(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】D-アミノ酸オキシダーゼ及びL-グルホシネート又はその中間体の製造におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 9/06 20060101AFI20250130BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20250130BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250130BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250130BHJP
C12P 7/52 20060101ALI20250130BHJP
C12P 13/14 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
C12N9/06 Z ZNA
C12N15/53
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12P7/52
C12P13/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545216
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2023073897
(87)【国際公開番号】W WO2023143621
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210114692.7
(32)【優先日】2022-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523212656
【氏名又は名称】シャンハイ・チージョウ・ズユェ・バイオテクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI QIZHOU ZIYUE BIOTECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】ROOM 0829, 2ND FLOOR, BUILDING F, NO. 555 DONGCHUAN ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 201100, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ チ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン チェンファ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジャンビン
(72)【発明者】
【氏名】マ シュアイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AD05
4B064AE19
4B064CA02
4B064CA19
4B064CB11
4B064CC24
4B064DA12
4B065AA26X
4B065AA26Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA28
4B065CA47
(57)【要約】
D-アミノ酸オキシダーゼ及びL-グルホシネート又はその中間体の製造におけるその使用を提供する。配列番号1と比較してD-アミノ酸オキシダーゼのアミノ酸序列は、K29G/H/I/N/Q/W/Y/C/L;V42C/D/E/H/Y;E195N/Y/Q;C234L;V326Wから選択される1つ又は複数のアミノ酸残基の差異を含み、且つ配列番号1のアミノ酸配列で表されるD-アミノ酸オキシダーゼより活性及び/又は熱安定性が低くないD-アミノ酸オキシダーゼを提供する。熱安定性の高いD-アミノ酸オキシダーゼを提供し、酵素活性を向上させるだけではなく、酵素の使用温度範囲を拡大し、更に、低温で使用すると酵素の寿命を延ばすことができ、高温で使用すると酵素の触媒効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と比較してアミノ酸序列がK29G/H/I/N/Q/W/Y/C/L;V42C/D/E/H/Y;E195N/Y/Q;C234L;V326Wから選択される1つ又は複数のアミノ酸残基差異を含み、
且つ、配列番号1のアミノ酸配列で表されるD-アミノ酸オキシダーゼより活性及び/又は熱安定性が低くない、
D-アミノ酸オキシダーゼ。
【請求項2】
配列番号1と比較して、前記D-アミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列は、V42Y、E195Y、V326W、C234Lから選択される2つ又は複数のアミノ酸残基の差異を含むことを特徴とする、請求項1に記載のD-アミノ酸オキシダーゼ。
【請求項3】
前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較してC234Lのアミノ酸残基の差異を含み、更に、V42Y、E195Y及びV326Wの1つ又は2つのアミノ酸残基の差異を含み、
好ましくは、配列番号1と比較して前記D-アミノ酸オキシダーゼは、
C234L及びV42Y;
C234L及びE195Y;
C234L及びV326W;
C234L、K29C及びV42Y;
C234L、K29G及びV42Y;
C234L、K29L及びV42Y;
C234L、V326W及びV42Y;
C234L、V42Y及びE195Y;
C234L、E195Y及びV326W;
のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有することを特徴とする、請求項2に記載のD-アミノ酸オキシダーゼ。
【請求項4】
前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較してE195Yのアミノ酸差異を含み、更に、V42Y又はV326Wのアミノ酸残基差異を含み、
好ましくは、配列番号1と比較して前記D-アミノ酸オキシダーゼは、
E195Y及びV42Y;
E195Y及びV326W;
E195Y、K29Q及びV42Y;
E195Y、K29W及びV42Y;
E195Y、K29Y及びV42Y;
のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有することを特徴とする、請求項2に記載のD-アミノ酸オキシダーゼ。
【請求項5】
配列番号1と比較してD-アミノ酸オキシダーゼのアミノ酸序列は、
K29G;K29H;K29I;K29N;K29Q;K29W;K29Y;V42C;V42D;V42E;V42H;V42P;V42Y;E195H;E195N;E195Y;E195Q;C234L;V326W;
のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有することを特徴とする、請求項1に記載のD-アミノ酸オキシダーゼ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のD-アミノ酸オキシダーゼをコードすることを特徴とする、単離された核酸。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸を含む、組換え発現ベクター。
【請求項8】
請求項6に記載の核酸又は請求項7に記載の組換え発現ベクターを含み、好ましくは、宿主細胞は、E.coli BL21(DE3)などの大腸菌(Escherichia coli)である、形質転換体。
【請求項9】
前記D-アミノ酸オキシダーゼを発現するのに適した条件下で請求項8に記載の形質転換体を培養することを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの製造方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの存在下で、基質を酸化反応させて2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩を得るステップを含み、
好ましくは、
前記基質は、D-グルホシネート又はその塩であり、前記D-グルホシネート又はその塩は単独で存在してもよく、又はL-グルホシネート又はその塩と一緒に存在してもよく、例えば、前記基質はラセミグルホシネート又はその塩の形態で存在し、
及び/又は、前記酸化反応は換気条件下で実行され、前記換気は、好ましくは空気又は酸素を注入することであり、前記換気速度は、好ましくは0.5VVM~1.5VVMであり、例えば1VVMであり、
及び/又は、上記酸化反応はカタラーゼの存在下で実行され、
及び/又は、前記D-アミノ酸オキシダーゼは、D-アミノ酸オキシダーゼの菌体、粗酵素、純粋酵素又は固定化酵素の形態で存在し、
及び/又は、前記基質の濃度は、0.1~0.5mol/Lであり、好ましくは0.17mol/Lであり、
及び/又は、前記酸化反応の反応系のpHは7~9であり、好ましくは8であり、
及び/又は、前記酸化反応の反応系の温度は20~50℃であり、好ましくは25℃であり、
より好ましくは、前記D-アミノ酸オキシダーゼの菌体と前記基質の質量比は1:(0.5~3)であり、例えば1:1であり、及び/又は、前記カタラーゼと前記D-アミノ酸オキシダーゼの菌体の質量比は1:(20~60)であり、例えば1:40であることを特徴とする、2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩の製造方法。
【請求項11】
前記酸化反応の反応系は緩衝液を含み、前記緩衝液は、好ましくはリン酸緩衝液であり、例えば、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムであることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の製造方法により2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩を得るステップ1、
グルタミン酸脱水素酵素、無機アミノ供与体及び還元型補助酵素の存在下で、ステップ1で得られた2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩をアンモニア化反応させて前記L-グルホシネート又はその塩を得るステップ2
を含むことを特徴とする、L-グルホシネート又はその塩の製造方法。
【請求項13】
前記還元型補助酵素は、NADPH又はNADHであり、
及び/又は、前記無機アミノ供与体は、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムのうちの1つ又は複数であり、前記アンモニアの使用形態は、好ましくはアンモニア水であり、
及び/又は、前記アンモニア化反応の反応系のpHは7~10であり、好ましくは8.4~8.6であり、
及び/又は、前記アンモニア化反応の反応温度は28~35℃であり、好ましくは30~33℃であることを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
L-グルホシネート又はその塩、2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本出願は出願日が2022年1月30である中国特許出願2022101146927の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明はバイオテクノロジーの分野に属し、具体的にはD-アミノ酸オキシダーゼ及びL-グルホシネート又はその中間体の製造におけるその使用に関する。
[背景技術]
グルホシネート及びグリホサート、パラコートは世界三大除草剤としてすべて非選択的である。その中で、パラコートの毒性が非常に強いため、最近多くの国で使用が厳しく制限又は禁止されており、グリホサートが広く使用されているが、中国では承認されたA級緑色食品リストからその使用を除外している。グルホシネートは、活性が高く除草スペクトルが広範囲で環境適合性に優れるなど特徴を持っており、グリホサートより速い速度で除草活性を発揮し、グリホサートに抵抗性のある雑草がある地域でも使用できるため、グルポシネートは市場開発の可能性が大きく、適用見通しが広い。
【0003】
2020年にグルホシネートのグローバル市場規模は10.5億ドルに達し、過去6年間でグローバル市場化合物の成長率は6.3%に最も急速に成長する非選択的な除草剤となった。従って、L-グルホシネート製造プロセスを開発又は最適化することは、経済的利益を高め、使用コストを下げ、環境的圧力を減らすことに大きな意味がある。
【0004】
市販のグルホシネートは、DとLの2つの異性体を有するラセミ体の混合物である。しかし、L型のみ活性を有し、土壌で容易に分解され毒性が低い。L-グルホシネートの製造には主に化学的方法と生物学的方法の2つの方法がある。グルホシネートの化学生産は主にStreckerプロセスと熱分解-ACAプロセスを含む。その中でSreckerプロセスは複雑であり、可燃性及び爆発性原料が使用され、製品の収率は低い。熱分解-ACAプロセスは複雑であり、メチルジクロロホスフィン(MDP)はこのプロセスの前段階で重要な中間体であり、プロセスの技術的障壁である。生物学的方法は反応条件が穏やかで、生産工程が簡単であり、生成物の分離が容易であり、収率が低く、コストが高く、まだ産業化されていない。
【0005】
CN105603015Aでは、2-オキソ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノ)酪酸(PPO)及びその塩を基質として使用し、アラニンをアミノ供与体として使用し、体外トランスアミナーゼ又は体外でトランスアミナーゼを発現する細胞を使用して基質を触媒し、アラニンとトランスアミナーゼ反応を行い、L-グルホシネートを得た。CN106978453Bでは、アミノ酸脱水素酵素を使用してL-グルホシネートを製造する方法を提供し、当該方法は基質として2-カルボニル-4-(ヒドロキシメチルホスホノ)酪酸又はその塩を用いたトランスアミネーション反応を行ってL-グルホシネートを得た。この方法は原料転化率が高いが、基質合成プロセスが複雑でコストが高い。
【0006】
【0007】
US9834802B2では、原料としてD、L-グルホシネートを使用し、D-アミノ酸オキシダーゼ突然変異体の触媒作用により中間生成物PPOが生成され、PPOがアミノ酸アミノトランスフェラーゼにより触媒されてL-グルホシネートが生成されることが発明された。この方法による反応で得られた組成物は、L-グルホシネート、D-グルホシネート、PPOを含み、ここで、L-グルホシネートの含有量は80%以上に達し、D-グルホシネートの含有量は10%未満であり、PPOの含有量は20%未満である。しかしながら、その酵素活性の安定性は依然として改善の必要がある。
【0008】
【0009】
従って、酵素活性の安定性が高く、D-グルホシネート変換率が高く、L-グルホシネートのee値が高いD-アミノ酸オキシダーゼの発見が緊急に求められる。
[発明の概要]
本発明が解決しようとする技術的問題は、先行技術におけるD-アミノ酸オキシダーゼの酵素活性が低く、酵素活性の安定性が悪く、L-グルホシネート収率が低いなどの欠点を克服するためである。上記の技術的問題を解決するために、本発明はD-アミノ酸オキシダーゼ及びL-グルホシネート又はその中間体の製造におけるその使用を提供する。熱安定性のより高いD-アミノ酸オキシダーゼを使用すると、酵素活性を向上させるだけではなく、酵素の使用温度範囲を拡大し、低温で使用すると酵素の寿命を延ばすことができ、高温で使用すると酵素の触媒効率を向上させることができる。熱安定性の高い酵素は化学反応速度を高め、製品品質を向上させ、活性が安定し、保存期間が長いなどの利点がある。
【0010】
本発明の第1の方面は、配列番号1と比較してアミノ酸配列がK29G/H/I/N/Q/W/Y/C/L;V42C/D/E/H/Y;E195N/Y/Q;C234L;V326Wから選択される1つ又は複数のアミノ酸残基差異を含み、
且つ、配列番号1のアミノ酸配列で表されるD-アミノ酸オキシダーゼより活性及び/又は熱安定性が低くない、D-アミノ酸オキシダーゼを提供する。
【0011】
本発明において、アミノ酸残基間の「/」は、当該アミノ酸残基に対応する位置で異なるアミノ酸残基差異の選択を有することを意味する。例えば、E195N/Y/Qは、位置195の差異がN、Y又はQであってもよいことを意味する。
【0012】
本発明のいくつかの好ましい実施例において、配列番号1と比較してD-アミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列は、V42Y、E195Y、V326W、C234Lから選択される2つ又は複数のアミノ酸残基の差異を含む。
【0013】
好ましくは、本発明の前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較してC234Lのアミノ酸残基の差異を含み、更に、V42Y、E195Y及びV326Wのうちの1つ又は2つのアミノ酸残基の差異を含む。
【0014】
より好ましくは、前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較して下記のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有する。
C234L及びV42Y;
C234L及びE195Y;
C234L及びV326W;
C234L、K29C及びV42Y;
C234L、K29G及びV42Y;
C234L、K29L及びV42Y;
C234L、V326W及びV42Y;
C234L、V42Y及びE195Y;
C234L、E195Y及びV326W。
【0015】
本発明の他のいくつかの好ましい実施形態において、前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較してE195Yのアミノ酸差異を含み、更に、V42Y又はV326Wのアミノ酸残基差異を含み、
好ましくは、前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較して下記のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有する。
【0016】
E195Y及びV42Y;
E195Y及びV326W;
E195Y、K29Q及びV42Y;
E195Y、K29W及びV42Y;
E195Y、K29Y及びV42Y。
【0017】
本発明の他のいくつかの好ましい実施形態において、前記D-アミノ酸オキシダーゼは、配列番号1と比較して下記のいずれか1つの群から選択されるアミノ酸残基の差異を有する。
K29G;K29H;K29I;K29N;K29Q;K29W;K29Y;V42C;V42D;V42E;V42H;V42P;V42Y;E195H;E195N;E195Y;E195Q;C234L;V326W。
【0018】
本発明の第2の方面は、本発明の第1の方面に記載のD-アミノ酸オキシダーゼをコードする単離された核酸を提供する。
本発明の第3の方面は、本発明の第2の方面に記載の核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。
【0019】
本発明の第4の方面は、本発明の第2の方面に記載の核酸又は本発明の第3の方面に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
本発明に記載の形質転換体の宿主細胞は、本技術分野で通常のものであってもよく、好ましくはE.coli BL21(DE3)などの大腸菌(Escherichia coli)である。
【0020】
本発明の第5の方面は、D-アミノ酸オキシダーゼを発現するのに適した条件下で本発明の第4の方面に記載の形質転換体を培養することを含む、本発明に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の第6の方面は、本発明の第1の方面に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの存在下で、基質を酸化反応させて2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩を得るステップを含む、2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩の製造方法を提供する。
【0022】
前記基質は、好ましくはD-グルホシネート又はその塩であり、前記D-グルホシネート又はその塩は単独で存在してもよく、又はL-グルホシネート又はその塩と一緒に存在してもよく、例えば、前記基質はラセミ体グルホシネート又はその塩の形態で存在する。
【0023】
前記酸化反応は、好ましくは換気条件下で実行され、前記換気は、好ましくは空気又は酸素を注入することであり、前記換気速度は、好ましくは0.5VVM~1.5VVMであり、例えば1VVMである。
【0024】
上記酸化反応は、好ましくはカタラーゼの存在下で実行される。
前記D-アミノ酸オキシダーゼは、好ましくは、D-アミノ酸オキシダーゼの菌体、粗酵素、純粋酵素又は固定化酵素の形態で存在する。
【0025】
前記基質の濃度は、好ましくは0.1~0.5mol/Lであり、好ましくは0.17mol/Lである。
前記酸化反応の反応系のpHは、好ましくは7~9であり、例えば8である。
【0026】
前記酸化反応の反応系の温度は、好ましくは20~50℃であり、例えば25℃である。
いくつかの好ましい実施形態において、前記D-アミノ酸オキシダーゼの菌体と前記基質の質量比は1:(0.5~3)であり、例えば1:1である。
【0027】
いくつかのより好ましい実施形態において、前記カタラーゼと前記D-アミノ酸オキシダーゼの菌体の質量比は1:(20~60)であり、例えば1:40である。
前記酸化反応の反応系は、好ましくは緩衝液を更に含み、前記緩衝液は、当技術分野で通常のものであってよく、好ましくはリン酸緩衝液であり、例えばリン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムである。
【0028】
前記緩衝液は反応系のpHを調節するために使用され、好ましくは、前記緩衝液のpHは8.0である。
本発明の第7の方面は、
本発明の第6の方面に記載の製造方法により2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩を得るステップ1、
グルタミン酸脱水素酵素、無機アミノ供与体及び還元型補助酵素の存在下で、ステップ1で得られた2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩をアンモニア化反応させて前記L-グルホシネート又はその塩を得るステップ2、
を含む、L-グルホシネート又はその塩の製造方法を提供する。
【0029】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記還元型補助酵素は、好ましくはNADPH又はNADHである。
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記無機アミノ供与体は、好ましくはアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムのうちの1つ又は複数であり、前記アンモニアの使用形態は、好ましくはアンモニア水である。
【0030】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記アンモニア化反応の反応系のpHは、好ましくは7~10であり、より好ましくは8.4~8.6である。
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記アンモニア化反応の反応温度は、好ましくは28~35℃であり、より好ましくは30~33℃である。
【0031】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記グルタミン酸脱水素酵素は、好ましくはCN201910434350.1の突然変異体1~4である。
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記グルタミン酸脱水素酵素と前記基質D-グルホシネートとの質量比は、好ましくは1:(0.5~3)であり、例えば1:1.25である。
【0032】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法において、前記基質D-グルホシネートと前記無機アミノ供与体とのモル比は、好ましくは1:(1~1.5)であり、例えば1:1である。
【0033】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法は、好ましくは脱水素酵素及び水素供与体の存在下で、酸化型補助酵素を還元反応させて前記還元型補助酵素を得るステップを更に含む。
前記脱水素酵素は、好ましくはグルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素又はギ酸脱水素酵素である。
【0034】
前記水素供与体は、好ましくはグルコース、イソプロパノール又はギ酸塩である。
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記脱水素酵素がアルコール脱水素酵素である場合、前記水素供与体はイソプロパノールであり、前記脱水素酵素がグルコース脱水素酵素である場合、前記水素供与体はグルコースであり、前記脱水素酵素がギ酸脱水素酵素である場合、前記水素供与体はギ酸塩である。
【0035】
本発明に記載のL-グルホシネート又はその塩の製造方法はステップを分けて実行されてもよい。例えば、まず酸化反応を実行して2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩を製造した後、アンモニア化反応を実行してL-グルホシネート又はその塩を製造し、更に、「ワンポット法」で実行することができ、例えば、全ての原料を混合してL-グルホシネート又はその塩を製造することができる。
【0036】
本発明の第8の方面は、L-グルホシネート又はその塩、2-オキソ-4-(ヒドロキシメチルオキシホスフィノ)酪酸又はその塩の製造における、本発明の第1の方面に記載のD-アミノ酸オキシダーゼの使用を提供する。
【0037】
本発明で言及したDAAO酵素とD-アミノ酸オキシダーゼとは交換して使用することができる。
本発明におけるD-アミノ酸オキシダーゼ基質の量は、D-グルホシネート又はその塩を使用して計算される。
【0038】
本技術分野の常識に違反しない限り、前記各好ましい条件は、任意に組み合わせて、本発明の各好ましい実施例を得ることができる。
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0039】
本発明の積極的な進歩効果は下記のようである。熱安定性の高いD-アミノ酸オキシダーゼを提供して、酵素活性を向上させるだけではなく、酵素の使用温度範囲を拡大し、低温で使用する場合、酵素の寿命を延ばすことができ、高温で使用する場合、触媒効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を前記実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選ばれる。
【0041】
生成物L-グルホシネートのキラル分析及び濃度分析は、プレカラム誘導体化高速液体クロマトグラフィーによって実施され、具体的な分析方法は下記に示される通りである。
(1)クロマトグラフィー条件:Agilent ZORBAX Eclipse plus C18、3.5μm、150×4.6mm。移動相A:0.1%のTFA+H2O、移動相B:0.1%のTFA+CAN。検出波長:340nm、流速:1.0mL/min、カラム温度:30℃。
【0042】
(2)誘導体化試薬:Marfey試薬
(3)誘導体化反応:50mgの試料を秤量して25mlの容量フラスコに入れ、15mlの希釈溶液(純水:アセトニトリル=50:50)を加えて5分間超音波処理した後、精製水を標線まで加えて希釈し、均一に混合した。1mLの上記溶液を5mLの容量フラスコに移し、1mLのMarfey’s reagent溶液及び0.1mLの炭酸水素ナトリウム(1M)溶液を加え、カバーを覆い、50℃のオーブンで遮光して1時間加熱させ、反応完了後、更に0.1mLの塩酸溶液を加え、均一に混合した。
【0043】
1mLの上記混合溶液を秤量し、更に4mLの希釈溶液を加え、均一に混合して注射瓶に注いだ。10μLを注入して分析した。
PPOはイオンペアクロマトグラフィーによって分析され、具体的な分析方法は下記に示される通りである。
【0044】
クロマトグラフィー条件:ΜLtimate AQ-C18、5μm、4.6×250mm;移動相:0.05mol/L リン酸水素二アンモニウム PH=3.6:10% 水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液:アセトニトリル=91:1:8;検出波長:205nm;流速:1.0mL/min;カラム温度:25℃。
【0045】
試料:5mg/mLのH2O溶液。10μLを注入して分析した。
本発明の実験方法は、特に説明しない限り通常の方法であり、遺伝子クローニング作業については、具体的にJ. Sambrookらが編集した『Molecular Cloning:A Laboratory Manual』を参照することができる。
【0046】
本発明のアミノ酸の略語記号は、特に説明しない限り全て当技術分野の通常の記号であり、具体的な略語記号に対応するアミノ酸は表1に示される通りである。
【0047】
【0048】
前記アミノ酸に対応するコドンも当該技術分野では通常であり、具体的なアミノ酸とコドンとの対応関係は表2に示される通りである。
【0049】
【0050】
pET28aプラスミド及びbugbusterタンパク質抽出試薬はNovagen社から購入し、NdeI酵素、HindIII酵素はThermo Fisher社から購入し、E.coli BL21コンピテント細胞はBeijing Ding Guo Prosperous Biotechnology Co., Ltd.から購入し、カタラーゼはShandong Fengtai Biotechnology Co., Ltd.から購入した。
【0051】
実施例1 D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)の製造
DAAO酵素工程菌は、特許CN111019916Bに開示されたseq.79を含む工程菌株に由来し、アミノ酸配列は配列番号1に示され、ヌクレオチド配列は配列番号12に示される。
【0052】
LB液体培地組成物は、ペプトン10g/L、酵母粉末5g/L、NaCl 10g/Lであり、脱イオン水で溶解した後に定容し、使用のために121℃で20分間滅菌した。固体培地は、2%寒天を加えたLB培地である。
【0053】
上記DAAO酵素工程菌を平板プレートに画線活性化した後、単一コロニーを選択して50μg/mLのカナマイシンを含む5mLのLB液体培地に接種し、37℃で12時間振とうしながら培養し、接種量の2%を50μg/mLのカナマイシンを含む150mLの新鮮なLB液体培地に移し、OD600が約0.8に達するまで37℃で振とうし、30℃に温度を下げ、最終濃度が0.5mMになるまでIPTGを加え、16時間誘導培養を実行し、培養完了後、培地を10000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、菌体を収集し、使用のために-20℃の冷蔵庫で保存した。
【0054】
培養完了後、収集した菌体を50mM pH 8.0のリン酸緩衝液で2回洗浄し、その後、50mL pH 8.0のリン酸緩衝液に再懸濁し、均質化して破砕した後、破砕液を遠心分離して沈殿を除去して組換えDAAO酵素を含む粗酵素液を得た。
【0055】
実施例2 D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)突然変異体の構築
1.工程菌の活性化とプラスミドの抽出
実施例1に記載の活性化DAAO酵素工程菌を5mLのLB培地を含む試験チューブに入れ、37℃、200rpmで8~12時間培養した。培養菌体を得た後、sangongプラスミド抽出キットの使用説明書に従ってプラスミドを抽出した。得られたプラスミドは点突然変異に直接使用するか、又は長期保存のために-80℃の冷蔵庫に保存することができる。
【0056】
2.突然変異ライブラリー(K29位置、V42位置、E195位置、C234位置、V326位置)の構築
遺伝子の突然変異は、全プラスミドPCR法を使用して突然変異遺伝子を得た。
上記のステップで抽出したプラスミドをテンプレートとして使用し、突然変異したD-アミノ酸オキシダーゼ配列のK29、V42、E195、C234、V326位置を突然変異させる突然変異ライブラリーに対するPCRプライマー配列を構築・設計し、標的突然変異の遺伝子を得た。プライマー配列は表3に示される通りである。
【0057】
【0058】
ここで、NはA、G、C、Tのいずれか一つのヌクレオチドを表し、MはA又はCを表し、KはG又はTを表し、これは、対応する部位で突然変異を起こすアミノ酸をコードするヌクレオチドに基づいて選択され、例えば、K29-フォワードプライマーにおけるNNKは、AAG(リジン)、AAT(アスパラギン酸)、AGG(アルギニン)又はAGT(セリン)などを表すことができる。
PCR増幅システムは下記に示される通りである。
【0059】
【0060】
PCR増幅手順は下記に示される通りである。
【0061】
【0062】
DpnI酵素を加えて、PCR産物を37℃で2時間消化した。反応完了後、E.coli BL21コンピタント細胞に形質転換し、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地に播種し、37℃で一晩培養し、菌を回収して突然変異ライブラリーを含む形質転換体を得た。
【0063】
3.組み合わせ突然変異
スクリーニングされた有益な突然変異は、overlap PCRを介して様々な突然変異の組み合わせを達成し、新しい突然変異形質転換体を形成した。
【0064】
実施例3 ハイスループット突然変異ライブラリーの予備スクリーニング
実施例2で得られた形質転換体を96ウェルプレートに接種し、IPTGを最終濃度0.5mMとなるように加えた後、30℃で一晩誘導した。次に菌を収集し、bugbusterタンパク質抽出試薬を加えて溶解させ、遠心分離して上清を取り、DAAO突然変異酵素溶液を得た。
【0065】
熱安定性のスクリーニング方法:
上記の上清を60℃の水浴に入れ、20分間熱処理した。次に、「酵素活性検出分析」を使用して陽性クローンをスクリーニングした。
【0066】
酵素活性検出分析:pHが8.0である100mM基質(D、L-グルホシネート、Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co., Ltd.から購入)100μLを採取し、更に、50μLの発色溶液(60mg/mLのTBHBA(3-ヒドロキシ-2,4,6-トリブロモ安息香酸)及び100mg/mLの4-AAP(4-アミノアンチピリン含有)及び25μLのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、0.1mg/mL)を加え、最後に25μLの上記DAAO突然変異体酵素溶液を加えて酵素プレート200μL反応系を得、30℃、pH8.0の条件でこれについて分析した。それぞれ0分と20分に510nmでの吸光度を記録し、差を確認した後、野生型を参照系として使用して陽性クローンをスクリーニングした。Enz.01と同等又はそれ以上の酵素活性を有し、かつ改善された熱安定性を有する陽性クローンをスクリーニングして表6に示した。
【0067】
【0068】
実施例4 熱安定性が改善された突然変異体の再スクリーニング
突然変異体の再スクリーニングのための酵素活性検出方法:
5mLの反応系に1mLの500mM D、L-グルホシネート(アンモニウム塩)、0.25mLの熱処理(60℃、20分)後のDAAO突然変異体粗酵素液、1.25mLのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、2.5mLの発色色素溶液(60mg/mLのTBHBA及び100mg/mLの4-AAP含有)を加え、反応媒体はpHが8.0であるリン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素ナトリウム緩衝液であり、30℃のシェーカーで振とうしながら反応させ、2分毎に反応溶液の510nmでの吸光度をスキャンし、吸光度と時間(min)の酵素反応動力学曲線を作成し、曲線の傾きに基づいて酵素活性を計算した。
【0069】
単位酵素活性の定義:特定の反応条件(30℃)下で1分当たりに1μmol H2O2を生成するのに必要な酵素の量であり、酵素活性の単位はUである。
上記酵素活性測定方法に従って熱処理前及び熱処理後の酵素活性を検出し、Enz.1に対する熱安定性向上倍数を算出した。結果は下記の表7に示される通りである。*は熱安定性が1~1.2倍(1.2を除く)向上したことを示し、**は熱安定性が1.2~2倍(2を除く)向上したことを示し、***は熱安定性が2倍以上向上したことを示した。熱安定性の増加倍数の計算方法:突然変異体熱処理後の酵素活性と処理前の酵素活性の比率/Enz.01熱処理後の酵素活性と処理前の酵素活性の比。
【0070】
【0071】
上記の表に示されるように、ほとんどの単一点突然変異酵素と組み合わせ突然変異酵素は熱安定性の向上に有意な効果があり、Enz.27、Enz.29、Enz.32がより良い効果を示すことがわかる。
【0072】
実験例5 L-グルホシネートの製造
本発明に係る反応経路は下記に示される通りである。
【0073】
【0074】
ラクトバチルスブレビス(Lactobacillus brevis KB290)由来のシクロペンタノールデヒドロゲナーゼ遺伝子配列(GenBankアクセス番号:BAN05992.1)に基づいてアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を完全に合成した。
【0075】
LB液体培地組成物は、ペプトン10g/L、酵母粉末5g/L、NaCl 10g/Lであり、脱イオン水で溶解した後に静置し、使用のために121℃で20分間滅菌した。
アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子はpET28aに連結され、酵素切断部位はNdeI&HindIIIであり、組換えベクターを宿主E.coli BL21(DE3)コンピタント細胞に形質転換してアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む工程菌株を得た。アルコール脱水素酵素遺伝子を含む工程菌株を平板プレートに画線活性化した後、単一コロニーを選択して50μg/mLのカナマイシンを含む5mLのLB液体培地に接種し、37℃で12時間振とうしながら培養した。接種量の2%を50μg/mLのカナマイシンを含む50mLの新鮮なLB液体培地に移し、OD600が約0.8に達するまで37℃で振とうし、最終濃度が0.5mMになるまでIPTGを加え、18℃で16時間誘導培養を実行した。培養完了後、培地を10000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、菌体を収集し、使用のために-20℃の超低温冷蔵庫で保存した。
【0076】
酵素溶液の製造:実施例4でスクリーニングした酵素活性の高い菌体(酵素番号はEnz.27、Enz.29、Enz.32)をpH7.0の50mmol/L リン酸アンモニウム緩衝液に入れて均質化し、菌体と緩衝液の比率は1:5(g:mL)であり、均質化後凝集剤を加えて凝集し、遠心分離して上清を得た。
【0077】
10Lのジャケット反応ケトルに4600gの水を加え、0.28gのリン酸二水素アンモニウムと5.57gのリン酸水素二アンモニウムを入れて攪拌して透明に溶解させた後、反応ケトルに400gのD、L-グルホシネート(アンモニウム塩)を入れて攪拌して溶解させ、アンモニア水で溶液のpHを7.9~8.1に調節し、反応ケトルに5gのカタラーゼ(酵素活性80万μ/g)を投入し、1000mL(200g菌体)の突然変異体DAAO酵素溶液(Enz.27、Enz.29又はEnz.32)を投入し、空気でバブリングさせ、換気量を1分当たり1反応体積に制御し、温度を25℃に制御し、20時間反応させた。
【0078】
温度を30~33℃に制御し、0.4gのNADP+、78gのイソプロパノール、50gの塩化アンモニウムを加え、アンモニア水でpHを8.4~8.6に調節し、0.35gのアルコール脱水素酵素(ADH)菌体を加えた。温度とpHが正常になったところで、160gのグルタメート脱水素酵素菌体(当社CN201910434350.1の突然変異体1-4)を反応ケトルに投入して反応を開始させた。6時間反応させ、PPO残量が≦2%であると検出した。
【0079】
【0080】
反応結果は表8に示される通りであり、24時間反応後のEnz.27、Enz.29及びEnz.32のee値は全て98%以上であり、Enz.1より有意に優れていることが示された。
【配列表】
【国際調査報告】