(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】アザスタンナトラン、スタンナトラン、並びにそれらの製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C07F 7/22 20060101AFI20250204BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20250204BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20250204BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20250204BHJP
B05D 3/04 20060101ALI20250204BHJP
H10D 64/01 20250101ALI20250204BHJP
【FI】
C07F7/22 M CSP
B05D7/24 302Z
B05D3/02 Z
B05D3/06 Z
B05D3/04 B
B05D3/04 Z
H01L21/28 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539349
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022054045
(87)【国際公開番号】W WO2023129529
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508129090
【氏名又は名称】ジェレスト, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユーリン・パン
(72)【発明者】
【氏名】バリー・シー・アークルズ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェー・リベラトーレ
【テーマコード(参考)】
4D075
4H049
4M104
【Fターム(参考)】
4D075AB01
4D075AD11
4D075BB24Z
4D075BB46Z
4D075BB47Z
4D075BB48Z
4D075BB57Z
4D075BB78Z
4D075BB79Z
4D075DA08
4D075DB01
4D075DB13
4D075DC18
4D075DC21
4D075EA07
4D075EB60
4D075EC08
4H049VN03
4H049VP01
4H049VQ35
4H049VR21
4H049VR43
4H049VR51
4H049VR54
4H049VS35
4H049VU25
4H049VV02
4H049VV05
4H049VW02
4M104BB36
4M104DD43
4M104DD51
4M104DD73
4M104DD81
4M104DD88
(57)【要約】
2つのクラスの環式スズ化合物、スタンナトランとも称されるトリオキサ-アザ-1-スタンナビシクロ-[3.3.3]-ウンデカン、及びアザスタンナトランとも称されるテトラアザ-1-スタンナビシクロ-[3.3.3]ウンデカンが記載され、それらの調製方法も同様に記載される。これらの環式スズ化合物は、転位に抵抗性であり、ジアルキルスズ不純物の生成は、オキソスタンネート膜を形成するためのこれらの化合物の合成、精製、又は堆積中に観察されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
2は水素ではないことを条件とする)
を有するスタンナトラン。
【請求項2】
式1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化2】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項3】
式1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化3】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項4】
式1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化4】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項5】
少なくとも約99.9%の純度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のスタンナトラン。
【請求項6】
約0.1%未満のジアルキルスズ化合物しか含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載のスタンナトラン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
アルカリ金属アルコキシドをトリイソプロパノールアミン及び式R
1SnCl
3を有するアルキルスズトリクロリド化合物と反応させる工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
式R
1Sn(NMe
2)
3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリイソプロパノールアミンと反応させる工程を含む、方法。
【請求項9】
式(II):
【化5】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、各R
3は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
3は水素ではないことを条件とする)
を有するアザスタンナトラン。
【請求項10】
少なくとも約99.9%の純度を有する、請求項9に記載のアザスタンナトラン。
【請求項11】
約0.1%未満のジアルキルスズ化合物しか含まない、請求項9又は10に記載のアザスタンナトラン。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランを形成するための方法であって、
式R
1Sn(NMe
2)
3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリス(2-アミノエチル)アミンと反応させる工程を含む、方法。
【請求項13】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を、請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項14】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を、請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項15】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項16】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたアザスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したアザスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項17】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項13に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項18】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項14に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項19】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項15に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項20】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項16に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項21】
連続膜を形成するための方法であって、請求項13に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項22】
連続膜を形成するための方法であって、請求項14に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項23】
連続膜を形成するための方法であって、請求項15に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項24】
連続膜を形成するための方法であって、請求項16に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年12月28日に出願された米国仮特許出願第63/294,089号に基づく優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体製作が進歩し続けるにつれて、フィーチャーサイズ(feature size, 最小設計寸法)は小さくなり続け、新しい加工法の必要性に迫られている。ある特定の有機スズ化合物は、極端紫外線(EUV)リソグラフィー技術等の用途において、スズオキシドヒドロキシドコーティングの堆積に有用であることが示されている。例えば、アルキルスズ化合物は、構造をリソグラフィーでパターン化するために使用され得る放射感受性Sn-C結合をもたらす。
【0003】
マイクロエレクトロニクス製作に使用される材料は、極めて純粋であることが必要とされており、有機物混入(例えば、反応の副産物)、金属混入、及び微粒子混入に対して厳しい制限が設けられている。純度要件は、一般的に、特にリソグラフィー用途には厳重であるが、それは、化学物質が半導体基板と接触し、ジアルキルスズ副産物であるジイソプロピルビス(ジメチルアミノ)スタンナンを含有する、イソプロピルトリス(ジメチルアミノ)スタンナン((iPr)Sn(NMe2)3)等の化合物中の有機金属不純物が、得られる膜の特性に影響を及ぼし得るからである。純度の正確な目標は、性能測定基準を含む様々な因子によって決定されるが、典型的な最低純度目標は、99.9%超である。化学物質中に存在する残留金属は、半導体基板上に堆積し、製作されるデバイスの電気的性能を下げ得る。金属の典型的な仕様は、個々の金属について10ppb未満であり、総金属は、約100ppbを超えない。
【0004】
半導体材料の加工及び性能も、ジアルキルスズ夾雑物に対して感受性であり得る。オキソスタンネートクラスター膜は、膜がジアルキル基を含有する場合、密度が小さくなるので、ジアルキルスズ不純物R2SnX2、例えば、R2SnCl2、R2Sn(NMe2)2等は、気相堆積又はスピンオンコーティングプロセス後のガス放出の原因であることが多い。ジアルキルスズ化合物は、しばしば、合成、保存中の再分配、又は堆積中の形成の副産物としての、モノアルキルスズ化合物中の微量成分である。EUVリソグラフィーを使用してマイクロエレクトロニクス製品を生産するために、ジアルキルスズ夾雑物の適正な制御が必要とされる。モノ-アルキルスズ前駆体製造プロセスにより必要とされる高い純度が課題となる。アザスタンナトラン及びスタンナトランは、それらの化学構造が、ジアルキルスズ誘導体の形成をもたらす再分配反応に抵抗し、高い純度のスズ含有膜の堆積を可能にするので魅力的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本開示の態様は、式(I):
【化1】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
2は水素ではないことを条件とする)
を有するスタンナトラン(stannatrane)に関する。
【0006】
第2の実施形態では、本開示の態様は、式(II):
【化2】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、各R
3は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
3は水素ではないことを条件とする)
を有するアザスタンナトラン(azastannatrane)に関する。
【0007】
まとめると、以下の実施形態が、本発明の範囲において特に好ましいものとして提案される。
【0008】
実施形態1:式(I):
【化3】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
2は水素ではないことを条件とする)
を有するスタンナトラン。
【0009】
実施形態2:式1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化4】
を有する、実施形態1に記載のスタンナトラン。
【0010】
実施形態3:式1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化5】
を有する、実施形態1に記載のスタンナトラン。
【0011】
実施形態4:式1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化6】
を有する、実施形態1に記載のスタンナトラン。
【0012】
実施形態5:少なくとも約99.9%の純度を有する、実施形態1~4のいずれかに記載のスタンナトラン。
【0013】
実施形態6:約0.1%未満のジアルキルスズ化合物を含有する、実施形態1~5のいずれかに記載のスタンナトラン。
【0014】
実施形態7:実施形態1~6のいずれかに記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
アルカリ金属アルコキシドをトリイソプロパノールアミン及び式R1SnCl3を有するアルキルスズトリクロリド化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0015】
実施形態8:実施形態1~6のいずれかに記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
式R1Sn(NMe2)3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリイソプロパノールアミンと反応させる工程を含む、方法。
【0016】
実施形態9:式(II):
【化7】
(式中、R
1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、各R
3は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
3は水素ではないことを条件とする)
を有するアザスタンナトラン。
【0017】
実施形態10:少なくとも約99.9%の純度を有する、実施形態9に記載のアザスタンナトラン。
【0018】
実施形態11:約0.1%未満のジアルキルスズ化合物を含有する、実施形態9又は10に記載のアザスタンナトラン。
【0019】
実施形態12:実施形態9~11のいずれかに記載のアザスタンナトランを形成するための方法であって、
式R1Sn(NMe2)3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリス(2-アミノエチル)アミンと反応させる工程を含む、方法。
【0020】
実施形態13:オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を実施形態1~6のいずれかに記載のスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【0021】
実施形態14:オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を実施形態9~11のいずれかに記載のアザスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【0022】
実施形態15:オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
実施形態1~6のいずれかに記載のスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【0023】
実施形態16:オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
実施形態9~11のいずれかに記載のアザスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたアザスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したアザスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【0024】
実施形態17:パターン化された(パターンが形成された)膜を形成するための方法であって、実施形態13に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【0025】
実施形態18:パターン化された膜を形成するための方法であって、実施形態14に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【0026】
実施形態19:パターン化された膜を形成するための方法であって、実施形態15に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【0027】
実施形態20:パターン化された膜を形成するための方法であって、実施形態16に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【0028】
実施形態21:連続膜を形成するための方法であって、実施形態13に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【0029】
実施形態22:連続膜を形成するための方法であって、実施形態14に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【0030】
実施形態23:連続膜を形成するための方法であって、実施形態15に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【0031】
実施形態24:連続膜を形成するための方法であって、実施形態16に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【0032】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、図面には現在好ましい実施形態が示される。しかし、本発明は、示される正確な配置及び手段に限定されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】
図1aは、本開示の一実施形態による1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【
図1b】
図1bは、本開示の別の実施形態による1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【
図2a】
図2aは、本開示の一実施形態による1-イソ-プロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【
図2b】
図2bは、本開示の別の実施形態による1-イソ-プロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【
図3a】
図3aは、本開示の一実施形態による1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【
図3b】
図3bは、本開示の別の実施形態による1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の態様は、初めに有機スズ膜を形成し、続いて、任意選択により場合によって加熱での乾燥による無機薄膜への変換及び/又はUV光、EUV光、若しくは電子ビーム放射への曝露によって高密度酸化スズナノ構造化材料を調製するために使用され得る、可溶性で、高い純度の環式スズ化合物の調製方法に関する。得られる膜は、高い光学密度及び他のスズ前駆体に固有であるか又は堆積プロセス中に副産物として形成されるジアルキルスズ種に関連する低減された揮発性副産物を有する。本明細書において排除される懸念の揮発性副産物は、加工中に揮発するが、チャンバー、露出、及びプロセス関連機器の表面に吸着し、ダウンタイム及び/又はフィーチャーの定義の損失を引き起こす。これらの不純物の生成は、アルキルスズ化合物のKocheshkov転位に関連する。
【0035】
より具体的には、本開示は、2つのクラスの環式スズ化合物、より簡便にはスタンナトランと称されるトリオキサ-アザ-1-スタンナビシクロ-[3.3.3]-ウンデカン、及びより簡便にはアザスタンナトランと称されるテトラアザ-1-スタンナビシクロ-[3.3.3]ウンデカンに関する。これらの環式スズ化合物は、Kocheshkov転位に抵抗性であり、ジアルキルスズ不純物の生成は、オキソスタンネート膜を形成するためのこれらの化合物の合成、精製又は堆積中に観察されない。これらの環式スズ化合物は、室温で安定であるが、蒸気又はエアロゾルとして固体基板と反応することができるか、又は溶液から基板上に堆積することができる。その後のUV照射への(特に極端UV放射への)曝露時に、これらの化合物は、それらの有機置換基を失って、収縮に抵抗するオキソスタンネート膜を形成する。膜は、電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリングによる制御露光によってパターン化(パターン形成)され得るか、又は適切なリソグラフィーマスクを利用して全面変換で変換されて、光学的に透明な酸化スズ導電膜をもたらし得る。この開示全体で示される構造式において、第三級窒素間の結合は、通常、配位結合と考えられるが、配位結合又は共有結合のどちらかとして示され得る。
【0036】
スタンナトラン及びアザスタンナトラン
本開示の態様によるスタンナトランは、一般式(I):
【化8】
を有する。
【0037】
式(I)中、R1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、好ましいR1基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びn-ブチルを含む。各R2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR2は水素ではない。好ましくは、各R2は、アルキル基、最も好ましくはメチル基である。R1及び/又はR2が置換されている場合、それらは、1つ又は複数のハロゲン原子(クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨード等、部分又は完全ハロゲン化を含む)、又はトリメチルシリル基で置換されていてもよい。
【0038】
例示的なスタンナトランは、下記に示される1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン、1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン、及び1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンを含む。
【化9】
【0039】
本開示の態様によるアザスタンナトランは、一般式(II):
【化10】
を有する。
【0040】
式(II)中、R1は、1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、好ましいR1基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びn-ブチルを含む。各R2は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状アルキル基である。各R3は、独立に、水素又は1~約10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR3は水素ではない。好ましくは、各R2及びR3は、アルキル基、最も好ましくはメチル基である。R1及び/又はR2及び/又はR3が置換されている場合、それらは、1つ又は複数のハロゲン原子(クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨード等、部分又は完全ハロゲン化を含む)、又はトリメチルシリル基で置換されていてもよい。
【0041】
例示的なアザスタンナトランは、下記に示される1-イソプロピル-2,5,8,9-テトラアザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンである。
【化11】
【0042】
式(I)及び(II)を有する好ましい化合物において、酸素及び窒素原子を架橋するCH2CH2基は置換されており、つまり、式(I)中のR2及び式(II)中のR3は、アルキル基、好ましくはメチルである。これらの化合物は、それらの非置換類似体より低い融点及び大きい溶解度を有するので好ましい。EUV又は他の堆積プロセスにおいて有効であるために、最も好ましいR1置換基は、エチル、イソプロピル、又はn-ブチル等の2つ以上の炭素を有するアルキル基である。
【0043】
本開示の態様によるスタンナトラン及びアザスタンナトランは、ニート(neat)又は溶液中のどちらでも熱安定性及び保存安定性を示す。具体的には、分解は、8時間のUV光曝露又は35℃での1週間の加熱後の本明細書に記載の化合物の溶液に観察されなかった。更に、スタンナトラン又はアザスタンナトランが、シス及びトランス異性体の混合物(これらは分離し、特性解析し得る)として合成される場合、そのような異性体混合物も安定である。
【0044】
本明細書に記載のスタンナトラン及びアザスタンナトランは、例えば、119Sn NMR等の公知の分析方法によって測定して98%超、99%超、99.5%超、99.7%超、99.8%超、99.9%超、又は更に高い、高純度を有する。具体的には、スタンナトラン及びアザスタンナトランは、低いレベルの(例えば、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又はより低い)ジアルキルスズ不純物、例えばとりわけジアルキルビス(ジメチルアミノ)スタンナンを含有する。純度分析の目的で、本明細書に記載の化合物のジアステレオマーは、同じ化合物とみなされ得る。
【0045】
方法
本開示の態様によると、式(I)を有するスタンナトランを作製する方法は、アルキルスズハライドのアルコキシル化を含む。具体的には、本開示による1つの方法は、アルカリ金属アルコキシドをトリイソプロパノールアミン及び式R1SnCl3を有するアルキルスズトリクロリドと反応させる工程を含む。適当な反応条件は、プロトン性又は非プロトン性であり得る特定の溶媒を含む日常的な実験によって決定され得る。好ましい実施形態では、方法は、トリイソプロパノールアミン(好ましくは、メタノール等の溶媒中)をナトリウムメトキシド等の過剰のアルカリ金属アルコキシドと、好ましくは、メタノール又はトリエチルアミン等の溶媒中で化合させる工程を含む。その後、アルキルスズトリクロリド(又は他のアルキルスズハライド)は、アルキルスズトリクロリドがトリイソプロパノールアミンに対して1:1のモル比で添加されるように、溶媒中(トルエン中等)の反応混合物に添加される。反応温度は、約60℃未満、好ましくは約20℃~約60℃等に制御される。反応の完了後(119Sn NMRによってモニタリングされ得る)、生成物は、分留等の公知の方法によって精製される。
【0046】
第2の方法は、式R1Sn(NMe2)3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリイソプロパノールアミンと反応させる工程を含む。適当な反応条件は、好ましくは、ヘキサン若しくはトルエン等のプロトン性溶媒、又はTHF等の非プロトン性溶媒である、特定の溶媒を含む日常的な実験によって決定され得る。好ましい実施形態では、方法は、アルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物及びトリイソプロパノールアミンが1:1のモル比で化合するように、アルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリイソプロパノールアミン(好ましくは、トルエン等の溶媒中)と化合させる工程を含む。反応温度は、約60℃未満、好ましくは約20℃~約60℃等に制御される。反応の完了後(119Sn NMRによってモニタリングされ得る)、生成物は、分留等の公知の方法によって精製される。
【0047】
本開示の別の態様によると、式(II)を有するアザスタンナトランを作製する方法は、オルガノスタンニルアミンのアミノ基転移を含む。具体的には、式(II)を有するアザスタンナトランは、式R1Sn(NMe2)3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリス(2-アミノエチル)アミンと反応させることによって調製され得る。適当な反応条件は、好ましくは、ヘキサン若しくはトルエン等のプロトン性溶媒、又はTHF等の非プロトン性溶媒である、特定の溶媒を含む日常的な実験によって決定され得る。好ましい実施形態では、方法は、アルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物及びトリス(2-アミノエチル)アミンが1:1のモル比で化合するように、アルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリス(2-アミノエチル)アミン(好ましくは、トルエン等の溶媒中)と化合させる工程を含む。反応温度は、約60℃未満、好ましくは約20℃~約60℃等に制御される。反応の完了後(119Sn NMRによってモニタリングされ得る)、生成物は、分留等の公知の方法によって精製される。
【0048】
膜
本明細書に記載のスタンナトラン及びアザスタンナトラン化合物から調製されるオキソスタンネート膜は、パターン化された構造への変換中の収縮に抵抗性であるか、又は連続膜のストレスクラッキングを低減した。それらは、可視波長領域において80%超の光透過を有し、電極を形成するのに十分な電気伝導率を有する膜を形成することもできる。
【0049】
本明細書に記載のオキソスタンネート膜は、代わりにSnO:H膜と記載され得る。膜は、電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリングによる制御された露光によってパターン化され得るか、又は適切なリソグラフィーマスクを利用して全面変換で変換されて、光学的に透明なフッ素ドープ酸化スズ導電膜をもたらし得る。
【0050】
本開示の態様によるオキソスタンネート膜を形成するための方法は、式(I)を有するスタンナトラン化合物又は式(II)を有するアザスタンナトラン化合物を気化させる又はそれらのエアロゾルを用意する工程と、基板を用意する工程と、気化又はエアロゾル化されたスタンナトラン又はアザスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、物理吸着又は化学吸着したスタンナトラン又はアザスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程とを含む。得られる膜は、高い純度を有し、ジアルキルスズ化合物混入を有しない。これらの工程の各々は、下記により詳細に記載される。
【0051】
第1の方法工程では、スタンナトラン又はアザスタンナトランは、窒素又はアルゴン等の担体ガス(キャリアガス)中への取り込みによって、又は適当な温度で、真空中での揮発によって、気化又はエアロゾル化され、次いで基板に輸送される。限定ではなく、1つ又は複数の金属層、絶縁材料、半導体材料、又は例えば、酸化物、窒化物、及びポリシリコン材料を含むそれらの組合せを含有する基板等の、膜を形成することが望ましい当技術分野で公知の任意の種類の基板が適当である。
【0052】
その後、気化又はエアロゾル化された前駆体は、CVD、ALD、又は同様の堆積プロセスに関連する標準的な技術を使用して、基板上に物理吸着又は化学吸着させる。
【0053】
次に、物理吸着又は化学吸着したスズ化合物は、水(好ましくは蒸気として)をパルス供給されて、加水分解的に不安定な置換基を除去し、それらをヒドロキシル基で置き換え(加水分解)、オルガノスタンナセスキオキサン(有機スズオキシドヒドロキシド)コーティングを形成する。その後の工程(照射)において、吸着されたコーティングは、Sn-C結合を断つ波長で放射(好ましくはEUV)に曝露される。約50mJ/cm2、より好ましくは10mJ/cm2未満の最大エネルギーレベルの照射が、基板への損傷を回避するために利用される。最終的に、Sn-C結合の全てが、周囲空気中の酸素又は水への曝露によって、照射と同時に又はその後に形成されるSn-O結合で置き換えられる。
【0054】
特に、スズに関連する極端紫外線の強い吸収が13.5nmで観察される。スズに結合しているほとんどの有機部分は、193nmの波長で紫外線の強い吸収及び230nmまで比較的強い吸収を有する。したがって、照射の適当な波長は、EUV及び深UVを含む13.5~280nmの範囲である。これらの波長での十分なエネルギー吸収では、金属-有機結合が開裂される。開裂反応と同時に又はその後に、スズ原子間の追加のオキソ架橋が、酸化、加水分解、又はヒドロキシル置換反応のいずれかによって形成される。
【0055】
本開示の態様によるオキソスタンネート膜を形成するための第2の方法は、基板を用意する工程と、基板を、式(I)を有するスタンナトラン又は式(II)を有するアザスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、コーティングされた基板に照射する工程と、照射された膜を酸化又は周囲空気中の水/水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程とを含む。得られる膜は、高い純度を有し、ジアルキルスズ化合物混入を有しない。
【0056】
適当な基板は、前に記載されている。スタンナトラン又はアザスタンナトランの溶液は、例えば、現在好ましいエタノール等のアルコール、又はTHF等の非プロトン性溶媒等の当技術分野で公知の又は開発される任意の溶媒中で調製され得る。溶媒中のスタンナトラン又はアザスタンナトランの濃度は、日常的な実験によって決定され得るが、例えば、約50~20質量%、好ましくは約10~15質量%であり得る。溶液を基板に塗布するための任意の公知の方法、例えば、浸漬コーティング又はスピンオン法等が用いられ得る。
【0057】
コーティングされた基板は、室温で、夜通し等の日常的な実験によって決定される十分な時間、又は熱変換を行うための約100℃~150℃、好ましくは約120℃~125℃等までの加熱(アニーリング)により乾燥される。最後に、コーティングされた基板は、前に記載されたように照射され、次いで、周囲空気中の酸素又は水分に曝露されてオキソスタンネート膜を形成する。
【0058】
理論に拘束されることを望むものではないが、現在特許請求されている方法工程及びスタンノキサン結合を形成するためのスズ-ヒドロキシル基の縮合プロセスは、一部のレベルで望ましい、より高密度な膜をもたらすと考えられるが、リソグラフィープロセスの忠実度に影響を及ぼすか、又は連続膜にストレスクラッキングを誘発する、収縮及び歪みももたらし得る。したがって、本明細書に記載の方法によって調製される膜は、放射曝露後の膜の収縮を低減する目的を達成する。しかし、十分な光学的断面積、基板上の膜形成、線量感度(感光性)、保存安定性(熱安定性)、揮発性成分(露光中又は化合物に固有のガス放出)を含む他の重大な性能要件が満たされなければならない。これらの要件の各々は、以下に詳細に記載される。
【0059】
<高い光学的断面積>
スズ-オキソクラスター/ポリマー材料は、有望なEUVレジストであることが証明されている。とりわけ、基板材料の表面上のヒドロキシ末端SnOx下層は、イメージング層の照射時に放射の吸収を強め、2次電子を基板から生成して、追加のEUV光子を更に収集することができ、EUVパターニングプロセスをより高感度にし、イメージング層露光に必要な要求されるEUV線量を低減する。周期表の元素の中でも、スズは、とりわけ高い光学的断面積を有する。
【0060】
<膜形成-基板反応性>
金属-有機(RMX3)化合物は、加水分解性リガンド-金属結合を含まなければならず、Xは、加水分解性M-X結合を有するリガンドである。本明細書に記載の化合物中、Rはアルキル基(R1)であり、Xは、3つの窒素架橋又は3つの酸素架橋を表す。特に、適当な有機スズ化合物は、CVD、ALD、又はスピンオンによって、膜/ポリマー/クラスターをウエハー表面に形成することができなければならない。塗布又は堆積が、凝縮相スピンオンである場合、クラスターが、堆積前に液体前駆体中に形成され得るが、これは典型的には、より大きな収縮を引き起こす。
【0061】
<線量感度(感光性)>
アルキル基を含む又はアルキル基が末端にあるSnOx薄膜の膜イメージング層は、それらが、EUV光での照射時に、ベータ-ヒドリド脱離等のスズ-炭素結合開裂を受けるように選択されるので、環式スズ化合物のR基は、EUVレジスト材料のUV感度として重要な役割を果たすと考えられる。EUVパターニング工程において、アルキル基は開裂されて、Sn-H結合の領域が残り得るが、非露光表面はアルキル末端のままである。EUVへの曝露後の膜は、変化をし、すなわち以下に限定されないが、低密度M-OHリッチ材料中の金属原子に結合した有機ペンダント置換基の喪失を受け、より高密度なM-O-M結合金属酸化物材料へのそれらの架橋結合が可能になる。スズヒドリドと記載され得るSn-H結合は、酸化的及び加水分解的に感受性であり、酸化物を形成する。スズヒドリドの加水分解反応は水素を生成し、これは、揮発性副産物であるが、夾雑物として作用はしない。
【0062】
<保存安定性>
スズ化合物は、Kocheshkov均化反応とも称される不均化反応を受ける強い傾向を有する。この反応は、温度上昇と共に加速される。半導体生産ラインに適合する温度、およそ20~35℃での保存安定性が、非常に望ましい。材料の性能において、水分感受性を意味する水分反応性の要件が暗示されている。したがって、製造品として材料及び長期保存を供給する限り、保存安定性が考慮されなければならない。
【0063】
<揮発性成分>
スズ化合物は、蒸着法によって基板に輸送されるのに十分な揮発性を有しなければならないが、揮発性であり、基板と反応性でない成分は、非標的領域へと拡散するので、最小化されなければならない。これらの揮発性成分の典型的な供給源は、製造又は保存中の均化及び放射曝露中に形成される非均化副産物から生じる。
【0064】
本開示はまた、パターン化された(パターン形成された)膜を形成するための方法であって、本明細書に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法に関する。
【0065】
本開示はまた、連続膜を形成するための方法であって、本明細書に記載のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明なオキソスタンネート導電膜を得る工程とを含む方法に関する。
【0066】
本発明は、これから以下の非限定的な実施例に関連して記載される。
【実施例】
【0067】
(実施例1: 1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンの合成)
【化12】
【0068】
不活性雰囲気下、機械式撹拌機、ポット温度計、サーモウェル、及び添加漏斗を備えた2Lの四口丸底フラスコに124g(0.65mol)のトリイソプロパノールアミン及び235mLのメタノールを入れた。フラスコに421g(1.95mol)のメタノール中ナトリウムメトキシドの25%w/w溶液を添加した。次に、ポット温度を40℃未満に維持しながら、550mLのトルエン中の183gのn-BuSnCl3(0.65mol)の溶液をフラスコに、1時間にわたり滴下添加した。反応の進行は、119Sn NMRによってモニタリングした。反応が完了した後、反応物を120℃のポット温度までストリッピングし、得られた濃縮物をエアフリーフィルターで濾過した。生成物を減圧で、ビグリューカラムによる分留によって精製して(136~9℃で、0.5torrで単離した)、147g(61%)の濃厚な淡黄色油状物を得た。生成物は、1H及び119Sn NMR分光法によって、表1に示される特性を有する約3:1の比を有する一対のジアステレオマーとして確認された。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0069】
UV曝露:生成物を8時間の照明に曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0070】
熱曝露:生成物を35℃の熱に1週間曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0071】
【0072】
(実施例2: 1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンの合成)
【化13】
【0073】
不活性雰囲気下、磁気撹拌機、ポット温度計、サーモウェル、及び添加漏斗を備えた500mLの三口丸底フラスコに38.25g(0.20mol)のトリイソプロパノールアミン及び73mLのメタノールを入れた。フラスコに、130g(0.60mol)のメタノール中ナトリウムメトキシドの25%w/w溶液を添加した。次に、ポット温度を40℃未満に維持しながら、162mLのトルエン中の64.42g(0.20mol)のCF3CH2CH2SnCl3の溶液をフラスコに1時間にわたり滴下により添加した。反応の進行を119Sn NMRによってモニタリングした。反応が完了した後、反応物を120℃のポット温度までストリッピングし、得られた濃縮物をエアフリーフィルターで濾過した。生成物を減圧蒸留(126~128℃で、0.3torrで単離した)によって精製して56.6g(70%)の結晶性淡黄色固体を得た。生成物は、1H及び119Sn NMR分光法によって、表2に示される特性を有する約3:1の比を有する一対のジアステレオマーとして確認された。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0074】
UV曝露:飽和シクロヘキサン溶液中の生成物を8時間の照明に曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0075】
熱曝露:飽和シクロヘキサン溶液中の生成物を35℃の熱に1週間曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0076】
【0077】
(実施例3:1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンの合成)
【化14】
【0078】
不活性雰囲気下、57.0g(0.194mol)のイソプロピルトリス(ジメチルアミノ)スズを、磁気撹拌機、ポット温度計、サーモウェル、及び添加漏斗を備えた200mLの三口丸底フラスコに入れた。ポット温度を40℃未満に維持しながら、43mLのトルエン中の37.02g(0.194mol)のトリイソプロパノールアミンの溶液をフラスコに滴下により添加した。反応物を2時間撹拌し、119Sn-NMRによってモニタリングした。完了後、生成物を反応混合物から減圧蒸留(0.3torrで、108~110℃)によって単離して、93~94℃の融点を有する41.1g(65%)の白色結晶性固体を得た。生成物は、1H及び119Sn NMR分光法によって、表3に示される特性を有する約2.5:1の比を有する一対のジアステレオマーとして確認された。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0079】
UV曝露:飽和シクロヘキサン溶液中の生成物を8時間の照明に曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0080】
熱曝露:飽和シクロヘキサン溶液中の生成物を35℃の熱に1週間曝露し、分解の痕跡は、119Sn又は1H NMRスペクトルのどちらでも観察されなかった。生成物試料の分解の兆候は観察されなかった。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0081】
【0082】
(実施例4:1-イソプロピル-2,5,8,9-テトラアザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンの合成)
【化15】
【0083】
不活性雰囲気下、132.30g(0.45mol)のイソプロピルトリス(ジメチルアミノ)スズを、磁気撹拌機、ポット温度計、サーモウェル、及び添加漏斗を備えた500mLの三口丸底フラスコに入れた。ポット温度を40℃未満に維持しながら、75.90mLのトルエン中の65.80g(0.45mol)のトリス(2-アミノエチル)アミンの溶液をフラスコに滴下により添加した。反応物を2時間撹拌し、119Sn-NMRによってモニタリングした。完了後(ガス放出が停止した)、反応混合物中の90%の溶媒を真空蒸留によって除去して固体生成物混合物を得て、乾燥ヘキサンを添加して、58℃の融点を有する表題化合物:107.4g(83.78%)の淡黄色固体を沈殿させた。生成物は、1H及び119Sn NMR分光法によって確認され、表4に示される特性を有した。119Sn NMRによって、0.1%未満の濃度のジアルキルスズ種しか観察されなかった。
【0084】
【0085】
(実施例5:1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンによるシリコンウエハーの表面修飾)
全ての操作は、実験室の周囲条件において行われた。シリコンウエハーを洗浄し、120℃(又は室温)に設定されたホットプレートを使用してドライボックス中で乾燥させた。実施例1で調製された通りの0.20gの1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンを15.1gの無水EtOHに入れ、45℃で30分間撹拌した。試料を二通り調製した。試料Aは溶液に5分間浸け、120℃で5分間乾燥させ、試料Bは溶液に5分間浸け、次いで室温で夜通し乾燥させた。試料A及びBのXPSスペクトルは、
図1a及び
図1bに示されている。
【0086】
図1aは、5分間浸漬し、120℃で5分間乾燥させた後の、1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルであり、
図1bは、5分間浸漬し、室温で夜通し乾燥させた後の、1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルである。これらのスペクトルは、オキソスタンネート膜がシリコンウエハー上に上手く堆積されたことを証明している。
【0087】
(実施例6:1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンによるシリコンウエハーの表面修飾)
全ての操作は、実験室の周囲条件において行われた。シリコンウエハーを洗浄し、120℃(又は室温)に設定されたホットプレートを使用してドライボックス中で乾燥させた。実施例3で調製された通りの0.20gの1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンを15.1gの無水EtOHに入れ、45℃で30分間撹拌した。試料を二通り調製した。試料Aは、溶液に5分間浸漬し、120℃で5分間乾燥させ、試料Bは、溶液に5分間浸漬し、次いで室温で夜通し乾燥させた。試料A及びBのXPSスペクトルは、
図2a及び
図2bに示されている。
【0088】
図2aは、5分間浸漬し、120℃で5分間乾燥させた後の、1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルであり、
図2bは、5分間浸漬し、室温で夜通し乾燥させた後の、1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルである。これらのスペクトルは、オキソスタンネート膜がシリコンウエハー上に上手く堆積されたことを証明している。
【0089】
(実施例7:1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンによるシリコンウエハーの表面修飾)
全ての操作は、実験室の周囲条件において行われた。シリコンウエハーを洗浄し、120℃(又は室温)に設定されたホットプレートを使用してドライボックス中で乾燥させた。実施例2で調製された通りの0.20gの1-(3,3,3-トリフルオロプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンを15.1gの無水EtOHに入れ、45℃で30分間撹拌した。試料を二通り調製した。試料Aは、溶液に5分間浸漬し、120℃で5分間乾燥させ、試料Bは、溶液に5分間浸漬し、次いで室温で夜通し乾燥させた。試料A及びBのXPSスペクトルは、
図3a及び
図3bに示されている。
【0090】
図3aは、5分間浸漬し、120℃で5分間乾燥させた後の、1-(3,3,3-トリフルオロプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルであり、
図3bは、5分間浸漬し、室温で夜通し乾燥させた後の、1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカンでコーティングされたシリコンウエハーのXPSスペクトルである。これらのスペクトルは、オキソスタンネート膜がシリコンウエハー上に上手く堆積されたことを証明する。
【0091】
変更が上記の実施形態に、その広範な発明概念から逸脱することなく行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、この発明は、開示される特定の実施形態に限定されないことが理解されるが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内の改変を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R
1は、1
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3
~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
2は水素ではないことを条件とする)
を有するスタンナトラン。
【請求項2】
式1-n-ブチル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化2】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項3】
式1-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化3】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項4】
式1-イソプロピル-3,7,10-トリメチル-2,8,9-トリオキサ-5-アザ-1-スタンナビシクロ[3.3.3]ウンデカン:
【化4】
を有する、請求項1に記載のスタンナトラン。
【請求項5】
少なくと
も99.9%の純度を有する、請求項
1に記載のスタンナトラン。
【請求項6】
0.1%未満のジアルキルスズ化合物しか含まない、請求項
1に記載のスタンナトラン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
アルカリ金属アルコキシドをトリイソプロパノールアミン及び式R
1SnCl
3を有するアルキルスズトリクロリド化合物と反応させる工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを形成するための方法であって、
式R
1Sn(NMe
2)
3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリイソプロパノールアミンと反応させる工程を含む、方法。
【請求項9】
式(II):
【化5】
(式中、R
1は、1
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基、3
~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、又は2
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基であり、各R
2は、独立に、水素又は1
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、各R
3は、独立に、水素又は1
~10個の炭素原子を有する置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、但し、少なくとも1つのR
3は水素ではないことを条件とする)
を有するアザスタンナトラン。
【請求項10】
少なくと
も99.9%の純度を有する、請求項9に記載のアザスタンナトラン。
【請求項11】
0.1%未満のジアルキルスズ化合物しか含まない、請求項
9に記載のアザスタンナトラン。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランを形成するための方法であって、
式R
1Sn(NMe
2)
3を有するアルキルトリス(ジメチルアミノ)スズ化合物をトリス(2-アミノエチル)アミンと反応させる工程を含む、方法。
【請求項13】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を、請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項14】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
基板を用意する工程と、
基板を、請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランの溶液でコーティングする工程と、
コーティングされた基板を乾燥及び/又は加熱する工程と、
コーティングされた基板に照射する工程と、
照射された基板を酸素又は水分に曝露してオキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項15】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載のスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項16】
オキソスタンネート膜を形成するための方法であって、
請求項9から11のいずれか一項に記載のアザスタンナトランを気化させる又はそのエアロゾルを用意する工程と、
基板を用意する工程と、
気化又はエアロゾル化されたアザスタンナトランを基板上に物理吸着又は化学吸着させる工程と、
物理吸着又は化学吸着したアザスタンナトランを一連の加水分解及び照射工程、続いて、酸化又は第2の加水分解性曝露に曝露して、オキソスタンネート膜を基板上に形成する工程と
を含む、方法。
【請求項17】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項13に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項18】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項14に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項19】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項15に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項20】
パターン化された膜を形成するための方法であって、請求項16に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、膜を電子ビーム若しくはレーザーでのラスタリング又はリソグラフィーマスキングによる非連続放射に曝露する工程とを含む方法。
【請求項21】
連続膜を形成するための方法であって、請求項13に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項22】
連続膜を形成するための方法であって、請求項14に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項23】
連続膜を形成するための方法であって、請求項15に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【請求項24】
連続膜を形成するための方法であって、請求項16に規定のオキソスタンネート膜を調製する工程と、適切なリソグラフィーマスクを利用して膜をブランケット露光に曝露して、光学的に透明な酸化スズ導電膜を得る工程とを含む方法。
【国際調査報告】