(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】パルス刺激制御方法、装置、医療システム、電子機器及び媒体
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20250130BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
A61N1/362
A61B5/352
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545033
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2023073806
(87)【国際公開番号】W WO2023143602
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210114130.2
(32)【優先日】2022-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523163196
【氏名又は名称】合源医療器械(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】UNITED INNOMED (SHANGHAI) LIMITED
【住所又は居所原語表記】Floor 2, East Area Building #1, No. 299 Kangwei Road, Pudong New Area Shanghai 201315, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 励
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
4C127AA02
4C127BB05
4C127DD03
4C127GG02
(57)【要約】
本発明は、パルス刺激制御方法、装置、医療システム、電子機器及び媒体を開示し、当該方法は、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するステップと、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベント及びその第2センシング時間を決定するステップと、第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、パルス刺激を対応して送出しないように制御するステップとを含む。本発明は、誤った場合に心臓のパルス刺激を送出せず、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に回避することを保証し、R波であると決定した場合のみにパルス刺激を送出し、且つプリセットの心電図中のR波に対応する送出可能期間内に送出することを保証し、パルス刺激の患者心臓に対する信頼性、安全性、タイムリー性及び有効性を保証し、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果をよりよく保障する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するステップと、
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するとともに、前記センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するステップと、
前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含み、
ここで、前記第1プリセットの条件は、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に基づいて決定される、
ことを特徴とするパルス刺激制御方法。
【請求項2】
前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得するステップと、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入らないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項3】
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定する前記ステップは、
前記第1センシング時間を第1時点とし、且つ、前記第1時点の前の第1設定の持続時間に対応する時点を時間基準開始点とするステップと、
前記時間基準開始点に基づいて、前記設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入ると、前記センシングイベントがR波であると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~3の少なくとも1項に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項5】
前記パルス刺激制御方法は、
前記センシングイベントがR波であった後、前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定するステップと、
前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~4の少なくとも1項に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項6】
前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定する前記ステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウを取得し、
ここで、前記パルス送出可能時間ウィンドウは、前記センシング時間ウィンドウに対応して設定されるステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入ると、前記パルス送出時間にパルス刺激を前記設定の心筋位置における刺激電極に送出するように制御するステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入らないと、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項7】
前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
各前記局所心筋心電図中の前記センシングイベントが発生した前記第2センシング時間の順序にしたがって、対応する前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入るか否かを順次判断するステップをさらに含み、
ここで、前記センシング時間ウィンドウは、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び最初に発生した前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に応じて決定される、
ことを特徴とする請求項2~6の少なくとも1項に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項8】
前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
異なる前記設定の心筋位置でのセンシング時間に対応する設定のセンシングパラメータをプリセットし、
ここで、前記設定のセンシングパラメータには、設定のセンシング時間及び/又は設定のセンシング発生順序が含まれるステップ、又は、
最初に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップ、又は、
最後に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~7の少なくとも1項に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項9】
前記プリセットの心電図には、体表面心電図及び/又は体内ファーフィールド心筋心電図が含まれ、
及び/又は、
前記パルス送出可能時間ウィンドウ及び前記センシング時間ウィンドウは、前記プリセットの心電図に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項10】
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定する前記ステップは、
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応する前記パルス送出時間を算出するステップ、を含み
又は、
前記プリセットの心電図中のR波に対応する前記第1センシング時間と、前記設定の心筋位置の前記第2センシング時間との間の時間差値を算出するステップと、
前記第1センシング時間を基準ゼロ点として、前記時間差値及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置に対応する前記パルス送出時間を算出するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項11】
前記パルス刺激は、CCM刺激であり、
ここで、前記CCM刺激は、
洞性心拍、心房の下伝達に起因する心室心拍、心室に起因する心室心拍、及び心室ペーシング心拍のうちの少なくとも1つの心室電気活動の際に送出される、
ことを特徴とする請求項1~10の少なくとも1項に記載のパルス刺激制御方法。
【請求項12】
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するための第1センシング時間取得モジュールと、
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するためのセンシングイベント決定モジュールと、
前記センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するための第2センシング時間取得モジュールと、
前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するための第1判断モジュールと、を含み、
ここで、前記第1プリセットの条件は、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に基づいて決定される、
ことを特徴とするパルス刺激制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載のパルス刺激制御装置を含む、
ことを特徴とする医療システム。
【請求項14】
メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されてプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムを含む電子機器であって、
前記プロセッサによってコンピュータプログラムが実行されると、請求項1~11のいずれか1項に記載のパルス刺激制御方法が実現される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~11のいずれか1項に記載のパルス刺激制御方法が実現される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、出願日が2022/1/30であり、出願番号2022101141302である中国特許出願の優先権を主張する。上記の中国特許出願の全部の内容が、引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医療機械技術の分野に関し、特に、パルス刺激制御方法、装置、医療システム、電子機器及び媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
現在市販されているCCM(心筋収縮調節)機能を有する医療装置は、基本的には、慢性心不全患者に使用され、一般的に、局所心筋の電位をセンシングし、且つセンシング後の一定時間にパルス刺激を送出して、心室心筋収縮性を高めるための、2つの双極リードを用いて右心室中隔に植え込む。この2本の双極の電極は、局所心筋の電気活動及び電気活動の時間順序をセンシングするために用いられ、2つの電極は、いずれも局所心筋の送出可能期間(安全期間とも呼ばれ、局所心筋の絶対不応期に対応)内に局所心臓電気活動によりパルス刺激(又はCCM刺激とも呼ぶ)をトリガするのに使用でき、パルス刺激は、心房が起こした心室心拍(電気活動)でしか送出されず、心室期外収縮又は他の心室が起こした心拍下では送出されない。
【0004】
パルス刺激は、ローカル心筋の送出可能期間内に送出されることにより、効果的になるとともに、ローカル心筋の再度脱分極が引き起こされない。しかし、パルス刺激のエネルギーはかなり大きく、このように大きなエネルギーの電気刺激は、刺激電極が接触しているローカル心筋以外のファーフィールド心筋に影響を及ぼす可能性があり、この影響程度は、ローカル心筋に位置する刺激電極設計(例えば形状)及び電極間の距離に応じて変化し、同様のエネルギー下では、刺激電極間の距離が大きいほど、又は刺激電極の有効面積が大きいほど、ファーフィールド心筋に与える可能性のある影響程度及び/又は範囲も大きくなる可能性がある。ローカルパルス刺激が心筋の再分極(絶対不応期内)が遅い部位で発生した場合、パルス刺激の送出時間が、早く脱分極した(ローカル心筋に対して)ファーフィールド心筋の動作電位の送出可能期間の後になる可能性があり、こうすると、この部分の心筋によって再度脱分極が発生する可能性が高くなって、悪性心室不整脈(VT/VF、心室頻拍又は心室細動)が引き起こされるリスクがある。既存のパルス刺激方案は、心室中隔でパルス送出を行うことである。心房の下伝達によりこの領域の心室筋が早く活性化され、例えば左心室の側壁等の他の領域の心室筋よりも早い。こうすると、心室中隔で送出されるパルスが、他の領域の送出可能期間の後にならず、これらの領域の心筋が心室不整脈にトリガされるリスクを低減又は回避する。しかし、心室の興奮が心房に下伝達される電気活動によるものではなく、例えば期外収縮、心室ペーシング等の、心室の自己電気活動によるものである場合、心室中隔の心室筋の電気活動は、必ずしも心室筋で最も早いものとは言えず、この場合、心室中隔上で送出されるパルス電気刺激は、他の領域の心筋の送出可能期間の後になる可能性があり、それにより、当該領域の心筋がパルスに電気的に刺激されて不整脈を誘発するリスクが高まる。そのため、既存のパルス刺激装置は、心房による心室興奮(心室異所性興奮)でない場合、パルス刺激を送出しない。しかし、心不全患者の心室期外収縮の発生率が高く、一部の心不全患者は、長期にわたって心室ペーシングに依存し、そのうち、心拍数の低下のためにβ受容体遮断薬を長期服用する一部の患者、単室ICDの患者、及びCRT(心臓再同期治療)の患者が含まれる。これが原因で、これらの患者の心筋に与えるパルス刺激の肯定的な影響が大幅に減少する可能性がある。心筋刺激電極を心室の他の部位(例えば心室中隔以外の部位)に配置すると、以上で説明した状況と同様のリスクの発生率がより高い可能性がある。
【0005】
既存のパルス刺激方案では、ある心筋位置の局所心筋心電図にセンシングイベントが発生したことが検出されると、一定時間後に、現在の心筋位置での刺激電極に送出されるパルス刺激に直接制御することができ、しかしながら、ある心筋位置の局所心筋心電図に誤センシングが発生した場合、センシングイベントは、T波又は他のイベント(例えば干渉信号)であり、パルス刺激は、T波の後に行われ、こうすると、悪性心室不整脈VT又はVFが誘発されるリスクが顕著に高まり、それにより、患者の生命リスクが高まり、且つ、患者に余分な痛み刺激を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的問題は、既存の技術において、直接ある心筋位置に基づく局所心筋心電図にセンシングイベントがあると、パルス刺激を対応する心筋に送出すると決定し、誤センシングした場合、悪性心室不整脈VT又はVF等を誘発するリスクがあり、且つ、心室自体により引き起こされた心室電気活動でパルスを送出することができず、心房に下伝達された心室が電気活動する際のみに、心房中隔でパルス刺激を送出することができる等の欠陥が、パルス刺激方案に存在するということであり、パルス刺激制御方法、装置、医療システム、電子機器及び媒体を提供することを目的とし、心臓収縮性に対する効果をよりよく強化するとともに、この過程に心室不整脈を誘発するリスクを非常に小さい程度に抑えることを確保することができて、患者に対するパルス刺激の安全性及び治療効果を効果的に保障することを達成するために、パルス刺激電極を心室の異なる位置(例えば、左心室壁)又は複数の位置に配置できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的解決手段により上記の技術的問題を解決する。
【0008】
本発明は、パルス刺激制御方法を提供し、前記方法は、
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するステップと、
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するとともに、前記センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するステップと、
前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含み、
ここで、前記第1プリセットの条件は、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に基づいて決定される。
【0009】
好適には、前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得するステップと、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入らないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む。
【0010】
好適には、前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定する前記ステップは、
前記第1センシング時間を第1時点とし、且つ、前記第1時点の前の第1設定の持続時間に対応する時点を時間基準開始点とするステップと、
前記時間基準開始点に基づいて、前記設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを取得するステップと、を含む。
【0011】
好適には、前記方法は、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入ると、前記センシングイベントがR波であると決定するステップをさらに含む。
【0012】
好適には、前記パルス刺激制御方法は、
前記センシングイベントがR波であった後、前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定するステップと、
前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定するステップと、をさらに含む。
【0013】
好適には、前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定する前記ステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウを取得し、
前記パルス送出可能時間ウィンドウは、前記センシング時間ウィンドウに対応して設定されるステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入ると、前記パルス送出時間にパルス刺激を前記設定の心筋位置における刺激電極に送出するように制御するステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入らないと、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む。
【0014】
好適には、前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
各前記局所心筋心電図中の前記センシングイベントが発生した前記第2センシング時間順序にしたがって、対応する前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入るか否かを順次判断するステップであって、
前記センシング時間ウィンドウは、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び最初に発生した前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に応じて決定されるステップをさらに含む。
【0015】
好適には、前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
異なる前記設定の心筋位置でのセンシング時間に対応する設定のセンシングパラメータをプリセットするステップであって、
前記設定のセンシングパラメータには、設定のセンシング時間及び/又は設定のセンシング発生順序が含まれるステップ、又は、
最初に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波である場合、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップ、又は、
最後に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波である場合、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップをさらに含む。
【0016】
好適には、前記プリセットの心電図には、体表面心電図及び/又は体内ファーフィールド心筋心電図が含まれ、
及び/又は、
前記パルス送出可能時間ウィンドウ及び前記センシング時間ウィンドウは、前記プリセットの心電図に基づいて決定される。
【0017】
好適には、前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定する前記ステップは、
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応する前記パルス送出時間を算出するステップ、を含み、
又は、
前記プリセットの心電図中のR波に対応する前記第1センシング時間と、前記設定の心筋位置の前記第2センシング時間との間の時間差値を算出するステップと、
前記第1センシング時間を基準ゼロ点として、前記時間差値及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置に対応する前記パルス送出時間を算出するステップとを含む。
【0018】
好適には、前記パルス刺激は、CCM刺激であり、
ここで、前記CCM刺激は、
洞性心拍、心房の下伝達に起因する心室心拍、心室に起因する心室心拍、及び心室ペーシング心拍のうちの少なくとも1つの心室電気活動の際に送出される。
【0019】
本発明は、パルス刺激制御装置をさらに提供し、前記装置は、
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するための第1センシング時間取得モジュールと、
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するためのセンシングイベント決定モジュールと、
前記センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するための第2センシング時間取得モジュールと、
前記第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するための第1判断モジュールと、を含み、
ここで、前記第1プリセットの条件は、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に基づいて決定される。
【0020】
本発明は、上記のパルス刺激制御装置を含む医療システムをさらに提供する。
【0021】
本発明は、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されてプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムを含む電子機器をさらに提供し、前記プロセッサによってコンピュータプログラムが実行されると、上記のパルス刺激制御方法が実現される。
【0022】
本発明は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上記のパルス刺激制御方法が実現される。
【0023】
当分野の常識に合致することを基に、前記各好ましい条件は、任意に組み合わせて、本発明の各好適な実施例を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の積極的な進歩効果は次のとおりである。
(1)R波の後に送出されるパルス刺激のみについて、本発明では、心筋の局所心筋心電図中のセンシングイベントに対して解析処理をタイムリーに行うことができ、誤センシングイベントを自動的かつ正確にスクリーニングして、それを、プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、T波等の干渉信号に属すると決定し、この時、対応する心筋位置にパルス刺激を送出しないように制御し、誤った場合にパルス刺激を送出しないことを保証し、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に低減又は回避し、ひいては患者に不必要な痛み感、さらには安全性の懸念をもたらすことを回避して、患者の安全性を確保し、パルス刺激制御の信頼性を向上させ、また、R波であると決定した場合にパルス刺激をタイムリーに送出すること、即ち、正しい場合にのみパルス刺激を送出することを保証する。
(2)心室送出可能期間内のみにパルス刺激を送出する。パルス刺激送出時間が体表面心電図又は体内ファーフィールド心筋心電図によって反映される心室全体の心臓電気活動(R波)に対応する送出可能期間内に入ることを確認することにより、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性を保証する。ここで、パルス刺激送出時間の安全性を確保するために、体表面心電図又はファーフィールド心筋心電図で心室心臓電気活動の送出可能期間情報を取得することは、パルス刺激技術の積極的な改善も意味し、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果をさらに保障する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例1のパルス刺激制御方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例2のパルス刺激制御方法の第1フローチャートである。
【
図3】本発明の実施例2のパルス刺激制御方法の第2フローチャートである。
【
図4】本発明の実施例2のパルス刺激制御方法の第3フローチャートである。
【
図5】本発明の実施例2のパルス刺激制御方法の第4フローチャートである。
【
図6】本発明の実施例2のパルス刺激制御方法の第5フローチャートである。
【
図7】本発明の実施例2の単一電極リード時のR波センシングに対応する概略的心電図である。
【
図8】本発明の実施例2の複数の電極リード時のR波センシングに対応する概略的心電図である。
【
図9】本発明の実施例3のパルス刺激制御システムのモジュールの概略図である。
【
図10】本発明の実施例4のパルス刺激制御システムのモジュールの概略図である。
【
図11】本発明の実施例5のパルス刺激制御方法を実現する電子機器の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例の方式により、本発明をさらに説明するが、本発明は、前記の実施例の範囲内に限定されるものではない。
【0027】
本発明では、患者の異なる心筋位置に刺激電極を予め設置し(電極を設置する心筋位置は、実際の要求に応じて決定又は調整することができる)、各刺激電極は、リードを介して植え込まれ及び/又は外部のパルス刺激機器に電気的に接続されて、異なる心筋位置に対する心電信号の収集、異なる心筋位置へのパルス刺激の送出等の制御操作を実現する。
【0028】
本発明のパルス刺激方案は、単一の電極リードのパルス刺激の場合に対するものであってもよいし、複数の電極リードのパルス刺激の場合に対するもの、例えばECS(Electrical Circulatory Support、電気刺激循環支援)システムであってもよく、複数の心筋部位にパルス刺激を提供することにより、ローカル的及び全体的に支援することを最も必要とする1つ以上の心室をカバーし、パルス刺激を提供しつつ、当該システムによって提供されるパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性をよりよく確保することができる。
【0029】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例のパルス刺激制御方法は、S101~S103を含む。
【0030】
S101において、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得し、
ここで、プリセットの心電図には、体表面心電
図ECGと、体内ファーフィールド心筋心電
図Far-Field Electrogram (FF-EGMとも呼ばれる)とが含まれるが、これらに限定されず、第1センシング時間は、GS(Global Sense、ファーフィールドセンシング)とも呼ばれる。
【0031】
S102において、第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定して、センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得し、
ここで、ローカル局所心筋心電図中のセンシングイベントに対応する第2センシング時間は、LS(Local Sense、ローカルセンシング)とも呼ばれる。
【0032】
局所心筋心電図中のセンシングイベントは、プリセットの心電図のR波に対応するセンシングイベントである。
【0033】
S103において、第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御し、
ここで、第1プリセットの条件は、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間及びセンシングイベントに対応する第2センシング時間に基づいて決定される。
【0034】
一実施可能な方案において、
図2に示すように、ステップS103は、S1031とS1032を含む。
【0035】
S1031において、プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得し、
ここで、センシング時間ウィンドウの取得方法には、予め設置したセンシング回路に基づいて取得すること、外部機器から入力され、直接受信することにより取得することが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
体表面心電
図ECG:対応する信号は、皮膚に張り付けた制御電極からのものであり、ここでの制御電極は、一般的な体表面心電図電極、特殊設計の電極に限定されない。
【0037】
ファーフィールド心筋心電
図FF-EGMは、心臓全体電気活動の信号を表し(又は反映し)、体表面心電図に類似する。ファーフィールド心筋心電図に対応する信号は、複数種類の制御電極の組合せからのものであり、心筋に直接接触する表面積が大きい(即ち、従来の心筋電気刺激用の電極の表面積より明らかに大きい)電極、心筋に直接接触しないが、心室心筋に近いか又は心室心筋から遠い電極、又は皮下に位置する相対表面積が大きい電極を含むが、これらに限定されない。
【0038】
例えば、異なる電極組合せは、血管又は心室内に配置される、心外膜に配置される除細動電極、sub-Q ICDの皮下除細動電極、又は体外除細動器(例えばAED)の除細動電極等の異なる電極の任意の組合せに対応し、具体的には、これらの異なる電極をどのように組み合せて設置するかは、実際の使用シーンのニーズに応じて決定するか、又は調整することができる。
【0039】
単一又は複数の誘導される体表面心電図、及び/又は1つ以上のファーフィールド心筋心電図中のR波に基づいて、センシング時間及び対応するセンシング時間ウィンドウを取得し、それで心室心筋全体の脱分極電気活動の一部又は全部の時間帯を表すことで、パルス送出可能時間ウィンドウを取得する。刺激部位での送出の有無及び送出時間の制御メカニズムを改善することにより、パルス刺激送出決定の精度をさらに向上させるとともに、安全性を向上させる。
【0040】
S1032において、第2センシング時間がセンシング時間ウィンドウ内に入らないと、センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御する。
【0041】
ここで、局所心筋心電図中のセンシングイベントLSに対応する非R波信号には、T波信号又は他の干渉信号等が含まれる。具体的には、パルス刺激は、CCM刺激であり、パルス刺激の実現を、異なる心室電気活動の状況で行うことができるため、パルス刺激の使用可能範囲を向上させ、パルス刺激制御の全体的な有効性を大幅に向上させる。
【0042】
CCM刺激は、洞性心拍、心房の下伝達に起因する心室心拍、心室に起因する心室心拍(心室異所性興奮)、及び心室ペーシング心拍等の心室電気活動時に発生する。
【0043】
局所センシングのイベントがR波であることを確認することにより、CCM刺激が他の(T波、筋電、又は他の非心筋電気活動等)信号によってトリガされず、ローカルR波によってトリガされることをよりよく確保し、誤ったトリガの発生を効果的に排除し、この肝心な段階の設計により、パルス刺激の安全性及び有効性を効果的に向上させることができる。
【0044】
局所心筋心電図においてLSがR波センシングであるか否かの確認精度を効果的に向上させるために、本実施例では、同一心拍のファーフィールドセンシング(GS)及びローカルセンシング(LS)を同時に考慮し、同一心拍でのファーフィールドセンシング(GS)及びローカルセンシング(LS)を共に使用して判断結果を決定し、1つのセンシング、即ちファーフィールドセンシング(GS)又はローカルセンシング(LS)のみを考慮する時に誤判が発生する可能性が高いことにより、誤ってパルス刺激がトリガされる状況の発生確率を大幅に低下させ、それにより、センシングイベント(LS)に対する確認精度を効果的に向上させ、パルス刺激が誤った場合に送出されることをさらに効果的に回避し、患者に対するパルス刺激の安全性を極めて大きく向上させる。
【0045】
パルス刺激は、ローカル心筋R波(この心筋部位の電極によってセンシングされたもの)の送出可能期間内に送出されるだけでなく、ファーフィールド心筋R波(心室心筋全体によって生成される電気活動)の送出可能期間内でも送出されることを確保し、こうすると、心室心筋がパルス刺激によって予期せずに活性化されて脱分極するリスクを最大限に減少し、ひいてはこのリスクを排除することができる。
【0046】
本実施例では、毎回の心拍の局所心筋心電図中のセンシングイベントに対してタイムリーに解析処理を行うことができ、誤センシングイベントを自動的かつ正確にスクリーニングして、それを、プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、例えばT波等の干渉信号に属すると決定し、この時、対応する心筋位置にパルス刺激を送出しないように制御し、誤った場合にパルス刺激を送出しないことを保証し、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に回避し、患者に不必要な痛み感、さらには安全性懸念をもたらすことを回避して、患者の安全性を確保し、パルス刺激制御の信頼性を向上させ、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果を保障する。
【0047】
(実施例2)
本実施例のパルス刺激制御方法は、実施例1をさらに改善したものであり、具体的には、
一実施可能な方案において、
図3に示すように、ステップS102は、
第1センシング時間を第1時点とし、且つ、第1時点の前の第1設定の持続時間に対応する時点を時間基準開始点とするS1021と、
時間基準開始点に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを取得するS1022と、を含む。
【0048】
一実施可能な方案において、
図4に示すように、ステップS102の後、さらに、
第2センシング時間がセンシング時間ウィンドウ内に入ると、センシングイベントがR波であると決定するS104を含む。
【0049】
一実施可能な方案において、
図5に示すように、本実施例のパルス刺激制御方法は、さらに、S105と、S106と、を含む。
【0050】
S105において、センシングイベントがR波であった後、局所心筋心電図中のR波の第2センシング時間に基づいて、設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定する。
【0051】
なお、本実施例におけるセンシングイベントがR波であることの取得方式は、外部機器で伝送する方式により直接取得する方式、又はセンシング時間ウィンドウ内に入ると判断する等の方式に基づいて決定する方式である。
【0052】
S106において、パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定する。
【0053】
局所心筋センシング時間がプリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウ内にあるセンシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応する局所心筋のR波信号に属すると決定し、さらに、R波であると決定した時こそパルス刺激をタイムリーに送出することを保証し、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性を保証する。
【0054】
パルス刺激は、ローカル心筋R波(この心筋部位の電極によってセンシングされたもの)の送出可能期間内に送出されるだけでなく、ファーフィールド心筋R波(心室心筋全体によって生成される電気活動)の送出可能期間内でも送出されることを確保し、こうすると、心室の他の部位の心筋がパルス刺激によって活性化されて分極するリスクを最大限に減少し、ひいてはこのリスクを排除することができ、患者のパルス刺激の安全性を極めて大きく保障し、患者に不必要な治療リスク及び苦痛をもたらすことを最大限に回避する。
【0055】
つまり、本実施例のパルス刺激制御により、刺激電極が心筋のどこにあっても、正確な場合のみに、即ちローカル心筋の送出可能期間内だけでなく、心室心筋全体の送出可能期間内で、パルス刺激を送出し、パルス刺激の安全性及び有効性をよりよく保証し、これはまた、必要がある場合、様々な心拍(心房伝導の心室心拍、心室自己が誘発する心拍、例えばPVCs、心室ペーシング心拍等を含む)下でパルス刺激を送出することを可能にし、患者の心筋収縮性強化に対する要求を大きい程度で満たす。
【0056】
一実施可能な方案において、ステップS105は、
局所心筋心電図中のR波の第2センシング時間及びプリセットの持続時間に応じて、設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を算出するステップ、を含み、
又は、
プリセットの心電図中のR波に対応する第1センシング時間(GS)と、設定の心筋位置の第2センシング時間との間の時間差値を算出するステップと、
第1センシング時間を基準ゼロ点として、時間差値及びプリセットの持続時間に応じて、設定の心筋位置に対応するパルス送出時間を算出するステップとを含む。
【0057】
局所心筋心電図中のR波のパルス送出時間を算出する上記の2つの過程を具体的に説明する。
【0058】
(1)局所心筋心電図にR波が出現した第2センシング時間をタイムリーに取得し、第2センシング時間を基準ゼロ点(又はトリガ点と呼ぶ)とし、これを基にプリセットの持続時間(LPD)を加えて、対応する心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を得る。
【0059】
(2)第2センシング時間、及び体表面心電
図ECG及び/又はファーフィールド心筋心電
図FF-EGMにR波が出現する第1センシング時間に基づいて、第2センシング時間と第1センシング時間との間の時間差値(GLSD)を算出し、その後、第1センシング時間を基準ゼロ点とし、これを基に、時間差値GLSD及びプリセットの持続時間LPDを加えて、第1センシング時間をトリガ点(基準点)とする各設定の心筋位置に対応するパルス送出時間GPDを算出し、即ちGPD=GLSD+LPDである。
【0060】
各設定の心筋位置のパルス送出時間GPDを得た後、時間差値をそのままに維持して、パルス送出時間GPDに応じて心臓パルス刺激を対応する制御電極に送出するように維持することを実現することもでき、毎回電気刺激を出力する前に、いつも再度計算する必要がなく、この時、局所心筋心電図のR波のセンシングが発生した後、GPDに応じて電気刺激の出力時間を直接決定することができ、パルス刺激ファーフィールド心筋心電図の送出時間を第1センシング時間によって毎回計算する必要がなく、それにより、心臓電気刺激効果を達成するとともに、データ処理時間を効果的に短縮し、心臓パルス刺激によるトリガの制御効率を向上させる。
【0061】
また、実際の要求に応じて、パルス送出時間GPD(この時、心筋電気刺激を継続しても、停止してもよい)を定期的に又は不定期的に更新し、その後、更新後のトリガ時間に応じて心筋電気刺激をし続けて、より柔軟な電気刺激効果を実現し、より多くのパルス電気刺激シーンのニーズを満たすこともできる。
【0062】
局所心筋心電図のR波(第2センシング時間)でトリガしたパルス刺激は、各刺激位置のR波から送出までの持続時間(LPD)が一定(例えばプリセットの持続時間40ms)である。体表面心電
図ECG及び/又はファーフィールド心筋心電
図FF-EGM中のR波でトリガしたパルス刺激は、各刺激位置の持続時間(GPD)が一定ではなく、異なる(即ち、一定のプリセットの持続時間40msから、位置変化の時間差値に応じて決定される)。ここで、当該プリセットの持続時間は、通常、40msにデフォルト設定され、且つ実際の要求に応じて、当該持続時間値に対して微調整等の更新設定を行うことができる(即ちプログラム可能な調整)。
【0063】
なお、各設定の心筋部位に対応するGLSD及びGPDは、プリセット期間の間にある時、いくつかの自己心拍で測定して、平均して得ることができる(デフォルトは、5連続自己心拍であり、範囲は3から12である)。各心拍での実際に測定された持続時間に応じて得ることもできる。各設定の心筋部位又は位置のGPDは、当該部位又は位置でプリセットの心電
図R波センシング時刻に対してパルス刺激送出の時間をトリガするために用いられる。パルス送出時間は、R波をセンシングしてから心臓パルス刺激送出をトリガするまでの持続時間に対応し、パルス刺激の各位置又は部位での伝達は、体表面心電
図ECGのR波センシング又はファーフィールド心筋心電
図FF-EGMのR波センシングによってトリガされ、続いてパルス送出時間に応じて心臓パルス刺激を各対応する制御電極に送出する。パルス刺激の有効性を保証するために、すべてのR波(即ち、ファーフィールド心筋心電
図FF-EGM中のR波及び体表面心電
図ECG中のR波)は、いずれも同一心拍下でセンシングされる。上記のパルス送出時間の取得方案に基づいて、パルス刺激のタイムリー性及び信頼性を効果的に保証することができる。
【0064】
また、実際の要求に応じて、異なる心室電気活動に、それに適合するGLSD等のパラメータ、例えば洞性(SR)の心室電気活動を予め設定することができ、その後、毎回の心拍に必要な計算要件を減らしつつ、パルス刺激制御のタイムリー性及び有効性を保証するために、実際の稼働期間で、洞律時にプリセット期間に設定した対応するパラメータを直接呼び出せばよく、
パルス刺激制御のタイムリー性及び有効性をさらに向上させ、ひいては患者に対するパルス刺激の安全性及び治療効果をさらに保障するために、GLSD等のプリセット期間中に取得したパラメータに依存せず、直接稼働期間中でリアルタイム心臓電気活動をセンシングしたデータ及びパラメータに基づいて動的計算を行って、現在実際の心室電気活動に対応するGLSD及び他のパラメータを得ることもできる。
【0065】
一実施可能な方案において、
図6に示すように、ステップS106は、S1061とS1062を含む。
【0066】
S1061において、プリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウを取得し、
ここで、パルス送出可能時間ウィンドウ及びセンシング時間ウィンドウのこの2つの時間ウィンドウに対応する開始時点及びウィンドウ持続時間は、いずれも同じであっても、異なってもよく、つまり、パルス送出可能時間ウィンドウ及びセンシング時間ウィンドウのこの2つの時間ウィンドウを、独立して設定してもよく、互いに関連性や依存関係を有していなくてもよい。
【0067】
具体的には、パルス送出可能時間ウィンドウ及びセンシング時間ウィンドウは、プリセットの心電図に基づいて決定され、具体的にどのように設定するかを、実際のR波センシング状況及び心筋の状況等の要素に応じて適応的に調整し、それにより、ほとんどのパルス刺激シーンのニーズをカバーするか、又は満たすことができればよい。
【0068】
S1062において、パルス送出時間がパルス送出可能時間ウィンドウ内に入ると、パルス送出時間内にパルス刺激を設定の心筋位置における刺激電極に送出するように制御し、
パルス送出時間がパルス送出可能時間ウィンドウに入らないと、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御する。
【0069】
本方案では、CCM刺激が必ずローカル心筋脱分極(R波)の送出可能期間内、及び体内ファーフィールド心筋脱分極(R波)の送出可能期間内に行われることを保証する。ここで、パルス送出可能時間ウィンドウは、1つの安全期間に対応し、この安全期間は、心室全体の送出可能期間に対応する。パルス送出可能時間ウィンドウの始点及び終点は、いずれも調整可能であり、その目標は、その始点が大体脱分極領域に対応し、その終点が送出可能期間の終点よりも早いか等しいことである。
【0070】
一実施可能な方案において、前記設定の心筋位置が複数ある場合、本実施例のパルス刺激制御方法は、さらに、
ステップS102~S106を、各心筋位置に対応するローカル(Local)局所心筋心電図中のセンシングイベントLSに対して1つずつ実行し、各心筋位置にパルス刺激をタイムリーで効果的に送出し、患者を治療する安全性、有効性及び信頼性を保証するステップを含む。
【0071】
ここで、センシング時間ウィンドウは、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間及び最初に発生した前記センシングイベントに対応する第2センシング時間に応じて決定される。
【0072】
例えば、予め患者の3つの異なる設定の心筋位置(A、B、C)に1つのパルス刺激電極をそれぞれ設置することを例として説明し、設定の心筋位置A、B、Cは刺激電極対E1、E2、E3にそれぞれ対応し、対応するセンシングイベントの第2センシング時間は、それぞれLS1、LS2、LS3であり、ここで、LS1、LS2、LS3に対応する発生時間は順次推移する(即ち、センシングイベントLS1が最も早く発生し、他のセンシングイベントが後続の時間に順次発生する)。ここで、各電極対の構成は、単極電極と単極電極、双極電極と双極電極リード、単極電極と単極電極及び双極電極と双極電極リードの2つのタイプの電極組合せ設定であってもよく、他のタイプの電極、具体的にはどの種類の電極対及びどの組合せ設定を用いるかは、実際のシーンのニーズに応じて決定又は調整してもよい。
【0073】
具体的には、設定の心筋位置Aにおける電極対E1に基づいて当該心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントLS1を取得する場合、当該センシングイベントLS1に対応する第2センシング時間を取得して、当該第2センシング時間がプリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウ内に入るかを判断し、入らないと、当該センシングイベントLS1はプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、T波等の他の干渉信号であると決定するとともに、設定の心筋位置Aにおける刺激電極対E1にパルス刺激を送出しないように制御し、入ると、当該センシングイベントLS1はプリセットの心電図中のR波に対応する局所心筋のR波信号であると決定し、その後、当該センシングイベントLS1に対応する第2センシング時間に、設定の心筋位置Aに対応する刺激電極に対応するパルス送出時間をタイムリーで正確に算出し、さらに、引き続きパルス送出時間がプリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウ内に入るか否かを判断し、入ると、パルス送出時間にパルス刺激を設定の心筋位置Aにおける刺激電極に送出するように制御し、入らないと、設定の心筋位置Aにおける刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定して、設定の心筋位置Aにおける1回のパルス刺激制御を完了する。
【0074】
順次類推し、設定の心筋位置B、Cに対するパルス刺激制御過程は、設定の心筋位置Aに対するパルス刺激制御過程に類似するため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0075】
なお、異なる設定の心筋位置のパルス刺激制御過程は、互に独立しており、互いに干渉又は影響を与えず、例えば、設定の心筋位置Aでパルス刺激制御過程が行われている間、又は設定の心筋位置Aにおけるパルス刺激制御がすでに完了した場合、設定の心筋位置Bに対応する局所心筋心電図にセンシングイベントLS2が出現すれば、上記のパルス刺激制御過程を単独で実行して、最終的にすべての設定の心筋位置でのパルス刺激制御を完了することができ、制御操作が整然とし、患者に対するパルス刺激の安全性及び信頼性を非常に効果的に保障する。
【0076】
一実施可能な方案において、複数の局所心筋心電図のセンシングイベントに対応するセンシング時間が非常にコンパクトに発生する(即ち、時間間隔が小さい)場合、本実施例のパルス刺激制御方法は、さらに、
各局所心筋心電図に対応するローカル(Local)局所心筋心電図中のセンシングイベントLSに対応する第2センシング時間を取得して、発生時間が最も早いセンシングイベントを最初のセンシングイベントLS1として取得し、最初のセンシングイベントLS1に対応する第2センシング時間を取得して、当該第1センシングイベントLS1がプリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウ内に入るか否かを判断し、入ると、当該センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するローカル心筋R波信号であると決定するステップと、
残りの心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントに対して、これらのセンシングイベントに対応する第2センシング時間が上記のセンシング時間ウィンドウ内に入るか否かを判断し、そうである場合、最初のセンシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号であると決定すると、残りの心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントもプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号であると直接決定し、この時、残りの心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを1つずつ判断・分析する必要がなく、正確に判断できることを達成するとともに、データ分析処理過程を大幅に簡素化し、データ処理時間を効果的に短縮し、機器の計算能力に対する要求も低下し、患者に対するパルス刺激制御のタイムリー性、正確性及び有効性をさらに保証するステップと、を含む。
【0077】
なお、複数の局所心筋心電図のセンシングイベントがR波であるか否かを具体的にどのような方式を用いて判断するかは、実際のシーンのニーズに応じて単一の実行方案又は複数の方案の組合せを選択することができ、要求のより高い心電心室伝導シーンを満たし、パルス刺激制御の実用性を大幅に向上させ、患者治療の安全性及び効果を非常に大きい程度で向上させる。
【0078】
また、前記設定の心筋位置が複数ある場合、本実施例のパルス刺激制御方法は、さらに、
(1)異なる設定の心筋位置におけるR波に対応する設定のセンシングパラメータをプリセットするステップであって、
設定のセンシングパラメータには、設定のセンシング時間及び/又は設定のセンシング発生順序が含まれるステップ、
(2)最初に出現した局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波である場合、他の残りの局所心筋心電図中のセンシングイベントは、いずれもR波であると設定するステップ、又は、
(3)最後に出現した局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波である場合、他の残りの局所心筋心電図中のセンシングイベントは、いずれもR波であると設定するステップを含む。
【0079】
当然のことながら、さらに、実際のシーンのニーズに応じて、上記の設定内容を調整してもよいし、より多くの設定内容を増設してもよい。
【0080】
以下、局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であるか否かを決定する実現原理を具体的に説明する。
【0081】
センシングイベントLSがR波であるか否かを決定するステップは、セットアップ期間/プリセット期間(set-up period)及び稼働期間(operational period)の2つの段階に関わる。
【0082】
単一心筋点の電極に対するパルス刺激システムは、当該パルス刺激システムにおいて、R波のセンシングのために用いられ、且つ、パルス刺激を心筋に伝達するために用いられる、プリセットの心電図(例えばECG)及び1本の電極リードが心室に接続されている心筋がある。プリセット期間に、下記のパラメータを測定する必要がある。
【0083】
プリセット期間(set-up period):
(11)ECGセンシング(GS)=ECG(R波)センシングが発生した時間(センシング全体)、
ここで、心電
図ECGにおけるR波の心室電気活動(心室全体の電気活動)をプリセットし、R波センシングは、心室電気活動の比較的早期の時間を反映する。
(12)EGMセンシング(LS)=EGM(R波)センシングが発生した時間(局所センシング)、
ここで、LSは、GSに対応する基準時間始点(GS-X、X=60ms、プログラム制御可能であり、範囲には、30ms~200msが含まれるが、これに限定されない)の後に最初にセンシングされた局所心電図のセンシングイベントである。
(13)GLSD=LS-GS、GSとLSとの間の時間遅延であり、
(14)LPD=LSからパルス刺激までの時間遅延であり、
(15)GPD=GLSD+LPD、GSからパルス刺激までの時間遅延であり、
(16)GVTは、対応するGSのセンシング時間ウィンドウ(プログラム可能に設定と調整したもの)であり、LSVTは、LSに対応するセンシング時間ウィンドウであり、
具体的には、GVTの開始時間はGVT
-Sであり、時間ウィンドウ持続時間はBであり、
a1)GVT
-S=GS-A、GLSD>0(即ち、LSがGSより遅い)、
GVT
-S=GS+GLSD-A、GLSD≦0(即ち、LSがGSより速いか、又はGSと同時)、
ここで、Aのデフォルト値は20msであり、且つAはプログラム可能に設定と調整したものであり(0msを含む)、
この時、GVT
-Sは、いずれもGS及びLSに対応する時間パラメータを使用して取得する必要がある。
b1)洞調律について、Bには、30ms~130ms(プログラム可能)範囲が含まれるが、これに限定されない。
c1)心室性異所性興奮、例えばPVC、心室ペーシング等について、Bには、30ms~250ms(プログラム可能)範囲が含まれるが、これに限定されない。
LSVT
-S=LS-A、LSVT-B=B-(LSVT
-S-GVT
-S)、
なお、LSVTは、複数の局所心筋に電極がある場合のみに使用され、LSはLS1であり、すべての心筋部位での発生時間が最も早いセンシングイベントに対応する。
17)
図7に示すように、GPTは、対応するGSのパルス送出時間ウィンドウであり、LSPTは、対応するLSのパルス送出時間ウィンドウ(プログラム可能に設定と調整したもの)であり、
具体的には、GPTの開始時間GPT
-S=GVT
-S、ウィンドウ持続時間には、具体的には、20ms~200ms(プログラム可能)範囲(defaultは130msである)が含まれるが、これに限定されない。
LSPTの開始時間LSPT
-S=LSVT
-S、ウィンドウ持続時間はGPTのウィンドウ持続時間からGLSDを引いたものである。
なお、GVT
-Sに対応するプリセットの心電図中のファーフィールドセンシングGSのシーン、LSVT
-Sに対応する局所心筋心電図中のローカルセンシングLSのシーン(即ちA=0msである場合)を含むことを以上に説明した。
なお、上記のパラメータは、いずれもいくつかの心周期で平均して算出し(例えば6つの心周期、プログラム可能、他の数の回数での心周期)、また、プリセット期間は、洞性心臓電気活動、心室補充収縮電気活動、及び心室ペーシング等の期間でそれぞれ行われるべきである。
図7に示すように、単一電極リード刺激システムについて、LSPTは、対応するLSのパルス送出時間ウィンドウであり、ウィンドウの始点はLSVT
-Sであり、そのウィンドウ持続時間はGPTのウィンドウ持続時間(B)からGLSDを引いたものであり、両者は、LSをパルス刺激送出のトリガ点(基準点)とするパルス送出時間ウィンドウである。
なお、LSPTは、複数の局所心筋に電極がある場合のみに使用され、且つLSはLS1であり、即ち、すべての心筋部位において発生時間が最も早いセンシングイベントに対応する。この時、GPTの始点も、LSに対応する時間パラメータを使用して取得する必要がある。
また、本実施例におけるGVT、GPT、LSVT及びLSPT等の時間ウィンドウは、いずれも対応するウィンドウ始点及びウィンドウ持続時間のこの2つのパラメータによって説明される。
【0084】
稼働期間(operational period):
(18)LSは、リアルタイムローカルのR波センシングが下記の条件を満たすものであり、
a2)プリセットのECG(GS)及び局所EGM(LS)の2つのセンシングイベントがあり、
ここで、LSは、GSに対応する基準時間始点(GS-X、X=60ms、プログラム制御可能、範囲には30~200msが含まれるが、これに限定されない)後の最初にセンシングされた局所心電図のセンシングイベントの第2センシング時間であり、
b2)LSはGVT(即ちセンシング時間ウィンドウ)内に入る。
(19)パルス刺激時間が適切な判断標準であるか否か、
a3)パルス刺激時間がGPT(パルス送出時間ウィンドウ)内に入る。
ここで、GVT及びGPTは、プリセット期間中の対応する心室心臓電気活動から取得されるものであり、例えば、洞性心臓電気活動、心室補充収縮電気活動、又は心室ペーシング等である。
複数の電極のパルス刺激システムについて、当該パルス刺激システムにおいて、プリセットの心電図及び複数のリードを複数の心室筋部位に連結して、R波のセンシングに用い、パルス刺激を局所心筋に伝達する。プリセット期間で下記のパラメータを測定する必要がある。
【0085】
プリセット期間(set-up period):
(21)上記の(11)~(19)に類似し、ここで、(一部のプログラム制御される数字が測定数字と一緒にすべてのパラメータを達成することをさらに含むため)各刺激電極に対応するすべてのパラメータを測定及び取得する。
(22)LSn(ローカルのR波センシングである)に対応するテンプレートを予め形成し、当該テンプレートはLSn(n=1,2,3,…)のLS1に対する時間、及び各電極でセンシングが発生した時の順序等の情報を含む。
【0086】
稼働期間(operational period):
(23)稼働期間の間、GS及びLSnをリアルタイムに取得する。
(24)上記のステップ(18)中の規則を使用して、LSnに対して真のR波であるか否かを確認する。
又は、上記のステップ(18)において、LS1が真のR波であると確認された場合、LSn(n=2,3,…)は、真のR波(LSnがGVTウィンドウ内に発生した場合)であると仮定される。
又は、上記のステップ(18)において、LS1が真のR波であると確認され、且つLSn(n=2,3,…)がプリセットのテンプレートに合致する場合、LSn(n=2,3,…)は、単独で、真のRセンシングであると確認される。
又は、LS1を基準として使用する場合、センシング時間ウィンドウはLSVTであり、LSn(n=2,3,…)がLSVT時間ウィンドウ内にあるか否かを判断する。
【0087】
図8に示すように、複数電極リード刺激システムが設定期間にあることについて、LS1を基準としてする場合、パルス送出時間ウィンドウはLSPTである。
稼働期間の間、各LSがR波センシングであると決定した後、対応するパルス送出時間は、GPTウィンドウ内にあるべきであり、LS1をパルス送出時間ウィンドウのトリガ点(基準点)として使用する場合、LSn(n>1)の送出時間がLSPTウィンドウ内にある。
【0088】
なお、単電極及び多電極のパルス刺激システムにおいて、それぞれの心筋位置パルス刺激の送出時間は、局所心筋センシング時間の後であり、例えば、40ms後に送出する。GPT又はLSPTは、パルス刺激送出時間に対する新しい要求であり、特に、複数の刺激部位でパルス刺激を送出する状況に対するものであり、各刺激部位の送出時間は、いずれもGPT又はLSPT的時間ウィンドウ内、即ち、同一心拍(心室興奮)の心室全体の送出可能期間内(電極部位の局所心室筋の送出可能期間のみではない)に入る必要がある。
【0089】
GVT/LSVTは、「全心室」又は「ファーフィールド心室」のR波センシング時間ウィンドウとして、LSがGSに対応する(即ち心室脱分極の「全心室」又は「ファーフィールド」のR波センシングに対応する)局所心室脱分極のR波センシングであるか否かを判断するために用いられる。GPT/LSPTは、パルスの送出可能時間ウィンドウ(刺激送出の安全領域として、心室筋全体(「全心室」又は「ファーフィールド心室」)に対応する送出可能期間)であり、LSに対応するパルス刺激送出時間が安全であるか否かを判断するために用いられる。GPT及びGVTは、独立したものであり、実際のパラメータの配置要件を満たすために、この2つのパラメータをそれぞれプログラム制御することができる。当然のことながら、プログラム制御の複雑さを低減するために、医者は、両者に同様の数値(適切である場合)を選択してもよい。また、システムは、この2つのパラメータに同様の数値を予め直接与えることができるが、この2つのパラメータをそれぞれプログラム制御する機能を維持する必要がある。この2つのステップを共に使用してもよいし、それぞれ単独で使用してもよい。
【0090】
また、上記の先にプリセット期間を設定してから、稼働期間を設定する(即ち稼働期間で、プリセット期間で取得される数字に依存して、具体的に実行して使用する)だけでなく、以上のパラメータを直接稼働期間中で心室筋電気活動(各心周期)するたびに取得して使用することができ、プリセット期間に依存する必要がなく、それにより、パルス刺激制御過程の柔軟性及び効率を大幅に向上させる。
【0091】
本実施例では、R波の後のみにパルス刺激を送出し、心筋の局所心筋心電図中のセンシングイベントに対して解析処理をタイムリーに行うことができ、誤センシングイベントを自動的かつ正確にスクリーニングして、それを、プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、T波等の干渉信号に属すると決定し、この時、対応する心筋位置にパルス刺激を送出しないように制御し、誤った場合にパルス刺激を送出しないことを保証し、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に回避し、ひいては患者に不必要な痛み感、さらには安全性懸念をもたらすことを回避して、患者の安全性を確保し、パルス刺激制御の信頼性を向上させ、また、R波であると決定した場合にパルス刺激をタイムリーに送出すること、即ち、正しい場合にのみパルス刺激を送出することを保証する。
【0092】
また、心室送出可能期間内のみにパルス刺激を送出し、パルス刺激送出時間が体表面心電図又は体内ファーフィールド心筋心電図心室全体の心臓電気活動(R波)に対応するパルス送出ウィンドウ内に入ることを確認することにより、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性を保証する。ここで、パルス刺激送出時間の安全性のために、体表面心電図又はファーフィールド心筋心電図で心室心臓電気活動の送出可能期間情報を取得することは、パルス刺激技術の積極的な改善も意味し、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果をさらに保障する。
【0093】
(実施例3)
図9に示すように、本実施例のパルス刺激制御装置は、
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するための第1センシング時間取得モジュール1であって、
プリセットの心電図には、体表面心電
図ECG、体内ファーフィールド心筋心電
図Far-Field Electrogramが含まれるが、これに限定されず、第1センシング時間はGSとも呼ばれる第1センシング時間取得モジュール1と、
第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するためのセンシングイベント決定モジュール2と、
センシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するための第2センシング時間取得モジュール3と、を含み、
ここで、ローカル局所心筋心電図中のセンシングイベントに対応する第2センシング時間は、LSとも呼ばれる。
【0094】
局所心筋心電図中のセンシングイベントは、プリセットの心電図のR波に対応するセンシングイベントである。
【0095】
第1判断モジュール4は、第2センシング時間が第1プリセットの条件を満たさないと、センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、制御モジュール5を呼び出すために用いられ、
制御モジュール5は、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するために用いられ、
ここで、第1プリセットの条件は、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間及びセンシングイベントに対応する第2センシング時間に基づいて決定される。
【0096】
一実施可能な方案において、第1判断モジュール4は、さらに、プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得するために用いられ、第1判断モジュール4は、さらに、第2センシング時間がセンシング時間ウィンドウ内に入らないと、センシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するために用いられる。
【0097】
ここで、センシング時間ウィンドウの取得方法には、予め設置したセンシング回路に基づいて取得することと、外部機器から入力され、直接受信することにより取得することとが含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
局所心筋心電図中のセンシングイベントLSに対応する非R波信号には、T波信号又は他の干渉信号等が含まれる。具体的には、パルス刺激は、CCM刺激であり、パルス刺激の実現は、異なる心室電気活動の状況で行われることができ、パルス刺激の使用可能範囲を向上させ、パルス刺激制御の全体的な有効性を大幅に向上させる。
【0099】
CCM刺激は、洞性心拍、心房の下伝達に起因する心室心拍、心室に起因する心室心拍(心室異所性興奮)、及び心室ペーシング心拍等の心室電気活動の際に発生する。
【0100】
局所センシングのイベントがR波であることを確認することにより、CCM刺激が、他の(例えばT波、筋電、又は他の非心筋脱分極電気活動等)信号にトリガされるのではなく、ローカルR波によりトリガされることをよりよく確保し、誤ってトリガされる状況の発生を効果的に排除し、この重要な部分の設計により、パルス刺激の安全性及び有効性を効果的に向上させることができる。
【0101】
なお、本実施例のパルス刺激制御装置の実現原理は、実施例1のパルス刺激制御方法に類似するため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0102】
本実施例では、毎回の心拍の局所心筋心電図中のセンシングイベントに対して解析処理をタイムリーに行うことができ、誤センシングイベントを自動的かつ正確にスクリーニングして、それを、プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、例えばT波等の干渉信号に属すると決定し、この時、対応する心筋位置にパルス刺激を送出しないように制御し、誤った場合にパルス刺激を送出しないことを保証し、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に回避し、患者に不必要な痛み感、さらには安全性懸念をもたらすことを回避して、患者の安全性を確保し、パルス刺激制御の信頼性を向上させ、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果を保障する。
【0103】
(実施例4)
図10に示すように、本実施例のパルス刺激制御システムは、実施例3をさらに改善したものであり、具体的には、
一実施可能な方案において、本実施例のセンシングイベント決定モジュール2は、
第1センシング時間を第1時点とし、且つ、第1時点の前の第1設定の持続時間に対応する時点を時間基準開始点とするための時間基準開始点取得ユニット6と、
時間基準開始点に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを取得するためのセンシングイベント決定ユニット7と、を含む。
【0104】
一実施可能な方案において、第1判断モジュール4は、さらに、第2センシング時間がセンシング時間ウィンドウ内に入ると、センシングイベントがR波であると決定するために用いられる。
【0105】
一実施可能な方案において、本実施例のパルス刺激制御システムは、さらに、
センシングイベントがR波であった後、局所心筋心電図中のR波の第2センシング時間に基づいて、設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定するためのパルス送出時間決定モジュール8を含む。
【0106】
なお、本実施例におけるセンシングイベントがR波であることを取得する方式は、外部機器で伝送する方式により直接取得する方式、又はセンシング時間ウィンドウ内に入ると判断する等の方式に基づいて決定する方式である。
【0107】
具体的には、パルス送出時間決定モジュール8は、局所心筋心電図中のR波の第2センシング時間及びプリセットの持続時間に応じて、設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を算出するために用いられる。
【0108】
又は、パルス送出時間決定モジュール8は、プリセットの心電図中のR波に対応する第1センシング時間を取得し、第1センシング時間と設定の心筋位置の第2センシング時間との間の時間差値を算出し、第1センシング時間を基準ゼロ点として、時間差値及びプリセットの持続時間に応じて、設定の心筋位置に対応するパルス送出時間を算出するために用いられる。
【0109】
第2判断モジュール9は、パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、決定モジュールを呼び出して、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、決定モジュールを呼び出して、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定するために用いられる。
【0110】
局所心筋センシング時間がプリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウ内にあるセンシングイベントがプリセットの心電図中のR波に対応する局所心筋のR波信号に属すると決定し、さらに、R波として決定した場合のみに、パルス刺激をタイムリーに送出することを保証して、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性を保証する。
【0111】
一実施可能な方案において、本実施例の第2判断モジュール9は、
プリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウを取得するために用いられ、
ここで、パルス送出可能時間ウィンドウは、センシング時間ウィンドウに対応して設定されるパルス時間ウィンドウ取得ユニット10と、
パルス送出時間がパルス送出可能時間ウィンドウ内に入ると、制御モジュール5を呼び出して、パルス送出時間内にパルス刺激を設定の心筋位置における刺激電極に送出するように制御するための判断ユニット11と、を含み、
判断ユニット11は、さらに、パルス送出時間がパルス送出可能時間ウィンドウに入らないと、制御モジュール5を呼び出して、設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するために用いられる。
【0112】
一実施可能な方案において、前記設定の心筋位置が複数ある場合、本実施例の制御モジュール5は、各局所心筋心電図中のセンシングイベント発生の第2センシング時間順序にしたがって、第1判断モジュール4を制御して対応する第2センシング時間がセンシング時間ウィンドウ内に入るか否かを順次判断するために用いられる。
【0113】
ここで、センシング時間ウィンドウは、プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間及び最初に発生したセンシングイベントに対応する第2センシング時間に応じて決定される。
【0114】
一実施可能な方案において、前記設定の心筋位置が複数ある場合、本実施例の制御モジュール5は、異なる設定の心筋位置におけるR波に対応する設定のセンシングパラメータをプリセットするために用いられ、
ここで、設定のセンシングパラメータには、設定のセンシング時間及び/又は設定のセンシング発生順序が含まれ、
又は、
最初に出現した局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定し、
又は、
最後に出現した局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定する。
【0115】
なお、本実施例のパルス刺激制御装置の動作原理は、実施例2におけるパルス刺激制御の実現原理に類似するため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0116】
本実施例では、R波後のみにパルス刺激を送出し、心筋の局所心筋心電図中のセンシングイベントに対して解析処理をタイムリーに行うことができ、誤センシングイベントを自動的かつ正確にスクリーニングして、それを、プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではなく、T波等の干渉信号に属すると決定し、この時、対応する心筋位置にパルス刺激を送出しないように制御し、誤った場合にパルス刺激を送出しないことを保証し、VT又はVFが誘発されるリスクを効果的に回避し、ひいては患者に不必要な痛み感、さらには安全性懸念をもたらすことを回避して、患者の安全性を確保し、パルス刺激制御の信頼性を向上させ、また、R波であると決定した場合にパルス刺激をタイムリーに送出すること、即ち、正しい場合にのみパルス刺激を送出することを保証する。
【0117】
また、心室送出可能期間内のみにパルス刺激を送出し、パルス刺激送出時間が体表面心電図又は体内ファーフィールド心筋心電図心室全体の心臓電気活動(R波)に対応するパルス送出ウィンドウ内に入ることを確認することにより、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性、安全性及び有効性を保証する。ここで、パルス刺激送出時間の安全性のために、体表面心電図又はファーフィールド心筋心電図で心室心臓電気活動の送出可能期間情報を取得することは、パルス刺激技術の積極的な改善も意味し、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果をさらに保障する。
【0118】
(実施例5)
本実施例の医療システムECSは、実施例3又は4におけるパルス刺激制御装置である。
【0119】
心筋全体脱分極(R波及び対応するGS)は、体表面心電図(皮膚上に貼りついている体表面心電図電極)、又はファーフィールド心筋心電図(FF-EGM、心臓に近い電極又は心臓から遠いが皮下に位置する、体内組織又は臓器の電極)に由来するものを含むが、これに限定されない。こうすると、このECSシステムが心臓の治療に提供される多くの機械又は機器、例えばAED、MCS(機械循環支援)、subQ-ICD、植込式CRM(心臓リズム管理)機械等に使用されることを可能にする。また、ECSを急性支援機械(体表面心電
図ECGを入力信号の1つとすることができる)とすることができるだけでなく、慢性心不全治療機械にすることもできるが、体表面心電図を常に当該機械の入力として使用することはできない。こうすると、ECSシステムは、より多くの患者に、より多くのシーンで治療を提供することができ、より多くの患者が恩恵を受ける。本実施例の医療システムは、洞調律、心房から伝送された心室性心調律(心拍)、又は他の心室異所性調律(心拍)の時にパルス刺激を送出することを可能にする。これは、現在、パルス刺激送出を、非正常な心臓の伝導系での心拍、例えば洞性心拍、心房の下伝達に起因する心室心拍、心室に起因する心室心拍(心室異所性興奮)、及び心室ペーシング心拍等の状況で行えないという送出の制限条件の突破又は改善である。これにより、特に患者がこのような支援を最も必要とする場合に、より多くの支援チャンスを心臓に提供する。
【0120】
本実施例の医療システムに上記のパルス刺激制御装置が集積設置され、誤った場合にパルス刺激を送出せず、正確な場合のみにパルス刺激を送出することを支援し、且つ、体表面心電図、体内ファーフィールド心筋心電図中のR波に対応する送出可能期間内にパルス刺激を送出して、患者の心臓に対するパルス刺激のタイムリー性及び有効性を保証し、患者に対するパルス刺激の安全性、有効性及び治療効果を保障し、既存の医療システムの製品全体の性能を効果的に向上させる。
【0121】
(実施例6)
図11は、本発明の実施例6にて提供される電子機器の概略構造図である。電子機器は、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されてプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムを含み、プロセッサによってプログラムが実行されると、実施例1又は2におけるパルス刺激制御方法が実現される。
図11に示される電子機器30は、1つの例にすぎず、本発明の実施例の機能及び使用範囲に何ら制限を与えるものではない。
【0122】
図11に示すように、電子機器30は、汎用コンピューティング機器の形態で具現化されてもよく、例えば、サーバ機器であってもよい。電子機器30のコンポーネントは、上記の少なくとも1つのプロセッサ31、上記の少なくとも1つのメモリ32、異なるシステムコンポーネント(メモリ32及びプロセッサ31を含む)を連結するバス33を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0123】
バス33には、データバス、アドレスバス及び制御バスが含まれる。
【0124】
メモリ32は、揮発性メモリ、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)321及び/又はキャッシュメモリ322を含んでもよく、さらに、読み取り専用メモリ(ROM)323を一層含んでもよい。
【0125】
メモリ32は、さらに、プログラムモジュール324セット(少なくとも1つ)を有するプログラム/ユーティリティ325を含んでもよく、このようなプログラムモジュール324には、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール及びプログラムデータが含まれるが、これらに限定されず、これらの例における各々又はある種の組合せには、ネットワーク環境の実現が含まれる可能性がある。
【0126】
プロセッサ31は、メモリ32に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、各機能の適用及びデータ処理、例えば本発明の実施例1又は2におけるパルス刺激制御方法を実行する。
【0127】
電子機器30は、1つ以上の外部機器34(例えばキーボード、ポインティング機器等)と通信することもできる。このような通信は、入出力(I/O)インタフェース35を介して行うことができる。そして、モデル生成機器30は、さらに、ネットワークアダプタ36を介して、1つ以上のネットワーク(例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及び/又はインターネット等のパブリックネットワーク)と通信することができる。
図11に示すように、ネットワークアダプタ36は、バス33を介して、モデル生成機器30の他のモジュールと通信する。図に示していないが、モデル生成機器30と組み合わせて他のハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールを使用してもよく、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長プロセッサ、外部ディスクドライブアレイ、RAID(ディスクアレイ)システム、テープドライブ及びデータバックアップ記憶システム等を含むが、これらに限定されないことを理解するであろう。
【0128】
以上の詳細な説明に電子機器のいくつかのユニット/モジュール又はサブユニット/モジュールに言及したが、このような分割は、例示的なものにすぎず、強制的なものではないことに留意されたい。実際に、本発明の実施形態に応じて、以上に説明した2つ以上のユニット/モジュールの特徴及び機能は、1つのユニット/モジュールに具現されることができる。逆に、以上に説明した1つのユニット/モジュールの特徴及び機能は、複数のユニット/モジュールによって具現されるようにさらに分割されてもよい。
【0129】
(実施例7)
本実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供し、プログラムがプロセッサによって実行されると、実施例1又は2におけるパルス刺激制御方法のステップが実現される。
【0130】
ここで、可読記憶媒体は、より具体的には、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、光記憶装置、磁気記憶装置又は上記の任意の適切な組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0131】
可能な実施形態において、本発明は、プログラムコードを含むプログラム製品の形態に実装されてもよく、プログラム製品が端末機器上で実行されると、プログラムコードは、端末機器に実施例1又は2におけるパルス刺激制御方法のステップの実現を実行させるために用いられる。
【0132】
ここで、1つ以上のプログラム設計言語の任意の組合せで本発明を実行するためのプログラムコードを書いてもよく、プログラムコードは、完全にユーザ機器上で実行されても、一部がユーザ機器上で実行されても、1つの独立したソフトウェアパッケージとして実行されても、一部がユーザ機器上で、一部がリモート機器上で実行されても、完全にリモート機器上で実行されてもよい。
【0133】
以上で本発明の具体的な実施形態について説明したが、当業者であれば、これは単に例を挙げて説明しただけで、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準ずることを理解するであろう。当業者は本発明の原理及び実質から逸脱しない前提で、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正を行うことができるが、これらの変更及び修正はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されてプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムを含む電子機器であって、
前記プロセッサによってコンピュータプログラムが実行されると、以下のパルス刺激制御方法が実現され、
前記パルス刺激制御方法は、
プリセットの心電図中のR波の第1センシング時間を取得するステップと、
設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントに対応する第2センシング時間を取得するステップと、
前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定する
と、前記設定の心筋位置における刺激電極に
CCM刺激であるパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含
む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記パルス刺激制御方法は、
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定するステップ、を更に含み、
ここで、前記プリセットの心電図は、体表面心電図及び/又は体内ファーフィールド心筋心電図である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1センシング時間に基づいて、設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを決定する前記ステップは、
前記第1センシング時間を第1時点とし、且つ、前記第1時点の前の第1設定の持続時間に対応する時点を時間基準開始点とするステップと、
前記時間基準開始点に基づいて、前記設定の心筋位置に対応する局所心筋心電図中のセンシングイベントを取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1センシング時間の値取り範囲は30 ms~200 msである、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記パルス刺激制御方法は、
第1のプリセット条件を満たさない場合、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するステップ、を更に含み、
ここで、前記第1プリセットの条件は、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
第1プリセットの条件
が満たさ
れないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップは、
前記第1センシング時間に基づいて、前記プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得するステップと、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入らないと、前記センシングイベントが前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号ではないと決定するとともに、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の
電子機器。
【請求項7】
前記方法は、
前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入ると、前記センシングイベントが
前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号であると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
6に記載の
電子機器。
【請求項8】
前記センシング時間ウィンドウの長さは、前記プリセットの心電図に基づいて決定されるか、またはプログラム制御によって決定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
洞性心拍数に対して、前記センシング時間ウィンドウの長さは30 ms‐130 msであり、心室性異位作動に対して、前記センシング時間ウィンドウの長さは30 ms~250 msである、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記パルス刺激制御方法は、
前記センシングイベントが
前記プリセットの心電図中のR波に対応するR波信号であった後、前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定するステップと、
前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の
電子機器。
【請求項11】
前記パルス送出時間が第2プリセットの条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出すると決定し、満たさない場合、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないと決定する前記ステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応するパルス送出可能時間ウィンドウを取得
するステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入ると、前記パルス送出時間にパルス刺激を前記設定の心筋位置における刺激電極に送出するように制御するステップと、
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウ内に入らないと、前記設定の心筋位置における刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項
10に記載の
電子機器。
【請求項12】
前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
前記第1センシング時間に基づいて、前記プリセットの心電図中のR波に対応するセンシング時間ウィンドウを取得するステップと
各前記局所心筋心電図中の前記センシングイベントが発生した前記第2センシング時間の順序にしたがって、対応する前記第2センシング時間が前記センシング時間ウィンドウ内に入るか否かを順次判断するステップをさらに含み、
ここで、
前記パルス送出可能時間ウィンドウは、前記センシング時間ウィンドウに対応して設定され、前記センシング時間ウィンドウは、前記プリセットの心電図中のR波の前記第1センシング時間及び最初に発生した前記センシングイベントに対応する前記第2センシング時間に応じて決定される、
ことを特徴とする請求項
11に記載の
電子機器。
【請求項13】
前記設定の心筋位置が複数ある場合、前記方法は、
異なる前記設定の心筋位置でのセンシング時間に対応する設定のセンシングパラメータをプリセットし、
ここで、前記設定のセンシングパラメータには、設定のセンシング時間及び/又は設定のセンシング発生順序が含まれるステップ、又は、
最初に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップ、又は、
最後に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがR波であると、他の残りの前記局所心筋心電図中のセンシングイベントがいずれもR波であると設定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
11に記載の電子機器。
【請求項14】
前記方法は、
最初に出現した前記局所心筋心電図中のセンシングイベントのパルス送出可能時間ウィンドウを取得するステップと
他の残りの前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、他の残りの設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定するステップと
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウに入る場合、前記パルス送出時間に、他の残りの設定の心筋位置の刺激電極にパルス刺激を送出するように制御するステップと
前記パルス送出時間が前記パルス送出可能時間ウィンドウに入らない場合、他の残りの設定の心筋位置の刺激電極にパルス刺激を送出しないように制御するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項15】
前記パルス送出可能時間ウィンドウ
は、前記プリセットの心電図に基づいて
又はプログラム制御によって決定される、
ことを特徴とする請求項
11に記載の電子機器。
【請求項16】
前記パルス送出可能時間ウィンドウの長さは、20ms~200msである、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項17】
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定する前記ステップは、
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応する前記パルス送出時間を算出するステップ、を含
む、
ことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項18】
前記局所心筋心電図中のR波の前記第2センシング時間に基づいて、前記設定の心筋位置の刺激電極に対応するパルス送出時間を決定する前記ステップは、
前記プリセットの心電図中のR波に対応する前記第1センシング時間と、前記設定の心筋位置の前記第2センシング時間との間の時間差値を算出するステップと、
前記第1センシング時間を基準ゼロ点として、前記時間差値及びプリセットの持続時間に応じて、前記設定の心筋位置に対応する前記パルス送出時間を算出するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項
10に記載の
電子機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
各設定の心筋位置のパルス送出時間GPDを得た後、時間差値をそのままに維持して、パルス送出時間GPDに応じて心臓パルス刺激を対応する制御電極に送出するように維持することを実現することもでき、毎回電気刺激を出力する前に、いつも再度計算する必要がなく、この時、局所心筋心電図のR波のセンシングが発生した後、GPDに応じて電気刺激の出力時間を直接決定することができ、パルス刺激の送出時間を第1センシング時間によって毎回計算する必要がなく、それにより、心筋電気刺激効果を達成するとともに、データ処理時間を効果的に短縮し、心臓パルス刺激によるトリガの制御効率を向上させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
プリセット期間(set-up period):
(11)ECGセンシング(GS)=ECG(R波)センシングが発生した時間(センシング全体)、
ここで、心電
図ECGにおけるR波の心室電気活動(心室全体の電気活動)をプリセットし、R波センシングは、心室電気活動の比較的早期の時間を反映する。
(12)EGMセンシング(LS)=EGM(R波)センシングが発生した時間(局所センシング)、
ここで、LSは、GSに対応する
時間基準開始点(GS-X、X=60ms、
Xは第1センシング時間であり、プログラム制御可能であり、範囲には、30ms~200msが含まれるが、これに限定されない)の後に最初にセンシングされた局所心電図のセンシングイベントである。
(13)GLSD=LS-GS、
GLSDはGSとLSとの間の時間遅延であり、
(14)LPD=LSからパルス刺激までの時間遅延であり、
(15)GPD=GLSD+LPD、
GPDはGSからパルス刺激までの時間遅延であり、
(16)GVTは、対応するGSのセンシング時間ウィンドウ(プログラム可能に設定と調整したもの)であり、LSVTは、LSに対応するセンシング時間ウィンドウであり、
具体的には、GVTの開始時間はGVT
-Sであり、時間ウィンドウ持続時間はBであり、
a1)GVT
-S=GS-A、GLSD>0(即ち、LSがGSより遅い)、
GVT
-S=GS+GLSD-A、GLSD≦0(即ち、LSがGSより速いか、又はGSと同時)、
ここで、Aのデフォルト値は20msであり、且つAはプログラム可能に設定と調整したものであり(0msを含む)、
この時、GVT
-Sは、いずれもGS及びLSに対応する時間パラメータを使用して取得する必要がある。
b1)洞調律について、Bには、30ms~130ms(プログラム可能)範囲が含まれるが、これに限定されない。
c1)心室性異所性興奮、例えばPVC、心室ペーシング等について、Bには、30ms~250ms(プログラム可能)範囲が含まれるが、これに限定されない。
LSVTの開始時間LSVT
-S=LS-A、
ウィンドウ持続時間LSVT
-B=B-(LSVT
-S-GVT
-S)、
なお、LSVTは、複数の局所心筋に電極がある場合のみに使用され、LSはLS1であり、すべての心筋部位での発生時間が最も早いセンシングイベントに対応する。
17)
図7に示すように、GPTは、対応するGSのパルス送出時間ウィンドウであり、LSPTは、対応するLSのパルス送出時間ウィンドウ(プログラム可能に設定と調整したもの)であり、
具体的には、GPTの開始時間GPT
-S=GVT
-S、ウィンドウ持続時間には、具体的には、20ms~200ms(プログラム可能)範囲(defaultは130msである)が含まれるが、これに限定されない。
LSPTの開始時間LSPT
-S=LSVT
-S、ウィンドウ持続時間はGPTのウィンドウ持続時間からGLSDを引いたものである。
なお、GVT
-Sに対応するプリセットの心電図中のファーフィールドセンシングGSのシーン、LSVT
-Sに対応する局所心筋心電図中のローカルセンシングLSのシーン(即ちA=0msである場合)を含むことを以上に説明した。
なお、上記のパラメータは、いずれもいくつかの心周期で平均して算出し(例えば6つの心周期、プログラム可能、他の数の回数での心周期)、また、プリセット期間は、洞性心臓電気活動、心室補充収縮電気活動、及び心室ペーシング等の期間でそれぞれ行われるべきである。
図7に示すように、単一電極リード刺激システムについて、LSPTは、対応するLSのパルス送出時間ウィンドウであり、ウィンドウの始点はLSVT
-Sであり、そのウィンドウ持続時間はGPTのウィンドウ持続時間(B)からGLSDを引いたものであり、両者は、LSをパルス刺激送出のトリガ点(基準点)とするパルス送出時間ウィンドウである。
なお、LSPTは、複数の局所心筋に電極がある場合のみに使用され、且つLSはLS1であり、即ち、すべての心筋部位において発生時間が最も早いセンシングイベントに対応する。この時、GPTの始点も、LSに対応する時間パラメータを使用して取得する必要がある。
また、本実施例におけるGVT、GPT、LSVT及びLSPT等の時間ウィンドウは、いずれも対応するウィンドウ始点及びウィンドウ持続時間のこの2つのパラメータによって説明される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
稼働期間(operational period):
(23)稼働期間の間、GS及びLSnをリアルタイムに取得する。
(24)上記のステップ(18)中の規則を使用して、LSnに対して真のR波であるか否かを確認する。
又は、上記のステップ(18)において、LS1が真のR波であると確認された場合、LSn(n=2,3,…)は、真のR波(LSnがGVTウィンドウ内に発生した場合)であると仮定される。
又は、上記のステップ(18)において、LS1が真のR波であると確認され、且つLSn(n=2,3,…)がプリセットのテンプレートに合致する場合、LSn(n=2,3,…)は、単独で、真のRセンシングであると確認される。
又は、LS1を基準として使用する場合、センシング時間ウィンドウはLSVTであり、LSn(n=2,3,…)がLSVT時間ウィンドウ内にあるか否かを判断し、そうであれば、LSn(n=2,3,…)は、単独で、真のRセンシングであると確認される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
図8に示すように、複数電極リード刺激システムが設定期間にあることについて、LS1を基準としてする場合、パルス送出時間ウィンドウはLSPTである。
稼働期間の間、各LSがR波センシングであると決定した後、対応するパルス送出時間は、GPTウィンドウ内にあるべきであり、LS1をパルス送出時間ウィンドウのトリガ点(基準点)として使用する場合、LSn(n>1)の送出時間がLSPTウィンドウ内にある
べきである。
【国際調査報告】