(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】閉ループ脳深部刺激のためのシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
A61N 1/365 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
A61N1/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024540857
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2023060521
(87)【国際公開番号】W WO2023137354
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504291867
【氏名又は名称】ザ クリーヴランド クリニック ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】THE CLEVELAND CLINIC FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー ケネス ビー
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル ブレット エー
(72)【発明者】
【氏名】マチャド アンドレ ジー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK01
4C053KK07
4C053KK10
(57)【要約】
【課題】固定パラメータでの長期刺激の限界に対処するシステム、デバイス、及び/又はプロセスを提供する。
【解決手段】方法は、神経生理活動データをコントローラによって受信する段階と、患者に関するバイオメトリックデータをコントローラによって受信する段階と、神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分をコントローラによって識別する段階と、患者に関するバイオメトリックデータに基づいて1又は2以上の重み付け成分の各々にコントローラによって重みを割り当てる段階と、1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいてDBSを印加するか否かをコントローラによって決定する段階と、決定に基づいてDBSの印加をコントローラによって命令する段階とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に脳深部刺激(DBS)を印加する時及び/又は方法を識別する方法であって、
神経生理活動データをコントローラによって受信する段階と、
前記患者に関するバイオメトリックデータを前記コントローラによって受信する段階と、
前記神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分を前記コントローラによって識別する段階と、
前記患者に関する前記バイオメトリックデータに基づいて、前記1又は2以上の重み付け成分の各々に前記コントローラによって重みを割り当てる段階と、
前記1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいて、前記DBSを印加するか否か、印加する時、及び/又は印加する方法を前記コントローラによって決定する段階と、
前記決定に基づいて、前記DBSの印加を前記コントローラによって命令する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記DBSに続いて前記コントローラによってフィードバックデータを受信する段階と、
前記DBSを刺激するのに十分な判断基準のレベルが満足されるか否かを前記コントローラによって決定するために、前記フィードバックデータに基づいてアルゴリズムを訓練する段階と、
前記決定に基づいて、前記DBSの印加を前記コントローラによって命令する段階と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記神経生理活動データは、局所電場電位、単一及び多重ユニット神経活動、心拍数、心拍数変動、及び/又は筋反応のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者に関する前記バイオメトリックデータは、前記患者の意識の状態及び/又は前記患者の活動レベルのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記DBSを印加するか否かを決定する段階は、受信神経生理データの周波数、前記受信神経生理データの周波数帯域の位相、個々のユニット活動のスパイク、前記受信神経生理データの多重ユニット活動の位相の一致、及び/又は時限ロック式神経信号のうちの少なくとも1つに対するベンチマークの少なくとも1つを識別する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者に課題を完了するように命令する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオメトリックデータは、前記患者が課題を完了するように命令された時、課題を完了するプロセスにある時、及び/又は課題を完了した時に収集される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記課題は、1又は2以上の運動課題を含む、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上の運動課題は、影響を受ける体肢を移動する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオメトリックデータは、前記患者が休息している時に収集される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記訓練されたアルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム及び発見的アルゴリズムのうちの1又は2以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
印加を命令する前記段階は、運動計画の1又は2以上のフェーズに対する及び/又は運動実行の1又は2以上のフェーズに対する刺激のタイミングを調節する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記患者は、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、又は他の神経障害を含む1又は2以上の病態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
被験者の脳卒中を治療する方法であって、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の前記方法に従って閉ループ脳深部刺激を印加する段階、
を含む方法。
【請求項15】
患者に脳深部刺激(DBS)を印加する時及び/又は印加する方法を識別するためのシステムであって、
神経生理活動データを受信するように構成されたコントローラ、
を含み、
前記コントローラは、前記患者に関するバイオメトリックデータを受信するように更に構成され、
前記コントローラは、前記神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分を識別するように更に構成され、
前記コントローラは、前記患者に関する前記バイオメトリックデータに基づいて、前記1又は2以上の重み付け成分の各々に重みを割り当てるように更に構成され、
前記コントローラは、前記1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいて、前記DBSを印加するか否かを決定するように更に構成され、かつ
前記コントローラは、前記訓練されたアルゴリズムに応答して前記DBSの印加を命令するように更に構成される、
システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記DBSに続いてフィードバックデータを受信するように更に構成され、
前記コントローラは、前記DBSを刺激するのに十分な判断基準のレベルが満足されるか否かを決定するために、前記フィードバックデータに基づいてアルゴリズムを訓練するように更に構成され、かつ
前記コントローラは、前記決定に基づいて、前記DBSを印加するように更に構成される、
ことを更に含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記神経生理活動データは、局所電場電位、単一及び多重ユニット神経活動、心拍数、心拍数変動、及び/又は筋反応のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記患者に関する前記バイオメトリックデータは、前記患者の意識の状態及び/又は前記患者の活動レベルのうちの少なくとも一方を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記DBSを印加するか否かを決定するように更に構成され、受信神経生理データの周波数、前記受信神経生理データの周波数帯域の位相、個々のユニット活動のスパイク、前記受信神経生理データの多重ユニット活動の位相一致、及び/又は時限ロック式神経信号のうちの少なくとも1つに対するベンチマークの少なくとも1つを識別する段階を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは、課題を完了するように前記患者に命令するように更に構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記患者が課題を完了するように命令された時、課題を完了するプロセスにある時、又は課題を完了した時に前記バイオメトリックデータが収集されるように更に構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記課題は、1又は2以上の運動課題を含む、請求項20又は請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記1又は2以上の運動課題は、影響を受ける体肢を移動する段階を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記訓練されたアルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム及び発見的アルゴリズムのうちの1又は2以上を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、運動計画の1又は2以上のフェーズに対する又は運動実行の1又は2以上のフェーズに対する刺激のタイミングを調節するように更に構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項26】
前記患者は、脳卒中、外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、又は他の神経障害を含む1又は2以上の病態を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記バイオメトリックデータは、前記患者が休息している時に収集される、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2022年1月12日出願の米国仮特許出願第63/298,896号の利益を主張するものであり、その全体は、本明細書に引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明の開示は、閉ループ脳深部刺激のためのシステムに関する。本発明の開示は、更に、閉ループ脳深部刺激のためのプロセスに関する。本発明の開示は、更に、脳卒中リハビリテーションのための閉ループ脳深部刺激のためのシステムに関する。本発明の開示は、更に、脳卒中リハビリテーションのための閉ループ脳深部刺激のためのプロセスに関する。本発明の開示の態様では、患者に脳深部刺激(DBS)のアプリケーションを適用する時及び/又は方法を識別する方法及びシステムを開示する。
【背景技術】
【0003】
神経系の電気刺激は、様々な疾患状況にわたって患者に機能的及び治療的利益を提供する確立された方法である。一般的な刺激療法は、脳内の特定の構造に電極が置かれ、この埋め込み部位にある組織に電流が送出されるDBSである。得られる神経活性化は、患者に治療的利益を提供する。
【0004】
刺激設定値は、最初に疾患アプリケーション、デバイス、及びそれらの脳内の場所によって誘導される場合がある。接点選択、刺激振幅、及び周波数のような他のパラメータは、治療的利益を達成するように電流の送出を更に微調整する場合がある。多くのDBSアプリケーションは、固定パラメータでの長期刺激を利用する。しかし、固定パラメータでの長期刺激は、患者に限られた利益のみを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、必要とされるものは、固定パラメータでの長期刺激の限界に対処するシステム、デバイス、及び/又はプロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の必要性は、本発明の開示によって大きな程度まで満足される。
【0007】
1つの一般的態様では、方法は、神経生理活動データをコントローラによって受信する段階を含む。本方法は、これに加えて、患者に関するバイオメトリックデータをコントローラによって受信する段階を含む。本方法は、更に、神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分をコントローラによって識別する段階と、患者に関するバイオメトリックデータに基づいて、1又は2以上の重み付け成分の各々に重みをコントローラによって割り当てる段階と、1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいて、DBSを印加するか否か、印加する時、又は印加する方法をコントローラによって決定する段階と、決定に基づいて、DBSの印加をコントローラによって命令する段階とを含む。
【0008】
1つの一般的態様では、システムは、神経生理活動データを受信するように構成されたコントローラを含む。システムは、これに加えて、コントローラが、患者に関するバイオメトリックデータを受信するように更に構成されることを含む。システムは、更に、コントローラが、神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分を識別するように更に構成されること、コントローラが、患者に関するバイオメトリックデータに基づいて、1又は2以上の重み付け成分の各々に重みを割り当てるように更に構成されること、コントローラが、1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいて、DBSを印加するか否か、DBSを印加する時、及び/又はDBSを印加する方法を決定するように更に構成されること、及びントローラが、訓練されたアルゴリズムに応答してDBSの印加を命令するように更に構成されることを含む。
【0009】
本明細書での本発明の開示の詳細説明をより良く理解することができるようにかつ当業技術への本発明の寄与をより良く認めることができるように、本発明の開示のある一定の態様を比較的広義にこのように概説した。当然ながら、下記で説明することになり、かつ本明細書に添付の特許請求の範囲の主題を形成することになる本発明の開示の追加の態様が存在する。
【0010】
この点に関して、本発明の開示の少なくとも1つの態様を詳細に説明する前に、本発明の開示は、その適用において以下の説明に列挙する又は図面に例示する構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことは理解されるものとする。本発明の開示は、説明するものに追加される態様を受け入れる余地があり、様々な方法を用いて実施及び実行することができる。同じく本明細書並びに要約で使用する表現法及び用語法は、説明目的であり、限定的なものと見なすべきではないことは理解されるものとする。
【0011】
従って、当業者は、本発明の開示が基づく概念を本発明の開示のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、及びシステムの設計に対する基礎として容易に利用することができることを認めるであろう。従って、特許請求の範囲は、そのような均等な構成をそれらが本発明の開示の精神及び範囲から逸脱しない限り含むように見なされることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の開示の態様によるDBSシステムを構成するのに使用することができるシステムを示す図である。
【
図2】本発明の開示の態様によるコントローラの例示的な詳細を示す図である。
【
図3】本発明の開示の態様による閉ループシステムの図である。
【
図4A】本発明の開示の態様による患者の脳幹、間脳、又は大脳に接続する小脳経路を刺激して患者を治療するためにDBSを印加するか否か、印加する時、及び/又は印加する方法を決定する方法を示すプロセス流れ図である。
【
図4B】本発明の開示の態様による患者の脳幹、間脳、又は大脳に接続する小脳経路を刺激して患者を治療するためにDBSを印加するか否か、印加する時、及び/又は印加する方法を決定する方法を示すプロセス流れ図である。
【
図5A】本発明の開示の態様による周波数ベースの刺激判断基準プロセスに関する流れ図である。
【
図5B】本発明の開示の態様による位相ベースの刺激判断基準プロセスに関する流れ図である。
【
図5C】本発明の開示の態様によるスパイクベースの刺激判断基準プロセスに関する流れ図である。
【
図5D】本発明の開示の態様による刺激プロセスのための判断基準としての時限ロック式神経信号に関する流れ図である。
【
図6】本発明の開示の態様による例示的連携刺激パラダイムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の開示の態様は、機能的及び治療的利益を達成するための刺激をより的確に最適化することができる適応的手法に関する。刺激を誘導する際に生理活動を閉ループシステム内に組み込むことにより、排除のための病理活性をより的確に絞り込む又はDBSの印加時の神経修復を容易にすることができる。
【0014】
この点に関して、脳卒中後リハビリテーションは、DBSの印加から利益を達成することができる1つの分野である。虚血性脳卒中は、依然として身体障害の主要原因であり、身体的リハビリテーション以外に脳卒中後治療のオプションは殆どない。脳卒中が発生した後に運動転帰を改善するためには脳卒中領域(すなわち、病変周囲皮質)に隣接する部位の機能再構成が非常に重要である場合がある。病変周囲皮質の機能再構成は、電気刺激に応答して発生する場合がある。DBSは、身体的リハビリテーションと共に脳卒中後リハビリテーションとして使用することができ、脳の神経可塑性の増大を誘導することができる。具体的には、歯状核を経由した歯状視床皮質回路の刺激は、神経可塑性を高めることができ、それによって虚血性損傷に隣接する病変周囲皮質の機能再構成を支援することができる。機能再構成に応答して、脳卒中後患者は、運動改善を体感することができる。
【0015】
神経可塑性の促進は、電気刺激の送出のタイミングと性質とに依存する場合がある。刺激の連続送出は理想的でない場合があり、組織疲労又は他の治療障害がもたらされる場合がある。更に、連続電気刺激送出は、治療からもたらされる適応特性を考慮せず、基礎的な神経活性化を考慮せず、時機を失した又は利益のない時点で脳を刺激する場合がある。病変周囲皮質の最大の再構成を達成するために、利益を増強させ、大脳活動及び/又は脳活動の慢性的な氾濫、疲労、又は好ましい刺激利益に対する馴化を回避する正確な時点で神経可塑性を容易にする必要がある場合がある。脳が機能再構成を最も受け入れやすい時の代用物として生理事象及び/又は挙動事象を使用することができる。これらの事象は、改善を最大に高めるための刺激に対する時限ロックとして使用することができる(すなわち、閉ループ)。閉ループシステムは、神経系がどのように反応するかの生体フィードバックに基づいて刺激パラメータを適応させる機能を有することができる。刺激パラメータの例は、振幅、パルス幅、1又は複数の周波数、バースト速度、バースト回数、位相配向、電圧、電流、オンタイム期間、オフタイム期間、パルス数、及び/又はこれらのあらゆる組合せを含むことができるがそれらに限定されない。更に、閉ループシステムは、排除及び/又は増強のための神経活動を絞り込むことができる。システムは、改善されたタイミングによって利益を改善し、リハビリテーションプロセスに対して利益がないか又は有害である可能性があるタイミング不足を回避することができ、更に他の疾患モダリティ及びリハビリテーション状況での適用を可能にすることができる。
【0016】
DBSの連続送出を生体フィードバックを用いて修正することにより、治療的利益を改善することができる。生体フィードバックは、例えば、脳波検査(EEG)、筋電図検査(EMG)、皮質脳波検査(ECoG)、運動機能測定、及び/又は運動実行測定などを含む1又は2以上の手段によって取得された電気生理フィードバック及び/又は力学的フィードバックなどを含むことができる。閉ループシステムでの使用に重要な刺激利益インジケータを識別するための一連の段階を使用することができる。DBSシステムは、ある一定の判断基準が1人の患者に対して別の患者と比較して適切性が高い可能性があることを考慮した上で、これらのベンチマークをいくつも組み込むことができ、従って、メトリック間の重み及び関係に柔軟性を持たせることができる。患者の覚醒レベル(すなわち、活発、快活、睡眠状態)、発声、運動活動(すなわち、歩行中又は腕を移動している)、運動計画(すなわち、上肢の移動を計画する又は歩行を開始することに合致した脳波活動)、気分(自律性インジケータ、顔特徴、又は他の尺度によって測定された)、及び/又は他のバイオメトリックレベルの分析は、患者の脳がリハビリテーションの手法を最も受け入れやすい時点を示すことができる。例は、運動計画のフェーズに対して刺激のタイミングを調節すること、運動実行のフェーズに対して刺激のタイミングを調節すること、及び/又は神経活動の記録のタイミングを調節することを含む。
【0017】
本明細書に開示するDBSシステムは、虚血性脳卒中及び/又は出血性脳卒中などの外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、及び/又は他の神経障害を含む脳卒中の場合に有益である場合もある。
【0018】
本明細書に開示する方法及びシステムは、DBSを患者に印加する時を決定するアルゴリズムの中に神経生理活動を主要入力メトリックとして組み込むことができる。神経生理活動は、局所電場電位(すなわち、皮質脳波検査結果、脳波検査結果、及び筋電図検査結果)、単一及び多重ユニットの神経活動、心拍数、心拍数変動、及び例えば筋電図検査による筋反応を含むことができるがそれらに限定されない。これらの信号は、電気刺激を印加するか否かを決定することへの組み入れに向けて各信号の関連成分を分離することができるデータ取得システムによって更に処理することができる。電気刺激を印加するための判断基準が満足された場合に、DBSを印加することができる。更に、刺激は、それを手動で開始するために内部パルス発生器と無線通信する外部トリガを通じたユーザ入力によって開始することができる。患者又は臨床医は、自宅又は臨床状況でリハビリテーションデバイス又はリハビリテーション活動の積極的な使用最中に刺激を手動で起動することができる場合がある。
【0019】
図1は、本発明の開示の態様によるDBSシステムを構成するのに使用することができるシステムを示している。
【0020】
特に、
図1は、患者での神経障害を治療するために患者の脳幹、間脳、及び/又は大脳などに接続する小脳経路を刺激するようにDBSシステム200を構成するのに使用することができるシステム10を描いている。システム10は、DBSシステム200に接続すること、DBSシステム200の中に組み込むこと、及び/又はDBSシステム200によって制御することなどができる。更に、システム10は、刺激決定システム及び/又はDBS制御システムなどとして実施することができる。
【0021】
システム10は、コントローラ12を含むことができる。コントローラ12は、患者の体内部分13からデータを受信するように構成することができる。ある一定の態様では、体内部分13からのデータは、1又は2以上のDBS電極15によって取得及び/又は記録することができる。コントローラ12は、神経刺激器14からデータを受信するように構成することができる。神経刺激器14は、患者の体内及び/又は患者の体外に存在させることができる。
【0022】
これに加えて、コントローラ12は、患者の体外部分16からのデータを1又は2以上のEEG頭皮電極17(脳波図電極)から受信するように構成することができる。ある一定の態様では、受信データは、患者が休息している間に受信される自発神経活動を含むことができる。他の態様では、受信データは、患者が課題構成要素18を用いて運動課題を実行することに応答して受信されるデータを含むことができる。コントローラ12は、体内部分13に関するデータを有線接続及び/又は本明細書で定める通信チャネルを実行した無線接続などを通して受信することができる。
【0023】
これに加えて、コントローラ12は、機能的近赤外線分光測定(fNIRS)デバイス80を用いた体外部分16からのデータを受信するように構成することができる。ある一定の態様では、fNIRSデバイス80は、近赤外線光を使用することによって脳活動を測定し、神経活動に応答して発生する可能性がある皮質血挙動態活動を推定する。ある一定の態様では、fNIRSデバイス80は、発光器及び光検出器を実施する及び/又はそれを含む。fNIRSデバイス80の発光器及び光検出器は、患者の頭蓋骨上に配置することができる。更に、fNIRSデバイス80の発光器は、光を放出することができ、光検出器は、発光器からの光を感受してシステム10に関する測定値を生成することができる。ある一定の態様では、体外部分16からのデータは、コントローラ12と通信することができる埋め込み皮質脳波検査(ECoG)ストリップ及び/又は筋電図検査器(図示せず)などからのデータのような侵襲的記録を更に含む。
【0024】
態様では、体内部分13は、コントローラ12を少なくとも部分的に実施することができる実施可能なシステム、デバイス、及び/又はハードウエアなどとすることができる。態様では、体内部分13は、コントローラ12を少なくとも部分的に実施することができる実施可能なECoG型のシステム、デバイス、ハードウエアなどとすることができる。
【0025】
コントローラ12は、1又は2以上の入出力デバイス19を含むことができる。ある一定の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、システム10及び/又はコントローラ12からの指令に応答して患者及び/又は医療専門家に命令を与えるように構成することができる。ある一定の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、DBSシステム200に関する出力構成を提供するように構成することができる。ある一定の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、システム10、コントローラ12、DBSシステム200などを制御するように構成することができる。
【0026】
ある一定の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、ボタン、ソフトキー、マウス、音声作動式制御器、タッチ画面、キーボード、スピーカ、マイクロフォン、カメラ、及び/又は音声通知などを含むことができる。1又は2以上の入出力デバイス19は、システム10、DBSシステム200、及び/又はコントローラ12などからの出力を視覚通知を含むグラフィカルユーザインタフェースを通して提供するように構成することができる。
【0027】
体内部分13は、1又は2以上のDBS電極15が患者の脳内で、例えば、歯状核と接触し又はそれに隣接し、神経刺激器が脳から離れた場所にある(患者の体外にあるか又は患者の皮膚の下に埋め込まれる)状態で患者の体内に埋め込むことができる。一部の実施形態では、体外部分16は、患者の体内に埋め込まれない。態様では、体内部分13は、ECoG、深部電極、及び/又はDBSリード上の他の接点などのような他の埋込可能ハードウエアを含むことができる。埋込可能ハードウエアからのデータは、本明細書に説明するフィードバックの部分を形成することができる。
【0028】
1又は2以上のEEG頭皮電極17を複数の電極として示すが、1又は2以上のEEG頭皮電極17は、患者の頭のサイズと1よりも多いこととによって制限される1又は2以上のEEG頭皮電極17のあらゆる数の実施を含むものと理解しなければならない。例えば、1又は2以上のEEG頭皮電極17の実施の数は、必要に応じて、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個の電極、又は30個よりも多い電極を含むことができる。1又は2以上のEEG頭皮電極17は、10-5レイアウト、10-10レイアウト、10-20レイアウト、又は類似のレイアウトで配置することができる。
【0029】
図1の構成要素のうちの少なくとも1つ、例えば、コントローラ12には、構成のための命令(及び一部の事例ではインスタンスデータ)を格納する非一時的メモリと、それにアクセスして命令を実行するプロセッサとを装備することができる。非一時的メモリとプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)のような単一回路として実施することができるが、非一時的メモリと関連のプロセッサとのあらゆる可能な実施とすることができる。ある一定の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、マウス及び/又はキーボードなどのような入力デバイスとして実施することができ、かつコントローラ12又はシステム10のいずれかの他の構成要素との対話を可能にするコントローラ12の構成要素とすることができる。
【0030】
コントローラ12は、有線及び/又は無線通信に関わることができる。例えば、コントローラ12は、患者の身体の体内部分13の中に埋め込まれた神経刺激器14と近距離無線通信手段に従って(例示していないいずれかの必要な追加回路を用いて)通信することができる。1又は2以上のEEG頭皮電極17は、有線又は無線通信に関わるためにコントローラ12に接続することができる(例示していない場合がある手段により)。コントローラ12は、課題構成要素18及び/又は1又は2以上の入出力デバイス19に有線又は無線接続に従って接続することができる。
【0031】
課題構成要素18は、実行するようにユーザが命令された課題を実行する時に1又は2以上の力学的特質を測定するように構成された1又は2以上の計器とすることができる。ある一定の態様では、課題を実行する命令は、医師が提供すること、システム10が生成すること、コントローラ12が生成すること、及び/又は1又は2以上の入出力デバイス19上に表示することなどで提供される。
【0032】
例として、課題構成要素18は、移動の力学的測定値又はデジタル測定値を提供することができ、ダイナメータ、デジタルプレート、多関節レバー、ロボットアーム、他の力学的測定デバイス、デジタル測定デバイスを含むことができる。この移動測定値は、例えば、体肢又は身体部位の変位量/速度/加速度、又は体肢又は身体部位の機敏さ、強さ、抵抗(剛性又は痙性)、及び/又は筋電図検査結果などを含むことができる。ある一定の態様では、課題構成要素18は、移動を測定し、移動に関するデータをシステム10及び/又はコントローラ12などに提供することができる。
【0033】
システム10は、患者での神経障害を治療するために患者の脳内の脳幹、間脳、大脳、又は他の場所に接続する小脳経路を刺激するようにDBSシステム200を構成するのに使用することができる。コントローラ12は、DBSシステム200の構成に関連する段階を実行することができる。DBSシステム200の構成は、神経状態に関する神経経路のいずれかの構成要素の電気刺激、皮質下部位及び/又は脳深部組織の電気生理の体内記録、1次運動野、2次運動野、1次感覚野、及び/又は2次感覚野からの伝達の体外記録、並びに課題構成要素を用いて運動課題、発声課題、認識課題、及び/又はこれらの1又は2以上の組合せを含む少なくとも1つの課題を実行する時又は実行しようと試みる時の力学的尺度のうちの1又は2以上を含むことができる。例えば、システム10を用いて、下記で説明する閉ループ脳深部刺激方法40(
図4A及び
図4B)(又は神経状態に関する神経経路のいずれかの構成要素の電気刺激、皮質下部位及び/又は脳深部組織の電気生理の体内記録、1次運動野、2次運動野、1次感覚野、及び/又は2次感覚野からの伝達の体外記録、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題を含む少なくとも1つの課題を実行する時又は実行しようと試みる時の力学的尺度の異なる組合せを使用する構成のためのいずれかの他のプロセス)を実行することができる。
【0034】
DBSシステム200は、埋め込みパルス発生器(IPG)を含むことができる。IPGは、神経刺激器とすることができ、電気パルスを患者の脳に送るように構成することができる。DBSシステム200は、患者の脳の複数の部位に配置することができる1又は2以上の埋め込みDBS電極15を含むことができる。DBSシステム200は、リードをIPGに接続することができるように構成することができる。
【0035】
図2は、本発明の開示の態様によるコントローラの例示的な詳細を示している。
【0036】
図2に示すように、コントローラ12は、命令及び/又はデータなどを格納する非一時的メモリ22を有することができる。例えば、非一時的メモリ22は、本明細書で後に説明する閉ループ脳深部刺激方法40を実行するための命令を格納することができる。例えば、非一時的メモリは、命令及び/又はデータを含む情報を格納するための読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスクストレージ媒体、光ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイス、及び/又は他の機械読取可能(言い換えれば、プロセッサによって読取可能)媒体とすることができる。
【0037】
非一時的メモリ22は、受信機26に接続することができる。受信機26は、体内部分13、体外部分16、課題構成要素18、及び/又は1又は2以上の入出力デバイス19などからデータを受信することができる。受信機26は、体内データ(例えば、電気生理データ)と体外データ(例えば、EEGデータ)とを含む信号を体内部分13及び体外部分16から受信することができる。一部の事例では、受信機26は、実行するようにユーザに命令された課題を実行する時に1又は2以上の力学的特質に関する情報のようなデータを課題構成要素18から受信することができる。一部の態様では、1又は2以上の入出力デバイス19は、コントローラ12の作動に関する制限及び/又は制約などのような臨床医からの入力を受信することができる。
【0038】
これに加えて、コントローラ12は、プロセッサ24を含むことができる。プロセッサ24は、システム10の様々な態様を実行するように構成することができる。更に、プロセッサ24は、本明細書で更に説明するように、閉ループ脳深部刺激方法40を実行するように構成することができる。プロセッサ24は、出力28に接続することができる。プロセッサ24は、受信データの少なくとも一部分を用いて出力(構成及び/又は課題などを含む)を出力28に供給することができる。出力28は、1又は2以上の入出力デバイス19に出力を供給することができ、1又は2以上の入出力デバイス19は、音声出力及び/又は視覚出力を提供することができる。
【0039】
図3は、本発明の開示の態様による閉ループシステムの図である。
【0040】
特に、
図3は、閉ループシステム30の図である。連続刺激とは対照的に、DBSシステム200によって電気刺激を供給するという決定及び/又はDBSシステム200によって電気刺激を供給する方式は、閉ループ手法に基づいて決定することができる。ある一定の態様では、少なくとも1つの神経信号31及び/又は少なくとも1つの末梢信号33は、信号処理35に向けてデータ取得プラットフォームの中に入力することができる。データ取得プラットフォームは、システム10によって実施することができる。少なくとも1つの神経信号31は、脳波図(EEG)から記録された局所電場電位(LFP)、皮質脳波検査(ECoG)からの信号、及び/又は別の適切なデバイスからの信号を含むことができるがそれらに限定されない。少なくとも1つの末梢信号33は、患者の筋電図検査(EMG)からの出力、単一ユニット又は多重ユニットの活動、心拍数、心拍数変動、筋反応、発声のような発話機能の尺度、歩行運動力学特性、及び/又はいずれかの他の生理態様を含むことができるがそれらに限定されない。
【0041】
少なくとも1つの神経信号31及び少なくとも1つの末梢信号33は、信号処理35においてデータ取得プラットフォームによって処理することができる。この場合に、取得データの中に含まれる関連活動を分離するための信号処理技術が実施される。信号からの抽出情報は、平均反応プロファイル、瞬間電力、時間に関する電力、信号周波数の分布、位相成分、患者病態(すなわち、活発、快活、睡眠状態のような)、及び/又は移動活動レベルなどを含むことができる。
【0042】
ある一定の態様では、抽出情報は、判断基準セット37と比較することができる。刺激を印加するための判断基準セット37が満足された場合に、システム10は、DBS39を印加することによって続行する。判断基準セット37が満足されなかった場合に、閉ループシステム30は、DBSを印加することにはならない。
【0043】
更に別の態様では、閉ループシステム30は、DBS39のための1又は2以上の刺激パラメータを適応させる機能を有することができる。刺激パラメータは、神経系がどのように反応するかの生体フィードバック及び/又は現在進行中の神経活動に関する刺激パラメータを確立するための神経生理データなどに基づく場合がある。言い換えれば、閉ループシステム30は、DBS39を印加する方法を決定する機能を有することができる。例えば、システム10、コントローラ12、及び/又は信号処理35などは、刺激パラメータ38を生成することができる。その後に、システム10は、刺激パラメータ38に基づいてDBS39を印加することによって続行することになる。この場合に、ここでもまた、刺激パラメータの例は、DBSの振幅、DBSの電圧、DBSの電流、DBSの周波数、DBSのオンタイム時間、DBSのオフタイム時間、DBSのパルス数、DBSパルス幅、1又は複数のDBS周波数、DBSバースト速度、DBSバースト回数、及び/又はDBS位相配向などを含むことができる。
【0044】
図4A及び
図4Bは、本発明の開示の態様による患者の脳幹、間脳、又は大脳に接続する小脳経路を刺激して患者を治療するためにDBSを印加する時及び/又は印加する方法を決定する方法を示すプロセス流れ図である。
【0045】
特に、
図4A及び
図4Bは、
図1に示すシステム10(更に別の態様を
図2に示す)、コントローラ12、及び/又はDBSシステム200などを用いて実行することができる閉ループ脳深部刺激方法40を示している。閉ループ脳深部刺激方法40を順番に実行されるものとして示して説明するが、一部の段階は、異なる順序で行うこと及び/又は本明細書に示して説明する他の段階と同時に行うことができると考えられるので、本発明の開示は、例示する閉ループ脳深部刺激方法40の順序によって制限されないことは理解されるかつ認められるものとする。これに加えて、閉ループ脳深部刺激方法40を実行するのに、例示する全ての態様を必要とするわけではなく、閉ループ脳深部刺激方法40が示す態様に必ずしも制限されない可能性もある。更に、これらの段階のうちの1又は2以上は、プロセッサによって非一時的メモリに格納し、アクセスし、かつ実行することができる。
【0046】
任意的な第1の段階(図示せず)として、望ましくない副作用をもたらすいずれかの電極及び/又は刺激パラメータを決定するために最初の単極精査(又は単極電気刺激)を行うことができる。そのような情報は、パラメータを特定の患者に対して有害ではないパラメータに制約するために臨床医によって1又は2以上の入出力デバイス19を通して入力することができる。望ましくない副作用をもたらすこれらの電極及び/又は刺激パラメータは、閉ループ脳深部刺激方法40の更に別の段階から除外することができる。除外するという決定は、ユーザに固有とすることができる(例えば、症状及び/又は電極が埋め込まれる方法に基づいて)。しかし、除外するという決定は、少なくとも1人の類似患者を含む集団に固有のデータに基づく(又はそれによって補足する)ことができる。
【0047】
図4Bの閉ループ脳深部刺激方法40に示す段階42では、1又は2以上の運動課題、発声課題、認識課題、及び類似の課題を含む1又は2以上の課題を実行するように患者に命令することができる。例えば、1又は2以上の課題(例えば、運動課題、発声課題、認識課題、又は類似の課題)を実行するように医療専門家によって患者に命令することができる。ある一定の態様では、1又は2以上の運動課題は、その予め決められたリストから患者の病態に基づいて選択することができる。態様では、段階42は、1又は2以上の課題に関するデータを取得する段階を含むことができる。態様では、段階42は、課題関連の変更とは別個のオプションとして刺激が自発神経データにどのように影響を及ぼすかに関するデータを取得する段階を含むことができる。態様では、段階42は、挙動データを取得する段階を含むことができる。このデータは、1又は2以上のデバイスから及び/又は臨床医から1又は2以上の入出力デバイス19を通して受信することができる。
【0048】
別の例として、システム10及び/又はコントローラ12は、1又は2以上の課題を決定することができる。ある一定の態様では、システム10及び/又はコントローラ12は、その中に入力された患者、患者の過去の機能、及び/又は類似患者の集団などに関するデータに基づいて1又は2以上の課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)を決定することができる。その後に、システム10及び/又はコントローラ12などは、1又は2以上の課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)に関する命令を1又は2以上の入出力デバイス19、音声出力デバイス、及び/又はビデオデバイスなどによって出力することができる。
【0049】
別の例では、システム10は、課題を実行して関連の変化を記録するように患者に命令することができる。従って、患者は、1又は2以上の課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)を実行すること、少なくとも実行しようと試みること、実行する計画を立てること、及び/又は実行することに対して考察することなどができ、同時に体内データ(例えば、段階44に使用される電気生理データ)及び/又は体外データ(例えば、段階46に使用される脳波検査(EEG)データ)を適切な電極によって記録して受信する(コントローラ12によって)ことができる。一部の事例では、課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)は、
図1の課題構成要素18によって支援することができ、課題構成要素18は、運動課題に関連付けられたデータを記録することができる。
【0050】
これに加えて、患者が同じ課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)を実行するか又は実行しようと試みることに関して説明したが、これらの段階は、同じか又は異なるかのいずれでもよい複数の課題(例えば、運動課題、発声課題、及び/又は認識課題などの課題)を用いて行うことができることは理解されるであろう。例えば、運動課題は、腕、手、指、足、及び/又は脚などのような影響を受ける体肢を移動する段階を含むことができる。一部の患者では、同じ体肢の異なる部位が影響を受けている場合及び/又は異なる体肢が影響を受けている場合がある。同様に、無影響体肢を課題の部位とすることができる。これに代えて、運動計画、運動実行を検出する目的、プログラミング及び/又は刺激送出を誘導するために、無影響体肢の自然な移動は、システム10及び/又は課題構成要素18によって検出することができる。発声課題は、音又は言葉を繰り返す段階、文章を朗読する段階、及び/又は口調を変更する段階などの段階を含むことができる。認識課題は、1又は2以上の記憶課題、計算課題、及び/又は他の認識機能を含むことができる。
【0051】
段階44では、神経生理活動データは、データ取得プラットフォームによって受信することができる。神経生理データは、少なくとも1つの神経信号31及び/又は末梢信号32を含むことができ、かつ脳波図(EEG)、皮質脳波検査(ECoG)、他の適切なデバイスから記録された局所電場電位(LFP)からの信号、筋電図検査(EMG)からの出力、及び/又は単一ユニット又は多重ユニットの活動、心拍数、心拍数変動、及び/又は筋反応などを含むことができる。
【0052】
段階46では、神経生理活動データを処理することができる。神経生理活動データから信号処理技術を用いて患者固有データを分離することができる。これらのデータから、平均反応プロファイル、瞬間電力、時間に関する電力、信号周波数の分布、位相成分、患者病態(すなわち、活発、快活、睡眠状態のような)、移動活動レベルのような関連情報を抽出することができる。関連情報には、患者又はリハビリテーション治療に基づいて異なる重みを割り当てることができる。処理された信号及びそれに割り当てされた重みは、DBSを印加するか否か、BSを印加しないか否か、DBSを印加する時、及び/又はDBSを印加する方法の結果を決定するように訓練されたアルゴリズムの中に入力することができる。
【0053】
アルゴリズムは、本明細書で定める人工知能を用いて実施することができる。例えば、アルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワーク、発見的アルゴリズム、及び/又はいずれかの他の適切なアルゴリズムとすることができ、DBSを印加するか否か、DBSを印加する時、及び/又はDBSを印加する方法を示す様々な判断基準、例えば、異なる覚醒レベル又は運動計画態様などを識別するように訓練することができる。
【0054】
アルゴリズムは、入力された神経信号又は末梢信号の周波数、位相、又は単一ユニット又は多重ユニットの活動のようなDBSを印加するための入力信号からいずれかの他の関連ベンチマークを反映する判断基準を識別するように訓練することができる。
【0055】
アルゴリズムはまた、関連バイオマーカベンチマーク(すなわち、患者の目が開いているか又は閉じているか、患者が覚醒状態にあるか又は睡眠状態にあるかのような)を差別化してDBSを印加するか否か、DBSを印加する時、及び/又はDBSを印加する方法に関する判断基準を決定するために単一患者からのサンプルデータセットを用いて訓練することができる。アルゴリズムは、それほどコンピュータ負荷が重くないとすることができ、より小さいコンピュータデバイスをDBSシステム200と併用することを可能にする。これに代えて、アルゴリズムは、課題実施に関連のない連続入力の場合、例えば、患者が休息している時に刺激を停止する時を決定するように訓練することができる。
【0056】
ある一定の態様では、アルゴリズムは、入力信号のうちのいずれかを利用してDBSシステム200によってDBSを印加する方法を決定し、言い換えれば、DBSシステム200によるDBSの印加のための刺激パラメータを決定することができる。例えば、アルゴリズムは、DBSの振幅、DBSの電圧、DBSの電流、DBSの周波数、DBSのオンタイム時間、DBSのオフタイム時間、DBSのパルス数、DBSパルス幅、1又は複数のDBS周波数、DBSバースト速度、DBSバースト回数、及び/又はDBS位相配向などを決定することができる。
【0057】
ある一定の態様では、アルゴリズムは、入力信号のうちのいずれかを利用してDBSシステム200によってDBSを印加する時を決定することができる。例えば、アルゴリズムは、特定の神経信号、特定の運動課題、発声課題、又は認識課題、パルス波、及び/又は最近のDBS印加などに関してDBSを印加するタイミングを決定することができる。
【0058】
図5A~
図5Dは、DBSの印加のためのベンチマークとしての様々な判断基準の例示的実施形態である。DBSを印加するか否かを決定するのにベンチマークに対して追加の判断基準を使用することができる。
【0059】
図5Aは、本発明の開示の態様による周波数ベースの刺激判断基準に関する流れ図である。
【0060】
特に、
図5Aは、周波数ベースの刺激判断基準プロセス50Aに関する流れ図である。データ取得プラットフォーム又は信号処理35は、少なくとも1つの神経信号31及び/又は末梢信号32からの1又は2以上の周波数成分51を刺激のための判断基準として分析することができる。例えば、第1の成分の強度がその後の成分よりも弱い場合に、ベンチマークの範囲とすることができ、印加52AにおいてDBSは印加される。第1の成分の強度がその後の成分よりも強い場合に、無アクション段階52BにおいてDBSは印加されない。瞬間電力、並びに時間に関連付けられた周波数成分の分布及び/又は電力の変化は、これらのデータを入力メトリックとして使用することができる例である。
【0061】
図5Bは、本発明の開示の態様による位相ベースの刺激判断基準に関する流れ図である。
【0062】
特に、
図5Bは、位相ベースの刺激判断基準プロセス50Bに関する流れ図である。データ取得プラットフォーム又は信号処理35は、少なくとも1つの神経信号31からの1又は2以上の位相成分を刺激53のための判断基準として処理することができる。このタイミング刺激は、得られる反応を増加又は減衰させる特定の周波数帯域(又は範囲)の位相に基づく場合がある。特定の周波数帯域内の特定の位相の回避を意図することができる。
【0063】
図5Cは、本発明の開示の態様によるスパイクベースの刺激判断基準に関する流れ図である。
【0064】
特に、
図5Cは、スパイクベースの刺激判断基準プロセス50Cに関する流れ図である。刺激するという決定は、少なくとも1つの神経信号31によって入力された中枢神経系又は末梢神経系内に記録され細胞からの単一ユニット及び/又は多重ユニットの活動を信号処理35に組み込むことができる。次に、位相-信号チャネル54は、刺激56Aを決定することができる。位相一致(多重チャネル)55は、刺激56A又は無アクション56Bのいずれかを決定することができる。判断基準は、複数の細胞の個々のユニット活動又は一致に基づく場合がある。これに加えて、細胞発火の位相は、いつ刺激するか又は回避する時間に関する更に別の決定因子として使用することができる。
【0065】
図5Dは、本発明の開示の態様による刺激プロセスのための判断基準としての時限ロック式神経信号に関する流れ図である。
【0066】
特に、
図5Dは、刺激プロセス50Dのための判断基準としての時限ロック式神経信号に関する流れ図である。平均化されて直前の刺激パルスの開始時に時限ロックされた皮質誘起電位のような活動は、少なくとも1つの神経信号31として信号処理35への入力メトリックとしての働きをすることができる。時限ロック式神経信号の電力、周波数成分、及び/又は他のコンピュータメトリック57は、信号処理35の中に及び刺激58Aにおいて刺激するか又は無アクション58Bにするかのアルゴリズムの決定の中に入力することができる。
【0067】
図6は、本発明の開示の態様による連携刺激パラダイムである。
【0068】
特に、
図6は、刺激をトリガするのに使用することができる無線送信機62をボタンによって起動することができる連携刺激パラダイムである。無線送信機62は、患者64に刺激を印加する埋込可能パルス発生器(IPG)63とペアリングすることができる。IPGは、生理入力の不在時に又は更に長期(すなわち、連続)刺激を供給することができる又はリハビリテーションデバイス65と通信するために特定のアルゴリズムを利用することができる。更に、患者64にリハビリテーションデバイス65を使用する課題を課し、患者64は、自宅に居ながら又は臨床状況内でリハビリテーション課題を完了することができる。
【0069】
従って、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、機能的及び治療的利益を達成する際に刺激をより的確に最適化することができる適応的手法を提供することができる。この点に関して、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、刺激を誘導する際に生理活動を閉ループシステム内に組み込むことができ、それによって排除のための病理活性をより的確に絞り込む又はDBS印加での神経修復を容易にすることができる。
【0070】
これに加えて、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、DBSシステム200による電気刺激送出のタイミング及び性質を制御することによって神経可塑性を改善することができる。連続刺激送出は理想的でない場合があり、組織疲労又は他の治療障害をもたらす場合がある。更に、連続電気刺激送出は、治療からもたらされる適応特性を受け入れず、基礎的な神経活性化を考慮せず、時機を失した又は利益のない時点で脳を刺激する可能性がある。
【0071】
これに加えて、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、利益を増強させ、皮質の慢性的な氾濫、疲労、又は好ましい刺激利益に対する馴化を回避する正確な時点で神経可塑性を容易にすることによって病変周囲皮質の最大の再構成を達成することができる。システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、脳が機能再構成を最も受け入れやすい時の代用として生理事象及び/又は挙動事象を使用することができる。これらの事象は、改善を最大に高めるための刺激に対する時限ロックとして使用することができる(すなわち、閉ループ)。
【0072】
これに加えて、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、神経系がどのように反応するかの生体フィードバックに基づいて刺激パラメータを適応させる機能を有することができる。更に、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、排除及び/又は増強のための神経活動を絞り込むことができる。システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、改善されたタイミングによって利益を改善し、リハビリテーションプロセスに対して利益のないか又は有害である可能性があるタイミング不足を回避することができ、更に他の疾患モダリティ及びリハビリテーション状況での適用を可能にすることができる。
【0073】
これに加えて、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、治療的利益を改善することができるように生体フィードバックを用いてDBSの連続送出を修正することができる。更に、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、閉ループシステムでの使用に重要な刺激利益インジケータを識別するための一連の段階を実行することができる。システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、ある一定の判断基準が1人の患者に対して別の患者と比較して適切性が高い可能性があることを考慮した上で、これらのベンチマークをいくつも組み込むことができ、従って、メトリック間の重み及び関係に柔軟性を持たせることができる。システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、患者の覚醒レベル(すなわち、活発、快活、睡眠状態)、発声、又は他のバイオメトリックレベルを分析して患者の脳がリハビリテーションの手法を最も受け入れやすい時点を決定することができる。更に、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、運動計画のフェーズに対して刺激のタイミングを調節すること及び/又は運動実行のフェーズに対して刺激のタイミングを調節することができる。
【0074】
これに加えて、システム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40は、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、及び/又は他の神経障害の場合に有益である場合もある。
【0075】
従って、本発明の開示は、固定パラメータでの長期刺激の限界に対処するためのシステム10及び/又は閉ループ脳深部刺激方法40の実施を列挙する。
【0076】
以下は、本発明の開示の態様のいくつかの非限定実施例である。
【0077】
一実施例は、神経生理活動データをコントローラによって受信する段階を含む方法である。本方法は、更に、患者に関するバイオメトリックデータをコントローラによって受信する段階を含む。本方法は、更に、神経生理活動データの1又は2以上の重み付け成分をコントローラによって識別する段階と、患者に関するバイオメトリックデータに基づいて1又は2以上の重み付け成分の各々に重みをコントローラによって割り当てる段階と、1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいてDBSを印加するか否かをコントローラによって決定する段階と、決定に基づいてDBSの印加をコントローラによって命令する段階とを含む。
【0078】
上述の実施例は、以下の実施例のうちのいずれか1つ又はその1よりも多いものの組合せを更に含むことができ、すなわち、上述の実施例の方法は、DBSに続いてコントローラによってフィードバックデータを受信する段階と、フィードバックデータに基づいてアルゴリズムを訓練し、DBSを刺激するのに十分な判断基準レベルが満足されているか否かをコントローラによって決定する段階と、決定に基づいてDBSの印加をコントローラによって命令する段階とを含むことができる。印加を命令する段階が運動計画の1又は2以上のフェーズ及び/又は運動実行の1又は2以上のフェーズに対する刺激のタイミングを調節する段階を含むことができる上述の実施例の方法。上述の実施例の方法。神経生理活動データが局所電場電位、単一及び多重ユニットの神経活動、心拍数、心拍数変動、及び/又は筋反応のうちの少なくとも1つを含む上述の実施例の方法。患者に関するバイオメトリックデータが患者の意識状態及び/又は患者の活動レベルのうちの少なくとも一方を含む上述の実施例の方法。DBSを印加するか否かを決定する段階が受信神経生理データの周波数、受信神経生理データの周波数帯域の位相、個々のユニット活動のスパイク、受信神経生理データの多重ユニット活動の位相の一致、及び/又は時限ロック式神経信号のうちの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのベンチマークを識別する段階を含むことができる上述の実施例の方法。上述の実施例の方法は、患者に課題を完了するように命令する段階を含むことができる。課題が1又は2以上の運動課題を含むことができる上述の実施例の方法。1又は2以上の運動課題が、影響を受ける体肢を移動する段階を含むことができる上述の実施例の方法。訓練されたアルゴリズムが畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム及び発見的アルゴリズムの一方又は両方を含むことができる上述の実施例の方法。バイオメトリックデータが、患者が課題を完了するように命令された時、課題を完了するプロセスにある時、及び/又は課題を完了した時に収集される上述の実施例の方法。患者が虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、又は他の神経障害を有する1又は2以上の病態を有する上述の実施例の方法。
【0079】
一実施例は、神経生理活動データを受信するように構成されたコントローラを含むシステムを含む。システムは、更に、コントローラが患者に関するバイオメトリックデータを受信するように更に構成されることを含む。システムは、更に、コントローラが神経生理活動の1又は2以上の重み付け成分を識別するように更に構成されること、コントローラが患者に関するバイオメトリックデータに基づいて1又は2以上の重み付け成分の各々に重みを割り当てるように更に構成されること、コントローラが1又は2以上の重み付け成分に適用された訓練されたアルゴリズムに基づいてDBSを印加するか否かを決定するように更に構成されること、及びコントローラが訓練されたアルゴリズムに応答してDBSの印加を命令するように更に構成されることを含む。
【0080】
上述の実施例は、以下の実施例のうちのいずれか1つ又はその1よりも多いものの組合せを更に含むことができ、すなわち、上述の実施例のシステムは、コントローラがDBSに続いてフィードバックデータを受信するように更に構成されること、コントローラがフィードバックデータに基づいてアルゴリズムを訓練し、DBSを刺激するのに十分な判断基準レベルが満足されているか否かを決定するように更に構成されること、及びコントローラが決定に基づいてDBSを印加するように更に構成されることを含むことができる。コントローラが、運動計画の1又は2以上のフェーズ又は運動実行の1又は2以上のフェーズに対する刺激のタイミングを調節するように更に構成される上述の実施例のシステム。神経生理活動データが局所電場電位、単一及び多重ユニットの神経活動、心拍数、心拍数変動、及び/又は筋反応のうちの少なくとも1つを含む上述の実施例のシステム。患者に関するバイオメトリックデータが患者の意識状態及び/又は患者の活動レベルのうちの少なくとも一方を含む上述の実施例のシステム。コントローラがDBSを印加するか否かを決定するように更に構成されることが、受信神経生理データの周波数、受信神経生理データの周波数帯域の位相、個々のユニット活動のスパイク、受信神経生理データの多重ユニット活動の位相の一致、及び/又は時限ロック式神経信号のうちの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのベンチマークを識別することを含むことができる上述の実施例のシステム。コントローラが、課題を完了するように患者に命令するように更に構成される上述の実施例のシステム。課題が1又は2以上の運動課題を含むことができる上述の実施例のシステム。1又は2以上の運動課題が、影響を受ける体肢を移動することを含むことができる上述の実施例のシステム。訓練されたアルゴリズムが畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム及び発見的アルゴリズムの一方又は両方を含むことができる上述の実施例のシステム。バイオメトリックデータが、患者が課題を完了するように命令された時、課題を完了するプロセスにある時、又は課題を完了した時に収集されるようにコントローラが更に構成される上述の実施例のシステム。患者が虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、癲癇、統合失調症、強迫性障害、パーキンソン病、本態性振戦、大鬱病性障害、又は他の神経障害を有する1又は2以上の病態を有する上述の実施例のシステム。
【0081】
本明細書では様々な要素を説明するのに第1、第2などの用語を使用する場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定すべきではないことは理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別する目的にのみ使用するものである。例えば、本発明の開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができると考えられ、同じく第2の要素を第1の要素と呼ぶことができると考えられる。本明細書に使用する時に「及び/又は」という用語は、関連の列挙項目のうちの1又は2以上のいずれか及び全ての組合せを含む。
【0082】
本明細書に使用する用語法は、特定の態様を説明することしか目的としておらず、本発明の開示を限定するように意図したものではない。本明細書に使用する時に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、状況が他に明確に示さない限り、複数の形態を含むように意図している。本明細書に使用する時の「comprise」、「comprising」、「includes」、及び/又は「including」という用語は、説明する特徴、整数、段階、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1又は2以上の他の特徴、整数、段階、作動、要素、構成要素、及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外しないことは更に理解されるであろう。
【0083】
他に定めない限り、本明細書に使用する全ての用語(科学技術用語を含む)は、本発明の開示が属する当業技術の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に使用する用語は、本明細書及び関連技術の状況でのこれらの用語の意味と合致する意味を有するものと解釈しなければならず、理想化された又は過度に公的な意味を本明細書で明示的に定めない限り、そのように解釈されることにはならないことは更に理解されるであろう。
【0084】
本発明の開示の態様は、例えば、モバイル通信用世界システム(GSM)、CDMA(コード分割多重アクセス)、GSM/EDGE及びUMTS/HSPAのネットワーク技術、長期的進化(LTE)、5G(第5世代モバイルネットワーク又は第5世代無線システム)、WiMAX、HSPA+、W-CDMA(広帯域コード分割多重アクセス)、CDMA2000(C2K又はIMTマルチキャリア(IMT-MC)としても公知)、無線フィデリティ(Wi-Fi)、Bluetoothなど及び/又はこれらのうちの2又は3以上の組合せのような公知のプロトコルを用いた有線/無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、有線/無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)、有線/無線ホームエリアネットワーク(HAN)、有線/無線ワイドエリアネットワーク(WAN)、キャンパスネットワーク、メトロポリタンネットワーク、企業プライベートネットワーク、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネットワーク、バックボーンネットワーク(BBN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、オーバーレイネットワーク、近距離無線通信(NFC)、セルラー電話ネットワーク、パーソナル通信サービス(PCS)のようないずれかのタイプの有線又は無線の電子通信ネットワークとすることができる通信チャネルを含むことができる。NFC規格は、通信プロトコル及びデータ交換フォーマットを意図し、ISO/IEC14443及びFeliCa(登録商標)を含む既存無線周波数識別(RFID)規格に基づいている。この規格は、ISO/IEC18092[3]と、NFCフォーラムによって定められたものとを含む。
【0085】
本発明の開示は、例えば、通信チャネルを通じた有線/無線通信機能を有するデスクトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップ/モバイルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、タブレットコンピュータ、及びクラウドコンピュータデバイスなどのようないずれかのタイプのコンピュータデバイスに実施することができる。
【0086】
本明細書に説明する本発明の開示のソフトウエア実施は、ディスク又はテープのような磁気媒体、ディスクのような光磁気媒体又は光媒体、又は1又は2以上の読取専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、又は他の書換可能(揮発性)メモリを格納するメモリカード又は他のパッケージのような固体媒体のような有形ストレージ媒体上に任意的に格納されることにも注意しなければならない。有形ストレージ媒体と同等な分散媒体として、電子メールへのデジタルファイル添付又は他の自己完了型情報アーカイブ又はそのセットが考えられる。従って、本発明の開示は、本明細書に列挙して本明細書のソフトウエア実施が格納される当業技術で認識される均等物及び後継媒体を含む有形ストレージ媒体又は分散媒体を含むと考えられる。
【0087】
これに加えて、本発明の開示の様々な態様は、非汎用コンピュータ実施に実施することができる。更に、本明細書に明らかにする本発明の開示の様々な態様は、本明細書に記載の本発明の開示から明らかなように、システムの機能を改善する。更に、本発明の開示の様々な態様は、本発明の開示によって対処される複雑な問題を解決するように特別にプログラムされたコンピュータハードウエアを含む。従って、本発明の開示の様々な態様は、本発明の開示によって明らかにされて特許請求の範囲によって定めるプロセスを実行するためのシステムの特定の実施においてシステム全体の機能を改善する。
【0088】
人工知能及び/又は機械学習は、畳み込みニューラルネットワーク、発見的アルゴリズム、サイバネティックス及び脳シミュレーション、シンボリック、認識シミュレーション、論理ベース、反論理、知識ベース、サブシンボリック、具現化知能、計算知能及びソフトコンピュータ、及び/又は機械学習及び統計などのうちの1又は2以上を含むあらゆる数の手法を利用することができる。
【0089】
システム及び方法の様々な態様に音声認識ソフトウエアを利用することができる。ユーザは、他の入力プロセスを利用する代わりに音声を利用することができる場合がある。例えば、音声認識ソフトウエアは、マイクロフォンからの音声入力又は他の音声入力からテキストを生成するためなどに対して構成することができる。発話信号プロセッサは、発話信号をプロセッサによって処理することができるデジタルデータに変換することができる。プロセッサは、発話事象アナライザ、口述事象サブシステム、テキスト事象サブシステム、及びアプリケーションプログラムのエクスキュータとしての働きをする段階を含むいくつかの独特な機能を実行することができる。発話信号プロセッサは、発話事象データを生成し、このデータをプロセッサに送信することができ、データは、最初に発話事象アナライザによって処理されることになる。発話事象アナライザは、システム記録内で発話信号プロセッサによって処理された音声入力を表す又はそれに一致する潜在的な候補のリスト又はセットを生成することができる。発話事象アナライザは、これらの候補セットを口述事象サブシステムに送信することができる。口述事象サブシステムは、候補セットを解析して最も高い類似度を有する最適候補を選択することができる。その後に、この候補が正しい翻訳と見なされ、口述事象サブシステムは、この翻訳をテキスト事象サブシステムに伝達し、テキスト事象サブシステムは、次に、翻訳されたテキストをデバイスの中に入力する。
【0090】
本発明の開示の多くの特徴及び利点は、本明細書から明らかであり、すなわち、本発明の開示の精神及び範囲に収まる本発明の開示の全てのそのような特徴及び利点は、特許請求の範囲によって網羅されるように意図している。更に、当業者は、多くの修正及び変形を容易に想起することになるので、本発明の開示を例示して説明した厳密な構成及び作動の通りに限定することは望んでおらず、従って、全ての適切な修正及び均等物は、本発明の開示内に収まるような手段に訴えることができる。
【符号の説明】
【0091】
13 体内部分
14 神経刺激器
16 体外部分
18 課題構成要素
200 DBSシステム
【国際調査報告】