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特表2025-504047ブートストラップ駆動回路、電動機制御機器、圧縮機及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ブートストラップ駆動回路、電動機制御機器、圧縮機及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
H02M1/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545036
(86)(22)【出願日】2023-03-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2023080812
(87)【国際公開番号】W WO2023197802
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210378498.X
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522001448
【氏名又は名称】安徽威▲靈▼汽▲車▼部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI WELLING AUTO PARTS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.418 Caihong Road,High-Tech District Hefei,Anhui 230031,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】520496327
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼威▲靈▼汽▲車▼部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING AUTO PARTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building No.1, No.21 Gangqian Road, Beijiao Residential Council Industrial Park, Beijiao, Shunde Foshan, Guangdong 528311, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】石宏康
(72)【発明者】
【氏名】宋万杰
(72)【発明者】
【氏名】秦飛祥
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB05
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH07
5H740JA01
5H740JB02
(57)【要約】
ブートストラップ駆動回路、電動機制御機器、圧縮機及び車両を提供する。ブートストラップ駆動回路(100)は、ブートストラップユニット(110)、マイナス電圧ユニット(120)、駆動ユニット(130)及び電圧安定化ユニット(140)を含み、ここで、ブートストラップユニット(110)は、電圧安定化ユニット(140)にブートストラップ電圧を提供するためのものであり、電圧安定化ユニット(140)は、ブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、駆動ユニット(130)に、安定した駆動電圧を出力するためのものであり、駆動ユニット(130)は、導通制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタ(Q1)を導通させるように駆動する一方、遮断制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニット(120)が安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、スイッチングトランジスタ(Q1)を遮断させるように駆動するためのものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブートストラップユニット、マイナス電圧ユニット、駆動ユニット及び電圧安定化ユニットを含み、
前記ブートストラップユニットは、前記電圧安定化ユニットにブートストラップ電圧を提供するためのものであり、
前記電圧安定化ユニットは、前記ブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、前記駆動ユニットに、安定した駆動電圧を出力するためのものであり、
前記駆動ユニットは、導通制御信号を受け取った場合には、前記安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタを導通させるように駆動し、遮断制御信号を受け取った場合には、前記安定した駆動電圧に従って、前記マイナス電圧ユニットが安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、前記スイッチングトランジスタを遮断させるように駆動するためのものである、
ブートストラップ駆動回路。
【請求項2】
前記電圧安定化ユニットの入力端が前記ブートストラップユニットの出力端に接続され、
前記電圧安定化ユニットの基準接地端が前記ブートストラップユニットの負極端及び前記駆動ユニットの電源負極ピンにそれぞれ接続され、
前記電圧安定化ユニットの出力端が前記駆動ユニットの電源正極ピンに接続され、
前記駆動ユニットの出力ピンが前記マイナス電圧ユニットの正端に接続され、
前記マイナス電圧ユニットの負端が前記スイッチングトランジスタの制御端に接続される、
請求項1に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項3】
前記電圧安定化ユニットは、リニア電圧安定化電源、又は、スイッチング電源を含む、
請求項1又は2に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチングトランジスタは、逆変換回路の上アームスイッチングトランジスタである、
請求項1~3のいずれか1項に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項5】
充電制御ユニットを更に含み、
前記充電制御ユニットは、前記スイッチングトランジスタが導通している場合に、前記マイナス電圧ユニットを充電させるように制御して、前記マイナス電圧ユニットによって生成された遮断用マイナス電圧に対して二次安定化処理を行うためのものである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項6】
前記充電制御ユニットは、
前記マイナス電圧ユニットの負端と前記ブートストラップユニットの負極端との間に接続される制御可能なスイッチモジュールと、
前記制御可能なスイッチモジュールを導通させるよう制御して、前記駆動電圧により前記マイナス電圧ユニットに対して充電を行わせる論理制御モジュールと、を含む、
請求項5に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項7】
前記論理制御モジュールは、前記マイナス電圧ユニットの両端の電圧を取得し、前記駆動ユニットから出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、前記マイナス電圧ユニットの両端の電圧に基づいて前記マイナス電圧ユニットがアンダーボルテージであると判定した場合に、前記制御可能なスイッチモジュールを導通させるように制御することに更に用いられる、
請求項6に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項8】
前記論理制御モジュールは、前記駆動ユニットから出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、前記制御可能なスイッチモジュールを導通させるように制御することに更に用いられる、
請求項6に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項9】
前記制御可能なスイッチモジュールがMOSトランジスタと電流制限抵抗を含み、
前記電流制限抵抗が前記MOSトランジスタのドレインと前記マイナス電圧ユニットの負端との間に接続され、又は、
前記電流制限抵抗が前記MOSトランジスタのソースと前記ブートストラップユニットの負極端との間に接続される、
請求項6~8のいずれか1項に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項10】
前記MOSトランジスタがボディダイオードを有する場合、前記制御可能なスイッチモジュールは、第1ダイオードを更に含み、前記第1ダイオードのアノードが前記MOSトランジスタのソースに接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記ブートストラップユニットの負極端に接続される、
請求項9に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項11】
前記ブートストラップユニットは、給電電源、ブートストラップダイオード、ブートストラップ抵抗及びブートストラップコンデンサを含み、
前記給電電源の負極端が接地され、
前記ブートストラップダイオードのアノードが前記給電電源の正極端に接続され、
前記ブートストラップ抵抗の一端が前記ブートストラップダイオードのカソードに接続され、
前記ブートストラップコンデンサの正極端が前記ブートストラップ抵抗の他端に接続され、且つ第1ノードを有し、前記ブートストラップコンデンサの負極端が前記電圧安定化ユニットの基準接地端に接続され、前記第1ノードが前記ブートストラップユニットの出力端として機能する、
請求項2に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項12】
前記マイナス電圧ユニットは、マイナス電圧コンデンサ及び第1電圧安定化ダイオードを含み、
前記マイナス電圧コンデンサの正極端が前記駆動ユニットの出力ピンに接続され、前記マイナス電圧コンデンサの負極端が前記マイナス電圧ユニットの負端として機能し、
前記第1電圧安定化ダイオードのアノードが前記マイナス電圧コンデンサの負極端に接続され、前記第1電圧安定化ダイオードのカソードが前記マイナス電圧コンデンサの正極端に接続される、
請求項11に記載のブートストラップ駆動回路。
【請求項13】
逆変換回路と、
請求項1~12のいずれか1項に記載のブートストラップ駆動回路であって、前記逆変換回路内のスイッチングトランジスタを導通又は遮断させるように駆動することに用いられるブートストラップ駆動回路と、を含む、
電動機制御機器。
【請求項14】
前記逆変換回路が三相ブリッジ型逆変換回路、単相フルブリッジ逆変換回路、又は単相ハーフブリッジ逆変換回路である、
請求項13に記載の電動機制御機器。
【請求項15】
電動機と、
請求項13又は14に記載の電動機制御機器であって、前記電動機を駆動して作動させることに用いられる電動機制御機器と、を含む、
圧縮機。
【請求項16】
請求項15に記載の圧縮機を含む
車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2022年4月12日に提出された出願番号202210378498.X、出願名称「ブートストラップ駆動回路、電動機制御機器、圧縮機及び車両」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、引用により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、駆動制御の技術分野に関し、特にブートストラップ駆動回路、電動機制御機器、圧縮機、及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
SiC(Silicon Carbide、炭化シリコン)を代表とする第三世代の半導体は、高いスイッチング周波数、高い耐圧・耐熱耐寒性能を備え、そしてSi(Silicon、シリコン)デバイスと比べ、同じ性能であればより小さな体積を有する点から、電気自動車などの分野で幅広い応用展望がある。パワーデバイスを信頼性よく遮断するためには、SiCを代表とするパワーデバイスは一般的にマイナス電圧が必要とされている。しかしながら、関連技術では、パワーデバイスをマイナス電圧で遮断する際に、パワーデバイスにより許容されるマイナス電圧の変動範囲を超えてしまう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、少なくともある程度において、関連技術の中の少なくとも1つの技術的問題を解決することを目指している。このため、本開示の1つ目の目的は、ブートストラップ駆動回路を提供することにあり、電圧安定化ユニットによってブートストラップ電圧に対して電圧安定化処理を行うことで、駆動電圧の変動を低減し、ブートストラップ駆動回路の信頼性を向上させた。
【0005】
本開示の2つ目の目的は、電動機制御機器を提供することにある。
【0006】
本開示の3つ目の目的は、圧縮機を提供することにある。
【0007】
本開示の4つ目の目的は、車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の第1態様の実施例は、ブートストラップ駆動回路であって、ブートストラップユニット、マイナス電圧ユニット、駆動ユニット及び電圧安定化ユニットを含み、ここで、ブートストラップユニットは、電圧安定化ユニットにブートストラップ電圧を提供するためのものであり、電圧安定化ユニットは、ブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、駆動ユニットに、安定した駆動電圧を出力するためのものであり、駆動ユニットは、導通制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタを導通させるように駆動し、遮断制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニットが安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、スイッチングトランジスタを遮断させるように駆動するためのものである、ブートストラップ駆動回路を提供する。
【0009】
本開示の実施例に係るブートストラップ駆動回路は、ブートストラップユニットが、電圧安定化ユニットにブートストラップ電圧を提供して、電圧安定化ユニットが、ブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、駆動ユニットに、安定した駆動電圧を出力して、駆動ユニットは、導通制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタを導通させるように駆動する一方、遮断用制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニットが安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、駆動ユニットが、安定した遮断用マイナス電圧に従って、スイッチングトランジスタを遮断させるように駆動する。これにより該回路は、ブートストラップ電圧に対して、電圧安定化ユニットで電圧安定化処理を行い、駆動電圧の変動を低減しており、ブートストラップ駆動回路の信頼性を向上させている。
【0010】
本開示の一実施例によれば、電圧安定化ユニットの入力端がブートストラップユニットの出力端に接続され、電圧安定化ユニットの基準接地端がブートストラップユニットの負極端及び駆動ユニットの電源負極ピンにそれぞれ接続され、電圧安定化ユニットの出力端が駆動ユニットの電源正極ピンに接続され、駆動ユニットの出力ピンがマイナス電圧ユニットの正端に接続され、マイナス電圧ユニットの負端がスイッチングトランジスタの制御端に接続される。
【0011】
本開示の一実施例によれば、電圧安定化ユニットは、リニア電圧安定化電源、又は、スイッチング電源を含む。
【0012】
本開示の一実施例によれば、スイッチングトランジスタは、逆変換回路の上アームスイッチングトランジスタである。
【0013】
本開示の一実施例によれば、充電制御ユニットを更に含み、充電制御ユニットは、スイッチングトランジスタが導通している場合に、マイナス電圧ユニットを充電させるように制御して、マイナス電圧ユニットによって生成された遮断用マイナス電圧に対して二次安定化処理を行うためのものである。
【0014】
本開示の一実施例によれば、充電制御ユニットは、マイナス電圧ユニットの負端とブートストラップユニットの負極端との間に接続される制御可能なスイッチモジュールと、制御可能なスイッチモジュールを導通させるように制御して、駆動電圧によりマイナス電圧ユニットに対して充電を行わせる論理制御モジュールと、を含む。
【0015】
本開示の一実施例によれば、論理制御モジュールは、マイナス電圧ユニットの両端の電圧を取得し、駆動ユニットから出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、マイナス電圧ユニットの両端の電圧に基づいてマイナス電圧ユニットがアンダーボルテージであると判定した場合に、制御可能なスイッチモジュールを導通させるように制御することに更に用いられる。
【0016】
本開示の一実施例によれば、論理制御モジュールは、駆動ユニットから出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、制御可能なスイッチモジュールを導通させるように制御することに更に用いられる。
【0017】
本開示の一実施例によれば、制御可能なスイッチモジュールがMOSトランジスタと電流制限抵抗を含み、ここで、電流制限抵抗がMOSトランジスタのドレインとマイナス電圧ユニットの負端との間に接続され、又は、電流制限抵抗がMOSトランジスタのソースとブートストラップユニットの負極端との間に接続される。
【0018】
本開示の一実施例によれば、MOSトランジスタがボディダイオードを有する場合に、制御可能なスイッチモジュールは、第1ダイオードを更に含み、第1ダイオードのアノードがMOSトランジスタのソースに接続され、第1ダイオードのカソードがブートストラップユニットの負極端に接続される。
【0019】
本開示の一実施例によれば、ブートストラップユニットは、給電電源、ブートストラップダイオード、ブートストラップ抵抗及びブートストラップコンデンサを含み、給電電源の負極端が接地され、ブートストラップダイオードのアノードが給電電源の正極端に接続され、ブートストラップ抵抗の一端がブートストラップダイオードのカソードに接続され、ブートストラップコンデンサの正極端がブートストラップ抵抗の他端に接続され、且つ第1ノードを有し、ブートストラップコンデンサの負極端が電圧安定化ユニットの基準接地端に接続され、第1ノードがブートストラップユニットの出力端として機能する。
【0020】
本開示の一実施例によれば、マイナス電圧ユニットは、マイナス電圧コンデンサ及び第1電圧安定化ダイオードを含み、マイナス電圧コンデンサの正極端が駆動ユニットの出力ピンに接続され、マイナス電圧コンデンサの負極端がマイナス電圧ユニットの負端として機能し、第1電圧安定化ダイオードのアノードがマイナス電圧コンデンサの負極端に接続され、第1電圧安定化ダイオードのカソードがマイナス電圧コンデンサの正極端に接続される。
【0021】
上述の目的を達成するために、本開示の第2態様の実施例は、逆変換回路と、上述のブートストラップ駆動回路であって、ブートストラップ駆動回路は逆変換回路内のスイッチングトランジスタを導通又は遮断させるように駆動することに用いられるブートストラップ駆動回路と、を含む、電動機制御機器を提供する。
【0022】
本開示の実施例に係る電動機制御機器は、上述のブートストラップ駆動回路により、電圧安定化ユニットがブートストラップ電圧に対して電圧安定化処理を行うことで、駆動電圧の変動を低減しており、電動機制御機器の信頼性を向上させている。
【0023】
本開示の一実施例によれば、逆変換回路が三相ブリッジ型逆変換回路、単相フルブリッジ逆変換回路、又は単相ハーフブリッジ逆変換回路である。
【0024】
上述の目的を達成するために、本開示の第3態様の実施例は、電動機と、上述の電動機制御機器であって、電動機の作動を駆動することに用いられる電動機制御機器と、を含む、圧縮機を提供する。
【0025】
本開示の実施例に係る圧縮機は、上述の電動機制御機器により、電圧安定化ユニットがブートストラップ電圧に対して電圧安定化処理を行うことで、駆動電圧の変動を低減しており、電動機制御機器の信頼性を向上させており、それにより、圧縮機の信頼性を向上させている。
【0026】
上述の目的を達成するために、本開示の第4態様の実施例は、上述の圧縮機を含む車両を提供する。
【0027】
本開示の実施例に係る車両は、上述の圧縮機により、電圧安定化ユニットがブートストラップ電圧に対して電圧安定化処理を行うことで、駆動電圧の変動を低減しており、圧縮機の信頼性を向上させており、それにより、車両の信頼性を向上させている。
【0028】
本開示の付加的な態様と利点は、その一部が以下の説明で示され、もう一部が以下の説明から明らかになり、又は本開示の実践から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】関連するブートストラップ駆動回路の回路トポロジ図である。
図2】本開示の一実施例に係るブートストラップ駆動回路の構造模式図である。
図3】本開示の別の一実施例に係るブートストラップ駆動回路の構造模式図である。
図4】本開示のまた別の一実施例に係るブートストラップ駆動回路の構造模式図である。
図5】本開示の一実施例に係るブートストラップ駆動回路の回路トポロジ図である。
図6】本開示の一実施例に係る論理制御モジュールの原理のブロック図である。
図7】本開示の1つ目の実施例に係るブートストラップ駆動回路の波形図である。
図8】本開示の2つ目の実施例に係るブートストラップ駆動回路の波形図である。
図9】本開示の3つ目の実施例に係るブートストラップ駆動回路の波形図である。
図10】本開示の4つ目の実施例に係るブートストラップ駆動回路の波形図である。
図11】本開示の一実施例に係る電動機制御機器のブロック図である。
図12】本開示の一実施例に係る圧縮機のブロック図である。
図13】本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明する実施形態の例は図面に示されており、始めから終わりまで同じ又は類似の番号は同じもしくは類似の要素又は同じもしくは類似の機能を持つ要素を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は例示的なもので、本開示を解釈するためにのみ用いられ、本開示を限定するものとして理解され得ない。
【0031】
図1は、関連するブートストラップ駆動回路の回路トポロジ図であり、図1に示すように、マイナス電圧モジュールは、並列接続されたコンデンサCzと電圧安定化ダイオードDzにより構成されている。スイッチングトランジスタを導通させる必要がある場合、駆動チップのOUTピンの電圧はVDD-V1(VDDは電源電圧、V1はダイオードD1の導通電圧)とし、該電圧は、電圧安定化ダイオードDzを経て、スイッチングトランジスタのゲートに印加されて、スイッチングトランジスタのゲート駆動電圧はVDD-V1-Vz(Vzは電圧安定化ダイオードDzの安定化電圧)となって、スイッチングトランジスタは導通することになる。スイッチングトランジスタを遮断する必要がある場合、駆動チップのOUTピンの電圧は0に下がるようにする。導通時にコンデンサCzの左端の電位が右端の電位より高く、コンデンサCzの両端の電圧はVzとなっており、コンデンサCzの両端の電圧は激変し得ないため、スイッチングトランジスタを遮断する際、コンデンサCzの両端の電位は左側が高くて右側が低いまま保持され、両端の電位差はVzのままである。したがって駆動チップのOUTピンが0に下がった際、コンデンサCzの左端の電位は0となり、コンデンサCzの右端の電位は-Vzに保持され、この時スイッチングトランジスタのゲート駆動電圧は-Vzとなり、スイッチングトランジスタはマイナス電圧で遮断されることになる。
【0032】
コンデンサCzの両端の電圧、つまりマイナス電圧の安定性は、電圧安定化ダイオードDzだけではなく、駆動信号のデューティ比にも関わっており、デューティ比の変更はマイナス電圧の不安定を引き起こす。特に、上アームのブートストラップ電圧、つまりブートストラップコンデンサCBOOTの両端の電圧も変動すれば、マイナス電圧の安定性は更に悪化し、これはスイッチングトランジスタのゲート駆動電圧の不安定に繋がり、全体の回路性能の低下をもたらすため、ブートストラップ電圧の変動を厳格に制御する必要がある。
【0033】
これに対し、本開示の実施例において、ブートストラップ電圧に対して、電圧安定化ユニットで電圧安定化処理を行い、駆動電圧の変動を低減しており、ブートストラップ駆動回路の信頼性を向上させている、ブートストラップ駆動回路が提供されている。
【0034】
図2は、本開示の一実施例に係るブートストラップ駆動回路の構造模式図である。図2に示すように、該ブートストラップ駆動回路100は、ブートストラップユニット110、マイナス電圧ユニット120、駆動ユニット130及び電圧安定化ユニット140を含んでもよい。
【0035】
ここで、ブートストラップユニット110は、電圧安定化ユニット140にブートストラップ電圧を提供するためのものであり、電圧安定化ユニット140は、ブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、駆動ユニット130に、安定した駆動電圧を出力するためのものであり、駆動ユニット130は、導通制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタQ1を導通させるように駆動する一方、遮断制御信号を受け取った場合には、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニット120が安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、スイッチングトランジスタQ1を遮断させるように駆動するためのものである。
【0036】
なお、電圧安定化ユニット140は、リニア電圧安定化電源、又は、スイッチング電源などの、低電圧損失(すなわち電圧安定化機能)を持つ電源を含んでもよい。スイッチングトランジスタQ1はMOSトランジスタ、IGBTトランジスタなどの、遮断がマイナス電圧で行われる必要があるトランジスタであってもよく、ここで、具体的に制限されることはない。該回路が逆変換回路に使用される場合、スイッチングトランジスタQ1は逆変換回路の上アームスイッチングトランジスタであってもよい。
【0037】
例示的に、図2に示すように、電圧安定化ユニット140の入力端VINはブートストラップユニット110の出力端に接続され、電圧安定化ユニット140の基準接地端COMがブートストラップユニット110の負極端及び駆動ユニット130の電源負極ピンVSSにそれぞれ接続され、電圧安定化ユニット140の出力端VOUTが駆動ユニット130の電源正極ピンVDDに接続される。これによりブートストラップユニット110から出力されるブートストラップ電圧が電圧安定化ユニット140によって処理された後、駆動ユニット130に対して、安定した駆動電圧を提供する。駆動ユニット130の出力ピンOUTがマイナス電圧ユニット120の正端に接続され、マイナス電圧ユニット120の負端がスイッチングトランジスタQ1の制御端に接続される。
【0038】
制御の必要に応じて、スイッチングトランジスタQ1を導通させるように制御する必要がある場合には、駆動ユニット130の出力ピンOUTが、電源ピンVDDに接続され、ブートストラップユニット110から出力されるブートストラップ電圧が、電圧安定化ユニット140で安定化処理された後、安定した駆動電圧が駆動ユニット130に供給される。この時、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧は、電圧安定化ユニット140から提供された駆動電圧(Vccと記される)と同じになり、該電圧はマイナス電圧ユニット120を経て、スイッチングトランジスタQ1のゲートに提供される。スイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧は、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧とマイナス電圧ユニット120の両端の電圧との差(即ち、Vcc-Vcnであり、Vcnはマイナス電圧ユニット120の両端の電圧)となり、スイッチングトランジスタQ1は導通することになる。
【0039】
制御の必要に応じて、スイッチングトランジスタQ1を遮断させるように制御する必要がある場合には、駆動ユニット130の出力ピンOUTが接地ピンVSSに接続され、この時、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧は、接地ピンVSSの電圧と同じで、ともに0になる。一方、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が激変しないという特性に基づき、マイナス電圧ユニット120はスイッチングトランジスタQ1のゲートに遮断用マイナス電圧(即ち、-Vcn)を提供することになる。駆動ユニット130の駆動電圧は電圧安定化ユニット140で安定化処理されており、変動しないものであるため、スイッチングトランジスタQ1のゲートは、安定した遮断用マイナス電圧(即ち、安定した-Vcn)を受け取り、それによってスイッチングトランジスタQ1の安定した遮断が確保される。
【0040】
上述の実施例に係るブートストラップ駆動回路は、電圧安定化ユニットによってブートストラップ電圧に対して電圧安定化処理を行うことで、駆動電圧の変動を低減しており、ブートストラップ駆動回路の信頼性を向上させている。
【0041】
本開示のいくつかの実施例において、図3に示すように、上述のブートストラップ駆動回路100は、充電制御ユニット150を更に含み、充電制御ユニット150は、スイッチングトランジスタQ1が導通している場合に、マイナス電圧ユニット120を充電させるように制御して、マイナス電圧ユニット120によって生成された遮断用マイナス電圧に対して二次安定化処理を行う。
【0042】
なお、マイナス電圧ユニット120は、充電時にスイッチングトランジスタQ1の導通用プラス電圧を安定化させるためにも使用される。
【0043】
つまり、該ブートストラップ駆動回路100は、電圧安定化ユニット140だけでなく、充電制御ユニット150も含んでおり、電圧安定化ユニット140はブートストラップ電圧に対して安定化処理を行って、ブートストラップ電圧の安定性を確保し、それによりマイナス電圧ユニット120へ供給される電圧の安定性を確保し、ブートストラップ電圧の不安定に起因したスイッチングトランジスタの駆動電圧と遮断用マイナス電圧の不安定という問題を効果的に解決することができる。一方、充電制御ユニット150はマイナス電圧ユニット120に充電パスを提供することができ、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧を安定させ、駆動信号のデューティ比の変更が遮断用マイナス電圧に与える影響を効果的に解決し、これにより駆動電圧と遮断用マイナス電圧の安定性を二つの側面から向上させ、ブートストラップ駆動回路の信頼性を向上させる。
【0044】
例示的に、制御の必要に応じて、スイッチングトランジスタQ1を導通させるように制御する必要がある場合には、駆動ユニット130の出力ピンOUTが電源ピンVDDに接続され、ブートストラップユニット110から出力されるブートストラップ電圧が電圧安定化ユニット140で安定化処理された後、駆動ユニット130に供給される。この時、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧は、電圧安定化ユニット140から提供される駆動電圧(Vccと記される)と同じになり、該電圧はマイナス電圧ユニット120を経て、スイッチングトランジスタQ1のゲートに提供され、スイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧は、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧とマイナス電圧ユニット120両端の電圧との差(すなわち、Vcc-Vcnであり、Vcnはマイナス電圧ユニット120の両端の電圧)となり、スイッチングトランジスタQ1は導通することになる。スイッチングトランジスタQ1が導通している間に、充電制御ユニット150はマイナス電圧ユニット120を充電させるよう制御して、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧を安定させる。該電圧が安定した時、対応するスイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧も安定し、すなわち、スイッチングトランジスタQ1の導通用プラス電圧が安定して、スイッチングトランジスタQ1が、安定した導通状態になる。
【0045】
制御の要求に応じて、スイッチングトランジスタQ1を遮断させるように制御する必要がある場合には、駆動ユニット130の出力ピンOUTが接地ピンVSSに接続され、この時、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧は、接地ピンVSSの電圧と同じで、ともに0になる。一方、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が激変しないという特性に基づき、マイナス電圧ユニット120はスイッチングトランジスタQ1のゲートに遮断用マイナス電圧(すなわち、-Vcn)を提供することになる。スイッチングトランジスタQ1が導通している際に、ブートストラップ電圧を安定させているだけでなく、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧を安定状態にさせるようにその両端の電圧に対して補償を行っている。したがってスイッチングトランジスタQ1のゲートは、安定した遮断用マイナス電圧(すなわち、安定した-Vcn)を受け取り、それによってスイッチングトランジスタQ1の安定した遮断が確保される。
【0046】
上述の実施例においては、電圧安定化ユニットによるブートストラップ電圧の安定化処理及び充電制御ユニットによるマイナス電圧ユニットが生成する遮断用マイナス電圧への補償により、スイッチングトランジスタの駆動電圧と遮断用マイナス電圧の安定性が大幅に向上し、スイッチングトランジスタが安定して導通・遮断できるようになり、回路の信頼性が向上する。
【0047】
本開示のいくつかの実施例において、図4に示すように、充電制御ユニット150は、マイナス電圧ユニット120の負端と前記ブートストラップユニット110の負極端との間に接続される制御可能なスイッチモジュール151と、制御可能なスイッチモジュール151を導通させて、駆動電圧によりマイナス電圧ユニット120に対して充電を行わせるように制御する論理制御モジュール152と、を含んでもよい。
【0048】
選択的に、制御可能なスイッチモジュール151は、MOSトランジスタなどを含み、MOSトランジスタなどの導通を制御することにより、マイナス電圧ユニット120に充電経路を提供し、ひいてはマイナス電圧ユニット120への充電を実現し、遮断用マイナス電圧の補償を実現する。
【0049】
例示的に、図4に示すように、スイッチングトランジスタQ1を導通させるように制御する必要がある場合には、駆動ユニット130の出力ピンOUTが、電源ピンVDDに接続され、ブートストラップユニット110から出力されるブートストラップ電圧が、電圧安定化ユニット140で安定化処理された後、駆動ユニット130に供給される。駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧は、電源ピンVDDの電圧と同じで、ともに駆動電圧となり、該電圧はマイナス電圧ユニット120を経て、スイッチングトランジスタQ1に供給されて、スイッチングトランジスタQ1を導通させる。この過程において、論理制御モジュール152は適切なタイミングでMOSトランジスタのような制御可能なスイッチモジュール151を短時間導通状態に制御してもよい。この時、ブートストラップユニット110は、電圧安定化ユニット140、駆動ユニット130の電源ピンVDD及び出力ピンOUT、マイナス電圧ユニット120、制御可能なスイッチモジュール151とともに充電経路を形成し、ブートストラップユニット110から提供された駆動電圧でマイナス電圧ユニット120に充電し、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が安定状態にあるように確保することで、スイッチングトランジスタQ1の安定した導通を確保する。スイッチングトランジスタQ1を遮断させる必要がある場合、論理制御モジュール152は、MOSトランジスタのような制御可能なスイッチモジュール151を遮断状態に制御し、同時に駆動ユニット130の出力ピンOUTが接地ピンVSSに接続され、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が激変しないという特性に基づき、マイナス電圧ユニット120はスイッチングトランジスタQ1に安定した遮断用マイナス電圧を提供し、これによりスイッチングトランジスタQ1の安定した遮断を確保する。
【0050】
該実施例において、MOSトランジスタのような制御可能なスイッチモジュール151を設置し、該制御可能なスイッチモジュール151への導通・遮断制御を通じて、マイナス電圧ユニット120への充電制御が可能になり、結果としてマイナス電圧ユニット120が、安定した遮断用マイナス電圧を提供可能になり、同時に、スイッチングトランジスタQ1の駆動電圧の安定性が確保される。回路構造が簡略化され、実現されやすく、しかもコストが低く、占有される体積が小さい。
【0051】
本開示のいくつかの実施例において、論理制御モジュール152は、固定周波数又はランダム周波数で制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御するために更に用いられる。
【0052】
なお、ここでの固定周波数は、駆動信号のスイッチング周波数とは無関係であり、具体的に実際の状況に応じて設定してもよい。固定周波数で制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御する場合には、外部からのトリガーは不要で、論理制御モジュール152が、一定の時間間隔おきに、制御可能なスイッチモジュール151を1回導通させるように制御し、短期間持続した後に、制御可能なスイッチモジュール151を遮断させるように制御し、このプロセスを繰り返して、マイナス電圧ユニット120に充電する。
【0053】
該固定周波数は駆動信号と無関係なため、制御可能なスイッチモジュール151が導通しているものの、スイッチングトランジスタQ1が導通していない状態になることがある。スイッチングトランジスタQ1が導通していない場合、駆動ユニット130の電源ピンVDDと出力ピンOUTは切断されており、この時、駆動電源はマイナス電圧ユニット120に対して充電を行わない。一方、スイッチングトランジスタQ1が導通している場合、駆動ユニット130の電源ピンVDDと出力ピンOUTが接続され、この時、駆動電源がマイナス電圧ユニット120に充電する。
【0054】
該方式では、外部からのトリガー、即ち、フィードバック信号が不要で、実現されやすいが、制御可能なスイッチモジュール151の導通がマイナス電圧ユニット120に充電し得るか否かはランダムに左右され、駆動信号のデューティ比が低い場合に、マイナス電圧ユニット120へ長時間にわたって効果的に充電ができない可能性がある。その一方、駆動電源がマイナス電圧ユニット120に充電している時、スイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧が下げられると、結果として、スイッチングトランジスタQ1に対応する逆変換回路などの回路の出力電流の歪みを招くおそれがある。また、周波数が固定されているため、出力電流に生成される高調波周波数が、或る1つ又はいくつかの点に集中して、電磁両立設計に不利である。従って、この方式は逆変換回路などの回路への性能要求が比較的低く、低デューティ比を必要としない場合に適しているもので、該場合にスイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保する。
【0055】
なお、ランダム周波数は、ランダムジッターである。即ち、制御可能なスイッチモジュール151の導通時刻が不定である。これによって、固定周波数を使用した際に出力電流上に生成される高調波周波数が或る1つ又はいくつかの点に集中するという問題を解決し、電磁両立設計に役立つ。該方式も同様に、逆変換回路などの回路への性能要求が比較的低く、低デューティ比を必要としない場合に適用でき、そのような場合にスイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保する。
【0056】
本開示の別のいくつかの実施例において、論理制御モジュール152は、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧を取得し、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧に基づいてマイナス電圧ユニット120がアンダーボルテージであると判定した場合に、制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御することに更に用いられる。
【0057】
例示的に、論理制御モジュール152がマイナス電圧ユニット120の両端の電圧をサンプリングし、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が或る閾値(実際の状況に応じて設定可能)未満になった場合、論理制御モジュール152が、制御可能なスイッチモジュール151を短期間導通させるように制御して、駆動電源によりマイナス電圧ユニット120に対して充電を行うことができる。
【0058】
該方式では、制御可能なスイッチモジュール151のスイッチング周波数を最小限に低減することができ、即ち、マイナス電圧ユニット120がアンダーボルテージである時のみ、制御可能なスイッチモジュール151を導通させる。シミュレーション結果によれば、スイッチングトランジスタQ1の数百回、ひいては数千回のスイッチング周期(ミリ秒を単位として)に、1回だけ制御可能なスイッチモジュール151を導通させて、マイナス電圧ユニット120への充電を行い、必要な電圧を確保する。しかし、該方式でも、制御可能なスイッチモジュール151が導通している時に、スイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧が下げられると、結果として、出力電流上に高調波周波数が生成されるリスクがあり、出力電流の周波数(該回路が電動機の駆動に使用される場合、出力電流の周波数は電動機の回転速度に電動機の電極対数を乗じたもの)が高くなるほど、制御可能なスイッチモジュール151の導通によって生成される高調波周波数の影響が大きくなる。従って、該方式は逆変換回路などの回路への性能要求が高くない場合に適しているもので、そのような場合にスイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保する。
【0059】
本開示のまたいくつかの実施例において、論理制御モジュール152は、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧を取得し、駆動ユニット130から出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧に基づいてマイナス電圧ユニット120がアンダーボルテージであると判定した場合に、制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御することに更に用いられる。
【0060】
例示的に、論理制御モジュール152がマイナス電圧ユニット120の両端の電圧をサンプリングし、マイナス電圧ユニット120の両端の電圧が或る閾値(実際の状況に応じて設定可能)未満になった場合、論理制御モジュール152が、駆動ユニット130から出力された駆動電圧(すなわち、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧)の立ち上がりエッジに、制御可能なスイッチモジュール151を短期間導通させるように制御して、駆動電源によりマイナス電圧ユニット120に対して充電を行うことができる。
【0061】
該方式では、マイナス電圧ユニット120がアンダーボルテージであり、且つ駆動電圧の立ち上がりエッジに、制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御することにより、制御可能なスイッチモジュール151のスイッチング周波数を最小限に低減するだけでなく、駆動電圧の歪み度合も低減することができる。即ち、駆動電圧に短期間遅延を加えて、デューティ比を少し低減することで、駆動電圧の歪みを減少させる。また、シミュレーション分析によれば、制御可能なスイッチモジュール151の導通によって生じる駆動電圧のデューティ比の損失は元のデューティ比の約0.2%にすぎず、そのような微小なデューティ比の損失は、逆変換回路などの回路の出力に非常に小さい影響しか与えない。従って、該方式は逆変換回路などの回路に対する性能要求が高い場合に適しているもので、そのような場合にスイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保する。
【0062】
本開示の更なるいくつかの実施例において、論理制御モジュール152は、駆動ユニット130から出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御することに更に用いられる。
【0063】
例示的に、論理制御モジュール152は、スイッチングトランジスタQ1の各スイッチング周期中に、駆動ユニット130から出力された駆動電圧(即ち、駆動ユニット130の出力ピンOUTの電圧)の立ち上がりエッジに、制御可能なスイッチモジュール151を制御して短期間導通させ、駆動電源によりマイナス電圧ユニット120に対して充電を行う。
【0064】
該方式により駆動電圧の歪みを低減できる。すなわち、駆動電圧に短期間遅延を加えて、デューティ比を少し低減することで、駆動電圧の歪みを低減する。シミュレーション分析によれば、制御可能なスイッチモジュール151の導通による駆動電圧のデューティ比の損失は、元のデューティ比の約0.2%にすぎず、そのような微小なデューティ比の損失は、逆変換回路などの回路の出力に非常に小さい影響しか与えない。なお、各スイッチング周期で固定のデューティ比が損失されるため、損失したデューティ比は逆変換回路などの閉ループ制御回路で自動的に補償してもよいし、また、各スイッチング周期のデューティ比を能動的に若干高めてマイナス電圧ユニット120の充電に使用することで、毎周期に固定の損失が生じるという問題を解決してもよい。該方式は、逆変換回路などの回路に対する性能要求が高い場合に適しているもので、そのような場合にスイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保する。同時に、ソフトウェアアルゴリズムの適応により、逆変換回路などの回路の出力電流に、余分な高調波周波数がほぼ生成されないようにすることが可能である。
【0065】
上述の実施例において、異なる方式で制御可能なスイッチモジュール151を導通させるように制御することにより、スイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断、及び、回路性能を確保するだけでなく、異なる場合に適用し、異なる実際のニーズを満たすことができる。
【0066】
本開示のいくつかの実施例において、図5に示すように、制御可能なスイッチモジュール151がMOSトランジスタM1と電流制限抵抗R1を含み、ここで、電流制限抵抗R1がMOSトランジスタM1のドレインとマイナス電圧ユニット120の負端の間に接続され、又は、電流制限抵抗R1がMOSトランジスタM1のソースとブートストラップユニット110の負極端の間に接続されて、マイナス電圧ユニット120の充電電流を制限し、それによりマイナス電圧ユニット120の充電速度を制御する。
【0067】
なお、図5に示すように、電流制限抵抗R1がMOSトランジスタM1のドレインとマイナス電圧ユニット120の負端の間に接続されている場合、該電流制限抵抗R1は、マイナス電圧ユニット120の充電電流だけでなく、スイッチングトランジスタQ1の駆動電流も制限することができ、スイッチングトランジスタQ1の駆動抵抗は、電流制限抵抗R1と抵抗R3が直列に接続された抵抗となる。
【0068】
本開示のいくつかの実施例において、図5に示すように、MOSトランジスタM1が、ボディダイオードを有する場合に、制御可能なスイッチモジュール151は、第1ダイオードD1を更に含み、第1ダイオードD1のアノードがMOSトランジスタM1のソースに接続され、第1ダイオードD1のカソードがブートストラップユニット110の負極端に接続される。これにより、MOSトランジスタM1のボディダイオードを通じてマイナス電圧ユニット120が逆方向に放電することを防げる。
【0069】
なお、第1ダイオードD1をMOSトランジスタM1のドレインとマイナス電圧ユニット120の負端の間に設置してもよい。また、MOSトランジスタM1が、ボディダイオードを付帯しなければ、マイナス電圧ユニット120はMOSトランジスタM1を通じて逆方向に放電できない。そのため、MOSトランジスタM1が、ボディダイオードを有していない場合、コストを節約するために第1ダイオードD1を設置しなくてもよい。
【0070】
本開示のいくつかの実施例において、図5に示すように、ブートストラップユニット110は、負極端が接地される給電電源VCCと、ブートストラップダイオードD2であって、ブートストラップダイオードD2のアノードが給電電源VCCの正極端に接続されるブートストラップダイオードD2と、ブートストラップ抵抗R2であって、ブートストラップ抵抗R2の一端がブートストラップダイオードD2のカソードに接続されるブートストラップ抵抗R2と、ブートストラップコンデンサCBSであって、ブートストラップコンデンサCBSの正極端がブートストラップ抵抗R2の他端に接続され、且つ第1ノードを有し、ブートストラップコンデンサCBSの負極端が電圧安定化ユニット140の基準接地端COMに接続され、第1ノードがブートストラップユニット110の出力端として機能するブートストラップコンデンサCBSと、を含んでもよい。
【0071】
更に、図5に示すように、マイナス電圧ユニット120は、マイナス電圧コンデンサCNであって、マイナス電圧コンデンサCNの正極端が駆動ユニット130の出力ピンOUTに接続され、マイナス電圧コンデンサCNの負極端がマイナス電圧ユニット120の負端として機能するマイナス電圧コンデンサCNと、第1電圧安定化ダイオードZD1であって、第1電圧安定化ダイオードZD1のアノードがマイナス電圧コンデンサCNの負極端に接続され、第1電圧安定化ダイオードZD1のカソードがマイナス電圧コンデンサCNの正極端に接続される第1電圧安定化ダイオードZD1と、を含む。
【0072】
例示的に、スイッチングトランジスタQ1を導通させる必要がある場合、駆動ユニット130の電源ピンVDDが出力ピンOUTに接続され、ブートストラップコンデンサCBSが、電圧安定化ユニット140、駆動ユニット130の電源ピンVDD及び出力ピンOUTを経て、マイナス電圧ユニット120に駆動電圧を提供する。該駆動電圧Vccが、すなわち電圧安定化ユニット140の出力電圧である。マイナス電圧ユニット120においては、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧をVcnとし(なお、作動初期にスイッチングトランジスタQ1の駆動電圧と遮断用マイナス電圧を安定させるために、回路作動前にMOSトランジスタM1を短期間導通させてマイナス電圧コンデンサCNに予め充電しておき、それが安定した電圧状態にあるように確保してもよい)、その結果、スイッチングトランジスタQ1のゲート駆動電圧はVcc-Vcnとなり、これによりスイッチングトランジスタQ1が導通することになる。
【0073】
スイッチングトランジスタQ1を遮断する必要がある場合、駆動ユニット130の接地ピンVSSと出力ピンOUTが接続される。マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧が激変し得ないため、マイナス電圧コンデンサCNの負極端の電圧は-Vcnとなり、これにより、スイッチングトランジスタQ1に遮断用マイナス電圧を提供し、その結果、スイッチングトランジスタQ1がマイナス電圧で遮断されることになる。
【0074】
スイッチングトランジスタQ1の導通・遮断制御過程において、論理制御モジュール152は上述の5つの方法のいずれかを基にしてMOSトランジスタM1を導通させるように制御して、駆動電源によりマイナス電圧コンデンサCNに充電し、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧Vcnに対して補償を行うことで、それが安定状態にあるように確保することができる。これにより、スイッチングトランジスタQ1が導通している際の駆動電圧、すなわち導通用プラス電圧の安定性、及びスイッチングトランジスタQ1を遮断している際の遮断用マイナス電圧の安定性を確保し、スイッチングトランジスタQ1の安定した導通・遮断を確保する。
【0075】
本開示のいくつかの実施例において、論理制御モジュール152の内部原理図は、図6に示されるものである。以下、図5図6を参照しながら、論理制御モジュール152がMOSトランジスタM1を導通させて、マイナス電圧コンデンサCNに充電する制御について説明する。
【0076】
例示的に、論理制御モジュール152は固定周波数でMOSトランジスタM1を導通させるように制御する。
【0077】
具体的には、図6に示すように、論理制御モジュール152が固定周波数でMOSトランジスタM1を導通させるように制御する場合、論理制御モジュール152内部のタイマーは一定の時間間隔でハイレベル信号をラッチに出力するか、又はシステムMCU(例えば、逆変換回路に適用する場合には、逆変換回路のシステムMCU)が定期的にハイレベル信号をラッチに入力し、ラッチはハイレベルのパルス信号をMOS駆動回路に出力して、MOSトランジスタM1を短期間導通させるように駆動する。スイッチングトランジスタQ1が導通状態にある際は、MOSトランジスタM1の導通がマイナス電圧コンデンサCNの充電をさせる。スイッチングトランジスタQ1が遮断状態にある際は、MOSトランジスタM1の導通は作用を及ぼさない。固定周波数でMOSトランジスタM1を導通させる場合の波形は、図7に示されるものである。上述の分析から、該方式は、逆変換回路などの回路に対する性能要求が低く、低デューティ比を必要としない場合に適用できることがわかる。
【0078】
例示的に、論理制御モジュール152はランダム周波数でMOSトランジスタM1を導通させるよう制御する。
【0079】
具体的には、図6に示すように、論理制御モジュール152がランダム周波数でMOSトランジスタM1を導通させるように制御する場合、システムMCUがランダム周波数でランダムにハイレベル信号をラッチに入力してもよく、ラッチはハイレベルのパルス信号をMOS駆動回路に出力して、MOSトランジスタM1を短期間導通させるように駆動する。上述の分析から、該方式は、逆変換回路などの回路に対する性能要求が低く、低デューティ比を必要としない場合に適用できることがわかる。
【0080】
第3種の例として、論理制御モジュール152は、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧を取得し、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧に基づいて、マイナス電圧コンデンサCNが、アンダーボルテージであると判定した場合に、MOSトランジスタM1を導通させるように制御する。
【0081】
具体的に、図6を引き続き参照して、論理制御モジュール152内の比較器には、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧の許容される最小値Vcn_minが保存されている。比較器は、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧をサンプリングする。マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧値がVcn_min未満の場合、比較器はハイレベル信号をラッチに送信し、ラッチはハイレベルのパルス信号をMOS駆動回路に出力して、MOSトランジスタM1を短期間導通させるように駆動する。スイッチングトランジスタQ1が導通状態にある際、MOSトランジスタM1の導通は、マイナス電圧コンデンサCNの充電をさせる。スイッチングトランジスタQ1が遮断状態にある際、MOSトランジスタM1の導通は作用を及ぼさない。こうして、MOSトランジスタM1は、マイナス電圧コンデンサCNがアンダーボルテージの時のみ導通し、MOSトランジスタM1のスイッチング周波数を最小限に低減できる。マイナス電圧コンデンサCNがアンダーボルテージであるときMOSトランジスタM1が導通する場合の波形は図8に示されているものである。上述の分析から、該方式は、逆変換回路などの回路に対する性能要求が高くない場合に適用できることが分かる。
【0082】
第4種の例として、論理制御モジュール152がマイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧を取得し、駆動ユニット130から出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧に基づいて、マイナス電圧コンデンサCNがアンダーボルテージであると判定した場合に、MOSトランジスタM1を導通させるように制御する。
【0083】
具体的に、図6を引き続き参照して、論理制御モジュール152内の比較器がマイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧をサンプリングし、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧値がVcn_min未満の場合、ハイレベル信号を出力する。同時に、フリップフロップが駆動ユニット130の出力ピンOUTに接続され、駆動ユニット130の出力ピンOUTから出力された信号の立ち上がりエッジ時に、ハイレベル信号を出力する。そして、比較器とフリップフロップから出力された信号はANDゲートの演算を経てラッチに出力される。すなわち、比較器とフリップフロップの両方ともハイレベル信号を出力した場合に限り、ANDゲートはラッチにハイレベル信号を出力して、MOSトランジスタM1を導通させるように駆動し得る。つまり、マイナス電圧コンデンサCNの両端の電圧値がVcn_min未満であり、且つ駆動ユニット130の出力ピンOUTから出力された信号の立ち上がりエッジ時に、論理制御モジュール152はMOSトランジスタM1を導通させるように制御して、マイナス電圧コンデンサCNに充電する。これにより、スイッチングトランジスタQ1の駆動電圧の歪み度合を低減できる。対応する波形は図9に示されているものである。上述の分析から、該方式は逆変換回路などの回路に対する要求が高い場合に適用できることがわかる。
【0084】
第5種の例として、論理制御モジュール152は、駆動ユニット130から出力された駆動電圧の立ち上がりエッジ時に、MOSトランジスタM1を導通させるように制御する。
【0085】
具体的に、図6を引き続き参照して、論理制御モジュール152内のフリップフロップが駆動ユニット130の出力ピンOUTに接続され、駆動ユニット130の出力ピンOUTから出力された信号の立ち上がりエッジ時に、ラッチにハイレベル信号を出力する。ラッチは、ハイレベルのパルス信号を出力してMOSトランジスタM1を導通させ、これによりマイナス電圧コンデンサCNに充電する。対応する波形は図10に示されているものである。上述の分析から、該方式は逆変換回路などの回路に対する要求が高い場合に適用できることがわかる。
【0086】
まとめると、本開示の実施例に係るブートストラップ駆動回路において、電圧安定化ユニットでブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、ブートストラップ電圧の安定性を確保でき、それによって駆動電圧、及び、遮断用マイナス電圧の安定性を確保し、回路の駆動性能を向上させる。これを基に、充電制御ユニットがマイナス電圧ユニットに充電して、遮断用マイナス電圧を補償することで、遮断用マイナス電圧及び駆動電圧の安定性を確保でき、回路の駆動性能を一層向上させている。
【0087】
上述の実施例に対応して、本開示には、電動機制御機器が更に提案されている。
【0088】
図11は、本開示の一実施例に係る電動機制御機器のブロック図である。
【0089】
本開示の実施例における電動機制御機器300は、逆変換回路200と上述のブートストラップ駆動回路100を含んでもよい。ブートストラップ駆動回路100は、逆変換回路200内のスイッチングトランジスタを導通又は遮断させるよう駆動するために使用され、具体的には、逆変換回路200内の各レグの上アームスイッチングトランジスタおよび下アームスイッチングトランジスタの導通又は遮断を含む。
【0090】
本開示のいくつかの実施例において、逆変換回路200が三相ブリッジ型逆変換回路、単相フルブリッジ逆変換回路、又は単相ハーフブリッジ逆変換回路、などであってもよいが、ここで限定されない。ブートストラップ駆動回路100が、逆変換回路200を駆動して作動させる際には、ブートストラップ駆動回路100内のブートストラップユニットが電圧安定化ユニットにブートストラップ電圧を提供して、電圧安定化ユニットによりブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、安定した駆動電圧を駆動ユニットに出力する。駆動ユニットは導通制御信号を受け取った場合、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタを導通させるように駆動する一方、遮断制御信号を受け取った場合、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニットが安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、スイッチングトランジスタを遮断させるように駆動する。
【0091】
本開示の実施例に係る電動機制御機器において、上述のブートストラップ駆動回路により、電圧安定化ユニットでブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、ブートストラップ電圧の安定性を確保でき、それによって駆動電圧、及び、遮断用マイナス電圧の安定性を確保し、回路の駆動性能を向上させる。これを基に、充電制御ユニットがマイナス電圧ユニットに充電して、遮断用マイナス電圧を補償することで、遮断用マイナス電圧及び駆動電圧の安定性を確保でき、回路の駆動性能を一層向上させている。
【0092】
上述の実施例に対応して、本開示には、圧縮機が更に提案されている。
【0093】
図12は、本開示の一実施例に係る圧縮機のブロック図である。
【0094】
本開示の実施例に係る圧縮機400は、電動機Mと、上述の電動機制御機器300であって、電動機Mの作動を駆動することに用いられる電動機制御機器300と、を含む。
【0095】
いくつかの実施例において、圧縮機400は、駆動部と圧縮部を含む電動圧縮機であってもよい。電動圧縮機内の駆動部は、圧縮部が圧縮作業を行うように駆動する。たとえば、駆動部には、ローターとステーターを含む電動機M及び上述の電動機制御機器300が含まれてもよく、電動機制御機器300により電動機Mの作動を駆動することで、圧縮部の圧縮作業を駆動する。また、いくつかの実施例において、電動圧縮機は。低背圧圧縮機であってもよく、駆動部は圧縮機の吸入口と連通する低圧室に設置されてもよく、圧縮部は圧縮機の排出口と連通する高圧室に設置されてもよい。また、いくつかの実施例において、電動圧縮機は横型圧縮機であってもよく、駆動部と圧縮部は横に並べて配置され得る。
【0096】
電動機制御機器300が電動機Mを駆動して作動させ、圧縮部の圧縮作業を駆動する過程において、ブートストラップ駆動回路内のブートストラップユニットが、電圧安定化ユニットにブートストラップ電圧を提供して、電圧安定化ユニットによりブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、安定した駆動電圧を駆動ユニットに出力する。駆動ユニットは導通制御信号を受け取った場合、安定した駆動電圧に従って、対応するスイッチングトランジスタを導通させるように駆動する一方、遮断制御信号を受け取った場合、安定した駆動電圧に従って、マイナス電圧ユニットが安定した遮断用マイナス電圧を生成するように制御して、スイッチングトランジスタを遮断させるように駆動する。
【0097】
本開示の実施例に係る圧縮機において、上述の電動機制御機器により、電圧安定化ユニットでブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、ブートストラップ電圧の安定性を確保でき、それによって駆動電圧、及び、遮断用マイナス電圧の安定性を確保し、回路の駆動性能を向上させる。これを基に、充電制御ユニットがマイナス電圧ユニットに充電して、遮断用マイナス電圧を補償することで、遮断用マイナス電圧及び駆動電圧の安定性を確保でき、回路の駆動性能及び、圧縮機の性能を一層向上させている。
【0098】
上述の実施例に対応して、本開示には、車両が更に提案されている。
【0099】
図13は、本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【0100】
本開示の実施例に係る車両500は、上述の圧縮機400を含む。
【0101】
本開示の実施例において、車両500は上述の任意の実施例で説明された圧縮機400を含む。車両500は、新エネルギー車であってもよく、いくつかの実施例において、新エネルギー車は電動機を主駆動力とする純電気自動車であってもよく、他のいくつかの実施例において、新エネルギー車は内燃機関と電動機を同時に主駆動力とするハイブリッド車であってもよい。上述の実施例で言及された新エネルギー車に駆動力を提供する内燃機関と電動機について、内燃機関はガソリン、ディーゼル、水素などを燃料として使用でき、電動機に電力を供給する方法には、動力電池、水素燃料電池などがあるが、これに特に限定されるものではない。なお、ここでは、新エネルギー車の構造について例示的な説明を行っているだけで、本開示の保護範囲を限定するものではない。
【0102】
本開示の実施例に係る車両において、上述の圧縮機により、電圧安定化ユニットでブートストラップ電圧に対して安定化処理を行うことで、ブートストラップ電圧の安定性を確保でき、それによって駆動電圧、及び、遮断用マイナス電圧の安定性を確保し、回路の駆動性能を向上させる。これを基に、充電制御ユニットがマイナス電圧ユニットに充電して、遮断用マイナス電圧を補償することで、遮断用マイナス電圧及び駆動電圧の安定性を確保でき、回路の駆動性能、及び、圧縮機の性能を一層向上させており、それによって車両の性能を一層向上させている。
【0103】
なお、フローチャートで示されるか、又は、ここで他の方法で述べられる論理や/あるいはステップは、例えば、論理機能を実現するための実行可能な指令のシーケンスリストとみなされ、コンピュータ可読媒体の中に具体的に実現することができる。これらは指令実行システム、装置、又は機器(コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、又は、指令実行システム、装置、又は機器から指令を受け取り実行する他のシステム)によって使用されるか、又はこれらの指令実行システム、装置、又は機器と組み合わせて使用される。本明細書において、「コンピュータ可読媒体」は、プログラムを含有、保存、通信、伝播、あるいは伝送できる装置であって、そのプログラムを指令実行システム、装置、又は機器単独で、もしくは組み合わせて使用するための装置である。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(網羅的でないリスト)には、1つ又は複数の配線を持つ電機的接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクカセット(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー装置、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)等を含む。更に、コンピュータ可読媒体は、例えばプログラムをプリントすることができる紙や他の適切な媒体でもよい。なぜなら、紙や他の媒体を光学的にスキャンし、その後編集、解釈するか、又は必要に応じて他の適切な方式で処理して電子的に前記プログラムを取得し、それをコンピュータメモリに保存することができるからである。
【0104】
本開示の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせによって実施することができると理解されるであろう。上述の実施形態では、複数のステップや方法が、メモリに保存された、適切な指令実行システムによって実行されるソフトウェアやファームウェアにより実現され得る。例えば、ハードウェアで実現される場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を持つ離散論理回路、適切な組み合わせの論理ゲート回路を持つ専用集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の、本分野で公知の任意の技術又はそれらの組み合わせにより実現され得る。
【0105】
本明細書の説明における「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体例」、或いは「いくつかの例」等の表現は、実施例又は例が説明された具体的特徴、構造、材質又は特性が本発明の1つ以上の実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書における上述の用語の示意的表現は、必ずしも同一の実施例又は例を指すわけではない。また、具体的特徴、構造、材質又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることもできる。
【0106】
また、「第1」、「第2」という用語は、目的を説明するためにのみ使用され、相対的重要性を指示又は示唆したり、技術的特徴の数を暗示したりするものとして理解され得ない。従って、「第1」、「第2」として限定されている特徴は、1つ以上の該特徴を含むことを明示または暗示することもある。本開示の説明では、「複数」というのは、特に具体的に限定されていない限り、2つ、3つなど、2つ以上を意味する。
【0107】
本開示において、特に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「結合」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきである。例えば、これらは、固定接続であるか、取り外し可能な接続であるか、又は一体化された接続であってもよく、機械接続であるか、電気接続であってもよく、直接接続であるか、中間媒介を介した間接接続であってもよく、2つの要素が内部的に連通していることであるか、相互に作用している関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じてこれらの用語の本開示における具体的意味を理解することができるであろう。
【0108】
本開示の実施例が示され、説明されたとはいえ、当業者であれば、上述の実施例は、例示的なもので、本開示に対する限定として理解され得ず、本開示の範囲において、上述の実施例に対して変更、組み合わせ、修正、置換、及び変型を行えることが、理解されるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】