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特表2025-504159マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/54 20120101AFI20250130BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
G03F1/54
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024546300
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2022126146
(87)【国際公開番号】W WO2023197553
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210373932.5
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524130652
【氏名又は名称】ウエストレイク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】リー シーチュン
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA07
2H195BC06
2H195BC27
2H197BA11
2H197CC05
2H197DA04
2H197DB18
2H197HA04
(57)【要約】
本開示は、マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法、に関する。上記マスクは、リソグラフィのための露光ビーム(920)に対して透過性であるように構成された基質(110)を備えており、上記露光ビーム(920)は第1の周波数帯にあり、上記マスクはさらに、上記基質(110)の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層(120)を備えており、上記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビーム(930)の照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、上記フォトクロミック材料は、上記フォトクロミック材料が上記変調ビーム(930)中の変調光を照射されているか否かに基づいて、上記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、上記変調ビーム(930)は、上記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、マスクである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクであって、前記マスクは、
リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、前記露光ビームは第1の周波数帯にあり、前記マスクはさらに、
前記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、前記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、マスク。
【請求項2】
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記フォトクロミック材料が前記光透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は60%~99%である、請求項1に記載のマスク。
【請求項6】
前記フォトクロミック材料が前記光非透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は5%~30%である、請求項1に記載のマスク。
【請求項7】
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項8】
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項9】
前記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項10】
前記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項11】
前記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている、請求項1に記載のマスク。
【請求項12】
前記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである、請求項1に記載のマスク。
【請求項13】
前記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項14】
前記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項15】
前記マスクは、
空間構造を有する変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項16】
前記変調光源は、
第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記変調光源はさらに、
空間光変調器を備えており、前記空間光変調器は、制御信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成されており、前記制御信号は、マスクパターンに基づいて生成される、請求項15に記載のマスク。
【請求項17】
前記変調ビームは、前記フォトクロミック層に対して近視野のビームである、請求項1に記載のマスク。
【請求項18】
前記マスクは、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、請求項1に記載のマスク。
【請求項19】
リソグラフィ装置であって、
請求項1から14のいずれかに記載のマスクと、
レイアウトに従った制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
【請求項20】
前記リソグラフィ装置は、
前記空間構造を有する前記変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに備える、請求項19に記載のリソグラフィ装置。
【請求項21】
前記変調光源は、
第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記変調光源はさらに、
空間光変調器を備えており、前記空間光変調器は、前記制御信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成されており、前記制御信号は、マスクパターンに従って生成される、請求項20に記載のリソグラフィ装置。
【請求項22】
前記リソグラフィ装置は、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、請求項19に記載のリソグラフィ装置。
【請求項23】
前記リソグラフィ装置は、
第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備える、請求項19に記載のリソグラフィ装置。
【請求項24】
前記露光ビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有する、請求項23に記載のリソグラフィ装置。
【請求項25】
リソグラフィ装置であって、
請求項15から18のいずれかに記載のマスクと、
レイアウトに従って制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
【請求項26】
マスクの製造方法であって、前記製造方法は、
基質を提供することであって、前記基質はリソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成されており、前記露光ビームは第1の周波数帯にある、基質を提供することと、
前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することであって、前記フォトクロミック層は、フォトクロミック材料を備えており、かつ、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することと、を含む、製造方法。
【請求項27】
請求項1から18のいずれかに記載のマスクであるマスクに基づくリソグラフィ法であって、
対応するマスクパターンを前記マスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームを前記マスク上に照射することと、
前記マスクパターンの生成後、サンプルを露光させるべく、前記マスクを介して前記露光ビームを前記サンプル上に照射することと、
前記サンプルの露光後、前記露光ビームをオフにすることと、
前記露光ビームをオフにした後で、前記変調ビームをオフにすることと、を含む、リソグラフィ法。
【請求項28】
前記変調ビームの強度は、前記露光ビームの強度よりも高い、請求項27に記載のリソグラフィ法。
【請求項29】
前記リソグラフィ法は、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するように、温度コントローラを動作させること、をさらに含む、請求項27に記載のリソグラフィ法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2022年4月11日に出願された、「マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法」と題された中国特許出願第202210373932.5号に対する優先権を主張する。当該出願の開示内容全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、リソグラフィの技術分野に関する。より詳細には、マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法、に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ技術においては、パターン構造が、典型的にはマスクを用いて形成される。しかしながら、ひとたびマスクが準備されてしまうと、マスク上のパターンは容易には変更できない。さらに、マスクに欠陥が存在するか、又はマスクを使用するプロセスの最中に欠陥が生じた場合、その欠陥を修復することも困難である。加えて、マスクは典型的に高コストである。これら上記の要因すべてが、マスクを用いて生産されるチップのコストの上昇、及びマスクの欠陥を監視することによるプロセスの複雑化につながり得るのである。従って、チップ生産技術においては、新しいマスクへのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、マスク、リソグラフィ装置、マスクの製造方法、及びマスクに基づくリソグラフィ法、を提供することである。
【0005】
本開示の第1の態様によれば、以下のマスクが提供される。即ち、マスクであって、上記マスクは、リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、上記露光ビームは第1の周波数帯にあり、上記マスクはさらに、上記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、上記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、上記フォトクロミック材料は、上記フォトクロミック材料が上記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、上記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、上記変調ビームは、上記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、マスクが提供される。
【0006】
幾つかの実施形態では、上記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されているときには上記露光ビームに対する上記光非透過状態であるように構成されており、かつ、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されていないときには上記露光ビームに対する上記光透過状態であるように構成されている。
【0008】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されているときには上記露光ビームに対する上記光透過状態であるように構成されており、かつ、上記フォトクロミック材料は、上記変調ビーム中の上記変調光を照射されていないときには上記露光ビームに対する上記光非透過状態であるように構成されている。
【0009】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料が上記光透過状態であるときには、上記露光ビームに対する透過率は60%~99%である。
【0010】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料が上記光非透過状態であるときには、上記露光ビームに対する透過率は5%~30%である。
【0011】
幾つかの実施形態では、上記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、上記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む。
【0013】
幾つかの実施形態では、上記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、上記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む。
【0015】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている。
【0016】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである。
【0017】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、上記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、上記マスクは、空間構造を有する変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、上記変調光源は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、上記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、上記変調光源はさらに、空間光変調器を備えており、上記空間光変調器は、制御信号の作用下で、上記最初のビームを上記空間構造を有する上記変調ビームに変換するように構成されており、上記制御信号は、マスクパターンに基づいて生成される。
【0021】
幾つかの実施形態では、上記変調ビームは、上記フォトクロミック層に対して近視野のビームである。
【0022】
幾つかの実施形態では、上記マスクは、温度コントローラをさらに備えており、上記温度コントローラは、上記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、上記マスク又は上記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、以下のリソグラフィ装置が提供される。即ち、リソグラフィ装置であって、上記のようなマスクと、設計レイアウトに従った制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、上記制御信号は、上記設計レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0024】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、上記空間構造を有する上記変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに備える。
【0025】
幾つかの実施形態では、上記変調光源は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、上記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、上記変調光源はさらに、空間光変調器を備えており、上記空間光変調器は、制御信号の作用下で、上記最初のビームを上記空間構造を有する上記変調ビームに変換するように構成されており、上記制御信号は、マスクパターンに従って生成される。
【0026】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、温度コントローラをさらに備えており、上記温度コントローラは、上記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、上記マスク又は上記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている。
【0027】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ装置は、第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備える。
【0028】
幾つかの実施形態では、上記露光ビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有する。
【0029】
本開示の第3の態様によれば、以下に示されるマスクの製造方法が提供される。即ち、基質を提供することであって、上記基質はリソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成されており、上記露光ビームは第1の周波数帯にある、基質を提供することと、上記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することであって、上記フォトクロミック層は、フォトクロミック材料を備えており、かつ、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、上記フォトクロミック材料は、上記フォトクロミック材料が上記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、上記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ上記変調ビームは、上記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、上記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することと、を含む製造方法が提供される。
【0030】
本開示の第4の態様によれば、上記のようなマスクであるマスクに基づく以下のようなリソグラフィ法が提供される。即ち、対応するマスクパターンを上記マスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームを上記マスク上に照射することと、上記マスクパターンの生成後、上記ウェハを露光させるべく、上記マスクを介して上記露光ビームをウェハ上に照射することと、上記ウェハの露光後、上記露光ビームをオフにすることと、上記露光ビームをオフにした後で、上記変調ビームをオフにすることと、を含む、リソグラフィ法が提供される。
【0031】
幾つかの実施形態では、上記変調ビームの強度は、上記露光ビームの強度よりも高い。
【0032】
幾つかの実施形態では、上記リソグラフィ法は、上記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するように、温度コントローラを動作させること、をさらに含む。
【0033】
本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示しており、かつ本明細書と共に本開示の原理の説明に供する。
【0034】
本開示は、添付の図面と共に行われる以下の詳細な説明から、より明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態によるマスクの構造的な概略図である。
【0036】
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による、露光ビーム及び変調ビームを照射されているマスクの概略図である。
【0037】
図3図3は、本開示の例示的な実施形態による、露光ビーム及び変調ビームを照射されているマスクの概略的な断面図である。
【0038】
図4図4は、本開示の例示的な実施形態によるリソグラフィ装置の構造的な概略図である。
【0039】
図5図5は、本開示の例示的な実施形態によるマスクの製造方法の概略的なフロー図である。
【0040】
図6図6は、本開示の例示的な実施形態による、マスクに基づくリソグラフィ法の概略的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、本開示の幾つかの実施形態を示す添付の図面を参照しつつ、以下で記述される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形で提示され得るのであり、以下で記述される実施形態に限定されるものではないことは、理解されたい。実際、以下で記述される実施形態は、本開示の開示内容をより完全なものにすること及び本開示の保護範囲を当業者に完全に伝えることを意図されている。また、本明細書で開示される実施形態が様々な形で組み合わせられ、より多くの追加的な実施形態が提供される場合があることも、理解されたい。
【0042】
すべての図面において、同一の参照数字が同一の要素を表すことは、理解されたい。図面においては、特定の特徴のサイズが、明瞭性のために変化させられている場合がある。
【0043】
本明細書における用語は、特定の実施形態を記述するためにのみ使用されるのであり、本開示を限定することは意図されていないことは、理解されたい。本明細書において用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、特に定義されていない限り、当業者によって一般的に理解される意味を有する。簡潔性及び/又は明瞭性のため、周知の機能又は構造が詳細には記述されていない場合がある。
【0044】
本明細書で用いられる「含む」「備える」及び「含有する」という用語は、記載された特徴の存在を示すが、1つ以上の他の特徴の存在を排除するものではない。本明細書で用いられる「及び/又は」という用語は、列挙された関連付けられた項目の1つ以上の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。本明細書で用いられる「XとYの間」及び「約XとYの間」という用語は、X及びYを含むものと解釈されるべきである。本明細書で用いられる「約XとYの間」という用語は、「約Xと約Yの間」を意味し、かつ、本明細書で用いられる「約XからY」という用語は、「約Xから約Y」を意味する。
【0045】
本明細書において、ある要素が他の要素に対して、「その上にある(on)」「取付けられている」「接続されている」「結合されている」又は「接触している」等と記載されているとき、その要素は、直接的に、当該他の要素の上にあるか、取付けられているか、接続されているか、結合されているか、又は接触している場合もあるが、中間要素が存在していてもよい。対照的に、ある要素が他の要素に対して、「直接その上にある」「直接取付けられている」「直接接続されている」「直接結合されている」又は「直接接触している」と記載されているときには、中間要素は存在しない。本明細書において、ある特徴が他の特徴に対して「隣接して」配置されていることは、その特徴が当の隣接する特徴に重なる部分を有することを、又は当該隣接する特徴の上方又は下方に位置していることを、指し得る。
【0046】
本明細書において、「上方」「下方」「左」「右」「前」「後」「高い」及び「低い」等の空間関係の用語は、添付の図面における、ある特徴と他の特徴の間の関係を記述し得る。空間関係の用語が、図面に示された向きに加えて、使用中又は動作中の機器の異なる向きを包含することは、理解されたい。例えば、図面中の機器が反転しているときには、本来は他の特徴の「下方」にあると記載される特徴が、この場合には当該他の特徴の「上方」にあると記述され得る。また、その機器を他の向きに変える(90度回転させる、又は他の向きにする)こともでき、この場合は、相対的な空間関係はそれに応じて解釈されてよい。
【0047】
マイクロ-ナノ装置の研究及び半導体チップの生産工程においては、所望の装置又はチップの構造は、典型的にはマスクに基づくリソグラフィ技術を用いて形成される。所望の構造を形成するためには、加工されるべき装置又はチップのレイアウトに従って、対応する加工手順に照らして、1つ以上のマスクが前もって作製され得る。この際、各マスク上のパターンは、レイアウト内の1つの層又は同等の手順で準備可能な複数の層に対応することができ、。典型的には、マスクは、レジスト(フォトレジスト)の性質を変化させるための露光ビーム(例:紫外光)を透過させることができる基質(例:石英ガラス)と、上記の露光ビームが透過することを防ぐための、基質上に成膜されたメッキ皮膜(例:金属クロム膜)と、を備え得る。
【0048】
マスクの製造方法においては、数十ナノメートルの厚みを有するクロム膜、及び当該クロム膜上に配置されたレジストは、石英ガラス上で連続的に成膜されることができ、その後、レーザ直接描画又は電子ビーム露光によって、所望のパターンがレジスト上に形成されることができ、さらにその後、レジストから露出したクロムを湿式エッチング又は乾式エッチングし、所望の構造に対応するパターンをクロム膜上に形成することができる。レーザ直接描画の手段は、典型的には300nmより大きな最小線幅を有するマスクを形成するために用いられ、電子ビーム露光の手段は、300nm未満の最小線幅を有するマスクを形成するために用いられ得る。
【0049】
上記の準備方法を用いると、たった一枚のマスクのコストが約数万ドルとなり、装置又はチップの生産工程のためのマスクの完全なセットのコストとなれば、数百万ドルにも達し得る。さらに、そのようなマスクがひとたび準備されてしまうと、その構造を変えることは困難である。従来の適用シナリオでは、CPU、DRAM、フラッシュメモリ、及びそれらに類するものを含むチップの単一のバッチ量は、典型的には数百万のオーダーであるか又は数億のオーダーでさえあるため、マスクの作製費用は十分に分担され得るので、マスクに基づくリソグラフィプロセスを、これらの装置又はチップの作製及び生産に広く適用することができるのである。しかしながら、IoT、人工知能、及び個別化医療等の産業の発展に伴い、装置又はチップの小バッチ生産が次第に必要とされるようになっており、これらの装置又はチップの数は、たった数万であるか、又はそれよりも少ない場合もある。マスクを事前に準備し、そのマスクに基づいてこれらの装置又はチップを生産する場合、十分な数の装置又はチップによってマスク作製のコストを分担することは困難になり、その結果、装置又はチップのコストは大きく増加してしまう。加えて、レーザ直接描画によってこれらの装置又はチップを直接作製する場合には、その歩留まりが低すぎて大量生産の要件を満たすことができない一方、他方では、約300nmというレーザ直接描画の最小線幅が、チップの集積度及び性能の向上ならびに装置の小型化によるチップのコストの低減を制約しもする。同様にして、電子ビーム露光によってこれらの装置又はチップを直接作製する場合には、より小型かつ集積度の高い装置又はチップを作製することが可能であるものの、それらの歩留まりは、生産量の要件を満足するにはやはり低すぎるのであって、かつその加工コストは非常に高額であり、その結果、それらの装置及びチップの市場への浸透は妨げられている。
【0050】
加えて、マスクに存在する欠陥もまた、装置又はチップの生産コストを大きく上昇させ得る。具体的には、小さな欠陥がマスクに存在していた場合には、その欠陥の検出及び修復に時間が投じられなければならず、大きな欠陥がマスクに存在していた場合には、当該マスク全体が廃棄されなければならないこともある。
【0051】
上記の課題を解決して、チップの小バッチ生産及び関連製品の高集積化の要件を満たし、その結果としてIoT及び人工知能等の将来の技術がよりよく社会に浸透できるようにするために、本開示は、プログラム可能であり、書き換え可能であり、さらに再使用可能であるデジタルリソグラフィマスクを提供する。そのようなマスクにおいては、フォトクロミック材料を有するマスク上に照射される、空間構造を有する変調ビームを制御することにより、マスクの対応するピクセル領域の光透過状態を可逆的に変化させることができるので、同じマスク上のパターンを必要に応じて変化させることができ、それにより、マスクの再使用を実現し、装置又はチップの生産コストをさらに削減することができる。
【0052】
本開示の例示的な実施形態では、図1に示されているように、マスクは、基質110及びフォトクロミック層120を備えている。
【0053】
基質110は、リソグラフィプロセスに対する干渉を避けるため、リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成され得る。露光ビームは、第1の周波数帯にあり得るのであって、第1の周波数帯は、典型的には、部分紫外光が位置する周波数帯に対応する。例えば、第1のバンドに対応する波長は、193~405nmを含み得る。幾つかの具体例では、第1のバンドに対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含み得る。基質110は、その上に設けられるマスクの他の層を支持するための一定の構造強度を有する材料から作られ得る。幾つかの実施形態では、基質110は、石英ガラス、フッ化カルシウムガラス、又はそれらに類するものから作られ得る。
【0054】
フォトクロミック層120は、基質110の1つの側面上に設けられ得るのであって、かつ、そのフォトクロミック層120は、フォトクロミック材料を含みかつ上記空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成し得る。図2及び3に示されているように、空間構造を有する変調ビーム930は、具体的には、その進行方向に直交する断面上において非一様な強度分布を有するビームを指す。例えば、変調ビーム930の進行方向に直交する断面において、一部領域の変調光の強度がゼロである一方で他の領域においては変調光の強度がゼロではないという場合がある。フォトクロミック材料は、当のフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、従って、マスク内に光非透過領域及び光透過領域が形成され、それによって所望のマスクパターンが形成される。
【0055】
ある具体例では、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロではない変調ビーム930の断面上の領域に対向しているときには、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム930中の変調光を照射されているときには、フォトクロミック材料のこの部分は変調光を吸収し、そして露光ビームに対する光非透過状態になるのであって(例えば、有機フォトクロミック材料は、変調光を脱励起光として吸収し、露光ビームとしての紫外光に対して高い吸収率を発生する。その結果、有機フォトクロミック材料のこの部分は、露光ビームに対して光非透過状態になる)、該領域は、図3に示されているフォトクロミック材料の露光ビーム920に対する光非透過領域122に対応している。かつ、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロである変調ビーム930の断面上の領域に対向しているときには、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム930中の変調光を照射されていないときには、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光透過状態になるのであって、該領域は、図3に示されているフォトクロミック材料の露光ビーム920に対する光透過領域121に対応している。従って、変調ビームの強度の空間分布を制御することにより、又は変調ビームの空間構造を制御することにより、露光ビーム920に対する光透過領域121及び光非透過領域122をフォトクロミック層120内に形成することができ、さらに、これらの領域の組み合わせによって、所望のマスクパターンをマスクに形成することができる。
【0056】
もちろん、幾つかの他の具体例では、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロではない変調ビームの断面上の領域に対向しているときに、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されているときに、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光透過状態になり、かつ、フォトクロミック材料が変調光の強度がゼロである変調ビームの断面上の領域に対向しているときに、即ちフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されていないときに、フォトクロミック材料のこの部分が露光ビームに対する光非透過状態になる、という場合があることは、理解されたい。
【0057】
さらに、一般的には、フォトクロミック材料の光非透過状態(又は光透過状態)は、変調光がフォトクロミック材料上に照射されているときにのみ維持され得るのであって、変調光がひとたび除去されると、フォトクロミック材料はその元の状態を回復する。従って、そのようなフォトクロミック材料を含むマスクを用いてリソグラフィを実行するときには、リソグラフィが完了するまでマスクの光透過領域及び光非透過領域が変化しないよう維持するために、又はマスクパターンが変化しないよう保つために、変調ビームをマスク上に照射し続けつつ、一方で露光ビームを用いてウェハ/サンプルを露光させる必要がある。上記の要件により、変調ビーム930の露光工程に対する干渉を避けることが必要となるのであって、即ち、変調ビーム930は、レジスト(例:フォトレジスト)の性質を変化させることはできない。このことは、変調ビーム930が、露光ビーム920のための第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にあることを必要とする。ここで、分離された第1の周波数帯及び第2の周波数帯とは、第1の周波数帯の任意の周波数が第2の周波数帯の任意の周波数と異なっていることを指す。幾つかの実施形態では、第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分を含み得る。ある具体例では、第2の周波数帯に対応する波長は、633nmであり得る。
【0058】
マスクのフォトクロミック材料が、光透過状態であるときにはサンプルを露光させるために十分な露出ビームを透過させることができ、かつ光非透過状態であるときにはウェハ/サンプルの露光を避けるために露光ビームを十分に遮断することができることを、確実化するためには、光透過状態及び光非透過状態のフォトクロミック材料の透過率が、一定の要件を満たす必要がある。ある具体例では、フォトクロミック材料が光透過状態であるときには、露光ビームに対するその透過率は60%~99%であることができ、かつフォトクロミック材料が光非透過状態であるときには、露光ビームに対するその透過率は5%~30%であることができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を備え得る。一般的な有機フォトクロミック材料は、テトラセン溶液、ベンザルフェニルヒドラジン溶液、オサゾン溶液、又はそれらに類する液体状態のものと、2,3,4,4-テトラクロロナフタレン-1-(4H)-オン、スピロナフトオキサジン系有機材料、ジアリールエテン系材料、アゾベンゼン誘導体、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エン、又はそれらに類する固体状態のものと、を含み得る。一方、無機フォトクロミック材料は、酸化タングステン(WO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、及び二酸化チタン(TiO)等、各種遷移金属の酸化物及びそれらの複合物を含み得る。
【0060】
しかしながら、現在のリソグラフィ用途では、一般的に、使用可能なフォトクロミック材料は、少なくとも以下の性質を有しているべきであることは、考慮される。(1)フォトクロミック材料の光透過状態及び光非透過状態は、書き換え可能かつ再使用可能なマスクを実現するために、変調ビームの制御下で可逆的に切り替えることができる。即ち、変調ビーム中の変調光を照射されていない場合には、フォトクロミック材料は、第1の周波数帯にある露光ビームに対する十分に高い透過率を有し、かつ変調ビーム中の変調光を照射されている場合には、フォトクロミック材料は、第1の周波数帯にある露光ビームに対して十分に低い透過率を有する。あるいは、変調ビーム中の変調光を照射されていない場合には、それは、第1の周波数帯にある露光ビームに対する十分に低い透過率を有し、かつ変調ビーム中の変調光を照射されている場合には、それは、第1の周波数帯にある露光ビームに対して十分に高い透過率を有する。(2)フォトクロミック材料の光透過状態と光非透過状態を可逆的に切り替えるための変調ビームが位置する第2の周波数帯は、リソグラフィプロセスへの干渉を避けるために、露光ビーム(紫外光)が位置する第1の周波数帯から分離されている。上記の考慮点から見ると、紫外光を露光ビームとして用いる既存のリソグラフィプロセスにおいては、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンが、マスクのフォトクロミック材料として使用されるのがよい。しかしながら、露光ビーム又は他の周波数帯にある変調ビームが用いられるとき、その対応する周波数帯に対応する他のフォトクロミック材料が選択され得るので、本明細書ではこれに限定されないことは、理解されたい。さらに、良好な放熱性を有しており必要な変調ビームの強度が低いフォトクロミック材料を選択することで、変調ビームの照射によるマスク温度の大幅な上昇を低減することができ、それによってリソグラフィの信頼性を向上させることができる。
【0061】
一般的には、フォトクロミック層120は、ラミネート加工、スピンコート加工、及びスプレー加工等の成膜手段によってマスクの準備を容易化すべく、連続膜の形状のフォトクロミック材料を含み得る。フォトクロミック材料が、光非透過状態において、露光ビームを効果的に遮断できるようにするためには、フォトクロミック層120の厚さは、50~200nm又は200~5000nmの厚さであるとよい。幾つかの他の例では、パターンを有するフォトクロミック層が必要に応じて形成され、そしてそのパターンを有するフォトクロミック層は、レーザ直接描画、電子ビーム直接描画、及び他のマスクに基づくリソグラフィ、又はそれらに類するものによって形成されるという場合もある。あるいは、幾つかの他の例では、液体状態のフォトクロミック材料が必要に応じて用いられる場合があり、このとき、フォトクロミック層120の上方に遮断層がさらに設けられてもよく、その際には、結果として、液体のフォトクロミック材料は、基質110と該遮断層の間に制限され、マスクの構造の安定性が維持され、それによって露光の効果が確保される。
【0062】
幾つかの実施形態では、図4に示されているように、変調光源200がさらに含まれ得るのであって、変調光源200は、マスクの一部と見做されてもよいし、又は、マスクを含むリソグラフィ装置内に、マスクからは独立して設けられてもよい。変調光源200は、空間構造を有する変調ビームを発生させるように構成され得る。具体的には、変調光源200は、第1の光発生器210及び空間光変調器220を備えることができ、第1の光発生器210は、第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成され得るのであって、当の最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有し、さらに、空間光変調器220は、マスクパターンに従って生成された制御信号の作用下で、上記空間構造を有する最初のビームを変調ビームに変換するように構成され得る。変調ビームの空間構造は、所望のマスクパターンに対応し、マスク上のフォトクロミック材料上に照射されている変調ビームによって、対応する光透過領域又は光非透過領域を形成する。ある具体例では、該空間光変調器は、光位相変調器であり得る。
【0063】
ある具体例では、空間光変調器は、4160×2464のピクセル数及び3.74μmのピクセル周期を達成し得る。そのような空間光変調器を用い、波長633nmの変調ビームを用いることにより、3~4μmのサイズの微小な光スポットから成る6~8μmの周期を有するパターンをマスク上に形成することができる。そのようなマスクを用いつつ4倍縮小投影リソグラフィ技術を組み合わせることにより、加工可能な最小線幅は1μm程度に、一回の露光面積は1×1cmになり得る。投影露光の場合、一回の露光に要する時間が100msであるとすると、そのようなマスクのリソグラフィの歩留まりは600cm/minに達し得ると計算される。露光の正確性が1μmである場合には、上記の歩留まりは、レーザ直接描画の生産量の100倍になるので、次世代のプリント回路基板及びチップパッケージング等のリソグラフィの要件に応えることができる。加えて、変調ビームの波長が633nmである場合には、変調ビームによって生成され得るパターンの最小解像度は400nm程度であり、4倍縮小投影リソグラフィ技術を組み合わせつつ248nmの露光ビームを用いることで、約100nmのリソグラフィ線幅を達成することができ、これによってチップの多くの後続工程のリソグラフィの要件を満たすことができる。歩留まりを増加させつつマスクの線幅の正確性をさらに向上させることが所望である場合には、10000×10000以上のピクセル数の空間光変調器を開発することもできる。加えて、本開示のマスクは変調ビームの回折効果によって制限され得るのであって、マスク上の最小線幅は典型的には400nm程度であるのだが、例えば10倍縮小投影リソグラフィ技術といった、より縮小倍率の高い投影リソグラフィを組み合わせることにより、かつ、例えば193nmの深紫外(DUV)露光ビームを用いて露光を行うことにより、リソグラフィの最小線幅はさらに改善されて45nmを下回ることができ、高度なチップの生産要件を満たすことが可能になる。
【0064】
さらに、リソグラフィプロセスにおいて、リソグラフィ精度を向上させるため及びリソグラフィパターンの正確性を向上させるために第2の光発生器300によって発生させられる露光ビームは、マスクに対して近視野のビームであってよい。同様に、遠視野のビームの光回折の影響によって引き起こされる精度への影響を回避し、マスクパターンの正確性を向上させるために変調光源200によって発生させられた変調ビームは、マスクのフォトクロミック層に対して近視野のビームであってもよい。
【0065】
幾つかの実施形態では、フォトクロミック材料の光透過状態又は光非透過状態を制御するための変調ビームが典型的に高い光パワーを有していることを考慮して、図4に示されているように、過度に強い光がマスク又はサンプルに照射され、その結果マスク又はサンプルの温度が上昇することを避けるために、温度コントローラ400がさらに備えられ得る。温度コントローラ400は、マスクに含まれるものと見做される場合もあるし、又はマスクを含むリソグラフィ装置内に、マスクからは独立して備えられていると見做される場合もある。温度コントローラ400は、温度維持ユニットを備え得る。該温度維持ユニットは、マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、基質110又はフォトクロミック層120に隣接して設けられるように構成され得る。該温度コントローラは、液体冷却温度コントローラ、熱電半導体温度コントローラ等であってよいが、本明細書において限定されるものではない。一般的には、露光工程において要求される露光ビームの光強度は、典型的には10~10000mW/cmであり、一方でフォトクロミック材料の光透過状態を変化させるための変調ビームの光強度は、典型的には10~10000W/cmであることが要求される。例えば、リソグラフィプロセス中、633nmの波長を有する変調ビームの光強度が、325nmの波長を有する露光ビームの光強度の1000倍よりも大きい場合がある。温度コントローラ400を用いてマスクを事前設定された温度範囲内に維持することにより、マスクが強い変調ビームの作用下で損傷を受けることを防止することができ、かつ、マスク内のフォトクロミック材料を、より高強度(例:100kW/cm)の変調ビームを用いて励起し、フォトクロミック材料の光透過状態を急速に変化させ、可能な限り理想的な所望の透過率を得ることさえも実現できる。
【0066】
本開示のマスクでは、個々のピクセル領域の光透過状態の可逆的な変化は、その中にあるフォトクロミック材料を用いて制御することができる。このように、対応するマスクパターンは、装置又はチップの必要な構造のデータファイルに基づいて直接形成することができ、同じマスク上のマスクパターンは、消去して書き換えることができる。このことは、マスクの再使用を実現し、マスクの利用効率を向上させ、装置又はチップの作製コストを削減し、そして従来のリソグラフィにおいてマスクのコストが高すぎることによって生じる一連の問題を回避することができる。
【0067】
本開示の例示的な実施形態では、リソグラフィ装置もまた提供される。該リソグラフィ装置は、図4に示されているように、上記のようなマスクの本体部100及び制御モジュール500を備え得る。幾つかの実施形態では、該リソグラフィ装置は、上記のような変調光源200、第1の周波数帯にある露光ビーム(該露光ビームは、典型的にはその進行方向に直交する断面上に一様な光強度分布を有するか、又は断面の少なくとも中央領域において一様な光強度分布を有する)を発生させるように構成された第2の光発生器300、又は上記のような温度コントローラ400、のうち少なくとも1つをさらに備え得る。制御モジュール500は、レイアウトに従って、該レイアウトに対応した空間構造を有する変調ビームを発生させるための制御信号を生成するように構成され得る。具体的には、制御モジュール500は、装置又はチップのレイアウトにおける1つ以上の層に対応する複数のマスクパターンを生成し、個々のマスクパターンに従った対応する制御信号を生成するように構成され得る。さらに、制御モジュール500は、空間光変調器220に対して該制御信号を伝達し、その結果、空間光変調器220はマスクの個々のピクセル領域の光透過状態を変化させることができる。
【0068】
本開示の実施形態のリソグラフィ装置においては、露光すべきパターンのデータファイルを用いて、対応する可逆的なマスクを直接製造することができる。10倍縮小投影技術及びLELE(Litho-Etch-Litho-Etch)技術及びそれらに類する技術を組み合わせることにより、該リソグラフィ装置は、14nm又はさらに高度なプロセスノードのチップの小バッチ生産要件を満たすことができる。複雑な装置又はチップの作製が、たった一枚又は数枚の再使用可能かつ書き換え可能なマスクを通じて効率的かつ正確に完了することができるのであり、このことによって、装置又はチップの作製コストが削減され、装置又はチップの迅速な更新、大量生産、及びよりよい市場への浸透が容易になる。
【0069】
本開示の例示的な実施形態では、マスクの製造方法もまた提供される。この製造方法は、図5に示されているように、以下のステップを含み得る。
基質を提供するステップS610、
該基質上にフォトクロミック層を形成するステップS620。
ここで、該基質は、リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成され得るのであって、露光ビームは第1の周波数帯にあり、該フォトクロミック層は、フォトクロミック材料を備え得るのであり、かつ空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成され得るのであって、フォトクロミック材料は、そのフォトクロミック材料が変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、露光ビームに対する光非透過状態又は光透過状態であり、かつ上記変調ビームは、第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある。
【0070】
本開示の例示的な実施形態では、上記のようなマスクに基づくリソグラフィ法も提供される。このリソグラフィ法は、図6に示されているように、以下を含み得る。
対応するマスクパターンをマスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームをマスク上に照射するステップS710、
該マスクパターンの生成後、ウェハを露光させるべく、マスクを介して露光ビームをフォトレジストを塗布されたウェハ/サンプル上に照射するステップS720、
ウェハ/サンプルの露光後、露光ビームをオフにするステップS730、
露光ビームをオフにした後で、変調ビームをオフにするステップS740。
【0071】
換言すれば、マスクパターンの正しさを保証するためには、露光工程全体で変調ビームをオンの状態に保つ必要がある。変調ビームの強度は、露光ビームの強度よりも大きくてよい。これに対応して、上記のリソグラフィ法は、温度コントローラを動作させてマスクの温度を提示された温度範囲内に維持することを、さらに含み得る。
【0072】
本開示の例示的な例示形態が記述されてきたが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から本質的に逸脱することなく、本開示の例示的な実施形態に対して多数の変形及び修正が行われ得ることを理解できよう。従って、それらすべての変形及び修正は、請求項において定義される本開示の保護範囲内に含まれる。本開示は添付の請求項によって定義され、これらの請求項の均等物もまたそこに含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
本開示の例示的な例示形態が記述されてきたが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から本質的に逸脱することなく、本開示の例示的な実施形態に対して多数の変形及び修正が行われ得ることを理解できよう。従って、それらすべての変形及び修正は、請求項において定義される本開示の保護範囲内に含まれる。本開示は添付の請求項によって定義され、これらの請求項の均等物もまたそこに含まれる。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
マスクであって、前記マスクは、
リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、前記露光ビームは第1の周波数帯にあり、前記マスクはさらに、
前記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、前記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、マスク。
〔態様2〕
前記基質は、石英又はフッ化カルシウムの少なくとも一方を含む、態様1に記載のマスク。
〔態様3〕
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されている、態様1に記載のマスク。
〔態様4〕
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されており、かつ、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されている、態様1に記載のマスク。
〔態様5〕
前記フォトクロミック材料が前記光透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は60%~99%である、態様1に記載のマスク。
〔態様6〕
前記フォトクロミック材料が前記光非透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は5%~30%である、態様1に記載のマスク。
〔態様7〕
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含む、態様1に記載のマスク。
〔態様8〕
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm、248nm、325nm、365nm、又は405nm、のうち少なくとも1つを含む、態様1に記載のマスク。
〔態様9〕
前記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む、態様1に記載のマスク。
〔態様10〕
前記第2の周波数帯に対応する波長は、633nmを含む、態様1に記載のマスク。
〔態様11〕
前記フォトクロミック層は、連続膜の形状のフォトクロミック材料を備えている、態様1に記載のマスク。
〔態様12〕
前記フォトクロミック層の厚さは、50~200nm又は200~5000nmである、態様1に記載のマスク。
〔態様13〕
前記フォトクロミック材料は、有機フォトクロミック材料又は無機フォトクロミック材料の少なくとも一方を含む、態様1に記載のマスク。
〔態様14〕
前記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む、態様1に記載のマスク。
〔態様15〕
前記マスクは、
空間構造を有する変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに含む、態様1に記載のマスク。
〔態様16〕
前記変調光源は、
第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記変調光源はさらに、
空間光変調器を備えており、前記空間光変調器は、制御信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成されており、前記制御信号は、マスクパターンに基づいて生成される、態様15に記載のマスク。
〔態様17〕
前記変調ビームは、前記フォトクロミック層に対して近視野のビームである、態様1に記載のマスク。
〔態様18〕
前記マスクは、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、態様1に記載のマスク。
〔態様19〕
リソグラフィ装置であって、
態様1から14のいずれかに記載のマスクと、
レイアウトに従った制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
〔態様20〕
前記リソグラフィ装置は、
前記空間構造を有する前記変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに備える、態様19に記載のリソグラフィ装置。
〔態様21〕
前記変調光源は、
第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記変調光源はさらに、
空間光変調器を備えており、前記空間光変調器は、前記制御信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成されており、前記制御信号は、マスクパターンに従って生成される、態様20に記載のリソグラフィ装置。
〔態様22〕
前記リソグラフィ装置は、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、態様19に記載のリソグラフィ装置。
〔態様23〕
前記リソグラフィ装置は、
第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備える、態様19に記載のリソグラフィ装置。
〔態様24〕
前記露光ビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有する、態様23に記載のリソグラフィ装置。
〔態様25〕
リソグラフィ装置であって、
態様15から18のいずれかに記載のマスクと、
レイアウトに従って制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
〔態様26〕
マスクの製造方法であって、前記製造方法は、
基質を提供することであって、前記基質はリソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成されており、前記露光ビームは第1の周波数帯にある、基質を提供することと、
前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することであって、前記フォトクロミック層は、フォトクロミック材料を備えており、かつ、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することと、を含む、製造方法。
〔態様27〕
態様1から18のいずれかに記載のマスクであるマスクに基づくリソグラフィ法であって、
対応するマスクパターンを前記マスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームを前記マスク上に照射することと、
前記マスクパターンの生成後、サンプルを露光させるべく、前記マスクを介して前記露光ビームを前記サンプル上に照射することと、
前記サンプルの露光後、前記露光ビームをオフにすることと、
前記露光ビームをオフにした後で、前記変調ビームをオフにすることと、を含む、リソグラフィ法。
〔態様28〕
前記変調ビームの強度は、前記露光ビームの強度よりも高い、態様27に記載のリソグラフィ法。
〔態様29〕
前記リソグラフィ法は、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するように、温度コントローラを動作させること、をさらに含む、態様27に記載のリソグラフィ法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスのためのマスクであって、前記マスクは、
リソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成された基質を備えており、前記露光ビームは第1の周波数帯にあり、前記マスクはさらに、
前記基質の1つの側面上に設けられかつフォトクロミック材料を含んでいる、フォトクロミック層を備えており、前記フォトクロミック層は、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記変調ビームは、その進行方向に直交する断面上において非一様な強度分布を有するビームであり、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ、前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、マスク。
【請求項2】
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されており、かつ、前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されているか、又は、
前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されているときには前記露光ビームに対する前記光透過状態であるように構成されており、かつ、前記フォトクロミック材料は、前記変調ビーム中の前記変調光を照射されていないときには前記露光ビームに対する前記光非透過状態であるように構成されている、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記フォトクロミック材料が前記光透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は60%~99%であり、かつ、
前記フォトクロミック材料が前記光非透過状態であるときには、前記露光ビームに対する透過率は5%~30%である、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記第1の周波数帯に対応する波長は、193nm~405nmを含み、かつ、
前記第2の周波数帯に対応する波長は、500~580nm又は580~1100nm、又は、500~580nmの一部分又は580~1100nmの一部分、を含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記フォトクロミック材料は、1,2-ビス(5,5’-ジメチル-2,2’-ビチオフェン-イル)パーフルオロシクロペント-1-エンを含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項6】
前記マスクは、
空間構造を有する変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項7】
前記変調光源は、
第2の周波数帯にある最初のビームを発生させるように構成された第1の光発生器を備えており、前記最初のビームは、その進行方向に直交する断面上において一様な光強度分布を有しており、前記変調光源はさらに、
空間光変調器を備えており、前記空間光変調器は、制御信号の作用下で、前記最初のビームを前記空間構造を有する前記変調ビームに変換するように構成されており、前記制御信号は、マスクパターンに基づいて生成される、請求項に記載のマスク。
【請求項8】
前記マスクは、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、請求項1に記載のマスク。
【請求項9】
リソグラフィ装置であって、
請求項1からのいずれか一項に記載のマスクと、
レイアウトに従った制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
【請求項10】
前記リソグラフィ装置は、
前記空間構造を有する前記変調ビームを発生させるように構成された変調光源をさらに備える、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記リソグラフィ装置は、
温度コントローラをさらに備えており、前記温度コントローラは、前記マスクの温度を事前設定された温度範囲内に維持するために、前記マスク又は前記フォトクロミック層に隣接して設けられるように構成された温度維持ユニットを備えている、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記リソグラフィ装置は、
第1の周波数帯にある露光ビームを発生させるように構成された第2の光発生器をさらに備える、請求項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
リソグラフィ装置であって、
請求項からのいずれか一項に記載のマスクと、
レイアウトに従って制御信号を生成するように構成された制御モジュールであって、前記制御信号は、前記レイアウトに対応する空間構造を有する変調ビームを発生させるために用いられる、制御モジュールと、を備える、リソグラフィ装置。
【請求項14】
リソグラフィプロセスのためのマスクの製造方法であって、前記製造方法は、
基質を提供することであって、前記基質はリソグラフィのための露光ビームに対して透過性であるように構成されており、前記露光ビームは第1の周波数帯にある、基質を提供することと、
前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することであって、前記フォトクロミック層は、フォトクロミック材料を備えており、かつ、空間構造を有する変調ビームの照射下で対応するマスクパターンを生成するように構成されており、前記変調ビームは、その進行方向に直交する断面上において非一様な強度分布を有するビームであり、前記フォトクロミック材料は、前記フォトクロミック材料が前記変調ビーム中の変調光を照射されているか否かに基づいて、前記露光ビームに対して光非透過状態又は光透過状態であり、かつ前記変調ビームは、前記第1の周波数帯から分離された第2の周波数帯にある、前記基質の1つの側面上にフォトクロミック層を形成することと、を含む、製造方法。
【請求項15】
請求項1からのいずれか一項に記載のマスクであるマスクに基づくリソグラフィ法であって、
対応するマスクパターンを前記マスク上に生成すべく、空間構造を有する変調ビームを前記マスク上に照射することであって、前記変調ビームは、その進行方向に直交する断面上において非一様な強度分布を有するビームである、空間構造を有する変調ビームを前記マスク上に照射することと、
前記マスクパターンの生成後、サンプルを露光させるべく、前記マスクを介して前記露光ビームを前記サンプル上に照射することと、
前記サンプルの露光後、前記露光ビームをオフにすることと、
前記露光ビームをオフにした後で、前記変調ビームをオフにすることと、を含む、リソグラフィ法。
【国際調査報告】