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特表2025-504121ランタニド含有前駆体の調製及びランタニド含有膜の堆積
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  • 特表-ランタニド含有前駆体の調製及びランタニド含有膜の堆積 図1
  • 特表-ランタニド含有前駆体の調製及びランタニド含有膜の堆積 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ランタニド含有前駆体の調製及びランタニド含有膜の堆積
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/00 20060101AFI20250130BHJP
   C07C 49/12 20060101ALI20250130BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
C07F5/00 D
C07C49/12 CSP
H01L21/316 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546132
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2023012497
(87)【国際公開番号】W WO2023154270
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】17/666,686
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】キム,ダエヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジュンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ウォンテ
(72)【発明者】
【氏名】パレム,ヴェンカテスワラ,アール.
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
5F058
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB82
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB78
5F058BA11
5F058BC03
5F058BF27
5F058BF37
(57)【要約】
【解決手段】 開示されるランタニド前駆体化合物は、置換基としての少なくとも1つの脂肪族基と少なくとも1つの二座リガンドとを有するシクロペンタジエニルリガンドを含む。これらの前駆体は、ランタニド含有膜を堆積させるのに好適である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(a)~(c)
a) Ln(RCp)m(O-CR=CH-CR=O)n
b) Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=O)n
c) Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=NR)n
(式中、Ln=La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、又はLuから選択されるランタニド系元素であり;R、R及びRは、それぞれ独立して、H又はC~Cアルキル(直鎖又は分枝鎖)であり;m=1又は2であり:n=1又は2である)のいずれか1つを有する化学物質。
【請求項2】
前記化学物質が、La(イソプロピル-Cp)(thd)、Er(メチル-Cp)(NEtO-DK)、又はEr(メチル-Cp)(NnPrO-DK)から選択される、請求項1に記載の化学物質。
【請求項3】
請求項1に記載の化学物質を含む、半導体を製造するための化学蒸着及び/又は原子層堆積に使用するのに好適な組成物。
【請求項4】
前記化学物質が、前記組成物の99重量%以上、好ましくは99.9重量%、より好ましくは99.99重量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の気相の化学物質を、化学蒸着プロセス又は原子層堆積プロセスに提供する工程を含む、ランタニド含有膜を堆積させる方法。
【請求項6】
前記化学蒸着プロセス又は前記原子層堆積プロセスは、基板上にランタニド含有膜を生成するものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が半導体基板である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、半導体を製造するための材料を気相堆積するための化学物質に関する。
【0002】
本発明は、半導体を製造するためのランタニド材料を堆積するのに少なくとも工業的に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
半導体産業界が直面する重大な課題の1つは、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及びコンデンサ用の新たなゲート誘電体材料を開発することである。数十年間、二酸化ケイ素(SiO)が、信頼性の高い誘電体であったが、トランジスタが、小さくなり続けており、技術が「フルSi」トランジスタから「金属ゲート/高誘電率」トランジスタへと移行したため、SiO系ゲート誘電体の信頼性は、その物理的限界に達している。現在の技術のサイズが小さくなっているため、新たな高誘電率材料及びプロセスに対する必要性は、高まっており、ますます重要になっている。特にランタニド含有材料(原子番号57~17のランタニド系原子であるが、主にランタンを有する)をベースとした新世代の酸化物は、従来の誘電体材料と比較して、静電容量に著しい優位性を与えると考えられている。
【0004】
それにもかかわらず、ランタニド含有層の堆積は難しく、新たな材料及びプロセスがますます必要とされている。例えば、原子層堆積(ALD)は、マイクロエレクトロニクスの製造にとって重要な薄膜成長技術として確認されており、不活性ガスパージを間に挟んでその代わりに適用される前駆体の一連の飽和表面反応に依存している。ALDの表面制御された性質は、正確な厚さ制御により高い共形性(conformality)及び均一性を有する薄膜の成長を可能にする。ランタニド材料のための新たなALDプロセスを開発する必要性は明らかである。
【0005】
残念ながら、堆積プロセスへの化合物の良好な組み込みは難しいことが分かっている。β-ジケトネート、ビス(トリメチルシリル)アミド及びシクロペンタジエニルという3種類の分子が、典型的に、提案される。最初の2つの系統の化合物は安定しているが、融点が90℃を超え得るため、非実用的である。例えば、ランタン2,2-6,6-テトラメチルヘプタンジオネート[La(thd)]の融点は、230℃もの高さであり、ランタントリス(ビス(トリメチルシリル)アミド)[La(tmsa)]の融点は150℃である。さらに、それらの前駆体の送達効率は、制御するのが非常に難しい。非置換シクロペンタジエニル化合物も、高い融点と低い揮発性を示す。分子設計は、揮発性を向上させることと、融点を低下させることの両方に役立ち得る。しかしながら、プロセス条件において、これらの種類の材料は、使用が限られることが分かっている。例えば、La(iPrCp)は、225℃超でALDレジームを許容しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、現在利用可能なランタニド含有前駆体の大部分は、堆積プロセスに使用されるときに多くの欠点を示す。したがって、ランタニド含有膜を堆積するための代替的な前駆体に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の本質及び目的をさらに理解するために、同一の要素は同一又は類似の参照番号が付与される添付図面と併せて、以下の発明を実施するための形態を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、温度が上昇するときの重量の百分率を示すTGAグラフである。
図2図2は、生成物の融解(77℃)及び分解(410℃)の開始温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される前駆体化合物は、置換基としての少なくとも1つの脂肪族基と二座リガンドとを有するシクロペンタジエニルリガンドを含む。前駆体は、これら3つの一般式のうちの1つを有する:
1.Ln(RCp)m(O-CR=CH-CR=O)n
2.Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=O)n
3.Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=NR)n
【0010】
上記式1~3において、Ln=ランタニド系元素、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。R、R及びRは、それぞれ独立して、H又はC~Cアルキル(直鎖又は分枝鎖)である。m=1又は2であり、n=1又は2である。
【0011】
上記式1~3の開示される前駆体化合物は、トリス-置換シクロペンタジエニルランタニド化合物であるLn(RCp)及びトリス-置換β-ジケトネート化合物であるLn(O-CR=CH-CR=O)(又はLn(R’N-CR=CH-CR=O)、Ln(R’N-CR=CH-CR=NR’))を含むそれらの対応するホモレプチック化合物と比較した場合、独自の物理的及び化学的特性を提供する。このような特性は、金属中心の周りの立体的な混み合いのより良好な制御を含み、これにより、基板上の表面反応及び第2の反応剤(酸素源など)との反応を制御する。それとは独立して、リガンド上の置換基を微調整すると揮発性及び熱安定性が向上し、融点が低下して液体又は低融点固体のいずれかが生じる(約105℃未満、好ましくは約80℃未満の融点を有する)。
【0012】
特定の例示的な分子及び比較分子の特性を表1に要約する。
【0013】
【表1】
【実施例
【0014】
実施例1-ランタンイソプロピルシクロペンタジエニルテトラメチルヘプタンジオネート=La(iPrCp)(thd)
トルエン30mL中の2,2,6,6,-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン(2g、10.8mmol)の溶液を、トルエン15mL中のLa(iPrCp)(5g、10.8mmol)の溶液に-78℃で滴加した。反応混合物を一晩撹拌しながら室温までゆっくりと温めた。ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、茶色の固形物を得た。この茶色の固形物を35mTorr下で約180℃で昇華させると、収率約44%(2.54g)の黄色の固形物が生じた。
【0015】
200mL/分の窒素流の大気圧にて10℃/分の昇温速度で測定するオープンカップTGA分析中、精製生成物に5.4%の残留質量が残った。これらの結果を、温度が上昇するときの重量の百分率を示すTGAグラフである図1に示す。生成物の融解(77℃)及び分解(410℃)の開始温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定し、これを図2に示す。
【0016】
略語及び専門用語
それらの特定の実施形態と共に本発明を説明してきたが、前述の説明を考慮すれば、多くの代替、変更及び変形が当業者にとって明らかとなることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広範な範囲に含まれるこのような全ての代替、変更及び変形を包含することが意図される。本発明は、好適には、開示される要素を含むか、それからなるか、又はそれから実質的になっていてもよく、開示されていない要素の非存在下で実施してもよい。さらに、第1及び第2などの順序について言及する文言がある場合、この文言は例示的な意味であり、限定的な意味で理解するべきでない。例えば、この文言は、特定の工程を単一の工程と組み合わせることができることが当業者によって認識され得る。
【0017】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0018】
特許請求の範囲における「含む(comprising)」は、オープンな移行語であり、その後に特定される特許請求の範囲の要素が非排他的なリストであることを意味する(すなわち、他のものが追加的に包含されてもよく、「含む(comprising)」の範囲内のままであってもよい)。本明細書で使用される「含む(comprising)」は、本明細書において別段の指示がない限り、より限定的な移行語である「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」と置き換えてもよい。
【0019】
特許請求の範囲における「提供する(providing)」とは、なにかを備える、供給する、利用可能にする、又は調製することを意味するものとして定義される。特許請求の範囲に反対の文言が表現されていない場合、工程は任意の行為者によって実施され得る。
【0020】
任意選択的な(optional)又は任意選択的に(optionally)とは、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。本明細書には、事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とが含まれる。
【0021】
範囲は、おおよそのある特定の値から、及び/又はおおよその別の特定の値までとして本明細書で表現され得る。このような範囲が表現されている場合、別の実施形態は、当該範囲内の全ての組合せと共に、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までであることが理解されよう。
【0022】
本明細書で特定される全ての参考文献は、それぞれが引用される特定の情報と同様に、その全体が本出願に参考としてそれぞれ本明細書に組み込まれる。
【0023】
本発明の本質を説明するために本明細書に記載される詳細、材料、工程及び部品の配置における多くの追加の変更は、添付の特許請求の範囲で表現されるような本発明の原理及び範囲内において当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、上記に示す実施例の特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、半導体を製造するための材料を気相堆積するための化学物質に関する。
【0002】
本発明は、半導体を製造するためのランタニド材料を堆積するのに少なくとも工業的に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
半導体産業界が直面する重大な課題の1つは、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及びコンデンサ用の新たなゲート誘電体材料を開発することである。数十年間、二酸化ケイ素(SiO)が、信頼性の高い誘電体であったが、トランジスタが、小さくなり続けており、技術が「フルSi」トランジスタから「金属ゲート/高誘電率」トランジスタへと移行したため、SiO系ゲート誘電体の信頼性は、その物理的限界に達している。現在の技術のサイズが小さくなっているため、新たな高誘電率材料及びプロセスに対する必要性は、高まっており、ますます重要になっている。特にランタニド含有材料(原子番号57~17のランタニド系原子であるが、主にランタンを有する)をベースとした新世代の酸化物は、従来の誘電体材料と比較して、静電容量に著しい優位性を与えると考えられている。
【0004】
それにもかかわらず、ランタニド含有層の堆積は難しく、新たな材料及びプロセスがますます必要とされている。例えば、原子層堆積(ALD)は、マイクロエレクトロニクスの製造にとって重要な薄膜成長技術として確認されており、不活性ガスパージを間に挟んで交互に適用される前駆体の一連の飽和表面反応に依存している。ALDの表面制御された性質は、正確な厚さ制御により高い共形性(conformality)及び均一性を有する薄膜の成長を可能にする。ランタニド材料のための新たなALDプロセスを開発する必要性は明らかである。
【0005】
残念ながら、堆積プロセスへの化合物の良好な組み込みは難しいことが分かっている。β-ジケトネート、ビス(トリメチルシリル)アミド及びシクロペンタジエニルという3種類の分子が、典型的に、提案される。最初の2つの系統の化合物は安定しているが、融点が90℃を超え得るため、非実用的である。例えば、ランタン2,2-6,6-テトラメチルヘプタンジオネート[La(thd)]の融点は、230℃もの高さであり、ランタントリス(ビス(トリメチルシリル)アミド)[La(tmsa)]の融点は150℃である。さらに、それらの前駆体の送達効率は、制御するのが非常に難しい。非置換シクロペンタジエニル化合物も、高い融点と低い揮発性を示す。分子設計は、揮発性を向上させることと、融点を低下させることの両方に役立ち得る。しかしながら、プロセス条件において、これらの種類の材料は、使用が限られることが分かっている。例えば、La(iPrCp)は、225℃超でALDレジームを許容しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、現在利用可能なランタニド含有前駆体の大部分は、堆積プロセスに使用されるときに多くの欠点を示す。したがって、ランタニド含有膜を堆積するための代替的な前駆体に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の本質及び目的をさらに理解するために、同一の要素は同一又は類似の参照番号が付与される添付図面と併せて、以下の発明を実施するための形態を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、温度が上昇するときの重量の百分率を示すTGAグラフである。
図2図2は、生成物の融解(77℃)及び分解(410℃)の開始温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される前駆体化合物は、置換基としての少なくとも1つの脂肪族基と二座リガンドとを有するシクロペンタジエニルリガンドを含む。前駆体は、これら3つの一般式のうちの1つを有する:
1.Ln(RCp)m(O-CR=CH-CR=O)n
2.Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=O)n
3.Ln(RCp)m(RN-CR=CH-CR=NR)n
【0010】
上記式1~3において、Ln=ランタニド系元素、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。R、R及びRは、それぞれ独立して、H又はC~Cアルキル(直鎖又は分枝鎖)である。m=1又は2であり、n=1又は2である。
【0011】
上記式1~3の開示される前駆体化合物は、トリス-置換シクロペンタジエニルランタニド化合物であるLn(RCp)及びトリス-置換β-ジケトネート化合物であるLn(O-CR=CH-CR=O)(又はLn(R’N-CR=CH-CR=O)、Ln(R’N-CR=CH-CR=NR’))を含むそれらの対応するホモレプチック化合物と比較した場合、独自の物理的及び化学的特性を提供する。このような特性は、金属中心の周りの立体的な混み合いのより良好な制御を含み、これにより、基板上の表面反応及び第2の反応剤(酸素源など)との反応を制御する。それとは独立して、リガンド上の置換基を微調整すると揮発性及び熱安定性が向上し、融点が低下して液体又は低融点固体のいずれかが生じる(約105℃未満、好ましくは約80℃未満の融点を有する)。
【0012】
特定の例示的な分子及び比較分子の特性を表1に要約する。
【0013】
【表1】
【実施例
【0014】
実施例1-ランタンイソプロピルシクロペンタジエニルテトラメチルヘプタンジオネート=La(iPrCp)(thd)
トルエン30mL中の2,2,6,6,-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン(2g、10.8mmol)の溶液を、トルエン15mL中のLa(iPrCp)(5g、10.8mmol)の溶液に-78℃で滴加した。反応混合物を一晩撹拌しながら室温までゆっくりと温めた。ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、茶色の固形物を得た。この茶色の固形物を35mTorr下で約180℃で昇華させると、収率約44%(2.54g)の黄色の固形物が生じた。
【0015】
200mL/分の窒素流の大気圧にて10℃/分の昇温速度で測定するオープンカップTGA分析中、精製生成物に5.4%の残留質量が残った。これらの結果を、温度が上昇するときの重量の百分率を示すTGAグラフである図1に示す。生成物の融解(77℃)及び分解(410℃)の開始温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定し、これを図2に示す。
【0016】
略語及び専門用語
それらの特定の実施形態と共に本発明を説明してきたが、前述の説明を考慮すれば、多くの代替、変更及び変形が当業者にとって明らかとなることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広範な範囲に含まれるこのような全ての代替、変更及び変形を包含することが意図される。本発明は、好適には、開示される要素を含むか、それからなるか、又はそれから実質的になっていてもよく、開示されていない要素の非存在下で実施してもよい。さらに、第1及び第2などの順序について言及する文言がある場合、この文言は例示的な意味であり、限定的な意味で理解するべきでない。例えば、この文言は、特定の工程を単一の工程と組み合わせることができることが当業者によって認識され得る。
【0017】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0018】
特許請求の範囲における「含む(comprising)」は、オープンな移行語であり、その後に特定される特許請求の範囲の要素が非排他的なリストであることを意味する(すなわち、他のものが追加的に包含されてもよく、「含む(comprising)」の範囲内のままであってもよい)。本明細書で使用される「含む(comprising)」は、本明細書において別段の指示がない限り、より限定的な移行語である「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」と置き換えてもよい。
【0019】
特許請求の範囲における「提供する(providing)」とは、なにかを備える、供給する、利用可能にする、又は調製することを意味するものとして定義される。特許請求の範囲に反対の文言が表現されていない場合、工程は任意の行為者によって実施され得る。
【0020】
任意選択的な(optional)又は任意選択的に(optionally)とは、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。本明細書には、事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とが含まれる。
【0021】
範囲は、おおよそのある特定の値から、及び/又はおおよその別の特定の値までとして本明細書で表現され得る。このような範囲が表現されている場合、別の実施形態は、当該範囲内の全ての組合せと共に、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までであることが理解されよう。
【0022】
本明細書で特定される全ての参考文献は、それぞれが引用される特定の情報と同様に、その全体が本出願に参考としてそれぞれ本明細書に組み込まれる。
【0023】
本発明の本質を説明するために本明細書に記載される詳細、材料、工程及び部品の配置における多くの追加の変更は、添付の特許請求の範囲で表現されるような本発明の原理及び範囲内において当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、上記に示す実施例の特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】