(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電気化学セル用キャップ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/152 20210101AFI20250130BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/645 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/655 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/317 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/333 20210101ALI20250130BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20250130BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20250130BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01M50/152
H01M50/107
H01M50/342 101
H01M50/184 D
H01M50/586
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/559
H01M50/193
H01M50/188
H01M50/169
H01M50/645
H01M50/655
H01M50/317 101
H01M50/333
H01M10/0569
H01M50/545
H01G9/00 290K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546094
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 US2023011864
(87)【国際公開番号】W WO2023150080
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522128619
【氏名又は名称】サウス エイト テクノロジーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】SOUTH 8 TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラストームジ サイラス エス.
(72)【発明者】
【氏名】トクソイ カディル
(72)【発明者】
【氏名】ビオンディ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】アイバーソン デントン
(72)【発明者】
【氏名】リシアク マチェイ
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H023
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011AA13
5H011AA17
5H011BB03
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH03
5H012AA01
5H012BB02
5H012BB03
5H012CC08
5H012EE04
5H012FF01
5H012GG05
5H023AS01
5H023AS10
5H023CC11
5H023CC22
5H023CC28
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AJ15
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ02
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029HJ14
5H029HJ15
5H043AA04
5H043AA19
5H043CA03
5H043DA03
5H043GA22
5H043GA23
5H043GA26
(57)【要約】
セル缶筐体と共に気密封止状態を作り出すキャップ組立体について開示している。キャップ組立体は、外面、内面、及び外周縁を備える。キャップ組立体は、外面と内面との間にポート開口部を形成する電解液注入ポートと、外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、内面から外面まで通気孔開口部を形成するように構築された通気孔とをさらに備える。通気孔は、(a)電解液注入ポートと同心円状に、及び(b)電解液注入ポートの位置よりも外周縁の近くに配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル缶筐体(1)を封止するように構築されたキャップ組立体(1-5)であって、前記キャップ組立体が、
外面(2-1)、内面(2-2)、及び外周縁(2-3)と、
前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間にポート開口部(6-1)を形成する電解液注入ポート(6)と、
外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、前記内面(2-2)から前記外面(2-1)まで通気孔開口部(24-1)を形成するように構築された通気孔(24)と
を備え、
前記通気孔(24)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置されている、キャップ組立体。
【請求項2】
前記外周縁(2-3)が円形である、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項3】
前記通気孔(24)が実質的に前記電解液注入ポート(6)の周囲を囲む、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項4】
前記通気孔(24)が切欠き部又は二重の切欠き部を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項5】
前記セル缶筐体が2つの電極を収容し、前記キャップ組立体が、
前記外面(2-1)から前記電極のうちの一方への電気伝送を可能にするように構築された電気接触面(5)
を備え、
前記電気接触面(5)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置されている、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項6】
前記電気接触面(5)が実質的に前記電解液注入ポート(6)の周囲を囲む、請求項5に記載のキャップ組立体。
【請求項7】
前記通気孔(24)が、前記電気接触面(5)よりも前記外周縁(2-3)の近くの位置である、請求項5に記載のキャップ組立体。
【請求項8】
前記電気接触面(5)を前記外周縁(2-3)から電気的に絶縁するように構築された電気絶縁体(4)を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項9】
前記電気絶縁体(4)がゴム製ガスケット(3)を備える、請求項8に記載のキャップ組立体。
【請求項10】
前記セル缶筐体(1)を前記外周縁(2-3)に連結するよう適合された溶接接合部(23)をさらに備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項11】
前記外周縁が、互いに垂直な2つの面(29-1、29-2)に沿って前記セル缶筐体(1)に接触するよう適合された肩部(29)を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項12】
前記注入ポート(6)が、止めネジ(18)、拡張栓(22)、金属栓(25)、又は溶接栓(14)によって封止される、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項13】
前記電解液注入ポート(6)が、前記外面(2-1)から離れる方向に延出する金属管(10)を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項14】
前記外周縁(2-3)を備えるキャップ蓋(2)と、
ゴム製ガスケット(3)と、
リング(28)と
をさらに備え、
前記リング(28)が、前記キャップ蓋(2)に押し付けて前記ゴム製ガスケット(3)を圧縮し、
前記リングが、焼嵌めリング又は圧着リングである、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項15】
前記電解液注入ポート(6)が弁を備え、前記弁が、(a)前記外面(2-1)から前記弁に圧力がかかると、前記ポート開口部(6-1)を形成し、(b)前記外面からの前記圧力が取り除かれると、前記ポート開口部(6-1)を閉じて気密封止状態を形成するように構築される、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項16】
前記電解液注入ポートが、
前記外面(2-1)から離れる方向に延出する部分(7-1)を備えるポペット(7)、前記ポペット(7)に連結された圧縮バネ(9)、及び弁座(7-3)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ポペットが前記バネ(9)を圧縮して、前記ポペットを前記弁座(7-3)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記開放構成に対して前記バネ(9)を圧縮解除し、前記ポペット(7)を前記弁座(7-3)と嵌合させ、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、前記ポペットの前記部分(7-1)にかかる力(7-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項17】
前記ポペット(7)が、前記ポペット(7)の動きを制限するように構築された楔形ストッパ(8)を備える、請求項16に記載のキャップ組立体。
【請求項18】
前記電解液注入ポートが、
ボール(11)、前記ボール(11)に連結された圧縮バネ(12)、及び弁座(11-1)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ボール(11)が前記圧縮バネ(12)を圧縮して、前記ボールを前記弁座(11-1)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記開放構成に対して前記圧縮バネ(12)を圧縮解除し、前記ボール(11)を前記弁座(11-3)と嵌合させ、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記ボール(11)にかかるセル缶圧力(11-3)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記ボール(11)にかかる注入圧力(11-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項19】
前記ボール(11)の動きを制限するように構築された保持器(13)をさらに備える、請求項18に記載のキャップ組立体。
【請求項20】
前記電解液注入ポートが、
円錐栓(15)及びゴム製弁座(16)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記円錐栓(15)を前記ゴム製弁座(16)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記円錐栓(15)が前記ゴム製弁座(16)と嵌合して、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記円錐栓(16)にかかるセル缶圧力(15-2)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記円錐栓(16)にかかる注入圧力(15-1)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項21】
前記電解液注入ポートが、
ゴム栓(21)、前記ゴム栓(21)と接触するバネ・タブ(20)、及び弁座(21-1)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ゴム栓(21)が前記バネ・タブ(20)を広げ、前記ゴム栓を前記弁座(21-1)から取り外して、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記ゴム栓(21)が前記弁座(21-1)と嵌合して、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記ゴム栓(21)にかかるセル缶圧力(21-3)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記ゴム栓(21)にかかる注入圧力(21-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項22】
キャップ組立体(1-5)であって、
外面(2-10)、内面(2-2)、及び外周縁(2-3)と、
前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間にポート開口部(6-1)を形成する電解液注入ポート(6)と、
外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、前記内面(2-2)から前記外面(2-1)まで通気孔開口部(24-1)を形成するように構築された通気孔(24)と
を備え、
前記通気孔(24)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置されている、
キャップ組立体(1-5)と、
圧力がかかった電解液を備えるセル缶筐体(1)と
を備え、
前記キャップ組立体(1-5)と前記セル缶筐体とが、通常の動作条件の間、前記電解液が漏れるのを防止する気密封止状態を形成する、電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項23】
前記電解液が、塩及び溶媒で構成され、前記溶媒が、温度293.15Kで100kPaの大気圧を超える蒸気圧を有する液化ガスである、請求項22に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項24】
前記溶媒が、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロメタン、クロロエタン、クロロエテン、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロプロポアン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘプタン、オクテン、これらの異性体、飽和ハロゲン化炭化水素、不飽和ハロゲン化炭化水素、及びハロゲン化炭化水素の異性体からなる群から選択される、請求項23に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項25】
前記デバイスが電池又はコンデンサである、請求項24に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項26】
電気化学エネルギー貯蔵デバイスを構築する方法であって、前記方法が、
a.正極、負極、及びセパレータを備えたセル缶筐体(1)を準備することと、
b.前記セル缶筐体(1)を封止するように構築されたキャップ組立体(1-5)を準備することであり、前記キャップ組立体が、
外面(2-1)、内面(2-2)、及び外周縁(2-3)と、
弁を備え、前記弁が、(a)前記外面(2-1)から前記弁に圧力がかかると、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間にポート開口部(6-1)を形成し、(b)前記外面からの前記圧力が取り除かれると、前記ポート開口部(6-1)を閉じて気密封止状態を形成するように構築された、電解液注入ポート(6)と、
外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、前記内面(2-2)から前記外面(2-1)まで通気孔開口部(24-1)を形成するように構築された通気孔(24)と
を備え、
前記通気孔(24)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置されている、
キャップ組立体を準備することと、
c.前記キャップ組立体(1-5)を気密封止状態で前記セル缶筐体(1)に装着することと、
d.加圧されたガスを前記電解液注入ポート(6)に装着すること、これにより前記弁を開くことと、
e.前記セル缶筐体(1)を、前記加圧されたガスで充填することと、
f.前記加圧されたガスを前記電解液注入ポート(6)から取り除くこと、これにより前記弁内で気密封止状態を形成することと
を含む、方法。
【請求項27】
前記セル缶筐体がさらに塩を備え、前記加圧されたガスが、温度293.15Kで100kPaの大気圧を超える蒸気圧を有する液化ガス溶媒である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒が、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロメタン、クロロエタン、クロロエテン、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロプロポアン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘプタン、オクテン、これらの異性体、飽和ハロゲン化炭化水素、不飽和ハロゲン化炭化水素、及びハロゲン化炭化水素の異性体からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記加圧されたガスが、温度293.15Kで100kPaの大気圧を超える蒸気圧を有する液化ガス溶媒である、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
この出願は、出願された下記の出願にも関連し、これらの出願のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年8月30日に出願されたPCT/US20/048660号、2020年2月29日に出願されたPCT/US20/020547号、2020年8月30日に出願されたPCT/US20/048661号、2019年5月15日に出願されたPCT/US19/032413号、2019年5月15日に出願されたPCT/US19/032414号、2014年11月17日に出願されたPCT/US14/066015号、2020年4月1日に出願されたPCT/US20/026086号、2017年4月27日に出願されたPCT/US17/029821号、2022年5月31日に出願されたPCT/US22/031594号、2022年7月7日に出願された米国仮特許出願第63/328480号、2022年7月21日に出願された米国仮特許出願第63/391224号、2022年7月21日に出願された米国仮特許出願第63/391220号、2022年10月24日に出願された米国仮特許出願第63/418703号、及び2022年10月24日に出願された米国仮特許出願第63/418704号。
【0002】
この出願は、2022年02月3日に出願された米国仮特許出願第63/306393号の優先権を主張し、その全内容が、参照により組み込まれる。
【0003】
本発明の実施形態は、電池及びコンデンサなどの電気化学セル、電気化学セルの機械設計、及び製造のための電解液注入方法に関する。
【背景技術】
【0004】
電池及び二重層コンデンサなどの電気化学エネルギー貯蔵デバイスは、一般に、角柱型、パウチ型、ボタン型、及び円筒型セルの4種類の形状要素で売り出されている。これらのデバイス又はセルは、正極と負極との両方が、回路を通して電流を運ぶための外部金属電気接点を備える。セル筐体は、通気孔、バースト・ディスク、破裂ディスク(rupture disc)、又はセル内で発生する内部圧力を軽減するための別のメカニズムも、特徴として備えていることが多い。セル筐体はまた、正極、負極、及びセパレータを収容するセルの内部に電解液を注入するための注入ポートも、特徴として備えることができる。
【0005】
円筒型セルは、かかる機構が不要なので、キャップ組立体に注入ポートを備えていない。実際には、最初に第1のステップとして電解液がセルに注入され、続いて第2のステップとしてキャップ組立体がセルに取り付けられる。
【0006】
しかし、特に液化ガス電解液の場合、第1のステップとしてキャップ組立体をセル筐体に固定し、次いで第2のステップとしてセルに電解液を注入することが有利である。液化ガス電解液の即時蒸発を防止するためには、第1のステップとしてキャップを所定の位置に固定し、続いて第2のステップとして電解液を注入し、第3のステップとして電解液の蒸発を防止するために、電解液の圧力を解放することなくセルを即時封止する必要がある。
【0007】
必要なものは、コスト効率の高い手法で工程を簡素化するセル設計である。本明細書では、電解液注入ポート、通気孔、及び金属電気接触面を備えたキャップ組立体を提示する。キャップ組立体は、電解液ガス注入前にセル缶に取り付けることができ、製造工程が簡素化される。さらに、これらの機構(すなわち、電解液注入ポート、通気孔、及び金属電気接触面)はその上、幾何学的中心及び幾何学的直径が測定される場合があり、この発明を通して言及される、比較的円形の幾何形状を有することができる。キャップ組立体の質量及び容積の観点からさらに一層有益な点は、これら3つのキャップ組立体の機構のすべての中心を同心にして、デバイスの高い性能及び機能性を維持しながらキャップの占有面積を最小限に抑えることである。この同心円状の構成により、キャップ組立体の容積、質量、及びコストも最小限に抑えられることになる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、セル缶筐体と共に気密封止状態を作り出すキャップ組立体について開示している。キャップ組立体は、外面、内面、及び外周縁を備える。キャップ組立体は、外面と内面との間にポート開口部を形成する電解液注入ポート、並びに外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差(vent pressure differential)が達成されると、内面から外面まで通気孔開口部を形成するように構築された通気孔をさらに備える。通気孔は、(a)電解液注入ポートと同心円状に、及び(b)電解液注入ポートの位置よりも外周縁の近くに配置される。
【0009】
外周縁は円形、又はほぼ円形であってもよい。通気孔は、実質的に電解液注入ポートの周囲を囲むことができ、二重の通気孔切欠き部をさらに備えることができる。
【0010】
セル缶筐体は2つの電極を内蔵でき、キャップ組立体は、外面から電極のうちの一方への電気伝送を可能にするように構築された電気接触面を備えることができる。電気接触面は、(a)電解液注入ポートと同心円状に、及び(b)電解液注入ポートの位置よりも外周縁の近くに配置することができる。電気接触面は、実質的に電解液注入ポートの周囲を囲むことができる。電気絶縁体は、電気接触面を、外周縁から電気的に絶縁することができる。
【0011】
キャップ組立体は、セル缶筐体を外周縁に連結するよう適合された溶接接合部を備えることができる。外周縁は、互いに垂直な2つの面に沿ってセル缶筐体に接触するよう適合された、肩部を備えることができる。
【0012】
注入ポートは、止めネジ、拡張栓(expansion plug)、金属栓、又は溶接栓によって封止することができる。注入ポートは、セル缶筐体を電解液で充填するために使用できる、外面から離れる方向に延出する金属管も備えることができる。
【0013】
外周縁は、キャップ蓋の一部であってもよい。リングは、キャップ蓋に押し付けてゴム製ガスケットを圧縮することができる。リングは、焼嵌めリング又は圧着リングであってもよく、ゴム製ガスケットは、電気絶縁を実現することができる。
【0014】
電解液注入ポートは、セル缶筐体への電解液の充填を可能にする弁を備えることができる。
【0015】
1つの非限定的な例は、ポペット、ポペットに連結された圧縮バネ、及び弁座を備えた電解液注入ポートである。電解液注入ポートは、ポペットがバネを圧縮し、ポペットを弁座から取り外して、外面と内面との間にポート開口部を形成することを特徴とする開放構成と、開放構成に対してバネを圧縮解除し、ポペットを弁座と嵌合させ、閉じたポート開口部を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成との2種類の構成を有することができる。開放構成は、ポペットにかかる力によって作動することができる。ポペットは、ポペットの動きを制限する楔形ストッパも備えることができる。
【0016】
第2の非限定的な例は、ボール、ボールに連結された圧縮バネ、及び弁座を備えた電解液注入ポートである。電解液注入ポートは、ボールが圧縮バネを圧縮し、ボールを弁座から取り外して、外面と内面との間にポート開口部を形成することを特徴とする開放構成と、開放構成に対して圧縮バネを圧縮解除し、ボールを弁座と嵌合させ、閉じたポート開口部を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面からボールにかかる注入圧力によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面からボールにかかるセル缶圧力よりも大きい。保持器を使用して、ボールの動きを制限することができる。
【0017】
第3の非限定的な例は、円錐栓及びゴム製弁座を備えた電解液注入ポートである。電解液注入ポートは、円錐栓をゴム製弁座から取り外して、外面と内面との間にポート開口部を形成することを特徴とする開放構成と、円錐栓がゴム製弁座と嵌合して、閉じたポート開口部を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面から円錐栓にかかる注入圧力によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面から円錐栓にかかるセル缶圧力よりも大きい。
【0018】
第4の非限定的な例は、ゴム栓、ゴム栓と接触するバネ・タブ、及び弁座を備えた電解液注入ポートである。電解液注入ポートは、ゴム栓がバネ・タブを広げ、ゴム栓を弁座から取り外して、外面と内面との間にポート開口部を形成することを特徴とする開放構成と、ゴム栓が弁座と嵌合して、閉じたポート開口部を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面からゴム栓にかかる注入圧力によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面からゴム栓にかかるセル缶圧力よりも大きい。
【0019】
注入ポートは、前述の非限定的な例のそれぞれにおいて、加圧電解液(又は溶媒)をセル缶筐体に注入するために使用でき、ポートは、与圧された電解液(又は溶媒)が漏れるのを防止するために、注入工程が終了すると自動的に封止されることになる。
【0020】
当業者には明らかであろうさらなる態様、代替形態、及び変形形態も、本明細書で開示しており、具体的に本発明の一部として含まれるものと考えている。本発明は、この出願又は関連出願において特許庁が許可した特許請求の範囲だけに記載されており、特定の例の以下の要約した説明は、いかなる形であれ、法的保護の範囲を制限、規定、又はさもなければ確定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】キャップ組立体に連結されたセル缶筐体を示す図である。
【
図4A】封止構成の、ポペット型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図4B】開放構成の、ポペット型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図5】電解液注入ポートに金属管を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図6A】封止構成の、ボール型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図6B】開放構成の、ボール型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図6C】恒久的封止構成の、ボール型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図7A】封止構成の、円錐栓型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図7B】開放構成の、円錐栓型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図8】電解液注入ポートを塞ぐ止めネジが取り付けられた、キャップ組立体の断面図である。
【
図9A】封止構成の、ゴム栓型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図9B】開放構成の、ゴム栓型弁を備えたキャップ組立体の断面図である。
【
図10】電解液注入ポートを塞ぐ拡張栓が取り付けられた、キャップ組立体の断面図である。
【
図11】電解液注入ポートを塞ぐ金属栓が取り付けられた、キャップ組立体の断面図である。
【
図13】金属電気接触面に係止する焼嵌め又は締まり嵌めリングによって一体に保持された、キャップ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、本発明を実行するために発明者が考えたあらゆる最良の形態を含む、本発明のいくつかの具体例について言及する。これらの具体的な実施形態の例を、添付の図に示している。本発明は、これらの具体的な実施形態と併せて説明しているが、本発明を説明又は図示する実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されよう。それどころか、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲内に含まれる可能性のある代替形態、修正形態、及び同等物をカバーすることを意図している。
【0023】
以下の説明において、本発明の完全な理解を可能にするために、多数の具体的な詳細を記載している。本発明の特定の例示的な実施形態は、これらの具体的な詳細の一部又はすべてがなくても実施することができる。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないために、当業者によく知られた工程の動作は、詳細には説明していない。本発明の様々な技法及びメカニズムは、明確にするために、単数形で説明する場合がある。しかし、別段の記載がない限り、一部の実施形態には、技法の複数回の繰返し又は複数のメカニズムが含まれることに留意されたい。同様に、本明細書に示し、説明する方法の様々なステップは、特定の実施形態では必ずしも示している順序で実行されないか、又はまったく実行されない。したがって、本明細書で論じている方法のいくつかの実施例には、示している又は説明しているステップよりも多くのステップ又は少ないステップが含まれている可能性がある。さらに、本発明の技法及びメカニズムが、2つ以上のエンティティ間の連結、関係、又は伝送を説明する場合がある。エンティティ間の連結又は関係は、2つのエンティティ間に他の様々なエンティティ又は工程が存在するか又は行われる可能性があるので、必ずしも直接的で妨げるもののない連結を意味するわけではないことに留意されたい。したがって、別段の記載がない限り、示している連結は、必ずしも直接的で妨げるもののない連結を意味するものではない。
【0024】
以下の例示的な機構のリストは、添付の図に対応しており、参照を容易にするために提示している。ここで同様の参照番号は、明細書及び図全体を通じて対応する機構を示す。
1 セル缶筐体
1-5 キャップ組立体
2 キャップ蓋
2-1 外面
2-2 内面
2-3 外周縁
3 ゴム製ガスケット
4 電気絶縁体
5 金属電気接触面
6 電解液注入ポート
6-1 ポート開口部
7 ポペット
7-1 外面から延出する部分
7-2 ポペットへの力
7-3 ポペット用弁座
7-4 圧縮バネの力
7-5 セル缶(内部ガス)圧力
8 楔形ストッパ
9 圧縮バネ
10 金属管
11 ゴムボール
11-1 ボール用弁座
11-2 注入圧力
11-3 セル缶(内部ガス)圧力
11-4 圧縮バネの力
12 圧縮バネ
13 保持器
14 溶接栓
15 円錐栓
15-1 注入圧力
15-2 セル缶圧力
16 ゴム製Oリング弁座
18 止めネジ
19 ゴム栓
20 バネ・タブ
21 ゴム栓
21-1 ゴム栓用弁座
21-2 注入圧力
21-3 セル缶(内部ガス)圧力
21-4 バネ・タブの力
22 拡張栓
23 溶接接合部
24 単一の通気孔切欠き部
24-1 通気孔開口部
25 金属栓
26 二重の通気孔切欠き部
27 ワッシャ
28 焼嵌め又は圧着リング
29 肩部
29-1 第1の肩部の面
29-2 第2の肩部の面
【0025】
現在の最新技術の円筒型セルは、一般に、最初に第1のステップとしてセルへの電解液注入が完了し、次いで第2のステップとしてキャップ組立体のセルへの取付けが続くので、キャップ組立体には注入ポートを備えていない。特に液化ガス電解液の場合は、第1のステップとしてキャップ組立体を前もってセル筐体に固定し、次いで第2のステップとしてセルに電解液を注入することが有益となる。液化ガス電解液の即時蒸発を防止するためには、第1のステップとしてキャップを所定の位置に固定し、続いて第2のステップとして電解液を注入し、第3のステップとして電解液の蒸発を防止するために、電解液の圧力を解放することなくセルを即時封止する必要がある。
【0026】
製造及びコストに関して、電解液注入ポート、通気孔、及び金属電気接触面をすべて同じキャップ組立体上に備えることは、さらに有益であろう。これらの機構はその上、幾何学的中心及び幾何学的直径が測定される場合があり、この発明を通して言及される、比較的円形の幾何形状を有することができる。キャップ組立体の質量及び容積の観点からさらに一層有益な点は、これら3つのキャップ組立体の機構(電解液注入ポート、通気孔、及び金属電気接触面)のすべての中心を同心にして、デバイスの高い性能及び機能性を維持しながらキャップの占有面積を最小限に抑えることであろう。このタイプの同心円状の構成により、キャップ組立体の容積、質量、及びコストが最小限に抑えられるばかりでなく、製造が簡素化されることになる。
【0027】
図1~
図3を参照すると、セル缶筐体1と共に気密封止状態を作り出す新規のキャップ組立体1-5を示している。キャップ組立体1-5は、外面2-1、内面2-2、及び外周縁2-3を備える。電解液又は溶媒は、電解液注入ポート6を通して注入することによって、電気化学エネルギー貯蔵デバイス内に取り込むことができる。電解液注入ポート6は、外面2-1と内面2-2との間にポート開口部6-1を形成する。キャップ組立体1-5は、外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されるか、又はそれを上回ると、内面2-2から外面2-1まで通気孔開口部24-1を形成するように構築された通気孔24も備える。通気孔24は、蓋2の脆弱部分であり、高いセル内部圧力で開くよう設計することができる。蓋2のこの脆弱部分は、蓋2の切欠き部によって形成することができる、蓋2のより薄い部分であり、したがって高いセル内部圧力下でセルの通気を行うことができる脆弱な場所をもたらす。通気孔24は、(a)電解液注入ポート6と同心円状に、及び(b)電解液注入ポート6の位置よりも外周縁2-3の近くに配置される。
【0028】
キャップ組立体1-5は、溶接接合部23を介してセル筐体1に連結することができる。セル筐体1は、幾何形状がやはり円形であってもよく、電解液注入ポート6、通気孔24、及び金属電気接触面5などのキャップ組立体の機構と同心円状又はほぼ同心円状にあってもよい。完成した電気化学エネルギー貯蔵デバイスは、セル筐体1に収容された2つの電極を内蔵することができる。キャップ1-5組立体は、外面2-1から電極のうちの少なくとも一方への電気伝送を可能にするように構築された電気接触面5を備えることができる。電気接触面5は、
図3に示すように、(a)電解液注入ポート6と同心円状に、及び(b)電解液注入ポート6の位置よりも外周縁2-3の近くに配置することができる。電気絶縁体4は、電気接触面5を、蓋2及び蓋の外周縁2-3から電気的に絶縁することができる。
【0029】
図3に示すように、外周縁2-3は円形、又はほぼ円形であってもよい。通気孔24は、実質的に電解液注入ポート6の周囲を囲むことができ、二重の通気孔切欠き部をさらに備えることができる。電気接触面5は、同様に、実質的に電解液注入ポート6の周囲を囲むことができる。
【0030】
キャップ組立体の機構(すなわち、電解液注入ポート6、電気接触面5、及び通気孔24)は、厳密に同心円状である必要はないが、機構1の直径が機構2の直径の内側にあり、機構2の直径が機構3の直径の内側にあるような、ほぼ同心円状になるように構成することができる。例えば、電解液注入ポート6は外径Aを有することができ、金属電気接触面5は外径Bを有することができ、通気孔24は外径Cを有することができ、したがってA、B、及びCの寸法は、A<B<Cとなる。
【0031】
キャップ組立体1-5の機構は、機械加工及び組立てを容易にするために円形であることが好ましいが、キャップ組立体の機構、すなわち電解液注入ポート6、通気孔24、及び金属電気接触面5は、様々な形状であってもよい。ほぼ同心円状の機構とは、1つの機構の全体が、次により大きい機構の外側の幾何形状内にあるものと定義することもできる。
【0032】
図4A~
図4Bは、ポペット型弁を備えたキャップ組立体1-5を示しており、これにより、加圧電解液(又は溶媒)をセル缶筐体1に注入し、注入工程が終了するとポート6を自動的に封止し、与圧された電解液(又は溶媒)が漏れるのを防止することができるので有利である。ポペット型弁は、具体的には、ポペット7、ポペット7に連結された圧縮バネ9、及び弁座7-3を備える。電解液注入ポート6は、したがって、ポペット7がバネ9を圧縮し、ポペット7を弁座7-3から取り外して、外面2-1と内面2-2との間にポート開口部6-1を形成することを特徴とする開放構成(
図4B)と、開放構成に対してバネ9を圧縮解除し、ポペット7を弁座7-3と嵌合させ、閉じたポート開口部6-1を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成(
図4A)との2種類の構成を有することができる。開放構成は、ポペット7にかかる力7-2によって作動することができる。ポペットは、図示のように、外面2-1から延出する部分7-1を有することができる。ポペット7は、ポペット7の動きを制限する楔形ストッパ8も備えることができる。力7-2は、自転車ポンプの弁構造体に類似した構造体が加える機械的な力であってもよい。力7-2は、機械的な力の代わりに、又は機械的な力と組み合わせて、加圧されたガスが加える圧力であってもよい。ポペット7は、圧縮バネ7-4が加える力、及び内面2-3からポペット7に作用するガスによる圧力7-5よりも大きい力7-2で、弁座7-3から取り外される。
【0033】
図5は、電解液(又は溶媒)のセルへの取込みを容易にするために使用できる金属管10を備えた、電解液注入ポート6を示している。
【0034】
図6A~
図6Bは、ボール型弁を備えたキャップ組立体1-5を示しており、これにより、加圧電解液(又は溶媒)をセル缶筐体1に注入し、注入工程が終了するとポート6を自動的に封止し、与圧された電解液(又は溶媒)が漏れるのを防止することができるので有利である。ボール型弁は、具体的には、ボール11、ボール11に連結された圧縮バネ12、及び弁座11-1を備える。電解液注入ポート6は、したがって、ボール11が圧縮バネ12を圧縮し、ボール11を弁座11-1から取り外して、外面2-1と内面2-2との間にポート開口部6-1を形成することを特徴とする開放構成(
図6B)と、開放構成に対して圧縮バネ12を圧縮解除し、ボール11を弁座11-1と嵌合させ、閉じたポート開口部6-1を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成(
図6A)との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面2-1からボールにかかる注入圧力15-1によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面2-2からボール11にかかるセル缶(内部ガス)圧力15-2よりも大きい。注入圧力15-1は、圧縮バネの力11-4にも打ち勝たなければならないので、セル缶(内部ガス)圧力15-2よりも大きくなければならない。保持器13を使用して、ボール11の動きを制限することができる。ボール11は、弁座11-1と漏れのない封止状態を形成するために、ゴム又は他の柔軟な材料でできていてもよい。
【0035】
図6Cは、電解液注入ポート6を恒久的に封止するために溶接栓14を備える、ボール型弁のキャップ組立体を示している。
【0036】
図7A~
図7Bは、円錐栓型弁を備えたキャップ組立体1-5を示しており、これにより、加圧電解液(又は溶媒)をセル缶筐体1に注入し、注入工程が終了するとポート6を自動的に封止し、与圧された電解液(又は溶媒)が漏れるのを防止することができるので有利である。円錐栓型弁は、具体的には、円錐栓15及びゴム製弁座16を備える。電解液注入ポート6は、したがって、円錐栓15をゴム製弁座16から取り外して、外面2-1と内面2-2との間にポート開口部6-1を形成することを特徴とする開放構成(
図7B)と、円錐栓15がゴム製弁座16と嵌合して、閉じたポート開口部6-1を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成(
図7A)との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面2-1から円錐栓15にかかる注入圧力15-1によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面2-2から円錐栓15にかかるセル缶(内部ガス)圧力15-2よりも大きい。
【0037】
【0038】
図9A~
図9Bは、ゴム栓型弁を備えたキャップ組立体1-5を示しており、これにより、加圧電解液(又は溶媒)をセル缶筐体1に注入し、注入工程が終了するとポート6を自動的に封止し、与圧された電解液(又は溶媒)が漏れるのを防止することができるので有利である。ゴム栓型弁は、具体的には、ゴム栓21、ゴム栓21と接触するバネ・タブ20、及び弁座21-1を備える。電解液注入ポート6は、したがって、ゴム栓21がバネ・タブ20を広げ、ゴム栓21を弁座21-1から取り外して、外面2-1と内面2-2との間にポート開口部6-1を形成することを特徴とする開放構成(
図9B)と、ゴム栓21が弁座21-1と嵌合して、閉じたポート開口部6-1を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成(
図9A)との2種類の構成を有することができる。開放構成は、外面2-1からゴム栓21にかかる注入圧力21-2によって作動することができ、注入圧力は、少なくとも、内面2-2からゴム栓21にかかるセル缶(内部ガス)圧力21-3よりも大きい。注入圧力21-2は、タブのバネの力21-4にも打ち勝たなければならないので、セル缶(内部ガス)圧力21-3よりも大きくなければならない。
【0039】
図12A及び
図12Bは、外周縁2-3に沿って肩部29を備えたキャップ組立体を示している。肩部29は、互いに垂直な2つの面(29-1及び29-2)に沿ってセル缶筐体1に接触するよう適合されている。これらの2つの面により、キャップ組立体1-5とセル缶筐体1との間が、確実に強力に漏れなく連結され、キャップ組立体とセル缶筐体とは、一体に溶接することができる。
【0040】
図13は、金属電気接触面5に係止する焼嵌め又は締まり嵌めリング28を特徴として備える。これは、リング28がゴム製ガスケット3を圧縮させて封止状態を作り出すように組み立てられ、ゴム製ガスケットはセル缶筐体1内からの電解液の漏れを防止し、電気絶縁体として作用する。焼嵌め又は締まり嵌めリング28はやはり、電解液注入ポート6、通気孔24、及び金属電気接触面5などのキャップ組立体の機構と同心円状又はほぼ同心円状にあってもよい。
【0041】
前述のキャップ組立体1-5は、電気化学エネルギー貯蔵デバイスをより効率的に製造するために使用することができる。セル缶筐体1は、正極及び負極並びにセパレータと嵌まり合うことができる。セル缶筐体1は、任意選択で、1種類又は複数の塩及び1種類又は複数の添加剤をさらに備えることができる。次いで、キャップ組立体1-5をセル缶筐体1に封止することができる。加圧された液化ガス溶媒を、電解液注入ポート6を通してセル缶筐体1の内部に注入することができる。別法として、加圧された電解液を塩及び1種類又は複数の添加剤と事前に混合し、電解液注入ポート6を通してセル缶筐体1の内部に注入してもよい。セルは、電解液の注入が完了すると注入ポート6から外され、キャップ組立体1-5は自動的に封止され、ガス漏れを防止する。
【0042】
完成した電気化学エネルギー貯蔵デバイスは、1種類又は複数の塩、添加剤、又は溶媒で構成される液化ガス電解液を特徴として備えることができ、1種類又は複数の溶媒は、温度293.15Kで100kPaの大気圧を超える蒸気圧を有する液化ガス溶媒である。液化ガス溶媒は、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロメタン、クロロエタン、クロロエテン、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロプロポアン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘプタン、オクテン、これらの異性体、飽和ハロゲン化炭化水素、不飽和ハロゲン化炭化水素、及びハロゲン化炭化水素の異性体のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0043】
同様に、動作は特定の順序で図面に示しているが、これは、所望の結果を実現させるために、かかる動作が示された特定の順序で若しくは順番に実行されること、又は示されたすべての動作が実行されることを必要とするものと理解すべきではない。さらに、この特許文書で説明された実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、すべての実施形態でかかる分離を必要とするものと理解すべきではない。少数の実施例及び例しか説明しておらず、この特許文書で説明し、図示した内容に基づいて、この発明の範囲及び精神から逸脱することなく、他の実施例、拡張形態、及び変形形態を作ることができる。
【0044】
この特許文書には多くの詳細が含まれているが、これらは、発明の範囲又は特許請求される可能性のあるものを制限するものと解釈すべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に固有であり得る機構の説明と解釈すべきである。この特許文書において、別々の実施形態の文脈で説明されている特定の機構は、単一の実施形態において組み合わせて実現することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な機構は、別々に又は好適な部分的組合せで、複数の実施形態で実現することもできる。機構は、さらに、特定の組合せで作用するものと上記で説明され、最初はそのように特許請求すらされていることがあるが、特許請求される組合せからの1つ又は複数の機構が、場合によってはその組合せから切り取ることができ、特許請求される組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形形態を対象とするものであってもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極を有するセル缶筐体(1)を封止するように構築されたキャップ組立体(1-5)であって、前記キャップ組立体
(1-5)が、
外面(2-1)、内面(2-2)、及び外周縁(2-3)と、
前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間にポート開口部(6-1)を形成する電解液注入ポート(6)と、
外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、前記内面(2-2)から前記外面(2-1)まで通気孔開口部(24-1)を形成するように構築された通気孔(24)と
、
電気絶縁体(4、3)と
を備え、
前記通気孔(24)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置され
、
前記電気絶縁体(4、3)が、通気孔(24)を電解液注入ポート(6)から電気的に絶縁するように構築されている、キャップ組立体。
【請求項2】
前記外周縁(2-3)が円形である、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項3】
前記通気孔(24)
が前記電解液注入ポート(6)の周囲を囲む、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項4】
前記通気孔(24)が切欠き部又は二重の切欠き部を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項5】
前記外面(2-1)から前記電極のうちの一方への電気伝送を可能にするように構築された電気接触面(5)
を備え、
前記電気接触面(5)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置されている、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項6】
前記電気接触面(5)
が前記電解液注入ポート(6)の周囲を囲む、請求項5に記載のキャップ組立体。
【請求項7】
前記通気孔(24)が、前記電気接触面(5)よりも前記外周縁(2-3)の近く
に配置されている、請求項5に記載のキャップ組立体。
【請求項8】
電気絶縁体(4、3)は、前記電気接触面(5)を前記外周縁(2-3)から電気的に絶縁するように構築され
ている、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項9】
前記電気絶縁体(4)がゴム製ガスケット(3)を備える、請求項8に記載のキャップ組立体。
【請求項10】
前記セル缶筐体(1)を前記外周縁(2-3)に連結するよう適合された溶接接合部(23)をさらに備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項11】
前記外周縁
(2-3)が、互いに垂直な2つの面(29-1、29-2)に沿って前記セル缶筐体(1)に接触するよう適合された肩部(29)を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項12】
前記注入ポート(6)が、止めネジ(18)、拡張栓(22)、金属栓(25)、又は溶接栓(14)によって封止される、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項13】
前記電解液注入ポート(6)が、前記外面(2-1)から離れる方向に延出する金属管(10)を備える、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項14】
前記外周縁(2-3)を備えるキャップ蓋(2)と、
ゴム製ガスケット(3)と、
リング(28)と
をさらに備え、
前記リング(28)が、前記キャップ蓋(2)に押し付けて前記ゴム製ガスケット(3)を圧縮し、
前記リング
(28)が、焼嵌めリング又は圧着リングである、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項15】
前記電解液注入ポート(6)が弁を備え、前記弁が、(a)前記外面(2-1)から前記弁に圧力がかかると、前記ポート開口部(6-1)を形成し、(b)前記外面
(2-1)からの前記圧力が取り除かれると、前記ポート開口部(6-1)を閉じて気密封止状態を形成するように構築される、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項16】
前記電解液注入ポートが、
前記外面(2-1)から離れる方向に延出する部分(7-1)を備えるポペット(7)、前記ポペット(7)に連結された圧縮バネ(9)、及び弁座(7-3)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ポペットが前記バネ(9)を圧縮して、前記ポペット
(7)を前記弁座(7-3)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記開放構成に対して前記バネ(9)を圧縮解除し、前記ポペット(7)を前記弁座(7-3)と嵌合させ、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、前記ポペットの前記部分(7-1)にかかる力(7-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項17】
前記ポペット(7)が、前記ポペット(7)の動きを制限するように構築された楔形ストッパ(8)を備える、請求項16に記載のキャップ組立体。
【請求項18】
前記電解液注入ポート
(6)が、
ボール(11)、前記ボール(11)に連結された圧縮バネ(12)、及び弁座(11-1)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ボール(11)が前記圧縮バネ(12)を圧縮して、前記ボールを前記弁座(11-1)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記開放構成に対して前記圧縮バネ(12)を圧縮解除し、前記ボール(11)を前記弁座(11-
1)と嵌合させ、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記ボール(11)にかかるセル缶圧力(11-3)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記ボール(11)にかかる注入圧力(11-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項19】
前記ボール(11)の動きを制限するように構築された保持器(13)をさらに備える、請求項18に記載のキャップ組立体。
【請求項20】
前記電解液注入ポート
(6)が、
円錐栓(15)及びゴム製弁座(16)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記円錐栓(15)を前記ゴム製弁座(16)から取り外し、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記円錐栓(15)が前記ゴム製弁座(16)と嵌合して、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記円錐栓(16)にかかるセル缶圧力(15-2)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記円錐栓(16)にかかる注入圧力(15-1)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項21】
前記電解液注入ポート
(6)が、
ゴム栓(21)、前記ゴム栓(21)と接触するバネ・タブ(20)、及び弁座(21-1)
を備え、前記電解液注入ポート(6)が、
前記ゴム栓(21)が前記バネ・タブ(20)を広げ、前記ゴム栓を前記弁座(21-1)から取り外して、前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間に前記ポート開口部(6-1)を形成することを特徴とする開放構成と、
前記ゴム栓(21)が前記弁座(21-1)と嵌合して、閉じた前記ポート開口部(6-1)を封止する気密封止状態を形成することを特徴とする封止構成と
の2種類の構成を有し、
前記開放構成が、少なくとも前記内面(2-2)から前記ゴム栓(21)にかかるセル缶圧力(21-3)よりも大きい、前記外面(2-1)から前記ゴム栓(21)にかかる注入圧力(21-2)によって作動する、請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項22】
キャップ組立体(1-5)であって、
外面(2-10)、内面(2-2)、及び外周縁(2-3)と、
前記外面(2-1)と前記内面(2-2)との間にポート開口部(6-1)を形成する電解液注入ポート(6)と、
外面圧力と内面圧力との間で通気圧力差が達成されると、前記内面(2-2)から前記外面(2-1)まで通気孔開口部(24-1)を形成するように構築された通気孔(24)と
、
電気絶縁体(4、3)と
を備え、
前記通気孔(24)が、(a)前記電解液注入ポート(6)と同心円状に、及び(b)前記電解液注入ポート(6)の位置よりも前記外周縁(2-3)の近くに配置され
、
前記電気絶縁体(4、3)が、通気孔(24)を電解液注入ポート(6)から電気的に絶縁するように構築されている、
キャップ組立体(1-5)と、
圧力がかかった電解液を備えるセル缶筐体(1)と
を備え、
前記キャップ組立体(1-5)と前記セル缶筐体
(1)とが、通常の動作条件の間、前記電解液が漏れるのを防止する気密封止状態を形成する、電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項23】
前記電解液が、塩及び溶媒
を備え、前記溶媒が、温度293.15Kで100kPaの大気圧を超える蒸気圧を有する液化ガスである、請求項22に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項24】
前記溶媒が、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロメタン、クロロエタン、クロロエテン、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロプロポアン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘプタン、オクテン、これらの異性体、飽和ハロゲン化炭化水素、不飽和ハロゲン化炭化水素、及びハロゲン化炭化水素の異性体からなる群から選択される、請求項23に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項25】
前記
電気化学エネルギー貯蔵デバイスが電池又はコンデンサである、請求項24に記載の電気化学エネルギー貯蔵デバイス。
【国際調査報告】