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特表2025-504221新規の圧力測定器を備えた吸入デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】新規の圧力測定器を備えた吸入デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20250130BHJP
   A61M 13/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61M16/00 343
A61M13/00
A61M16/00 300
A61M16/00 355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547253
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2023053125
(87)【国際公開番号】W WO2023152186
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022000487.9
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シュティーア,ヘンリック
(72)【発明者】
【氏名】カールステンス,ジャン ヘンドリック
(57)【要約】
本発明は、低侵襲手術用の新規の圧力測定デバイスを有する吸入器に関する。新規のデバイスを用いて、体腔の圧力を確実に測定することを可能にすると同時に、ガス供給ラインが閉塞されないことを確実にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲手術用の吸入器であって、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
前記センサーライン(9)は前記第1の圧力及び流量制御ユニット(2)に接続され、前記第2の制御可能バルブ(11)は、前記コンピューティングユニット(14)によって制御されたパルス状ガス流を、前記キャビティ(8)の中に流すことを可能にする、吸入器。
【請求項2】
逆止め弁(15)をさらに備え、前記逆止め弁(15)は、前記キャビティの側で、8~12mmHgの低背圧で既に開いており、前記第2のトロカール(13)と前記第2のガス圧センサー(12)との間で前記センサーラインに位置決めされている、請求項1に記載の低侵襲手術用の吸入器。
【請求項3】
低侵襲手術用の吸入器であって、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を伴う、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成された2~5mmの断面を伴い、オプションのスロットル(10)を含むセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、
を備える、吸入器。
【請求項4】
低侵襲手術用の吸入器であって、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
前記コンピューティングユニット(14)は、前記第1のトロカール(7)を伴う前記供給ライン(3)、及び前記第2のトロカール(13)を伴う前記センサーライン(9)の圧力損失を補正して、前記第1の圧力センサー(5)及び前記第2の圧力センサー(6)の補正された測定値を比較するように構成される、吸入器。
【請求項5】
請求項1に記載の吸入器の動作中にセンサーラインの閉塞を検出する方法であって、前記吸入器は、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
前記センサーライン(9)は前記第1の圧力及び流量制御ユニット(2)に接続され、前記第2の制御可能バルブ(11)は、前記キャビティ(8)の中で一定のガス流を生成し、
前記第2のガス圧センサー(12)の測定された圧力プロファイルは前記コンピューティングユニット(14)によって監視され、前記測定データの補正は前記センサーラインの圧力損失に基づいて行われ、アラームは、少なくとも2mmHgの圧力がかなり増加する場合、1~2秒以内でトリガーされる、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の吸入器の動作中にセンサーラインの閉塞を検出するための方法であって、前記吸入器は、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
前記センサーライン(9)は前記第1の圧力及び流量制御ユニット(2)に接続され、前記第2の制御可能バルブ(11)は、前記キャビティ(8)の中でパルス状ガス流を生成し、
前記第2のガス圧センサー(12)の測定された圧力プロファイルは、前記コンピューティングユニット(14)によって監視され、圧力増加がパルス幅の2倍を超えて持続する場合、アラームがトリガーされる、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の吸入器の動作中にセンサーラインの閉塞を検出する方法であって、前記吸入器は、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、
f)前記キャビティの側で、8~12mmHgの背圧で既に開いており、前記第2のトロカール(13)と前記第2のガス圧センサー(12)との間で前記センサーラインに位置決めされている、逆止め弁(15)と、を備え、
前記センサーライン(9)は前記第1の圧力及び流量制御ユニット(2)に接続され、前記第2の制御可能バルブ(11)は、前記キャビティ(8)の中で一定のガス流を生成し、
前記第2のガス圧センサー(12)の測定された圧力プロファイルは前記コンピューティングユニット(14)によって監視され、前記測定データの補正は前記センサーラインの圧力損失に基づいて行われ、アラームは、少なくとも2mmHgの圧力がかなり増加する場合、1~2秒以内でトリガーされる、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の吸入器の動作中にセンサーラインの閉塞を検出する方法であって、前記吸入器は、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2のガス圧センサー(12)、及び前記キャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、前記第1のガス圧センサー(5)及び前記第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
前記コンピューティングユニット(14)は、前記第1のトロカール(7)を伴う前記供給ライン(3)、及び前記第2のトロカール(13)を伴う前記センサーライン(9)の圧力損失の補正を行い、
前記第1の圧力センサー(5)及び前記第2の圧力センサー(6)の補正された測定値の比較を行い、
前記補正された測定値は、相互に2mmHgよりも大きくずれる場合、アラームをトリガーする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の圧力測定デバイスを伴う吸入器に関する。新しいデバイスは、体腔の圧力を確実に測定することを可能にすると同時に、ガス供給ラインが自由になることを確実にする。
【背景技術】
【0002】
吸入器の様々な設計は、先行技術から知られている。吸入器は、通常、医療ガスを体腔(例えば、腹腔)内に送るチューブを有する。目視検査または治療的介入のための十分なスペースを確保するように、ガスにより、体腔を拡張させる正圧が発生する。随意の実施形態は、第2のチューブを介して、腹腔からガスを吸い出すことを可能にする。具体的には、有害な煙ガスを除去して濾過するために、電気手術装置またはレーザーを用いて治療的介入で、このタイプの実施形態を使用する。
【0003】
実際には、体腔の圧力を正確に判定することが困難であることが証明されている。また、体腔の圧力を判定するための測定デバイスの様々な構成も知られている。体腔自体の圧力センサーを用いて圧力を測定する可能性は、必要な医療機器に加えて、体腔内に圧力センサーも位置決めする必要があるという不利点をもたらす。一方、これは、スペースを占める関連の接続部を伴う体腔内に追加の要素が増えることを意味し、同時に感染のリスクを示す。他方では、これにより、圧力センサーに対してより高いコストをもたらす。この理由として、複雑な方式で、洗浄及び殺菌のいずれかを必要とする、または使い捨て可能な物品として設計する必要がある。
【0004】
したがって、圧力センサーが体腔自体に位置しないが、体腔から多少離間しているチューブの1つに位置する実施形態が確立している。このセンサー配列の特有の不利点は、チューブ、トロカール、及び場合により、他のデバイスによって生じた体腔と測定位置(例えば、チューブの位置)との間で圧力差が生じることが挙げられる。この圧力損失を判定することは容易ではなく、これは多くの調査の対象である。圧力センサーが体腔から遠くに離れるにつれて、体腔の圧力から測定された圧力の差は大きくなる。圧力センサーがガス供給装置(例えば、バルブ制御ポンプ)または吸引ポンプに近づくにつれて、ポンプまたはバルブの活発な動作(例えば、圧力パルス)によって生じた差は大きくなる。さらに、チューブを閉じると、流量が体腔を往復して動くことができないという事実から生じる誤差によって、影響が重なる。そのような閉塞は、曲げられたチューブによって、または患者の開口部を体内組織によって閉じるという事実によって生じる可能性がある。そのように、チューブが閉塞する場合、圧力センサーは、チューブの圧力だけを測定し、体腔の圧力を測定できない。これにより、かなりの安全上の懸念の原因となる。
【0005】
独国実用新案第202004021703号明細書では、さらに、物質(例えば、化学療法剤)を、吸引された体腔内に送達するためのデバイスが開示されている。しかしながら、そのデバイスは、上述の測定誤差の発生を回避できない、具体的には、チューブの閉塞が検出できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202004021703号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既存の圧力測定システムの上述の不利点を克服するために、正確な圧力測定を確実にし、チューブの閉塞が発生する場合、それを確実に検出する吸入器を提供するという課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、低侵襲手術用の吸入器に関し、
a)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部(1)と、
b)比例弁が装備された、第1の圧力及び流量制御ユニット(2)と、
c)第1の制御可能バルブ(4)、第1のガス圧センサー(5)、第1のガス流量センサー(6)、及びキャビティ(8)の中での第1のトロカール(7)への接続部を有する、2~3barで0~50L/minのガス流に合わせて構成された5.5~15mmの断面を伴う供給ライン(3)と、
d)第2の制御可能バルブ(11)、及び第2のガス圧センサー(12)、及びキャビティ(8)の中での第2のトロカール(13)への接続部を有する、2~3barで1L/min未満のガス流に合わせて構成されたオプションのスロットル(10)を有する2~5mmの断面を伴うセンサーライン(9)と、
e)吸入を制御して、第1のガス圧センサー(5)及び第2のガス圧センサー(12)の測定データを評価するためのコンピューティングユニット(14)と、を備え、
センサーライン(9)は第1の圧力及び流量制御ユニット(2)に接続され、第2の制御可能バルブ(11)は、コンピューティングユニット(14)によって制御されたパルス状ガス流を、キャビティ(8)の中に流すことを可能にする。
【0009】
関連の動作方法を含む本発明のさらなる実施形態は、下記に説明され、部分的に、付属請求項及び従属請求項の主題となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1a】請求項1に記載の構成要素を伴う基本的な構造を示す。
図1b】センサーラインのガス流の関数として、キャビティ(p)の実際の圧力と比較して、第2の圧力センサー(p12)の圧力測定の結果を示す。
図1c】閉塞の場合、すなわち、第2の制御可能バルブを脈動させることなく、センサーライン(9)が第2のトロカールから除去されるとき、圧力プロファイルを示す。
図2a】逆止め弁(15)を伴う本発明の実施形態を示す。
図2b】測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原理及び単純な実施形態
本発明は図1で原理に示される。ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部を見ることができ、これは、比例弁が装備された第1の圧力及び流量制御ユニットにつながる。次に、ラインは制御可能バルブにつながる。第1の圧力及び流量制御ユニットは、2~3barの圧力で、最大50リットル/minのガス流を提供できる。さらに、ガス流を測定するためのガス流センサー、同様に、第1のガス圧センサーを見ることができる。供給ラインは、チューブ及びトロカールを介して体腔につながる。
【0012】
また、センサーラインは、第1の圧力及び流量制御ユニットと、第1の制御可能バルブとの間に分岐することも見ることができる。このセンサーラインは、かなり小さい断面(3~5mm)を有し、上述の2~3barの圧力で、1リットル/min未満のガス流に合わせて構成されている。センサーラインを通るガス流は、好ましくは、0.5リットル/min未満、最も好ましくは0.1リットル/min未満である。センサーラインは、ガス流を制限する目的のためにスロットルを含み得る。随意に、スロットルは、調整可能または制御可能であり得る。センサーラインは、最初に、第2の制御可能バルブにつながり、その後、第2のガス圧センサーにつながる。また、センサーラインは、第2のチューブ及び第2のトロカールを介して体腔につながる。図1bに示されるように、動作中、センサーラインを介する不連続のパルス状ガス流は、第2の制御可能バルブを用いて設定できる。例えば、20~50mmHgの単一の圧力パルスは、1~3秒にわたってセンサーラインに供給でき、その後、3~20秒の非パルス期間が続く。センサーラインを通る比較的低いガス流により、センサーラインを通るガス流は、実際に、キャビティの圧力に影響を与えない。ガスパルス中、他方では、センサーラインの第2のガス圧センサーによって測定された圧力はかなり増加し、体腔の圧力と同一になるまで、第2の制御可能バルブを閉じた後、再度低下する。したがって、体腔の実際の圧力は、非パルス期間中の平衡圧に一致する。センサーラインが閉塞する場合、第2のガス圧センサーによって測定された圧力は増加し、長時間にわたって増加した圧力レベルが維持する(図1b参照)。そのような圧力挙動は、明確に、センサーラインの閉塞を示す。この場合、第2のガス圧センサーで測定された圧力の増加がパルス幅の2倍よりも長く持続する場合、アラーム信号がトリガーされる。
【0013】
したがって、センサーラインの閉塞を検出するために、センサーラインを通るパルス状ガス流は、まず第1に、重要なものとなる。ガス流パルスがない場合、本発明の本実施形態では、センサーライン閉塞の検出は不可能である。第1のガス圧センサー(5)及び第2のガス圧センサー(12)の測定値の比較は、本発明に従って説明されるデバイスの機能、及びそのデバイスを用いて実施される吸入法に必須である。
【0014】
トリガーされたアラーム信号は、本質的に、光学的及び/または音響的であり得る。また、キャビティの過度の圧力を回避するために、吸入中にガス流入を自動的に制限することが可能である。
【0015】
しかしながら、また、本発明に従った吸入器の構造は、下記に説明される動作モードの修正も可能にする。この動作モードでは、センサーラインを通る連続ガス流は、第2の制御可能バルブを常に開くことを維持することによって確実になる。一定のガス流がセンサーラインを通る場合、キャビティの圧力に依存する第2のガス圧センサーで圧力を読み出すことができる。しかしながら、第2のガス圧センサーにおける圧力測定値は、第2のガス圧センサーとキャビティとの間のライン及びトロカールの圧力損失によって補正する必要がある。この目的のために、以下の方程式1が適用される。
方程式1 pcavity=psensor-psensor line
【0016】
センサーラインの圧力損失は、ラインを通る言及された低ガス流でほぼ一定であり、測定または計算によって判定できる。
【0017】
この動作モードでは、閉塞が発生するとき、第2のガス圧センサーによって測定された圧力が増加する。少なくとも20mmHgの圧力増加は、1~2秒以内で行われ、閉塞が解消されるとき、例えば、チューブが一時的に曲げられる場合、ほぼ同じ速さで低下する。そのような急速の圧力増加または圧力損失は、センサーラインの閉塞の場合だけ、発生する可能性がある。ガス供給ラインの制御不良の場合の体腔の圧力増加はかなり遅くなるであろう。
【0018】
本発明の別の実施形態では、逆止め弁は、キャビティの側で8~12mmHgの背圧で既に開いており、第2のトロカールと第2のガス圧センサーとの間でセンサーラインに含まれる。本発明の特有の実施形態では、逆止め弁は、例えば、3mmHg~5mmHgで、またはさらには1mmHg~3mmHgでより低い背圧で開くことができる。このように、センサーラインがキャビティに適切に接続され、閉塞されていないかどうかをチェックできる。キャビティに接続されていない場合、またはキャビティと第2のセンサーとの間で閉塞が発生する場合、逆止め弁は閉じたままである。この状況は、第2の制御可能バルブを開けることにより、第2のガス圧センサーで測定された圧力の急速な増加が生じるが、第1のガス圧センサーで生じない事実によって検出できる(図2b参照)。適切に接続されると、第2のガス圧センサーで測定された圧力は、さらに遅く増加する。同時に、第1のガス圧センサーで測定された圧力は増加する。本実施形態では、また、センサーラインを通るパルス状ガス流を生成することも必要である。ガス流パルスがない場合、センサーライン閉塞の検出は不可能である。
【0019】
さらに、また、この場合、状況に応じて、第2の圧力センサーにおける測定値を補正するために、センサーラインを横断して圧力損失を知ることも必要である(図2b参照)。
【0020】
本発明の簡略化された実施形態(図示されない)では、第2のガス圧センサーが接続されたセンサーラインは第2のトロカールを介してキャビティの中につながり、センサーラインは第1の圧力及び流量制御ユニットに接続されていない。この場合、第2の制御可能バルブは必要ない。本実施形態では、第1のガス圧センサーと第2のガス圧センサーとの間の測定値を比較することだけによって、センサーラインの閉塞が発生する可能性がある。この目的のために、第1のガス圧センサーの測定値がガス流入により影響しないように、供給ラインの第1の制御可能バルブを閉じる必要がある。第1のバルブを閉じるとき、すなわち、吸入の一時停止中、ガス圧センサーの両方は、同じ圧力を表示する必要があり、場合により、ラインを横断するガス圧損失を考慮する(上記参照)。圧力値が5mmHgよりも大きく(特別の場合、1mmHgよりも大きく)ずれる場合、ラインの閉塞、または他のガス流のいくつかの混乱を想定する必要がある。
【0021】
図の説明
図1は、冒頭で説明した本発明に従ったデバイスを示す。図1aは、請求項1に記載の構成要素を伴う基本的な構造を示す。コンピューティングユニットだけが図示されない。第2の制御可能バルブ(11)は、キャビティ(8)の中でパルス状ガス流が流れることを可能にする。
【0022】
図1bは、センサーラインのガス流の関数として、キャビティ(p)の実際の圧力と比較して、第2の圧力センサー(p12)の圧力測定の結果を示す。上側の曲線は、「オン」または「オフ」の状態の第2の制御可能バルブ(11)の位置を示す。下側の曲線は、第2の圧力センサー(12)または体腔内で測定された圧力を示す。センサーラインのガスパルスは、大体同じパルス幅で第2の圧力センサー(12)において一致する圧力パルスが生じる。センサーラインが閉塞する場合(図の右側)、圧力パルスのパルス幅よりもかなり長く持続する第2の圧力センサー(12)で圧力が増加する。体腔(p)の実際の圧力は、この例では、一定である。測定された圧力増加が第2の制御可能バルブ(11)から圧力パルスのパルス幅よりもかなり長く持続する場合、対応する圧力増加が第1の圧力センサー(5)によって登録されることなく、センサーライン(9)を閉塞して、アラームをトリガーできるという結論になる可能性がある。
【0023】
図1cは、閉塞の場合、すなわち、第2の制御可能バルブを脈動させることなく、センサーライン(9)が第2のトロカールから除去されるとき、圧力プロファイルを示す。この場合、キャビティ(8)の圧力pが増加する場合でさえ、第2の圧力センサーで測定された圧力は一定のままである。
【0024】
図2aは、逆止め弁(15)を伴う本発明の実施形態を示す。図2bは測定結果を示す。センサーライン(9)が第2のトロカール(13)に接続されないとき、第2の制御可能バルブ(11)を通る短い圧力パルスにより、第2の圧力センサー(12)で長く持続する圧力増加(p12)をもたらす。センサーライン(9)が第2のトロカール(13)に適切に接続されるとすぐ、第2の圧力センサー(12)で測定された圧力(p12)は、キャビティ(8)の実際の圧力と平行に進む。チャートに示される圧力差Δpは、センサーライン(9)の体積流量から生じる。バルブ(11)を閉じると、圧力差は小さいだろうが、ラインの圧力損失に起因してゼロに等しくない(方程式1参照)。また、本発明の本実施形態は、第2の制御可能バルブ(11)がなくても可能であり、したがって、オプションである。しかしながら、第2の制御可能バルブ(11)が存在しない場合、第2のトロカール(13)へのセンサーライン(9)の不適切な接続が検出可能であるが、キャビティ(8)と第2のガス圧センサー(12)との間の閉塞が検出できない。
【0025】
図に使用される参照数字は以下の意味を有する。
【符号の説明】
【0026】
(1)ガスボンベまたは家庭ガス用のガス接続部
(2)比例弁が装備された第1の圧力及び流量制御ユニット
(3)供給ライン
(4)第1の制御可能バルブ
(5)第1のガス圧センサー
(6)第1のガス流量センサー
(7)第1のトロカール
(8)キャビティ
(9)センサーライン
(10)スロットル(オプション)
(11)第2の制御可能バルブ
(12)第2のガス圧センサー
(13)第2のトロカール
(14)コンピューティングユニット
(15)逆止め弁
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
【国際調査報告】