(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】極板および電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20250204BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20250204BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20250204BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20250204BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250204BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20250204BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20250204BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/48
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
H01M50/531
H01M10/058
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542394
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2023084615
(87)【国際公開番号】W WO2023241165
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210688699.X
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202221520256.1
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521555605
【氏名又は名称】珠海冠宇電池股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai CosMX Battery Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 209, Zhufeng Road, Jing’an Town, Doumen District, Zhuhai City,Guangdong ,p,r,China, (1st Foor ,A plant south section)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 莎
(72)【発明者】
【氏名】周 喬
(72)【発明者】
【氏名】李 国梁
(72)【発明者】
【氏名】彭 寧
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM01
5H029AM07
5H029CJ22
5H029DJ05
5H029DJ14
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ03
5H029HJ12
5H043AA19
5H043BA19
5H043EA02
5H043EA60
5H043LA01E
5H043LA21E
5H050AA02
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA20
5H050FA05
5H050GA22
5H050GA25
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
本出願は、極板および電池を提供する。本出願に係る極板は、第1集電体と、前記第1集電体の少なくとも一面に設けられた第1機能層とを含み、前記第1機能層の表面には複数の第1領域と複数の第2領域が離隔して分布し、前記第1領域において、前記第1機能層における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。本出願に係る極板および電池は、少なくとも、リチウム電池の初回効率の課題を解決するために用いられ、電池容量を向上させることにより、電池エネルギ密度を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極板であって、
第1集電体(10)と、前記第1集電体(10)の少なくとも一面に設けられた第1機能層(20)とを含み、
前記第1機能層(20)の表面には複数の第1領域(30)および複数の第2領域(40)が離隔して分布し、
前記第1領域(30)内において、前記第1機能層(20)における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい、
ことを特徴とする極板。
【請求項2】
前記第1領域(30)内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項3】
前記第1領域(30)内において、前記第1機能層(20)におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の極板。
【請求項4】
前記第2領域(40)内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項5】
前記第2領域(40)内において、前記第1機能層(20)における酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は2:1≦S1:S2≦4:1を満たす、
ことを特徴とする請求項4に記載の極板。
【請求項6】
前記第2領域(40)内において、前記第1機能層(20)におけるフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1≦S3:S4≦7:1を満たす、
ことを特徴とする請求項5に記載の極板。
【請求項7】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)におけるフッ素元素の含有量は、前記第2領域(40)に位置する前記第1機能層(20)におけるフッ素元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項8】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)におけるリン元素の含有量は、前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)におけるリン元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項9】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)における酸素元素の含有量は、前記第2領域(40)に位置する前記第1機能層(20)における酸素元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項10】
前記第2領域(40)の幅は0μm~4mmであり、および/または、
前記第1領域(30)の幅は100μm~4mmである、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項11】
前記第1機能層(20)は活物質粒子を含み、
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占め、または、
前記活物質粒子は、炭素材料および黒鉛を含み、または
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占める、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項12】
前記第1領域(30)の延在方向は、前記第1機能層(20)の幅方向と第1夾角を形成し、前記第1夾角の範囲が0°~45°であり、および/または、
複数の前記第1領域(30)の総面積と前記第2領域(40)の総面積との比は0.7:1~3:1であり、および/または、
前記第1集電体(10)の表面を基準として、前記第1領域(30)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位は前記第2領域(40)より高く、前記第1領域(30)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位と前記第2領域(40)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位との高度差は0.1μm~8μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項13】
前記極板は、第1タブ(91)と、前記第1機能層(20)の表面に形成された第1接着剤層(81)とをさらに含み、
前記第1機能層(20)に第1凹溝(21)が設けられ、少なくとも一部の前記第1タブ(91)は前記第1凹溝(21)内に位置して前記第1接着剤層(81)によって覆われ、
前記第1接着剤層(81)は少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆う、
ことを特徴とする請求項12に記載の極板。
【請求項14】
前記第1凹溝(21)は、第1側、第2側および第3側を有し、前記第1側から前記第2側への方向が前記第1機能層(20)の長手方向に平行であり、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第1側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第2側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第3側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~40個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第1側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分の、前記第1機能層(20)の長手方向における幅が1mm~5mmであり、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第2側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分の、前記第1機能層(20)の長手方向における幅が1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項13に記載の極板。
【請求項15】
電池であって、
密封ケースと、前記密封ケースの内部に位置するセルとを含み、
前記セルは、請求項1~14のいずれか1項に記載の極板である第1極板、および前記第1極板と極性が逆の第2極板を含む、
ことを特徴とする電池。
【請求項16】
前記第2極板の一端は、前記第1極板によって覆われた領域に第2接着剤層(82)が設けられ、
前記第2接着剤層(82)に対応する前記第1極板における前記第1領域(30)の数は0~20個であり、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層(92)とを含み、前記第2極板の一端には前記第2機能層(92)が設けられていない第2裸箔領域(93)が存在し、前記第2接着剤層(82)は少なくとも前記第2裸箔領域(93)の一部を覆って前記第2裸箔領域(93)から前記第2機能層(92)の表面まで延在し、および/または、
前記第2接着剤層(82)は、前記第2極板の長手方向における幅が3mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記第1機能層(20)には第1凹溝(21)が設けられ、前記第2極板の表面には前記第1凹溝(21)の位置に対応する第3接着剤層が設けられ、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層(92)とを含み、前記第2機能層(92)には第2凹溝(921)と、前記第2凹溝(921)を覆う第4接着剤層(84)とが設けられ、前記第2極板に第2タブが設けられ、前記第2タブは少なくとも一部が前記第2凹溝(921)内に位置して前記第4接着剤層(84)によって覆われる、
ことを特徴とする請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記第1凹溝(21)は第1側、第2側および第3側を有し、前記第3接着剤層は前記第1極板における第1投影が少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆い、前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第1側に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆うことが満たし、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第2側に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第3側に位置する部分が0~40個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第2凹溝(921)は第4側、第5側および第6側を有し、前記第4接着剤層(84)は、前記第1極板における投影が少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆い、前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第4側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域(30)を覆うことを満たし、および/または、
前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第5側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第6側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~40個の前記第1領域(30)を覆う、
ことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年06月17日に中国国家知識産権局に提出した、出願番号が202210688699.X、発明の名称が「極板および電池」である中国特許出願、および、2022年06月17日に中国国家知識産権局に提出した、出願番号が202221520256.1、発明の名称が「極板および電池」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容はすべて引用により本出願に組み込まれる。
本出願は、リチウムイオン電池の技術分野に関し、特に極板および電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、エネルギ密度が高く、耐用年数が長いなどの利点を有するため、電気自動車、電動工具および消費電子分野に広く利用されている。リチウムイオン電池のエネルギ密度を高めるために、電池の負極板に対する研究は関連企業から注目されている。
【0003】
現在、商業化されたリチウムイオン電池負極板は、主に黒鉛質炭素系負極材料を利用する。黒鉛に比べて、ケイ素含有負極材料を用いる場合、エネルギ密度が著しく優れている。しかしながら、実際の充放電過程において、平均して1つのケイ素原子に4.4個のリチウム原子が結合され、正極から放出されたリチウムイオンがケイ素負極から戻れることはできず、初回効率が69%と極めて低く、リチウムイオンの利用率が低下するため、電池容量が低下してしまう。
【0004】
したがって、リチウムイオン電池の初回効率が低いという課題を解決する必要はある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、少なくとも、リチウムイオン電池の初回効率が低いという課題を解決するための極板および電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本出願に係る極板は、第1集電体と、前記第1集電体の少なくとも一面に設けられた第1機能層とを含み、前記第1機能層の表面には複数の第1領域および複数の第2領域が離隔して分布し、前記第1領域内において、前記第1機能層における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。
【0007】
本出願に係る極板において、前記第1機能層の表面に複数の前記第1領域および複数の前記第2領域が離隔して分布し、前記第1領域がリチウム材料を補充するために用いられ、前記第1領域内において前記第1機能層における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。これにより、リチウムシリケートを容易に生成することを保証し、サイクル過程における電池膨張率を低下させることができる。本出願によれば、極板にリチウム材料を早めに補充することにより、本出願に係る極板で加工された電池は、初回充放電の過程で、補充された金属リチウムを十分に利用してSEI膜を形成し、正極のリチウム源の損失を抑制し、これによりリチウムイオンの利用率を向上させ、電池の初回サイクル効率を改善する効果を達成する。
【0008】
一実施形態において、前記第1領域内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる。
【0009】
一実施形態において、前記第1領域内において、前記第1機能層におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい。
【0010】
一実施形態において、前記第2領域内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる。
【0011】
一実施形態において、前記第2領域内において、前記第1機能層における酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は2:1≦S1:S2≦4:1を満たす。
【0012】
一実施形態において、前記第2領域内において、前記第1機能層におけるフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1≦S3:S4≦7:1を満たす。
【0013】
一実施形態において、前記第1領域に位置する前記第1機能層におけるフッ素元素の含有量は、前記第2領域に位置する前記第1機能層におけるフッ素元素の含有量より大きい。
【0014】
一実施形態において、前記第1領域に位置する前記第1機能層におけるリン元素の含有量は、前記第1領域に位置する前記第1機能層におけるリン元素の含有量より大きい。
【0015】
一実施形態において、前記第1領域に位置する前記第1機能層における酸素元素の含有量は、前記第2領域に位置する前記第1機能層における酸素元素の含有量より大きい。
【0016】
一実施形態において、前記第2領域の幅は0μm~4mmであり、および/または、前記第1領域の幅は100μm~4mmである。
【0017】
一実施形態において、前記第1機能層は、活物質粒子を含み、
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占め、または、
前記活物質粒子は、炭素材料および黒鉛を含み、または
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占める。
【0018】
一実施形態において、前記第1領域の延在方向は、前記第1機能層の幅方向と第1夾角を形成し、前記第1夾角の範囲が0°~45°であり、および/または、
複数の前記第1領域の総面積と前記第2領域の総面積との比は0.7:1~3:1であり、および/または、
前記第1集電体の表面を基準として、前記第1領域の前記第1集電体から最も離れた部位は前記第2領域より高く、前記第1領域の前記第1集電体から最も離れた部位と前記第2領域の前記第1集電体から最も離れた部位との高度差は0.1μm~8μmである。
【0019】
一実施形態において、前記極板は、第1タブと、前記第1機能層の表面に形成された第1接着剤層とをさらに含み、前記第1機能層に第1凹溝が設けられ、少なくとも一部の前記第1タブは前記第1凹溝内に位置して前記第1接着剤層によって覆われ、前記第1接着剤層は少なくとも1つの前記第1領域を覆う。
【0020】
一実施形態において、前記第1凹溝は、第1側、第2側および第3側を有し、前記第1側から前記第2側への方向が前記第1機能層の長手方向に平行であり、
前記第1接着剤層は、前記第1凹溝の第1側の前記第1機能層の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第1接着剤層は、前記第1凹溝の第2側の前記第1機能層の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第1接着剤層は、前記第1凹溝の第3側の前記第1機能層の表面に位置する部分が0~40個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第1接着剤層は、前記第1凹溝の第1側の前記第1機能層の表面に位置する部分の、前記第1機能層の長手方向における幅が1mm~5mmであり、および/または、
前記第1接着剤層は、前記第1凹溝の第2側の前記第1機能層の表面に位置する部分の、前記第1機能層の長手方向における幅が1mm~5mmである。
【0021】
本出願に係る電池は、密封ケースと、前記密封ケースの内部に位置するセルとを含み、前記セルは、上記した極板である第1極板、および前記第1極板と極性が逆の第2極板を含む。
【0022】
一実施形態において、前記第2極板の一端は、前記第1極板によって覆われた領域に第2接着剤層が設けられ、
前記第2接着剤層に対応する前記第1極板における前記第1領域の数は0~20個であり、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層とを含み、前記第2極板の一端には前記第2機能層が設けられていない第2裸箔領域が存在し、前記第2接着剤層は少なくとも前記第2裸箔領域の一部を覆って前記第2裸箔領域から前記第2機能層の表面まで延在し、および/または、
前記第2接着剤層は、前記第2極板の長手方向における幅が3mm~5mmである。
【0023】
一実施形態において、前記第1機能層には第1凹溝が設けられ、前記第2極板の表面には前記第1凹溝の位置に対応する第3接着剤層が設けられ、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層とを含み、前記第2機能層には、第2凹溝と、前記第2凹溝を覆う第4接着剤層とが設けられ、前記第2極板に第2タブが設けられ、前記第2タブは少なくとも一部が前記第2凹溝内に位置して前記第4接着剤層によって覆われる。
【0024】
一実施形態において、前記第1凹溝は第1側、第2側および第3側を有し、前記第3接着剤層は前記第1極板における第1投影が少なくとも1つの前記第1領域を覆い、前記第1投影は前記第1凹溝の第1側に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆うことを満たし、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝の第2側に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝の第3側に位置する部分が0~40個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第2凹溝は第4側、第5側および第6側を有し、前記第4接着剤層は前記第1極板における投影が少なくとも1つの前記第1領域を覆い、前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第4側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域を覆うことを満たし、および/または、
前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第5側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第6側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~40個の前記第1領域を覆う。
【発明の効果】
【0025】
本出願に係る極板および電池によれば、前記第1領域におけるフッ素元素とリン元素との含有量比が7:1より大きく、余分のフッ素元素がリチウムイオンと化学反応してフッ化リチウムを生成し、すなわち不動態化層を生成する。LiF不活性物質に富んだSEI膜は、SEI膜の安定性を向上させることで、ケイ素負極材料のサイクル安定性を向上させる。SEI膜は、形成過程で、正極部分におけるリチウムイオンを早めに消耗するため、電池の初回効率が低くなるが、補充された金属リチウムを十分に利用してSEI膜を形成して加工した電池は、正極板におけるリチウム源の損失を効果的に抑制し、これによりリチウムイオンの利用率を向上させ、電池の初回サイクル効率を改善する効果を達成する。
【0026】
本出願に係る極板および電池は、フッ素元素とリン元素の含有量比が7:1より大きい。これにより、LiF不活性物質に富んだSEI膜を形成し、SEI膜の安定性を向上させ、これによりケイ素負極材料のサイクル安定性を向上させる。
【0027】
本出願に係る極板および電池によれば、複数の第1領域が第2領域によって隔てられ、すなわち、隣り合う2つの第1領域ごとにリチウム補充が行われていない第2領域によって隔てられ、リチウム補充領域が第1機能層の表面全体を覆うのではない。第2領域によって、極板に電解液がより浸潤しやすく、金属リチウムと電解液との副反応が減少し、これによりリチウム金属の利用率を向上させ、極板および電池の性能を最適化し、電池の容量を著しく向上させるとともに、電池のサイクル性能も著しく向上させる。また、第1機能層の表面に第1接着剤層が設けられ、第1接着剤層が少なくとも1つの第1領域を覆う。これにより、該第1領域におけるリチウム析出の発生を防止し、極板および電池の安全性などの性能を向上させることができる。
【0028】
本出願に係る極板および電池によれば、電池の膨張を効果的に改善し、電池の充放電サイクル数を向上させることができ、電池の耐用年数を延ばすことに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本出願の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。言うまでもないが、以下に説明する図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願の実施例に係る極板の構造模式図である。
【
図2】本出願の実施例に係る極板の第1領域および第2領域のSEM図である。
【
図3】本出願の実施例に係る極板の第2領域のSEM図である。
【
図4】本出願の実施例に係る極板の第1領域のSEM図の面分析EDS図である。
【
図5】本出願の実施例に係る極板の第1領域および第2領域の線分析図である。
【
図6】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置におけるリン元素の分布傾向図である。
【
図7】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置におけるフッ素元素の分布傾向図である。
【
図8】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置における酸素元素の分布傾向図である。
【
図9】本出願の実施例に係る電池と従来の電池とのサイクル性能曲線の比較図である。
【
図10】本出願の実施例に係る電池と従来の電池とのサイクル性能の膨張曲線の比較図である。
【
図11】本出願の実施例に係る第1極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面の構造模式図である。
【
図12】本出願の実施例に係る第1極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面の構造模式図である。
【
図13】本出願の実施例に係る第2極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面構造の模式図である。
【
図14】3D顕微鏡により測定された本出願の実施例に係る第1極板の表面形態図である。
【
図15】本出願の実施例に係る第1極板の製造過程におけるリチウムリボンの配置構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、以下、本出願における図面に関連して、本出願における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。言うまでもないが、説明する実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働をせずに得られるすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に該当する。
【0031】
ケイ素酸化物負極材料で加工された極板は理想的な比容量を有するが、正極から放出されたリチウムイオンがケイ素酸化物負極材料に吸蔵され、優先的にケイ素酸化物と反応してリチウムシリケートおよびリチウムケイ素合金のような不活性物質を生成し、ケイ素粒子が破裂する。このため、固体電解質界面(solid electroly teinterface、SEIと略称する)膜が成長-破裂-修復を繰り返して成長過程で大量に蓄積し、リチウム源が消耗され、容量が減衰し、初回効率が低く、サイクル性能が悪い。
【0032】
上記背景に鑑み、本出願に係る極板および電池は、第1機能層20の表面に複数の第1領域30および複数の第2領域40が離隔して分布し、第1領域30内において第1機能層20における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。これにより、リチウムシリケートを容易に生成することを保証し、サイクル過程における電池膨張率を低下させることができる。SEI膜は、形成過程で、正極部分におけるリチウムイオンを早めに消耗するため、電池の初回効率が低くなるが、補充された金属リチウムでSEI膜を形成し、正極のリチウムイオンの損失を抑制することにより、リチウムイオンの利用率を向上させ、電池の初回効率を改善する効果を達成する。
【0033】
以下、図面を参照して本出願に係る極板および電池を説明する。
【0034】
図1に示すように、本出願に係る極板は、第1集電体10と、第1集電体10の少なくとも一面に設けられた第1機能層20とを含み、第1機能層20の表面には複数の第1領域30および複数の第2領域40が離隔して分布し、第1領域30内において、第1機能層20における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きく、第1領域30がリチウム元素を含む。
【0035】
本出願に係る極板において、第1機能層20が活物質層であり、第1機能層20の表面に複数の第1領域30および複数の第2領域40が離隔して分布し、第1領域30がリチウム材料を補充するために用いられ、第1領域30において第1機能層20における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。これにより、リチウムシリケートを容易に生成することを保証し、サイクル過程における電池膨張率を低下させることができる。
【0036】
電解液の浸潤は、一般的に毛管作用により実現される。本出願に係る極板は第2領域40と第1領域30が離隔して分布する構造を利用し、電解液は第2領域40を介して浸透することにより極板に浸潤することができ、極板の浸潤に対する障害を抑制し、極板の均一な浸潤に有利であり、電池の浸潤効果を向上させ、これにより電池のサイクル寿命を向上させる。
【0037】
第1領域30内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる。第2領域40内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる。
【0038】
第1領域30内において、第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい。これにより、LiF不活性物質に富んだSEI膜を形成し、SEI膜の安定性を向上させ、電池の充放電サイクル安定性を向上させる。本出願によれば、極板にリチウム材料を早めに補充することにより、本出願に係る極板で加工された電池は、初回充放電過程で、補充された金属リチウムを十分に利用してSEI膜を形成し、正極のリチウム源の損失を抑制し、リチウムイオンの利用率を向上させ、電池の初回サイクル効率を改善する効果を達成する。
【0039】
一実施形態において、第1領域30内において、酸素元素とケイ素元素との含有量比は、4:1であってもよく、5:1であってもよく、6:1であってもよく、7:1であってもよい。
【0040】
なお、第1領域30内において、たとえば酸素元素とケイ素元素の含有量比が5:1である場合のような、酸素元素とケイ素元素との含有量比が4:1より大きい場合、余分の酸素元素と補充されたリチウムイオンは化学反応して酸化リチウムまたは炭酸リチウムを生成するため、リチウムイオンの利用率が低下する。
【0041】
一実施形態において、第1機能層20の表面にリチウム材料層を設けることにより第1領域30が形成され、リチウム材料層に含まれるリチウムの面密度が0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。リチウム材料層は、圧延により第1機能層20の表面に設けられて第1領域30を形成してもよい。リチウム材料層は、リチウム箔であってもよく、金属リチウムの面密度が0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。第1機能層20は黒鉛とケイ素材料を含み、ケイ素材料の質量が活物質粒子の総質量の7%~50%を占める。これにより、金属リチウムの量がケイ素材料の量に適合する。リチウム材料層は、複数のリチウムリボンであってもよい。
【0042】
第1機能層20は、活物質粒子を含む。
【0043】
一実施形態において、活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が活物質粒子の総質量の7%~50%を占め、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。これにより、金属リチウムの量がケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の量に適合する。
【0044】
一実施形態において、活物質粒子は、炭素材料および黒鉛を含む。
【0045】
一実施形態において、金属リチウムの面密度は0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が活物質粒子の総質量の7%~50%を占める。
【0046】
一実施形態において、
図1に示すように、本出願に係る極板は負極板であり、第1集電体10は銅箔、チタン箔、ニッケルメッシュ、ステンレス鋼箔、リチウム銅合金フィルムまたはカーボンクロスを用いることができる。
【0047】
一実施形態において、第1集電体10の両面には、いずれも第1機能層20が設けられる。
【0048】
第1領域30内において、第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい。極板を加工する過程で、第1領域30内の第1機能層20をリチウムイオンと早めに接触させて不動態化反応を発生させ、LiF不活性物質に富んだ不動態化層であるSEI膜を形成する。このように加工した電池は、化成時にLiF不活性物質に富んだSEI膜を形成し、SEI膜の安定性を向上させることで、電池サイクルの安定性を向上させる。本出願によれば、極板にリチウム材料を早めに補充することにより、本出願に係る極板で加工した電池は、初回充放電の過程で、補充された金属リチウムを十分に利用してSEI膜を形成し、正極のリチウム源の損失を抑制し、リチウムイオンの利用率を向上させ、電池の初回サイクル効率を改善する効果を達成する。
【0049】
電解液がヘキサフルオロリン酸リチウムであることを考慮すると、第1領域30におけるフッ素元素とリン元素との含有量比が7:1より大きく、余分のフッ素元素がリチウムイオンと化学反応してLiF不活性物質に富んだSEI膜を生成する。これにより、SEI膜の安定性を向上させ、電池サイクルの安定性を向上させる。SEI膜の形成過程で、早めに補充されたリチウムを消耗してSEI膜を形成し、正極リチウムの消耗を抑制することで、充放電効率を向上させる。
【0050】
図2を参照して説明する。
図2は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEMと略称)で50x~5.0kx拡大して第1領域30と第2領域40を撮影して得られた図であり、第1領域30および第2領域40が見られる。第2領域40は、隣り合う第1領域30の間に両者を離隔する領域を存在させるために用いられ、第2領域40は、極板に浸潤する通路であり、極板の浸潤効果の向上に有利である。
【0051】
非同期圧延技術で超薄型金属リチウムリボンを製造し、超薄型金属リチウムリボンの表面に、第1領域30に対応する金属リチウム含有の領域と第2領域40に対応する金属リチウム非含有の領域とを形成する。金属リチウムリボンにおけるリチウムイオンを第1領域30に転送することにより、第1機能層20の表面に第1領域30を形成する。金属リチウム非含有の領域は、第2領域40に対応する。
【0052】
一実施形態において、
図2に示すように、リチウム補充面密度の要求および浸潤均一性の要求を満たすためには、第1領域30の幅が100μm~4mmであり、すなわち、隣り合う2つの第2領域40の間の間隔が100μm~4mmである。
【0053】
一実施形態において、隣り合う2つの第2領域40の間の間隔は、100μm、1mm、2mm、3mmまたは4mmであってもよい。
【0054】
一実施形態において、リチウム補充面密度の要求および浸潤均一性の要求を満たすためには、第2領域40の幅が0μm~4mmであり、すなわち、隣り合う2つの第1領域30の間の間隔が0μm~4mmである。
【0055】
本出願に係る極板によれば、第2領域40と第1領域30とを離隔して分布させるとともに第2領域40の幅および第1領域30の幅を限定することにより、リチウム補充面密度の要求を達成すること、および極板に電解液が浸潤する均一性を向上することに有利である。
【0056】
一実施形態において、隣り合う2つの第1領域30の間の間隔は、10μm、1mm、2mm、3mmまたは4mmであってもよい。
【0057】
リチウムイオンは、第1領域30に位置するケイ素粒子に局所的に吸蔵された後、濃度差および電位差によってリチウムイオン未吸蔵の領域へ移動して、第1領域30と第2領域40との間に遷移領域60を形成し、また第1領域30の内部におけるリチウムイオンを均一分布させる。これにより、リチウム吸蔵状態が一致する効果を達成し、リチウムイオンが局所的に多すぎることによるリチウム析出やパープルスポットを回避し、全体のリチウム吸蔵の均一性を向上させる。
【0058】
サイクル過程における電池の膨張率を低下させるために、極板に対してリチウム補充プロセスを行う。これにより、第1領域30においては、金属リチウムとケイ素が反応してリチウムシリケートを緩衝層として生成し、サイクル過程における電池の膨張を緩和する。第1領域30において第1機能層20における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい。第2領域40において第1機能層20における酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は2:1≦S1:S2≦4:1を満たす。また、第1領域30に位置する第1機能層20における酸素元素の含有量は、第2領域40に位置する第1機能層20における酸素元素の含有量より大きい。
【0059】
ケイ素粒子がリチウム吸蔵過程で破裂し、SEI膜が成長-破裂-修復を繰り返して成長過程で大量に蓄積し、リチウムイオンを消耗するため、電池容量が減衰し、初回効率が低く、サイクル性能が悪いことを防止するために、LiF不活性物質に富んだSEI膜を製造し、SEI膜の安定性を向上させることで、ケイ素負極材料のサイクル安定性を向上させる。第1領域30において第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい。第2領域40において第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1≦S3:S4≦7:1を満たす。また、第1領域30に位置する第1機能層20におけるフッ素元素の含有量は、第2領域40に位置する第1機能層20におけるフッ素元素の含有量より大きい。第1領域30に位置する第1機能層20におけるリン元素の含有量は、第1領域30に位置する第1機能層20におけるリン元素の含有量より大きい。
【0060】
本出願に係る電池は、密封ケースと、密封ケースの内部に位置するセルとを含み、セルは、上記極板である第1極板と、第2極板とを含む。
【0061】
[実施例1]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.12であってもよい。第1領域30内において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は5:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0062】
[実施例2]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の20%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.22であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は6:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0063】
[実施例3]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の30%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.32であってもよい。第1領域30内において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は7:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0064】
[実施例4]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の40%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.42であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は8:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0065】
[実施例5]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の50%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.5であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は9:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は9:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0066】
上述した実施例1~実施例5において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%~50%であってもよく、黒鉛が人造黒鉛、天然黒鉛または変性黒鉛であってもよく、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。これにより、金属リチウムの量がケイ素粒子の量に適合する。金属リチウムの量が大きすぎると、リチウムイオンが電解液と反応して析出し、リチウムイオンの利用率が低下する。金属リチウムの量が小さすぎると、リチウム補充の効果が著しくなく、初回効率の向上が著しくない。
【0067】
[実施例6]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.18であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は6:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0068】
[実施例7]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の30%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.28であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は7.5:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0069】
[実施例8]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の50%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.34であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は8:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【0070】
上記した実施例6~実施例8において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%~50%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.09mg/cm2~0.5mg/cm2である。これにより、金属リチウムの量がケイ素粒子の量に適合し、金属リチウムが多すぎる場合にリチウムが電解液と反応して析出することによりリチウムイオンの利用率が低下することを回避するとともに、金属リチウムの量が小さすぎる場合にリチウム補充の効果が著しくなく、初回効率の向上が著しくないことを回避する。
【0071】
加工時、第1集電体10の表面に第1機能層20を塗布した後、温度90℃の乾燥環境で24時間ベークして水分を300ppm以下に制御し、半製品極板を得た。その後、非同期圧延技術で超薄型金属リチウムリボンを製造して、該半製品極板に被覆して極板を製造する。
【0072】
本出願に係る電池は、密封ケースと、密封ケースの内部に位置するセルとを含み、セルは、上記した極板である第1極板と、第2極板とを含む。
【0073】
一実施形態において、第2極板は正極板であり、第1極板は負極板である。
【0074】
加工時、第1極板、第2極板およびセパレータを順次積層し、セパレータが第1極板と第2極板との間に位置して第1極板と第2極板を隔てる作用を発揮する。その後、巻回してセルを得、セルを密封ケースに置き、密封ケース内に電解液を注入し、真空封止、静置、化成を行い、0.1Cで4%充電状態(State of Charge、SOCと略称する)まで定電流充電し、さらに0.2Cで10%SOCまで定電流充電し、整形、容量テストなどの工程を行い、パウチ型リチウムイオン電池を得る。
【0075】
一実施形態において、密封ケースは、アルミプラスチックフィルムであってもよく、電解液はヘキサフルオロリン酸リチウムであってもよい。
【0076】
一実施形態において、第1領域30はリチウム補充領域であり、第2領域40はリチウム未補充領域である。3D顕微鏡により測定したところ、第1領域30が明るく、第2領域40が暗い(
図14に示す)。
【0077】
一実施形態において、以下の過程に従ってリチウムを補充することができる。
図15に示すように、複数のリチウムリボン80を第1機能層20の表面に離隔して分布させ、該複数のリチウムリボン80の間に第1機能層20の表面を露出する隙間Cが存在し、電池の製造過程における化成などの反応を行った後、リチウムリボン80が設けられた領域でリチウム補充領域である第1領域30が形成され、複数のリチウムリボン80の間に存在する隙間Cでリチウム未補充領域である第2領域40が形成される。
図14に示すように、第1領域30が非連続状態であり、第2領域40は極板への電解液の浸潤性に有利であり、リチウムリボンの利用率を向上させ、極板および電池性能を最適化できる。
【0078】
リチウム補充過程で、乾燥環境で、第1機能層20が形成された極板半製品を90℃程度で約24時間べークして水分を300ppm以下に制御し、その後、リチウムリボン80をベークした極板の表面に置き、圧着などの処理を行った後、リチウムリボン80を第1機能層20に被覆することにより、リチウムを補充する。
【0079】
上記極板は、塗布法により製造することができ、その製造過程は、一般的に、材料準備(スラリー調製)、塗布(スラリーを集電体基材の表面に塗布して第1機能層20を形成する)、ロールプレス、スリット(極板の所定大きさおよび形状などのパラメータに基づいてスリットする)、ベークなどのステップを含み、その後、さらにリチウム補充などの後続工程を行う。
【0080】
一実施形態において、使用するリチウムリボン80は、長さが第1機能層20の幅より小さい短尺リチウムリボン(短尺リチウムリボンの分布態様が
図15に示され、それにより形成された極板の表面形態が
図14に示される)を含んでもよい。複数の短尺リチウムリボンを第1機能層20の幅方向(矢印Bで示す方向)に沿って順次に置きて一列を形成し、その後、もう一度該過程に従って第1機能層20の長手方向(矢印Aで示す方向)において前の一列と隣り合う他の一列を形成してもよく、それぞれの列の長さは極板の幅以下であってもよいが、これに限定されず、複数の短尺リチウムリボンを第1機能層20の表面に不規則に分布させてもよく、或いは、長さが第1機能層20の幅とほぼ同じである長尺リチウムリボンを第1機能層20の表面に離隔して分布させてもよい(たとえば、任意2つの隣り合う長尺リチウムリボンの間に隙間が存在し、化成後、該隙間で第2領域40を形成する)。
【0081】
一実施形態において、リチウムリボン80の使用量は、第1機能層20の表面に設けられたリチウムリボン80の総質量と、第1機能層20の表面(第1集電体10に背向する面)の面積との比が0.09~0.5mg:1m2を満たすことができる。
【0082】
一実施形態において、リチウムリボン80の厚さは1.9μm~9μmであってもよい。純金属リチウムの理論比容量が極めて高いため、極板の表面全体にリチウムを補充する場合、通常、金属リチウムの厚さを1μm程度にする必要があり、製造の難易度が極めて高く、一致性が悪い。一方、本出願において、超薄型金属リチウムリボンで表面の一部を覆うようにリチウムを補充し、超薄型金属リチウムリボンは第1機能層20の表面において縞/波紋などの非連続的被覆状態をなし、リチウムを効果的に補充し、リチウム金属の利用率を向上させるとともに、製造が簡単で、一致性が良いなどの利点を有する。
【0083】
一実施形態において、一般的に、リチウムインゴットをマイクロメートルレベルの厚さにプレスした後、得られたマイクロメートルレベルのリチウムリボンを第1機能層20の表面に置いてリチウムを補充する。たとえば、いくつかの実施例において、200μm~2mmのリチウムインゴットを厚さが1.9μm~9μmのリチウムリボン80として圧延し、さらに第1機能層20の表面に置いてリチウムを補充する。
【0084】
一実施形態において、リチウムが補充されたリチウム源は、第1領域30内の活物質粒子に吸蔵されて無機塩層を形成してもよい。すなわち、無機塩層を構成する材料が無機塩であり、無機塩層は、第1領域30に補充されたリチウム元素が第1領域30の活物質粒子に吸蔵されることにより形成されたものであり、該無機塩層は、たとえばフッ化リチウムまたは炭酸リチウム、リチウムシリケートなどのうちの少なくとも1種を含む。
【0085】
一実施形態において、第1領域30と第2領域40は、交互に配置され/互いに離隔して分布する。すなわち、第1機能層20の表面に複数の第1領域30と複数の第2領域40が分布し、複数の第2領域40によって第1機能層20の表面に複数の第1領域30が離隔して形成される。
【0086】
ここで、複数の第1領域30は第1機能層20/極板の長手方向(矢印Aで示す方向)に沿って分布してもよく、すなわち、複数の第1領域30と複数の第2領域40は第1機能層20/極板の長手方向に沿って交互して分布してもよい。
【0087】
一実施形態において、
図11、
図12および
図14に示すように、第1領域30の延在方向/長手方向は第1機能層20の幅方向と第1夾角を形成してもよく、第1夾角が0°~60°であってもよい。一実施形態において、第1夾角は、0°~45°であってもよく、たとえば0°(すなわち、第1領域30の長手方向が第1機能層20の幅方向に平行である)、10°、20°、30°、40°または45°などであってもよい。これにより、極板リチウム補充および電解液浸潤効果に有利であるとともに、極板の長手方向に沿う巻回に影響せず、電池の製造および性能に有利である。
【0088】
ここで、複数の第1領域30の延在方向は同じでも異なってもよく、すなわち、第1機能層20の幅方向となす第1夾角が同じでも異なってもよい。
【0089】
また、第1機能層20/極板の幅方向において、第1機能層20の外縁/エッジに最も近い第1領域30と第1機能層20の外縁との間の距離はAであり、Aは、0~2mmであってもよく、たとえば0(すなわち、該第1領域30と第1機能層20の外縁が面一である)、0.5mm、1mm、1.5mm、2mmなどであってもよい。Aと第1機能層20の幅との比は0~0.03であってもよく、たとえば0、0.01、0.02、0.03などであってもよい。
【0090】
一実施形態において、第1機能層20の幅方向において、少なくとも1つの第1領域30が一列を形成し。該一列は、1つの第1領域30で形成される(第2領域40によって分断されていない)連続状態であってもよく、あるいは、複数の第1領域30が第1機能層20の幅方向に沿って順次に配列されることにより形成され、隣り合う両者が両者の間に存在する第2領域40によって分断される非連続状態であってもよい。
【0091】
また、第1領域30は、第1機能層20の幅方向に沿って延在する。第1領域30は、第1機能層20の幅方向において、実質的に平直構造であってもよく、湾曲・屈曲などの構造を有してもよい。
【0092】
また、第1機能層20/極板の長手方向において、第1機能層20の外縁に最も近い第1領域30と第1機能層20の外縁との間の距離(すなわち、第1機能層20の外縁に最も近い第2領域22の第1機能層20の長手方向における幅)は、0~4mmであってもよく、たとえば100μm~4mmであってもよい。
【0093】
一実施形態において、第1機能層20は、対向する第1端と第2端とを有し、第1端から第2端までの方向は、第1機能層20の長手方向に平行である。第1端に最も近い第1領域30と第1機能層20の第1端のエッジ(第1機能層20のエッジ)との間の距離w1は100μm~4mmであり、たとえば100μm、300μm、500μm、700μm、1mm、2mm、3mm、4mmなどである。すなわち、第1機能層20の長手方向において、第1端に最も近い第1領域30と第1端のエッジとの間に存在する第2領域40の幅はw1であり、第2端(第1機能層20のエッジ)に最も近い第1領域30と第1機能層20の第2端のエッジとの間の距離w2は0μm~4mmであり、たとえば0、100μm、300μm、500μm、700μm、1mm、2mm、3mm、4mmなどである。
【0094】
w2=0である場合、第1機能層20の第2端に最も近い第1領域30と第1機能層20の第2端のエッジとの間に第2領域がない(すなわち、第2端に最も近い第1領域30と第2端のエッジとの間の第2領域40の幅w2が0である)。w2が0でない場合(すなわち、0<w2≦4mm)、第1機能層20の長手方向に沿って、第1機能層20の第2端に最も近い第1領域30と第2端のエッジとの間に第2領域40が存在し、該第2領域40の幅がw2である。
【0095】
一実施形態において、w1とw2は、同じでも異なってもよい。
【0096】
リチウム補充効果および電解液浸潤性の向上をさらに両立させるために、いくつかの好ましい実施例において、複数の第1領域30の総面積(すなわち、複数の第1領域30の面積の合計)と、複数の第2領域40の総面積(すなわち、複数の第2領域40の面積の合計)との比は、0.7:1~3:1であり、たとえば0.7:1、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、または3:1などである。
【0097】
ここで、顕微鏡で第1領域30および第2領域40の輪郭を捉え、複数の第1領域30の総面積と複数の第2領域40の総面積との比を測定できる。
【0098】
一般的に、第1領域30と第2領域40との間に境界があり、第1集電体10の表面を基準として、第1領域30が第2領域40より高く、すなわち、第1機能層20の厚さ方向において、第1領域30の第1集電体10から最も離れた部位と第1集電体10との間の距離aが、第2領域40の第1集電体10から最も離れた部位と第1集電体10との間の距離bより大きい(a>b)。
【0099】
いくつかの実施例において、第1領域30の第1集電体10から最も離れた部位と第2領域40の第1集電体10から最も離れた部位との高度差は、0.1μm~8μm(すなわち、a-b=0.1~8μm)であり、たとえば、0.1μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μmまたは8μmなどである。
【0100】
一実施形態において、第1領域30と第2領域40との高度差の測定方式は、(1)イオンミリング(CP)デバイスでリチウム補充極板に対してスパッタリングを行い、断面を得た。さらに走査型電子顕微鏡(SEM)で所望の倍率まで拡大して撮影し、高度差を得る方式と、(2)3D顕微鏡を利用して所望の倍率まで拡大して撮影した後、プロファイラを利用して高度差を測定する方式とを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施例において、第1機能層20には、第1接着剤層81によって覆われた第1凹溝21が設けられる。ここで、第1凹溝21はタブを設けるためのタブ溝としてもよい。いくつかの実施例において、極板は、第1タブ91と、第1機能層20の表面に形成された第1接着剤層81とをさらに含み、少なくとも一部の該第1タブ91は第1凹溝21内に位置して第1接着剤層81によって覆われる(すなわち、第1タブ91は第1凹溝21内に位置する部分が第1接着剤層81によって覆われる)。これにより、タブ領域を保護し、極板および電池の安全性を向上させることができ、たとえば、第1タブ周囲のリチウム補充領域におけるリチウムは充放電過程で正極タブ領域(対応する正極タブが位置するタブ溝)へ移動すること、およびこれによる負極タブ領域のリチウム析出の問題を回避することができる。
【0102】
一実施形態において、第1接着剤層81は、第1機能層20の表面の一部の領域に設けられ、すなわち、第1機能層20を部分的に覆う。第1接着剤層81は少なくとも1つの第1領域30を覆う。
【0103】
一実施形態において、第1凹溝21は底面の少なくとも一部の領域が第1集電体10の表面であり、すなわち、第1凹溝21は底面の一部の領域が第1集電体10を露出する。第1タブ91は、第1凹溝21の底面に露出する第1集電体10に接続されてもよく、具体的には第1凹溝21の底面に露出する第1集電体10に溶接されてもよい。
【0104】
ここで、極板は、端部ではなく中部にタブが設けられるタブ中央設置構造(CPT)であってもよい。
【0105】
一実施形態において、第1凹溝21は少なくとも両側が第1機能層20である。いくつかの実施例において、第1集電体10の厚さ方向に垂直な平面において、第1凹溝21は、一側が第1集電体10の1つの長辺と面一であり、残りの側が第1機能層20によって囲まれ、すなわち、第1凹溝21は第1集電体10の1つの長辺に向かう開口を有する。第1タブ91を設けた後、第1タブ91の一端は該開口を通って第1集電体10の外縁から延出してもよい。具体的に、第1タブ91は長手方向に沿って該開口を通って第1集電体10の外縁から延出する。第1タブ91は第1凹溝21内に位置する部分(すなわち第1集電体10の外縁から延出しない部分)が第1接着剤層81によって覆われる(
図12に示す)。
【0106】
ここで、第1タブ91の長手方向は第1領域30/第2領域40の長手方向に平行である(すなわち、第1タブ200は第1領域30/第2領域40と延在方向が一致である)。
【0107】
図11に示すように、第1凹溝21は、第1集電体10における投影が長方形であり、その1つの短辺が第1集電体10の1つの長辺と面一であり、残りの3つの辺が第1機能層20によって囲まれる。
【0108】
一実施形態において、第1凹溝21は、対向する第1側と第2側、および、対向する第3側と第4側を有し、第3側/第4側は第1側と第2側との間に位置する(第3側/第4側は第1側と第2側を接続する)。第1側から第2側への方向は第1領域から第2領域への方向に平行である。
【0109】
例示的に、
図11および
図12において、第1側は左側であり、第2側は右側であり、第3側は下側であり、第4側は上側であり、第1凹溝21の左側、右側、下側はいずれも第1機能層20によって囲まれ、上側には第1機能層20がない(すなわち、第1凹溝21の上側が第1機能層20のエッジと面一である)。第1側から第2側への方向は、第1機能層20の長手方向に平行であり、第3側から第4側への方向は、第1機能層20の幅方向に平行である。
【0110】
ここで、第1接着剤層81は第1凹溝21の周辺の第1機能層20の表面まで延在する。第1接着剤層81は第1凹溝21の第1側の第1機能層20の表面に位置する部分がa1個の第1領域30を覆い、a1は0~8であり、たとえば、0、1、2、3、4、5、6、7、8などである。すなわち、第1凹溝21の第1側に位置して第1接着剤層81に接触する第1領域の数は、a1個であり、言い換えれば、第1機能層20の表面は、第1凹溝21の第1側に位置して第1接着剤層81によって覆われる第3領域85を含み、第3領域85内まで延在する第1領域30の数がa1個である。
【0111】
【0112】
また、第1接着剤層81は第1凹溝21の第2側の第1機能層20の表面に位置する部分がa2個の第1領域30を覆い、a2は0~8である。すなわち、第1凹溝21の第2側に位置して第1接着剤層81に接触する第1領域30の数は、a2個である。言い換えれば、第1機能層20の表面は、第1凹溝21の第2側に位置して第1接着剤層81によって覆われる第4領域86を含み、第4領域86内まで延在する第1領域30の数がa2個である。
【0113】
【0114】
また、第1接着剤層81は、第1凹溝21の第3側の第1機能層20の表面に位置する部分はa3個の第1領域30に接触し、a3は0~40であり、たとえば0、2、5、8、10、12、15、18、20、22、25、28、30、32、35、38、40などである。すなわち、第1凹溝21の第3側に位置して第1接着剤層81に接触する第1領域30の数はa3個である。言い換えれば、第1機能層20の表面は、第1凹溝21の第3側に位置して第1接着剤層81によって覆われる第5領域87を含み、第5領域87内まで延在する第1領域30の数がa3個である。
【0115】
図11および
図12に示すように、a3は第1接着剤層81に接触する第1領域30の合計でもある。
【0116】
一実施形態において、第3領域85内まで延在する第1領域30(a1個)は、いずれも第5領域87内まで延在する。第4領域86内まで延在する第1領域30(a2個)は、いずれも第5領域87内まで延在する。第5領域87内まで延在して第1凹溝21に接する第1領域30の数はa4個である。この場合、a3=a1+a2+a4である。
【0117】
例示的に、
図11に示すように、a3=4であり、ここで、a1=1、a2=1、a4=2である。
【0118】
一実施形態において、第1接着剤層81は、第1凹溝21の第1側の第1機能層20の表面に位置する部分の、第1機能層20の長手方向に沿う幅w31(第3領域85の第1機能層20の長手方向に沿う幅でもある)が1mm~5mmであり、たとえば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmなどである。
【0119】
また、第1接着剤層81は、第1凹溝21の第2側の第1機能層20の表面に位置する部分の、第1機能層20の長手方向に沿う幅w32(第4領域86の第1機能層20の長手方向に沿った幅でもある)が1mm~5mmであり、たとえば、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmなどである。
【0120】
w31とw32は同じでも異なってもよい。第1接着剤層81は第1機能層20の長手方向に沿う幅が、w31と、第1凹溝21の第1機能層20の長手方向に沿う幅と、w32との合計にほぼ等しい。
【0121】
一実施形態において、第1領域30の対向する両端の端部エッジは、それぞれ第1機能層20の対向する両側のエッジと面一である。
図11および
図12に示すように、いずれかの第1領域30は、第1機能層20の幅方向の長さがその所在する第1機能層20の長さに等しく、たとえば、第1凹溝21の対向する両側(第1側と第2側)に位置する第1領域30の長さは、第1機能層20のうち第1凹溝21の対向する両側に位置する部分の幅に等しい。
【0122】
第1機能層20の長手方向は第1集電体10の長手方向でもあり、第1機能層20の幅方向は第1集電体10の幅方向でもある。第1集電体10の幅は第1機能層20の最大幅(すなわち、
図11および
図12における第1機能層20のうち第1凹溝21の対向する両側に位置する部分の幅)にほぼ等しい。
【0123】
一実施形態において、
図11に示すように、第1集電体10の少なくとも一端部には、第1機能層20が設けられていない第1裸箔領域11がさらに設けられてもよい。
【0124】
本出願の実施例に係る電池は、順次積層して設けられた第1極板、セパレータおよび第2極板を含み、第1極板が上記した極板を含み、第2極板が第1極板と極性が逆である。
【0125】
一実施形態において、該電池はセルを含み、セルは順次積層して設けられた第1極板、セパレータおよび第2極板を含む。該セルは、具体的に、第1極板、セパレータおよび第2極板が順次積層して設けられてから巻回された巻回型セルであってもよく、ここで、第1極板/セパレータ/第2極板の長手方向に沿って巻回して巻回型セルを形成してもよい。巻回型セルにおいて、第1極板、セパレータおよび第2極板のそれぞれは、いずれも屈曲部と、それぞれの屈曲部の両端に接続されるストレート部とを有し、1つの屈曲部から他の1つの屈曲部への方向が巻回型セルの長手方向に平行であり、1つのストレート部から他の1つの直線部への方向が巻回型セルの幅方向に平行である。
【0126】
ここで、セパレータは隔離作用を果たし、第1極板と第2極板とを離隔させ、両者の接触短絡を防止するために用いられる。セパレータの厚さは、5~16μmであってもよく、たとえば5μm、8μm、10μm、13μm、16μmなどである。該セパレータは、当分野の通常のセパレータであってもよく、たとえば、基材または基材に塗布層が塗布された塗布セパレータを含む。
【0127】
一実施形態において、第2極板は、第2集電体と、第2集電体の表面に設けられた第2機能層92とを含む。第2極板は対向する両端(それぞれ第5端および第6端と記す)を有し、その少なくとも一端には塗布層が設けられていない第2裸箔領域93が存在する。該第2裸箔領域93に加えて、第2極板の残りの部分には第2機能層92が設けられる。第2機能層92と第2裸箔領域93が接する部分には、通常、凹凸のある構造が存在する。セパレータを損傷することを回避して電池の安全性能を向上させるためには、第2極板の少なくとも一端のうち第1極板によって覆われた部分に第2接着剤層82を設けてもよい。ここで、第2極板のうち第1極板によって覆われた部分は、通常、第2極板のセパレータによって覆われた部分でもある。第2機能層92は第2極板の活物質層である。
【0128】
図13に示すように、第2極板の一端(第5端)のうち第1極板によって覆われた領域には第2接着剤層82が設けられ、第2接着剤層82に対応する第1極板の第1領域30の数がx(0≦x≦20)個である。xは、たとえば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0129】
一実施形態において、
図11および
図12に示すように、第1極板は、対向する両端(それぞれ第3端および第4端と記す)を有し、その一端(第3端)が第1端部被覆領域22を有する。第1端部被覆領域22は、第2極板の第2接着剤層82の位置に対応し、すなわち、第1端部被覆領域22と第2接着剤層82は、互いに覆われ(第2接着剤層82は第1極板における投影が第1端部被覆領域22とほぼ一致する)、第1極板/第2極板の長手方向における第1端部被覆領域22の幅W4が第1極板/第2極板の長手方向における第2接着剤層82の幅W6に等しい。第1端部被覆領域22内には、x個の第1領域30が存在する。
【0130】
いくつかの実施例において、第2極板の長手方向における第2接着剤層82の幅w6は3mm~5mmであり、たとえば、w6は3mm、3.5mm、4mm、4.5mmまたは5mmなどである。
【0131】
ここで、
図13に示すように、第2接着剤層82は、少なくとも第2裸箔領域93の一部を覆い、第2裸箔領域93から第2機能層92の表面まで延在する。
【0132】
また、
図11~
図13に示すように、第1極板の他端(第4端)は、第2極板の他端(第6端)を覆う第2端部被覆領域23を有する。すなわち、第2極板の第6端は、第1極板における投影が第2端部被覆領域23に位置して第2端部被覆領域23を超えず、第2極板の第6端に裸箔領域が存在せず(すなわち、第2機能層92と第2集電体は外縁が面一である)、第2接着剤層82を設けなくてもよい。
【0133】
いくつかの実施例において、第1極板の長手方向における第2端部被覆領域23の幅w5は、3~5mmであり、たとえば、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmなどである。
【0134】
図13に示すように、第2極板の表面には、第1極板の第1タブ91/第1凹溝21の位置に対応する第3接着剤層が設けられる。第3接着剤層は、第1極板における投影が第1凹溝21を覆い、負極のリチウム析出をさらに防止することができる。
【0135】
ここで、第3接着剤層は、第1極板における第1投影が少なくとも1つの第1領域30を覆う。第1投影は、第1凹溝21の第1側に位置する部分が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7、8などであり、a1に等しくてもなくてもよい。第1投影は、第1凹溝21の第2側に位置する部分が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7、8などであり、a2に等しくてもなくてもよい。第1投影は、第1凹溝21の第3側に位置する部分が0~40個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、2、5、8、10、12、15、18、20、22、25、28、30、32、35、38、40個などであり、a3に等しくてもなくてもよい。
【0136】
一実施形態において、第1投影は、第1凹溝21の第1側に位置する部分の、第1機能層20の長手方向に沿う幅が1mm~5mmであってもよく、たとえば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmなどであり、w31に等しくてもなくてもよい。第1投影は、第1凹溝21の第2側に位置する部分の、第1機能層20の長手方向に沿う幅が3mm~5mmであってもよく、たとえば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmなどであり、w32に等しくてもなくてもよい。
【0137】
一実施形態において、第3接着剤層は、第1極板における第1投影が第1接着剤層81を覆うかまたは第1接着剤層81によって覆われてもよく、両者はたとえば合致する。
【0138】
一実施形態において、第2極板に第2タブが設けられ、セルの幅方向において、第1タブ91と第2タブが合致せず、すなわち、セルの幅方向に垂直な第1タブ91の投影とセルの幅方向に垂直な第2タブの投影は合致しない。
【0139】
いくつかの実施例において、第2機能層92には、第2凹溝921と、第2凹溝921を覆う第4接着剤層84とが設けられる。第2タブは、少なくとも一部が第2凹溝921内に位置して第4接着剤層84によって覆われる(すなわち、第2タブは、第2凹溝921内に位置する部分が第2接着剤層82によって覆われる)。
【0140】
一実施形態において、第2凹溝921は、タブを設けるためのタブ溝として、その底面の少なくとも一部の領域が第2集電体の表面である(すなわち、その底面の一部の領域が第2集電体を露出する)。第2タブは第2凹溝921の底面に露出される第2集電体に接続されてもよく、具体的には第2凹溝921の底面に露出される第2集電体に溶接されてもよい。
【0141】
ここで、
図13に示すように、第2極板は、端部ではなく中部に第2タブが設けられるタブ中央設置構造であってもよい。
【0142】
一実施形態において、第2凹溝921は、少なくとも両側が第2機能層92である。いくつかの実施例において、
図13に示すように、第2集電体の厚さ方向に垂直な平面において、第2凹溝921は、一側が第2集電体の1つの長辺と面一であり、残りの側が第2機能層92によって囲まれ、すなわち、第2凹溝921は、第2集電体の1つの長辺に向かう開口を有する。第2タブを設けた後、第2タブの一端は該開口を通って第2集電体の外縁から延出してもよい。具体的に、第2タブは、その長手方向に沿って該開口を通って第2集電体の外縁から延出する。第2タブは、第2凹溝921内に位置する部分(すなわち、第1集電体10の外縁から延出しない部分)が第2接着剤層82によって覆われる。ここで、第2タブの長手方向は第2極板の幅方向に平行である。
【0143】
図13に示すように、第2凹溝921は、第2集電体における投影が長方形であり、その1つの短辺が第2集電体の1つの長辺と面一であり、残り3つの辺が第2機能層によって囲まれる。
【0144】
一実施形態において、第4接着剤層84は、第2凹溝921の周辺の第2機能層92の表面まで延在し、第2凹溝921の周辺の第2機能層92に接着される。
【0145】
一実施形態において、第2凹溝921は、第4側、第5側および第6側を有し、第4側から第5側への方向が第2極板の長手方向に平行である。第4接着剤層84は、第1極板における投影が少なくとも1つの第1領域30を覆う。第4接着剤層84は、第2凹溝の第4側に位置する部分の第1極板における投影が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7または8などであり、a1に等しくてもなくてもよい。第4接着剤層84は、第2凹溝の第5側に位置する部分の第1極板における投影が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7または8などであり、a2に等しくてもなくてもよい。第4接着剤層84は、第2凹溝の第6側に位置する部分の第1極板における投影が0~40個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、2、5、8、10、12、15、18、20、22、25、28、30、32、35、38または40などであり、a3に等しくもなくてもよい。
【0146】
一実施形態において、第4接着剤層84は、第2凹溝の第4側に位置する部分の第2極板の長手方向に沿う幅が1mm~5mmであってもよく、たとえば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mmまたは5mmなどであってもよく、w31に等しくてもなくてもよい。第4接着剤層84は、第2凹溝の第5側に位置する部分の第2極板の長手方向に沿う幅が3mm~5mmであってもよく、たとえば1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mmまたは5mmなどであり、w32に等しくてもなくてもよい。
【0147】
一実施形態において、第2凹溝921は、形状、寸法などのパラメータが第1凹溝21と同じでも異なってもよく、第4接着剤層84は、形状、面積などのパラメータが第1接着剤層81と同じでも異なってもよい。
【0148】
上記第1接着剤層81、第2接着剤層82、第3接着剤層、第4接着剤層84の厚さは、それぞれ、10μm~16μmであってもよく、たとえば10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μmなどであってもよく、具体的には接着紙であってもよい。
【0149】
なお、上記したようなある接着剤層(またはその投影)が第1領域30を覆うとは、第1機能層20の長手方向において、該接着剤層によって覆われた第1領域30の対向する両側がいずれも第1機能層20の表面における該接着剤層の投影内に位置する(すなわち、該接着剤層によって覆われた第1領域30が第1機能層20の表面における該接着剤層の投影の外縁から延出しない)が、第1機能層20の幅方向において、該接着剤層によって覆われた第1領域30は、一部が第1機能層20の表面における該接着剤層の投影内に位置して一部が第1機能層20の表面における該接着剤層の投影外に位置するか、あるいは、すべてが第1機能層20の表面における該接着剤層の投影内に位置してもよい。
【0150】
例示的に、
図11および
図12に示すように、第1接着剤層81は、4つの第1領域30を覆い、第1機能層20の長手方向において、該4つの第1領域30の対向する両側はいずれも第1機能層20の表面における第1接着剤層81の投影内に位置するが、第1機能層20の幅方向において、該4つの第1領域30は、一部が第1機能層20の表面における第1接着剤層81の投影内まで延在し、一部が第1機能層20の表面における第1接着剤層81の投影外に位置する。
【0151】
上記電池は、リチウムイオン電池を含んでもよく、当分野の通常方法で製造することができ、製造過程は、一般に、巻回、封止、注液、エージング、化成、二重封止、選別、包装などの工程を含む。たとえば、第1極板、セパレータ、第2極板を積層した後、巻回してベアセルを形成し、ベアセルを外装箔(たとえば、アルミプラスチックフィルム)に置き、その後、セルに電解液を注入し、さらに真空封入、静置、化成(たとえば0.1Cで4%SOC(充電状態)まで定電流充電し、さらに0.2Cで10%SOCまで定電流充電する)、整形などの工程を行い、パウチ型リチウムイオン電池を製造することができる。
【0152】
本出願に係る極板は改良により電池の初回効率を向上させるとともに、電池の膨張効果を改善できることを説明するために、生産された極板に対して以下のテストを行った。
【0153】
(テスト1)
<第1領域30および第2領域40に対する表面形態テスト>
走査型電子顕微鏡(SEM)で500x~1.0kx拡大して撮影し、
図2に示す50x拡大したSEM図を参照し、スケールで第1領域30および第2領域40の幅を位置決めして測定する。
【0154】
ここで、隣り合う第2領域40の間の距離、すなわち、第1領域30の幅としては、図示したH1、H2、およびH3における測定値を挙げる。ここで、H1=537μm、H2=372μm、H3=416μmである。
【0155】
ここで、隣り合う第1領域30の間の距離、すなわち、第2領域40の幅としては、図示したH4およびH5における測定値を挙げる。H4=267μm、H5=279μmである。
【0156】
(テスト2)
<第1領域30および第2領域40の元素に対するテスト>
ここで、本出願の実施例に係る極板を選出し、SEMが画像を収集する位置に対して、エネルギ分散型X線分析装置(Energy Dispersive Spectrometer、EDSと略称する)でテストして分析する。
図3には、500倍の電子顕微鏡図のEDS面分析図が示される。
図4には、
図3における点線枠内の点線位置における500倍の電子顕微鏡図の面分析EDS図が示される。
【0157】
図5に示す横線ABは、第1領域30から第2領域40までの直線経路位置を示し、エネルギ分散型X線分析装置(EDS)で
図5における横線AB位置の元素分布をテストする。測定したSEM元素含有量線分析図を
図6、
図7および
図8に示す。
【0158】
図6は、リン元素の分布傾向図を示し、横軸が位置を示し、縦軸がリン元素の含有量を示し、
図6から分かるように、第1領域30から第2領域40までリン元素の含有量が減少する。
【0159】
図7は、フッ素元素の分布傾向図を示し、横軸が位置を示し、縦軸がフッ素元素の含有量を示し、
図7から分かるように、第1領域30から第2領域40までフッ素元素の含有量が減少する。
【0160】
図8は、酸素元素の分布傾向図を示し、横軸が位置を示し、縦軸が酸素元素の含有量を示し、
図8から分かるように、第1領域30から第2領域40まで酸素元素の含有量が減少する。
【0161】
(テスト3)
<サイクルテストおよび膨張テスト>
以下、2つの比較例および2つの実験例の電池に対してそれぞれサイクルテストおよび膨張テストを行う。該2つの比較例で使用した電池と該2つの実験例で使用した電池とは、該2つの実験例で使用した電池は本出願に係る極板を負極板として用いたが、比較例で使用した電池は金属リチウムを含まない従来の負極板を用いる点のみで相違する。
【0162】
テストプロセスは、以下のステップを含む。
ステップ1において、電池を5℃±2℃の温度環境で10min静置する。
ステップ2において、0.2Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、10min静置する。
ステップ3において、0.7Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、10min静置する。
ステップ4において、0.2Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、さらに初期容量テストを行う。
ステップ5において、電池を10min静置する。
ステップ6において、3Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、電池の厚さをテストする。
ステップ7において、電池を25℃±2℃の温度環境で10min静置する。
ステップ8において、1Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、10min静置する。
ステップ9において、3Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、10min静置する。
ステップ9において、ステップ8およびステップ9を1000サイクル行い、ここで、0~200サイクルにおいては50サイクルごとに満充電状態で電池の厚さをテストし、200~1000サイクルにおいては100サイクルごとに満充電状態で電池の厚さをテストし、さらに25℃の温度環境でステップ3およびステップ4を繰り返して容量テストを行い、1000サイクルが完了した後、満充電状態で電池の厚さを検出する。
【0163】
(テスト4)
<容量試験>
同じ目標容量の電池を用い、異なるリチウム補充面密度になるように、目標容量が異なる4つの実験例に係る電池および1つの比較例に係る電池をそれぞれ加工し、これらの電池を25℃の恒温環境に置き、1Cの電池充電レートで4.48Vまで定電流・定電圧充電した後、0.05Cで停止するように定電圧充電し、5min静置し、その後、0.2Cの電池放電レートで3Vまで放電し、3Vの容量データを比較した。その結果を下記表1~4に示す。
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
表1~表4のいずれからも直観的に分かるに、実験例に係る電池の初回効率は、いずれも対応する比較例に係る電池の初回効率を上回り、本出願はリチウムイオン電池の初回効率が低いという課題を著しく改善できることを証明した。
【0169】
実験例1~実験例4は、比較例1に比べて、3Vの容量が著しく向上し、目標容量が異なるそれぞれの電池は、極板の第1領域30に異なる面密度の金属リチウムを用い、いずれも電池容量が向上し、目標容量値に達する。
【0170】
ステップ9の検出結果は
図10に示され、横軸が充放電サイクル回数を表し、縦軸が膨張率を表す。
図10に示すように、本出願に係る電池は、満充電状態における膨張率が従来の電池よりも低く、電池の膨張に対する改善効果が著しい。
【0171】
図9は、本出願に係る電池と従来の電池のサイクル性能曲線の比較図であり、横軸が充放電サイクルの数を表し、縦軸が電池の容量維持率を表す。
図9に示すように、本出願に係る電池は、450充放電サイクルを完了した後に電池の容量が80%に低下したが、従来の電池は、350充放電サイクルを完了した後に電池の容量が80%に低下する。したがって、本出願に係る電池は、電池のサイクル性能が約100充放電サイクル向上し、その分、電池の容量維持率が約5%~15%向上する。これにより、本出願は改良により電池の容量およびサイクル性能も著しく向上させることを証明した。
【0172】
なお、本出願の説明において、「中心」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「頂端」、「底端」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」、「軸方向」、「周方向」などの用語で指示した方位または位置関係は、図面に基づいて示されたものであり、本出願を便利かつ簡素化に説明するためのものに過ぎず、係る位置または素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作されることを指示または暗示するものではないため、本出願に対する制限として理解すべきではない。
【0173】
また、「第1」、「第2」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示または暗示するかまたは係る技術的構成の数を暗黙的に示すものとして理解すべきではない。よって、「第1」、「第2」で限定された構成は、1つまたはそれ以上の該構成を明示的または暗黙的に含むことができる。本出願の説明において、「複数」は、特に明記しない限り、少なくとも2つであり、たとえば2つ、3つなどである。
【符号の説明】
【0174】
10 第1集電体
11 第1裸箔領域
20 第1機能層
21 第1凹溝
22 第1端部被覆領域
23 第2端部被覆領域
30 第1領域
40 第2領域
60 遷移領域
80 リチウムリボン
81 第1接着剤層
82 第2接着剤層
84 第4接着剤層
85 第3領域
86 第4領域
87 第5領域
91 第1タブ
92 第2機能層
921 第2凹溝
93 第2裸箔領域
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極板であって、
第1集電体(10)と、前記第1集電体(10)の少なくとも一面に設けられた第1機能層(20)とを含み、
前記第1機能層(20)の表面には複数の第1領域(30)および複数の第2領域(40)が離隔して分布し、
前記第1領域(30)内において、前記第1機能層(20)における酸素元素とケイ素元素との含有量比は4:1より大きい、
ことを特徴とする極板。
【請求項2】
前記第1領域(30)内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項3】
前記第1領域(30)内において、前記第1機能層(20)におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の極板。
【請求項4】
前記第2領域(40)内には、炭素元素、酸素元素、フッ素元素、リン元素およびケイ素元素が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項5】
前記第2領域(40)内において、前記第1機能層(20)における酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は2:1≦S1:S2≦4:1を満たす、
ことを特徴とする請求項4に記載の極板。
【請求項6】
前記第2領域(40)内において、前記第1機能層(20)におけるフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1≦S3:S4≦7:1を満たす、
ことを特徴とする請求項5に記載の極板。
【請求項7】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)におけるフッ素元素の含有量は、前記第2領域(40)に位置する前記第1機能層(20)におけるフッ素元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項8】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)におけるリン元素の含有量は、前記第
2領域(
40)に位置する前記第1機能層(20)におけるリン元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項9】
前記第1領域(30)に位置する前記第1機能層(20)における酸素元素の含有量は、前記第2領域(40)に位置する前記第1機能層(20)における酸素元素の含有量より大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項10】
前記第2領域(40)の幅は0μm~4mmであり、および/または、
前記第1領域(30)の幅は100μm~4mmである、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項11】
前記第1機能層(20)は活物質粒子を含み、
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物
(SiOx)材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占め、または、
前記活物質粒子は、炭素材料および黒鉛を含
む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の極板。
【請求項12】
前記第1領域(30)の延在方向は、前記第1機能層(20)の幅方向と第1夾角を形成し、前記第1夾角の範囲が0°~45°であり、および/または、
前記第1領域(30)の総面積と前記第2領域(40)の総面積との比は0.7:1~3:1であり、および/または、
前記第1集電体(10)の表面を基準として、前記第1領域(30)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位は前記第2領域(40)より高く、前記第1領域(30)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位と前記第2領域(40)の前記第1集電体(10)から最も離れた部位との高度差は0.1μm~8μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の極板。
【請求項13】
前記極板は、第1タブ(91)と、前記第1機能層(20)の表面に形成された第1接着剤層(81)とをさらに含み、
前記第1機能層(20)に第1凹溝(21)が設けられ、少なくとも一部の前記第1タブ(91)は前記第1凹溝(21)内に位置して前記第1接着剤層(81)によって覆われ、
前記第1接着剤層(81)は少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆う、
ことを特徴とする請求項12に記載の極板。
【請求項14】
前記第1凹溝(21)は、第1側、第2側および第3側を有し、前記第1側から前記第2側への方向が前記第1機能層(20)の長手方向に平行であり、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第1側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第2側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第3側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分が0~40個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第1側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分の、前記第1機能層(20)の長手方向における幅が1mm~5mmであり、および/または、
前記第1接着剤層(81)は、前記第1凹溝(21)の第2側の前記第1機能層(20)の表面に位置する部分の、前記第1機能層(20)の長手方向における幅が1mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項13に記載の極板。
【請求項15】
電池であって、
密封ケースと、前記密封ケースの内部に位置するセルとを含み、
前記セルは、請求項1~
6のいずれか1項に記載の極板である第1極板、および前記第1極板と極性が逆の第2極板を含む、
ことを特徴とする電池。
【請求項16】
前記第2極板の一端は、前記第1極板によって覆われた領域に第2接着剤層(82)が設けられ、
前記第2接着剤層(82)に対応する前記第1極板における前記第1領域(30)の数は0~20個であり、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層(92)とを含み、前記第2極板の一端には前記第2機能層(92)が設けられていない第2裸箔領域(93)が存在し、前記第2接着剤層(82)は少なくとも前記第2裸箔領域(93)の一部を覆って前記第2裸箔領域(93)から前記第2機能層(92)の表面まで延在し、および/または、
前記第2接着剤層(82)は、前記第2極板の長手方向における幅が3mm~5mmである、
ことを特徴とする請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記第1機能層(20)には第1凹溝(21)が設けられ、前記第2極板の表面には前記第1凹溝(21)の位置に対応する第3接着剤層が設けられ、および/または、
前記第2極板は、第2集電体と、前記第2集電体の表面に設けられた第2機能層(92)とを含み、前記第2機能層(92)には第2凹溝(921)と、前記第2凹溝(921)を覆う第4接着剤層(84)とが設けられ、前記第2極板に第2タブが設けられ、前記第2タブは少なくとも一部が前記第2凹溝(921)内に位置して前記第4接着剤層(84)によって覆われる、
ことを特徴とする請求項
15に記載の電池。
【請求項18】
前記第1凹溝(21)は第1側、第2側および第3側を有し、前記第3接着剤層は前記第1極板における
投影は第1投影であり、前記第1投影が少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆い、前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第1側に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆うことが満たし、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第2側に位置する部分が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝(21)の第3側に位置する部分が0~40個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第2凹溝(921)は第4側、第5側および第6側を有し、前記第4接着剤層(84)は、前記第1極板における投影が少なくとも1つの前記第1領域(30)を覆い、前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第4側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域(30)を覆うことを満たし、および/または、
前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第5側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域(30)を覆い、および/または、
前記第4接着剤層(84)は、前記第2凹溝(921)の第6側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~40個の前記第1領域(30)を覆う、
ことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
一実施形態において、前記第1領域に位置する前記第1機能層におけるリン元素の含有量は、前記第2領域に位置する前記第1機能層におけるリン元素の含有量より大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
一実施形態において、前記第1機能層は、活物質粒子を含み、
前記活物質粒子は、ケイ素材料およびケイ素酸化物材料のうちの少なくとも1種と、炭素材料とを含み、ケイ素材料および/またはケイ素酸化物材料の質量が前記活物質粒子の総質量の7%~50%を占め、または、
前記活物質粒子は、炭素材料および黒鉛を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
一実施形態において、前記第1領域の延在方向は、前記第1機能層の幅方向と第1夾角を形成し、前記第1夾角の範囲が0°~45°であり、および/または、
前記第1領域の総面積と前記第2領域の総面積との比は0.7:1~3:1であり、および/または、
前記第1集電体の表面を基準として、前記第1領域の前記第1集電体から最も離れた部位は前記第2領域より高く、前記第1領域の前記第1集電体から最も離れた部位と前記第2領域の前記第1集電体から最も離れた部位との高度差は0.1μm~8μmである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
一実施形態において、前記第1凹溝は第1側、第2側および第3側を有し、前記第3接着剤層の前記第1極板における投影は第1投影であり、前記第1投影が少なくとも1つの前記第1領域を覆い、前記第1投影は前記第1凹溝の第1側に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆うことを満たし、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝の第2側に位置する部分が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第1投影は、前記第1凹溝の第3側に位置する部分が0~40個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第2凹溝は第4側、第5側および第6側を有し、前記第4接着剤層は前記第1極板における投影が少なくとも1つの前記第1領域を覆い、前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第4側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域を覆うことを満たし、および/または、
前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第5側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~8個の前記第1領域を覆い、および/または、
前記第4接着剤層は、前記第2凹溝の第6側に位置する部分の、前記第1極板における投影が0~40個の前記第1領域を覆う。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本出願の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。言うまでもないが、以下に説明する図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願の実施例に係る極板の構造模式図である。
【
図2】本出願の実施例に係る極板の第1領域および第2領域のSEM図である。
【
図3】本出願の実施例に係る極板の第2領域のSEM図である。
【
図4】本出願の実施例に係る極板の第1領域のSEM図の面分析EDS図である。
【
図5】本出願の実施例に係る極板の第1領域および第2領域の線分析図である。
【
図6】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置におけるリン元素の分布傾向図である。
【
図7】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置におけるフッ素元素の分布傾向図である。
【
図8】本出願の実施例に係る極板の、
図5のAB横線位置における酸素元素の分布傾向図である。
【
図9】本出願の実施例に係る電池と従来の電池とのサイクル性能曲線の比較図である。
【
図10】本出願の実施例に係る電池と従来の電池とのサイクル性能の膨張曲線の比較図である。
【
図11】本出願の実施例に係る第1極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面の構造模式図である。
【
図12】本出願の実施例に係る第1極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面の構造模式図である。
【
図13】本出願の実施例に係る第2極板の、負極集電体の厚さ方向に垂直な断面構造の模式図である。
【
図14】
本出願の実施例に係る第1極板の製造過程におけるリチウムリボンの配置構造の模式図である。
【
図15】
3D顕微鏡により測定された本出願の実施例に係る第1極板の表面形態図である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
ケイ素酸化物(SiOx)負極材料で加工された極板は理想的な比容量を有するが、正極から放出されたリチウムイオンがケイ素酸化物負極材料に吸蔵され、優先的にケイ素酸化物と反応してリチウムシリケートおよびリチウムケイ素合金のような不活性物質を生成し、ケイ素粒子が破裂する。このため、固体電解質界面(solid electroly teinterface、SEIと略称する)膜が成長-破裂-修復を繰り返して成長過程で大量に蓄積し、リチウム源が消耗され、容量が減衰し、初回効率が低く、サイクル性能が悪い。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
なお、第1領域30内において、たとえば酸素元素とケイ素元素の含有量比が5:1である場合のような、酸素元素とケイ素元素との含有量比が4:1より大きい場合、より大量のリチウムイオンが第1領域30に吸蔵されてより大量のリチウムシリケートが生成され、サイクル過程における電池膨張率を低下させるとともに、第1領域30に吸蔵されたリチウムイオンがサイクル過程で放出され、電池容量を向上させる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
非同期圧延技術で超薄型金属リチウムリボンを製造し、第1機能層20の表面に、第1領域30に対応する金属リチウム含有の領域と第2領域40に対応する金属リチウム非含有の領域とを形成する。金属リチウムリボンにおけるリチウムイオンを第1領域30に転送することにより、第1機能層20の表面に第1領域30を形成する。金属リチウム非含有の領域は、第2領域40に対応する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
ケイ素粒子がリチウム吸蔵過程で破裂し、SEI膜が成長-破裂-修復を繰り返して成長過程で大量に蓄積し、リチウムイオンを消耗するため、電池容量が減衰し、初回効率が低く、サイクル性能が悪いことを防止するために、LiF不活性物質に富んだSEI膜を製造し、SEI膜の安定性を向上させることで、ケイ素負極材料のサイクル安定性を向上させる。第1領域30において第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比は7:1より大きい。第2領域40において第1機能層20におけるフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1≦S3:S4≦7:1を満たす。また、第1領域30に位置する第1機能層20におけるフッ素元素の含有量は、第2領域40に位置する第1機能層20におけるフッ素元素の含有量より大きい。第1領域30に位置する第1機能層20におけるリン元素の含有量は、第2領域40に位置する第1機能層20におけるリン元素の含有量より大きい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
[実施例1]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.12mg/cm
2であってもよい。第1領域30内において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は5:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
[実施例2]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の20%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.22mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は6:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
[実施例3]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の30%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.32mg/cm
2であってもよい。第1領域30内において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は7:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
[実施例4]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の40%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.42mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は8:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
[実施例5]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の50%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.5mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は9:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は9:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
[実施例6]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の7%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.18mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は6:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は7:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
[実施例7]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の30%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.28mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は7.5:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
[実施例8]
本実施例において、第1機能層20の活物質粒子は黒鉛およびケイ素酸化物材料を含み、ケイ素酸化物材料の質量割合が活物質粒子の総質量の50%であってもよく、その分、第1領域30に含まれる金属リチウムの面密度が0.34mg/cm
2であってもよい。第1領域30において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は8:1であり、第1領域30においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は8.5:1である。第2領域40において酸素元素とケイ素元素との含有量比S1:S2は4:1であり、第2領域40においてフッ素元素とリン元素との含有量比S3:S4は6:1である。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
一実施形態において、第2極板の極性と第1極板の極性は逆であり、たとえば、第2極板は正極板であり、第1極板は負極板である。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
一実施形態において、第1領域30はリチウム補充領域であり、第2領域40はリチウム未補充領域である。3D顕微鏡により測定したところ、第1領域30が明るく、第2領域40が暗い(図15に示す)。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
一実施形態において、以下の過程に従ってリチウムを補充することができる。図
14に示すように、複数のリチウムリボン80を第1機能層20の表面に離隔して分布させ、該複数のリチウムリボン80の間に第1機能層20の表面を露出する隙間Cが存在し、電池の製造過程における化成などの反応を行った後、リチウムリボン80が設けられた領域でリチウム補充領域である第1領域30が形成され、複数のリチウムリボン80の間に存在する隙間Cでリチウム未補充領域である第2領域40が形成される。
図14に示すように、第1領域30が非連続状態であり、第2領域40は極板への電解液の浸潤性に有利であり、リチウムリボンの利用率を向上させ、極板および電池性能を最適化できる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
一実施形態において、使用するリチウムリボン80は、長さが第1機能層20の幅より小さい短尺リチウムリボン(短尺リチウムリボンの分布態様が図14に示され、それにより形成された極板の表面形態が図15に示される)を含んでもよい。複数の短尺リチウムリボンを第1機能層20の幅方向(矢印Yで示す方向)に沿って順次に置きて一列を形成し、その後、もう一度該過程に従って第1機能層20の長手方向(矢印Xで示す方向)において前の一列と隣り合う他の一列を形成してもよく、それぞれの列の長さは極板の幅以下であってもよいが、これに限定されず、複数の短尺リチウムリボンを第1機能層20の表面に不規則に分布させてもよく、或いは、長さが第1機能層20の幅とほぼ同じである長尺リチウムリボンを第1機能層20の表面に離隔して分布させてもよい(たとえば、任意2つの隣り合う長尺リチウムリボンの間に隙間が存在し、化成後、該隙間で第2領域40を形成する)。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
ここで、複数の第1領域30は第1機能層20/極板の長手方向(矢印Xで示す方向)に沿って分布してもよく、すなわち、複数の第1領域30と複数の第2領域40は第1機能層20/極板の長手方向に沿って交互して分布してもよい。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
また、第1機能層20/極板の幅方向において、第1機能層20の外縁/エッジに最も近い第1領域30と第1機能層20の外縁との間の距離はdであり、dは、0~2mmであってもよく、たとえば0(すなわち、該第1領域30と第1機能層20の外縁が面一である)、0.5mm、1mm、1.5mm、2mmなどであってもよい。dと第1機能層20の幅との比は0~0.03であってもよく、たとえば0、0.01、0.02、0.03などであってもよい。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
図11に示すように、第1凹溝21は、第1集電体10における投影が長方形であり、その1つの
辺が第1集電体10の1つの長辺と面一であり、残りの3つの辺が第1機能層20によって囲まれる。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
一実施形態において、第1領域30の対向する両端の端部エッジは、それぞれ第1機能層20の対向する両側のエッジと面一である。
図11および
図12に示すように、いずれかの第1領域30は、第1機能層20の幅方向の長さがその所在する第1機能層20の
幅に等しく、たとえば、第1凹溝21の対向する両側(第1側と第2側)に位置する第1領域30の長さは、第1機能層20のうち第1凹溝21の対向する両側に位置する部分の幅に等しい。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
ここで、第3接着剤層の第1極板における投影は第1投影であり、第1投影が少なくとも1つの第1領域30を覆う。第1投影は、第1凹溝21の第1側に位置する部分が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7、8などであり、a1に等しくてもなくてもよい。第1投影は、第1凹溝21の第2側に位置する部分が0~8個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、1、2、3、4、5、6、7、8などであり、a2に等しくてもなくてもよい。第1投影は、第1凹溝21の第3側に位置する部分が0~40個の第1領域30を覆い、その数がたとえば0、2、5、8、10、12、15、18、20、22、25、28、30、32、35、38、40個などであり、a3に等しくてもなくてもよい。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0156
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0156】
(テスト2)
<第1領域30および第2領域40の元素に対するテスト>
ここで、本出願の実施例に係る極板を選出し、SEMが画像を収集する位置に対して、エネルギ分散型X線分析装置(Energy Dispersive Spectrometer、EDSと略称する)でテストして分析する。
図3には、500倍の電子顕微鏡図
が示される。
図4には、
図3における点線枠内の点線位置における500倍の電子顕微鏡図の面分析EDS図が示される。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
(テスト3)
<サイクルテストおよび膨張テスト>
以下、比較例および実験例の電池に対してそれぞれサイクルテストおよび膨張テストを行う。該比較例で使用した電池と該実験例で使用した電池とは、該実験例で使用した電池は本出願に係る極板を負極板として用いたが、比較例で使用した電池は金属リチウムを含まない従来の負極板を用いる点のみで相違する。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0162】
テストプロセスは、以下のステップを含む。
ステップ1において、電池を5℃±2℃の温度環境で10min静置する。
ステップ2において、0.2Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、10min静置する。
ステップ3において、0.7Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、10min静置する。
ステップ4において、0.2Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、さらに初期容量テストを行う。
ステップ5において、電池を10min静置する。
ステップ6において、3Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、電池の厚さをテストする。
ステップ7において、電池を25℃±2℃の温度環境で10min静置する。
ステップ8において、1Cの電池放電レートで下限電圧まで放電し、10min静置する。
ステップ9において、3Cの電池充電レートで上限電圧まで充電し、0.05Cで停止し、10min静置する。
ステップ10において、ステップ8およびステップ9を1000サイクル行い、ここで、0~200サイクルにおいては50サイクルごとに満充電状態で電池の厚さをテストし、200~1000サイクルにおいては100サイクルごとに満充電状態で電池の厚さをテストし、さらに25℃の温度環境でステップ3およびステップ4を繰り返して容量テストを行い、1000サイクルが完了した後、満充電状態で電池の厚さを検出する。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
図10は、本出願に係る電池(表1による実験例1によって製造された2つの電池)と従来の電池(表1による比較例によって製造された2つの電池)のサイクル性能の膨張曲線の比較図である。ステップ9の検出結果は
図10に示され、横軸が充放電サイクル回数を表し、縦軸が膨張率を表す。
図10に示すように、本出願に係る電池は、満充電状態における膨張率が従来の電池よりも低く、電池の膨張に対する改善効果が著しい。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
図9は、本出願に係る電池
(表1による実験例1によって製造された2つの電池)と従来の電池
(表1による比較例によって製造された2つの電池)のサイクル性能曲線の比較図であり、横軸が充放電サイクルの数を表し、縦軸が電池の容量維持率を表す。
図9に示すように、本出願に係る電池は、450充放電サイクルを完了した後に電池の容量が80%に低下したが、従来の電池は、350充放電サイクルを完了した後に電池の容量が80%に低下する。したがって、本出願に係る電池は、電池のサイクル性能が約100充放電サイクル向上し、その分、電池の容量維持率が約5%~15%向上する。これにより、本出願は改良により電池の容量およびサイクル性能も著しく向上させることを証明した。
【手続補正33】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正34】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正35】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】