(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】アンモニア分解から高純度水素を精製するための圧力変動吸着装置及びこれを用いた水素精製方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/047 20060101AFI20250130BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20250130BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B01D53/047
C01B3/04 B
C01B3/56 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546047
(86)(22)【出願日】2023-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2023006696
(87)【国際公開番号】W WO2024143722
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0190622
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508107087
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン,サンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ボム,ヒテ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,カンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ヒョングク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョンホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンナム
【テーマコード(参考)】
4D012
4G140
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA01
4D012CA07
4D012CB16
4D012CB17
4D012CD07
4D012CE01
4D012CE03
4D012CF03
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG03
4D012CJ01
4D012CJ02
4D012CJ06
4D012CJ07
4G140FB02
4G140FB06
4G140FC03
4G140FD01
4G140FD03
4G140FE01
(57)【要約】
本発明はアンモニア分解から高純度水素を精製するための圧力変動吸着装置及びこれを用いる水素精製方法に関し、より詳しくは、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔の各吸着塔に互いに異なる吸着剤が充填された構造を形成することにより、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体から高純度水素を精製することができ、アンモニア除去用吸着剤の交替が容易であり、微量アンモニアによる水素精製部内の吸着剤の急激な寿命短縮の可能性を最小化することができ、ガードベッド部の水素を効率的に回収することができるので、既存の前処理部及び水素精製部から構成された圧力変動吸着工程に比べて、水素回収率を最大化することができ、原料中のアンモニア濃度の大きな変化にも対処することができる利点がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料供給管に連結され、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプと、前記吸着塔及び真空ポンプに連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる圧力変動吸着装置であって、
前記ガードベッド部は前記水素精製部の下端部に位置し、前記ガードベッド部内の吸着塔は、前記原料供給管を通して供給されるアンモニア分解の後に生成された水素混合気体に含まれている水分及びアンモニアを選択的に吸着して除去する第1吸着剤及び第2吸着剤が多層構造に充填されており、
前記水素精製部は前記ガードベッド部の上端部に位置し、前記水素精製部内の吸着塔は、前記ガードベッド部で水分及びアンモニアが除去された水素混合気体に含まれている窒素を選択的に吸着して除去する第3吸着剤が充填されている、アンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項2】
前記ガードベッド部及び水素精製部は互いに直列に連結され、前記直列に連結されたガードベッド部及び水素精製部から構成される吸着塔セットが2個以上並列に配置された構造を有する、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項3】
前記ガードベッド部内の吸着塔の最低圧力は原料供給圧力の1/4以下よりも低くならないように維持する、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項4】
前記第1吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の下層部に充填され、水分除去の可能な第1活性アルミナ、シリカゲル、アルミナシリカゲル及びゼオライトからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項5】
前記第1吸着剤は、前記第2吸着剤に対して1~70重量%を含む、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項6】
前記第2吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の上層部に充填され、アンモニア除去の可能な金属添着活性炭、シリカゲル、アルミナシリカゲル、ゼオライト及び第2活性アルミナからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項7】
前記金属添着活性炭は、Mg、Ca、Mn及びCuからなる群から選択される1種以上の金属が添着された活性炭である、請求項6に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項8】
前記第2吸着剤は、前記第1吸着剤に対して30~99重量%を含む、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項9】
前記第3吸着剤は、ゼオライトNaA、ゼオライトCaA、ゼオライトCaNaA、ゼオライトLiX、ゼオライトLiNaX、ゼオライトLiCaX、ゼオライトLiNaCaX、ゼオライトNaX、ゼオライトCaX、ゼオライトCaNaX及びゼオライトKXからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項10】
前記ガードベッド部内の吸着塔の最低圧力は、原料供給圧力の1/3~2/5よりも低くならないように維持し、
前記第1吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の下層部に充填され、水分除去の可能な第1活性アルミナ又はシリカゲルであり、
前記第1吸着剤は、前記ガードベッド部の吸着塔内の前記第2吸着剤に対して10~35重量%で充填され、
前記第2吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の上層部に充填され、アンモニア除去の可能な金属添着活性炭であり、
前記第2吸着剤は、前記ガードベッド部の吸着塔内の前記第1吸着剤に対して65~90重量%で充填され、
前記金属添着活性炭は、マグネシウム(Mg)添着活性炭又はカルシウム(Ca)添着活性炭であり、
前記金属添着活性炭内の金属の添着量は1~8重量%であり、
前記第3吸着剤は、ゼオライトLiX、ゼオライトCaX又はこれらの混合物である、請求項1に記載のアンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置。
【請求項11】
原料供給管に連結され、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプと、前記吸着塔及び真空ポンプに連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる請求項1に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法であって、
前記ガードベッド部の吸着塔内に、原料供給管を通してアンモニア分解の後に生成された水素混合気体を供給する段階と、
前記供給された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の下層部に充填された第1吸着剤に通過させて水分を選択的に吸着して除去する段階と、
前記水分が除去された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の上層部に充填された第2吸着剤に通過させてアンモニアを選択的に吸着して除去する段階と、
前記水分及びアンモニアが除去された水素混合気体を水素精製部の吸着塔内に供給する段階と、
前記供給された水分及びアンモニアの除去された水素混合気体を前記水素精製部内の吸着塔に充填された第3吸着剤に通過させて窒素を選択的に吸着して除去することによって精製水素を収得する段階と、
を含む、圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法。
【請求項12】
前記アンモニアを選択的に吸着除去する段階は、前記水分が除去された水素混合気体内のアンモニアの含有量が0.1ppm未満になるように吸着して除去する段階であり、
前記窒素を選択的に吸着及び除去して精製水素を収得する段階は、前記アンモニアが除去された水素混合気体内の窒素の含有量が10ppm未満になるように吸着して除去する段階である、請求項11に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法。
【請求項13】
前記ガードベッド部は第1~第5吸着塔を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順次実行し、
前記水素精製部は第1~第5吸着塔を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去しながら水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順次実行する、請求項11に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法。
【請求項14】
前記ガードベッド部は第1~第6吸着塔を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順次実行し、
前記水素精製部は第1~第6吸着塔を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去しながら水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順次実行する、請求項11に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法。
【請求項15】
前記水素精製部の吸着塔から排出される残留排ガス(tail gas)を向流減圧段階が終わった前記ガードベッド部の吸着塔にパージガス(purge gas)として供給して前記ガードベッド部の第1及び第2吸着剤を再生する段階をさらに含む、請求項13又は14に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンモニア分解から高純度水素を精製するための圧力変動吸着装置及びこれを用いた水素精製方法に関し、より詳しくは、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔を備えた圧力変動吸着装置によって、水素気体を含む混合気体中の窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水分(H2O)の不純物に対する物理吸着選択性を向上させ、前記成分を極微量以下に低めて高純度水素製品を生産するための、アンモニア分解から高純度水素を精製するための圧力変動吸着装置及びこれを用いた水素精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンモニアに基づく水素貯蔵、運送、抽出及び活用技術の開発が炭素中立目標の達成のために大きな注目を引いている。海外から清浄アンモニアを輸入するに際して、国内に水素を供給するためには、アンモニア分解技術が必要であり、アンモニア分解の後に生成される副産物は、水素の他に、窒素(N2)、アンモニア(NH3)及び水分(H2O)がある。よって、高純度水素を生産するためには、窒素、水分及びアンモニアを必ず除去しなければならない。アンモニア分解水素を精製するためには、一般的に、水分、アンモニア、窒素の順に除去し、それぞれ異なる吸着剤を使用することができる。
【0003】
アンモニアは、主に吸着剤の酸性基との化学的結合による吸着によって除去しており、温度変動吸着精製方法を用いて、高温で使用した吸着剤を再生する。圧力変動吸着精製方法は、不純物と吸着質との分子間引力による物理的吸着によってのみ可能である。
【0004】
現在、アンモニアを用いる高純度水素の製造方法はいまだ商用化されておらず、アンモニア分解ガスから高純度水素のみを分離するための方法として、未分解アンモニアを除去するための温度変動吸着(TSA:Temperature Swing Adsorption)工程と窒素を除去するための圧力変動吸着工程とを混用する技術が開発されている。
【0005】
しかしながら、既存の常用アンモニア吸着剤は酸-塩基反応によってアンモニアを化学的に吸着するので、温度変動吸着工程によってのみアンモニアを吸着及び脱着することができる一方で、圧力変動吸着工程に使用するためには、物理吸着の可能な吸着剤が必要である。また、既存の高純度水素の生産のための圧力変動吸着水素精製工程は、H2、CO2、CH4、COなどが含まれた混合気体からCO、CH4、CO2を選択的に除去し、装置の小型化及び水素回収率の向上にのみ焦点を合わせている。
【0006】
既存の米国登録特許第3,986,849号公報は、水素に含まれているCO2及びN2を除去する工程として、8個以上の吸着塔を使用し、2個以上の吸着塔で原料ガスを同時に処理し、3段階以上の均圧を印加する工程を提示している。
【0007】
また、米国登録特許第5,250,088号公報は、水素に含まれた水分及び炭化水素を除去するための3個以上の吸着塔を使用する圧力変動吸着工程を提示し、パージ用ガスを保管することができるタンクをさらに含むことによって分離工程効率を高める方法を提示している。
【0008】
しかしながら、このような既存の特許文献等は、多数の吸着塔を用いることによって分離工程の効率は高めることができるが、アンモニア分解水素用の水素精製装置を稼動しないとき、既に吸着されたアンモニア成分が稼動しないうちに脱着されて窒素分離用吸着剤を汚染させることがあり、吸着剤の寿命が縮む問題がある。また、アンモニア分離用吸着剤の寿命が窒素分離用吸着剤の寿命よりも短いので、既存の吸着剤を積層して使用するとき、全ての吸着剤を交替しなければならない問題点があった。
【0009】
したがって、アンモニアの分解工程の際、水素混合気体から水分、アンモニア及び窒素を選択的に吸着させ、高純度水素を精製するとともに、微量のアンモニアのような不純物による吸着剤の寿命短縮を最小化することができる新しい分離工程に対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国登録特許第3,986,849号公報
【特許文献2】米国登録特許第5,250,088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような問題を解決するために、本発明は、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔の各吸着塔に互いに異なる吸着剤が充填された構造を形成することにより、アンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置を提供することをその目的とする。
【0012】
また、本発明は、水素混合気体内の水分、アンモニア及び窒素の選択的吸着性を向上させて高純度水素の精製が可能であり、水素回収率及び生産性が極大化した圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、原料供給管に連結され、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプと、前記吸着塔及び真空ポンプに連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる圧力変動吸着装置であって、前記ガードベッド部は前記水素精製部の下端部に位置し、前記ガードベッド部内の吸着塔は、前記原料供給管を通して供給されるアンモニア分解の後に生成された水素混合気体に含まれている水分及びアンモニアを選択的に吸着して除去する第1吸着剤及び第2吸着剤が多層構造に充填されており、前記水素精製部は前記ガードベッド部の上端部に位置し、前記水素精製部内の吸着塔は、前記ガードベッド部で水分及びアンモニアが除去された水素混合気体に含まれている窒素を選択的に吸着して除去する第3吸着剤が充填されている、アンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、原料供給管に連結され、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプと、前記吸着塔及び真空ポンプに連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる請求項1に記載の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法であって、前記ガードベッド部の吸着塔内に、原料供給管を通してアンモニア分解の後に生成された水素混合気体を供給する段階と、前記供給された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の下層部に充填された第1吸着剤に通過させて水分を選択的に吸着して除去する段階と、前記水分が除去された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の上層部に充填された第2吸着剤に通過させてアンモニアを選択的に吸着して除去する段階と、前記水分及びアンモニアが除去された水素混合気体を水素精製部の吸着塔内に供給する段階と、前記供給された水分及びアンモニアの除去された水素混合気体を前記水素精製部内の吸着塔に充填された第3吸着剤に通過させて窒素を選択的に吸着して除去することによって精製水素を収得する段階と、を含む、圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による圧力変動吸着装置は、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔の各吸着塔に互いに異なる吸着剤が充填された構造を形成することにより、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体から高純度水素を精製することができ、アンモニア除去用吸着剤の交替が容易であり、微量アンモニアによる水素精製部内の吸着剤の急激な寿命短縮の可能性を最小化することができる。
【0016】
また、本発明の圧力変動吸着装置は、ガードベッド部の水素を効率的に回収することができるので、既存の前処理部及び水素精製部から構成された圧力変動吸着工程に比べて水素回収率を最大化することができ、原料中のアンモニア濃度の大きな変化にも対処することができる利点がある。さらに、装置の運転をしばらく止めるか又は長期間放置する場合、ガードベッド部の残存ガスが水素精製部に流入することを遮断することにより、水素精製部に充填された吸着剤の汚染を防止するとともに分離性能を維持することができる。
【0017】
また、本発明の圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法は、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体に含まれた水分(H2O)、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)の不純物を極微量以下になるように物理的に吸着することにより、高純度水素の精製が可能であるとともに、水分、アンモニア及び窒素の選択的吸着性を向上させて水素回収率及び生産性を極大化することができる。さらに、初期投資費用が安く、圧力変動吸着工程のみを適用するとき、温度変動吸着工程を別に導入しなくて再生用熱源が不要であるので、運転費用を低減することができる。
【0018】
本発明の効果は以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は以下の説明で推論可能なすべての効果を含むものと理解されなければならないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による5塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置の構成図である。
【
図2】本発明による6塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明を一実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0021】
本発明は、アンモニア分解によって生成された水素混合気体から水分、アンモニア及び窒素を除去して高純度水素を精製することができる圧力変動吸着装置及びこれを用いた水素精製方法に関する。
【0022】
前述したように、既存のアンモニア分解水素用圧力変動吸着工程は、水分、アンモニア、窒素の順に除去するとき、窒素分離用吸着剤にアンモニアが吸着される場合、窒素分離用吸着剤は吸着能力を失うので、アンモニアは決して窒素吸着剤に移ってはいけない。また、アンモニア分解水素用の水素精製装置を稼動しないとき、既に吸着されたアンモニア成分が稼動しないうちに脱着されて窒素分離用吸着剤を汚染させることがあるので、吸着剤の寿命が縮む問題がある。また、アンモニア分離用吸着剤の寿命が窒素分離用吸着剤の寿命よりも短いので、既存の吸着剤を積層して使用する場合、全ての吸着剤を交替しなければならない問題点があった。
【0023】
したがって、本発明は、水分及びアンモニアを分離するガードベッド部及び窒素を分離する水素精製部を含む多数の吸着塔の各吸着塔に互いに異なる吸着剤が充填された構造の圧力変動吸着装置を形成することにより、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体から高純度水素を精製することができ、アンモニア除去用吸着剤の交替が容易であり、微量アンモニアによる水素精製部内の吸着剤の急激な寿命短縮の可能性を最小化することができる。
【0024】
また、ガードベッド部の水素を効率的に回収することができるので、既存の圧力変動吸着工程に比べて水素回収率を最大化することができ、原料中のアンモニア濃度の大きな変化にも対処することができる利点がある。さらに、装置の運転をしばらく止めるか又は長期間放置する場合、ガードベッド部の残存ガスが水素精製部に流入することを遮断することにより、水素精製部に充填された吸着剤の汚染を防止するとともに分離性能を維持することができる。
【0025】
(a)圧力変動吸着装置100の構成
具体的には、本発明は、原料供給管101に連結され、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプ131と、前記吸着塔及び真空ポンプ131に連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる圧力変動吸着装置100であって、前記ガードベッド部は前記水素精製部の下端部に位置し、前記ガードベッド部内の吸着塔には、前記原料供給管101を通して供給されるアンモニア分解の後に生成された水素混合気体に含まれている水分及びアンモニアを選択的に吸着して除去する第1吸着剤及び第2吸着剤が多層構造に充填されており、前記水素精製部111~116は前記ガードベッド部の上端部に位置し、前記水素精製部内の吸着塔は、前記ガードベッド部で水分及びアンモニアが除去された水素混合気体に含まれている窒素を選択的に吸着して除去する第3吸着剤が充填されている、アンモニア分解から水素を精製するための圧力変動吸着装置100を提供する。
【0026】
前記圧力変動吸着(Pressure Swing Adsorption、PSA)装置は通常の水素精製工程のように一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)のような不純物を除去するものではなく、アンモニア分解工程で発生する水分(H2O)、未分解アンモニア(NH3)及び窒素(N2)の不純物に対する物理吸着選択性を向上させ、これらの成分を極微量以下に低めて高純度水素を生産することができる。前記圧力変動吸着装置100は、好ましくは、真空圧力変動吸着(VPSA:Vaccum Pressure Swing Adsorption)装置であり得る。
【0027】
既存の4塔式圧力変動吸着装置の場合、一つの吸着塔に2種以上の吸着剤が積層されることにより、水素混合気体から水分、アンモニア及び窒素を同時に吸着した後に精製する方法を実施したが、未分解アンモニアが窒素を吸着する吸着剤に接触すると、前記吸着剤の性能が低下して寿命が縮む問題がある。また、2個以上の吸着塔が並列に配置された前処理部と4個以上の吸着塔が並列に構成された水素精製部とから圧力変動吸着装置を構成することができるが、前処理部の吸着塔内の水素を回収しにくくて水素回収率を高めるのに限界があり、前処理部及び水素精製部にそれぞれ真空ポンプが必要であるので、電力消耗量が前記装置よりも高い。前記吸着工程の構成は原料中のアンモニア濃度の変化に対応することが容易ではなく、吸着剤交替の際、積層された吸着剤を全て交替しなければならないので、投資費用及び運転費用が上昇する問題がある。
【0028】
本発明は、水分及びアンモニアを先に吸着して除去するガードベッド部と窒素を吸着して精製する水素精製部とを含む多数の吸着塔からなっているので、窒素を吸着する吸着剤の性能低下及び寿命短縮の問題を解消することができ、投資費用及び運転費用を節減することができる。
【0029】
前記ガードベッド部及び水素精製部は互いに切り離された系として構成され、工程運転段階が互いに連動して運転するように構成され得る。
【0030】
前記ガードベッド部及び水素精製部は互いに直列に連結され、前記直列に連結されたガードベッド部及び水素精製部から構成される吸着塔セットが2個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは5個又は6個が並列に配置された構造とすることができる。それぞれの吸着塔セットは、前記原料供給管101を通して供給された水素混合気体を先にガードベッド部に通過させた後、次いで水素精製部を通過させることにより、吸着、減圧、洗浄、原料蓄圧及び製品蓄圧工程を実行して水分及びアンモニアを順に吸着することにより、高純度水素を精製することができる。
【0031】
前記ガードベッド部内の吸着塔の最低圧力は、水素混合気体が原料流動方向(並流方向)に流れるとき、原料供給圧力の1/4以下、好ましくは1/3~2/5よりは低くならないように維持することができる。仮に、最低圧力が1/4以下よりも低くなる場合、ガードベッド部のアンモニア成分が水素精製部に流入する問題が発生し得る。
【0032】
前記ガードベッド部の吸着塔内の下層部には第1吸着剤が充填され、上層部には第2吸着剤が充填されるので、前記原料供給管101から前記水素混合気体が供給されると、前記吸着塔内の下層部及び上層部を順次通過する過程で水分及びアンモニアを選択的に吸着することができる。
【0033】
前記第1吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の下層部に充填され、水分除去の可能な第1活性アルミナ、シリカゲル、アルミナシリカゲル及びゼオライトからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは前記第1活性アルミナ又はシリカゲルであり得る。
【0034】
前記第1吸着剤は、前記第2吸着剤に対して、1~70重量%、好ましくは1~60重量%、最も好ましくは1~50重量%を含むことができる。前記第1吸着剤の含量が1重量%未満であると、水分が充分に除去されないことがあり、反対に70重量%を超えると、アンモニア濃度の変化に容易に対処することができない。
【0035】
前記第2吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の上層部に充填され、金属添着活性炭、シリカゲル、アルミナシリカゲル、ゼオライト及び第2活性アルミナからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは金属添着活性炭、シリカゲル又はゼオライトであり得る。
【0036】
前記金属添着活性炭はアンモニア選択性に優れて高いアンモニア吸着量を有する特徴がある。前記金属添着活性炭は、Mg、Ca、Mn及びCuからなる群から選択される1種以上の金属が添着された活性炭であり、好ましくはマグネシウム(Mg)添着活性炭又はカルシウム(Ca)添着活性炭であり、最も好ましくはマグネシウム(Mg)添着活性炭であり得る。前記マグネシウム添着活性炭は、他の金属添着活性炭に比べて、アンモニア吸着性能に非常に優れ、少ない添着量でも多くのアンモニアを吸着する利点がある。
【0037】
前記金属添着活性炭内の金属の添着量は1~10重量%、好ましくは1~8重量%、最も好ましくは1~6重量%であり得る。ここで、前記金属の添着量が1重量%未満であると、アンモニアの吸着性能が期待値に及ばないことがあり、反対に10重量%を超えると、吸着剤の再生時間の増加によって圧力変動工程の構成が困難になり、0.1ppm以下の極微量でアンモニアを吸着することが困難になることがある。
【0038】
前記シリカゲル、ゼオライト及び第2活性アルミナもアンモニア選択性に優れ、アンモニア吸着速度が速いので、圧力変動吸着工程において、極微量でアンモニアを除去するのに使用することができる。
【0039】
前記第2吸着剤は、前記第1吸着剤に対して、30~99重量%、好ましくは3~60重量%、最も好ましくは12~50重量%を含むことができる。前記第2吸着剤の含量が30重量%未満であると、アンモニアの吸着量が減少することがあり、反対に99重量%を超えると、水分濃度の変化に容易に対処することができない。
【0040】
前記水素精製部は2個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは5個又は6個以上の吸着塔が並列に配置された構造になったものであり、前記水素精製部は、前記ガードベッド部を通過する過程で水分及びアンモニアが精製された水素混合気体を通過させることで、吸着、1次均圧、洗浄、2次均圧、減圧、洗浄及び蓄圧の工程をガードベッド部と連動して実行して窒素を吸着して除去することにより、高い水素回収率及び高純度水素を収得することができる。
【0041】
前記水素精製部は、吸着塔内に第3吸着剤が充填されており、前記水分及びアンモニアが精製された水素混合気体に含まれている窒素を選択的に吸着して高純度水素を精製することができる。
【0042】
前記第3吸着剤は、ゼオライトNaA、ゼオライトCaA、ゼオライトCaNaA、ゼオライトLiX、ゼオライトLiNaX、ゼオライトLiCaX、ゼオライトLiNaCaX、ゼオライトNaX、ゼオライトCaX、ゼオライトCaNaX及びゼオライトKXからなる群から選択される1種以上であり、好ましくはゼオライトLiX、ゼオライトCaX又はこれらの混合物であり、最も好ましくはゼオライトCaXであり得る。
【0043】
前記圧力変動吸着装置100は、前記吸着塔から精製された水素を捕集する水素貯蔵槽をさらに含むことができる。
【0044】
特に、下記の実施例又は比較例などには明示的に記載されていないが、本発明による圧力変動吸着装置100において、下記の8条件をそれぞれ変えて、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体を用いて水素精製工程を連続的に100回実施した。
【0045】
その結果、他の条件及び他の数値範囲とは違って、下記の条件を全て満たす場合、精製された水素の純度が99.99%以上であり、水素の回収率が92.5%以上に向上した数値を示した。
【0046】
(1)前記ガードベッド部内の吸着塔の最低圧力は原料供給圧力の1/3~2/5よりも低くならないように維持し、(2)前記第1吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の下層部に充填され、水分除去の可能な第1活性アルミナ又はシリカゲルであり、(3)前記第1吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の前記第2吸着剤に対して10~35重量%で充填されたものであり、(4)前記第2吸着剤は前記ガードベッド部の吸着塔内の上層部に充填され、アンモニア除去の可能な金属添着活性炭であり、(5)前記第2吸着剤は、前記ガードベッド部の吸着塔内の前記第1吸着剤に対して65~90重量%で充填されたものであり、(6)前記金属添着活性炭はマグネシウム(Mg)添着活性炭又はカルシウム(Ca)添着活性炭であり、(7)前記金属添着活性炭内の金属の添着量は1~8重量%であり、(8)前記第3吸着剤は、ゼオライトLiX、ゼオライトCaX又はこれらの混合物である。
【0047】
しかし、前記8条件のうちのいずれか一つでも満たされない場合には、精製された水素の回収率が75%以下と低くなり、吸着されなかった水分、アンモニア又は窒素が基準範囲以上に検出され、精製された水素の純度が86%以下と低い数値を示した。
【0048】
図1は本発明による5塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置100の構成図である。前記
図1を参照すると、前記圧力変動吸着装置100は、原料供給管101に連結されたガードベッド部121~125及び水素精製部を含む多数の吸着塔111~115が配置され、前記ガードベッド部121~125と多数の吸着塔111~115とがそれぞれ直列に連結され、個別的な真空状態に維持させるために連結された真空ポンプ131、及び前記ガードベッド部121~125、多数の吸着塔111~115及び真空ポンプ131を連結する多数の管102~108を開閉する多数のバルブからなる。
【0049】
また、前記ガードベッド部121~125は、5個の吸着塔GB1、GB2、GB3、GB4、GB5が並列に配置され、前記水素精製部は、5個の吸着塔111~115が並列に配置されている。前記ガードベッド部及び水素精製部の吸着塔のそれぞれは直列に連結され、吸着段階(adsorption step)、第1均圧段階(first pressure equalization step)、第2均圧段階(second pressure equalization step)、パージガス提供段階(providing purge step)、第3均圧段階(third pressure equalization step)、向流減圧段階(countercurrent blowdown step)、真空パージ段階(vacuum purge step)、第1蓄圧段階(first pressurization step)、第2蓄圧段階(second pressurization step)、第3蓄圧段階(third pressurization step)、及び製品蓄圧段階(final pressurization step by product)を一サイクルとして有機的に一緒に実行することができる。
【0050】
前記ガードベッド部121~126内の吸着塔の下端部は、水素混合気体が供給される原料供給管101が第1原料供給バルブ11を介して連結される。前記ガードベッド部及び水素精製部の各吸着塔は、原料供給管101を通して供給される水素混合気体に含まれている水分、アンモニア及び窒素の吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を一サイクルとして工程を実行することにより、アンモニア分解の後に生成された副産物から高純度水素を精製する。
【0051】
前記ガードベッド部の吸着塔の下部には、前記原料供給管101から水素混合気体が供給される第1~第5原料供給バルブ11、21、31、41、51と、前記真空ポンプ131を介して圧力を調節する第1~第5向流減圧バルブ12、22、32、42、52と、が位置する。また、前記ガードベッド部の吸着塔の上部には、水分及びアンモニアが除去された水素混合気体を排出する第1~第5排出バルブ11-1、21-1、31-1、41-1、51-1が位置する。
【0052】
前記水素精製部の吸着塔の上部には第1~第5真空パージバルブ16、26、36、46、56が位置し、前記真空パージバルブに連結される上部には均圧のための第1~第6均圧バルブ15、25、35、45、55が位置し、前記均圧バルブに連結される上部には製品蓄圧のための第1~第5蓄圧バルブ14、24、34、44、54が位置する。また、前記水素精製部の吸着塔の最上部には、精製された水素を移送する第1~第5製品生産バルブ13、23、33、43、53が位置し、吸着塔の下部には、吸着塔の圧力を調節する第1~第6向流減圧バルブ12-1、22-1、32-1、42-1、52-1が位置する。
【0053】
前記ガードベッド部及び水素精製部は、第1~第5向流減圧バルブ12~52、12-1~52-1を介して真空パージ段階で洗浄ガスを供給して脱着工程を実行することができる。前記ガードベッド部及び水素精製部の向流減圧バルブをそれぞれ別に配置する主な理由は、圧力差によってガードベッド部から水素精製部にアンモニアが逆流することを防ぐためである。
【0054】
前記ガードベッド部の吸着塔121~126及び水素精製部の吸着塔111~116は各吸着塔を互いに連結する多数の管102~108を介して直列に連結され、水分及びアンモニアはガードベッド部で除去され、窒素は水素精製部で除去されることにより、高純度水素を生産し、高い水素回収率及び低電力の運転が可能である。
【0055】
図2は本発明による6塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置100-1の構成図である。前記
図2を参照すると、6塔式圧力変動吸着装置100-1は、5塔式圧力変動吸着装置100に比べて、回収率をより高めることができ、基本精製方法は、吸着、均圧、パージガス提供、均圧、向流減圧、真空パージ、蓄圧及び製品蓄圧の順に実行し、下記の5塔式圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法と類似している。
【0056】
(b)ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置を用いる水素精製方法
一方、本発明は、原料供給管101に連結され、ガードベッド部及び水素精製部111~116を含む多数の吸着塔と、前記吸着塔に連結され、前記吸着塔を真空状態に維持させる真空ポンプ131と、前記吸着塔及び真空ポンプ131に連結された多数の管を開閉する多数のバルブと、からなる本発明による圧力変動吸着装置100を用いる水素精製方法であって、前記ガードベッド部の吸着塔内に原料供給管101を通してアンモニア分解の後に生成された水素混合気体を供給する段階と、前記供給された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の下層部に充填された第1吸着剤に通過させることによって水分を選択的に吸着除去する段階と、前記水分が除去された水素混合気体を前記ガードベッド部内の吸着塔の上層部に充填された第2吸着剤に通過させることによってアンモニアを選択的に吸着して除去する段階と、前記水分及びアンモニアが除去された水素混合気体を水素精製部の吸着塔111~116内に供給する段階と、前記供給された水分及びアンモニアが除去された水素混合気体を前記水素精製部内の吸着塔111~116に充填された第3吸着剤に通過させることによって窒素を選択的に吸着及び除去して精製水素を収得する段階と、を含む、圧力変動吸着装置100を用いる水素精製方法を提供する。
【0057】
前記水素混合気体を供給する段階は、前記ガードベッド部内の一つの吸着塔で水分及びアンモニア成分を除去した後、排出される前記水素混合気体に供給することができる。ここで、前記ガードベッド部内の他の一つの吸着塔は、吸着運転圧力以下に向流減圧させた後、前記水素精製部111~116から大気圧以上のガスを受けて洗浄する段階と、原料蓄圧段階と、製品蓄圧段階と、を含む工程を実行して、アンモニア分解の後に生成された前記水素混合気体から水分及びアンモニアを物理的に吸着して除去する工程を実行することができる。
【0058】
前記供給された水素混合気体は、前記ガードベッド部内の吸着塔の下層部を通過するとき、水分を選択的に吸着した後に精製し、次いで上層部を順に通過する過程で、アンモニアを選択的に吸着した後に精製することができる。特に、前記アンモニアを選択的に吸着した後に精製する段階では、前記水分が精製された水素混合気体内のアンモニアの含有量が0.1ppm未満になるように吸着した後に精製することができ含みる。
【0059】
一具現例によれば、前記ガードベッド部は第1~第5吸着塔を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管101から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができ、前記水素精製部は第1~第5吸着塔111~11を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去しながら水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【0060】
好ましくは、前記ガードベッド部は第1~第5吸着塔を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができ、前記水素精製部は第1~第5吸着塔111~115を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【0061】
より具体的には、前記ガードベッド部及び水素精製部111~116において前記アンモニアが除去された水素混合気体が供給された吸着塔以外の他の四つの吸着塔は、一サイクルの吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができ、2番目の吸着塔は第3蓄圧段階から、3番目の吸着塔は真空パージ段階から、4番目の吸着塔はパージガス提供段階から、5番目の吸着塔は第1均圧段階からそれぞれ一サイクルを順に実行することができる。
【0062】
他の具現例によれば、前記ガードベッド部は第1~第6吸着塔を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管101から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行し、前記水素精製部は第1~第6吸着塔111~116を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去して水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【0063】
好ましくは、前記ガードベッド部は第1~第6吸着塔を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管101から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行し、前記水素精製部は第1~第6吸着塔111~116を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去して水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、第4均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【0064】
より好ましくは、前記ガードベッド部は第1~第6吸着塔を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管101から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行し、前記水素精製部は第1~第6吸着塔111~116を含み、前記第1~第6吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去して水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、第4均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【0065】
前記水素精製部の吸着塔111~116内に供給する段階は、前記アンモニアが精製された水素混合気体を水素精製部内の一つの吸着塔内に供給することができる。
【0066】
前記窒素を選択的に吸着した後、精製された水素を収得する段階は、前記アンモニアが精製された水素混合気体内の窒素の含有量が10ppm未満になるように吸着した後、精製することができる。
【0067】
前記圧力変動吸着装置100を用いる水素精製方法は、精製された水素を収得する段階の後、前記収得された水素を水素貯蔵槽に捕集する段階と、前記水素貯蔵槽内の水素を他の吸着塔の洗浄段階及びガードベッド部及び水素精製部111~116の製品蓄圧段階で使用するように循環供給する段階と、をさらに含むことができる。
【0068】
前記ガードベッド部及び水素精製部111~116を含む多数の吸着塔のそれぞれは、水分、アンモニア及び窒素を吸着及び精製する一周期の工程を実行した後、前記水素混合気体の供給によって周期的に水素精製工程を繰り返し実行することができる。
【0069】
前記水素精製部の吸着塔111~116から排出される残留排ガス(tail gas)を向流減圧段階が終わった前記ガードベッド部の吸着塔にパージガス(purge gas)として供給して前記ガードベッド部の第1及び第2吸着剤を再生する段階をさらに含むことができる。ここで、水素製品のストリームと区分されて排出される残留排ガス(tail gas)のストリームが連続的に排出されることにより、アンモニア分解装置を加熱するための熱源として継続的に供給されるように運転することができる。
【0070】
本発明による圧力変動吸着装置100を用いる、水分、アンモニア及び窒素除去工程は、ガードベッド部及び水素精製部を含む多数の吸着塔によって次のように運転することができる。
【0071】
一具現例によれば、前記ガードベッド部のそれぞれの吸着塔121~125及び水素精製部のそれぞれの吸着塔111~115での吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階から構成されることができる。
【0072】
図1の運転方法は、原料気体であるアンモニアの分解の後に生成された水素混合気体を、原料供給管101を通して、前記ガードベッド部の第1吸着塔121に連結された第1供給バルブ11が開放した状態で前記ガードベッド部の第1吸着塔121内に供給する。前記第1吸着塔111内に供給された水素混合気体中に含有された不純物である水分及び未分解アンモニアが前記ガードベッド部の第1吸着塔121内に多層構造に充填された第1及び第2吸着剤を通過するとき、水分及びアンモニアを順次吸着して精製し、残りの窒素及び水素を含む混合気体を収得する。その後、前記窒素及び水素を含む混合気体は前記ガードベッド部の第1吸着塔121を通過し、バルブ11-1が開放した状態で配管103を通して移送されて水素精製部内の第1吸着塔111に供給される。
【0073】
前記水素精製部111~116内に供給される水素混合気体内のアンモニア濃度を実時間でモニタリングしてアンモニア濃度を0.1ppm未満に維持する。ここで、前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111が吸着段階を実行するうち、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は前記一サイクルの段階のうちで第1蓄圧段階から始めて製品蓄圧の段階を順次実行する。
【0074】
まず、前記第2均圧バルブ24、54を通してガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は第1均圧段階を実行して並流減圧を行い、前記水素精製部の配管108から供給されるガスを使用して第3蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。前記第2吸着塔112は、向流蓄圧の後、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111で生産された高純度水素を使用して最終の製品蓄圧を行う。製品蓄圧のために、第2均圧バルブ24、54を閉鎖し、第2蓄圧バルブ24を開放して吸着圧力まで製品蓄圧を行う。
【0075】
ここで、前記ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は前記一サイクルの段階のうちで真空パージ段階及び第1蓄圧段階を順次実行する。前記ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、パージガス提供段階として、第3真空パージバルブ36が開放した状態で配管106を通して第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113に必要な真空パージガスを提供し、第3向流減圧バルブ32が開放した状態で、真空ポンプ配管102を通して真空脱着を行う。
【0076】
前記真空パージ段階の後、第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は、前記バルブ及び配管を通して水素精製部の第4吸着塔114の第3均圧段階による減圧によって第1蓄圧段階を実行する。前記水素精製部のアンモニア汚染を防ぐために、ガードベッド部の第4吸着塔124は第3均圧段階なしに向流減圧段階を実行し、第4向流減圧バルブ42が開放した状態で排出する。前記水素精製部の第4吸着塔114は、第3均圧段階の後、向流減圧バルブ42-1が開放した状態で向流減圧段階を実行する。第1蓄圧段階の後、ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は、第2蓄圧段階を、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115の第2均圧段階による並流減圧によって実行し、第3真空パージバルブ36を閉鎖し、第4均圧バルブ45及び第5均圧バルブ55が開放した状態で配管107を通して実行する。
【0077】
前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111が吸着段階を実行した後、第1原料供給バルブ11を閉鎖し、第1均圧段階及び第2均圧段階で並流減圧を行う。ここで、前記ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、第2原料供給バルブ21を開放して吸着段階を実行する。前記第1及び第3均圧バルブ15、35を開放して前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は第1均圧段階を実行し、配管107を通して向流減圧し、前記ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は第3蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。前記第1均圧段階の後、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は前記第1及び第4均圧バルブ15、45を開放し、配管107を通して第2均圧段階による並流減圧を行い、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114の第2蓄圧段階の向流蓄圧を行う。
【0078】
前記第3吸着塔は、向流蓄圧の後、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112で生産された高純度水素を使用して製品蓄圧段階を実行する。製品蓄圧のために、第1及び第3均圧バルブ15、35を閉鎖し、第3蓄圧バルブ34を開放して吸着圧力まで製品蓄圧段階を実行する。ここで、前記ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、前記一サイクルの段階のうちで真空パージ段階及び第1蓄圧段階を順次実行する。前記ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は、パージガス提供段階として、第4及び5真空パージバルブ46、56が開放した状態で配管106を通してガードベッド部の第4吸着塔GB-4及び水素精製部の第4吸着塔114に必要な真空パージガスを提供し、第4向流減圧バルブ42が開放した状態で真空ポンプ配管102を通して真空脱着を行う。
【0079】
前記真空パージ段階の後、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、前記バルブ及び配管を通して水素精製部の第5吸着塔115の第3均圧段階による並流減圧によって第1蓄圧段階を実行する。前記水素精製部のアンモニア汚染を防ぐために、ガードベッド部の第5吸着塔125は第3均圧段階なしに向流減圧段階を実行し、第5向流減圧バルブ52が開放した状態で排出する。前記水素精製部の第5吸着塔115は、第3均圧段階の後、第5向流減圧バルブ52-1が開放した状態で向流減圧段階を実行する。
【0080】
前記第1蓄圧段階の後、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、第2蓄圧段階を、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111の第2均圧段階による並流減圧によって実行し、第4真空パージバルブ46を閉鎖し、第1及び第4均圧バルブ15、45が開放した状態で配管107を通して実行する。
【0081】
前記ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112が吸着段階を実行した後、第2原料供給バルブ21を閉鎖し、第1均圧段階及び第2均圧段階で並流減圧を行う。ここで、前記ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は第3原料供給バルブ31を開放して吸着段階を実行する。前記第2及び第4均圧バルブ25、45を開放して前記ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は第1均圧段階を実行し、配管107を通して向流減圧を行い、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は第3蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。
【0082】
前記第1均圧段階の後、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、前記第2及び第5均圧バルブ25、55を開放し、配管107を通して第2均圧段階による並流減圧を実行して、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115の第2蓄圧段階による向流減圧を行う。前記ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、向流蓄圧の後、ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113で生産された高純度水素を使用して製品蓄圧段階を実行する。
【0083】
前記製品蓄圧段階のために、第2及び第5均圧バルブ25、55を閉鎖し、第4蓄圧バルブ44を開放して吸着圧力まで製品蓄圧段階を実行する。ここで、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は前記一サイクルの段階のうちで真空パージ段階及び第1蓄圧段階を順次実行する。前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は、パージガス提供段階として、第1及び第5真空パージバルブ16、56が開放した状態で配管106を通してガードベッド部第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115に必要な真空パージガスを提供し、第5向流減圧バルブ52が開放した状態で真空ポンプ配管102を通して真空脱着を行う。
【0084】
前記真空パージ段階の後、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は、前記バルブ及び配管を通して水素精製部の第1吸着塔111の第3均圧段階による並流減圧によって第1蓄圧段階を実行する。水素精製部のアンモニア汚染を防ぐために、ガードベッド部の第1吸着塔121は第3均圧段階なしに向流減圧段階を実行し、第1向流減圧バルブ12が開放した状態で排出する。前記水素精製部の第1吸着塔111は、第3均圧段階の後、第1向流減圧バルブ12-1が開放した状態で向流減圧段階を実行する。第1蓄圧段階の後、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は、第2蓄圧段階を、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112の第2均圧段階による並流減圧によって実行し、第5真空パージバルブ56を閉鎖し、第2及び第5均圧バルブ25、55が開放した状態で配管107を通して実行する。
【0085】
前記ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113が吸着段階を実行した後、第3原料供給バルブ31を閉鎖し、第1均圧段階及び第2均圧段階で並流減圧を行う。ここで、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は第4原料供給バルブ41を開放して吸着段階を実行する。前記第3及び第5均圧バルブ35、55を開放してガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は第1均圧段階を実行し、配管107を通して並流減圧を行い、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は第3蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。
【0086】
前記第1均圧段階の後、ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は、前記第1及び第3均圧バルブ15、35を開放し、配管107を通して第2均圧段階による並流減圧を行って、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111の第2蓄圧段階による向流減圧を行う。
【0087】
前記ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は、第3蓄圧段階による向流蓄圧の後、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114で生産された高純度水素を使用して製品蓄圧段階を実行する。製品蓄圧のために、第1及び第3均圧バルブ15、35を閉鎖し、第5蓄圧バルブ54を開放して吸着圧力まで製品蓄圧段階を実行する。ここで、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は前記一サイクルの段階のうちで真空パージ段階及び第1蓄圧段階を順次実行する。ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、パージガス提供段階として、第1及び第2真空パージバルブ16、26が開放した状態で配管106を通してガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111に必要な真空パージガスを提供し、第1向流減圧バルブ12が開放した状態で真空ポンプ配管102を通して真空脱着を行う。
【0088】
前記真空パージ段階の後、第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は、前記バルブ及び配管を通して水素精製部の第2吸着塔112の第3均圧段階による並流減圧によって第1蓄圧段階を実行する。水素精製部のアンモニア汚染を防ぐために、ガードベッド部の第2吸着塔122は第3均圧段階なしに向流減圧段階を実行し、第2向流減圧バルブ22が開放した状態で排出する。
【0089】
前記水素精製部の第2吸着塔112は、第3均圧段階の後、第2向流減圧バルブ22-1が開放した状態で向流減圧段階を実行する。第1蓄圧段階の後、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は、第2蓄圧段階を、ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113の第2均圧段階による並流減圧によって実行し、第1真空パージバルブ16を閉鎖し、第1及び第3均圧バルブ15、35が開放した状態で配管107を通して実行する。
【0090】
前記ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114が吸着段階を実行した後、第4原料供給バルブ41を閉鎖し、第1均圧段階及び第2均圧段階で並流減圧を行う。ここで、前記ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115は第5原料供給バルブ51を開放して吸着段階を実行する。前記第1及び第4均圧バルブ15、45を開放してガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は第1均圧段階を実行し、配管107を通して並流減圧を行い、ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は第3蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。
【0091】
前記第1均圧段階の後、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114は、前記第2及び第4均圧バルブ45、25を開放し、配管107を通して第2均圧段階による並流減圧を行って、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112の第2蓄圧段階を実行して向流蓄圧を行う。前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111は、向流蓄圧の後、ガードベッド部の第5吸着塔125及び水素精製部の第5吸着塔115で生産された高純度水素を使用して製品蓄圧段階を実行する。製品蓄圧のために、蓄圧バルブ45、25を閉鎖し、第1蓄圧バルブ14を開放して吸着圧力まで製品蓄圧段階を実行する。ここで、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、前記一サイクルの段階のうちで真空パージ段階及び第1蓄圧段階を順次実行する。
【0092】
前記ガードベッド部の第3吸着塔123及び水素精製部の第3吸着塔113は、パージガス提供段階として、第2及び第3真空パージバルブ26、36が開放した状態で配管106を通してガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112に必要な真空パージガスを提供し、第2向流減圧バルブ22が開放した状態で真空ポンプ配管102を通して真空脱着を行う。前記真空パージ段階の後、第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、前記バルブ及び配管を通して水素精製部の第3吸着塔113の第3均圧段階による並流減圧によって第1蓄圧段階を実行する。
【0093】
前記水素精製部のアンモニア汚染を防ぐために、ガードベッド部の第3吸着塔123は第3均圧段階なしに向流減圧段階を実行し、第3向流減圧バルブ32が開放した状態で排出する。水素精製部の第3吸着塔113は、第3均圧段階の後、第3向流減圧バルブ32-1が開放した状態で向流減圧段階を実行する。第1蓄圧段階の後、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は、第2蓄圧段階を、ガードベッド部の第4吸着塔124及び水素精製部の第4吸着塔114の第2均圧段階による並流減圧によって実行し、第2真空パージバルブ26を閉鎖し、第2及び第4均圧バルブ25、45が開放した状態で配管107を通して実行する。
【0094】
前記一サイクルの終了の後、ガードベッド部の各吸着塔121~125及び水素精製部の各吸着塔111~115は、前記一サイクルと同じ工程である吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を実行して連続的に運転する。
【0095】
以上のように、本発明の圧力変動吸着装置100を用いる水素精製方法は、アンモニア分解の後に生成された水素混合気体に含まれた水分(H2O)、アンモニア(NH3)及び窒素(N2)の不純物を極微量以下に物理的に吸着することにより、高純度水素の精製が可能であるとともに、水分、アンモニア及び窒素の選択的吸着性を向上させて水素回収率及び生産性を極大化することができる。さらに、初期投資費用が安く、圧力変動吸着工程のみを適用するとき、温度変動吸着工程を別に導入しなくて再生用熱源が不要であるので、運転費用を低減することができる。
【0096】
以下で本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明が次の実施例によって限定されるものではない。
【0097】
実施例1:5塔式ガードベッド部及び水素精製部吸着塔を含む圧力変動吸着装置100を用いる水素精製
5個の吸着塔が並列に配置されたガードベッド部及び5個の吸着塔が並列に配置された水素精製部を含む圧力変動吸着装置100を用いて、水素74.775容積%、窒素24.925容積%及びアンモニア3,000ppmを含む混合気体から水素を精製する工程を実施した。
【0098】
前記ガードベッド部内の第1~第5吸着塔の下層部に水分吸着の可能な第1吸着剤としてシリカゲル8重量%が充填され、前記第1~第5吸着塔の上層部にはアンモニア吸着の可能な第2吸着剤であるマグネシウム5重量%が添着された活性炭15重量%が充填された多層構造を形成した。また、前記水素精製部の第1~第5吸着塔のそれぞれは窒素吸着の可能なゼオライトCaXを充填した。また、原料ガスの供給圧力は5.5気圧であった。前記ガードベッド部及び水素精製部の工程周期は同一に維持し、前記ガードベッド部及び水素精製部の向流減圧段階の開始圧力はそれぞれ0.8barg及び0.5bargとした。
【0099】
5塔式ガードベッド部の各吸着塔は、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を実行するように連続的に運転し、前記水素精製部の各吸着塔は、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を実行するように連続的に運転した。ここで、原料ガス処理量は22.00N/minであった。
【0100】
前記圧力変動吸着装置100によって精製された水素を測定した結果、精製された水素の純度は99.999%であり、水素回収率は86.7%であった。
【0101】
実施例2:6塔式ガードベッド部及び水素精製部の吸着塔を含む圧力変動吸着装置100-1を用いる水素精製
6個の吸着塔が並列に配置されたガードベッド部及び6個の吸着塔が並列に配置された水素精製部を含む圧力変動吸着装置100-1を用いて、水素74.775容積%、窒素24.925容積%及びアンモニア3、000ppmを含む混合気体から水素を精製する工程を実施した。
【0102】
前記ガードベッド部内の第1~第6吸着塔の下層部に水分吸着の可能な第1吸着剤としてシリカゲル8重量%が充填され、前記第1~第6吸着塔の上層部にはアンモニア吸着の可能な第2吸着剤であるマグネシウム5重量%が添着された活性炭15重量%が充填された多層構造を形成した。また、前記水素精製部の第1~第6吸着塔のそれぞれは窒素吸着の可能なゼオライトCaXを充填した。また、原料ガスの供給圧力は5.5気圧であった。前記ガードベッド部及び水素精製部の工程周期は同一に維持し、前記ガードベッド部及び水素精製部の向流減圧段階の開始圧力はそれぞれ0.8barg及び0.5bargとした。
【0103】
6塔式ガードベッド部の各吸着塔GB1~GB6は、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を実行し、前記水素精製部の各吸着塔111~116は、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、第3均圧段階、パージガス提供段階、第4均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階、第4蓄圧段階及び製品蓄圧段階を実行するように連続的に運転した。ここで、原料ガス処理量は22.00N/minであった。
【0104】
前記圧力変動吸着装置100-1によって精製された水素を測定した結果、精製された水素の純度は99.999%であり、水素回収率は87.414%であった。
【符号の説明】
【0105】
100、100-1 圧力変動吸着装置
101 原料供給管
102~108 多数の管
111~116 水素精製部の第1~第6吸着塔
121~126 ガードベッド部の第1~第6吸着塔
131 真空ポンプ
11、21、31、41、51、61 第1~第6原料供給バルブ
11-1、21-1、31-1、41-1、51-1、61-1 第1~第6ガードベッド部の排出バルブ
12、22、32、42、52、62 第1~第6ガードベッド部の向流減圧バルブ
12-1、22-1、32-1、42-1、52-1、62-1 第1~第6水素精製部の向流減圧バルブ
13、23、33、43、53、63 第1~第6製品生産バルブ
14、24、34、44、54、64 第1~第6蓄圧バルブ
15、25、35、45、55、65 第1~第6均圧バルブ
16、26、36、46、56、66 第1~第6真空パージバルブ
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
前記ガードベッド部121~125内の吸着塔の下端部は、水素混合気体が供給される原料供給管101が第1原料供給バルブ11を介して連結される。前記ガードベッド部及び水素精製部の各吸着塔は、原料供給管101を通して供給される水素混合気体に含まれている水分、アンモニア及び窒素の吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を一サイクルとして工程を実行することにより、アンモニア分解の後に生成された副産物から高純度水素を精製する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
前記ガードベッド部の吸着塔121~125及び水素精製部の吸着塔111~115は各吸着塔を互いに連結する多数の管102~108を介して直列に連結され、水分及びアンモニアはガードベッド部で除去され、窒素は水素精製部で除去されることにより、高純度水素を生産し、高い水素回収率及び低電力の運転が可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
一具現例によれば、前記ガードベッド部は第1~第5吸着塔を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記原料供給管101から供給される水素混合気体から水分及びアンモニアを除去するために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができ、前記水素精製部は第1~第5吸着塔111~115を含み、前記第1~第5吸着塔のそれぞれは、前記ガードベッド部から供給される水分及びアンモニアの除去された水素混合気体から窒素成分を除去しながら水素製品の純度及び回収率を高めるために、吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
より具体的には、前記ガードベッド部及び水素精製部111~115において前記アンモニアが除去された水素混合気体が供給された吸着塔以外の他の四つの吸着塔は、一サイクルの吸着段階、第1均圧段階、第2均圧段階、パージガス提供段階、第3均圧段階、向流減圧段階、真空パージ段階、第1蓄圧段階、第2蓄圧段階、第3蓄圧段階及び製品蓄圧段階を順に実行することができ、2番目の吸着塔は第3蓄圧段階から、3番目の吸着塔は真空パージ段階から、4番目の吸着塔はパージガス提供段階から、5番目の吸着塔は第1均圧段階からそれぞれ一サイクルを順に実行することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
図1の運転方法は、原料気体であるアンモニアの分解の後に生成された水素混合気体を、原料供給管101を通して、前記ガードベッド部の第1吸着塔121に連結された第1供給バルブ11が開放した状態で前記ガードベッド部の第1吸着塔121内に供給する。前記第1吸着塔
121内に供給された水素混合気体中に含有された不純物である水分及び未分解アンモニアが前記ガードベッド部の第1吸着塔121内に多層構造に充填された第1及び第2吸着剤を通過するとき、水分及びアンモニアを順次吸着して精製し、残りの窒素及び水素を含む混合気体を収得する。その後、前記窒素及び水素を含む混合気体は前記ガードベッド部の第1吸着塔121を通過し、バルブ11-1が開放した状態で配管103を通して移送されて水素精製部内の第1吸着塔111に供給される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
前記水素精製部111~115内に供給される水素混合気体内のアンモニア濃度を実時間でモニタリングしてアンモニア濃度を0.1ppm未満に維持する。ここで、前記ガードベッド部の第1吸着塔121及び水素精製部の第1吸着塔111が吸着段階を実行するうち、ガードベッド部の第2吸着塔122及び水素精製部の第2吸着塔112は前記一サイクルの段階のうちで第1蓄圧段階から始めて製品蓄圧の段階を順次実行する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
実施例1:5塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置100を用いる水素精製
5個の吸着塔が並列に配置されたガードベッド部及び5個の吸着塔が並列に配置された水素精製部を含む圧力変動吸着装置100を用いて、水素74.775容積%、窒素24.925容積%及びアンモニア3,000ppmを含む混合気体から水素を精製する工程を実施した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
実施例2:6塔式ガードベッド部及び水素精製部を含む圧力変動吸着装置100-1を用いる水素精製
6個の吸着塔が並列に配置されたガードベッド部及び6個の吸着塔が並列に配置された水素精製部を含む圧力変動吸着装置100-1を用いて、水素74.775容積%、窒素24.925容積%及びアンモニア3、000ppmを含む混合気体から水素を精製する工程を実施した。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】