(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ナノボディ-薬物付加物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/42 20060101AFI20250204BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20250204BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250204BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250204BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20250204BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20250204BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250204BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20250204BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
C07K16/42
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
A61K47/68
A61K39/395 L
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61P31/16
A61P31/22
A61P31/14
A61P35/00
A61P35/04
A61P31/20
A61P31/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543162
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 US2023060893
(87)【国際公開番号】W WO2023141500
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プロー,ヒド,エル.
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シン
(72)【発明者】
【氏名】ピシェーシャ,ノヴァリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルハー,エリーシャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB27
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA25
4C085BB50
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA29
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書において提供されるのは、対象内のポリクローナル免疫グロブリンに結合することが可能な抗体または抗体フラグメントを含むコンジュゲート分子である。かかるコンジュゲートは、コンジュゲートによって標的化される1以上の細胞型へ対象の免疫細胞を動員するために有用である。また、本明細書において提供されるのは、疾患を処置または防止するような目的のために、対象へ投与されてもよい医薬組成物を包含する、コンジュゲートを含む組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリンへ結合する第1の薬剤と、細胞または病原体の表面の標的へ結合する第2の薬剤とを含むコンジュゲートであって、ここで、第1の薬剤および第2の薬剤が、リンカーを介して共有結合的にコンジュゲートされている、前記コンジュゲート。
【請求項2】
第1の薬剤が、抗原へ結合することが可能な可変領域を含む抗体フラグメントである、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
抗体フラグメントが、重鎖可変領域を含む、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
第1の薬剤が、単一ドメイン抗体フラグメントである、請求項1または請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
第1の薬剤によって結合された免疫グロブリンが、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
免疫グロブリンカッパ軽鎖が、ヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖であり、および免疫グロブリンラムダ軽鎖が、ヒト免疫グロブリンラムダ軽鎖である、請求項5に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
第1の薬剤が、ヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖へ結合する、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
第2の薬剤が、小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー、または抗体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
抗体が、単一ドメイン抗体である、請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
第2の薬剤が、対象へ投与されたときに治療効果を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
リンカーが、切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
リンカーが、切断可能なリンカーを含む、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
切断可能なリンカーが、ペプチド、ジスルフィド、またはヒドラゾンリンカーである、請求項12に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
細胞が、病原体によって感染された細胞、がん細胞、形質転換細胞、健康な細胞、細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞である、請求項1~13のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
病原体が、ウイルス、細菌、寄生生物、または真菌である、請求項1~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
病原体が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスから選択されるウイルスである、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
インフルエンザウイルスが、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
第2の薬剤が、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼまたはインフルエンザウイルスヘマグルチニンへ結合する、請求項1~17のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
第2の薬剤が、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼへ結合する小分子を含む、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
第2の薬剤が、ザナミビルまたはその類似体を含む、請求項19に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
リンカーが、トリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーである、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
第2の薬剤が、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼへ結合する抗体または抗体フラグメントを含む、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
コロナウイルスが、ベータコロナウイルスである、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
ベータコロナウイルスが、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
第2の薬剤が、MERS-CoVスパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質へ結合する、請求項24に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
第2の薬剤が、MERS-CoVスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDへ結合する、請求項24に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
レンチウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
第2の薬剤が、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120へ結合する、請求項27に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
ニューモウイルスが、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
第2の薬剤が、RSV融合(F)タンパク質へ結合する、請求項29に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
病原体が、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種から選択される細菌である、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
病原体が、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種から選択される寄生生物である、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
Plasmodiumが、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである、請求項32に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
第2の薬剤が、プラスモジウム表面タンパク質に結合する、請求項33に記載のコンジュゲート。
【請求項35】
プラスモジウム表面タンパク質が、メロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)である、請求項34に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
第2の薬剤がMSP-1へ結合する抗体であり、任意に、抗体がナノボディである、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
抗体が、表1に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む、請求項36に記載のコンジュゲート。
【請求項38】
抗体が、配列番号6~17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項37に記載のコンジュゲート。
【請求項39】
がん細胞が、血液がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、胃腸がん細胞、肝臓がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、卵巣がん細胞、精巣がん細胞、前立腺がん細胞、子宮内膜がん細胞、筋肉がん細胞、骨がん細胞、神経内分泌がん細胞、結合組織がん細胞、頭頸部がん細胞、または皮膚がん細胞である、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項40】
第2の薬剤が、腫瘍関連抗原へ結合する、請求項14または請求項39に記載のコンジュゲート。
【請求項41】
腫瘍関連抗原が、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)タンパク質、MHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)タンパク質、葉酸受容体、フィブロネクチンスプライスバリアント、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR-2)、C-X-Cケモカイン受容体4型(CXCR4)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子表面受容体(uPAR)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮カドヘリン(ECAD)、癌胎児性抗原(CEA)、またはメソテリン(MSLN)を含む、請求項40に記載のコンジュゲート。
【請求項42】
第2の薬剤が、MICAへ結合する抗体であり、任意に、抗体がナノボディである、請求項41に記載のコンジュゲート。
【請求項43】
抗体が、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む、請求項42に記載のコンジュゲート。
【請求項44】
抗体が、配列番号19~27のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項43に記載のコンジュゲート。
【請求項45】
細胞が、がん性の、または健康な骨髄細胞である、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項46】
第2の薬剤が、骨髄関連抗原へ結合する、請求項45に記載のコンジュゲート。
【請求項47】
骨髄関連抗原が、分化抗原群45(CD45)である、請求項46に記載のコンジュゲート。
【請求項48】
細胞が、がん性の、または健康な免疫細胞である、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項49】
細胞が、がん性の、または健康なT細胞またはB細胞である、請求項48に記載のコンジュゲート。
【請求項50】
第2の薬剤が、免疫細胞関連抗原へ結合する、請求項48または請求項49に記載のコンジュゲート。
【請求項51】
免疫細胞関連抗原が、分化抗原群4(CD4)、分化抗原群8(CD8)、T細胞受容体(TCR)、またはB細胞受容体(BCR)である、請求項50に記載のコンジュゲート。
【請求項52】
コンジュゲートが、対象へ投与されたときに治療効果をもたらす、請求項1~51のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項53】
コンジュゲートが、対象へ投与されたときに、フラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する1以上の免疫細胞と細胞または病原体との間の会合を増強する、請求項1~51のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項54】
コンジュゲートが、対象へ投与されたときに細胞または病原体の殺滅をもたらす、請求項1~52のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項55】
コンジュゲートが、対象へ投与されたときに細胞または病原体の不活性化をもたらす、請求項1~54のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項56】
対象が、哺乳動物である、請求項52~55のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項57】
対象が、ヒトである、請求項52~56のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項58】
請求項1~57のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、組成物。
【請求項59】
組成物が、薬理学的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
対象における細胞または病原体に対する免疫応答を増強するための方法であって、方法が、有効量の請求項1~57のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項58もしくは請求項59に記載の組成物を対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項61】
細胞が、病原体によって感染された細胞、がん細胞、形質転換細胞、健康な細胞、細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
病原体が、ウイルス、細菌、寄生生物、または真菌である、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
細胞が、対象の細胞である、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
病原体が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスから選択されるウイルスである、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
ウイルスが、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ウイルスが、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
ウイルスが、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
病原体が、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種から選択される細菌である、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
病原体が、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種から選択される寄生生物である、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
寄生生物が、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
がん細胞が、血液がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、胃腸がん細胞、肝臓がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、卵巣がん細胞、精巣がん細胞、前立腺がん細胞、子宮内膜がん細胞、筋肉がん細胞、骨がん細胞、神経内分泌がん細胞、結合組織がん細胞、頭頸部がん細胞、または皮膚がん細胞である、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
細胞が、がん性の、または健康な骨髄細胞である、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
細胞が、がん性の、または健康な免疫細胞である、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
細胞が、がん性の、または健康なT細胞またはB細胞である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
免疫応答が、自然免疫応答を含む、請求項60~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
コンジュゲートが、細胞または病原体および対象の免疫グロブリンへ結合し、ここで、免疫グロブリンが、その表面にフラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する対象の免疫細胞へさらに結合する、請求項60~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
対象の免疫グロブリンが、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
対象の免疫グロブリンが、免疫グロブリンカッパ軽鎖を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
免疫細胞が、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
投与が、免疫細胞による1以上のサイトカインまたはケモカインの産生を誘導する、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
1以上のサイトカインまたはケモカインが、炎症促進性サイトカインまたはケモカインである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
投与が、免疫細胞による細胞または病原体の食作用を誘導する、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
投与が、細胞または病原体の殺滅をもたらす、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
投与が、細胞または病原体の不活性化をもたらす、請求項60~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
対象が、ウイルス感染症を有するか、またはウイルス感染症を発症するリスクがある対象である、請求項60~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
対象が、がんを有するか、またはがんを発症するリスクがある対象である、請求項60~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
がんが、転移性がんである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
対象が、哺乳動物である、請求項60~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
対象が、ヒトである、請求項60~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
対象が、ヒト新生児、ヒト乳児、ヒト成人、または高齢のヒトである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
対象が、伴侶動物、研究動物、または家畜である、請求項60~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
投与が、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または吸入である、請求項60~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
投与が、2回以上行われる、請求項60~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
投与が、予防的である、請求項60~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
疾患の処置または疾患のリスクの低下を必要とする対象において疾患を処置するかまたは疾患のリスクを低下させるための方法であって、方法が、有効量の請求項1~57のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項58もしくは請求項59に記載の組成物を対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項97】
疾患が、ウイルス、細菌、寄生生物、真菌、またはがんによって引き起こされる疾患である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ウイルスが、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
ウイルスが、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである、請求項97または請求項98に記載の方法。
【請求項100】
ウイルスが、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である、請求項97または請求項98に記載の方法。
【請求項101】
ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である、請求項97または請求項98に記載の方法。
【請求項102】
ウイルスが、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項97または請求項98に記載の方法。
【請求項103】
細菌が、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio cholera種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種である、請求項97に記載の方法。
【請求項104】
寄生生物が、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種である請求項97に記載の方法。
【請求項105】
寄生生物が、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
がんが、血液がん、肺がん、乳がん、脳がん、胃腸がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、子宮内膜がん、筋肉がん、骨がん、神経内分泌がん、結合組織がん、頭頸部がん、または皮膚がんである請求項97に記載の方法。
【請求項107】
がんが、転移性がんである、請求項97または請求項106に記載の方法。
【請求項108】
対象が、哺乳動物である、請求項96~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
対象が、ヒトである、請求項96~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
対象が、ヒト新生児、ヒト乳児、ヒト成人、または高齢のヒトである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
対象が、伴侶動物、研究動物、または家畜である、請求項96~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
投与が、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または吸入である、請求項96~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
投与が、2回以上行われる、請求項96~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
投与が、予防的である、請求項96~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
表1に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む、抗体。
【請求項116】
抗体が、配列番号6~17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項115に記載の抗体。
【請求項117】
表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む、抗体。
【請求項118】
抗体が、配列番号19~27のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項117に記載の抗体。
【請求項119】
配列番号38のアミノ酸配列を含む、抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年1月19日に出願された米国仮特許出願第63/300,995号;および2022年11月8日に出願された米国仮特許出願第63/423,667号;に対する35 U.S.C.§119(e)の下での優先権の利益を主張し、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書において組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究
本発明は、国立衛生研究所によって授与された認可番号AI150593の下において政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
フラグメント結晶化可能(Fc)受容体は、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球および肥満細胞を包含する多くの免疫細胞型の細胞膜上に位置する免疫グロブリン受容体である。これらの細胞は、典型的には、ウイルス、微生物病原体、およびがん細胞の表面に位置するものなどの抗原を直接標的化する限られた能力しか有さない。しかしながら、これらの免疫細胞は、それらの表面のFc受容体を介してポリクローナル抗体へ結合することができる。次いで、これらのポリクローナル抗体は、細胞(細菌、寄生生物、および真菌を包含する)またはウイルスの表面に位置する抗原へ結合することができ、それによって免疫細胞がこれらの標的に作用することを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
概要
免疫系は、種々の特殊化された細胞型を包含し、それらの多くは、ウイルス、外来細胞、特に病原性微生物(例として、細菌、寄生生物、および真菌)、および外来ではないがある特定の有害な表現型変化を受けた細胞(例として、損傷細胞、ウイルス感染細胞、およびがん細胞などの形質転換細胞)を能動的に標的化および排除する役割を果たす。免疫細胞は、この広範囲の病原性またはそうでなければ危険な細胞型から宿主を保護するが、これらの免疫細胞は、一般に、それらの標的に直接結合することができない。代わりに、多くの特殊化された免疫細胞は、それらの表面のFc受容体を介してそれらの宿主によって産生される免疫グロブリンへ結合し、免疫グロブリンは、次いで、標的細胞または病原体の表面に位置する特定の抗原に対して特異的である。この系は、広範囲の可能な標的に対して有効な免疫を可能にするが、いずれかの所与の時間にて宿主中に存在する特定の抗原に対して特異的な免疫グロブリンの量によって制限される。所与の標的抗原に対して特異的な免疫グロブリンのレベルは、例えば天然の感染によって、またはその特定の抗原による意図的な免疫化によって、これらの抗原への事前の曝露を必要とする。
【0005】
宿主免疫グロブリンの特異性にかかわらず、免疫細胞と潜在的な標的との間の相互作用を増強する分子は、様々な疾患の処置および防止にとって特に有用であろう。本明細書に記載されているのは、かかる分子を設計および産生するための1つの戦略であり、これは、宿主によって産生された免疫グロブリンに対して特異的な第1の薬剤を、細胞または病原体の表面の抗原に対して特異的な第2の薬剤にコンジュゲートすることに関与する。カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖などの広範囲の宿主免疫グロブリンによって共有される構造的特徴へ特異的に結合する第1の薬剤を選択することによって、かかるコンジュゲートは、ウイルスまたは細胞表面抗原および広範囲の宿主免疫グロブリンのいずれか1つへ同時に結合することができ、次いで、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージまたは骨髄系統の他の細胞などのFc受容体陽性免疫細胞へ結合することができる。このようにして、これらのコンジュゲートが使用されて、免疫細胞を標的へ連結させる免疫グロブリンのクローン性または特異性に頼ることなく、Fc受容体陽性免疫細胞を標的細胞または病原体に動員され得る。これらのコンジュゲートは、免疫細胞をいずれかの考えられる抗原に標的化するように調整されてもよく、対象における特定の細胞または病原体に対する免疫応答を増強または誘発するために有用である。
【0006】
本開示のいくつかの側面は、免疫グロブリンへ結合する第1の薬剤と、細胞または病原体の表面の標的へ結合する第2の薬剤とを含むコンジュゲートであって、第1の薬剤および第2の薬剤が、化学反応においてリンカーを介して共有結合的にコンジュゲートされるコンジュゲートを提供する。
【0007】
いくつかの態様において、第1の薬剤は、抗原へ結合することが可能な可変領域を含む抗体フラグメントである。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、重鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、第1の薬剤は、単一ドメイン抗体フラグメントである。いくつかの態様において、コンジュゲートによって動員される免疫グロブリンは、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を含む。いくつかの態様において、免疫グロブリンカッパ軽鎖はヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖であり、および免疫グロブリンラムダ軽鎖はヒト免疫グロブリンラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、第1の薬剤は、ヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖へ結合する。
【0008】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー、または抗体を含む。いくつかの態様において、第2の薬剤は、単一ドメイン抗体である抗体である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、対象へ投与されたときに治療効果を有する。
【0009】
いくつかの態様において、リンカーは、切断可能な、または切断不可能なリンカーを含む。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーを含む。いくつかの態様において、切断可能なリンカーは、ペプチド、ジスルフィド、またはヒドラゾンリンカーである。
【0010】
いくつかの態様において、細胞は、病原体によって感染された細胞、がん細胞、形質転換細胞、健康な細胞、細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞である。いくつかの態様において、病原体は、ウイルス、細菌、寄生生物、または真菌である。
【0011】
いくつかの態様において、病原体は、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスから選択されるウイルスである。
【0012】
いくつかの態様において、インフルエンザウイルスは、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼまたはインフルエンザウイルスヘマグルチニンへ結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼへ結合する小分子を含む。いくつかの態様において、第2の薬剤は、ザナミビルまたはその類似体を含む。いくつかの態様において、リンカーは、トリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼへ結合する抗体または抗体フラグメントを含む。
【0013】
いくつかの態様において、コロナウイルスは、ベータコロナウイルスである。いくつかの態様において、ベータコロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、MERS-CoVスパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質へ結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、MERS-CoVスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDへ結合する。
【0014】
いくつかの態様において、レンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120へ結合する。
【0015】
いくつかの態様において、ニューモウイルスは、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、RSV融合(F)タンパク質へ結合する。
【0016】
いくつかの態様において、病原体は、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio cholera種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種から選択される細菌である。
【0017】
いくつかの態様において、病原体は、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種から選択される寄生生物である。いくつかの態様において、Plasmodiumは、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、プラスモジウム表面タンパク質へ結合する。いくつかの態様において、プラスモジウム表面タンパク質は、メロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)である。いくつかの態様において、第2の薬剤はMSP-1へ結合する抗体であり、任意に、抗体はナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、表1に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つと少なくとも80%(例として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%%)同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの態様において、がん細胞は、血液がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、胃腸がん細胞、肝臓がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、卵巣がん細胞、精巣がん細胞、前立腺がん細胞、子宮内膜がん細胞、筋肉がん細胞、骨がん細胞、神経内分泌がん細胞、結合組織がん細胞、頭頸部がん細胞、または皮膚がん細胞である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、腫瘍関連抗原へ結合する。いくつかの態様において、腫瘍関連抗原は、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)タンパク質、MHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)タンパク質、葉酸受容体、フィブロネクチンスプライスバリアント、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR-2)、C-X-Cケモカイン受容体4型(CXCR4)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子表面受容体(uPAR)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮カドヘリン(ECAD)、癌胎児性抗原(CEA)、またはメソテリン(MSLN)を含む。いくつかの態様において、第2の薬剤は、MICAへ結合する抗体であり、任意に、抗体はナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19~27のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康な骨髄細胞である。いくつかの態様において、骨髄関連抗原は、分化抗原群45(CD45)である。
【0020】
いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康な免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康なT細胞またはB細胞である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、免疫細胞関連抗原へ結合する。いくつかの態様において、免疫細胞関連抗原は、分化抗原群4(CD4)、分化抗原群8(CD8)、T細胞受容体(TCR)、またはB細胞受容体(BCR)である。
【0021】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、対象へ投与されたときに治療効果をもたらす。いくつかの態様において、コンジュゲートは、対象へ投与されたときに、フラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する1以上の免疫細胞と細胞または病原体との間の会合を増強する。いくつかの態様において、コンジュゲートは、対象へ投与されたときに細胞または病原体の殺滅をもたらす。いくつかの態様において、コンジュゲートは、対象へ投与されたときに細胞または病原体の不活性化をもたらす。いくつかの態様において、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0022】
別の側面において、本開示は、本明細書に記載のコンジュゲートのいずれか1つを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、かかる組成物は、薬理学的に許容し得る賦形剤をさらに含む。
【0023】
別の側面において、本開示は、対象における細胞または病原体に対する免疫応答を増強するための方法であって、有効量の本明細書に記載のコンジュゲートまたは組成物のいずれか1つを対象へ投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、細胞は、病原体によって感染された細胞、がん細胞、形質転換細胞、健康な細胞、細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞である。いくつかの態様において、病原体は、ウイルス、細菌、寄生生物、または真菌である。いくつかの態様において、細胞は、対象の細胞である。
【0024】
いくつかの態様において、病原体は、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスから選択されるウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である。いくつかの態様において、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの態様において、ウイルスは、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。
【0025】
いくつかの態様において、病原体は、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio cholera種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種から選択される細菌である。
【0026】
いくつかの態様において、病原体は、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種から選択される寄生生物である。いくつかの態様において、寄生生物は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである。
【0027】
いくつかの態様において、がん細胞は、血液がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、胃腸がん細胞、肝臓がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、卵巣がん細胞、精巣がん細胞、前立腺がん細胞、子宮内膜がん細胞、筋肉がん細胞、骨がん細胞、神経内分泌がん細胞、結合組織がん細胞、頭頸部がん細胞、または皮膚がん細胞である。
【0028】
いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康な骨髄細胞である。
【0029】
いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康な免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康なT細胞またはB細胞である。
【0030】
いくつかの態様において、免疫応答は、自然免疫応答を含む。いくつかの態様において、コンジュゲートは、細胞または病原体および対象の免疫グロブリンへ結合し、免疫グロブリンは、その表面にフラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する対象の免疫細胞へさらに結合する。いくつかの態様において、対象の免疫グロブリンは、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を含む。いくつかの態様において、対象の免疫グロブリンは、免疫グロブリンカッパ軽鎖を含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である。いくつかの態様において、投与は、免疫細胞による1以上のサイトカインまたはケモカインの産生を誘導する。いくつかの態様において、1以上のサイトカインまたはケモカインは、炎症促進性サイトカインまたはケモカインである。いくつかの態様において、投与は、免疫細胞による細胞または病原体の食作用を誘導する。いくつかの態様において、投与は、細胞または病原体の殺滅をもたらす。いくつかの態様において、投与は、細胞または病原体の不活性化をもたらす。
【0031】
いくつかの態様において、対象は、ウイルス感染症を有するか、またはウイルス感染症を発症するリスクがある対象である。いくつかの態様において、対象は、がんを有するか、またはがんを発症するリスクがある対象である。いくつかの態様において、がんは転移性がんである。いくつかの態様において、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、ヒト新生児、ヒト乳児、ヒト成人、または高齢のヒトである。いくつかの態様において、対象は、伴侶動物、研究動物、または家畜である。
【0032】
いくつかの態様において、投与は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または吸入である。いくつかの態様において、投与は2回以上行われる。いくつかの態様において、投与は予防的である。
【0033】
別の側面において、本開示は、疾患の処置または疾患のリスクの低下を必要とする対象において疾患を処置するかまたは疾患のリスクを低下させるための方法であって、有効量の本明細書に記載のコンジュゲートまたは組成物のいずれか1つを対象へ投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、疾患は、ウイルス、細菌、寄生生物、真菌、またはがんによって引き起こされる疾患である。
【0034】
いくつかの態様において、ウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である。いくつかの態様において、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの態様において、ウイルスは、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。
【0035】
いくつかの態様において、細菌は、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio cholera種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種である。
【0036】
いくつかの態様において、寄生生物は、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種である。いくつかの態様において、寄生生物は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである。
【0037】
いくつかの態様において、がんは、血液がん、肺がん、乳がん、脳がん、胃腸がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、子宮内膜がん、筋肉がん、骨がん、神経内分泌がん、結合組織がん、頭頸部がん、または皮膚がんである。いくつかの態様において、がんは転移性がんである。
【0038】
いくつかの態様において、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、ヒト新生児、ヒト乳児、ヒト成人、または高齢のヒトである。いくつかの態様において、対象は、伴侶動物、研究動物、または家畜である。
【0039】
いくつかの態様において、投与は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または吸入である。いくつかの態様において、投与は2回以上行われる。いくつかの態様において、投与は予防的である。
【0040】
本開示の他の側面は、表1に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む抗体を提供する。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つと少なくとも80%(例として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%%)同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0041】
本開示の他の側面は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む抗体を提供する。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19~27のいずれか1つと少なくとも80%(例として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%%)同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19~27のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0042】
上記の概要は、本明細書において開示される技術の態様、利点、特徴、および使用のいくつかを非限定的に説明することを意味する。本明細書において開示される技術の他の態様、利点、特徴、および使用は、詳細な記載、図面、例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面の簡単な記載
添付の図面は、縮尺通りに描かれていない。図面において、様々な図に示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図面で標識されていないことがある。図面において:
【
図1A-1C】
図1A:ナノボディ-薬物付加物が対象における細胞および/または病原体に対する免疫を増強する機構を示す概略図。ナノボディ-薬物付加物は、宿主免疫グロブリンのカッパ軽鎖へ結合するのに十分な親和性を有する抗体フラグメント(例として、VHH
カッパ)を含み、これは、次いで、宿主免疫細胞上のFc rQVQeceptorと相互作用する。同時に、ナノボディ-薬物付加物は、標的細胞および/または病原体(例として、病原体によって感染された細胞、例として、インフルエンザウイルスによって感染された細胞)の表面へ結合するために十分である薬剤(例として、ザナミビル)を含み、宿主免疫細胞による細胞および/または病原体の不活性化および/または殺滅をもたらす。
図1B:ウイルスノイラミニダーゼ標的VHH
カッパ-ザナミビル付加物およびウイルスヘマグルチニン標的VHHカッパ-SD36付加物の作用様式の概略図。VHH
カッパとのコンジュゲーションは、ザナミビルおよびSD36の循環半減期を延長し、それらが免疫エフェクターを引き付けることによってウイルス感染細胞の殺滅を可能にする。
図1C:VHH
カッパ-ザナミビルおよびVHH
カッパ-SD36の構造。VHH
カッパ-ザナミビルは、トリグリシン修飾ザナミビルのVHH
カッパへのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって調製される。VHH
カッパ-SD36は、C末端ソルターゼ認識モチーフ(LPETG)のある遺伝的に融合したヘテロ二価ナノボディとして発現される。
【
図2】
図2:VHH
カッパが、ナノモル親和性によりマウスIgGへ結合する。VHH
カッパ-ビオチン構築物の親和性は、マウスIgG2bがコーティングされたELISAプレートを用いて評価された。HRPがコンジュゲートしたストレプトアビジンは検出のための二次試薬として使用された。SD36は、インフルエンザヘマグルチニン(HA)を認識するナノボディである。親和性は解離定数(K
-d)として報告されている。各構築物に対する結合は、カラーコードに従って示されている。
【
図3A-3C】
図3A~
図3C:Gly-Gly-Gly-ザナミビルを含む合成ナノボディ-薬物付加物における工程を示す概略図。
図3A:ザナミビルからのザナミビル標的化リガンドの合成を示す概略図。
図3B:Gly-Gly-Gly-DBCOからのGly-Gly-Gly-ザナミビルおよび
図3Aに示されるザナミビル標的化リガンドの合成を示す概略図。
図3C:VHH
カッパがソルターゼ反応(例として、SrtA)によりGly-Gly-Gly-ザナミビルへ係留し、VHH
カッパ-ザナミビルナノボディ-薬物付加物を生じることを示す概略図。
【0044】
【
図4A-4B】
図4Aおよび
図4B:
図3A~
図3Cに示されるように合成されたVHH
カッパ-ザナミビルナノボディ-薬物付加物の評価。
図4A:15%還元SDS-PAGEは、VHH
カッパ-ザナミビルがおよそ14kDaの質量のある単一種として主に合成されることを示す。
図4B.VHH
カッパ-ザナミビルの質量スペクトルは、
図3A~
図3Cに示されるように合成されたVHH
カッパ-ザナミビルの純度を示す。
【
図5A】
図5A~
図5D:VHH
カッパ-ザナミビルは、ナノモル親和性でインフルエンザノイラミニダーゼへ結合する。
図5A:Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞をインフルエンザAウイルスA/ウィスコンシン/629-D00015/2009(H1N1)に感染させ、感染後24時間以内にインフルエンザAノイラミニダーゼを発現させ、感染した時点にて、感染細胞はVHH
カッパ-ザナミビルナノボディ-薬物付加物で処置された。細胞表面に局在化したインフルエンザAノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルの親和性は、飽和結合アッセイによって評価された。VHH
カッパ-ザナミビル親和性を評価するための二次抗体として、マウスIgG-フィコエリトリン(PE)が使用された。インフルエンザAノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルのナノモル親和性は観察された結合の対数回帰から決定され、解離定数(K
d)として報告される。
【
図5B-5C】
図5B:インフルエンザAノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルの親和性は
図5Aと同様に評価されたが、代わりにMDCK細胞をインフルエンザAウイルスA/香港/8/1968(H3N2)に感染させた。インフルエンザAノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルのナノモル親和性は観察された結合の対数回帰から決定され、解離定数(K
d)として報告される。
図5C:Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞をインフルエンザBウイルス--B/フロリダ/4/2006に感染させ、感染後24時間以内にインフルエンザBノイラミニダーゼを発現させ、感染した時点にて、感染細胞はVHH
カッパ-ザナミビルナノボディ-薬物付加物で処置された。細胞表面に局在化したインフルエンザBノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルの親和性は、飽和結合アッセイによって評価された。VHH
カッパ-ザナミビル親和性を評価するための二次抗体として、マウスIgG-フィコエリトリン(PE)が使用された。インフルエンザBノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルのナノモル親和性は観察された結合の対数回帰から決定され、解離定数(K
d)として報告される。
【
図5D】
図5D:インフルエンザBノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルの親和性は
図5Aと同様に評価されたが、代わりにMDCK細胞をインフルエンザBウイルス-B/ブリスベン/60/2008に感染させた。インフルエンザBノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビルのナノモル親和性は観察された結合の対数回帰から決定され、解離定数(K
d)として報告される。
【0045】
【
図6A】
図6A~
図6E:VHH
カッパ-ザナミビルの単回腹腔内注射は、致死的なインフルエンザ感染に対してマウスを保護する。
図6A:0日目にて、マウスをインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934(H1N1)(10 LD
50)50mLに感染させた。マウスは、腹腔内PBS対照、感染後0日目にて、単回用量のVHH
カッパ-ザナミビルもしくはその構成成分を腹腔内に受けるか、または感染後0、2および4日目にて、VHH
カッパ-ザナミビルの用量を腹腔内に受けた。感染マウスの体重の変化パーセントは、感染後最大14日間、毎日モニタリングされた。カラーコードに従って示されているように、マウスはVHH
カッパ-ザナミビルまたはその構成成分で処置された。
【
図6B-6C】
図6B:感染マウスは
図6Aと同様に処置され、生存率が感染後最大14日間、毎日モニタリングされた。感染後0日目に1mg/kg以上のVHH
カッパ-ザナミビルで処置されたマウスは、感染後14日以内にインフルエンザ致死性を示さなかった。カラーコードに従って示されているように、マウスはVHH
カッパ-ザナミビルまたはその構成成分で処置された。
図6C:感染マウスは
図6Aと同様に処置され、生存率は感染後最大14日間、毎日モニタリングされた。示されたインフルエンザウイルスの異なる株に対するVHH
カッパ-ザナミビルの有効性。
【
図6D-6E】
図6D:感染後1、2または3日目のVHH
カッパ-ザナミビルの遅延添加。
図6E:VHHカッパ-ザナミビルの単回投与の7日後の、インフルエンザA/プエルトリコ/8/1934(H1N1)によるマウスの感染。
【
図7A-7B】
図7A~
図7E:銅を含まないクリック反応によるSD36-VHカッパ付加物の合成。
図7A:SD36-アジド、ソルターゼAの合成は、トリグリシンアジド-リジンペプチドのSD36のC末端への付加を触媒する。
図7B:VHH
カッパ-DBCO、ソルターゼAの合成は、トリグリシンDBCO官能化システインペプチドの抗マウスVHH
カッパのC末端への付加を触媒する。
【
図7C-7D】
図7C:SD36-アジドは、銅を含まないクリック反応によってVHH
カッパ-DBCOにコンジュゲートされる。
図7D:遺伝子融合抗マウスVHH
カッパ-SD36の概略図。
【
図7E】
図7E:15%還元SDS-PAGEは、VHH
カッパ-SD36がおよそ30kDaの質量のある単一種として主に合成されることを示す。VHH
カッパ-SD36の質量スペクトルは純度を示す。
【0046】
【
図8A-8B】
図8A~
図8C:VHH
カッパ-ビオチン、VHH
カッパ-SD36-ビオチンおよびSD36-ビオチンの合成。
図8A:ソルターゼAは、トリグリシンビオチン官能化システインペプチドの抗マウスVHH
カッパのC末端への付加を触媒する。
図8B:ソルターゼAは、トリグリシンビオチン官能化システインペプチドの、遺伝子融合抗マウスVHH
カッパ-SD36コンジュゲートのC末端への付加を触媒する。
【
図8C】
図8C:ソルターゼAは、トリグリシンビオチン官能化システインペプチドのSD36のC末端への付加を触媒する。
【
図9A-9C】
図9A~
図9C:種々のインフルエンザウイルスヘマグルチニンに対するSD36およびVH-
カッパ-SD36の結合親和性。
図9A:インフルエンザウイルス感染MDCK細胞上に発現したSD36ビオチンのヘマグルチニン(HA)への飽和結合曲線。ストレプトアビジン-フィコエリトリン(PE)が使用され、HAへ結合したSD36-ビオチンの量が定量された。
図9B:インフルエンザウイルス感染MDCK細胞上に発現したヘマグルチニン(HA)への抗マウスVHH
カッパ-SD36-ビオチン(遺伝子融合)の飽和結合曲線。ストレプトアビジン-フィコエリトリン(PE)が使用され、HAへ結合した抗マウスVHH
カッパ-SD36-ビオチンの量が定量された。
図9C:インフルエンザウイルス感染MDCK細胞上に発現したヘマグルチニン(HA)への抗マウスVHH
カッパ-SD36(クリック反応によるC体Cのコンジュゲーション)の飽和結合曲線。マウスIgG-フィコエリトリン(PE)が使用され、HAへ結合した抗マウスVHH
カッパ-SD36の量が定量された。データは平均値±SDとして提示される(n=3)。
【
図10A-10C】
図10A~
図10C:VHH
カッパ-SD36の単回腹腔内注射は、致死的なインフルエンザウイルス感染に対して保護する。マウスに50μLのインフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934(H1N1)(=10 LD
50)を鼻腔内感染させた。マウスは、単回用量の抗マウスVHH
カッパ-SD36遺伝子融合物、すなわち、
図10A、または抗マウスVHH
カッパ-SD36(クリック反応によるC対Cのコンジュゲーション、
図10B)、すなわち、
図10Bを感染当日に腹腔内に受けた。
図10C、感染後1、2または3におけるVHH
カッパ-SD36の遅延添加。初期体重の25%を超えて減少したか、または瀕死になったマウスは生存曲線について死亡とみなされた。体重変化曲線(左)および生存曲線(右)が各処置について示されている。体重変化値(%)は平均値±SDとして示される。
【
図11A-11B】
図11Aおよび
図11B:SD36-DFO(キレート化した
89Zr)およびVHHカッパ-SD36-DFO(キレート化した
89Zr)の調製。
図11A:ソルターゼAは、トリグリシンデスフェリオキサミン(DFO)ペプチドのSD36のC末端への付加を触媒する。ジルコニウム-89(
89Zr)は、pH 7の下で室温にてDFOとキレート化する。
図11B:ソルターゼAは、トリグリシンデスフェリオキサミン(DFO)ペプチドの抗マウスVHHカッパ-SD36コンジュゲートのC末端への付加を触媒する。ジルコニウム-89(
89Zr)は、pH 7の下で室温にてDFOとキレート化する。
【0047】
【
図12】
図12:VHH
カッパ-SD36-DFO(キレート化した
89Zr)およびSD36-DFO(キレート化した
89Zr)を使用するインフルエンザウイルス感染の免疫PETイメージング。マウスに50μLのインフルエンザウイルスA/香港/8/1968(H3N2)(=10 LD
50)を鼻腔内感染させた。感染後4日目にて、マウスは、60μCiのSD36-DFO(キレート化した
89Zr)または抗マウスVHH
カッパ-SD36-DFO(キレート化した
89Zr)の単回用量を後眼窩注射された。マウスは、PETスキャナーで10分間スキャンされた。画像は、同じ強度設定を使用してVivoquantにより処理された。造影剤の注入後の異なる時点にて画像が撮影された。造影剤注射の48時間後にて撮影された画像が拡大され、マウスの胸部における詳細なウイルス感染が確認された。
【
図13A-13D】
図13A~
図13D:VHHナノボディは、Plasmodium falciparumメロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)へ特異的に結合する。
図13A:PfMSP-1プロペプチドおよび4つの包括的サブユニット:p83、p30、p38およびp42の概略図。
図13B:精製抗p84 B4、抗p38 B8、抗p42 A6および抗p42 G11 VHHはビオチン化され、これらのVHHは、示されるようにプレート結合サブユニットタンパク質と共にインキュベートされた。ストレプトアビジン-HRPおよびテトラメチルベンジジン(TMB)を使用することによって結合ELISAが検出された。データは光学濃度(OD)として表される。エラーバーはSEMを示す。
図13C:3つのPfMSP-1サブユニット、全長p190プロペプチド、および約38~44時間の3D7シゾントからのいくつかの3D7溶解物に対するVHHのウエスタンブロット。
図13D:蛍光(Cy5)標識VHHを使用する、同期した約38~44時間の3D7シゾントのフローサイトメトリー。
【
図14A-14C】
図14A~
図14C:銅を含まないクリック反応によるVHH
カッパ-VHH7付加物の合成。
図14A:VHH7-アジド、ソルターゼAの合成は、トリグリシンアジド-リジンペプチドのVHH7のC末端への付加を触媒する。
図14B:VHH
カッパ-DBCO、ソルターゼAの合成は、トリグリシンDBCO官能化システインペプチドの抗マウスVHH
カッパのC末端への付加を触媒する。
図14C:VHH7-アジドは、銅を含まないクリック反応によりVHH
カッパ-DBCOにコンジュゲートされる。
【
図14D】
図14D:6~9週齢の雌BALB/cマウスに10 LD
50のインフルエンザウイルスを感染させた。マウスは、示された用量のVHH
カッパ-SD36、VHH
カッパとSD36との混合物、または等量のPBSで腹腔内注射によって処置された。マウスは、体重の25%が減少したかまたは瀕死になったときに、安楽死させた。体重減少曲線(左)および生存曲線(右)が示されている。体重減少曲線については、体重変化(%)値は平均値±標準偏差を表す。いずれかの2群間の14日間にわたる体重変化%の平均値は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVA分析を使用して比較され、示された群とPBS処置群との間の統計的差異が示されている(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、表.S1のすべての比較およびP値を参照されたい)。生存曲線については、示された群とPBS処置群との間の統計的差異がLog-rank(Mantel-Cox)検定によって計算された(*P<0.05、**P<0.01)。
【0048】
【
図15A-15B】
図15Aおよび
図15B:VHH
カッパ-VHH7付加物によって誘導されたA20細胞の補体依存性細胞毒性(CDC)。
図15A:補体依存性細胞毒性アッセイの実験手順を示す概略図。
図15B:VHHによって誘導された細胞毒性パーセントを示す棒グラフ。エラーバーは標準偏差を表す(n=4)。
【
図16A-16B】
図16Aおよび
図16B:VHH
カッパ-VHH7付加物によって誘導されたA20細胞の抗体依存性細胞毒性(ADCC)。
図16A:抗体依存性細胞性細胞毒性アッセイの実験手順を示す概略図。
図16B:VHHによって誘導された全細胞溶解パーセントを示す棒グラフ。エラーバーは標準偏差を表す(n=3)。
【
図17A-17C】
図17A~
図17E:MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)特異的ナノボディの開発。
図17A:同定され、pHen6発現ベクター中へクローニングされた9つのMICA特異的ナノボディのアミノ酸配列の比較。
図17B:全細胞溶解物中の精製MICA*009抗原に対するビオチン化A1およびH3抗MICAナノボディクローンの特異的結合を示す免疫ブロット。
図17C:抗MICAナノボディの結合エピトープを決定するためのELISA交差競合アッセイの定量。単一のナノボディ単独と比較して450nmにて測定された強度の低下は、同じエピトープへの結合を示す。A1(左)およびH3(右)抗MICAナノボディクローンについて交差競合が示されている。
【
図17D-17E】
図17D:ELISAによって決定される、MICA対立遺伝子産物への抗MICAナノボディ結合の定量。コーティングされていないELISA対照と比較して450nmにて測定された強度の有意な増加は、結合を示す。
図17E:A1およびH3抗MICAナノボディクローンを使用して、空のベクター、MICA、またはMHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)でトランスフェクトされたB16F10細胞のフローサイトメトリー。
【0049】
【
図18A-18B】
図18A~
図18C:マウス免疫グロブリンに対するVHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンの親和性。
図18A:VHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンのマウスポリクローナルIgGへの飽和結合曲線。
図18B:VHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンのモノクローナルマウスIgMへの飽和結合曲線。
【
図18C】
図18C:VHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンのELISAプレートにコーティングされたマウスポリクローナルIgAへの飽和結合曲線。ストレプトアビジン-フィコエリトリン(PE)が使用され、マウス免疫グロブリンへ結合したVHHの量が定量された。
【
図19A-19B】
図19A~
図19B:ノイラミニダーゼ阻害アッセイ。VHH
カッパ-ザナミビル、ALB1-ザナミビル、ザナミビル、およびVHH
カッパのノイラミニダーゼ阻害活性は、NA-Star(商標)Influenza Neuraminidase Inhibitor Resistance Detection Kitによって測定された。種々のインフルエンザ株がノイラミニダーゼ源として使用された。
図19A:試験された分子の最大半量阻害濃度(IC50)値のまとめ。
図19B:試験された分子の用量阻害曲線。
【
図20A-20B】
図20A~
図20B:VHH
カッパ-SD36のインフルエンザウイルス感染MDCK細胞上に発現したヘマグルチニンへの飽和結合曲線。マウスIgG-フィコエリトリン(PE)が使用され、ヘマグルチニンへ結合したVHH
カッパ-SD36の量が定量された。データは平均値±標準偏差を表す(n=3)。
【
図21】
図21:VHH
カッパ-ザナミビル、MEDI8852、およびVHH
カッパ-E11の間の治療有効性の比較。6~9週齢の雌BALB/cマウスに10 LD
50のインフルエンザウイルスを感染させた。マウスは、示された用量のVHH
カッパ-ザナミビル、MEDI8852、またはVHH
カッパ-E11(SARS CoV-2スパイク特異的ナノボディ)で腹腔内注射によって処置された。マウスは、体重の25%が減少したかまたは瀕死になったときに、安楽死させた。体重減少曲線(左)および生存曲線(右)が示されている。体重減少曲線については、体重変化%は、平均値±標準偏差を表す。いずれかの2群間の14日間にわたる体重変化%の平均値は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVA分析を使用して比較された。示された群とPBS処置群との間の統計的差異が示されている(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。生存曲線については、示された群とPBS処置群との間の統計的差異がLog-rank(Mantel-Cox)検定によって計算された(*P<0.05、**P<0.01)。
【0050】
【
図22A-22B】
図22A~
図22B:PETイメージングのためのSD36-DFOおよびVHH
カッパ-SD36-DFOの調製。
図22A:ナノボディへのトリグリシン修飾DFOのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって、ナノボディ-DFO付加物が調製された。
図22B:SD36-DFO(左)およびVHH
カッパ-SD36-DFO(右)の最終生成物はSDS-PAGEによって分析された。
【
図23A-23C】
図23A~
図23E:VHH
カッパ-ザナムビルはCDCおよびADCCを誘導する。
図23A:インフルエンザウイルス感染MDCK細胞は、ウサギ補体およびマウスポリクローナルマウスIgGの存在下で、VHH
カッパ-ザナミビルによって殺滅された。VHH
カッパ-ザナミビル処置群と個々の構成成分を混合物として処置された群との細胞毒性%の差はt検定によって分析された(データは平均値±標準偏差を表す、n=5、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。
図23B:ウイルス感染MDCK細胞は、VHH
カッパ-ザナムビルおよびマウスポリクローナルマウスIgGの存在下でのマウスFcγRIV受容体の係合の際に、ルシフェラーゼを発現するレポーター細胞においてルシフェラーゼの発現を誘導した。ADCCの誘導は、示された試料のルミネセンス強度を、ウイルス感染細胞およびVHHのないレポーター細胞を含有する対照試料の平均値で割ることによって計算された。VHH
カッパ-ザナミビル処置群と個々の構成成分の混合物で処置された群との間の誘導倍率の差はt検定によって分析された(データは平均値±標準偏差を表す、n=5、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。結果は、CDCアッセイおよびADCCアッセイについての少なくとも2つの独立した実験を表す。
図23C:VHH
カッパ-ザナミビルとALB1-ザナミビルとの間の有効性の比較のための体重減少曲線(左)および生存曲線(右)。
【
図23D-23E】
図23D:
89Zrで標識された構築物の後軌道注入後のナノボディのクリアランス速度の測定。10μLの全血(y軸)からの毎分カウント(CPM)としての
89Zr崩壊率の個々の各測定値は、構築物(x軸:10分、1時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および144時間)の最初の注射後の各採血時点についての青色の正方形(VHH
カッパ-DFO-
89Zr、n=3)、赤色の円(ALB1-DFO-
89Zr、n=4)または黒色の三角形(SD36-DFO-
89Zr、n=3)として示されている。すべてのマウスは、250μCiの初期用量の
89Zr標識VHH(VHH 1mg/kgに等しい)を受けた。各データ点は平均値±標準偏差を表す。各VHHの半減期(速い相および遅い相)は、二相減衰モデルを使用して推定された。注射後最初の144時間にわたる総VHH曝露は、経時的に血液中のVHH濃度を積分することによって計算された。これは、「曲線下面積」(AUC)として表される。
図23E:抗マウスVHH
カッパ-ザナミビル+マウスポリクローナルIgGを受けたウイルス感染Rag1ノックアウトマウスの体重減少曲線(左)および生存曲線(右)。パネル(C)および(E)について、体重変化の%はパネル(C)の平均値±標準偏差を表し、一方、個々のマウスの体重変化曲線はパネル(E)に示されている。いずれかの2群間の14日間にわたる体重変化%の平均値は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVA分析を使用して比較された。示された群とPBS処置群との間の統計的差異が示されている(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。生存曲線については、示された群とPBS処置群との間の統計的差異がLog-rank(Mantel-Cox)検定によって計算された(*P<0.05、**P<0.01)。
【0051】
【
図24A】
図24Aおよび
図24B:VHH
カッパ-SD36はADCCを誘導するが、CDCを誘導しない。
図24A:ウイルス感染MDCK細胞は、VHH
カッパ-SD36およびマウスポリクローナルマウスIgGの存在下でのマウスFcγRIV受容体の係合の際に、ルシフェラーゼを発現するレポーター細胞においてルシフェラーゼの発現を誘導した。誘導倍率は、示された試料のルミネセンス強度を、ウイルス感染細胞およびVHHのないレポーター細胞を含有する対照試料の平均値で割ることによって計算された。VHH
カッパ-SD36処置群と個々の構成成分の混合物で処置された群との間の誘導倍率の差はt検定によって分析された(データは平均値±標準偏差を表す、n=5、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。
【
図24B】
図24B:インフルエンザウイルス感染MDCK細胞は、ウサギ補体およびポリクローナルマウスIgGの存在下で、VHH
カッパ-SD36によって有意に殺滅しなかった。VHH
カッパ-SD36処置群と個々の構成成分を混合物として処置された群との細胞毒性%の差はt検定によって分析された(データは平均値±標準偏差を表す、n=5、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。結果は、ADCCアッセイおよびCDCアッセイについての少なくとも2つの独立した実験を表す。
【
図25A-25B】
図25Aおよび
図25B:ALB1-ザナミビルの調製。
図25A:抗血清アルブミンナノボディ(ALB1)のアミノ酸配列。ソルターゼ認識モチーフ(LPETG)がナノボディのC末端に付着している。
図25B:ALB1-ザナミビルは、トリグリシン修飾ザナミビルのALB1へのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって調製された。最終生成物であるALB1-ザナミビルの特定は、SDS-PAGE(左)および質量分析(右)によって確認された。
【
図26】
図26:PETイメージングのためのVHH
カッパ-DFO、ALB1-DFO、およびSD36-DFOの調製。トリグリシン修飾DFOのナノボディへのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって、ナノボディ-DFO付加物が調製された。ナノボディ-DFO付加物はSDS-PAGE(各ゲルについて、左から右への順に:1:ソルターゼ、2:非コンジュゲートナノボディ、3:反応混合物、4~9:PD-10カラム溶出後に得られた異なる画分、ゲル上の#6として示されているナノボディ-DFO付加物はPETイメージングに使用された)によって分析された。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ある特定の態様についての詳細な記載
本開示のいくつかの側面は、細胞または病原体の表面に位置する抗原と、カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖の配列などの宿主において産生される多くの別個の免疫グロブリンによって共有される構造的特徴との両方へ特異的に結合するコンジュゲート分子が、宿主免疫グロブリンのクローン性または特異性に関係なく、細胞表面Fc受容体のある免疫細胞を、抗原を発現する細胞または病原体に動員するために使用されてもよいという知見に少なくとも部分的に基づく。本明細書に記載されているように、これらのコンジュゲートは、対象における特有のウイルスまたは細胞に対する免疫応答を増強または誘発するために使用されてもよい。このアプローチは、対象における標的ウイルスまたは細胞に関連する疾患を処置する、またはそのリスクを低減するために有用である。いくつかの態様において、本明細書に記載のコンジュゲートは、病原体(例として、ウイルス、細菌、寄生生物、真菌)によって引き起こされる感染症およびがんを包含する、対象における1以上の疾患を処置するために(予防的および治療的の両方で)有用である。さらに記載されているように、開示されるコンジュゲートはまた、細胞が疾患に関連するか否かにかかわらず、対象における特有のタイプの細胞を除去するために有用である。
【0053】
コンジュゲート
理論に拘束されることを望むものではないが、自然(細胞媒介性)免疫応答の間、種々の免疫細胞型は、潜在的病原体または他の有害細胞を直接標的とし、これらの細胞を殺滅または不活性化させる(すなわち、再生が防止される)。このようにして、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球、および肥満細胞などの免疫細胞は、それらの宿主において生じる病原性感染およびがんを含有および破壊する。しかしながら、これらの免疫細胞は、一般に、そのようにするための受容体をその表面に欠くので、それらの標的と直接相互作用することが不可能である。代わりに、多くの免疫細胞は、その表面に、フラグメント結晶化可能(Fc)受容体と呼ばれる受容体タンパク質を発現する。Fc受容体は、それぞれが特定の抗原に対して特異的な対象の宿主免疫グロブリンへ結合することができる。Fc受容体に結合した免疫グロブリンが、病原体または他の標的細胞の表面に存在する抗原などのその標的抗原へ結合するとき、それは標的を免疫細胞に十分に近接させ、病原体または他の標的細胞の殺滅または不活性化をもたらす。
【0054】
この系は、広範囲の可能な標的に対する保護を可能にするが、多くの免疫細胞の有効性は、特定の抗原に対して特異的な対象における免疫グロブリンの量におおいに基づく。換言すれば、病原体またはがん細胞の表面の抗原に対して特異的な免疫グロブリンの量が不十分である場合、ある特定の免疫細胞型は、効果的な応答を開始する能力が制限される。幸いなことに、免疫応答は、Fc受容体陽性免疫細胞とそれらの標的との間の近接性を増強することが可能な分子を提供することによって、対象において増強または誘発されてもよい。本明細書において提供されるのは、宿主によって産生される免疫グロブリンに対して特異的な第1の薬剤と、細胞または病原体の表面の抗原に対して特異的な第2の薬剤との間のコンジュゲートである、かかる分子である。カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖などの多くの宿主免疫グロブリンによって共有される構造的特徴へ特異的に結合する第1の薬剤を選択することによって、これらのコンジュゲートは、標的およびFc受容体陽性免疫細胞が結合した免疫グロブリンへ同時に結合することができる。免疫細胞とその標的とを効果的に架橋することによって、これらのコンジュゲートは、第2の薬剤の標的特異性をカスタマイズするだけで、宿主免疫グロブリンの特異性に依存することなく、実質的にいずれかの潜在的な標的に対する免疫増強を可能にする。
【0055】
したがって、本開示のいくつかの側面は、免疫グロブリンへ結合する第1の薬剤と、細胞または病原体の表面の標的へ結合する第2の薬剤とを含むコンジュゲートであって、第1の薬剤および第2の薬剤が、リンカーを介して共有結合的にコンジュゲートされているコンジュゲートについて記載する。いくつかの態様において、第1の薬剤は、免疫グロブリンへ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、細胞または病原体の表面の標的に特異的に結合する。
【0056】
いくつかの態様において、第1の薬剤は、抗体またはその抗体フラグメント(例として、限定されないが、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb)などの組換え抗体フラグメント)である。いくつかの態様において、第1の薬剤は、単一ドメイン抗体であり、これは当技術分野において「ナノボディ」と代替的に呼ばれる。いくつかの態様において、第1の薬剤は、重鎖抗体である単一ドメイン抗体、すなわち、ラクダ科に属する哺乳動物種において典型的に見られるような、重鎖のみを含む免疫グロブリンに由来する単一ドメイン抗体フラグメントである。かかるフラグメントは、当技術分野において「VHH」と呼ばれ、「ナノボディ」として組換え発現される。いくつかの態様において、第1の薬剤は、組換えVHHまたはナノボディなどの組換え単一ドメイン抗体である。
【0057】
本明細書に記載のコンジュゲートの第1の薬剤は免疫グロブリンへ結合する。「免疫グロブリン」は、リンパ球または形質細胞によって産生および分泌される抗体タンパク質複合体を指す。免疫グロブリンは、典型的には、ジスルフィド結合によって互いに共有結合的に連結された1以上の重鎖および1以上の軽鎖を含む。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖はそれぞれ、免疫グロブリンクローン間で異なり、免疫グロブリンがどの抗原に結合するかを決定するアミノ酸配列を含む可変領域(例として、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)と、抗体クローンにわたって一定である定常領域(例として、重鎖定常領域および軽鎖定常領域)とを含んでもよい。免疫グロブリンは、その全体的な質量および抗原結合部位の数に従って、いくつかの構造クラス(アイソタイプ)のいずれか1つに属してもよい。例えば、免疫グロブリンは、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンD(IgD)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、または免疫グロブリンM(IgM)であってもよい。免疫グロブリンはさらに、例えばIgGサブクラス1(IgG1)、IgGサブクラス2(IgG2)、IgGサブクラス3(IgG3)、およびIgGサブクラス4(IgG4)などの特定の構造サブクラスに属してもよい。免疫グロブリンのクラスおよびサブクラスは、以下に限定されないが、その生体内分布などの免疫グロブリンの多くの機能的特性を決定する。いくつかの態様において、本明細書に記載の免疫グロブリンは、フラグメント結晶化可能(Fc)領域を含む重鎖を含む。Fc領域は、重鎖定常領域に含まれ、免疫細胞(例として、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球、肥満細胞)の表面のFc受容体などのFc受容体への結合に必要である。すべての循環免疫グロブリンはFc領域を含む。
【0058】
本開示は、特に、カッパ(κ)軽鎖またはラムダ(λ)軽鎖である軽鎖を含む免疫グロブリンに関する。カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖は、それぞれIGK(NCBI遺伝子ID:50802)およびIGL(NCBI遺伝子ID:3535)と呼ばれる、異なる染色体(例として、ヒトでは、IGKについては第2染色体およびIGLについては第22染色体)上に位置する異なる遺伝子座内の遺伝子から発現される。いくつかの態様において、本開示の免疫グロブリンは、IGK遺伝子座から発現されるカッパ軽鎖を含む。いくつかの態様において、本開示の免疫グロブリンは、IGL遺伝子座から発現されるラムダ軽鎖を含む。
【0059】
いくつかの態様において、第1の薬剤は、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖へ結合する。いくつかの態様において、第1の薬剤は、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖へ結合するナノボディまたは単一ドメイン抗体(例として、VHH)である。いくつかの態様において、第1の薬剤は、ヒトなどの特定の種の免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖へ結合するナノボディまたは単一ドメイン抗体(例として、VHH)である。いくつかの態様において、第1の薬剤は、ヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖などの免疫グロブリンカッパ軽鎖に特異的に結合するナノボディまたは単一ドメイン抗体(例として、VHH)である。本明細書において使用される場合、VHHであり、カッパ軽鎖に対して特異的なナノボディまたは単一ドメイン抗体は、「VHHカッパ」と呼ばれる。例示的なVHHカッパアミノ酸配列は以下の通りである:
抗マウスIgGカッパ軽鎖VHH:
QVQLVESGGGWVQPGGSLRLSCAASGFTFSDTAMMWVRQAPGKGREWVAAIDTGGGYTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTARYYCAKTYSGNYYSNYTVANYGTTGRGTLVTVSSGG(配列番号1)
抗ヒトIgGカッパ軽鎖VHH:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTISRYAMSWFRQAPGKEREFVAVARRSGDGAFYADSVQGRFTVSRDDAKNTVYLQMNSLKPENTAVYYCAIDSDTFYSGSYDYWGQGTQVTVSSGG(配列番号2)
【0060】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー、または抗体もしくはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、またはナノボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb))を含む。いくつかの態様において、第2の薬剤は、小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー、または抗体もしくはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、またはナノボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb))である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、小分子(例として、小分子阻害剤)である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、抗体またはその抗体フラグメントである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、対象へ投与されたとき(例として、第2の薬剤が対象へ単独で投与されたとき)、治療効果を有する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、対象へ投与されたとき(例として、第2の薬剤が対象へ単独で投与されたとき)に治療効果を有さない。いくつかの態様において、第2の薬剤は、細胞もしくは病原体の特定の種(例として、特定のウイルス、細菌、寄生生物、真菌、またはがん細胞などのヒト細胞の表面の標的)またはある範囲の関連する種(例として、その種がそれらの表面に標的の実質的に類似するバージョンを発現する場合)の表面の標的へ特異的に結合する。
【0061】
いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、リンカーを介して共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能な、または切断不可能なリンカーを含む。「切断可能なリンカー」は、その中で1以上の共有結合が、細胞または対象において生じる条件下などのある特定の条件下で切断(破壊)されるリンカーを指す。「切断不可能な」リンカーは、あらゆる意図および目的のために、細胞または対象において生じる条件下などのある特定の条件下で効率的または確実に切断することができないリンカーを指す。当業者によく知られている切断可能なリンカーの例としては、タンパク質分解、還元および低pHによってそれぞれ切断されるペプチドリンカー(例として、Val-Cit)、ジスルフィドリンカー、およびヒドラゾンリンカーが挙げられる。切断不可能なリンカーの例としては、例えば、N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。当技術分野で公知のリンカーのさらなる例としては、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Lu,et al.“Linkers Having a Crucial Role in Antibody-Drug Conjugates”Int J Mol Sci,17(4),561.に記載のものが挙げられる。
【0062】
いくつかの態様において、リンカーは、トリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーであり、これは以下の通りである:
【化1】
【0063】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、タンパク質またはペプチド(例として、抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、またはナノボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb))であり、およびリンカーは、ペプチド結合、イソペプチド結合、またはジスルフィド結合である。いくつかの態様において、リンカーは、第1の薬剤と第2の薬剤とを連結する1以上のアミノ酸、例えば、グリシンおよび/またはセリンを含む反復リンカー、または当技術分野において一般に知られている別のアミノ酸リンカーなどを含む。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は別々に翻訳され(例として、in vitro翻訳系において、または細胞において組換え発現され)、および翻訳後に連結される。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、融合タンパク質として翻訳され(例として、in vitro翻訳系において、または細胞において組換え発現され)、ここで、第1の薬剤および第2の薬剤は、1以上のペプチド結合によって連結される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、第1の薬剤および第2の薬剤をコードする1以上の核酸(例として、DNAまたはRNA)を、原核細胞(例として、細菌)または真核細胞(例として、真菌または哺乳動物)に挿入して発現させ、続いて、例えば、アフィニティークロマトグラフィーまたはサイズおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィーなどの当技術分野において一般に知られている1以上の技法を使用してコンジュゲートを単離することによって、組換え生成される。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、異なる核酸(例として、DNAまたはRNA)によってコードされる。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、同じ核酸(例として、DNAまたはRNA)によってコードされる。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、1以上のプラスミドまたはmRNAによってコードされ、当技術分野で公知のいずれかの手段(例として、電気穿孔)によって細胞中へ挿入(トランスフェクト)される。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤をコードする核酸は、当技術分野で公知のいずれかの手段によって、ウイルスベクター(例として、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター)を使用して細胞中へ挿入(トランスフェクト)される。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤をコードする核酸は、当技術分野で公知のいずれかの手段によって細胞中へ染色体挿入される。
【0064】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、ソルターゼ酵素(例として、ソルターゼA)によって第1の薬剤へ連結される。ソルターゼは、トレオニン残基のC末端を切断し、トレオニンとソルターゼとの間にペプチド結合を生成し、続いて、別のタンパク質のN末端に転移することによって、アミノ酸モチーフLPXTG(ここで、Xはいずれかのアミノ酸である)を特異的に標的とする酵素のクラスである。いくつかの態様において、第1の薬剤(例として、VHHカッパ)のC末端は、第2の薬剤へ連結される前に、LPETGGHHHHHH(配列番号3)などのソルターゼ認識配列で標識される。いくつかの態様において、第2の薬剤は、第1の薬剤へ連結される前に、そのC末端にて、ソルターゼ認識配列で標識されているタンパク質またはペプチド(例として、抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、またはナノボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb))である。
【0065】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、病原体(例として、ウイルス、細菌、寄生生物、真菌)によって感染された細胞、がん細胞、形質転換細胞、健康な細胞、または細胞ストレスへ応答して表現型変化を受けているか、もしくは受けた細胞などの特定の細胞の表面に存在する標的へ特異的に結合する。細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞は、酸化ストレス、栄養ストレス、低酸素、熱ショック、電離放射線、重金属への曝露、または変異原への曝露、または物理的損傷によって引き起こされるがこれらに限定されない細胞ストレスに応答して表現型変化を受けているか、または受けた細胞であってもよい。
【0066】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、病原性ウイルス、細菌、寄生生物、または真菌などの病原体の表面に存在する標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、病原体はウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、アレナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ハンタウイルス、ニューモウイルス、またはエボラウイルスである。
【0067】
いくつかの態様において、ウイルスはインフルエンザウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスである。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、インフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスの表面に発現するインフルエンザウイルスノイラミニダーゼまたはインフルエンザウイルスヘマグルチニンなどのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼまたはインフルエンザウイルスヘマグルチニンである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼへ結合する小分子阻害剤などの小分子阻害剤である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、ザナミビル、オセルタミビル、ペラミビル、またはそれらの類似体を含む。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼまたはインフルエンザウイルスヘマグルチニンへ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、インフルエンザウイルスヘマグルチニンへ結合するVHHである。インフルエンザウイルスヘマグルチニンへ結合するVHHの例は以下の通りである:
抗HA VHH(SD36):
EVQLVESGGGLVQAGGSLKLSCAASGRTYAMGWFRQAPGKEREFVAHINALGTRTYYSDSVKGRFTISRDNAKNTEYLEMNNLKPEDTAVYYCTAQGQWRAAPVAVAAEYEFWGQGTQVTVSSGG(配列番号4)。
【0068】
いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤は、トリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーによって連結される。いくつかの態様において、第1の薬剤および第2の薬剤はトリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーによって連結され、第2の薬剤はザナミビルである。
【0069】
いくつかの態様において、ウイルスは、ベータコロナウイルスである。いくつかの態様において、ベータコロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、MERS-CoVスパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、MERS-CoVスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、MERS-CoVスパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質、またはMERS-CoVスパイクタンパク質RBD、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDなどの、MERS-CoV、SARS-CoV-1またはSARS-CoV-2の表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、SARS-CoV-2の表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、最初に発見されたSARS-CoV-2の表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、米国疾病管理予防センター(CDC)によって同定されている懸念される変異株(VOC)、以下に限定されないが、既存の変異株B.1.1.7(アルファ)、B.1.351(ベータ)、P.1(ガンマ)、B.1.617.2(デルタ)、B.1.427およびB.1.429(イプシロン)、B.1.525(イータ)、B.1.526(イオタ)、B.1.617.1(カッパ)、B.1.1.529(オミクロン)、B.1.621(ミュー)、およびP.2(ゼータ)変異株などのような同定されたSARS-CoV-2変異株、ならびにSARS-CoV-2についてまだ出現していない変異株の表面に発現される標的へ特異的に結合する。
【0070】
いくつかの態様において、ウイルスはレンチウイルスである。いくつかの態様において、レンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、HIVの表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、HIVエンベロープ糖タンパク質gp120などのHIVの表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。
【0071】
いくつかの態様において、ウイルスはニューモウイルスである。いくつかの態様において、ニューモウイルスは、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、RSV融合(F)タンパク質である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、RSVの表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、RSV Fタンパク質などのRSVの表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。
【0072】
いくつかの態様において、病原体は細菌である。いくつかの態様において、細菌は、Pasteurella種、Staphylococcus種、Streptococcus種、Bacillus種、Corynebacterium種、Diphtheroids種、Listeria種、Erysipelothrix種、Clostridium種、Neisseria種、Branhamella種、Escherichia種、Enterobacter種、Proteus種、Pseudomonas種、Klebsiella種、Salmonella種、Shigella種、Serratia種、Acinetobacter種、Haemophilus種、Brucella種、Yersinia種、Francisella種、Pasturella種、Vibrio種、Flavobacterium種、Pseudomonas種、Campylobacter種、Bacteroides種、Fusobacterium種、Calymmatobacterium種、Streptobacillus種、またはLegionella種である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、細菌の表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、細菌の表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(scFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。
【0073】
いくつかの態様において、病原体は寄生生物である。いくつかの態様において、寄生生物は、Plasmodium種、Trypanosoma種、Toxoplasma種、Leishmania種、またはCryptosporidium種である。いくつかの態様において、Plasmodium種は、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium vivax、Plasmodium knowlesi、Plasmodium ovale curtisi、またはPlasmodium ovale wallikeriである。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、プラスモジウム表面タンパク質、例えば、メロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)などである。いくつかの態様において、第2の薬剤は、寄生生物の表面に発現される標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、第2の薬剤は、寄生生物の表面の標的、例えば、Plasmodium種の表面の標的などへ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、またはナノボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb))である。いくつかの態様において、Plasmodium種の表面の標的は、プラスモジウム表面タンパク質、例として、メロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)である。いくつかの態様において、第2の薬剤はMSP-1へ結合する抗体であり、任意に、抗体はナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、表1に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つと少なくとも80%(例として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%%)同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号6~17のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの態様において、第2の薬剤は、がん細胞の表面に存在する標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、がん細胞は、血液がん細胞、肺がん細胞、乳がん細胞、脳がん細胞、胃腸がん細胞、肝臓がん細胞、腎臓がん細胞、膀胱がん細胞、膵臓がん細胞、卵巣がん細胞、精巣がん細胞、前立腺がん細胞、子宮内膜がん細胞、筋肉がん細胞、骨がん細胞、神経内分泌がん細胞、結合組織がん細胞、頭頸部がん細胞、または皮膚がん細胞である。いくつかの態様において、がん細胞はヒトがん細胞である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、以下に限定されないが、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)タンパク質、MHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB)タンパク質、葉酸受容体、フィブロネクチンスプライスバリアント、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR-2)、C-X-Cケモカイン受容体4型(CXCR4)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子表面受容体(uPAR)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮カドヘリン(ECAD)、癌胎児性抗原(CEA)、またはメソテリン(MSLN)などの腫瘍関連抗原である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、腫瘍関連抗原などのがん細胞の表面の標的へ結合する小分子(例として、低分子阻害剤)である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、腫瘍関連抗原などのがん細胞の表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、MICAへ結合する抗体であり、任意に、抗体はナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19~27のいずれか1つと少なくとも80%(例として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%%)同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は、配列番号19~27のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0075】
いくつかの態様において、細胞は、がん性の、または健康な骨髄細胞である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、以下に限定されないが、分化抗原群45(CD45)などの骨髄関連抗原である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、骨髄関連抗原などの骨髄細胞の表面の標的へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))である。
【0076】
いくつかの態様において、細胞は、以下に限定されないが、がん性のまたは健康なT細胞またはB細胞などのがん性の、または健康な免疫細胞である。いくつかの態様において、第2の薬剤が結合する標的は、以下に限定されないが、分化抗原群4(CD4)、分化抗原群8(CD8)、T細胞受容体(TCR)、またはB細胞受容体(BCR)などの免疫細胞関連抗原である。いくつかの態様において、第2の薬剤は、免疫細胞関連抗原へ結合する抗体またはその抗体フラグメント(例として、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、一本鎖可変フラグメント(ScFv)、または単一ドメイン抗体(sdAb))などの免疫細胞の表面の標的である。
【0077】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートは、対象へ投与されたときに治療効果をもたらす。いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートは、コンジュゲートが対象へ投与されたときに、フラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する1以上の免疫細胞(例として、1以上の免疫細胞型)と細胞または病原体との間の会合(近接)を増強する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートの対象への投与は、対象における細胞または病原体の殺滅をもたらす。いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートの対象への投与は、対象における細胞または病原体の不活性化をもたらす。いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートが治療効果をもたらす対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、本明細書において提供されるコンジュゲートが治療効果をもたらす対象は、ヒトである。
【0078】
組成物
いくつかの態様において、本開示の組成物(例として、医薬組成物)は、本明細書に記載のコンジュゲートを含む。いくつかの態様において、本開示の組成物(例として、医薬組成物)は、本明細書に記載の2以上のコンジュゲートを含む。いくつかの態様において、2以上のコンジュゲートを含む組成物は、同じ抗原に対して特異的な2以上のコンジュゲートを含む。いくつかの態様において、2以上のコンジュゲートを含む組成物は、各抗原に対して特異的な1つのコンジュゲートだけを含む。本明細書において企図されるように、「組成物」および「製剤」という用語は互換的に使用されてもよい。
【0079】
いくつかの態様において、組成物は、本明細書に記載の1以上のコンジュゲートおよび1以上の薬理学的に許容し得る賦形剤を含んでもよい。薬理学的に許容し得る賦形剤は、本明細書に記載のコンジュゲートの安定性を増強するか、組成物が投与される対象の細胞(例として、免疫細胞)へのコンジュゲートの送達を増強するか、投与の際のコンジュゲートの持続放出もしくは遅延放出を可能にするか、コンジュゲートの生体内分布を変化させるか(例として、コンジュゲートを特定の組織または細胞型へ標的化するか)、またはコンジュゲートに対する宿主免疫を低下させてもよい。薬理学的に許容し得る賦形剤の例には、当技術分野で知られているように、ありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、および防腐剤が包含される。いくつかの態様において、薬理学的に許容し得る賦形剤は、水溶液または緩衝液を含む。いくつかの態様において、組成物は、組成物が投与されるべき対象の生体液(すなわち、血液)に対して等張性である。いくつかの態様において、組成物は、7から8の間のpH、または最適には約7.4のpHを有する。
【0080】
キット
キット(例として、医薬品パック)もまた本開示に網羅される。提供されるキットは、本明細書に記載の医薬組成物またはコンジュゲートおよび容器(例として、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/またはディスペンサーパッケージ、または貯蔵および/または投与に適した他の容器)を含んでもよい。いくつかの態様において、提供されるキットは、任意に、本明細書に記載の医薬組成物またはコンジュゲートの希釈または懸濁のための医薬賦形剤を含む第2の容器をさらに包含してもよい。いくつかの態様において、本明細書に記載の医薬組成物またはコンジュゲートは、第1の容器中に提供され、第2の容器と組み合わされて、1つの投薬単位を形成する。
【0081】
したがって、一側面では、本明細書において提供されるのは、本明細書に記載のコンジュゲートまたは医薬組成物を含む第1の容器を包含するキットである。ある特定の態様において、キットは、対象(例として、対象の病原性細胞または細胞)における特定の細胞または病原体に対する免疫応答を増強または誘発するために有用である。ある特定の態様において、キットは、それを必要とする対象における疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)を処置するために有用である。ある特定の態様において、キットは、それを必要とする対象における疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)を防止するために有用である。
【0082】
ある特定の態様において、本明細書に記載のキットは、キットに包含される医薬組成物またはコンジュゲートを使用するための説明書をさらに包含する。本明細書に記載のキットはまた、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関によって要求される情報を包含してもよい。ある特定の態様において、キットに包含される情報は処方情報である。ある特定の態様において、キットおよび説明書は、対象(例として、対象の病原性細胞または細胞)における細胞または病原体に対する免疫応答を増強または誘発するために提供する。ある特定の態様において、キットおよび説明書は、それを必要とする対象における疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)を処置するために提供する。ある特定の態様において、キットおよび説明書は、それを必要とする対象における疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)を防止するために提供する。本明細書に記載のキットは、別々の組成物として本明細書に記載の1以上の追加の医薬品を包含してもよい。
【0083】
コンジュゲートの投与
「処置」、「処置する」、および「処置すること」という用語は、本明細書に記載の疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)の発生を逆転させる、軽減する、遅延させる、またはその進行を阻害することを指す。いくつかの態様において、処置は、疾患の1以上の徴候または症状が対象において発症した後または観察された後に投与されてもよい。他の態様において、処置は、疾患の徴候または症状の非存在下で投与されてもよい。例えば、処置は、症状の発生前に(例として、疾患の症状の病歴に照らして、疾患の再燃または再発のリスクに照らして、および/または疾患の原因となる病原体への曝露または疾患の原因となる病原体への将来の曝露の可能性に照らして)、感受性の対象に投与されてもよい。処置はまた、例えば、再燃または再発を遅延させるか、または防止するために、症状が消散した後も継続されてもよい。予防的処置は、疾患を有しておらず、および疾患を有さなかったが疾患を発症するリスクがある対象、または疾患を有し、および疾患の再燃もしくは退縮のリスクがある対象の処置を指す。いくつかの態様において、対象は、集団の平均的な健康なメンバーよりも、疾患を発症するリスクが高いか、または疾患の再燃もしくは退縮のリスクが高い。
【0084】
本明細書に記載の組成物の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。本明細書に記載の組成物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、本明細書に記載のコンジュゲートの薬物動態、処置されている状態、投与様式、ならびに対象の年齢および健康などの要因に応じて異なってもよい。いくつかの態様において、有効量は治療有効量である。いくつかの態様において、有効量は、予防的処置に十分な量である。いくつかの態様において、有効量は、単回用量で投与される本明細書に記載のコンジュゲートの量である。いくつかの態様において、有効量は、複数回用量で投与される本明細書に記載のコンジュゲートの合計量(合計)である。組成物の有効量が本明細書において言及される場合、治療的および/または予防的に有効な量は、処置される対象および/または疾患に応じて示される。有効量および/または投与量の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0085】
「投与する」、「投与すること」または「投与」という用語は、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートを対象の中または上に埋め込む、吸収する、摂取する、注射する、吸入する、または他の方法で導入することを指す。本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、全身的に(例として、静脈内注射により)または局所的に(例えば、局所注射により)投与されてもよい。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、経口的に、静脈内に、局所的に、鼻腔内に、または舌下に投与される。非経口投与も企図される。本明細書において使用される「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、皮内、および頭蓋内注射または注入技法を含む。いくつかの態様において、投与することは、筋肉内に、皮内に、経口的に、静脈内に、局所的に、鼻腔内に、膣内に、または舌下に行われる。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、予防的に投与される。
【0086】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、1回投与されるか、または繰り返し投与される(例として、2、3、4、5、またはそれより多い回数)。複数回投与では、投与は一定期間(例として、1日、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、10年、またはそれより長い期間)にわたって行われてもよい。反復投与では、投与は一定期間(例として、1日、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、10年、またはそれより長い期間)、または可変期間にわたって行われてもよい。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、2回(例として、0日目および7日目、0日目および14日目、0日目および21日目、0日目および28日目、0日目および60日目、0日目および90日目、0日目および120日目、0日目および150日目、0日目および180日目、0日目および3ヶ月後、0日目および6ヶ月後、0日目および9ヶ月後、0日目および12ヶ月後、0日目および18ヶ月後、0日目および2年後、0日目および5年後、または0日目および10年後に)投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、2回より多く投与され、対象が疾患(例として、ウイルスによって引き起こされる疾患、細菌によって引き起こされる疾患、寄生生物によって引き起こされる疾患、真菌によって引き起こされる疾患、がん)の症状がなくなるまで投与されるか、または、疾患を発症するリスクが低下するまで投与される。
【0087】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、対象における細胞または病原体(例として、対象の病原性細胞または細胞)に対する免疫応答を増強または誘発するために対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、病原体による感染を処置または防止する目的で対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、ウイルス感染を処置または防止する目的で対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、細菌感染を処置または防止する目的で対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、寄生生物感染を処置または防止する目的で対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、真菌感染を処置または防止する目的で対象へ投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートは、がんを処置または防止する目的で対象へ投与される。
【0088】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの対象への投与は、対象における先天性(細胞媒介性)免疫応答を増強または誘発する。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートを対象へ投与した後、コンジュゲートは、対象における細胞または病原体および対象の免疫グロブリンへ結合し、ここで、免疫グロブリンは、その表面にフラグメント結晶化可能(Fc)受容体を発現する対象の免疫細胞へさらに結合する。いくつかの態様において、対象の免疫グロブリンは、免疫グロブリンカッパ軽鎖または免疫グロブリンラムダ軽鎖を含む。いくつかの態様において、対象の免疫グロブリンは、免疫グロブリンカッパ軽鎖を含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの投与は、免疫細胞による1以上のサイトカインまたはケモカインの産生を誘導する。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの投与は、免疫細胞による1以上の炎症促進性サイトカインまたは炎症促進性ケモカインの産生を誘導する。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの投与は、対象の免疫細胞による対象における細胞または病原体の食作用を誘導する。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの投与は、対象における細胞または病原体の殺滅をもたらす。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物またはコンジュゲートの投与は、対象における細胞または病原体の不活性化をもたらす(すなわち、細胞または病原体はもはや複製または再生することができない)。
【0089】
いくつかの態様において、対象は、病原体(例として、ウイルス感染症、細菌感染症、寄生生物感染症、真菌感染症)による感染を有するか、または発症するリスクがある対象である。いくつかの態様において、対象は、以下に限定されないが、血液がん、肺がん、乳がん、脳がん、胃腸がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、子宮内膜がん、筋肉がん、骨がん、神経内分泌がん、結合組織がん、頭頸部がん、または皮膚がんなどのがんを有するか、または発症するリスクがある。いくつかの態様において、がんは転移性がんである。
【0090】
本明細書において定義される場合、「対象」は、投与が企図される生物を指す。いくつかの態様において、対象は哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、非ヒト動物(例として、霊長類(例として、カニクイザルまたはアカゲザル)、商業的に関連のある哺乳動物(例として、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、またはイヌ)、または鳥類(例として、商業的に関連する鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、またはシチメンチョウ))である。いくつかの態様において、対象は、家畜(例として、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ)または伴侶動物(すなわち、ペットまたはサービス動物、例えば、ネコまたはイヌ)である。いくつかの態様において、対象は、魚、爬虫類または両生類である。非ヒト動物は、いずれかの発達段階の雄または雌であってもよい。非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作動物であってもよい。
【0091】
いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、ヒト乳児である。いくつかの態様において、ヒト乳児は、28日齢未満の新生児である。いくつかの態様において、ヒト乳児は、投与時に1日齢未満、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日齢である。
【0092】
いくつかの態様において、ヒト対象は、28日齢を超える年齢(例として、1ヶ月齢、2ヶ月齢、3ヶ月齢、4ヶ月齢、5ヶ月齢、6ヶ月齢、7ヶ月齢、8ヶ月齢、9ヶ月齢、10ヶ月齢、11ヶ月齢、12ヶ月齢、2歳、3歳、4歳、5歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳)である。いくつかの態様において、ヒト対象は、成人(例として、18歳を超える年齢)である。いくつかの態様において、ヒト対象は、高齢の対象(例として、60歳を超える年齢)である。いくつかの態様において、ヒト対象は、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳または100歳超である。
【0093】
いくつかの態様において、ヒト対象は1以上の免疫学的に脆弱な集団の一部である。いくつかの態様において、ヒト対象は、虚弱(例として、虚弱症候群を有する対象、栄養失調の対象、または虚弱を引き起こす慢性疾患のある対象)である。いくつかの態様において、ヒト対象は、未発達(例として、乳児または新生児対象)、免疫老化(例として、高齢の対象)、または易感染性免疫系を有するなど、免疫系が弱い。免疫老化対象には、加齢に関連する免疫機能の降下を示す対象が包含されるが、これらに限定されない。免疫無防備状態の対象としては、限定されないが、敗血症、HIV感染、およびがん(化学療法および/または放射線療法を受けているものを包含する)に罹患している対象、ならびに臓器または組織移植に関して免疫抑制剤が投与される対象などの、原発性免疫不全または後天性免疫不全のある対象が挙げられる。いくつかの態様において、ヒト対象は、免疫系機能を低下させる、および/または1以上の病原体(例として、ウイルス、細菌、寄生生物、真菌)による対象における感染のリスクを増加させる1以上の障害または疾患を有するか、または有することが疑われる。いくつかの態様において、ヒト対象は、例えば、慢性肺疾患、喘息、心血管疾患、がん、代謝障害(例として、肥満または真性糖尿病)、慢性腎臓疾患、または肝疾患を有するか、または有することが疑われる対象である。
【0094】
本明細書において開示される技術の態様、利点、特徴、および使用のいくつかは、以下の例からより完全に理解されるであろう。例は、本開示の利益のいくつかを例示し、特定の態様を説明することが意図されているが、本開示の全範囲を例証することを意図するものではなく、したがって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0095】
例
例1-インフルエンザの処置のためのナノボディ-薬物付加物
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性かつ潜在的に生命を脅かす呼吸器感染症である。ヒトにおけるインフルエンザは、典型的には季節性インフルエンザ流行の間に広がるインフルエンザAウイルスおよびインフルエンザBウイルスによって引き起こされ得る。毎年のインフルエンザ流行の人的コストは高く、その結果、毎年推定3~500万件の重度のインフルエンザの症例および米国での年間およそ12,000~79,000人の死亡者を包含する年間250,000~500,000人の死亡者が生じる。インフルエンザウイルスはまた、それらの高い伝染性、および多くの移動性鳥種を包含する動物保有者(例として、非ヒト哺乳動物または鳥類種)からヒトに新たなインフルエンザ変異株が伝染する可能性のために、ヒト社会に重大な健康リスクをもたらす。これらの要因により、インフルエンザウイルスは特にパンデミックを引き起こす可能性がある。実際、少なくとも4つの別々のインフルエンザパンデミックが前世紀に発生しており(例として、1918~1920年、1957~1958年、1968~1969年、および2009~2010年)、併せて何千万人もの死亡を引き起こした。
【0096】
幸いなことに、いくつかの治療薬が、インフルエンザ感染症を処置する際に使用するために臨床的に承認されている。これらには、インフルエンザビリオンおよび感染細胞の表面の分子特徴を特異的に標的とするいくつかの抗ウイルス薬が包含され、例えば、インフルエンザAおよびインフルエンザBウイルスによってコードされるノイラミニダーゼ酵素に特異的に結合してこれを阻害し、それによって、感染細胞からの新しいビリオンの放出を防止するザナミビル、オセルタミビルおよびペラミビルが包含される。これらの治療薬の適時の投与は、インフルエンザ感染の持続期間を約1~2日短縮することがあり、投与が実際に重症疾患を発症するリスクを低下させるかどうかは不明である(例として、入院を必要とする病気)。さらに、これらの治療薬が予防的に投与されたときに感染を効果的に防止するかどうかは不明であり、したがって、これらの治療薬の予防的使用は、薬物有害反応のリスクのため推奨されない。
【0097】
インフルエンザの処置の効力を改善するための1つのアプローチは、インフルエンザに対して特異的な治療剤を、宿主によって産生されるポリクローナル免疫グロブリンへ結合することが可能な別々の薬剤へ融合させることである。次いで、結合した免疫グロブリンは、それらの表面にFc受容体を発現する免疫細胞を動員することがあり、次いで、それらが動員されるビリオンまたは感染細胞を殺滅させるか、または不活性化する。この戦略は、例えば、ザナミビルなどのインフルエンザに対して特異的な既存の治療薬を、カッパ軽鎖(VHH
カッパ)に対して特異的なラクダ抗体の重鎖の可変領域などの宿主免疫グロブリンに広く結合する抗体または抗体フラグメントに融合させることによって達成されてもよい(
図1)。カッパ軽鎖およびFc領域を含むいずれかの宿主免疫グロブリンが使用され、宿主免疫グロブリンの特異性にかかわらず、免疫細胞をインフルエンザビリオンまたは感染細胞に動員することができるので、この戦略は、他の方法で達成され得るよりもインフルエンザに対するより強い免疫応答を刺激するために潜在的に使用され得る。VHH
カッパに融合したザナミビルはその阻害活性を保持することがあるが、原則として、例えば、ウイルスノイラミニダーゼまたはヘマグルチニンに対して特異的な抗体または抗体フラグメントを包含する、インフルエンザビリオンおよび/またはインフルエンザ感染細胞の表面の1以上の標的に対して特異的ないずれかの薬剤が使用されてもよい。さらに、VHH
カッパへの融合はまた、遊離薬物単独と比較して、ザナミビルまたはインフルエンザに対して特異的な別の治療薬の循環半減期を延長し、よって、治療薬の有効性をさらに増強することがある。
【0098】
この戦略の有効性を最初に評価するために、免疫グロブリンに対するVHH
カッパの特異性がin vitroで試験された。ビオチンに融合した様々な濃度のVHH
カッパ(VHH
カッパ-ビオチン)は、マウスIgG2bがコーティングされた酵素結合免疫吸着測定(ELISA)プレートに曝露された。このアッセイのために、市販の抗マウスカッパ鎖VHHが使用された(ナノボディクローンTP1170)。続いて、ストレプトアビジンへ融合させた西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP-ストレプトアビジン)が二次薬剤として使用され、VHH
カッパ-ビオチンとプレートのIgG2bとの間の結合が検出された。対照として、カッパ軽鎖ではなく、インフルエンザヘマグルチニンに対して特異的な別々のナノボディSD36がビオチンに融合され、試験され(SD36-ビオチン)、同様に、SD36-ビオチンとVHH
カッパとの融合物(VHH
カッパ-SD36-ビオチン-1およびVHH
カッパ-SD36-ビオチン-2)も試験された。周囲温度で2時間インキュベートした後、ELISAプレートは洗浄され、次いでストレプトアビジン-HRPと共にインキュベートされ、続いて洗浄され、TMB基質溶液(Biolegend、カタログ番号421101)で処置され、H
2SO
4でクエンチされ、測定された。VHHの濃度に対する450nmでの平均吸光度値のプロットから、解離定数(K
d)が計算された。VHH
カッパ-ビオチン、VHH
カッパ-SD36-ビオチン-1およびVHH
カッパ-SD36-ビオチン-2はそれぞれ、マウスIgG2bへ低いナノモル親和性(2.0~2.4nMの解離定数K
d)で結合した(
図2)。対照的に、SD36-ビオチンとIgG2bとの間の結合は検出されなかった。これらの結果は、宿主免疫グロブリンに対するVHH
カッパの高い特異性を確認し、インフルエンザに対して特異的な薬剤へのVHH
カッパの融合が、宿主免疫グロブリンおよび免疫細胞をインフルエンザビリオンおよび感染細胞に効果的に動員することができることを示唆する。
【0099】
次いで、VHH
カッパをインフルエンザ特異的薬剤、例えばザナミビルに共有結合的に連結させる方法が考案された。原則としていずれかの切断可能または切断不可能なリンカーが使用され得るが、トリグリシンジベンジルシクロオクチン(DBCO)リンカーをザナミビルの7-ヒドロキシル基に付着させることによってザナミビルを修飾する方法が開発された。まず、ザナミビル標的化リガンドが調製され(
図3A)、次いで、これをGly-Gly-Gly-DBCOと反応させて、Gly-Gly-Gly-ザナミビルを生成した(
図3B)。次いで、VHH
カッパ-ザナミビル付加物を生成するために、ソルターゼ(ソルターゼA;SrtA)反応を使用して、Gly-Gly-Gly-ザナミビルをVHH
カッパのC末端アミノ酸残基LPETGGH
6に融合させた(
図3C)。簡単に説明すると、ペンタミュータントソルターゼAが使用され、VHH
カッパのC末端LPETGモチーフへのソルターゼ準備(sortase-ready)の求核剤の付加を触媒した。ソルターゼ反応は、20μMのソルターゼAおよび10μMのCaCl
2を含有するPBS中で行った。4℃で一晩インキュベートした後、Ni-NTAビーズが反応混合物に添加され、4℃で30分間インキュベートされて、未反応のVHHおよびHisタグ付きソルターゼAが除去された。次いで、反応混合物はPD-10脱塩カラムにロードされて過剰な求核剤が除去された。この方法によって合成されたVHH
カッパ-ザナミビル付加物は、続いて、SDS-PAGEおよび質量分析によって、サイズがおよそ14kDaであり、実質的に純粋であると決定された(
図4Aおよび
図4B)。
【0100】
次いで、インフルエンザ感染細胞に対するVHH
カッパ-ザナミビル付加物の特異性は、インフルエンザ感染細胞培養物を用いてin vitroで評価された。Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞がインフルエンザウイルスに感染し、感染の24時間後にノイラミニダーゼが発現し、その時点で、感染MDCK細胞は様々な濃度のVHH
カッパ-ザナミビル付加物で処置された。VHH
カッパ-ザナミビル付加物と感染細胞との間の結合は、飽和結合アッセイによって測定された。簡単に説明すると、培地は感染細胞から除去され、種々の濃度の付加物を含有する培地と交換された。1時間のインキュベーション後、感染細胞は洗浄され、新鮮な無血清培地中のマウスIgG-フィコエリトリン(R&D Systems #IC002P)で処置された。30分間のインキュベーション後、感染細胞は洗浄され、1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液(SDS)に溶解させ、560nmの励起波長および620nmの発光波長を使用して細胞関連蛍光が測定された。細胞結合蛍光強度対VHHの濃度のプロットから解離定数(K
d)が計算された。以前に観察されたIgGに対するVHH
カッパの特異性と同様に(
図2)、VHH
カッパ-ザナミビル付加物は、インフルエンザAウイルスに対して低いナノモル特異性を示した(
図5Aおよび
図5B)。さらに、VHH
カッパ-ザナミビル付加物は、インフルエンザAの2つの別々の株、H1N1インフルエンザサブタイプであるA/ウィスコンシン/629-D00015/2009(
図5A)およびH3N2インフルエンザサブタイプであるA/香港/8/1968(
図5B)に感染したMDCK細胞に対して低いナノモル特異性を示した。同様に、VHH
カッパ-ザナミビル付加物は、インフルエンザBの2つの別々の株、B/フロリダ/4/2006(
図5C)およびB/ブリスベン/60/2008(
図5D)に感染したMDCK細胞に対して低いナノモル特異性を示した。これらの結果により、VHH
カッパ-ザナミビル付加物が遊離ザナミビルと同様にインフルエンザノイラミニダーゼに対して特異的であり、一連のインフルエンザサブタイプの処置に有効であるべきであることが確認される。
【0101】
in vitroでVHH
カッパ-ザナミビル付加物の有効性を確立した後、次いで、VHH
カッパ-ザナミビル付加物は動物モデルで評価された。0日目にマウスにH1N1サブタイプであるインフルエンザAウイルスA/プエルトリコ/8/1934 50μLを感染させた。50μLのA/プエルトリコ/8/1934インフルエンザAウイルスは、A/プエルトリコ/8/1934インフルエンザAのLD
50の10倍に相当する。次いで、マウスに、様々な量のVHH
カッパ-ザナミビル付加物(0.1、1mg/kg、または3mg/kg)、共有結合的に融合されていない1mg/kgのVH
カッパおよびザナミビル、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)モック処置が腹腔内投与された。1mg/kgのVHH
カッパ-ザナミビル付加物を受けたマウスは、感染後0日目のみ、または0、2および4日目のいずれかにVHH
カッパ-ザナミビル付加物を受けた。VHH
カッパ-ザナミビル付加物の投与後、体重(質量)および感染マウスの生存率は14日間にわたって1日1回モニタリングされた(
図6Aおよび
図6B)。PBSモック処置および0.1mg/kgのVH
カッパ-ザナミビル付加物で処置されたマウスは、感染後それぞれ8および10日目までに実質的な体重減少および完全な致死を示した。重要なことに、1mg/kgのVHH
カッパおよびザナミビル(別々に)で処置されたマウスもまた、感染後9日目までに体重減少および致死を示した。しかしながら、1または3mg/kgのVHH
カッパ-ザナミビル付加物で処置されたマウスは、インフルエンザ感染の結果として体重減少または致死を示さなかった。実際、感染後0、2および4日目に3mg/kgのVHH
カッパ-ザナミビル付加物または1mg/kgのVHH
カッパ-ザナミビル付加物で処置されたマウスは、感染後14日間で体重がやや増加した。
【0102】
複数のウイルス種にわたってこの有効性を確立するために、マウスにインフルエンザA-A/カリフォルニア/07/2009(H1N1);インフルエンザA-A/香港/1/1968;またはインフルエンザB-B/フロリダ/4/2006は同様に感染させられ;および同じ日に単回用量のVHH
カッパ-ザナミビル(3mg/kg)で処置された(
図6C)。VHH
カッパ-ザナミビルは、14日間までの全感染マウスについて高い生存率をもたらすことが示された。
【0103】
インフルエンザA-A/プエルトリコ/8/1934(
図6D)による感染後1、2または3日目まで、VHH
カッパ-ザナミビル(10mg/kg)の添加を遅延させるためにさらなる実験が実施された。処置されたマウスは、14日間まで高い生存率を示した。
【0104】
最後に、予防実験が実施された。マウスは、VHH
カッパ-ザナミビル(5mg/kg)を、インフルエンザA-A/プエルトリコ/8/1934による感染の7日前に投与された(
図6E)。これらのデータは、感染前のVHH
カッパ-ザナミビルの投与が高い生存率を引き起こしたことを示した。
【0105】
これらの結果は、VHHカッパとインフルエンザ特異的薬剤との間の融合物の投与が、インフルエンザに対する免疫を増強し、重篤な病気のリスクを低下させるために非常に効果的であることを示す。
【0106】
これらの結果はマウスモデルにおいて得られたが、マウス特異的VHHを使用して、マウス特異的VHHカッパをヒトカッパ軽鎖に対して特異的なVHHカッパと交換するだけで、ヒトにおけるインフルエンザを処置するために有効なVHHカッパ-ザナミビル付加物を得ることができる。前述のように、ヘマグルチニンに対して特異的な小分子もしくはペプチド、またはノイラミニダーゼ、ヘマグルチニン、もしくはインフルエンザビリオンおよび/または感染細胞の表面の別の標的(例として、タンパク質)に対して特異的な抗体もしくは抗体フラグメント(例として、ナノボディ)などの、インフルエンザビリオンおよび/またはインフルエンザ感染細胞に対して特異的な薬剤を含むいずれかの付加物で同様の結果が得られることがある。インフルエンザAまたはインフルエンザBに対する特異性について設計されていない限り、特にザナミビルおよび他のインフルエンザ治療薬がインフルエンザAおよびインフルエンザBの両方に対して活性であることが知られているので、VHHカッパを含む付加物は、両方のタイプのインフルエンザを処置するために有効である可能性が非常に高い。
【0107】
例2-インフルエンザの処置のためのナノボディ-ナノボディ付加物
あるいは、ザナミビルなどのインフルエンザ特異的小分子ではなく、免疫細胞特異的ナノボディ(例として、VHH
カッパ)およびインフルエンザウイルス特異的ナノボディを含む、インフルエンザの処置に有用な付加物が開発されてもよい。この目的のために、ナノボディVHH
カッパは、インフルエンザウイルスヘマグルチニン、SD36(例として、Laursen,et al.“Universal protection against influenza infection by a multidomain antibody to influenza hemagglutinin.”2018.Science,362(6414),598-602を参照されたい)に対して特異的な以前に報告された単一ドメイン抗体(VHH)にコンジュゲートされた。VHH
カッパ-SD36付加物は、最初に、それぞれが例1に記載されているようなソルターゼ反応により、Gly-Gly-Gly-Cys-DBCO(配列番号28)(
図7B)を介して連結された末端アジド(
図7A)およびVHH
カッパを含むバージョンのSD36を調製することによって合成された。次いで、各VHHが合わされて、VHH
カッパ-SD36付加物が生成された(
図7C)。最終生成物は、Superdex 75 10/300カラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィーによって精製された。さらに、VHH
カッパ-SD36付加物の遺伝子融合バージョンは組換え発現および単離され、ここで、VHH
カッパは、可撓性リンカー(GGGGS)
3(配列番号29)によってSD36にN末端で連結されている(
図7D)。VHH
カッパ、SD36、および遺伝的にコンジュゲートされたVHH
カッパ-SD36のビオチン化バージョンがさらに生成された(
図8A~
図8C)。遺伝子融合コンジュゲートのアミノ酸配列は以下の通りである:
VHH
カッパ-SD36ナノボディコンジュゲート:
QVQLVESGGGWVQPGGSLRLSCAASGFTFSDTAMMWVRQAPGKGREWVAAIDTGGGYTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTARYYCAKTYSGNYYSNYTVANYGTTGRGTLVTVSSAAAGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQAGGSLKLSCAASGRTYAMGWFRQAPGKEREFVAHINALGTRTYYSDSVKGRFTISRDNAKNTEYLEMNNLKPEDTAVYYCTAQGQWRAAPVAVAAEYEFWGQGTQVTVSSGGLPETGGHHHHHH(配列番号5)。
【0108】
次に、10μg/mLのストレプトアビジン-PE(Biolegend #405204)を使用してSD36-ビオチンと共にインキュベートされた細胞を処置したことを除き、以前に記載されたものと同じである飽和結合アッセイ(
図5Aおよび
図5B)を使用して、ビオチン化SD36、VHH
カッパ-SD36、および遺伝的にコンジュゲートされたVHH
カッパ-SD36の間の結合を評価した。予想通り、各VHHおよびVHHコンジュゲートは、低いナノモル親和性でインフルエンザAヘマグルチニンへ結合した(
図9A~
図9C)。VHH
カッパ-SD36と遺伝的にコンジュゲートされたVHH
カッパ-SD36の両方がインフルエンザAウイルス感染MDCK細胞へ結合したが、クリック化学により合成されたVHH
カッパ-SD36は、より高い親和性で結合した(
図9C)。
【0109】
in vitroでVHH
カッパ-SD36コンジュゲートの有効性を確立した後、次いで、各コンジュゲートは以前のように動物モデルで評価された(
図6Aおよび
図6B)。わずか2mg/kgの遺伝子融合されたVHH
カッパ-SD36(
図6A)またはクリック化学によりコンジュゲートされたVHH
カッパ-SD36(
図6B)のいずれかで処置されたマウスは、致死用量のインフルエンザAウイルスから完全に保護されたが、10mg/kgのいずれかのコンジュゲートで処置されたマウスは、感染の結果として体重減少をさらに示さなかった(
図10Aおよび
図10B)。
【0110】
インフルエンザA-A/香港/1/1968(
図10C)による感染後1、2または3日目まで、VHH
カッパ-SD36(10mg/kg)の添加を遅延させるためにさらなる実験が実施された。処置されたマウスは、14日間まで高い生存率を示した。
【0111】
これらの結果から、例1のVHHカッパ-ザナミビル付加物と同様に、インフルエンザ抗原を標的とするVHHカッパとナノボディとの間の融合体の投与は、インフルエンザに対する免疫力を増強し、重篤な病気のリスクを低下させるために非常に有効であることが示された。
【0112】
最後に、VHH
カッパ-SD36コンジュゲートのin vivo半減期が評価された。この目的のために、VHH
カッパ-SD36のジルコニウム-89(
89Zr)放射標識バージョン(クリック化学反応により生成される)は、VHH
カッパ-SD36-DFO、またはSD36-DFO対照を、2.0MのNa
2CO
3を含むpH 6.8~7.5の
89Zr
4+ストック溶液で1時間処置することによって合成された(
図11Aおよび
図11B)。次いで、マウスにおける放射標識コンジュゲートの位置および半減期は、免疫陽電子放射断層撮影法(Immuno-PET)によって評価された。簡単に説明すると、致死用量(10 LD
50)のインフルエンザウイルスA/香港/8/1968(H3N2)に感染したマウスは、感染後4日間、放射標識されたSD36-DFOまたはVHH
カッパ-SD36-DFOを注射され、24時間ごとにスキャンされ、SD36-DFOまたはVHH
カッパ-SD36-DFOの位置および総レベルが決定された(
図12)。抗マウスVHH
カッパ-SD36-DFOは、SD36単独と比較してin vivoでの半減期が延長されることが観察され、感染部位、特に肺でより大きな程度まで蓄積した。
【0113】
合わせて、これらの結果は、インフルエンザ抗原(例として、ヘマグルチニンを結合させるためのナノボディと比較して、ノイラミニダーゼを結合させるための小分子)への結合の異なるモダリティを含むコンジュゲートが、インフルエンザの処置および重度の疾患の防止に有効であることが示されているので、VHHカッパコンジュゲートの可撓性を実証する。
【0114】
例3-マラリア特異的ナノボディの開発
次に、別の病原体であるPlasmodium falciparumに対する特異性について、VHHカッパを含む付加物が開発された。P.falciparumは、感染した雌のって伝染したときにヒトにおいてマラリアを引き起こすことが知られている5つの寄生生物のうちの1つである単細胞原虫種である。世界保健機関は、2020年に世界中で約2億4100万件のマラリア症例があり、約627,000人が死亡したと推定している。P.falciparumによって引き起こされる症例は、死亡のリスクが最も高い。マラリアは、特にアルテミシニンベースの併用療法(ACT)の使用によって処置可能かつ治癒可能であるが、薬剤耐性マラリアは世界的な健康上の脅威として浮上してきている。さらに、一般に有効であるが、ACTはいくらか毒性であり、疲労、頭痛、めまい、悪心、嘔吐および腹痛を引き起こし得る。
【0115】
例1は、インフルエンザビリオンおよびインフルエンザ感染細胞のための小分子ザナミビルの使用を実証しているが、ここでは、P.falciparumメロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)の異なる領域に対して特異的な一組のVHHナノボディが開発された。MSP-1は、4つのサブユニット、p83、p30、p38およびp42を含むプロペプチド(p190と称される)であり、それらの無性生殖期の開始時にPlasmodium寄生生物において発現される(
図13A)。切断されると、これらのサブユニットは集合して、Plasmodium細胞の表面に成熟MSP-1複合体を形成し、そこで赤血球へ結合し、および感染するために使用される。MSP-1へ結合する単離されたVHH配列を以下の表1に示す。
【0116】
【0117】
精製されたVHHナノボディはビオチン化され、単離されたMSP-1サブユニットに対する特異性について試験された。抗p83 B4、抗p38 B8、抗p42 A6、および抗p42 G11 VHHをそれぞれ、プレートに結合したp83、p38、p42およびp42と共にインキュベートされ、プレートへの結合は、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびテトラメチルベンジジン(TMB)を使用する酵素結合免疫アッセイ(ELISA)によって検出された。各VHHは、MSP-1複合体の1つのサブユニットに特異的に結合することが観察されたが、対照VHHは結合しなかった(
図13B)。この結合は、その後のゲル電気泳動によってさらに確認され、このゲル電気泳動では、各抗体は、MSP-1の1つのサブユニットおよびMSP-1プロペプチド(p190)へ結合するが、いずれの他のサブユニットへも結合しないことが示された(
図13C)。VHHクローンB4およびB8も、約38~44時間の3D7シゾントからの溶解物に対して試験され、結合することが観察された。最後に、精製されたVHHは、フローサイトメトリーアッセイで約38~44時間生存している3D7シゾントに対して試験された。Cy5蛍光標識VHHは、生のPlasmodiumシゾントに特異的に結合することが観察され、対照VHH、抗主要組織適合遺伝子複合体II(MHC-II)で観察されたものよりも高い蛍光強度で結合した(
図13D)。
【0118】
合わせて、これらのデータは、Plasmodium寄生生物を標的化するVHHナノボディの特異性を実証し、例1で実証されているように、インフルエンザについて実証されたのと同様の様式で、VHHカッパおよびこれらのVHHのいずれか1つを含む付加物が使用され、マラリアを効果的に処置することができるという概念実証をもたらす。
【0119】
例4-がん細胞に対する免疫を増強するためのナノボディ-薬物付加物
病原体を標的とする付加物の有効性が上記で示されており(例1および例2)、同様にまた、病原体によって引き起こされる疾患を処置するためのナノボディ-ナノボディ付加物において使用するためのナノボディの開発が示されている(例2および例3)。しかしながら、VHH
カッパを含む付加物は、がんに対する免疫応答を増強または誘発するためにさらに有用であり得る。この目的のために、VHH
カッパおよび以前に報告されたマウス主要組織適合遺伝子複合体II(MHC-II)を標的とするVHHであるVHH7(Fang,et al.,“Structurally Defined αMHC-II Nanobody-Drug Conjugates:A Therapeutic and Imaging System for B-Cell Lymphoma.”2016.Angewandte Chemie,55(7),2416-2420を参照されたい)を含む付加物が開発された。MHC-IIは、典型的にはプロフェッショナル抗原提示細胞(例として、樹状細胞)の表面に位置するが、ある特定のリンパ腫を包含するリンパ系細胞の表面にも発現する。したがって、MHC-IIを標的とするナノボディを含む付加物が使用され、免疫細胞をリンパ腫細胞に動員することができた。インフルエンザヘマグルチニンを標的とするために先に調製されたものと同様に(
図7A~
図7C)、クリック化学反応を使用してVHH
カッパ-VHH7付加物が合成された(
図14A~
図14C)。コンジュゲーション前のVHH7のアミノ酸配列は以下の通りである:
VHH7ナノボディ:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFSRGVMGWFRRAPGKEREFVAIFSGSSWSGRSTYYSDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNGLKPEDTAVYYCAAGYPEAYSAYGRESTYDYWGQGTQVTVSSGG(配列番号18)。
【0120】
続いて、補体依存性細胞毒性(CDC)アッセイにおいて、マウスリンパ腫細胞株であるA20細胞に対して、VHH
カッパ-VHH7付加物はin vitroで試験された。簡単に説明すると、A20細胞は、96ウェル白色壁プレートにプレーティングされ、抗マウスVHH
カッパ-VHH7付加物または抗マウスVHH
カッパとVHH7との混合物(最終濃度:10nMおよび100nM)のいずれかで処置された。周囲温度で30分間インキュベートした後、正常マウスIgGアイソタイプ対照(Invitrogen #10400C)および40%(v/v)ウサギ補体血清(Sigma-Aldrich #S7764)を含有する新鮮な無血清培地が細胞に添加された。37℃でさらに4時間インキュベートした後、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega #G7572)により細胞生存率が測定された。細胞を5%のH
2O
2で処置することによって、最大殺滅が測定された。VHH
カッパ-VHH7付加物によって誘導される細胞毒性パーセントを以下のように計算された:
細胞毒性%=(ルミネセンス
VHHなし-ルミネセンス
VHHあり)/(ルミネセンス
VHHなし-ルミネセンス
最大殺滅)×100。VHH
カッパ-VHH7付加物は、10nMと100nMの両方でA20細胞の細胞毒性を誘発するのに有効であることが判明したが、各成分を別々に用いた処置は有効ではなかった(
図15Aおよび
図15B)。
【0121】
抗体依存性細胞毒性(ADCC)アッセイを使用して、VHH
カッパ-VHH7付加物の有効性がさらに実証された。簡単に説明すると、マウスナチュラルキラー(NK)細胞は、in vitroでエフェクター細胞として使用するためにEasySep(商標)マウスNK細胞単離キット(STEMCELL、#19855RF)によってBALB/cマウスの脾臓から採取された。A20細胞は、96ウェルプレートにプレーティングされ、抗マウスVHH
カッパ-VHH7付加物または抗マウスVHH
カッパとVHH7との混合物(最終濃度:10nMおよび100nM)のいずれかで処置された後、マウスIgG2aカッパアイソタイプ対照抗体(終濃度:20μg/mL)で処置された。30分間のインキュベーション後、マウスNK細胞の懸濁液が1×10
6個の細胞/ウェルで添加され、37℃でさらに4時間インキュベートされた。細胞生存率は、CytoTox 96(登録商標)Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(LDH)(Promega、#G1780)によって測定され、490nmでの吸光度が測定される。エフェクター細胞単独によって生じる自発的シグナルもまた評価された。VHH
カッパ-VHH7付加物によって誘導された総溶解パーセントは、総溶解%=(A490
実験-A490
エフェクター自発性)/(A490
標的最大値)×100として計算された。予想通り、VHH
カッパ-VHH7付加物による処置は、10nMと100nMの両方で、この時間枠内にA20細胞のおよそ30%~40%を溶解させた(
図16Aおよび
図16B)。さらに、VHH
カッパ-VHH7付加物の有効性は、別々にVHH
カッパおよびVHH7の有効性よりも大きかった。これらのデータは、病原性感染症を処置するためのそれらの使用に加えて、免疫細胞応答を増強することによってがん細胞を効果的に標的化および処置するためにVHH
カッパ付加物も使用できることを実証している。
【0122】
VHH
カッパ-SD36付加物は、10 LD
50のインフルエンザウイルスに感染した6~9週齢の雌BALB/cマウスにおいてさらに試験された。マウスは、示された用量のVHH
カッパ-SD36、VHH
カッパとSD36との混合物、または等量のPBSで腹腔内注射によって処置された。マウスは、体重の25%が減少したかまたは瀕死になったときに、安楽死させた。体重減少曲線(左)および生存曲線(右)が示されている(
図14D)。これらのデータは、高い生存率によって示されているように、VHH
カッパ-SD36コンジュゲートが感染マウスを処置する際に有効であることを実証している。
【0123】
例5-標的病原体または他の細胞型に対する免疫を増強するためのナノボディ-薬物付加物
インフルエンザ感染症およびマラリア感染症の処置に有用な付加物の有効性は、例1~3において実証されている。さらに、がんを処置するための付加物の有効性は、例4で実証されている。しかしながら、VHHカッパ付加物は、異なる病原体および/または細胞型に対する特異性のためにいくつかの方法で修飾され得る。例えば、VHHカッパは、代わりに、別のウイルス、細菌、寄生生物、または真菌などの別の病原体の表面に位置する標的(例として、タンパク質)などの別の標的に対して特異的な薬剤へ連結されてもよい。例えば、ザナミビルではなく、VHHカッパは、ベータコロナウイルスの表面の標的を特異的に認識する小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー、または抗体(または抗体フラグメント)、例えば、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス(SARS-CoV)-1、またはSARS-CoV-2へ連結されていてもよい。例えば、VHHカッパは、MERS-CoV、SARS-CoV-1、もしくはSARS-CoV-2スパイクタンパク質、またはそのスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を特異的に認識する薬剤へ連結されて、MERS-CoV、SARS-CoV-1、またはSARS-CoV-2感染症の処置に対して特異的であり、およびその処置に有用なVHHカッパ付加物を生成してもよい。同様に、VHHカッパは、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ糖タンパク質gp120に対して特異的な薬剤へ連結されて、HIV感染症の処置に対して特異的であり、およびその処置に有用なVHHカッパ付加物を生成してもよい。VHHカッパは、例えば、またはヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質に対して特異的な薬剤へ連結されて、RSV感染症の処置に対して特異的であり、およびその処置に有用なVHHカッパ付加物を生成してもよい。プラスモジウムなどの寄生生物の処置に有用なVHHカッパ付加物は、例えば、VHHカッパを、メロゾイト表面タンパク質1(MSP-1)に対して特異的な別の薬剤、または寄生生物の別の表面タンパク質に特異的な薬剤へ連結させることによって生成してもよい。同様の戦略を採用して、宿主免疫グロブリンおよび免疫細胞を感染性細菌および真菌に動員することが可能な付加物を生成してもよい。
【0124】
あるいは、関連する戦略が使用され、宿主免疫グロブリンおよび免疫細胞を対象自身の細胞へ標的化してもよい。例えば、がんの処置に対して特異的であり、およびその処置に有用なVHHカッパ付加物は、以下に限定されないが、葉酸受容体、フィブロネクチンスプライスバリアント、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR-2)、C-X-Cケモカイン受容体4型(CXCR4)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子表面受容体(uPAR)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮カドヘリン(ECAD)、癌胎児性抗原(CEA)、またはメソテリン(MSLN)などの腫瘍関連抗原に対して特異的な薬剤へ、VHHカッパを連結させることによって生成されてもよい。全身投与されたとき、かかる付加物は、全身のがん細胞を標的化するために有用であり、したがって転移性がんの処置に特に有用である。付加物はまた、非標的細胞と比較して、標的細胞の表面に不釣り合いに発現される標的に対して特異的な薬剤へVHHカッパを連結させることによって、細胞ストレスに応答するなどの表現型変化を受けているか、または受けた細胞を包含する他の細胞型へ宿主免疫グロブリンおよび免疫細胞を標的化するように設計されてもよい。さらに、付加物は、宿主免疫グロブリンおよび免疫細胞を疾患細胞に加えて健康な細胞に標的化するように設計されてもよい。例えば、骨髄に対して特異的な付加物は、VHHカッパを骨髄細胞またはその即時前駆体に対して特異的な薬剤へ連結させることによって生成されてもよい。かかる薬剤は、典型的には骨髄移植の前に投与されるように、潜在的に有害な放射線または化学療法剤を必要とせずに対象における骨髄を切除するために有用であることがある。同様に、例えば、分化抗原群4(CD4)、分化抗原群8(CD8)、T細胞受容体(TCR)、またはB細胞受容体(BCR)などの標的細胞に対して特異的な薬剤へVHHカッパを連結させることによって、健康な免疫細胞および/または疾患免疫細胞に対して特異的な付加物を生成してもよい。かかる付加物は、例えば、自己抗原(すなわち、自己免疫に関連する抗原)に対して特異的な免疫細胞または特定のアレルゲンに対して特異的な免疫細胞を除去するために使用されてもよい。
【0125】
あるいは、または、先に述べられた例のいずれかに加えて、付加物はまた、この技術分野において公知の代替の抗体または抗体フラグメント(例えば、抗体全体、Fabフラグメントまたは一本鎖フラグメント可変(ScFv)など)を含むように修飾されてもよい。標的病原体および/または細胞に対して特異的であり、それに対する免疫応答を増強するために有用な付加物はまた、かかる病原体および/または細胞に対して特異的な薬剤を、VHHカッパではなくラムダ軽鎖(VHHラムダ)に対して特異的なラクダ抗体の重鎖へ連結させることによって生成されてもよい。VHHラムダ付加物は、カッパ軽鎖ではなくラムダ軽鎖を含む宿主免疫グロブリンに対するそれらの特異性においてのみ、VHHカッパ付加物と異なる。VHHラムダ付加物は、宿主免疫グロブリンの特異性にかかわらず、免疫細胞を標的病原体および/または細胞に動員するために、ラムダ軽鎖およびFc領域を含むいずれかの宿主免疫グロブリンへ結合させることが可能である。
【0126】
前述のように、原則として、当技術分野で公知のいずれかのリンカーが使用され、VHHカッパまたはVHHラムダを標的特異的薬剤へ共有結合的に連結させてもよい。リンカーは、ペプチド、ジスルフィドもしくはヒドラゾンリンカーなどの切断可能なリンカー、または標的特異的薬剤をC末端に存在するものなどのVHHカッパもしくはVHHラムダのアミノ酸残基へ連結させるための切断不可能なリンカーであってもよい。コンジュゲートの形成は、該コンジュゲートの個々の構成成分間の化学反応によって、または細菌もしくは真核細胞において発現されたときに所望のコンジュゲートのアミノ酸配列を特定して所望のコンジュゲート(例として、VHHカッパまたはVHHラムダにコンジュゲートされた標的特異的抗体または抗体フラグメント(例として、標的特異的ナノボディまたは単一ドメイン抗体))をもたらす核酸構築物、RNAもしくはDNAベースの生成によってもたらされてもよい。
【0127】
例6-MICA特異的ナノボディの開発
クラスI MHC様分子であるMHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA)は、悪性形質転換細胞の表面に濃縮されていることが頻繁に見出される細胞ストレス誘導性糖タンパク質である。MICAは、腫瘍細胞などのMICA陽性標的に対する免疫を可能にするナチュラルキラー(NK)細胞の表面の活性化受容体であるKiller Cell Lectin Like Receptor K1(KLRK1)としても知られるナチュラルキラー群2D(NKG2D)によって認識される。高レベルのMICA発現は、例えば胆管癌における予後の改善と正の相関がある(例として、Oliviero B,et al.Oncoimmunology.2022;11(1):2035919を参照されたい)。MICAの下方調節は、ADAMファミリーマトリックスメタロプロテアーゼによって触媒されるシェディングによって起こり得る(例として、Waldhauer I,et al.Cancer Res.2008;68(15):6368-76を参照されたい)。MICA表面発現の喪失は、腫瘍細胞をNKG2D陽性NK細胞に対して低感受性にするが、可溶性MICA自体がNK細胞上のNKG2D受容体を占有し、MICA陽性標的とのNK細胞間の相互作用を損なうことがある。MICAに対して特異的なVHHナノボディは、MICA陽性腫瘍細胞に対して免疫応答を選択的に誘導するために、またはVHHナノボディ付加物の一部として治療のために細胞毒性剤もしくは細胞増殖抑制剤をかかる細胞へ送達するために使用することができる。
【0128】
MICAを特異的に認識するVHHナノボディの生成が本明細書において記載されている。これらのナノボディは、従来の二本鎖免疫グロブリンと比較して短い循環半減期および優れた組織浸透性を有すると予想され、in vivoイメージング剤と免疫療法剤の両方に望ましい特性を有する。MICAは、ストレスを受けた細胞およびがん性細胞の表面に発現されるので、in vivoでかかる異常を非侵襲的に検出する能力は、前がん性病変および悪性病変を検出するための重要な診断ツールであろう。MICA特異的ナノボディもまた、治療ナノボディ付加物の一部として存在してもよい。
【0129】
MICA特異的VHHナノボディを得るために、アルパカはMICAの精製細胞外ドメインで免疫化され、MICA特異的ナノボディ配列が単離されたファージディスプレイライブラリーが作成された。簡単に説明すると、アルパカは、ミョウバンアジュバント中の250μgの精製MICA*009で免疫化された後、2週間間隔で分離した3回のブースター注射を受けた。免疫化されたアルパカの免疫応答は、各ブースター注射の前に収集された血清試料を免疫ブロットすることによってモニタリングされた。免疫ブロットで生じたシグナルは、従来の免疫グロブリンまたは重鎖のみの(ナノボディ)免疫グロブリンの間で区別することができないが、陽性シグナルは、免疫化の成功およびその後の免疫応答を示した。免疫化が最終ブースター注射後に成功したことが決定されたので、ファージディスプレイライブラリーが構築され、確立された技法を使用してスクリーニングされた。
【0130】
陽性クローンからのDNAがシーケンシングされ、さらなる特徴付けのために合計9個のクローンが選択された。関連するVHH配列は、ある特定の修飾、すなわち、各ナノボディ配列が、回収および精製を容易にするために、ソルターゼAによって認識されるC末端LPETGモチーフおよびHis
6タグを有する修飾を用いて、pHEN6発現ベクターにサブクローニングされた(
図17A)。この配置は、部位特異的かつ効率的なソルターゼ触媒によるペプチド転移反応によるフルオロフォア、ビオチン、または他の部分の設置を可能にする。LPETG配列はペプチド転移中に切断されるので、LPETGモチーフのすぐC末端側のHis
6タグは、ナノボディを別の部分と組み合わせる際に失われる。これにより、ニッケル-ニトリロ酢酸(NiNTA)マトリックス上のHis
6タグ化ソルターゼおよび未反応の入力ナノボディを枯渇させ、続いて修飾ナノボディを含有する未結合画分を回収することによって、所望の修飾ナノボディの濃縮が可能になる。9つの単離された抗MICAナノボディクローンのアミノ酸配列を以下の表2に示す。
【0131】
【0132】
ナノボディは免疫ブロット実験に必ずしも適していないが、クローンA1およびH3のビオチン化バージョンは、1ug/mLの希釈で使用されたときに、免疫ブロット上に驚くほど強く特異的な発光シグナルを生じた(
図17B)。免疫ブロットは、精製MICA*009抗原が添加された全細胞溶解物の試料をSDS-PAGEによって分離し、単離されたナノボディを用いて免疫ブロットし、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を二次検出剤として用いて免疫ブロットを処置することによって調製された。
【0133】
単離されたナノボディがMICA抗原上の類似するか、または別個のエピトープを認識するかどうかを決定するために、ELISA交差競合実験を実施することによって、抗MICA VHHナノボディ結合の特異性がさらに評価された。MICAへの結合についての非標識ナノボディとビオチン化ナノボディとの競合は、単離されたナノボディが2つの別個のエピトープを認識し、一方はA1ナノボディによって例証され、他方はH3ナノボディによって例証されることを示した(
図17C)。興味深いことに、単離されたナノボディはいずれも、以前に報告された7C6抗MICAモノクローナル抗体との結合について競合せず(例として、Ferrari de Andrade,et al.Science.2018;359(6383):1537-1542を参照されたい)、これらのナノボディがMICA抗原の以前に認識されなかったエピトープへ結合することを示している。
【0134】
次に、単離された抗MICA VHHナノボディがある特定のMICA対立遺伝子産物に対して選択的であるかどうかが評価された。MICAは、ヒトゲノムの高度に多型性の遺伝子座であり、疾患状態に関連するいくつかのバリアントを含む、ヒト集団における多種多様な対立遺伝子産物の発現をもたらす(例として、Shi C,et al.Open Rheumatol J.2015;9:60-64を参照されたい)。したがって、単離された抗MICAナノボディは、他のものよりもいくつかのMICAバリアントへ優先的に結合することが可能である。これが当てはまるかどうかを判定するために、2つの別個のエピトープのいずれかへ結合すると決定されたA1、B11、E9、およびH3抗MICAナノボディクローンは、MICAバリアントのセット、ならびに同様にストレス誘導性糖タンパク質、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、およびフェリチン対照への結合についてELISAアッセイにおいて評価された。単離されたナノボディのそれぞれは、MICA*008およびMICA*009バリアントへ結合することが観察されたが、MICA*002へ結合することは観察されなかった(
図17D)。MICA*008およびMICA*009が、それぞれ参加者のおよそ42.3%および8.8%で生じる、ドイツ系の120万人のドナーの研究において、参加者の半分強で生じることが観察されたことを考慮すると(例として、Klussmeier A,et al.Front Immunol.2020;11:314.を参照されたい)、単離されたナノボディは、MICA発現腫瘍のある対象におけるイメージングまたは治療適用のいずれかのための広範な有用性を有するであろう。
【0135】
単離された抗MICA VHHナノボディが細胞表面のMICAへ結合するかどうかをさらに評価するために、可溶性の組換えMICA*009に対してA1およびH3ナノボディクローンが作製され、細胞結合がフローサイトメトリーによって評価された。結合は、MICAまたはMICBのいずれかを発現するようにトランスフェクトしたB16F10黒色腫細胞、または陰性対照として空ベクター(EV)を使用して評価された。ビオチン化A1およびH3ナノボディはストレプトアビジン-フィコエリトリン(PE)で標識され、トランスフェクトB16F10細胞の細胞蛍光測定に使用された。A1ナノボディクローンとH3ナノボディクローンの両方が、MICAトランスフェクト細胞の堅牢な染色を実証した(
図17E)。さらに、どちらのナノボディクローンもMICBトランスフェクト細胞またはEVトランスフェクト細胞を染色せず、単離されたナノボディがMICA陽性腫瘍細胞へ選択的に結合することが可能であることが確認された。これらの結果は、単離された抗MICAナノボディ、例として、MICA特異的ナノボディ付加物の一部の有用性をさらに示す。
【0136】
単離された抗MICA VHHナノボディの有用性をさらに確立するために、さらなるアッセイがin vivoで実施されてもよい。第1に、標識ナノボディの結合は、MICA陽性腫瘍を発現するマウス異種移植モデルにおいて評価されてもよい。例えば、C57/B6マウスは、MICA陽性B16F10細胞を接種され、続いてビオチン化ナノボディで処置されてもよい。マウスがMICAまたは交差反応性種を発現しないことを考慮すると、ビオチン化ナノボディは、MICA陽性B16F10腫瘍へのみ結合すると予測される。次いで、ストレプトアビジンがコンジュゲートされた蛍光または発光剤でマウスはさらに処置され、画像化される。異種移植片部位に局在する蛍光/発光シグナルは、標識ナノボディがMICA陽性がん細胞に対して特異的であることを示す。第2に、単離されたナノボディは、それらの小さいサイズ、効率的な組織浸透、および短い循環半減期のために、陽電子放射断層撮影(Immuno-PET)のためのイメージング剤としてさらに試験されてもよい。Immuno-PETによるイメージングのための単離されたナノボディの有用性を試験するために、C57/B6マウスにB16F10対照細胞またはMICA陽性B16F10細胞が移植されてもよい。B16F10腫瘍が確立されると、続いて、マウスは
89Zr標識A1またはH3ナノボディクローンで処置され、Immuno-PETを介して画像化されてもよい。単離されたナノボディの高い特異性を考慮すると(
図17E)、これらの研究は、これらの新規な抗MICAナノボディの診断的および臨床的有用性をさらに示すと予想される。
【0137】
例7-コンジュゲートの評価
VHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンコンジュゲートは、マウス免疫グロブリンに対するそれらの結合親和性について試験された(
図18A~
図18C)。96ウェルELISA高結合プレートは、100μlの5μg/mlマウスIgで4℃で一晩コーティングされた(マウスIgGアイソタイプ対照:Invitrogen、カタログ番号10400C;マウスIgAアイソタイプ対照:Invitrogen、カタログ番号14-4762-81;マウスIgMアイソタイプ対照:BioLegend、カタログ番号401601)。プレートは、洗浄緩衝液(0.1%(v/v)Tween-20を補充されたPBS)で3回洗浄され、ブロッキング緩衝液(PBS中1%(w/v)BSA)と共に室温で1時間インキュベートされた。洗浄緩衝液で4回洗浄した後、各ウェルは、ブロッキング緩衝液中のVHHカッパ-ビオチン、VHHカッパ-SD36-ビオチン、またはSD36-ビオチンの連続4倍希釈物100μlで処置された。室温で2時間インキュベートした後、プレートは洗浄緩衝液で4回洗浄され、ストレプトアビジン-HRP(1:1000希釈、Biolegend、カタログ番号405210)と共に室温で1時間インキュベートされた。洗浄緩衝液で4回洗浄した後、各ウェルは、100μlのTMB基質溶液(Biolegend、カタログ番号421101)と共に室温で10分間インキュベートされた後、100μlの1N H2SO4が添加されて酵素反応を停止させた。次いで、光学濃度をOD450で読み取った。GraphPad Prism 7(飽和結合方程式、1サイト--合計)の飽和結合方程式を使用して、VHHの濃度に対する450nmでの平均吸光度値のプロットから、解離定数(Kd)が計算された。これらのデータは、VHH
カッパ-ビオチンおよびVHH
カッパ-SD36-ビオチンコンジュゲートがマウス免疫グロブリンに対して高い結合親和性を有することを実証している。
【0138】
様々なインフルエンザ種のノイラミニダーゼに対するVHH
カッパ-ザナミビル、ALB1-ザナミビル、ザナミビル、およびVHH
カッパのノイラミニダーゼ阻害活性は、NA-Star(商標)Influenza Neuraminidase Inhibitor Resistance Detection Kitによって測定された。VHHカッパ-ザナミビル、ALB1-ザナミビル、ザナミビル、およびVHHカッパのノイラミニダーゼ阻害活性は、NA-Star(商標)Influenza Neuraminidase Inhibitor Resistance Detection Kit(Invitrogen、カタログ番号4374422)によって測定された。インフルエンザ株を図に示す。S12はノイラミニダーゼ源として使用された。すべてのウイルスは40:1(ウイルス含有ウェルのルミネセンス強度:ウェルを含有するNA-Starアッセイ緩衝液)のシグナル:ノイズ比に希釈された。簡単に記載すると、試験された分子の一連の希釈物(25μL)は、NA-Star(商標)検出マイクロプレート中の25μLのウイルスと共に37℃で20分間インキュベートされた。次いで、10μLのNA-Star基質が各ウェルに添加され、室温で30分間インキュベートされた。最後に、60μLのNA-Star促進剤溶液がすべてのウェルに添加され、それらの発光強度をプレートリーダー(SpectraMax(登録商標)iD5、分子デバイス)によって直ちに読み取られた。最大半量阻害濃度(IC50)値は、GraphPad Prism 7によって計算された。VHH
カッパ-ザナミビルおよびALB1-ザナミビルは、最大半量阻害濃度(IC50)の有効率を実証した(
図19A~
図19B)。
【0139】
ALB1のアミノ酸配列は:
AVQLVESGGGLVQPGNSLRLSCAASGFTFRSFGMSWVRQAPGKEPEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNAKTTLYLQMNSLKPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTQVTVSSGGLPETGGHHHHHH(配列番号38)である。
【0140】
インフルエンザウイルス感染MDCK細胞上に発現したヘマグルチニンへ結合するVHHカッパ-SD36の能力が試験された。MDCK細胞は24ウェルプレートに播種され、一晩コンフルエントまで増殖させた。インフルエンザウイルス(10 TCID50)によるMDCK細胞の感染は、インフルエンザの検査室診断およびウイルス学的監視のためのマニュアル(世界保健機関-2011)に従って実施された。
【0141】
感染MDCK細胞の表面のウイルスヘマグルチニンに対するVHHの親和性は、飽和結合アッセイを使用して決定された。簡単に説明すると、使用済み培地は、ウイルス感染MDCK細胞を含有する24ウェルプレートから吸引され、次いで、様々な濃度のVHHカッパ-SD36を含有する0.5mLの新鮮な無血清培地と交換された。37℃で1時間インキュベートした後、ウイルス感染細胞は新鮮な培地(2×0.5mL)ですすがれ、未結合VHHが除去された。HAへ結合したVHHの量を定量するために、0.25mLの新鮮な無血清培地中のマウスIgG-フィコエリトリン(PE)(1:20希釈、R&D Systems、カタログ番号IC002P)は、VHHkappa-SD36含有ウェルに添加された。37℃で30分間のインキュベーション後、ウイルス感染細胞を新鮮な培地(2×0.5mL)で再度すすぎ、次いで、0.5mLの1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に溶解させた。細胞関連蛍光は、560nmの励起波長および620nmでの発光を使用して測定された。GraphPad Prism 7(飽和結合方程式、1サイト--合計)の飽和結合方程式を使用して、VHHの濃度に対する細胞結合蛍光強度のプロットから、解離定数(Kd)が計算された。VHH
カッパ-SD36は、高親和性でインフルエンザAウイルス株上に発現したヘマグルチニンに結合した(
図20A~
図20B)。
【0142】
SD36-DFOおよびVHHカッパ-SD36-DFOはPETイメージングのために調製された。トリグリシン修飾DFOのナノボディへのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって、ナノボディ-DFO付加物が調製された。SD36-DFO(左)およびVHHカッパ-SD36-DFO(右)の最終生成物はSDS-PAGEによって分析された。
【0143】
例8-in vivoでのコンジュゲートの能力
VHH
カッパ-ザナミビル、MEDI8852、およびVHH
カッパ-E11の間の治療有効性が試験され、比較された。6~9週齢の雌BALB/cマウスに10 LD
50のインフルエンザウイルスを感染させた。マウスは、示された用量のVHH
カッパ-ザナミビル、MEDI8852(in vitroで群Iと群IIの両方のインフルエンザAウイルス(IAV)を中和するモノクローナル抗体(mAb))、またはVHH
カッパ-E11(SARS CoV-2スパイク特異的ナノボディ)で腹腔内注射によって処置された。マウスは、体重の25%が減少したかまたは瀕死になったときに、安楽死させた。体重減少曲線(左)および生存曲線(右)が示されている。体重減少曲線については、体重変化%は、平均値±標準偏差を表す。いずれかの2群間の14日間にわたる体重変化%の平均値は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVA分析を使用して比較された。示された群とPBS処置群との間の統計的差異が示されている(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。生存曲線については、示された群とPBS処置群との間の統計的差異がLog-rank(Mantel-Cox)検定によって計算された(*P<0.05、**P<0.01)。これらのデータは、VHH
カッパ-ザナミビルが、体重および/または生存率に関してMEDI8852およびVHH
カッパ-E11よりも優れていることを実証している(
図21)
【0144】
例9
補体依存性細胞毒性(CDC)および抗体依存性細胞毒性(ADCC)を誘導するVHHカッパ-ザナミビルの能力が試験された。
【0145】
CDCアッセイでは、10000個の細胞/ウェルのMDCK細胞が96ウェルプレートに播種され、100 TCID
50のインフルエンザウイルスA/NWS/33(H1N1)と共に24時間インキュベートされた。使用済み培地は、ウイルス感染MDCK細胞を含有する96ウェルプレートから吸引され、次いで、50μlのVHH
カッパ-ザナミビル(またはVHH
カッパ-SD36)またはVHH
カッパとザナミビルとの混合物(またはSD36)(最終濃度:10nM)で処置された。周囲温度で30分間インキュベートした後、40μg/mLの正常マウスIgGアイソタイプ対照(Invitrogen、カタログ番号10400C)および40%(v/v)のウサギ補体血清(Sigma-Aldrich、カタログ番号S7764)を含有する新鮮な無血清培地50μlが細胞に添加された。次いで、プレートは37℃で2.5時間インキュベートされた。細胞生存率はCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、カタログ番号G7572)によって測定された。細胞を5%のH
2O
2で処置することによって、最大細胞殺滅が達成された。VHH
カッパ-ザナミビルによって誘導される細胞毒性パーセントは、以下のように計算された:
【数1】
【0146】
インフルエンザウイルス感染MDCK細胞は、感染細胞における高い細胞毒性によって証明されるように、ウサギ補体およびマウスポリクローナルマウスIgGの存在下で、VHH
カッパ-ザナミビルによって殺滅させた(
図23A)。
【0147】
ADCCアッセイでは、10000個の細胞/ウェルのMDCK細胞が96ウェルプレートに播種され、100 TCID50のインフルエンザウイルスA/NWS/33(H1N1)と共に24時間インキュベートされた。使用済み培地は、ウイルス感染MDCK細胞を含有する96ウェルプレートから吸引され、次いで、25μlのVHHカッパ-ザナミビル(またはVHHカッパ-SD36)またはVHHカッパとザナミビルとの混合物(またはSD36)(最終濃度:10nM)で処置された後、40μg/mL正常マウスIgGアイソタイプ対照(Invitrogen、カタログ番号10400C)25μlを添加された。室温で30分間インキュベートした後、25μlのADCCレポーター細胞(Promega、カタログ番号10400C)が75,000個の細胞/ウェルで添加され、37℃で6時間インキュベートされた。ADCCレポーター細胞によって生成されたルシフェラーゼを測定するために、75μlのBio-Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号10400C)が各ウェルに添加され、プレートリーダー(SpectraMax(登録商標)iD5、分子デバイス)によってルミネセンス強度が測定された。
【0148】
ウイルス感染MDCK細胞は、VHH
カッパ-ザナミビルおよびマウスポリクローナルマウスIgGの存在下でのマウスFcγRIV受容体の係合の際に、ルシフェラーゼを発現するレポーター細胞においてルシフェラーゼの発現を誘導した。ADCCの誘導は、示された試料のルミネセンス強度を、ウイルス感染細胞およびVHHのないレポーター細胞を含有する対照試料の平均値で割ることによって計算された。VHH
カッパ-ザナミビルコンジュゲートは、感染細胞において、VHH
カッパとザナミビルの混合物と比較して有意な誘導をもたらした(
図23B)。
【0149】
VHH
カッパ-ザナミビルおよびALB1-ザナミビルは、同様のクリアランス速度を有することが見出された(
図23D)。10μLの全血(y軸)からの毎分カウント(CPM)としての
89Zr崩壊率の個々の各測定値は、構築物(x軸:10分、1時間、24時間、48時間、72時間、96時間、および144時間)の最初の注射後の各採血時点についての青色の正方形(VHH
カッパ-DFO-
89Zr、n=3)、赤色の円(ALB1-DFO-
89Zr、n=4)または黒色の三角形(SD36-DFO-
89Zr、n=3)として示されている。すべてのマウスは、250μCiの初期用量の
89Zr標識VHH(VHH 1mg/kgに等しい)を受けた。各データ点は平均値±標準偏差を表す。各VHHの半減期(速い相および遅い相)は、二相減衰モデルを使用して推定された。注射後最初の144時間にわたる総VHH曝露は、経時的に血液中のVHH濃度を積分することによって計算された。これは、「曲線下面積」(AUC)として表される。
【0150】
VHH
カッパ-ザナミビルについて実施された実験と同様の実験を使用して、VHH
カッパ-SD36がADCCを誘導したがCDCを誘導しなかったことが判明した(
図24A~
図24B)。
【0151】
例10
ALB1-ザナミビルコンジュゲートが調製された。ALB1は、
図25Aに示されているアミノ酸配列を有する抗血清アルブミンナノボディ(ALB1)である。ソルターゼ認識モチーフ(LPETG)がナノボディのC末端に付着していた。ALB1-ザナミビルは、トリグリシン修飾ザナミビルのALB1へのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって調製された。最終生成物であるALB1-ザナミビルの特定は、SDS-PAGEおよび質量分析によって確認された(
図25B)。
【0152】
PETイメージングのためにVHHカッパ-DFO、ALB1-DFO、およびSD36-DFOが調製された。トリグリシン修飾DFOのナノボディへのソルターゼに媒介されるコンジュゲーションによって、ナノボディ-DFO付加物が調製された。ナノボディ-DFO付加物はSDS-PAGE(各ゲルについて、左から右への順に:1:ソルターゼ、2:非コンジュゲートナノボディ、3:反応混合物、4~9:PD-10カラム溶出後に得られた異なる画分、ゲル上の#6として示されているナノボディ-DFO付加物はPETイメージングに使用された)によって分析された。
【0153】
均等物および範囲
当業者は、本明細書に記載の態様の多くの均等物を認識するか、または日常的な実験法を使用するだけで確かめることができるだろう。本開示の範囲は上の記載に限定されることを意図せず、むしろ添付の請求項によって規定される通りである。
【0154】
反する指示がないか、または別様に文脈から明白でない限り、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、1または1より多いことを意味することがある。反する指示がないか、または別様に文脈から明白でない限り、ある群の2つ以上のメンバー間に「または」を包含する請求項または記載は、群のメンバーの1つ、2つ以上、またはすべてが存在する場合には、満たされると考えられる。2以上の群のメンバー間に「または」を包含する群の開示は、群の正確に1つのメンバーが存在する態様、群の2つ以上のメンバーが存在する態様、および群のメンバーのすべてが存在する態様を提供する。簡潔にするために、これらの態様は、本明細書において個々に記載されていないが、これらの態様の各々は、本明細書において提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄されることがあることが理解されよう。
【0155】
本開示は、請求項の1以上から、または明細書の1以上の関係する部分からの1以上の限定、要素、節、または記述用語が別の請求項に導入されるすべての変形、組合せ、および置換を網羅することが理解されるべきである。例えば、別の請求項に従属する請求項は、同じ基本請求項に従属するいずれかの他の請求項に見出される1以上の限定を包含するように修正され得る。さらに、特許請求の範囲に組成物が記載されている場合、別段の指示がない限り、または矛盾もしくは不整合が生じることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示されている製造方法もしくは使用方法のいずれかに従って、またはもしあれば当技術分野で公知の方法に従って、組成物を製造する方法または使用する方法が包含されることを理解されたい。
【0156】
要素が例としてマーカッシュ群形式でリストとして提示される場合、要素のすべての可能な部分群も開示され、いずれかの要素または要素の部分群が群から除去され得ることを理解されたい。「含む」という用語はオープンであることが意図され、追加の要素または工程の包含を許容するということにもまた留意されたい。一般に、態様、製品、または方法が特定の要素、特徴、または工程を含むと言及される場合、かかる要素、特徴、または工程からなる、またはそれから本質的になる態様、製品、または方法も同様に提供されることを理解されたい。簡潔にするために、これらの態様は、本明細書において個々に記載されていないが、これらの態様の各々は、本明細書において提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄されることがあることが理解されよう。
【0157】
範囲が与えられる場合、エンドポイントは包含される。さらにその上、別様に指示されないかまたは文脈および/または当業者の理解から別様に明白でない限り、文脈が明瞭に別様に述べていない限り、範囲として表現されている値は、いくつかの態様において、記載される範囲内のいずれかの特定の値を範囲の下限の単位の十分の一まで取り得るということは理解されるべきである。簡潔にするために、各範囲の値は本明細書においては個々に列挙されていないが、これらの値の各々は本明細書において提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄されることがあることが理解されよう。別様に指示されないかまたは文脈および/または当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現されている値は所与の範囲内のいずれかの部分範囲を取り得、部分範囲のエンドポイントは範囲の下限の単位の十分の一と同じ正確度で表現されるということもまた理解されるべきである。
【0158】
ウェブサイトが提供される場合、URLアドレスは、それぞれのウェブアドレスの期間を括弧で囲んで、非ブラウザ実行可能コードとして提供される。実際のウェブアドレスは括弧を含有しない。
【0159】
加えて、本開示のいずれかの特定の態様が請求項のいずれか1以上から明示的に排除されることがあるということは理解されるべきである。範囲が与えられる場合、範囲内のいずれかの値が請求項のいずれか1以上から明示的に排除されることがある。本開示の組成物および/または方法のいずれかの態様、要素、特徴、適用、または側面はいずれか1以上の請求項から排除され得る。簡潔にするために、1以上の要素、特徴、目的、または側面が排除される態様のすべてが、本明細書において明示的に規定されているわけではない。
【配列表】
【国際調査報告】