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▶ フイルメニツヒ ソシエテ アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】節足動物防除組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 35/02 20060101AFI20250204BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A01N35/02
A01P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542393
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2023050965
(87)【国際公開番号】W WO2023139051
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22152053.9
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ハラッカ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド ハタノ
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC06
4H011BA06
4H011BB05
4H011DD05
4H011DD06
(57)【要約】
本発明は節足動物防除組成物、節足動物を防除するための方法および使用、並びにそれを含む節足動物防除物品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物を、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態で含み、前記式中、R1、R2およびR3は互いに独立して水素原子またはC1~C3-アルキル基を表し、R4はC1~C3-アルコキシ基、またはC1~C6-アルキル基であって任意にヒドロキシ基またはC1~C3-アルコキシ基によって置換されているものを表し、前記R4は1位に対して芳香環のメタ、パラ置換基であり、ただし3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナールは除く、節足動物防除組成物、好ましくは昆虫防除組成物。
【請求項2】
化合物が式(II)
【化2】
の化合物の、その異性体の任意の1つまたはそれらの混合物の形態であり、前記式中、R1、R2、R3およびR4は請求項1で定義されたものと同じ意味を有する、請求項1に記載の節足動物防除組成物。
【請求項3】
化合物が式(III)
【化3】
の化合物の、その異性体の任意の1つまたはそれらの混合物の形態であり、前記式中、R1、R3およびR4は上記で定義されたものと同じ意味を有する、請求項1に記載の節足動物防除組成物。
【請求項4】
前記化合物が、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナール、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール、3-(4-tert-ブチル-2-メチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナールおよび3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナールおよびそれらの混合物からなるリストから選択される、請求項1に記載の節足動物防除組成物。
【請求項5】
前記化合物が、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール、3-(4-tert-ブチル-2-メチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナールおよび3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナールおよびそれらの混合物からなるリストから選択される、請求項1に記載の節足動物防除組成物。
【請求項6】
前記節足動物が、昆虫、好ましくは蚊である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の節足動物防除組成物。
【請求項7】
N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(IR3535); パラ-メンタン-3,8-ジオール(PMD); 1-(1-メチルプロポキシカルボニル)-2-(2-ヒドロオキサエチル)ピペリジン(ピカリジン); シダーウッド油中国、シダーウッド油テキサス、シダーウッド油バージニア、ケイ皮油、シトロネラ油、コーンミント油、ジャワシトロネラ(Cymbopogon winterianus)油(分留水和環化)、デカン酸、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus citriodora)油、ユーカリシトリオドラ油(水和環化)、オイゲノール、ニンニク油、ゲラニオール、ゼラニウム油、ラベンダー、ラバンデュラハイブリダ(Lavandula hybrida)油、ラバンジン油、レモン油、レモングラス油、ニーム抽出物、メトフルトリン、シス-およびトランス-p-メンタン-3,8-ジオールの混合物、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、ノナン酸、ローズマリー油、タイム油、冬緑油、2,3,4,5-ビス(ブチル-2-エン)テトラヒドロフルフラール(MGKレペレント11)、シネオール、シンナムアルデヒド、シトロネラール、シトロネロール、クマリン、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、アントラニル酸ジメチル、ジメチルフタレート、エチルバニリン、ユーカリ油、δ-オクタラクトン、δ-ノナラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン、δ-ドデカラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ドデカラクトン、ヒドロキシシトロネラール、ライム油、リモネン、リナロール、アントラニル酸メチル、ミント油、ミルセン、ニーム油、サビネン、β-カリオフィレン、(1H-インドール-2-イル)酢酸、アネトール、アニス油、バジル油、ベイ油、樟脳、サリチル酸エチル、常緑樹油(パイン油)、(1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソインドール-2-イル)メチル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)シクロプロパンカルボキシレート(d-テトラメトリン)、3-アリル-2-メチル-4-オキソシクロペント-2-エニル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)-シクロプロパンカルボキシレート(d-アレスリン)、α-シアノ-3-フェノキシベンジル、3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(シペルメトリン)、2-メチル-4-オキソ-3-(プロプ-2-イニル)シクロペント-2-エン-1-イル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)シクロプロパンカルボキシレート(プラレスリン)、アセタミプリド、アザジラクチン、ベンジオカルブ、ビフェントリン、ホウ酸、クロルピリホス、デルタメトリン、ダイアジノン、ジクロルボス、オイゲノール、フィプロニル、イミダクロプリド、リナロール、マラチオン、マルトデキストリン、メトフルトリン、ニコチン、ペルメトリン、ピレトリン、ピレスロイド、ロテノン、二酸化ケイ素(ケイソウ土)、S-メトプレン、スピノサド(スピノシンA)、スピノシンD、テトラメトリン、トランスフルトリン、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブト-2-エン-1-オン、3-ブチリデン-2-ベンゾフラン-1-オン、4-エテニル-2-メトキシフェノール、コニャック油緑、ラブダナム抽出物(Cistus spp.)、5-ペンチルオキソラン-2-オン、クロメン-2-オン、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、スペアミント(Mentha spicata)油、6-ヘキシルオキサン-2-オン、5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]アセテート、クロタネソウ(Nigella damascena)油、2-フェニルエタノール、6-ペンチルオキサン-2-オン、(4-メトキシフェニル)メチルアセテート、チョウジ(Syzygium aromaticum)油、3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロクロメン-2-オン、3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプト-3-エン、2-フェニルエチル 2-メチルプロパノエート、メチル 2-(3-オキソ-2-ペント-2-エニルシクロペンチル)アセテート、4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキセン、ペパーミント(Mentha piperita)油、2-メトキシ-4-[プロプ-1-エニル]フェノール、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール、(4-メトキシフェニル)メタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される節足動物防除共同成分をさらに含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の節足動物防除組成物。
【請求項8】
節足動物、好ましくは昆虫を防除する方法であって、昆虫を、請求項1から7までのいずれか1項に定義された組成物と直接接触させるか、またはその蒸気と接触させることを含む、前記方法。
【請求項9】
節足動物、好ましくは昆虫を防除するための、請求項1から7までのいずれか1項に定義された組成物の使用。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の節足動物防除組成物、好ましくは昆虫防除組成物を含む、節足動物防除物品、好ましくは昆虫防除物品。
【請求項11】
前記物品が消費者製品である、請求項10に記載の節足動物防除物品。
【請求項12】
前記物品が、布地ケア製品、例えば液体または固体の洗剤、柔軟剤、液体または固体の加香剤、布地リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品; ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、カラーリング剤またはヘアスプレー、カラーケア製品、ヘアスタイリング製品)、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品; 化粧品(例えばスキンクリームまたはローション、バニシングクリームまたは脱臭剤または制汗剤(例えばスプレーまたはロールオン)、脱毛剤、日焼け製品または日焼け止めまたは日焼け後の製品、ネイル製品、スキンクレンジング、メイクアップ); スキンケア製品(例えば石鹸、シャワーまたはバスムース、オイルまたはゲル、または衛生製品または足/手のケア製品); 空気ケア製品、例えばエアフレッシュナーまたは「すぐ使用できる」粉末化エアフレッシュナーであって、家庭空間(部屋、冷蔵庫、戸棚、靴または車)、および/または公共空間(ホール、ホテル、モールなど)で使用され得るもの; またはホームケア製品、例えばカビ取り剤、家具ケア製品、ワイプ、食器用洗剤、または硬質表面(例えば床、浴室、衛生設備または窓の洗浄)洗剤; 革ケア製品; カーケア製品、例えば磨き剤、ワックスまたはプラスチッククリーナー; ロウソク; スプレー、コイル、電気ディフューザー、ピエゾディフューザー、液体電気ディフューザー、ディフューザー、ラバーセプタム、リストバンド、パッチ、首輪、耳標、衣類、布地、紙、バイオ炭、厚紙、セルロースパッド、蚊帳、スクリーン、カーテン、ワニスまたは塗料である、請求項10または11に記載の節足動物防除物品。
【請求項13】
前記物品が電気ディフューザーである、請求項11に記載の節足動物防除物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は節足動物防除組成物、節足動物を防除するための方法および使用、並びにそれを含む節足動物防除物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む多くのほ乳類は節足動物の活動に悩まされている。いくつかの節足動物、例えば蚊およびダニ(tick)は脊椎動物、例えばほ乳類および特にヒトの対象にとって望ましくなく、なぜならそれらは刺し、その結果、かゆみ、疾患および/または細菌の伝染を引き起こすか、または他の疾患および/または症状を引き起こすことがあるからである。同様に、他の害虫は、食品、飼料または原料として使用される植物材料を食べること、寄生すること、または破壊することによって、ヒトの活動または社会に間接的に影響する。なおもさらに、害虫はヒトによって使用されるかまたは建造される家具または構造を破壊または弱めることにも関与する。それらの損害は、節足動物に直接的に起因するか、またはそのような問題を引き起こす細菌をそれらが拡散する能力によることがある。
【0003】
節足動物防除組成物は活性物質を含み、皮膚、衣類または他の表面に施与された場合、それらは節足動物がその表面に着地または昇ることを防止できる。節足動物防除剤は、節足動物媒介性疾患、例えばマラリア等の大発生を防ぎ且つ防除することを助ける。
【0004】
しかしながら、公知のいくつかの節足動物防除剤および組成物は幾らかの欠点を有し、なぜなら、それらは良くない効果、つまり良くない嗅覚特性、例えば無臭または悪臭、または弱い節足動物防除特性、特に節足動物忌避特性のみを有することがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両方の良好な嗅覚特性、つまり良好な快楽効果と、良好な節足動物防除特性、特に節足動物忌避特性とを有する節足動物防除組成物を提供する必要がある。
【0006】
先行技術は本発明による節足動物防除組成物を開示または示唆していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
【化1】
の化合物を、その異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形態で含み、前記式中、R1、R2およびR3は互いに独立して水素原子またはC1~C3-アルキル基を表し、R4はC1~C3-アルコキシ基、またはC1~C6-アルキル基であって任意にヒドロキシ基またはC1~C3-アルコキシ基によって置換されているものを表し、前記R4は1位に対して芳香環のメタ、パラ置換基であり、ただし3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナールは除く、節足動物防除組成物、好ましくは昆虫防除組成物を提供する。
【0008】
明確化のために、「その立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物」との表現、またはそれと同様のものは、当業者によって理解される通常の意味、つまり、式(I)の化合物が純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーであることができることを意味する。換言すれば、式(I)の化合物は、1つまたは複数の立体中心を有することがあり、前記立体中心の各々が2つの異なる立体化学(例えばRまたはS)を有し得る。式(I)の化合物は、純粋なエナンチオマーの形態であっても、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物の形態であってもよい。式(I)の化合物はラセミ体の形態またはスケールミック(scalemic)の形態であることができる。従って、式(I)の化合物は、1つの立体異性体、または様々な立体異性体を含むかまたはそれらからなる物質の組成物の形態であることができる。
【0009】
「アルキル」との用語は、分枝および直鎖のアルキル基を含むと理解される。
【0010】
「任意に」との用語は、任意に置換されるべき特定の基が、特定の官能基で置換されることもあるし、置換されないこともあると理解される。
【0011】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R1は水素原子、またはメチル基またはエチル基であってよい。特に、R1は水素原子、またはメチル基であってよい。
【0012】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R2は水素原子、またはメチル基またはエチル基であってよい。特に、R2は水素原子、またはメチル基であってよい。さらにより具体的には、R2は水素原子であってよい。
【0013】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R3は水素原子、またはメチル基またはエチル基であってよい。特に、R3は水素原子、またはメチル基であってよい。
【0014】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R1、R2およびR3の中の1つの基は水素原子またはC1~C3-アルキル基であってよく、且つ他の2つの基は水素原子であってよい。特に、R1、R2およびR3の中の1つの基は水素原子またはメチル基であってよく、且つ他の2つの基は水素原子であってよい。さらにより具体的には、R1は水素原子またはメチル基であってよく、且つR2およびR3は水素原子であってよいか、またはR3は水素原子またはメチル基であってよく、且つR2およびR3は水素原子であってよい。
【0015】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R4は、メトキシ基、またはC1~C4-アルキル基であって任意にヒドロキシ基またはC1~C3-アルコキシ基によって置換されているものであってよい。特に、R4はメトキシ基、またはC3~C4-アルキル基であって任意にヒドロキシ基またはメトキシ基によって置換されているものであってよい。特に、R4はメトキシ基、またはC3~C4-分枝アルキル基であって任意にメトキシ基によって置換されているものであってよい。
【0016】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、R4は芳香環のパラ置換基であってよい。換言すれば、式(I)の化合物は、式(II)
【化2】
の化合物の、その異性体の任意の1つまたはそれらの混合物の形態であってよく、前記式中、R1、R2、R3およびR4は上記で定義されたものと同じ意味を有する。
【0017】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、式(II)の化合物は、式(III)
【化3】
の化合物の、その異性体の任意の1つまたはそれらの混合物の形態であってよく、前記式中、R1、R3およびR4は上記で定義されたものと同じ意味を有する。
【0018】
本発明の上記の実施態様の任意の1つによれば、式(I)の化合物は、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナール[2637928-74-4]、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール[1896908-71-6]、3-(4-tert-ブチル-2-メチルフェニル)プロパナール[160782-57-0]、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール[18127-01-0]、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナール[125109-85-5]および3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナール[5462-06-6]からなる群から選択され得る。
【0019】
特に、式(I)の化合物は、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール[1896908-71-6]、3-(4-tert-ブチル-2-メチルフェニル)プロパナール[160782-57-0]、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール[18127-01-0]、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナール[125109-85-5]および3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナール[5462-06-6]からなる群から選択され得る。
【0020】
本願内で提供される本発明の各々の実施態様が、本発明の組成物の100%を構成しない可能性があることが理解され得る。そのような状況においては、例えば快楽プロファイルをさらに改善するかまたは快楽プロファイルをその組成物の消費者による特定の用途に適合させるために追加的な成分を、本発明の組成物の送達を助けるために溶剤を、消費者による予期される使用のために必要とされ得る組成物の完全性および保存を改善するために安定剤および保存料を使用することができる。さらなる成分は、以下で示される追加的な節足動物防除共同成分を含む。
【0021】
本発明の好ましい実施態様において、節足動物防除組成物は良好な快楽プロファイルを有する。
【0022】
本発明者らは、節足動物防除組成物が許容可能な快楽プロファイルを有することが望まれ得ることをよく理解している。これは、組成物が消費者の近くで使用されることがあり、理解できるとおり、不快な快楽プロファイルはその組成物の使用を妨げることがあるからである。
【0023】
「節足動物」との用語は、当業者にとって通常の意味を有する。節足動物は、体節制の体および関節肢を有する無脊椎動物、例えば昆虫、クモ形類、および甲殻類を含む。節足動物は通常、時折脱皮するキチン質の外骨格と、腹側の神経節鎖につながる背側の前脳とを有する。
【0024】
本発明の理解における節足動物は、望ましくない節足動物に関し、空気中、物品の表面、植物の表面、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面上でのそれらの存在が望ましくないことを意味する。好ましくは、望ましくない節足動物は、植物および動物に影響する害虫の節足動物、例えばアザミウマ、アブラムシ、甲虫、蛾、コナカイガラムシ、カイガラムシなど、より好ましくは動物に影響する害虫の節足動物、例えばアリ、シロアリ、ゴキブリ、ハエなど、さらにより好ましくは脊椎動物に影響する吸血節足動物、例えばサシバエ、トコジラミ、サシガメ、ノミ、シラミ、蚊およびダニ、さらにより好ましくは蚊およびダニである。
【0025】
節足動物の存在が望ましくない理由は、空気中での節足動物の存在が対象にとって不快であること、物品上への節足動物の接触が疾患および/または細菌を移すこと、または節足動物が生物を刺して、かゆみを引き起こすこと、疾患および/または細菌の伝染、または節足動物の摂食が他の疾患および/または症状の原因となりかねないことであり得る。
【0026】
特定の実施態様において、節足動物は昆虫またはクモ形類、好ましくは昆虫である。
【0027】
「昆虫」との用語は、当業者による通常の理解を有する。昆虫は、明確な頭部、胸部および腹部、3対のみの脚、および典型的には1または2対の羽根によって説明される。
【0028】
特定の実施態様において、昆虫は蚊、サシバエ、トコジラミ、サシガメ、ノミ、シラミ、アリ、シロアリ、ゴキブリ、ハエ、アブラムシ、甲虫、アザミウマ、蛾、コナカイガラムシまたはカイガラムシ、より好ましくは蚊である。
【0029】
「クモ形類」との用語は、当業者による通常の理解を有する。クモ形類は、2つの領域に分割された体節制の体を有し、その前部は4対の脚を有するが触角は有さないと説明される。
【0030】
特定の実施態様において、クモ形類はダニ(tick)、ダニ類(mite)、ツツガムシまたはクモ、より好ましくはダニである。
【0031】
「防除」、「節足動物防除」、「昆虫防除」、または「クモ形類防除」等の表現は、当業者にとって通常の意味を有する。
【0032】
本発明に関する「防除」とは、節足動物を誘引し、阻止し、殺すかまたは忌避させる、好ましくは節足動物を阻止するまたは忌避させる、さらにより好ましくは忌避させる、本発明による節足動物防除組成物の能力を定義する。
【0033】
本発明による「誘引」とは、節足動物誘引化合物または組成物が施与されている節足動物誘引源、例えば空気中、物品の表面上、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類の表面上、好ましくは物品、例えば捕獲装置での節足動物の接触または存在を増加または促進する、本発明による節足動物誘引組成物の能力を定義する。
【0034】
本発明による「忌避性」とは、節足動物忌避化合物または組成物が施与されている節足動物忌避源、例えば空気中、物品の表面上、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面上での節足動物の接近または存在を最小化する、減少する、防止するまたは防ぐ、本発明による節足動物忌避組成物の能力を定義する。
【0035】
本発明による「阻止」とは、節足動物阻止化合物または組成物が施与されている節足動物阻止源、例えば空気中、物品の表面上、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面上での節足動物の接触または存在を最小化する、減少する、防止する、または防ぐ、本発明による節足動物阻止組成物の能力を定義する。典型的には、阻止効果は、摂食する阻止物質として使用され、節足動物阻止化合物または組成物を最初に試食した後に害虫が引き続き食物の摂取または産卵または物理的な接触をすることを妨げる場合に示される。
【0036】
本発明による「空間忌避性」とは、節足動物忌避化合物または組成物が施与されている節足動物忌避源、例えば空気中、物品の表面上、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面上での節足動物の接近または存在を最小化する、減少する、防止するまたは防ぐ、本発明による節足動物忌避組成物の能力を定義する。典型的には、空間忌避効果は、空気または液体中に放出、噴霧、散布または拡散された空間忌避化合物または組成物が、その空間忌避化合物または組成物が存在する領域に害虫が入ることを妨げる場合に示される。従って、忌避は離れたところで生じ、害虫は、処理された物品または保護されるべき生物と必ずしも直接接触するわけではない。
【0037】
本発明による「殺す」とは、殺節足動物化合物または組成物が施与されている殺節足動物源、例えば空気中、物品の表面上、または脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面上で節足動物を殺す、本発明による殺節足動物組成物の能力を定義する。殺節足動物組成物が植物、動物またはヒトの対象に施与される場合、それは節足動物を殺すが対象は殺さない量で施与される。
【0038】
特定の実施態様において、節足動物防除組成物は節足動物忌避組成物、好ましくは昆虫忌避組成物、より好ましくは蚊忌避組成物である。
【0039】
特定の実施態様において、節足動物防除源は、物品、好ましくはロウソク、コイル、電気ディフューザー、リストバンド、パッチ、首輪、耳標、衣類、布地、紙、バイオ炭、厚紙、セルロースパッド、蚊帳、スクリーン、カーテン、家具、壁、地面または塗料の周囲の表面および/または空気、または対象の表面、好ましくは脊椎動物、例えばヒトの対象または他のほ乳類、好ましくはヒトの対象の表面、つまりスプレー、エアロゾル、クリーム、ロールオン、リストバンド、ローション、石鹸、シャンプー、日焼け止めまたはパッチなどの製品で処理されたヒトの対象の皮膚、または洗濯用粉末洗剤、液体洗剤、スプレー、ローション、パウダーなどの製品で処理された布地である。
【0040】
本発明による節足動物防除効果は、Kroeber T, Kessler S, Frei J, Bourquin M, Guerin PM. An in vitro assay for testing mosquito controlling compounds employing a warm body and carbon dioxide as a behavioral activator. J Am Mosq Control Assoc. 2010; 26:381-386内に定義される、適合された温体アッセイを使用して、蚊において特定される。さらなる情報は付属する実施例において提供される。
【0041】
本発明による防除効果、忌避性および空間忌避性は、黄熱蚊、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)ロックフェラー株に対する温体アッセイを試験することによって特定される。ネッタイシマカは防除試験のモデル生物、および世界保健機関(WHO)によって推奨されるモデル生物の1つであり、なぜなら、それは非常に攻撃的で好人性の蚊種であり、一般に節足動物防除化合物に対する低い感度を示すからである。防除効力の観察は、先述の文献内で言及されるように選択された、宿主を探索する5~10日の均一な年齢のメスにおいて行われた。試験される空腹のメスは、10%の糖溶液へのアクセスは有していたが血液は供給されなかった。さらなる情報は付属する実施例において提供される。
【0042】
公開されたプロトコルを、着地する蚊を手動で計数するのではなく、自動計数ソフトウェアを用いて自動的に計数するように適合させ、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)からネッタイシマカに切り替えることにより、大きさの違いに起因して試験ケージ内に入れられる蚊の数を減らし(つまり50匹の代わりに30匹の蚊)、且つ、ネッタイシマカは昼行性の蚊なので照明を増加した(つまり4ルクスの代わりに150ルクス)。さらなる情報は付属する実施例において提供される。
【0043】
本発明による防除効果、忌避性および空間忌避性は、ヒトの皮膚についての蚊の忌避性の効力を試験するためのWHOのガイドラインから適合されたアーム・イン・ボックス法によっても特定される(WHO/CDS/NTD/WHOPES/2009.4)。100匹の空腹のメスの蚊であるネッタイシマカの試験物質に対する準備性は、ケージ(40×40×40cm)に30秒間(ネガティブコントロール)、3回差し込んだ際の未処理の腕の、処理された腕の結果に対して比較することによって評価される。さらなる情報は付属する実施例において提供される。
【0044】
クモ形類、例えばダニの忌避物質についての活性は、Kroeber T, Bourquin M, Guerin PM. 2013. A standardized in vivo and in vitro test method for evaluating tick repellents. Pestic. Biochem. Phys. 107(2):160-168内に定義されるin-vitroの温板アッセイのプロトコルを使用して評価できる。
【0045】
特定の実施態様において、物質の量および選択は、それが組成物の節足動物の防除活性と快楽特性との両方に寄与、強化または改善するように行われる。
【0046】
1つの実施態様において、節足動物防除組成物は、節足動物防除共同成分をさらに含み得る。「節足動物防除共同成分」とは、本願内に記載される組成物の節足動物防除効果に、追加的な節足動物防除の利益を付与できる成分と理解される。
【0047】
1つの実施態様において、本願内に記載される物質は、節足動物防除共同成分の節足動物防除効果を、例えば組成物内の節足動物防除共同成分の量を低減することによって修正、強化または改善できる。これは、節足動物防除共同成分が、特定の用量でヒトの対象に有害である場合、または節足動物防除共同成分が特定の用量で良くない嗅覚特性を有する場合に特に有益であることができる。
【0048】
特定の実施態様によれば、本願内に記載される物質と節足動物防除共同成分との組み合わせは、相乗的な節足動物防除効果をもたらす。
【0049】
特定の実施態様によれば、本願内に記載される物質と節足動物防除共同成分との組み合わせは、単独の成分に比して、組成物全体の修正された、心地よい、強化された、または改善された嗅覚の印象をもたらす。
【0050】
1つの実施態様によれば、節足動物防除共同成分は、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(IR3535); パラ-メンタン-3,8-ジオール(PMD); 1-(1-メチルプロポキシカルボニル)-2-(2-ヒドロオキサエチル)ピペリジン(ピカリジン); シダーウッド油中国、シダーウッド油テキサス、シダーウッド油バージニア、ケイ皮油、シトロネラ油、コーンミント油、ジャワシトロネラ(Cymbopogon winterianus)油(分留水和環化)、デカン酸、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus citriodora)油、ユーカリシトリオドラ油(水和環化)、オイゲノール、ニンニク油、ゲラニオール、ゼラニウム油、ラベンダー、ラバンデュラハイブリダ(Lavandula hybrida)油、ラバンジン油、レモン油、レモングラス油、ニーム抽出物、メトフルトリン、シス-およびトランス-p-メンタン-3,8-ジオールの混合物、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、ノナン酸、ローズマリー油、タイム油、冬緑油、2,3,4,5-ビス(ブチル-2-エン)テトラヒドロフルフラール(MGKレペレント11)、シネオール、シンナムアルデヒド、シトロネラール、シトロネロール、クマリン、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、アントラニル酸ジメチル、ジメチルフタレート、エチルバニリン、ユーカリ油、δ-オクタラクトン、δ-ノナラクトン、δ-デカラクトン、δ-ウンデカラクトン、δ-ドデカラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ドデカラクトン、ヒドロキシシトロネラール、ライム油、リモネン、リナロール、アントラニル酸メチル、ミント油、ミルセン、ニーム油、サビネン、β-カリオフィレン、(1H-インドール-2-イル)酢酸、アネトール、アニス油、バジル油、ベイ油、樟脳、サリチル酸エチル、常緑樹油(パイン油)、(1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソインドール-2-イル)メチル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)シクロプロパンカルボキシレート(d-テトラメトリン)、3-アリル-2-メチル-4-オキソシクロペント-2-エニル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)-シクロプロパンカルボキシレート(d-アレスリン)、α-シアノ-3-フェノキシベンジル、3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(シペルメトリン)、2-メチル-4-オキソ-3-(プロプ-2-イニル)シクロペント-2-エン-1-イル-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロプ-1-エニル)シクロプロパンカルボキシレート(プラレスリン)、アセタミプリド、アザジラクチン、ベンジオカルブ、ビフェントリン、ホウ酸、クロルピリホス、デルタメトリン、ダイアジノン、ジクロルボス、オイゲノール、フィプロニル、イミダクロプリド、リナロール、マラチオン、マルトデキストリン、メトフルトリン、ニコチン、ペルメトリン、ピレトリン、ピレスロイド、ロテノン、二酸化ケイ素(ケイソウ土)、S-メトプレン、スピノサド(スピノシンA)、スピノシンD、テトラメトリン、トランスフルトリン、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブト-2-エン-1-オン、3-ブチリデン-2-ベンゾフラン-1-オン、4-エテニル-2-メトキシフェノール、コニャック油緑、ラブダナム抽出物(Cistus spp.)、5-ペンチルオキソラン-2-オン、クロメン-2-オン、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、スペアミント(Mentha spicata)油、6-ヘキシルオキサン-2-オン、5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキシル]アセテート、クロタネソウ(Nigella damascena)油、2-フェニルエタノール、6-ペンチルオキサン-2-オン、(4-メトキシフェニル)メチルアセテート、チョウジ(Syzygium aromaticum)油、3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロクロメン-2-オン、3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプト-3-エン、2-フェニルエチル 2-メチルプロパノエート、メチル 2-(3-オキソ-2-ペント-2-エニルシクロペンチル)アセテート、4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキセン、ペパーミント(Mentha piperita)油、2-メトキシ-4-[プロプ-1-エニル]フェノール、2-メチル-3-(4-プロパン-2-イルフェニル)プロパナール、(4-メトキシフェニル)メタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
特定の実施態様において、節足動物防除共同成分は、組成物の総質量に対して0.02~80質量%の量、より好ましくは0.05~70質量%の量、さらにより好ましくは0.1~60質量%の量で含まれる。それによって、組成物が、節足動物防除共同成分を、組成物の総質量に対して少なくとも0.02質量%、少なくとも0.05質量%、または少なくとも0.1質量%の最小量、および80質量%以下、70質量%以下、または60質量%以下の最大量で含むことが理解される。
【0052】
特定の実施態様において、組成物中での上述の物質の量の限定内で、本発明の組成物中の物質および節足動物防除共同成分は、組成物中に90:10~10:90の質量範囲、好ましくは80:20~20:80の質量範囲、より好ましくは65:35~35:65の質量範囲、および最も好ましくは60:40~40:60の質量範囲で含まれる。本願において、物質および節足動物防除共同成分は、先述の任意の質量範囲の組み合わせ、例えば90:10~20:80、好ましくは35:65、およびより好ましくは40:60、80:20~10:90、好ましくは35:65、およびより好ましくは40:60、65:35~10:90、好ましくは20:80、およびより好ましくは40:60または40:60~10:90、好ましくは20:80、およびより好ましくは35:65において組成物中に含まれ得ることも理解される。
【0053】
1つの実施態様において、節足動物防除組成物は、香料成分をさらに含み得る。香料成分は、組成物の嗅覚特性に寄与、修正、強化または改善するが、組成物の節足動物防除効果に寄与、強化または改善はしないとして理解される。そのような快楽効果を提供し且つ本発明の組成物中において使用するために適している香料成分は当該技術分野において公知であり、当業者は容易に同定できる。
【0054】
節足動物防除組成物は、担体をさらに含み得る。「担体」とは、活性な化合物が混合または配合されて、処理されるべき位置または他の対象への施与、またはその保管、輸送および/または取り扱いを容易にする材料と理解される。前記の担体は、無機または有機の、または合成、天然由来のものであってよい。前記の担体は液体または固体であってよい。
【0055】
液体担体としては、限定されない例として、乳化系、即ち、溶剤および界面活性剤系、または香料製造において一般に使用される溶剤を挙げることができる。通常、溶剤の性質およびタイプの詳細な記載は網羅的であることはできない。しかしながら、限定されない例として、溶剤、例えばブチレンまたはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチル、2-メチルプロプ-1-エンおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはそれらの混合物を挙げることができ、ジプロピレングリコール、2-メチルプロプ-1-エンおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールおよびそれらの混合物が特に適している。
【0056】
担体を含む組成物について、先に特定されたもの以外の適した担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標Isopar(登録商標)(製造元: Exxon Chemical)で公知のもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば商標Dowanol(登録商標)(製造元: Dow Chemical Company)で公知のもの、例えばDowanol(商標)DPMA(グリコールエーテルアセテート)、またはAugeo(登録商標)Clean Multi(イソプロピリデングリセロール; 製造元: Solvay)、または水素化ひまし油、例えば商標Cremophor(登録商標)RH 40(製造元: BASF)で公知のものであることもできる。
【0057】
固体担体は、節足動物防除組成物または節足動物防除組成物のいくつかの要素が化学的または物理的に結合できる材料を示すことが意味される。一般に、そのような固体担体は、組成物を安定化するためか、または組成物またはいくつかの成分の蒸発速度を制御するためのいずれかで用いられる。固体担体の使用は当該技術分野において現在使用されているものであり、どのようにして所望の効果に達するのかは当業者に公知である。しかしながら、固体担体の限定されない例として、吸収ゴムまたはポリマーまたは無機材料、例えば多孔質ポリマー、シクロデキストリン、木材系材料、有機または無機のゲル、粘土、石膏タルク、またはゼオライトを挙げることができる。
【0058】
固体担体の他の限定されない例として、カプセル化材料を挙げることができる。そのような材料の例は、壁形成材料および可塑化材料、例えば単糖類、二糖類または三糖類、天然または化工デンプン、ハイドロコロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチン、または他のそのような材料を含み得る。カプセル化は当業者によく知られた方法であり、且つ、例えば噴霧乾燥、凝塊形成またはさらに押出しなどの技術を使用することによって実施できるか、または、コアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含む、被覆カプセル化からなる技術を使用することによって実施できる。
【0059】
固体担体の限定されない例として、特に、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレアまたはポリウレタンの種類の樹脂、またはそれらの混合物(全ての前記樹脂は当業者によく知られている)を用い、重合、界面重合、コアセルベーション、またはそれら全体(全ての前記技術は先行技術に記載されている)によって誘導される相分離法などの技術を、任意にポリマー安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で使用する、コアシェルカプセルを挙げることができる。
【0060】
樹脂は、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)と、アミンとの重縮合によって製造されることができ、例えばウレア、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾロなど、並びにそれらの混合物である。代替的に、予め形成された樹脂のアルキロール化ポリアミン、例えば商品名Urac(登録商標)(製造元: Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元: Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(製造元: BASF)として市販されているものを使用することができる。
【0061】
他の樹脂は、ポリオール、例えばグリセロールおよびポリイソシアネートの重縮合によって製造されるもの、例えばヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体(商品名Takenate(登録商標)で公知、製造元: 三井化学株式会社)、中でも、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットである。
【0062】
アミノ樹脂、つまりメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合によるカプセル化に関しては多くの論文が公開されている。そのような論文が、そのようなコアシェルマイクロカプセルの製造に影響する様々なパラメータを既に記載している。それらの文献は当業者に公知であり、その内容が本発明の分野において使用される。
【0063】
本発明は、節足動物、好ましくは昆虫を防除する方法であって、節足動物、好ましくは昆虫を、上述の組成物と直接接触させるか、またはその蒸気と接触させることを含む、前記方法にも関する。
【0064】
明確化のために、本発明による節足動物防除組成物は、空気、物品の表面、物品の表面または対象の表面付近の空気に、当該技術分野において通常の方法、例えば噴霧、塗布、着用または拡散によって施与され得る。
【0065】
特定の実施態様において、本発明による節足動物防除組成物は、物品の表面、物品の表面付近の空気に、または動物または対象の表面に施与される。
【0066】
特定の実施態様において、物品は、後述の節足動物防除物品であることができ、特にロウソク、コイル、電気ディフューザー、リストバンド、パッチ、首輪、耳標、衣類、布地、紙、バイオ炭、厚紙、セルロースパッド、蚊帳、スクリーン、カーテン、家具、塗料、壁、地面、スプレー、エアロゾル、クリーム、ロールオン、リストバンド、ローション、石鹸、シャンプー、日焼け止め、洗濯用粉末洗剤、液体洗剤、スプレー、ローション、パウダーであることができる。
【0067】
特定の実施態様において、対象の表面は、ヒトまたは動物の対象の表面、好ましくは前記表面はヒトの対象、つまりヒトの対象の皮膚である。
【0068】
本発明は、節足動物、好ましくは昆虫を防除するための、上記で定義された組成物の使用にも関する。
【0069】
本発明は、上述の節足動物防除組成物を含む、節足動物防除物品にも関する。
【0070】
「節足動物防除物品」とは、少なくとも節足動物防除効果を、それが施与される表面または空間(例えば皮膚、紙、テキスタイル、または家の表面)に送達する消費者製品を示すと理解される。換言すれば、本発明による節足動物防除物品は、機能性の配合物、並びに追加的な利益剤を、所望の消費者製品、および少なくとも1つの前記物質の節足動物防除量に相応して含む消費者製品である。明確化のために、前記消費者製品は非食製品である。
【0071】
消費者製品の構成要素の性質および種類は、ここではより詳細な説明を必要とせず、いずれにせよそれは網羅的にはならず、当業者は一般的な知識に基づき、且つ前記の製品の性質および所望の効果によってそれらを選択できる。
【0072】
適した消費者製品の限定されない例は、香料、例えばファイン香料、スプラッシュまたはオードパルファム、コロンまたはシェーブまたはアフターシェーブローションまたはクリームまたはゲル; 布地ケア製品、例えば液体または固体の洗剤、洗濯用粉末洗剤、柔軟剤、液体または固体の加香剤、布地リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品; ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、カラーリング剤またはヘアスプレー、カラーケア製品、ヘアスタイリング製品)、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品; 化粧品(例えばスキンクリームまたはローション、バニシングクリームまたは脱臭剤または制汗剤(例えばスプレーまたはロールオン)、脱毛剤、日焼け製品または日焼け止めまたは日焼け後の製品、ネイル製品、スキンクレンジング、メイクアップ); またはスキンケア製品(例えば石鹸、シャワーまたはバスムース、オイルまたはゲル、または衛生製品または足/手のケア製品); 空気ケア製品、例えばエアフレッシュナー、または「すぐ使用できる」粉末化エアフレッシュナーであって、家の空間(部屋、冷蔵庫、戸棚、靴または車)、および/または公共空間(ホール、ホテル、モールなど)で使用され得るもの; またはホームケア製品、例えばカビ取り剤、家具ケア製品、ワイプ、食器用洗剤、または硬質表面(例えば床、浴室、衛生設備または窓の洗浄)洗剤; 革ケア製品; カーケア製品、例えば磨き剤、ワックスまたはプラスチッククリーナー; ロウソク; スプレー、コイル、電気ディフューザー、ピエゾディフューザー、液体電気ディフューザー、ディフューザー、ラバーセプタム、リストバンド、パッチ、首輪、耳標、衣類、布地、紙、バイオ炭、厚紙、セルロースパッド、蚊帳、スクリーン、カーテン、ワニスまたは塗料、より好ましくはロウソク、スプレー、コイル、電気ディフューザー、ピエゾディフューザー、液体電気ディフューザー、ディフューザー、ラバーセプタム、リストバンド、パッチ、首輪、耳標、衣類、布地、紙、バイオ炭、厚紙、セルロースパッド、蚊帳、スクリーン、カーテン、ワニスまたは塗料を含む。
【0073】
本発明の好ましい実施態様において、消費者製品は電気ディフューザーである。本発明のこの実施態様において、節足動物、好ましくは昆虫防除組成物中の物質は特定の量で存在する。
【0074】
上述の消費者製品のいくつかは、前記物質の構成要素にとって攻撃的な媒体を表すことがあり、従って、後者を時期尚早な分解から、例えばカプセル化によって、またはそれを、適した外部刺激、例えば酵素、光、熱またはpHの変化で本発明の成分を放出するために適した他の化学物質と化学的に結合させることによって、保護しなければならないことがある。
【0075】
本発明を、以下の限定されない実施例によってさらに詳細に説明する。
【実施例
【0076】
1. 本願内で使用された実験プロトコルおよび方法
温体アッセイは、T0で3~15の濃度で蚊における忌避効力を選別するために使用される小規模の試験である。
【0077】
ネッタイシマカは防除試験のモデル生物、および世界保健機関(WHO)によって推奨されるモデル生物の1つであり、なぜなら、それは非常に攻撃的で好人性の蚊種であり、一般に節足動物防除化合物に対する低い感度を示すからである。ガンビエハマダラカもモデル生物であり、なぜならそれは好人性であり且つマラリアを伝染するからである。
【0078】
本発明による防除効果は、Kroeber T, Kessler S, Frei J, Bourquin M, Guerin PM. 2010. J Am Mosq Control Assoc. 26:381-386内に定義される適合された温帯アッセイを使用して評価された。このin-vitroアッセイにおいては、試験刺激物で処理された誘引宿主を模倣する温体上に着地する蚊の数を測定し、忌避効果が評価された。
【0079】
公開されたプロトコルを、ガンビエハマダラカからネッタイシマカへ切り替えて適合させ、大きさの違いに起因して試験ケージ内に入れられる蚊を減らし(つまり50匹の代わりに30匹の蚊)、且つ、ネッタイシマカは昼行性の蚊なので照明を増加した(つまり4ルクスの代わりに150ルクス)。
【0080】
ダブルチャンバーアッセイは、0~40分の間、1つの濃度で蚊における空間忌避効力を選別するために使用される小規模の試験である。
【0081】
このアッセイの目的は、WHO(2013; ISBN 978 92 4 150502 4)に記載される空間忌避性についての検証試験を小規模で再現することであった。
【0082】
前記アッセイは白い紙で覆われた透明なケージ(1200×755×700mm、約0.63m3)で構成される。このケージが、壁の中央に位置する正方形の開口部(200×200mm)を有するプラスチック加工紙の壁によって等しい寸法の2つチャンバーに分割される。実験の開始時に、約40週の年齢のメスのネッタイシマカである蚊を、右のチャンバーに配置する。蚊がこのチャンバーの内側で落ち着いたら(>5分)、チャンバーの間のドアを開く。次いで、右のプレキシガラスの壁の中央に配置されたL字型のテフロン管(40mm)を通じて刺激物を蚊のチャンバー内に導入する。刺激物は、強制蒸発システム(Chappuis et al, 2015, DOI: 10.1021/acs.est.5b00692)によって、0.1mL/分の速度で1L/分の窒素流中で分配され、9L/分の湿った空気流中で混合された後に、L字型のテフロン管へと運ばれる。空気吸引システム(約150L/分)が、2つのチャンバーの間で壁の開口部の上に配置され(100mm Φ)、未処理のチャンバーが刺激物によって汚染されることを防ぎ、処理されたチャンバー内で刺激物が蓄積することを制限する。従って、未処理のチャンバーは、処理されたチャンバーの刺激物から逃げる蚊にとっての「避難所」を提供する。刺激物の注入の開始から10、20、30および40分後に、未処理のチャンバーに移動してきた蚊の数を手動で計数する。
【0083】
アーム・イン・ケージ試験は、被験者において蚊の忌避効力を評価するために使用される大規模な試験である。
【0084】
アーム・イン・ボックス法を、ヒトの皮膚についての蚊の忌避性の効力を試験するためのWHOのガイドライン(WHO/CDS/NTD/WHOPES/2009.4)から適合させた。100匹の空腹のメスの蚊であるネッタイシマカの探索の準備性を、ケージ(40×40×40cm)に30秒間(ネガティブコントロール)、未処理の腕を3回差し込むことによって評価し(開始時に一度、4時間で一度、および8時間で一度)、探索活性を特定する。次いで、製品を被験者の前腕の皮膚上に施与し(600cm2あたり1mL)、5分後にこの腕をケージに差し込み、3分間曝露する。前記アッセイは、温度(27±2℃)および湿度(80±10%RH)が制御された室内で3人の異なる被験者において行われる。
【0085】
温板アッセイは、T0で異なる濃度でダニにおける忌避効力を選別するために使用される小規模の試験である。
【0086】
種々の化合物の忌避効力を、細菌性病原体とウイルス性病原体との両方を伝染し得るマダニ(castor bean tick)であるイクソデス・リシヌス(Ixodes ricinus)Lに対して評価した。I・リシヌスは、欧州生物製品規則[Vol II、Efficacy-Assessment&Evaluation(パートB+C)、v.3.0、2018年4月]におけるガイダンスに記載される推奨されるモデル生物の1つである。忌避効力の観察は、最終段階の幼虫において行われた。
【0087】
忌避効力を、Kroeber T, Bourquin M, Guerin PM. 2013. Pestic. Biochem. Phys. 107(2):160~168に定義されるin-vitroでの温板アッセイのプロトコルを使用して評価した。
【0088】
2. 節足動物における阻止および空間忌避効果の結果
温体アッセイ
温体を覆うサンドブラストガラスのペトリ皿上に(28.3cm2)、エタノール中で異なる濃度で希釈された化合物100μLを施与した。各々の刺激物、およびコントロールとしての純粋なエタノール(溶剤)について、温体上に着地する蚊の数を計数した。
【0089】
試験された全ての刺激物は、施与された用量の増加と関連して忌避性の明らかな増加を引き起こした(表1、2および3)。これは実際に、種々の製品が蚊の挙動に及ぼす生物学的忌避効果を実証する。
【0090】
表1: 異なる濃度での異なる刺激物でおびき寄せられた、温体上に着地する蚊(ネッタイシマカ)の忌避率。試験された10の刺激物は、3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナール(251)、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナール(1389)、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(681)、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナール(875)、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(294)、3-[2-メチル-4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(859)、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール(867)であった。各々の刺激物について3から15の濃度が評価され、データがない点はn.d.として記載されている。溶剤のみ(0mg/mL)での蚊の平均着地数は、2分間で63±12.6の着地である。
【0091】
【表1】
【0092】
表1に示されるとおり、測定にいくらかのばらつきがあるとはいえ、10種の全ての化合物は濃度に起因して着地する蚊の数の関連する減少を示した。0.0016%の用量から、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナールおよび3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナールは着地する蚊の数を半分に減らすことができた(表1)。0.04%の中程度の用量で、3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナール、3-(3-プロパン-2-イルフェニル)ブタナールおよび3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナールは全て、75%を上回る忌避効果を引き起こした(表1)。10種全ての刺激物について、0.0598%を上回る試験された全ての濃度で、忌避率は80%を上回った(表1)。従って、試験された最高用量、つまり1%では、おびき寄せる誘引刺激物上に1分あたり5より多い蚊が着地することはなかった一方で、未処理の場合は、着地数は1分あたり31を上回る着地数であった(表1)。
【0093】
表2: 異なる濃度での異なる刺激物でおびき寄せられた、温体上に着地する蚊(ガンビエハマダラカ)の忌避率。5つの刺激物が2~5つの濃度で試験され、n.d.はデータがないことを意味する。溶剤のみ(0mg/mL)での蚊の平均着地数は、2分間で46±5.7の着地である。
【0094】
【表2】
【0095】
試験された最低濃度、つまり0.0178%から、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナールは60%を上回る蚊を忌避させることができた(表2)。0.447%の中程度の用量で既に、4つの刺激物の3つ、つまり3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナールおよび3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)-2-メチルフェニル]プロパナールは、95%を上回る蚊を忌避させることができた(表2)。それらの非常に関連する結果は、試験された最高用量、つまり1%で、5つ全ての刺激物で95%を上回る忌避に達することを確認し(表2)、それは、コントロールでは1分あたり23の蚊が着地するのに対して、処理によって1分あたり4未満の蚊が着地することを意味する。
【0096】
表3: 20%の3-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパナーによって処理された腕での経時的なアーム・イン・ケージの結果。各々の時点の値は、3人の別の被験者について未処理の腕に対する、平均±SDの忌避率を表す。未処理の腕は、3分の試験時間の間に336~534の蚊(ネッタイシマカ)の着地を受けた。
【0097】
【表3】
【0098】
2. ダニなどの節足動物についての温板アッセイの結果
表4: 4つの異なる濃度での刺激物でおびき寄せられた、温板上のダニ(イクソデス・リシヌス)の忌避率。
【0099】
【表4】
【0100】
表4に示されるとおり、3-[4-(2-メトキシ-2-プロパニル)フェニル]プロパナールは、用量に応じてダニ(イクソデス・リシヌス)を忌避でき、施与された刺激物0.2%および1%で合計90%を上回る忌避性に達した。
【国際調査報告】