(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】骨盤底筋強化装置
(51)【国際特許分類】
A63B 23/04 20060101AFI20250204BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A63B23/04 Z
A63B24/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539080
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 KR2022001125
(87)【国際公開番号】W WO2023140404
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007910
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523249320
【氏名又は名称】フューラン ヘルスケア カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョン モ
(57)【要約】
【課題】
本発明は、服を着た状態でも体内の骨盤底筋をトレーニング可能であり、使用者の体型に応じて最適化された状態で装置の作動や筋力運動が可能となる骨盤底筋強化装置に関する。
【解決手段】
本発明によれば、シート本体11に設けられ、狭い会陰部空間を通って骨盤底筋Pを上方に加圧する支圧具20と、前記支圧具20を介して骨盤底筋を加圧する力や圧力が調節されるようにする加圧調節手段21と、前記支圧具20が着座者の骨盤底筋Pを加圧する力や圧力を感知したり、座席が骨盤底筋Pを収縮するにつれて増加する力または圧力を感知する感知手段35、感知手段35の力または圧力データをディスプレイ手段60に伝達する電子回路42、着座者の体重情報を入力するための入力手段40及び、着座者の体重が増加するにつれて、着座者の骨盤底筋Pに加わる力や圧力が増加するように制御信号を発生する制御モジュール45を備えて構成されることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者が座ることができるシート本体(11)と、
前記シート本体(11)に設置され、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋(P)を上方に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具(20)と、
前記支圧具(20)を介して着座者の骨盤底筋(P)を加圧する力や圧力が調節されるようにする加圧調節手段(21)と、
前記支圧具(20)に接続され、支圧具(20)が着座者の骨盤底筋(P)を加圧する力または圧力、または着座者が骨盤底筋(P)を収縮するにつれて増加する力または圧力を感知する感知手段(35)と、
前記感知手段(35)に接続され、骨盤底筋(P)の収縮に伴って増加する力または圧力を視覚的または聴覚的に表示するようにディスプレイ手段(60)にデータを伝達する電子回路(42)と、
着座者の体重情報を入力するための入力手段(40)と、
前記入力手段(40)から体重情報を入力して着座者の体重が増加するほど、着座者の骨盤底筋(P)に加わる力や圧力が増加するように制御信号を発生する制御モジュール(45)を含み、
体重が増加するほど、平常時骨盤底筋(P)が支えなければならない骨盤臓器の重量も増加するにつれて、骨盤底筋(P)を加圧する力や圧力も増加させて効果的に収縮運動できるようになったことを特徴とする骨盤底筋強化装置。
【請求項2】
前記入力手段(40)は着座者の身長情報を入力することができる、前記制御モジュール(45)は着座者の身長が大きいほど、着座者の骨盤底筋(P)に加わる力や圧力が減少するように制御信号を発生することを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項3】
前記加圧調節手段(21)は、支圧具(20)の前後方向に傾斜した傾斜面(22)からなり、前後方向に着座位置を移動させることにより、支圧具(20)の加圧強度が調節できるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項4】
前記加圧調節手段(21)は、着座者の骨盤底筋(P)を圧迫または圧迫解除するように支圧具(20)を昇降させる昇降手段(30)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項5】
前記制御モジュール(45)は、前記支圧具(20)により着座者の骨盤底筋(P)を加圧する力や圧力が着座者体重の6%~30%の範囲で比例的に増加するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項6】
前記制御モジュール(45)は、前記支圧具(20)により着座者の骨盤底筋(P)を加圧する力や圧力が着座者身長の4%~20%の範囲で比例的に減少するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項7】
着座者の腰に着用される腹部ベルト(12)と、前記腹部ベルト(12)に設けられ、着座者の腹腔内圧が上昇することを感知して前記電子回路(42)に信号伝達する腹圧センサ(13)がさらに含まれ、骨盤筋肉運動時に腹腔内圧が増加することを前記ディスプレイ手段(60)で監視できるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項8】
前記感知手段(35)は、前記支圧具(20)の前後に一定間隔をおいて離間して設けられる第1センサ(36)と第2センサ(37)とからなることを特徴とする、請求項1に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項9】
前記ディスプレイ手段(60)には、第1センサ(36)と第2センサ(37)から感知された各データに基づいて着座者が支圧具(20)の前後方のいずれかの位置に着座すると定位置に近いかどうかを案内する着座位置ガイド手段(63)がさらに含まれることを特徴とする、請求項8に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項10】
着座者が座ることができるシート本体(11)と、
前記シート本体(11)に設けられ、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋(P)を上部に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成され、前方又は後方のいずれかに向かって高くなるように傾斜部が形成された支圧具(20)と、
前記支圧具(20)の下に設置され、着座者の骨盤底筋(P)を加圧する加圧力を感知するか、着座者が骨盤底筋(P)を収縮する時増加する力または圧力を感知する感知手段(35)と、
前記感知手段(35)に接続され、骨盤底筋(P)の収縮によって増加する力または圧力を視覚的または聴覚的に表示するためにディスプレイ手段(60)にデータを伝達する電子回路(42)と、
前記ディスプレイ手段(60)に表示され、支圧具(20)の適正な着座位置を知らせる着座位置ガイド手段(63)を含んで構成されることを特徴とする、骨盤底筋強化装置。
【請求項11】
前記着座位置ガイド手段(63)は、着座者の体重が増加するほど、または着座者の身長が小さくなるほど骨盤底筋(P)に加わる力や圧力が増加するように着座位置をガイドすることを特徴とする、請求項10に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項12】
着座者が座ることができるシート本体(11)と、
前記シート本体(11)に設置され、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋(P)を上方に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具(20)と、
前記支圧具(20)に接続されて、支圧具(20)が着座者の骨盤底筋(P)を加圧する力や圧力を感知したり、着座者が骨盤底筋(P)を収縮したときに増加する力や圧力を感知する感知手段(35)と、
着座者の腰に着用される腹部ベルト(12)と、
前記腹部ベルト(12)に設置され、着座者の腹腔内圧を感知する腹圧センサ(13)と、
前記感知手段(35)と腹圧センサ(13)に接続され、骨盤底筋(P)収縮情報と腹腔内圧上昇情報を外部に表示できるようにディスプレイ手段(60)にデータ伝達する電子回路(42)を含むことを特徴とする、骨盤底筋強化装置。
【請求項13】
着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋(P)を上方に加圧するように左右の幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具(20)と、
前記支圧具(20)の上面に前後に所定間隔を隔てて配置され、着座者の骨盤底筋(P)に電気刺激を印加するようにした第1及び第2電極(70、71)と、
前記第1および第2の電極(70、71)に接続されて電気刺激信号を印加する電子回路(42)と、
前記第1および第2の電極(70、71)の上面に着脱可能に被せられ、着座者が着た状態で着座しても衣服が水分によって濡れて水分を通じて電気刺激が人体に伝達されるようにする水ティッシュ(80)が含まれて構成されたことを特徴とする、骨盤底筋強化装置。
【請求項14】
前記水ティッシュ(80)は、含水率が40%~85%であることを特徴とする、請求項13に記載の骨盤底筋強化装置。
【請求項15】
前記水ティッシュ(80)は、前記支圧具(20)に対応するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成されており、着座者の会陰部を最小限の面積で濡らすことができるようにしたことをとする、請求項13に記載の骨盤底筋強化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨盤底筋強化装置に関し、より詳細には服を着た状態でも体内の骨盤底筋を強化することができ、使用者の身体情報に合わせて最適化された状態で骨盤底筋の筋力運動が可能となる骨盤底筋強化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤底筋は、骨盤下部に位置する肛門および尿道括約筋を含む筋肉組織であり、この骨盤底筋の弱化で発生する代表的な疾患が尿失禁である。この尿失禁は妊娠と出産によって骨盤底筋が伸びて年をとるにつれてさらに弱まり、膀胱、直腸などの臓器をきちんと支えられず、下に垂れて発生する症状である。したがって、尿失禁は、骨盤底筋の持続的な収縮運動を通じて膀胱などの臓器を正常な状態で支えることができるように筋力を回復させて治療する。
【0003】
ところが、効果的な収縮運動のためには骨盤底筋の収縮程度を把握しなければならないが、従来の尿失禁治療器は、骨盤底筋の収縮力を体外で直接感知する方法がなく、小さな器具を女性の膣内に挿入して括約筋を締める力を感知し、そうして、目標筋肉である骨盤底筋が一緒に運動するようにする間接的な運動方法を用いた。すなわち、前記骨盤底筋は、肛門括約筋、尿道括約筋と一緒に陰部神経に連結されてこれらの括約筋を収縮すると骨盤底筋も一緒に収縮されるので、これを用いて骨盤底筋を運動した。
【0004】
ところがこのような膣挿入型機器は、女性が服を脱いで膣内に器具を挿入しなければならないため、使用が非常に不便で羞恥心を誘発する大きな問題点があった。
【0005】
そのほかにも、弱化した筋肉を強化するためには、ダンベルを持って腕運動するように、外部抵抗に対抗して筋肉を収縮運動しなければ筋力回復効果が上昇せず、外部抵抗なしで身一つで力を与えるのは筋力回復効果が著しく低下する。ところで、従来の挿入型機器は、敏感な女性の膣内に外部抵抗をかけて運動できないため、無負荷筋力運動方式であるから、筋力回復効果が低下する欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決するためのものであり、本発明は服を着た状態でも体内の骨盤底筋を強化することはもちろん、骨盤底筋が支えていた骨盤臓器の重量には比例し、痛み誘発の可能性には反比例するなど、最適条件の外部抵抗を骨盤底筋に印加し、この最適外部抵抗に対抗して筋力運動ができる骨盤底筋強化装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴によれば、着座者が座ることができるシート本体11と、
前記シート本体11に設置され、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋Pを上方に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具20と、
前記支圧具20を介して着座者の骨盤底筋Pを加圧する力や圧力が調節されるようにする加圧調節手段21と、
前記支圧具20に接続され、支圧具20が着座者の骨盤底筋Pを加圧する力または圧力、または着座者が骨盤底筋Pを収縮するにつれて増加する力または圧力を感知する感知手段35と、
前記感知手段35に接続され、骨盤底筋Pの収縮に伴って増加する力または圧力を視覚的または聴覚的に表示するようにディスプレイ手段60にデータを伝達する電子回路42、
着座者の体重情報を入力するための入力手段40と、
前記入力手段40から体重情報を入力して着座者の体重が増加するほど、着座者の骨盤底筋Pに加わる力や圧力が増加するように制御信号を発生する制御モジュール45を含む、
体重が増加するほど、平常骨盤底筋Pが支えなければならない骨盤臓器の重量も増加するにつれて、骨盤底筋Pを加圧する力や圧力も増加させて効果的に収縮運動できるようになったことを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記入力手段40は着座者の身長情報を入力することができる、前記制御モジュール45は着座者の身長が大きいほど、着座者の骨盤底筋Pに加わる力や圧力が減少するように制御信号を発生することを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記加圧調節手段21は、支圧具20の前後方向に傾斜した傾斜面22からなり、前後方向に着座位置を移動することにより支圧具20の圧迫強度を調節できるようにしたことを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、前記加圧調節手段21は、着座者の骨盤底筋Pを圧迫または圧迫解除するように支圧具20を昇降させる昇降手段30を含むことを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御モジュール45は、前記支圧具20により着座者の骨盤底筋Pを加圧する力や圧力が着座者体重の6%~30%の範囲で比例的に増加するように制御することを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御モジュール45は、前記支圧具20により着座者の骨盤底筋Pを加圧する力や圧力が着座者身長の4%~20%の範囲で比例的に減少するように制御することを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、着座者の腰に着用される腹部ベルト12と、前記腹部ベルト12に設けられ、着座者の腹腔内圧が上昇することを感知して前記電子回路42に信号伝達する腹圧センサ13がさらに含まれ、骨盤筋肉運動時に腹腔内圧が増加することを前記ディスプレイ手段60を介して監視できるようになっていることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記感知手段35は、前記支圧具20の前後に一定間隔をおいて離間して設けられる第1センサ36と第2センサ37とからなることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記ディスプレイ手段60には、第1センサ36と第2センサ37から感知された各データに基づいて着座者が支圧具20の前後方のいずれかの位置に着座すると定位置に近いかどうかを案内する着座位置ガイド手段63がさらに含まれることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、
着座者が座ることができるシート本体11と、
前記シート本体11に設けられ、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋Pを上部に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成され、前方又は後方のいずれかに向かって高くなるように傾斜部が形成された支圧具20と、
前記支圧具20の下に設置され、着座者の骨盤底筋Pを加圧する加圧力を感知するか、着座者が骨盤底筋Pを収縮する時増加する力または圧力を感知する感知手段35と、
前記感知手段35に接続され、骨盤底筋Pの収縮によって増加する力または圧力を視覚的または聴覚的に表示するためにディスプレイ手段60にデータを伝達する電子回路42、
前記ディスプレイ手段60に表示され、支圧具20の適正な着座位置を知らせる着座位置ガイド手段63を含んで構成されることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記着座位置ガイド手段63は、着座者の体重が増加するほど、または着座者の身長が小さくなるほど骨盤底筋Pに加わる力や圧力が増加するように着座位置をガイドすることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、着座者が座ることができるシート本体11と、
前記シート本体11に設置され、着座者の股間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋Pを上方に加圧するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具20と、
前記支圧具20に接続されて、支圧具20が着座者の骨盤底筋Pを加圧する力や圧力を感知したり、着座者が骨盤底筋Pを収縮したときに増加する力や圧力を感知する感知手段35と、
着座者の腰に着用される腹部ベルト12と、
前記腹部ベルト12に設置され、着座者の腹腔内圧を感知する腹圧センサ13と、
前記感知手段35と腹圧センサ13に接続され、骨盤底筋P収縮情報と腹腔内圧上昇情報を外部に表示できるようにディスプレイ手段60にデータ伝達する電子回路42を含まれることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の特徴によれば、着座者のヒップの間の狭い会陰部空間を通って骨盤底筋Pを上方に加圧するように左右の幅が狭く前後の長さが長く形成された支圧具20と、
前記支圧具20の上面に前後に所定間隔を隔てて配置され、着座者の骨盤底筋Pに電気刺激を印加するようになった第1及び第2電極70、71と、
前記第1および第2の電極70、71に接続されて電気刺激信号を印加する電子回路42と、
前記第1および第2の電極70、71の上面に着脱可能に被せられ、着座者が着た状態で着座しても衣服が水分によって濡れて水分を通じて電気刺激が人体に伝達されるようにする水ティッシュ80が含まれて構成されたことを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記水ティッシュ80は、含水率が40%~85%であることを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記水ティッシュ80は、前記支圧具20に対応するように左右幅が狭く前後の長さが長く形成され、着座者の会陰部を最小限の面積で濡らすことができるようにしたことを特徴とする骨盤底筋強化装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、人間の骨盤底筋Pは普段膀胱、腸などの臓器を支えているが、このような臓器の重量は通常体重に比例するため、骨盤底筋運動時でも体重が増加するほど骨盤底筋Pに加わる加圧力も増加させ、増加した加圧力に抗して骨盤底筋Pを収縮運動をするとより多くの重量を支えるように筋力回復ができる。
【0023】
また、同じ体重でも使用者の身長が大きいと痩せた体型になり、痩せた体型は肉がなくて外部刺激に敏感に反応して痛みを大きく感じる特性がある。したがって、骨盤底筋Pに印加する加圧力は、これらの身長に反比例して作用しなければならず、痛みを軽減しながら快適に使用することができる。すなわち、本発明は、使用者の体重に比例し、そして疼痛誘発の可能性には反比例するなど、最適条件の加圧力を骨盤底筋Pに印加した状態で、この最適加圧力に抗して効果的な筋力運動を行うことができるものである。
【0024】
また、本発明は、
図2及び
図3に示すように、着座者が支圧具20に着座する際に前端部及び後端部に配置された第1センサ36及び第2センサ37からそれぞれ信号を検出してそのサイズを比較すると前後方どの位置に着座したかが分かるため、定位置に座れるように着座位置をガイドすることができる。
【0025】
また、
図3に示すように、傾斜支圧具20を用いた加圧調節手段21は、体重と身長に応じた最適な加圧力を算出し、着座位置ガイド手段63の案内に応じて着座位置のみ移動すると骨盤底根pに作用する加圧力が最適な状態に調節されるので、昇降方式の加圧力調節方法に比べて多くの構成品が不要となり単価を低減することができる。また、支圧具20に作用する力や圧力を伝達する過程も別途の昇降手段30等を経ずに支圧具20を介して直ちに感知手段35に伝達されるので、力や圧力の伝達過程で発生する他の部品との不要な干渉などを最小限に抑えることができ、測定の精度も向上する。
【0026】
また、本発明は、
図6に示すように、腹圧センサ13が内蔵された腹部ベルト12を腰に着用することにより、骨盤底筋P収縮運動時に腹腔内圧が増加するかを監視することができるので、腹部に力を与えない状態で骨盤底筋Pのみを収縮運動することができ、正確なケーゲル運動が可能な利点がある。
【0027】
また、本発明は、
図7に示すように、幅が狭く長さが長い支圧具20の上面に第1及び第2電極70、71がそれぞれ設けられ、その上に水分を含む水ティッシュ80が上がって、着座者が服を着た状態で着席しても、水ティッシュ80の水分によって服が濡れながら第1電極70及び第2電極71から衣類の中の皮膚に水分を通した電気刺激伝達が行われ、以前のように着座者は服を脱がずに非常に簡単に会陰の骨盤底筋Pを電気刺激することができる。
また、水ティッシュ80は幅が狭く長さが長く形成または折り畳まれ、両股間の狭い会陰部のみを濡らすようにしって、この会陰部に対応する濡れた服部分は立ち上がると両足に覆われて他人の目立たない部分なので心理的負担感なくとても便利に使える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る加圧調節手段の変形例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による着座位置ガイド手段の作動状態図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による要部作動状態図である。
【
図6】
図6は、本発明による腹部ベルトの作動状態図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態による分解斜視図である。
【0029】
上述した本発明の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明によってより明らかになるであろう。以下、添付の図面に基づいて説明すると以下の通りである。
【0030】
図1~
図8は、本発明の様々な実施形態を示す。
図1に示すように、本発明の骨盤底筋強化装置10は、着座者が座って使用することができるようにクッション状のシート本体11を備え、前記シート本体11のおおよそ中央部分に前後に長いバー状の支圧具20が設けられており、前記支圧具20の前方には複数の操作ボタン48と一定サイズの表示窓61とが設けられている。
【0031】
前記シート本体11は、クッションや椅子のように使用者が座って使用することができるようになっており、支圧具20は、着座者がシート本体11に座ったときに着座者の両股骨間の狭い会陰部空間を介して骨盤底筋Pに接近できるように左右幅が狭く前後に長く形成され、その上にはクッション材24がかぶせられたものである。
【0032】
シート本体11の中央には、
図2及び
図3に示すように、支圧具20を介して着座者の骨盤底筋を加圧する力や圧力を調節する加圧調節手段21が設けられている。そして、この加圧調節手段21は、
図2様に、前記支圧具20を昇降手段30を用いて高さ調節する方式と、
図3に示すように前記支圧具20が傾斜して設けられ、着座位置に応じて支圧具20の圧迫強度が調節されるようにする傾斜による調節方式などがある。
【0033】
前記昇降手段30による調節方式は、前記シート本体11の中央に支圧具20が水平に設けられ、この支圧具20の下には
図5a~
図5cのように垂直のスクリュー軸または垂直のアクチュエータなどの昇降手段30が備えられ、この昇降手段30を介して前記支圧具20の高低を調節することにより、骨盤底筋Pの加圧強度を調節することになる。このとき、昇降手段30は、
図2に示すように、スクリュー軸に連結されたハンドル41を回転させて高低を調節する手動調節方式と、制御モジュール45を介して図示しないモータを回転させて、自動調節する方法がある。このとき、前記昇降手段30の下端には支圧具20に作用する荷重を第1センサ36と第2センサ37に伝達するための荷重伝達バー23が前後方に長く水平に設置されもする。
【0034】
上述したように傾斜による調節方式は、傾斜面22を有する支圧具20自体からなる加圧調節手段21が備えられ、この加圧調節手段21は、
図3に示すように、前記シート本体11の中央に前記支圧具20が前方に行くほど高さが高くなるように傾斜して設けられたもので、着座者が前方に移動して着座するほど支圧具20の高さが高くなるため骨盤底筋Pを強く圧迫することになり、逆に後方に向かうにつれて支圧具20の高さが低くなるため、圧迫強度が弱くなる。その他にも、前記支圧具20の傾斜を後方に行くほど高くなるようにするのも可能であり、このときには後方に移動するほど圧迫強度が強くなることは勿論である。このとき、前記支圧具20には別途の昇降手段が連結されず、支圧具20の下には前端部及び後端部にそれぞれ第1センサ36及び第2センサ37が設けられて支圧具20を通して伝達される力または圧力を感知する。
【0035】
この感知手段35は、
図2及び
図3に示すように、支圧具20の前後端部にそれぞれ位置する第1センサ36及び第2センサ37からなり、着座者がシート本体11に着座したときは、前記支圧具20を介して骨盤底筋Pを加圧する力や圧力を感知するようになり、また、着座者が骨盤底筋Pを収縮運動するときは、筋肉収縮によって増加する力や圧力を感知してディスプレイ手段60を介して外部に表示する。すなわち、着座時に10kgの力が骨盤底筋Pに作用した場合、その後運動段階で骨盤底筋Pを収縮したところ、感知手段35に作用する荷重が10kgから13kgに増加した場合、増加分3kgが純粋に骨盤底筋Pの収縮に伴って増加する力でディスプレイ手段60を介して外部に表示される。
【0036】
また、前記前後方の第1センサ36及び第2センサ37を通じては、
図4a及び
図4bに示すように、着座者の着座位置や支圧具20の高低に関する情報をグラフで提供し、着座者が自分に合うように最適な着座位置と支圧具20の高低を調節して使用できるようにする。
【0037】
図4aに示すように、支圧具20が傾斜して設けられた場合には、着座位置によって骨盤底筋Pに加わる加圧力が異なるため、加圧力が弱いと支圧具20前方に移動し、加圧力が強いと支圧具20の後方に移動し着座して調節することになる。このとき、前記骨盤底筋Pに作用する最適な加圧力データは、着座者の体重と身長情報を用いて算出し、体重には比例し、身長には反比例する。このとき、前記着座位置ガイド手段63は、ディスプレイ手段60の画面に設けられ、支圧具20を介して骨盤底筋Pに加わる加圧力が算出された最適な加圧力より小さいと、前方に移動するようにするメッセージを表示し、逆に支圧具20を介して加えられる加圧力が算出された最適な加圧力より大きい場合、後方に移動するように促す。
【0038】
また、
図4bのように、支圧具20が水平に設けられた場合には、骨盤底筋Pに作用する加圧力は、
図2の昇降手段30のアップダウンを通じて調節し、着座位置は、第1センサ36と第2センサ37によって感知された各荷重データを介してどちらに偏って着座したかを検知して表示することにより、着座者が支圧具20の定位置に着座することができるように誘導することになる。
【0039】
また、前記昇降手段30による支圧具20高低調節は、使用者の体重と身長情報を用いて最適な加圧力データが算出されると、骨盤底筋Pに前記最適な加圧力に達するまで昇降手段30を介して支圧具20を上昇させて骨盤底筋Pを圧迫する。使用者の身長と体重を身体情報入力手段40で装置に入力すると、最適な加圧力が使用者の体重に比例し、身長には反比例するように算出し、骨盤底筋P(
図5に示す)に印加することによって、ダンベルの腕運動のように効果的で適切な骨盤底筋Pの収縮運動を行うことができる。
【0040】
すなわち、使用者の骨盤底筋Pは普段膀胱、直腸など骨盤臓器を持続的に支えているが、このような骨盤臓器の重量は通常使用者の体重に比例するため、このような体重に比例する力で骨盤底筋を圧迫した状態でこの圧迫力に抗して骨盤底筋を収縮運動すると普段支えなければならない骨盤臓器の重量を十分に支えることができるように骨盤底筋の筋力を回復できる。
【0041】
また、同じ体重でも身長が大きくなると痩せた体型になり、このように痩せた体の人は肉が少ないで外部刺激に敏感に反応して痛みを大きく感じる特性がある。したがって、骨盤底筋Pに印加する外部抵抗は、これらの身長に反比例して作用させることによって痛みの誘発を軽減しながら快適に使用することができる。
【0042】
骨盤底筋Pに加えられる適切な加圧力は、実験結果、体重の6%から30%の範囲で比例的に増加させながら運動したとき、骨盤底筋Pの適切な筋力運動が可能であり、6%以下では筋肉に外部抵抗が小さすぎると十分な筋力運動が難しく、30%以上では痛みがひどくて筋力運動をしにくかった。
【0043】
また、骨盤底筋に加わる適切な加圧力は、身長の4%から20%の範囲で反比例するように作用した場合、痛みなく快適に筋力運動することができたが、4%以下では痛みが激しく、20%以上では外部抵抗が小さすぎて十分な筋力運動がしにくかった。
【0044】
以上のような本発明は、過去の無負荷筋力運動方式の挿入型尿失禁治療器とは異なり、運動部位である骨盤底筋Pに筋力運動に必要な最適な外部抵抗を印加し、この外部抵抗に対抗して力強く骨盤底筋Pを収縮運動することができ、治療効果が大きく向上する。
【0045】
また、本発明は、
図5aのように、普段膀胱、直腸などの骨盤臓器の重さによって「U」字型に垂れていた骨盤底筋Pを支圧具20に押し上げて
図5bのように「∩」字に逆転させることによってこの骨盤底筋を収縮すると、筋肉の収縮力の垂直方向分力が支圧具20に作用し、これを支圧具20の下の感知手段35を介して筋肉の収縮の程度を感知できるようになる。すなわち、普段の骨盤底筋Pは「U」字状に垂れている状態であり、筋肉の収縮力を体外で感知することが困難であったが、本発明では骨盤底筋Pを押し上げて「∩」字型に逆転させることにより筋肉が収縮すると収縮力の垂直分力が支圧具を下方に加圧するので、簡単に骨盤底筋Pの収縮力を体外で感知できるようになる。
【0046】
前記電子回路42は、
図2及び
図3に示すように、前記感知手段35から伝達される加圧力信号をフィルタリング及び増幅等の過程を経て前記ディスプレイ手段60にデータを伝達し、内蔵された制御モジュール45を介して装置の動作を制御する。
【0047】
前記入力手段40は、使用者の体重や身長などの情報を入力するためのものであり、シート本体11の前方に設けられた操作ボタン48であるか、スマートフォンやPCなど外部機器の入力モジュール47であることもいい。このように、外部機器を用いて入力する場合には、外部機器のアプリケーションプログラムに体重や身長などを入力するための画面情報が含まれて構成される。
【0048】
前記制御モジュール45は、装置内部の電子回路42や外部機器のアプリケーションプログラムに組み込まれて装置の動作を制御するためのものであり、このような制御動作の一つが前記入力手段40から体重及び身長情報を入力して着座者の体重が増加するほど骨盤底筋Pに加わる加圧力が増加するように制御信号を発生し、着座者の身長が増加するほど加圧力が減少するように制御信号を発生することになる。
【0049】
また、
図6に示すように、本発明は、着座者の腰に着用するようになった腹部ベルト12をさらに備えるが、この腹部ベルト12には腹圧センサ13が装着される。この腹圧センサ13は、着座者が骨盤底筋運動をする際に腹腔内圧が増加するかどうかを感知し、これをディスプレイ部60で外部に表示して着座者がこれを監視することで、腹部に力を与えずに骨盤底筋Pのみ収縮運動する正確なケーゲル運動が可能にするように誘導する。
【0050】
また、本発明の他の実施形態は、着座者が服を着た状態でも着座者の骨盤底筋Pを電気刺激して受動的に収縮運動させるようにすることが可能であるが、このための構成と作動状態等を
図7及び
図8により説明すると次のようになる。
【0051】
本発明の他の実施形態は、前記支圧具20上に電気的刺激を印加する電極を備えている。この電極は、支圧具20の上面に前後に所定間隔を隔てて配置される第1電極70と、第2電極71を含む少なくとも2つ以上の電極から構成され、場合によっては3つ以上の電極が設けられる場合もあり、前記電子回路42には低周波や中周波などの電気刺激を発生させる回路が含まれて構成され、この回路を通じて約5HZ~3000HZの電気刺激を発生させて前記第1電極70と第2電極71を介して人体に伝達する。
【0052】
このとき、支圧具20は、左右の幅が12mm~39mmであり、前後の長さが50mm~250mmであり、両股骨間の狭い空間を通じて骨盤内部の骨盤底筋を圧迫することができる。また、前記水ティッシュ80は支圧具20の形状に対応するように左右幅が15mm~50mmであり、前後長さが50mm~250mmと狭く長く作製されたり、折りたたんで使用することにより、他人に目立たない着座者の会陰部を最小限の面積で濡らすように構成される。
【0053】
前記支圧具20の上には第1電極70と第2電極71を覆う水ティッシュ80が設けられ、この水ティッシュ80は含水率40%~85%で十分な水分を含有させて使用者が衣服を着た状態で着座しても、上記水分によって衣服が濡れながら衣服を透過した水分により、衣類外部の電極から衣類内部の皮膚への電気伝達がスムーズに行われるようにする。
【0054】
また、前記水ティッシュ80は衛生等を考慮して使い捨てで交換可能にすることもでき、水で煮たり、消毒すれば繰り返し使用することも可能である。また、前記水ティッシュ80を支圧具20の面積に対応するように狭く長く折りたたんで使用すると、水分によって湿らせられる服の面積も最小化でき、使用後起きても濡れた会陰部が両足に覆われて外部へ露出せず安心して使用できる。
【0055】
一方、前記第1電極70及び第2電極71を左右に配置して幅が広くなる場合には、電極が両尻骨にかかって骨盤底筋Pに接近できず、結局両尻の殿筋に電気刺激を伝達するだけで、尻骨の内側にある骨盤底筋Pには電気刺激がスムーズに伝達されない。また、電極が左右に配置された場合、使用者が立ち上がると両股部が水分で濡れて外部に露出して羞恥心を刺激するという問題もある。
【0056】
以上説明した本発明は、上述した実施例及び添付図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者には明らかである。
【国際調査報告】