(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546328
(86)(22)【出願日】2023-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2023099483
(87)【国際公開番号】W WO2023241488
(87)【国際公開日】2023-12-21
(32)【優先日】2022-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】黄▲逸▼芳
(72)【発明者】
【氏名】林士翔
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲博▼▲鈞▼
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC00
2H006BC04
(57)【要約】
本発明はコンタクトレンズに関するものである。コンタクトレンズはレンズ本体および内蔵モジュールを含む。前記レンズ本体は、光学部および前記光学部を囲むリング状着用部を含む。前記内蔵モジュールは、眼に優しい材質で製造されたプリフォームおよび前記プリフォーム内に埋め込まれた配線構造を含む。前記プリフォームは完全に前記レンズ本体の前記リング状着用部内に埋め込まれており、前記プリフォームはリング状であり、前記光学部の外側を囲んでいる。前記プリフォームと前記レンズ本体の間には隙間なく接続して接合界面を形成し、前記レンズ本体の後面および前面とそれぞれ間隔をおいて配置されている。前記配線構造の局部表面は前記プリフォームの表面に揃えられ、前記リング状着用部に接合されている。これにより、前記配線構造は予め前記プリフォーム内に埋め込まれて位置決めされ、前記配線構造が完全に前記レンズ本体内に埋め込まれて位置決めされることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体及び内蔵モジュールを具備するコンタクトレンズであって、
前記レンズ本体は、光学部及び前記光学部を囲むリング状着用部を含み、前記レンズ本体は、後面及び前面を有し、前記後面は使用者の目に着用するのに適用され、
前記内蔵モジュールは、プリフォーム及び配線構造を備え、
前記プリフォームは、眼に優しい材料で製造され、前記プリフォームは前記レンズ本体内に完全に埋め込まれ、前記プリフォームと前記レンズ本体との間には隙間なく接続して接合界面を形成し、前記接合界面は前記後面及び前記前面とそれぞれ間隔を持って配置され、且つ前記プリフォームは、内側光学層及び被覆リングを備え、
前記内側光学層は、前記光学部内に配置され、前記光学部は、前記内側光学層により分割されて互いに間隔を設けて配置された前側光学層及び後側光学層を形成し、
前記被覆リングは、前記内側光学層の縁から延伸して前記リング状着用部内に配置され、
前記配線構造は、前記被覆リング内に埋め込まれ、前記配線構造の局部表面は前記被覆リングの外面に揃えられ、前記リング状着用部に接合される、
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記レンズ本体の材質および前記プリフォームを製造する前記眼に優しい材質は、それぞれハイドロゲルまたはシリコンハイドロゲルを含み、前記レンズ本体の前記後面および前記前面にはいかなる凹みも形成されていない、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記コンタクトレンズの屈折度は、前記前側光学層、前記後側光学層および前記前側光学層と前記後側光学層の間に挟まれた前記内側光学層によって協働で提供される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記コンタクトレンズは、前記配線構造に接続された電子部品を含み、前記電子部品は前記被覆リング内に埋め込まれ、前記電子部品の局部表面は前記被覆リングの外面に揃えられ、前記リング状着用部に接合される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記配線構造は、前記電子部品に接続された配線を含み、前記配線はいかなるキャリア基板上にも形成されていない、請求項4に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記配線構造は、キャリア基板と、前記キャリア基板に形成された配線を含み、前記配線は前記電子部品に接続される、請求項4に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記キャリア基板はC字状セグメント及び接続セグメントを含み、
前記C字状セグメントには、少なくとも1つの貫通孔が形成されており、少なくとも1つの前記貫通孔に前記被覆リングが充満され、
前記接続セグメントは、前記C字状セグメントにおける両端縁の間に接続され、
前記コンタクトレンズの上面視では、少なくとも1つの前記貫通孔の面積は前記C字状セグメントの外輪郭によって囲まれた面積の1%~85%を占める、請求項6に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記光学部には中心軸線が定義され、前記コンタクトレンズの前記上面視において、前記中心軸線は原点として定義され、反時計方向に順に第1の象限、第2の象限、第3の象限および第4の象限に分割され、少なくとも1つの前記貫通孔における複数の部位はそれぞれ前記第1の象限、前記第2の象限、前記第3の象限および前記第4の象限に分布し、いずれか2つの前記部位の間の面積差が50%を超えない、請求項7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記光学部には中心軸線が定義され、前記キャリア基板は外縁から前記中心軸線に向かって複数の径方向切り目を形成することで、前記キャリア基板が成形曲率を形成し、前記被覆リングが複数の前記径方向切り目に充満される、請求項6に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記レンズ本体の前記後面は、前記目に着用するための所定曲率を有し、前記前面は前記光学部に対応する可視面及び前記リング状着用部に対応する自由曲面を有し、前記可視面は前記自由曲面の第2の曲率と異なる第1の曲率を有し、前記リング状着用部の厚みの分布は前記電子部品に向かって徐々に増加する、請求項4に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記リング状着用部はC字形のレイアウト領域及び前記レイアウト領域の両端の間に位置する下まぶた領域を有し、前記電子部品における前記局部表面は前記下まぶた領域に接合され、前記コンタクトレンズが前記目に着用された際、前記リング状着用部の最大厚さを有する部位は前記目の下まぶた内に対応し、前記リング状着用部の最小厚さを有する部位は前記目の上まぶた内に対応する、請求項10に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
レンズ本体及び内蔵モジュールを具備するコンタクトレンズであって、
前記レンズ本体は、光学部及び前記光学部を囲むリング状着用部を有し、前記レンズ本体は、対向する両側にそれぞれ位置する後面と前面を有し、前記後面は使用者の目に着用するのに適用され、
前記内蔵モジュールは、プリフォーム及び配線構造を備え、
前記プリフォームは、眼に優しい材質で製造され、前記プリフォームは完全に前記レンズ本体の前記リング状着用部内に埋め込まれ、前記プリフォームはリング状で前記光学部の外側を囲み、前記プリフォームと前記レンズ本体との間には隙間なく接続して接合界面を形成し、前記接合界面は前記後面及び前記前面とそれぞれ間隔を置いて配置され、
前記配線構造は、前記プリフォーム内に埋め込まれ、前記配線構造における局部表面は前記プリフォームの表面に揃えられ、前記リング状着用部に接合される、
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記レンズ本体の材質及び前記プリフォームを製造する眼に優しい材質は、それぞれハイドロゲルまたはシリコンハイドロゲルを含み、前記レンズ本体の前記後面及び前記前面にはいかなる凹みも形成されていない、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記コンタクトレンズは前記配線構造に接続された電子部品を含み、前記電子部品は前記プリフォーム内に埋め込まれ、前記電子部品における局部表面は前記プリフォームの外面に揃えられ、前記リング状着用部に接合される、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記配線構造は、前記電子部品に接続される配線を含み、前記配線はいかなるキャリア基板上にも形成されていない、請求項14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記配線構造は、キャリア基板と前記キャリア基板に形成された配線とを含み、前記配線は前記電子部品に接続され、前記キャリア基板は、C字状セグメント及び接続セグメントを含み、
前記C字状セグメントには、少なくとも1つの貫通孔が形成され、前記プリフォームが少なくとも1つの前記貫通孔に充満され、
前記接続セグメントは前記C字状セグメントにおける両端縁の間に連結され、
前記コンタクトレンズの上面視では、少なくとも1つの前記貫通孔の面積は前記C字状セグメントの外輪郭によって囲まれた面積の1%から85%を占める、請求項14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記光学部には中心軸線が定義され、前記コンタクトレンズの前記上面視では、前記中心軸線は原点として定義され、反時計方向に順に第1の象限、第2の象限、第3の象限、及び第4の象限に分割され、少なくとも1つの前記貫通孔における複数の部位はそれぞれ前記第1の象限、前記第2の象限、前記第3の象限、及び前記第4の象限に分布し、いずれか2つの前記部位の間の面積差が50%を超えない、請求項16に記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
前記配線構造はキャリア基板及び前記キャリア基板に形成された配線を含み、前記配線は前記電子部品に接続され、前記光学部には中心軸線が定義され、前記キャリア基板はその外縁から前記中心軸線に向けて複数の径方向切り目を形成することで、前記キャリア基板が成形曲率を持つように形成され、前記プリフォームが複数の前記径方向切り目に充満される、請求項14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
前記レンズ本体の前記後面は前記目に着用するための所定曲率を有し、前記前面は前記光学部に対応する可視面及び前記リング状着用部に対応する自由曲面を有し、前記可視面は、前記自由曲面の第2の曲率と異なる第1の曲率を有し、前記リング状着用部の厚みの分布は前記電子部品に向かって徐々に増加する、請求項14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
前記リング状着用部はC字形のレイアウト領域及び前記レイアウト領域の両端の間に位置する下まぶた領域を有し、前記電子部品における前記局部表面は前記下まぶた領域に接合され、前記コンタクトレンズが前記目に着用された際、前記リング状着用部の最大厚さを有する部位は前記目の下まぶた内に対応し、前記リング状着用部の最小厚さを有する部位は前記目の上まぶた内に対応する、請求項19に記載のコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズに関し、特にスマートコンタクトレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存のスマートコンタクトレンズは、レンズ本体及びレンズ本体内に埋め込まれた配線構造を含むが、配線構造が平面状であるため、略球状のレンズ本体に完全に埋め込まれ位置決めされるのは容易ではない。そこで、本発明者は上記の欠点を改善できると考え、科学原理の適用を伴う徹底的な研究を行い、合理的な設計であり上記の欠点を効果的に改善する本発明を提案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態の目的は、既存のスマートコンタクトレンズにおいて生じる可能性のある欠点を効果的に改善することができるコンタクトレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、コンタクトレンズを公開し、コンタクトレンズは、レンズ本体及び内蔵モジュール構造を具備する。レンズ本体は、光学部及び光学部を囲むリング状着用部を含み、レンズ本体は、後面及び前面を有し、後面は使用者の目に着用するのに適用される。内蔵モジュールは、プリフォーム及び配線構造を備える。プリフォームは、眼に優しい材料で製造される。プリフォームはレンズ本体内に完全に埋め込まれ、プリフォームとレンズ本体との間には隙間なく接続して接合界面を形成し、接合界面は後面及び前面とそれぞれ間隔を持って配置される。プリフォームは、内側光学層及び被覆リングを備える。内側光学層は、光学部内に配置され、光学部は、内側光学層により分割されて互いに間隔を設けて配置された前側光学層及び後側光学層を形成する。被覆リングは、内側光学層の縁から延伸してリング状着用部内に配置される。配線構造は、被覆リング内に埋め込まれ、配線構造の局部表面は被覆リングの外面に揃えられ、リング状着用部に接合される。
【0005】
好ましくは、レンズ本体の材質およびプリフォームを製造する眼に優しい材質は、それぞれハイドロゲルまたはシリコンハイドロゲルを含み、レンズ本体の後面および前面にはいかなる凹みも形成されていない。
【0006】
好ましくは、コンタクトレンズの屈折度は、前側光学層、後側光学層および前側光学層と後側光学層の間に挟まれた内側光学層によって協働で提供される。
【0007】
好ましくは、コンタクトレンズは、配線構造に接続された電子部品を含み、電子部品は被覆リング内に埋め込まれ、電子部品の局部表面は被覆リングの外面に揃えられ、リング状着用部に接合される。
【0008】
好ましくは、配線構造は、電子部品に接続された配線を含み、配線はいかなるキャリア基板上にも形成されていない。
【0009】
好ましくは、配線構造は、キャリア基板と、キャリア基板に形成された配線を含み、配線は電子部品に接続される。
【0010】
好ましくは、キャリア基板はC字状セグメント及び接続セグメントを含む。C字状セグメントには、少なくとも1つの貫通孔が形成されており、少なくとも1つの貫通孔に被覆リングが充満される。接続セグメントは、C字状セグメントにおける両端縁の間に接続される。コンタクトレンズの上面視では、少なくとも1つの貫通孔の面積はC字状セグメントの外輪郭によって囲まれた面積の1%~85%を占める。
【0011】
好ましくは、光学部には中心軸線が定義され、コンタクトレンズの上面視において、中心軸線は原点として定義され、反時計方向に順に第1の象限、第2の象限、第3の象限および第4の象限に分割され、少なくとも1つの貫通孔における複数の部位はそれぞれ第1の象限、第2の象限、第3の象限および第4の象限に分布し、いずれか2つの部位の間の面積差が50%を超えない。
【0012】
好ましくは、光学部には中心軸線が定義され、キャリア基板はその外縁から中心軸線に向かって複数の径方向切り目を形成することで、キャリア基板が成形(shaped)曲率を形成する。被覆リングが複数の径方向切り目に充満される。
【0013】
好ましくは、レンズ本体の後面は、目に着用するための所定曲率を有し、前面は光学部に対応する可視面及びリング状着用部に対応する自由曲面を有する。可視面は、自由曲面の第2の曲率と異なる第1の曲率を有し、リング状着用部の厚みの分布は電子部品に向かって徐々に増加する。
【0014】
好ましくは、リング状着用部はC字形のレイアウト領域及びレイアウト領域の両端の間に位置する下まぶた領域を有し、電子部品における局部表面は下まぶた領域に接合される。コンタクトレンズが目に着用された際、リング状着用部の最大厚さを有する部位は目の下まぶた内に対応し、リング状着用部の最小厚さを有する部位は目の上まぶた内に対応する。
【0015】
本発明の実施形態は、他のコンタクトレンズも公開する。コンタクトレンズは、レンズ本体及び内蔵モジュールを具備する。レンズ本体は光学部及び光学部を囲むリング状着用部を有する。レンズ本体は、後面と前面を有し、後面は使用者の目に着用するのに適用される。内蔵モジュールは、プリフォーム及び配線構造を備える。プリフォームは、眼に優しい材質で製造される。プリフォームは完全にレンズ本体のリング状着用部内に埋め込まれ、プリフォームはリング状で光学部の外側を囲み、プリフォームとレンズ本体との間には隙間なく接続して接合界面を形成し、接合界面は後面及び前面とそれぞれ間隔を置いて配置される。配線構造は、プリフォーム内に埋め込まれる。配線構造における局部表面はプリフォームの表面に揃えられ、リング状着用部に接合される。
【0016】
好ましくは、レンズ本体の材質及びプリフォームを製造する眼に優しい材質は、それぞれハイドロゲルまたはシリコンハイドロゲルを含み、レンズ本体の後面及び前面にはいかなる凹みも形成されていない。
【0017】
好ましくは、コンタクトレンズは配線構造に接続された電子部品を含み、電子部品は被覆リング内に埋め込まれる。電子部品における局部表面は被覆リングの外面に揃えられ、リング状着用部に接合される。
【0018】
好ましくは、配線構造は、電子部品に接続される配線を含み、配線はいかなるキャリア基板上にも形成されていない。
【0019】
好ましくは、配線構造は、キャリア基板とキャリア基板に形成された配線とを含み、配線は電子部品に接続される。キャリア基板は、C字状セグメント及び接続セグメントを含む。C字状セグメントには、少なくとも1つの貫通孔が形成され、被覆リングが少なくとも1つの貫通孔に充満される。接続セグメントはC字状セグメントにおける両端縁の間に連結される。コンタクトレンズの上面視では、少なくとも1つの貫通孔の面積はC字状セグメントの外輪郭によって囲まれた面積の1%から85%を占める。
【0020】
好ましくは、光学部には中心軸線が定義され、コンタクトレンズの上面視では、中心軸線は原点として定義され、反時計方向に第1の象限、第2の象限、第3の象限、及び第4の象限に順に分割され、少なくとも1つの貫通孔における複数の部位はそれぞれ第1の象限、第2の象限、第3の象限、及び第4の象限に分布し、いずれか2つの部位の間の面積差が50%を超えない。
【0021】
好ましくは、配線構造はキャリア基板及びキャリア基板に形成された配線を含み、配線は電子部品に接続される。光学部には中心軸線が定義され、キャリア基板はその外縁から中心軸線に向けて複数の径方向切り目を形成することで、キャリア基板が成形曲率を持つように形成される。被覆リングが複数の径方向切り目に充満される。
【0022】
好ましくは、レンズ本体の後面は目に着用するための所定曲率を有し、前面は光学部に対応する可視面及びリング状着用部に対応する自由曲面を有する。可視面は、自由曲面の第2の曲率と異なる第1の曲率を有し、リング状着用部の厚みの分布は電子部品に向かって徐々に増加する。
【0023】
好ましくは、リング状着用部はC字形のレイアウト領域及びレイアウト領域の両端の間に位置する下まぶた領域を有し、電子部品における局部表面は下まぶた領域に接合される。コンタクトレンズが目に着用された際、リング状着用部の最大厚さを有する部位は目の下まぶた内に対応し、リング状着用部の最小厚さを有する部位は目の上まぶた内に対応する。
【0024】
以上に述べた本発明の実施形態において公開されるコンタクトレンズは、眼に優しい材質で作られたプリフォームを形成することにより、配線構造がプリフォーム内に予め埋め込まれ位置決めされることで、コンタクトレンズの生産製造プロセスで配線構造がプリフォームを通じてレンズ本体内に完全に埋め込まれ位置決めされることができる。
【0025】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下、本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、これらの説明や添付図面は本発明の説明のためのものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態のコンタクトレンズを示す斜視模式図である。
【
図3】
図1のコンタクトレンズが使用者の目に着用された状態の平面模式図である。
【
図4】
図1における断面線IV-IVに沿った断面模式図である。
【
図5】
図1における断面線V-Vに沿った断面模式図である。
【
図6】本発明に係る第1の実施形態におけるコンタクトレンズの別の方式を示す斜視模式図である。
【
図8】
図6における断面線VIII-VIIIに沿った断面模式図である。
【
図9】本発明に係る第2の実施形態のコンタクトレンズを示す斜視模式図である。
【
図11】
図9における断面線XI-XIに沿った断面模式図である。
【
図12】本発明に係る第3の実施形態のコンタクトレンズを示す斜視模式図である。
【
図14】
図12における断面線XIV-XIVに沿った断面模式図である。
【
図15】本発明に係る第3の実施形態におけるコンタクトレンズの別の方式を斜視模式図である。
【
図17】
図15における断面線XVII-XVIIに沿った断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、特定の具体的な実施形態によって本発明が公開する「コンタクトレンズ」の実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる具体的な実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各詳細も異なる観点又は応用に基づいて、本発明の精神を逸脱しない限り、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単且つ模式的に説明するためのものであり、実際の寸法を示すものではない。以下の実施形態において、本発明に係る技術内容を更に詳しく説明するが、公開された内容は本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0028】
本明細書を通じて、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が様々なコンポーネントや信号を説明するために使用されることがあるが、これらのコンポーネントや信号は、これらの用語によって制限されるべきではないことは理解されたい。これらの用語は、主に、あるコンポーネントと別のコンポーネント、またはある信号と別の信号を区別するために使用される。さらに、本明細書で使用される用語「または」は、実際の状況に応じて、関連する列挙された項目のいずれか1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0029】
[第1の実施形態]
図1から
図8に示される本発明の第1の実施形態を参照されたい。
図1から
図5に示されるように、本実施形態では、コンタクトレンズ100(またはスマートコンタクトレンズとも称される)が公開されている。前記コンタクトレンズ100は、設計要件に応じて使用者の目200に着用される(例えば、
図3)、または前記目200内に埋め込まれる(図示せず)ことができる。
【0030】
さらに、前記コンタクトレンズ100は、本実施形態において、屈折異常(refractive error)の矯正機能を有することができ、前記屈折異常には遠視(hyperopia)、近視(myopia)、乱視(astigmatism)、老眼(presbyopia)、または乱視性老眼(astigmatism-presbyopia)が含まれる。または、前記コンタクトレンズ100は矯正機能を持たない化粧(makeup)レンズであってもよい。
【0031】
前記コンタクトレンズ100は、本実施形態において、レンズ本体1と、前記レンズ本体1内に埋め込まれた内蔵モジュール10とを含む。前記内蔵モジュール10は、プリフォーム4、前記プリフォーム4内に埋め込まれた電子部品2、および前記プリフォーム4内に埋め込まれ、前記電子部品2と電気的に結合された配線構造3を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明で図示されていない他の実施形態では、前記内蔵モジュール10は設計の要件に応じて、前記プリフォーム4と前記配線構造3のみを含み、前記電子部品2を省略してもよい。以下、本実施形態の前記コンタクトレンズ100の各構成要素について順に説明し、適宜、複数の構成要素間の接続関係を説明する。
【0032】
前記レンズ本体1は、本実施形態において、ハイドロゲル(hydrogel)またはシリコンハイドロゲル(silicone hydrogel)を硬化させて形成されるものであり、上述のハイドロゲルは例えばp-HEMAであるが、これに限定されるものではない。なお、前記レンズ本体1は、光学部11および前記光学部11を囲むリング状着用部12を含み、前記光学部11は設計の要件に応じて、屈折異常の矯正機能を備えるか備えないかを構成することができる。説明すべきこととして、前記光学部11は設計の要件(例えば、前記コンタクトレンズ100がデジタルズーム装置に応用される場合)に基づいて、その内部に部品を埋め込むことができる。
【0033】
さらに、前記光学部11には中心軸線Lが定義されており、前記光学部11の中心と前記リング状着用部12の中心は共に前記中心軸線L上に位置している。前記リング状着用部12は前記光学部11の外縁に接続されており、略円環状である。さらに詳述すると、前記プリフォーム4は完全に前記レンズ本体1内に埋設されており、前記プリフォーム4と前記レンズ本体1の間には隙間なく接続して接合界面43を形成している。
【0034】
前記プリフォーム4は内側光学層41および前記内側光学層41の縁から一体に延びる被覆リング42を有し、前記プリフォーム4の厚さは不均一に配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の他の実施形態(図示せず)においては、前記プリフォーム4は設計の要件に応じて、均一な厚さの構造とすることもできる。
【0035】
なお、前記内側光学層41は前記光学部11内に配置され、前記光学部11は前記内側光学層41によって分割されて、互いに間隔を設けて配置された前側光学層111および後側光学層112を形成している。これにより、前記コンタクトレンズ100の光学特性(例えば、屈折度)は、前記前側光学層111、前記後側光学層112および前記前側光学層111と前記後側光学層112の間に挟まれた前記内側光学層41によって協働で提供され、より多様な要件に適合するようになる。
【0036】
また、前記被覆リング42は、前記リング状着用部12の内に配置され、前記被覆リング42の内部には前記電子部品2と前記配線構造3が埋め込まれている。また、前記電子部品2及び前記配線構造3を前記被覆リング42に埋め込む生産方法(または前記内蔵モジュール10の製造方法)は、設計の要件に応じて調整変更することができ、本発明はこれに限定されない。
【0037】
さらに、前記プリフォーム4は眼に優しい(eye-friendly)材質で製造され、前記眼に優しい材質はハイドロゲル(例えば、p-HEMA)またはシリコンハイドロゲルを含むことができる。なお、前記プリフォーム4に使用される前記眼に優しい材質の特性(例えば、酸素透過率)は、前記レンズ本体1の材質特性と類似しているのが望ましいが、前記プリフォーム4と前記レンズ本体1は設計の要件に応じて異なる材質で製造することができ、本発明はこれに限定されない。
【0038】
以上に述べたように、本発明の実施形態で公開される前記コンタクトレンズ100は、前記眼に優しい材質で製造された前記プリフォーム4を形成することで、前記配線構造3(及び前記電子部品2)が予め前記プリフォーム4に埋め込まれ位置決めされるため、前記コンタクトレンズ100の生産製造プロセスで、前記配線構造3(及び前記電子部品2)が前記プリフォーム4を通じて前記レンズ本体1内に完全に埋め込まれ位置決めされることを可能にしている。
【0039】
より詳述すると、前記配線構造3(及び前記電子部品2)が成形金型(図示せず)内に配置される際、前記成形金型は前記配線構造3の局部表面に当接することで、前記配線構造3(及び前記電子部品2)を正確に所定の位置に位置決めすることは、前記成形金型内で注入及び硬化して前記配線構造3(及び前記電子部品2)を被覆する前記プリフォーム4を形成するのに有利である。
【0040】
更に詳細に言うと、前記リング状着用部12は、C字状のレイアウト領域121と、前記レイアウト領域121の両端の間に位置する下まぶた領域122とを有しており、前記電子部品2は前記下まぶた領域122内に配置されている。なお、前記コンタクトレンズ100が前記目200に着用されると、前記下まぶた領域122および前記電子部品2の位置は前記目200の比較的感度の低い下まぶた201に対応しており、それによって使用者の異物感を効果的に低減する。
【0041】
別の角度から見ると、
図2から
図5に示されるように、前記レンズ本体1の表面は、後面1bおよびその反対側に位置する前面1aを含む。前記レンズ本体1の前記後面1bおよび前記前面1aにはいかなる凹み(または孔)も形成されておらず、それぞれが前記接合界面43とは間隔をおいて配置されている。なお、前記後面1bは、使用者の前記目200に着用するのに適した所定曲率を有する。つまり、前記所定曲率の数値は前記目200にのみ関連している。
【0042】
さらに、前記前面1aは、前記光学部11に対応する可視面11aおよび前記リング状着用部12に対応する自由曲面12aを有し、前記可視面11aは屈折異常を矯正するために必要な光学設計に関連する第1の曲率を有する。または、前記可視面11aの前記第1の曲率は前記後面1bと共に度数のない構造を形成することもできる。
【0043】
さらに、前記可視面11aの前記第1の曲率は前記自由曲面12aの第2の曲率とは異なり、それによって前記リング状着用部12の厚さ分布は前記電子部品2(例えば前記下まぶた領域122)に向かって徐々に増加するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の他の実施形態(図示せず)においては、前記第1の曲率は前記第2の曲率と略同等であり、前記リング状着用部12の厚さは略等しくてもよい。
【0044】
別の角度から見ると、前記コンタクトレンズ100は、設計の要件に応じて前記リング状着用部12のいずれか1つの部位に前記プリフォーム4を介して少なくとも1つの前記電子部品2を埋め込むことができる。例えば、本発明の他の実施形態(図示せず)では、前記リング状着用部12の水平両側に前記プリフォーム4を介してそれぞれ少なくとも1つの前記電子部品2を埋め込むことにより、前記リング状着用部12の厚さが目の水平方向で最も厚くなり、目の垂直方向に向かって徐々に薄くなる。この設定方法により、少なくとも2組の前記電子部品2を収容することができ、前記コンタクトレンズ100の着用時の異物感を低減することができる。
【0045】
以上に述べたように、本発明の実施形態で公開される前記コンタクトレンズ100は、前記レンズ本体1の前記前面1aに前記自由曲面12aを形成することにより、前記レイアウト領域121の厚さは前記下まぶた領域122の厚さに完全に合わせる必要がなく、その結果、前記レイアウト領域121の薄型化を実現し、それにより前記レイアウト領域121の酸素透過率を効果的に向上させ、前記コンタクトレンズ100の着用時の異物感を低減する。
【0046】
前記レイアウト領域121の前記酸素透過率をさらに効果的に向上させ、前記コンタクトレンズ100の着用時の異物感を低減するために、前記コンタクトレンズ100は前記自由曲面12aの前記第2の曲率を調整することにより、以下の特性の少なくとも1つを備えるのが望ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
前記リング状着用部12(前記被覆リング42が埋め込まれている部位)の最大厚さTmaxは、前記電子部品2が配置されている領域(例えば、前記下まぶた領域122)に位置し、前記リング状着用部12(前記被覆リング42が埋め込まれている部位)の最小厚さTminは、前記下まぶた領域122から離れた前記レイアウト領域121の部位(例えば、
図4の前記レイアウト領域121の頂部)に位置している。つまり、前記コンタクトレンズ100が前記目200に着用されると、前記リング状着用部12における(前記被覆リング42が埋め込まれており、かつ)前記最大厚さTmaxを有する部位は、前記目200の前記下まぶた201内に対応し、前記リング状着用部12における(前記被覆リング42が埋め込まれており、かつ)前記最小厚さTminを有する部位は、前記目200の前記上まぶた202内に対応している。本実施形態において、前記最大厚さTmaxと前記最小厚さTminは、使用者の前記下まぶた201と前記上まぶた202に対応しているが、本発明は前記コンタクトレンズ100の厚さと使用者の上まぶた201、下まぶた202との相対位置関係をこれに限定するものではない。
【0048】
前記配線構造3は、前記プリフォーム4内に単独で存在してもよく(図示せず)、または前記電子部品2と組み合わせて存在してもよく、それによって電気的または物理的に駆動されてエネルギーの受信、無線信号の送信、デジタル計算、センサー監視、圧力の印加、電流の放出、画像の投影、光学ズーム、および電力の蓄積などの複数の機能の少なくとも1つを実現するが、本発明はこれに限定されない。
【0049】
前記配線構造3の前記局部表面は前記被覆リング42の外面に揃えられ、前記リング状着用部12に接合されている。説明すべきこととして、
図1から
図5に示すように、前記配線構造3は本実施形態において、キャリア基板31及び前記キャリア基板31に形成された配線32(例えば金属配線)を含み、前記配線32は前記電子部品2に接続されて電気的に結合されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6から
図8に示すように、前記配線構造3は前記電子部品2に接続された配線32を含み、前記配線32はいかなるキャリア基板31上にも形成されていなくてもよい。つまり、前記内蔵モジュール10は前記プリフォーム4によって前記配線32を予め位置決めすることで、前記レンズ本体1を成形する際に前記配線32が移動または変形するのを防ぐ。
【0050】
本実施形態において、
図1から
図5に示すように、前記キャリア基板31はプレス成形金型の常温加圧または高温加圧を通じて所定の湾曲構造に成形されることによって、前記キャリア基板31は前記第2の曲率とは異なる成形曲率を有し、前記成形曲率は前記後面1bの前記所定曲率に近似する(例えば前記成形曲率が前記所定曲率の100%~110%)のが望ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0051】
本実施形態において、前記キャリア基板31は厚さが10μm~300μmの可撓性印刷回路基板(flexible printed circuit board,FPCB)であり、前記キャリア基板31の厚さは望ましくは40μm~80μmであり、前記キャリア基板31の高分子材料は、ポリイミド(Polyimide,PI)、液晶ポリマー(Liquid-crystal polymer,LCP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate,PET)、またはポリエチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート(Poly(ethylene 2,6-naphthalene dicarboxylate),PEN)を含むことができるが、これに限定されない。
【0052】
更に詳細に言うと、前記キャリア基板31は前記レイアウト領域121に埋め込まれたC字状セグメント311および前記下まぶた領域122に埋め込まれた接続セグメント312を有し、前記接続セグメント312は前記C字状セグメント311の両端縁の間に接続されている。前記電子部品2は前記接続セグメント312に取り付けられ、前記配線32は前記C字状セグメント311に形成され、前記接続セグメント312に延びて前記電子部品2に接続されている。なお、前記キャリア基板31、前記配線32、および前記電子部品2はそれぞれ前記被覆リング42の前記外面と揃えられる局部表面を有し、前記リング状着用部12に接合される(例えば、前記電子部品2の前記局部表面が前記下まぶた領域122に接合される)。
【0053】
さらに、前記キャリア基板31は加圧成形の過程で皺や応力集中が生じやすいため、前記C字状セグメント311には少なくとも1つの貫通孔3111が形成されており、前記被覆リング42が少なくとも1つの前記貫通孔3111に充満される。注意すべき点は、(前記中心軸線Lに沿った)前記コンタクトレンズ100の上面視において、少なくとも1つの前記貫通孔3111の面積が前記C字状セグメント311の外輪郭によって囲まれる面積の1%~85%(望ましくは10%~40%)を占める必要があることである。これにより、前記キャリア基板31の皺や応力集中の発生を効果的に低減し、前記自由曲面12aと相互に組み合わせて前記コンタクトレンズ100の酸素透過率をさらに向上させることができる。
【0054】
また、前記キャリア基板31はその外縁から前記中心軸線Lに向かって複数の径方向切り目313が形成されることもあり、これにより前記キャリア基板31が前記成形曲率を形成しやすくなり、さらに前記キャリア基板31に皺や応力集中が発生するのを減らす。前記被覆リング42が複数の前記径方向切り目313に充満され、複数の前記径方向切り目313は、本実施形態において、前記C字状セグメント311と前記接続セグメント312の境界箇所にそれぞれ形成されているが、本発明はこれに限定されない。
【0055】
また、前記コンタクトレンズ100の上面視において、少なくとも1つの前記貫通孔3111の前記面積は前記リング状着用部12の面積の1%~75%を占めるようになっている。本実施形態において、前記C字状セグメント311に形成される少なくとも1つの前記貫通孔3111の数は複数として説明されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明で図示されていない他の実施形態において、前記キャリア基板31の前記C字状セグメント311にはいかなる貫通孔3111も形成されていなくてもよい。
【0056】
本実施形態において、前記配線32は囲まれて少なくとも1つの閉回路を形成し、前記C字状セグメント311の複数の前記貫通孔3111は前記配線32の少なくとも1つの前記閉回路内に位置している。説明すべきこととして、本実施形態において、少なくとも1つの前記閉回路の数は複数として説明され、複数の前記貫通孔3111は前記配線32の複数の前記閉回路内にそれぞれ位置しているが、本発明はこれに限定されない。
【0057】
なお、各前記貫通孔3111は曲線状を呈し、いずれか1つの前記貫通孔3111の幅はその両端から中央に向かって徐々に増加する(例えば、本実施形態において、前記貫通孔3111は略弦月状を呈する)。より詳細には、いずれか1つの前記貫通孔3111は内孔エッジ3112と外孔エッジ3113を有し、前記内孔エッジ3112の両端はそれぞれ前記外孔エッジ3113の両端に接続され、少なくとも1つの前記貫通孔3111の両端をそれぞれ構成する。
【0058】
なお、前記内孔エッジ3112および前記外孔エッジ3113はともに円弧状を呈し、前記内孔エッジ3112の半径は前記外孔エッジ3113の半径よりも小さく、前記内孔エッジ3112の中央と前記外孔エッジ3113の中央はそれぞれ前記中心軸線Lに垂直な異なる2つの平面上に位置する。つまり、各前記貫通孔3111は本実施形態において、前記キャリア基板31の前記成形曲率に沿って配置されており、平面状ではない。
【0059】
複数の前記貫通孔3111の分布状況をより明確に定義するために、前記コンタクトレンズ100の上面視において、前記中心軸線Lは原点として定義され、前記原点より前記原点に交差し相互に垂直なX軸およびY軸が定義される。これにより、反時計方向に順次、第1の象限Q1、第2の象限Q2、第3の象限Q3および第4の象限Q4に分けられる。
【0060】
前記コンタクトレンズ100の上面視において、前記下まぶた領域122は第3の象限Q3および第4の象限Q4に位置し、前記Y軸は略前記下まぶた領域122の中心線であり、前記下まぶた領域122は前記原点の中心角σ122に対応し、その値は30度~180度の範囲にあるのが望ましい。さらに、前記中心角σ122の数値は設計要件に応じて決定してもよく、本発明はこれに限定されない。
【0061】
また、前記コンタクトレンズ100の上面視において、複数の前記貫通孔3111は前記第1の象限Q1、前記第2の象限Q2、前記第3の象限Q3及び前記第4の象限Q4に分布しており、前記第1の象限Q1、前記第2の象限Q2、前記第3の象限Q3及び前記第4の象限Q4に分布する複数の前記貫通孔3111の複数の部位において、そのいずれか2つの部位の間の面積差が50%を超えない。
【0062】
さらに詳しくは、前記コンタクトレンズ100の上面視において、いずれか1つの前記貫通孔3111は少なくとも2つの象限をまたがり(例えば、いずれか1つの前記貫通孔3111が前記第1の象限Q1と前記第4の象限Q4内に位置する、または前記第2の象限Q2と前記第3の象限Q3内に位置する)、いずれか1つの前記貫通孔3111は前記X軸に対して鏡像対称となることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0063】
複数の前記貫通孔3111は少なくとも1つの第1の貫通孔3111aおよび少なくとも1つの第2の貫通孔3111bを含み、少なくとも1つの前記第1の貫通孔3111aの数および少なくとも1つの前記第2の貫通孔3111bの数は本実施形態においてそれぞれ複数として説明されるが、本発明はこれに限定されない。なお、複数の前記第1の貫通孔3111aはそれぞれ複数の前記第2の貫通孔3111bの内側に位置している。つまり、各前記第2の貫通孔3111bの半径はいずれか1つの前記第1の貫通孔3111aの半径と異なる(例えば、大きい)。
【0064】
本実施形態において、各前記第1の貫通孔3111aは円弧状を呈し、その中心は前記中心軸線L上に位置し、複数の前記第1の貫通孔3111aは互いに間隔を置いて配置されている。また、各前記第2の貫通孔3111bは円弧状を呈し、その中心は前記中心軸線L上に位置し、複数の前記第2の貫通孔3111bは互いに間隔を置いて配置されている。
【0065】
また、いずれか1つの前記第1の貫通孔3111aは、対応する前記第2の貫通孔3111bの中心角の範囲内に位置し、いずれか2つの隣り合う前記第1の貫通孔3111aの間の間隔部位は、いずれか2つの隣り合う前記第2の貫通孔3111bの間の間隔部位と共に、前記コンタクトレンズ100の同一径方向上に位置している。
【0066】
さらに説明すべきこととして、前記コンタクトレンズ100は、本実施形態において、各種装置と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の他の実施形態(図示せず)において、前記コンタクトレンズ100は使用者が着用するあらゆるウェアラブルデバイス(例えば、メガネに取り付けられたリーダー、または首に掛けるリーダー)と無線接続することができ、前記ウェアラブルデバイス(またはリーダー)は一般的な無線伝送技術RFIDを採用することができ、例えば13.56MHzまたは860~960MHzの帯域幅、その他の無線誘導電力供給、信号伝送などの技術を用いて、前記コンタクトレンズ100に電力供給、感知、または信号のフィードバックを行い、それによってインテリジェントモニタリング(例えば、全時間帯眼圧値の収集および警告)、インテリジェント治療(例えば、ドライアイ薬の徐放制御)、ARサービス(例えば、画像投影)、その他のインテリジェントアプリケーションを実現する。
【0067】
[第2の実施形態]
図9から
図11に示される本発明の第2の実施形態を参照されたい。本実施形態は前述の第1の実施形態と類似しているため、2つの実施形態の共通点については繰り返し説明しない。本実施形態が前述の第1の実施形態と異なる点について大まかに説明する。
【0068】
本実施形態において、各前記貫通孔3111は長尺状を呈し、略等しい幅の形状を持ち、前記キャリア基板31はその外縁から前記中心軸線Lに向かって、前記プリフォーム4内に埋め込まれる複数の径方向切り目313が形成されている。
【0069】
更に詳細に言うと、前記コンタクトレンズ100の上面視において、前記第1の象限Q1および前記第2の象限Q2に分布する複数の前記貫通孔3111の面積は、前記第3の象限Q3および前記第4の象限Q4に分布する複数の前記貫通孔3111の面積よりも大きくすることができる。また、複数の前記貫通孔3111の面積は、前記C字状セグメント311の外輪郭によって囲まれる面積の1%~85%(望ましくは10%~40%)を占める必要がある。
【0070】
さらに、複数の前記貫通孔3111は、複数の第1の貫通孔3111aおよび複数の第2の貫通孔3111bを含む。複数の前記第1の貫通孔3111aはそれぞれ複数の前記第2の貫通孔3111bの内側に位置する。つまり、各前記第2の貫通孔3111bの半径はいずれか1つの前記第1の貫通孔3111aの半径とは異なる(例えば、大きい)。
【0071】
本実施形態において、各前記第1の貫通孔3111aは円弧状を呈し、その中心は前記中心軸線L上に位置し、複数の前記第1の貫通孔3111aは互いに間隔を置いて配置されている。また、各前記第2の貫通孔3111bは円弧状を呈し、その中心は前記中心軸線L上に位置し、複数の前記第2の貫通孔3111bは互いに間隔を置いて配置されている。
【0072】
[第3の実施形態]
図12から
図17に示される本発明の第3の実施形態を参照されたい。本実施形態は前述の第1の実施形態および第2の実施形態と類似しているため、前述の複数の実施形態の共通点については繰り返し説明しない。本実施形態が前述の第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点について大まかに説明する。
【0073】
本実施形態において、前記プリフォーム4は第1の実施形態に記載されている前記内側光学層41を形成しなくてもよい。つまり、前記プリフォーム4は前記第1の実施形態に記載されている前記被覆リング42に相当する。より詳細には、前記プリフォーム4は本実施形態においてリング状を呈し、前記光学部11の外側を囲んでおり、前記プリフォーム4の中心は前記中心軸線L上に位置している。前記プリフォーム4と前記レンズ本体1の間には隙間なく接続して接合界面43を形成し、それぞれ前記後面1b及び前記前面1aと間隔をおいて配置されている。
【0074】
さらに、前記電子部品2及び/または前記配線構造3は前記プリフォーム4に埋め込まれており、前記電子部品2及び/または前記配線構造3の局部表面は前記プリフォーム4の外面に揃えられ、前記リング状着用部12に接合されている。さらに、前記配線構造3は
図12から
図14に示されるように前記キャリア基板31及び前記配線32を含む場合もあれば、
図15から
図17に示されるように前記配線32のみを含む場合もあるが、これに限定されない。
【0075】
さらに説明すべきこととして、本実施形態において、前記キャリア基板31の構造は
図12から
図14に示される例を基にしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の他の実施形態(図示せず)において、前記キャリア基板31の構造は設計要件に応じて実施形態2の
図9から
図11に示される構造と同様に変更することができる。
【0076】
[本発明の実施形態の技術効果]
総括すると、本発明の実施形態で公開されるコンタクトレンズは、前記眼に優しい材質で製造された前記プリフォームを形成することにより、前記配線構造(および前記電子部品)が予め前記プリフォームに埋め込まれ位置決めされることで、コンタクトレンズの生産製造プロセスで前記配線構造(および前記電子部品)が前記プリフォームを通じて前記レンズ本体内に完全に埋め込まれ位置決めされることができる。
【0077】
また、本発明の実施形態で公開されるコンタクトレンズは、前記レンズ本体の前面に自由曲面を形成することにより、前記レイアウト領域の厚さは前記下まぶた領域の厚さに完全に合わせる必要がなく(例えば、前記リング状着用部の厚さ分布が前記下まぶた領域に向かって徐々に増加する)、これにより前記レイアウト領域の薄型化を実現し、前記レイアウト領域の酸素透過率を効果的に向上させ、前記コンタクトレンズの着用時の異物感を低減する。
【0078】
さらに、本発明の実施形態で公開されるコンタクトレンズは、前記レンズ本体の前記C字状セグメントに特定の面積を占める少なくとも1つの貫通孔(例えば、少なくとも1つの前記貫通孔の面積は前記C字状セグメントの外輪郭によって囲まれる面積の1%~85%を占める必要がある)を形成することにより、前記キャリア基板に皺や応力集中が生じるのを効果的に低減する。さらに、本発明の実施形態で公開されるコンタクトレンズは、少なくとも1つの前記貫通孔の配置と自由曲面の組み合わせにより、前記コンタクトレンズの酸素透過率をさらに向上させることができる。
【0079】
以上に公開された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0080】
100 コンタクトレンズ
200 目
201 下まぶた
202 上まぶた
1 レンズ本体
1a 前面
1b 後面
10 内蔵モジュール
11 光学部
11a 可視面
111 前側光学層
112 後側光学層
12 リング状着用部
12a 自由曲面
121 レイアウト領域
122 下まぶた領域
2 電子部品
3 配線構造
31 キャリア基板
311 C字状セグメント
3111 貫通孔
3111a 第1の貫通孔
3111b 第2の貫通孔
3112 内孔エッジ
3113 外孔エッジ
312 接続セグメント
313 径方向切り目
32 配線
4 プリフォーム
41 内側光学層
42 被覆リング
43 接合界面
L 中心軸線
Q1 第1の象限
Q2 第2の象限
Q3 第3の象限
Q4 第4の象限
σ122 中心角
【国際調査報告】