IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼▲飛▼▲驤▼科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特表2025-504243温度補償バイアス回路及び電力増幅器
<>
  • 特表-温度補償バイアス回路及び電力増幅器 図1
  • 特表-温度補償バイアス回路及び電力増幅器 図2
  • 特表-温度補償バイアス回路及び電力増幅器 図3
  • 特表-温度補償バイアス回路及び電力増幅器 図4
  • 特表-温度補償バイアス回路及び電力増幅器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】温度補償バイアス回路及び電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/30 20060101AFI20250130BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20250130BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H03F1/30 210
H03F3/24
H03F1/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547630
(86)(22)【出願日】2023-03-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2023082968
(87)【国際公開番号】W WO2023231527
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】202221383893.9
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521079271
【氏名又は名称】深▲せん▼▲飛▼▲驤▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 魏
(72)【発明者】
【氏名】郭 嘉帥
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC02
5J500AC21
5J500AC81
5J500AF10
5J500AH02
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK11
5J500AK12
5J500AS14
5J500AT01
5J500NC00
5J500NG01
5J500WU08
(57)【要約】
本発明は、第3抵抗(R3)、第4抵抗(R4)、第5抵抗(R5)、第6抵抗(R6)、第7抵抗(R7)、第2コンデンサ(C2)、第3コンデンサ(C3)、第5コンデンサ(C5)、第5トランジスタ(T5)、第6トランジスタ(T6)、及び第7トランジスタ(T7)を備える温度補償バイアス回路(100)を提供する。本発明は前記温度補償バイアス回路(100)を適用する電力増幅器も提供する。関連技術と比較して、本発明の温度補償バイアス回路(100)及び電力増幅器を採用すると無線周波数動作状態下でのバイアス点にほとんど影響を与えず、電力増幅器が良好な温度補償効果と高い線形性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器にバイアス電流を提供するための温度補償バイアス回路であって、
第3抵抗、第4抵抗、第5抵抗、第6抵抗、第7抵抗、第2コンデンサ、第3コンデンサ、第5コンデンサ、第5トランジスタ、第6トランジスタ、及び第7トランジスタを備え、
前記第3抵抗の第1端は、前記第4抵抗の第1端と基準電圧にそれぞれ接続され、
前記第3抵抗の第2端は、前記第5コンデンサの第1端と前記第5トランジスタのベースにそれぞれ接続され、
前記第5コンデンサの第2端はグランドに接続され、
前記第4抵抗の第2端は、前記第5トランジスタのコレクタ、前記第3コンデンサの第1端、前記第7トランジスタのベース、前記第2コンデンサの第1端及び前記第6トランジスタのコレクタにそれぞれ接続され、
前記第3コンデンサの第2端はグランドに接続され、
前記第2コンデンサの第2端は前記第5抵抗の第1端に接続され、
前記第5抵抗の第2端は、前記第6トランジスタのベースと前記第6抵抗の第1端にそれぞれ接続され、
前記第6トランジスタのエミッタはグランドに接続され、
前記第5トランジスタのエミッタは、前記第7トランジスタのエミッタ、前記第6抵抗の第2端、及び前記第7抵抗の第1端にそれぞれ接続され、
前記第7トランジスタのコレクタはバッテリ電圧に接続され、
前記第7抵抗の第2端は、前記温度補償バイアス回路の出力端として機能する、ことを特徴とする温度補償バイアス回路。
【請求項2】
前記第7抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である、ことを特徴とする請求項1に記載の温度補償バイアス回路。
【請求項3】
前記第2コンデンサは、パラメータが調整可能なコンデンサであり、前記第5抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である、ことを特徴とする請求項1に記載の温度補償バイアス回路。
【請求項4】
前記第6抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である、ことを特徴とする請求項1に記載の温度補償バイアス回路。
【請求項5】
請求項1~5のいずれか一項に記載の温度補償バイアス回路を備えることを特徴とする電力増幅器。
【請求項6】
第4コンデンサ、第2インダクタ、及び無線周波数増幅トランジスタをさらに備え、
前記第4コンデンサの第1端は、前記電力増幅器の入力端として機能し、
前記第4コンデンサの第2端は、バイアス回路モジュールの出力端と前記無線周波数増幅トランジスタのベースにそれぞれ接続され、
前記無線周波数増幅トランジスタのエミッタはグランドに接続され、
前記無線周波数増幅トランジスタのコレクタは前記電力増幅器の出力端として機能し、前記無線周波数増幅トランジスタのコレクタは前記第2インダクタの第2端に接続され、
前記第2インダクタの第1端は電源電圧に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の電力増幅器。
【請求項7】
前記第2インダクタは、チョークコイルまたはチップインダクタである、ことを特徴とする請求項6に記載の電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路の分野に関し、特に温度補償バイアス回路及び電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信分野の無線トランシーバ システムでは、無線周波数の電力増幅器(PowerAmplifier、PA)が無線通信リンクにおける重要なユニットの1つであり、その機能は、変調された変調情報を有する電気信号を特定の電力レベルまで増幅し、バックエンドのアンテナを励起して対応する電磁波信号を生成し、無線信号伝送を実現することができる。
【0003】
ここで、現在の電力増幅器は、GaAsHBTプロセスを採用しており、熱伝導率が非常に低く、温度が上昇すると熱伝導率が低下し続けるため、大信号状態で動作するとかなりの電力損失が発生し、より多くの熱が蓄積され、これが自己発熱効果である。トランジスタのベース-エミッタ接合はPN接合とみなすことができるため、温度が上昇するとエミッタ領域における電子が熱励起され、温度の上昇とともに遷移する電子の総数が徐々に増加する。温度はトランジスタのパラメータに影響を与え、トランジスタのパラメータが変化することによって、トランジスタの静的動作点は温度の変化に応じて変化する。そのため、トランジスタの温度ドリフトを解決することは、常にトランジスタ回路設計の重要な課題となっている。
【0004】
関連技術の温度補償バイアス回路は、電圧検出回路、過電圧保護モジュール、及び制御されたバイアス回路モジュールを含む。図1に示すように、図1は、関連技術の温度補償バイアス回路の応用回路原理図である。図示の温度補償バイアス回路は、関連技術で一般的に使用されている温度補償バイアス回路である。ここで、前記温度補償バイアス回路は、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第3トランジスタT3、及び第1コンデンサC1を含む。図示の温度補償バイアス回路、DCブロッキング抵抗CIN、チョークインダクタL1、及び電力増幅トランジスタT4はともに無線周波数電力増幅器回路を構成する。ここで、電力増幅トランジスタT4のバイアス電流は、第1トランジスタT1と第3トランジスタT3からなるカレントミラーによって提供され、電流制限抵抗R1の調整、すなわち電力増幅トランジスタT4の静的電流を調整することによって、ベースとコレクタとを接続してダイオードとして使用する第1トランジスタT1と第2トランジスタT2 はバラスト抵抗R2と協働して温度補償の役割を果たすことができる。
【0005】
しかしながら、関連技術の温度補償バイアス回路を実際に適用する場合、温度補償バイアス回路は、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第3トランジスタT3、及び電力増幅トランジスタT4をレイアウト上に集中させる必要があり、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、第3トランジスタT3、及び電力増幅トランジスタT4は、大体同様な温度環境で、温度が上昇すると、電力増幅トランジスタT4及び第3トランジスタT3の電流Ibeが増加する。同時に、温度上昇の影響を受けて、カレントミラー構造の下では、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2の導通電流も増加し、オームの法則の分析によれば、第1抵抗R1の両端の電圧降下も増加し、第3トランジスタT3のベース電圧が低下し、さらに第3トランジスタT3のIbeが減少し、温度ドリフトを抑制する効果がある。ただし、このような解決策には次の問題がある。最適な温度補償を実現するには、第1トランジスタT1、第2トランジスタT2 、第3トランジスタT3、及び電力増幅トランジスタT4が全て同じ状態で動作し、同じ温度環境を有する必要があり、4つのトランジスタデバイスの各パラメータが完全に一致する必要があるが、これは実際の応用では達成できず、各デバイス、特に第1トランジスタT1、第2トランジスタT2、及び電力増幅トランジスタT4の温度が可能な限り一定になるように集中レイアウトを確保して温度ドリフトの抑制を最大化することしかできない。バラスト抵抗である第2抵抗R2を調整することで、温度補償をある程度調整する役割を果たすこともできるが、第2抵抗R2も無線周波数動作状態下でのバイアス点にも影響する。具体的に、大電力の無線周波数信号が入力されると、電力増幅器の利得曲線の変化及び線形性性能の変化が影響され、図2に示すように、RAの抵抗値>RBの抵抗値>RCの抵抗値>RDの抵抗値となる。したがって、第2抵抗R2の抵抗値が大きいほど、利得は小さくなる。したがって、無線周波数動作状態下でバイアス点に対するバラスト抵抗の影響を低減し、無線周波数増幅回路の電力増幅器の温度補償効果と線形性を最適化するバイアス回路を設計する方法は、当業者が早急に解決する必要がある技術的問題である。
【0006】
したがって、上記問題を解決するには、新たな温度補償バイアス回路と電力増幅器を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術における上記の欠点を鑑みて、本発明は、無線周波数動作状態下でのバイアス点にほとんど影響を与えず、電力増幅器が良好な温度補償効果と高い線形性を有する温度補償バイアス回路及び電力増幅器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的問題を解決するために、本発明の実施形態は、第1態様において、電力増幅器にバイアス電流を提供するための温度補償バイアス回路であって、第3抵抗、第4抵抗、第5抵抗、第6抵抗、第7抵抗、第2コンデンサ、第3コンデンサ、第5コンデンサ、第5トランジスタ、第6トランジスタ、及び第7トランジスタを備え、
前記第3抵抗の第1端は、前記第4抵抗の第1端と基準電圧にそれぞれ接続され、
前記第3抵抗の第2端は、前記第5コンデンサの第1端と前記第5トランジスタのベースにそれぞれ接続され、
前記第5コンデンサの第2端はグランドに接続され、
前記第4抵抗の第2端は、前記第5トランジスタのコレクタ、前記第3コンデンサの第1端、前記第7トランジスタのベース、前記第2コンデンサの第1端及び前記第6トランジスタのコレクタにそれぞれ接続され、
前記第3コンデンサの第2端はグランドに接続され、
前記第2コンデンサの第2端は前記第5抵抗の第1端に接続され、
前記第5抵抗の第2端は、前記第6トランジスタのベースと前記第6抵抗の第1端にそれぞれ接続され、
前記第6トランジスタのエミッタはグランドに接続され、
前記第5トランジスタのエミッタは、前記第7トランジスタのエミッタ、前記第6抵抗の第2端、及び前記第7抵抗の第1端にそれぞれ接続され、
前記第7トランジスタのコレクタはバッテリ電圧に接続され、
前記第7抵抗の第2端は、前記温度補償バイアス回路の出力端として機能する、ことを特徴とする温度補償バイアス回路を提供する。
【0009】
好ましくは、前記第7抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である。
【0010】
好ましくは、前記第2コンデンサは、パラメータが調整可能なコンデンサであり、前記第5抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である。
【0011】
好ましくは、前記第6抵抗は、パラメータが調整可能な抵抗である。
【0012】
本発明の実施形態は、第2態様において、発明の実施形態によって提供される上記の温度補償バイアス回路を備える電力増幅器を提供する。
【0013】
好ましくは、前記電力増幅器は、第4コンデンサ、第2インダクタ、及び無線周波数増幅トランジスタをさらに備え、
前記第4コンデンサの第1端は、前記電力増幅器の入力端として機能し、
前記第4コンデンサの第2端は、前記バイアス回路モジュールの出力端と前記無線周波数増幅トランジスタのベースにそれぞれ接続され、
前記無線周波数増幅トランジスタのエミッタはグランドに接続され、
前記無線周波数増幅トランジスタのコレクタは前記電力増幅器の出力端として機能し、前記無線周波数増幅トランジスタのコレクタは前記第2インダクタの第2端に接続され、
前記第2インダクタの第1端は電源電圧に接続される。
【0014】
好ましくは、前記第2インダクタは、チョークコイルまたはチップインダクタである。
【発明の効果】
【0015】
関連技術と比較して、本発明の温度補償バイアス回路は、第5トランジスタ、第7トランジスタ、及び第4抵抗を配置することにより、温度が上昇すると、第5トランジスタT5のIE5電流も温度の上昇に伴って増加され、IE5=IC5+IB5、IB5がIC5よりもはるかに小さいため、IE5≒IC5、IC5は温度の上昇に伴って増加する。第5トランジスタT5のコレクタ電圧は、VC5=VCC-IC5*R4であり、IC5が増加すると、VC5が減少するため、第7トランジスタT7のベース電圧が減少し、IE7が減少することで、IB8の電流が減少し、温度の上昇によるIB8の増加が抑制され、温度補償の役割を果たしている。より好ましくは、本発明の温度補償バイアス回路は、第7抵抗R7を配置し、第7抵抗R7の値を調整することによって、バイアスの温度補償効果をさらに調整することができる。したがって、無線周波数動作状態における温度補償バイアス回路及び電力増幅器のバイアス点への影響が小さく、電力増幅器の温度補償効果が良好であり、線形性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の上記または他の態様は、以下の図面と併せた詳細な説明により、より明確になり、理解しやすくなるであろう。
図1】関連技術の温度補償バイアス回路の応用回路原理図である。
図2図1の回路の利得と入力電力との関係図である。
図3】本発明の温度補償バイアス回路の応用回路原理図である。
図4】関連技術の温度補償バイアス回路と本発明の温度補償バイアス回路の応用回路における静的電流と温度との関係曲線を比較した模式図である。
図5】本発明の温度補償バイアス回路のVBE8電圧と入力電力との関係曲線の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
ここで説明する具体的な実施形態/実施例は、本発明の特定の具体的な実施形態であり、本発明の構想を説明するためのもので、いずれも解釈的及び例示的なものであり、本発明の実施形態及び本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。ここに記載された実施例に加えて、当業者は、本出願の特許請求の範囲及び明細書に開示された内容に基づいて、他の自明の技術的解決策を採用することもできる。これらの技術的解決策には、ここに記載の実施例に対して任意の明らかな置換及び修正を行った技術的解決策が含まれ、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0019】
本発明は、温度補償バイアス回路100を提供する。
【0020】
図3図5の図示を同時に参照すると、図3は本発明の温度補償バイアス回路の応用回路原理図である。本発明は、前記温度補償バイアス回路100を適用した電力増幅器をさらに提供する。具体的には、前記電力増幅器は、前記温度補償バイアス回路100、第4コンデンサC4、第2インダクタL2、及び無線周波数増幅トランジスタT8を備える。
【0021】
前記電力増幅器の回路接続関係は以下の通りである。
【0022】
前記第4コンデンサC4の第1端は、前記電力増幅器の入力端RFINとして機能する。
【0023】
前記第4コンデンサC4の第2端は、前記バイアス回路モジュールの出力端と前記無線周波数増幅トランジスタT8のベースにそれぞれ接続される。
【0024】
前記無線周波数増幅トランジスタT8のエミッタはグランドGNDに接続される。
【0025】
前記無線周波数増幅トランジスタT8のコレクタは前記第2インダクタL2の第2端に接続される。前記無線周波数増幅トランジスタT8のコレクタは前記電力増幅器の出力端RFOUTとして機能する。
【0026】
前記第2インダクタL2の第1端は電源電圧VCCに接続される。
【0027】
ここで、前記第4コンデンサC4は、DCブロッキングコンデンサとして使用され、無線周波数信号のみを通過させ、直流電圧が前記無線周波数増幅トランジスタT8に入るのを防止する。
【0028】
前記第2インダクタL2は、チョークコイルまたはチップインダクタである。前記第2インダクタL2は、無線周波数信号が電源に入るのを遮断するために使用され、直流電流のみを通過させる。本実施形態において、前記第2インダクタL2はチョークコイルである。
【0029】
前記温度補償バイアス回路100は、第3抵抗R3、第4抵抗R4、第5抵抗R5、第6抵抗R6、第7抵抗R7、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、第5コンデンサC5、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、及び第7トランジスタT7を含む。
【0030】
前記温度補償バイアス回路100の回路接続関係は以下の通りである。
【0031】
前記第3抵抗R3の第1端は、前記第4抵抗R4の第1端と基準電圧VRefにそれぞれ接続される。
【0032】
前記第3抵抗R3の第2端は、前記第5コンデンサC5の第1端と前記第5トランジスタT5のベースにそれぞれ接続される。
【0033】
前記第5コンデンサC5の第2端はグランドGNDに接続される。
【0034】
前記第4抵抗R4の第2端は、前記第5トランジスタT5のコレクタ、前記第3コンデンサC3の第1端、前記第7トランジスタT7のベース、前記第2コンデンサC2の第1端、及び前記第6トランジスタT6のコレクタにそれぞれ接続される。
【0035】
前記第3コンデンサC3の第2端はグランドGNDに接続される。
【0036】
前記第2コンデンサC2の第2端は前記第5抵抗R5の第1端に接続される。
【0037】
前記第5抵抗R5の第2端は、前記第6トランジスタT6のベースと前記第6抵抗R6の第1端にそれぞれ接続される。
【0038】
前記第6トランジスタT6のエミッタはグランドGNDに接続される。
【0039】
前記第5トランジスタT5のエミッタは、前記第7トランジスタT7のエミッタ、前記第6抵抗R6の第2端、及び前記第7抵抗R7の第1端にそれぞれ接続される。
【0040】
前記第7トランジスタT7のコレクタはバッテリ電圧VBatに接続される。
【0041】
前記第7抵抗R7の第2端は、前記温度補償バイアス回路100の出力端として機能する。
【0042】
前記温度補償バイアス回路100の動作原理は次の通りである。
【0043】
前記温度補償バイアス回路100は、前記電力増幅器にバイアス電流を提供するために使用される。具体的に、前記第5トランジスタT5と前記第7トランジスタT7の組み合わせは、前記無線周波数増幅トランジスタT8のベースバイアス電流を提供し、IB8=IE5+IE7+IB6を満たす。前記第7抵抗R7はバラスト抵抗として使用される。前記第3抵抗R3は、前記第5トランジスタT5のベース電流制限抵抗であり、第5トランジスタT5の静的動作点を調整することができる。前記第4抵抗R4は前記第5トランジスタT5のコレクタ抵抗であり、前記第4抵抗R4と前記第6トランジスタT6はともに前記第7トランジスタT7の静的動作点を決定する。
【0044】
静的動作点で動作するトランジスタの温度が上昇すると、前記無線周波数増幅トランジスタT8のベース電流が増加し、前記第5トランジスタT5のIE5電流も温度の上昇に応じて増加する。IE5=IC5+IB5、IB5がIC5よりもはるかに小さいため、IE5≒IC5、IC5は温度の上昇に伴って増加する。第5トランジスタT5のコレクタ電圧は、VC5=VCC-IC5*R4であり、IC5が増加すると、VC5が減少するため、第7トランジスタT7のベース電圧が減少し、IE7が減少することで、IB8の電流が減少し、温度の上昇によるIB8の増加が抑制され、温度補償の役割を果たしている。
【0045】
本実施形態では、前記第7抵抗R7は、パラメータが調整可能な抵抗である。第7抵抗R7の値を調整することによって、前記温度補償バイアス回路100のバイアスの温度補償効果をさらに調整することができる。従来のバイアス方案と本発明の方案とのバイアス温度補償効果を比較する。図4に示すように、図4は関連技術の温度補償バイアス回路と本発明の温度補償バイアス回路100の応用回路における静的電流と温度との関係曲線を比較した模式図である。図4から、W1は関連技術の温度補償バイアス回路の静的電流と温度との関係曲線であると結論付けることができる。W2は本発明の温度補償バイアス回路100の静的電流と温度の関係曲線である。W2は、温度が35℃から85℃までの場合、温度補償バイアス回路100によって出力される静的電流が0.088アンペアから0.099アンペアに増加し、電流はほとんど変化せずに基本的に安定している。同じ常温静的動作電流下での無線周波数増幅トランジスタT8の温度ドリフトは、関連技術の温度補償バイアス回路に比べて明らかに小さい。したがって、本発明の前記温度補償バイアス回路100は、バイアス回路の温度補償を達成するとともに、バラスト抵抗が温度補償の機能に加えて、前記電力増幅器の利得曲線を調整する機能としても用いられることで、バイアスを調整して電力増幅器の温度補償効果と線形性を最適化するという目的を達成することができる。バラスト抵抗である第7抵抗R7は、大電力入力時の電力増幅器T8のベース電流を調整することができ、前記電力増幅器の利得曲線を調整する役割を果たす。第7抵抗R7は、上記の温度補償に関与せずに無線周波数増幅トランジスタT8の利得を調整する役割を果たすことができ、この解決策の温度補償性能にはほとんど影響を与えない。入力信号の電力が高すぎると、スイング振幅が静的バイアス点を超え、導通角が低下し、大信号入力下では、電力増幅器の利得が低下し、利得圧縮が発生する。
【0046】
前記温度補償バイアス回路100は、前記第5コンデンサC5及び前記第3コンデンサC3を介していずれもグランドGNDに接続される。線形コンデンサである第5コンデンサC5と、線形コンデンサである第3コンデンサC3との追加によりバイアスに漏れる無線周波数成分がより多くなるので、安定無線周波数状態における第5トランジスタT5、第7トランジスタT7のエミッタ電流が増加し、IB8=IE7+IE5+IB6が増加する。それによって大信号入力時の無線周波数増幅トランジスタT8の静的バイアス点を高め、利得圧縮を遅らせる。前記第5コンデンサC5及び前記第3コンデンサCはフィルタコンデンサとして機能し、前記温度補償バイアス回路100に接地されたフィルタコンデンサが配置されているか否かは、無線周波数増幅トランジスタT8のVBE8に直接影響を与える。図5に示すように、図5は本発明による温度補償バイアス回路100のVBE8電圧と入力電力との関係曲線の模式図である。ここで、W3は、本発明の温度補償バイアス回路100のVBE8電圧と入力電力との関係曲線である。W4は、本発明の温度補償バイアス回路100から前記第5コンデンサC5及び前記第3コンデンサCを除去した後の回路のVBE8電圧と入力電力との関係曲線である。図5から分かるように、前記温度補償バイアス回路100に配置された接地されたフィルタコンデンサは、無線周波数増幅トランジスタT8に直接影響を与え、大信号入力時の無線周波数増幅トランジスタT8の静的バイアス点を高め、利得圧縮を遅らせる。前記第5コンデンサC5と前記第3コンデンサC3のサイズ比を調整することにより、入力電力の増加に伴う利得曲線全体の平坦度をさらに調整し、電力増幅器の線形性レベルを最適化することができる。
【0047】
前記温度補償バイアス回路100のベースバンドインピーダンスをさらに低減し、それによって前記電力増幅器の出力信号の線形性劣化の問題を改善するためである。前記温度補償バイアス回路100には、前記第6トランジスタT6と、隔離用の前記第6抵抗R6とが設けられている。前記電力増幅器に無線周波数信号が入力されていない場合、電源電圧VCCは、前記第4抵抗R4と前記第6トランジスタT6との電圧差により前記第7トランジスタT7のバイアス電圧に変換され、バイアス電流IB8を生成し、前記第7抵抗R7を介して前記無線周波数増幅トランジスタT8の入力端に出力される。また、前記電力増幅器に無線周波数信号が入力されている場合、前記第7抵抗R7は、大部分の無線周波数信号を遮断するが、依然として少量が前記温度補償バイアス回路100から漏れて送られ、具体的には、前記第7抵抗R7によって減衰された無線周波数信号を前記第6抵抗R6によって前記第6トランジスタT6のベース低抵抗点から隔離し、その結果、前記第7抵抗R7によって減衰された無線周波数信号は前記第7トランジスタT7に伝送され、その後、前記第7抵抗R7によって減衰された無線周波数信号を通過させる。ここで、無線周波数信号が大信号(即ち、大きな電力の信号)である場合、前記第7トランジスタT7のエミッタは一定の無線周波数スイングを有し、無線周波数スイングが前記第7トランジスタT7のベース-エミッタ接合(BE接合)を通過する検波効果により、ベース-エミッタ接合のバイアス電圧が小さくなり、前記第7トランジスタT7のエミッタによるIE7出力が大きくなり、入力信号の電力が増加に伴って前記無線周波数増幅トランジスタT8のベース電圧が低下することを補償し、大信号時の前記電力増幅器のAM-AM歪みを抑制する。
【0048】
本実施形態では、前記第2コンデンサC2はパラメータが調整可能なコンデンサであり、前記第5抵抗R5はパラメータが調整可能な抵抗である。
【0049】
前記第2コンデンサC2と前記第5抵抗R5は位相余裕ネットワークを形成する。無線周波数信号が前記第2コンデンサC2及び前記第5抵抗R5を介して前記第6トランジスタT6のベースに結合される場合、前記第6トランジスタT6に結合された無線周波数信号が前記第6トランジスタT6のベース-エミッタ接合を通過する検波効果により、前記第6トランジスタT6のベース電位が無線周波数信号の電力の増大に伴って低下し、それによって前記第7トランジスタT7のエミッタ電位も低下して、大信号時に前記電力増幅器に明らかなAM-AM歪みが発生し、さらに前記電力増幅器の線形性が劣化する。このように、パラメータが調整可能な前記第2コンデンサC2と前記第5抵抗R5の導入により、バイアス回路の安定性が向上することが分かる。
【0050】
本実施形態では、前記第6抵抗R6はパラメータが調整可能な抵抗である。隔離用の前記第6抵抗R6と前記第2コンデンサC2は切り替え可能である。すなわち、前記第6抵抗R6は可変抵抗であり、前記第2コンデンサC2は可変コンデンサであってもよい。前記第6抵抗R6と前記第2コンデンサC2の値を変更し、異なる変調帯域幅信号に応じて異なる前記温度補償バイアス回路100のベースバンドインピーダンス帯域幅及びノイズ抑制度を選択することにより、前記温度補償バイアス回路100の回路の適用性及び柔軟性を高めるという目的を達成することができる。
【0051】
なお、本発明に採用される関連回路、抵抗及びトランジスタはいずれもこの分野で一般的に使用されている回路、部品、対応する特定の指標及びパラメータは実際の応用に応じて調整されているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
関連技術と比較して、本発明の温度補償バイアス回路は、第5トランジスタ、第7トランジスタ、及び第4抵抗を配置することにより、温度が上昇すると、第5トランジスタT5のIE5電流も温度の上昇に伴って増加され、IE5=IC5+IB5、IB5がIC5よりもはるかに小さいため、IE5≒IC5、IC5は温度の上昇に伴って増加する。第5トランジスタT5のコレクタ電圧は、VC5=VCC-IC5*R4であり、IC5が増加すると、VC5が減少するため、第7トランジスタT7のベース電圧が減少し、IE7が減少することで、IB8の電流が減少し、温度の上昇によるIB8の増加が抑制され、温度補償の役割を果たしている。より好ましくは、本発明の温度補償バイアス回路は、第7抵抗R7を配置し、第7抵抗R7の値を調整することによって、バイアスの温度補償効果をさらに調整することができる。したがって、無線周波数動作状態における温度補償バイアス回路及び電力増幅器のバイアス点への影響が小さく、電力増幅器の温度補償効果が良好であり、線形性が高い。
【0053】
なお、添付の図面を参照して説明した様々な実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明に対して行われた修正または同等の置換は、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。また、文脈上別段の必要がない限り、単数形で出現する単語には複数形が含まれ、その逆も同様である。さらに、特に明記しない限り、任意の実施形態の全部または一部は、他の実施形態の全部または一部と組み合わせて使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】