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特表2025-504412スペクトル拡散映像輸送を使用することにより符号化されたサンプルの無線伝送
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】スペクトル拡散映像輸送を使用することにより符号化されたサンプルの無線伝送
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/436 20110101AFI20250204BHJP
   H04N 21/61 20110101ALI20250204BHJP
   H04J 13/18 20110101ALI20250204BHJP
   H04J 1/04 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/61
H04J13/18
H04J1/04 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541787
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2023010569
(87)【国際公開番号】W WO2023137045
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,137
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/317,757
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519316313
【氏名又は名称】ハイファイ ユーエスエー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スティーヴン ハンネバウアー
(72)【発明者】
【氏名】トッド ロックオフ
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164GA02
5C164TA07S
5C164TA14P
5C164UA21S
5C164UA42S
5C164UB71P
(57)【要約】
無線送信器及びアンテナが送信側に設けられ受信器及びアンテナが受信側上に設けられる。送信器は媒体信号を介し映像ソースからサンプルを受信し、入力サンプルを入力ベクトル内へ順列化し、符号化器当たりのアナログSSVT信号を生成するために一組の直交符号を参照して各入力ベクトルを符号化する。無線送信器はSSVT送信器により生成されたSSVT信号を1つ又は複数の搬送周波数信号上へ変調する。変調されると、搬送周波数信号はアンテナにより同報通信される。受信側では、アンテナは同報通信を受信し、変調搬送信号を無線受信器へ提供する。これに応じて、無線受信器は搬送周波数信号を復調し、対応アナログSSVT信号を生成し、次に対応アナログSSVT信号は出力ベクトル内への入力媒体サンプルの再構築のために復号化され、復号化された信号は次に、表示のために映像シンクへ送信される出力サンプル内へ順列化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のサンプリングされた映像信号の入力ペイロードを無線電磁気的経路上で送信するための送信器装置であって、
サンプルを前記入力ペイロードからN個の場所の1つ又は複数のインデックス付き入力ベクトル内の場所へ各々所定順列を使用することにより割り当てる順列化器であって、前記インデックス付き入力ベクトル内の各場所は前記サンプルの1つを受信する、順列化器;
1つ又は複数の符号化器であって、各符号化器は、長さLの所定符号組のN相互直交符号を参照して前記1つ又は複数の入力ベクトルの1つのベクトルの前記N個のサンプルを順序系列のL出力値内へそれぞれ符号化し、前記N個の符号の各々は前記N個のサンプルのうちの1つを符号化するために使用される、1つ又は複数の符号化器:
1つ又は複数の変調器を含む無線送信器であって、各変調器は前記順序系列のL出力値のうちの1つを1つ又は複数の搬送周波数信号上へそれぞれ変調するように構成される、無線送信器;及び
前記1つ又は複数の搬送周波数上へそれぞれ変調された前記1つ又は複数の順序系列のL出力値を無線で同報通信するように構成されたアンテナ
を含む、送信器装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数の搬送周波数信号の中の任意の2つの搬送周波数信号は異なる周波数である、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数の搬送周波数上へそれぞれ変調された前記1つ又は複数の順序系列のL出力値を帯域通過フィルタリングするように構成された1つ又は複数の帯域通過フィルタを更に含む請求項1に記載の送信器装置。
【請求項4】
2つ以上の搬送周波数上へそれぞれ変調された前記順序系列のL出力値の2つ以上を加算するように構成された加算ノードを更に含む請求項1に記載の送信器装置。
【請求項5】
前記アンテナにより同報通信されることに先立って前記1つ又は複数の搬送周波数上へ変調された前記1つ又は複数の順序系列のL出力値を増幅するように構成された電力増幅器を更に含む請求項1に記載の送信器装置。
【請求項6】
前記各符号化器により符号化された前記N個のサンプルはアナログサンプルであり、前記1つ又は複数の順序系列のL出力値はアナログ値である、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項7】
前記各符号化器により符号化された前記N個のサンプルはディジタルサンプルである請求項1に記載の送信器装置であって、前記装置は更に:前記1つ又は複数の順序系列のL出力値をアナログ値に変換する少なくとも1つのD/A変換器を含む、送信器装置。
【請求項8】
前記1つ又は複数のサンプリングされた映像信号は単一映像機器ソースから発祥し、前記電磁気的経路は単一映像機器シンクで終了する、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数の符号化器の各々は前記N個のサンプルを前記順序系列のL出力値内へそれぞれ同期して符号化し、前記N個のサンプルは前記L出力値により表される、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項10】
前記出力端子は前記順序系列のL個のアナログ出力値を前記電磁気的経路上で単一映像機器シンクへ送信する、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項11】
L≧N≧2である、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項12】
N>L≧2である、請求項1に記載の送信器装置。
【請求項13】
電磁気的経路から1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値を受信するための受信器装置であって、前記受信器装置は:
1つ又は複数の搬送周波数の無線同報通信を受信するように構成されたアンテナであって、前記1つ又は複数の搬送周波数はその上にそれぞれ変調された1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値を有する、アンテナ;
前記1つ又は複数の搬送周波数から前記1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値をそれぞれ復調するように構成された1つ又は複数の復調器を含む無線受信器;
1つ又は複数の復号器であって、各復号器は、長さLの所定符号組のN相互直交符号を参照して前記順序系列のL個のアナログ入力値のうちの1つをそれぞれN個のサンプルの出力ベクトル内へ復号し、前記N個の符号の各々は前記N個のサンプルのうちの1つを復号するために使用され、前記所定符号組は、前記順序系列のL個の入力値を符号化するために使用された符号組と同じである、1つ又は複数の復号器;及び
前記各出力ベクトルからの前記N個のサンプルを、1つ又は複数の再構築されたサンプリング映像信号へ、前記受信器装置に対応する送信器装置内で使用される順列の反転である所定順列を使用することにより収集する順列化器を含む、受信器装置。
【請求項14】
前記1つ又は複数の搬送周波数の利得を、その上にそれぞれ変調された前記1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値により、調節するように構成された利得コントローラを更に含む請求項13に記載の受信器装置。
【請求項15】
前記利得コントローラは自動利得コントローラ(AGC)又はプログラム可能利得増幅器(PGA)のうちの1つである、請求項14に記載の受信器装置。
【請求項16】
前記1つ又は複数の復調器は直接変換受信器(DCR)又はスーパーヘテロダイン受信器の各1つである、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項17】
前記復調された1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値をそれぞれ低域通過フィルタリングするための1つ又は複数の低域通過フィルタを更に含む請求項13に記載の受信器装置。
【請求項18】
前記1つ又は複数の搬送周波数から前記1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値を復調するために使用される1つ又は複数の周波数を調節するために使用される弁別器回路を更に含む請求項13に記載の受信器装置。
【請求項19】
前記復号化された映像サンプルは、前記無線同報通信に先立って前記1つ又は複数の順序系列のL個のアナログ入力値内へ符号化されたものと実質的に同じである、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項20】
復号化のための前記L個の入力値はアナログ入力値であり、前記復号器は、N個のサンプルの前記出力ベクトルを生成するために前記L個のアナログ入力値を復号し、前記N個のサンプルはアナログ値である、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項21】
前記L個のアナログ入力値の各々をL個のディジタル入力値に変換する少なくとも1つのアナログディジタル変換器を更に含む請求項13に記載の受信器装置であって、前記復号器はN個のサンプルの前記出力ベクトルを生成するために前記L個のディジタル入力値を復号し、前記N個のサンプルはディジタル値である、受信器装置。
【請求項22】
前記1つ又は複数の再構築されたサンプリングされた映像信号に対応する1つ又は複数のサンプリングされた映像信号は単一映像機器ソースから発祥し、前記1つ又は複数の再構築されたサンプリングされた映像信号は単一映像機器シンクへ配送される、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項23】
前記復号器は前記L個の入力値の各入力値をN個のサンプルの前記出力ベクトル内へ同期して復号化し、前記N個のサンプルは前記L個の入力値を表す、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項24】
前記受信器装置は単一映像機器シンクにある、請求項13に記載の受信器装置。
【請求項25】
L≧N≧2である、請求項13に記載の送信器装置。
【請求項26】
N>L≧2である、請求項13に記載の送信器装置。
【請求項27】
各々が映像媒体を表す1つ又は複数の電磁気信号を生成するように構成された符号化器であって、前記1つ又は複数の電磁気信号は、
(a)映像媒体サンプルを1つ又は複数のベクトル内へ分散し、
(b)直接スペクトラム拡散方式(SSDS)符号を前記1つ又は複数のベクトル内に分散された前記映像媒体サンプルへそれぞれ適用し、
(c)前記1つ又は複数のベクトル内に分散された前記映像媒体サンプルへの前記SSDS符号の適用からの結果をそれぞれ累算し、
(d)前記1つ又は複数のベクトルの前記累算結果から前記1つ又は複数の電磁気信号をそれぞれ生成する、ことにより生成される、符号化器;
前記1つ又は複数の電磁気信号を1つ又は複数の搬送周波数信号上へそれぞれ変調するように構成された1つ又は複数の変調器を含む無線送信器;及び
前記1つ又は複数の搬送周波数上へそれぞれ変調された前記1つ又は複数の電磁気信号を無線で同報通信するように構成されたアンテナ
を含む送信器。
【請求項28】
前記SSDS符号の前記適用は、前記1つ又は複数のベクトル内へ分散された前記映像サンプルの各々を指示する値を前記1つ又は複数のベクトルへそれぞれ適用された前記SSDS符号のチップ値に依存して(+1)又は(-1)のいずれかにより条件付き乗算することを含む、請求項27に記載の送信器。
【請求項29】
前記累算は前記1つ又は複数のベクトルへそれぞれ適用された前記SSDS符号のチップ値に依存して(+1)又は(-1)のいずれかにより乗算された前記1つ又は複数のベクトル内へ分散された前記映像サンプルの乗算結果の累算を更に含む請求項27に記載の送信器。
【請求項30】
前記符号化器は更に、前記映像媒体サンプルのストリームに関して(a)~(d)を繰り返すことにより前記1つ又は複数の電磁気信号のストリームを生成するように構成される、請求項27に記載の送信器。
【請求項31】
前記1つ又は複数の搬送周波数信号は基本搬送周波数から導出される、請求項27に記載の送信器。
【請求項32】
前記1つ又は複数の搬送周波数信号の中の任意の2つの搬送周波数信号は異なる周波数である、請求項31に記載の送信器。
【請求項33】
前記1つ又は複数の搬送周波数上へそれぞれ変調された前記1つ又は複数の電磁気信号を帯域通過フィルタリングするように構成された1つ又は複数の帯域通過フィルタを更に含む請求項27に記載の送信器。
【請求項34】
2つ以上の搬送周波数上へそれぞれ変調された2つ以上の電磁気信号を加算するように構成された加算ノードを更に含む請求項27に記載の送信器。
【請求項35】
前記アンテナにより同報通信されることに先立って前記1つ又は複数の搬送周波数上へ変調された前記1つ又は複数の電磁気信号を増幅するように構成された電力増幅器を更に含む請求項27に記載の送信器。
【請求項36】
前記符号化器は更に、
(e)カラー値及び画素関連情報を含む映像サンプルのストリームを受信すること;
(f)所定順列を使用することにより前記受信映像サンプルを前記1つ又は複数のベクトル内へ分散すること;
(g)前記1つ又は複数のベクトル内へそれぞれ分散された前記映像信号へ前記SSDS符号を適用すること;及び
(h)映像サンプルの前記ストリームが時間順に受信されると(e)~(g)を繰り返すこと
を行うことにより前記1つ又は複数の電磁気信号を生成するように構成される、請求項27に記載の送信器。
【請求項37】
前記カラー値は、以下のうちの1つ:
(i)赤色(R)値;
(j)青色(B)値;
(k)緑色(G)値;
(l)輝度値(Y);
(m)クロミナンス(C)値;
(n)青色差クロマ(Cb)値;
(o)赤色差クロマ(Cr)値;又は
(p)(i)~(0)の任意の組み合わせ
を含む、請求項36に記載の送信器。
【請求項38】
前記符号化器はスペクトル拡散映像輸送(SSVT)符号化器である、請求項27に記載の送信器。
【請求項39】
1つ又は複数の搬送周波数の無線同報通信を受信するように構成されたアンテナであって、前記1つ又は複数の搬送周波数は、その上にそれぞれ変調された1つ又は複数の電磁気信号を有する、アンテナ;
前記1つ又は複数の搬送周波数から前記1つ又は複数の電磁気信号をそれぞれ復調するように構成された1つ又は複数の復調器を含む無線受信器;及び
前記電磁気信号内へ符号化された映像媒体を以下のことを行うことにより回復するために前記復調された1つ又は複数の電磁気信号を復号するように構成された復号器:
(a)前記無線同報通信に先立って前記映像媒体を前記電磁気信号へ符号化するために使用されたものと同じ直接スペクトラム拡散方式(SSDS)符号を前記1つ又は複数の電磁気信号へ適用すること;及び
(b)前記1つ又は複数の電磁気信号へそれぞれ適用された前記SSDS符号から1つ又は複数の映像サンプルを生成すること
を含む受信器。
【請求項40】
前記復号器は:
前記無線同報通信に先立って前記映像媒体を前記1つ又は複数の電磁気信号内へそれぞれ符号化するために使用される前記SSDS符号に関連する複数のチップにより前記1つ又は複数の電磁気信号を条件付き乗算すること;
前記1つ又は複数の電磁気信号の前記複数の条件付き乗算の積結果をそれぞれ生成すること;及び
前記1つ又は複数の電磁気信号の前記積結果から映像媒体サンプルをそれぞれ生成することにより、前記1つ又は複数の電磁気信号内の前記符号化された映像媒体を回復する、請求項39に記載の受信器。
【請求項41】
前記1つ又は複数の搬送周波数の利得を、その上にそれぞれ変調された前記1つ又は複数の電磁気信号により、調節するように構成された利得コントローラを更に含む請求項39に記載の受信器。
【請求項42】
前記利得コントローラは自動利得コントローラ(AGC)又はプログラム可能利得増幅器(PGA)のうちの1つである、請求項41に記載の受信器。
【請求項43】
前記1つ又は複数の復調器は直接変換受信器(DCR)又はスーパーヘテロダイン受信器のうちの各1つである、請求項39に記載の受信器。
【請求項44】
前記復調された1つ又は複数の電磁気信号をそれぞれ低域通過フィルタリングするための1つ又は複数の低域通過フィルタを更に含む請求項39に記載の受信器。
【請求項45】
前記1つ又は複数の搬送周波数から前記1つ又は複数の電磁気信号を復調するために使用される1つ又は複数の周波数信号を調節するために使用される弁別器回路を更に含む請求項39に記載の受信器。
【請求項46】
前記復号化された映像サンプルは前記無線同報通信に先立って前記1つ又は複数の電磁気信号内へ符号化されたものと実質的に同じである、請求項39に記載の受信器。
【請求項47】
前記映像サンプルは時間順で復号化され、映像ディスプレイを駆動するために使用される、請求項39に記載の受信器。
【請求項48】
前記映像サンプルは、以下のうちの1つ:
(c)赤色(R)値;
(d)青色(B)値;
(e)緑色(G)値;
(f)輝度値(Y);
(g)クロミナンス(C)値;
(h)青色差クロマ(Cb)値;
(i)赤色差クロマ(Cr)値;又は
(j)(c)~(i)の任意の組み合わせ
を含むカラー値を含む、請求項39に記載の受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は参照のためその内容を本明細書に援用する2022年1月13日申請の米国仮特許出願第63/299,137号(HYFYP011P)及び2020年3月8日申請の米国仮特許出願第63/317,757号(HYFYP011P2)の優先権を主張する。
【0002】
本出願はまた、参照のため2018年3月19日申請の米国特許出願第15/925,123(Docket No.HYFYP001)号明細書、2019年9月17日申請の米国特許出願第16/494,901(Docket No.HYFYP002)号明細書、2022年8月2日申請の米国特許出願第17/879,499(Docket No.HYFYP003)号明細書、2022年3月4日申請の米国特許出願第17/686,790(Docket No.HYFYP004AX1)号明細書、2022年8月15日申請の米国特許出願第17/887,849(Docket No.HYFYP006)号明細書、2022年6月28日申請の米国特許出願第17/851,821(Docket No.HYFYP007)号明細書、2022年10月31日申請の米国特許出願第63/421,062(Docket No.HYFYP008P2)号明細書、米国特許出願第63/280,017(Docket No.HYFYP009P2)、2022年7月21日申請の米国特許出願第63/391,226(Docket No.HYFYP013P3)号明細書を援用する。
【0003】
本発明は、一般的には映像及び他の媒体輸送に関し、具体的には、離散時間連続振幅電磁(EM)信号を使用する映像ソースと映像シンクとの間の無線伝送の符号化及び復号化映像媒体に関する。
【背景技術】
【0004】
高解像度映像は通常、「720p」、「1080i」、「1080p」、及び最近は「4K」を含む多くの異なるフォーマットで生成される。これらのフォーマットに関し、「i」はインターレース走査を指し、「p」は順次走査を指す。
【0005】
上に列挙されたフォーマットのうちの任意のものを使用することにより送信される映像データの量は膨大である。「720p」により、伝送速度は、50又は60フレーム/秒の典型的リフレッシュ率を有する1280水平線×720垂直線(すなわち約921,600画素)/フレームである。1080iの送信は、各フレームを構築する2つのインターレースフィールドと12.5~60フィールド/秒のリフレッシュ率とを有する1920水平線×540垂直線/フィールド(すなわち1,036,800画素/フィールド)の送信を必要とする。1080pの送信は、1920水平線×1080垂直線/フレーム(すなわち2,073,600画素/フレーム)と通常30~60フレーム/秒のリフレッシュ率とに関与する。4K映像送信は、30又は60フレーム/秒の典型的リフレッシュ率を有する3840水平線×2160垂直線/フレームに関与する。
【0006】
映像の送信のために必要とされる膨大な量の帯域幅を所与として、MPEG、AVC及びHEVCなどの様々なタイプの画像圧縮が一般的に使用される。画像圧縮に伴う問題は、制限された相互運用性、増加された実装コスト、追加待ち時間、データ損失に対する増加された脆弱性、及び低減された画像忠実度を含む。この結果、ある程度の画像品質が、「圧縮映像」対「無圧縮又は視覚的無損失映像」を表示する際に劣化される。
【0007】
上記問題の大きさは近い将来より悪くなるだけである。民生用電子機器会社は8Kカメラ及びディスプレイを市場内へ導入しつつある。これらの8Kデバイスは、7,680水平線及び4,320垂直線のフレームサイズ(すなわち33,177,600画素/フレーム)及び120フレーム/秒又は240フレーム/秒のいずれかのリフレッシュ率を有する。従って、8K映像の送信は既存する一連の難題を著しく悪くすることになる。更に、これらのアプリケーション(カメラ、映像、ディスプレイ、ヘッドセット)の多くは有線接続よりむしろ無線接続を必要とすることになる。
【0008】
従って、上記欠点無しに高品質高解像度映像を無線で送信することができる映像輸送が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般的には映像又は他の媒体送信に関し、具体的には、改善された直接スペクトラム拡散方式(SSDS:spread spectrum direct sequence)変調を使用することにより映像ソースと映像シンクとの間で無線で送信された映像媒体の符号化及び復号化に関する。
【0010】
一実施形態では、本発明は映像媒体を無線で送信するための装置(各々が映像媒体を表す1つ又は複数の電磁気信号を生成するたように構成されたスペクトル拡散映像輸送(SSVT:Spread Spectrum Video Transport)符号化器を含む)に向けられる。1つ又は複数の電磁(EM)信号は、(a)サンプルを1つ又は複数のベクトル内へ分散することにより、(b)1つ又は複数のベクトル内でそれぞれ分散されたサンプルに対し直接スペクトラム拡散方式(SSDS)符号を適用することにより、(c)1つ又は複数のベクトル内にそれぞれ分散されたサンプルへのSSDS符号の適用からの結果を累算することにより、(d)1つ又は複数のベクトルの結果から1つ又は複数の電磁気信号をそれぞれ生成することにより生成される。本装置はまた、1つ又は複数の電磁気信号を1つ又は複数の搬送周波数信号上へそれぞれ変調するように構成された変調器、及び1つ又は複数の搬送周波数上へそれぞれ変調された1つ又は複数の電磁気信号を無線で同報通信するように構成されたアンテナを含む。
【0011】
別の実施形態では、本発明はEM信号を無線で受信して復号するための装置に向けられる。本装置は、1つ又は複数の搬送周波数であって、その上にそれぞれ変調された1つ又は複数の電磁気信号を有する1つ又は複数の搬送周波数の無線同報通信を受信するように構成されたアンテナ;1つ又は複数の搬送周波数から1つ又は複数の電磁気信号をそれぞれ復調するように構成された復調器;及び電磁気信号内へ符号化されたサンプルを回復するために、復調された1つ又は複数の電磁気信号を復号する復号器を含む。復号器は、(a)無線同報通信に先立ってサンプルを電磁気信号へ符号化するために使用されたものと同じである直接スペクトラム拡散方式(SSDS)符号を1つ又は複数の電磁気信号へ適用することにより、(b)1つ又は複数の電磁気信号へそれぞれ適用されたSSDS符号から1つ又は複数のサンプルを生成することにより電磁気信号を復号する。
【0012】
本発明及びその利点は添付図面と併せて取り込まれた以下の説明を参照することにより最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるスペクトル拡散映像輸送(SSVT)を使用することによるディジタル映像ソースからディジタル映像シンクへの電磁(EM)映像信号の送信を示す系統図である。
図2A】本発明の一実施形態による伝送媒体により接続されたスペクトル拡散映像輸送(SSVT)送信器及びSSVT受信器の論理ブロック図である。
図2B】本発明の一実施形態によるベクトル内への映像信号の1つの可能な順列の線図であり、これらは次に送信のために符号化される。
図3A】本発明の非排他的実施形態によるSSVT送信器の論理ブロック図である。
図3B】本発明の一実施形態によるSSVT符号化器の回路図である。
図4A】どのように信号サンプル(この場合、アナログ値)が符号化器内で符号化され、次に電磁気的経路上で送信されるかを示す一例を示す。
図4B】ディジタル値である信号サンプルへ適用可能である新規符号化技術を示す。
図4C図4Aの符号化器を使用して符号化されたアナログ入力レベルの復号を示す。
図4D1】アナログ符号化器及び対応アナログ復号器の使用を示す。
図4D2】ディジタル符号化器及び対応アナログ復号器の使用を示す。
図4D3】電磁気的経路上で到達した符号化アナログ信号を復号化するためのディジタル復号器の使用を示す。
図4E】電磁気的経路を介し送信されたSSVT波形のシミュレーションを示す。
図5A】本発明の一実施形態によるP個の受信されたEMレベル信号を復調してサンプルへ戻すためのSSVT受信器を示す論理ブロック図である。
図5B】本発明の一実施形態によるP個の受信されたEMレベル信号を復調してサンプルへ戻すための別のSSVT受信器を示す論理ブロック図である。
図6】本発明の一実施形態による1つの差動対のEMレベル信号を復調するためのN個の復号器トラックの論理図である。
図7】本発明の一実施形態による代表的符号化器トラック回路の回路図である。
図8A】本発明の一実施形態による映像媒体のSSDS符号化済みサンプルを復号するための別の復号器回路の回路図である。
図8B】マルチプレクサが必要とされない部分的パイプライン手法を実装する受動的乗算累積器復号器を示す。
図9】本発明の一実施形態による図8Aの復号器回路の動作を示すタイミング図である。
図10】本発明の一実施形態による図8Aの復号器回路内で使用されるストレージバンク及び制御論理を示す。
図11】本発明の一実施形態による伝送媒体の無線実装形態のブロック線図を示す。
図12A】本発明の一実施形態による無線送信器を示す。
図12B】本発明の一実施形態による無線受信器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
SSDSは、特定帯域幅内の信号(例えば一連の電気的又は電磁的値)が直交符号を使用することにより意図的に拡散される変調方式であり、より広い帯域幅を有する信号を生じる。次に、より広い帯域幅信号は伝送媒体上で送信される。受信側では、広帯域幅信号は、送信側の変調のために使用されるものと同じ直交符号を使用することにより復調される。この結果、オリジナル電気的又は電磁的信号が回復される。
【0015】
本発明は、映像ソースと映像シンクとの間で無線で送信されたサンプルを符号化及び復号するための回路に向けられる。動作中、カラー値及び画素関連情報を含む時系列映像サンプルのストリームが映像ソースから受信され、映像シンクのために再構築される。以下に更に詳細に説明されるように、映像ソースから受信された入力映像サンプルの数及びコンテンツは映像ソースにおける動作時の色空間に依存する。どの色空間が使用されるかにかかわらず、各映像サンプルは指定色空間内の感知又は測定された量の光を表す。入力映像サンプルのストリームが受信されると、入力映像サンプルは、疑似雑音特性を有する複数のコンポジットEM信号を生成するために、(1)入力された映像サンプルを所定順列に従って符号化器入力ベクトル内へ割り当てることにより分散されることと、(2)複数の符号化器入力ベクトルの各符号化器入力ベクトルへ直交符号を適用することによりSSVT変調を適用することにより符号化されることとを繰り返される。EM信号は次に(3)伝送媒体上で無線などで送信される。受信側では、(4)到着EM信号は、サンプルを出力ベクトル内へ再構築するためにSSVT復調を適用することにより、及び同じ直交符号を適用することにより復号化され、次に、(5)出力ベクトルは、再構築済み映像サンプルを所定順列の逆を使用することにより出力ベクトルから出力ストリームへ割り当てることにより収集される。この結果、色及び画素関連情報を含む時系列映像サンプルの元ストリームが映像ソースから映像シンクへ運ばれる。
【0016】
以下の論述では、どのように映像データが通常捕捉されるかのプロセスが説明される。捕捉されると、映像データは、略リアルタイム消費のためにアナログ方式の映像ディスプレイへ送信され得る。「SSVTが、映像データを表示(又は格納)のために映像ソース(又はストレージデバイス)から映像シンクへ無線で送信するために使用される」ということが本明細書では提案される。
【0017】
映像捕捉
以下の明細書は、新規映像輸送技術を使用することにより映像サンプルが映像ソースと映像シンクとの間で送信される例を使用する。画素電圧は一タイプのサンプルとして本明細書では使用されるが、本技術は、センサからの信号など多種多様な他のサンプル(LIDAR値、音声値、触覚値、エアロゾル値など)を表す電圧と共に使用され得、サンプルは電流など電圧以外の値を表し得る。
【0018】
図1は、映像ソースから映像シンクへの電磁(EM)信号の送信を示すシステム10のブロック線図である。捕捉されると、映像データは通常、略リアルタイム消費のために映像ディスプレイへ送信される。映像ソース12は、画像センサアレイ16(恐らく1つ又は複数のアナログ/ディジタル変換器18、画像信号プロセッサ(Image Signal Processor)(ISP20))、及び映像サンプル22のストリームを生成する責任のある映像ストリーマ21を含む。映像ソース12はまた任意に、映像媒体ストレージデバイス24へ接続され得る。ストレージデバイスは、画像センサアレイ16の場所に近接し得るか又はその遠方にあり得るかのいずれかである。映像ソース12は、撮像情報を捕捉することができる任意のデバイス(限定しないいが映像カメラ、赤外線撮像デバイス、超音波撮像デバイス、磁気共鳴撮像(MRI)デバイス、コンピュータトモグラフィ、又は映像情報を生成することができるほぼ任意の他のタイプの撮像デバイスなど)であり得る。
【0019】
画像センサ16は、入射光の量に比例する電子信号を生成することができる任意のデバイス(フォトダイオードのプレーナアレイなど)である。各フォトダイオードはプレーナアレイ内の画素場所を表す。プレーナアレイ内のフォトダイオードの数は広範に変動し得、従って画像センサ16のサイズに依存する。画像センサ16は任意のサイズのものであり得る。この結果、フォトダイオードのアレイはフレームを集合的に表す一組の電圧を生成する。画像センサは所与のフレーム率で連続的にリフレッシュしているので、各々がフレームを表す複数組の電圧が連続的に次々に生成される。動作中、画像センサ16は、所与のリフレッシュ率で感知間隔を連続的に繰り返す。各感知間隔中、アレイ内の各フォトダイオードは、フォトダイオードに入射する光子の数に逆比例する電圧を画素位置毎に生成する。
【0020】
画素位置毎に、フォトダイオードがキャパシタと接地との間に設けられる。感知間隔の直前に、キャパシタはあらかじめ充電される。感知する際、フォトダイオードは、受信された光の大きさに比例する電流を生成する。光がほとんど又は全く感知されなければ、フォトダイオードを介する接地へのキャパシタ放電はほとんど又は全くない。逆に、大量の光が感知されれば、キャパシタ上の電圧の大部分は放電される。従って、露光期間に続いてキャパシタ上に残る電圧は、感知された光の大きさに反比例する。
【0021】
多くのディジタル画像センサアレイ16に関し、通常、一行のA/D変換器(「ADC」)18(列当たり1つのADC)が存在する。所与のフレーム間隔中、アレイ16のすべての行がサンプリングされ(通常は頂部から底部へ次から次へ)、これは本明細書では時に「行優先」順と呼ばれる。各サンプルにより、ADC18は、感知された電圧を、アレイ内の列毎の画素位置のディジタル値へ変換する。フレームはアレイ16のすべての行がサンプリングされると終了する。上記プロセスは、フレーム毎ベースで行優先順で繰り返される。正味結果は、各々がフレーム内の画素位置を表す一連のディジタル値である。各サンプルを表すために使用されるビットの数は広範に変動し得る。例えば、各電圧はA/D変換器18により8又は10ビット値へ変換され得る。
【0022】
画像センサアレイ16はモノクロ又はカラーのいずれかであり得る。前者のケースでは、ADC18により生成されたディジタル値は1つの色だけを表す。後者に関し、Bayerフィルタリングなどの周知のカラー技術が通常適用される。Bayerフィルタリングに関し、個々のフォトダイオードは所定色(例えば赤(R)又は青(B)又は緑(G)のいずれか)のフィルタにより選択的に覆われる。代替実施形態では、CYGM(シアン、イエロー、グリーン及びマジェンタ)又はCMY(シアン、マジェンタ及びイエロー)フィルタリングが使用され得る。使用されるフィルタのタイプにかかわらず、フィルタリングされた光の大きさが各サンプル位置において測定される。
【0023】
ISP20はADC18から受信される一連のディジタル値を補間するように配置される。補間により、ISP20は、各画素測定及びその幾何学的近隣画素測定のディジタル値内に含まれる情報を取り出し、対応画素の色の推定を定義する。特定色空間(多数存在する)内のフルカラー画像を出力するために、ISP20は各場所において「欠損」カラー値を補間する。即ち、画素当たり単一色測定だけを所与として、ISPは、例えば画素のRGB又はYCbCr表現を生成するために「欠損」カラー値をアルゴリズム的に推定する。従って、ISP20は、所与のフレームの所与の画素の一組のサンプル22を生成し、各組のサンプル22はフレーム内の所与の画素位置のカラー値(測定された又は補間されたのいずれか)を表す。
【0024】
別の実施形態では、一連の電圧はADCによりディジタルへ変換される必要がないしISPにより処理される必要もない。一連のアナログ電圧はアナログサンプルとしてセンサ16から出力され得、この場合、送信器28はディジタルサンプルよりむしろアナログサンプル対しその符号化を行い得る。これらのアナログ信号は、符号化をディジタル版に対し数学的に同一やり方で実施するためにサンプリング的アナログやり方で動作する送信器28へ提示される。この実施形態ISP(20)では、映像ストリーマ(21)及びリタイマ(26)は使用されないだろう。
【0025】
所与組のサンプル22のコンテンツは色を表す多くのやり方があるので変動し得る。RGBは3つのカラー値を提供する。YCbCrにより、Yは輝度成分であり、Cb及びCrはそれぞれ青色差クロマ値及び赤色差クロマ値である。YCbCr色空間は関連RGB色空間から数学的座標変換により定義される。色を表す更に別のやり方では、代替手法が使用され得る。例えば、一つおきの画素がその輝度(Y)値により表される一方で、代替画素はCb(青色)又はCr(赤色)値のいずれかにより表される。従って、様々な実施形態では、各組のサンプル22は並列で送信される数「S」のサンプル値を含む。RGBにより、一組のサンプル22毎のサンプルの数SはS=3である一方で、YCbCrに関しては、S=2。画素場所毎のISPにより生成されるサンプルの数は、ISP実装形態に(特に、適用される色空間に)依存し、2未満又は4以上であり得る。
【0026】
これに応じて、映像ストリーマ21は一連の時系列組のサンプル22を生成する。一般的に、各組のサンプル22出力が併せてアレイ16上の1つの画素場所の光測定を表す。画素場所毎にISPにより生成されるサンプルの値及び数は、ISP実装形態(特に、適用される色空間)に依存する。映像ストリーマ21の出力は、アレイ16が感知している限り時系列組のサンプル22の連続ストリームであり、時系列組のサンプル22の各々は、行内の画素を、左から右へ、行優先順で、フレームからフレームへ表す。次に、幾つかの組のサンプル22のストリームは、感知された画像を画像アレイセンサ16によりフレーム毎に再構築するために、送信後に映像シンク14により処理される。
【0027】
別の任意実施形態では、幾つかの組のサンプル22のストリームはストレージデバイス24内に格納され得る。このようにして、幾つかの組のサンプル22のストリームは、映像ストリームが画像センサ16により当初捕捉された後の任意の時間に送信され得る。例えば、幾つかの組のサンプル22のストリームは、一時間間隔中に捕捉され、次に、表示のためにフレーム毎に映像シンク14へ送信され得る及び或る後の時点における映像シンク14への送信のためにストレージユニット24内に格納され得るかのいずれかである。このようにして、映像ソース12により捕捉された映像は時間シフト的やり方で映像シンク14により表示され得る。
【0028】
画像捕捉及び表示の文脈においてSSVTを使用することの利点は、「画像が、本質的に誤り易いセンサ上で測定され、本質的に雑音性であるLEDアレイ上に表示され、極端に複雑且つ頑強なヒューマン視覚システムにより視られる」ということである。この結果、映像のための通信要件は、従来のディジタルアーチファクトのための通信要件(スプレッドシート及び電子メールなど)とは非常に異なり、ここでは、ビット完全(bit-perfect)送信が必要とされる。しかし、従来の映像送信は、全く別の種類の(ディジタル)文書のような映像信号を扱う。しかし、SSVTにより、映像信号は電気的に頑強なやり方で送信される。SSVTの利点の中でも、「受信器におけるEM信号測定において発生するいかなる未補償誤差も、広域スペクトル時間的及び空間的雑音として、再構築された画像内に現れる」という利点がある。このような白色雑音は、従来のビット直列送信から発生する空白画面、繰り返し画像及びブロック状圧縮アーチファクトよりヒューマン認識にとって受容可能である。
【0029】
送信
図1は更に、送信側に送信リタイマ26及びスペクトル拡散映像輸送(SSVT)送信器(TX)28を含む。以下に更に詳細に説明されるように、リタイマ26は、映像ストリーマ21により生成されたストリーム内の幾つかの組のサンプル22の各々から色成分情報(例えばRGB値)を復号又は露出する責任がある。次に、SSVT28は、(a)所定順列を使用することにより複数の符号化器入力ベクトルのうちの1つの入力ベクトル内へ一組のサンプル22を分散すること、(b)SSDS変調を複数の符号化器入力ベクトルの各々へ適用すること、(c)幾つかの系列のEMレベル信号を生成するためにSSDSベース符号化により複数の入力ベクトルを符号化すること、次に(d)幾つかの系列のEMレベル信号を映像シンク14に向けて無線などの伝送媒体上の複数のEM経路上で送信することに責任がある。幾つかの組の入力サンプル22のストリームは所定順列に従って符号化器入力ベクトルを生成するために第1のクロック速度(pix-clk)で分散される。次に、符号化されたEM信号は第2のクロック速度(SSVT_clk)で媒体上で送信され得る。
【0030】
受信側には、SSVT受信器(RX)30、リタイマ32及び映像シンク14が設けられる。SSVT受信器(RX)30及びリタイマ32の機能は送信側のリタイマ26及びSSVT送信器28の相補的機能である。即ち、SSVT受信器RX30は(a)伝送媒体の複数のEM経路から幾つかの系列のEMレベル信号を受信し、(b)複数の出力ベクトル内に映像サンプルを再構築するためにSSDSベース復調を適用することにより各系列を復号し、(c)入力サンプルを送信側の入力ベクトル内へ分散するために使用されるものと同じ順列を使用することによりサンプルを複数の出力ベクトルから幾つかの組のサンプル22のオリジナルストリームの再構築内へ収集する。次に、リタイマ32は、再構築された出力サンプルを映像シンク14による表示のために好適なフォーマット内へ又は時間シフトモードでの表示のための受信側の格納のために好適なフォーマット内へ変換する。各組のサンプル22内の出力サンプル値の数Sは映像ソースにより適用される色空間により判断される(RGBに関してはS=3、YCbCrに関してはS=2)。他の状況では、各組のサンプル22内のサンプル値Sは2未満(すなわち丁度1)であってもよいし3超であってもよい。
【0031】
以下により詳細に説明されるように、幾つかの組の入力サンプル22のストリームは所定順列に従って符号化器入力ベクトルを生成するために第1のクロック速度(pix-clk)で分散される。次に、SSDSベース変調が符号化器入力ベクトルの各々へ適用され、各符号化器入力ベクトルの符号化されたEM符号の生成をもたらす。次に、EM信号は第2のクロック速度(SSVT_clk)で並列に輸送手段上で送信される。直接スペクトラム拡散方式(SSDS)を符号化器入力ベクトル内の各サンプルへ適用することは、電気的弾力性を提供するがサンプル当たりの帯域幅を犠牲にする。一組の相互直交符号を変調することにより、及び結果EM信号のすべてを同時に送信することにより、失われた帯域幅の一部又はすべてが回復される。
【0032】
図2Aは伝送媒体34により接続されたSSVT送信器28及びSSVT受信器30の論理ブロック図である。SSVT送信器28は分散器40及び複数の符号化器42を含む。SSVT受信器30は複数の復号器44と収集器46とを含む。
【0033】
送信側では、SSVT受信器30の分散器40は、入力された幾つかの組のサンプル22内に露出される色情報(例えばR、G及びB値)を受信するように配置される。これに応じて、分散器40は、到着組のサンプル22の露出された色情報を取り出し、所定順列に従って複数の符号化器入力ベクトルを構築する。図2Aに示される実施形態では、4つの符号化器入力ベクトル(V、V、V及びV)が存在する(伝送媒体34上の4つのEM経路の各々に1つ)。様々な実施形態では、伝送媒体34はHDMI(登録商標)、光ファイバ又は無線などのケーブルであり得る。伝送媒体34上の経路の数は1から2以上の任意の数までの範囲である。複数の符号化器42のうちの1つは4つのベクトルV、V、V及びVのうちの1つへそれぞれ割り当てられる。各符号化器42は、対応符号化器入力ベクトル内に含まれるサンプル値を符号化することと伝送媒体34上の並列経路のうちの1つの上で送信されるEM信号を生成することとの責任がある。
【0034】
示されたこの特定実施形態では、4つのEM経路が存在し、4つの符号化器42は各々、4つの経路の各経路のEM信号をそれぞれ生成する。しかし、本発明は決して4つの経路に制限されるべきでないということが理解されるべきである。逆に、伝送媒体34上の経路の数は1から2以上の任意の数(5以上を含む)までの広範な範囲であり得る。
【0035】
順列例
図2Bを参照すると、4つのベクトルV、V、V及びVを構築するための分散器40により実施される1つの可能な順列の線図が示される。ベクトルの各々は色情報のN個のサンプルを含む。この例では、幾つかの組のサンプル22の露出された色情報はそれぞれ「RGB」である。この例における幾つかの組のサンプル22の露出されたRGBサンプルは、左から右へベクトルV、V、V及びVへ割り当てられる。換言すれば、最も左側のサンプルの”R”、”G”及び”B”値並びに次の組のサンプル22の”R”信号はベクトルVへ割り当てられる一方で、次のサンプル22の次の(左から右への)”G”、”B”、”R”及び”G”値はベクトルVへ割り当てられ、次の(左から右への)”G”、”B”、”R”、及び”G”値はベクトルVへ割り当てられ、次の(左から右への)”R”、”G”、”R”、及び”R”値はベクトルVへ割り当てられる。第4のベクトルVがその信号へ割り当てられると、上記プロセスは、4つのベクトルV、V、V及びVの各々がNサンプルを有するまで繰り返される。
【0036】
様々な実施形態では、サンプルのNは広範に変動し得る。一例として、N=60を有する実施形態を考察する。この場合、4つのベクトルV、V、V及びVに含まれるNサンプルの合計数は240(60×4=240)である。4つの符号化器入力ベクトルV、V、V及びVは、完全に構築されると、80(240/3=80)の個別組のサンプル22(ここで、S=3)を含む。換言すれば:
●ベクトルVはサンプルP、N~P、NN-1を含み;
●ベクトルVはサンプルP、N~P、NN-1を含み;
●ベクトルVはサンプルP2、N~P2、NN-1を含み;及び
●ベクトルVはサンプルP、N~P、NN-1を含む。
【0037】
上記例は単に例示的であり、従って制限と解釈されるべきでないということが理解されるべきである。サンプルの数Nは大体60であり得る。また、(a)各組のサンプルの露出された色情報は任意の色情報(例えばY、C、Cr、Cb、など)であり得、RGBに制限されないということが理解されるべきである。伝送媒体34上のEM経路の数もまた広範に変動し得る。従って、ベクトルVの数及び符号化器の数もまた広範に丁度1から又は2以上の任意の数から広範に変動し得る。「ベクトルを構築するために使用される任意の順列方式が使用され得、送信側で使用されるどの順列方式もまた受信側で使用されるという要件だけにより制限され得る」ということも理解されるべきである。
【0038】
図3AはSSVT送信器28のブロック線図である。本明細書において論述されるように、符号化器42の出力(EM信号0~P-1)はケーブル、光ファイバ、無線などの伝送媒体上へ向けられる。分散器40はアセンブリバンク50、中継バンク52、提示バンク54及びコントローラ56を含む。符号化器ブロック60は、D/A変換器(DAC)62のバンクと任意数Pの符号化器42(伝送媒体上でEM信号を送信するためのEM経路毎に1つ)とを含む。
【0039】
入力映像サンプルのストリームはアセンブリバンク50内で受信されるので、入力映像サンプルは、(1)サンプルを所定順列に従って符号化器入力ベクトル(符号化器当たり1つのベクトル)へ割り当てることにより繰り返し分散され、(2)複数のコンポジットEM信号(各符号化器から1つのアナログ信号)を生成するために直交符号を使用することにより入力ベクトルの各入力ベクトルへ変調を適用することにより符号化される。次に、(3)EM信号(経路当たり1つの信号)が伝送媒体上で送信される。
【0040】
分散器40は幾つかの組のサンプル22のストリームの露出された色情報(例えばRGB)を次から次へ受信するように配置される。これに応じて、アセンブリバンク50は幾つかの組のサンプル22の到着ストリームの露出された色情報(例えばRGB)から4つのベクトルV、V、V及びVを構築する。受信されると、幾つかの組のサンプル22は所定順列に従ってアセンブリバンク50内に格納される。
【0041】
中継バンク52は、リタイマ26により使用される第1のクロック周波数又はドメインから、伝送媒体34上の結果EMレベル信号の符号化及び送信のために使用される第2のクロック周波数又はドメイン内への4つのベクトルV、V、V及びVの各ベクトルのN個のサンプルの横断を容易にする。N=60及びS=3を有する上記例において既に論述されたように、正確に80組のRGBサンプルを表すサンプルが4つの符号化器入力ベクトルV、V、V及びV内に含まれる。
【0042】
様々な実施形態では、第1のクロック周波数は、第2のクロック周波数より速い、遅い、又はそれと同じであり得る。第1のクロック周波数f_pixは映像ソースにより選択された映像フォーマットにより判断される。第2のクロック周波数f_ssvtは、f_pix、伝送媒体内のEM経路の数P、各組の入力/出力サンプル内のサンプルの数S、及びSSVT変換パラメータN(入力/出力ベクトル場所の数)及びL(各SSDS符号の長さ)の関数であり、ここで、f_ssvt=(f_pix×S×L)/(P×N)。この配置により、入力クロック(pix_clk)は一速度で振動し、SSVTクロック(ssvt_clk)は別の速度で振動する。これらの速度は同じであってよいし異なってもよい。符号化器は、次の入力ベクトルが用意される間に、符号化を行う。提示バンク54は、4つの符号化器入力ベクトルの各ベクトルV、V、V及びVのN個のサンプルを符号化器ブロック60へ提示する(例えば、ベクトルVはSample0,0~Sample0,N-1を含む)。
【0043】
コントローラ56はアセンブリバンク50、中継バンク52及び提示バンク54の動作及びタイミングを制御する。特に、コントローラは、4つの符号化器入力ベクトルV、V、V及びVを構築する際に、使用される順列とサンプルの数Nとを定義する責任がある。コントローラ56はまた、中継バンク52により行われる第1のクロック周波数から第2のクロック周波数へのクロックドメイン横断をコーディネートする責任がある。コントローラ56は更に、提示バンク54が符号化器入力4つのベクトルV、V、V及びVの各ベクトルのN個のサンプル(N~N-1)を符号化器ブロック60へ提示する際のタイミングをコーディネートする責任がある。
【0044】
符号化器ブロック60内には、4つの符号化器入力ベクトルV、V、V及びVへ集合的に割り当てられたP×N個のサンプル(Sample0,0~SampleP-1,N-1)のうちの1つを各々が受信するように配置された複数のD/A変換器(DAC)62が設けられる。各DAC62は、ディジタルドメインからのその受信されたサンプルを、その到着ディジタル値に比例する大きさを有する差動対の電圧信号へ変換する。DAC62の出力は最小電圧~最大電圧の範囲であり得る。
【0045】
4つの符号化器142が4つの符号化器入力ベクトルV、V、V及びVそれぞれのために設けられる。各符号化器42は、その符号化器入力ベクトルのN個のサンプルの各サンプルの差動対の信号を受信し、各サンプルに対応する符号からチップを使用することによりN作動対の電圧信号の各々を変調し、これらの変調値を累算し、次に、EM信号の1つを生成するL個の差動出力レベルを生成する。この例では4つの符号化器42があるので、同時に出力されるEM Signal~EM Signalがある。好適には、L≧N≧2。説明したように、符号化はアナログ(DACが符号化器の前に置かれる)又はディジタル(L個のレベルが送信される前にDACによりアナログへ変換される)であり得る。次に、L個のアナログ出力レベルはSSVT信号の一部としてそのEM経路上でSSVT受信器へ送信される。有利には、SSVT信号はアナログ信号であり、いかなるDACもソースドライバにおいて必要とされない。
【0046】
シーケンサ回路65はDAC62及び符号化器42の動作のタイミングをコーディネートする。シーケンサ回路65はDAC62及び符号化器42のクロックを制御する責任がある。以下に詳細に説明されるように、シーケンサ回路65はまた、符号化器42の動作を制御する責任がある2つのクロック位相信号「clk1」及び「clk2」を生成する責任がある。
【0047】
図3Bを参照すると、入力ベクトルVのうちの1つのベクトルの符号化器42の回路図が示される。符号化器回路42は、複数の乗算器段70を有する乗算器段71と差動増幅器74を含む累算器段72とを含む。
【0048】
各乗算器段70は、第1(+)端子及び第2(-)端子においてDAC62の1つから差動対のサンプル信号(+SampleN-1/-SampleN-1~+Sample/-Sample)をそれぞれ受信するように配置される。各乗算器段70はまた、符号からチップを受信するための端子、インバータ73、それぞれがclk1及びclk2により駆動される幾つかの組のスイッチS1-S1、S2-S2及びS3-S3、並びに各々が様々なスイッチに晒されると電圧サンプルを格納し従ってスイッチングシーケンスに従って様々な時間において各デバイス両端に異なる電圧を格納する等しい値のストレージデバイスC1及びC2を含む。
【0049】
動作中、各乗算器段70は、受信されたチップの値に依存して(+1)又は(-1)のいずれかにより条件付き乗算することにより、その受信された差動対のアナログ信号を変調する。チップが(+1)であれば、clk1が活性状態である場合、スイッチ対S1-S1及びS3-S3は閉じる一方でスイッチ対S2-S2は開いたままである。この結果、両方の差動対の+/-サンプルは、反転無しに(すなわち、+1により乗算され)ストレージデバイスC1及びC2上にそれぞれ格納される。他方で、チップが(-1)であれば、上述の相補状態が発生する。換言すれば、clk1が活性状態である場合、スイッチ対S1-S1が開きスイッチ対S2-S2は閉じ、スイッチ対S3-S3は閉じる。この結果、差動対のサンプルは切り替えられ、C1及びC2上にそれぞれ格納され、こうして-1による乗算を行う。
【0050】
累算器段72は、電荷を乗算器段70のすべての乗算器段のストレージデバイスC1及びC2上に累積するように動作する。clk1が非活性状態へ遷移し及びclk2が活性状態へ遷移すると、すべてのclk1制御スイッチ(S3-S3、S4-S4)は開き、clk2制御スイッチ(S5-S5、S6-S6)は閉じる。この結果、すべての乗算器段70の第1のストレージデバイスC1上のすべての電荷は増幅器78により増幅され、差動増幅器74の第1の入力に累積される一方で、すべての乗算器段70の第2のストレージデバイスC2上のすべての電荷は増幅器78により増幅され、差動増幅器74の第2の入力上に累積される。これに応じて、差動増幅器74は一対の差動電気磁気(EM)レベル信号を生成する。増幅器74はそのすぐ左の増幅器78と同じVcmを使用し得る。実装形態に依存して、各増幅器78及び74の示された抵抗器R1は同じであっても異なってもよく、増幅器74の抵抗器R1は増幅器78のものと同じであっても異なってもよい。キャパシタC1、C2、C3及びC4は同じ大きさのものであるべきである。
【0051】
上記プロセスはすべての4つのベクトルV、V、V及びVに関して行われる。加えて、上記プロセスは幾つかの組のサンプル22のストリームがSSVT送信器28により受信される限り連続的に繰り返される。これに応じて、差動EM出力レベル信号の4つのストリームが伝送媒体34上でSSVT受信器30へ送信される。
【0052】
SSVT信号符号化及び復号化
図4Aは、どのように信号サンプル(この場合はアナログ値)が符号化器内で符号化され、次に電磁気的経路上で送信されるかを示す単純例を示す。示されるのは、映像フレーム内の個々の画素の電圧を表すN個のアナログ値902-908の入力ベクトルである。これらの電圧は、白黒画像の輝度又は画素内の特定色値の光度(例えば画素のR、G又はB色値)を表し得る(すなわち、各値は指定色空間内の感知又は測定された量の光を表す)。画素電圧がこの例では使用されるが、この符号化技術は、センサからの多種多様な信号のうちの任意のもの(LIDAR値、音声値、触覚値、エアロゾル値、など)を表す電圧により使用され得る。ディジタル値である信号サンプルも符号化され得、このディジタル符号化は以下で説明される。更に、たとえ1つの符号化器及び1つのEM経路が示されたとしても、本発明の一実施形態は、それぞれがEM経路上で送信する複数の符号化器と共にうまく働く。
【0053】
好適には、これらの電圧の範囲は効率のために0~1Vであるが、異なる範囲が可能である。これらの電圧は通常、特定順番でフレームの行内の画素から採られるが、別の慣習が、これらの画素を選択し順序付けるために使用され得る。どの慣習が、これらの画素を選択するために、符号化のためにそれらを順序付けるために使用されるかに関わらず、当該の同じ慣習は、これらの電圧を同じ順番で復号化するために、それらが属する結果フレーム内にそれらを置くために、復号器により受信端において使用されることになる。同様に、フレームがカラーにおけるものであり、RGBを使用すれば、この符号化器における慣習は、R画素電圧のすべてが最初に符号化されることであり得、次にG及びB電圧又は慣習は、電圧902-906が当該行内の画素のRGB値である、及び、次の3つの電圧908-912が次の画素のRGB値を表すことであり得る。再び、電圧を順序付けて符号化するためにこの符号化器により使用される同じ慣習が、受信端において復号器により使用される。アナログ値902-908を順序付けるためのいかなる特定慣習(色値による、行による、等々にかかわらず)も、復号器が同じ慣習を使用する限り使用され得る。示されるように、任意数N個のアナログ値902-908が、コードブック920を使用して一度に符号化するために提示され得、コードブック内のエントリの数Nのみにより制限される。
【0054】
先に述べたように、コードブック920は任意数N個のコード932-938を有する;すなわちこの単純例ではコードブックは4つのコードを有し、このことは次のことを意味する:4つのアナログ値902-908が一度に符号化される。127個のコード、255個のコードなどの多くのコードが使用され得るが、回路複雑性などの実際的考慮に起因して、より少ないコードが使用されることが好ましい。当該技術領域において知られているように、コードブック920は、それぞれが長さLのN個の相互直交コードを含む;この例ではL=4。通常、各コードはSSDSコードであるが、必ずしも本明細書に論述された拡散コードである必要はない。示されるように、各コードはL時間間隔(「チップ」とも呼ばれる)へ分割され、各時間間隔は当該コードの2進値を含む。コード表現942に示されるように、コード934は伝統的2進形式”1100”で表され得るが、同コードはまた、以下に説明されるように、値を変調する際の使い易さのためにコード表現944に示すように”11-1-1”として表れ得る。コード932及び936-938もまた、コード942で又は944で表され得る。長さLの各コードは、異なるコンピューティングデバイス(電話など)、異なる人、又は異なる送信器に関連付けられないということに留意されたい。
【0055】
従って、(この簡単な例における)4つのアナログ値902-908を伝送媒体34上で受信器(対応復号器を有する)へ送信するために、以下の技術が使用される。各アナログ値は、その対応コードの表現944内の各チップにより変調されることになる;例えば値902(すなわち.3)はコード932の表現944内の各チップにより順次変調される(948)。変調948は乗算演算子であり得る。従って、コード932により.3を変調することで系列”.3,3,3,3”を生じる。コード934により.7を変調することで”.7,7,-.7,-.7”となる;値”0”は”0,0,0,0”となり;、値”1”は”1,-1,1,-1”となる。通常、各コードの第1のチップはその対応アナログ値を変調し、次に、各コードの次のチップはそのアナログ値を変調するが、一実装形態はまた、次のアナログ値へ移る前にそのコードのすべてのチップにより特定アナログ値を変調し得る。
【0056】
時間間隔毎に、変調されたアナログ値は、アナログ出力レベル952-958を取得するために(この図では垂直方向に知覚される)合計される951;例えば、これらの時間間隔の変調値の合計は2,0,6,-1.4の出力レベルを生じる。これらのアナログ出力レベル952-958は、伝送線路の電圧制約に整合するように更に正規化又は増幅され得、次に、伝送媒体34の電磁気的経路(差動撚線対など)上で当該順に生成されると順次送信され得る。次に、受信器は、それらの出力レベル952-958を当該順に受信し、次に、ここに示された符号化方式の逆を使用して同じコードブック920を使用してそれらを復号化する。次に、結果画素電圧902-908は、使用される慣習に従って受信端においてディスプレイのフレーム内に表示され得る。従って、アナログ値902-908は、効果的に並列に符号化され、一連のL個のアナログ出力レベル952-958で単一電磁気的経路上で送信される。無数の符号化器及び電磁気的経路がまた、本明細書において示され、説明されたように使用され得る。更に、このやり方で符号化され得るNサンプルの数は、コードブックにおいて使用される直交符号の数に依存する。
【0057】
有利には、頑強なSSDS技術(拡散コードなど)の使用が帯域幅の著しい低下を生じたとしても、相互直交コードの使用、その対応コードのチップによる各サンプルの変調、合計、及びL個の出力レベルを使用することによる並列でのNサンプルの送信は著しい帯域幅利得を生じる。2進数が連続的に符号化され次に加算される伝統的CDMA技術とは対照的に、本発明は、最初に、対応符号内の各サンプルを各チップにより変調し、次に、各特定時間間隔の結果アナログ電圧レベルを取得するために符号の各時間間隔においてそれらの変調を加算する。伝送媒体上で送信されるのはこれらのアナログ出力レベルである(2進数の表現ではない)。更に、本発明は、アナログ電圧を1つの映像ソースから別の映像シンクへ(すなわち終点から終点へ)送信する。様々な人々、様々なデバイス又は様々なソースによる複数回のアクセスを可能にするCDMA技術とは異なり、本発明のサンプルの変調及び加算は、SSDS技術により導入される帯域幅の喪失を補償するために使用され、映像情報のフレーム又はフレーム群を単一映像ソースから単一映像シンクへ(すなわちソースにおける単一センサ(又は複数のセンサ)からシンクにおける単一場所へ)送信する。
【0058】
図4Bはディジタル値である信号サンプルへ適用可能である新規符号化技術を示す。ここで、ディジタル値902’-908’は電圧のディジタル表現(すなわちビットとして送信され格納される2進数)である。電圧の様々な例を使用して、値902’は「1101」であり、値904’は「0011」であり、値906’は「0001」であり、値908’は「1000」である。各ディジタル値は、各コードの表現944により(すなわち、変調されるディジタル値に対応するコードのチップに依存して「1」又は「-1」により)変調される(ディジタル的に乗算される)。各コードの最初の時間間隔940だけを考慮し、符号ビットである最上位ビット(MSB)を加算すると、「1101」の変調は「01101」(MSB「0」は正値を意味する)を生じ、「0011」の変調は「00011」を生じ、「0001」の変調は「00001」を生じ、「1000」の変調は「01000」を生じる。これらの変調値は最初の時間間隔上に示され注釈される。(示さないが、-1チップにより変調することは、負値の好適な2進法表現を使用して2進で表現され得る負値を生じる)。
【0059】
ディジタル的に合計することにより、最初の時間間隔内のこれらの変調値はディジタル値952’「011001」を生じる(再び、MSBは符号ビットである);他のディジタル値954’-958’はこの例では示されないが同じやり方で計算される。ベース10内のこの合計を考慮すると、我々は、変調値13、3、1及び8が25に合計されることを検証し得る。この例では示されなかいが、通常、追加MSBが、合計が6ビット以上を必要とし得るという点で結果レベル952’-958’のために利用可能となる。例えば、値902’-908’が4ビットを使用して表されるならば、レベル952’-958’は、64個のコードが存在する(64ビットのlog2を加える)ケースでは最大10ビットを使用して表され得る。又は、32個の変調値が合計されるならば、更に5つのビットが加えられる。出力レベルのために必要とされるビットの数はコードの数に依存する。
【0060】
出力レベル950’は、DACの入力要件に適応するように最初に正規化され得、次に、各ディジタル値をEM経路上の伝送のためのその対応アナログ値へ変換するために、DAC959へ順次供給され得る。DAC959は、MAX5857 RF DAC(クロック逓倍PLL/VCO及び14ビットRF DACコアを含み、複雑な経路はRF DACコアに直接アクセスするためにバイパスされ得る)であり得、示されない帯域フィルタ、次に利得可変増幅器(VGA)が続き得る。いくつかの状況では、レベル950’において使用されるビットの数はDAC959により許容される数より大きく、例えば、レベル952’は10ビットにより表されるが、DAC959は8ビットDACである。これらの状況では、適切な数のLSBが廃棄され、残りのMSBはDACにより処理され、ディスプレイにおける結果画像の視覚的品質の損失はない。
【0061】
有利には、全ディジタル値が変調され、次にこれらの全変調ディジタル値は、変換及び送信のためのディジタル出力レベルを生成するためにディジタル的に合計される。この技術は、ディジタル値の各2進数を変調し、次にこれらに変調されたビットを合計して出力を生成するCDMAとは異なる。例えば、各ディジタル値内にBビットがあると仮定すると、CDMAでは、送信するべき合計B×L出力レベルがあることになる一方で、この新規ディジタル符号化技術では、送信するべき合計L出力レベルだけがあることになり、従って利点を有する。
【0062】
図4Cは、図4Aの符号化器を使用して符号化されたアナログ入力レベルの復号化を示す。示されるように、L個の入力レベル950が、伝送媒体34の単一電磁気的経路上で受信された。本明細書において説明され、先に注意したように、コードブック920は、入力レベル950を復号化してN個のアナログ値902-908、すなわち、上述のように符号化された同じアナログ値902-908の出力ベクトルを生成するために使用される、N個の直交コード932-938を含む。復号化を行うために、垂直矢印により指示されるように、各入力レベル952-958は、出力ベクトル902-908内の特定指標に対応する各コードの各チップにより変調される(961)。第1のコード932によるレベル952-958の変調を考慮すると、このような変調は変調値の系列”2,0,6,-1.4”を生成する。第2のコード934によるレベル952-958の変調は変調値”2,0,-.6,1.4”の系列を生成する。第3のコード936による変調は”2,0,-.6,-1.4”を生成し、第4のコード938による変調は”2,0,6,1.4”を生成する。
【0063】
次に、水平矢印により指示されるように、各系列の変調値はアナログ値902-908のうちの1つを生成するために合計される。例えば、第1の系列はアナログ値”1.2”(”4”のスケール係数を使用して正規化された後に”.3”になる)を生成するために合計される。同様なやり方で、他の3つの系列の変調値は、アナログ値”2.8”、”0”及び”4”を生成するために合計され、正規化された後に、アナログ値902-908の出力ベクトルを生じる。各コードは入力レベルを変調し得、次に、当該系列は合計され得る、又は、すべてのコードは、各系列が合計される前に入力レベルを変調し得る。従って、N個のアナログ値902-908の出力ベクトルはL個の出力レベルを使用して並列に輸送された。
【0064】
これらの例においては、復号化ディジタル入力レベルの例は示されていないが、当業者は、上記説明内のディジタル値の符号化を読むことにより、このような復号化を行うことが単純且つ明瞭であると分かるであろう。
【0065】
図4D1、4D2及び4D3は、符号化器及び復号器がアナログサンプル又はディジタルサンプルのいずれかに作用し得るということを示す。様々なアナログ及びディジタル符号化器並びに復号器は、上記で既に説明された。
【0066】
図4D1は、アナログ符号化器及び対応アナログ復号器の使用を示す。アナログ符号化器900への入力は、アナログ符号化器において配置されたDAC972によりアナログへ変換されたアナログサンプル970又はディジタルサンプル971のいずれかである。このやり方で、アナログ符号化器に到着するアナログ又はディジタルサンプルのいずれかは伝送媒体34上の電磁気的経路上の送信のために符号化され得る。アナログ復号器900’は、出力のためのアナログサンプル970を生成するために、符号化されたアナログサンプルを復号化する。アナログサンプル970はそのまま使用されてもよいし、ADC(示されない)を使用してディジタルサンプルへ変換されてもよい。
【0067】
図4D2は、ディジタル符号化器及び対応アナログ復号器の使用を示す。ディジタル符号化器901への入力は、ディジタル符号化器において配置されたADC973によりディジタルへ変換されたディジタルサンプル971又はアナログサンプル970のいずれかである。符号化器はディジタルであるので、符号化器において配置されたDAC959は、電磁気的経路上での送信の前に、符号化されたサンプルをアナログへ変換する。このやり方で、ディジタル符号化器に到着するアナログ又はディジタルサンプルのいずれかは伝送媒体34上の電磁気的経路上の送信のために符号化され得る。アナログ復号器900’は、出力のためのアナログサンプル970を生成するために、符号化されたアナログサンプルを復号化する。アナログサンプル970はそのまま使用されてもよいし、ADCを使用することディジタルサンプルへ変換されてもよい。
【0068】
図4D3は、伝送媒体34上の電磁気的経路上で到達した符号化アナログ信号を復号化するためのディジタル復号器の使用を示す。符号化されたアナログ信号は図4D1のアナログ符号化器又は図4D2のディジタル符号化器のいずれかを使用することにより送信され得る。ディジタル復号器976において配置されたADC974は、電磁気的経路を介し送信された符号化済みアナログサンプルを受信し、このサンプルをディジタルへ変換する。次に、これらの符号化済みディジタルサンプルはディジタル復号器976によりディジタルサンプル978内へ復号化される(電磁気的経路上の送信の前に元々符号化されたサンプルの入力ベクトルの値に対応する)。ディジタルサンプル978は、そのまま使用されてもよいし、DACを使用してアナログサンプルへ変換されてもよい。
【0069】
図4Eは、アナログ符号化器から出力された後の(又はディジタル的に符号化され、次にDACにより変換された後の)電磁気的経路を介し送信されたSSVT波形602のシミュレーション(理想化されたオシロスコープトレースに似た)を示す。縦軸は電圧であり、横軸は100psオシロスコープ測定時間間隔である。SSVT信号602は、ディジタル信号よりむしろアナログ波形であり(すなわち、信号は2進数を表さない)、この実施形態では、約-15V~約+15Vの電圧の範囲を輸送し得るということに留意されたい。アナログ波形の電圧値は十分にアナログである(又は少なくともそうであり得る)。また、電圧は或る最大値に制限されないが、高い値は非実用的である。
【0070】
前に説明したように、アナログ電圧レベルは電磁気的経路上で連続して送信され、各レベル(DACを通された後の上記アナログ出力レベル952-958又は上記ディジタル出力レベル952’-958’)は時間間隔毎に変調されたサンプルの合計である。送信される際、これらの出力レベルは波形602などの波形として現れる。特に、電圧レベル980は、変調されたサンプルの特定時間間隔内の合計(すなわち出力レベル)を表す。単純例を使用して、一連の電圧レベル980-986は4つの出力レベルの送信を表す。この例では、32個のコードが使用され、このことは32個のサンプルが並列で送信され得るということを意味し;従って、電圧レベル980-986(その後の28の電圧レベルが連続的に続く)は、32個のサンプル(映像ソースからの画素電圧など)の並列の送信を形成する。当該送信後、波形602の次の32個の電圧レベルは次の32個のサンプルの送信を表す。一般的に、波形602は、コンポジットアナログ波形を形成するためのアナログ又はディジタル値のアナログ出力レベルへの符号化並びに離散時間間隔内のそれらのレベルの送信を表す。
【0071】
減衰としてのこのような現象、インピーダンス不整合に起因する反射、及び侵害する侵略者信号に起因して、あらゆる電磁気的経路は、それを介し伝播する電磁気信号を劣化させ、従って、受信端子における入力レベルの採取された測定結果は常に、送信端末において利用可能にされた対応出力レベルに関するエラーに晒される。従って、受信器における入力レベルのスケーリング(又は送信器における出力レベルの正規化又は増幅)が、当該技術領域において知られているように、補正するために行われ得る。更に、プロセス利得に起因して、復号器における復号化された入力レベルは、当該技術領域において知られているように、送信された出力レベルを回復するためにコード長を使用してスケール係数により正規化される。更に、本明細書において説明されるように、L≧N≧2であることが好ましいが、いくつかの状況ではLがN未満となる(すなわちN>L≧2)ということが可能である。
【0072】
受信器
図5Aは映像シンク14のSSVT受信器30、リタイマ32、及び映像ディスプレイ85のブロック線図を示す。受信側では、SSVT受信器30は、伝送媒体34上で受信された4つの差動EMレベル出力信号のストリームを、表示のために好適なフォーマット内へ復号化し戻す責任がある。好適なフォーマットに戻されると、サンプル22内に含まれる映像コンテンツ(例えば信号S)は映像ディスプレイ上に提示され得る(フレームからフレームへ)。この結果、映像ソース12による映像捕捉は映像シンク14により再生成され得る。代替的に、復号化された映像情報はその後の時間における表示のために時間シフトモードで格納され得る。
【0073】
受信器30は送信側のSSVT送信器28により行われる符号化の逆を行う。受信器30は4つの復号器80及び1つの収集器46を使用する。復号器80は4つの差動EMレベル出力信号を4つの復号器出力ベクトル内へ再構築する。次に、収集器46は復号器出力ベクトルのサンプルを幾つかの組のサンプル22のオリジナルストリームへ割り当てる。各組はストリーム内の当該場所においてオリジナルSサンプルに対応するS個の再構築されたサンプルを含む。
【0074】
P個の復号器80(ラベル0~P-1)が差動EMレベル信号Level~LevelP-1をそれぞれ受信するように配置される。これに応じて、復号器80の各々は、再構築されたサンプル(Sample~SampleN-1)のN個の差動対を生成する。4つの復号器80(P=4)が存在するケースでは、4つのベクトルV、V、V及びVがそれぞれ構築される。
【0075】
再構築バンク82は、各復号化間隔の終わりに4つの復号器出力ベクトルV、V、V及びVの各復号器出力ベクトルのN個の再構築されたサンプル(Sample~SampleN-1)の差動対の各々をサンプル&ホールドする。アナログ/ディジタル変換器(ADC)84が、4つのベクトルV、V、V及びVの各々のベクトルのN個のサンプル(Sample~SampleN-1)のサンプル毎に設けられる。各ADCはその受信された作動対の電圧信号を対応ディジタル値に変換し、4つのベクトルV、V、V及びVの各々のベクトルのディジタルサンプル(SampleN-1~Sample)を生じる。ADCはクロック速度=f_ssvt/Lで動作する。
【0076】
収集器46は中継バンク86及び分解バンク88を含む。中継バンク86は4つの復号器出力ベクトルV、V、V及びVの各ベクトルのすべての再構築されたサンプル(Nn-1~N)を受信する。分解バンク88は、(a)4つの復号器出力ベクトルV、V、V及びVの各々ベクトルのサンプル(SampleN-1~Sample)を、送信側で使用されたのと同じ順列方式を使用することにより幾つかの(例えば、この例では「RGB画素に関しS=3」)組のサンプル22のストリームの露出された色情報(例えばS信号)へ分解し戻し、(b)再構築されたサンプルを第2のクロックドメインから第1のクロックドメインへ横断させる。幾つかの組の再構築されたサンプル22のストリームは次に、映像信号を再フォーマット化するリタイマ32へ提供される。従って、リタイマ32の出力は、一系列の幾つかの時系列の組のサンプル22の再生成である。映像シンク14はDAC103のバンクと映像ディスプレイ85とを含む。DAC103のバンクは、ディジタルドメイン内のサンプル22をアナログドメインへ変換し戻す責任がある。一実施形態では、DAC103はディスプレイ85内の行毎に設けられる。アナログドメインへ変換されると、サンプル22は周知のやり方で映像ディスプレイ85上に表示される。
【0077】
受信器30はまた、チャネルアライナ87及び収集器コントローラ89を含み、各復号器80からフレーミング情報及びアパーチャ情報を受信する。これに応じて、収集器コントローラ89は、「分解バンクへ提示されたすべてのサンプルが共通時間間隔(レベル信号がSSVT送信器28により送信された)から来る」ということを保証するために、中継バンク86及び/又は分解バンク88のタイミングをコーディネートする。この結果、(a)バンク88による分解はすべてのサンプルが受信されるまで遅延され得、(b)伝送媒体34の個別チャネルは、分解バンク88がいかなるタイミング差も補償するので、必ずしもすべてが同じ長さである必要がない。収集器コントローラ89はまた、いかなる順列にも追随する責任があり、「分解バンク88が送信側のベクトルV、V、V及びVを構築する際に使用されたのと同じ順列を適用する」ということを保証する責任がある。
【0078】
上記実施形態では、ADC84は復号化されたサンプルをディジタルドメインに変換し、映像シンク14内のDACは順序付けられた組のサンプル22を、表示する直前にアナログドメインへ変換し戻す。実装形態及びサンプルの性質(例えばカラー映像サンプル、白黒映像サンプル、音声サンプル値など)に依存して、サンプルをディジタルへ変換し戻すためにADCを使用することも、中継バンク又は分解バンクを使用すること等々も必要ではないかもしれない。例えば、サンプルが復号化され、各復号器から出力されると(すなわち各復号器が1~N個のサンプル値の出力ベクトルを出力すると)、これらのサンプルは実装形態に従って使用され得る。
【0079】
代替実施形態
上記実施形態では、ADC84は復号化されたサンプルをディジタルドメインへ変換し、映像シンク14内のADC103は順序付けられた組のサンプル22を、表示する直前にアナログドメインへ変換し戻す。
【0080】
図5Bは、SSVT受信器30の代替実施形態を示す。この代替実施形態では、再構築バンク82からのサンプル出力はアナログドメイン内に留まり得、従って映像シンク14内のADC103の必要性を無くす。この実施形態により、ADC84は削除され、再構築バンクからのサンプル出力をバッファするためのバッファ段(示されていない)により置換される。
【0081】
再構築バンク82は、各復号化間隔の終わりに4つの復号器出力ベクトルV、V、V及びVの各復号器出力ベクトルのN個の再構築されたサンプル(Sample~SampleN-1)の差動対の各々をサンプル&ホールドする。EOB信号が再構築バンク82により受信されると、そのコンテンツは、クリアされる前にバッファされる。次に、ストローブ信号又は等価タイミング信号が、中継バンク86へバッファされたサンプルの出力を制御するために使用される。次に、これらの受信された差動対の電圧信号は4つのベクトルV、V、V及びVの各ベクトルのサンプル(SampleN-1~Sample)としてそれぞれ出力される。本質的に、各再構築バンクは差動対電圧から単一電圧へ再構築する。中継バンク86は、4つの復号器出力ベクトルV、V、V及びVの各ベクトルのすべての再構築されたサンプル(NN-1~N)を受信し、アナログ出力バッファとして働く。中継バンク内へ移動されると、サンプルは、復号化されたSSVT信号から導出されるラッチ信号によりトリガされる。中継バンクから放出されると、サンプルはレベルシフタ503へ送信される。
【0082】
フレーム化された映像信号は次に、利得及びガンマ値入力に応じてそれらの利得及びガンマ値を任意に調節し得るレベルシフタ503へ提供される。利得はどれだけの増幅が適用されるかを決定し、ガンマ曲線は光束と知覚された輝度とを関係付け、光束の人間の光知覚を線形化する。アナログレベルシフタ503では、ガンマは1つの非排他的実施形態では非線形増幅特性により実施され得る。レベルシフト及び利得は、出力段増幅を設定することにより、レベルシフタ503に関連するドライバ回路構成において任意に実装される。
【0083】
受信器30はまた、チャネルアライナ87及び収集器コントローラ89を含み、各復号器80からフレーミング情報及びアパーチャ情報を受信する。これに応じて、中継コントローラ89は、すべてのサンプルが共通時間間隔(レベル信号がSSVT送信器により送信された)から来るということを保証するために中継バンク86のタイミングをコーディネートする。この結果、伝送媒体の個別チャネルは、チャネルアライナ87及び中継コントローラ89がいかなるタイミング差も補償するので必ずしもすべてが同じ長さを有する必要がない。ゲートドライバ制御信号は、タイミング情報をゲートドライバへ(又は中間回路構成へ)提供し(延いては正しいタイミング及び制御信号をゲートドライバへ提供し)、チャネルアライナ87から発祥し得る。
【0084】
レベルシフタ503によりシフトされると、所与のフレームのサンプルは、収集器コントローラ89復号SSVT信号から導出されるラッチ信号506によりトリガされるラッチ504内へ移動される。ラッチ504から放出されると、サンプルは当該技術分野において知られているようにディスプレイパネルのその対応列内のソース電極を駆動するために使用される。
【0085】
従って、この実施形態により、復号器80により生成されたサンプルは、ラッチ504により行われるラッチチングを介する復号器80による受信から、受信器30内のアナログドメイン内に留まる。この結果、映像シンク14内のDAC103は削除され得る。図5Bは中継バンク86内のサンプルをバッファし、次にレベルをシフト(増幅)する復号器を開示するということに留意されたい。レベルをシフトし、次に出力のサンプルをバッファすることも可能である。
【0086】
復号器
図6は4つの復号器80のうちの1つの復号器の論理図である。復号器80は、伝送媒体34上で受信された4つの差動EMレベル信号のうちの1つを受信しサンプル&ホールドするように配置された差動増幅器92及びサンプル&ホールド回路94を含む。次に、サンプリングされたEMレベル信号はN個の復号器トラック回路96(Nn-1~N)の各々へ提供される。シーケンサコントローラ98は、送信側でそれぞれ適用された同じSSDSチップをN個の復号器トラック回路96の各々へ提供する。この結果、サンプル出力(Nn-1~N)は再構築バンク82へ提供される。再び、送信側で使用されたのと同じSSDSチップが復号器トラック回路96の各々により使用される。この結果、復調されたサンプルNn-1~Nは送信側の変調の前のものと同じである。
【0087】
復号器80の各々の復号器のシーケンサコントローラ98もまた、ストローブ信号、エンドオブバンク(EOB:end of bank)信号、アパーチャ信号及びフレーミング信号を含む多くの制御信号を生成する。ストローブ信号は、ADC84へ提供され、所与の再構築バンクコンテンツのアナログ/ディジタル変換プロセスが開始し得るタイミングを指示する。EOB信号は、再構築バンク82へ提供され、中継バンク86がサンプルにより完全に一杯になるタイミングを表す。これが発生すると、EOB信号がアサートされ、次の組の再構築されたサンプル(Nn-1~N)を予測して符号化器96及び中継バンク86の両方をクリアする。アパーチャ制御信号はサンプル&ホールド回路94へ提供され、フレーミング信号はチャネルアライナ87及び中継コントローラ89へ提供される。
【0088】
図7を参照すると、代表的符号化器トラック回路96の線図が示される。復号器トラック回路96は乗算器部100及び累算器部102を含む。乗算器部は、第1の対のスイッチS1-S1、第2の対のスイッチS2-S2、第3の対のスイッチS3-S3、及び第1の(正)及び第2の(負)電源レール上の一対のキャパシタC1-C1を含む。累算器部102は、追加対のトランジスタS4-S4、S5-S5、S6-S6及びS7-S7、演算増幅器104、並びに第1の(正)及び第2の(負)電源レール上の一対のキャパシタCF-CFをそれぞれ含む。
【0089】
復調サイクル毎に、差動EMレベル信号対が第1のレベル入力(レベル+)端子及び第2のレベル入力(レベル-)端子において受信される。差動EMレベル信号対は、受信SSDSチップの値に依存して(1)又は負(-1)のいずれかにより乗算することによる条件付き反転により乗算器部100内で復調される。
【0090】
SSDSチップが(+1)の値を有すれば、clk1が活性状態であるときトランジスタ対S1-S1及びS3-S3は閉じ一方S2-S2は開いたままである。この結果、第1のレベル入力(レベル+)端子及び第2のレベル入力(レベル-)端子における電圧値が、渡され、正負のレール上の2つのキャパシタC1及びC1によりそれぞれ格納される。換言すれば、入力値は(+1)により乗算され、反転は発生しない。
【0091】
SSDSチップが-1の値を有すれば、S1-S1スイッチは両方ともオフである一方で、スイッチS2-S2及びS3-S3はclk1が活性状態になるとすべてオンにされる。この結果、正又は第1の(+)端子及び負又は第2の(-)端子において受信された電圧値はスワップされる。換言すれば、第1又は正端子において提供された入力電圧値はより低い負レール上のキャパシタC1へ導かれ、その上に格納される一方で、第2又は(-)端子上に提供された電圧値は正の上側レール上のキャパシタC1へ切り替えられ、その上に格納される。従って、入力端子における受信電圧値は反転されるすなわち(-1)により乗算される。
【0092】
clk1が不活性状態に移行すると、C1及びC1上の蓄積された電荷は残ったままである。clk2が活性状態へ移行すると、トランジスタ対S4-S4が開く一方でトランジスタ対S5-S5及びS6-S6は閉じる。次に、下側又は負のレール上のキャパシタC1及び上側又は正のレール上のC1上の蓄積された電荷は演算増幅器104の差動入力へ提供される。演算増幅器104の出力は、送信側の符号化に先立って元の+/-サンプル対である。
【0093】
2つのキャパシタC1及びC1上の蓄積された電荷もまた、Clk2が活性状態であると、上側又は正のレール上のキャパシタCF及び下側又は負のレール上のキャパシタCFへ渡される。各復調サイクルにより、上側上のキャパシタC1及び下側レール上のキャパシタC1上の電荷は、上側及び下側レール上の2つのキャパシタCF及びCF上へそれぞれ蓄積される。clk1及びEOB信号が両方とも活性状態になると、トランジスタ対S7-S7は両方とも閉じられ、キャパシタCF及びCFの各々のキャパシタのプレート同士を短絡する。この結果、蓄積された電荷は除去され、2つのキャパシタCF及びCFはリセットされ、次の復調サイクルのための準備状態になる。
【0094】
各復号器80はN個の符号化器96を有するので、N個の復号化された又はオリジナル+/-サンプル対は復調サイクル毎に再生成される。次に、これらのN+/-サンプル対は、再構築バンク82、ADC84、次に収集器46(中継バンク86及び分解バンク88を含む)へ、最後にリタイマ32へ提供される。この結果、オリジナル組のサンプル22はそのオリジナル色コンテンツ情報(例えばRGBに関してS=3)により再生成され、映像シンク14のディスプレイ85上の表示のための準備が整う。
【0095】
復号器トラック96は、一連のLサイクルにわたって入力レベルサンプルを再構築し、当該トラックのコードの逐次SSDSチップにより各逐次入力レベルを復調する。L個の復調の各復調の結果はフィードバックキャパシタCF上に蓄積される。EOBが復号化サイクルの第1の復調サイクルに対応するclk1中にアサートされると、CFは、零ボルト又は或る他のリセット電圧から再び蓄積することを始めるように、EOB後にクリアされる。様々な非排他的実施形態では、Lの値は所定パラメータである。一般的に、パラメータLが高ければ高いほどSSDSプロセス利得は大きくなり、伝送媒体34上のSSVT信号の送信の電気的弾力性より良くなる。他方で、パラメータLが高ければ高いほどSSVT変調の適用のための必要周波数は高くなり、伝送媒体34により引き起こされる挿入損に起因して信号品質を落とし得る。
【0096】
上記復調サイクルは、4つの復号器80の各々により何度も何度も繰り返される。最終結果は、各々がそれらの元のカラーコンテンツ情報を有するサンプル22の元の時系列組のストリング(すなわち、一組のSサンプル)の回復である。次に、幾つかの組のサンプル22は当該技術分野においてよく知られているように処理され、映像シンク14のディスプレイ85上に表示される。代替的に、回復された幾つかの組のサンプル22は、時間シフトモードでの表示のために受信側に格納され得る。
【0097】
受動的乗算累積器復号器
代替実施形態では、受動的乗算累積器復号器は任意に、図5Aを参照して説明されるように復号器ブロック80内で使用され得る。以下に詳細に説明されるように、受動的乗算累積器は、伝送媒体34上で受信される映像媒体の(L)差動対のサンプルのグループを処理し、ここで、(L)は送信に先立って媒体を符号化するために使用されるSSDS符号の長さである。この復号器は、相関関数が、変調値の正規化合計に等価である複数のキャパシタ全体にわたって共有する電荷により実施されるので、受動的である。この復号器は、(L)差動対のサンプルの積結果及びそれらの対応SSDSチップ値が復号化プロセス中に複数のストレージデバイス(例えばキャパシタ)上に格納されるので、乗算累積器である。複数のストレージデバイスは、次に、正規化加算を行うために纏めて短絡される。
【0098】
図8Aは受動的乗算累積器復号器120を示す。一実施形態によると、受動的乗算累積器復号器120は、チップ乗算器段122、第1のストレージバンクA((+)組の(L)キャパシタ及び(-)組の(L)のキャパシタを含む)、及び第1の対のキャパシタ129を含む。差動増幅器124の(+/-)出力と(-/+)入力との間に結合されたフィードバック経路上に置かれる一対のリセット素子128もそれぞれ設けられる。リセット素子128は、スイッチドキャパシタ増幅器を実施するためにフィードバックキャパシタ129をリセットする。
【0099】
チップ乗算器段122は、前に説明したように直接スペクトラム拡散方式(SSDS)符号化を使用することにより符号化器28により符号化された映像媒体のL個の差動対のサンプルを伝送媒体34上で順次受信するように構成される。チップ乗算器段122はまた、符号化器28により差動対のサンプルを符号化するために使用された相互直交SSDS符号によりそれぞれ規定されたSSDSチップ値を受信するように構成される。非排他的実施形態では、チャネルアライナ87は、正しいSSDSチップ値を、受信された差動対サンプルの各々へ順次適用する責任がある。
【0100】
動作中、1つの差動対サンプルがサンプリングクロックFssvtのクロックサイクル毎に受信される。各受信された差動対サンプルに応じて、チップ乗算器段122は以下のことを行う:
(1)相互直交SSDS符号のSSDSチップ値を、受信された差動対サンプルへ適用すること;
(2)差動対サンプルと適用されるチップ値とを乗算すること。所与の差動対サンプルの適用チップ値の状態に依存して、乗算器は(+1)又は(-1)のいずれかである。1つの非制限的アプリケーションは、例えばチップ値が第1の状態(例えば「1」)であれば乗算器は(+1)である。チップ値が第2の状態(「0」であれば、乗算器は(-1))であり;
(3)乗算の積結果に見合った電圧電荷をストレージブロックA内の(+)及び(-)対のキャパシタ上にそれぞれ格納する。チップ値が(+1)であると、電荷はいかなる反転も無しに格納される。チップ値が(-1)であれば、電荷は格納の前に最初に反転される。この反転は、入力信号の+入力値と-入力値とをスワップすることにより行われる。
【0101】
映像媒体の(L)差動対の信号が順次受信されると上記プロセスはサンプル毎に繰り返される。この結果、(+)及び(-)組内の(L)キャパシタは、順次書き込まれ、受信された(L)差動サンプルの乗算積に見合った電荷をそれぞれ格納する。
【0102】
(L)差動サンプルが受信され、ストレージバンクAの(+)及び(-)キャパシタセットの(L)キャパシタのすべてが乗算積結果を格納すると、受動的乗算累積器復号器120は復号化された差動映像媒体サンプル出力(すなわちSampleP-1,N-1 、SampleP-1N-1 )を生成するように動作する。これは、「平均化」制御信号のアサーションにより達成され、
(1)キャパシタバンクA内の乗算積電荷の格納の中断;
(2)ストレージバンクA内の(+)キャパシタのすべての(L)キャパシタ上の電荷の短絡を引き起こし、累積された電荷を増幅器124の入力上へ「ダンプ」させる。増幅器124は、差動増幅器124の負(-)出力端子へ結合された第1のキャパシタ129を介したフィードバック機構を介し入力上の電圧を制御するためにその出力をスリュー(slew)させることによりに応答する。(+)キャパシタのすべての上に累積された電荷をダンプすることにより、「平均」電圧が増幅器124の出力上に実現され;
(3)ストレージバンクA内の(-)キャパシタの(L)個のすべてのキャパシタ上の電荷の纏めての短絡が、累積された電荷を増幅器124の入力上へ「ダンプ」させる。増幅器124は、差動増幅器124の正(+)出力端子へ結合された第2のキャパシタ129を介したフィードバック機構を介し入力上の電圧を制御するためにその出力をスリューさせることによりに応答する。(-)キャパシタのすべての上の累積電荷をダンプすることにより、「平均」電圧が増幅器124の出力上に実現される。
【0103】
ストレージバンクA内の(+)キャパシタのすべて及び(-)キャパシタのすべてを単純に纏めて短絡することにより、(L)個の到着差動サンプルの累積された電荷の平均が増幅器124の出力対上にそれぞれ提供される。従って、平均化は実質的に「無料で:for free」行われる(相関プロセスが最少能動部品により受動的に行われるということを意味する)。
【0104】
従って、復号化された差動映像媒体サンプルは差動増幅器124の正出力端子上の平均電圧と負出力端子上の平均電圧との差により表される。差動増幅器124は、平均化プロセスを外部影響から保護するように、利得又は減衰を提供するストレージバンクA内のキャパシタに対するキャパシタ129のサイジングに依存して、及び2つのキャパシタ間の任意の共通電圧を抑制しながら働く。追加利得及びバッファリングにより、復号化された差動映像媒体サンプルは図5A又は5Bに示すように再構築バンク82を駆動するためにより好都合である。
【0105】
差動増幅器124の周波数は、到着(L)差動サンプルをサンプリングするために使用されるものと同じ周波数Fssvtで動作する必要はない。平均化操作はあらゆる(L)到着サンプルに関し行われるので、差動増幅器124の周波数はFssvt/Lであるだけでよい。差動増幅器124の速度/整定時間要件を低減することにより、当該機能を行うためにだけでなく平均化をより精密に行うために必要とされる電力が低減される。
【0106】
差動増幅器124のリセット回路128は、キャパシタ129上の電圧をFssvt/Lサイクル毎に零ボルトへ初期化又はリセットするために設けられる。各平均化操作に先立つリセット無しに、差動増幅器124は、単一平均化操作のために受信した差動入力を単純に増幅することよりむしろL個の値の現在平均によりL個のサンプルの前値を平均化するだろう。
【0107】
上記実施形態により、ストレージバンクAは、平均化操作中に到着差動サンプルの乗算積電荷を格納するために使用され得ない。この結果、処理遅延が発生し得る。
【0108】
一代替実施形態では、受動的乗算累積器復号器120はまた、(L)組の(+)及び(-)キャパシタ、第2の差動増幅器126、第2組のキャパシタ129、一対のリセット回路128及びマルチプレクサ130を含む第2のストレージバンクBを任意に含み得る。第2のストレージバンクB、差動増幅器126、第2組のキャパシタ129及びリセット回路128はすべて、上述のそれらのカウンターパートと実質的に同じように動作する。従って、これらの部品の詳細説明は簡潔性の目的のためにここでは提供されない。
【0109】
動作中、2つのストレージバンクA及びBは二者択一的に使用される。一方がサンプリングしている間他方は平均化している(その逆も同様)。他方が平均化している間にサンプリングするために一方のバンクを使用することにより、処理遅延は少なくとも2つのやり方で低減される。第1に、複数組の到着(L)差動対の信号が、受信され、乗算され、中断なく格納され得る。第2に、平均化操作に続く差動増幅器のいかなる速度/整定時間要件も、他方が平均化している間に一方のバンクが常にサンプリングしている(逆も同様)のでほぼなくされる。
【0110】
2つのストレージバンクA及びBを有する受動的乗算累積器復号器120のいくつかの実施形態を実装するために、いくつかの制御信号が必要とされる。これらの制御信号は以下のものを含む:
(1)相補的平均/サンプル信号がストレージバンクBへ提供される間にストレージバンクAへ提供されるサンプル/平均制御信号。これらの2つの制御信号は相補的であるので、一方のストレージバンクは、他方のストレージバンクに関連する差動増幅器が平均化している間に、現在到着中組の(L)差動信号に関し常にサンプリングすることになる(逆も同様);及び、
(2)バンク選択制御信号がマルチプレクサ130へ提供される。従って、一方のバンクがサンプリングし、格納している場合、マルチプレクサ130は平均化している他方のバンクの差動増幅器出力(124又は126のいずれかの)を選択する。バンク選択制御信号をサンプル/平均制御信号の遷移と一致するように遷移することにより、マルチプレクサ130の出力は常に、平均化しているキャパシタバンクを選び出すように選択される。この結果、復号差動映像媒体サンプルは、チップ乗算器段122が到着差動入力信号を受信している限り連続的に生成される。
【0111】
図9は受動的乗算累積器復号器120の2バンク実施形態の動作の代替性質を示すタイミング図である。
【0112】
本図において明らかなように、2つのキャパシタバンクA及びBはサンプリングと平均化との間で交番する。左から右へ、キャパシタバンクAは、当初サンプリングし、次に平均化し、この結果を差動増幅器124の出力上に出力し、次に再びサンプリングする。同時に、キャパシタバンクBは相補的なことを行う。このことは以下のことを意味する:この結果を当初平均化し、差動増幅器126へ出力し、次にサンプリングし、次にこの結果を平均化し、差動増幅器126へ出力する。この交番パターンは、Fssvtの(L)クロックサイクル毎に平均/制御信号の状態を遷移させることにより連続的に繰り返される。この結果、複数の出力復号差動映像媒体サンプルが連続的に生成される。
【0113】
図10は例示的ストレージバンク140(例えばA又はBのいずれか)及び制御論理を示す。L=128を有する上記例を使用することにより、ストレージバンク140は128段(図では1~(L)とラベル付けされる)を含むだろう。各段は、第1の対のスイッチ(S1-S1)、第2の対のスイッチ(S2-S2)、並びに相補的キャパシタC(+)及びC(-)を含む。
【0114】
各段はまた、第1の対のスイッチS1-S1の開閉を制御するための出力を制御論理ユニット148から受信するように構成される。非排他的実施形態では、制御論理ユニット148は、単一「1」ビットを(L)段全体にわたって循環させる長さ(L)ビットの循環シフトレジスタを含む。任意の時点における「1」ビットの位置が、(L)段のうちのどれが所与の差動対入力の乗算積のサンプリングのために使用されることになるかを選択する。「1」ビットを(L)Fssvtクロックサイクルにほぼ一致させるために循環させることにより、(L)サンプルが(L)段上でそれぞれ収集される。様々な代替実施形態では、単一「1」ビットのパルス幅はFssvtクロックのパルス幅と同じであってもよいしいくぶんより小さくてもよい。より小さなパルス幅を使用することにより、部分的にオンにされる隣接段(L)のサンプリングキャパシタ間のいかなる重なりも回避又は緩和される。
【0115】
各段はまた、キャパシタバンクAのサンプル/平均制御信号又はキャパシタバンクBの相補的平均/サンプル制御信号のいずれかを受信するように構成された入力端子を有する。両方のバンクにより、この制御信号は第2組のスイッチS2-S2の開閉を制御するために使用される。
【0116】
サンプリング中、キャパシタバンクAのサンプル/平均(又はキャパシタバンクBの平均/サンプル)信号がサンプリング状態中保持される。この結果、スイッチS2-S2は開いたままである。
【0117】
サンプリング中、制御論理ユニット148は単一「1」ビットを段(L)~段(1)それぞれのために順次循環させる。この結果、一段だけがFssvtクロックサイクル毎に選択される。選択された段に関して、スイッチS1-S1が閉じられることで、現在受信された差動対サンプルの乗算積結果に見合った電荷値が受信されることと選択された段のC(+)及びC(-)キャパシタ上に格納されることとを可能にする。
【0118】
すべての(L)段を循環することにより、受信された(L)到着差動信号対サンプルの乗算積に見合った電荷が(L)Fssvtクロックサイクルにわたって(L)段上にそれぞれ格納される。(L)段すべてがそれらの電荷を累積すると、平均化操作が行われる準備が整う。
【0119】
平均化操作を開始するために、ストレージバンクAのサンプル/平均信号(又はストレージバンクBの平均/サンプル信号)は平均化状態へ遷移し、制御論理ユニット148は「1」ビットの循環を停止する。この結果、すべての(L)段のスイッチS1-S1が開かれ、すべての(L)段のスイッチS2-S2は閉じられる。この結果、すべての(L)段の相補的キャパシタC(+)及びC(-)上の電荷は、対応差動増幅器の(-)及び(+)端子において増幅器124の入力上へそれぞれ「ダンプ」(すなわち、平均化)される。
【0120】
「ダンプ」/平均化プロセス中、結果の一定割合(この割合はLキャパシタの合計に対する追加キャパシタのサイズの比率に依存する)を追加キャパシタへ転送するために別のキャパシタ(電荷を有しないように以前に初期化された)を幾つかの組のLキャパシタへ接続することが可能であるということに留意されたい。この技術は、結果を対応差動増幅器(バンクAの124又はバンクBの126のいずれかの)の入力へ渡す手段を提供する。
【0121】
上述の図8AのストレージバンクA及びBは対称的であり、両方は(L)段を含むが、これは決して要件ではないということが理解されるべきである。逆に、A及びBストレージバンクは完全な複製である必要がない。差動入力サンプルの連続ストリームが取り扱われ得るという要件を満たすために十分な複製を有する必要性だけがある。例えば、1又は両方のストレージバンクは(L)より少ない段を有し得る。代替実施形態では、複数のストレージバンク内の少数の段だけが複製される必要がある。潜在的重複段の数は増幅器124出力中への平均化操作の完了を保証するのに十分であるだけでよく、潜在的重複段の時間は、結果を次の回路へ配送するために当該増幅器がMux130を通り抜けるために十分な時間である必要がある。一方のバンクの結果(増幅器による)の出力は、評価が完了した後出力増幅器が「スタンドアロン」であるので、たとえ両バンクがストレージ素子を共有しているとしても次のサンプリング中に行われ得る。
【0122】
図8Bは、マルチプレクサが必要とされない部分的パイプライン手法を実装する受動的乗算累積器復号器120’を示す。ストレージバンクA’及びB’内の少数の段だけが複製される必要がある。潜在的重複段の数は増幅器125内への平均化操作の完了を保証するために十分であり且つ潜在的重複段の時間は結果を次の回路へ配送するために当該増幅器が整定するために十分である時間でよい。従って、図8AからのバンクA及びBは、L段より少ない段数だけを含みバンクA’及びB’となるように実質的に「カット」され、短縮される。残る段を含む新しいストレージバンクCが設けられる(例えば、バンクA’及びB’が(L-X)段(Xは0より大きい正整数である)を有すればバンクCはX段を有することになる)。従って、チップ乗算器段122’からの値が、バンクA’及びバンクCを充たしており、サンプリングされ、増幅器125により出力されると、段122’からの結果はバンクB’を充たしている(増幅器125が整定する時間及びバンクA’を介し受信されたその電圧を増幅器125が出力するための時間を許容する)。従って、バンクA’及びB’は、増幅器がバンクA’を介し電圧を出力することを終えると、バンクB’(以前にロードされた)からの結果はバンクCへロードされ、バンクB’が充たし続ける(今や、バンクA’はバンクB’結果が出力される間、充たし始める)ようにサイジングされる。この利点は、回路構成のより少ない複製と、必要されるより小さいチップ面積と、1つの増幅器だけが必要とされることと、いかなるマルチプレクサも必要とされないことである。
【0123】
受動的乗算累積器復号器120の様々な上述の実施形態は、図5A及び図5Bに示すように復号器ブロック80内で使用されるN復号器の実質的に「ドロップイン」置換である。先に説明したように、N個の復号器回路(N~N-1)が復号器ブロック80毎に設けられる。N個の復号器回路の各々は差動レベルサンプル(+/-レベル信号)を順次受信するように構成される。差動レベル信号が受信されると、N受動的乗算累積器復号器回路120の各々は、送信側のレベル位置(P)及びサンプル位置(N)に関して符号化するために使用される相互直交SSDS符号の同じ一意的SSDS符号を適用する。この結果、受動的乗算累積器復号器回路120の各々は、その所与のP及びN位置の一差動対のサンプルを生成する。換言すれば、(P)復号器80の各々の復号器のN個の復号器回路のすべてに関して、図5A及び図5Bに示すように、(Sample0+、sample0-~SampleP-1,N-1 、SampleP-1,N-1 )からの完全組の差動サンプルが生成され、再構築バンク82へ提供される。図5A及び図5Bに関し、及びここでは図8A及び8Bに関し説明される非排他的実施形態では、Nは64チャネルであり、SSDS符号の長さLはL=128である。
【0124】
様々な符号化器及び復号器の上記論述は差動信号に関して説明される。しかし、これが決して要件ではないということに留意すべきである。様々な代替実施形態では、符号化器及び復号器は非差動信号(すなわち単一信号)を同様に操作し処理するように構成され得る。
【0125】
SSVT信号の無線伝送
先に注意したように、伝送媒体34の可能な選択肢の1つは無線である。以下に詳細に説明されるように、SSVT電磁(「EM」)信号を送受信するための無線実施形態が提供される。
【0126】
図11は、伝送媒体34の無線実装形態のブロック線図200である(媒体34は無線であるので示されない)。この実施形態により、無線送信器202及びアンテナ204は送信側に設けられ、受信器206及びアンテナ208は受信側に設けられる。示されるのは、SSVT送信器28及びSSVT受信器30の簡略版である。SSVT受信器30の収集器46は図5A又は5Bに示すように実装され得、SSVT受信器30からの出力240は図5AのRGB信号又は図5Bのアナログサンプルであり得る。
【0127】
送信器202は、SSVT送信器28により生成されたSSVT電磁気信号を1つ又は複数の周波数帯内へ変調する。変調されると、周波数帯がアンテナ204により同報通信される。受信側では、アンテナ208は、同報通信を受信し、変調された搬送信号を無線受信器206へ提供する。これに応じて、受信器206は、次にSSVT受信器30へ提供されるSSVT電磁気信号を復調して生成する。SSVT電磁気信号はまた、特許出願第17/686,790号明細書(HYFYP004AX1)、第17/887,849号明細書(HYFYP006)又は第17/900,570号明細書(HYFYP009)において説明されるSSVT受信器の任意のものへ提供され得る。復号化されると、映像信号又はサンプルは前に説明したように映像ディスプレイを駆動するために利用可能である。
【0128】
図12Aは送信器202のブロック線図である。送信器202は、アンテナ204、1つ又は複数の(P)変調器210、搬送周波数生成器212、1つ又は複数の(P)帯域通過フィルタ214、加算ノード216及び電力増幅器218を含む。SSVT送信器82内の符号化器42の量、従ってEM信号出力の量は(P)により表される。1つの符号化器42だけがSSVT送信器内で使用される(すなわちP=1)ケースでは、加算ノード216は必要とされない。変調方式は、様々であり得、搬送波、残留搬送波、両側波帯、単側波帯による変調、及び無数の他の変調を表し得る。当業者は、特定帯域の無線伝送標準規格が準拠される限り他の変調機構が使用され得るということを認識することになる。
【0129】
動作中、SSVT送信器28により生成された1つ又は複数の電磁(EM)信号(P)は、1つ又は複数の変調器210へ提供される。これに応じて、変調器210は各々、電磁気信号の1つを(P)個の異なる搬送周波数信号上へそれぞれ変調する。好適には、(P)搬送波信号は異なる周波数であるが、すべて、同じ基本正弦周波数から導出される。変調を行うことにより、(P)電磁気信号は各々本質的に(P)搬送周波数信号上へそれぞれ重畳される。次に、帯域通過フィルタ214が変調キャリア周波数信号の各々をそれぞれフィルタリングする。帯域通過フィルタ出力は次に、コンポジット信号を生成するためにP個の電圧波形のすべてを実効的に合計する加算ノード216において合計される。増幅器218はアンテナ204のコンポジット信号を増幅する。これに応じて、アンテナ204はコンポジット信号(すなわち、増幅、加算、及びフィルタリングされた変調搬送周波数信号)を無線で同報通信する。好適には、増幅器及びアンテナの両方はコンポジット信号により生成された追加帯域幅を扱うことができるように選択される。
【0130】
いくつかの実装形態における1つの変形形態は、所与の管轄権限者の帯域予約内の帯域割り振りに対する適合性を保証するために、各変調器210と対をなす個々の帯域通過フィルタ214を削除し、より広い帯域通過フィルタだけを有することになる。加算ノード216後のコンポジット構造の前により狭い帯域幅を厳密に制限することは、幾つかのアプリケーションでは必要とならない制限及び追加複雑性である。
【0131】
上記変調及び同報通信動作は、SSVT送信器28が映像サンプルのストリームから(P)電磁気信号を生成している限り連続的に行われる。この結果、映像サンプルのストリームを表す符号化された無線信号が連続的に同報通信される。
【0132】
図12Bは受信器206のブロック線図である。受信器206は、アンテナ208、利得コントローラ220、1つ又は複数の(P)復調器222、1つ又は複数の(P)低域フィルタ224、弁別器回路226、及び電圧制御型周波数源(VCFS:Voltage Controlled Frequency Source)228を含む。
【0133】
動作中、送信器202により同報通信されたコンポジット信号はアンテナ208により受信される。利得コントローラ220は、受信されたコンポジット信号の利得を調節する;利得コントローラは自動化利得コントローラ(AGC)又はプログラム可能利得増幅器(PGA)のいずれかを使用することにより実装され得る。いずれにしろ、利得調整されたコンポジット信号は復調器222の各々へ提供される。
【0134】
これに応じて、各復調器222は、コンポジット信号から(P)電磁気信号のうちの1つを復調し生成する。一実施形態では、復調器222の各々は、受信された信号を、オリジナル到着コンポジット信号より容易に処理され得る中間周波数(IF)へ変換するために周波数ミキシングを使用するスーパーヘテロダイン受信器である。代替的に、復調器222の各々は、その周波数が到着コンポジット信号の搬送周波数と同じであるか又はそれに非常に近い局部発振器により駆動される同期検波を使用することにより到着コンポジット信号を復調するように設計された無線受信器である直接変換受信器(DCR:Direct Conversion Receiver)である。使用される復調器のタイプにかかわらず、(P)復調信号の各々は低域通過フィルタ224の1つへ提供される。各低域通過フィルタは、前に説明したように、その受信された復調電磁気信号をフィルタリングし、その出力をSSVT受信器へ提供する。
【0135】
一例として、図5A又は図5Bの復号器のいずれかだけでなく復調された電磁気信号をオリジナル映像媒体ストリーム内へ復号することができる任意の他の復号器も使用され得る。
【0136】
弁別器回路226は、復調器222の各復調器の出力230とVCFS228との間のフィードバックループを提供する。復調のために復調器222により使用される1つ又は複数の周波数がドリフトする事象では、弁別器回路226は、受信搬送周波数と同じ周波数にロックオンするように復調周波数(復調周波数群)を調節するように働く。
【0137】
上に説明されたのは、任意数の電磁気信号が、増幅器により増幅され及びアンテナにより出力されるために、変調され、フィルタリングされ、次に加算される無線実施形態であり、単一増幅器及び単一アンテナだけが必要とされるのでより低い費用をもたらす。無線送信器202の代替実施形態ではいかなる加算ノード216もなく、SSVT送信器82からの(P)電磁気信号の各々は、説明されたように、変調されフィルタリングされ、次に、信号毎の電力増幅器及びアンテナを使用することにより増幅され出力される。換言すれば、単一電力増幅器及びアンテナの代わりに、(P)増幅器及びアンテナが存在することになる。同様に、無線受信器206は、説明したように、(P)アンテナ、及び(P)利得コントローラ、信号毎の復調器及びフィルタを使用することにより実装され得る。
【0138】
本実施形態は、例示的であるが制約的ではないと考えられるべきであり、本発明は本明細書に記載された詳細に制限されるべきでなく、添付特許請求項の範囲及び等価物内で修正され得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D1
図4D2
図4D3
図4E
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】