(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電気フィードスルー、真空装置及び組み立て方法
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20250130BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01R9/16 101
F04B39/00 106A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546408
(86)(22)【出願日】2023-03-01
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 GB2023050456
(87)【国際公開番号】W WO2023166283
(87)【国際公開日】2023-09-07
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヘイロック ジェイムズ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3H003
5E086
【Fターム(参考)】
3H003AC02
3H003AD01
3H003BC00
3H003CD00
3H003CE02
3H003CE06
3H003CF02
5E086PP02
5E086PP14
5E086PP26
5E086PP35
5E086QQ10
5E086QQ20
(57)【要約】
詳細には真空ポンプ用の電気フィードスルーは、2又は3以上の開口部を有し、好ましくは真空ポンプ/真空装置と結合可能な又は真空ポンプ/真空装置の一部である壁要素を備え、第1の端部及び反対側の第2の端部を有する接触要素が、開口部の各々を貫通して延び、個々の封止要素が、接触要素の各々と壁要素との間に配置され、開口部が真空封止されるようになっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
詳細には真空ポンプ用の電気フィードスルーであって、
2又は3以上の開口部を有し、好ましくは真空ポンプ/真空装置と結合可能な又は真空ポンプ/真空装置の一部である壁要素を備え、
第1の端部と反対側の第2の端部とを有する接触要素が、前記開口部の各々を貫通して延び、
個々の封止要素が、前記接触要素の各々と前記壁要素との間に配置され、前記開口部が真空封止されるようになっている、電気フィードスルー。
【請求項2】
正確に1つの接触要素は、前記開口部の各々を貫通して延びる、請求項1に記載の電気フィードスルー。
【請求項3】
前記封止要素は、Oリングである、請求項1又は2に記載の電気フィードスルー。
【請求項4】
前記封止要素のそれぞれは、前記接触要素を取り囲む、請求項1から3のいずれかに記載の電気フィードスルー。
【請求項5】
前記接触要素は、接触ピンである、請求項1から4のいずれかに記載の電気フィードスルー。
【請求項6】
前記接触要素の各々の前記第1の端部は、プリント回路基板、PCB、プラグ、ソケット、電気コネクタ又はワイヤに結合されている、請求項1から5のいずれかに記載の電気フィードスルー。
【請求項7】
前記接触要素の各々の前記第2の端部は、PCB、ワイヤ又はプラグに結合されている、請求項1から6のいずれかに記載の電気フィードスルー。
【請求項8】
前記PCBは、前記PCBと前記接触要素との間の電気的接触をもたらす結合要素を介して前記接触要素に結合されている、請求項6又は7に記載の電気フィードスルー。
【請求項9】
前記結合要素は、カップ形状であるか又は前記接触要素のための軸方向当接をもたらす、請求項8に記載の電気フィードスルー。
【請求項10】
前記結合要素は、前記接触要素のそれぞれを取り囲むスリーブである、請求項8又は請求項9に記載の電気フィードスルー。
【請求項11】
前記電気フィードスルーに着脱可能に結合された組立補助具を特徴とし、前記組立補助具は、前記壁要素の前記開口部に対応する開口部を備える、請求項1から10のいずれかに記載の電気フィードスルー。
【請求項12】
詳細には、真空チャンバを画定するハウジングを備える真空ポンプである真空装置であって、
請求項1から11のいずれかに記載の電気フィードスルーが、前記ハウジングに結合されるか又は前記ハウジングと一体的に構築され、前記接触要素の第1の端部が、前記真空チャンバの中に配置され、第2の反対側の端部が、前記真空チャンバの外側に配置されるようになっている、真空装置。
【請求項13】
詳細には、請求項1から11のいずれかに記載の電気フィードスルーの組み立て方法であって、
真空装置、詳細には真空ポンプの壁要素に少なくとも2つの開口部を準備するステップと、
接触要素を、前記開口部の各々を貫通して挿入するステップと、
個々の封止要素を、前記接触要素の各々と前記壁要素との間に挿入するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
PCBを、真空側で前記壁要素に結合するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組立補助具が前記壁要素に結合され、前記組立補助具は、前記接触要素及び前記封止要素の挿入を案内するために、前記壁要素の前記開口部に対応する開口部を有する、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細には真空装置又は真空ポンプ用の電気フィードスルー、真空装置、詳細には、このような電気フィードスルーを有する真空ポンプ、及びこのような電気フィードスルーの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ及び真空システムは、多くの場合、真空環境内でいくつかの電気構成要素又はサブシステムで動作する必要がある。これらは、通常、真空チャンバの壁を介して電力及び制御を供給する真空環境外側のシステムとの電気的結合を必要とする。電気的結合は、通常、真空に対して封止された電気コネクタを介して行われる。これらは、真空フィードスルーコネクタ又は真空リードスルー又は密封された電気コネクタとして様々な用語で呼ばれている。真空フィードスルーコネクタは、通常、複数の結合ピンをまとめる金属製又はプラスチック製のコネクタ本体に配置された1又は2以上の電気的結合ピンを有する。最良の真空封止は、結合ピンとコネクタ本体との間の電気的絶縁も可能にする、結合ピンとコネクタ本体との間のガラス-金属封止によって形成されることが多い。通常、コネクタ本体は、真空システムへのフィードスルーの容易な組み立て及び分解を可能にするOリングを使用して真空システムに対して封止されることになる。その点で、Oリングは、コネクタ本体と真空システムの壁との間に配置される。通常、電気フィードスルーの真空側への結合は、フライングリードで行われる。電気フィードスルーの反対側への結合は、結合ピンに直接はんだ付けされたフライングリードとすること、又は真空フィードスルーと結合して簡単に切り離すことができる電気コネクタを使用することができる。
【0003】
一部のシステムでは、電気コネクタは、ケーブルに取り付けることができ、他のシステムでは、電気コネクタは、プリント基板(PCB)又は制御モジュールに直接取り付けることができる。後者の場合、位置ずれに起因する電気的結合部への横力を回避するために、電気コネクタとPCB又は制御モジュールの取り付け構成において、フィードスルーと電気コネクタの位置合わせを保証するのに細心の注意を払う必要がある。横力又は位置ずれは、電気的結合部の障害、又は電気フィードスルーの不十分な封止を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、組み立てが容易であり、より信頼性の高い電気フィードスルーを提供することである。
【0005】
この技術的課題は、請求項1に記載の電気フィードスルー、請求項12に記載の真空装置、及び請求項13に記載の電気フィードスルーの組み立て方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電気フィードスルー、詳細には、真空装置又は真空ポンプ用の電気フィードスルーは、真空ポンプ又は真空装置に結合可能な壁要素を備える。あるいは、壁要素は、真空ポンプ又は真空装置と一体的に構築されるか、又は真空ポンプ又は真空装置の一部である。壁要素は、2又は3以上の開口部又は開口を有し、接触要素は、開口部の各々を貫通して延び、壁要素の一方側に第1の端部を有し、壁要素の他方側に反対側の第2の端部を有する。第1の端部は、真空装置又は真空ポンプの真空チャンバの中に及ぶことができ、一方で、第2の端部は、真空チャンバの外側、すなわち真空環境の外側に配置される。あるいは、第2の端部は、真空装置又は真空ポンプの真空チャンバの中に及ぶことができ、一方で、第1の端部は、真空チャンバの外側に配置される。従って、接触要素は、真空チャンバの内側への電気的接触を可能にする。本発明によれば、個々の封止要素は、壁要素のそれぞれの開口部を真空気密様式で封止するために、接触要素の各々と壁要素との間に配置されている。従って、封止要素の数は、接触要素の数に対応する、すなわち、各接触要素に対して個々の封止要素が想定される。好ましくは、封止要素とそれぞれの接触要素との間の直接的な接触、及び/又は封止要素と壁要素との間の直接的な接触が存在する。先行技術で使用されているような何らかのコネクタ本体などの中間部品が不要であり、フィードスルーの構造が簡易化され、従って、組み立て手順も簡略化される。壁要素は、従来技術のようにコネクタ本体を収容する単一の開口部ではなく、それぞれの接触要素のための個々の開口部を有するので、接触要素と開口部との間のわずかな位置ずれは、真空封止を損なうことなく許容可能である。位置ずれ状態では、本発明により、接触要素の各々は、真空封止に何らかの影響を与えることなく、接触要素の各々が個別にわずかに位置ずれする。従来技術では、位置ずれ状態では、フィードスルーのコネクタ本体全体は傾く必要があるので、封止効率が損なわれ、これは真空漏れをもたらす可能性がある。従って、本発明により、信頼性の高い電気フィードスルーが提供される。
【0007】
好ましくは、正確に1つの接触要素は、開口部の1つを貫通して延びる。従って、接触要素の数と壁要素の開口部の数は等しい。
【0008】
好ましくは、封止要素は、Oリングである。その結果、壁要素の開口部は、Oリングの形状に一致するように円形とすることができる。あるいは、開口部は、楕円形又は正方形又は他の特別な断面を有することができ、封止要素は、真空気密封止を提供するためにその形状と一致する。
【0009】
好ましくは、それぞれの封止要素は、接触要素を取り囲み、詳細には何らかの中間部品又は要素なしでそれぞれの接触要素と直接的に接触する。従って、電気フィードスルーに必要な部品数を低減することができ、市販の接触要素をコネクタ本体などに予め組み付けることなくそのまま使用することができる。
【0010】
好ましくは、それぞれの封止要素は、中間部品又は要素なしで壁要素と直接的に接触する。従って、電気フィードスルーに必要な部品数を低減することができ、市販の封止要素を予め組み付けることなくそのまま使用することができる。
【0011】
好ましくは、接触要素は、接触ピンである。詳細には、接触ピンの直径は、0.5mmと10mmの間であり、より大きな直径は、真空チャンバの中に大電流を供給することができる。詳細には、接触ピンは、第1の端部から第2の端部まで一定の直径を有する。あるいは、第1の端部の直径は、第2の端部の直径より小さくすること、又はその逆も可能である。従って、接触ピンに沿って、その間に段付きセクション又は傾斜/テーパー付きセクションが生じ、好ましくは、この段付きセクション又は傾斜セクションは、接触要素と封止要素との間のクランプ効果の増加に起因して封止効果を改善するために、封止要素と相互作用する封止要素と同じ軸方向位置にある。あるいは、接触ピンは、第1の端部において第1の直径、第2の端部において第2の直径、及び封止要素の位置において第3の直径を有し、第1の直径は、第2の直径と等しいか又は異なる場合があり、第3の直径は、第1の直径及び/又は第2の直径よりも大きい。従って、十分な封止を維持しながら接触設計の柔軟性を提供することができる。また、異なる接触設計に関して、第3の直径を一定に保つ場合、接触要素を適合させる必要はない。
【0012】
好ましくは、封止要素は電気絶縁性であり、それぞれの接触要素と壁要素との間の電気的結合を防止する。
【0013】
好ましくは、1つの接触要素、好ましくは2以上の接触要素、及びより好ましくは全ての接触要素の第1の端部は、プリント回路基板(PCB)、フライングリードとしてのワイヤに結合される、又はプラグ、ソケット、電気コネクタ等に結合することができる。代替的に又は追加的に、1つの接触要素、好ましくは2以上の接触要素、より好ましくは全ての接触要素の第2の端部は、PCB、ワイヤ又はプラグ、ソケット、電気コネクタ等に結合される。
【0014】
好ましくは、PCBは、PCBと接触要素との間に電気的接触をもたらす結合要素を介して接触要素に結合される。その点で、結合要素によって、PCBは、接触要素の第1の端部に結合することができ、従って真空装置又は真空ポンプの真空チャンバ内に配置することができる、又は、結合要素は、真空チャンバの外側に配置されたPCBを接触要素の第2の端部に結合するために使用することができる。
【0015】
好ましくは、結合要素は、カップ形状であるか又は接触要素のための軸方向当接をもたらす。詳細には、接触要素が、真空チャンバの内側に配置されたPCBに結合される場合、接触要素は、接触要素を結合要素の中に挿入することによってPCBに結合することができる。結合要素のカップ形状又は軸方向当接により、接触要素は、真空チャンバの中に余計に挿入されず、接触要素の軸方向位置を規定することができる。従って、組み立てが簡略化され、接触要素の信頼性の高い再現性のある軸方向位置が保証される。しかしながら、カップ形状の結合要素は、真空外部の第2の端部に使用して、第2の端部でも軸方向移動をさらに制限することができる。
【0016】
好ましくは、結合要素は、それぞれの接触要素を取り囲むスリーブである。詳細には、接触要素を真空チャンバの外側に配置されたPCBに結合するために、結合要素は、スリーブとして構築される。PCBは、接触要素をそれぞれの結合要素の中に挿入することによって、又は代替的に、挿入された接触要素の上に結合要素を置くことによって接触要素に取り付けることができる。しかしながら、スリーブ形状の結合要素は、真空内部の第1の端部に使用することも可能である。
【0017】
好ましくは、1つの開口部、2以上の開口部又は全ての開口部は、制限部分を備える。その点で、封止要素は、制限部分によって規定された凹部内に受け入れられる。制限部分によって、封止要素を挿入する際に、封止要素の押し通しが回避される。
【0018】
好ましくは、2又は3以上の開口部は、別々に構築される。あるいは、壁要素の全ての開口部は、同様に構築される。
【0019】
好ましくは、開口部又は凹部は、円錐形の断面を有するか又は壁要素に向かってテーパーを有し、壁要素のそれぞれの凹部又は開口部の中への封止要素の挿入が容易になる。
【0020】
好ましくは、電気フィードスルーに着脱可能に結合された組立補助具が設けられる。その点で、組立補助具は、壁要素の開口部に対応する開口部を備える。詳細には、組立補助具の開口部は、壁要素の開口部の位置と一致する。従って、組立補助具の開口部の数は、壁要素の開口部の数と同じである。詳細には、組立補助具の位置は、壁要素に対して固定されており、例えば、壁要素に対して固定された回転位置を有する。従って、組立補助具又は壁要素は、配向特徴部を備えることができ、配向特徴部は、それぞれの他の要素の対応する配向特徴部と相互作用する/係合する回り止め又はキー溝のようなものである。従って、配向特徴部により、壁要素に対する組立補助具の回転位置が固定される。組立補助具によって、接触要素、並びに封止要素の挿入が簡略化される。その点で、好ましくは、組立補助具の開口部は、円錐形の断面を有するか又は壁要素に向かってテーパーを有し、壁要素のそれぞれの凹部又は開口部の中への封止要素の挿入が容易になる。
【0021】
別の態様において、本発明は、真空装置、詳細には真空チャンバを画定するハウジングを備える真空ポンプに関する。その点で、上述のような電気フィードスルーは、接触要素の第1の端部が真空チャンバ内に配置され、接触要素の反対側の第2の端部が真空チャンバの外側になるように、ハウジングに結合されるか又はハウジングと一体的に構築される。
【0022】
別の態様において、本発明は、電気フィードスルーの組み立て方法に関し、電気フィードスルーは、詳細には上述のように構築される。本方法は、
真空装置、詳細には真空ポンプの壁要素に少なくとも2つの開口部を準備するステップと;
接触要素を、開口部の各々を貫通して挿入するステップと;
個々の封止要素を、接触要素の各々と壁要素との間に挿入するステップと;
を含む。
【0023】
従って、第1のステップでは、少なくとも2つの開口部又は開口を有する壁要素が準備される。第2のステップでは、接触要素の第1の端部が真空装置又は真空ポンプの真空チャンバに及ぶことができるように、接触要素が開口部の中に挿入されて開口部を貫通し、反対側の第2の端部は、真空チャンバの外側に配置することができる。好ましくは、1つの開口部の中に正確に1つの接触要素が挿入され、接触要素の数が開口部の数と等しくなるようになっている。第3のステップでは、個々の封止要素が、接触要素の各々と壁要素との間に、すなわち壁要素の開口部の中に挿入される。その点で、各接触要素に対して正確に1つの封止要素が挿入され、封止要素は、好ましくはそれぞれの接触要素と直接的に接触し、接触要素を取り囲むことができる。封止要素によって、壁要素の開口部は、真空気密様式で封止される。しかしながら、本方法のステップの順序は、適宜、変えることができる。従って、開口部の中に最初に封止要素が挿入され、その後、接触要素が挿入されるという状況も含まれる。
【0024】
好ましくは、接触要素を壁要素のそれぞれの開口部の中に挿入する前に、PCBが、真空側で壁要素に結合される、すなわちPCBが、真空チャンバ内に配置される。その後、接触要素を壁要素の開口部を貫通して挿入することにより、接触要素は、同時に真空チャンバ内でPCBに結合される。あるいは、接触要素が挿入され、その後、PCBが真空側で結合される。
【0025】
好ましくは、接触要素及び/又は封止要素を挿入する前に、組立補助具が、壁要素に着脱可能に結合され、組立補助具は、接触要素及び/又は封止要素の挿入を案内するために、壁要素の開口部、すなわちその位置及び大きさに対応する開口部を有する。従って、組立補助具により、接触要素及び/又は封止要素の組み立てが容易になり、それにより、電気フィードスルーの組み立てが簡略化される。
【0026】
好ましくは、本方法は、電気フィードスルーに関する上述の特徴に従って、さらに進展される。
【0027】
以下、本発明は、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】位置合わせされていない構成での
図1による電気フィードスルーを示す。
【
図3】組み立て時に組立補助具を含む、本発明による電気フィードスルーを示す。
【
図4】本発明による電気フィードスルーの組み立て方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による電気フィードスルーを示す
図1を参照する。電気フィードスルーは、真空装置、詳細には真空ポンプのハウジングに結合される又はハウジングと一体的に構築される壁要素10を備える。真空装置のハウジングにより真空又は低圧の真空チャンバ12が画定され、反対側の外側14は例えば大気圧である。
図2に示す例では、壁要素10は、2つの開口部又は開口28を有する。しかしながら、本発明は、開口部の正確な数に限定されるものではなく、3又は4以上の開口部も本発明の範囲内である。接触要素30は、開口部28の各々を貫通して延びており、接触要素30の第1の端部が真空チャンバ12に及び、反対側の第2の端部が、外側14に及ぶようになっている。その点で、接触要素30は、一定の断面を有する接触ピンとして示されている。あるいは、接触ピンの断面は、接触ピンが第2の端部よりも第1の端部でより大きな直径を有するように又はその逆に変化することができる。
【0030】
各接触要素30に関して、正確に1つの開口部28が壁要素10に設けられる、又はその逆に、正確に1つの接触要素30が開口部28の各々に挿入される。さらに、封止要素36が接触要素30の各々の周囲に配置され、封止要素36は、Oリングとして構築することができる。封止要素36は、接触要素30を取り囲むと共に接触要素30と直接的に接触している。さらに、封止要素36は、真空チャンバ12内の真空を維持するための気密封止を提供するために、壁要素10と直接的に接触している。詳細には、開口部28によって、制限部分31を有する凹部33が形成され、外側14から凹部33の中に挿入された場合に封止要素36の軸方向移動を制限するようになっている。その点で、接触要素30及び封止要素36以外の追加部品は不要である。詳細には、接触要素30は、2以上の接触要素をまとめるための何らかのコネクタ本体と接触していない。従って、電気フィードスルーの部品数を低減することができる。
【0031】
詳細には、封止要素36は、壁要素10によって構築された凹部33内に配置される。その点で、凹部33は、2mmと15mmとの間の直径、好ましくは3mmと8mmとの間の直径を有することができる。さらに、接触要素30は、銅、真鍮又は銀などの電気伝導性材料で作られ、5mmと100mmとの間、より好ましくは8mmと20mmとの間の長さを有することができ、0.5mmと10mmとの間、より好ましくは1mmと5mmとの間の直径を有することができる。その点で、接触要素30が第1の端部において第2の端部とは異なる直径を有する場合、傾斜/テーパー付きセクション又は段付きセクションは、凹部33内に配置することができ、封止要素36の封止効果を高めるために封止要素36に直接的に接触することができる。さらに、接触要素30の大きな直径は、より大きな電流を伝送する可能性をもたらすことができる。加えて、封止要素36は、接触要素30の電気的接触を壁要素10から絶縁するために、電気絶縁材料から構築することができる。
【0032】
従って、接触要素30によって、外側14と真空チャンバ12との間の電気的結合が提供される。
【0033】
図1の例では、第1のプリント回路基板(PCB)16は、壁要素の真空側、すなわち真空チャンバ12の内側に結合されている。第1のPCB16は、電気モータ22又は電気センサ24を保持することができる。しかしながら、本発明は、第1のPCB16によって支持されるいかなる特定の電気構成要素にも限定されない。その点で、接触要素30は、第1の結合要素34によって、第1のPCB16に結合される。第1の結合要素34は、カップ形状とすることができ、外側14から開口部28を貫通して真空チャンバ12の中への接触要素30の挿入動作に対して軸方向の制限をもたらすことができる。この接触要素30の挿入動作は、接触要素30の第1の端部が、カップ形状の第1の結合要素34の底部に対して当接すると停止する。詳細には、第1の結合要素34の内径は、接触要素30の外径に対応する。あるいは、第1の結合要素34の内径は、接触要素30の外径よりも大きくすることができ、ばね付勢圧縮要素が、接触要素30と第1の結合要素34との間の接触をもたらすことができる。
【0034】
図1の例では、第2のPCB18は、外側14に配置されると共に壁要素10に結合されている。第2のPCB18は、モータ制御装置24’、センサ制御装置26又は他のセンサ24などのさらなる電気構成要素を支持する。しかしながら、本発明は、第2のPCB18に結合される特定の電気構成要素に限定されるものではなく、他の電気構成要素は、第2のPCB18に結合することができる。その点で、接触要素30は、第2の結合要素32によって第2のPCB18に結合される。第2の結合要素32は、それぞれの接触要素30を取り囲むスリーブとして構築される。その点で、スリーブの内径は、電気的接触を提供するために、接触要素30の外径に対応することができる。あるいは、第2の結合要素32の内径は、接触要素30の外径よりも大きくすることができ、第2の結合要素32は、接触要素30と第2の結合要素32との間に電気的接触を可能にするばね付勢圧縮要素を備えることができる。
【0035】
加えて、カバー20は、さらなる保護のために電気フィードスルーを覆うことができる。
【0036】
図2を参照すると、
図1を参照して説明したのと同じ電気フィードスルーが示されている。しかしながら、第1のPCBと第2のPCB18との間には位置ずれが存在する。
図2に示すように、このわずかな位置ずれは、本発明による電気フィードスルーによって補正することができる。真空チャンバ12と外側14との間に電気的結合をもたらすために個々の接触要素30が使用されるので、第1のPCB16及び/又は第2のPCB18の位置ずれが生じると、各接触要素30は、この位置ずれを補正するためにわずかに傾く。その点で、それぞれの開口部28の封止に影響を及ぼすことなく、接触要素30の最大15°以下、好ましくは10°以下、最も好ましくは6°以下の傾斜を許容することができる。従来技術のように、接触要素30をコネクタ本体によって1つの接触要素にまとめる場合、真空チャンバ12の内側の真空を喪失することなく補正を行うことはできない。
【0037】
加えて、
図1及び2から分かるように、本電子フィードスルーは部品数が少ない。実際、壁要素10を介した電子的接触を可能にするために、接触要素30及び封止要素36だけが必要である。
【0038】
図1には、接触要素30の第1の端部及び第2の端部が、それぞれの第1のPCB16及び第2のPCB18に結合されていることが示されているが、他の結合も可能である。従って、接触要素30の第1の端部及び/又は接触要素30の第2の端部は、プラグに結合すること又はフライングリードとしてワイヤに結合することができる。
【0039】
接触要素30は、円形又は実質的に円形の断面を有することが記載されているが、他の形状も可能である。同じことが、壁要素10によって形成された凹部33、並びにそれぞれの開口部28にも当てはまる。
【0040】
本発明による電気フィードスルーの組み立てのためのフローチャートを示す
図4を参照する。ステップS01では、2又は3以上の開口部を有する壁要素を準備する。その点で、壁要素10は、真空装置又は真空ポンプのハウジングに結合されるか又はハウジングと一体的に構築される。その点で、ハウジングによって、低圧又は真空を閉じ込める真空チャンバが画定される。ステップS02では、接触要素30を開口部28の各々に挿入する。その点で、好ましくは、正確に1つの接触要素30を壁要素10の各開口部28に挿入する。
【0041】
ステップS03では、封止要素36を、開口部28又は開口部によって構築されたそれぞれの凹部33に挿入して開口部28の気密封止を提供する。その点で、封止要素36は、接触要素30及び壁要素10の両方に直接的に接触することができる。その点で、各接触要素30に関して、個々の封止要素36は、封止要素36の数が接触要素30の数に等しくなるように、より好ましくは、開口部28の数に等しくなるように挿入される。
【0042】
従って、接触要素30によって、信頼性の高い電気フィードスルーが提供され、これは、必要な部品数が少ないため組み立てが容易であり、接触要素30の位置がずれても信頼性の高い封止を提供する。
【0043】
好ましくは、ステップS02で接触要素30を挿入する前に、第1のPCB16が、壁要素10の真空側に結合される。その点で、好ましくは、第1の結合要素34が、既に所定の位置にあり、第1のPCB16に結合される。その後、ステップS02では、接触要素30と第1のPCB16との間の電気的接触をもたらすために、接触要素30が、壁要素10のそれぞれの開口部28を貫通してカップ形状の第1の結合要素34に挿入される。
【0044】
好ましくは、ステップS02では、接触要素30を挿入する前に、より好ましくは、壁要素10の真空側に第1のPCB16を結合した後に、組立補助具42を、壁要素10に着脱可能に結合する。その点で、組立補助具42は、接触要素30及び/又は封止要素36の組み立てを助けるために、壁要素10に着脱可能に結合される。組立補助具は、接触要素30及び/又は封止要素36の挿入時に取り外される。その点で、組立補助具42は、壁要素の開口部に対応する開口部44を有する。
図3に例示されるように、組立補助具42の開口部44の内面46は、それぞれの開口部28又は凹部33の内面と整列している。さらに、壁要素10によって、壁要素10の開口部28に対して組立補助具42を整列させるために、整列面40を提供することができる。さらに、組立補助具42と壁要素10との間に固定された相対位置をもたらすために、配向特徴部を実装することができる。例えば、配向特徴部は、壁要素10での位置の周りの組立補助具の回転を防止し、壁要素10と組立補助具42との間の相対的な回転位置を固定する回り止め及びキー溝によって提供することができる。さらに、封止要素36の挿入を容易にするために、組立補助具42の開口部44は、壁要素10に向かって直径が小さくなるテーパー直径(tapered diameter)を有することができる。従って、封止要素36の挿入は、外側14に向かって開口部44の端部の直径が大きくなることに起因して簡略化される。次に、封止要素36は、真空気密封止を提供するためにそれぞれの開口部28の凹部33の中に圧入することができる。
図3は、1つの接触要素30及び1つの封止要素36がすでに挿入されている状況を例示する。次のステップでは、第2の接触要素30が挿入され、続いて第2の封止要素36が他方の開口部28に挿入される。
【0045】
好ましくは、封止要素を挿入した後、第2のPCBをハウジングの外側14で壁要素10に結合することができる。好ましくは、接触要素30は、第2のPCB18の開口部を貫通して延びる。その点で、第2の結合要素32は、第2のPCB18を壁要素10に結合する際に、接触要素30を第2のPCB18の開口部に挿入すると、接触要素30と第2のPCB18との間の電気的接触を提供するように既に所定の位置に存在することができる。あるいは、最初に、第2のPCB18を設置して壁要素10に結合し、それによって、接触要素30が第2のPCB18の開口を貫通して延びる。その後、第2の結合要素32が、第2のPCB18のこれらの開口の中に挿入され、接触要素30と第2のPCB18との間の電気的接触がもたらされる。
【0046】
しかしながら、組み立て方法が特定のステップの順番で上述されるが、本発明の他の実施形態は、必要に応じ、この順番から逸脱する場合がある。組み立てステップの順番は、自由に選択することができ、上記の所定の実施例又は図面によって限定されない。
【0047】
従って、本発明によって、僅かな位置ずれがあっても電気的接触及び真空気密封止を可能にする、簡略化され信頼性の高い電気フィードスルーが提供される。
【符号の説明】
【0048】
10 壁要素
12 真空チャンバ
14 外側
16 第1のPCB
18 第2のPCB
20 カバー
22 電気モータ
24 電気センサ
24’ モータ制御装置
26 センサ制御装置
28 開口部又は開口
30 接触要素
31 制限部分
32 第2の結合要素
33 凹部
34 第1の結合要素
36 封止要素
40 整列面
42 組立補助具
44 開口部
46 内面
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
詳細には真空ポンプ用の電気フィードスルーであって、
2又は3以上の開口部を有し、好ましくは真空ポンプ/真空装置と結合可能な又は真空ポンプ/真空装置の一部である壁要素を備え、
第1の端部と反対側の第2の端部とを有する接触要素が、前記開口部の各々を貫通して延び、
個々の封止要素が、前記接触要素の各々と前記壁要素との間に配置され、前記開口部が真空封止されるようになっている、電気フィードスルー。
【請求項2】
正確に1つの接触要素は、前記開口部の各々を貫通して延びる、請求項1に記載の電気フィードスルー。
【請求項3】
前記封止要素は、Oリングである、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項4】
前記封止要素のそれぞれは、前記接触要素を取り囲む、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項5】
前記接触要素は、接触ピンである、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項6】
前記接触要素の各々の前記第1の端部は、プリント回路基板、PCB、プラグ、ソケット、電気コネクタ又はワイヤに結合されている、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項7】
前記接触要素の各々の前記第2の端部は、PCB、ワイヤ又はプラグに結合されている、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項8】
前記PCBは、前記PCBと前記接触要素との間の電気的接触をもたらす結合要素を介して前記接触要素に結合されている、請求項
6に記載の電気フィードスルー。
【請求項9】
前記結合要素は、カップ形状であるか又は前記接触要素のための軸方向当接をもたらす、請求項8に記載の電気フィードスルー。
【請求項10】
前記結合要素は、前記接触要素のそれぞれを取り囲むスリーブである、請求項
8に記載の電気フィードスルー。
【請求項11】
前記電気フィードスルーに着脱可能に結合された組立補助具を特徴とし、前記組立補助具は、前記壁要素の前記開口部に対応する開口部を備える、請求項
1に記載の電気フィードスルー。
【請求項12】
詳細には、真空チャンバを画定するハウジングを備える真空ポンプである真空装置であって、
請求項1から11のいずれかに記載の電気フィードスルーが、前記ハウジングに結合されるか又は前記ハウジングと一体的に構築され、前記接触要素の第1の端部が、前記真空チャンバの中に配置され、第2の反対側の端部が、前記真空チャンバの外側に配置されるようになっている、真空装置。
【請求項13】
詳細には、請求項1から11のいずれかに記載の電気フィードスルーの組み立て方法であって、
真空装置、詳細には真空ポンプの壁要素に少なくとも2つの開口部を準備するステップと、
接触要素を、前記開口部の各々を貫通して挿入するステップと、
個々の封止要素を、前記接触要素の各々と前記壁要素との間に挿入するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
PCBを、真空側で前記壁要素に結合するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組立補助具が前記壁要素に結合され、前記組立補助具は、前記接触要素及び前記封止要素の挿入を案内するために、前記壁要素の前記開口部に対応する開口部を有する、請求項
13に記載の方法。
【国際調査報告】