(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】駆動装置及び血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/416 20210101AFI20250130BHJP
A61M 60/17 20210101ALI20250130BHJP
A61M 60/242 20210101ALI20250130BHJP
A61M 60/825 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
A61M60/416
A61M60/17
A61M60/242
A61M60/825
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547673
(86)(22)【出願日】2023-06-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2023098354
(87)【国際公開番号】W WO2024007793
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202210801382.2
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520245301
【氏名又は名称】シェンジェン コア メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CORE MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】謝端卿
(72)【発明者】
【氏名】余順周
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077BB10
4C077DD10
4C077EE01
4C077FF04
(57)【要約】
駆動装置(10)及び血液ポンプ(1)が開示される。駆動装置(10)は、ハウジング(100)と、回転軸(200)と、第1ロータ(300)と、第1軸スリーブ(400)と、第2軸スリーブ(500)と、位置制限部材(600)とを含み、第1ロータ(300)は、回転軸(200)の一端に固定的に接続され、第1ロータ(300)は、ボールヘッド部(310)を有し、第1軸スリーブ(400)には、凹んだ球面溝壁(412)を有する凹溝(410)が形成され、ボールヘッド部(310)は、凹溝(410)内に可動に設けられ、回転軸(200)は、第2軸スリーブ(500)に回転可能に貫通して設けられ、位置制限部材(600)は、回転軸(200)に固定的に接続され、位置制限部材(600)は、第2軸スリーブ(500)と第1ロータ(300)との間に位置し、位置制限部材(600)は、第2軸スリーブ(500)に当接することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
インペラと接続されるように構成され、前記ハウジングに回転可能に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸の一端に固定的に接続され、前記回転軸の軸線に沿って突出するボールヘッド部を有する第1ロータと、
前記ハウジングに取り付けられた第1軸スリーブであって、前記第1軸スリーブには、凹んだ球面溝壁を有する凹溝が形成され、前記ボールヘッド部は前記凹溝内に可動に設けられ、かつ前記球面溝壁に当接可能である第1軸スリーブと、
前記ハウジングに取り付けられた第2軸スリーブであって、前記回転軸は、前記第2軸スリーブに回転可能に貫通して設けられ、前記第1ロータは、前記第1軸スリーブと前記第2軸スリーブとの間に位置する第2軸スリーブと、
前記回転軸に固定的に接続され、前記第2軸スリーブと前記第1ロータとの間に位置し、前記第2軸スリーブに当接可能である位置制限部材と、を含む、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1ロータは、第1フライホイールと第1磁石とを含み、前記第1フライホイールは前記回転軸に固定的に接続され、前記第1磁石は前記第1フライホイールに固定的に接続され、前記ボールヘッド部は前記第1フライホイールに設けられ、前記駆動装置はステータをさらに含み、前記ステータは、前記第1ロータと前記位置制限部材との間に位置し、前記第1磁石の回転を駆動する回転磁界を発生可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1フライホイールは、第1ディスク部と、第1内蔵管と、第1外付け管と、を含み、前記第1内蔵管及び前記第1外付け管の一端は、いずれも前記第1ディスク部に固定的に接続され、前記第1内蔵管及び前記第1外付け管は、前記第1ディスク部の同一側に位置し、かつ同軸に設けられ、前記第1外付け管の内径は、前記第1内蔵管の外径より大きく、前記第1内蔵管は、少なくとも一部が前記第1外付け管に収容され、前記第1外付け管と前記第1内蔵管との間には、前記第1磁石を収容する第1環状チャンバが形成され、前記回転軸は、前記インペラと接続されるように構成された接続端を有し、前記回転軸の前記接続端から離れる一端は、前記第1内蔵管内に固定的に収容され、前記ボールヘッド部は、前記第1ディスク部の前記第1内蔵管から離れる側に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1軸スリーブには、前記凹溝と連通する通液孔がさらに形成され、前記駆動装置は、前記ハウジングに固定的に接続された固定座をさらに含み、前記固定座には、取付チャンバと、前記取付チャンバと連通する入液孔とが形成され、前記第1軸スリーブは、前記取付チャンバに取り付けられ、前記通液孔は、前記入液孔と流体連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記取付チャンバは、チャンバ底を有し、前記入液孔の開口が前記チャンバ底に位置し、前記取付チャンバ内には、支持段差部が設けられ、前記支持段差部は、前記第1軸スリーブと当接して、前記第1軸スリーブと前記チャンバ底とを一定の距離だけ離間させ、
及び/又は、前記固定座には、分岐流路がさらに形成され、前記分岐流路が前記入液孔と連通することにより、前記入液孔に入った流体がさらに前記分岐流路を介して前記ハウジング内に流入することができ、
及び/又は、前記通液孔の開口は、前記球面溝壁に位置し、前記開口は、前記球面溝壁の中心位置に位置し、かつ前記開口の口径は、前記ボールヘッド部が位置する球体の直径の1/9~1/3である、ことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記凹溝の溝口が丸面取りされ、前記ボールヘッド部には、ダイヤモンドコーティングが設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1ロータは、ロータ本体と、一端が前記ロータ本体に固定的に接続された接続柱部とをさらに含み、前記ロータ本体は、前記回転軸に固定的に接続され、前記ボールヘッド部は、前記接続柱部の前記ロータ本体から離れる一端の端部に形成され、前記回転軸の軸線方向における前記ボールヘッド部の長さは、前記凹溝の深さより小さく、前記接続柱部の一部は前記凹溝に収容される、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ボールヘッド部は、半球状に設けられ、前記ボールヘッド部は、球冠面と、球冠面に接続された円形底面とを有し、円形底面は、前記接続柱部の端面に接続され、前記接続柱部は、前記ボールヘッド部と同軸であり、かつ前記接続柱部の前記ボールヘッド部に近接する一端の端面の直径は、前記円形底面の直径と等しい、ことを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記位置制限部材は、第2ロータとスラストリングとを含み、前記第2ロータは、前記回転軸に固定的に接続され、前記スラストリングは、前記第2ロータ及び前記回転軸のうちの少なくとも一方に固定的に接続され、前記スラストリングは、前記第2軸スリーブに当接可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第2ロータは、第2フライホイールと第2磁石とを含み、前記第2フライホイールは、前記回転軸に固定的に接続され、前記第2磁石は、前記第2フライホイールに固定的に接続され、前記駆動装置は、ステータをさらに含み、前記ステータは、前記第1ロータと前記第2ロータとの間に位置し、前記第2磁石の回転を駆動する回転磁界を発生可能であり、前記スラストリングは、前記第2フライホイールの前記ステータから離れる側に形成された環状突起である、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ハウジング内に仕切りリングが設けられ、前記仕切りリングは、前記ハウジングのチャンバを位置制限チャンバと収容チャンバとに仕切り、前記仕切りリングは、前記第2軸スリーブと前記第2ロータとの間に位置し、前記第2軸スリーブは、前記位置制限チャンバ内に収容され、前記仕切りリングに当接し、前記第2ロータは、前記収容チャンバに収容され、
前記スラストリングが前記第2軸スリーブに当接する場合、前記スラストリングの少なくとも一部は、前記仕切りリングの内輪に位置し、前記スラストリングと前記仕切りリングの内輪壁との間には、流体が流通する隙間があり、かつ前記仕切りリングと前記第2ロータとの間に一定の距離がある、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記回転軸の軸線に沿った前記スラストリングの厚さが前記回転軸の軸線に沿った前記仕切りリングの厚さよりも大きいことにより、前記スラストリングが前記第2軸スリーブに当接する場合、前記仕切りリングと前記第2ロータとの間に一定の距離がある、ことを特徴とする請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記スラストリングは、ストッパ面を有し、前記ストッパ面は、前記回転軸の軸線に垂直であり、前記第2軸スリーブは、係止面を有し、前記係止面は、前記ストッパ面に対向し、前記係止面は、前記ストッパ面に当接し、前記係止面には、導流溝が設けられ、洗浄液が流通するために、前記導流溝は、前記第2軸スリーブの軸孔に連通し、かつ前記係止面が前記ストッパ面に当接する場合、一部の前記導流溝は、前記スラストリングに覆われない、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記ストッパ面と前記係止面のうちの少なくとも一方の粗さは、0.1マイクロメートル以下であり、又は、前記ストッパ面と前記係止面のうちの少なくとも一方は、セラミック面である、ことを特徴とする請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記スラストリングは、環状に設けられ、前記スラストリングの中心軸線は、前記回転軸の軸線と重なり、又は、前記スラストリングは、複数の扇形リングが配列されてなり、該複数の扇形リングは、前記回転軸の周りに等間隔で一周設けられる、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項16】
前記スラストリングは、前記第2ロータの第2フライホイールと一体成形され、又は、前記スラストリングは、接着又は溶接により、前記第2ロータ及び前記回転軸のうちの少なくとも一方に接続して固定される、ことを特徴とする請求項10に記載の駆動装置。
【請求項17】
ステータをさらに含み、前記ステータは、前記回転軸の軸線に沿って設けられた第1ステータユニット及び第2ステータユニットを含み、前記第1ステータユニットと前記第2ステータユニットとは、いずれも前記第1ロータと前記第2ロータとの間に位置し、前記第1ステータユニットは、前記第1ロータの回転を駆動可能であり、前記第2ステータユニットは、前記第2ロータの回転を駆動可能である、ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項18】
前記第1ステータユニットは、第1磁気コアと、前記第1コイルとを含み、前記第1コイルは、前記第1磁気コアに巻かれ、前記第2ステータユニットは、第2磁気コアと、第2コイルとを含み、前記第2コイルは、前記第2磁気コアに巻かれ、前記駆動装置は、前記ハウジングに固定的に接続された透磁部材をさらに含み、前記透磁部材は、前記第1磁気コア及び前記第2磁気コアの両方に固定的に接続される、ことを特徴とする請求項17に記載の駆動装置。
【請求項19】
前記透磁部材は、2つの透磁板を含み、2つの前記透磁板は、積層され、一方の前記透磁板は、前記第1磁気コアに固定的に接続され、他方の前記透磁板は、前記第2磁気コアに固定的に接続される、ことを特徴とする請求項18に記載の駆動装置。
【請求項20】
インペラと、駆動装置とを含む血液ポンプであって、
前記駆動装置は、
ハウジングと、
インペラと接続されるように構成され、前記ハウジングに回転可能に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸の一端に固定的に接続され、前記回転軸の軸線に沿って突出するボールヘッド部を有する第1ロータと、
前記ハウジングに取り付けられた第1軸スリーブであって、前記第1軸スリーブには、凹んだ球面溝壁を有する凹溝が形成され、前記ボールヘッド部は前記凹溝内に可動に設けられ、かつ前記球面溝壁に当接可能である第1軸スリーブと、
前記ハウジングに取り付けられた第2軸スリーブであって、前記回転軸は、前記第2軸スリーブに回転可能に貫通して設けられ、前記第1ロータは、前記第1軸スリーブと前記第2軸スリーブとの間に位置する第2軸スリーブと、
前記回転軸に固定的に接続され、前記第2軸スリーブと前記第1ロータとの間に位置し、前記第2軸スリーブに当接可能である位置制限部材と、を含み、
前記回転軸は、前記インペラに接続され、前記インペラの回転を駆動可能である、ことを特徴とする血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年7月8日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号CN202210801382.2の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照により本願に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に駆動装置及び血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
血液ポンプは、経皮的に患者の血管、例えば、大腿又は腋窩の動脈又は静脈の血管内に挿入されるように設計され、患者の心臓に挿入されて左心室補助装置又は右心室補助装置として機能することができる。
【0004】
血液ポンプは、通常、駆動装置とインペラとを含み、インペラは、駆動装置の駆動軸に接続され、駆動軸の安定した回転を実現するために、通常、駆動軸を位置制限する部材を追加する必要があるため、駆動装置の構造が複雑になり、駆動装置の組み立てが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、本願は、組み立てやすい駆動装置及び血液ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1態様の実施例は、
ハウジングと、
インペラと接続されるように構成され、前記ハウジングに回転可能に取り付けられた回転軸と、
前記回転軸の一端に固定的に接続され、前記回転軸の軸線に沿って突出するボールヘッド部を有する第1ロータと、
前記ハウジングに取り付けられた第1軸スリーブであって、前記第1軸スリーブには、凹んだ球面溝壁を有する凹溝が形成され、前記ボールヘッド部は、前記凹溝内に可動に設けられ、かつ前記球面溝壁に当接可能である第1軸スリーブと、
前記ハウジングに取り付けられた前記第2軸スリーブであって、前記回転軸は、前記第2軸スリーブに回転可能に貫通して設けられ、前記第1ロータは、前記第1軸スリーブと前記第2軸スリーブとの間に位置する第2軸スリーブと、
前記回転軸に固定的に接続され、前記第2軸スリーブと前記第1ロータとの間に位置し、前記第2軸スリーブに当接可能である位置制限部材と、を含む、駆動装置を提供する。
【0007】
本願の第2態様の実施例は、インペラと、第1態様に記載の駆動装置とを含み、前記回転軸が前記インペラに接続され、前記インペラの回転を駆動可能である、血液ポンプを提供する。
【0008】
本発明の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明で述べられる。本発明の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0009】
以下、本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の説明における図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る血液ポンプの構造概略図である。
【
図2】
図1に示す血液ポンプの、カニューレ、インペラ及び一部のカテーテルを省略した断面図である。
【
図3】
図1に示す血液ポンプの回転軸、スラストリング、第1ロータ、第2ロータ、第1軸スリーブ及び第2軸スリーブが組み立てられた断面図である。
【
図5】
図2に示す第1ロータの第1フライホイールの構造概略図である。
【
図6】
図5に示す第1フライホイールの断面図である。
【
図8】
図2に示す第1軸スリーブの構造概略図である。
【
図10】
図2に示す血液ポンプの固定座の構造概略図である。
【
図11】
図2に示す血液ポンプの部分拡大図である。
【
図12】
図2に示す血液ポンプの第2軸スリーブの構造概略図である。
【
図13】
図1に示す血液ポンプのステータと透磁部材が組み立てられた構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本出願の目的、技術案及び利点をより明確に理解するために、添付の図面及び実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本出願を解釈するためのものだけであり、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0012】
なお、要素は別の要素に「固定される」又は「設けられる」と称される場合、別の要素に直接的にあるか又は当該別の要素に間接的にあってもよい。ある要素は別の要素に「接続される」と称される場合、別の要素に直接的に接続されるか又は当該別の要素に間接的に接続されてもよい。
【0013】
また、「第1」、「第2」という用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」と定義された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本出願の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。
【0014】
以下、本願の技術的手段を説明するために、具体的な図面及び実施例を参照しながら説明する。
【0015】
介入医療分野において、通常、器具の操作者に近接する一端を近端、操作者から離れる一端を遠端と定義する。
【0016】
本発明の実施例における血液ポンプ1及び駆動装置10について説明する。
【0017】
図1を参照すると、血液ポンプ1は、駆動装置10とインペラ20とを含み、駆動装置10は、インペラ20に伝動接続され、駆動装置10は、インペラ20を駆動して回転させることができる。
【0018】
具体的には、血液ポンプ1は、駆動装置10の遠端に固定的に接続されたカニューレ40をさらに含む。インペラ20は、カニューレ40内に回転可能に収容される。カニューレ40は、血液流入口41と血液流出口42とを有する。インペラ20が回転すると、血液は、血液流入口41からカニューレ40に流入してから、血液流出口42から流出する。一実施例において、カニューレ40は、心臓弁膜、例えば、大動脈弁膜に延伸して挿入され、血液流入口41は、心臓内に位置し、血液流出口42及び駆動装置10は、心臓外の大動脈などの血管に位置する。
【0019】
具体的には、血液ポンプ1は、駆動装置10の近端に接続されたカテーテル50をさらに含む。カテーテル50は、様々の供給ラインを収容するように構成される。例えば、供給ラインは、駆動装置10と電気的に接続するための導線と、血液ポンプ1に洗浄液を通すための洗浄ラインとを含む。好ましくは、洗浄液は、生理食塩水、ヘパリン含有生理食塩水又はグルコースなどである。
【0020】
図2~
図4を参照すると、駆動装置10は、ハウジング100と、回転軸200と、第1ロータ300と、第1軸スリーブ400と、第2軸スリーブ500と、位置制限部材600とを含む。
【0021】
ハウジング100は、概ね両端が開口した筒状ハウジングである。ハウジング100は、遠端がカニューレ40に固定的に接続され、近端がカテーテル50に固定的に接続される。ハウジング100は、チャンバを有する。具体的には、ハウジング100内に仕切りリング110が設けられ、仕切りリング110は、ハウジング100のチャンバを位置制限チャンバ102と収容チャンバ103とに仕切る。図示の実施例において、位置制限チャンバ102及び収容チャンバ103は、ハウジング100の軸方向に沿って設けられる。
【0022】
回転軸200は、長尺状である。回転軸200は、ハウジング100に回転可能に取り付けられ、回転軸200は、インペラ20に接続されるように構成される。図示の実施例において、回転軸200は、概ねハウジング100の軸方向に沿って延在し、又は、回転軸200の軸線の延在方向と、ハウジング100の軸方向とが概ね一致するため、位置制限チャンバ102及び収容チャンバ103は、概ね回転軸200の軸線に沿って設けられる。回転軸200は、位置制限チャンバ102に貫通して設けられ、一部が収容チャンバ103に収容され、一部がハウジング100の外部に位置し、又は、一部がカニューレ40内に延在する。具体的には、回転軸200のインペラ20に接続されるように構成された一端は、接続端210である。
【0023】
いくつかの実施例において、回転軸200は、セラミック材料からなる。金属材料に比べて、セラミックは、加工精度が高く、生体適合性及び機械的強度が高く、かつ良好な耐摩耗性及び耐食性を有する。
【0024】
第1ロータ300は、回転軸200の一端に固定的に接続され、具体的には、第1ロータ300は、回転軸200の接続端210から離れる一端に固定的に接続される。第1ロータ300は、ボールヘッド部310を有し、ボールヘッド部310は、回転軸200の軸線に沿って接続端210から離れる方向に突出する。図示の実施例において、第1ロータ300は、ハウジング100内に位置する。第1ロータ300は、収容チャンバ103内に位置する。第1ロータ300は、ハウジング100に対して回転可能であり、回転軸200を駆動して回転させることができる。
【0025】
具体的には、駆動装置10は、ステータ700をさらに含み、ステータ700は、第1ロータ300を駆動して回転させることができる。図示の実施例において、ステータ700は、ハウジング100内に固定的に取り付けられ、ステータ700は、具体的には、収容チャンバ103内に位置し、回転軸200は、ステータ700に回転可能に貫通して設けられる。一実施例において、第1ロータ300は磁性を有し、ステータ700は、第1ロータ300を駆動して回転させる回転磁界を発生することができる。
【0026】
具体的には、第1ロータ300は、第1フライホイール320と第1磁石330とを含み、第1フライホイール320は、回転軸200に固定的に接続され、第1磁石330は、第1フライホイール320に固定的に接続される。第1磁石330は、第1フライホイール320と共に第1ロータ300のロータ本体を構成する。第1磁石330は、環状のハルバッハ配列磁石である。具体的には、ボールヘッド部310は、第1フライホイール320に設けられる。第1フライホイール320を設けることにより、第1磁石330と回転軸200との接続強度を高めることができ、回転軸200の回転中の揺れを低減することもでき、このように、回転軸200全体は、回転中により安定する。
【0027】
具体的には、さらに
図5を参照すると、第1フライホイール320は、第1ディスク部321と、第1内蔵管322と、第1外付け管323とを含み、第1内蔵管322と第1外付け管323との両方が円管状構造であり、第1ディスク部321が環状円盤構造である。第1内蔵管322及び第1外付け管323の一端は、いずれも第1ディスク部321に固定的に接続される。第1内蔵管322及び第1外付け管323は、第1ディスク部321の同一側に位置し、かつ同軸に設けられ、第1外付け管323の内径は、第1内蔵管322の外径より大きく、第1内蔵管322は、少なくとも一部が第1外付け管323に収容され、第1外付け管323と第1内蔵管322との間には、第1磁石330を収容する第1環状チャンバ324が形成される。第1環状チャンバ324の形状は、第1磁石330の取り付け及び位置決めを容易にするように、第1磁石330の形状に合わせる。このようにして、第1フライホイール320が第1磁石330に対して位置制限作用を果たすことができ、第1磁石330の取り付けを容易にするだけでなく、第1磁石330と第1フライホイール320との結合をより安定させる。
【0028】
具体的には、回転軸200の接続端210から離れる一端は、第1内蔵管322に固定的に収容され、即ち、回転軸200は、第1ディスク部321を貫通しないため、駆動装置10をより短く設計することができる。ボールヘッド部310は、第1ディスク部321の第1内蔵管322から離れる側に位置する。
【0029】
さらに
図6及び
図7を参照すると、具体的には、第1ロータ300は、一端がロータ本体に固定的に接続された接続柱部340をさらに含み、ボールヘッド部310は、接続柱部340のロータ本体から離れる一端の端部に形成される。言い換えれば、接続柱部340のボールヘッド部310から離れる一端は、第1フライホイール320(具体的には、第1ディスク部321)に固定的に接続される。接続柱部340の軸線は、回転軸200の軸線と重なる。図示の実施例において、ボールヘッド部310は、略半球状であり、ボールヘッド部310は、球冠面311と、球冠面311に接続された円形底面とを有し、円形底面は、接続柱部340の端面に接続され、接続柱部340は、ボールヘッド部310と同軸であり、かつ接続柱部340のボールヘッド部310に近接する一端の端面の直径は、円形底面の直径と等しい。
【0030】
なお、第1フライホイール320は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第1フライホイール320は、第1外付け管323を有さず、いくつかの実施例において、第1フライホイール320は、第1外付け管323及び第1内蔵管322を有さず、このとき、回転軸200は、第1ディスク部321の中心に固定的に貫通して設けられる。第1ディスク部321のみを有する第1フライホイール320に対して、第1内蔵管322を設けることで、第1フライホイール320と回転軸200とをより安定して接続することができる。
【0031】
図2及び
図3を参照すると、第1軸スリーブ400及び第2軸スリーブ500は、いずれもハウジング100に取り付けられる。具体的には、第1軸スリーブ400は、収容チャンバ103内に収容され、第2軸スリーブ500は、位置制限チャンバ102内に収容される。第1軸スリーブ400と第2軸スリーブ500は、いずれもハウジング100に固定的に接続される。第1軸スリーブ400及び第2軸スリーブ500は、ハウジング100の軸方向に沿って間隔をあけて設けられ、回転軸200は、第2軸スリーブ500に回転可能に貫通して設けられ、第2軸スリーブ500は、第1軸スリーブ400よりも回転軸200の接続端210に近い。第1ロータ300は、第1軸スリーブ400と第2軸スリーブ500との間に位置し、ステータ700も第1軸スリーブ400と第2軸スリーブ500との間に位置する。
【0032】
具体的には、第1軸スリーブ400には、凹溝410が形成され、凹溝410は、内側へ凹んだ球面溝壁412を有する。第1ロータ300のボールヘッド部310は、凹溝410内に可動に設けられ、ボールヘッド部310は、球面溝壁412に当接することができる。凹溝410は、第1ロータ300のボールヘッド部310を支持して位置制限することができ、これにより、第1ロータ300及び回転軸200が回転軸200の軸線に沿ってインペラ20から離れる方向へ移動する範囲を制限するとともに、回転軸200の径方向における回転軸200の揺動範囲を制限する。
【0033】
図8及び
図9を参照すると、具体的には、接続柱部340の一部は、凹溝410に収容され、凹溝410は溝口413を有し、接続柱部340は溝口413に貫通して設けられる。回転軸200の軸線方向におけるボールヘッド部310の長さhは、凹溝410の深さs(凹溝410の深さsは、凹溝410の溝口413から球面溝壁412までの最大距離である)よりも小さく、それにより、ボールヘッド部310を凹溝410内によりよく制限し、径方向における第1ロータ300及び回転軸200の揺動範囲を小さくする。図示の実施例において、球面溝壁412の半径は、ボールヘッド部310の半径より大きく、即ち、球面溝壁412が位置する球体の半径は、ボールヘッド部310が位置する球体の半径より大きい。第1軸スリーブ400の軸方向における球面溝壁412の長さLは、凹溝410の深さsよりも小さい。
【0034】
具体的には、凹溝410の溝口413が丸面取りされ、即ち、凹溝410の溝口413における溝壁は、丸面取り処理をすることにより、接続柱部340が角を有する凹溝410の溝口413によって傷つけられて摩耗することを回避する。
【0035】
具体的には、ボールヘッド部310には、その表面が滑らかになり、耐摩耗性が向上するように、ダイヤモンドコーティングが設けられる。
【0036】
具体的には、第1軸スリーブ400には、凹溝410と連通する通液孔420がさらに形成される。通液孔420は、洗浄液が通液孔420を介して凹溝410内に入るように、カテーテル50における洗浄ラインと流体連通することができる。洗浄液は、凹溝410の溝壁とボールヘッド部310との間に入ると、潤滑の役割を果たすことができ、ボールヘッド部310と凹溝410の溝壁との間の摩擦を低減し、ボールヘッド部310及び第1軸スリーブ400の摩耗を低減する。
【0037】
具体的には、通液孔420の1つの開口421は、球面溝壁412の中心位置に位置し、それにより、通液孔420から凹溝410内に入った洗浄液は、できるだけボールヘッド部310に軸方向の衝撃力を提供する。より具体的には、通液孔420の中心軸線と、球面溝壁412によって囲まれたチャンバの中心軸線とが重なることにより、通液孔420をストレート孔として通液孔420における洗浄液のエネルギー消費を低減する。
【0038】
具体的には、通液孔420の球面溝壁412に位置する開口421の口径は、ボールヘッド部310が位置する球体の直径の1/9~1/3である。図示の実施例において、通液孔420の孔径は、一定であり、つまり、通液孔420の孔径は、ボールヘッド部310が位置する球体の直径の1/9~1/3である。通液孔420の球面溝壁412に位置する開口421の口径が大きすぎると、ボールヘッド部310と球面溝壁412との接触面が小さくなり(単位面積当たりに受ける圧力が大きくなる)、球面溝壁412によるボールヘッド部310の摩耗を増加させる。開口421の口径が小さすぎると、通液孔420から凹溝410内に入った洗浄液の量に影響を与え、凹溝410内に入った洗浄液は、ボールヘッド部310に衝撃力を与える同時に、ボールヘッド部310と球面溝壁412との間に入って潤滑作用を果たして、ボールヘッド部310と球面溝壁412との間の摩擦係数を小さくするため、凹溝410内に入った洗浄液の量が小さすぎることは好ましくない。
【0039】
図2、
図4及び
図10を参照すると、具体的には、駆動装置10は、ハウジング100に固定的に接続された固定座810をさらに含む。固定座810には、取付チャンバ811と、取付チャンバ811と連通する入液孔812とが形成され、第1軸スリーブ400は、取付チャンバ811に取り付けられる。通液孔420は、入液孔812と連通している。入液孔812の取付チャンバ811から離れる一端は、カテーテル50の洗浄ラインと連通し、それにより、洗浄液は、入液孔812及び通液孔420を介して凹溝410の溝壁とボールヘッド部310との間に流入してから、ハウジング100のチャンバ内に流入することができる。
【0040】
具体的には、取付チャンバ811は、チャンバ底8111を有し、入液孔812の1つの開口8121(
図4参照)は、取付チャンバ811のチャンバ底8111に位置し、取付チャンバ811内には、支持段差部8112が設けられ、支持段差部8112は、第1軸スリーブ400と当接して、第1軸スリーブ400とチャンバ底8111とを一定の距離だけ離間させ、洗浄液の流通のスムーズさをよりよく確保する。具体的には、支持段差部8112は、第1軸スリーブ400の第2軸スリーブ500から離れる面に当接する。
【0041】
具体的には、固定座810には、分岐流路813がさらに形成され、分岐流路813は、入液孔812と流体連通して、入液孔812を流れる流体(例えば、洗浄液)がさらに分岐流路813を介してハウジング100内に流入することができる。具体的には、分岐流路813は、一端が第1軸スリーブ400と取付チャンバ811のチャンバ底8111との間の隙間に連通し、他端が収容チャンバ103に連通する。図示の実施例において、分岐流路813は、取付チャンバ811のチャンバ壁の一部が凹んで形成される。言い換えれば、通常状態では、洗浄液は、入液孔812から取付チャンバ811に入った後に2本に分岐し、一本は、通液孔420を介して第1軸スリーブ400の凹溝410に流入し、他の本は、分岐流路813を介して流出する。分岐流路813を設けることで、ボールヘッド部310が通液孔420を塞いだ場合に洗浄液の流通を保証することができる。
【0042】
図示の実施例において、分岐流路813の数は、2つであり、2つの分岐流路813は、対向して設けられる。なお、分岐流路813の数は、設計の必要に応じて調整することができ、例えば、いくつかの実施例において、分岐流路813の数は、1つ又は2つ以上であってもよい。
【0043】
図2及び
図11を参照すると、第2軸スリーブ500は、仕切りリング110に当接する。図示の実施例において、第2軸スリーブ500は、位置制限チャンバ102内に収容され、仕切りリング110によって第2軸スリーブ500を位置決めすることにより、第2軸スリーブ500の組み立てを容易にすることができる。第2軸スリーブ500には、軸孔510が形成され、回転軸200は、軸孔510に回転可能に貫通して設けられる。図示の実施例において、軸孔510の中心軸線は、第1軸スリーブ400の通液孔420の中心軸線と重なる。第2軸スリーブ500の軸孔510の孔壁と回転軸200との間には、流体が流通する隙間がある。収容チャンバ103内に入った洗浄液は、回転軸200と軸孔510の孔壁との間の隙間を流れてハウジング100から流出することができる。
【0044】
位置制限部材600は、回転軸200に固定的に接続され、位置制限部材600は、第2軸スリーブ500と第1ロータ300との間に位置し、位置制限部材600は、第2軸スリーブ500に当接することができ、それにより、回転軸200が回転軸200の軸線に沿って第2軸スリーブ500に近接する方向へ移動する範囲を制限する。図示の実施例において、ステータ700は、第1ロータ300と位置制限部材600との間に位置する。
【0045】
図2、
図3及び
図11を参照すると、位置制限部材600は、スラストリング610及び第2ロータ620を含み、第2ロータ620は、回転軸200に固定的に接続され、スラストリング610は、第2ロータ620及び回転軸200のうちの少なくとも一方に固定的に接続される。言い換えれば、スラストリング610は、第2ロータ620のみに直接固定されてもよく、回転軸200のみに直接固定されてもよく、第2ロータ620及び回転軸200の両方に同時に直接固定されてもよい。第2ロータ620が回転軸200に固定的に接続され、スラストリング610が第2ロータ620及び回転軸200のうちの少なくとも一方に固定的に接続されるため、スラストリング610、回転軸200及び第2ロータ620の三者は、同期して回転し移動する。スラストリング610は、第2ロータ620と第2軸スリーブ500との間に位置し、スラストリング610は、第2軸スリーブ500に当接して、回転軸200がその軸方向に沿ってインペラ20に近接する方向へ移動する範囲を制限することができる。
【0046】
また、第1ロータ300は、回転軸200の一端に固定的に接続され、第1ロータ300のボールヘッド部310は、第1軸スリーブ400の凹溝410内に設けられ、凹溝410の球面溝壁412に当接することができ、回転軸200が回転軸200の軸線に沿ってインペラ20から離れる方向へ移動する範囲を制限することにより、回転軸200に対する回転軸200の軸線での位置制限を実現する。また、回転軸200が第2軸スリーブ500に貫通して設けられ、ボールヘッド部310が第1軸スリーブ400の凹溝410内に設けられるため、第1軸スリーブ400の凹溝410の溝壁は、回転軸200の径方向におけるボールヘッド部310の揺動範囲を制限することができ、径方向における回転軸200の揺動範囲の全体的な制限を実現する。言い換えれば、上記設計は、回転軸200に対する軸方向の位置制限を実現するだけでなく、回転軸200に対する径方向の位置制限を実現する。
【0047】
第2ロータ620は、収容チャンバ103に収容され、仕切りリング110は、第2ロータ620と第2軸スリーブ500との間に位置する。具体的には、第2ロータ620は、第2フライホイール621と第2磁石622とを含み、第2フライホイール621は、回転軸200に固定的に接続され、第2磁石622は、第2フライホイール621に固定される。第2フライホイール621を設けることにより、第2磁石622と回転軸200との接続強度を高めることができるとともに、回転軸200の回転中の揺れを低減することもでき、このように、回転軸200全体は、回転中により安定する。
【0048】
好ましくは、第2磁石622は、環状のハルバッハ配列磁石である。
【0049】
具体的には、第2フライホイール621は、第2ディスク部6211と、第2内蔵管6212と、第2外付け管6213とを含み、第2内蔵管6212と第2外付け管6213との両方が円管状構造であり、第2ディスク部6211が環状円盤構造である。第2内蔵管6212と第2外付け管6213は、いずれも第2ディスク部6211に固定的に接続される。第2外付け管6213は、第2ディスク部6211を取り囲むように設けられ、第2内蔵管6212と第2外付け管6213の両方は、同軸に設けられ、回転軸200は、第2内蔵管6212内に貫通して設けられ、第2内蔵管6212に固定的に接続される。第2内蔵管6212と第2外付け管6213との間に第2環状チャンバが形成される。第2磁石622は、第2環状チャンバ内に収容される。第2環状チャンバの形状は、第2磁石622の取り付け及び位置決めを容易にするように、第2磁石622に合わせる。このようにして、第2フライホイール621が第2磁石622に対して位置制限作用を果たすことができ、第2磁石622の取り付けを容易にするだけでなく、第2磁石622と第2フライホイール621との結合をより安定させる。
【0050】
なお、第2フライホイール621は、上記構造に限定されず、いくつかの実施例において、第2フライホイール621は、第2外付け管6213を有さず、いくつかの実施例において、第2フライホイール621は、第2内蔵管6212及び第2外付け管6213を有さず、このとき、回転軸200は、第2ディスク部6211の中心に固定的に貫通して設けられる。第2ディスク部6211のみを有する第2フライホイール621に対して、第2内蔵管6212を設けることで、第2フライホイール621と回転軸200とをより安定して接続することができる。
【0051】
図示の実施例において、スラストリング610は、第2フライホイール621のステータ700から離れる側に形成された環状突起であり、より具体的には、スラストリング610は、第2ディスク部6211の第2内蔵管6212から離れる側に設けられる。即ち、スラストリング610と第2フライホイール621とは、一体成形構造であり、一体に形成され、血液ポンプ1の全体的な体積が小さく、スラストリング610の体積がより小さく、加工精度が難しく、かつ組み立てが難しいため、スラストリング610と第2フライホイール621とを一体成形すると、取り付けやすく、かつ接着操作を省略する。
【0052】
なお、他の実施例において、スラストリング610と第2ロータ620とは、組み立て前に別体構造であってもよく、このとき、スラストリング610は、接着又は溶接により第2ロータ620と回転軸200とのうちの少なくとも一方に固定されてもよい。
【0053】
具体的には、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接する場合、スラストリング610の少なくとも一部は、仕切りリング110の内輪に位置し、スラストリング610と仕切りリング110の内輪壁との間には、流体が流通する隙間があり、かつ仕切りリング110と第2ロータ620との間には、一定の距離がある。スラストリング610と仕切りリング110の内輪壁との間に流体が流通する隙間を有することにより、洗浄液がスラストリング610と仕切りリング110の内輪壁との間の隙間を介して第2軸スリーブ500の軸孔510に流入することができ、即ち、第2軸スリーブ500の軸孔510と収容チャンバ103との間の流体連通を実現する。スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接する場合、仕切りリング110と第2ロータ620とを一定の距離だけ離間させることにより、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するとき、第2ロータ620と仕切りリング110とが接触して摩擦して摩耗が発生することを回避する。
【0054】
具体的には、スラストリング610は略環状であり、スラストリング610の中心軸線は、回転軸200の軸線と重なる。スラストリング610の外径は、仕切りリング110の内径よりも小さく、それにより、スラストリング610と仕切りリング110の内輪壁との間に流体が流通する隙間がある。他の実施例において、スラストリング610は、複数の扇形リングが配列されてなってもよく、該複数の扇形リングは、回転軸200の周りに等間隔で一周設けられ、又は、周方向に離散的に設けられた複数の扇形リングが配列されてなってもよい。
【0055】
具体的には、スラストリング610の回転軸200の軸線に沿った厚さは、仕切りリング110の回転軸200の軸線に沿った厚さよりも大きく、これにより、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するとき、仕切りリング110と第2ロータ620との間には、一定の距離がある。なお、いくつかの実施例において、スラストリング610の回転軸200の軸線に沿った厚さは、仕切りリング110の回転軸200の軸線に沿った厚さ以下であってもよく、このとき、第2ロータ620とスラストリング610とを回転軸200の軸線に沿った方向に一定の距離だけ離間させてもよく、該距離は、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するときに仕切りリング110と第2ロータ620とを一定の距離だけ離間させることができる。
【0056】
具体的には、
図12を参照すると、第2軸スリーブ500のスラストリング610に向かう面の一部が凹んで導流溝530を形成し、導流溝530が第2軸スリーブ500の軸孔510に連通し、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するとき、導流溝530の一部がスラストリング610に覆われず、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するとき、スラストリング610が第2軸スリーブ500の軸孔510と回転軸200との間の隙間を塞ぐが、スラストリング610に覆われていない導流溝530は、スラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するときに流体連通を実現し、洗浄液の流通のスムーズさを保証することができる。また、第2軸スリーブ500のスラストリング610に向かう面の一部が凹んで導流溝530を形成することにより、洗浄液がスラストリング610と第2軸スリーブ500との間によりよく流入し、スラストリング610と第2軸スリーブ500との接触表面に対する潤滑作用を果たし、スラストリング610と第2軸スリーブ500との間の摩擦を低減し、スラストリング610と第2軸スリーブ500との間の摩擦による摩耗問題を低減し、スラストリング610と第2軸スリーブ500に対して放熱作用を果たすことができる。
【0057】
具体的には、スラストリング610は、ストッパ面611を有し、ストッパ面611は、回転軸200の軸線に垂直であり、第2軸スリーブ500は、係止面520を有し、係止面520は、第2軸スリーブ500の軸孔510の中心軸線に垂直であり、係止面520は、ストッパ面611に対向し、係止面520は、ストッパ面611に当接して、回転軸200が回転軸200の軸線に沿ってインペラ20に近接する方向へ移動することを制限することができる。ストッパ面611が回転軸200の軸線に垂直であり、係止面520が第2軸スリーブ500の軸孔510の中心軸線に垂直であり、回転軸200が第2軸スリーブ500の軸孔510に回転可能に貫通して設けられるため、回転軸200が正常に作動し、かつスラストリング610が第2軸スリーブ500に当接するとき、ストッパ面611と係止面520とが面接触することができ、スラストリング610と第2軸スリーブ500との摩擦による摩耗を低減することができる。具体的には、係止面520は、仕切りリング110に当接する。導流溝530は、係止面520の一部が凹んで形成される。
【0058】
具体的には、ストッパ面611及び係止面520のうちの少なくとも一方の粗さは、0.1マイクロメートル以下である。いくつかの実施例において、ストッパ面611及び係止面520の粗さは、いずれも0.1マイクロメートル以下である。いくつかの実施例では、ストッパ面611及び係止面520のうちの一方の粗さは、0.1マイクロメートル以下である。ストッパ面611及び係止面520のうちの少なくとも一方の粗さを小さくすることにより、ストッパ面611と係止面520との間の摩擦力を効果的に低減し、第2軸スリーブ500とスラストリング610との間の摩擦による摩耗の問題を低減することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、ストッパ面611及び係止面520のうちの少なくとも一方は、セラミック面である。セラミックは、加工精度が高く、生体適合性が高く、機械的強度が高く、耐摩耗性及び耐食性が良好である。このとき、スラストリング610及び第2軸スリーブ500の材質は、セラミックであってもよく、又は、セラミックコーティングを設けることにより、ストッパ面611及び係止面520のうちの少なくとも一方がセラミック面であることを実現する。いくつかの実施例において、ストッパ面611の材料は、ダイヤモンドであり、それにより、ストッパ面611は、高い硬度及び滑らかな表面を有し、かつ摩耗しにくく、このとき、ダイヤモンドコーティングを設けることにより、ストッパ面611の材料がセラミック面であることを実現する。
【0060】
具体的には、
図2及び
図13を参照すると、ステータ700は、回転軸200の軸線に沿って設けられた第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720を含み、第1ステータユニット710は、第1ロータ300を駆動して回転させることができ、第2ステータユニット720は、第2ロータ620を駆動して回転させることができる。具体的には、第1ステータユニット710は、第1ロータ300を駆動して回転させる回転磁界を発生することができ、第2ステータユニット720は、第2ロータ620を駆動して回転させる回転磁界を発生することができる。第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720は、いずれもハウジング100の収容チャンバ103内に固定的に収容される。回転軸200は、第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720に回転可能に貫通して設けられる。第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720は、いずれも第1ロータ300と第2ロータ620との間に位置する。具体的には、第1ロータ300、第2ロータ620、第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720は、いずれも第1軸スリーブ400と第2軸スリーブ500との間に位置し、第1ロータ300は、第1軸スリーブ400に近接して設けられ、第2ロータ620は、第2軸スリーブ500に近接して設けられる。言い換えれば、第1軸スリーブ400、第1ロータ300、第1ステータユニット710、第2ステータユニット720、第2ロータ620及び第2軸スリーブ500は、回転軸200の軸線に沿って順に設けられ、第2軸スリーブ500は、回転軸200の接続端210に最も近接する。
【0061】
第1ステータユニット710と第2ステータユニット720は、いずれも磁気コア及びコイルを含み、コイルは、磁気コアに巻かれる。具体的には、第1ステータユニット710は、第1磁気コア711と、第1コイル712とを含み、第1コイル712は、第1磁気コア711に巻かれる。第1磁気コア711は、複数あり、複数の第1磁気コア711は、回転軸200の軸線の周りに一周設けられる。各第1磁気コア711には、1つの第1コイル712が設けられる。
【0062】
第2ステータユニット720の構造は、第1ステータユニット710と同様である。第2ステータユニット720は、第2磁気コア721と、第2コイル722とを含み、第2コイル722は、第2磁気コア721に巻かれる。第2磁気コア721は、複数あり、複数の第2磁気コア721は、回転軸200の軸線の周りに一周設けられる。各第2磁気コア721には、1つの第2コイル722が設けられる。
【0063】
具体的には、駆動装置10は、ハウジング100に固定的に接続された透磁部材820をさらに含み、第1ステータユニット710の第1磁気コア711及び第2ステータユニット720の第2磁気コア721は、いずれも透磁部材820に固定的に接続される。具体的には、透磁部材820は、ハウジング100内に固定的に収容され、例えば、ハウジング100の内側壁に係止される。回転軸200は、透磁部材820に回転可能に貫通して設けられる。第1磁気コア711の一端は、透磁部材820に固定的に接続され、第1ロータ300は、第1磁気コア711の他端に近接して設けられ、第2磁気コア721の一端は、透磁部材820に固定的に接続され、第2ロータ620は、第2磁気コア721の他端に近接して設けられる。
【0064】
透磁部材820は、磁路を閉じる役割を果たして、磁束の発生を促進し増加させ、結合能力を向上させるため、透磁部材820を設けることにより、第1ステータユニット710と第1ロータ300との間の磁路、及び第2ステータユニット720と第2ロータ620との間の磁路を閉じる役割を果たして、磁束を増加させることができ、さらに駆動装置10の全体的な直径を小さくすることに有利である。また、第1ステータユニット710の第1磁気コア711と第2ステータユニット720の第2磁気コア721の両方を透磁部材820に固定的に接続することにより、第1ステータユニット710と第2ステータユニット720の位置決めと取り付けを実現することができ、第1ステータユニット710と第2ステータユニット720の組み立て難度を低減する。同時に、上記のように設けられた透磁部材820は、ハウジング100内の位置決め構造の設置を減少させることもでき、ハウジング100の構造を簡略化し、駆動装置10全体の組み立て過程を簡略化する。
【0065】
具体的には、透磁部材820は、2つの透磁板821を含み、2つの透磁板821は、積層され、一方の透磁板821は、第1ステータユニット710の第1磁気コア711に固定的に接続され、他方の透磁板821は、第2ステータユニット720の第2磁気コア721に固定的に接続され、回転軸200は、2つの透磁板821に回転可能に貫通して設けられる。具体的には、2つの透磁板821は、組み立て前に別体であり、透磁部材820を組み立て前に別体である2つの透磁板821として設けることにより、駆動装置10を組み立てる際に、まず第1磁気コア711を透磁板821に固定的に接続し、第2磁気コア721を別の透磁板821に固定的に接続し、次に2つの透磁板821を積層することができる。このように、第1磁気コア711と第2磁気コア721をそれぞれ2つの透磁板821に組み立てることが便利になり、第1磁気コア711と第2磁気コア721の組み立てがより便利になる。
【0066】
具体的には、2つの透磁板821が固定的に接続されることにより、第1ステータユニット710、第2ステータユニット720及び透磁部材820が一体化されてハウジング100内に組み立てられ、ステータ700の組み立てがより容易になる。例えば、2つの透磁板821は、接着又は溶接によって接続されてもよい。なお、他の実施例において、2つの透磁板821は、固定的に接続されておらず、互いに接触している。
【0067】
なお、透磁部材820は、上記2つの別体の透磁板821を組み合わせてなる方式に限定されず、透磁部材820は、板状構造であってもよく、第1磁気コア711及び第2磁気コア721は、いずれも透磁部材820に接続され、即ち、第1ステータユニット710及び第2ステータユニット720は、1つの透磁部材820を共有する。
【0068】
具体的には、透磁板821の材質は、ケイ素鋼であり、第1磁気コア711及び第2磁気コア721の材質は、ケイ素鋼である。
【0069】
第1磁気コア711と第2磁気コア721は、いずれも柱状構造であり、幅が大きい頭部(即ち、ポールピース)がない。ポールピースが設けられた磁気コアに比べて、柱状構造の磁気コアは、磁気損失を減少させ、磁気コアと磁石との間の磁気結合密度を増加させて、ステータ700の磁石に対するトルク(同じ電流条件下)を増大させることができる。また、頭部を有さない磁気コアは、隣接する磁気コア同士の接触による局所的な磁気短絡やモータ電力の低下の問題を大幅に低減することができる。
【0070】
なお、駆動装置10の構造は、上記構造に限定されない。いくつかの実施例において、駆動装置10は、第1ロータ300、第2ロータ620及びステータ700を含むが、ステータ700は、1つのステータユニットのみを有し、即ち、第1ステータユニット710のみを有し、第2ステータユニット720を有さず、このとき、第1ステータユニット710は、第1ロータ300と第2ロータ620との間に位置し、第1ステータユニット710は、第1ロータ300及び第2ロータ620を同時に駆動して回転させることができる。
【0071】
なお、位置制限部材600は、上記構造に限定されない。いくつかの実施例において、位置制限部材600は、スラストリング610のみであり、第2ロータ620を有さず、このとき、ステータ700は、1つのステータユニットのみを有する。スラストリング610は、回転軸200に固定的に接続され、かつ第2軸スリーブ500に当接して、回転軸200がその軸線に沿って第2軸スリーブ500に近接する方向へ移動する範囲を制限する。いくつかの実施例において、位置制限部材600は、第2ロータ620のみであり、スラストリング610を有さず、このとき、第2ロータ620は、回転軸200に固定的に接続され、ステータ700は、第1ロータ300と第2ロータ620との間に位置し、第2ロータ620のステータ700から離れる側は、第2軸スリーブ500又は仕切りリング110に当接して、回転軸200がその軸線に沿ってインペラ20に近接する方向へ移動する範囲を制限する。
【0072】
本実施例の駆動装置は、第1実施例の駆動装置と同様の構造であるため、本実施例の駆動装置及びそれを備えた血液ポンプも、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0073】
上記の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、制限するものではない。前述した実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載された技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部の技術特徴に対して等価の置き換えを行うことができ、これらの修正及び置き換えは、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の趣旨及び範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】