに基づいて決定した。形質導入細胞組成物の生存率を、節Aで説明したように評価した。
【0793】
2名のドナーからの細胞から生産した形質導入細胞組成物について
図2Aに示すように、CCEベースの方法は、無回転対照方法と比べて改善された形質導入効率をもたらした。CCE方法の形質導入効率は、スピノキュレーション方法を用いて達成される形質導入効率より低かった。
【0794】
図2Bに示すように、T細胞の生存率は、65パーセントから、ベクターを用いる連続向流遠心分離の直後に81パーセントへ増加した(「インプット」対「0h」)。形質導入後24時間(「24h」)および5日(「5日目」)両方の時点で、形質導入T細胞は、それらの形質導入前生存率と比較して細胞生存率の増加を示し続けた。一方、細胞生存率は、対照試料では形質導入前生存率レベルから有意に変化しなかった。
【0795】
C.細胞生存率に対する形質導入体積の効果
関連実験では、連続向流遠心分離機システムにおいてCCE方法による同じ方法によって30mLまたは60mLのどちらかの総体積で100万細胞当たり1.11μLのベクターを用いてT細胞に形質導入した。対照として、T細胞を規模縮小スピノキュレーション方法に付した。CCE方法に付した30mLおよび60mL両方の細胞およびベクター組成物の生存率は、同程度に増加した(
図3)。これは、組成物の体積が、形質導入細胞の生存率に対して有意な影響を及ぼさなかったことを示す。
【0796】
結果は、連続向流遠心分離機システムを使用して、同時に、T細胞組成物にウイルスベクター粒子で形質導入しかつ組成物を生存可能なT細胞について濃縮することができるという観察結果と一致する。
[実施例2]
【0797】
代替自動化遠心分離に対する連続向流遠心分離による形質導入生細胞の濃縮
T細胞組成物を11名のヒトドナーから実施例1で説明したように生成し、活性化した。活性化後、細胞を組換えIL-2、IL-7およびIL-15を含有する培地に再懸濁させ、抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを用いてスピノキュレーションによって693gで30分間、形質導入した。CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域、免疫グロブリン由来のスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン)を含有した。ウイルスベクターにおける発現コンストラクトは、CAR発現のサロゲートマーカーとして機能する、切断型受容体をコードする配列をさらに含有しており、この配列は、T2Aリボソームスキップ配列によってCAR配列から分離されていた。
【0798】
スピノキュレートした細胞を洗浄し、培地に再懸濁させ、活性化の開始後96時間まで、摂氏37度で培養した。培養後、形質導入T細胞組成物(「インプット組成物」)を、連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)の円錐形のエンクロージャー部分に投入し、30秒間、3,000gの遠心力および10mL/分の流量に付して、流動細胞床を確立した。次いで、形質導入細胞を2,500gの遠心力および40mL/分の流量(62.5のG/FR)または75mL/分の流量(33.3のG/FR)のどちらかに付した。次いで、これらの条件下で、「洗浄」工程の際に培地を交換して1.25%ヒト血清アルブミンを含有するPlasmaLyte pH7.4にし、廃棄物画分の収集および分析のための生存不能な細胞の水簸を可能にした。
【0799】
対照として、同じドナーに由来し、同じ方法によって生成した、形質導入T細胞組成物を、自動化されたデッドエンド遠心分離および緩衝液交換の代替方法(「代替方法」)に付した。
【0800】
連続向流ベースの方法または代替方法によって生成したインプット組成物、洗浄済み産物画分および廃棄物画分の細胞生存率を、前に説明したように評価した。
図4A(各線はドナーを表す)に示すように、インプット組成物の連続向流遠心分離は、洗浄済み産物画分において改善された細胞生存率を一貫してもたらし、これは、遠心分離および緩衝液交換の代替方法に付したインプット組成物では観察されなかった。観察結果は、試験した両方のG/FRについて同様であった。
[実施例3]
【0801】
凍結保存産物における改善された生存率の維持
実施例2からの洗浄済み産物(WP)画分を、その後、25%緩衝液および75%CryoStor(登録商標)CS-10培地に再懸濁させて、製剤化薬物製品(FDP)を生産した。FDPの生存率を、おおむね説明したように評価した。洗浄済み産物画分において観察された改善された細胞生存率は、FDPにおいて維持されることが見出された。次いで、FDPを速度制御フリーザーにおいて凍結して凍結保存薬物製品(CDP)を生産した。CDPを液体窒素中で少なくとも3日間、保管した後、室温での解凍のために取り出した。解凍CDPの生存率は、洗浄前産物画分(「回収産物」;HP)、WP画分およびFDPの生存率と比較して低下することが観察された(
図4B)。
【0802】
FDPと解凍CDP間の生存率の喪失がドナー依存性であるかどうかを決定するために、各ドナーについてのWP画分、FDP、および解凍CDPの細胞生存率を、同じドナーの洗浄前産物画分における細胞の初期生存率に対して正規化した(
図4C)。ドナー特異的効果は、観察されなかった。低い生存率を有するドナー洗浄前産物画分においてCCEベースの遠心分離プロトコールによって生細胞が濃縮されることをさらに確認するために、プロセスの各工程中の細胞の数および位置を、最低生存率を有するドナー洗浄前産物画分において追跡した。洗浄前産物(HP)画分は、61%細胞生存率を示したが、洗浄済み産物(WP)画分は、92%生存率を示した(
図4D)。これは、生細胞および生存不能な細胞が、洗浄前産物画分生存率にかかわらず、CCEベースの遠心分離中に分離され、異なる画分へ分配されることを示す。
【0803】
CCEベースの遠心分離プロトコールを、解凍CDPにおいて観察される生存率向上の喪失を低減させるように改変した(「改変されたCCEベースの方法」)。具体的には、遠心力および流量を、細胞に対する遠心応力を低下させるように下方調整した。
図4E(低い生存率(<70%)を有するインプット画分が菱形およびアスタリスクによって指定されている)に示すように、遠心力を2500gから1000gに低下させることおよび28.5mL/分の流量を実行すること(35のG/FR)によって、解凍CDPにおける生存率向上効果が保たれた。改変されたCCEベースの方法は、代替方法と比較して細胞数の匹敵する収率を達成することも見出された(
図4F)。理論に捉われようとは思わないが、これらの観察結果は、より低い遠心力および流量は解凍CDPにおいて観察される細胞生存率の喪失を低減させることができるという発見と一致する。
【0804】
関連実験では、ドナー試料からの細胞の低(230~400×10
6細胞)、中(400~750×10
6細胞)および高(>750×10
6細胞)投入量を、実施例2で説明した改変されたCCEベースの方法(「Mod CCE」)または代替方法(「Alt」)のどちらかに付した。ドナー試料をそれぞれの改変されたCCEベースの方法と代替方法とで合致させた。細胞投入量が、改変されたCCEベースの方法から生産されたCDPの生存率に影響を及ぼすことは、観察されなかった。加えて、改変されたCCEベースの方法によって生産されたCDPは、細胞投入量に関係なく、代替方法と比較して同様のまたはより高い生存率を示した(
図4G)。
【0805】
モデル化を実施して、洗浄前産物(HP)画分において様々な生存率を示すドナー試料の中での改変されたCCEベースの方法または代替方法のどちらかから生産されるCDPの細胞生存率の改善を予測した。
図4H、4Iおよび4Jに示すように、改変されたCCEベースの方法が、代替方法と比較して、特に、より低い生存率を示す洗浄前産物画分(「HP」)を有するドナーの中で、生存率向上の増大をもたらすことが、このモデル化によって予測された。したがって、生存率向上を、匹敵する最終製品収率を維持しながら達成することができる。潜在的な不純物(例えば、タンパク質、DNA、細胞残屑、および製造中に使用した試薬)を除去するCCEベースの方法の能力も、流入および流出培地のモデル化によって、ならびに流入培地の実際の測定によって評価した。特に、
図4Kは、流入および流出培地中の不純物の予測濃度、ならびに流入培地中の不純物の測定濃度を示す。
【0806】
この結果として、モデル化は、改変されたCCEベースの方法は製品製造が成功を収めるドナーの数を増加させることができることを示す。
[実施例4]
【0807】
拡大培養プロトコールに従う連続向流遠心分離による形質導入生細胞の濃縮
T細胞を活性化の開始後合計して合計15日間培養する拡大プロトコールに細胞を付したことを除いて、実施例2で説明したように初代ヒトT細胞組成物を生成し、形質導入した。活性化の開始後15日間、T細胞組成物をインキュベートすることによって、細胞は、あまり活性化されなくなり得、その結果、それらのサイズが変化し得る。それ故、G/FR比率が拡大プロトコールに付した生細胞の濃縮にどのような影響を及ぼすのかを理解するための実験に着手した。
【0808】
拡大培養プロトコールに従って、50%細胞生存率を示す形質導入T細胞インプット組成物を、連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)の円錐形のエンクロージャー部分に投入し、30秒間、3,000gの遠心力および10mL/分の流量に付して、流動細胞床を確立した。次いで、遠心量を2,500gに低下させ、流量を40mL/分に増加させ、その結果、62.5のG/FR比率をもたらした。実施例2の場合と同様に、「洗浄」工程の際に培地を交換して、1.25%ヒト血清アルブミンを含有するPlasmaLyte pH7.4にし、廃棄物画分の収集および分析のための生存不能な細胞の水簸を可能にした。
【0809】
生細胞および生存不能な細胞の数を、前に説明したように評価した。
図5A(左側のパネル)に示すように、遠心力および流量を62.5のG/FRで遠心分離プロセス全体を通して一定に保ったとき、産物画分(洗浄済み産物1)中の生細胞のパーセンテージは、インプット組成物(インプット)中の生細胞のパーセンテージと比較してほとんど変化しなかった。加えて、洗浄済み廃棄物画分(洗浄廃棄物)中には生存不能な細胞がほとんど存在しなかった。
【0810】
追加の生存不能な細胞を水簸するために、第2の洗浄工程を、第1の洗浄中に収集した細胞(洗浄済み産物1)に対して実行した。第2の洗浄工程中、遠心力を2,500gに保ち、流量を75mL/分で維持し、その結果、33.3のG/FR比率をもたらした。33.3のG/FR比率での第2の洗浄後、有意な数の生存不能な細胞が、洗浄済み廃棄物画分(洗浄廃棄物)中に見出され(
図5A;右側のパネル)、産物画分(洗浄済み産物2)中の生細胞のパーセンテージは、インプット組成物中の細胞のパーセンテージと比較し有意に改善された(
図5B)。実施例3に記載した結果と併せて、より低いG/FR比率(例えば、33.3または35)は、生細胞についての濃縮を改善することが観察される。
【0811】
理論に捉われようとは思わないが、拡大プロトコール後の細胞サイズの変化は遠心力、流量、およびこれらの比率の相違の一因となり得、それらを拡大された細胞の生存率向上に使用することができる。拡大プロトコール後の細胞のサイズは、
図5C(下のパネル)に示すように洗浄済み産物1の細胞に基づいて決定した。洗浄済み産物1の生細胞(V)と生存不能な細胞(NV)の両方が9μm未満の平均サイズを有した。比較のために、別の実験における3日の活性化後の細胞のサイズを
図5C(上のパネル)に示す。3日間活性化された細胞は、活性化の開始から15日後に収集した洗浄済み産物1の細胞よりも平均して大きかった。この発見は、細胞が最初の活性化中にサイズが増加し、その後、培養における拡大中にあまり活性化しなくなり、サイズが減少することと一致する。加えて、3日間活性化された細胞のうちの生存不能な細胞(NV)は、約9μm未満の平均サイズを有した一方で、3日間活性化された細胞のうちの生細胞(V)の大半は、より大きいサイズ(約14μm)を有した。
[実施例5]
【0812】
連続向流遠心分離によるウイルス形質導入の効率
実施例1の場合と同様に、初代ヒトT細胞組成物をヒト成人ドナーからの白血球アフェレーシス試料から生成し、抗CD19 CARをコードするスベクターの存在下で遠心分離のCCEベースの方法に付してT細胞に形質導入した。連続向流遠心分離方法の多様なパラメーターを、次の節で説明するように独立して変えて、形質導入効率を評価した。
【0813】
A.形質導入効率に対する遠心力および流量の効果
遠心力および流量を変えたことを除いて、おおむね実施例1で説明したように、CCEベースの方法を使用して抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを用いてT細胞組成物に形質導入した。細胞およびベクター粒子の流動床の確立後、遠心力を625×gまたは1,500×gのどちらかに調整し、流量を10mL/分または24mL/分のどちらかに調整し、その結果、62.5または150どちらかのG/FR比率をもたらした(表E1を参照されたい)。
【0814】
【0815】
形質導入効率は、CARの表面発現を有するCD3+T細胞のパーセンテージを決定することによって算出した。
図6Aに示すように、CARをコードするクターを用いて表E1に記載の遠心力および流量でT細胞組成物に形質導入した。試験した異なるパラメーターは、CD3+CAR+T細胞の同様のパーセンテージをもたらした。
【0816】
対照として、連続向流遠心分離機システムベースの方法を、実施例1の亜節Bで説明した形質導入の規模縮小スピノキュレーション方法と比較した。遠心分離後ベクター統合を実施例1で説明したように進行させ、形質導入効率を評価した。規模縮小スピノキュレーションベースの形質導入の結果を
図6Bに示す。2つの方法の形質導入効率は、匹敵することが観察され、したがって、CCEベースの方法は、匹敵する形質導入効率をもたらしたが、より高い細胞生存率をもたらした。
【0817】
さらなる遠心力および流量、具体的には、300Gの遠心力-対-10mL/分の流量(300G/10FR)および3000G/30FR条件を、再循環について試験した。300G/10FRでの再循環は、表E1中の試験したパラメーターで達成される形質導入効率に匹敵する形質導入効率をもたらした。
図6Cに示すように、3000G/30FRでの再循環は、625G/10FRでの再循環および規模縮小スピノキュレーション対照方法を用いて達成された形質導入効率と比較して低下した形質導入効率をもたらした。
【0818】
1500G/10FR条件を1分間適用し、続いて300G/10FR条件を1分間適用する、別の再循環手順を試験した。この手順を30分インキュベーションにわたって繰り返すことによって、インキュベーション全体を通して円錐形のエンクロージャーにおける流動床のサイズを周期変動させた。
図6Dに示すように、この周期変動再循環手順は、625G/10FRでの再循環を用いて達成される形質導入効率に匹敵する形質導入効率をもたらした。
【0819】
B.形質導入効率に対するベクター力価の効果
おおむね前の節で説明したように、CCEベースの方法によって100万細胞当たり1.11または3.33μLのどちらかのベクターでT細胞組成物に形質導入した。
図7Aに示すように、100万細胞当たり3.33μLのベクターを使用したとき、CD3+CAR+細胞のパーセントが増加した。
【0820】
625G/10FRの再循環条件下で100万細胞当たり別のベクターロットからのベクター6μLを形質導入に使用するさらなる実験を実施した。5名のドナーからの形質導入T細胞について
図7Bに示すように、このベクター力価は、693Gでの大規模スピノキュレーション対照方法に匹敵する形質導入効率をもたらした。これは、大規模スピノキュレーション対照方法に匹敵する効率を最適な力価で達成することができたことを示す。
【0821】
C.形質導入効率に対するインキュベーション体積の効果
ベクター力価を一定に保ちつつ形質導入体積を変えたことを除いて、おおむね前の節で説明したように、連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)においてT細胞に形質導入した。T細胞を100万細胞当たり1.11μLのベクターと共に30mLまたは60mLの総体積で遠心分離した(表E2を参照されたい)。
図8Aに示し、
図8Bにおいて定量化するように、結果は、形質導入体積がCCEベースの方法の形質導入効率に対して有意な影響を及ぼさないことを示した。同様の結果が、25mL、35mLおよび65mLの形質導入体積を試験した追加のドナーから生産した形質導入T細胞について得られた。
【0822】
【0823】
D.形質導入効率に対するT細胞数の効果
別の実験では、形質導入体積およびベクター力価を一定に保ちつつT細胞の数を変えたことを除いて、おおむね前の節で説明したように、連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)においてT細胞に形質導入した。表E3に示すように、2億個または6億個どちらかのT細胞を100万細胞当たり1.11μLのベクターと共に35mLの総体積で遠心分離した。対照として、1500万個のT細胞を、前に説明した規模縮小スピノキュレーション方法に付した。6億個のT細胞を含有する組成物は、2億個のT細胞を含有する組成物より大きいかつ密度の高い流動細胞床をもたらした(データを示さない)。形質導入効率は、前の節で説明したように決定した。結果は、
図9Aに示し、
図9Bにおいて定量化するように、CCE条件間で、インプット組成物中のT細胞の数が多いほど高い形質導入率をもたらすことを実証した。
【0824】
【0825】
E.形質導入効率に対するインキュベーション時間の効果
アウトプット画分を30分または90分のどちらかにわたって連続向流遠心分離機システムの円錐形のエンクロージャーを通って再循環させることによってインキュベーション時間を変えたことを除いて、おおむね前の節で説明したように、連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)において200×106個のT細胞に形質導入した。上清試料を遠心分離機チャンバーから定期的に収集して、レンチウイルスベクターの消費を経時的にモニタリングした。Jurkat細胞に試料で形質導入し、各上清試料中のレンチウイルスベクターの量を形質導入効率に基づいて評価した。連続向流遠心分離機システムによって形質導入されたT細胞の形質導入効率も評価した。
【0826】
図10Aに示すように、5分のインキュベーション後に得られたレンチウイルスベクター上清試料によって形質導入されたJurkat細胞のパーセントは、出発レンチウイルスベクター材料によって形質導入されたJurkat細胞と比較しておよそ20%低下した。
図10Bに示すように、レンチウイルスベクター粒子と共に30分間インキュベートしたT細胞と、粒子と共に90分間インキュベートしたT細胞との間に、形質導入効率の有意差は観察されなかった。理論に捉われようとは思わないが、この実験の結果は、レンチウイルスベクターの大部分がインキュベーションの最初の5分以内に消費され、そのため、より長いインキュベーション時間が形質導入効率を上昇させない可能性があることを示す。
【0827】
F.ベクター濃度に対する遠心分離機システム容量の効果
連続向流遠心分離機システムの総容量を流路へのインキュベーションバッグの追加によって増加させたことと除いて、実施例1で説明したCCEベースの方法を使用して625G/10FRの再循環条件下でT細胞に形質導入した。インキュベーションバッグなしの総システム容量は、25mLであった。総システム容量をインキュベーションバッグの追加によって39mLまたは72mLに増加させた。円錐形のエンクロージャー部分の容量は、15mLであった。
【0828】
39mLから72mLに総システム容量を増加させることは、形質導入効率に影響を及ぼさなかった。さらなる分析によって、39mLシステムでは、ウイルスベクターは、遠心力場が存在する円錐形のエンクロージャー部分において、円錐形のエンクロージャー部分が総システム容量の15mLしか占めないにもかかわらず、優先的に濃縮されることが明らかになった(
図11、左側のパネル)。72mLシステムでは、ウイルスベクターのさほど優先的でない濃縮が観察された(
図11、右側のパネル)。
[実施例6]
【0829】
遠心水簸によるビーズ-細胞組成物の脱ビーズ化
初代ヒトT細胞組成物を実施例1で説明したように生成した。T細胞を、抗CD3および抗CD28抗体でコーティングしたおよそ200×106個の常磁性ポリスチレンビーズと共に24時間、摂氏37度でインキュベートして、T細胞を刺激した。刺激後、細胞およびビーズ組成物を7.5×105細胞/mLに希釈し、さらに摂氏37度で72時間インキュベートした。さらなるインキュベーション後、自動化細胞計数器によって分析して、細胞組成物は66%生存率を有する1.60×106細胞/mLを含有すると判定した。次いで、細胞-ビーズの組成物を連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)の円錐形の流体エンクロージャー部分に「インプット」組成物として入れ、遠心分離の連続向流水簸(「CCE」)ベースの方法に付した。インプット組成物を最初に1,000gの遠心力および30mL/分の流量に付して、円錐形の流体エンクロージャーにおいて細胞-ビーズの組成物の流動床を確立した。
【0830】
その後、細胞-ビーズの組成物の流動床を50mL/分の流量に付した。遠心力を1,000gから200gへ100g刻みで段階的に減少させた。試料を細胞数および生存率の分析のために間隔を置いて採取した。収集したデータに基づいて、50mL/分の流量および600gの遠心力を後続の実験に選択した。
【0831】
後続の実験では、T細胞インプット組成物をおよそ200×106個のビーズと69.5%生存率を有する2.08×106細胞/mLとを含有するように生成した。最初に1,000gの遠心力および30mL/分の流量に付して細胞-ビーズ組成物の流動床を確立した後、インプット組成物を600gの遠心力および50mL/分の流量に付し、その結果、T細胞の「アウトプット」画分を得、この画分を、それを「産物」画分として最終収集チャンバーへ方向転換するまで、連続向流遠心分離機システムを通って流路で再循環させた。
【0832】
インプット組成物ならびに産物および廃棄物画分中のビーズの数を、蛍光顕微鏡法ベースのCytation(商標)5細胞イメージングシステムを使用して決定した。最終産物画分は、インプット組成物に存在するビーズ粒子のおよそ0.01%に相当する220ビーズ/mLを含有した。収集された廃棄物画分は、40,930細胞/mLを含有した。アウトプット画分中の細胞およびビーズ粒子の数を表E4に示す。
【0833】
【表4】
産物
1は、インプット組成物全体をチャンバーに通した後の第1の水簸画分である。
産物
2は、チャンバーを緩衝液ですすいだ後の第2の水簸画分である。
[実施例7]
【0834】
連続向流遠心分離機システムにおける形質導入のための追加の方法
連続向流遠心分離機システム(CTS Rotea(商標)向流遠心分離システム)において細胞に形質導入するための追加の方法を、形質導入効率に対するそれらの効果について試験した。下に記載する改変以外、追加の方法は、他の点では実施例1で説明したとおりであった。
【0835】
試験した1つの追加の方法では、T細胞およびレンチウイルスベクター粒子を、細胞およびベクター粒子の流動床を確立した後1分間インキュベートし、次いでその直後に、形質導入産物画分を再循環することなく収集した。この方法は、実施例1で説明した625G/10FR CCE方法を用いて達成される形質導入効率と比較して低下した形質導入効率をもたらした。
【0836】
試験した別の追加の方法では、T細胞およびレンチウイルスベクター粒子を、細胞およびベクター粒子の流動床を確立した後30分間、625G/10FR条件下でインキュベートした。しかし、インキュベーション中に、流路における流れを、円錐形のエンクロージャー部分の中心を通って半径方向内向きの向流ではなく、円錐形のエンクロージャー部分の尖端を通って半径方向外向きに向かわせた。この方法は、実施例1で説明した625G/10FR CCE方法を用いて達成される形質導入効率に匹敵する形質導入効率をもたらした。
【0837】
試験した別の追加の方法では、細胞およびベクター粒子の流動床を2500G/40FRで確立し、1分間、625G/10FRでインキュベートし、その後、流れを625G/10FRのままで逆転させて、細胞およびベクター粒子を流動床から、円錐形のエンクロージャー部分の長さに沿って伸びている狭いカニューレを通って、円錐形のエンクロージャー部分の尖端から中心へと強制的に進ませた。細胞およびウイルス粒子を1分間にわたってカニューレから収集し、その後、未回収の細胞およびベクター粒子を用いて細胞およびベクター粒子の流動床を再確立した。この手順を30分のインキュベーションにわたって繰り返した。この方法は、実施例1で説明した625G/10FR CCE方法を用いて達成される形質導入効率に匹敵する形質導入効率をもたらした。
【0838】
まとめると、これらの結果は、非向流方法、または連続向流遠心分離機システムからの細胞の定期的回収を含む方法を含む、連続向流遠心分離機システムにおける形質導入のための他の方法を、実施することができることを確証する。
【0839】
本発明は、例えば本発明の種々の態様を説明するために提供される特定の開示される実施形態に、範囲が限定されることを意図しない。記載される組成物および方法の種々の改変は、本明細書の記載および教示から明らかになるであろう。そのような変形形態は、本開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0840】
配列
【0841】
【配列表】
【国際調査報告】