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特表2025-504402ALK5阻害剤としてのピリダジニルアミノ誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ALK5阻害剤としてのピリダジニルアミノ誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20250204BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20250204BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20250204BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
C07D405/14
C07D409/14
C07D413/14
A61K31/501
A61P1/16
A61P11/00
A61P27/02
A61P9/10
A61P13/12
A61P43/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541635
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2023050382
(87)【国際公開番号】W WO2023135107
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22150903.7
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【弁理士】
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】ピッツィラーニ,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】レッシーニョ,ドナテッラ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086BC69
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA56
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC42
(57)【要約】
本発明は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)I型受容体(ALK5)を阻害する一般式(I)の化合物、このような化合物を製造する方法、それらを含む医薬組成物およびその治療的使用に関する。本発明の化合物は、哺乳動物におけるALK5シグナル伝達経路の調節不全に関連する疾患または状態の処置に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、
は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアリールであり;
は、-NRC(O)Rおよび-NHから選択され;
は、Hまたは-(C-C)アルキルであり;
は、ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された-(C-C)アルキレン-(C-C)ヘテロシクロアルキル;-(C-C)ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された、1以上の-(C-C)ヘテロシクロアルキルで置換されていてもよい-(C-C)シクロアルキルからなる群から選択され;
は、-C(O)O-(C-C)アルキル、-C(O)-(C-C)アルキル、オキソおよび-(C-C)アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい-(C-C)ヘテロシクロアルキルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がフッ素および塩素で置換されたフェニルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルである、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
下記化合物の少なくとも1つ:
tert-ブチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート;
tert-ブチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(ピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
メチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
メチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
tert-ブチル 3-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[3-(アゼチジン-3-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
tert-ブチル 5-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[3-(1-アセチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
tert-ブチル 2-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート;
N-(4-{[3-(アゼチジン-2-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-5-オキソピロリジン-2-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキセタン-2-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(5-オキソテトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
tert-ブチル 4-(6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-((2-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド)ピリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキソラン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(チオラン-2-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-5-オキソピロリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド;
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
が、1つのフッ素および1つの塩素で置換されていてよいアリールであり、Rが-(オキセタン-2-イル)および-(テトラヒドロチオフェン-2-イル)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物で含む、医薬組成物。
【請求項7】
吸入により投与するための、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項6および7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
哺乳動物におけるALK5シグナル伝達経路が介在する疾患、障害または状態の予防および/または処置における請求項8に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項10】
線維症および/または線維症が関与する疾患、障害または状態の線維症の予防および/または処置における請求項8および9に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項11】
肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、腎線維症、眼線維症、心線維症、動脈線維症および全身性硬化症を含む線維症の予防および/または処置における請求項10に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【請求項12】
特発性肺線維症(IPF)の予防および/または処置における請求項10に記載の使用のための、式(I)の化合物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)1型受容体(ALK5)を阻害する化合物(以後、ALK5阻害剤)、このような化合物の製造方法、これらを含む医薬組成物およびそれらの治療的使用に関し;本発明の化合物は、例えば、ALK5シグナル伝達経路に関連する多くの疾患、障害または状態の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)は、TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質である。
【0003】
TGFβは、増殖、遊走および分化などの細胞過程、ならびに創傷治癒、免疫抑制、癌発生および細胞外マトリックス産生などの生物学的過程の両方に関与している。
【0004】
TGFβスーパーファミリーはまた、とりわけ、アクチビン(Act)として知られる他のメンバーを含む(例えば、Hinck AP, FEBS Letters 586 (2012); 1860-1870を参照)。
【0005】
ペプチドの結合は、2つの異なるセリン/スレオニンキナーゼ受容体:1型(TGFβR1/ALK5)および2型(TGFβR2)からなるヘテロ四量体複合体の形成によりTGFβシグナル伝達カスケードを開始させる。
【0006】
TGFβR1/ALK5は、TGFβR2によるその細胞内ドメインのリン酸化により動員および活性化され、次に、受容体により活性化された(R)-Smadファミリーがリン酸化され、標的遺伝子の転写が活性化される(例えば、Sheppard D., Proc Am Thorac Soc. (2006);(3):413-417)。
【0007】
TGFβシグナル伝達と同様に、アクチビンのI型受容体であるALK4は、標的遺伝子転写の活性化をもたらす(例えば、Heldin CH et al., Cold Spring Harb Perspect Biol. (2016) Aug 1;8(8))。
【0008】
いくつかの研究により、過剰および/または調節不全のTGFβ活性が癌および線維症を含む多くの疾患と結び付けられている(例えば、Syed V, J Cell Biochem. (2016) Jun;117(6):1279-87; Jakowlew SB. Cancer Metastasis Rev. (2006) Sep;25(3):435-57を参照)。線維障害の中では、肺、心臓、肝臓および腎臓などの器官におけるTGFβの重要な役割が示されている(例えば、Alhamad EH, J Thorac Dis. (2015);7(3):386-93を参照)。特に、TGFβ発現は、特発性肺線維症(IPF)などの線維性肺疾患、および慢性閉塞性肺疾患および喘息などの慢性炎症性状態において増加する(例えば、Thomas BJ et al., Am J Respir Cell Mol Biol. (2016);(55):759-766を参照)。
【0009】
肺において、TGFβは上皮細胞、内皮細胞、結合組織細胞、マクロファージおよび線維芽細胞のようないくつかの細胞型で発現される。
【0010】
これらの細胞集団はIPFヒト肺組織において過剰のTGFβを産生し得る。さらに、高レベルのTGFβがIPF患者の肺組織およびBALで検出されている(例えば、homas BJ et al., Am J Respir Cell Mol Biol. (2016);(55):759-766)。
【0011】
ブレオマイシン、シリカ、アスベストおよび放射線により引き起こされた肺線維症の多様な動物モデルにおいて、TGFβ遺伝子発現およびTGFβタンパク質産生が増加することが観察され(例えば、Wei F et al., Int Immunopharmacol. (2017) Jul;48:67-75; Choe JY et al., Inflamm Res. (2010) Mar; 59(3):177-88; Wang X et al., Respir Res (2009); 10, 36を参照)、また、TGFβ発現が齧歯類における進行性線維症を誘発するのに十分であることを報告している(例えば、Sime PJ et al., J Clin Invest (1997);100:768-776; Kim KK et al.を参照)。
【0012】
これに対して、ノックアウト(KO)動物を用いることにより得られるTGFβシグナル伝達阻害は、TGFβが関連するメカニズムによる線維症の発症を阻害し得る(例えば、Bonniaud P et al., Am J Respir Crit Care Med (2005);171:889-898; 34を参照)。
【0013】
マウスブレオマイシン疾患モデルにおけるTGFβR1阻害を用いて、同様の結果が達成されている(例えば、Wei Y et al., J Clin Invest. (2017);127(10):3675-3688を参照)。
【0014】
TGFβと同様に、アクチビンシグナル伝達調節不全は、線維芽細胞増殖、筋線維芽細胞分化、および細胞外マトリックス(ECM)の蓄積に関連する(例えば、Yamashita et al., J. Am. Soc. Nephrol. (2004) 15, 91-101を参照)。さらに、アクチビンの過剰発現は、肝臓(例えば、Patella et al., Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. (2006) 290, G137-G144を参照)、腎臓(例えば、Agapova et al., Kidney Int. (2016) 89, 1231-1243を参照)、心臓(例えば、Yndestad et al., Circulation (2004) 109,1379-1385を参照)、および肺(例えば、de Kretser et al., Crit.Care (2013) 17:R263を参照)などの種々の器官における病態および線維症の発症に関連している。
【0015】
これらのデータをまとめると、調節不全のTGFシグナル伝達経路に関連する前記疾患を薬理学的に処置するために、ALK5を標的化することの重要性が示唆される。
【0016】
TGFβシグナル伝達は、心血管ホメオスタシスに大きく関与している(例えば、van Meeteren LA et al., Springer (2013))。ヒトおよびマウスにおけるいくつかの研究により、血管形成および血管形態形成におけるTGFβの主な役割が示されている。さらに、TGFβは、心臓弁の発達および機能において重要な役割を果たす。したがって、正常なホメオスタシスに必要なシグナル伝達の抑制を回避しながら、病理学的影響を標的とするためのTGFβ経路の選択的調節の重要性は明らかである。
【0017】
この重要な点に対するについての回答は、抗TGFβ薬物を送達するための吸入経路を用いることにより説明され得る。
【0018】
吸入経路により、心臓曝露の問題を迂回しながら、罹患した肺コンパートメントの処置が可能となり得る。
【0019】
多様な化合物が、ALK5および/またはALK4受容体阻害剤として文献に記載されている。
【0020】
ピリダジニルアミノ誘導体が文献に開示されているが、これらはALK5阻害剤として開示されていない。
【0021】
他の化合物の中では、国際公開第2005/033105号(Amgen)には、線維症を含まない数多くの疾患および障害の処置のための、バニロイド受容体リガンドとしてのピリダジニルアミノ誘導体が開示されている。
【0022】
国際公開第2002/022605号および国際公開第2002/022602号(Vertex)には、とりわけ、癌、糖尿病、アルツハイマー病および統合失調症の処置に有用なタンパク質キナーゼ阻害剤としてのピリダジン化合物が記載されている。
【0023】
国際公開第02/24681号(Ortho-McNeil Pharmaceutical Inc.)には、抗腫瘍剤として、および糖尿病性網膜症、リウマチ性関節炎、子宮内膜症および乾癬を処置するために有用なチロシンキナーゼ阻害剤としてのピリダジン化合物が記載されている。
【0024】
特に、ALK5受容体の阻害は、線維症から生じる線維症ならびに疾患、障害および状態の処置に有用であり得る。
【0025】
いくつかの疾患の治療に有用な新規なALK5受容体阻害剤を開発するために、過去数年間にいくつかの努力がなされており、それらの化合物のいくつかは、ヒトにおいても有効であることが示された。
【0026】
しかしながら、良好な効能により特徴付けられる、ALK5シグナル伝達経路の調節不全に関連する疾患または状態、特に線維症の処置に有用な受容体ALK5阻害剤の開発の可能性が残されている。
【0027】
特に、呼吸器領域におけるALK5シグナル伝達の調節不全に関連する疾患または状態、特に特発性肺線維症(IPF)の処置に有用な、吸入経路により投与され、かつ肺への良好な活性、全身曝露および相関する安全性の問題を最小限にするための良好な肺滞留性および低い代謝安定性に対応する良好な吸入プロファイルにより特徴付けられる、受容体ALK5阻害剤を開発する可能性が残されている。
【0028】
この目的において、我々は驚くべきことに、吸入投与のための強力なALK5受容体阻害剤を提供するという課題を解決し、同時に、良好な吸入プロファイル、低い代謝安定性、低い全身曝露、改善された安全性および耐容性、および良好なカイノームにわたる選択性を示す、一般式(I)の新たな一連の化合物を発見した。
【発明の概要】
【0029】
第一の態様において、本発明は式(I):
【化1】
〔式中、
は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアリールであり;
は、-NRC(O)Rおよび-NHからなる群から選択され;
は、Hまたは-(C-C)アルキルであり;
は、ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された-(C-C)アルキレン-(C-C)ヘテロシクロアルキル;-(C-C)ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された、1以上の-(C-C)ヘテロシクロアルキルで置換されていてもよい-(C-C)シクロアルキルからなる群から選択され;
は、-C(O)O-(C-C)アルキル、-C(O)-(C-C)アルキル、オキソおよび-(C-C)アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい-(C-C)ヘテロシクロアルキル〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0030】
第二の態様において、本発明とは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物で含む医薬組成物をいう。
【0031】
第三の態様において、本発明とは、医薬として使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容される塩、または式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をいう。
【0032】
さらなる態様において、本発明とは、哺乳動物におけるALK5受容体が介在する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、または式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をいう。
【0033】
さらなる態様において、本発明とは、線維症および/または線維症が関与する疾患、障害または状態の予防および/または処置における使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、または式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をいう。
【0034】
さらなる態様において、本発明とは、特発性肺線維症(IPF)の予防および/または処置のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、または式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をいう。
【0035】
発明の詳細な説明
定義
特に断らない限り、本発明の式(I)の化合物はまた、立体異性体またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物を含む。
【0036】
特に断らない限り、本発明の式(I)の化合物はまた、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)および式(Ig)の化合物を含むことが意図される。
【0037】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が、存在する場合、遊離の酸性または塩基性基のいずれかを、薬学的に許容されるものとして、従来意図される任意の塩基または酸との対応する付加塩に変換することにより適切に修飾されている、式(I)の化合物の誘導体をいう。
【0038】
したがって、前記塩の適切な例は、アミノ基などの塩基性残基の無機酸または有機酸付加塩、およびカルボキシル基などの酸性残基の無機塩基または有機塩基付加塩を含む。
【0039】
塩の製造に使用されるのに適切であり得る無機塩基は、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを含む。
【0040】
塩基として機能する主化合物を無機酸または有機酸と反応させて塩を形成することにより得られるものには、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩およびクエン酸塩が含まれる。
【0041】
用語「溶媒和物」とは、1以上の有機溶媒または無機溶媒分子と本発明の化合物との物理的な結合を意味する。この物理的な結合は、水素結合を含む。特定の場合において、溶媒和物は、例えば、1以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に取り込まれたとき、単離することができる。溶媒和物は、化学量論または非化学量論量の溶媒分子を含み得る。
【0042】
用語「立体異性体」とは、空間における原子の配置が異なる、同一構造の異性体をいう。エナンチオマーおよびジアステレオマーは、立体異性体の例である。
【0043】
用語「エナンチオマー」とは、互いに鏡像体であり、重ね合わせることができない一対の分子種をいう。
【0044】
用語「ジアステレオマー」とは、鏡像体ではない立体異性体をいう。
【0045】
用語「ラセミ体」または「ラセミ混合物」とは、等モル量の2つのエナンチオマーからなる組成物をいい、その組成物は光学活性を有さない。
【0046】
記号「R」および「S」は、キラル炭素原子周辺の置換基の配置を表す。異性体記述子「R」および「S」は、中核分子に対する原子配置を示すために、本明細書に記載のとおり使用され、かつ文献において定義されるとおりに使用されることが意図される(IUPAC Recommendations 1996, Pure and Applied Chemistry, 68:2193-2222 (1996))。
【0047】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「ハロゲン原子」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子を含む。
【0048】
xおよびyが整数である用語「(C-C)アルキル」とは、x~y個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基をいう。したがって、例えばxが1であり、yが6であるとき、その用語はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルを含む。
【0049】
xおよびyが整数である用語「(C-C)アルキレン」とは、二価のメチレン基などの合計で2つの満たされていない原子価を有するC-Cアルキル基をいう。
【0050】
用語「アリール」とは、環が芳香族である、6個の環原子を有する単環式炭素環系をいう。適切なアリール単環式環系の例は、例えば、フェニルを含む。
【0051】
xおよびyが整数である用語「(C-C)ヘテロシクロアルキル」とは、少なくとも一つの炭素原子が少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、S、S(O)またはO)で置換されているか、または-オキソ(=O)置換基を有し得る、飽和または一部不飽和単環式(C-C)シクロアルキル基をいう。適切なヘテロシクロアルキルの例は、ピペリジニル、アゼチジニル、チエタニル、チアニル、オキセタニルおよびテトラヒドロピラニルを含む。
【0052】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を表す。
【0053】
カルボニル基は、-CO-、-(CO)-または-C(=O)-などの他の一般的な表記の代替として、本明細書で好ましくは、-C(O)-として表される。
【0054】
本発明は、少なくとも共通の新たな中心骨格について当分野で開示されている構造とは異なる新規化合物に関する。実際に、本発明は、治療的に望ましい特性を有する、特に特発性肺線維症(IPF)を含むいくつかの線維症に対して有望な受容体ALK5阻害剤である、[ピリダジン-4-イル]アミノ誘導体である化合物に関する。
【0055】
本発明の化合物は、ALK5受容体阻害剤として活性であり、強力であり、良好な吸入プロファイル、低い代謝安定性、低い全身曝露、改善された安全性および耐容性、およびカイノームにわたる良好な選択性などの改善された特性を示す。
【0056】
この点において、前記の必要性に対する解決法を示す、受容体ALK5に対して阻害活性を有する本発明の一般式(I)のピリダジニルアミノ誘導体は当分野において記載も示唆もされていない。
【0057】
他の化合物の中では、ピリダジニルアミノ誘導体がAmgenにより開示されている。本発明の式(I)の化合物は、少なくとも環A1、A2およびA3上の置換基についてAmgenの化合物と相違する。Amgenは、数多くの疾患および障害の処置のためのバニロイド受容体リガンドとしての化合物を開示している。Amgenは、ALK5阻害剤としての化合物も、線維症の処置のための化合物も開示していない。
【0058】
その他の中では、ピリダジン誘導体がVertexにより開示されている。本発明の式(I)の化合物は、少なくとも、トリアゾール基の代わりに、ピリダジン環を有するアミノリンカーに結合したピリジルまたはピリジル縮合基の存在についてVertexの化合物と相違する。Vertexの化合物は、癌、糖尿病、アルツハイマー病および統合失調症の処置に有用なタンパク質キナーゼ阻害剤として記載されている。Vertexは、ALK5阻害剤としての化合物も、線維症の処置のための化合物も開示していない。
【0059】
ピリダジン化合物がOrtho-McNeilにより記載されている。本発明の式(I)の化合物は、少なくともピリダジン環における2個の窒素原子についてOrtho-McNeilの化合物と相違する。Ortho-McNeilの化合物は、抗腫瘍剤として有用な、糖尿病性網膜症、リウマチ性関節炎、子宮内膜症および乾癬を処置するためのチロシンキナーゼ阻害剤として記載されている。Ortho-McNeilは、ALK5阻害剤としての化合物も、線維症の処置のための化合物も開示していない。
【0060】
より詳細には、本発明とは、本明細書において以下で詳細に記載されるとおり、受容体ALK5に対する阻害活性を有する、一般式(I)により表される一連の化合物をいう。
【0061】
有利に、受容体ALK5に対する阻害作用は、受容体が線維症などの病院ならびに線維症からの疾患、障害および状態において関連する役割を果たすそれらの疾患の処置に有効であり得る。
【0062】
先行技術の類似の化合物とは異なり、本発明の式(I)の化合物はALK5受容体のアンタゴニストとして作用することができ、線維症、特に特発性肺線維症の処置に有用な適切かつ効果的な化合物に注目するとき、当業者により特に理解される。
【0063】
実験の部、特に表2に示すとおり、本発明の式(I)の化合物は、受容体ALK5に対する阻害活性について顕著な効能を示し、生物化学的ALK5アッセイにおいて試験したとき、8.5を超のpKi値を有し、線維症および線維症に由来する疾患に関するALK5受容体を阻害することができることを確認した。
【0064】
有利に、本発明の化合物は極めて高い効能を有し、先行技術の化合物に対して低投与量で、ヒトにおいて投与され得るため、典型的に薬物の高用量の投与で生じる有害事象を低減し得る。
【0065】
受容体ALK5に対する阻害活性について顕著に強力であることに加えて、本発明の化合物はまた、肺コンパートメントに効果的に作用することを可能にする良好なプロファイルにより特徴付けられ、同時に、安全性および耐容性の問題のような全身曝露に関連する欠点を最小限にすることを可能にする低い代謝安定性を有する。
【0066】
さらに、実験の部、比較例、特に表2に示すとおり、ピリジニル基の代わりにベンゾチアゾリルを有することにより特徴付けられる化合物C1とは反対に、本発明化合物におけるピリジニル基の存在は、ALK5受容体に対する阻害活性における関連する増加を予測不能かつ顕著に決定することが示される。
【0067】
したがって、本発明の化合物は、線維症、特に特発性肺線維症の処置に有用な適切かつ効果的な化合物に注目するとき、当業者により特に理解され、吸入経路により投与され、肺への良好な活性、肺貯留および低い代謝安定性に対応し、全身曝露および関連する安全性問題を最小限にする良好な阻害プロファイルにより特徴付けられる。
【0068】
したがって、ある態様において、本発明は一般式(I):
【化2】
〔式中、
は、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアリールであり;
は、-NRC(O)Rおよび-NHからなる群から選択され;
は、Hまたは-(C-C)アルキルであり;
は、ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された、-(C-C)アルキレン-(C-C)ヘテロシクロアルキル;-(C-C)ヘテロシクロアルキルが1以上の-(C-C)アルキルで置換された、1以上の-(C-C)ヘテロシクロアルキルで置換されていてもよい-(C-C)シクロアルキルからなる群から選択され;
は、-C(O)O-(C-C)アルキル、-C(O)-(C-C)アルキル、オキソおよび-(C-C)アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい-(C-C)ヘテロシクロアルキルである〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0069】
より好ましい実施態様において、本発明とは、Rがフッ素および塩素で置換されたフェニルである式(I)の化合物をいう。
【0070】
別の好ましい実施態様において、本発明とは、Rが-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルである式(I)の化合物をいう。
【0071】
別の好ましい実施態様において、本発明とは、Rがtert-ブチル (1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート)、tert-ブチル ピペリジン-1-カルボキシレート、-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)、-(ピペリジン-4-イル)、メチル (1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート)、N-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル、メチル ピペリジン-1-カルボキシレート、-(1-メチルピペリジン-4-イル)、tert-ブチル 3-(アゼチジン-1-カルボキシレート)、-(アゼチジン-3-イル)、-(1-メチル-5-オキソピロリジン-2-イル)、-(オキセタン-2-イル)、-(オキセタン-3-イル)、-(1-アセチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)、-(アゼチジン-2-イル)、tert-ブチル 2-(アゼチジン-1-カルボキシレート)、-(5-オキソテトラヒドロチオフェン-2-イル)、tert-ブチル -(2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート)、-(テトラヒドロフラン-3-イル)、-(テトラヒドロチオフェン-2-イル)および-(1-メチル-5-オキソピロリジン-3-イル)からなる群から選択される、式(I)の化合物をいう。
【0072】
好ましい実施態様によれば、本発明とは、下記の表1に列挙された式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩の少なくとも一つをいう。表2に示すとおり、これらの化合物は受容体ALK5に対して特に活性である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0073】
さらに好ましい実施態様において、本発明とは、Rが1個のフッ素および1個の塩素で置換されていてもよいアリールであり、Rが-(オキセタン-2-イル)および-(テトラヒドロチオフェン-2-イル)からなる群から選択される式(I)の化合物をいう。
【0074】
上記全ての化合物を含む本発明の化合物は、以下の一般的合成法および手順を用いて、または当業者に容易に利用可能なわずかな就職を用いることにより、容易に入手可能な出発物質から製造され得る。本発明の特定の実施態様は本明細書に示され得るか、または記載され得るが、当業者は、本発明の全ての実施態様または面は、本明細書に記載の方法を用いて、または他の既知の方法、試薬および出発物質を用いて得られ得ることを認識する。典型的な、または好ましい工程条件(すなわち、反応温度、時間、反応材のモル比、溶媒、圧力など)が与えられるとき、特に断らない限り他の工程条件も使用され得る。最適な反応条件は使用される特定の反応材または溶媒に応じて変化し得るが、このような条件は、通常の最適化手順により、当業者により容易に決定され得る。
【0075】
したがって、下記の工程は、本発明の化合物の製造のために利用可能な合成法の範囲を限定するものとして考えられるべきではない。
【0076】
化学の一般的な原則(Protective group in organic syntheses, 3rd ed. T. W. Greene, P. G. M. Wuts)に従って、感受性または反応性部分をマスクまたは保護するために工程が必要ないくつかの場合において、一般的に知られる保護基(PG)が利用され得る。
【0077】
本発明の式(I)の化合物は、驚くべきことに、受容体ALK5を効率的に阻害することが分かった。有利に、ALK5の阻害は、ALK5受容体が関与する疾患または状態の効率的な処置をもたらし得る。
【0078】
この点において、現在、本発明の式(I)の化合物は、実験の部に示すとおり、pIC50(IC50の負の対数、半数最小阻害最終濃度)として表され、続いてpK(解離関数Kの負の対数)に変換される阻害薬物効果がALK5に対して8.5以上であることが分かっている。好ましくは、本発明の化合物は、8.5~9.0、より好ましくは9.1~9.9のpKを有する。
【0079】
ある態様において、本発明とは、医薬として使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容される塩をいう。したがって、本発明とは、好ましくは、ALK5シグナル伝達経路に関連する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物をいう。
【0080】
好ましい実施態様において、本発明とは、ALK5シグナル伝達経路に関連する疾患、障害または状態の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩をいう。
【0081】
ある実施態様において、本発明とは、線維症および/または線維症が関与する疾患、障害または状態の予防および/または処置に有用な、式(I)の化合物をいう。
【0082】
本明細書で使用される用語「線維症」または「線維化障害」とは、細胞および/またはフィブロネクチンおよび/またはコラーゲンの異常な蓄積および/または線維芽細胞動員の増加に関連する状態をいい、限定されないが、心臓、腎臓、肝臓、間接、肺、胸膜組織、腹膜組織、皮膚、角膜、網膜、筋骨格および消化管などの個々の器官または組織の線維症を含む。
【0083】
好ましくは、本発明の式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物は、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、肝線維症、腎線維症、眼線維症、心線維症、動脈線維症および全身性硬化症などの線維症の処置および/または予防に有用である。
【0084】
より好ましくは、本発明の式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物は、特発性肺線維症(IPF)の処置に有用である。
【0085】
本明細書において使用されるとおり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩または他の薬学的に活性な剤についての「安全かつ有効量」とは、患者の状態を処置するのに十分であるが、深刻な副作用を回避するのに十分低い量を意味するが、それは当業者によって、慣習により決定され得る。
【0086】
式(I)の化合物は、一回または投与レジメンに従って投与され、数多くの用量が所定の期間中、様々な時間間隔で投与される。典型的な一日投与量は、選択される投与経路に応じて変化し得る。
【0087】
本発明とはまた、式(I)の化合物を少なくとも1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物で含む医薬組成物をいう。
【0088】
ある実施態様において、本発明とは、式(I)の化合物を1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook, XVII Ed., Mack Pub., N.Y., U.S.Aに記載の担体または賦形剤との混合物で含む医薬組成物をいう。
【0089】
本発明の化合物およびそれらの医薬組成物の投与は患者の要求に応じて、例えば、経口、経鼻、非経腸(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内および注入により)および吸入により投与され得る。好ましくは、本発明の化合物は、経口または吸入により投与される。より好ましくは、本発明の化合物は、吸入により投与される。
【0090】
好ましい実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル剤、カプセル剤、カプレット剤、顆粒剤、ロゼンジ剤およびバルク粉末剤などの固体経口投与形態である。
【0091】
ある実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は錠剤である。
【0092】
本発明の化合物は、単独で投与され得るか、種々の薬学的に許容される担体、希釈剤(スクロース、マンニトール、ラクトース、デンプンなど)および懸濁化剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、防腐剤、着色剤、風味剤、滑沢剤などを含む既知の賦形剤と組み合わせて投与され得る。
【0093】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、水性および非水性溶液、エマルジョンおよび懸濁液などの液体経口投与形態である。このような液体投与形態はまた、水などの適切な既知の不活性希釈剤、および防腐剤、湿潤剤、甘味剤、風味剤および本発明の化合物を乳化および/または懸濁させるための剤などの適切な既知の賦形剤を含み得る。
【0094】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、吸入粉末、噴射剤含有定量エアロゾル剤または噴射剤非含吸入製剤などの吸入可能な製剤である。
【0095】
乾燥粉末としての投与のために、先行技術から既知の単回または複数回用量吸入器が使用され得る。その場合、粉末はゼラチン、可塑性もしくは他のカプセル、カートリッジまたはブリスターパックまたはリザーバーに充填され得る。
【0096】
本発明の化合物に対して不活性な希釈剤または担体、例えば、ラクトースまたは吸入画分の改善に適切な他の添加剤が、粉末化した本発明の化合物に添加され得る。
【0097】
ヒドロフルオロアルカンなどの噴射ガスを含む吸入エアロゾルは、溶液または分散形態で本発明の化合物を含み得る。噴射剤駆動製剤はまた、共溶媒、安定化剤および場合により他の賦形剤などの他の成分を含み得る。
【0098】
本発明の化合物を含む噴射剤非含吸入製剤は、水性、アルコール性またはヒドロアルコール性媒体の溶液または懸濁液の形態であり得て、それらは先行技術において知られるジェットまたは超音波ネブライザーにより、またはソフトミストネブライザーにより送達され得る。
【0099】
本発明の化合物は、単一の活性剤として、または他の薬学的に活性な成分と組み合わせて投与され得る。
【0100】
本発明の化合物の投与量は、とりわけ処置される特定の疾患、症状の重篤度、投与経路などを含む多様な因子に依存する。
【0101】
本発明はまた、単回もしくは複数回用量乾燥粉末吸入器または定量吸入器の形態で本発明による式(I)の化合物を含む医薬組成物を含むデバイスに関する。
【0102】
式(I)の化合物についての上記全ての好ましい基または実施態様は、互いに組合せられ、必要な変更を加えた上でも適用され得る。
【0103】
本願に記載の本発明の種々の態様は、以下の実施例により説明されるが、これはいかなる場合も本発明を限定することを意味しない。
【0104】
全てのまたは少なくとも一つの上記で列挙された化合物を含む式(I)および式(Ia-f)の化合物は一般に、以下に示すスキームで詳細に示される方法に従い、一般に知られる方法を用いて製造され得る。
【化3】
【0105】
スキーム1は、Rが-C(O)O-(C-C)アルキルで置換された6員ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物の製造のための、可能性のある合成経路を提供する。
【0106】
商業的に入手可能な化合物(II)は金属触媒クロスカップリング条件下で適切なボロン酸またはエステルと反応し、化合物(III)を与え得る。典型的なクロスカップリング反応は鈴木カップリングであり得るか、または"Transition Metals for 15 Organic Synthesis", 2nd Ed, 1, 2004に記載される同様の反応であり得る。代表的な鈴木反応条件は、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基、パラジウム触媒、例えばPd(dppf)Clおよび1,2-ジメトキシエタンと水などの適切な溶媒混合物を含む。典型的に、反応は適切な温度、例えば100℃などでの従来の加熱下で実施される。化合物(III)は、上記の適切なR-ボロン酸/エステル誘導体を用いて、典型的なPd触媒の存在下、鈴木クロスカップリング反応などのさらなるクロスカップリング反応により化合物(IV)へ変換され得る。その後、化合物(IV)はバックワルド-ハートウィグクロスカップリング反応に供され、式(I)の化合物が得られ得る。典型的なバックワルド-ハートウィグ条件は、Pd(dba)またはPd(OAc)などのPd触媒、炭酸セシウムなどの適切な塩基、キサントホスなどの適切なリガンド、1,2-ジメトキシエタンのような適切な溶媒中、適切な温度、例えば100℃で、化合物(IV)を適切なハライドと反応させることからなる。
【0107】
が、-C(O)-(C-C)アルキルまたは-(C-C)アルキルで置換されていてもよい6員ヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるとき、式(I)の化合物は、スキーム1Aに示すとおり、R基のさらなる化学修飾により得られ得る。式(Ia)~(If)の化合物におけるヘテロシクロアルキルの窒素原子は、ピリダジン環に対してメタまたはパラ位に存在し得る。
【化4】
【0108】
室温で、例えば、DCM中のTFA溶液などの酸性条件下での、RがBocなどの-C(O)O-(C-C)アルキルで置換された6員部分飽和ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物である化合物(Ia)の脱保護は、Rが6員部分飽和ヘテロシクロアルキルである式(Ib)の化合物を与え得る。二級アミノ基はさらに官能基化され、RがRで置換された6員部分飽和ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物である式(Ic)の化合物を与え得て、ここで前記Rは-C(O)-(C-C)アルキルまたは-(C-C)アルキルである。N-官能基化は、適切な溶媒、例えばDCM中、トリエチルアミンなどの有機塩基存在下での、無水酢酸または適切なクロロギ酸エステルなどの適切なアシル化剤を用いたアシル化を含み得る。あるいは、-(C-C)アルキルからなる置換基の導入は、還元的アミノ化により達成され得る。典型的な反応条件は、メタノールなどの適切な溶媒中、水素化シアノホウ素ナトリウムなどの還元剤存在下でのアルデヒドの使用を含む。
【0109】
別の実施態様において、RがBocなどの-C(O)O-(C-C)アルキルで置換された6員飽和ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物である式(Id)の化合物は、室温などの適切な温度で、EtOHなどの適切な溶媒中、ジフェニルスルフィドで被毒させた炭素上のPdなどのPd触媒存在下、化合物(Ia)とHなどの適切な還元剤での炭素-炭素結合還元により得られ得る。式(Id)の化合物は、上記のような同様の一連の化学変換に供され、RがRで置換されていてもよい6員飽和ヘテロシクロアルキルである式(Ie)または(If)の化合物を与え得て、ここで前記Rはそれぞれ、-C(O)-(C-C)アルキルまたは-(C-C)アルキルである。
【0110】
別の実施態様において、式(Ig)で表される、Rが-C(O)O-(C-C)アルキル、-C(O)-(C-C)アルキル、オキソおよび-(C-C)アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい4員または5員ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物は、スキーム2に示すとおり製造され得る。
【化5】
【0111】
化合物(VI)は、商業的に入手可能な4-アミノ-6-クロロピリダジン(V)から出発して2工程で得られ得る。ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンなどの適切な塩基を含む典型的な条件を用いた、DCMなどの非プロトン性非極性溶媒中での二炭酸ジ-tert-ブチルなどの適切な部分によるアミノ基の保護、その後の上記の典型的な条件下での適切なR-ボロン酸/エステル誘導体との鈴木クロスカップリング反応により、化合物(VI)が得られ得る。酸触媒による保護基開裂により化合物(VII)が得られ得て、これはバックワルド-ハートウィグクロスカップリングアミノ化に供され、化合物(VIII)を与え得る。代表的なアミノ化条件は、スキーム1および1Aについて上記されたとおりである。スキーム2の経路Aに従って、化合物(VIII)は、Rが、-C(O)O-(C-C)アルキル、-C(O)-(C-C)アルキル、オキソおよび-(C-C)アルキルから選択される1以上の基で置換されていてもよい4員または5員ヘテロシクロアルキルである式(I)の化合物を効率的に導くミニスキ様反応の基質として働き得る。典型的なミニスキ様条件は、N-ヒドロキシフタルイミドなどの適切な基を商業的に入手可能な4員または5員ヘテロシクロアルキル基のカルボン酸とカップリングすることにより得られる酸化還元活性エステル(RAE)を含む。これらのRAE中間体は、文献(Dhar and coworkers, J. Org. Chem. 2018, 83, 3000-3012)に記載のとおり、DMSOなどの適切な溶媒中、適切なLEDランプ、典型的には青色LEDランプを用いた照射条件下、4CZIPNなどの適切な光触媒の存在下で、化合物(VIII)と反応し、式(I)の化合物を与え得る。
【0112】
別の実施態様において、式(I)の化合物は、スキーム2の経路Bに従って製造され得る。化合物(VII)は、上記の条件下、初めにミニスキ様反応に供され、化合物(IX)が得られ得る。次に、以前に記載した化合物(IX)バックワルド-ハートウィグアミノ化に供され、式(I)の化合物が得られ得る。
【0113】
本明細書に記載の本発明の多様な態様は、以下の実施例により説明されるが、これらはいかなる場合も本発明を限定することを意味するものではない。
【0114】
中間体および実施例化合物の製造
化合物の化学名は、Structure To Name Marvin Sketch Gallium.2 version 20.19.2により作成された。
【0115】
合成が実験の部に記載されていない全ての試薬は、商業的に入手可能であるか、または既知の化合物であるか、または当業者によって既知の方法により、既知の化合物から形成され得る。
【0116】
略語-意味
Boc=tert-ブチルオキシカルボニル;(Boc)O=二炭酸ジ-tertブチル;cHex=シクロヘキサン;CSA=カンファースルホン酸;CsCO=炭酸セシウム;Cz4IPN=2,4,5,6-テトラキス(カルバゾール-9-イル)-1,3-ジシアノベンゼン;DCM=ジクロロメタン;DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;DMAP=4-ジメチルアミノピリジン;DMSO=ジメチルスルホキシド;EtOAc=酢酸エチル;EtOH=エタノール;h=時間;hrs=時間;H=水素;HO=水;KCO=炭酸カリウム;KPO=リン酸三カリウム;LC-MS=液体クロマトグラフィー/質量分析;MeCN=アセトニトリル;MeOH=メタノール;N=窒素;NaSO=硫酸ナトリウム;NaHCO=重炭酸ナトリウム;NH=アンモニア;Pd/C=炭素上のパラジウム;Pd(dppf)Cl=[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);Pd(dppf)Cl DCM=[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン錯体;Pd(OAc)=酢酸パラジウム(II);RT=室温;SCX=強カチオン交換;TEA=トリエチルアミン;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;キサントホス=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン。
【0117】
一般的な実験の詳細および方法
分析法
分析に使用される機器、材料および方法
H-NMRスペクトルは、逆検出のためのセルフシールドZ勾配コイル5mm 1H/nX ブロードバンドプローブヘッド、重水素デジタルロックチャンネルユニット、周波数シフト相殺トランスミッター付き求積デジタル検出ユニットを備えた、400MHz(プロトン周波数)で稼働するVarian MR-400スペクトロメーターまたはAgilent VNMRS-500またはBruker Avance 400上で、または5mm PFGペンタプローブスペクトロメーターを備えた600MHzで稼働するAgilent Inova 600上で実施した。化学シフトは、内部標準としてのトリメチルシラン(TMS)と比較してppmで、6つの値として報告される。カップリング定数(J値)ヘルツ(Hz)として与えられ、多重度は次の略語を用いて示される(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、brs=ブロードシングレット、brd=ブロードダブレット、brt=ブロードトリプレット、brdd=ブロードダブルダブレット、nd=未決定、dd=二重項の二重項、dt=三重項の二重項、ddd=ダブルダブルダブレット、quin=クインツプレット、td=トリプルダブレット)。
【0118】
LC/UV/MS分析法
LC/MS保持時間は+0.5分の実験誤差により影響されると予想される。LCMSは次の条件下で記録され得る:ダイオードアレイDADクロマトグラフトレース、マスクロマトグラムおよびマススペクトルは、正および/または負の電子スプレーESイオン化モードで稼働するMicromass ZQTMまたはWaters SQD単一四重極マススペクトロメーターと結合したUPLC/PDA/MS Acquity TMシステム、および/または正および/または負の電子スプレーESイオン化モードで稼働するZQTM単一四重極と結合した分析モードで使用されるFractionlynxシステムで取得され得る。品質管理法は、低pH条件下または高pH条件下で使用、操作される。
【0119】
方法1、低pH条件カラム:Acquity CSH C18 2.1×50mm 1.7um、カラム温度は40℃であり;移動相溶媒AはmilliQ水+0.1% HCOOH、移動相溶媒BはMeCN+0.1% HCOOHであった。流速は1mL/分であった。
勾配テーブルはt=0分 97% A 3% B、t=1.5分 0.1% A 99.9% B、t=1.9分 0.1% A 99.9% Bおよびt=2分 97% A 3% Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100~1500AMUであった。
【0120】
方法2、高pH条件:カラム:Acquity Kinetex 1.7μm EVO C18 100A、2.1×50mm、カラム温度は40℃;移動相溶媒AはアンモニアでpH=10に調整した10mM NHHCO水溶液であり、移動相溶媒B MeCNであった。流速は1mL/分であった。勾配テーブルはt=0分 97% A 3% B、t=1.5分 0.1% A 99.9% B、t=1.9分 0.1% A 99.9% Bおよびt=2分 97% A 3% Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100~1500AMUであった。
【0121】
方法3、高pH条件:カラム:Acquity Kinetex 1.7μm EVO C18 100A、2.1×50mm、カラム温度は40℃であり;溶媒AはアンモニアでpH=10に調整した10mM NHHCO水溶液であり、移動相溶媒BはMeCNであった。流速は0.9mL/分であった。勾配テーブルはt=0分 97% A 3% B、t=1.4分 0.1% A 99.9% B、t=1.9分 0.1% A 99.9% Bおよびt=2分 97% A 3% Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100~1000AMUであった。
【0122】
中間体の製造
中間体1:N-(4-ブロモピリジン-2-イル)プロプ-2-エナミド
【化6】
下、0℃で、4-ブロモ-2-ピリジンアミン(5.10g、29.48mmol)およびTEA(12.1mL、88.43mmol)の混合物の乾燥DCM(130mL)溶液を撹拌し、その後アクリル酸クロライド(3,12mL、32.43mmol)を滴下添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。HOを添加し、有機溶液を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過した。溶媒を蒸発させ、粗製の物質をBiotageシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~25% EtOAc)により精製し、表題化合物(4.8g、22.1mmol、収率72%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):226.9(方法1)。
【0123】
中間体2:N-(4-ブロモピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロペナミド
【化7】
N-(4-ブロモピリジン-2-イル)プロプ-2-エナミド(中間体1、2.50g、11mmol)THF(12mL)に溶解し、1-メチルピペラジン(1.83mL、16.52mmol)を添加し、反応溶液を70℃で3時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、残渣をBiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~30% EtOAc)により精製し、表題化合物(3.5g、10.7mmol、収率97%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):327.2(方法2)。
【0124】
中間体3:tert-ブチル 4-(4-アミノ-6-クロロピリダジン-3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化8】
丸底フラスコ中、3,6-ジクロロピリダジン-4-アミン(1.5g、9.15mmol)、N-Boc-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-ボロン酸ピナコールエステル(3.11g、10.06mmol)、Pd(dppf)Cl・DCM(749mg、0.91mmol)およびKPO(4.92g、22.87mmol)を1,2-ジメトキシエタン(90mL)/HO(30mL)中に懸濁した。混合物を脱気し(N/真空)、その後100℃で1.5時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、セライト(登録商標)パッドでろ過し、EtOAcで洗浄した。有機相を塩水で洗浄し、分離し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~60% EtOAc)により精製し、表題化合物(2.41g、7.76mmol、収率85%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):311.2(方法2)を得た。
【0125】
中間体4:tert-ブチル 4-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化9】
丸底フラスコ中、tert-ブチル 4-(4-アミノ-6-クロロピリダジン-3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート(中間体3、1.27g、4.10mmol)、5-クロロ-2-フルオロベンゼンボロン酸(1.07g、6.15mmol)、KCO(1.7g、12.3mmol)およびPd(dppf)Cl(600mg、0.82mmol)の混合物の1,2-ジメトキシエタン(14.8mL)およびHO(1.6mL)を脱気し(真空/N)、その後100℃で90分間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、セライト(登録商標)パッドでろ過し、EtOAcで洗浄した。有機相塩水で洗浄し、分離し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~60% EtOAc)により精製し、表題化合物(990mg、2.44mmol、収率60%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):405.1(方法1)。
【0126】
中間体5:tert-ブチル 4-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート
【化10】
tert-ブチル 4-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート(中間体4、600mg、1.48mmol)のEtOH溶液(24.7mL)に、ジフェニルスルフィド、1% EtOH溶液(248μL、0.01mmol)[3μLのジフェニルスルフィドを300μLのEtOHで希釈して調整した溶液]および10% Pd/C(158mg、0.15mmol)を添加した。反応物をH雰囲気下で16時間撹拌した。さらに、ジフェニルスルフィド、1% EtOH溶液(248μL、0.01mmol)、10% Pd/C(158mg、0.15mmol)を再び添加し、反応物をH雰囲気下で6時間撹拌した。反応物をEtOHで希釈し、セライト(登録商標)パッドでろ過し、EtOHで洗浄した。ろ液を真空下で蒸発させ、粗製の物質を分取HPLC(順相)により精製し、表題化合物(506mg、1.24mmol、収率83%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):407.2(方法1)。
【0127】
中間体6:tert-ブチル N-(6-クロロピリダジン-4-イル)カルバメート
【化11】
6-クロロピリダジン-4-アミン(3g、23.16mmol)の乾燥DMA(10mL)、(Boc)O(10.75mL、46.3mmol)溶液に、DMAP(0.283g、2.316mmol)およびDIPEA(4.04mL、23.16mmol)を添加し、反応物を50℃で12時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をDCM(100mL)に希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。2つの相を分離し、有機層を相分離カートリッジで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン~40%EtOAc)により精製し、表題化合物(3.23g、14.06mmol、収率61%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):230.14(方法1)。
【0128】
中間体7:tert-ブチル N-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]カルバメート
【化12】
tert-ブチル N-(6-クロロピリダジン-4-イル)カルバメート(中間体6、2g、8.71mmol)の1,4-ジオキサン(10mL)、水(2mL)溶液に、PdCl(dppf)(1.274g、1.742mmol)、KCO(2.407g、17.42mmol)および(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ボロン酸(2.278g、13.06mmol)を添加し、反応物を110℃で18時間撹拌した。その後、1,4-ジオキサンを減圧下で除去し、残渣をDCMで希釈し、飽和NaHCO水溶液(20mL)を添加した。2つの相を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下で除去した。粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン~40% EtOAc)により精製し、表題化合物(1.5g、4.63mmol、収率53%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):324.12(方法1)。
【0129】
中間体8:6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-アミン
【化13】
tert-ブチル (6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)カルバメート(中間体7、2g、6.18mmol)のMeOH(10mL)溶液に、6N HClのイソプロパノール(10.30mL、61.8mmol)溶液を添加し、反応物を50℃で3時間撹拌した。溶媒を除去し、7N NH MeOH溶液で溶出するSCXカートリッジにより精製し、表題化合物(1.1g、4.92mmol、収率80%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):224.14(方法1)を得た。
【0130】
中間体9:1-tert-ブチル 3-(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)アゼチジン-1,3-ジカルボキシレート
【化14】
Boc-アゼチジン-3-カルボン酸(0.5g、2.485mmol)の乾燥DMSO(10mL)溶液に、N-ヒドロキシフタルイミド(0.509mL、2.73mmol)およびN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(0.345g、2.73mmol)を添加し、溶液を1時間撹拌し、表題化合物を0.25MのDMSO溶液として得た(861mg、2.486mmol、定量的収率)。溶液を精製せずに次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):291.11(方法1)。
【0131】
中間体10:tert-ブチル 3-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート
【化15】
6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-アミン(中間体8、400mg、1.789mmol)の乾燥DMSO(3mL)溶液に、tert-ブチル 3-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート 0.25M DMSO溶液(中間体9、9.30mL、2.325mmol)、Cz4IPN(70.6mg、0.089mmol)およびCSA(831mg、3.58mmol)を添加した。溶液をアルゴンで激しくバブリングさせ、密封し、2つの強度50%の青色ケッシルブランドのKSH150B Grow Light LED34Wランプ(440~456nm)の間に1時間置いた。混合物を減圧下で濃縮し、BiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM~50% DCM:DCM/MeOH 9/1)により精製し、表題化合物(260mg、0.686mmol、収率38%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):379.23(方法1)。
【0132】
中間体11:tert-ブチル 5-(4-アミノ-6-クロロピリダジン-3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化16】
tert-ブチル 5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(3.11g、10.06mmol)および3,6-ジクロロピリダジン-4-アミン(1.5g、9.15mmol)から出発して、中間体3の合成で使用された方法に従って中間体11を製造し、表題化合物(1.15g、3.7mmol、収率40%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):310.7(方法2)。
【0133】
中間体12:tert-ブチル 5-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化17】
中間体11(550mg、1.77mmol)および5-クロロ-2-フルオロベンゼンボロン酸(463mg、2.65mmol)から出発して、中間体4の合成で使用された方法に従って中間体12を製造し、表題化合物(394mg、0.97mmol、収率55%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):404.7(方法2)。
【0134】
中間体13:tert-ブチル 4-{4-[(1,3-ベンゾチアゾール-6-イル)アミノ]-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル}-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化18】
中間体4(70mg、0.17mmol)、CsCO(113mg、0.35mmol)、キサントホス(34mg、0.06mmol)、6-ブロモベンゾチアゾール(41mg、0.19mmol)およびPd(OAc)(2mg、0.01mmol)の混合物を乾燥1,2-ジメトキシエタン(1.4ml)に懸濁した。バイアルを密封し、脱気し、Nを充填し(3回)、100℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、セライト(登録商標)パッドでろ過し、EtOAcで洗浄した。有機ろ液を真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~40% EtOAc)により精製し、表題化合物(45mg、0.08mmol、収率48%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):538.3(方法2)。
【0135】
中間体14:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル-テトラヒドロフラン-3-カルボキシレート
【化19】
テトラヒドロフラン-3-カルボン酸(1.0g、8.61mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体14を製造し、表題化合物を0.86M DMSO溶液(8.61mmol、収率100%)として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):262.12(方法1)。
【0136】
中間体15:6-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-3-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリダジン-4-アミン
【化20】
中間体8(200mg、0.894mmol)の乾燥DMSO(3mL)溶液に、中間体14(0.86M DMSO溶液、1.56mL、1.341mmol)、4CzIPN(35.3mg、0.045mmol)およびCSA(415mg、1.789mmol)を添加した。溶液をアルゴンで激しくバブリングさせ、密封し、EVOLUCHEM LED 450DXランプで照射した。反応物を室温で1時間撹拌した。SCXカートリッジにより溶媒を除去し、粗製物をBiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% DCM:DCM/MeOH 9/1 DCM溶液)により精製し、表題化合物(120mg、0.409mmol、収率46%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):294.21(方法1)。
【0137】
中間体16:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル テトラヒドロチオフェン-2-カルボキシレート
【化21】
チオラン-2-カルボン酸(500mg、3.78mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体16を製造し、表題化合物(1.05g、3.78mmol、定量的収率)を0.945M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):278.96(方法1)。
【0138】
中間体17:6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリダジン-4-アミン
【化22】
中間体8(200mg、0.894mmol)から出発して、中間体16(0.945M DMSO溶液、1.420mL、1.341mmol)を用いて、中間体15の合成で使用された方法に従って中間体17を製造した。BiotageシリカNHカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% DCM:DCM/MeOH 9/1 DCM溶液)により精製し、表題化合物(120mg、0.409mmol、収率46%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):310.16(方法1)。
【0139】
中間体18:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル 1-メチル-5-オキソピロリジン-3-カルボキシレート
【化23】
1-メチル-5-オキソピロリジン-3-カルボン酸(0.5g、3.49mmol)から出発して中間体9の合成で使用された方法に従って中間体18を製造し、表題化合物(1.0g、3.49mmol、定量的収率)を0.7M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):289.16(方法1)。
【0140】
中間体19:4-(4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)-1-メチルピロリジン-2-オン
【化24】
中間体8(250mg、1.118mmol)から出発して、中間体18(0.7M DMSO溶液、2.4mL、1.677mmol)を用いて、中間体15の合成で使用された方法に従って中間体19を製造した。反応物を室温で6時間撹拌した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(150mg、0.468mmol、収率42%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):321.16(方法1)。
【0141】
中間体20:1-(tert-ブチル) 2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)アゼチジン-1,2-ジカルボキシレート
【化25】
1-(tert-ブトキシカルボニル)アゼチジン-2-カルボン酸(1.0g、4.97mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体20を製造し、表題化合物(定量的収率)を0.5M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1-tBu):291.33(方法1)。
【0142】
中間体21:tert-ブチル 3-(4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル)アゼチジン-1-カルボキシレート
【化26】
中間体8(0.15g、0.671mmol)から出発して、中間体15の合成で使用された方法に従って中間体21を製造し、中間体20(0.5M DMSO溶液、1.12mL、1.006mmol)。反応物を室温で1時間撹拌した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(150mg、0.396mmol、収率59%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1-tBu):323.23(方法1)。
【0143】
中間体22:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化27】
中間体8(1.3g、5.81mmol)の乾燥ジオキサン(10mL)溶液に、CsCO(3.79g、11.63mmol)、PdOAc(0.065g、0.291mmol)、キサントホス(0.336g、0.581mmol)および中間体2(1.902g、5.81mmol)を添加した。懸濁液を120℃で3時間加熱した。その後、反応物をDCM(100mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を収集し、相分離カートリッジで乾燥させ、溶媒を除去した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~20% DCM/DCM:NH 7N MeOH(9:1) DCM溶液)により精製し、表題化合物(1.55g、3.30mmol、収率57%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):470.35(方法1)。
【0144】
中間体23:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル 1-メチル-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート
【化28】
(2S)-1-メチル-5-オキソピロリジン-2-カルボン酸(500mg、3.49mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体23を製造し、表題化合物(定量的収率)を0.87M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):289.13(方法1)。
【0145】
中間体24:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル 5-オキソテトラヒドロチオフェン-2-カルボキシレート
【化29】
5-オキソチオラン-2-カルボン酸(0.4g、2.74mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体24を製造し、表題化合物(定量的収率)を0.5M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):292.04(方法1)。
【0146】
中間体25:3-(tert-ブチル) 4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル) 2,2-ジメチルオキサゾリジン-3,4-ジカルボキシレート
【化30】
(R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-4-カルボン酸(0.5g、2.039mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体25を製造し、表題化合物(定量的収率)を0.4M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1-Boc):291.14(方法1)。
【0147】
中間体26:3-(tert-ブチル) 4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル) 2,2-ジメチルオキサゾリジン-3,4-ジカルボキシレート
【化31】
オキセタン-3-カルボン酸(0.25g、2.449mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体26を製造し、表題化合物(0.605g、2.447mmol、定量的収率)を0.375M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):248.14(方法1)。
【0148】
中間体27:6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ピリダジン-4-アミン
【化32】
中間体8(0.15g、0.671mmol)から出発して、中間体26(0.375M DMSO溶液、5mL、1.875mmol)を用いて、中間体15の合成で使用された方法に従って中間体27を製造した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(120mg、0.429mmol、収率34%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):280.23(方法1)。
【0149】
中間体28:1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル オキセタン-2-カルボキシレート
【化33】
オキセタン-2-カルボン酸(500mg、4.90mmol)から出発して、中間体9の合成で使用された方法に従って中間体28を製造し、表題化合物(1.2g、4.90mmol、定量的収率)を1.23M DMSO溶液として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。LC-MS(ESI):m/z(M+1):248.14(方法1)。
【0150】
実施例化合物の製造
実施例1:tert-ブチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化34】
tert-ブチル 4-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート(中間体4、230mg、0.57mmol)、CsCO(324mg、0.99mmol)、キサントホス(34mg、0.06mmol)、N-(4-ブロモピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(中間体2、205mg、0.62mmol)およびPd(OAc)(7mg、0.03mmol)の混合物を乾燥1,2-ジメトキシエタン(4mL)に懸濁した。バイアルを密封し、脱気し、Nを充填し(3回)、100℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、セライト(登録商標)パッドでろ過し、EtOAcで洗浄した。有機ろ液を真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(cHex~100% EtOAc)により精製し、表題化合物(338mg、0.52mmol、収率91%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):651.4(方法2)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.62(brs、1H)、8.84-8.99(m、1H)、8.10(d、J=5.7Hz、1H)、8.02(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、7.96(s、1H)、7.76(s、1H)、7.56-7.67(m、1H)、7.44(dd、J=10.3、9.0Hz、1H)、6.89(brd、J=4.6Hz、1H)、6.11-6.34(m、1H)、3.94-4.19(m、2H)、3.55(brs、2H)、2.56-2.64(m、4H)、2.48-2.53(m、2H)、2.18-2.48(m、8H)、2.14(s、3H)、1.44(s、9H)。
【0151】
実施例2:tert-ブチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート
【化35】
tert-ブチル 4-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(中間体5、200mg、0.49mmol)およびN-(4-ブロモピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(中間体2、177mg、0.54mmol)から出発して、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例2の化合物を製造し、表題化合物(290mg、0.44mmol、収率91%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):653.3(方法2)
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ ppm 10.62(s、1H)、8.93(brs、1H)、8.13(d、J=5.6Hz、1H)、8.06(s、1H)、8.00(dd、J=6.4、2.7Hz、1H)、7.71(s、1H)、7.53-7.66(m、1H)、7.42(dd、J=10.4、9.0Hz、1H)、6.95(dd、J=5.5、1.8Hz、1H)、4.12(brd、J=10.6Hz、2H)、3.45-3.63(m、1H)、2.91(brs、2H)、2.58-2.62(m、2H)、2.50-2.54(m、2H)、2.16-2.49(m、8H)、2.14(s、3H)、1.70-1.94(m、4H)、1.43(s、9H)。
【0152】
実施例3:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化36】
tert-ブチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート(実施例1、281mg、0.43mmol)のDCM(4.3mL)溶液に、TFA(0.33mL、4.32mmol)を添加した。反応物を室温で4時間撹拌した。その後、さらなるTFA(0.33mL、4.32mmol)を添加し、反応物を4時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去した。残渣をSCXに充填し、MeOHで洗浄し、1M NH MeOH溶液で溶出した。塩基性フラクションを蒸発させ、BiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM~3% MeOH)により精製し、表題化合物(157mg、0.28mmol、収率66%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):551.2(方法2)
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ ppm 10.57(brs、1H)、8.82(brs、1H)、8.10(d、J=5.6Hz、1H)、8.03(dd、J=6.5、2.7Hz、1H)、7.96(s、1H)、7.74(s、1H)、7.59-7.65(m、1H)、7.44(dd、J=10.4、9.0Hz、1H)、6.88(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、6.16-6.28(m、1H)、3.32-3.39(m、2H)、2.92(t、J=5.5Hz、2H)、2.56-2.62(m、2H)、2.48-2.53(m、2H)、2.20-2.47(m、10H)、2.14(s、3H)。
【0153】
実施例4:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(ピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化37】
4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(実施例2、263mg、0.40mmol)から出発して、実施例3の合成で使用した方法に従って実施例4の化合物を製造し、表題化合物(216mg、0.39mmol、収率97%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):553.3(方法2)
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ ppm 10.61(s、1H)、8.88(brs、1H)、8.11(d、J=5.6Hz、1H)、8.05(s、1H)、8.01(dd、J=6.6、2.7Hz、1H)、7.70(s、1H)、7.54-7.64(m、1H)、7.42(dd、J=10.4、9.0Hz、1H)、6.93(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、3.35-3.46(m、1H)、3.06(brd、J=12.2Hz、2H)、2.67(td、J=11.9、3.0Hz、2H)、2.56-2.64(m、2H)、2.50-2.54(m、2H)、2.21-2.46(m、8H)、2.14(s、3H)、1.72-1.89(m、4H)。
【0154】
実施例5:メチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化38】
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(実施例3、60mg、0.11mmol)の氷冷DCM(1.09mL)溶液に、TEA(30μL、0.22mmol)およびクロロギ酸メチル(10μL、0.12mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO水溶液でクエンチした。相を分離し、有機層を乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM~3% MeOH)により精製し、表題化合物(33mg、0.05mmol、収率50%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):609.3(方法2)
H NMR(500MHz、DMSO-d)δ ppm 10.58(s、1H)、8.92(s、1H)、8.10(d、J=5.5Hz、1H)、8.02(dd、J=6.5、2.7Hz、1H)、7.96(brs、1H)、7.76(brs、1H)、7.57-7.66(m、1H)、7.44(dd、J=10.3、9.1Hz、1H)、6.89(brd、J=4.3Hz、1H)、6.23(brs、1H)、4.04(brs、2H)、3.65(s、3H)、3.61(brt、J=5.4Hz、2H)、2.56-2.62(m、4H)、2.50-2.54(m、2H)、2.21-2.46(m、8H)、2.14(s、3H)。
【0155】
実施例6:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化39】
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(実施例3、60mg、0.110mmol)のMeOH(0.5mL)溶液に、酢酸(15.6μL、0.27mmol)およびホルムアルデヒド 37%w/w水溶液(8μL、0.11mmol)を添加した。反応物を室温で15分間撹拌した後、ナトリウムシアノ水素化ホウ素(8mg、0.13mmol)を添加した。反応物を室温で30分間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去した。残渣をSCX上に充填してMeOHで洗浄し、1M NH MeOH溶液で溶出した。塩基性フラクションを蒸発させ、粗製の物質をBiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM~3% MeOH)により精製し、表題化合物(50mg、0.09mmol、収率81%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):565.2(方法2)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.56(s、1H)、8.90(s、1H)、8.09(d、J=5.6Hz、1H)、8.03(dd、J=6.6、2.7Hz、1H)、7.94(s、1H)、7.75(s、1H)、7.56-7.67(m、1H)、7.36-7.50(m、1H)、6.86(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、6.21(brs、1H)、3.00(brd、J=2.2Hz、2H)、2.56-2.66(m、6H)、2.49-2.55(m、2H)、2.28(s、3H)、2.22-2.46(m、8H)、2.14(s、3H)。
【0156】
実施例7:メチル 4-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート
【化40】
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(ピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(実施例4、70mg、0.13mmol)から出発して、実施例5の合成で使用した方法に従って実施例7の化合物を製造し、表題化合物(48mg、0.08mmol、収率62%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):611.4(方法2)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.63(brs、1H)、8.91(brs、1H)、8.13(d、J=5.7Hz、1H)、8.06(s、1H)、8.00(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、7.71(s、1H)、7.60(ddd、J=8.8、4.1、3.0Hz、1H)、7.42(dd、J=10.3、9.0Hz、1H)、6.95(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、4.15(brd、J=10.3Hz、2H)、3.63(s、3H)、3.48-3.59(m、1H)、2.84-3.17(m、2H)、2.57-2.64(m、2H)、2.50-2.55(m、2H)、2.16-2.49(m、8H)、2.14(s、3H)、1.86-1.97(m、2H)、1.73-1.86(m、2H)。
【0157】
実施例8:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化41】
N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(ピペリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(実施例4、51mg、0.09mmol)から出発して、実施例6の合成で使用した方法に従って実施例8の化合物を製造し、表題化合物(35mg、0.06mmol、収率66%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):567.3(方法2)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.69(s、1H)、8.81(s、1H)、8.11(d、J=5.5Hz、1H)、8.05(s、1H)、8.01(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、7.70(s、1H)、7.57-7.64(m、1H)、7.42(dd、J=10.3、9.0Hz、1H)、6.93(dd、J=5.5、1.8Hz、1H)、3.22-3.31(m、1H)、2.91(brd、J=10.7Hz、2H)、2.57-2.64(m、2H)、2.50-2.55(m、2H)、2.20-2.49(m、8H)、2.22(s、3H)、2.14(s、3H)、1.99-2.10(m、2H)、1.90-2.00(m、2H)、1.79-1.88(m、2H)。
【0158】
実施例9:tert-ブチル 3-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート
【化42】
tert-ブチル 3-[4-アミノ-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート(中間体10、150mg、0.396mmol)およびN-(4-ブロモピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド(中間体2、130mg、0.396mmol)から出発して、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例9の化合物を製造した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(HO+0.1% HCOOH~50% MeCN+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(64mg、0.102mmol、収率26%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):625.37(方法1)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.60(s、1H)、8.79(s、1H)、8.10(d、J=5.48Hz、1H)、7.94-8.04(m、2H)、7.71(s、1H)、7.52-7.66(m、1H)、7.32-7.50(m、1H)、6.90(brdd、J=5.48、1.53Hz、1H)、4.28-4.40(m、1H)、4.16-4.28(m、4H)、2.54-2.61(m、2H)、2.48-2.50(m、2H)、2.14-2.45(m、8H)、2.10(s、3H)、1.36(s、9H)。
【0159】
実施例10:N-(4-{[3-(アゼチジン-3-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化43】
tert-ブチル 3-(6-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-4-((2-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド)ピリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)アゼチジン-1-カルボキシレート(実施例9、50mg、0.080mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、TFA(2mL、26.0mmol)を添加し、溶液を3時間撹拌した。その後溶媒を除去し、粗製物を逆相フラッシュクロマトグラフィー(HO+0.1% HCOOH~30% MeCN+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物をビスTFA塩(35mg、0.067mmol、収率83%)として得た。
LC-MS(ESI):m/z(M+1):525.26(方法1)
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.53(brs、1H)、9.58(brs、1H)、9.12(brs、1H)、8.96(s、1H)、8.84(brs、1H)、8.16(d、J=5.48Hz、1H)、7.97-8.05(m、2H)、7.78(s、1H)、7.59-7.70(m、1H)、7.46(t、J=9.52Hz、1H)、6.93(dd、J=5.48、1.53Hz、1H)、4.62(q、J=7.97Hz、1H)、4.35-4.46(m、4H)、3.38-3.46(m、2H)、2.96-3.00(m、2H)、2.98(brs、2H)、2.77(brs、3H)、2.63-2.73(m、2H)、2.53-2.63(m、2H)、2.24-2.37(m、2H)。
【0160】
実施例11:tert-ブチル 5-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-カルボキシレート
【化44】
中間体12(200mg、0.49mmol)および中間体2(177mg、0.54mmol)から出発して、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例11の化合物を製造し、表題化合物(289mg、0.44mmol、収率90%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):651.3(方法2)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 11.20(brs、1H)、8.24(d、J=5.7Hz、1H)、8.20(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、7.97-8.14(m、1H)、7.87(s、1H)、7.35-7.43(m、1H)、7.10-7.19(m、1H)、6.96(brd、J=4.2Hz、1H)、7.27(brs、1H)、6.22-6.54(m、1H)、4.26-4.59(m、2H)、3.71(t、J=5.8Hz、2H)、2.73-2.80(m、2H)、2.53-2.58(m、2H)、2.51-2.88(m、8H)、2.42-2.51(m、2H)、2.37(s、3H)、1.51(s、9H)。
【0161】
実施例12:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド CHD-071569
【化45】
実施例11の化合物(289mg、0.44mmol)から出発して、実施例3の合成で使用した方法に従って実施例12の化合物を製造し、表題化合物(178mg、0.32mmol、収率73%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):551.3(方法3)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 11.21(s、1H)、8.23(d、J=5.7Hz、1H)、8.20(dd、J=6.7、2.7Hz、1H)、8.02(d、J=2.0Hz、1H)、7.84(d、J=1.3Hz、1H)、7.39(ddd、J=8.8、4.1、2.9Hz、1H)、7.13(dd、J=10.5、8.8Hz、1H)、6.99(s、1H)、6.94(dd、J=5.6、2.1Hz、1H)、6.36(brs、1H)、3.87(brd、J=1.8Hz、2H)、3.16(t、J=5.7Hz、2H)、2.73-2.79(m、2H)、2.52-2.58(m、2H)、2.45-2.86(m、8H)、2.38-2.44(m、2H)、2.37(s、3H)、1.57-1.70(m、1H)。
【0162】
実施例13:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化46】
実施例12の化合物(50mg、0.09mmol)から出発して、実施例6の合成で使用した方法に従って実施例13の化合物を製造し、表題化合物(25mg、0.05mmol、収率57%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):565.3(方法3)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 11.17(brs、1H)、8.22(d、J=5.8Hz、1H)、8.20(dd、J=6.7、2.6Hz、1H)、8.05(d、J=1.4Hz、1H)、7.86(s、1H)、7.39(ddd、J=8.7、4.1、2.9Hz、1H)、7.13(dd、J=10.4、8.9Hz、1H)、7.09(brs、1H)、6.93(dd、J=5.6、1.8Hz、1H)、6.34(brs、1H)、3.50(brs、2H)、2.73-2.79(m、4H)、2.54-2.58(m、4H)、2.52(s、3H)、2.46-2.84(m、8H)、2.37(s、3H)。
【0163】
実施例14:N-(4-{[3-(1-アセチル-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化47】
実施例12の化合物(36mg、0.07mmol)およびTEA(18μL、0.13mmol)の混合物のDCM(0.19mL)溶液に、無水酢酸(7μL、0.07mmol)を添加した。反応物を室温で15分間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、飽和NaCl水溶液で洗浄した。相を分離し、有機相を乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗製の物質をBiotageNHシリカカートリッジ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM~3% MeOH)により精製し、表題化合物(25mg、0.04mmol、収率65%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):593.3(方法3)。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.59(brs、1H)、8.92(brs、1H)、8.12(dd、J=5.5、2.5Hz、1H)、8.03(dd、J=6.4、2.5Hz、1H)、7.97(brs、1H)、7.77(s、1H)、7.66-7.58(m、1H)、7.44(t、J=9.7Hz、1H)、6.95-6.87(m、1H)、6.47-6.31(m、1H)、4.50-4.38(m、2H)、3.68-3.56(m、2H)、2.64-2.56(m、2H)、2.54-2.47(m、2H)、2.47-2.16(m、10H)、2.13(s、3H)、2.10-2.03(m、3H)。
【0164】
実施例15:tert-ブチル 2-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-({2-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド]ピリジン-4-イル}アミノ)ピリダジン-3-イル]アゼチジン-1-カルボキシレート
【化48】
中間体21(45mg、0.12mmol)から出発して、中間体2(43mg、0.13mmol)を用いて、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例15の化合物を製造し、表題化合物(30mg、0.50mmol、収率40%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):652.3(方法3)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 10.93(brs、1H)、10.26(brs、1H)、8.22(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、8.17(d、J=5.5Hz、1H)、8.14(d、J=1.5Hz、1H)、7.96(s、1H)、7.35-7.42(m、1H)、7.10-7.17(m、1H)、6.84(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、5.56(dd、J=9.0、5.5Hz、1H)、4.01-4.18(m、2H)、3.81-3.97(m、1H)、2.48-2.95(m、13H)、2.39(brs、3H)、1.52(s、9H)。
【0165】
実施例16:N-(4-{[3-(アゼチジン-2-イル)-6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド CHD-071596
【化49】
実施例15(43mg、0.07mmol)から出発して、実施例3の合成で使用した方法に従って実施例16の化合物を製造し、表題化合物(12mg、0.02mmol、収率33%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):525.2(方法3)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 12.02(brs、1H)、10.98(brs、1H)、8.21(d、J=5.7Hz、1H)、8.14(dd、J=6.6、2.6Hz、1H)、8.07(d、J=1.5Hz、1H)、7.85(s、1H)、7.38(dt、J=8.7、3.5Hz、1H)、7.13(dd、J=10.3、9.0Hz、1H)、6.94(dd、J=5.6、1.9Hz、1H)、5.72(t、J=8.8Hz、1H)、3.86-4.06(m、1H)、3.42-3.65(m、1H)、2.87(dt、J=19.7、9.6Hz、1H)、2.75-2.81(m、2H)、2.53-2.59(m、2H)、2.48-2.88(m、9H)、2.39(s、3H)。
【0166】
実施例17:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-5-オキソピロリジン-2-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化50】
中間体22(100mg、0.213mmol)の乾燥DMSO(5mL)溶液に、中間体23(0.87M DMSO溶液、0.37mL、0.319mmol)、4CzIPN(8.39mg、10.64μMol)およびCSA(99mg、0.426mmol)を添加した。溶液をアルゴンで激しくバブリングさせ、密封し、EVOLUCHEM LED 450DXランプを照射した。反応物を室温で18時間撹拌した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(31mg、0.055mmol、収率26%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):567.60(方法1)。H-NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.65(s、1H)、9.02(s、1H)、8.15(d、d、J=5.70Hz、1H)、8.08(s、1H)、8.04(dd、J=6.58、2.85Hz、1H)、7.81(s、1H)、7.53-7.71(m、1H)、7.44(dd、J=10.63、8.88Hz、1H)、6.99(dd、J=5.59、1.86Hz、1H)、5.40(dd、J=8.44、2.52Hz、1H)、2.67(s、3H)、2.58-2.63(m、2H)、2.52-2.54(m、2H)、2.24-2.48(m、11H)、2.14(s、3H)、1.92-2.02(m、1H)。
【0167】
実施例18:N-(4-{[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキセタン-2-イル)ピリダジン-4-イル]アミノ}ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化51】
中間体28(100mg、0.358mmol)から出発して、中間体22(117mg、0.358mmol)を用いて、実施例17の合成で使用した方法に従って実施例18の化合物を製造した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(10mg、0.019mmol、収率5%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):527.31(方法1)。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.75(s、1H)、9.41(s、1H)、8.24(d、J=5.70Hz、1H)、8.13-8.20(m、1H)、7.90(dd、J=6.47、2.74Hz、1H)、7.60-7.66(m、1H)、7.55(s、1H)、7.42-7.49(m、1H)、7.12(dd、J=5.81、2.08Hz、1H)、4.25-4.38(m、2H)、4.12(dd、J=9.87、5.26Hz、1H)、3.74-3.95(m、3H)、2.58-2.64(m、2H)、2.55(brd、J=6.14Hz、2H)、2.29-2.44(m、8H)、2.14(s、3H)。
【0168】
実施例19:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(5-オキソテトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化52】
中間体22(130mg、0.277mmol)から出発して、中間体24(0.5M DMSO溶液、0.754ml、0.415mmol)を用いて、実施例17の合成で使用した方法に従って実施例19の化合物を製造した。粗製物を逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製した。適切なフラクションを収集し、真空下で蒸発させ、残りの物質を塩基性条件でのセミ分取HPLCによりさらに精製し、表題化合物(16mg、0.013mmol、収率5%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):570.20(方法1)。H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ ppm 10.35-11.33(m、1H)、8.32(s、1H)、8.17-8.25(m、2H)、8.02(s、1H)、7.88(s、1H)、7.42(ddd、J=8.7、4.2、2.8Hz、1H)、7.14(dd、J=10.5、8.9Hz、1H)、6.86(dd、J=5.6、2.1Hz、1H)、6.29-6.74(m、1H)、5.35(t、J=5.7Hz、1H)、3.19-3.37(m、2H)、2.67-3.00(m、12H)、2.59(brt、J=5.8Hz、2H)、2.53(s、3H)。
【0169】
実施例20:tert-ブチル 4-(6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-((2-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド)ピリジン-4-イル)アミノ)ピリダジン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート
【化53】
中間体22(120mg、0.255mmol)から出発して、中間体25(0.4M DMSO溶液、0.376mL、0.384mmol)を用いて、実施例17の合成で使用した方法に従って実施例19の化合物を製造した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(7.0mg、10.46μMol、収率4%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):570.20(方法1)。H NMR(600MHz、DMSO-d6)δ ppm 10.64(s、1H)、9.00(s、1H)、8.14(d、J=5.51Hz、1H)、8.08(brs、1H)、7.99-8.05(m、1H)、7.78(s、1H)、7.59-7.66(m、1H)、7.44(dd、J=10.26、9.10Hz、1H)、6.90-7.01(m、1H)、5.49-5.67(m、1H)、4.40(brs、1H)、3.92-4.00(m、1H)、2.59-2.62(m、2H)、2.51-2.53(m、2H)、2.18-2.48(m、8H)、2.14(s、3H)、1.76(s、3H)、1.58(s、3H)、1.42(s、3H)、1.09(s、6H)。
【0170】
実施例21:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド。
【化54】
中間体15(50mg、0.170mmol)から出発して、中間体2(55.7mg、0.170mmol)を用いて、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例21の化合物を製造した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% DCM/DCM:NH 7N MeOH (9:1) DCM溶液)により精製し、表題化合物(40mg、0.074mmol、収率44%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):540.29(方法1)。H NMR(DMSO-d、400MHz)δ 10.60(s、1H)、8.91(s、1H)、8.10(d、J=5.5Hz、1H)、8.1-8.0(m、1H)、7.97(dd、J=2.8、6.5Hz、1H)、7.71(s、1H)、7.6-7.5(m、1H)、7.39(dd、J=8.9、10.5Hz、1H)、6.93(dd、J=2.0、5.5Hz、1H)、4.2-4.1(m、1H)、4.1-3.8(m、4H)、2.6-2.2(m、14H)、2.10(s、3H)。
【0171】
実施例22:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(テトラヒドロチオフェン-2-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド。
【化55】
中間体17(693mg、2.237mmol)から出発して、中間体2(471mg、1.790mmol)を用いて、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例22の化合物を製造した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~50% DCM:NH 7N MeOH(9:1) DCM溶液)により精製し、表題化合物(150mg、0.270mmol、収率12%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):556.25(方法1)。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ ppm 10.51(s、1H)、8.93(s、1H)、8.16-8.10(m、1H)、8.06(brs、1H)、8.02(dd、J=6.58、2.63Hz、1H)、7.74(brs、1H)、7.64-7.58(m、1H)、7.44(dd、J=10.52、8.99Hz、1H)、6.93(dd、J=5.70、2.19Hz、1H)、5.18(t、J=5.92Hz、1H)、2.99-2.89(m、4H)、2.76-2.56(m、10H)、2.54(s、3H)、2.26-2.08(m、4H)。
【0172】
実施例23:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-5-オキソピロリジン-3-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド。
【化56】
中間体19(150mg、0.468mmol)から出発して、中間体2(153mg、0.468mmol)を用いて、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例23の化合物を製造した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(20mg、0.035mmol、収率8%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):567.35(方法1)。
【0173】
実施例24:N-(4-((6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ピリダジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド
【化57】
中間体2(100mg、0.213mmol)から出発して、中間体27(0.375M DMSO溶液、0.850mL、0.319mmol)を用いて、実施例1の合成で使用した方法に従って実施例24の化合物を製造した。反応物を室温で18時間撹拌した。逆相フラッシュクロマトグラフィー(溶出勾配0~30% MeCN/HO 95:5+0.1% HCOOH HO/MeCN 95:5溶液+0.1% HCOOH)により精製し、表題化合物(21mg、0.040mmol、収率19%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):526.31(方法1)。H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm 10.60(s、1H)、8.78(brs、1H)、8.11(d、J=5.70Hz、1H)、7.98-8.01(m、1H)、7.75(s、1H)、7.54-7.66(m、1H)、7.35-7.47(m、1H)、6.94(dd、J=5.48、1.75Hz、1H)、6.31(t、J=7.45Hz、1H)、4.75(td、J=7.73、5.81Hz、1H)、4.62(dt、J=9.15、5.84Hz、1H)、3.29-3.44(m、2H)、2.96-3.05(m、1H)、2.49-2.64(m、4H)、2.16-2.45(m、8H)、2.10(s、3H)。
【0174】
ピリジニル基の代わりにベンゾチアゾリルを有する新たに合成した比較化合物
実施例C1:N-[6-(5-クロロ-2-フルオロフェニル)-3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリダジン-4-イル]-1,3-ベンゾチアゾール-6-アミン
【化58】
中間体13(45mg、0.08mmol)から出発して、実施例3の合成で使用した方法に従って実施例C1の化合物を合成し、表題化合物(22mg、0.05mmol、収率60%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+1):438.3(方法3)。H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 9.00(s、1H)、8.12-8.21(m、2H)、7.85(d、J=1.5Hz、1H)、7.48(d、J=1.0Hz、1H)、7.42(dd、J=8.7、1.9Hz、1H)、7.35(dt、J=7.9、3.9Hz、1H)、7.03-7.11(m、1H)、6.96(s、1H)、6.36(brs、1H)、3.67(brd、J=2.9Hz、2H)、3.26(t、J=5.6Hz、2H)、2.76(brd、J=1.5Hz、2H)。
【0175】
本発明の化合物の薬理学的活性
インビトロアッセイ
ADP-GLOキナーゼアッセイを用いてADP形成を測定することにより、本発明の化合物の酵素活性をモニタリングした。精製した酵素、基質およびATPをインキュベートした後、生成したADPをATPに変換し、次に、Ultra-Gloルシフェラーゼにより光へ変換した。発光シグナルは、ADP量およびキナーゼ活性と正の相関を有した。簡潔には、2.6nMの精製された商業的に入手可能なヒトALK5(組み換えTGFβ1N末端GSTタグ化、80末端)、最終濃度94.5μMのTGFβ1ペプチド(Promega、T36-58)および超高純度ATP(Promega V915B)をインキュベートすることにより、キナーゼ反応を実施した。ATP最終濃度は、ALK5(0.5μM)のKm値(酵素が最大速度(Vmax)の半分を達成する基質の最終濃度)に設定した。化合物とALK5キナーゼを混合し15分間インキュベートした。0.83μMのアッセイ液にATPを最終濃度で添加することにより、反応を開始した。120分間インキュベートした後、反応を停止させ、製造者の指示書に従って、ADP-Gloキットを用いてADP生成を検出した。極めて強力な化合物についてのアッセイウォールリミットを克服するために、高最終濃度(30倍のKm)のATPを用いることにより、アッセイプロトコルを変更した。化合物およびALK5キナーゼを15分間混合し、15μMのアッセイ液にTGFβ1ペプチドおよび最終濃度のATPを添加することにより、反応を開始した。60分間インキュベートした後、キナーゼ反応を停止させ、製造者の指示書に従って、ADP-Gloキットを用いてADP生成を検出した。
【0176】
全ての反応およびインキュベート工程は25℃で実施され、アッセイは384ウェル形式で実施され、11点最終濃度-応答曲線で試験された標準化合物の選択を用いて検証された。
【0177】
個々の化合物の結果を表2に提供し、化合物はALK5受容体に対するそれらの阻害活性により分類される。結果をpIC50(IC50の負の対数)として表し、続いてCheng-Prusoff式を用いてpK(解離関数Kの負の対数)に変換した。pKが高いほど、ALK5活性阻害が大きい。
【0178】
理解され得るとおり、表2の全ての化合物は、生物化学的ALK5アッセイで試験したとき、8.5を超えるpKi値を示す。
【表2】
【0179】
比較実施例
上記と同様のインビトロアッセイで実施例C1の化合物を試験した。
【表3】
【0180】
表2に示すとおり、本発明の化合物は8.5を超えるpKiを有するが、比較実施例C1の化合物は、7.22より低いpKiを有する。これらのデータは、ピリジニル基の代わりにベンゾチアゾリルを有することにより特徴付けられる化合物C1とは対照的に、本発明化合物におけるピリジニル基の存在が、ALK5受容体に対する阻害活性における関連する増加を予想外かつ顕著に決定することを示す。
【国際調査報告】