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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】内視鏡エレベータアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61B1/00 711
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546282
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-09-18
(86)【国際出願番号】 US2023061920
(87)【国際公開番号】W WO2023150670
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/307,381
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ダノティヤ、アディティア
(72)【発明者】
【氏名】ラウト、シュリカント バサン
(72)【発明者】
【氏名】アスワサ ナーラーヤナ、バラージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルドン、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ボーミック、ナバルン
(72)【発明者】
【氏名】モリー、スボード
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF12
4C161FF32
4C161HH32
4C161HH36
(57)【要約】
医療デバイスは、ハンドル本体と、ハンドル本体に結合された可撓性のシャフトと、シャフトの遠位端に結合され、可動要素を含む遠位先端と、ハンドル本体に結合され、作動時に可動要素を移動させるように構成されたアクチュエータとを備え、アクチュエータは、各々が使用者の指による接触のために構成された外側接触面を有する第1の接触要素を含み、外側接触面の各々は、指とアクチュエータとの間の複数の接触位置を提供するために、他の外側接触面に対して角度付けられるか凹んでいるかの少なくとも一方である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル本体と、
前記ハンドル本体の遠位端に結合された可撓性のシャフトと、
前記シャフトの遠位端に結合され、可動要素を含む遠位先端と、
前記ハンドル本体に結合され、作動時に前記可動要素を移動させるように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、各々が使用者の指による接触のために構成された外側接触面を有する第1の接触要素を含み、前記外側接触面の各々は、前記指と前記アクチュエータとの間の複数の接触位置を提供するために、他の外側接触面に対して角度付けられるか凹んでいるかのうちの少なくとも一方である、アクチュエータと、を備える医療デバイス。
【請求項2】
前記外側接触面の各々は、前記医療デバイスの近位から遠位への軸線に対して横断方向に延在する直線状の突起を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記外側接触面は、中心接触面と、前記中心接触面の近位にある近位接触面と、前記中心接触面の遠位にある遠位接触面とを含み、前記中心接触面は、前記近位接触面および前記遠位接触面に対して半径方向外側に突出する、請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記近位接触面は、前記中心接触面に対して前記ハンドル本体に向かって内側に角度付けられており、前記遠位接触面は、前記中心接触面に対して前記ハンドル本体に向かって内側に角度付けられており、近位接触面の端は、前記中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられており、前記遠位接触面の端は、前記中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられている、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記中心接触面の第1の端は、前記近位接触面の上に張り出して、前記中心接触面と前記近位接触面との間に第1の間隙を画定し、前記中心接触面の第2の端は、前記底部接触面の上に張り出して、前記中心接触面と前記遠位接触面との間に第2の間隙を画定する、請求項3または4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの前記第1の接触要素の半径方向内面に結合された第1の端と、リングに結合された第2の端とを有するコネクタをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記リングは、前記アクチュエータを前記ハンドル本体に結合し、前記医療デバイスの遠位端を関節運動させるための前記医療デバイスの構造を取り囲む中央開口部を画定する、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記リングは、前記医療デバイスの前記遠位端を関節運動させるための前記構造の周りを回転する、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの第2の接触要素の半径方向内面に結合された第1の端と、前記第1のコネクタが前記リングに結合される位置とは反対の前記リング上の位置で前記リングに結合された第2の端とを有する第2のコネクタを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1の接触要素および前記第2の接触要素は、前記第1の接触要素に手の親指で接触する使用者が、前記第2の接触要素に前記手の別の指で接触し得るように、前記ハンドル本体に対して位置付けられる、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記第1の接触要素を押し上げることおよび押し下げることのうちの一方と同時に、前記第2の接触要素を押し上げることおよび押し下げることのうちの他方をすることによって、前記ハンドル本体の周りで前記アクチュエータが回転される、請求項9または10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第2の接触要素は、近位部分と遠位部分とを含み、前記近位部分は、前記遠位部分に対して半径方向外側に突出する、請求項9~11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記第2の接触要素の前記近位部分および前記遠位部分の各々は、凸状である半径方向外側接触面を含み、前記第1の接触要素の前記近位接触面、前記遠位接触面、および前記中心接触面の各々は、凸状である、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記第1の接触要素の前記近位接触面および前記遠位接触面の各々は凹状である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記可動要素は、前記遠位先端の一部の周りを枢動し、前記遠位先端に対して複数の角度で前記遠位先端からツールを送達するように構成された、エレベータである、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、医療デバイスのエレベータアクチュエータに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、他の態様の中でもとりわけ、内視鏡または他の医療デバイスのためのエレベータアクチュエータタイプに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography;ERCP)処置中の総胆管のカニューレ挿入中に、医療専門家は、親指を使用して内視鏡のエレベータアクチュエータを操作し、例えば所望の管へのガイドワイヤのアクセスを容易にする。カニューレ挿入中、医療専門家は、親指でエレベータアクチュエータを上下に動かして内視鏡の遠位先端(エレベータ)を関節運動させることによって、エレベータアクチュエータを操作する。乳頭に対する内視鏡のエレベータの所望の角度位置が確立されると、医療専門家は、所望の角度位置を維持するためにエレベータアクチュエータを所定の位置に保持しなければならない。
【0003】
現在のエレベータアクチュエータを用いた総胆管のカニューレ挿入は、最も経験豊富な医療専門家にさえも技術的課題を示す。例えば、より小さい手の医療専門家は、例えば、内視鏡ハンドルのグリップを保持しながら、同時にエレベータアクチュエータに到達することが困難である場合がある。さらに、エレベータアクチュエータに到達することが困難であると、エレベータアクチュエータの操作が非効率的になる可能性がある。これは、医療専門家が内視鏡のエレベータの所望の角度位置を確立するのにかかる時間を増加させ、ERCP処置時間全体を増加させ得る。ERCP処置中の反復的な親指の動きは、筋骨格傷害の一因となり得る。加えて、内視鏡処置に典型的な蛇行位置では、作動力をアクチュエータからエレベータに伝達するための内視鏡の内側のワイヤ機構は固くなり得、付加的労力が、エレベータアクチュエータを移動させるために要求される場合がある。人間工学を改善するエレベータアクチュエータを有する内視鏡および他の医療デバイスは、これらまたは他の問題のうちの1つ以上に対処するのに役立ち得る。
【発明の概要】
【0004】
例によれば、医療デバイスは、ハンドル本体と、ハンドル本体の遠位端に結合された可撓性のシャフトと、シャフトの遠位端に結合され、可動要素を含み得る遠位先端と、ハンドル本体に結合され、作動時に可動要素を移動させるように構成されたアクチュエータとを備えてもよく、アクチュエータは、各々が使用者の指による接触のために構成された外側接触面を有する第1の接触要素を含んでもよく、外側接触面の各々は、指とアクチュエータとの間の複数の接触位置を提供するために、他の外側接触面に対して角度付けられるか凹んでいるかの少なくとも一方である。
【0005】
別の例では、各外側接触面は、医療デバイスの近位から遠位への軸線に対して横断方向に延在する直線状の突起を含んでもよい。外側接触面は、中心接触面と、中心接触面の近位にある近位接触面と、中心接触面の遠位にある遠位接触面とを含んでもよく、中心接触面は、近位接触面および遠位接触面に対して半径方向外側に突出する。近位接触面は、中心接触面に対してハンドル本体に向かって内側に角度付けられてもよく、遠位接触面は、中心接触面に対してハンドル本体に向かって内側に角度付けられてもよく、近位接触面の端は、中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられてもよく、遠位接触面の端は、中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられてもよい。中心接触面の第1の端は、近位接触面の上に張り出して、中心接触面と近位接触面との間に第1の間隙を画定してもよく、中心接触面の第2の端は、底部接触面の上に張り出して、中心接触面と遠位接触面との間に第2の間隙を画定する。アクチュエータは、アクチュエータの第1の接触要素の半径方向内面に結合された第1の端と、リングに結合された第2の端とを有するコネクタをさらに含んでもよい。リングは、アクチュエータをハンドル本体に結合してもよく、医療デバイスの遠位端を関節運動させるための医療デバイスの構造を取り囲む中央開口を画定する。リングは、医療デバイスの遠位端を関節運動させるための構造の周りを回転してもよい。アクチュエータは、アクチュエータの第2の接触要素の半径方向内面に結合された第1の端と、第1のコネクタがリングに結合される位置とは反対のリング上の位置でリングに結合された第2の端とを有する第2のコネクタを含んでもよい。第1の接触要素および第2の接触要素は、第1の接触要素に手の親指で接触する使用者が、第2の接触要素をその手の別の指で接触し得るように、ハンドル本体に対して位置付けられてもよい。第1の接触要素を押し上げることおよび押し下げることのうちの一方と同時に、第2の接触要素を押し上げることおよび押し下げることのうちの他方をすることが、ハンドル本体の周りでアクチュエータを回転させてもよい。第2の接触要素は、近位部分と遠位部分とを含んでもよく、近位部分は、遠位部分に対して半径方向外側に突出してもよい。第2の接触要素の近位部分および遠位部分の各々は、凸状であってもよい半径方向外側接触面を含んでもよく、第1の接触要素の近位接触面、遠位接触面、および中心接触面の各々は、凸状であってもよい。第1の接触要素の近位接触面および遠位接触面の各々は凹状であってもよい。可動要素は、遠位先端の一部の周りを枢動し、遠位先端に対して複数の角度で遠位先端からツールを送達するように構成された、エレベータであってもよい。
【0006】
一例によれば、医療デバイスは、ハンドル本体と、ハンドル本体の遠位端に結合された可撓性のシャフトと、シャフトの遠位端に結合された遠位先端であって、遠位先端の一部の周りで枢動し、遠位先端に対して複数の角度で遠位先端からツールを送達するように構成されたエレベータを含み得る遠位先端と、ハンドル本体に結合され、作動時にエレベータを枢動させるように構成されたアクチュエータとを含んでもよく、アクチュエータは、ハンドル本体から半径方向外側に延在し、近位-遠位方向に長手方向に延在する接触要素であって、近位接触面、遠位接触面、ならびに近位接触面と遠位接触面との間にあり、近位接触面および遠位接触面に対して半径方向外側に突出する中央接触面を含み得る接触要素と、接触要素の内面に結合された第1の端およびリングに結合された第2の端を有するコネクタとを備えてもよく、リングは、可撓性のシャフトの遠位端を関節運動させるための構造を取り囲む開口部を有する。近位接触面、遠位接触面、および中心接触面の各々は、医療デバイスの近位から遠位への軸線に対して横断方向に延在する直線状の突起を含んでもよい。アクチュエータは、第2の接触要素の内面に結合された第1の端と、第1のコネクタがリングに結合される位置とは反対でリングに結合された第2の端とを有する第2のコネクタを含んでもよい。
【0007】
一例によれば、医療デバイスは、ハンドル本体と、ハンドル本体の遠位端に結合された可撓性のシャフトと、シャフトの遠位端に結合された遠位先端であって、遠位先端の一部の周りを枢動し、遠位先端に対して複数の角度で遠位先端からツールを送達するように構成されたエレベータを含み得る遠位先端と、ハンドル本体に結合され、作動時にエレベータを枢動させるように構成されたアクチュエータとを含んでもよく、アクチュエータは、ハンドル本体から半径方向外側に延在し、比較的平坦な中央部分と、中央部分に対して角度が付けられるとともに凹んだ頂部リッジと、中央部分に対して角度が付けられるとともに凹んだ底部リッジとを備えてもよい。中央部分は中央接触面を含んでもよく、頂部リッジは近位接触面を含んでもよく、底部リッジは遠位接触面を含んでもよく、近位接触面は、中心接触面に対してハンドル本体に向かって内側に角度付けられてもよく、遠位接触面は、中心接触面に対してハンドル本体に向かって内側に角度付けられてもよく、近位接触面の端は、中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられてもよく、遠位接触面の端は、中心接触面の対応する端に対して凹んでいるとともに角度付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の趣旨を説明する役割を果たす。
図1A】本開示の態様による、例示的な内視鏡の斜視図である。
図1B】本開示の態様による、例示的な内視鏡の斜視図である。
図2A】本開示の態様による、例示的な内視鏡を保持する使用者の手の斜視図である。
図2B】本開示の態様による、例示的な内視鏡を保持する使用者の手の斜視図である。
図3A】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図3B】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図3C】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図4A】本開示の態様による、例示的な内視鏡を保持する使用者の手の斜視図である。
図4B】本開示の態様による、例示的な内視鏡を保持する使用者の手の斜視図である。
図5】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図6A】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図6B】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図6C】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図6D】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図7】本開示の態様による、例示的な内視鏡を保持する使用者の手の斜視図である。
図8A】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
図8B】本開示の態様による、例示的なエレベータアクチュエータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一または類似の部分を参照するために、図面全体を通して同一または類似の参照番号が使用される。「遠位」という用語は、デバイスを患者に導入するときに使用者から最も遠い部分を指す。反対に、「近位」という用語は、デバイスを患者内に配置するときに使用者に最も近い部分を指す。本出願に含まれる図全体を通して、「P」および「D」と標識された矢印は、図中の近位方向および遠位方向を示すために使用される。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むわけではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。さらに、例えば、「約」、「実質的に」、「およそ」などの相対的な用語は、記載された数値または範囲の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0010】
図1Aおよび図1Bは、例示的な内視鏡101の斜視図を示す。内視鏡101は、ハンドルアセンブリ106と、可撓性の管状シャフト108とを含んでもよい。ハンドルアセンブリ106は、生検ポート102と、生検キャップ103と、画像取込ボタン104と、エレベータアクチュエータ107と、第1の係止レバー109と、第2の係止レバー110と、第1の制御ノブ112と、第2の制御ノブ114と、吸引ボタン116と、空気/水ボタン118と、ハンドル本体120と、アンビリカス(umbilicus)105とを含んでもよい。内視鏡101のアクチュエータ、エレベータ、ノブ、レバー、ポート、またはキャップのうちのいずれかは、任意の目的を果たしてもよく、本明細書で使用される各構成要素の個別の命名によって意味され得る、任意の特定の使用によって限定されない。アンビリカス105は、ハンドル本体120から、制御ユニット、給水、または真空源等の補助デバイスまで延在してもよい。したがって、アンビリカス105は、内視鏡101と制御ユニットとの間で信号を伝送することで、内視鏡101の照明および撮像構成要素を制御し、かつ/または内視鏡101から画像データを受信することができる。アンビリカス105はまた、給水および/または吸引からシャフト108の遠位先端119へ灌注のための流体を提供することができる。ボタン116および118は、それぞれ、吸引および流体供給のための弁を制御する。
【0011】
シャフト108は、遠位先端119を上方向、下方向、左方向、および/または右方向に偏向させるための関節セクション122を含んでもよい。ノブ112および114は、そのような偏向を制御するために使用されてもよく、係止レバー109および110は、それぞれ、ノブ112および114を所望の位置に係止し得る。ハンドル本体120は、テーパ状であってもよく、ハンドル本体120の外形がその近位端よりもその遠位端においてより小さくなるように、ハンドルアセンブリ106が遠位に延在するにつれて細くなってもよい。
【0012】
遠位先端119は、撮像デバイス124(例えば、カメラ)と、光源126(例えば、LEDまたは光ファイバ)とを含んでもよい。遠位先端119は、横向きであってもよい。すなわち、撮像デバイス124および光源126は、シャフト108および遠位先端119の長手方向軸線に対して半径方向外側に、垂直に、略垂直に、または別様に横断方向に面してもよい。
【0013】
遠位先端119はまた、内視鏡101の作業チャネル内に挿入されるツールの配向を変化させるためのエレベータ128を含んでもよい。エレベータ128は、代替的に、揺動スタンド、枢動スタンド、上昇ベース、または任意の適切な他の用語で呼ばれ得る。エレベータ128は、例えば、ハンドルアセンブリ106上のエレベータアクチュエータ107からシャフト108を通ってエレベータ128まで延在する作動ワイヤまたは別の制御要素を介して枢動可能であってもよい。
【0014】
内視鏡という用語が本明細書で使用され得るが、十二指腸鏡、結腸鏡、尿管鏡、気管支鏡、腹腔鏡、シース、カテーテル、または任意の他の好適な送達デバイスもしくは医療デバイスを含むが、それらに限定されない、他のデバイスが、本開示のデバイスと関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0015】
本開示の実施形態は、エレベータアクチュエータの人間工学および有用性を改善し、非限定的な例示的な利点として、他の態様の中でも、医療専門家の親指にかかる負担を低減するのに役立ち、内視鏡の遠位先端の制御を改善し、手のサイズが異なる医療専門家の間での内視鏡の適合性を高める。様々な実施形態では、エレベータアクチュエータは、ハンドル本体の一部の周りを枢動または回転する。エレベータアクチュエータは、使用者がアクチュエータに力を加えるために、例えば親指を介して個々にまたは同時に接触することができる複数の半径方向最外面を含む。これらの半径方向最外面は、互いに別個であり、例えば、互いに対して角度を付けられ、かつ/または凹んでいてもよい。
【0016】
図2Aおよび図2Bは、内視鏡101のハンドルアセンブリ106を把持する例示的な使用者の左手201の斜視図を示す。使用者の左手201の第1の位置(図2Aに示す)では、使用者の親指202は、典型的なエレベータアクチュエータ107の下に位置する。使用者の親指202とアンビリカス105との間には空間が存在する。使用者の親指202は、エレベータアクチュエータ107および画像取込ボタン104を操作するために使用され得る。使用者の左手201の第2の位置(図2Bに示す)では、使用者の親指202は、エレベータアクチュエータ107を覆っている。第2の位置では、使用者の親指202は、アンビリカス105に接触してもよい。使用者の人差し指204は、吸引ボタン116に接触し、および/または吸引ボタン116を操作するために使用されてもよい。使用者の中指206は、空気/水ボタン118に接触し、および/または空気/水ボタン118を操作するために使用されてもよい。図2Aおよび図2Bに示されるように、エレベータアクチュエータ107の長さは、使用者の左手201によってハンドルアセンブリ106の任意の所与の把持位置からアクセスされるほど十分に長くない場合がある。例えば、左手201が小さい使用者の親指202は、人差し指204で吸引ボタン116を操作するとき、および/または中指206で空気/水ボタン118を操作するときに、エレベータアクチュエータ107にアクセスするのが困難な場合がある。別の例として、左手201が大きい使用者は、エレベータアクチュエータ107の操作中にアンビリカス105の適切な支持を得ない場合がある。
【0017】
図3A~3Cは、例示的な長い中央アクセス可能なエレベータアクチュエータ306の斜視図を示す。エレベータアクチュエータ306は、第1の制御ノブ112の下から半径方向外側に延在し、次いでハンドル本体120の外面の周りで湾曲して側方延在部311に至る、延在部307を含んでもよい。側方延在部311は、その終端自由端313とアンビリカス105との間に最小限の空間を伴って、側方に延在してもよい。側方延長部分311は、典型的なエレベータアクチュエータと比較してその付加的な長さにより、使用者が人差し指204で吸引ボタン116を操作しているとき、および/または中指206で空気/水ボタン118を操作しているときでも、使用者の親指202がエレベータアクチュエータ306により容易にアクセスできるようにすることができる。エレベータアクチュエータ306は、ハンドル本体120の外面を越えて延在し、エレベータアクチュエータ306の内面とハンドル本体120の外面との間に間隙を形成してもよい。いくつかの例では、エレベータアクチュエータ306は、プラスチックおよび/もしくはゴム材料、または任意の他の適切な材料で作製されてもよい。エレベータアクチュエータ306は、その外面にグリップ線308を含んでもよい。各グリップ線308は、グリップ線308を有する外面の隣接部分から外側に延在する細い直線状の突起であってもよい。各グリップ線308は、近位/遠位方向に対して左右に、横断方向に、または実質的に垂直に延在してもよい。グリップ線308は、使用者の手の手袋とエレベータアクチュエータ306との間の摩擦を増加させ得る。グリップ線308は、その外面に鋭いリブを含むエレベータアクチュエータと比較して、使用者の親指202の表面領域に対する挟み込みおよび/または突き刺し効果を低減し得る。
【0018】
エレベータアクチュエータ306は、(グリップ線308を除いて)比較的平坦/平面である中央領域314と、頂部リッジ310と、底部リッジ312とを含んでもよい。頂部リッジ310の外向き表面は、中央領域314の外向き表面に対して、ハンドル本体120に向かって内側に角度を付けられてもよい。頂部リッジ310の両端(自由端およびノブ112に最も近い端)は、中央領域314の対応する端(自由端313を含む)に対して凹んでおり、かつ角度が付けられてもよい。底部リッジ312の外向き表面は、中央領域314の外向き表面に対して、ハンドル本体120に向かって内側に角度を付けられてもよい。底部リッジ312の両端(自由端およびノブ112に最も近い端)は、中央領域314の対応する端(自由端313を含む)に対して凹んでおり、かつ角度が付けられてもよい。中央領域314、頂部リッジ310、および底部リッジ312の各々は、グリップ線308を含んでもよい。使用者は、親指202の先端領域または遠位指節間(DIP)関節でエレベータアクチュエータの底部リッジ312を上方に押すことによって、エレベータアクチュエータ306を上方に移動させることができる。使用者は、親指202の先端領域またはDIP関節でエレベータアクチュエータ306の頂部リッジ310を下方に押すことによって、エレベータアクチュエータ306を下方に移動させることができる。別の例では、使用者は、親指202の先端領域またはDIP関節でエレベータアクチュエータ306の中央平坦領域314を上方または下方に押すことによって、エレベータアクチュエータ306を上方または下方に移動させることができる。エレベータアクチュエータ306の頂面316は、平坦で、かつ滑らかなテクスチャを有してもよい。エレベータアクチュエータ306の底面(図示せず)は、頂面316と実質的に同様であってもよい。本開示の実施形態における構造の修飾語としての「頂部」または「上部」、および「底部」または「下部」などの用語の使用は、内視鏡が図に示される位置などの使用中の典型的な位置にあるときのその構造の相対位置を指す。
【0019】
図4Aおよび図4Bは、内視鏡101のハンドルアセンブリ106を把持する例示的な使用者の左手201の斜視図を示す。使用者の人差し指204および中指206は、吸引ボタン116および空気/水ボタン118を操作するために使用されてもよい。使用者は、左手201の親指202をエレベータアクチュエータ107の上に位置付け、親指202を下方に移動させることによって、エレベータアクチュエータ107を円軌道に沿って第1の位置(図4Aに示される)から第2の位置(図4Bに示される)に移動させてもよい。図4Bに示されるように、使用者の手のひら208は、親指202が第1の位置から第2の位置に移動したとき、ハンドル本体120から離れるように移動し得る。使用者の手のひら208とハンドル本体120との間に空間が形成され得る。使用者の手のひら208がハンドル本体120から離れるように移動するとき、使用者は、アンビリカス105の支持およびハンドル本体120に対する把持力を失い得る。
【0020】
図5は、内視鏡101のハンドルアセンブリ106の別の部分に結合された例示的な延長されたエレベータアクチュエータ506の斜視図を、内視鏡101の残りの部分に結合されていないエレベータアクチュエータ506の分解図とともに示す。エレベータアクチュエータ506は、中央本体要素508と、中央本体要素508から凹んだ頂部延長要素510および底部延長要素512とを有する接触アーム507を含んでもよい。中心本体要素508は、要素510および512に対して、ハンドル本体120からさらに外側に突出する。接触アーム507は、ハンドル本体120の長手方向軸線に概ね平行な上下方向に長手方向に延在する。換言すれば、接触アーム507は、近位/遠位方向に、その方向に垂直な幅よりも大きい長さを有する。接触アーム507は、内視鏡の使用者に向かって凸状になるように湾曲している。頂部延長要素510および底部延長要素512は、中心本体要素508の両側から反対方向に延在してもよい。中央本体要素508は、頂部延長要素510および底部延長要素512よりも幅広であってもよい。中心本体要素508の底部端は、要素508と512との間に凹部/間隙518を形成するように、底部延長要素512の外面の上に張り出してもよい。同様に、中央本体要素508の頂部端は、凹部/間隙516を形成するように、頂部延長要素514の外面の上に張り出してもよい。これらの凹部516/518は、使用者が接触アーム507を把持するのを助けることができる。中央本体要素508、頂部延長要素510、および底部延長要素512の外面は、グリップ突起514を含んでもよい。各グリップ突起514は、グリップ突起を有する外面の隣接部分から突出している。各グリップ突起514は、近位/遠位方向に対して左右に、横断方向に、または実質的に垂直に延在する。グリップ突起514は、例えば、使用者が濡れた手袋を着用しているときに、グリップ能力を向上させることができる。
【0021】
親指202を頂部延長要素510または底部延長要素512に配置し、中央本体要素508の頂部端または底部端にそれぞれ押し付けることによって、使用者の親指202は、把持力を失うことなく、より容易にエレベータアクチュエータ506にアクセスし、操作することができる。頂部延長要素510および底部延長要素512を使用することによって、使用者の親指202の先端は、スクロール動作を介してエレベータアクチュエータ506を上下に移動させる間、エレベータアクチュエータ506上の同じ位置に留まることができる。別の例では、使用者は、親指202を中央本体要素508上に配置し、親指202の先端領域またはDIP関節で中央本体要素508を上方または下方に押すことで、エレベータアクチュエータ506を上方または下方に移動させることができる。
【0022】
エレベータアクチュエータ506は、接触アーム507をリング520に結合するコネクタ524をさらに含んでもよい。コネクタ524の一端は、アーム507の内面接点に結合し、コネクタ524の他端は、リング520の半径方向外面に結合する。コネクタ524は、ハンドル本体120上の特徴と整列する屈曲部526を含んでもよい。
【0023】
リング520は、内視鏡101のハンドルアセンブリ106の特徴と整列する開口部522を含んでもよい。屈曲部526および開口部522は、エレベータアクチュエータ506アセンブリが、ハンドル本体120と内視鏡101の制御ノブ112との間に位置付けられることを可能にし得る。開口部522は、エレベータの枢動および関節セクション122の関節運動を制御するためにハンドル本体120の内部の構造に接触アーム507ならびにノブ112および114を接続する構造を収容する。リング520の開口部522は、接触アーム507の部分を含む平面内に位置してもよい。
【0024】
図6A~6Dは、内視鏡101のハンドルアセンブリ106の別の部分に結合された例示的な延長されたエレベータアクチュエータ606の斜視図を、内視鏡101の残りの部分に結合されていないアクチュエータ606の分解図とともに示す。エレベータアクチュエータ606は、リング620と、第1のコネクタ624と、第2のコネクタ628とによって第2の接触アーム609に結合された第1の接触アーム607を含んでもよい。
【0025】
図6Aに示されるように、第1の接触アーム607は、ハンドル本体120から半径方向外側に延在するとともに、内視鏡101の使用者に向かって凸状であるように湾曲している。図6Bに示されるように、第2の接触アーム609は、第1の接触アーム607から反対方向にハンドル本体607から半径方向外側に延在するとともに、内視鏡101の使用者から離れた方を向いている。第2の接触アーム609は、ハンドルアセンブリ106の吸引ボタン116および/または空気/水ボタンの近傍に位置付けられる。一例では、第1の接触アーム607および第2の接触アーム609は、エレベータアクチュエータ606がそれぞれ使用者の親指202および中指206によって操作されることを可能にすることで、その労力の一部を中指206に分散させることによって使用者の親指202にかかる作動労力を低減することができ、上述のように筋骨格の損傷を低減することができる。
【0026】
エレベータアクチュエータ606の要素は、エレベータアクチュエータ506の同様の要素と同じまたは同様の構造および機能を有する。具体的には、第1の接触アーム607、中央本体要素608、頂部延長要素610、底部延長要素612、グリップ突起614、凹部616、凹部618、リング620、開口部622、第1のコネクタ624、および屈曲部626は、接触アーム507、中央本体要素508、頂部延長要素510、底部延長要素512、グリップ突起514、凹部516、凹部518、リング520、開口部522、コネクタ524、および屈曲部526と同じまたは同様である。
【0027】
第2のコネクタ628は、第1の接触アーム607がリング620に連結する側とは反対のリング620の側で、第2の接触アーム609をリング620に連結することができる。第2の接触アーム609は、窪み632によって交わる、頂部634と底部638とを含んでもよい。窪み632は、頂部634が、底部638に対して半径方向外側に突出する張り出し部636を含むように、下方に面し、かつ頂部634の外側接触面を底部632の外側接触面に連結する面である。第1の接触アーム607と同様に、頂部634および底部638は、グリップ能力を向上させるために、外側接触面にグリップ突起630を含んでもよい。張り出し部636は、使用者の中指206によって押されることで、第2の接触アーム609を上方に移動させることができる。使用者の中指206は、頂部634を押し下げることで、第2の接触アーム609を下方に移動させることができる。一例では、使用者の中指206を使用して、第2の接触アーム609を上下に移動させることによってエレベータアクチュエータ606を作動させることで、第1の接触アーム607を操作する使用者の親指202にかかる負荷を低減することができる。別の例では、第1の接触アーム607および第2の接触アーム609は、それぞれ使用者の親指202および中指206によって同時にまたは個別に操作されてもよい。
【0028】
図7は、内視鏡101の典型的なエレベータアクチュエータ107を覆う使用者の左手201の親指202を示す。典型的なエレベータアクチュエータ107は、外側凸状表面上に鋭いリブ124を含み、これは、使用者の親指202の表面を挟み込み、長期間保持された場合に不快感を引き起こし得る。
【0029】
図8A図8Bは、長手方向(近位から遠位の方向)に延在する接触要素707を含み得る例示的なエレベータアクチュエータ706の斜視図を示す。接触要素707は、中央バンプ710から内側に延在する上側部分718を含んでもよい。接触要素707は、中央バンプ710の反対側から内側に延在する下側部分720を含んでもよい。上側部分718の外側接触面は、下側部分720の外側接触面に対して角度付けられている。上側部分718の外側接触面および下側部分720の外側接触面の各々は、内側に湾曲していてもよく、その結果、これらの表面は、親指の支持および改善された親指の接触を提供するように凹状である。接触要素707の内面722は、内側に湾曲し、また、凹面を呈してもよい。中央バンプ710、上側部分718、および下側部分720の外面は、グリップ能力および快適性を向上させるために、それらの外面の隣接部分から突出する、ゴムグリップ突起708を含んでもよい。いくつかの例では、エレベータアクチュエータ706は、天然ゴムおよび/または合成ゴム材料で作製されてもよい。
【0030】
接触要素707は、コネクタ712によってリング714に結合されてもよい。コネクタ712は、上側部分718の縁部上またはその近くで、上側部分718の内面722に連結してもよい。リング714は、内視鏡101のハンドルアセンブリ106の特徴と整列する開口部716を含んでもよい。リング714および開口部716は、リング520および開口部522と同じまたは同様の構造、位置決め、および機能を有してもよい。
【0031】
一例では、使用者の親指202は、下側部分720を上方向(図8Bに示す)に押すことで、エレベータアクチュエータ706を上方に移動させることができる。一例では、使用者の親指202は、上側部分718を下方向(図8Bに示す)に押すことで、エレベータアクチュエータ706を下方に移動させることができる。一例では、中央バンプ710は、ストッパとして作用し、使用者の親指202が上側部分720から下側部分718に、およびその逆に滑ることを防止してもよい。
【0032】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスおよび方法において様々な修正および変形が行われ得ることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書の考察および本明細書に開示される特徴の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施形態は例示的なものにすぎないと考えられることが意図されている。
図1A-1B】
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】