(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】グリーンアンモニアの吸収冷却
(51)【国際特許分類】
C01C 1/04 20060101AFI20250130BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20250130BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20250130BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20250130BHJP
C25B 1/042 20210101ALI20250130BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
C01C1/04 J
F25J3/08
F25J3/02 Z
C25B1/04
C25B1/042
C25B9/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546145
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2024-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2023052224
(87)【国際公開番号】W WO2023148133
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クヌスン・ラリ・ビェアウ
(72)【発明者】
【氏名】スペト・クレスチャン・ヘンレク
(72)【発明者】
【氏名】クレル・イェンスン・アネデ・エ
(72)【発明者】
【氏名】ハン・パト・ア
【テーマコード(参考)】
4D047
4K021
【Fターム(参考)】
4D047AA07
4D047AB00
4D047BB08
4D047CA03
4D047DA04
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA05
4K021DC11
(57)【要約】
アンモニア合成変換器と下流のアンモニア冷却システムとを含むアンモニア合成プロセスおよびプラントであって、前記アンモニア合成変換器が、水素および窒素を含むアンモニア合成ガスを受け取り、アンモニア生成物ガス流およびオフガスアンモニア流を生成するように配置されている、アンモニア合成プロセスおよびプラント;前記アンモニア冷却システムが、以下を含む:-アンモニア液体流を蒸発させ、アンモニア蒸気流を生成するためのアンモニア蒸発器;-前記オフガスアンモニア流を、スクラビング剤としての水の添加下で洗浄し、水流およびアンモニア枯渇オフガス流を生成するためのオフガス洗浄ユニット;-前記アンモニア蒸気流を冷却し、凝縮されたアンモニア-水流を収集するための水からなる吸収冷却ユニット;-前記凝縮されたアンモニア-水流から生成するための再生ユニット;前記凝縮されたアンモニア-水流から、精製された水流、前記アンモニア液体流、および塔頂のアンモニアガス流を生成する再生ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア合成変換器および下流のアンモニア冷却システム(100)を含むアンモニア合成プラントであって、
ここで、前記アンモニア合成変換器は、水素および窒素を含むアンモニア合成ガスを受け取り、アンモニア生成物ガス流(105)を製造するように構成され、前記アンモニア合成プラントは、オフガスアンモニア流(143)を生成するように構成され、
ここで、前記アンモニア冷却システム(100)は、
-アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)を蒸発させ、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)であって、該アンモニア蒸発器(116)の熱交換媒体は、前記アンモニア生成物ガス流(105)である、アンモニア蒸発器(116);
-前記オフガスアンモニア流(143)をスクラビング剤としての水の添加下で洗浄し、水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するためのオフガス洗浄ユニット(132);
-前記アンモニア蒸気流(107)を冷却し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を収集するための水を含む吸収冷却ユニット(118);
-前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)から
精製された水流(125、125’、125’’)、
前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)と
塔頂のアンモニアガス流(139);
を生成するための再生ユニット(126);
を含み、
かつ、ここで、
-前記アンモニア蒸発器(116)は、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)と、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)を蒸発させるための前記熱交換媒体(105)とを受け取って、前記アンモニア蒸気流(107)を生成するように配置され;
-前記オフガス洗浄ユニット(132)、好適にはオフガススクラビングユニットは、スクラビング剤として前記再生ユニットからの前記精製された水流(125、125’、125’’)、および、前記オフガスアンモニア流(143)を受け取って、前記アンモニア枯渇オフガス流(145)および前記水流(117)を生成するように配置され;
-前記吸収冷却ユニット(118)、好適には水を含む混合容器(118’’)は、前記水流(117)および前記アンモニア蒸気流(107)を受け取るように配置され、それによって前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成および収集するためのものであり、前記吸収冷却ユニットが、冷却媒体(139)、例えば、水を受け取るように配置された冷却装置(118’)、例えばコイルと、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出すための出口とをさらに含み;
-前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るように配置された蒸留塔であり、前記再生ユニット(126)が、前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口と、塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニア流(123)から前記塔頂のアンモニアガス流(139)および前記アンモニア液体流(101)を分離するための分離ユニット(112)とを備える、
前記アンモニア合成プラント。
【請求項2】
前記水素を製造するための水または蒸気電解ユニットを備え、前記電解ユニットは、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力によって駆動されるこ、請求項1に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項3】
前記オフガス洗浄ユニット(132)がオフガススクラビングユニットであり、前記オフガス洗浄ユニット(132)が、さらに、前記再生ユニット(126)からの前記塔頂のアンモニアガス流(139)を、例えば前記オフガスアンモニア流(143)と混合して受け取るように配置されている、請求項1~2のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項4】
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガスアンモニア流(143)に添加-混合するための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、請求項3に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項5】
前記吸収冷却ユニット(118)が、水を含む混合容器(118’’)である、請求項1~4のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項6】
前記アンモニア冷却装置(100)において、前記再生ユニット(126)が、上部セクション(I)と下部セクション(II)とを備え、
前記下部セクション(II)は、
熱交換媒体(137)を受け取るように配置された動力駆動加熱装置および/または再沸騰ユニット(128);ならびに
前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口;
を備え、
前記上部セクション(I)は
-凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るための入口、
-以下を含む塔頂部:
・前記塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口;
・凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を生成するための、前記塔頂のアンモニア流(123)および冷却媒体(141)、例えば、水を受け取るように配置されたアンモニア凝縮ユニット(130);
・前記凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を受け取るように配置された分離ユニット(112)、好適にはアンモニア回収ドラムであって、アンモニア液体フラクション(101)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を取り出すための出口とを備える、分離ユニット(112);
・前記アンモニア液体フラクション(101)を受け取り、その一部を塔頂の還流の流れ(101’’)として前記塔頂部に導くように配置された還流ポンプ(134);
・前記アンモニア液体フラクションの残りの部分を前記アンモニア液体流(101’’’)として取り出すための手段、
を備える、
請求項1~5のいずれかに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項7】
請求項6に記載のアンモニア合成プラントであって、前記アンモニア冷却システム(100)の上流に、前記アンモニア生成物ガス流(105)を受け取るように配置され、そこから熱を回収し、蒸気を生成するための1つまたは複数の蒸気ボイラーをさらに備え、ここで、前記プラントが、前記蒸気の少なくとも一部を熱交換媒体(137)として前記再沸騰ユニット(128)に供給するためにさらに構成されている、アンモニア合成プラント。
【請求項8】
前記アンモニア冷却システム(100)において、前記アンモニア蒸発器(116)が、パージアンモニア流(129)を取り出すための出口をさらに備え、前記アンモニア冷却システム(100)が、前記再生ユニット(126)の上流に、前記パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせるための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、請求項1~7のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項9】
前記アンモニア冷却システム(100)の前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)、または、パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることから生じる流れ(121)を受け取るように配置される供給/流出熱交換器(F/E HEX)124をさらに備え、これは、前記再生ユニット(126)に入る前に、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を予熱するため、または前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と前記パージアンモニア流(129)とを組み合わせることから生じる前記流れ(121)を予熱するために、前記精製水流(125)を熱交換媒体として受け取るためのものである、請求項1~8のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項10】
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記パージアンモニア流(129)から、または前記アンモニア液体流(101’’’)から、過剰アンモニア生成物として排出するのに適した追加アンモニア生成物(129’、101
v)としてその一部を取り出すための導管をさらに備える、請求項1~9のいずれかに記載のアンモニア合成プラント。
【請求項11】
水素および窒素を含むアンモニア合成ガス流からアンモニア生成物ガス(105)を製造するための方法であって、
前記方法はまた、オフガスアンモニア流(143)を製造し、
前記方法は、
a) 前記水素を製造するための水または蒸気の任意の電気分解ステップであって;前記電気分解は、好適には、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力を動力源とするステップ;
b) アンモニア合成変換器中において、アンモニア合成ガスを前記アンモニア生成物ガス(105)に変換するステップ;
を含み、
前記方法は、次のステップ:
c) 前記アンモニア生成物ガス(105)を熱交換媒体として供給しながら、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)において、アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv )を蒸発させるステップ;
d) 水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するために、スクラビング剤としての精製された水流(125、125’、125’’)の添加下で、前記オフガスアンモニア流(143)を、オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップ;
e) 前記オフガス洗浄ユニット(132)から前記水流(117)を取り出し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成し収集するために、前記アンモニア蒸気流(107)と共に、冷却媒体(139)例えば、水の供給下で、それを吸収冷却ユニット(118)に供給するステップ;
f) 前記吸収冷却ユニット(118)から前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出して再生ユニット(126)に供給し、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)、塔頂のアンモニアガス流(139)および精製された水流(125)を生成するステップ;
に従ってアンモニア生成物ガスを冷却することをさらに含む、前記方法。
【請求項12】
g) 前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11~12のいずれか1つに記載の方法であって、ステップc)の前に、前記アンモニア生成物ガス(105)が、蒸気を生成するために、1つ以上の蒸気ボイラーに通すことによって最初に冷却され、そして、ここで、前記ステップf)において、再生ユニット(126)が、動力駆動加熱装置または再沸騰ユニット(128)を含み、前記方法が、前記蒸気(137)を前記再沸騰ユニット(128)に供給することをさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1つに記載の方法であって、ステップc)において、パージアンモニア流(129)が生成され、当該方法が、前記パージアンモニア流(129)を取り出して、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1つに記載の方法であって、前記アンモニア液体流(101’’)または前記パージアンモニア流(129)の一部を、追加のアンモニア生成物(101
v、129’)として流用することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア合成プラントまたはアンモニア合成プロセスのアンモニア合成変換器からのアンモニア生成物ガスを冷却するためのアンモニア冷却(冷蔵)装置に関する。本発明はまた、アンモニア冷却システムを含むアンモニア合成プラントおよび方法に関し、アンモニアは、再生可能エネルギー源からの電力を利用した電気分解によって水素から製造される。
【背景技術】
【0002】
従来の、すなわち伝統的なアンモニア合成プラントは、当該技術分野において周知であるように、炭化水素供給原料、典型的には天然ガス、または再生可能な供給源に由来する炭化水素供給原料を触媒蒸気改質するための、蒸気メタン改質ユニットおよび/または自己熱改質ユニットを含む改質セクションを典型的に含み、それによって、水素に富み、アンモニア合成ガスを製造するために窒素と組み合わされた原料合成ガスが製造される。アンモニア合成プラントは、アンモニア合成ガスがアンモニア生成物ガス流に変換されるアンモニア合成変換器を含む、下流にアンモニア合成セクション、例えばアンモニア合成ループを有している。
【0003】
従来のアンモニア合成プラントでは、いわゆるターンダウン比は約100%である。ターンダウン比は、以下「ターンダウン」とも呼ばれ、アンモニア合成プラントが許容できる量に対する、通常負荷、例えば、アンモニア合成ガス、ひいてはアンモニア生成物ガスを生成するために使用される上流の炭化水素供給、典型的には天然ガスの通常負荷における作動の比率である。従って、従来のアンモニア合成プラントでは、天然ガス供給が定常であり、従って通常負荷、すなわちターンダウンが100%であるため、例えば10%のターンダウンは考慮されない。しかしながら、アンモニア合成ガスの水素が、太陽光発電、風力発電、水力発電などの再生可能エネルギー源からの電力を動力源とする水電解または蒸気電解によって製造されるグリーンアンモニア合成プラントのような動的アンモニア合成プラントでは、これらの電力源からの電力入力は、日中および季節の間に大きく変動する可能性があり、そのため、例えば10%の負荷のターンダウンが頻繁に発生し、したがって、これに対処することが非常に重要な問題となる。
【0004】
従来の天然ガスベースのアンモニア合成プラントまたはプロセスでは、通常、製造されるアンモニアを凝縮させるためにアンモニア冷却回路が採用される。したがって、製造されたアンモニアは、冷却/凝縮によって循環するアンモニア合成ガスから分離される。プラント内での不活性物質の蓄積を避けるため、少量のアンモニア含有ガス、すなわちオフガスアンモニア流がプラントから放出され、この流れは環境上の理由から洗浄塔で処理され、吸収されたアンモニアは蒸留によって回収される。
【0005】
アンモニア冷却回路における周知の作動原理は、いわゆる機械式冷蔵の使用であり、これによりアンモニアは低圧で蒸発し、低温が生成され、その結果、上流のアンモニア合成プラントの主要なプロセス流の冷却に利用される。放出されたアンモニア蒸気は、多段アンモニア圧縮機、例えば蒸気タービンによって駆動される多段遠心圧縮機で圧縮され、圧縮蒸気はアンモニア凝縮装置で冷却水または空気によって凝縮される。その結果、液体アンモニアが収集され、冷却に再利用される。例えば、標準的な、すなわち従来の天然ガスベースのアンモニア合成プラントでは、通常、アンモニア冷蔵コンプレッサーと、2つのオフガススクラバーと蒸留塔(蒸留カラム)からなるアンモニア回収装置が設けられている。
【0006】
従来、冷却は複数の圧力レベルで作動する多段式冷却コンプレッサーによって行われてきたため、アンモニア冷却回路は、高負荷時のエネルギー効率は高いが、レイアウトが複雑になり、コンプレッサーの制限により、低負荷時(または低ターンダウン比)の効率も低くなる。これは、プラント負荷が大きく変動し、コンプレッサーが蒸気駆動である場合に問題となる。プラントの全負荷時には、アンモニアプラントで副産物として生産される蒸気が、冷却コンプレッサーを作動するのに十分な量を生産するが、負荷が低下するとこれが不可能になる。したがって、従来のアンモニア合成プラントのアンモニア合成変換器から発生する熱は、通常、蒸気ボイラーで除去され、発生した過熱蒸気は、蒸気タービンでアンモニア冷蔵回路の多段コンプレッサーを駆動するか、または発電用の交流発電機を駆動するために利用することができる。しかし、蒸気タービンのターンダウンは、アンモニア合成プラント、例えばそのアンモニア合成ループのターンダウンよりも低い。そのため、アンモニア合成プラントの負荷が低い場合(例えば50%以下)、アンモニア合成プラントで生成された蒸気と下流のアンモニア冷蔵回路で使用される蒸気との間にアンバランスが生じ、その結果、この蒸気が蒸気タービンでどのように利用されるかが変化する。このため、蒸気タービンを停止し、蒸気を凝縮するために余分な動力を使用せざるを得なくなる。従来の蒸気タービンは過熱蒸気で作動されるため、蒸気発生部の一部として蒸気過熱器を含めなければならず、その結果、資本経費(CAPEX)が増加し、作動がより複雑になる。
【0007】
WO2020057818A1には、アクア/アンモニア吸収冷蔵システムおよびその改良方法が開示されている。好ましい用途は、アンモニア合成プラントのプロセスガスを冷蔵するための吸収冷蔵システムに関するものである。
【0008】
US4376758には、冷却と精製を含む、炭化水素からアンモニアを合成する方法が開示されている。0.48%という低いアンモニアを含むオフガスが、アンモニア吸収塔の最上部で引き抜かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2020057818A1
【特許文献2】US4376758
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、変動する電力供給によるアンモニア合成プラント、特にグリーンアンモニア合成プラント、すなわちアンモニア合成ガスの製造に必要な水素が再生可能エネルギー源からの電力を動力源とする水または蒸気の電気分解から得られる場合において、変動する負荷に耐えることができる堅牢なアンモニア冷却システムを提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、アンモニア合成プラントで発生するオフガスアンモニア流の改良されたアンモニア回収を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらおよびその他の目的は、本発明によって解決される。
【0013】
従って、第1の態様において、本発明は、アンモニア合成変換器および下流のアンモニア冷却システムを含むアンモニア合成プラントに関し、前記アンモニア合成変換器は、水素および窒素を含むアンモニア合成ガスを受け取り、アンモニア生成物ガス流を製造するように構成され、
ここで、前記アンモニア合成プラントは、オフガスアンモニア流を生成するように構成され、
前記アンモニア冷却システムは、以下を含む:
-アンモニア液体流を蒸発させ、アンモニア蒸気流を生成するアンモニア蒸発器;
-スクラビング剤(吸収剤)としての水の添加下で前記オフガスアンモニア流を洗浄し、水流およびアンモニア枯渇オフガス流を生成するオフガス洗浄ユニット;
-前記アンモニア蒸気流を冷却し、凝縮されたアンモニア-水流を収集するための水を含む吸収冷却ユニット;
-前記凝縮されたアンモニア-水流から
精製された水流、
前記アンモニア液体流、および、
塔頂のアンモニアガス流;
を生成するための再生ユニット:
ならびに、ここで、
-前記アンモニア蒸発器は、前記アンモニア液体流と、前記アンモニア液体流を蒸発させるための前記熱交換媒体とを受け取って、前記アンモニア蒸気流を生成するように配置され;
-記オフガス洗浄ユニット、好適にはオフガススクラビングユニットは、スクラビング剤として前記再生ユニットからの前記精製された水流、および、前記オフガスアンモニア流を受け取って、前記アンモニア枯渇オフガス流および前記水流を生成するように配置され;
-前記吸収冷却ユニットが、好適には水を含む混合容器であり、前記水流および前記アンモニア蒸気流を受け取るように配置され、それによって前記凝縮されたアンモニア-水流を生成し、収集するためのものであり、
前記吸収冷却ユニットが、冷却媒体、例えば、水を受け取るように配置されたコイルなどの冷却装置と、前記凝縮されたアンモニア-水流を取り出すための出口とをさらに含む;
-前記再生ユニットが、前記凝縮されたアンモニア-水流を受け取るように配置された蒸留塔、すなわちアンモニア回収蒸留塔であり、
前記再生ユニットが、前記精製された水流をボトム流として取り出すための出口と、塔頂のアンモニア流を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニア流から塔頂のアンモニアガス流と前記アンモニア液体流とを分離するための分離ユニット、例えばアンモニア回収塔頂のドラムとを備える。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「含む」には、「のみを含む」すなわち「からなる」も含まれる。
本明細書で使用される場合、「好適には」という用語は、「任意に」、すなわち任意の実施形態を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「第1の態様」または「本発明の第1の態様」とは、プラント(システム、装置)を意味する。「第2の態様」または「本発明の第2の態様」という用語は、方法(プロセス)を意味する。
本明細書で使用される場合、「本発明」または単に「発明」という用語は、「本出願」または単に「出願」という用語と互換的に使用することができる。
【0015】
その他の定義は、以下の実施形態の1つ以上に関連して提供される。
【0016】
一実施形態においては、アンモニア合成プラントは、前記水素を製造するための水または蒸気電解ユニットを備える。好適には、前記電解ユニットは、太陽光、風力または水力などの再生可能エネルギー源からの電力によって駆動される。任意に、前記電解ユニットは、熱核電力からの電力によって駆動される。
【0017】
水電解ユニットは、アルカリ/ポリマー電解質膜電解ユニット、すなわちアルカリ/PEM電解ユニット(アルカリ電池またはポリマー電池ユニット)である。本発明の目的おいて、アルカリ/PEM電解ユニットという用語は、アルカリおよび/またはPEM電解ユニットを意味する。蒸気電解ユニットは、固体酸化物電解セルユニット(SOECユニット)である。SOECユニットによる作動は通常、高温(700~800℃)で行われ、後者ははるかに低い温度、すなわち60~160℃の範囲で作動されるため、アルカリ/PEM電解よりも利点がある場合が多い。アルカリ/PEM電解には水が使用され、SOECには蒸気が使用されると理解されるであろう。
【0018】
「グリーンアンモニア吸収冷却」という用語は、水素を生成するために水または蒸気の電気分解が行われる、アンモニア冷却システムにおけるアンモニア生成物ガスの冷却を意味することが理解されよう。
【0019】
また、「グリーンアンモニアプラント」または「グリーンアンモニア合成プラント」という用語は、アンモニア合成ガスの水素を製造するための水または蒸気電解ユニットを備え、電解ユニットが太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギー源からの電力で駆動されるアンモニア合成プラントを意味することも理解される。任意に、前記電解ユニットは、熱核発電からの電力で駆動することもできる。
【0020】
アンモニア冷却システムは、閉鎖回路を包含し、したがって、例えば、アンモニア冷却回路とも解釈され得ることが理解されよう。用語「アンモニア冷却回路」は、用語「アンモニア冷蔵回路」と互換的に使用することができる。
【0021】
「機械式冷蔵」という用語は、「コンプレッサー駆動冷却回路」または「コンプレッサー駆動アンモニア冷却」という用語と互換的に使用されることができる。
【0022】
用語「アンモニア蒸発器」は、用語「アンモニア冷却器」または単に「冷却器」と互換的に使用される。また、「アンモニア蒸発器」または「冷却器」という用語は、1つまたは複数のアンモニア蒸発器、すなわち1つまたは複数の冷却器を意味することも理解されよう。
【0023】
他のユニットについても同様の解釈が適用されうる。例えば、「吸収冷却ユニット」という用語は、1つ以上の吸収冷却ユニットを意味する。
【0024】
好適には、アンモニア冷却システムは、直列に配置された複数のアンモニア蒸発器、すなわち複数の冷却器、例えば2つの冷却器から構成される。冷却器は、アンモニア生成物ガス中のアンモニアを凝縮させることができ、複数の冷却器を設けることで、プラントまたはプロセスのエネルギー効率を高めることができる。
【0025】
「オフガス洗浄装置」とは、オフガスからアンモニアを除去する装置を意味する。オフガス洗浄装置は、好適には洗浄塔またはスクラビング塔であり、オフガス中に存在するアンモニアを洗い流すためにスクラビング剤が使用される。「スクラビング剤」は「吸収剤」と同じ意味を持つことが理解されよう。
【0026】
「再生ユニット」という用語は、「再生器」という用語と互換的に使用される。
【0027】
「負荷」という用語は、通常作動時の負荷(100%負荷)に対する、アンモニア合成プラントでアンモニア合成を行うために使用される水素供給の割合を意味する。プラントのアンモニア生産能力は、使用される水素供給に正比例すると仮定される。したがって、10%の負荷とは、通常作動に対してアンモニア合成に使用される水素が10%であることを意味する。使用される水素は、当該技術分野でよく知られているように、水(蒸気)電解によるものである。100%の負荷は、天然ガスの供給が安定しているアンモニア合成プラントの通常作動に相当する。
【0028】
上記のように、「ターンダウン比」という用語は、単に「ターンダウン」とも呼ばれ、アンモニア合成ガスおよびそれによるアンモニア生成物ガスを生成するために使用される、典型的には天然ガスである上流の炭化水素供給物の通常の負荷量と、アンモニア合成プラントが耐えうる量との通常の負荷量との比を意味する。「通常の負荷」または「通常の作動」という用語は、負荷が100%である状態を意味することも理解されよう。したがって、100%の負荷、すなわち通常負荷は100%のターンダウンに対応し、10%の負荷は10%のターンダウンに対応する。
【0029】
ターンダウンという用語は、アンモニア合成プラントの一部、例えばユニットや装置にも適用される。従って、ターンダウンという用語は、例えば、従来のアンモニア冷蔵回路のコンプレッサーの駆動に使用される蒸気タービンにも適用される。蒸気タービンの例えば50%のターンダウンとは、蒸気タービンが許容できる量に対する通常負荷での作動の比率を意味する。
【0030】
現在では、再生可能エネルギーのみで作動するグリーンアンモニアプラントのように、大きく異なる負荷や速い負荷変動で作動するアンモニアプラントにおいては、機械式冷蔵の代わりに吸収冷却が有利であることが分かってきた、なぜなら、アンモニア冷却システムは、コンプレッサー作動冷却ユニットで利用可能なターンダウン比よりも優れた設計が可能であり、したがって、一般的なプラントの変動に従うことができるからである。
【0031】
本発明による吸収冷却は、例えばオフガス吸収などのオフガス洗浄と組み合わされ、その結果、従来のコンプレッサー駆動冷却回路に加えて従来のオフガス洗浄ユニットよりもかなり少ない数の装置ユニットを有する冷却システムレイアウトとなる。
【0032】
従来のアンモニア合成プラントにおける冷蔵のための吸収冷却の使用は知られている一方で、省エネルギーの理由から、通常は、必要な濃度の吸収器用アンモニア-水溶液を生成するためだけに作動されてきた。本発明は、少なくともアンモニアと水がほぼ純粋な成分に分離される点で異なる。したがって、アンモニア冷却システムは、精製水、すなわちアンモニアを含まない水の製造と、アンモニア液の製造の両方に適合し、その一部は追加のアンモニア製品として回収することができる。
【0033】
したがって本発明は、従来のコンプレッサー駆動の冷却回路(すなわち機械式冷蔵)と従来のオフガス吸収を1つのシステムに置き換えることを可能にする。
【0034】
本明細書で使用される「統合」という用語は、結果として生じる装置ユニットの数を大幅に減らすなど、従来の独立型ユニットまたはシステムを組み合わせる際に相乗効果をもたらすことを意味する。
【0035】
一実施形態において、前記オフガス洗浄ユニット(132)は、オフガススクラビングユニットであり、オフガス洗浄ユニット(132)は、前記再生ユニット(126)からの前記塔頂のアンモニアガス流(139)を、例えば前記オフガスアンモニア流(143)と混合して受け取るようにも配置されていることが理解されよう。
【0036】
上述のように、好適には、前記オフガスアンモニア流は、前記再生ユニットからの塔頂のアンモニアガス流も含む。従って、特定の実施形態においては、前記塔頂のアンモニアガス流を前記オフガスアンモニア流に添加混合するための接合ユニットまたは混合ユニットのような手段も提供される。こうして混合された流れは、オフガス洗浄ユニットに供給される。本出願の目的上、「接合部」という用語は「ジャンクション」を意味する。
【0037】
これにより、さらなる統合が達成される。環境上の理由から、上流のアンモニア合成プラントやアンモニア冷却システム自体からのスリップガスなど、アンモニアを含むオフガスは洗浄される必要がある。アンモニアを含むオフガスは、アンモニアを回収し、大気へのアンモニアの漏れを最小限に抑えるために、アンモニア冷却システム、より具体的には再生器のボトム流で生成された純水で洗浄(スクラビング)される。こうして生成されたオフガス洗浄ユニットからの水流は、吸収冷却装置、例えば混合容器に加えられ、下流でアンモニアを生成物として回収するとともに、精製された水をオフガス洗浄ユニットに送り返す。
【0038】
したがって、一実施形態においては、前記吸収冷却ユニットは、水を含む混合容器である。
【0039】
オフガスアンモニア流および塔頂のアンモニアガス流に存在するアンモニアは、従来のプラントまたはプロセスでは得られないレベルまで低減され、アンモニアを含有する流れがエンドユーザーに廃棄されることになるが、これは非常に望ましくない。本発明により、オフガス洗浄ユニットからのアンモニア枯渇オフガス流中のアンモニア含有量は、10ppmv未満、例えば7または5ppmvのアンモニア含有量に低減される。オフガス洗浄ユニットに入るオフガスアンモニア流は、例えば10~15%(モル%)のアンモニアを含有し、塔頂のアンモニアガス流は、例えば80~90%のアンモニアを含有しえる。
【0040】
本発明の第1の側面による実施形態においては、前記アンモニア冷却システムにおいて、アンモニア蒸発器の熱交換媒体は、前記アンモニア生成物ガス流である。
【0041】
これにより、アンモニア冷却システムは、アンモニア合成プラント内に完全に統合することができる。風力発電、太陽光発電、水力発電のような再生可能エネルギー源の断続的な性質のために変動する電力供給が内在するグリーンアンモニア合成プラントとは別に、本発明は、変動する電力供給または変動する炭化水素供給を有するあらゆるアンモニア合成プラントのアンモニア生成物ガスの冷却にも適している。
【0042】
本発明の第1の態様による実施形態においては、前記アンモニア冷却システムにおいて、前記再生ユニットは、上部セクション(I)と下部セクション(II)とを備える;
前記下部セクション(II)は
熱交換媒体を受け取るように配置された動力駆動加熱装置、および/または、再沸騰ユニット;ならびに、
前記精製された水流をボトム流として取り出すための出口;
を備え、
前記上部セクション(I)は
-凝縮されたアンモニア-水流を受け取るための入口、
-以下を含む塔頂部:
前記塔頂のアンモニア流を取り出すための出口;
前記塔頂のアンモニア流と、凝縮された塔頂のアンモニア流を生成するための水などの冷却媒体とを受け取るように配置されたアンモニア凝縮ユニット;
前記凝縮された塔頂のアンモニア流を受け取るように配置された分離ユニット、好適にはアンモニア回収ドラムであって、前記分離ユニットは、アンモニア液体フラクションを取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニアガス流を取り出すための出口とを備える、分離ユニット;
前記アンモニア液フラクションを受け取り、その一部を塔頂の還流として前記塔頂部に導くように配置された還流ポンプ;
前記アンモニア液体フラクションの残りの部分を前記アンモニア液体流として取り出すための手段。
【0043】
用語「再沸騰ユニット」は、用語「リボイラー」と互換的に使用することができる。
【0044】
「アンモニア凝縮ユニット」という用語は、「アンモニア凝縮器」という用語と互換的に使用することができる。
【0045】
「動力駆動加熱装置」という用語は、電力を動力源とする加熱エレメントを意味し、これにより電気または電気エネルギーを、例えばジュール加熱のプロセスを介して熱に変換する。
【0046】
アンモニア-水混合物は蒸留塔に送られ、塔頂のアンモニアは凝縮され、アンモニア蒸発器(チラー)での冷却に使用され、したがって、塔頂の還流はない、例えば添付される
図1に示されるような従来のアンモニア吸収システムとは異なり、これにより、
図2に示すような本発明では、塔頂の還流を実現することにより、より少ないトレイ数の蒸留塔を実現し、同時に蒸留塔の底部からの精製された水流をオフガス洗浄ユニットでスクラビング剤(例えば吸収剤)として利用することができる。
【0047】
また、従来のアンモニア吸収システムには、かなりの量の脱塩水の添加が必要であったが、本発明はそのような必要量を大幅に削減する。
【0048】
本発明の第1の態様による実施形態において、アンモニア合成プラントは、前記アンモニア冷却システムの上流に、前記アンモニア生成物ガス流を受け取るように配置され、そこから熱を回収し、蒸気を生成するための1つまたは複数の蒸気ボイラーをさらに備え、プラントは、前記蒸気の少なくとも一部を熱交換媒体として前記再沸騰ユニットすなわちリボイラーに供給するようにさらに配置される。
【0049】
リボイラーは、当該技術分野において周知のように、熱交換器、例えばチューブ・アンド・シェル熱交換器であり、再生器の底部から液体を沸騰させるのに必要な熱を供給し、再生器は好適には蒸留塔であり、アンモニアの分離を駆動するために蒸留塔に戻される蒸気を生成する。
【0050】
これにより、本発明においては、リボイラーの負荷はアンモニア製造の負荷に追従し、従って、任意のターンダウン・レベル、特に100%より十分に低い、例えば10%、すなわちアンモニア合成プラントの負荷が10%である場合にも、蒸気のバランスの取れた使用が可能になる。言い換えれば、アンモニア合成プラントで生産される蒸気とアンモニア冷却システムで使用される蒸気とのバランスを、例えば10~100%の間のあらゆる作動負荷でとることが可能となる。
【0051】
アンモニア合成プラントで発生する蒸気は、好適には、リボイラーで必要とされる圧力レベルに適合する圧力レベルで供給することができ、それによってまた、機械式冷蔵を利用する場合と少なくとも同程度の熱効率を可能にする。好適には、蒸気は中圧蒸気、例えば50バール(264℃)の蒸気である。
【0052】
さらに、ターンダウン率が50%未満、例えば30%や10%といった低いターンダウン率で作動する場合、アンモニア合成で発生した蒸気の外部利用者の利用可能性は、可能であれば、制限される。本発明は、吸収冷却を適応させるアンモニア冷却システムを、変動するアンモニアおよび蒸気生成を有する動的アンモニア合成ガスプラント、例えば、グリーンアンモニア合成プラントとリンクさせることによって、この問題もまた解決する。
【0053】
さらに、本発明は、従来のアンモニア冷却回路の運転に接続された蒸気タービンの使用を省略する。より具体的には、アンモニア冷却システムには遠心圧縮機が存在せず、通常はこのような蒸気タービンによって駆動されるため、蒸気タービンは存在しない。
【0054】
リボイラーの代わりに、あるいはリボイラーと組み合わせて、動力駆動式の加熱装置が設けられる。この加熱装置は、好適には、その底部において再生器内に適合される。これにより、前述したように、加熱装置に必要な電力を再生可能エネルギー源から供給することができるため、より高い柔軟性が達成され、何らかの理由で蒸気のリボイラー要件を満たすことができない場合、動力駆動加熱装置が再生器内で必要な熱を供給する。さらに、始動時のような一過的な条件下では、再生器は、電力によって駆動される加熱装置によってのみ作動することができる。
【0055】
本発明の第1の態様による実施形態においては、前記アンモニア冷却システムにおいて、前記アンモニア蒸発器は、パージアンモニア流を取り出すための出口をさらに備え、前記アンモニア冷却システムは、前記再生ユニットの上流に、前記パージアンモニア流を前記凝縮されたアンモニア-水流と組み合わせるための、接合ユニットまたは混合ユニットなどの手段をさらに備える。
【0056】
パージアンモニア流を取り出すための出口、すなわち液体ブローダウンが設けられているため、冷却器内に水が溜まることはない。
【0057】
好適には、アンモニア回収循環ポンプが、組み合わされた流れを再生ユニットに導く。
【0058】
一例として、冷却器からのパージ流を加えた後の凝縮されたアンモニア-水流は、例えば30~50質量%のアンモニア、例えば35、40、45質量%のアンモニアを含む流れであり、残りは水である。
【0059】
従来のシステムでは、例えば
図1に示すように、冷却器からのパージアンモニア流は蒸留塔に直接送られる。本発明のように、パージアンモニア流を凝縮アンモニア-水流と組み合わせることにより、再生器へのアンモニア-水の供給に単一のポンプが使用され、それによりエネルギー効率が向上する。アンモニア蒸発器からのパージ流は、酸性水などとして廃棄される代わりに、アンモニアだけでなく水も含み、それによって回収される。
【0060】
本発明の第1の態様による実施形態において、前記アンモニア冷却システムは、さらに以下を備える:
前記アンモニア蒸発器の上流にあり、前記アンモニア蒸発器に入る前に前記アンモニア液体流を冷却するために、前記アンモニア液体流を受け取り、熱交換媒体として水などの冷却媒体を受け取るように配置された、以下ではアフタークーラーとも呼ばれる熱交換器。
【0061】
本発明の第1の態様による実施形態において、前記アンモニア冷却システムの前記再生ユニットは、前記凝縮されたアンモニア-水流または前記パージアンモニア流を前記凝縮されたアンモニア-水流と組み合わせることから生じる流れを受け取るように配置される供給/流出熱交換器(F/E HEX)をさらに備える、これは、前記再生ユニットに入る前に、前記凝縮されたアンモニア-水流を予熱するため、または前記凝縮されたアンモニア-水流と前記パージアンモニア流とを組み合わせた結果生じる前記の流れを予熱するために、熱交換媒体として前記精製水流を受け取るように配置される。
【0062】
好適には、こうして冷却された精製された水流は、追加の熱交換器(以下、アンモニア回収冷却器ともいう)においてさらに冷却される。従って、この追加ユニットは、好適には、オフガス洗浄ユニットに入る前に前記精製水流をさらに冷却するために、前記精製された水流と、熱交換媒体としての水のような冷却媒体とを受け取るように配置される。
【0063】
F/E HEXと、好適にはアンモニア回収冷却器を備えることで、通常そのような熱交換器が必要ない場合、機械式冷蔵が代わりに使用された場合に得られるエネルギー効率に少なくとも匹敵するエネルギー効率を維持することができる。
【0064】
本発明の第1の態様による実施形態において、アンモニア冷却システムは、前記パージアンモニア流から、または前記アンモニア液体流から、過剰アンモニア生成物として排出するのに適した追加アンモニア生成物として、その一部を取り出すための導管をさらに備える。
【0065】
好適には、再生ユニットの塔頂部における前記アンモニア液体フラクション(画分)の残りの部分は、前記アンモニア液体流として取り出される。
【0066】
アンモニア吸収を使用する公知の(従来の)アンモニア冷却回路が、再生器から塔頂のアンモニアを生成し、それが凝縮されて塔頂のドラムに収集され、次いで冷却に使用され、比較的水分に富む再生器のボトム流が、次いでリサイクル流として吸収に使用されるのに対し(例えば、
図1参照)、本発明は、次いで凝縮されて塔頂のドラムに収集される再生器からの塔頂のアンモニア流を、冷却だけでなく、すなわちアンモニアで使用するだけでなく、塔頂のドラムで使用することを可能にする。本発明は、凝縮して塔頂のドラムに回収される再生器からの塔頂のアンモニア流を、冷却、すなわちアンモニア蒸発器での使用だけでなく、アンモニア製品プールの一部としても使用することを可能にし、同時に、特にグリーンアンモニア合成プラントの100%を下回る負荷変動とターンダウンに関する問題を緩和する(
図2参照)。
【0067】
さらに、アンモニア吸収を使用する従来のアンモニア冷却回路では、再生器において、典型的には約25質量%のアンモニア、75%の水に富むボトム流が生成され、このボトム流は、アンモニア冷却器からのアンモニア蒸気流と組み合わせることによって吸収器にリサイクルされるが、本発明により、本発明による再生器からの精製された水ボトム流は、75%をはるかに超える水、例えば少なくとも99%を有する、すなわち純水を有する。純水は、有利にはオフガススクラバーに使用され、脱塩水の使用など、純水の外部供給源に頼る必要性を回避する。
【0068】
第2の態様において、本発明は、水素および窒素を含むアンモニア合成ガス流からアンモニア生成物ガスを製造するための方法に関し、前記方法は、オフガスアンモニア流も製造し、該方法は、以下のステップを含む:
a) 前記水素を製造するための水または蒸気の任意の電気分解;前記電気分解は、好適には、太陽光、風力または水力発電のような再生可能エネルギー源からの電力を動力源とする;
b) アンモニア合成変換器中において、アンモニア合成ガスを前記アンモニア生成物ガスに変換するステップ;
ステップに従ってアンモニア生成物ガスを冷却するステップをさらに含む:
c) アンモニア蒸発器でアンモニア液体流を蒸発させ、熱交換媒体として前記アンモニア生成物ガスを供給してアンモニア蒸気流を生成するステップ;
d) 前記オフガスアンモニア流を、水流およびアンモニア枯渇オフガス流を生成するためのスクラビング剤(吸収剤)としての精製水流の添加下で、オフガス洗浄ユニットに供給するステップ;
e) 前記オフガス洗浄装置から前記水流を取り出し、前記アンモニア蒸気流とともに、水などの冷却媒体の供給下で吸収冷却ユニットに供給し、凝縮されたアンモニア-水流を生成して収集するステップ;
f) 前記吸収冷却ユニットから前記凝縮されたアンモニア-水流を取り出して、蒸留塔などの再生ユニットに供給し、前記アンモニア液体流、塔頂のアンモニアガス流、および精製水流を生成するステップ。
【0069】
従来のコンプレッサー駆動のアンモニア冷却回路に加えて従来のオフガス吸収ユニットと比較して、これにより、本発明の第1の態様に関連するように、吸収冷却がオフガス吸収と組み合わされ、設備ユニットの数がかなり少なく、プロセス工程が少ない、はるかに単純なプロセスレイアウトが得られる。これにより、高いプロセスおよびプラントの統合が達成される。
【0070】
再生可能エネルギーのみで作動されるグリーンアンモニアプラントのように、大きく異なる負荷や速い負荷変動で作動されるアンモニア製造の方法において、従来の通常より効率的なコンプレッサー駆動のアンモニア冷却(機械式冷蔵)ではなく、吸収式冷却を提供することで、機械式冷蔵で得られるよりも優れたターンタウン比を提供し、一般的なプラントの変動に追従することが判明した。
【0071】
本発明の第2の態様による実施形態においては、本方法はさらに以下のステップを含む:
g)前記オフガス洗浄装置に、前記塔頂のアンモニアガス流を供給するステップ。
【0072】
アンモニア合成ガスからアンモニア生成物ガスへの変換中に不活性物質が蓄積するのを避けるために上流で生成されるオフガスアンモニア流や、現在では再生ユニットで生成される塔頂のアンモニアガス流などの、アンモニアを含むプロセスおよびプラント内のスリップ流は、有利にはオフガス洗浄ユニットで処理される。これにより、エンドユーザーは、塔頂のアンモニア流を処理する方法を見出すという負担からも解放される。
【0073】
本発明の第2の態様による実施形態においては、ステップc)の前に、前記アンモニア生成物ガスは、第1に、蒸気、好適には中圧の蒸気を生成するための、1つ以上の蒸気ボイラーに通すことによって冷却され、前記ステップf)において、再生ユニットは、動力駆動式の加熱装置またはリボイリングユニットからなり、前記方法は、前記蒸気を前記再沸騰ユニットに供給することをさらに含む。
【0074】
従来、アンモニア生成物ガスの冷却が、複数の圧力レベルで作動する多段冷却コンプレッサーによって提供される場合、アンモニア冷却は、高負荷時には高いエネルギー効率で提供され得るが、低負荷時には、低負荷時の低効率を含むコンプレッサーの制限のために、複雑なプロセスとプラントレイアウトが生じることが判明している。これは、プラント負荷が大きく変動し、コンプレッサーが蒸気駆動である場合に問題となる。プラントの全負荷時には、アンモニアプラントで副産物として生産される蒸気が、アンモニア冷却コンプレッサー用のコンプレッサーを作動するのに十分な量生成されるが、低負荷時には、これは不可能である。
【0075】
今や、本発明により、生成された蒸気は、例えば再生器のリボイラーで熱交換媒体として使用するために必要な蒸気に調整することができる。コンプレッサー駆動の冷却に必要な蒸気タービンの使用を避けることができる。
【0076】
さらに、再生器内の底部に好適に適合される動力駆動式加熱装置を設けることにより、方法においてより高い柔軟性が達成される。加熱装置に必要な電力は、再生可能な資源から供給することができ、何らかの理由で蒸気のリボイラー要件を満たすことができない場合、動力駆動加熱装置は、再生器内に必要な熱を供給する。さらに、本発明の第1の態様に関連するように、始動時のような過渡的な条件下では、再生器は、電力によって駆動される加熱装置のみで作動することができる。
【0077】
本発明の第2の態様による実施形態においては、ステップc)において、パージアンモニア流(液体ブローダウン)が生成され、方法は、前記パージアンモニア流を取り出して、前記凝縮されたアンモニア-水流と組み合わせることをさらに含む。
【0078】
アンモニア蒸発器からのパージ流は、アンモニアだけでなく水も含んでおり、酸性水などとして廃棄されることなく回収される。さらに、パージアンモニア流を取り出すことで、冷却器内に水が蓄積されることもない。
【0079】
本発明の第2の態様による実施形態においては、本方法は、前記アンモニア液体流または前記パージアンモニア流(すなわち、冷却器からの液体ブローダウン)の一部を、追加のアンモニア生成物として流用することをさらに含む。これにより、いずれの流れも、過剰アンモニアの排出物として利用される。
【0080】
この方法により、単に閉鎖アンモニア冷却回路を持つ代わりに、アンモニア生成物ガスの冷却だけでなく、付加的な価値あるアンモニア生成物の生成も可能になる。例えば、一部が追加アンモニア製品として転用されるアンモニア液体流は、少なくとも99.5質量%のNH3の純度を有する。
【0081】
本発明の第1の態様による実施形態および関連する利点のいずれもが、本発明の第2の態様と共に使用され得ること、またその逆も同様であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1は、先行技術によるアンモニア冷却システム、より具体的には、先行技術による吸収冷却を備えたアンモニア冷却回路を示している。
【0083】
図2は、本発明の一実施形態による吸収冷却式アンモニア冷却システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
両図を参照すると、アンモニア冷却回路では吸収冷却が利用されている。基本原理は、アンモニア冷却器からのアンモニア蒸気を液体アンモニア-水混合液に吸収し、吸収熱を水冷で除去することである。得られた凝縮されたアンモニア-水混合液は再生器(蒸留塔)に送られ、塔頂のアンモニアが凝縮され、冷却に使用され(
図1、2)、オプションとして追加のアンモニア生成物としても使用される(
図2)一方、再生器からのボトム生成物は、アンモニア吸収に直接使用されるか(
図1)、オフガス洗浄ユニットで純水流として使用される(
図2)。
【0085】
先行技術による
図1を具体的に参照すると、アンモニア冷却回路10が示されている。アンモニア回収ドラム12からのアンモニア液体流1は、アンモニア蒸発器(チラー)16の上流にある第1の交換器14を通過し、熱交換媒体としてアンモニア蒸気流7を使用する。得られたアンモニア液体流1’は、次いで、アンモニア合成プラント(図示せず)のアンモニア合成変換器からのアンモニア生成物ガス5を使用して冷却器16で蒸発され、それによってアンモニア蒸気流7が生成される。熱交換器14で冷却されするために供給した後、アンモニア蒸気流7’は、その上部セクションIに多数のトレイ26’が配置された再生器(蒸留塔)26からの、例えば25質量%アンモニア/75質量%水といった水を多く含むボトム流25’と組み合わされる。次に、アンモニア-水混合流は、冷却装置18’および混合容器18’’からなる吸収器18に導かれる。冷却装置18’内の冷却水39は吸収熱を除去し、それにより凝縮されたアンモニア-水流15を生成し、このアンモニア-水流は混合容器18’’に供給される。凝縮されたアンモニア-水流19は、混合容器18’’から引き出され、ポンプ22を介して輸送され、再生器26からのボトム流25を熱交換媒体として使用して熱交換器24で加熱され、流れ21として再生器26に供給される。パージアンモニア流(液体ブローダウン)29は、別個のポンプ20を介して再生器26の上部に輸送される。
【0086】
再生器26は、上部Iと下部IIを含む。下部には、ボトム液33を沸騰させ、蒸留分離を駆動するための蒸気35を発生させるリボイラー28が設けられている。リボイラー28は通常、蒸気タービン(図示せず)で発生する蒸気37によって駆動される。塔頂のアンモニア流23が引き出され、水などの冷却媒体41を用いてアンモニア凝縮器30に導かれる。こうして凝縮されたアンモニア流27は、アンモニア回収ドラム12に導かれ、そこから前記アンモニア液体流1が引き抜かれ、それによってアンモニア冷却回路が閉じられる。
【0087】
同じ負荷の機械式冷蔵が使用場合、凝縮蒸気タービンによって駆動される遠心式コンプレッサーが必要となる。コンプレッサーは、熱交換器14、冷却ユニット18’と混合容器18’’を備える吸収器18、熱交換器24、リボイラー28、再生器26、ポンプ22、ポンプ20を置き換える。
【0088】
本発明において、ほぼ純粋なアンモニアを処理する冷却器において、アンモニア蒸気は低圧で沸騰し、それにより管側でアンモニア生成物ガス(任意にアンモニア合成ガス)を冷却し、部分的に凝縮させる。アンモニア蒸気は吸収器、好適にはほとんどが水を含む混合容器に送られ、水に吸収される。次に、凝縮されたアンモニアと水の混合物は、再生装置、好適には蒸留塔に送られる。純アンモニア、すなわち99質量%以上のアンモニア、例えば99.5質量%以上のアンモニアは、アンモニア液体流として冷却器にリサイクルされる。過剰アンモニアの排出は、好適には、冷却器パージ流、すなわち冷却器からの液体ブローダウンからも行われる。再生器からの精製された水は、オフガス洗浄ユニットに送られ、オフガス中のアンモニアを、例えば10ppmvアンモニア未満といった、わずかなレベルまで除去する。オフガス洗浄ユニットの底部から、水は混合容器に送られる。
【0089】
したがって、次に、本発明の実施形態に従って
図2を具体的に参照すると、アンモニア冷却システム100が示されている。下流の再生器126で塔頂の還流の流れ101’から分流されたアンモニア液体流101’’は、熱交換器114(例えば冷却水131を熱交換媒体として使用するアフタークーラー)を通過し、上流のアンモニア蒸発器(チラー)116に配置される。こうして冷却されたアンモニア液体流101
ivは、次に、アンモニア合成プラント(図示せず)のアンモニア合成変換器からのアンモニア生成物ガス105を使用して、冷却器116で蒸発される。これにより、アンモニア蒸気流107が生成され、これが冷却ユニット118’および混合容器118’’を含む吸収器118に導かれる。冷却装置118’内の冷却水139は吸収熱を除去し、それにより凝縮されたアンモニア-水流119が生成され、このアンモニア-水流は混合容器118’’から引き出され、ポンプ122を介して輸送され、再生器126からのボトム流125を熱交換媒体として用いて供給/排出熱交換器124により加熱され、流れ121として再生器126に供給される。こうして冷却された生成された水流125’は、例えば冷却水147を使用して、アンモニア回収冷却器144でさらに冷却され、流れ125’’となる。パージアンモニア流(液体ブローダウン)129は、好適には、ポンプ122を介して再生器126に輸送される前に、吸収器118からの凝縮されたアンモニア-水流119と適切に組み合わされる。余剰アンモニア129’の排出は、好適には、冷却器パージ流129からも行われる。
【0090】
再生器126は、多数のトレイ126’を含む上部セクションIと、下部セクションIIを含む。下部には、ボトム液133を沸騰させ、蒸留分離を駆動するための蒸気135を発生させるリボイラー128が設けられている。リボイラー128は、蒸気137によって駆動され、この蒸気137は、好適には、アンモニア転化器から出るアンモニア生成物ガスを冷却するための蒸気ボイラーで生成され、その結果、アンモニア生成物ガス105に供給される。再生器126の下部セクションIIは、例えばカラムの底部に適合される動力駆動加熱装置(図示せず)を備えることもできる。上部セクションIは、塔頂のセクションを含み:塔頂のアンモニア流123が引き出され、水のような冷却媒体141を用いてアンモニア凝縮器130に導かれる。こうして凝縮された塔頂のアンモニア流127は、分離ユニット112、好適にはアンモニア回収ドラムに導かれ、そこからアンモニア液体フラクション101が取り出され、塔頂のアンモニアガス流139も取り出される。還流ポンプ134が、アンモニア液体フラクション101、101’を輸送し、その一部を塔頂の還流の流れ101’’として再生器126の塔頂部に導くように配置される。前記アンモニア液体フラクションの残りの部分は、アンモニア液体流101’’として流用される。
【0091】
再生器126の下部セクションIIにおいて、リボイラー128は、アンモニア生成物ガス流から熱を回収する1つ以上の蒸気ボイラー(図示せず)で生成された蒸気137によって駆動される。これによって、アンモニア合成プラント、例えばその上流のアンモニア合成ループで生成される蒸気と、アンモニア冷却システム100で使用される蒸気とのバランスを、10~100%の間の任意の作動負荷で、あるいはそれに対応して任意のターンダウンでとることが可能になる。蒸気タービンは不要である。さらに、再生器126の塔頂部にある分離ユニット112から、アンモニア冷却器16で使用されるアンモニア液体流101’’’、101ivとは別に、過剰アンモニアの排出など、追加の生成物アンモニアとして使用される流れ101vを得ることができる。
【0092】
さらに、再生器26からのボトム流25を
図1の吸収器18にリサイクルする代わりに、少なくとも99質量%の水を含む、例えば99.98モル%以上のH
2O、例えばNH
3が50ppmv未満である100モル%H
2Oを含むボトム精製水流125、125’、125’’を、好適には塔頂のアンモニアガス流139とともに、アンモニア合成プラントで生成されるオフガスアンモニア流143からアンモニアを除去するためのオフガス洗浄ユニット132に導かれる。したがって、精製された水流125’’は、スクラビング剤として使用される。オフガス洗浄ユニット132、例えばオフガススクラバーから、水流117がボトム流として取り出され、次いで冷却器116からのアンモニア蒸気流107とともに吸収器118に送られる。オフガス洗浄ユニット132からは、清浄なオフガス流、すなわち10ppmv以下のNH
3、例えば7ppmv以下のアンモニア枯渇オフガス流145が取り出される。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア合成変換器および下流のアンモニア冷却システム(100)を含むアンモニア合成プラントであって、
ここで、前記アンモニア合成変換器は、水素および窒素を含むアンモニア合成ガスを受け取り、アンモニア生成物ガス流(105)を製造するように構成され、前記アンモニア合成プラントは、オフガスアンモニア流(143)を生成するように構成され、
ここで、前記アンモニア冷却システム(100)は、
-アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)を蒸発させ、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)であって、該アンモニア蒸発器(116)の熱交換媒体は、前記アンモニア生成物ガス流(105)である、アンモニア蒸発器(116);
-前記オフガスアンモニア流(143)をスクラビング剤としての水の添加下で洗浄し、水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するためのオフガス洗浄ユニット(132);
-前記アンモニア蒸気流(107)を冷却し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を収集するための水を含む吸収冷却ユニット(118);
-前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)から
精製された水流(125、125’、125’’)、
前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)と
塔頂のアンモニアガス流(139);
を生成するための再生ユニット(126);
を含み、
かつ、ここで、
-前記アンモニア蒸発器(116)は、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)と、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)を蒸発させるための前記熱交換媒体(105)とを受け取って、前記アンモニア蒸気流(107)を生成するように配置され;
-前記オフガス洗浄ユニット(132)、好適にはオフガススクラビングユニットは、スクラビング剤として前記再生ユニットからの前記精製された水流(125、125’、125’’)、および、前記オフガスアンモニア流(143)を受け取って、前記アンモニア枯渇オフガス流(145)および前記水流(117)を生成するように配置され;
-前記吸収冷却ユニット(118)、好適には水を含む混合容器(118’’)は、前記水流(117)および前記アンモニア蒸気流(107)を受け取るように配置され、それによって前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成および収集するためのものであり、前記吸収冷却ユニットが、冷却媒体(139)、例えば、水を受け取るように配置された冷却装置(118’)、例えばコイルと、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出すための出口とをさらに含み;
-前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るように配置された蒸留塔であり、前記再生ユニット(126)が、前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口と、塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニア流(123)から前記塔頂のアンモニアガス流(139)および前記アンモニア液体流(101)を分離するための分離ユニット(112)とを備える、
前記アンモニア合成プラント。
【請求項2】
前記水素を製造するための水または蒸気電解ユニットを備え、前記電解ユニットは、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力によって駆動され
る、請求項1に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項3】
前記オフガス洗浄ユニット(132)がオフガススクラビングユニットであり、前記オフガス洗浄ユニット(132)が、さらに、前記再生ユニット(126)からの前記塔頂のアンモニアガス流(139)を、例えば前記オフガスアンモニア流(143)と混合して受け取るように配置されている、請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項4】
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガスアンモニア流(143)に添加-混合するための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、請求項3に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項5】
前記吸収冷却ユニット(118)が、水を含む混合容器(118’’)である、請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項6】
前記アンモニア冷却装置(100)において、前記再生ユニット(126)が、上部セクション(I)と下部セクション(II)とを備え、
前記下部セクション(II)は、
熱交換媒体(137)を受け取るように配置された動力駆動加熱装置および/または再沸騰ユニット(128);ならびに
前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口;
を備え、
前記上部セクション(I)は
-凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るための入口、
-以下を含む塔頂部:
・前記塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口;
・凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を生成するための、前記塔頂のアンモニア流(123)および冷却媒体(141)、例えば、水を受け取るように配置されたアンモニア凝縮ユニット(130);
・前記凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を受け取るように配置された分離ユニット(112)、好適にはアンモニア回収ドラムであって、アンモニア液体フラクション(101)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を取り出すための出口とを備える、分離ユニット(112);
・前記アンモニア液体フラクション(101)を受け取り、その一部を塔頂の還流の流れ(101’’)として前記塔頂部に導くように配置された還流ポンプ(134);
・前記アンモニア液体フラクションの残りの部分を前記アンモニア液体流(101’’’)として取り出すための手段、
を備える、
請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項7】
請求項6に記載のアンモニア合成プラントであって、前記アンモニア冷却システム(100)の上流に、前記アンモニア生成物ガス流(105)を受け取るように配置され、そこから熱を回収し、蒸気を生成するための1つまたは複数の蒸気ボイラーをさらに備え、ここで、前記プラントが、前記蒸気の少なくとも一部を熱交換媒体(137)として前記再沸騰ユニット(128)に供給するためにさらに構成されている、アンモニア合成プラント。
【請求項8】
前記アンモニア冷却システム(100)において、前記アンモニア蒸発器(116)が、パージアンモニア流(129)を取り出すための出口をさらに備え、前記アンモニア冷却システム(100)が、前記再生ユニット(126)の上流に、前記パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせるための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項9】
前記アンモニア冷却システム(100)の前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)、または、パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることから生じる流れ(121)を受け取るように配置される供給/流出熱交換器(F/E HEX)124をさらに備え、これは、前記再生ユニット(126)に入る前に、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を予熱するため、または前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と前記パージアンモニア流(129)とを組み合わせることから生じる前記流れ(121)を予熱するために、前記精製水流(125)を熱交換媒体として受け取るためのものである、請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項10】
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記パージアンモニア流(129)から、または前記アンモニア液体流(101’’’)から、過剰アンモニア生成物として排出するのに適した追加アンモニア生成物(129’、101
v)としてその一部を取り出すための導管をさらに備える、請求項
1または2に記載のアンモニア合成プラント。
【請求項11】
水素および窒素を含むアンモニア合成ガス流からアンモニア生成物ガス(105)を製造するための方法であって、
前記方法はまた、オフガスアンモニア流(143)を製造し、
前記方法は、
a) 前記水素を製造するための水または蒸気の任意の電気分解ステップであって;前記電気分解は、好適には、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力を動力源とするステップ;
b) アンモニア合成変換器中において、アンモニア合成ガスを前記アンモニア生成物ガス(105)に変換するステップ;
を含み、
前記方法は、次のステップ:
c) 前記アンモニア生成物ガス(105)を熱交換媒体として供給しながら、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)において、アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv )を蒸発させるステップ;
d) 水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するために、スクラビング剤としての精製された水流(125、125’、125’’)の添加下で、前記オフガスアンモニア流(143)を、オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップ;
e) 前記オフガス洗浄ユニット(132)から前記水流(117)を取り出し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成し収集するために、前記アンモニア蒸気流(107)と共に、冷却媒体(139)例えば、水の供給下で、それを吸収冷却ユニット(118)に供給するステップ;
f) 前記吸収冷却ユニット(118)から前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出して再生ユニット(126)に供給し、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv)、塔頂のアンモニアガス流(139)および精製された水流(125)を生成するステップ;
に従ってアンモニア生成物ガスを冷却することをさらに含む、前記方法。
【請求項12】
g) 前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項
11または12に記載の方法であって、ステップc)の前に、前記アンモニア生成物ガス(105)が、蒸気を生成するために、1つ以上の蒸気ボイラーに通すことによって最初に冷却され、そして、ここで、前記ステップf)において、再生ユニット(126)が、動力駆動加熱装置または再沸騰ユニット(128)を含み、前記方法が、前記蒸気(137)を前記再沸騰ユニット(128)に供給することをさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項
11または12に記載の方法であって、ステップc)において、パージアンモニア流(129)が生成され、当該方法が、前記パージアンモニア流(129)を取り出して、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項
11または12に記載の方法であって、前記アンモニア液体流(101’’)または前記パージアンモニア流(129)の一部を、追加のアンモニア生成物(101
v、129’)として流用することをさらに含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
さらに、再生器26からのボトム流25を
図1の吸収器18にリサイクルする代わりに、少なくとも99質量%の水を含む、例えば99.98モル%以上のH
2O、例えばNH
3が50ppmv未満である100モル%H
2Oを含むボトム精製水流125、125’、125’’を、好適には塔頂のアンモニアガス流139とともに、アンモニア合成プラントで生成されるオフガスアンモニア流143からアンモニアを除去するためのオフガス洗浄ユニット132に導かれる。したがって、精製された水流125’’は、スクラビング剤として使用される。オフガス洗浄ユニット132、例えばオフガススクラバーから、水流117がボトム流として取り出され、次いで冷却器116からのアンモニア蒸気流107とともに吸収器118に送られる。オフガス洗浄ユニット132からは、清浄なオフガス流、すなわち10ppmv以下のNH
3、例えば7ppmv以下のアンモニア枯渇オフガス流145が取り出される。
本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
アンモニア合成変換器および下流のアンモニア冷却システム(100)を含むアンモニア合成プラントであって、
ここで、前記アンモニア合成変換器は、水素および窒素を含むアンモニア合成ガスを受け取り、アンモニア生成物ガス流(105)を製造するように構成され、前記アンモニア合成プラントは、オフガスアンモニア流(143)を生成するように構成され、
ここで、前記アンモニア冷却システム(100)は、
-アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)を蒸発させ、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)であって、該アンモニア蒸発器(116)の熱交換媒体は、前記アンモニア生成物ガス流(105)である、アンモニア蒸発器(116);
-前記オフガスアンモニア流(143)をスクラビング剤としての水の添加下で洗浄し、水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するためのオフガス洗浄ユニット(132);
-前記アンモニア蒸気流(107)を冷却し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を収集するための水を含む吸収冷却ユニット(118);
-前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)から
精製された水流(125、125’、125’’)、
前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)と
塔頂のアンモニアガス流(139);
を生成するための再生ユニット(126);
を含み、
かつ、ここで、
-前記アンモニア蒸発器(116)は、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)と、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)を蒸発させるための前記熱交換媒体(105)とを受け取って、前記アンモニア蒸気流(107)を生成するように配置され;
-前記オフガス洗浄ユニット(132)、好適にはオフガススクラビングユニットは、スクラビング剤として前記再生ユニットからの前記精製された水流(125、125’、125’’)、および、前記オフガスアンモニア流(143)を受け取って、前記アンモニア枯渇オフガス流(145)および前記水流(117)を生成するように配置され;
-前記吸収冷却ユニット(118)、好適には水を含む混合容器(118’’)は、前記水流(117)および前記アンモニア蒸気流(107)を受け取るように配置され、それによって前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成および収集するためのものであり、前記吸収冷却ユニットが、冷却媒体(139)、例えば、水を受け取るように配置された冷却装置(118’)、例えばコイルと、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出すための出口とをさらに含み;
-前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るように配置された蒸留塔であり、前記再生ユニット(126)が、前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口と、塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニア流(123)から前記塔頂のアンモニアガス流(139)および前記アンモニア液体流(101)を分離するための分離ユニット(112)とを備える、
前記アンモニア合成プラント。
[項目2]
前記水素を製造するための水または蒸気電解ユニットを備え、前記電解ユニットは、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力によって駆動されるこ、項目1に記載のアンモニア合成プラント。
[項目3]
前記オフガス洗浄ユニット(132)がオフガススクラビングユニットであり、前記オフガス洗浄ユニット(132)が、さらに、前記再生ユニット(126)からの前記塔頂のアンモニアガス流(139)を、例えば前記オフガスアンモニア流(143)と混合して受け取るように配置されている、項目1~2のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
[項目4]
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガスアンモニア流(143)に添加-混合するための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、項目3に記載のアンモニア合成プラント。
[項目5]
前記吸収冷却ユニット(118)が、水を含む混合容器(118’’)である、項目1~4のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
[項目6]
前記アンモニア冷却装置(100)において、前記再生ユニット(126)が、上部セクション(I)と下部セクション(II)とを備え、
前記下部セクション(II)は、
熱交換媒体(137)を受け取るように配置された動力駆動加熱装置および/または再沸騰ユニット(128);ならびに
前記精製された水流(125)をボトム流として取り出すための出口;
を備え、
前記上部セクション(I)は
-凝縮されたアンモニア-水流(119、121)を受け取るための入口、
-以下を含む塔頂部:
・前記塔頂のアンモニア流(123)を取り出すための出口;
・凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を生成するための、前記塔頂のアンモニア流(123)および冷却媒体(141)、例えば、水を受け取るように配置されたアンモニア凝縮ユニット(130);
・前記凝縮された塔頂のアンモニア流(127)を受け取るように配置された分離ユニット(112)、好適にはアンモニア回収ドラムであって、アンモニア液体フラクション(101)を取り出すための出口と、前記塔頂のアンモニアガス流(139)を取り出すための出口とを備える、分離ユニット(112);
・前記アンモニア液体フラクション(101)を受け取り、その一部を塔頂の還流の流れ(101’’)として前記塔頂部に導くように配置された還流ポンプ(134);
・前記アンモニア液体フラクションの残りの部分を前記アンモニア液体流(101’’’)として取り出すための手段、
を備える、
項目1~5のいずれかに記載のアンモニア合成プラント。
[項目7]
項目6に記載のアンモニア合成プラントであって、前記アンモニア冷却システム(100)の上流に、前記アンモニア生成物ガス流(105)を受け取るように配置され、そこから熱を回収し、蒸気を生成するための1つまたは複数の蒸気ボイラーをさらに備え、ここで、前記プラントが、前記蒸気の少なくとも一部を熱交換媒体(137)として前記再沸騰ユニット(128)に供給するためにさらに構成されている、アンモニア合成プラント。
[項目8]
前記アンモニア冷却システム(100)において、前記アンモニア蒸発器(116)が、パージアンモニア流(129)を取り出すための出口をさらに備え、前記アンモニア冷却システム(100)が、前記再生ユニット(126)の上流に、前記パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせるための手段、例えば、接合ユニットまたは混合ユニットをさらに備える、項目1~7のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
[項目9]
前記アンモニア冷却システム(100)の前記再生ユニット(126)が、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)、または、パージアンモニア流(129)を前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることから生じる流れ(121)を受け取るように配置される供給/流出熱交換器(F/E HEX)124をさらに備え、これは、前記再生ユニット(126)に入る前に、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を予熱するため、または前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と前記パージアンモニア流(129)とを組み合わせることから生じる前記流れ(121)を予熱するために、前記精製水流(125)を熱交換媒体として受け取るためのものである、項目1~8のいずれか1つに記載のアンモニア合成プラント。
[項目10]
前記アンモニア冷却システム(100)が、前記パージアンモニア流(129)から、または前記アンモニア液体流(101’’’)から、過剰アンモニア生成物として排出するのに適した追加アンモニア生成物(129’、101
v
)としてその一部を取り出すための導管をさらに備える、項目1~9のいずれかに記載のアンモニア合成プラント。
[項目11]
水素および窒素を含むアンモニア合成ガス流からアンモニア生成物ガス(105)を製造するための方法であって、
前記方法はまた、オフガスアンモニア流(143)を製造し、
前記方法は、
a) 前記水素を製造するための水または蒸気の任意の電気分解ステップであって;前記電気分解は、好適には、再生可能エネルギー源、例えば、太陽光、風力または水力からの電力を動力源とするステップ;
b) アンモニア合成変換器中において、アンモニア合成ガスを前記アンモニア生成物ガス(105)に変換するステップ;
を含み、
前記方法は、次のステップ:
c) 前記アンモニア生成物ガス(105)を熱交換媒体として供給しながら、アンモニア蒸気流(107)を生成するためのアンモニア蒸発器(116)において、アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)を蒸発させるステップ;
d) 水流(117)およびアンモニア枯渇オフガス流(145)を生成するために、スクラビング剤としての精製された水流(125、125’、125’’)の添加下で、前記オフガスアンモニア流(143)を、オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップ;
e) 前記オフガス洗浄ユニット(132)から前記水流(117)を取り出し、凝縮されたアンモニア-水流(119)を生成し収集するために、前記アンモニア蒸気流(107)と共に、冷却媒体(139)例えば、水の供給下で、それを吸収冷却ユニット(118)に供給するステップ;
f) 前記吸収冷却ユニット(118)から前記凝縮されたアンモニア-水流(119)を取り出して再生ユニット(126)に供給し、前記アンモニア液体流(101、101’、101’’’、101
iv
)、塔頂のアンモニアガス流(139)および精製された水流(125)を生成するステップ;
に従ってアンモニア生成物ガスを冷却することをさらに含む、前記方法。
[項目12]
g) 前記塔頂のアンモニアガス流(139)を前記オフガス洗浄ユニット(132)に供給するステップをさらに含む、項目11に記載の方法。
[項目13]
項目11~12のいずれか1つに記載の方法であって、ステップc)の前に、前記アンモニア生成物ガス(105)が、蒸気を生成するために、1つ以上の蒸気ボイラーに通すことによって最初に冷却され、そして、ここで、前記ステップf)において、再生ユニット(126)が、動力駆動加熱装置または再沸騰ユニット(128)を含み、前記方法が、前記蒸気(137)を前記再沸騰ユニット(128)に供給することをさらに含む、方法。
[項目14]
項目11~13のいずれか1つに記載の方法であって、ステップc)において、パージアンモニア流(129)が生成され、当該方法が、前記パージアンモニア流(129)を取り出して、前記凝縮されたアンモニア-水流(119)と組み合わせることをさらに含む、方法。
[項目15]
項目11~14のいずれか1つに記載の方法であって、前記アンモニア液体流(101’’)または前記パージアンモニア流(129)の一部を、追加のアンモニア生成物(101
v
、129’)として流用することをさらに含む、方法。
【国際調査報告】