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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】環境属性を有する化学製品
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250204BHJP
   C10G 99/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
G06Q50/04
C10G99/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537552
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022086719
(87)【国際公開番号】W WO2023117950
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216268.9
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216269.7
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216270.5
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216271.3
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216286.1
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216292.9
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216326.5
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216327.3
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21216333.1
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22166573.0
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22167945.9
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22172609.4
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22172611.0
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22172615.1
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22172617.7
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22172619.3
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22194793.0
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22194800.3
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22194808.6
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22194815.1
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22194818.5
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22201672.7
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/416,091
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22202183.4
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22211421.7
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ボド・フレイ
(72)【発明者】
【氏名】マリオン・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェイアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスミン・ベッケンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】アナ・アルバ・ペレス
【テーマコード(参考)】
4H129
5L050
【Fターム(参考)】
4H129LA14
5L050CC03
(57)【要約】
1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するとともに、化学品生産ネットワークによって生産される少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための方法、装置、及びシステムが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するための方法であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、以下のステップ:
- 1つ以上の環境属性と関連付けられる1つ以上の入力材料を、化学品生産ネットワークの1つ以上の入口点に提供するステップと、
- 前記1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性に関連する材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップと、
- 前記1つ以上の環境属性を、前記それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるステップと、
- 前記少なくとも1つの化学製品を生産し、前記化学製品を前記化学品生産ネットワークの1つ以上の出口点に提供するステップと、
- 前記それぞれの環境属性と関連付けられる前記少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を、前記少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記材料データが、前記それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの入力材料識別子と、前記それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの環境属性と、前記化学品生産ネットワークの前記入口点に提供された入力材料の量とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環境属性が、再生可能な、バイオ系の、及び/又はリサイクルされた内容物に関する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学品生産ネットワークの入口点で提供される1つ以上の環境属性と関連付けられる前記入力材料が、少なくとも部分的にリサイクルされた内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にリサイクルされた内容物から生成されたリサイクルされた入力材料、少なくとも部分的に再生可能な内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的に再生可能な内容物から生成された再生可能な入力材料、少なくとも部分的にバイオ系の内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にバイオ系の内容物から生成されたバイオ系入力材料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化学品生産ネットワークが、前記化学品生産ネットワークによって生産される化学製品の入力材料の入口点及び出口点を含み、前記入口点及び出口点は、前記化学品生産ネットワークの物理システム境界を示し、前記のそれぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントへの少なくとも1つの環境属性の割り当ては、前記物理システム境界に依存し、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから少なくとも1つの化学製品への少なくとも1つの環境属性の割り当ては、前記物理システム境界に依存する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の環境属性を前記平衡化アカウントに割り当てるステップが、前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップを含み、前記1つ以上の平衡化ユニットは、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの環境属性を前記少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップは、1つ以上の平衡化ユニットを1つ以上の環境属性に変換するステップを含み、前記1つ以上の平衡化ユニットは、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから割り当て解除される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップは、従来の入力材料を1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料に関連付ける変換係数に基づく、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、原料当量を決定するステップを含み、前記原料当量が、従来の入力材料を、1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料に関連付ける、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、従来の入力材料の量及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の量に関連する、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、従来の入力材料のエネルギー特性及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料のエネルギー特性に関連する、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの環境属性を前記少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップが、生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を提供するとともに、前記の平衡化アカウントからの環境属性を化学製品識別子に割り当てるステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるためのコンピュータ実装方法であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、以下のステップ:、
- 1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップであって、前記1つ以上の入力材料が前記化学品生産ネットワークへの入口点に提供される、ステップと、
- 前記1つ以上の環境属性を、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるステップと、
- 化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を付与するステップと、
- 前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの前記の化学製品識別子に割り当てるステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項14】
化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための装置であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、前記装置は、
- 1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するように構成されるデータプロバイダであって、前記1つ以上の入力材料が、前記化学品生産ネットワークへの入口点で提供される、データプロバイダと、
- 前記1つ以上の環境属性を、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるように構成されるインバウンドアロケータと、
- 前記化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられた化学製品識別子を付与するように構成される識別子プロバイダと、
- 前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を前記少なくとも1つの化学製品識別子に割り当てるように構成されるアウトバウンドアロケータと、を備える、装置。
【請求項15】
1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって提供される前記の1つ以上の環境属性と関連付けられる化学製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産し、化学品生産ネットワークによって生産される少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サプライチェーンでは、各サプライチェーン参加者の環境への影響が非常に重要である。参加者間の透明性は、気候変動に対抗するための環境影響の集合的な低減を助けることができる。しかしながら、環境影響データのデータ共有は、共通のデータ規格の欠如及び信頼できるデータプラットフォームの欠如によって妨げられる。更に、今日のデータシステムの非常に特殊で集中的なセットアップは、集合的な行動において交換及び共有を面倒にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、環境影響に関するデータ規格を簡素化し、環境影響に関するサプライチェーンデータの安全な交換を広く可能にするために、生産された製品の環境影響を定量化するメトリクスを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するための方法が開示され、化学製品が、好ましくは1つ以上の生産チェーン、化学品生産ネットワークへの入口点及び/又は化学品生産ネットワークからの出口点を含む化学品生産ネットワークによって生産され、その方法は、
- 1つ以上の環境属性と関連付けられる1つ以上の入力材料を化学品生産ネットワークの1つ以上の入口点に提供するステップと、
- 1つ以上の入力材料とそれぞれの環境属性と関連する材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップと、
- 1つ以上の環境属性をそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウント(balancing account)に割り当てるステップと、
- 少なくとも1つの化学製品を生産し、化学製品を化学品生産ネットワークの1つ以上の1つ以上の出口点に提供するステップと、
- それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウント(balancing account)からの少なくとも1つの環境属性を、少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップと、を含む。
【0005】
一態様では、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するためのシステムが開示され、化学製品は、好ましくは化学品生産ネットワークへの入口点、化学品生産ネットワークからの出口点、及び/又は1つ以上の生産チェーンを含む化学品生産ネットワークによって生産され、そのシステムは、
- 1つ以上の入口点を有する化学品生産ネットワークであって、好ましくは、1つ以上の入力材料は、化学品生産ネットワークの1つ以上の入口点に提供される1つ以上の環境属性と関連付けられ、好ましくは、少なくとも1つの化学製品が生産され、化学品生産ネットワークの1つ以上の出口点に提供される、化学品生産ネットワークと、
- 1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するように構成されるデータプロバイダと、
- 1つ以上の環境属性を、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウント(balancing account)に割り当てるように構成されるインバウンドアロケータ(inbound allocator)と、
- それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウント(balancing account)からの少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品に割り当てるように構成されるアウトバウンドアサイナ(outbound assignor)と、を備える。
【0006】
別の態様では、化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるためのコンピュータ実装方法が開示され、化学製品は、好ましくは1つ以上の生産チェーン、化学品生産ネットワークへの入口点、及び化学品生産ネットワークからの出口点を含む化学品生産ネットワークによって生産され、その方法は、
- 1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップであって、1つ以上の入力材料は、化学品生産ネットワークへの入口点に提供される、ステップと、
- 1つ以上の環境属性を、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるステップと、
- 化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を提供するステップであって、任意選択的に、化学製品は化学品生産ネットワークからの出口点に提供される、ステップと、
- それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品識別子に割り当てるステップと、を含む。
【0007】
別の態様では、化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための装置が開示され、化学製品は、好ましくは1つ以上の生産チェーン、化学品生産ネットワークへの入口点、及び化学品生産ネットワークからの出口点を含む化学品生産ネットワークによって生産され、その装置は、
- 1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するように構成されるデータプロバイダであって、1つ以上の入力材料は、化学品生産ネットワークへの入口点で提供される、データプロバイダと、
- 1つ以上の環境属性を、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるように構成されるインバウンドアロケータ(inbound allocator)と、
-化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を提供するように構成される識別子プロバイダであって、任意選択的に、化学製品は化学品生産ネットワークからの出口点に提供される、識別子プロバイダと、
- それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品識別子に割り当てるように構成されるアウトバウンドアロケータ(outbound allocator)と、を備える。
【0008】
更に他の態様では、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに本明細書に開示された方法のいずれかのステップを実行するように構成される命令を伴う、コンピュータ要素、特にコンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読媒体が開示される。更に他の態様では、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに本明細書に開示された装置のいずれかに本明細書に開示された方法のいずれかを実行させる命令を伴う、コンピュータ要素、特にコンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読媒体が開示される。
【0009】
更に他の態様では、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産するための、本明細書に開示される方法のいずれかによって提供される1つ以上の環境属性と関連付けられる化学製品、及び/又は本明細書に開示される方法のいずれかによって提供される化学品生産ネットワークによって生産される1つ以上の化学製品の使用が開示される。少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品は、製品サプライチェーンの中間又は最終製品であり得る。少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品は、1つ以上の化学製品に基づくことができる。少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品は、個別製造によって製造されてもよい。更に他の態様では、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産する方法が開示され、本明細書に開示された方法のいずれかによって提供される1つ以上の環境属性と関連付けられる化学製品、及び/又は本明細書に開示された方法のいずれかによって提供される化学品生産ネットワークによって生産される化学製品は、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産するために提供及び/又は使用される。
【0010】
更に他の態様では、少なくとも1つの個別製品に関する少なくとも1つの個別製品識別子、又は少なくとも1つの個別製品もしくは少なくとも1つの最終製品に関する少なくとも1つの最終製品識別子を1つ以上の環境属性に提供するための、本明細書に開示される方法のいずれかによって提供される化学製品識別子に割り当てられた1つ以上の環境属性の使用が開示される。更に他の態様では、少なくとも1つの個別製品に関連する少なくとも1つの個別製品識別子、又は少なくとも1つの最終製品と関連付けられる少なくとも1つの最終製品識別子を1つ以上の環境属性に提供するための方法が開示され、本明細書に開示された方法のいずれかによって提供される化学製品識別子に割り当てられる1つ以上の環境属性は、少なくとも1つの個別製品に関連する少なくとも1つの個別製品識別子を1つ以上の環境属性に、又は少なくとも1つの最終製品に関連する少なくとも1つの最終製品識別子を1つ以上の環境属性に提供するために提供及び/又は使用される。
【0011】
<実施形態>
本明細書に記載の任意の開示及び実施形態は、上記又は下記に並べられた方法、装置、コンピュータ要素及び使用に関し、逆もまた同様である。実施形態及び実施例のいずれかによって提供される利点は、他の全ての実施形態及び実施例にも等しく適用され、逆もまた同様である。
【0012】
本明細書に提示される任意のステップは、任意の順序で実行することができる。本明細書に開示される方法は、これらのステップの特定の順序に限定されない。また、異なるステップが分散システムの特定の場所又は特定のコンピューティングノード(computing node)で実行される必要はなく、すなわち、各ステップは、異なる機器/データ処理を使用して異なるコンピューティングノードで実行されてもよい。
【0013】
本明細書で使用される場合、「決定すること」はまた、「開始すること又は決定させること」を含み、「生成すること」はまた、「開始すること及び/又は生成させること」を含み、「提供すること」はまた、「決定し、生成し、選択し、送信し、及び/又は受信することを開始し、又は行わせる」を含む。「アクションを開始する、又は実行させる」は、コンピューティングノード又はデバイスがそれぞれのアクションを実行するようにトリガ(trigger)する任意の処理信号を含む。
【0014】
本明細書に開示される方法、装置、システム、及びコンピュータ要素は、化学処理における環境属性を追跡し、バリューチェーンを通してプラスの環境影響を有する化学製品を提供する効率的な方法を提供する。平衡化アカウントを使用することにより、入力材料と関連付けられる環境属性を、化学品製品ネットワークによって生産される化学製品と関連付けられる環境属性に効率的に割り当てることができる。具体的には、相互接続された、接続された、及び接続されていない生産チェーンを介して2つ以上の入力材料から2つ以上の化学製品を生産する化学ネットワークの場合、平衡化アカウントの使用は、化学品生産ネットワークの物理的設定に沿って環境属性を確実に割り当てることを可能にする。平衡化アカウントを使用すると、化学製品ごとに環境への影響を割り当てることを可能にしながら、化学品生産ネットワークの材料の流れの複雑さを分離することを更に可能にする。このようにして、生産された化学製品の環境への影響は、化学品生産ネットワークの物理的構成に沿って決定することができる。更に、化学品生産ネットワークで生産された化学製品の環境特性を、化学製品を更に処理する顧客に透明にすることができる。少なくとも1つの環境属性と関連付けられる化学製品識別子を提供することによって、環境属性を顧客のニーズに合わせて調整することさえできる。
【0015】
入力材料と関連付けられる少なくとも1つの環境属性を化学製品に割り当てることは、入力材料識別子又は化学製品識別子を環境属性とリンクすることを含むことができる。入力材料識別子又は化学製品識別子は、それぞれ入力材料又は化学製品の物理的実体と関連付けられてもよい。このようにして、化学製品の仮想識別子は、物理的材料に一意(uniquely)にリンクされ得る。そのようなリンクは、物理的材料と一意的に(uniquely)関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、化学製品に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。
【0016】
環境属性は、入力材料又は化学製品に関連付けられたデジタル資産であってもよい。環境属性は、入力材料又は化学製品の環境影響をデジタル的に指定することができる。環境属性は、例えば、入力材料及び/又は化学製品の再生可能な(renewable)、バイオ系の及び/又はリサイクルされた(recycled)内容物(content)に関連し得る。環境属性は、例えば、入力材料又は化学製品を考慮して、影響のタイプに関する定性的データポイントを含むことができる。環境属性は、リサイクルされた、再生可能及び/又はバイオ系などのタイプを指定することができる。定性的データポイントは、平衡化ユニットなどの定量的尺度に変換することができる。環境属性は、例えば、入力材料又は化学製品のリサイクルされた内容物、再生可能な内容物又はバイオ系の内容物を考慮して、影響の種類に関する定量データポイントを含み得る。環境属性は、リサイクルされた、再生可能な、及び/又はバイオ系の内容物を指定することができる。
【0017】
環境属性は、環境影響に関連する任意の特性を指すことができる。そのような特性は、入力材料又は化学製品の特性であり得る。環境属性は、入力材料、化学品生産ネットワーク及び/又は化学製品の環境性能を示すことができる。環境属性は、入力材料、化学品生産ネットワーク及び/又は化学製品の特性から導出され得る。環境属性は、そのライフサイクル中の任意の段階における1つ以上の材料の環境影響と関連付けられ得る。材料又は製品ライフサイクルの段階は、原料を提供する段階、中間製品又は最終製品などの製品を生産する段階、製品を使用する段階、寿命末期製品を処理する段階、寿命末期製品を再生する段階、寿命末期製品を処分する段階、寿命末期製品又は段階の任意のサブセットから構成要素を再利用する段階を含み得る。環境属性は、1つ以上の材料又は製品のライフサイクルの任意の段階に関与する1つ以上のエンティティ(entity(ies))の任意の活動を通じて追跡され得る。1つ以上の材料又は製品のライフサイクルの任意の段階に関与する1つ以上のエンティティの任意の活動に関連する環境属性は、蓄積又は集約され得る。
【0018】
環境属性は、入力材料、化学製品、中間製品及び/又は最終製品の環境影響に起因する1つ以上の特性を含むことができる。環境属性は、入力材料、化学製品、中間製品及び/又は最終製品の環境影響に関連する環境特性、技術特性、再生性又は真円度特性を含むことができる。
【0019】
環境特性は、入力材料、化学製品、中間製品及び/又は最終製品の環境影響に関連する生態学的基準を指定又は定量化することができる。環境特性は、例えば、リサイクルされた内容物、バイオ系の内容物、再生可能な内容物などを含み得る。
【0020】
技術的特性は、少なくとも間接的に環境への影響に関連する製品性能を特定又は定量化することができる。技術的特性は、例えば、製品構成データ、部品表、製品仕様データ、製品構成要素データ、製品安全性データ、適用特性データ、適用指示又は製品品質データを含むことができる。
【0021】
化学品生産ネットワークは、入力材料から異なる化学製品を生産するための複数のタイプの生産プロセスを含むことができる。化学品生産ネットワークは、複数の生産又はバリューチェーンで複数の化学製品を生産する複雑な生産ネットワークを含むことができる。生産又はバリューチェーンは、1つ以上の入力材料から1つの化学製品又は化学製品クラスを生産するように構成された1つ以上のプロセスを含むことができる。化学品生産ネットワークは、接続された、相互接続された、及び/又は接続されていない生産チェーンを含むことができる。化学品生産ネットワークは、入力材料から複数の中間体を生産し、中間体から化学製品を生産することができる。入力材料は、入口点で化学品生産ネットワークに入ることができる。化学製品は、出口点で生産ネットワークから出ることができる。
【0022】
化学品生産ネットワークは、同一性維持又は分離生産チェーンを含み得る。この文脈における同一性の保存又は分離は、生産チェーンにおいて保存又は分離されている入力材料の環境属性を指すことができる。例は、化石内容物を含まない化学製品を生産するために使用される再生可能又はリサイクルされた入力材料である。更なる例は、化石内容物を有する化学製品を生産するために使用される化石入力材料である。化学品生産ネットワークは、非同一性保持又は非分離生産チェーンを含み得る。この文脈における非同一性維持又は非分離は、混合される環境属性に関連する入力材料を指し得る。例えば、この文脈における非同一性維持又は非分離とは、化石入力材料と混合されている環境属性に関連する入力材料を指し得る。例は、化石内容物及び再生可能な内容物を有する化学製品を生産するために混合された化石及び再生可能な入力材料である。
【0023】
化学品生産ネットワークは、生産チェーンごとに複数の生産工程を含むことができる。化学品生産ネットワークに含まれる生産ステップは、化学品生産ネットワークの物理システム境界によって定義され得る。システムの物理的境界は、生産プロセスに対する位置又は制御によって定義され得る。システム境界は、化学品生産ネットワークのサイトによって定義されてもよい。システム境界は、1つのエンティティ又は複数のエンティティによって共同で制御される生産プロセスによって定義され得る。システム境界は、複数のエンティティによって別々に制御され得る最終製品への互い違いの生産プロセスを有する生産又はバリューチェーンによって定義され得る。例えば、化学品生産ネットワークは、廃棄物収集ステップ、廃棄物分別ステップ、熱分解による化学再生などの再生ステップ、蒸気熱分解などの熱分解ステップ、1つのプロセスステップの出力を分離するための分離ステップ、及びそのような出力を化学品生産ネットワークのシステム境界を出る化学製品に変換するための更なる処理ステップを含むことができる。化学品生産ネットワークの入口点は、化学品生産ネットワークへの入力材料の入口によってマークされ得る。化学品生産ネットワークに入る入力材料は、1つ以上の化学製品を生産するために使用することができる。化学製品は、化学品生産ネットワークの物理システム境界を離れることができる。化学品生産ネットワークの出口点は、化学品生産ネットワークからの化学製品の出口によってマークされ得る。
【0024】
化学品生産ネットワークは、入力材料が化学品生産ネットワークに供給される1つ以上の入口点を含むことができる。入力材料は、化石材料、非化石材料、又はその両方を含み得る。化石入力材料は、原油、天然ガス又は石炭を含み得る。非化石入力材料は、再生可能材料、バイオ系の材料又はリサイクルされた材料を含み得る。入力材料は、ガス化プラント、蒸気クラッカー又は合成ガスプラント用の原料を含むことができる。入力材料は、化石原料、非化石原料、又はその両方から生成された合成ガスを含み得る。入力材料は、例えば、リサイクルされた廃棄物からの熱分解油、リサイクルされた廃棄物から生成された合成ガス、バイオ系の材料から生成されたナフサ(バイオナフサ)、バイオ系の材料からのメタン(バイオメタン)、有機材料の分解から生成されたバイオガス又はそれらの組み合わせを含み得る。入力材料は、少なくとも1つのガス化プラント、蒸気クラッカーもしくは合成ガスプラント、又は窒素、アンモニア、メタノール、エチレン、プロピレン、硫黄などの下流生成物のための生産チェーンの任意のプラントに提供されてもよい。
【0025】
平衡化アカウントは、環境属性に関連するデータを記憶するデジタル記憶構造を指すことができる。アカウントは、環境属性をバランスさせるためのアカウントを識別するメタデータに関連付けられてもよい。アカウントは、アカウントに割り当てられた環境属性及び環境ユニット又は平衡化ユニットを識別するメタデータに関連付けることができる。アカウントは、アカウントが関連付けられている生産チェーンを識別するメタデータに関連付けられてもよい。アカウントは、アカウントが関連付けられている入力又は化学製品を識別するメタデータに関連付けられ得る。アカウントは、複数のアカウントを含む平衡化システムの一部であってもよい。アカウントは、取引のための環境属性を保持することができる。環境属性は、アカウントから割り当てられ、追加され、削除され、引き出され、又は差し引かれ得る。平衡化アカウントは、リサイクルされた、バイオベース、再生可能、又はそれらの組み合わせなどの環境属性に関連付けられてもよい。平衡化アカウントは、熱分解油、バイオナフサ、バイオメタン、バイオガス、又はそれらの組み合わせなどの入力材料タイプに関連付けることができる。リサイクルされた環境属性に関連付けられた平衡化アカウントは、混合プラスチック廃棄物、特定の最終製品廃棄物、例えば段廃棄物もしくは発泡廃棄物、消費後廃棄物、消費前廃棄物又はそれらの組み合わせなどの廃棄物ストリームタイプに更に関連付けられ得る。平衡化アカウントは、分離割り当て、書籍及び請求のような非分離割り当て、自由な属性を伴うマスバランス、自由な属性を伴わないマスバランス、又はそれらの組み合わせなどの割り当てスキームに関連付けることができる。
【0026】
化学製品は、1つ以上の環境属性に関連する入力材料が提供された化学品生産ネットワークによって生産されてもよい。化学製品は、1つ以上の環境属性に関連する入力材料が提供された化学品生産ネットワークの生産チェーンによって生産されてもよい。化学製品は、1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料から生産されてもよい。
【0027】
一実施形態では、材料データは、それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの入力材料識別子と、それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの環境属性と、化学品生産ネットワークの入口点に提供された入力材料の量とを含むことができる。入力材料識別子は、入力材料の物理的実体と関連付けられてもよい。このようにして、入力材料の仮想識別子は、物理的な入力材料に一意的にリンクされ得る。そのようなリンクは、物理的入力材料に一意的に関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、材料に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT(ロット)番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。
【0028】
別の実施形態では、環境属性は、バイオ系、再生可能及び/又はリサイクルされた内容物に関する。バイオ系、再生可能及び/又はリサイクルされた内容物は、入力材料の組成に関連し得る。例えば、入力材料の1つ以上の成分は、再生可能、バイオ系及び/又はリサイクルされてもよい。入力材料は、少なくとも部分的に再生可能な、バイオ系の、及び/又は再生された内容物を含む任意の材料を含むことができる。追加的又は代替的に、入力材料は、少なくとも部分的に再生可能な、バイオ系の、及び/又はリサイクルされた内容物から生成された任意の材料を含むことができる。再生可能な、バイオ系の及び/又はリサイクルされた内容物は、物理的及び/又は化学的に追跡可能であり得る。
【0029】
再生可能な入力材料は、少なくとも部分的に再生可能な内容物を含むことができる。再生可能な内容物は、補充することができる天然資源から生成することができる。再生可能な内容物は、食品系の製品、木材系の製品、繊維系の製品などからの内容物を含むことができる。再生可能な入力材料には、バイオ系入力材料が含まれる。バイオ系入力材料は、少なくとも部分的にバイオ系の内容物を含むことができる。バイオ系の内容物は、生きている生物又はかつて生きていた生物から生産され、バイオマス及び/又は生分解性の材料から生産され得る。バイオ系の内容物には、小麦又はトウモロコシなどのデンプン作物、ビート又はサトウキビなどの糖作物、多年生草又はマメ科植物、スイッチグラスなどのリグノセルロース作物、まぐさ又はわらなどのリグノセルロース残渣、パーム又はアブラナなどの油作物、藻類又は海藻などの水生バイオマス等のバイオマスから生成される材料が含まれ得る。
【0030】
リサイクルされた入力材料は、少なくとも部分的にリサイクルされた内容物を含み得る。リサイクルされた内容物は、プラスチック廃棄物又は有機廃棄物などの廃棄物から生成され得る。プラスチック廃棄物は、1種類のポリマーから構成される分別されたプラスチック廃棄物又は異なる種類のポリマーから構成される混合プラスチック廃棄物を含み得る。ポリマーは、塩素、フッ素、硫黄及び窒素などの他の元素と組み合わせて炭素及び水素から構成されてもよい。プラスチック廃棄物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレートを含み得る。有機廃棄物は、排出された食用油、製紙スラッジ、食肉処理廃棄物、醸造廃棄物、又は繊維工場繊維廃棄物などの食品廃棄物を含む都市又は産業有機廃棄物であり得る。
【0031】
入力材料は、1つ以上の環境属性と関連付けられてもよい。例えば、有機廃棄物からの入力材料は、リサイクルされたバイオ系の環境属性に関連付けられ得る。有機廃棄物からの入力材料は、バイオ系のリサイクルされた入力材料であってもよい。更に、例えば、木質廃棄物からの入力材料は、リサイクルされ、バイオ系であり、再生可能である環境属性と関連付けられ得る。木質廃棄物からの入力材料は、バイオ系の、再生可能な、リサイクルされた入力材料であってもよい。
【0032】
別の実施形態では、化学品生産ネットワークの入口点で提供される1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料は、少なくとも部分的に、リサイクルされた内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にリサイクルされた内容物から生成された再生された入力材料、少なくとも部分的に再生可能な内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的に、再生可能な内容物から生成された再生可能な入力材料、少なくとも部分的にバイオ系の内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にバイオ系の内容物から生成されたバイオ系入力材料、又はそれらの組み合わせを含む。
【0033】
別の実施形態では、化学品生産ネットワークの入口点に提供される1つ以上の環境属性に関連する入力材料は、リサイクルされた(recycled)熱分解油、リサイクルされた熱分解ガス、リサイクルされた合成ガス、リサイクルされた水素、リサイクルされたナフサ、リサイクルされたメタン、リサイクルされたエタン、リサイクルされたプロパン、リサイクルされた化学品、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないリサイクルされた入力材料を含む。リサイクルされた化学品は、リサイクルされたアンモニア、リサイクルされたメタノール、リサイクルされたエチレン、リサイクルされたプロピレン、リサイクルされたベンゼン、リサイクルされたトルエン、リサイクルされたキシレン、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。本明細書で提供される文脈では、リサイクルされた入力材料は、少なくとも部分的にリサイクルされた内容物を含み、及び/又は少なくとも部分的にリサイクルされた内容物から生産された任意の材料を含み得る。リサイクルされた内容物は、物理的及び/又は化学的に追跡可能であり得る。
【0034】
別の実施形態では、化学品生産ネットワークの入口点に提供される1つ以上の環境属性に関連する入力材料は、再生可能な(renewable)熱分解油、再生可能な熱分解ガス、再生可能な合成ガス、再生可能な水素、再生可能なナフサ、再生可能メタン、再生可能エタン、再生可能プロパン、再生可能化学品、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない再生可能な入力材料を含む。再生可能な化学品は、再生可能なアンモニア、再生可能なメタノール、再生可能なエチレン、再生可能なプロピレン、再生可能なベンゼン、再生可能なトルエン、再生可能なキシレン、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。本明細書で提供される文脈において、再生可能入力材料は、少なくとも部分的に再生可能な内容物を含み、及び/又は再生可能な内容物から少なくとも部分的に生産される任意の材料を含み得る。再生可能な内容物は、物理的及び/又は化学的に追跡可能であり得る。
【0035】
別の実施形態では、化学品生産ネットワークの入口点に提供される1つ以上の環境属性に関連する入力材料は、バイオ系熱分解油、バイオ系熱分解ガス、バイオ系合成ガス、バイオ系水素、バイオ系ナフサ、バイオ系メタン、バイオ系エタン、バイオ系プロパン、バイオ系化学品、バイオガス、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないバイオ系入力材料を含む。バイオ系化学品には、バイオ系アンモニア、バイオ系メタノール、バイオ系エチレン、バイオ系プロピレン、バイオ系ベンゼン、バイオ系トルエン、バイオ系キシレン又はそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書で提供される文脈では、バイオ系入力材料は、少なくとも部分的にバイオ系の内容物を含み、及び/又はバイオ系の内容物から少なくとも部分的に生産される任意の材料を含み得る。バイオ系の内容物は、物理的及び/又は化学的に追跡可能であり得る。
【0036】
別の実施形態では、入力材料識別子は、入力材料タイプ、環境属性タイプ、廃棄物ストリームタイプ、バイオマスタイプ、再生可能タイプ、割り当てスキーム、又はそれらの組み合わせと関連付けられてもよい。一例として、プラスチック廃棄物から生成されたリサイクル熱分解油は、入力材料として化学品生産ネットワークに供給されてもよい。入力材料識別子は、入力材料タイプの熱分解油、リサイクルされた環境属性タイプ、廃棄物ストリームタイプの混合プラスチック廃棄物、特定の最終製品廃棄物、消費後廃棄物もしくは消費前廃棄物、及び/又はマスバランスなどの割り当てスキームの分離されていないスキームと関連付けられてもよい。別の例として、バイオ系ナフサは、入力材料として化学品生産ネットワークに供給されてもよい。入力材料識別子は、入力材料タイプナフサ、環境属性タイプバイオ系、バイオマスタイプパーム油及び/又はマスバランスなどの割り当てスキーム非分離スキームと関連付けられてもよい。別の例として、バイオ系メタンは、入力材料として化学品生産ネットワークに供給されてもよい。入力材料識別子は、入力材料タイプメタン、環境属性タイプバイオ系、農業からのバイオマスタイプ廃棄物及び/又はマスバランスなどの割り当てスキーム非分離スキームと関連付けられてもよい。
【0037】
別の実施形態では、化学品生産ネットワークは、化学品生産ネットワークによって生産される化学製品の入力材料の入口点及び出口点を含み、入口点及び出口点は、化学品生産ネットワークの物理システム境界を示す。それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントへの少なくとも1つの環境属性の割り当ては、物理的境界に依存し得る。それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから少なくとも1つの化学製品への少なくとも1つの環境属性は、物理的境界に依存し得る。入口点は、物理システム境界に入る化学品生産ネットワークの任意のプラントへの供給を意味することができる。入口点は、ガス化プラント、ストリームクラッカー、又は合成ガスプラントへの供給を意味することができる。入口点は、ガス化プラント、ストリームクラッカー、又は合成ガスプラントに続く生産チェーンの下流プラントへの供給を意味することができる。化学品生産ネットワークの別のプラントによって提供される化学品生産ネットワークの1つのプラントへの供給は、化学品生産ネットワークへの入口点を意味しなくてもよい。出口点は、物理システム境界を出る化学品生産ネットワークの任意のプラントの出力を意味することができる。出口点は、ガス化プラント、ストリームクラッカー、又は合成ガスプラントからの出力を意味することができる。出口点は、ガス化プラント、ストリームクラッカー、又は合成ガスプラントに続く生産チェーン内の任意のプラントからの出力を意味することができる。化学品生産ネットワークの別のプラントに提供される化学品生産ネットワークの1つのプラントからの出力は、化学品生産ネットワークの1つ以上の出口点を意味しない場合がある。それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントから少なくとも1つの化学製品への少なくとも1つの環境属性は、物理的境界のみに依存し得る。割り当ては、化学品生産ネットワーク内の材料の流れとは無関係であってもよい。割り当ては、材料フローから抽象化されてもよい。割り当ては、入口点で提供される1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料及び出口点で提供される1つ以上の環境属性に関連付けられた化学製品に依存し得る。入口点における1つ以上の環境属性と出口点における1つ以上の環境属性との間のバランスは、等しくてもよい。このようにして、1つ以上の環境属性の効率的な追跡を実現することができる。
【0038】
別の実施形態では、1つ以上の環境属性を平衡化アカウントに割り当てることは、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することを含む。1つ以上の平衡化ユニットは、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てることができる。
【0039】
別の実施形態では、少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品に割り当てることは、1つ以上の平衡化を1つ以上の環境属性に変換することを含む。1つ以上の平衡化ユニットは、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントから割り当て解除することができる。
【0040】
変換は、質量、重量、水素原子、炭素原子、メタン当量、又は環境属性の環境影響を定量化するための任意の他の適切な尺度などに関連し得る。平衡化ユニット及び変換を使用することにより、入力材料の環境属性が化学製品への割り当てのために1回だけ使用されることを保証することができる。このようにして、入力又は出力の二重カウントが回避され、正の(positive)環境影響を化学製品に割り当てることができる。
【0041】
別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、従来の入力材料を1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料に関連付ける変換係数に基づく。別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、従来の入力材料の使用を1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の使用に関連付ける変換係数に基づく。従来の入力材料は、化石入力材料であってもよい。1つ以上の環境属性に関連する入力材料は、バイオベース及び/又はリサイクルされた入力材料などの非化石入力材料であってもよい。変換係数は、従来の入力材料から化学製品を生産することと、1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料から化学製品を生産することとの間の差に関連し得る。変換係数は、従来の入力材料及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の化学的及び/又は物理的特性の違いに関連し得る。
【0042】
別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、水素又は炭素原料当量などの原料当量を決定することを含み、原料当量は、従来の入力材料を1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料に関連付ける。別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、水素又は炭素原料当量などの原料当量を決定することを含み、原料当量は、従来の入力材料の使用を、1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の使用に関連付ける。
【0043】
別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、従来の入力材料の量及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の量に関する。1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、従来の入力材料の量及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の量から平衡化ユニットを導出することを含むことができる。変換係数は、炭素原料当量、メタン当量、質量当量、エネルギー特性当量、又は1つもしくは複数の環境属性に関連付けられた入力材料の使用の影響を定量化する任意の他の適切な尺度に基づくことができる。平衡化ユニットへの変換は、化学製品の生産中に生じる材料損失を含むエネルギー特性を考慮して、入力材料量の変換を含むことができる。
【0044】
別の実施形態では、1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換することは、従来の入力材料のエネルギー特性及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料のエネルギー特性に関する。変換は、従来の入力材料のエネルギー特性及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料のエネルギー特性から平衡化ユニットを導出することを含むことができる。例えば、エネルギー特性は、より低い又はより高い発熱量であってもよい。
【0045】
別の実施形態では、少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品に割り当てることは、生産された化学製品に関連付けられた化学製品識別子を提供することと、平衡化アカウントからの環境属性を化学製品識別子に割り当てることとを含む。入力材料に関連付けられた少なくとも1つの環境属性を化学製品に割り当てることは、化学製品識別子を環境属性とリンクすることを含むことができる。化学製品識別子は、化学製品の物理的実体に関連付けられ得る。このようにして、材料の仮想識別子は、物理的材料に一意的にリンクされ得る。そのようなリンクは、物理的材料と一意的に関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、材料に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT(ロット)番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、属性管理システムを含むオペレーティングシステムに関連して、1つ以上の入力材料から1つ以上の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一例を示す。
図2a図2aは、化石及び非化石の入力材料から複数の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一部を示す。
図2b図2bは、化石及び非化石の入力材料から複数の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一部を示す。
図2c図2cは、化石及び非化石の入力材料から複数の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一部を示す。
図3a図3aは、再生可能又はバイオ系の入力材料の使用を化学品生産ネットワークの化学製品に割り当てる割り当てスキームの例を示す。
図3b図3bは、再生可能又はバイオ系の入力材料の使用を化学品生産ネットワークの化学製品に割り当てる割り当てスキームの例を示す。
図3c図3cは、再生可能又はバイオ系の入力材料の使用を化学品生産ネットワークの化学製品に割り当てる割り当てスキームの例を示す。
図4図4は、異なる割り当てスキームを伴う化学品生産ネットワークの一例を示す。
図5a図5aは、化学品生産ネットワークのための環境属性のインバウンド及びアウトバウンド割り当てを示す。
図5b図5bは、化学品生産ネットワークのための環境属性のインバウンド及びアウトバウンド割り当てを示す。
図6図6は、化学品生産ネットワークによって生産される少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための方法の一例を示す。
図7図7は、インバウンドで平衡化アカウントに変換して割り当てるための方法の一例を含む、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するための装置の一例を示す。
図8図8は、アウトバウンドで化学製品を変換して割り当てるための方法の一例を含む、1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するための装置の一例を示す。
図9図9は、化学品生産ネットワークによって生産される化学製品の例を示す。
図10図10は、平衡化ユニットへの変換及び化学製品への割り当ての例を示す。
図11a図11aは、平衡化アカウント及び関連するメタデータの例を示す。
図11b図11bは、平衡化アカウント及び関連するメタデータの例を示す。
図11c図11cは、平衡化アカウント及び関連するメタデータの例を示す。
図12図12は、サプライチェーンのための少なくとも1つの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの化学製品を生産するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、属性管理システムを含むオペレーティングシステムに関連して、1つ以上の入力材料から1つ以上の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一例を示す。
【0048】
1つ以上の化学製品を生産するために、材料供給者又は供給者からの物理的入力として、異なる入力材料(原料)を提供することができる。入力材料から生産された化学製品は、環境属性...によって示され得る、入力材料の環境影響に関連する1つ以上の特性を有し得る。
【0049】
化学品生産ネットワークは、複数の相互リンクされた処理ステップを含むことができる。化学品生産ネットワークは、接続された又は相互接続された生産チェーンを有する統合化学品生産ネットワークであってもよい。化学品生産ネットワークは、少なくとも1つの中間製品を共通に有する複数の異なる生産チェーンを含むことができる。化学品生産ネットワークは、化学的バリューチェーンの複数の段階を含み得る。化学品生産ネットワークは、ガス又は原油の生産、精製、処理及び/又は精製を含むことができる。化学品生産ネットワークは、ストリームクラッカー、又は蒸気クラッカー又は合成ガスプラントの流出物から化学製品を出力する複数の生産チェーンに接続された合成ガスプラントを含むことができる。化学品生産ネットワークは、化学品生産ネットワークを出る1つ以上の入力材料から化学製品を生産する複数の生産チェーンを含むことができる。化学品生産ネットワークは、化学的バリューチェーンの複数の階層を含むことができる。化学品生産ネットワークは、物理的に接続又は相互接続されたサプライチェーン及び/又は生産場所を含むことができる。生産現場は、同じ場所にあってもよいし、異なる場所にあってもよい。後者の場合、生産現場は、パイプライン、トラック、船などのサプライチェーン車両、又は他の貨物輸送手段などの専用輸送システムによって接続又は相互接続されてもよい。
【0050】
化学品生産ネットワークは、化学中間体を介して入力材料を、化学品生産ネットワークを出る1つ以上の化学製品に化学的に変換することができる。化学品生産ネットワークは、化学変換によって入力材料を1つ以上の化学製品に変換することができる。
【0051】
入力材料は、任意の入口点で化学品生産ネットワークに供給されてもよい。入力材料は、化学品生産ネットワークの開始時に化学品生産ネットワークに供給されてもよい。入力材料は、例えば、蒸気クラッカーの原料を構成することができる。入力材料は、化学中間体及び化学製品の生産のためのバイオ系の、再生された及び/又は化石の入力材料を含むことができる。
【0052】
化学品生産ネットワークは、複数の生産工程を含むことができる。化学ネットワークに含まれる生産ステップは、化学品生産ネットワークのシステム境界によって定義され得る。システム境界は、生産プロセスに対する位置又は制御によって定義され得る。システム境界は、化学品生産ネットワークのサイトによって定義されてもよい。システム境界は、1つのエンティティ又は複数のエンティティによって共同で制御される生産プロセスによって定義され得る。システム境界は、複数のエンティティによって別々に制御され得る最終製品への互い違いの生産プロセスを有するバリューチェーンによって定義され得る。化学品生産ネットワークは、廃棄物収集及び分別ステップ、熱分解などのリサイクルステップ、蒸気熱分解などの熱分解ステップ、1つのプロセスステップの出力を分離するための分離ステップ、及びそのような出力を化学品生産ネットワークのシステム境界を出る化学製品に変換するための更なる処理ステップを含むことができる。
【0053】
化学品生産ネットワークのオペレーティングシステムは、異なるプロセスの動作パラメータに基づいて化学品生産ネットワークを監視及び/又は制御することができる。監視及び/又は制御される1つのプロセスステップは、入力材料の供給又は化学製品の排出であり得る。監視及び/又は制御される別のプロセスステップは、化学品生産ネットワークを介して生産された化学製品への環境属性の割り当てであってもよい。監視及び/又は制御される更に別のプロセスステップは、化学品生産ネットワークのシステム境界に入る入力材料に関連する環境属性の登録であってもよい。監視及び/又は制御される更に別のプロセスステップは、化学品生産ネットワークの入力材料及び化学製品に関連する環境属性の管理であってもよい。
【0054】
オペレーティングシステムは、化学品生産ネットワークによって生産された入力材料、プロセス及び/又は化学製品に関連するデータにアクセスするように構成されてもよい。オペレーティングシステムは、化学品生産ネットワークで使用される1つ以上の入力材料のリサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の内容物を平衡化ユニットに変換するように構成されてもよい。オペレーティングシステムは、入力材料のリサイクルされた又はバイオ系の内容物に関連する少なくとも1つの平衡化アカウントに平衡化ユニットを割り当てるように構成されてもよい。オペレーティングシステムは、少なくとも1つの平衡化アカウントから少なくとも1つの化学製品に平衡化ユニットの少なくとも一部を割り当てるように構成されてもよい。
【0055】
オペレーティングシステムは、入力に関連する平衡化ユニットと、化学品生産ネットワークによって生産された化学製品とを処理するように構成されてもよい。特に、オペレーティングシステムは、化学品生産ネットワークによって生産される化学製品の環境特性/属性に影響を与える入力材料の使用に関連する平衡化ユニットを決定するように構成されてもよい。更に具体的には、オペレーティングシステムは、化学製品及び化学製品の環境特性に関連する平衡化ユニットを決定するように構成されてもよい。このようにして、オペレーティングシステムは、平衡化ユニットを平衡化アカウントに割り当てるか、又は平衡化ユニットを平衡化アカウントから割り当て解除するように構成され得る。平衡化ユニットは、化学品生産ネットワークの入力及び化学製品に関連するアカウントに預けられ得る、又はアカウントから差し引かれ得るクレジットと見なすことができる。
【0056】
オペレーティングシステムは、インバウンド環境属性を登録し、アウトバウンド環境属性を割り当て、インバウンド割り当て及びアウトバウンド割り当てを管理するように構成され得る。
【0057】
図2a~図2cは、化石及び非化石入力材料から複数の化学製品を生産する化学品生産ネットワークの一部を示す。
【0058】
化学品生産ネットワークは、リサイクルされた廃棄物の熱分解のための熱分解ユニットを備えてもよい。廃棄物ストリームを熱分解ユニットに供給することができる。廃棄物ストリームには、プラスチック、ゴム(タイヤを含む)、織物、木材、バイオ廃棄物、改質セルロース、湿式生成物、及び熱分解に適した任意の他の材料が含まれ得る。廃棄物流は、熱分解ユニット、蒸気クラッカーユニット又は合成ガスプラントに供給されてもよい。廃棄物ストリームは、少なくとも部分的に工業後又は消費後又は工業後及び消費後の両方の材料を含む流れを含んでもよい。消費後材料は、摩耗にかかわらず、その意図された用途のために任意の期間にわたって少なくとも1回使用された、又は最終使用顧客に販売された、又は材料の製造又は販売に従事する製造業者又は事業者以外の人又は団体によって廃棄された材料であり得る。産業後の材料は、作成され、その意図された用途に使用されていないか、又は最終使用顧客に販売されていないか、又は製造業者もしくは材料の販売に関与する他の事業体によって廃棄されていない材料であり得る。産業後の材料の例には、再加工、粉砕、スクラップ、トリム、仕様外の材料、及び製造業者から任意の下流の顧客(例えば、製造業者から卸売業者、販売業者)に譲渡されたが、最終使用顧客にはまだ使用又は販売されていない完成材料が含まれる。廃棄物ストリームは、特定の廃棄物を含む1つのタイプの廃棄物流として分離されてもよく、又は混合廃棄物の流れであってもよい。
【0059】
廃棄物ストリームとしてのプラスチックの例としては、高密度ポリエチレン及びその共重合体、低密度ポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、他のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル、コポリエステル及びテレフタレートコポリエステル(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、CHDMシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールモノマー、プロピレングリコール、)、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、セルロース及びその誘導体、例えば酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、ビスコース及びレーヨンなどの再生セルロース、エポキシ、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレン系合金、ポリプロピレン及びそれらのコポリマー、ポリスチレン、スチレン系化合物、ビニル系化合物、スチレンアクリロニトリル、熱可塑性エラストマー、尿素系ポリマー及び/又はメラミン含有ポリマーが挙げられる。
【0060】
熱分解ユニットを出る熱分解排出物は、熱分解油、熱分解ガス、及び残留固形物を含んでもよい。熱分解油は、クラッカーユニット又は合成ガスプラントの原料として使用することができる。熱分解油は、非リサイクル又は従来の原料(例えば、ナフサ、プロパン、エタン、及び/又は天然ガソリン)と共にリサイクル原料としてクラッカーユニットに供給されてもよい。リサイクルされた原料に加えて、又はこれに代えて、バイオ系原料をクラッカーユニットに供給してもよい。例えば、バイオナフサは、パーム油及び獣脂などのバイオ系材料の水素化によって生産され、原料としてクラッカーユニットに供給されてもよい。更なる実施形態では、熱分解ワックス、熱分解ガス、熱分解チャー、又は合成ガスを原料としてクラッカーユニットに供給することができる。
【0061】
クラッカーユニットは、飽和炭化水素を、より小さい、しばしば不飽和の炭化水素に分解する蒸気クラッカーを含むことができる。蒸気クラッカーは、ナフサ、液化石油ガス(LPG)、エタン、プロパン、又はブタンなどの化石原料及び/又は非化石原料が、より軽質の炭化水素を生成するために蒸気熱分解炉又は電気炉で蒸気を使用することによって熱分解される設備である。
【0062】
クラッカーユニットの出力流出物は、軽質オレフィン、C4生成物、及びC5、C6、C7、C8、C9、C10生成物又は混合物などの重質クラッカー生成物を含む再生された及び/又はバイオ系の内容物流出物であり得る。リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物の熱分解された流出物は、分離トレインで分離され得る。リサイクルされた又はバイオ系の内容物流出物は、熱分解された流出物のリサイクルされた又はバイオ系の内容物から、リサイクルされた又はバイオ系の内容物を含む異なる画分に分離することができる。
【0063】
軽質オレフィン留分は、エチレン及びプロピレンを含み得る。エチレンは、ポリエチレン、塩化エチレン及びエチレンオキシドを生産するために使用され得る。ポリエチレン、塩化エチレン又はエチレンオキシドは、化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される化学中間体であり得る。ポリエチレン、塩化エチレン又はエチレンオキシドは、化学品生産ネットワークを出る化学製品であり得る。ポリエチレン、塩化エチレン又はエチレンオキシドは、最終製品としての包装を生産するために、プラスチック加工のために、又は建設及び繊維生産における最終製品を生産するために使用され得る。プロピレンは、ポリプロピレン、プロピレンオキシド、アクリル酸、又は他の化学誘導体を生産するために使用され得る。プロピレン及びその誘導体は、化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される化学中間体であり得る。プロピレン及びその誘導体は、化学品生産ネットワークから出る化学製品であり得る。プロピレン及びその誘導体は、最終製品として包装を生産するために、最終製品として家具を生産するために、又は自動車生産において最終製品を生産するために使用され得る。
【0064】
C4留分は、ブタジエン及びイソブテンが抽出され得るC4オレフィンを含むガス混合物を含み得る。ブテンとブタンの混合物である残留物は、化学品生産ネットワークの更なる生産プロセスのための化学中間体として使用され得る。ブタジエン及びその誘導体は、化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される化学中間体であり得る。ブタジエン及びその誘導体は、化学品生産ネットワークを出る化学製品であり得る。ブタジエン及びその誘導体は、タイヤ、紙、プラスチック、ゴム、石油、潤滑油、又は香水などの最終製品を生産するために使用され得る。イソブテン(イソブチレン)及びその誘導体は、化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される化学中間体であり得る。イソブテン(イソブチレン)及びその誘導体は、化学品生産ネットワークを出る化学製品であり得る。ブチルゴムの生産のために、及びタイヤ、紙、プラスチック、ゴム、石油、潤滑油、又は香水などの最終製品のためのポリイソブチレンのために、イソブテン(イソブチレン)及びその誘導体を使用することができる。
【0065】
重質クラッカー画分は、5~12個の炭化水素原子(例えば、C5非芳香族化合物、C7/C8混合物、C9)を含み得る。C5非芳香族化合物は、シクロペンタン-及びn/i-ペンタン混合物などの更なる化学中間体又は化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される化学中間体であり得る。水素化又は水素化されていないC9留分、C7/8混合物又はキシロール混合物は、高級ガソリンの混合成分として使用されるか、又はベンゼンの生産に使用される炭化水素樹脂などの更なる化学中間体を生産するために使用される化学中間体であり得る。
【0066】
エチレン生産からの熱分解油のような残渣は、化学工業における補助材料として、ナフタレン及びインデンの蒸留のための原料として、カーボンブラックの生産のための化学中間体として使用され得る。
【0067】
熱分解された流出物のリサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物に基づいて、熱分解された流出物からの画分及びそのような流出物の任意の成分から生成された任意の化学製品は、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物を含み得る。例えば、軽質オレフィン留分は、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物を含有し得る。更に、例えば、エチレン又はプロピレン画分は、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物を含有し得る。更に、例えば、エチレン又はプロピレン画分から生産された化学製品は、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物を含有し得る。このようにして、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物は、生産された化学中間体、化学製品、又は最終製品に含まれ得る。図2に示すように、「r-エチレン」(リサイクルされた内容物エチレン)は、(a)熱分解油を含むクラッカー供給物の熱分解から得られるエチレン、又は(b)エチレンの少なくとも一部に起因するリサイクルされた内容物値を有するエチレンを含む組成物であり得る。同様に、「r-プロピレン」(リサイクルされた内容物プロピレン)は、(a)熱分解油を含有するクラッカー供給物の熱分解から得られるプロピレン、又は(b)プロピレンの少なくとも一部に起因するリサイクルされた内容物値を有するプロピレンを含む組成物であり得る。r-エチレン及びr-プロピレンの両方は、r-オレフィン(再生された内容物オレフィン)という用語でまとめることができる。
【0068】
図2aは、熱分解ステップを含む化学品生産ネットワークのシステム境界の実施形態を示す。廃棄物ストリームは、化学品生産ネットワークへの入口点を形成する。化学最終製品は、化学品生産ネットワークからの出口点を形成する。図2bは、熱分解ステップを除外した、化学品生産ネットワークのシステム境界の別の実施形態を示す。熱分解油及び化石原料は、化学品生産ネットワークへの入口点を形成する。化学最終製品は、化学品生産ネットワークからの出口点を形成する。図2cは、熱分解ステップ及びクラッキングステップを除外した、化学品生産ネットワークのシステム境界の別の実施形態を示す。熱分解油から少なくとも部分的に生成されたクラッカー流出物は、化学品生産ネットワークへの入口点を形成する。化学最終製品は、化学品生産ネットワークからの出口点を形成する。図2a~図2cに示されている化学品生産ネットワーク及びシステム境界は、例であり、限定と見なされるべきではない。
【0069】
図2a~図2cに示す例では、リサイクルされた及び/又はバイオ系の内容物は、それぞれの入力材料の環境属性であってもよい。図2aでは、廃棄物ストリームは、熱分解ユニットを含む化学品生産ネットワークへの入力材料である。このような廃棄物ストリームに関連する環境属性は、リサイクルされたものなどの環境属性タイプ、及び混合プラスチック廃棄物などの廃棄物タイプを含むことができる。環境属性は、廃棄物ストリームの進入時に化学品生産ネットワークを通る材料流から分離されてもよい。環境属性は、それぞれの環境属性に関連付けられた平衡化アカウントに割り当てられてもよい。図2bでは、熱分解油は、熱分解ユニットを除く化学品生産ネットワークへの入力材料である。このような熱分解油に関連する環境属性は、リサイクルされたことなどの環境属性タイプ、熱分解油などの材料タイプ、及び混合プラスチック廃棄物などの廃棄物タイプを含むことができる。環境属性は、熱分解油が化学品生産ネットワークに入ると、化学品生産ネットワークを通る材料の流れから分離され得る。環境属性は、それぞれの環境属性に関連付けられた平衡化アカウントに割り当てられてもよい。図2bでは、熱分解油から生成された熱分解流出物は、熱分解ユニット及びクラッカーユニットを除く化学品生産ネットワークへの入力材料である。このような流出物に関連する環境属性は、リサイクルされたことなどの環境属性タイプ、熱分解油から生成された流出物などの材料タイプ、及び混合プラスチック廃棄物などの廃棄物タイプを含むことができる。環境属性は、熱分解流出物が化学品生産ネットワークに入ると、化学品生産ネットワークを通る材料流から分離され得る。環境属性は、それぞれの環境属性に関連付けられた平衡化アカウントに割り当てられてもよい。環境属性を化学品生産ネットワークの材料の流れから分離することによって、化学品生産ネットワークによって生産された化学製品への環境属性の信頼性の高い簡単な割り当てを実現することができる。平衡化アカウントによって、環境属性は、化学品生産ネットワークへの進入時に収集することができる。化学製品の退出時に、入口で収集された環境属性は、そのような製品に割り当てられ、平衡化アカウントから割り当て解除され得る。したがって、1)化学品生産ネットワークに入った化学製品には環境属性のみが割り当てられ、2)別の化学製品にはまだ割り当てられていないことが保証され得る。その結果、プラスの環境影響は1回だけカウントされ、化学品生産ネットワークの入口から出口まで追跡することができる。
【0070】
この実施例の文脈では、熱分解ユニットとそれに続く蒸気クラッカーユニットが示されている。これは限定と見なされるべきではない。本明細書に開示される概念は、合成ガスの植物ベースの価値/生産チェーンなどの同等の化学的価値/生産チェーンにも等しく適用される。
【0071】
図3a~図3cは、再生可能又はバイオ系の入力材料の使用を化学品生産ネットワークの化学製品に割り当てる割り当てスキームの例を示す。
【0072】
図1及び図2に示すように、化学品生産ネットワークは、化学処理によって1つ以上の入力材料を1つ以上の化学製品に化学的に変換する複雑な相互接続された生産現場を含むことができる。化学製品生産におけるリサイクルされた又は再生可能な内容物の使用を考慮するために、割り当てルールを使用することができる。このようにして、入力材料のリサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の内容物を化学製品に割り当てることができる。再生可能な内容物は、再生可能資源からの入力材料に基づいてもよい。再生可能な内容物は、異なる種類の作物、木材、又は藻類などの生物から生産されたバイオ系の入力材料を含み得る。リサイクルされた内容物は、新しい材料の生産に使用される任意のリサイクルされた材料を含み得る。これは、例えば、化学的又は機械的なリサイクルから生成されるような、任意のリサイクルされたバイオ系の又はバイオ系の材料を含み得る。
【0073】
リサイクルされた又は再生可能な内容物の使用を割り当てるためのアカウンティング原則は、例えば、ISO22095に定義されている。4つの異なる管理チェーンモデル、すなわち、識別情報保存(Identity Preserved)モデル、分離(segregated)モデル、マスバランス(mass balance)モデル、又はブック及びクレーム(book and claim)モデルを使用することができる。
【0074】
図3aは、専用又は分離された生産ネットワークの一例を示す。生産ネットワークは、化石材料から化学製品を生産するための第1の生産チェーンと、バイオ系の入力材料から化学製品を生産するための第2の生産チェーンとを含む。第1及び第2の生産チェーンは相互接続されていない。第1及び第2の生産チェーンは、それぞれ化石系及びバイオ系又はリサイクルされた化学製品を生産する。そのような専用の生産環境の例としては、サトウキビからのポリエチレン生産、トウモロコシからのバイオポリ乳酸(PLA)生産、バイオコハク酸、又はバイオブタンジオール(BDO)などの発酵又は化学変換が挙げられる。
【0075】
図3bは、複雑な生産ネットワークの一例を示す。図3aの生産ネットワークとは対照的に、化石系入力材料は、バイオ系又はリサイクルされた入力材料と共に供給され混合される。生産ネットワークは、中間体を有する1つ以上の化学プロセスチェーンを介して1つ以上の材料出力物又は製品を生産する。簡単にするために、図3bは、1つの化学製品又は製品を生産する1つの化学プロセスチェーンの質量平衡化手法を示す。質量平衡化モデルでは、バイオ系又はリサイクルされた入力材料と従来の化石入力材料との物理的混合又は共供給が考慮される。ここで、生産ネットワークへの供給及び出力製品の供給は、システム境界を形成する。入力及び化学製品のマスバランスは、使用済みのバイオ系又はリサイクルされた入力材料を生成された出力製品に接続する。マスバランスは、生産ネットワーク全体を通して入力材料(e.g.再生された、又はバイオ系の、又はバイオ系の材料)の総量を追跡することを可能にし、化学製品への割り当てを可能にする。指定された特性の異なるセットを有する材料を混合することができる。例えば、リサイクルされた又はバイオ系の原料は、バリューチェーンの開始時に等量の化石原料(入力材料)と置き換わり、入力と排出が一致するように製品(化学製品)に割り当てられる。このモデルでは、指定された特性を有する入力の割合は、平均して初期割合にのみ一致し、通常は異なる出力にわたって変化する。これは、例えば、リサイクルされた入力材料と化石入力材料が混合され、各化学製品の化学的又は技術的割合が追跡されないことを意味する。
【0076】
マスバランスは、入力材料の量が化学製品の量と相関することを確実にするための変換係数を含むことができる。計算は、所定の又は指定された期間にわたって行われてもよい。マスバランスは、質量、エネルギー、又は炭素などの平衡化ユニットに基づくことができる。
【0077】
図3cは、ブック&クレーム(book and claim)スキームに関連する複雑な生産ネットワークを示す。ブック&クレームスキームでは、特徴的な再生可能な又はリサイクルされた入力材料は、実際の材料の流れに関連していない。ブック&クレームは、再生可能などの特定の特性を物理的製品から分離し、デジタル資産の形態の専用レジストリを介して特性を別々に転送することを可能にする。このアプローチは、再生可能エネルギーに使用することができる。ブック&クレームは、電気のキロワット時などのブック&クレームに基づくことができる。
【0078】
図3aに示すような保存モデル又は分離アプローチを特定する際に、再生可能な、リサイクルされた、又はバイオ系の入力材料は、化石入力材料と混合されなくてもよい。図3b及び図3cに示されるマスバランス又はブック&クレーム手法では、再生可能な材料又はリサイクルされた材料又はバイオ系材料と化石入力材料とを混合してもよい。より持続可能な化学生産のための様々な供給源の数及び割り当てスキームの数の増加を考慮すると、化学品生産ネットワークのような複雑な生産ネットワークを運用するための効率的で堅牢な運用システムが必要とされる。
【0079】
図4は、割り当てスキームが異なる化学品生産ネットワークの一例を示す図である。
【0080】
化学品生産ネットワークは、異なる割り当てスキームを有する複数の生産チェーンを含むことができる。化学品生産ネットワークのシステム境界は、化学品生産ネットワークへの入口点及び化学品生産ネットワークからの出口点によって定義され得る。生産チェーンは、そのような生産チェーンを介して生産された化学製品によって定義され得る。生産チェーンロジックは、入力材料から化学製品までのプロセスステップに関連するプロセスデータに基づくことができる。各生産チェーンに対して、割り当てスキームが適用可能又は割り当てられ得る。
【0081】
図5a及び図5bは、化学品生産ネットワークのための環境属性のインバウンド及びアウトバウンド割り当てを示す。
【0082】
図5aは、化学品生産ネットワークのインバウンド割り当てプロセスの一例を示す。
【0083】
例えば、図1に示すように、化学品生産ネットワークは、インバウンド環境属性を登録し、アウトバウンド環境属性を割り当て、及び/又は割り当てルールを介してインバウンド登録及びアウトバウンド割り当てを管理するように構成されたオペレーティングシステムによって動作させることができる。割り当てルールは、図3a~図3cに示されているような割り当てスキームを含み得る。化学品生産ネットワークは、例えば図2又は図4との関連で説明したネットワークを含むことができる。
【0084】
化学品生産ネットワーク又は化学品生産ネットワークの物理システム境界に入る入力材料に対して、インバウンド登録又は割り当てが行われる。これに関連して、入力材料は、化学品生産ネットワークのシステム境界に入り、化学品生産ネットワークを出る化学製品を生産するために使用される任意の材料を意味する。そのような入力材料は、入力材料識別子と関連付けられてもよい。可能な識別子は、非中央集権型識別子、入力材料仕様、入力材料順序番号、入力材料LOT番号、入力材料バッチ番号、入力材料供給者仕様、又はそれらの組み合わせを含む。
【0085】
化学品生産ネットワークへの入力材料の入力時に、入力材料データを提供することができる。入力材料データは、入力材料識別子、入力材料量及び/又は入力材料に関連付けられた1つ以上の環境属性を含んでもよい。
【0086】
入力材料データ、特に入力材料量及び/又は入力材料に関連する1つ以上の環境属性に基づいて、入力材料量をそれぞれの環境属性の平衡化ユニットに変換することによって平衡化ユニットを決定することができる。平衡化ユニットは、質量、重量、炭素原子、水素原子、メタン当量、エネルギー特性、又は環境属性の環境影響を定量化するための任意の他の適切な尺度に関連し得る。
【0087】
平衡化ユニットは、それぞれの環境属性に関連付けられた平衡化アカウントに割り当てられてもよい。このようにして、化学品生産ネットワークに入る入力材料に関連する環境属性を追跡又はアカウンティングシステムに格納することができる。仮想アカウンティングシステムの一例が図11a~図11cに示され、この場合、各平衡化アカウントは、熱分解油などの入力材料、リサイクルなどの環境属性タイプ、及びタイヤなどの廃棄物タイプを示すメタデータに関連付けられている。
【0088】
割り当てのために、入力材料データは、入力材料についてのそれぞれのメタデータを含むことができる。割り当てルールは、入力材料データに含まれる環境属性をそれぞれの平衡化アカウントに割り当てるための命令を含むことができる。インバウンドプロセスでは、そのような割り当てルールを使用して、入力材料データから仮想アカウンティングシステムに環境属性を割り当てることができる。
【0089】
例えば、平衡化ユニットを割り当てるための方法は、複雑な化学品生産ネットワークへの入力材料としての熱分解油に関連付けられてもよい。
【0090】
第1に、廃棄物ストリームの量及びタイプは、環境属性を割り当てるように構成されたコンピューティングインタフェースに提供され得る。廃棄物ストリームの量及びタイプは、熱分解プラント及びプラントによって生成された熱分解油に関連して貯蔵することができる。例えば、熱分解油生産者は、複数のプラントを運転することができ、プラントに供給される廃棄物ストリームの量及びタイプを追跡することができる。廃棄物は、廃棄物のタイプに応じて別々に熱分解プラントに供給されてもよく、又は廃棄物が混合されてもよい。このような追跡に基づいて、熱分解油の量及び廃棄物ストリームのタイプを、生成された熱分解油に割り当てることができる。
【0091】
熱分解油の量及び廃棄物ストリームのタイプは、複雑な化学品生産ネットワークのオペレーティングシステムに提供されてもよい。熱分解油の量に基づいて、平衡化ユニットが生成され得る。そのような生成は、ナフサ及びメタンなどの化石系入力材料と、熱分解油などの非化石系入力材料との間の化学差を考慮した変換係数を含むことができる。変換係数は、ナフサ又はメタンのより低い発熱量に関連して、熱分解油のより低い発熱量に関連し得る。変換係数は、ナフサ又はメタンに対する熱分解油の低い発熱量の比を含み得る。このようにして、化石由来とリサイクルされた入力材料との間の化学的差異を考慮に入れることができる。
【0092】
平衡化ユニットは、それぞれの平衡化アカウントに割り当てられ得る。例えば、割り当てルールは、図11aの平衡化アカウント1に関連付けられてもよい。そのような場合、廃棄物ストリームタイプタイヤの廃棄物から生成され、生産ネットワークにおいて指定量で使用される熱分解油のための平衡化ユニットは、平衡化アカウント1に割り当てられる。化学製品の生産時に、そのような平衡化ユニットは、割り当てルールに従って化学製品に割り当てられてもよい。化学品生産ネットワークの生産プロセス間の自由な属性を指定する割り当てルールは、複雑な生産ネットワークにおける信頼できる割り当てを提供することができる。そのような場合、平衡化ユニットの割り当ては、化学品生産ネットワークの材料の流れから切り離されてもよい。
【0093】
図5bは、化学品生産ネットワークのためのアウトバウンド割り当てプロセスの一例を示す。
【0094】
例えば、図1に示すように、化学品生産ネットワークは、インバウンド環境属性を登録し、アウトバウンド環境属性を割り当て、及び/又は割り当てルールを介してインバウンド登録及びアウトバウンド割り当てを管理するように構成されたオペレーティングシステムによって動作させることができる。割り当てルールは、図3a~図3cに示されているような割り当てスキームを含み得る。化学品生産ネットワークは、図2又は図4との関連で説明したネットワークを含むことができる。
【0095】
化学製品は、化学品生産ネットワークに入った入力材料から生産することができる。化学製品識別子を含む化学製品データが提供されてもよい。化学製品データは、化学製品を生産するために使用される入力材料に関連する入力材料データ、化学製品を生産するための生産チェーンに関連するプロセスデータ、及び/又は化学製品仕様もしくは化学製品量などの化学製品データに関連するデータを更に含むことができる。
【0096】
入力材料データに基づいて、化学製品を生産するために使用される入力材料に関連する環境属性を決定することができる。入力材料データは、化学製品の量を生産するために生産チェーンに入った入力材料の総量を指定することができる。入力材料データは、それぞれの入力材料に利用可能な環境属性を更に指定することができる。入力材料の総量から、そのような入力材料に利用可能な環境属性ごとの平衡化ユニットの数を決定することができる。このようにして、化学製品に起因するそれぞれの環境属性に対する平衡化ユニットの最大数を決定することができる。
【0097】
化学製品に起因する環境属性に基づいて、決定された環境属性に対応する平衡化ユニットの数を決定することができる。決定された平衡化ユニットは、それぞれの環境属性の平衡化アカウントに格納された平衡化ユニットと比較することができる。
【0098】
それぞれの環境属性のそれぞれの平衡化アカウントのバランスが十分でない場合、環境属性は拒否される。平衡化ユニットが利用可能である場合、平衡化ユニットはそれぞれの平衡化アカウントから差し引かれ、環境属性は化学製品に割り当てられる。
【0099】
アカウンティングシステムの一例が図11a~図11に示され、この場合、各平衡化アカウントは、熱分解油などの入力材料、リサイクルされたことなどの環境属性タイプ、及びタイヤなどの廃棄物ストリームタイプを示すメタデータに関連付けられている。環境属性を化学製品に割り当てるために、割り当てルールを定義することができる。割り当てルールは、それぞれの平衡化アカウントからの入力材料データに含まれる環境属性を化学製品に割り当てるための命令を含むことができる。アウトバウンドプロセスでは、そのような割り当てルールを使用して、平衡化システムから化学製品に環境属性を割り当てることができる。
【0100】
図6は、化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てる方法の一例を示す。
【0101】
1つ以上の入力材料は、化学品生産ネットワークの入口点に提供されてもよい。1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性に関連する材料データは、環境属性の割り当て及び/又は割り当てのために構成されたコンピューティングインタフェースに提供されてもよい。材料データは、化学品生産ネットワークへの1つ以上の入力材料の入力時、入力前又は入力後に提供することができる。材料データは、化学品生産ネットワークに提供されたそれぞれの入力材料に関連する入力材料識別子を含むことができる。入力材料識別子は、入力材料の物理的実体と関連付けられてもよい。このようにして、入力材料の仮想識別子は、物理的な入力材料にただ一つリンクされ得る。そのようなリンクは、物理的入力材料にただ一つ関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、材料に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。材料データは、それぞれの入力材料に関連付けられた少なくとも1つの環境属性と、化学品生産ネットワークの入口点に提供された入力材料の量とを含むことができる。
【0102】
1つ以上の環境属性は、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てることができる。平衡化アカウントは、環境属性に関連するデータを記憶するデジタル記憶構造に関連付けることができる。アカウントは、アカウントを識別するメタデータに関連付けられ得る。アカウントは、アカウントに割り当てられた環境属性及び環境ユニット又は平衡化ユニットを識別するメタデータに関連付けることができる。アカウントは、アカウントが関連付けられている生産チェーンを識別するメタデータに関連付けられてもよい。アカウントは、アカウントが関連付けられている入力又は化学製品を識別するメタデータに関連付けられ得る。アカウントは、複数のアカウントを含む仮想アカウンティングシステムの一部であってもよい。アカウントは、取引のための環境属性を保持することができる。環境属性は、アカウントから割り当てられ、追加され、削除され、引き出され、割り当て解除され、又は差し引かれ得る。例えば図11cに示すような平衡化アカウントは、リサイクルされた又は再生可能などの環境属性タイプに関連付けられてもよい。平衡化アカウントは、熱分解油、バイオナフサ、バイオメタンなどの入力材料タイプに関連付けることができる。リサイクルされた環境属性タイプに関連付けられた平衡化アカウントは、混合されたプラスチック廃棄物、特定の最終製品廃棄物、例えばタイヤ廃棄物又は発泡廃棄物、消費後廃棄物、消費前廃棄物などの廃棄物ストリームタイプに更に関連付けられ得る。平衡化アカウントは、分離割り当て、例えばブック&クレーム(book and claim)などの非分離割り当て、自由な属性を伴うマスバランス、自由な属性を伴わないマスバランス、又はそれらの組み合わせなどの割り当てスキームに関連付けることができる。
【0103】
化学品生産ネットワークによって生産され、化学品生産ネットワークからの出口点に設けられた化学製品に関連する化学製品識別子を提供することができる。化学製品識別子は、化学製品の物理的実体に関連付けられ得る。このようにして、材料の仮想識別子は、物理的材料に一意的に(uniquely)リンクされ得る。そのようなリンクは、物理的材料と一意的に(uniquely)関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、材料に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。
【0104】
それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性は、少なくとも1つの化学製品識別子に割り当てられ得る。このようにして、化学製品を環境属性のデジタル資産と共に提供することができ、化学製品に関連するプラスの環境影響を、そのような化学製品を使用してバリューチェーンを通して追跡することができる。追跡は、化学製品から生成された最終製品、最終製品の再使用、又は最終製品のリサイクルまで拡張することができる。
【0105】
図7は、インバウンド時に平衡化アカウントに変換して割り当てるための例示的な方法を含む、1つ以上の環境属性に関連付けられた少なくとも1つの化学製品を生産するための装置の一例を示す。
【0106】
熱分解油、バイオナフサ又はバイオガスなどの入力材料は、化学品生産ネットワークに提供されてもよい。入力材料は、蒸気クラッカー又は合成ガスプラントなどの入口点で化学品生産ネットワークのシステム境界に入ることができる。入力材料は、入力材料から1つ以上の化学製品を生産するために化学品生産ネットワークで使用することができる。化学製品は、化学品生産ネットワークの出口点に提供されてもよい。化学製品は、MDI、TDI、PA6、EPS、PC、ポリオール、カプロラクタム、アジピン酸、HMD、ポリアミドであり得る。
【0107】
入力された材料入力材料データは、ネットワークを介してオペレーティングシステムのインタフェースに提供されてもよい。データプロバイダは、環境属性を割り当てるように構成されたコンピューティングインタフェースに、1つ以上の入力材料及びそれぞれの環境属性に関連する材料データを提供するように構成され得る。材料データは、化学品生産ネットワークへの入口点で1つ以上の入力材料を提供する前又は後に提供することができる。入力材料識別子は、化学品生産ネットワークに入る入力材料の物理的実体と関連付けられてもよい。
【0108】
入力材料識別子に関連するデータは、それぞれの入力材料に関連付けられた環境属性、入力材料の量、及び環境属性を証明する証明書を含み得る。入力材料の量は、プラントに供給される入力材料の測定された量、又は入力材料から1つ以上の化学製品を生産するための化学品生産ネットワークの貯蔵であってもよい。それぞれの入力材料に関連する入力材料識別子、それぞれの入力材料に関連する環境属性、及び化学品生産ネットワークに提供される入力材料の量を提供することができる。そのようなデータは、システム境界への進入時に通信ネットワークを介して提供されてもよく、又はデータは、コンピューティングシステムからオペレーティングシステムに転送されてもよい。
【0109】
インバウンドアロケータは、1つ以上の環境属性を変換し、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるように構成され得る。割り当てのために、1つ以上の環境属性を平衡化ユニットに変換することができ、平衡化ユニットを平衡化アカウントに割り当てることができる。1つ以上の平衡化ユニットは、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てることができる。変換は、質量、重量、炭素原子、水素原子、メタン当量、又は環境属性の環境影響を定量化するための任意の他の適切な尺度などの変換係数に基づくことができる。平衡化ユニット及び変換を使用することにより、入力材料の環境属性が化学製品への割り当てのために1回だけ使用されることを保証することができる。このようにして、入力又は出力の二重カウントが回避され、正の環境影響を化学製品に割り当てることができる。
【0110】
1つ以上の化学製品の化学生産に使用されるリサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の内容物は、平衡化ユニットに変換され、そのような内容物を追跡するために平衡化アカウントに割り当てられ得る。リサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の内容物の変換のために、入力材料に関連し、環境属性を含む入力材料データを提供することができる。入力材料データは、リサイクルされた又はバイオ系の入力材料などの化学品生産ネットワークによって生産された化学製品の環境特性に影響を与える入力材料に関連し得る。入力材料データは、化学品生産ネットワークによって生産された化学製品の環境特性に影響を与える入力材料の量に関連し得る。量は、絶対値として、例えば、kt/aなどの指定された時間フレーム当たりのktで提供され得る。量は、例えば、入力材料の%で相対値として提供されてもよい。
【0111】
入力材料データは、化学品生産ネットワークの少なくとも1つの環境特性に影響を与える入力材料のエネルギー値に関連してもよく、又はエネルギー値はデータベースを介して提供されてもよい。入力材料データは、化学製品生産によって生産された化学製品の少なくとも1つの環境特性に影響を与える入力材料の利用可能性を示すことができる。一例として、入力材料データは、
入力材料1クラッカー:バイオナフサ
入力材料量:x%
入力材料:x kt入力材料LHV:xMJ/kg
入力材料2クラッカー:熱分解油
入力材料量:x%
入力材料:xkt
入力材料LHV:xMJ/kg
を含むことができる。
【0112】
1つ以上の環境属性は、1つ以上の平衡化ユニットへ変換することができる。上記の例では、入力材料1に関連付けられた環境属性はバイオ系であってもよく、入力材料2に関連付けられた環境属性はリサイクルされてもよい。環境属性の平衡化ユニットへの変換は、従来の入力材料を1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料に関連付ける変換係数に基づくことができる。上記の例では、変換係数は、従来のナフサ系からバイオナフサ又は熱分解油に関連し得る。変換係数は、従来の入力材料の使用から、例えば質量又はエネルギー特性を介して、1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の使用に関連し得る。したがって、変換係数は、従来の入力材料から化学製品を生産することと、非従来の入力材料から化学製品を生産することとの差、又は従来の入力材料と非従来の入力材料との混合物から化学製品を生産することとの差を考慮に入れることができる。変換係数は、従来の及び非従来の入力材料の化学的及び/又は物理的特性の違いに関連し得る。
【0113】
化学品生産ネットワークでは、複数のバリューチェーンがリンクされ得る。更に、化学品生産ネットワークによって生産された化学製品の環境特性に影響を与える異なる入力材料を使用することができる。連続的又は半連続的な生産における化学品の処理及び化学品生産ネットワークの複雑さのために、ネットワークを通じた入力材料のトレーサビリティ(追跡可能性)が妨げられる可能性がある。そのようなシナリオでは、化学品生産ネットワークによって生産された化学製品の環境特性に影響を与える等量の入力材料を、平衡化アカウントに割り当て、化学品生産ネットワークの1つ以上の化学製品に割り当てることができる。このようにして、少なくとも1つの環境属性に関連する特定の入力材料は、等量の化石入力材料を置き換えることができ、仮想アカウントに割り当てられるか、又は1つ以上の化学製品に割り当てられることができる。したがって、環境属性は、化学品生産ネットワーク内の物理的材料の流れから切り離されてもよい。分離は、1つ以上の化学製品に割り当てられた等量が入力材料によって提供される等量を超え得ないという点で、マスバランスモデルに基づいてもよい。1つの環境属性タイプの仮想アカウントに等量が割り当てられている場合、1つの環境属性タイプの別の仮想アカウントに2回目の割り当てを行わなくてもよい。環境属性タイプは、リサイクルでもよく、バイオ系、再生可能などであってもよい。
【0114】
そのような入力材料から生産された化学製品の少なくとも1つの環境特性に影響を与える入力材料の最も一般的な例は、リサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の入力材料である。これらは、エチレン(又はエチレン)及びプロペン(又はプロピレン)を含むオレフィンなどのより軽質のアルケンを生産するために、飽和炭化水素をより小さい、多くの場合不飽和の炭化水素に分解する蒸気クラッカーなどのクラッカーのための原料として使用され得る。
【0115】
リサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の入力材料は、それらの化石対応物と同じ化学的特性を有し得る。それらは完全に交換可能であってもよく、例えばナフサ又は天然ガスの入力材料量は、環境属性タイプに関連する入力材料の量で置き換えられてもよい。例えば、ナフサは一般に約44.3MJ/kgのより低い発熱量(LHV)で引用されており、バイオナフサは一般に同様のLHVで引用されている。そのようなシナリオでは、エネルギーベースの平衡化ユニットは約1であってもよく、これは1つの単位ナフサが1つの単位バイオナフサに対応することを意味する。環境属性に関連付けられた入力材料の等量は、1対1に対応して割り当てられてもよい。
【0116】
しかしながら、一部のリサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の入力材料は、置換される化石原料とは異なる炭素含有量、エネルギー値、又は他の化学的特性を有し得る。これは、化石原料の量と比較して、リサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の入力材料に対するより高い又はより低い要求をもたらし得る。そのような状況では、同等の量のリサイクルされた、再生可能な、又はバイオ系の入力材料は、1対1の対応に結び付けられない場合がある。例えば、化学的特性の近似値としての化石原料及びバイオ原料のより低い発熱量(LHV)に基づく変換係数を使用することができる。バイオメタンは、50MJ/kgのLHVとともに一般的に言及されている。そのようなシナリオでは、平衡化ユニットは約0.88であってもよく、これは一単位ナフサが0.88単位バイオナフサに対応することを意味する。したがって、このシナリオでは、少なくとも1つの環境特性に関連付けられた等量の入力材料を、0.88の変換係数に従って割り当てることができる。
【0117】
従来の入力材料ユニットから平衡化ユニット又は化学生産からの1つ以上の化学製品に割り当て可能な同等物への変換係数を決定するための様々な手法が存在する。変換は、
- 入力材料の質量、メタン等の分子単位の質量当量、又は分子量等の質量、
- 1つ以上の元素又は分子単位の数又はモルなどの要素、又は
- より低い又はより高い発熱量のような発熱量などのエネルギー特性、
に依存し得る。
【0118】
平衡化ユニットによって、入力材料に関連付けられた環境属性は、それぞれの環境属性に関連付けられた平衡化アカウントに割り当てられてもよい。割り当てのために、環境属性を平衡化アカウントにマッピングする割り当てルールが提供されてもよい。割り当てルールは、入力材料タイプ及び環境属性タイプに依存し得る。なお、割り当てルールは、入力材料タイプや環境属性タイプに関するメタデータとリンクされていてもよい。同様に、平衡化アカウントは、入力材料タイプ及び環境属性タイプに関連するメタデータにリンクされてもよい。入力材料タイプ及び環境属性タイプに基づいて、それぞれのメタデータの平衡化アカウントを照合することができ、入力材料アカウントを割り当てのために選択することができる。
【0119】
平衡化ユニットは、選択された平衡化アカウントに割り当てられてもよい。例えば、割り当てルールは、熱分解油のアカウントに関連付けられてもよい。化学製品の生産時に、対応する平衡化ユニットを化学製品に割り当てることができる。割り当てルールは、化学製品への平衡化ユニットの割り当てを指定することができる。
【0120】
図8は、アウトバウンド時に化学製品に割り当てる例示的な方法を含む、1つ以上の環境属性に関連付けられた少なくとも1つの化学製品を生産するための装置の一例を示す図である。
【0121】
図7と同様に、熱分解油、バイオナフサ又はバイオガスなどの入力材料は、化学品生産ネットワークに提供されてもよい。入力材料は、蒸気クラッカー又は合成ガスプラントなどの入口点で化学品生産ネットワークのシステム境界に入ることができる。入力材料は、入力材料から1つ以上の化学製品を生産するために化学品生産ネットワークで使用することができる。化学製品は、化学品生産ネットワークの出口点に提供されてもよい。化学製品は、MDI、TDI、PA6、EPS、PC、ポリオール、カプロラクタム、アジピン酸、HMD、ポリアミドであり得る。
【0122】
図7と同様に、1つ以上の環境属性は、インバウンド時に変換され、平衡化アカウントに割り当てられ得る。
【0123】
識別子プロバイダは、化学品生産ネットワークによって生産され、化学品生産ネットワークからの出口点で提供される化学製品に関連する化学製品識別子を提供するように構成され得る。化学製品は、化学ネットワークによって生産された任意の化学製品であってもよい。
【0124】
アウトバウンドアサイナは、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品識別子に割り当てるように構成され得る。1つ以上の環境属性が、少なくとも1つの化学製品に割り当てられてもよい。割り当ては、1つ以上の平衡化ユニットを1つ以上の環境属性に変換することを含むことができ、1つ以上の平衡化ユニットは、それぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントから割り当て解除される。
【0125】
少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品に割り当てることは、1つ以上の平衡化ユニットを1つ以上の環境属性に変換することを含むことができ、1つ以上の平衡化ユニットは、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから割り当て解除される。少なくとも1つの環境属性を少なくとも1つの化学製品に割り当てることは、生産された化学製品に関連する化学製品識別子を提供することと、環境属性を化学製品に割り当てることとを含むことができる。入力材料に関連付けられた少なくとも1つの環境属性を化学製品に割り当てることは、化学製品識別子を環境属性とリンクすることを含むことができる。化学製品識別子は、化学製品の物理的実体に関連付けられ得る。このようにして、材料の仮想識別子は、物理的材料に一意的にリンクされ得る。そのようなリンクは、物理的材料と一意的に関連付けられた識別子の物理的又は仮想的なリンクを含むことができる。物理的にリンクするために、タグ又はコードは、例えば、QRコードをパッケージに印刷することによって、材料に物理的に接続されてもよい。仮想的にリンクするために、物理的材料に関連付けられた異なる識別子がリンクされてもよい。例えば、注文番号、バッチ番号、LOT番号、又はそれらの組み合わせがリンクされてもよい。
【0126】
例示の目的のために、また、図6図8に示されている方法を更に説明するために、図9は、入力材料から異なる中間体を介して化学品生産ネットワークによって生産された化学製品の例を示す。
【0127】
化学品生産ネットワークは、1つ以上の中間段階を有する複数の生産チェーンを含むことができる。生産チェーンは、例えば蒸気クラッカーによって提供されるように、1つの共通の開始点を有することができる。クラッカー原料は、化石及び非化石入力材料を含み得る。化石入力材料は、ナフサ及び/又は低圧ガス又はエタンなどの気体又は液体炭化水素含有原料を含んでもよい。非化石入力材料は、バイオ系及び/又はリサイクルされた原料を含んでもよい。
【0128】
水蒸気熱分解においては、原料を水蒸気で希釈し、炉内で500~1000℃の反応温度に加熱する。熱分解後、ガスを急冷して、移送ライン交換器内で反応を停止させる。反応で生成されるクラッカー生成物は、供給原料の組成、炭化水素対蒸気比、並びに熱分解温度及び炉の滞留時間に依存する。図9に示す例では、クラッカー生成物は、エチレン又はプロピレンなどの軽質アルケン、イソブテン、N-ブテン、ブタジエン又はシクロブタンなどのC4-炭化水素、及び/又は芳香族炭化水素などの他の炭化水素、又はベンゼン、トルエン及び/又はキシレン(BTともよばれるベンゼン及びトルエン;BTXとも略されるベンゼン、トルエン及びキシレン)などの芳香族炭化水素の混合物を含む。
【0129】
クラッカー生成物は、化学品生産ネットワークの出口点に提供されてもよい。クラッカー生成物は、そのような実施形態では化学製品であってもよい。リサイクルされた又はバイオ系の入力材料の環境属性は、そのような化学製品に割り当てられ得る。
【0130】
化学品生産ネットワークは、クラッカー中間体を更に処理又は化学的に変換する1つ以上の生産チェーンを含むことができる。クラッカー中間体は、化学品生産ネットワーク内の1つ以上の生産チェーンによって更に処理又は化学的に変換されてもよい。クラッカー中間体は、下流の生成物に加工されてもよい。下流生成物は、化学品生産ネットワークの出口点に供給されてもよい。したがって、下流生成物は化学製品であり得る。再生された又はバイオ系の入力材料の環境属性は、そのような化学製品に割り当てられ得る。クラッカー中間体は、1つ以上の下流中間体を介して化学製品に加工されてもよい。再生された又はバイオ系の入力材料の環境属性は、そのような化学製品に割り当てられ得る。化学製品は、ポリマー、特殊化学品、消費者化学品、溶媒、医薬品などを含み得る。
【0131】
例示を目的として、図6図8との関連で説明したように、環境属性を平衡化アカウントに割り当て、環境属性を化学製品に割り当てる方法を更に説明するために、図10は、平衡化ユニットへの変換及び化学製品への割り当ての例を示す。
【0132】
図9の非限定的な例に基づいて、バイオ系のリサイクル原料を蒸気クラッカーに供給することができる。例示を目的として、以下の入力材料を、以下の量で、すなわち、
- 混合プラスチック廃棄物から生成された熱分解油などのリサイクルされた入力材料3kg、
- コーシャ及びヴィーガン(kosher and vegan)である植物油由来のバイオナフサなどのバイオ系入力材料5kg、
- ナフサ92kg
を蒸気クラッカーに供給することができる。
【0133】
これらの入力材料を蒸気クラッカーに供給すると、入力材料は化学品生産ネットワークに入る。リサイクルされたバイオ系の入力材料の環境属性は、そのような属性を平衡化ユニットに変換し、平衡化ユニットをそれぞれの平衡化アカウントに割り当てるように構成されたコンピュータインタフェースに提供することができる。最も単純な例では、平衡化ユニット(BU)は、それぞれの材料の量に対応することができる。この例では、リサイクルされた混合プラスチック廃棄物からの環境属性熱分解油は3BUに対応することができ、バイオ系食品廃棄物からの環境属性バイオナフサは5BUに対応し得る。この例では、簡略化された重量ベースの手法は、例示のみを目的として使用されている。他の手法は、エネルギー、炭素原子などの原子計数、メタンなどの分子計数に基づいてもよく、又は生産中に生じる損失を含んでもよい。
【0134】
より複雑な実施形態では、平衡化ユニットは、入力材料とそれらに関連する収率との間の化学的及び/又は物理的差異を考慮して、より複雑な変換係数に基づいて決定することができる。変換係数は、化石入力材料を非化石入力材料に置き換える化学的及び/又は物理的特性の差を定量化することができる。変換係数は、従来の入力材料の使用を、1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の使用に関連付けることができる。変換係数は、炭素原子、メタン分子、エネルギー特性、プロセス特性、又は環境属性の環境影響を定量化するための任意の他の適切な係数に依存し得る。例えば、化石及び非化石入力材料のより低い又はより高い発熱量(LHV、HHV)を考慮に入れることができる。更に、例えば、化石又は非化石入力材料の処理で生じる材料損失を考慮に入れることができる。更に、例えば、適用除外された蒸気クラッカー生成物、中間体又は生産チェーンが考慮されてもよい。更に、例えば、予め選択された生産チェーンのみが考慮されてもよい。このようにして、非化石入力材料の環境への影響を、化石入力材料を参照して定量化することができる。
【0135】
蒸気クラッカーは、クラッカー生成物を生産することができ、これを更に処理し、化学的に変換することができる。例示的な例では、クラッカー生成物としての20kgのエチレン、30kgのポリアミド及び50kgのポリスチレンが、化学品生産ネットワークの出口点に提供され得る。このような製品の生産には、3kgの再生されたバイオ系の入力材料及び5kgのバイオ系の入力材料が使用されたので、それぞれの平衡化アカウントにBUで割り当てられた環境属性をこのような製品に割り当てることができる。例えば、リサイクルされた3BUをポリアミドに割り当ててもよく、これは10%のリサイクルされた内容物に相当し、バイオ系の5BUをポリスチレンに割り当ててもよく、これは10%のバイオ系の内容物に相当する。
【0136】
例示を目的として、図6図8の関連で説明したように、環境属性を平衡化アカウントに割り当てるための方法を更に説明するために、図11a~図11cは、平衡化ユニットの割り当て及び割り当てを管理するための平衡化アカウントの例を示す。
【0137】
図9の非限定的な例に基づいて、バイオ系の且つリサイクル原料を蒸気クラッカーに供給することができる。バイオ系の且つリサイクルされた原料及びそれぞれの環境属性に関連する材料データは、そのような属性を平衡化ユニットに変換し、平衡化ユニットをそれぞれの平衡化アカウントに割り当てるように構成されたコンピューティングインタフェースに提供され得る。最も単純な例では、リサイクルされた混合プラスチック廃棄物からの環境属性熱分解油は3BUに対応することができ、バイオ系植物油からの環境属性バイオナフサは5BUに対応し得る。そのように決定されたBUは更に、リサイクルされた、熱分解油及びリサイクルタイヤ並びにバイオ系のバイオナフサ、植物油としてのそれぞれの環境属性を示すメタデータに関連付けられ得る。
【0138】
割り当てのために、平衡化システムが提供されてもよい。平衡化システムは、環境属性、入力材料タイプ、廃棄物ストリームタイプ、バイオマスタイプ、及び平衡化ユニットに関するメタデータに関連付けられた平衡化アカウントを含むことができる。例えば、図11aに示すように、平衡化アカウントは、それぞれ、環境属性タイプのリサイクルされた又はバイオ系の、入力材料タイプ熱分解油、バイオナフサ又はバイオガス、入力材料由来タイヤ、混合プラスチック廃棄物、植物油又は食品廃棄物に関するメタデータに関連付けられ得る。更に、平衡化アカウントは、BUを定量化するアカウントバランスに関連付けられてもよい。
【0139】
3つのBU及び5つのBUの割り当てのために、平衡化アカウントのメタデータは、そのようなBUに関連付けられたメタデータと一致し得る。BUメタデータは、入力材料データから提供されてもよい。メタデータの一致が見つかると、それぞれのBUが一致したアカウントに割り当てられる。したがって、この例では、リサイクルされた混合プラスチック廃棄物からの3BUの熱分解油は、リサイクルされた2BUのアカウントに割り当てられてもよく、バイオ系の植物油からの5BUのバイオナフサは、BUバイオ1のアカウントに割り当てられてもよい。
【0140】
平衡化システムは、静的又は動的メタデータとアカウントの平衡化に基づいてもよい。例えば、入力材料に関連付けられた環境属性を介して提供されたメタデータが、提供された平衡化アカウントのメタデータに対応しない場合、そのようなメタデータに関連付けられた新しいアカウントを提供することができる。これに代えて又は加えて、環境属性は、メタデータの最大一致に関連付けられたアカウントに割り当てられてもよい。ここで、最大とは、一致するメタデータポイント、特に環境属性メタデータポイントと少なくとも部分的に一致するアカウントメタデータポイントの最大数を指すことができる。例えば、環境属性は、任意の平衡化アカウントよりも多くのメタデータを提供することができる。そのようなシナリオでは、環境属性のメタデータポイントと少なくとも部分的に一致するメタデータポイントを有するアカウントを割り当てのために選択することができる。
【0141】
図11aに示すメタデータ構造は一例に過ぎない。図11bは、他の例を示す。ここで、異なるレベルを有するメタデータ(リーフ)の階層ツリーは、平衡化アカウントに関連付けられ得る。例えば、最上位レベルは、バイオ系であっても又はリサイクルされたことであってもよく、次のレベルは、それぞれリサイクルされた又はバイオ系の入力材料タイプを指定してもよい、などである。
【0142】
図11a及び図11bに示すメタデータ構造は一例に過ぎない。図11cは、他の例を示す。この例では、仮想アカウンティングシステムは、リサイクルされた環境属性及び入力材料タイプの熱分解油に関するメタデータに関連付けられてもよい。仮想アカウンティングシステムは、2つの平衡化アカウントBU1及びBU2を含むことができる。BU1は、廃棄物ストリームタイプのタイヤ及びBU1に割り当てられた平衡化ユニットに関連付けられてもよい。BU2は、廃棄物ストリームタイプの混合プラスチック及びBU2に割り当てられた平衡化ユニットに関連付けられてもよい。
【0143】
図11a~図11cは、仮想アカウンティングシステム又は平衡化アカウントに添付されたメタデータに基づく例に過ぎない。そのようなデータ構造を実現するための他の選択肢が存在する。例えば、平衡化システム及び平衡化アカウントは完全に抽象化されてもよく、システムに入る各BUはそれ自体のメタデータを有してもよい。
【0144】
図12は、サプライチェーンの少なくとも1つの環境属性に関連する少なくとも1つの化学製品を生産する方法の一例を示す。
【0145】
この例は、2つの階層及び最初の装置製造者を示している。階層1は、化学品生産ネットワークを運用する化学生産者であってもよい。化学品生産ネットワークは、システム境界に関連付けられてもよい。システム境界は、化学品生産ネットワークの物理的境界を意味し得る。生産ネットワークの任意の段階で化学品生産ネットワークに入る入力材料、又は化学品生産ネットワークのシステム境界は、化学品生産ネットワークへの入口点を意味することができる。1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料が入ると、環境属性は、化学品生産ネットワークを通る入力材料の物理的材料の流れから分離され得る。物理的入力材料と仮想環境属性とのそのような分離は、本明細書に記載され、例えば図5a(インバウンド)に示されるように、少なくとも1つの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの入力材料を登録するための方法によって提供され得る。化学製品は、化学品生産ネットワークによって入力材料から生産することができる。少なくとも1つの化学製品は、化学品生産ネットワークによって生産されてもよく、化学製品は、本明細書に記載され、図5b(アウトバウンド)に示されるように、少なくとも1つの環境属性に関連付けられてもよい。
【0146】
化学品生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの環境属性に関連する化学製品は、次の階層へ提供されてもよい。図示の例では、階層2は、化学製品又は化学製品から個別製品を生産する生産ネットワークであってもよい。個別製品は、個別の物理ユニットに関連する任意の製品であってもよい。プロセス製造とは対照的に、個別製造は、そのような個別製品を使用して他の個別製品を組み立てる。対照的に、化学的生産は、入力材料が混合され、化学的出力製品に化学的に変換されるプロセス製造を使用する。そのような出力製品は、容器又は花輪などの個別の単位で移送され得る化学製品である。しかしながら、化学製品は、このような個別製品ではない。化学品から個別の生産ネットワークは、前述のようにシステム境界に関連付けられてもよい。化学品生産ネットワークと同様に、化学品から個別の生産ネットワークは、少なくとも1つの環境属性に関連付けられた入力材料をインバウンド登録することができ、入力材料は、本明細書に記載される又は図5a(インバウンド)に示す化学品生産ネットワークの化学製品であってもよい。個別出力製品は、化学品から個別の生産ネットワークによって生産され得る。少なくとも1つの個別出力製品は、少なくとも1つの環境属性(アウトバウンド)にリンクされてもよい。
【0147】
化学品から個別の生産ネットワークによって生産された少なくとも1つの環境属性に関連する個別製品は、最終製品を生産する最初の装置製造者に提供されてもよい。本明細書に及び図5a及び図6との関連で説明されるように、個別製品及び関連する環境属性は、登録(インバウンド)時に分離することができる。本明細書に記載され、図5b及び図7に示されるように、分離後、環境属性は、本明細書に記載されて図5b(アウトバウンド)に示されているように最終製品にリンクされてもよい。
【0148】
化学製品識別子に割り当てられた1つ以上の環境属性は、少なくとも1つの個別製品に関連する少なくとも1つの個別製品識別子、又は製品サプライチェーンの少なくとも1つの最終製品を指定する少なくとも1つの最終製品識別子を1つ以上の環境属性に提供するために使用され得る。1つ以上の環境属性に関連する化学製品は、1つ以上の環境属性に関連する製品サプライチェーンの少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産するために使用することができる。
【0149】
このようにして、入力材料に関連する環境属性は、最終製品までのバリューチェーンを通して追跡することができる。本明細書に記載の方法、装置、及びシステムは、化学製品レベルでのバリューチェーンの初期段階から最終製品レベルでのバリューチェーンの最終段階までの透明性を可能にする。物理的材料と環境属性との結合を通じて、環境に優しい製品及びより持続可能な生産を透明にし、追跡することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の環境属性と関連付けられる化学製品を含む少なくとも1つの化学製品を生産するための方法であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、前記化学品生産ネットワークは、化学中間体を介して、入力材料を、化学品生産ネットワークを出る1つ以上の化学製品に化学的に変換し、以下のステップ:
- 1つ以上の環境属性と関連付けられる複数の入力材料を、化学品生産ネットワークの1つ以上の入口点に提供するステップと、
- 前記複数の入力材料及び前記1つ以上の環境属性に関連する材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップと、
- 前記1つ以上の環境属性を、前記1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに、オペレーティングシステムによって割り当て、ここで前記1つ以上の環境属性が、前記少なくとも1つの平衡化アカウントに追加され又は平衡化アカウントから差し引かれ得る、ステップと、
- 前記化学製品を生産し、前記化学製品を前記化学品生産ネットワークの1つ以上の出口点に提供するステップと、
- 前記化学製品に対して化学製品識別子を付与するステップと、
- 前記1つ以上の環境属性と関連付けられる前記少なくとも1つの平衡化アカウントからの複数の材料の少なくとも1つの環境属性を、前記化学製品に、オペレーティングシステムによって割り当て、ここで、前記1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性が、前記化学製品識別子に割り当てられ、前記化学製品識別子は前記化学製品の物理的実体と関連づけられ、かつ、前記化学製品識別子は前記化学製品と一意的にリンクされた仮想識別子である、ステップを含む方法。
【請求項2】
前記材料データが、前記それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの入力材料識別子と、前記それぞれの入力材料と関連付けられる少なくとも1つの環境属性と、前記化学品生産ネットワークの前記1つ以上の入口点に提供された入力材料の量とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の環境属性が、再生可能な、バイオ系の、及び/又はリサイクルされた内容物に関する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学品生産ネットワークの1つ以上の入口点で提供される1つ以上の環境属性と関連付けられる前記入力材料が、少なくとも部分的にリサイクルされた内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にリサイクルされた内容物から生成されたリサイクルされた入力材料、少なくとも部分的に再生可能な内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的に再生可能な内容物から生成された再生可能な入力材料、少なくとも部分的にバイオ系の内容物を含む、及び/又は少なくとも部分的にバイオ系の内容物から生成されたバイオ系入力材料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化学品生産ネットワークが、前記化学品生産ネットワークによって生産される化学製品の入力材料の入口点及び出口点を含み、前記入口点及び出口点は、前記化学品生産ネットワークの物理システム境界を示し、前記のそれぞれの環境属性に関連付けられた少なくとも1つの平衡化アカウントへの少なくとも1つの環境属性の割り当ては、前記物理システム境界に依存し、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから少なくとも1つの化学製品への少なくとも1つの環境属性の割り当ては、前記物理システム境界に依存する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の環境属性を前記少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるステップが、前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップを含み、前記1つ以上の平衡化ユニットは、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの環境属性を前記少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップは、1つ以上の平衡化ユニットを1つ以上の環境属性に変換するステップを含み、前記1つ以上の平衡化ユニットは、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントから割り当て解除される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップは、従来の入力材料を1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料に関連付ける変換係数に基づく、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、原料当量を決定するステップを含み、前記原料当量が、従来の入力材料を、1つ以上の環境属性と関連付けられる入力材料に関連付ける、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、従来の入力材料の量及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料の量に関連する、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の環境属性を1つ以上の平衡化ユニットに変換するステップが、従来の入力材料のエネルギー特性及び1つ以上の環境属性に関連付けられた入力材料のエネルギー特性に関連する、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの環境属性を前記少なくとも1つの化学製品に割り当てるステップが、生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を提供するとともに、前記の少なくとも1つの平衡化アカウントからの環境属性を化学製品識別子に割り当てるステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
化学品生産ネットワークによって生産された化学製品を含む少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるためのコンピュータ実装方法であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、前記化学品生産ネットワークは、化学中間体を介して、入力材料を、化学品生産ネットワークを出る1つ以上の化学製品に化学的に変換し、以下のステップ:、
- 複数の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するステップであって、前記複数の入力材料が前記化学品生産ネットワークへの入口点に提供される、ステップと、
- 前記1つ以上の環境属性を、前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに、オペレーティングシステムによって割り当て、ここで前記1つ以上の環境属性が、前記少なくとも1つの平衡化アカウントに追加され又は平衡化アカウントから差し引かれ得るステップと、
- 化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられる化学製品識別子を付与するステップと、
- 前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を、オペレーティングシステムによって前記の化学製品識別子に割り当て、前記化学製品識別子が前記化学製品の物理的実体と関連づけられ、かつ、前記化学製品識別子が前記化学製品と一意的にリンクされた仮想識別子である、ステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項14】
化学品生産ネットワークによって生産された化学製品を含む少なくとも1つの化学製品に少なくとも1つの環境属性を割り当てるための装置であって、前記化学製品は化学品生産ネットワークによって生産され、前記化学品生産ネットワークは、化学中間体を介して、入力材料を、化学品生産ネットワークを出る1つ以上の化学製品に化学的に変換し、前記装置は、
- 複数の入力材料及びそれぞれの環境属性と関連付けられる材料データをコンピューティングインタフェースに提供するように構成されるデータプロバイダであって、前記複数の入力材料が、前記化学品生産ネットワークへの入口点で提供される、データプロバイダと、
- 前記1つ以上の環境属性を、それぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントに割り当てるように構成されており、前記1つ以上の環境属性が前記の少なくとも1つの平衡化アカウントに追加され又は平衡化アカウントから差し引かれる、インバウンドアロケータと、
- 前記化学品生産ネットワークによって生産された化学製品と関連付けられた化学製品識別子を付与するように構成される識別子プロバイダと、
- 前記のそれぞれの環境属性と関連付けられる少なくとも1つの平衡化アカウントからの少なくとも1つの環境属性を前記の化学製品識別子に割り当てるように構成されており、前記化学製品識別子が前記化学製品の物理的実体と関連づけられ、かつ、前記化学製品識別子が前記化学製品と一意的にリンクされた仮想識別子である、アウトバウンドアロケータと、を備える、装置。
【請求項15】
1つ以上の環境属性と関連付けられる少なくとも1つの個別製品又は少なくとも1つの最終製品を生産するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって提供される前記の1つ以上の環境属性と関連付けられる化学製品の使用。
【国際調査報告】