(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】バックコンタクトヘテロ接合電池セルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10F 10/166 20250101AFI20250130BHJP
【FI】
H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547028
(86)(22)【出願日】2023-04-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2023090091
(87)【国際公開番号】W WO2024021708
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202210910831.7
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524191262
【氏名又は名称】中国華能集団清▲潔▼能源技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUANENG CLEAN ENERGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Laboratory A, Huaneng Talent Innovation and Venture Base,Future Science Park, Beiqijia, Changping District, Beijing 102209, China
(71)【出願人】
【識別番号】524294356
【氏名又は名称】華能大理風力発電有限公司▲ジ▼源分公司
【氏名又は名称原語表記】HUANENG DALI WIND POWER CO., LTD, ERYUAN BRANCH
【住所又は居所原語表記】Jiaoshi Villager Member, Yousuo Town, Eryan County Dali, Yunnan 671200 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、リチェン
(72)【発明者】
【氏名】ペン、ウェンボ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ピン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ドンミン
(72)【発明者】
【氏名】リ、シャオレイ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、フー
(72)【発明者】
【氏名】シ、ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ゲ、ヘン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251BA11
5F251CA02
5F251CA03
5F251CA04
5F251DA04
5F251DA07
5F251DA10
5F251DA20
5F251FA02
5F251GA04
5F251HA01
(57)【要約】
本開示は、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルおよびその製造方法を開示する。バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルは、基板、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層、反射防止層、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層、ドープ層、透明導電層、および第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を含む。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層および反射防止層は、基板の光入射面に順次堆積される。第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層およびドープ層は、基板の背面に順次堆積される。ドープ層は、複数の交互に配置されたP領域およびN領域を含み、透明導電層はP領域およびN領域の上に堆積される。隣接するP領域とN領域は間隔を置いて配置され、第1の隔離溝を形成する。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は、第1の隔離溝に一対一で対応し、該隔離層は対応する第1の隔離溝内に充填される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層と、反射防止層と、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層と、ドープ層と、透明導電層と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層と、を含むバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルであって、
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層及び前記反射防止層は順次に前記基板の光入射面に堆積され、
前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層及び前記ドープ層は順次に前記基板の背面に堆積され、前記ドープ層は複数の交互に配置されたP領域及びN領域を含み、前記透明導電層は前記P領域及び前記N領域に堆積され、任意の隣接する前記P領域及び前記N領域は間隔を置いて配置され、第1の隔離溝を形成し、
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は前記第1の隔離溝と一対一に対応し、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は対応する前記第1の隔離溝内に充填され、
前記第1の隔離溝は前記基板の厚さ方向に沿って前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層を貫通し、且つ少なくとも一部分が前記基板に位置し、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は前記第1の隔離溝の前記基板内に位置する部分を充填し、前記第1の隔離溝は前記基板及び前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層内に位置する内側隔離溝と、前記ドープ層に位置する外側隔離溝とを含み、前記内側隔離溝の幅Dは0<D<10nmであり、前記外側隔離溝の幅は10nmより大きい、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項2】
前記ドープ層は、前記P領域を構成するP型アモルファスシリコン層と、前記N領域を構成するN型アモルファスシリコン層とを含み、
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層の少なくとも一部は前記第1の隔離溝を充填する、請求項1に記載のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項3】
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は、真性アモルファスシリコン、nc-Si:H及びμc-Si:Hのいずれか一つで構成されたシリコン薄膜である、請求項2に記載のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項4】
前記第1の隔離溝は前記基板内に位置する部分の深さが前記基板の厚さに等しい、請求項1に記載のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項5】
前記基板はN型基板であり、前記P領域の面積は前記N領域の面積より大きい、請求項1に記載のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項6】
前記基板の背面に前記第1の隔離溝に対応する第2の隔離溝が設けられ、
前記第2の隔離溝の深さは前記基板の厚さ以下であり、
前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層が前記第2の隔離溝に充填される、請求項1に記載のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セル。
【請求項7】
基板の光入射面及び背面にそれぞれ第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2及び第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層を堆積し、さらに前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2上に反射防止層を堆積するステップと、
第1のマスク及び第2のマスクを用いて、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層上にそれぞれN型アモルファスシリコン及びP型アモルファスシリコンを堆積するステップと、
前記N型アモルファスシリコンと前記P型アモルファスシリコンの境界部において、レーザーエッチングを用いて第1の隔離溝を形成し、前記第1の隔離溝は前記基板に延び、前記基板及び前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層に位置する内側隔離溝と、前記N型アモルファスシリコン及び前記P型アモルファスシリコンの間に位置する外側隔離溝をそれぞれ形成し、溝形成後の前記N型アモルファスシリコン及び前記P型アモルファスシリコンはそれぞれN領域及びP領域を形成し、前記内側隔離溝の深さは前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層の厚さ及び前記基板の厚さ以下である溝形成ステップと、
前記内側隔離溝及び前記外側隔離溝内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップと、
を含む、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法。
【請求項8】
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層上に第3のマスクを設け、物理的気相成長法を用いて透明導電層を堆積し、
前記第3のマスクを剥がし、中間バリアを有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
基板の光入射面に第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2及び反射防止層を順次堆積するステップと、
前記基板の背面に第4のマスクを配置し、レーザーエッチングを用いて前記第4のマスク及び前記基板をエッチングして第2の隔離溝を形成するステップと、
前記第2の隔離溝内にアモルファスシリコンを堆積し、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップと、
前記第4のマスクを除去し、前記基板の背面に第2のアモルファスシリコンパッシベーション層を堆積するステップと、
第5のマスク及び第6のマスクを用いて、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層上にそれぞれN型アモルファスシリコン及びP型アモルファスシリコンを堆積し、間隔を置いて配置されたN領域及びP領域を形成するステップと、
前記N領域及びP領域の間隙に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップと、
を含む、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法。
【請求項10】
前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層上に第7のマスクを設け、物理的気相成長法を用いて透明導電層を堆積し、
前記第7のマスクを剥がし、中間バリアを有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する、請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年07月29日に中国で提出された中国特許出願No.202210910831.7の優先権を主張しており、同出願の内容のすべては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本出願は、ヘテロ接合電池セル技術分野に関し、特にバックコンタクトヘテロ接合電池セルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バックコンタクト型太陽電池は、電池のP領域およびN領域をすべて電池の背面に配置し、グリッド線による電池表面の遮蔽を回避でき、高効率の太陽電池である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池は以下の問題に直面している:P領域とN領域の隔離距離の設定が電池効率に影響を与える。研究によれば、P領域とN領域の間隙における電流密度は非常に高く、電流はP領域とN領域において不均一に分布し、P領域とN領域の中心に近づくほど電流密度は低くなる。これに基づき、一般にP領域とN領域の間の隔離区の距離は10~50μmである。P領域とN領域の間隙が小さすぎると、電池が破壊され短絡する可能性がある;P領域とN領域の間隙が大きすぎると、P領域およびN領域の面積に影響し、電池効率に悪影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも一定の程度において関連技術における技術的課題の一つを解決することを目的とする。これを達成するために、本発明の実施形態は、P領域およびN領域の有効面積が大きく、電池効率が高いバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルを開示する。さらに、本発明の実施形態は、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法を開示する。
【0006】
第一の実施態様において、基板と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2と、反射防止層と、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層と、ドープ層と、透明導電層と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層と、を含み、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2及び前記反射防止層は順次に前記基板の光入射面に堆積され、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層及び前記ドープ層は順次に前記基板の背面に堆積され、前記ドープ層は複数の交互に配置されたP領域及びN領域を含み、前記透明導電層は前記P領域及び前記N領域に堆積され、任意の隣接する前記P領域及び前記N領域は間隔を置いて配置され、第1の隔離溝を形成し、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は前記第1の隔離溝と一対一に対応し、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は対応する前記第1の隔離溝内に充填され、前記第1の隔離溝は前記基板の厚さ方向に沿って前記第2のアモルファスシリコンパッシベーション層を貫通し、且つ少なくとも一部分が前記基板に位置し、前記第1のアモルファスシリコンパッシベーション隔離層は前記第1の隔離溝の前記基板内に位置する部分を満たし、前記第1の隔離溝は前記基板及び前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層内に位置する内側隔離溝と、前記ドープ層に位置する外側隔離溝とを含み、前記内側隔離溝の幅Dは0<D<10nmであり、前記外側隔離溝の幅は10nmより大きい、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルを開示する。
【0007】
一部の実施例において、前記ドープ層は、前記P領域を構成するP型アモルファスシリコン層と、前記N領域を構成するN型アモルファスシリコン層とを含み、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層の少なくとも一部は前記第1の隔離溝を充填する。
【0008】
一部の実施例において、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層は、アモルファスシリコン、nc-Si:H及びμc-Si:Hのいずれか一つで構成されたシリコン薄膜である。
【0009】
一部の実施例において、前記第1の隔離溝は前記基板内に位置する部分の深さが前記基板の厚さに等しい。
【0010】
一部の実施例において、前記基板はN型基板であり、前記P領域の面積は前記N領域の面積より大きい。
【0011】
一部の実施例において、前記基板の背面に前記第1の隔離溝に対応する第2の隔離溝が設けられ、
前記第2の隔離溝の深さは前記基板の厚さ以下であり、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層が前記第2の隔離溝に充填される。
【0012】
一部の実施例において、基板の光入射面及び背面にそれぞれ第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2及び第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層を堆積し、さらに前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2上に反射防止層を堆積するステップと、第1のマスク及び第2のマスクを用いて、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層上にそれぞれN型アモルファスシリコン及びP型アモルファスシリコンを堆積するステップと、前記N型アモルファスシリコンと前記P型アモルファスシリコンの境界部において、レーザーエッチングを用いて第1の隔離溝を形成し、前記第1の隔離溝は前記基板に延び、前記基板及び前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層に位置する内側隔離溝と、前記N型アモルファスシリコン及び前記P型アモルファスシリコンの間に位置する外側隔離溝をそれぞれ形成し、溝形成後の前記N型アモルファスシリコン及び前記P型アモルファスシリコンはそれぞれN領域及びP領域を形成し、前記内側隔離溝の深さは前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層の厚さ及び前記基板の厚さ以下である溝形成ステップと、前記内側隔離溝及び前記外側隔離溝内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップとを含む、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法が開示される。
【0013】
一部の実施例において、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層上に第3のマスクを設け、物理的気相成長法を用いて透明導電層を堆積し、前記第3のマスクを剥がし、中間バリアを有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する。
【0014】
一部の実施例において、基板の光入射面に第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2及び反射防止層を順次堆積するステップと、前記基板の背面に第4のマスクを配置し、レーザーエッチングを用いて前記第4のマスク及び前記基板をエッチングして第2の隔離溝を形成するステップと、前記第2の隔離溝内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップと、前記第4のマスクを除去し、前記基板の背面に第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層を堆積するステップと、第5のマスク及び第6のマスクを用いて、前記第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層上にそれぞれN型アモルファスシリコン及びP型アモルファスシリコンを堆積し、間隔を置いて配置されたN領域及びP領域を形成するステップと、前記N領域及びP領域の間隙に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層を得るステップと含む、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法が開示される。
【0015】
一部の実施例において、前記第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層上に第7のマスクを設け、物理的気相成長法を用いて透明導電層を堆積し、前記第7のマスクを剥がし、中間バリアを有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する。
【発明の効果】
【0016】
本開示の実施形態によれば、本開示の実施例によるバックコンタクトヘテロ接合太陽電池は、P領域とN領域を第1のアモルファスシリコンパッシベーション隔離層で分離することで、電池の破壊や短絡を防止した上に、P領域とN領域との間に設ける第1の隔離溝の幅をさらに小さく設定することができる。従来のミクロンレベルの幅に比較して、本実施例ではナノメートルレベルの幅に抑えることができる。その結果、P領域およびN領域の有効面積がより大きくなり、電池効率が向上される。また、本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法の技術的優位性は、上述のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの技術的優位性と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップaを示す図である。
【
図2】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップbを示す図である。
【
図3】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップcを示す図である。
【
図4】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップdを示す図である。
【
図5】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップeを示す図である。
【
図6】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップfを示す図である。
【
図7】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップgを示す図である。
【
図8】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法のステップhを示す図である。
【
図9】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの概略図である。
【
図10】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップaを示す図である。
【
図11】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップbを示す図である。
【
図12】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップcを示す図である。
【
図13】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップdを示す図である。
【
図14】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップeを示す図である。
【
図15】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップfを示す図である。
【
図16】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップgを示す図である。
【
図17】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップhを示す図である。
【
図18】本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの別の製造方法のステップiを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者により得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0019】
以下、
図1から
図18に基づいて、本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルおよびその製造方法について説明する。
【0020】
図8に示すように、本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルは、基板1と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2と、反射防止層4と、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3と、ドープ層と、透明導電層7と、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8と、を含む。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2および反射防止層4は、基板1の光入射面(光に面する表面上)に順次堆積され、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3およびドープ層は、基板1の背面(バックライト表面上)に順次堆積される。ドープ層は、複数の交互に配置されたP領域61およびN領域51を含み、透明導電層7はP領域61およびN領域51の上に堆積され、任意の隣接するP領域61およびN領域51は間隔を置いて配置され、第1の隔離溝を形成する。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は第1の隔離溝と一対一に対応し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は対応する第1の隔離溝内に充填される。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は、真性アモルファスシリコン、nc-Si:H、及びμc-Si:Hのいずれか1つで構成されたシリコン薄膜である。
【0021】
本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルによれば、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8を設けることにより、P領域61とN領域51を分離し、電池の破壊や短絡を防止することを基本として、P領域61とN領域51の間の第1の隔離溝の幅をより小さく設定でき、関連技術のマイクロメートルレベルの幅と比較して、ナノメートルレベルに限定できる。これにより、P領域61およびN領域51の有効面積が大きくなり、電池効率が向上される。
【0022】
いくつかの実施例では、ドープ層はP領域61を構成するP型アモルファスシリコン層6と、N領域51を構成するN型アモルファスシリコン層5とを含み、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8の少なくとも一部は第1の隔離溝を充填する。
【0023】
すなわち、第1の隔離溝の幅は第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8の幅と等しく、その体積も等しい。これにより、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8によるN領域51およびP領域61の効果的な隔離が保証され、電池の安全性が向上される。
【0024】
いくつかの実施例では、
図5および
図8に示すように、第1の隔離溝は基板1の厚さ方向に沿って第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3を貫通し、且つ少なくとも部分的に基板1上に位置する。第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は、第1の隔離溝の基板1内に位置する部分を充填し、第1の隔離溝は、基板1および第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3に位置する内側隔離溝81と、ドープ層に位置する外側隔離溝100とを含む。
【0025】
いくつかの実施例では、第1の隔離溝の底面は基板1の光入射面に隣接することができる。すなわち、第1の隔離溝は基板1を完全には貫通せず、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの発電性能を保証しつつ、基板1が完全に分離されることを防止し、電池セルの製造効率に影響を与える。
【0026】
いくつかの実施例では、第1の隔離溝が基板1内に位置する部分の深さは基板1の厚さに等しい。すなわち、内側隔離溝は基板1を完全に貫通する。
【0027】
いくつかの実施例では、内側隔離溝81の幅Dは、0<D<10nmである。
【0028】
これにより、内側隔離溝81内の第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8の幅は10nm未満となるので、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8によって基板1が完全に隔離されることを避けるとともに、電池効率が向上させる。
【0029】
なお、内側隔離溝81と外側隔離溝100の幅は、パッシベーション隔離層の材料に応じて変化することに留意されたい。10nmを境界として、真性アモルファスシリコンを隔離材料として選択した場合、真性アモルファスシリコンの厚さが10nm以下では量子トンネル効果が伴い、10nm以上では絶縁体となる。内側隔離溝81内の第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は、P領域とN領域間の電子濃度を減少させるためのものであり、絶縁を目的としない。外側隔離溝100内の第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8は絶縁体である必要がある。よって、上記のような設計が採用された。同様に、パッシベーション隔離層の材料を変更した場合、異なる材料の障壁に応じて内側隔離溝81と外側隔離溝100の幅が決定される。例えば、真性アモルファスシリコンが外側隔離溝100内に充填される場合、外側隔離溝100内の第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8の幅は10nmを超える必要があり、これによりP領域61とN領域51の効果的な隔離が保証され、その幅はナノメートルレベルであるため、P領域61とN領域51の有効面積が大きくなり、電池効率が向上される。
【0030】
いくつかの実施例では、
図18に示すように、基板1の背面には、第1の隔離溝に対応する第2の隔離溝91が設けられ、第2の隔離溝91の深さは基板1の厚さ以下である。バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルはさらに、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層9を含み、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層9は第2の隔離溝91に充填される。このように成形されたバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルは、上述の実施例のバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルと同じ構造を有し、バックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルを柔軟に製造することができる。いくつかの実施例では、
図8に示すように、基板1はN型基板であり、P領域61の面積はN領域51の面積よりも大きい。このように成形されたバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルは、より高い発電効率を有する。
【0031】
本開示に係る構造は、例えば、PERC、TOPCONなど、結晶シリコン基板を有する各種のバックコンタクト電池に適用できる。なお、基板1はP型基板であってもよい。その場合、P型基板の場合のP領域61およびN領域51の配置はN型基板の場合とは逆になる。
【0032】
図1から
図9に示すように、本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップ1として、基板1の光入射面および背光面にそれぞれ第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2および第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3を堆積し、その後、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2上に反射防止層4を堆積する。
【0034】
ステップ2として、第1のマスク10および第2のマスク20を用いて、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3上にそれぞれN型アモルファスシリコンおよびP型アモルファスシリコンを堆積する。具体的には、まず第1のマスク10を設定し、N型アモルファスシリコンを成形した後、第1のマスク10を取り外し、第2のマスク20を設定してP型アモルファスシリコンを成形する。
【0035】
ステップ3として、N型アモルファスシリコンとP型アモルファスシリコンの境界部において、レーザーエッチングを使用して第1の隔離溝を形成し、溝形成後のN型アモルファスシリコンとP型アモルファスシリコンはそれぞれN領域51およびP領域61を形成する。P領域61/N領域51の厚さ+第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3の厚さ<第1の隔離溝の深さ≦P領域61/N領域51の厚さ+第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3の厚さ+基板1の厚さ。
【0036】
ステップ4として、第1の隔離溝内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8を得る。
【0037】
ステップ5として、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8上に第3のマスク30を設け、物理的気相成長法を使用して透明導電層7を堆積する。
【0038】
ステップ6として、第3のマスク30を取り外し(剥がし)、中間バリア(中間障壁)を有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する。
【0039】
本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法の技術的優位性は、上述の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの技術的優位性と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
なお、
図5および
図6に示すように、レーザーエッチングを使用して最初に外側隔離溝100を得ることができ、その次にレーザーエッチングを使用して内側隔離溝81を得ることによって、第1の隔離溝の成形を実現できる。
【0041】
図10から
図18に示すように、本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法は、以下のステップを含む。
【0042】
ステップ01として、基板1の光入射面に第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層2および反射防止層4を順次堆積する。
【0043】
ステップ02として、基板1の背面に第4のマスク40を配置し、レーザーエッチングを使用して第4のマスク40および基板1をエッチングして第2の隔離溝91を形成する。
【0044】
ステップ03として、第2の隔離溝91内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層9を得る。
【0045】
ステップ04として、第4のマスク40を取り除き、基板1の背面に第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3を堆積する。
【0046】
ステップ05として、第5のマスク50および第6のマスク60を用いて、第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層3上にそれぞれN型アモルファスシリコンおよびP型アモルファスシリコンを堆積し、間隔を置いて配置されたN領域51およびP領域61を形成する。具体的には、まず第5のマスク50を配置してP型アモルファスシリコンを成形し、その後第5のマスク50を取り外し、第6のマスク60を配置してN型アモルファスシリコンを成形する。
【0047】
ステップ06として、N領域51およびP領域61の間に形成された第1の隔離溝内に真性アモルファスシリコンを堆積し、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8を得る。
【0048】
ステップ07として、第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層8上に第7のマスク70を設定し、物理的気相成長法を使用して透明導電層7を堆積する。
【0049】
ステップ08として、第7のマスク70を取り外し、中間バリアを有するバックコンタクトヘテロ接合太陽電池を形成する。
【0050】
本開示の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの製造方法の技術的優位性は、上述の実施例に係るバックコンタクトヘテロ接合太陽電池セルの技術的優位性と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0051】
本開示の記述において、用語「中心」、「縦向」、「横向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等は、図示の方位や位置関係に基づくものであり、本開示を理解しやすくするためのものであり、特定の方位や位置関係での構造や動作を示唆するものではない。したがって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0052】
また、用語「第1」、「第2」は説明のためのものであり、相対的な重要性や特定の技術的特徴の数を示唆するものではない。従って、「第1」や「第2」の特徴は、明示的または暗示的に少なくとも1つのその特徴を含む場合がある。本開示の記述において、「複数」とは少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ等)を意味する。
【0053】
本開示において、特に明記されていない限り、用語「取り付ける」、「連結する」、「接続する」、「固定する」等は広義に解釈されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、一体化、機械的接続、電気的接続、通信可能な接続、直接接続、中間媒介を介した間接接続、2つの要素内部の連通、または2つの要素の相互作用関係などが含まれる。これらの用語の具体的な意味は、本分野の通常の技術者により具体的な状況に応じて理解される。
【0054】
本開示において、特に明記されていない限り、第1の特徴が第2の特徴「上」または「下」にある場合、それは第1の特徴と第2の特徴が直接接触する場合もあれば、中間媒介を介して間接接触する場合もある。また、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」または「上面」にある場合、それは第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあることを意味する場合もあれば、単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平位置が高いことを意味する場合もある。同様に、第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」または「下面」にある場合、それは第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下にあることを意味する場合もあれば、単に第1の特徴が第2の特徴よりも水平位置が低いことを意味する場合もある。
【0055】
本明細書で使用される用語「一つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」などは、該当する実施例や例で説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも一つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語の例示的な表現は、異なる実施例または例に対応することがあり得る。また、記載された特定の特徴、構造、材料、または特性は、適切な方法で一つまたは複数の実施例または例に組み合わせて使用することができる。さらに、相互に矛盾しない場合には、本技術分野の専門家が本明細書で記載された異なる実施例や例、および異なる実施例や例の特徴を組み合わせて使用することができる。
【0056】
さらに、用語「第一」、「第二」は説明の目的でのみ使用され、相対的重要性を示唆するものではなく、指定された技術的特徴の数量を暗示するものでもない。したがって、「第一」、「第二」と限定された特徴は、明示的または暗示的に少なくとも一つの特徴を含むことができる。本開示の説明では、「複数」の意味は少なくとも二つ、例えば二つまたは三つなどを意味するが、特に明確に限定されていない限りこれに限られない。
【0057】
本開示の実施例が示され説明されたが、本技術分野の専門家は、本開示の原理および精神を逸脱することなく、これらの実施例に対してさまざまな変更、修正、置換、および変形を行うことができることを理解する。本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその等価物によって限定される。
【符号の説明】
【0058】
1 基板
2 第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション層
3 第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション層
4 反射防止層
5 N型アモルファスシリコン層
51 N領域
6 P型アモルファスシリコン層
61 P領域
7 透明導電層
8 第1の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層
81 内側隔離溝
9 第2の真性アモルファスシリコンパッシベーション隔離層
91 第2の隔離溝
10 第1のマスク
20 第2のマスク
30 第3のマスク
40 第4のマスク
50 第5のマスク
60 第6のマスク
70 第7のマスク
100 外側隔離溝
【国際調査報告】