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特表2025-504405生分解性エステル結合を含むイオン化可能な脂質およびこれを含む脂質ナノ粒子
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  • 特表-生分解性エステル結合を含むイオン化可能な脂質およびこれを含む脂質ナノ粒子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】生分解性エステル結合を含むイオン化可能な脂質およびこれを含む脂質ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/16 20060101AFI20250204BHJP
   C07D 295/13 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 9/127 20250101ALI20250204BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20250204BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20250204BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250204BHJP
   C07D 295/15 20060101ALI20250204BHJP
   C11B 11/00 20060101ALI20250204BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20250204BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
C07C229/16
C07D295/13 CSP
A61K9/127 ZNA
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/34
A61K31/7088
C07D295/15
C11B11/00
C12N15/113 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541703
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2023000742
(87)【国際公開番号】W WO2023136689
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006692
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】516017994
【氏名又は名称】エスティー ファーム カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】231,Hyeomnyeok-ro,Siheung-si,Gyeonggi-do,15086 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジュソン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,カンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウクイル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョクジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イェヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ,イェジ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB13
4C076BB15
4C076DD49
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA13
4H006AA01
4H006AB20
4H006AC48
4H006AC52
4H006BT12
4H006BU32
(57)【要約】
本発明は、生分解性エステル結合を含む新規なイオン化可能な脂質に関するものである。本発明のエステル結合を含むイオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子を製造するとき、アニオン性薬物を安定的に送達し、特に核酸送達時、優れた効果を示し、脂質ナノ粒子媒介遺伝子治療などの関連技術分野にて有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式1で表されるイオン化可能な脂質(ionizable lipid)、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩:
【化1】

ここで、Aは、
【化2】
または
【化3】

であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NR、または-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルから選ばれるいずれかであり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-6アルキル、または-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルから選ばれるいずれかであり、
は、-C1-6アルキル-NRまたは-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルであり、
Yは、-O-またはNRであり、
は、-HまたはC1-3アルキルであり、
mは、0~5の整数であり、
nは、1~11の整数であり、
xは、1~5の整数であり、
lは、2~10の整数であり、および
pは、0~2の整数である。
【請求項2】
Aは、
【化4】
であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、-C1-4アルキル-NR、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
Yは、-O-であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、3~7の整数であり、
xは、1~3の整数であり、
lは、2~6の整数であり、および
pは、1である、請求項1に記載のイオン化可能な脂質、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
Aは、
【化5】
であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
は、-C1-4アルキル-NRまたは-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルであり、
Yは、-O-であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、3~7の整数であり、
xは、1~3の整数であり、
lは、2~6の整数であり、および
pは、1である、請求項1に記載のイオン化可能な脂質、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記イオン化可能な脂質は、次の表に記載された化合物1~化合物11からなる群より選ばれる、請求項1に記載のイオン化可能な脂質、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩:
【表1】

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質(ionizable lipid)、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩を含む、脂質ナノ粒子。
【請求項6】
前記脂質ナノ粒子は、リン脂質、構造的脂質、およびPEG-脂質からなる群より選ばれるいずれか一つ以上をさらに含む、請求項5に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項7】
前記リン脂質は、DOPE、DSPC、POPC、EPC、DOPC、DPPC、DOPG、DPPG、DSPE、DOTAP、ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、POPE、DOPS、DLPC、DMPC、DUPC、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、およびスフィンゴミエリンからなる群より選ばれるいずれか一つ以上である、請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項8】
前記PEG-脂質は、PEG-セラミド、PEG-DMG、PEG-c-DOMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPCおよびPEG-DSPEからなる群より選ばれるいずれか一つ以上である、請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項9】
前記構造的脂質は、コレステロール、コレステノール、スピナステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、エルゴステノール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソール酸およびアルファ-トコフェロールからなる群より選ばれるいずれか一つ以上である、請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項10】
前記脂質ナノ粒子は、イオン化可能な脂質:リン脂質:コレステロール:脂質-PEGコンジュゲートを10~40:10~30:40~70:1~5のモル比で含む、請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項11】
前記脂質ナノ粒子は、アニオン性薬物をさらに含む、請求項6に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項12】
前記アニオン性薬物は、核酸、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、タンパク質-核酸構造体、およびアニオン性生体高分子-薬物コンジュゲートからなる群より選ばれるいずれか一つ以上である、請求項11に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項13】
前記核酸は、siRNA、rRNA、DNA、アプタマー(aptamer)、mRNA、tRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNA、miRNA、sgRNA、tracrRNA、gRNA、リボザイム(ribozyme)、PNA、およびDNAzymeからなる群より選ばれるいずれか一つ以上である、請求項12に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項14】
前記脂質ナノ粒子において、イオン化可能な脂質/核酸の重量比は1~20である、請求項13に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項15】
請求項11に記載の脂質ナノ粒子を含む、薬物送達用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性エステル結合を含む新規なイオン化可能な脂質に関するものである。具体的に、本発明は、生分解性エステル結合を含むイオン化可能な脂質、これを用いて製造された脂質ナノ粒子およびその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬物送達システム(DDS;Drug Delivery System)は、薬物の副作用を減らし、効能および効果を極大化させて必要な量の薬物を効率的に送達できるように設計された技術である。特に、遺伝子治療における薬物送達体としては、従来のウィルス伝達体が効果的であることが立証されているが、免疫原性(immunogenicity)、注入されたDNAサイズの限界および大量生産の困難さなどのいくつかの短所により、遺伝子送達システムとしてウイルスの利用が制限されてきた。
【0003】
そこで、ウィルス性システムの代替手段であって、核酸を細胞内に輸送する方法としては、これまでに正電荷脂質または重合体と混合して輸送する方法(それぞれ脂質-DNAコンジュゲート(lipoplex)およびポリマー-DNAコンジュゲート(polyplex)と命名される)が主に用いられている(Hirko et al.、Curr、Med、Chem.、10、1185-1193、2003;Merdan et al.、Adv.Drug.Deliv.Rev.、54、715-758、2002;Spagnou et al.、Biochemistry、43、13348-13386、2004)。特に、脂質-DNAコンジュゲートは、核酸と結合して細胞内に核酸をうまく伝達して細胞レベルで多く用いられているが、in vivoでは局所的に注射したとき、多くの場合、体内で炎症を引き起こし(Filonand and Phillips、Biochim.Biophys/Acta、1329、345-356、1997)、血管内注射の際、主に一次通過器官である肺、肝臓、脾臓などの組織に蓄積する短所がある(Renet al.、Gene Therapy.7、764-768、2000)。
【0004】
このような背景の下、本発明者は、薬物の封入率に優れ、目的とする器官または細胞に核酸などのアニオン性薬物を効率的に送達できる新規物質を開発すべく鋭意努力した結果、本発明の生分解性エステル結合を含む新規イオン化可能な脂質の優れた薬物送達の効果を確認することによって本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、新規な構造の生分解性エステル結合を含むイオン化可能な脂質、その立体異性体、またはその薬学的に許容可能な塩を提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、前記イオン化可能な脂質、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩を含む脂質ナノ粒子を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、前記脂質ナノ粒子およびアニオン性薬物を含む薬物送達用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これを具体的に説明すると以下の通りである。なお、本発明にて開示された各々の説明および実施形態は、それぞれ他の説明および実施形態にも適用され得る。すなわち、本発明にて開示されたあらゆる要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、以下に述べる具体的な叙述によって本発明の範疇が制限されるとみることができない。
【0009】
前記目的を達成するために、本発明者が研究努力した結果、次の式1で表されるエステル結合を含むイオン化可能な脂質が脂質ナノ粒子を製造するとき、薬物を安定的で効果的に送達し、肝毒性などの副作用が少ないことを確認し、本発明を完成した。
【0010】
エステル結合を含むイオン化可能な脂質
前記目的を達成するための本発明の一つの態様は、次の式1で表されるイオン化可能な脂質、その立体異性体、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0011】
【化1】

ここで、Aは
【化2】
または
【化3】
であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NR、または-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルから選ばれるいずれかであり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-6アルキル、または-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルから選ばれるいずれかであり、
は、-C1-6アルキル-NRまたは-C2-12アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-12アルキルであり、
Yは、-O-またはNRであり、
は、-HまたはC1-3アルキルであり、
mは、0~5の整数であり、
nは、1~11の整数であり、
xは、1~5の整数であり、
lは、2~10の整数であり、および
pは、0~2の整数である。
【0012】
これらに制限されるものではないが、前記式1で表される化合物は、具体的に、前記式1中、
Aは、
【化4】
であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、-C1-4アルキル-NR、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
Yは、-O-であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、3~7の整数であり、
xは、1~3の整数であり、
lは、2~6の整数であり、および
pは、1であってもよい。
【0013】
また、これらに制限されるものではないが、前記式1で表される化合物は、前記式1中、
Aは、
【化5】
であり、
およびRは、それぞれ独立に、-H、-C1-3アルキル、または-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルから選ばれるいずれかであり、
は、-C1-4アルキル-NRまたは-C4-8アルキル-(C=O)-Y-(CHCH=CH-C4-8アルキルであり、
Yは、-O-であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、3~7の整数であり、
xは、1~3の整数であり、
lは、2~6の整数であり、および
pは、1であってもよい。
【0014】
また、本発明の具体例によれば、前記式1で表される化合物は、次の表1に記載された化合物からなる群より選ばれるものであってもよい。
【0015】
【表1】

【0016】
本発明において、用語「アルキル」とは、他の記載がない限り、直鎖または分岐鎖の非環状飽和炭化水素を意味する。例えば、「C1-6アルキル」は、炭素原子を1~6個含むアルキルを意味することができる。本発明におけるアルキル構造において、単純な置換基の付加等をした場合でも、本発明のイオン化可能な脂質と同等の効果を有する限り、いずれも均等な範囲で本発明の範疇に含まれる。
【0017】
本発明において、用語「イオン化可能な脂質(ionizable lipid)」とは、容易にプロトン化し得るアミン-含有脂質を意味し、脂質類似体(lipidoid)とも命名される。前記イオン化可能な脂質は、周囲のpHによって電荷状態が変化し得るため、アニオン性薬物と静電気的相互作用を通じて前記薬物が脂質ナノ粒子内に高い効率で封入されるようにする役割を行い、脂質ナノ粒子の構造を形成することに寄与する。本発明のイオン化可能な脂質は、少なくとも一つ以上の一次アミンを含むアミン頭部にエステル結合と二重結合を含むアルキル鎖が結合された形態を有することを特徴とし、核酸送達時、既知の他のイオン化可能な脂質に比べて、in vivoでは組織特異性、遺伝子発現率のような効能に優れ、薬物送達後、in vivoでは容易に分解され、肝毒性のような副作用が大きくない長所がある。
【0018】
本発明において、用語「立体異性体」は、同一の化学式または分子式を有するが、立体的に他の本発明の化合物を意味する。このようなそれぞれの立体異性体およびそれの混合物も同様に本発明の範囲に含まれる。特に断りがない限り、不斉炭素原子に連結される実線結合(-)は、立体中心の絶対配置を示す実線くさび形結合
【化6】
または破線くさび形結合
【化7】
を含むことができる。
【0019】
本発明における式1の化合物は、「薬学的に許容可能な塩」の形態で存在することができる。塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用であることができるが、これに制限されない。本発明の用語「薬学的に許容可能な塩」とは、患者に比較的毒性がなく、無害な有効作用を有する濃度であって、この塩に起因する副作用が式1で表される化合物の有益な効能を低下させない前記化合物の任意の全ての有機酸または無機酸付加塩、または塩基付加塩を意味する。
【0020】
酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過剰の酸水溶液に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを用いて沈殿させて製造することができる。同モル量の化合物および水中の酸またはアルコールを加熱し、次いで前記混合物を蒸発させて乾燥させる、または析出された塩を吸引ろ過させることができる。
【0021】
このとき、遊離酸としては、有機酸と無機酸を用いることができ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、または硝酸などを用いることができ、有機酸としては、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カーボン酸、バニリン酸、またはヨウ化水素酸などを用いることができるが、これらに制限されるものではない。
【0022】
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩は、例えば、化合物を過剰のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土金属水酸化物の溶液中に溶解させ、非溶解化合物の塩をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得ることができる。このとき、金属塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩を製造することができるが、これらに制限されるものではない。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0023】
エステル結合を含むイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子
本発明のもう一つの態様は、上述した式1で表されるイオン化可能な脂質(ionizable lipid)、その立体異性体、またはその薬学的に許容可能な塩を含む脂質ナノ粒子である。本発明の脂質ナノ粒子は、式1で表されるイオン化可能な脂質を1種含むか、または2種以上含むものであってもよい。また、目的に応じて本発明以外のイオン化可能な脂質を追加でさらに含むことができる。
【0024】
前記脂質ナノ粒子は、リン脂質、構造的脂質、およびPEG-脂質からなる群より選ばれるいずれか一つ以上をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0025】
前記リン脂質は、脂質ナノ粒子内でイオン化可能な脂質および薬物が相互作用して形成されたコアを取り囲んで保護する役割を行い、標的細胞のリン脂質二重層と結合し、薬物の細胞内送達時、細胞膜通過およびエンドソーム脱出(endosomal escape)を容易にする。前記リン脂質は、脂質ナノ粒子の融合を促進させることができるリン脂質を制限なく使用することができ、例えば、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(dioleoylphosphatidylethanolamine、DOPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(distearoylphosphatidylcholine、DSPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(palmitoyloleoylphosphatidylcholine、POPC)、卵ホスファチジルコリン(egg phosphatidylcholine、EPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(dioleoylphosphatidylcholine、DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine、DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(dioleoylphosphatidylglycerol、DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(dipalmitoylphosphatidylglycerol、DPPG)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(distearoylphosphatidylethanolamine、DSPE)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(1,2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane、DOTAP)、ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidylethanolamine、PE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(dipalmitoylphosphatidylethanolamine)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスフェート(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphate、18-PA)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-diarachidoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-didocosahexaenoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-diphytanoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine、ME16:0PE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1-palmitoyl-2-oleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine、POPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-[phospho-L-serine]、DOPS)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine、DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphocholine、DMPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(1,2-diundecanoyl-sn-glycero-phosphocholine、DUPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1,2-di-O-octadecenyl-sn-glycero-3-phosphocholine、18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1-oleoyl-2-cholesterylhemisuccinoyl-sn-glycero-3-phosphocholine、OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(1-hexadecyl-sn-glycero-3-phosphocholine、C16 Lyso PC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-diarachidonoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(1,2-didocosahexaenoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、スフィンゴミエリン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0026】
前記構造的脂質は、脂質ナノ粒子内で脂質充填に形態的側面で剛性を与え、ナノ粒子のコアおよび表面に分散され、ナノ粒子の安定性を向上させる役割をする。前記構造的脂質は、例えば、コレステロール、コレステノール、スピナステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、エルゴステノール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソール酸、アルファ-トコフェロールまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0027】
本発明におけるPEG-脂質は、脂質とPEGがコンジュゲートされた形態を称するものであって、一方の側端部に親水性重合体であるポリエチレングリコール重合体が結合された脂質を意味する。前記PEG-脂質は、脂質ナノ粒子内でナノ粒子の血清中での粒子安定性に寄与し、ナノ粒子間の凝集を防ぐ役割を行う。また、PEG-脂質は、核酸をin vivo送達時、分解酵素から核酸を保護し、核酸の体内安定性を強化させ、ナノ粒子内に封入された薬物の半減期を増加させることができる。前記PEG-脂質は、例えば、PEG-セラミド、PEG-DMG、PEG-c-DOMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、PEG-DSPEまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0028】
具体例として、本発明のイオン化可能な脂質とリン脂質、構造的脂質およびPEG脂質を混合し、脂質ナノ粒子を製造する場合、イオン化可能な脂質:リン脂質:構造的脂質:PEG-脂質のモル比は、10~40:10~30:40~70:1~5であってもよい。また、前記モル比は、20~30:15~25:45~55:1~5であってもよいが、これらに制限されない。
【0029】
本発明の脂質ナノ粒子は、6.0~7.0、具体的には、6.0~6.5のpKaを示すことによって、酸性pH条件で正電荷を帯び、負電荷を帯びる核酸およびアニオン性薬物などの治療剤と静電気的相互作用を通じて容易に薬物との複合体を形成し、高い効率でアニオン性薬物を封入することができ、薬物の細胞内またはin vivo薬物送達組成物として用いられることができる。したがって、本発明の脂質ナノ粒子は、核酸のみならずアニオンを帯びるあらゆる形態の薬物を送達するのに有用に用いられることができる。すなわち、本発明の脂質ナノ粒子は、最終的にアニオン性薬物を追加で含む形態(封入された形態)で製造され得る。
【0030】
本発明において、「封入(encapsulation)」という用語は、送達物質を取り囲んで効率的にin vivoに取り込むためにカプセル化することを指し、薬物封入率(カプセル化効率、Encapsulation efficiency)とは、調製に用いられた薬物全体の含有量に対して脂質ナノ粒子内に封入された薬物の含有量を意味する。
【0031】
前記アニオン性薬物は、核酸、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、タンパク質-核酸構造体またはアニオン性生体高分子-薬物コンジュゲートなどであってもよいが、本発明のイオン化可能な脂質と共に脂質ナノ粒子を形成し、安定的で効率的に送達され得る限り、これに制限されるものではない。
【0032】
本発明における前記核酸は、siRNA、rRNA、DNA、アプタマー(aptamer)、mRNA、tRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNA、miRNA、sgRNA、tracrRNA、gRNA、リボザイム(ribozyme)、PNA、DNAzyme、またはこれらの混合物であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0033】
前記脂質ナノ粒子において、イオン化可能な脂質/核酸の重量比は、1~20であってもよく、例えば、5~15、より具体的には8~12であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
本発明における前記脂質ナノ粒子は、例えば、50~90nmの直径を有するものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0035】
脂質ナノ粒子を含む薬物送達用および薬学的組成物
本発明のもう一つの態様は、本発明によるアニオン性薬物含有脂質ナノ粒子を含む、薬物送達用組成物である。
【0036】
本発明のもう一つの態様は、本発明によるアニオン性薬物含有脂質ナノ粒子を有効成分として含む、薬学的組成物である。
【0037】
脂質ナノ粒子およびアニオン性薬物については、前述したとおりである。
【0038】
本発明の脂質ナノ粒子は、核酸などのアニオン性薬物と安定した複合体を形成し、低い細胞毒性および効果的な細胞吸収性を示すため、アニオン性薬物を送達するのに効果的である。したがって、前記脂質ナノ粒子は、用いられるアニオン性薬物の種類、核酸の種類によって関連疾患に予防または治療効果を有し、薬物送達用組成物として無限の活用可能性がある。
【0039】
本発明における「治療」という用語は、疾病を有する個々人または細胞の天然過程を変更するために介入することを指し、これは病理状態が進行する間またはそれを予防するために行われることができる。目的とする治療効果には、疾病の発生または再発を予防し、症状を緩和し、疾病に伴うすべての直接的または間接的な病理学的結果を低下させ、転移を予防し、疾病の進行速度を減少させ、疾病の状態を軽減または一時的に緩和させ、快方に向かわせるまたは予後を改善させることが含まれる。特に、本発明では、エステル結合含有イオン化可能な脂質、その立体異性体またはその薬学的に許容可能な塩、およびアニオン性薬物を有効成分として含む脂質ナノ粒子を投与することによって疾病の経過を好転させるあらゆる行為を含む。また、用語「予防」とは、前記脂質ナノ粒子の投与によって疾病の発病を抑制または遅延させるあらゆる行為を指す。本発明の脂質ナノ粒子が治療または予防の目的で使用される場合、個体に治療学的に有効な量で投与される。
【0040】
本発明にて用いられる「治療学的に有効な量」という用語は、アニオン性薬物含有脂質ナノ粒子の有効な量を示す。具体的には、「治療学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受益/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、個体の種類および重症度、年齢、性別、疾病の種類、薬物の活性、薬物に対する感度、投与時間、投与経路および排出率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素およびその他の医学分野で周知の要因に応じて決定され得る。本発明の薬学的組成物は、単独の治療剤として投与するまたは他の治療剤と併用して投与され得、市販の治療剤とは順次または同時に投与され得る。また、単回または複数回投与することができる。上記の要素を全て考慮して、副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決定され得る。本発明の薬学的組成物の投与用量は、患者の状態、年齢、性別および合併症などの様々な要因に応じて専門家によって決定され得る。本発明の組成物の有効成分は、安全性に優れるので、決定された投与用量以上でも使用することができる。
【0041】
前記脂質ナノ粒子を有効成分として含む組成物は、経口、筋肉、静脈、動脈、皮下、腹腔、肺、および経鼻注射などで投与することができるが、これらに制限されない。
【0042】
本発明の組成物は、投与のために追加で薬学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができる。薬学的に許容可能な塩としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、テキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、およびこれらの成分のうちの1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液等のような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤で製剤化することができる。したがって、本発明の組成物は、パッチ剤、液剤、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、坐剤などであってもよい。これら製剤は、当分野にて製剤化に用いられる通常の方法または文献[Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PA]に開示されている方法により製造され得、各疾患に応じてまたは成分に応じて多様な製剤に製剤化され得る。
【0043】
本発明の実施形態は、多様な異なる形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除外するものでなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【発明の効果】
【0044】
本発明のエステル結合を含むイオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子を製造するとき、アニオン性薬物を安定的に送達し、特に核酸送達時、優れた効果を示し、脂質ナノ粒子媒介遺伝子治療などの関連技術分野に有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】244-9-cis脂質ナノ粒子のTNS実験によるpKa測定の結果である。
図2】in vivo効能実験により、本発明のイオン化可能な脂質を含むsiRNA封入脂質ナノ粒子の肝細胞標的可能性を実験するために、siFVII(Factor VII)ノックアウト効果を確認した結果を示す。
図3】hEPO mRNA封入244-9-cis脂質ナノ粒子のin vivo送達を確認するために、マウスに静脈注射した後、採血し、hEPOレベルを分析した結果である。
図4】mFLuc封入244-9-cis脂質ナノ粒子のin vivo送達を確認するために、マウスに筋肉注射した後、生体発光を確認した写真である。
図5】244-9-cis脂質ナノ粒子の細胞毒性を確認するために、核酸薬物が封入されない脂質ナノ粒子を製造し、HepG2、MEF、Hela、KB-GFPの4種類の細胞株に脂質ナノ粒子を濃度別に処理した後、細胞毒性を確認した結果である。
図6】244-9-cis脂質ナノ粒子の肝毒性を確認するために、mRNAが封入された脂質ナノ粒子を製造し、マウスに投与した後、AST、ALTのレベルを確認し、ALC-0315脂質と比較した結果である。
図7】244-9-cis脂質ナノ粒子の肝毒性を確認するために、mRNAが封入された脂質ナノ粒子を製造し、投与した後、ALP、ALBのレベルを確認し、ALC-0315脂質と比較した結果である。
図8】244-9-cis脂質ナノ粒子の肝毒性を確認するために、mFLucが封入された脂質ナノ粒子を製造し、マウスに投与した後、24時間後、ALC-0315と肝毒性の状態を比較した肝組織写真である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を製造例、実施例および実験例を通じて詳しく説明する。ただし、次の製造例、実施例および実験例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるものではない。
【0047】
実施例1.エステル結合含有イオン化可能な脂質(ionizable lipid)の製造
実施例1-1.エステル結合含有イオン化可能な脂質の合成
多様な種類のアミン頭部基にエステル結合と二重結合を含むアルキル鎖を結合させ、本発明のエステル結合含有イオン化可能な脂質を製造した。
【0048】
化合物1~化合物4は、具体的に、DCM(ジクロロメタン)溶媒にcis-2-ノネン-1-オール当たり9-ブロモノナン酸(9-Bromo nonanoic acid)、DIC(N,N-ジイソプロピルカルボジイミド)(N,N-Diisopropyl carbodiimde)をそれぞれ1.5当量、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)(4-dimethylaminopyridine)を0.2当量入れ、25℃で一晩反応させ、CombiFlashカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル(5:1 v/v ratio)で精製した。溶媒を全部飛ばした後、生成物をエタノールに溶かし、DIPEA(N、N-ジイソプロピルエチルアミン)(N,N-Diisopropylethylamine)1当量、一次アミンを有する物質(アミン頭部)の場合、化合物1は、0.3当量、化合物2、化合物4は、0.2当量、化合物3は、0.15当量を入れ、3日間反応させた。CombiFlashカラムを用いて、DCM/MeOH(9:1 v/v ratio)で精製を行い、イオン化可能な脂質を合成した。
【0049】
化合物5~化合物9は、具体的に、DCM(ジクロロメタン)(Dichloromethane)溶媒にcis-2-ノネン-1-オール当たり化合物5の場合、9-ブロモノナン酸(9-Bromo nonanoic acid)、化合物6の場合、5-ブロモペンタン酸(5-Bromo pentanoic acid)、化合物7の場合、6-ブロモヘキサン酸(6-Bromo hexanoic acid)、化合物8の場合、7-ブロモヘプタン酸(7-Bromo heptanoic acid)、化合物9の場合、8-ブロモオクタン酸(8-Bromo octanoic acid)とDIC(N,N-ジイソプロピルカルボジイミド)をそれぞれ1.5当量、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)を0.2当量入れ、25℃で一晩反応させ、CombiFlashカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル(5:1 v/v ratio)で精製した。溶媒を全部飛ばした後、生成物をエタノールに溶かし、DIPEA(N、N-ジイソプロピルエチルアミン)(N,N-Diisopropylethylamine)1当量、一次アミンを有する物質(アミン頭部)0.3当量を入れ、3日間反応させた。CombiFlashカラムを用いて、DCM/MeOH(9:1 v/v ratio)で精製を行い、イオン化可能な脂質を合成した。
【0050】
一例として、244-9-cisの具体的な反応式は、次の反応式1の通りである。
【0051】
【数1】

化合物10および化合物11は、具体的に、DCM(ジクロロメタン)溶媒に化合物10の場合、cis-3-ノネン-1-オール、化合物11の場合、cis-4-デカン-1-オール当たり9-ブロモノナン酸(9-Bromo nonanoic acid)、DIC(N,N-ジイソプロピルカルボジイミド)をそれぞれ1.5当量、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)を0.2当量入れ、25℃で一晩反応させ、CombiFlashカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル(5:1 v/v ratio)で精製した。溶媒を全部飛ばした後、生成物をエタノールに溶かし、DIPEA(N、N-ジイソプロピルエチルアミン)1当量、一次アミンを有する物質(アミン頭部)0.3当量を入れ、3日間反応させた。CombiFlashカラムを用いて、DCM/MeOH(9:1 v/v ratio)で精製を行い、イオン化可能な脂質を合成した。
【0052】
本発明のエステル結合含有イオン化可能な脂質の具体的な実施例化合物を次の表2に示した。
【0053】
【表2】

【0054】
実施例1-2.エステル結合含有イオン化可能な脂質の合成の確認
前記実施例1-1にて製造したイオン化可能な脂質の合成を確認するために、MS分析を行った。具体的に、イオン化可能な脂質は、0.5ppm以下の濃度でエタノールに希釈し、MS分析を行い、分析に用いられた機器は、Agilent Technologies社製(Palo Alto、USA)の6230 LC/MSであり、分離カラムは、Agilent Technologies社製のZorbax SB-C18(100mm×2.1mm i.d.、3.5μm)を使用した。前記MS分析の内容を表3に示した。
【0055】
【表3】
【0056】
前記結果から、実施例1-1にてエステル結合を含むイオン化可能な脂質が良好に作製されことを確認することができた。
【0057】
実施例2.脂質ナノ粒子の製造
実施例2-1.製剤パラメータ
本発明のイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子は、次の表4および表5の重量比で製造された。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
実施例2-2.siRNAが封入された脂質ナノ粒子の製造
前記実施例1-1にて製造したイオン化可能な脂質、コレステロール(Cholesterol powder、BioReagent、suitable for cell culture、≧99%、sigma、韓国)、リン脂質(DSPC)(Avanti、米国)、およびC16-PEG2000セラミド(Avanti、米国)をエタノールに26.5:20:52:1.5のモル比で溶解させた。
【0061】
それから、siRNAを50mMの酢酸ナトリウム(sigma、韓国)緩衝液に溶解させ、イオン化可能な脂質、コレステロール、リン脂質、および脂質-PEGが溶解されたエタノールおよびアセテート緩衝液をそれぞれ1:3の体積比で12ml/分の流速でマイクロ流体混合装置(Benchtop Nanoassemblr;PNI、Canada)により混合し、脂質ナノ粒子を製造した。
【0062】
実施例2-3.mRNAが封入された脂質ナノ粒子の製造
前記実施例1-1にて製造したイオン化可能な脂質、コレステロール(Cholesterol powder、BioReagent、suitable for cell culture、≧99%、sigma、韓国)、リン脂質(DOPE)(Avanti、米国)、およびC16-PEG2000セラミド(Avanti、米国)をエタノールに26.5:20:52:1.5のモル比で溶解させた。
【0063】
その後、mRNAを10mMのクエン酸ナトリウム(sigma、韓国)緩衝液に溶解し、イオン化可能な脂質、コレステロール、リン脂質、および脂質-PEGが溶解されたエタノールおよびクエン酸緩衝液をそれぞれ1:3の体積比で12ml/分の流速でマイクロ流体混合装置(Benchtop Nanoassemblr;PNI、Canada)により混合し、脂質ナノ粒子を製造した。
【0064】
実験例1:脂質ナノ粒子の物理化学的特性の確認
実験例1-1.粒子の大きさ、多分散指数(PDI、polydispersity index)、ゼータ電荷(zeta potential)および薬物封入率の測定
本実験例では、前記実施例2-3にて製造されたホタルルシフェラーゼmRNA(配列番号1)またはFVII siRNA(配列番号2および配列番号3)が封入された脂質ナノ粒子の物理化学的特性を確認することを試みた。具体的に、mRNAまたはsiRNAが封入された244-9-cis脂質ナノ粒子を製造した後、各脂質ナノ粒子に含まれたRNAの濃度が1μg/mlになるようにPBSを用いて希釈した。その後、Malvern Zetasizer Nano(Malvern Instruments、UK)にて動的光散乱(DLS)を用いて脂質ナノ粒子の直径、多分散指数(PDI;polydispersity index)、ゼータ電荷(zeta potential)を測定した。
【0065】
次に、Ribogreen分析(Quant-iT(商標)RiboGreen(登録商標)RNA、Invitrogen)により前記mRNAまたはsiRNAを封入した脂質ナノ粒子のカプセル化効率(薬物封入率、%)を測定した。mRNAを封入した脂質ナノ粒子を96-ウェルプレートにてmRNAの最終濃度が4~7μg/mlになるように1xTE緩衝液50μlで希釈した。Triton-X無処理群(Triton-x LNP(-))は、1xTE緩衝液50μlを添加し、Triton-X処理群(Triton-X LNP(+))は、2%Triton-X緩衝液50μlを添加した。37℃で10分間インキュベーションし、Triton-Xで脂質ナノ粒子を分解し、カプセル化された核酸を放出させた。その後、Ribogreen試薬100μlを各ウェルに添加した。Triton LNP(-)とTriton LNP(+)の蛍光強度(FL)は、Infinite(登録商標)200 PRO NanoQuant(Tecan)にて波長帯域幅(励起:485nm、蛍光:528nm)により測定し、薬物封入率(カプセル化効率、%)は、次の数式1のように計算した。
【0066】
【数2】
【0067】
それぞれの結果値は、次の通りである(表6)。
【0068】
【表6】
【0069】
実験例1-2.pKa測定
本実験例では、in vitro TNS(2-(p-トルイジノ)ナフタレン-6-スルホン酸)(2-(p-toluidino)naphthalene-6-sulfonic acid)分析により前記実施例2-3にて剤形化されたホタルルシフェラーゼmRNA(配列番号1)脂質ナノ粒子のpKaを計算した。
【0070】
具体的に、20mMのリン酸ナトリウム、25mMのクエン酸、20mMの酢酸アンモニウム、および150mMの塩化ナトリウムを含む溶液のpHを0.1 N 水酸化ナトリウムおよび/または0.1 N 塩酸を用いて、pH3.5からpH11まで0.5の間隔で調整し、多様なpH単位の溶液を製造した。それぞれのpHを有する溶液を100μlずつブラック96-ウェルプレートに添加し、300μMのTNSストック溶液を用いて、6μMの最終濃度になるように前記溶液にそれぞれ添加した。剤形化された脂質ナノ粒子を最終濃度が20μMになるように混合溶液に添加し、Tecan機器により蛍光強度を測定(励起:325nm、蛍光:435nm)した。ここで、脂質ナノ粒子に対するpKaは、最大蛍光の折半に到達するpH値として計算した。
【0071】
その結果、本発明の脂質ナノ粒子は、pKa値が約6.2程度であり、グラフ上s-字状曲線の形態を示すことが確認された(図1)。アニオン性TNSは、正に荷電したイオン化可能な脂質と相互作用して親油性になり、pH値がそれぞれのLNPのpKa値に近接することによってTNSの親油性が低くなり、より多くの水分子がTNS蛍光をクエンチングさせるため、6.0~7.0のpKaを有する脂質ナノ粒子は、in vivo薬物送達効率に優れている。また、pHによる蛍光を示すグラフにて「s-字状曲線」を示す脂質ナノ粒子は、エンドソーム膜と相互作用が容易であり、酸性化時に容易にエンドソーム脱出することができることを意味する。
【0072】
実験例1-3.Cryo-TEMによる測定
Cryo-TEMにより脂質ナノ粒子の内部構造画像を測定した。
【0073】
具体的に、ホタルルシフェラーゼmRNA(配列番号1)を封入した脂質ナノ粒子を総脂質の最終濃度が15~25mg/mlになるように濃縮し、2~4μlのLNPソリューションを銅グリッドに載せた後、ブロッティングさせた。その後、韓国科学技術院(KIST)特性分析センターのcryo-TEM(FEI Tecnai F20 G2)装備により脂質ナノ粒子の内部画像を測定した。
【0074】
実験例2:mRNA封入脂質ナノ粒子のin vitro効能の確認
in vitroにてmRNAを封入した脂質ナノ粒子の効能を確認するために、多様なアミン頭部基で合成した脂質ナノ粒子を用いてスクリーニングを行った。
【0075】
試験は、多様なアミン頭部基を用いて合成したそれぞれの脂質ナノ粒子(実施例1、2、4および5)を用いて、Hela細胞にmFLuc(配列番号1)が封入された脂質ナノ粒子を20ng処理後、24時間目に発光程度を測定した。
【0076】
その結果、次の表7にて確認されるように、試験した殆どの脂質ナノ粒子において、発光強度が著しく増加したことが確認され、特に化合物5(244-9-cis)脂質ナノ粒子が最も高い発現効果を示すことが分かった。
【0077】
【表7】
【0078】
実験例3:脂質ナノ粒子のin vivo効果の確認
実験例3-1.siRNA封入脂質ナノ粒子の送達効果
FVIIは、肝細胞にて特異的に発現されるため、脂質ナノ粒子の肝細胞標的可能性をsiFVIIを用いたFVII(Factor VII)ノックアウト効果を通じて確認することを試みた。
【0079】
具体的に、FVII標的siRNA(配列番号2および配列番号3)が封入された244-9-cis脂質ナノ粒子を前記実施例2-2の方法により製造した。脂質ナノ粒子に含まれたsiRNAの濃度を基準として、0.03、0.1、または0.3mg/kgの濃度で製造したsiRNAが封入された244-9-cis脂質ナノ粒子をC57BL/6雌7週齢マウスに静脈注射した。3日後、血液を収集し、coaset FVIIアッセイキットのプロトコルに従って血液を分析した。PBSが投与されたマウスの血液で標準曲線を示し、FVII発現量を測定した。
【0080】
その結果、図2に示すように、本発明のイオン化可能な脂質を用いて製造された脂質ナノ粒子は、封入されたsiRNA濃度に依存的にin vivoにてFVII発現を抑制したため、本発明の脂質ナノ粒子が肝細胞を標的として効果的に核酸を送達することができることを確認した。特に、本発明のイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子は、全ての用量にてFDA承認を受けたALC-0315で製造された脂質ナノ粒子よりも優れたFVII発現抑制効果を示した。
【0081】
実験例3-2.静脈注射によりmRNA封入脂質ナノ粒子の送達効能の確認
244-9-cis脂質ナノ粒子のmRNA送達を調べるために、ルシフェラーゼmRNAをマウスに送達した後、生体発光を確認し、遺伝子発現を確認した。
【0082】
具体的に、前記実施例2-3の方法によりmFluc(配列番号1)が封入された244-9-cis脂質ナノ粒子を製造した。その後、製造された脂質ナノ粒子(mRNA基準2μg)を7週齢C57BL/6マウスに静脈注射し、3時間後、ルシフェリン0.25mg/kgを腹腔投与し、IVIS(PerkinElmer、USA)装備を介して生体発光を確認した。その結果、殆どの脂質ナノ粒子が肝臓に送達されることが確認された(表8)。
【0083】
【表8】
【0084】
次に、前記と同様の方式でhEPO mRNA(配列番号4)が封入された脂質ナノ粒子を製造した。mRNA基準0.1mg/kg容量で製造した脂質ナノ粒子を7週齢C57BL/6マウスに静脈注射した後、それぞれ3、6、9、24、48時間後に採血し、hEPO ELISA kitを通じてhEPO定量分析を行った。その結果、本発明のイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子は、核酸をin vivoに効果的に送達し、血液内でhEPOが相当レベルで検出され、このような効果は、対照群であるALC-0315で製造された脂質ナノ粒子に比べて曲線下面積が実に約1.7倍高いことが確認された(表9および図3)。
【0085】
【表9】
【0086】
実験例3-3.筋肉注射によりmRNA封入脂質ナノ粒子の送達効果
ルシフェラーゼmRNA(配列番号1)をマウスへの筋肉注射により送達した後、生体発光を確認し、遺伝子発現を確認した。
【0087】
具体的に、上述したようにmFlucが封入された脂質ナノ粒子(244-9-cis)を製造した後、2μg(mRNA基準)を7週齢C57BL/6マウスに筋肉注射した。3時間後、ルシフェリン0.25mg/kgを腹腔投与し、IVIS(PerkinElmer、USA)装備により生体発光を確認した。
【0088】
その結果、殆どの脂質ナノ粒子が注射局所に良好に送達されることを確認することができた(表10および図4)。
【0089】
【表10】
【0090】
実験例4:脂質ナノ粒子の細胞毒性の確認
CCK-8(tetrazolium salt)物質は、生きている細胞のミトコンドリア内脱水素酵素による還元を通じてオレンジ色のホルマザンを形成するので、吸光度分析を通じて細胞生存能力の確認が可能である。
【0091】
具体的に、多様な種類の細胞(HeLa、HepG2、MEF、KB-GFP)を透明な96-ウェルプレート(SPL、30096)に播種(0.4x10 個)した。その後、mRNAを除外した脂質ナノ粒子構成成分をマイクロ流体混合装置(Benchtop Nanoassemblr;PNI、Canada)により混合し、mRNAを封入しない244-9-cis脂質ナノ粒子を製造した。細胞播種24時間後、1ウェル当たり0.5μg、5μg、50μgまたは100μgの量に該当する脂質ナノ粒子(イオン化可能な脂質基準)を処理した。脂質ナノ粒子処理24時間後、Cell Counting Kit-8(Sigma-Aldrich、96992)を1ウェル当たり10μlずつ追加した。4時間インキュベーションした後、Infinite(登録商標)200 PRO NanoQuant(Tecan)を介して450nmでの吸光度を測定した。
【0092】
その結果、各癌細胞株において5μgまで細胞毒性を示さないことを確認した(図5)。
【0093】
実験例5:脂質ナノ粒子の肝毒性の確認
AST(Aspartate transaminase)、ALT(Alanine transaminase)は、肝細胞性疾患や肝炎のような疾患の有無を測定することができる数値であり、通常は低い濃度で血液中に存在しているが、肝細胞が損傷すると流れ出て濃度が高くなる。ALP(Alkaline phosphatase)は、肝臓の胆管内を取り囲む細胞内の酵素であって、胆管の閉塞、肝臓内の胆汁分泌停止などの疾病と共に上昇する。ALB(アルブミン)は、肝臓で生成され、アルブミン数値は肝硬変のような急性肝炎では減少する特徴がある。
【0094】
肝毒性を確認するために、ホタルルシフェラーゼmRNA(配列番号1)が封入された244-9-cis脂質ナノ粒子を製造した後、7週齢C57BL/6 マウスにmRNA基準2mg/kgの容量で単回投与した。対照群としては、ALC-0315を使用した。投与してから24時間後、採血してAST、ALT、ALP、ALBのレベルを確認した(図6および図7)。また、各実験群の肝組織の分析写真を図8に示した。
【0095】
その結果、全般的にFDA承認を受けたALC-0315脂質に比べて肝毒性が示されないことが分かった。
【0096】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施することができることを理解できるであろう。これに関連し、前記で述べた実施例は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその等価概念から導出されるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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【国際調査報告】