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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】半導体工程の絶縁膜製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20250204BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250204BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
H01L21/316 S
H01L21/318 A
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543198
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2023000212
(87)【国際公開番号】W WO2023140541
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0009707
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522494798
【氏名又は名称】エイチピエスピ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HPSP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】26, Samsung 1-ro 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18449, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンギル
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA20
5F045AB32
5F045AB33
5F045AB34
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AE30
5F045AF03
5F045BB17
5F045BB19
5F045DP05
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EK06
5F045HA16
5F058BA08
5F058BA09
5F058BC02
5F058BC08
5F058BC11
5F058BF54
5F058BF55
5F058BF58
5F058BH04
5F058BH05
(57)【要約】
本発明は、ウエハを処理室内に配置する段階;大気圧より高い第1圧力でソースガスを前記処理室に供給して、酸化工程及び窒化工程のうち少なくともいずれか1つが行われることにより前記ウエハに絶縁膜が形成されるようにする段階;パージガスを前記処理室に供給して前記ソースガスをパージする段階;及び大気圧より高い第2圧力で雰囲気ガスを前記処理室に供給して、熱処理工程が行われることにより前記絶縁膜が強化されるようにする段階を含む半導体工程の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを処理室内に配置する段階;
大気圧より高い第1圧力でソースガスを前記処理室に供給して、酸化工程及び窒化工程のうち少なくともいずれか1つが行われることにより前記ウエハに絶縁膜が形成されるようにする段階;
パージガスを前記処理室に供給して、前記ソースガスをパージする段階;及び
大気圧より高い第2圧力で雰囲気ガスを前記処理室に供給して、熱処理工程が行われることにより前記絶縁膜が強化されるようにする段階を含む、半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項2】
前記第1圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲内で決定された値である、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項3】
前記大気圧より高い第1圧力でソースガスを前記処理室に供給して、酸化工程及び窒化工程のうち少なくともいずれか1つが行われることにより前記ウエハに絶縁膜が形成されるようにする段階は、
前記ソースガスを第1温度に維持する段階を含み、
前記第1温度は、
400℃ないし600℃の範囲で決定された値である、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項4】
前記ソースガスは、
酸素ガス、水蒸気、及びアンモニアガスの少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項5】
パージガスを前記処理室に供給して、前記ソースガスをパージする段階は、
前記処理室を前記第1圧力及び前記第1温度に維持して行われる、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項6】
前記パージガスは、
窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガスのいずれか1つを含む、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項7】
前記第2圧力は、
5ATMないし20ATMの範囲内で決定された値である、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項8】
前記雰囲気ガスは、
水素ガス、重水素ガス、及び窒素ガスのうち少なくともいずれか1つを含む、 請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【請求項9】
前記処理室が前記第1圧力及び前記第2圧力のいずれか1つに維持される中に、前記処理室を収容する収容空間を前記第1圧力及び前記第2圧力のいずれか1つより高い圧力に維持する段階をさらに含む、請求項1に記載の半導体工程の絶縁膜製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体工程中に使用される絶縁膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製造工程は前工程と後工程に大別される。前工程は、酸化、蒸着、露光、エッチング、イオン注入、配線などの工程を含む。
【0003】
酸化工程または蒸着工程により、ウエハには絶縁膜が形成される。絶縁膜は回路パターンが形成された後も漏洩電流が発生しないようにする。絶縁膜は続くエッチング工程などにおいて保護膜の役割もする。従って、絶縁膜の質的特性、例えば、密度などは一定水準以上に確保されなければならない。
【0004】
しかしながら、従来の蒸着工程または酸化工程により形成された絶縁膜は、十分な水準の質的特性を備えていない。この問題を改善するためには長時間の工程が要求されるか、工程温度が過度に高くならなければならない。長時間の工程などは半導体製造工程の効率を低下させる要因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、過度な工程時間及び温度を要求せずに、質的特性に優れた絶縁膜を製造できるようにする、半導体工程の絶縁膜製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を実現するための本発明の一側面による半導体工程の絶縁膜製造方法は、ウエハを処理室内に配置する段階;大気圧より高い第1圧力でソースガスを前記処理室に供給して、酸化工程及び窒化工程のうち少なくともいずれか1つが行われることにより前記ウエハに絶縁膜が形成されるようにする段階;パージガスを前記処理室に供給して、前記ソースガスをパージする段階;及び大気圧より高い第2圧力で雰囲気ガスを前記処理室に供給して、熱処理工程が行われることにより前記絶縁膜が強化されるようにする段階を含んでもよい。
【0007】
ここで、前記第1圧力は、5ATMないし20ATMの範囲内で決定されてもよい。
【0008】
ここで、前記大気圧より高い第1圧力でソースガスを前記処理室に供給して、酸化工程及び窒化工程のうち少なくともいずれか1つが行われることにより前記ウエハに絶縁膜が形成されるようにする段階は、前記ソースガスを第1温度に維持する段階を含み、前記第1温度は、400℃ないし600℃の範囲で決定された値であってもよい。
【0009】
ここで、前記ソースガスは、酸素ガス、水蒸気、及びアンモニアガスのうち少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0010】
ここで、パージガスを前記処理室に供給して、前記ソースガスをパージする段階は、前記処理室を前記第1圧力及び前記第1温度に維持して行われる。
【0011】
ここで、前記パージガスは、窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガスのいずれか1つを含んでもよい。
【0012】
ここで、前記第2圧力は、5ATMないし20ATMの範囲内で決定された値であってもよい。
【0013】
ここで、前記の雰囲気ガスは、水素ガス、重水素ガス、及び窒素ガスのうち少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0014】
ここで、前記処理室が前記第1圧力及び前記第2圧力のいずれか1つに維持される中に、前記処理室を収容する収容空間を前記第1圧力及び前記第2圧力のいずれよりも高い圧力に維持する段階がさらに含まれてもよい。
【発明の効果】
【0015】
前記のように構成される本発明による半導体工程の絶縁膜製造方法によれば、大気圧より高い第1圧力のソースガスで酸化工程または窒化工程を行うことによりウエハに対して絶縁膜を形成した後に大気圧より高い第2圧力の雰囲気ガスで熱処理工程を行うことにより絶縁膜が強化されるようにするので、過度な工程時間及び温度を依存しなくても絶縁膜の質的特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法の実行に利用されるウエハ高圧処理装置100に対する概念図である。
図2図1のウエハ高圧処理装置100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法の進行のための圧力及び温度の制御について説明するためのフローチャートである。
図5図3の半導体工程の絶縁膜製造方法のうち一部段階によって製造された絶縁膜の段差被覆性に対する比較グラフである。
図6図3の半導体工程の絶縁膜製造方法によって製造された絶縁膜の湿式エッチング率に対する比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法について添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書においては、異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明に置き換える。
【0018】
図1は、本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法の実行に利用されるウエハ高圧処理装置100に対する概念図である。
【0019】
本図を参照すると、ウエハ高圧処理装置100は、内部チャンバ110、外部チャンバ120、給気モジュール130、及び排気モジュール140を含んでもよい。
【0020】
内部チャンバ110は、半導体ウエハを高圧処理するための処理室115を有する。内部チャンバ110は、工程環境で汚染物(パーティクル)が発生する可能性を減らすために非金属材、例えば石英で製作されてもよい。図面上には簡略化されているが、内部チャンバ110の下端には処理室115を開放するドア(図示せず)が備えられる。前記ドアが下降することにより処理室115が開放され、半導体ウエハはホルダー(図示せず)に装着されたまま処理室115に投入される。内部チャンバ110の外側に配置されるヒーター(図示せず)の作動により、処理室115の温度は数百℃に達することができる。前記ホルダーは、半導体ウエハを複数層に積層できるウエハボート(wafer boat)であってもよい。前記ウエハボートも石英材質で形成されてもよい。
【0021】
外部チャンバ120は内部チャンバ110を収容する構成である。外部チャンバ120は、内部チャンバ110とは異なり半導体ウエハに対する汚染問題から自由であるため、金属材で製作されてもよい。外部チャンバ120は内部チャンバ110を収容する収容空間125を有する。外部チャンバ120も下部にはドア(図示せず)を備えるが、前記ドアは内部チャンバ110のドアと共に下降し、収容空間125を開放することができる。
【0022】
給気モジュール130はチャンバ110、120に対してガスを供給する構成である。給気モジュール130は、半導体工場のユーティリティに連通するガス供給器131を有する。ガス供給器131は内部チャンバ110、具体的に処理室115に対して、ソースガス、パージガス、及び雰囲気ガスを供給することができる。前記ソースガスは、例えば、酸素ガス、水蒸気、またはアンモニアガスを含んでもよい。前記パージガスは、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスを含んでもよい。前記雰囲気ガスは、例えば、水素ガス、重水素ガス、三重水素ガス、窒素ガス、またはアルゴンガスを含んでもよい。ガス供給器131は、収容空間125に対しては保護ガスとして、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、またはヘリウムガスを提供することができる。前記保護ガスは、前記パージガスと同種のガスが選定されてもよい。収容空間125に注入された前記保護ガスは、具体的に収容空間125中に内部チャンバ110を除いた領域に充填される。これらのガスは、それぞれ内部ガスライン133または外部ガスライン135を介して処理室115または収容空間125に注入される。
【0023】
前記ソースガス、前記パージガス、前記雰囲気ガス、及び前記保護ガスは、大気圧より高い圧力、例えば、数気圧ないし数十気圧に達する高圧を形成するようにチャンバ110、120に供給される。また、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスの圧力に対して、前記保護ガスの圧力は一定関係を有するように設定されてもよい。例えば、後者は前者より多少大きく設定されて、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスが処理室115から漏れないようにすることができる。
【0024】
排気モジュール140は、前記ソースガス、前記パージガス、前記雰囲気ガス、及び前記保護ガスをチャンバ110、120から排気するための構成である。内部チャンバ110、具体的に処理室115から前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスを排気するために、内部チャンバ110の上部には排気管141が連結される。排気管141にはガス排出器143が設置できる。ガス排出器143は、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスの排気を断続するバルブであってもよい。
【0025】
外部チャンバ120、具体的に収容空間125から前記保護ガスを排出するためにも、外部チャンバ120に連通する排気管145とそれに設置されるガス排出器147が備えられる。これらの排気管141及び145は互いに連通するため、前記ソースガス及び前記雰囲気ガスは前記保護ガスに希釈されて排気される。
【0026】
ウエハ高圧処理装置100の制御的構成は、図2を参照して説明する。図2は、図1のウエハ高圧処理装置100の制御的作動を説明するためのブロック図である。
【0027】
本図(及び図1)を参照すると、ウエハ高圧処理装置100は、前述の給気モジュール130などに加えて、ヒーティングモジュール150、感知モジュール160、制御モジュール170、及び格納モジュール180をさらに含んでもよい。
【0028】
ヒーティングモジュール150は、前述の前記ヒーターを含む構成である。前記ヒーターは、収容空間125に配置されてもよい。前記ヒーターは、前記ソースガス、前記パージガス、及び前記雰囲気ガスを加熱して工程温度に達するようにする。
【0029】
感知モジュール160はチャンバ110、120の環境を感知するための構成である。感知モジュール160は圧力ゲージ161と温度ゲージ165を備える。圧力ゲージ161及び温度ゲージ165は、チャンバ110、120ごとに設置されてもよい。
【0030】
制御モジュール170は、給気モジュール130、排気モジュール140などを制御する構成である。制御モジュール170は感知モジュール160の感知結果に基づいて、給気モジュール130などを制御することができる。
【0031】
格納モジュール180は制御モジュール170が制御のために参照できるデータ、プログラムなどを格納する構成である。格納モジュール180はフラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk)、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくともいずれか1つのタイプの格納媒体を含んでもよい。
【0032】
このような構成によれば、制御モジュール170は、本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法を実行するために、給気モジュール130などを制御することができる。
【0033】
具体的に、制御モジュール170は、圧力ゲージ161により得られたチャンバ110、120の圧力に基づいて、給気モジュール130の作動を制御することができる。給気モジュール130の作動により、内部チャンバ110には前記ソースガス、前記パージガス、または前記雰囲気ガスが工程圧力で充填される。それに対して、外部チャンバ120には前記保護ガスが充填される。
【0034】
制御モジュール170はまた、温度ゲージ165により得られたチャンバ110、120の温度に基づいて、ヒーティングモジュール150の作動を制御することができる。ヒーティングモジュール150の作動により前記ソースガス、前記パージガス、または前記雰囲気ガスは工程温度に達することができる。
【0035】
以上のウエハ高圧処理装置100を利用してウエハに絶縁膜を形成する具体的方法は、図3及び図4を参照して説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0037】
本図(及び図1ないし図2)を参照すると、処理室115にはウエハが配置される(S1)。前記ウエハは、前記ウエハボートに安着したまま、処理室115に投入される。
【0038】
処理室115において前記ウエハには絶縁膜が形成される(S3)。前記絶縁膜は、シリコン酸化物からなるシリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化物からなるシリコン窒化膜(SiN)、またはシリコン酸化物とシリコン窒化物が共に含まれているシリコン窒化膜(SiON)であってもよい。前記絶縁膜の形成のために、処理室115においては酸化工程または窒化工程が第1圧力で行われる。前記第1圧力は、大気圧よりも高い圧力である。
【0039】
前記酸化工程または前記窒化工程が完了した後に、前記酸化工程または前記窒化工程に使用されたガスはパージされる(S5)。これにより、処理室115は前記酸化工程または前記窒化工程と異なる工程が実行できる状態になる。
【0040】
パージが完了した後、前記絶縁膜は熱処理工程により強化される(S7)。前記熱処理工程は第2圧力で行われる。前記第2圧力は、大気圧よりも高い圧力である。
【0041】
図4は、本発明の一実施例による半導体工程の絶縁膜製造方法の進行のための圧力及び温度の制御について説明するためのフローチャートである。
【0042】
本図をさらに参照すると、前記酸化工程または前記窒化工程のために、処理室115には前記ソースガスが前記第1圧力で供給される(S11)。前記ソースガスのうち、前記酸素ガスは乾式酸化(Dry Oxidation)のために供給され、前記水蒸気は湿式酸化(Wet Oxidation)のために供給される。前記アンモニアガスは窒化(Nitridation)のために供給される。前記の第1圧力は、5ATMないし20ATMの範囲内で決定されてもよい。
【0043】
前記ソースガスが前記工程温度に達するようにするために、処理室115は第1温度で加熱される(S13)。前記第1温度は、400℃ないし950℃の範囲内で決定されてもよい。前記ソースガスが高圧(前記第1圧力)として作用するため、前記第1温度は600℃以下に設定できる。このような温度は一般的な蒸着工程の温度に比べて相対的に低い温度である。
【0044】
前記酸化工程または前記窒化工程が完了した後に、前記パージガスは前記第1圧力及び前記第1温度を維持し、処理室115に供給される(S15)。制御モジュール170は、給気モジュール130と共に排気モジュール140を制御して、前記ソースガスがパージされて処理室115から排気されるようにする。前記パージ工程にかかる時間は、前記酸化工程または前記窒化工程より短くてもよい。
【0045】
前記熱処理工程の実行のために、処理室115には前記雰囲気ガスが前記第2圧力で供給される(S17)。前記第2圧力は、5ATMないし20ATMの範囲内で決定されてもよい。前記第2圧力は、前記第1圧力とは独立的に設定される。これにより、前記第2圧力は前記第1圧力と同一であってもよく、異なってもよい。制御モジュール170は、給気モジュール130と共に排気モジュール140を制御して、前記雰囲気ガスが処理室115に供給されるようにし、前記パージガスは処理室115から排気されるようにする。
【0046】
前記雰囲気ガスが前記熱処理工程に要求される工程温度に達するようにするために、処理室115は第2温度に調節される(S19)。前記第2温度は、400℃ないし950℃の範囲内で決定されてもよい。前記雰囲気ガスが高圧(前記第2圧力)として作用するため、前記の第2温度は600℃以下に設定できる。前記第2温度も、前記第1温度とは独立的に設定できる。温度調節のために、制御モジュール170はヒーティングモジュール150を追加で作動させるか、冷却手段(図示せず)を作動させるか、既存の温度を維持することができる。
【0047】
前記第1圧力及び前記第2圧力の設定について図5及び図6を参照して追加で説明する。図5は、図3の半導体工程の絶縁膜製造方法のうち一部段階により製造された絶縁膜の段差被覆性に対する比較グラフであり、図6は、図3の半導体工程の絶縁膜製造方法により製造された絶縁膜の湿式エッチング率に対する比較グラフである。具体的に、図5は、パターニングされたシリコンウエハーに前記酸化工程により二酸化シリコン膜(SiO2)を形成し、その膜の段差被覆性(Step Coverage)を比較した結果を示したものである。図6は、前記熱処理工程により前記二酸化シリコン膜を強化し、強化された膜の湿式エッチング率(Wet Etch Rate、WER)を比較した結果を示したものである。
【0048】
前記酸化工程は湿式酸化工程で行われた。前記熱処理工程において、前記雰囲気ガスは水素ガスである。前記酸化工程及び前記熱処理工程、並びにそれらの間に行われた前記パージ工程において、工程温度は600℃に維持された。前記酸化工程及び前記熱処理工程はそれぞれ1時間にわたって行われ、前記パージ工程は20分間行われた。各工程は処理室115においてインシチュー(In-Situ)方式で行われた。前記工程圧力は高圧条件(1ATMないし20ATMの範囲)で調節された。湿式エッチングに使われた溶液は、純水100重量部に対してフッ酸1重量部を混合したものである。
【0049】
図5を参照すると、前記酸化工程において前記第1圧力が1ATMから20ATMまで高くなる場合、前記二酸化シリコン膜の段差被覆性も高くなる。
【0050】
例えば、1ATMにおいて前記二酸化シリコン膜の段差被覆性は82%であり、2ATMにおいては85.4%である。前記段差被覆性は3ATMにおいて85.9%に増加するが、増加幅は微弱である。
【0051】
しかしながら、5ATMにおいて前記段差被覆性は大幅に増加して96.7%に達する。前記第1圧力が10ATM、15ATM、20ATMに高くなるにつれて、前記段差被覆性は97.1%、98.2%、98.9%になる。
【0052】
このような結果を考慮すると、前記第1圧力は5ATM以上であることが前記段差被覆性の観点から好ましい。最高の段差被覆性を得るためには、前記第1圧力は20ATMに設定される。
【0053】
図6を参照すると、前記酸化工程(20ATM)で製造された前記二酸化シリコン膜に対して、前記熱処理工程は前記第2圧力で行われた。前記第2圧力が1ATMから20ATMまで高くなる場合、前記二酸化シリコン膜の湿式エッチング率は低くなることが分かる。前記ウェットエッチング率は、前記二酸化シリコン膜の密度と反比例する関係を有する。この関係を考慮すると、前記湿式エッチング率から本実施例による酸化膜の膜質改善(密度増加)効果を確認することができる。
【0054】
しかしながら、前記第2圧力が1ATMないし3ATMである場合に、前記湿式エッチング率は1オングストローム/secより高い。1オングストローム/secより低い湿式エッチング率を得るために、前記第2圧力は5ATM以上に設定される必要がある。具体的に、5ATMにおいて前記湿式エッチング率は0.99 オングストローム/secであって、希望する範囲内に入る。
【0055】
さらに、前記第2圧力が10ATM、15ATM、20ATMに高くなるにつれて、前記湿式エッチング率は0.97オングストローム/sec、0.95オングストローム/sec、0.91オングストローム/secになる。
【0056】
このような結果を考慮すると、前記第2圧力は5ATM以上であることが前記湿式エッチング率の観点から好ましい。最高のウェットエッチング率を得るためには、前記第2圧力は20ATMに設定される。
【0057】
前記のような半導体工程の絶縁膜製造方法は、前述の実施例の構成と作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部または一部が選択的に組み合わされて多様な変形が行われるように構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は半導体工程の絶縁膜製造分野に産業上利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】