IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マウイ イマギング,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2025-504122複数開口超音波イメージングシステム及び方法
<>
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図1
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図2
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図3
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図4
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図5
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図6
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図7
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図8
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図9
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図10
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図11
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図12
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図13
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図14
  • 特表-複数開口超音波イメージングシステム及び方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】複数開口超音波イメージングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546133
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 US2023062069
(87)【国際公開番号】W WO2023150762
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/306,936
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511032992
【氏名又は名称】マウイ イマギング,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】サテエシュ バジカル
(72)【発明者】
【氏名】エリアス エム. アトマ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース アール. リトジ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェイ. スペクト
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB27
4C601EE01
4C601EE02
4C601EE04
4C601EE05
4C601GB12
4C601GB41
4C601HH02
4C601HH21
4C601JB34
4C601JC20
(57)【要約】
超音波イメージングのシステム及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、非集束かつ発散する超音波信号が、凹型プローブ表面の後方に位置する見かけ上の点源からターゲット媒体内に送信され得る。エコーを受信し、ターゲット媒体内の反射体の位置を決定することができる。該位置は、見かけ上の点源rの球心点の位置と受信素子の位置とを記述する素子位置データを取得し、球心点と反射体との間の第1の距離と、反射体と受信素子との間の第2の距離との和として総経路距離を計算し、反射体が存在する可能性のある点の軌跡を決定することによって決定され得る。これにより、ターゲット媒体全体のデータセットを生成することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エネルギーを用いて対象物を画像化する方法であって:
非集束かつ発散する超音波信号を凹型プローブ表面の後方に位置する見かけ上の点源からターゲット媒体内に送信するステップ;
該見かけ上の点源とは異なる無指向性受信素子によって、該ターゲット媒体内の反射体からのエコーを受信するステップ;
該見かけ上の点源rの球心点の位置と該受信素子の位置とを記述する素子位置データを取得し、該球心点と該反射体との間の第1の距離と、該反射体と該受信素子との間の第2の距離との和として総経路距離を計算し、該反射体が存在する可能性のある点の軌跡を決定することによって、該ターゲット媒体内の該反射体の位置を決定するステップ;及び
該ターゲット媒体全体のデータセットを生成するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記プローブの前記受信素子は、凹カーブの形状をした圧電材料のシェルで構成され、前記受信素子の位置が、前記湾曲したシェル上の位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹型プローブの形状が、対称又は非対称のいずれかであり得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プローブが、凹形状の圧電材料、cMTU材料、又はpMUT材料で作られている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブの素子又はアレイが、物理的に取り付けられていない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記プローブの素子が、まばらに、かつ非線形パターンで配置されている、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記素子のアレイ又は複数のアレイが、2つ以上の軸を中心とする3次元形状である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記要素のアレイが、2つ以上の軸を中心に移動する又は関節接合することができる可撓性材料に含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
複数の受信素子によって前記受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の受信素子が、共通の受信開口のデータを結合するために使用され得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の受信開口の前記素子によって前記受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記非集束かつ発散する超音波信号を送信するために、10個未満のトランスデューサが同時に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
超音波エネルギーを用いて対象物を画像化する方法であって:
集束かつ収束する超音波信号を凹型プローブ表面の前方に位置する見かけ上の点源に向けてターゲット媒体内に送信するステップ;
該見かけ上の点源とは異なる無指向性受信素子によって、該ターゲット媒体内の反射体からのエコーを受信するステップ;
該見かけ上の点源の球心点の位置と該受信素子の位置とを記述する素子位置データを取得し、該球心点と該反射体との間の第1の距離と、該反射体と該受信素子との間の第2の距離との和として総経路距離を計算し、該反射体が存在する可能性のある点の軌跡を決定することによって、該ターゲット媒体内の該反射体の位置を決定するステップ;及び
該媒体全体のデータセットを生成するステップ
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記プローブの前記受信素子は、凹カーブの形状をした圧電材料のシェルで構成され、前記受信素子の位置が、前記湾曲したシェル上の位置である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記凹型プローブの形状が、対称又は非対称のいずれかであり得る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プローブが、凹形状の圧電材料、cMTU材料、又はpMUT材料で作られている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブの素子又はアレイが、物理的に取り付けられていない、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブの素子が、まばらに、かつ非線形パターンで配置されている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記素子のアレイ又は複数のアレイが、2つ以上の軸を中心とする3次元形状である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記要素のアレイが、2つ以上の軸を中心に移動する又は関節接合することができる可撓性材料に含まれる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
複数の受信素子によって前記受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
複数の受信素子が、共通の受信開口のデータを結合するために使用され得ることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
複数の受信開口の前記素子によって前記受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本特許出願は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、2022年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/306,936号(名称:「複数開口超音波イメージングシステム及び方法(MULTIPLE APERTURE ULTRASOUND IMAGING SYSTEMS AND METHODS)」)の優先権を主張するものである。本出願は、以下の米国特許US9,146,313、US9,883,848、US10,226,234、US10,064,605、US9,668,714に関連している。
【0002】
(引用による組み込み)
本明細書に特段の記載がない限り、本明細書で言及される全ての特許、出版物、及び特許出願は、それぞれの出版物及び特許出願が引用により特定されかつ個別に本明細書中に組み込まれると示されたかのように、引用により本明細書中に組み込まれるものとする。
【0003】
(分野)
本発明は、一般に超音波イメージングに関し、より詳細には、PMA(Ping Based Multiple Aperture Imaging)又はCET(Computed Echo Tomography)とともに使用するための対称及び非対称合成開口波形を使用するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
従来の超音波イメージングでは、超音波エネルギーの集束ビームを検査するべき体組織へと送信し、戻されたエコーを検出し、プロットして画像を形成する。超音波は診断目的で広く使用されているが、従来の超音波法は、スキャニング深度、スペックルノイズ、低い横方向分解能、不明瞭な組織、及びその他のこれら問題によって大きな限界があった。
【0005】
体組織へ高周波の音波を当てるためには、超音波ビームを、通常はフェーズドアレイ又は成形トランスデューサ(shaped transducer)のいずれかによって形成して集束する。フェーズドアレイ超音波法は、医学的超音波検査で画像を形成するために狭い超音波ビームを誘導して集束させる、一般的に使用されている方法である。フェーズドアレイプローブは、多数の小型超音波トランスデューサ素子を備え、それぞれの該素子は個別にパルスを発することができる。超音波パルスのタイミングを変化させることにより(例えば、素子を列に沿って1つずつ順にパルス出力することによって)、建設的(強め合い)干渉パターンが設定され、選択された角度でビームが指向される。これは、ビーム誘導として知られている。このように誘導した超音波ビームは次に、検査されるべき組織又は対象物に掃引され得る。次いで、複数のビームからのデータを組み合せて、対象物のスライス断面を示す視覚画像が形成される。
【0006】
従来から、超音波ビームを送信するために使用されるものと同じトランスデューサ又はアレイが、戻ってくるエコーを検出するために使用されている。この設計構成は、横方向分解能が低く、医療用途での超音波イメージングの使用において中心に存在する最も大きな制限の1つである。横方向分解能は、理論的には超音波プローブの開口幅を広げることによって改善できるが、開口部のサイズ拡大に伴う実施上の問題から、開口部は小さく抑えられてきた。疑う余地のないことであるが、超音波イメージングは、たとえこの制限があっても非常に有用である。しかしながら分解能が向上すれば更に有効となるであろう。
【0007】
合成開口イメージングは、超音波イメージングにおいて長い間利用されてきた。アレイのセグメントを利用して複数の別々の空間的な位置及び方向から画像化することの利点には、「より広い」面積及び角度の視野を可能にすることで、アクセスが困難な領域への超音波照射及びその領域からの受信を容易にすることや、画像解像度の質を向上させることが含まれる。アレイの異なるセグメントからの超音波反射データは、その後、別々に、又は一緒に、あるいはそれらの組み合わせでビームフォーミングすることにより、単一の超音波画像につなぎ合わせることができる。
【0008】
同様に、画像化される媒体への送信は、その後異なる時間に受信される。データ収集までの待ち時間が長いほど、視野は深くなる。したがって、アレイからの1回以上の送信は、メモリ内で結合され、時間的に分離されたデータセグメントからのビームフォーミングされた画像をつなぎ合わせることによって合成画像又はビューを表示するために使用することができるいくつかのデータ収集につながる可能性がある。通常、トランスデューサ(プローブと呼ばれることもある)は、平面内に配置され、かつ平面内に向けられた送信/受信/送受信素子のアレイを含んでいる。これは通常1次元(1D)アレイと呼ばれ、画像化される媒体内の平面を見るために使用される。素子アレイは直線状の「リニア」(linear)であってもよく、業界では「曲線」(curvilinear)又は凸曲線と呼ばれる対称的な凸形状に配列されてもよい。トランスデューサは、圧電素子が高さ方向と幅方向の両方で互いに隣接して配置された正方形又は長方形のアレイを含んでもよく、これは、素子が素子を含む平面又は表面に対して法線方向に向いたマトリックスとも呼ばれる。例えば、マトリックスアレイは、高さ方向16素子×幅方向16素子の256素子を含むことができる。圧電型微細加工超音波トランスデューサ(pMUT: Piezoelectric Micro-Machined Ultrasound Transducers)又は静電容量型微細加工超音波トランスデューサ(cMUT: Capacitive Micro-Machined Ultrasound Transducers)の集合体を構築するために、トランスデューサ素子マトリックスは、しばしば圧電材料のサブストレートから「カット」される、又はMEMS製造プロセスで形成される。
【0009】
超音波イメージング分野での著しい改善が複数開口イメージングの創作によりなされ、その例は本出願人の先行特許及び特許出願に示され説明されている。複数開口イメージングの方法及びシステムは、別個の開口部を介して超音波信号を送信及び受信の両方を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
本発明の新規な特徴を、添付の特許請求の範囲で特に説明する。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が利用されている例示的な実施態様を説明する下記の詳細な説明、及び下記に説明される添付の図面を参照すればより良く理解できるであろう。
【0011】
図1図1は、3つのトランスデューサアレイを備えた複数開口イメージングプローブと、幾つかの画像化されるべき点の概略図である。
【0012】
図2図2は、トランスデューサアレイの後方に配置された仮想源による発散ビーム送信を示している。
【0013】
図3図3は、トランスデューサアレイの送信素子に特別に設計された波形を印加することにより、従来のリニア又はマトリックスアレイによって生成された収束又は集束する超音波を示す。
【0014】
図4図4は、本開示の1つの実施形態に係るデータ「キューブ」の概略図である。
【0015】
図5図5は、トランスデューサアレイ上の素子から発せられる標準的な非集束パルスを示す。
【0016】
図6図6は、所望の半円形の発散波パターン又は収束波パターンを形成するのに必要な時間遅延に基づく波形/パルスを使用して発射される素子を有する、アレイの後方の仮想点源を代替的又は追加的に使用することができることを示している。
【0017】
図7図7は、アレイ間に物理的な間隔があり、プローブの凹みによって「ビュー」角度が異なっていても、画像化される媒体の特定のターゲット領域にわたって均一な非集束送信波形を生成することができる方法を示している。
【0018】
図8図8は、特定の点をターゲットとする収束波形を生成するために使用されるトランスデューサ素子を有する3つの別個のアレイを含むことができるシステムを示している。
【0019】
図9図9は、マルチセグメント凹型プローブの2つのセグメントにまたがる複数の素子を使用した収束波送信を示している。
【0020】
図10図10は、送信アレイ素子の適切な選択を使用して、関心領域内の複数の小区域を十分に均一な発散波で満たすことができる複数の送信を生成するように構成された送信素子を含む、滑らかに湾曲した凹型トランスデューサアレイの実施形態を示している。
【0021】
図11図11は、滑らかな凹型トランスデューサアレイ内の複数の素子を用いた収束波送信を示す。
【0022】
図12図12は、複数のトランスデューサを使用して、2Dトランスデューサアレイモジュールを備えた3D湾曲プローブ内のアレイから発散波送信を行う実施形態を示す。
【0023】
図13図13は、トランスデューサアレイがスパーストランスデューサアレイからなることを除いて、図12と同様の実施形態を示す。
【0024】
図14図14は、それが、2Dトランスデューサアレイ(又は2Dスパーストランスデューサアレイ)を備えた、規則的な3D湾曲プローブ内の複数の素子を使用する収束波又は集束波送信を示すことを除いて、図12の実施形態と同様である。
図15図15は、それが、2Dトランスデューサアレイ(又は2Dスパーストランスデューサアレイ)を備えた、規則的な3D湾曲プローブ内の複数の素子を使用する収束波又は集束波送信を示すことを除いて、図13の実施形態と同様である。
【発明の概要】
【0025】
(開示の概要)
超音波エネルギーを用いて対象物を画像化する方法であって、該方法が、非集束かつ発散する超音波信号を凹型プローブ表面の後方に位置する見かけ上の点源からターゲット媒体内に送信するステップ;見かけ上の点源とは異なる無指向性受信素子によってターゲット媒体内の反射体からのエコーを受信するステップ;見かけ上の点源rの球心点の位置と受信素子の位置とを記述する素子位置データを取得し、球心点と反射体との間の第1の距離と、反射体と受信素子との間の第2の距離との和として総経路距離を計算し、反射体が存在する可能性のある点の軌跡を決定することによって、ターゲット媒体内の反射体の位置を決定するステップ;及びターゲット媒体全体のデータセットを生成するステップを含む。
【0026】
いくつかの態様では、プローブの受信素子は、凹カーブの形状をした圧電材料のシェルで構成され、受信素子の位置が、湾曲したシェル上の位置である。
【0027】
1つの態様では、凹型プローブの形状が、対称又は非対称のいずれかであり得る。
【0028】
1つの態様では、プローブが、凹形状の圧電材料、cMTU材料、又はpMUT材料で作られている。
【0029】
1つの態様では、プローブの素子又はアレイが物理的に取り付けられていない。
【0030】
1つの態様では、プローブの素子が、まばらに、かつ非線形パターンで配置されている。
【0031】
1つの態様では、素子のアレイ又は複数のアレイが、2つ以上の軸を中心とする3次元形状である。
【0032】
1つの態様では、要素のアレイが、2つ以上の軸を中心に移動する又は関節接合することができる可撓性材料に含まれる。
【0033】
1つの態様では、該方法が、複数の受信素子によって受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む。
【0034】
1つの態様では、該方法が、複数の受信素子が、共通の受信開口のデータを結合するために使用され得ることをさらに含む。
【0035】
1つの態様では、該方法が、複数の受信開口の素子によって受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む。
【0036】
1つの態様では、非集束かつ発散する超音波信号を送信するために、10個未満のトランスデューサが同時に使用される。
【0037】
超音波エネルギーを用いて対象物を画像化する方法であって、該方法が、集束かつ収束する超音波信号を凹型プローブ表面の前方に位置する見かけ上の点源に向けてターゲット媒体内に送信するステップ;見かけ上の点源とは異なる無指向性受信素子によって該ターゲット媒体内の反射体からのエコーを受信するステップ;見かけ上の点源の球心点の位置と受信素子の位置とを記述する素子位置データを取得し、球心点と反射体との間の第1の距離と、反射体と受信素子との間の第2の距離との和として総経路距離を計算し、反射体が存在する可能性のある点の軌跡を決定することによって、ターゲット媒体内の反射体の位置を決定するステップ;及び媒体全体のデータセットを生成するステップを含む。
【0038】
1つの態様では、プローブの受信素子は、凹カーブの形状をした圧電材料のシェルで構成され、受信素子の位置が、湾曲したシェル上の位置である。
【0039】
1つの態様では、凹型プローブの形状が、対称又は非対称のいずれかであり得る。
【0040】
1つの態様では、プローブが、凹形状の圧電材料、cMTU材料、又はpMUT材料で作られている。
【0041】
1つの態様では、プローブの素子又はアレイが物理的に取り付けられていない。
【0042】
1つの態様では、プローブの素子が、まばらに、かつ非線形パターンで配置されている。
【0043】
1つの態様では、素子のアレイ又は複数のアレイが、2つ以上の軸を中心とする3次元形状である。
【0044】
1つの態様では、要素のアレイが、2つ以上の軸を中心に移動する又は関節接合することができる可撓性材料に含まれる。
【0045】
1つの態様では、該方法が、複数の受信素子によって受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む。
【0046】
1つの態様では、該方法が、複数の受信素子が、共通の受信開口のデータを結合するために使用され得ることをさらに含む。
【0047】
1つの態様では、該方法が、複数の受信開口の素子によって受信、決定及び生成のステップを繰り返すこと、をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(詳細な説明)
様々な実施態様を、添付の図面を参照して詳細に説明する。特定の例及び実施についての言及は、例示目的であり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0049】
様々な実施態様が、様々な解剖学的構造又はインプラントされた医療機器の超音波イメージングに関して本明細書で説明されるが、本明細書に示され、説明される多くの方法並びに装置を、他の用途、例えば非解剖学的構造及び対象物の、画像化及び評価にも使用することができることが理解されるであろう。
【0050】
本開示は、コンピュータエコー断層撮影(CET: Computed Echo Tomography)のために使用されるピングベースの複数開口超音波(MAUI: Multiple Aperture Ultrasound)トランスデューサと組み合わせて、画像化される媒体中に好ましい超音波プロファイルを集合的に生成するトランスデューサ素子への合成超音波送信波形の使用を説明する。MAUIは、集束又は非集束ピングを媒体内に送信し、連続したアレイの一部であるかないかを問わず、複数の素子での受信を可能にする。CETは、従来のフェーズドアレイ超音波システムとは異なり、ほんの少数のトランスデューサからの送信を使用することができる。集束又は収束の送信であれば、必要なだけ多くのトランスデューサを使用できるが、非集束又は発散の送信であれば、非集束波を形成するために多くのトランスデューサを必要としない。多くの場合、集束又は非集束送信を形成するために、10個未満のトランスデューサが同時に使用される。この弱い信号を、CETで使用されている他の方法と組み合わせることで、音の速度及び減衰の異なる組織の種類を画像化することができる。
【0051】
CETで使用される集束及び非集束の送信方法は、様々なタイプのプローブ構成を可能にする。MAUIトランスデューサは、多くの場合凹型であり、かつ非対称であるか、1つ以上の方向に調整可能である。プローブは調整可能であり、柔軟性のある材料又はメッシュ材料で作られている場合もある。CETではリニアアレイ又はマトリックスアレイを使用することができるが、MAUIプローブの凹型構成では、ターゲットに近接し、ターゲット媒体に対してプローブ面に沿った異なる視点から組織にアクセスできるため、より良好なデータと関連のイメージングが得られることが多い。CETの方法、あるいはPMA(Ping Based Multiple Aperture Imaging)とも呼ばれる方法は、米国特許第9,220,478号で説明されており、この特許では、いくつかのタイプの凹型、3D、及び調整可能な超音波素子アレイトランスデューサとプローブの使用も示されている。
【0052】
そこで、本開示では、凹型、3D、及び調整可能な、又はメッシュアレイを用いたPMAにおける合成開口送信及び受信の使用法を提供し、説明する。発散超音波波面、収束超音波波面、又はこれらの組み合わせのいずれかを使用して超音波画像を生成することにより、画像処理能力と品質に著しい改善が得られる。
【0053】
本開示は、プローブ/アレイ内の適切な素子に適切な電気信号を合成して印加することにより、意図した超音波パルス/ピング又はパルス/ピングのシーケンスを送信するために必要なハードウェア機能を備える超音波イメージングシステムの実装及び動作を提供する。さらに、本開示は、画像化される媒体から受信した超音波反射の利用、及び先行研究で概説された計算を使用して、変換された超音波反射データをバッファリング及び処理する方法を示す。CETデータセットは、国際出願PCT/US2020/056652号に記載されているように、ユーザのために画像を形成するために使用したり、画像形成をすることなく人工知能によって分析することができる。これには、この方法のバリエーション/強化、あるいは他のビームフォーミング方法の使用も含まれる。受信した反射データを処理して超音波画像をレンダリングするための計算は、システム上でローカルに動作する、又はリモートシステム上で動作するコンピュータソフトウェアを使用して実行されてもよく、あるいはファームウェア又は電子機器を使用して実行されてもよい。
【0054】
本発明は、2D又は3Dの凸型、凹型、又は直線状のセグメント化されたアレイ、又は可撓性アレイプローブを用いた合成開口ピング-ベースイメージングで得られる画質を改善するために使用されるが、これらのプローブデザインに限定されるものではない。本発明は、より強い超音波送信/ピングを発生させるために複数の送信素子を利用することを可能にし、画質を向上させるためにこれらのピングの送信エネルギーの方向を調整することを可能にする。画像解像度、コントラスト、信号対ノイズ比、コントラスト対ノイズ比、画像フィールドサイズ、画像の奥行き、画像速度の向上は、マルチエレメント送信を使用し、送信の組み合わせを適切に選択することにより実現可能である。
【0055】
例としては、より深い深度での画質を向上させるために収束波送信を使って超音波エネルギーを方向付けること、関心領域を複数の角度から画像化するために発散波を関心領域に方向付けること、画像化プロセスを高速化するために広域発散ピングを使用すること、及び画像フィールド内の超音波を乱す/減衰させる要素を避けて、それらの陰の中の画像を向上させるために送信を位置決めして誘導すること、が含まれる。身体の異なる部位を画像化したり、所望の視野角からこれらを見たりするには、画像の生成に使用される異なる送信ピング又はピングの組み合わせを使用する必要がある場合がある。
【0056】
動作において、MAUI又はPMA超音波イメージングシステムは、所望の超音波波面を発生させるために適切な遅延を有する選択された送信素子に励起電圧信号を印加することによって、供給源の位置、発散、範囲、及び方向が変化し得る一連のピングを送信するようにプログラムされる。各ピングと、選択されたすべてのチャンネルの関連する受信エコーは、そのチャンネルのデータセット又はストリングを生成する。画像化される媒体のより大きなデータセットを生成するために、チャンネルデータを組み合わせることができる。この大きなデータセットは、媒体に対して異なる視点を有するチャンネルを活用するものである。これらのデータセットを組み合わせることができるように、又は先行研究で議論できるように、音の速度の変動を解決するための方法を説明する。一連のピングから受信した反射データは、ピングに適したビームフォーミング計算で処理することにより、データセットフレームを生成するために使用される。画像として表示するために、データセットの全て又は一部をエンドユーザが選択することができる。個々の送信/ピングからのデータは、送信/ピングエネルギーの差を均等化(又は強調)するために、最終画像フレームを生成する際に重み付けされてもよい。ピングの異なる組み合わせから生成された画像は、画像に適用される重み付け係数の有無にかかわらず、画像要件に基づいて表示又は平均化のために連続して生成される場合もある。
【0057】
本開示は、複数開口プローブ又は可変ジオメトリプローブの複数のアレイ又はセグメントを跨ぐ又は跨がない複数の素子の使用を提供し、良好な超音波画像の生成を可能にするためにその小区域にわたって十分に均一である、画像化される媒体/フィールドの全て又は小区域にわたって強い収束又は発散指向超音波の送信を生成する。
【0058】
さらに、本開示は、このような複数の送信によって取得されたデータを組み合わせて、その後、単一のデータセット又は単一の画像フレームにつなぎ合わせることを提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、画質を低下させる可能性のある障害物が介在するのを避けつつ、関心領域を十分にカバーするように、このような送信の賢明な選択と設計が提供される。
【0060】
さらに、画像ビームフォーミングにおいて、より強いピン/送信データを強調する(目立たせない)ために重み付け係数を使用してもよい。
【0061】
これらの技術の応用は、媒体中の複数開口ピング技術を使って、実際の点源(単一素子)超音波送信で実現可能なよりも優れた品質(解像度、コントラスト、信号対雑音比、コントラスト対雑音比)で、かつより深い深度の画像の取得を可能にする。また、これらの技術は、これらの送信で適切な重み付け係数の使用の有無にかかわらず、ピング/送信パターンの賢明な設計により、(強力な吸収体/反射体により)画像の他の不明瞭な部分の画質を同様に向上させるために使用することができる。
【0062】
収束送信と発散送信の異なる組み合わせは、特定の種類の組織及び解剖学的特徴に対してより効果的である可能性が高く、最適化された送信シーケンスが設計され、選択された視野/撮像角度から関心領域の最良の画像を生成するために、異なるターゲット臓器及び視野を画像化するために使用することができる。例えば、頭蓋骨を通しての撮像はより発散的な撮像を必要とし、肺の中の撮像はより収束的な撮像を必要とする場合がある。
【0063】
(ピング-ベース複数開口イメージング)
本明細書に記載のシステム及び方法の幾つかの実施態様は、ピング-ベース複数開口イメージング(「PMA」イメージング)と称される独特な画像化モダリティに基づく。PMAの基本的な説明は以下の通りである。ピング-ベース複数開口イメージングの実施に有用な方法及び構造の更なる詳細、例、実施態様、及び用途は、上記で言及した本出願人の先の特許出願に記載されている。
【0064】
簡潔には、PMAイメージングは、一連の非集束二次元又は三次元「ピング」(ping)を媒体へ、「送信開口部」(これは、1つの変換構造若しくは協調して動作するトランスデューサ群から構成されてもよい)から送信すること、次に各ピングのエコー及び/又は透過伝送(through-transmission)によって生成される信号を受信すること、並びに保存することを含む。信号は、「開口部」にグループ化された多数の「受信素子」(それぞれが1つ以上のトランスデューサ構造からなる)によって受信される。受信トランスデューサは、トランスデューサに衝突するエネルギーの強度に比例した振幅を有する、時間的に変化するアナログ信号を生成する。このアナログ信号は、サンプリングレートでデジタルサンプリングされてもよく、その後、そのデジタルサンプルが保存されてもよい。各デジタルサンプル値は、受信した超音波の強度に比例し得る。各デジタルサンプルは、媒体の幾らかの反射的構造又は透過的構造の「エコー」を表す場合がある。単一の受信トランスデューサ素子により受信されたデジタルサンプルは、本明細書の幾つかの実施態様で記載されるように、「サブストリング」に細分化可能な、データサンプルの「ストリング」に組織化し得る。そのサンプルを、画像化される媒体の位置にマッピングし、各画像点(例えば、ピクセル若しくはボクセル)に輝度(及び/又は色)値を、寄与するデータサンプルの値に比例させて割り当てることによって画像を形成することができる。
【0065】
「明るい」及び「暗い」等の用語が、本明細書で画像点及びデータサンプルに関して使用されるが、当業者は、表示された画像の輝度又はコントラストは調整され得るため、かかる用語が絶対的ではないことを認識するであろう。その代わりに、これらの用語は相対的な意味で使用され、通常は必ずしも「明るい」とは言われないが高い反射性又は「エコー源性」構造を表すこれらデータサンプル及び画像点を、通常は必ずしも「暗い」とは言われないが最小の反射性構造のものから識別する。勿論、幾つかのイメージングシステムでは、より大きなエネルギー強度のサンプルが暗点として表示される一方、より低いエネルギー強度のサンプルがより明るい点として表示されるような、逆の規定を設定することもできる。いずれの規定においても、本明細書に記載のシステム及び方法の文脈では、用語「明るい」は、(そのエネルギーが、画像化される構造体からの反射後に受信されたか、又は画像化される構造体を通過伝送後に受信されたかにかかわらず)より大きな受信エネルギー強度の点を表現することを意図し、その一方、「より暗い」点は、相対的に低い受信エネルギー強度のものである。
【0066】
(ピング-ベース複数開口イメージングシステムからのビームフォーミング画像)
媒体の全サブ画像を、各受信素子によって生成された信号から得てもよい。1の共通開口部の複数素子から得られたサブ画像を互いに組み合せて、「第1レベル」画像を生成してもよい。複数のピング送信(同一若しくは異なる送信開口部から送信されたもの)からのサブ画像及び/又は第1レベル画像を組み合せて、「第2レベル」画像を生成してもよい。複数の受信開口部からの第2レベル画像を組み合せて、「第3レベル」画像を生成してもよい。画像層の結合順序は多くの並べ替えが可能であり、そのためサブ、第1、第2、及び第3レベル画像は、必ずしもその名前の順番で形成される必要はない。
【0067】
送信素子及び/又は受信素子が二次元又は三次元において互いに間隔がある場合、「画像」(サブ画像を含む)は、三次元ボクセルで構成された三次元ボリュームでもよい。そのようなボリュームの二次元断面はいずれも、二次元ピクセルのマトリックスとして選択されて表示できる。用語「画像点」は、二次元又は三次元画像の個別の構成要素(例えば、ピクセル若しくはボクセル)を指すために使用できる。
【0068】
トランスデューサ素子によって信号が受信されると、その信号はデジタルデータシーケンスへ変換され、揮発性及び/又は不揮発性メモリ装置に保存されてもよい。このデータシーケンスエントリ内の各エントリは、「データサンプル」と称することもある。用語「データサンプル」は又、複数のデータエントリを集約すること(例えば、平均化すること、最小値若しくは最大値を取ること等)により得られる値、又は2以上のデータエントリ間を補間することによって得られる値を指してもよい。
【0069】
収集データサンプルからサブ画像を形成するためには、各サンプル(個別の、集約された、又は補間されたもの)は、本明細書では「ビームフォーミング」と称するプロセスを通じて画像内での可能な位置にマッピングされる必要がある。各データサンプルは、送信素子及び受信素子の位置、ピング送信時と信号受信時との時間差、並びに画像化される媒体を通る音の速度によって決まる、画像内での可能な位置(軌跡)の範囲を表す。
【0070】
送信部が受信部と異なるポイントに位置する複数開口イメージングシステムでは、各サンプルの可能な位置の軌跡は二次元楕円又は三次元楕円体の形状をとり、その楕円又は楕円体の焦点には送信素子及び受信素子が位置する;参考米国特許第9,146,313号(名称:「複数開口超音波イメージングを用いた点源送信及び音の速度の修正(Point Source Transmission and Speed-of-Sound Correction Using Multi-Aperture Ultrasound Imaging)」。用語「軌跡(locus)」(及びその複数形「軌跡(loci)」)を、楕円又は楕円体のいずれかを表すために使用してもよい。本イメージングシステムでは、同一の画像点で交差する軌跡を有する複数のデータサンプルを加算することにより、各画像点の正しい位置へ収束する。1つの画像点に貢献する各データサンプルは、その画像点に対する「コントリビュータ」と称することもある。楕円又は楕円体が交差する点は増強され(即ち、その個別のコントリビュータも大きな合計輝度を有する)、その点の表示される又は記録されるべき正しい位置を表す。
【0071】
本プロセスは、本明細書で隣接ノイズと称される独特な形のエラーの影響を受けやすい。特定のデータサンプルが、その軌跡が或る画像点へ他のコントリビュータよりも実質的により明るくする高度のノイズを含む場合、隣接ノイズサンプルのより大きな領域が表示されて、その軌跡の形状にノイズアーチファクトを生じさせることがある。このような個々の隣接ノイズサンプルは、画像化される媒体の物理的構造に対応しない領域を強調するために、画像に有意な歪みを発生し得る。隣接ノイズによって生じる歪みは、多数の技術のいずれか(その幾つかを下記に説明する)によって特定し得る。一旦特定されれば、隣接ノイズは、画像形成時に本明細書に記載の1つ以上の技術によって最小化することができる。
【0072】
(平均化による隣接ノイズデータサンプルの特定)
同じ画像点に対する他のコントリビュータよりも実質的により明るい、高度にエコー源性の反射体は、隣接ノイズを生じ得る問題となる。この場合、他のコントリビュータを圧倒する「明るすぎる」コントリビュータは、明るいアーチファクト又は他の偽情報を生成する可能性がある。これは、データサンプル内に位置する強いエコー源性反射体がなければ、相対的に「暗い」であろう画像点において特に問題である。それに関連するが逆の様式では、より低いエコー源性反射体は、同じ画像点に対する他のコントリビュータが「暗すぎる」コントリビュータの効果を打ち消す傾向があるため、予測されるよりも、はるかに暗いものとして誤って表示されることがある。従って、どちらの場合でも、隣接ノイズを表すデータサンプル(又は楕円)を特定することが有益であろう。
【0073】
一般に、単一の画像点のための、送信されたピング及び受信素子の異なる組み合せから生じるデータサンプルは、経路長、ルックアングル、障害物、材料、ピング送信時間、又は他の要因の違いにより、反射体のより明るい若しくはより暗いエコーを明らかにするであろう。それにもかかわらず、通常の条件下で、そのような変動の程度は、経験的な試験及び/又は数学的モデリング/シミュレーションに基づいて決定されてもよい予測可能な範囲内にとどまると予測できる。このような予測範囲から有意に外れるエコー値は、ノイズ又はエラーの他の形であり得る。従って、「異常に明るい」値を体系的に定義し、任意の画像点の「異常に明るい」値へ寄与するデータサンプルを特定し、そしてその異常に明るいサンプルの悪影響を最小化することが望ましい場合がある。
【0074】
幾つかの実施態様では、高ノイズについて媒体内の全ての画像点を評価する代わりに、評価する画像点のセットを画像点の候補セットに削減することができる。例えば、幾つかの実施態様では、予め設定した値(例えば、0.0~1.0のスケールで≦0.9)未満の輝度値を有する画像点を、隣接ノイズコントリビュータを検出するための分析のために選択してもよい。他の実施態様では、予め設定した低い値(例えば、0.0~1.0のスケールで0.1)より大きいが、予め設定した高い値(例えば、0.8)未満の輝度値を有する画像点を、隣接ノイズコントリビュータを検出するための分析のために選択してもよい。
【0075】
幾つかの実施態様では、隣接ノイズデータサンプルの存在に関して評価するべき画像点は、隣接する画像点、又は領域内の画像点の分析に基づいて特定し得る。例えば、全てのコントリビュータを適用した後、特定の画像点が、全ての隣接する画像点又は領域内の全ての画像点よりも実質的により高い輝度値を有する場合、その画像点は、隣接ノイズコントリビュータの可能性のあるものとしてコントリビュータ評価のために選択してもよい。他の実施態様では、隣接ノイズデータサンプルの存在に関して評価するべき画像点は、或る領域内の相対的により暗い画像点及びより明るい画像点の間の「境界」を検出するために、その領域内の画像点のグループに寄与するデータサンプルを評価することによって特定できる。このようなプロセスの例を、下記セクションで説明する。
【0076】
上述の方法によって選択された全画像点又は画像点のサブセットのいずれを評価するかどうかにかかわらず、特定の画像点に対する隣接ノイズコントリビュータを特定するために、様々なプロセスを使用できる。1つの例示的な実施形態において、そのようなプロセスは、送信開口からピングを送信することと、ピングからの反射信号及び/又は送信信号を受信することと、受信信号を表すサンプリングされたデジタルデータをデジタル化して記憶することと、データサンプルを画像点にマッピングするために記憶されたデータをビームフォーミングすることと、を含み得る。次に、評価される各画像点について:画像点に寄与するデータサンプルの集合の集約値を決定し、値が集約値から期待される分散よりも大きく変化するデータサンプルとして近隣ノイズコントリビュータを特定する。
【0077】
様々な実施態様では、データサンプルを評価して隣接ノイズコントリビュータを特定するステップは、上記で言及され、引用により本明細書中に組み込まれている様々な出願に記載のように、様々なコヒーレント若しくはインコヒーレント加算ステップの前及び/又は後に実行してもよい。例えば、幾つかの実施態様では、境界領域又は他の識別可能な特徴を、データ加算後に可能であろうよりはるかに高い詳細度で検出するために、生データサンプルを任意のデータ加算ステップの前に評価してもよい。
【0078】
様々な実施態様では、特定の画像点に寄与するデータサンプルセットの「集約値」は、算術平均(単純平均)、中央値(セットの全サンプル値の中間点)、最頻値(セットの最も頻出する値)、最大値(セットの最大値)、最小値(セットの最小値)、又はデータサンプルセットを記述する若しくはデータサンプルセットから得られる他の値でもよい。
【0079】
様々な実施態様では、隣接ノイズデータサンプルを定義する集約値からの分散は、多く方法で定義できる。例えば、分散は、固定数値、集約値の倍数、集約値からの変化割合(パーセント)、集約値を上回る標準偏差の数、画像点に寄与するデータサンプルセットのパーセンタイル、又は、集約値からの分散の他の測定基準値でもよい。
【0080】
幾つかの実施態様では、画像点への隣接ノイズコントリビュータは、その画像点に対するコントリビュータセットの平均値、中央値、最頻値、最大値、又は、他の集約値、よりも少なくともN倍大きい輝度値を有するサンプルとして定義してもよい。そのような実施態様では、Nは、少なくとも約1.0で、最大で約2.0又はそれ以上でもよい。
【0081】
他の実施態様では,隣接ノイズコントリビュータは、画像点に対するコントリビュータの平均値よりもNを超える標準偏差の輝度値を有するサンプルとして定義し得る。他の実施態様では、隣接ノイズコントリビュータは、コントリビュータセットの最大値より大きな、又は最大値のN倍の、又は最大値よりM%を超えて大きな輝度値を有するサンプルとして定義し得る。他の実施態様では、隣接ノイズコントリビュータは、最頻値のN倍よりも大きい輝度値を有するサンプルとして定義してもよく、その場合、「最頻値」は、その画像点に寄与するデータサンプルセット内で最も頻繁に生じる値として定義される。幾つかの実施態様では、最頻値は、データサンプルの丸められた値に基づいて(例えば、セットの各値を予め設定した桁数に丸めてから、最も頻繁な値を決定することによって)決定してもよい。
【0082】
(ピングベース複数開口イメージングにおける収束ビームフォーミング及び発散ビームフォーミング)
幾つかの実施態様では、PMAシステムから複数のトランスデューサ素子によって収集された生データサンプルの数学的評価又は他の評価を、画像ビームフォーミングの前に行なって、調整されるべきデータサンプルを特定してもよい。幾つかの実施態様では、そのようなビームフォーミング前の評価は、対象物認識又はその他のような他の分析のために使用し得る。
【0083】
図1は、アレイ12、14、及び16を有する、皮膚表面Sに対するピングベース複数開口プローブ100を示す。各アレイ内のサブアレイ又は多くの場合に個々の素子は、点a、b、c、d、e、f、g、h及びiとして示される。但し、サブアレイは、アレイ間の物理的なギャップを越えて配置されてもよく、個々のアレイ上の個々の素子に限定して考えるべきではない。ピング送信は、アレイ12上の「a」にある送信開口部によって生成される波面13(破線の波面(複数可))により表され、複数の小波で示される。媒体又は組織20内の点Aは、硬い構造(例えば、アテローム性動脈硬化由来のカルシウム若しくは硬化したプラーク、又は骨等の他の硬い対象物)を表すことを意図しており、それは送信された波面13を複数の方向へ直接的に反射又は分散させ、反射された波面15(実線の波面(複数可))としてここで表される。点Aから発散された反射波面は、アレイ12、14、及び16の受信素子へ、相対的に明るい信号を提供するであろう。送信された波面13はまた、媒体又は組織20を、無エコー性構造(例えば、血管若しくは他の軟組織)を表すことを意図している点Bまで通過し続け、その無エコー性構造はアレイ12、14、及び16上の素子に戻る相対的に弱い反射波面17を提供するであろう。
【0084】
点A及び点Bからのエコーは、アレイ12、14及び16内の受信素子によって受信され、プローブ100によって、複数開口超音波画像を形成するため、又は人工知能エンジンによる解析のために使用されるデータセット及びフレームを生成するために使用され得る。PMA対応システム上の任意のプローブに関連する電子コントローラ(複数可)又はプロセッサ(複数か)は、関心領域内のデータを分析するプロセスを開始することができる。アナログからデジタルへの変換後に収集されるデータが、第1受信部素子のためのデータストリングに保存される。この受信部素子は、アレイの一部でもよいし、無指向性受信部として使用される独立した素子でもよい。リアルタイムでデータを収集して複合化するために、他の素子と連動させて使用する必要はない。第2受信部素子は、第1受信部素子に受信部素子データを提供するために使用されるのと同一のピングから生じる第2のデータストリングを生成するために使用することができる。同様に、同一のピング送信から生じるエコーデータは、複数の受信部素子(例えば、第3、第4、第5などの受信部素子)で使用することができる。
【0085】
このとき、PMAシステム内の、プローブ自体の、又はプローブと通信している(例えば、無線で)プロセッサは、全てのデータストリングについて全てのデータセット値の平均を実行するように構成され得る。幾つかの実施では、データストリングは、関心領域全体(即ち、長いサンプル期間)にわたって収集してもよい。他の実施では、データは、特定のピクセル(即ち、特定のサンプル期間)のみについて収集してもよい。次いで、関心領域のピクセル画像を生成するため、プロセッサはビームフォーミング処理を開始することができる。3Dイメージングの場合、同一のプロセスを使用してボクセル画像を生成できる。このプロセスは、複数のピングとエコーデータストリングに対して繰り返すことができる。
【0086】
原点がアレイの表面にない媒体への非集束ピングの送信は、ピングベース複数開口プローブではより困難になる。米国特許US 9,883,848は、仮想点源に関連する幾つかの技術を教示している。この研究により、PMAとCETを用いた発散ビームと収束ビームの形成がより明確になった。
【0087】
始めに、図2は、トランスデューサアレイ1の送信素子7に設計された励起波形のセットを印加することにより、従来のリニア又はマトリックスアレイ1上に生成された送信超音波波面5を示す。この例では、アレイは、励起波形の適切な設計によって、アレイの後方のある範囲に位置することができる、選択された又は結果として得られる仮想点源2を含むことができる。仮想点源2は、円形(2D)又は球形(3D)の仮想送信波5を送信するように構成することができる。仮想送信波が仮想点2から電子的に発せられる場合、トランスデューサアレイの各素子は、円形(2D)又は球形(3D)の仮想送信波がその素子を通過するときの遅延計算に基づいて発射するように制御することができる。そして、これらの発射を統合することで、選択された仮想点源で媒体内に実際の物理的な波が発生する。
【0088】
図3は、トランスデューサアレイ1の送信素子7に特別に設計された波形を印加することにより、従来のリニア又はマトリックスアレイ1によって生成された収束又は集束する超音波を示す。ここで、仮想点源2(又は焦点)は、アレイ1の前方の幾つかの位置のいずれかになるように電子的に合成することができる。つまり、各送信素子7からのパルスが一度に一箇所に到達すると、仮想点源2にぶつかるまで凝縮して小さくなる収束円又は球を構成することができる。その仮想円又は球5がアレイ1のトランスデューサ素子を通過する時が、アレイのトランスデューサ素子を発射すべき時である。そして、これらのインパルス発射の連携により、選択された仮想点源2をターゲットとする実際の物理的な波が媒体中に発生する。これにより、複数のトランスデューサ素子からの送信を、媒体内の1点に「集束」させることができる。そして、点源5から戻ってきたエコーは、各受信部で収集される。
【0089】
図2-3 を参照すると、座標系原点6(0, 0)において、座標(xf, zf)を有する画像化される媒体中の画像フィールド点3からの反射時間は、(xm, zm)に位置する仮想源2から画像フィールド点3(xf, zf)まで、及びそこからトランスデューサアレイの受信素子4までの航路の全長に基づいて計算することができる。これらの反射時間の情報は、ビームフォーミングプロセスで画像を生成するためにシステム(電子制御装置など)で使用することができる。このビームフォーミングプロセスと適切なトランスデューサ励振電圧波形の計算には、画像化される媒体中の音の速度の情報が必要であるが、一般的に軟組織では1540m/sに設定される。(詳細は米国特許出願第16/506,570号に記載されている。)
【0090】
単純なリニア開口/アレイからの通常の指向性送信に対して、収束波又は発散波による超音波画像を画素単位で生成するために使用される単純なビームフォーミング計算は以下のように与えられる:
【数1】
【0091】
ここで、
【0092】
sm,iは第m番目のピング/送信に対して第i番目の受信素子によって記録された反射信号であり、tm,fは画像フィールド内の(xf, zf)に位置する画素のパルス到達時間遅延であり、tf,iはその画素とプローブ/開口/アレイ内の第i番目の受信素子からの反射の受信時間遅延であり、(xm, zm)は仮想源の位置であり(収束送信源の場合は正、発散送信源の場合は負である)、Lはリニアプローブ開口又はアレイの幅であり、cは画像化される媒体中の平均の音の速度であり、B(xm, zm)は位置(xf, zf)におけるビーム形成画像(画素)の振幅又は輝度であり、Nはプローブ/アレイ/受信(サブ)開口内の受信素子数であり、Mは画像フレームを生成するために使用される異なる送信/ピング数である。Hは、ヘビサイド(Heaviside)ステップ関数であり、引数が0以下の場合は0、0より大きい場合は1に等しい。空間座標の原点はリニアアレイの中心である。
【0093】
図4は、本開示の1つの実施形態に係るデータ「キューブ」の概略図である。「キューブ」は、個々の仮想源位置に基づいてビームフォーミングされ、単一の画像にまとめられる、又はつなぎ合わせられる、仮想(及び/又は実際の)源の一連の送信によって取得された反射データで構成されている。異なる送信は、異なる横方向又は奥行き方向の空間位置をターゲットにすることができ、ターゲット領域に関連するデータのみがビームフォーミングされ、画像内に折り込まれる。図4の実施形態は、発散超音波波形、収束超音波波形、又はその両方の組み合わせのいずれかからのサンプルで構成されるデータ「キューブ」を構築する能力を表している。システムは、時間tでチャンネルデータサンプルを受信することができ、サンプル数はサンプリングレートと画像の奥行きに比例する。インデックスi (1...N)に沿った受信エレメントと結合されたインデックスm (1...M)に沿った送信源/ピングからのサンプルは、完全なデータ「キューブ」内のデータ列を作成するために、異なる送信ピングから合体することができる。次いで、データキューブ(M、N、t)をビームフォーミングし、1つの画像フレームに統合することができる。
【0094】
上述した技術や方法は、セグメント化された又は複数開口プローブにも拡張でき、それらの性能を高めることができる。例えば、図5は、トランスデューサアレイ1上の素子4から発せられる標準的な非集束パルス3を示す。このようなパルスは、任意のアレイ1上の任意の素子2から来る可能性がある。図6は、交互に又は追加的に使用することができるアレイの後方の仮想点源2を示すことによって進行する。図6はまた、所望の半円形の発散波パターン又は収束波パターンを生成するのに必要な時間遅延に基づいて、波形/パルスを形成するために発射されるサブ開口4の追加素子を示している。
【0095】
いくつかの実施形態では、アレイ1の素子4は同じ基板からカットされてもよい。他の実施形態では、素子は、静電容量型微細加工超音波トランスデューサ(cMUT)又は圧電型微細加工超音波トランスデューサ(pMUT)のようなマイクロ機械加工圧電材料を使用して物理的に形成され、成形され得る。このような場合、最適なイメージングを提供するために、収束波形又は発散波形のタイプに対してさらなる利益をもたらすように素子自体を成形してもよい。例えば、1Dアレイでは、データを面内で受信しやすくするために、長方形の形状の素子を必要とする場合がある。一方、2D又は3Dのアレイでは、あらゆる角度からデータを送信及び受信するために、円形又は楕円形の素子を必要とする場合がある。素子のサイズ、形状及び位置については、米国特許US 10,586,846号に詳しく説明されている。
【0096】
仮想源用の送信素子が、凹み又は間隔によって素子間、アレイ間又は角度間の物理的な間隔をまたぐ必要がある場合、均一な非集束パルスを生成する際に困難が生じるが、そのような間隔をまたぐ必要がある送信位置及び方向でも、画像化される媒体内の特定の領域にわたって適切な波の均一性を提供し、媒体全体を隙間なく画像化できるように設計及び利用することができる。米国特許US 10,064,605号では、各要素の音響中心を計算するために使用されるいくつかの方法を紹介している。素子の位置は、ファントムに対するキャリブレーションに基づいて固定することもできるし、複数のトランスデューサ素子によって画像化される共通のランドマークの識別に基づいて、リアルタイムで電子的に調整することもできる。位置が固定されたプローブのアライメントは、リアルタイムで行う必要はなく、定期的に行う必要もない。可撓性又は調整可能なアレイとプローブのアライメントは、複数開口超音波イメージングを使用する際に、より鮮明なイメージングを提供するのに役立つ場合がある。
【0097】
図7は、アレイ間に物理的な間隔があり、プローブの凹みによって「ビュー」角度が異なっていても、画像化される媒体の特定のターゲット領域にわたって均一な非集束送信波形を生成することができる方法を示している。図7に示されるように、複数開口超音波プローブにおいて利用される素子又はアレイ間に物理的な間隔が存在し、発散仮想点源2が物理的な間隔の間又は真後ろに位置する場合、「イメージングデッドゾーン」5が間隔の前方の直近のフィールドに位置することがある。送信パルスの品質が良く、高品質のデータと画像が得られる領域6と比較して、この領域では、波の干渉効果により、適切な反射が存在せず、許容可能な画像をビームフォーミングするのに十分なデータが得られない可能性がある。特に複数の仮想点源送信が画像のデータセットの収集と生成に利用される場合、仮想点源2を別の場所3に移動させることで、デッドゾーンのサイズを小さくすることができる。イメージングデッドゾーンのサイズは、間隔の物理的なサイズ、及び/又は分離した素子又はアレイの平面の角度に基づいて変化することもある。例えば、広い間隔があっても、素子又はアレイ間の角度が大きければ、デッドゾーンは無視できる場合がある。逆に、角度がほぼゼロの場合、デッドゾーンは間隔そのものと同じくらい大きくなる可能性がある。米国特許US9,668,714号に記載されている方法は、データセット及びピクセル/ボクセル内に収集され、最終的に組み立てられるデータに重み付け係数を適用するために使用することができる。
【0098】
図8の実施形態では、システムは、トランスデューサ素子4を有する3つの別個のアレイ1を含むことができる。図示のように、物理的に分離した3つの異なるトランスデューサ素子4から波を発生させることができる。従来、焦点2は各アレイの各エレメントからほぼ等距離に配置されていた。この例では、収束波3が同じ点に焦点を合わせたサブ開口4から形成されたという類似性がある。共通の収束焦点ターゲットは、実質的に等距離にある限り、プローブ内のどのアレイ1からも送信素子のサブ開口によって暴露され得る。しかしながら、図8は、焦点位置が各要素又はアレイから等距離である必要はないことを示している。この例では、3つの収束波の交点で境界を区切られた収束/集束波暴露領域3が示されている。図のように、焦点はターゲットとなる組織領域の片側に有利に働き得る。そして、この技術を何千回と繰り返し利用することで、焦点はターゲットとなる組織領域全体に配置され、ターゲットとなる各領域からの画像を1枚の画像につなぎ合わせることができる。MAUIイメージングを使用してより深い深度で画像化する場合、浅い深度での強い反射体を避けながらターゲットまでの十分な送信強度を得るために、プローブの一部だけを使用してターゲットへの送信を行う必要がある場合がある。
【0099】
図9は、マルチセグメント凹型プローブの2つのセグメント1にまたがる複数の素子4を使用した収束波送信を示している。図9の実施形態では、複数開口プローブの一部のみが、関心領域の左側の深い焦点ターゲットに収束エネルギーを送信するために使用され、結果として、収束/集束波3が生じている。仮想点源2が示されている。本実施形態では、領域5が送信パルス品質の悪い領域を示し、領域6が送信パルス品質の良い領域を示している。特に複数の仮想点源送信が画像のデータセットの収集と生成に利用される場合、仮想点源2を媒体内部の別の場所に移動させることで、デッドゾーンのサイズを小さくすることができる。イメージングデッドゾーンのサイズは、間隔の物理的なサイズ、及び/又は分離した素子又はアレイの平面の角度に基づいて変化することもある。例えば、広い間隔があっても、素子又はアレイ間の角度が大きければ、デッドゾーンは無視できる場合がある。逆に、角度がほぼゼロの場合、デッドゾーンは間隔そのものと同じくらい大きくなる可能性がある。米国特許US9,668,714号に記載されている方法は、データセット及びピクセル/ボクセル内に収集され、最終的に組み立てられるデータに重み付け係数を適用するために使用することができる。
【0100】
図10は、送信アレイ素子2の適切な選択を使用して、関心領域内の複数の小区域を十分に均一な発散波5で満たすことができる複数の送信を生成するように構成された送信素子4を含む、滑らかに湾曲した凹型トランスデューサアレイ1の実施形態を示している。複数の画像同士をつなぎ合わせて、最終的な画像を生成することができる。プローブは必ずしも対称である必要はない。この実施形態では、仮想点源3はアレイ1の後方に配置されている。ピングベースMAUI送信は、波形生成の前に素子位置が分かっていれば、均一かつ非集束の送信を生成することができる。
【0101】
図11は、より多くの素子2を有する滑らかな凹型トランスデューサアレイ1内から素子4のサブセットを用いた収束波送信を示している。この実施形態では、焦点(例えば、アレイの前方)に配置された仮想点源3によって、トランスデューサアレイから均一な収束送信波を形成することができる。このプローブは必ずしも対称である必要はない。ピングベースMAUI送信は、波形生成の前に素子位置が分かっていれば、均一かつ収束する送信を生成することができる。
【0102】
図12は、複数の軸を中心に凹状に湾曲したアレイに配置されたトランスデューサを有するアレイ1を示している。幾つかの実施形態では、平らな2D矩形トランスデューサを使用しても同じ効果が得られる。これらのアレイについては、米国特許US 10,835,208号で詳しく説明されている。この実施形態は、アレイ1から複数のトランスデューサ素子2を使用することにより、発散波送信を生成するために使用することができる。さらに、アレイ1は固定されているか、又は静止している必要はない。それは、調節可能であってもよく、また可撓性メッシュであってもよい。このような調整可能なアレイのキャリブレーションについては、米国特許US 9,510,806号に記載されている。3D湾曲プローブ1は、複数の方法で構築することができる。1つの実施形態では、3Dプローブは、3D曲率に近づけるために、2D平面アレイの複数の平らなセグメントで作られてもよい。別の実施形態では、cMUT又はpMUTトランスデューサを用いて、カスタム湾曲アレイが成形基板内に構築されてもよい。本明細書で説明するように、トランスデューサアレイ1は、超音波波面を生成するように構成することができる。図示された例では、送信素子2のサブグループ4は、送信素子の後方に位置する仮想源点3で発散波を発生するように構成され、その結果、図示されたように暴露領域5が生じる。図13は、トランスデューサアレイがスパーストランスデューサアレイ2からなることを除いて、図12と同様の実施形態を示す。コンピュータエコー断層撮影を用いたPMAシステムでは、素子が互いに隣接している必要はなく、同一平面上にある必要もない。素子は同じアレイにある必要はないが、米国特許US9,510,806号に記載されているように、それらの位置は既知でなければならない。素子は疎らでもよく、ランダムでもよく、物理的に離れていてもよく、互いに平面から外れていてもよく、同じPMA送信及び受信シーケンス内で効果的に使用され得る。これらのタイプのアレイに関する方法は、米国特許US 10,854,846号にさらに説明されている。
【0103】
図14及び15は、それらが、複数の軸を中心に凹状に湾曲した3D湾曲プローブアレイ内の複数の素子を使用する収束波又は集束波送信を示すことを除いて、それぞれ図12及び13の実施形態と同様である。幾つかの実施形態では、平らな2D矩形トランスデューサを使用しても同じ効果が得られる。これらの実施形態では、仮想点源3は、図示されているように、トランスデューサアレイの焦点位置に配置され、その結果、仮想点源の前後の両方に暴露領域5が生じる。
【0104】
送信がアレイの法線以外の方向に向けられたり、又は受信されたり、プローブの幾何学的形状が直線的でない場合には、追加の幾何学的補正が必要になる場合があるが、送受信経路の長さと時間を決定し、受信データを画像にビームフォーミングするという原理は変わらない。
【0105】
PMAシステムで使用されるアレイタイプ1D、2D又は3Dに関係なく、各ピングと、選択されたすべてのチャンネルの関連する受信エコーは、そのチャンネルのデータセット又はストリングを生成する。画像化される媒体のより大きなデータセットを生成するために、チャンネルデータを組み合わせることができる。収束送信と発散送信の両方を含む送信中に仮想点源の組み合わせを使用し、その後、チャンネルデータを収集し、より大きなデータセットに組み合わせることで、最適な画質が得られ得ることが、当業者には理解されよう。この大きなデータセットは、媒体に対して異なる視点を有するチャンネルを活用するものである。これらのデータセットを組み合わせることができるように、又は先行研究で議論できるように、音の速度の変動を解決するための方法を説明する。画像として表示するために、データセットの全て又は一部をエンドユーザが選択することができる。個々の送信/ピングからのデータは、送信/ピングエネルギーの差を均等化(又は強調)するために、最終画像フレームを生成する際に重み付けされてもよい。
【0106】
どの前述の実施態様も、任意の所望の構造の複数開口イメージングプローブと組み合せて使用することができる。複数開口超音波イメージングプローブの例は、本明細書で言及された本出願人の先の特許出願中に提示されている。
【0107】
上記説明されたシステム及び方法の実施態様は又、点源送信パルス(ピング)ではなく集束フェーズドアレイ送信パルスを利用する複数開口超音波イメージングシステムにも有利に適用することができる。同様に、上記説明されたシステム及び方法の実施態様は又、ピング送信のために複数のサブ開口部を使用する単一開口イメージングシステムにも有利に適用することができる。より更なる実施態様では、上述の方法は又、単一開口プローブからのフェーズドアレイ送信を用いる従来の超音波システムにも適用することができる。
【0108】
本発明は、特定の好ましい実施態様及び実例の文脈で開示されているが、当業者であれば、本発明が、特別に開示された実施態様だけではなく他の代替的実施態様並びに/又は本発明及びその明らかな改変や等価物の使用にまで拡大されることを理解されよう。上記実施態様の様々な改変は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理を、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用し得る。従って、本明細書で開示される本発明の範囲は、上記の特定の開示された実施態様によって限定されるべきものではなく、下記特許請求の範囲の正しい解釈によってのみ決定されるべきである。
【0109】
特に、材料及び製造技術は、当業者のレベルの範囲内で利用することができる。更に又、単数のアイテムの言及は、同じアイテムが複数存在する可能性があることを含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「及び(and)」、「前記(said)」、並びに「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解釈するべき場合を除き、複数の指示対象を含む。特段の明示的記載がない限り、本明細書で使用される用語「又は」は、提示される全ての代替物を含み、一般的に使用される句「及び/又は」と本質的に同じ意味である。 特許請求の範囲は、任意のいずれかの構成要素を排除するように起草できることに更に留意されたい。従って、この陳述は、請求項の構成要素の記述に関連する「だけ(solely)」及び「のみ(only)」等の排他的な語の使用、又は「否定的な」限定の使用のための、予めの基礎として役立てることを目的とする。本明細書に特段の記載がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】