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特表2025-504505エチレン酸コポリマーの生成におけるカルボン酸共溶媒
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  • 特表-エチレン酸コポリマーの生成におけるカルボン酸共溶媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】エチレン酸コポリマーの生成におけるカルボン酸共溶媒
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/02 20060101AFI20250204BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
C08F210/02
C08F220/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543474
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2023061439
(87)【国際公開番号】W WO2023147465
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/304,890
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノフ、イヴァン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】エディ、クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】エワート、ショーン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ハッシュ、ブルース エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーニグス、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】メアーシャイド、シャノン
(72)【発明者】
【氏名】ムンジャル、サラット
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AJ02Q
4J100CA04
4J100DA42
4J100EA01
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100FA30
(57)【要約】
本開示の実施形態は、エチレン酸コポリマーを生成するための方法であって、少なくとも1000気圧(atm)の圧力でのフリーラジカル重合を介して、エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーを重合して、エチレン酸コポリマーを生成することを含み、エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーが、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒を含む混合物中にあり、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有し、混合物中に1~25重量%の量で存在する、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酸コポリマーを生成するための方法であって、
少なくとも1000気圧(atm)の圧力でのフリーラジカル重合を介してエチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーを重合して、前記エチレン酸コポリマーを生成することを含み、前記エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーが、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒を含む混合物中にあり、前記少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有し、前記混合物中に1~25重量%の量で存在する、方法。
【請求項2】
前記エチレン酸コポリマーが、5~35重量%、又は12~30重量%のその中に組み込まれた不飽和カルボン酸含有コモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エチレン酸コポリマーが、ASTM D-1238(190℃/2.16Kg)に従って測定される、1~2000dg/分のメルトインデックス(I)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不飽和カルボン酸含有コモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、ピバル酸、酢酸、ギ酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
エチレンモノマー及びカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含むエチレン酸コポリマーであって、20重量%超の酸コモノマー、及びASTM D-1238(190℃/2.16Kg)に従って測定される1~2000dg/分のメルトインデックス(I2)を含む、エチレン酸コポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月31日に出願された、「CARBOXYLIC ACID COSOLVENTS IN THE PRODUCTION OF ETHYLENE ACID COPOYMER」と題する、米国特許出願第63/304,890号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により、本開示に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載される実施形態は、概して、エチレン酸コポリマーに関し、具体的には、相分離を低減するための飽和カルボン酸共溶媒の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン酸コポリマーでは、フリーラジカル溶液混合物内での相分離は、ポリマー中への酸の取り込みを制限し得るので問題である。更に、ポリマー鎖中の酸の量が増加するにつれて、相分離がファウリング及びゲルの問題を引き起こし得る。よって、相分離を低減するためにメタノール共溶媒が従来から使用されている。しかしながら、多量のメタノールは、腐食を増加させ得る。更に、メタノールは、プロセスの分子量能力を低減するための連鎖移動剤として作用し得る。
【0004】
その結果、共溶媒としてメタノールを置き換える必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、メタノールを、相分離を低減し、ポリマー鎖停止及び腐食を低減することができる飽和カルボン酸共溶媒で置き換えることによって、この必要性を満たす。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、エチレン酸コポリマーを生成するための方法であって、少なくとも1000気圧(atm)の圧力でのフリーラジカル重合を介して、エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーを重合して、エチレン酸コポリマーを生成することを含み、エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーが、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒を含む混合物中にあり、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有し、混合物中に1~25重量%の量で存在する、方法。
【0007】
これらの実施形態及び他の実施形態を、以下の図面及び「発明を実施するための形態」においてより詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1についての曇り点データのグラフである。
図2】実施例2についての曇り点データのグラフである。
図3】実施例3についての曇り点データのグラフである。
図4】実施例4についての曇り点データのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に主題の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0010】
「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、通常、1タイプのみのモノマーから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、並びに2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」という用語を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、ターポリマーなどの、2つより多い異なるタイプのモノマーから調製された、コポリマー又はポリマーを含む。
【0011】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%を超えるエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これには、エチレン系ホモポリマー又はコポリマー(単位が2つ以上のコモノマーに由来することを意味する)が含まれる。当該技術分野で既知の一般的な形態のエチレン系ポリマーとしては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられる。
【0012】
「エチレン酸コポリマー」は、エチレン及び1つ以上の不飽和カルボン酸含有モノマーの重合反応生成物である。
【0013】
実施形態は、少なくとも1000気圧(atm)の圧力でのフリーラジカル重合を介してエチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーを重合して、エチレン酸コポリマーを生成するステップを含む、エチレン酸コポリマーを生成するための方法に関する。エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーは、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒を含む混合物中にある。飽和カルボン酸共溶媒は、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有し、混合物中に1~25重量%の量で存在する。
【0014】
エチレン酸コポリマー
実施形態において、不飽和カルボン酸含有コモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの組み合わせなどの不飽和モノカルボン酸が挙げられ得る。実施形態において、不飽和カルボン酸含有コモノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、5重量%~35重量%、12~30重量%、15重量%~25重量%、又は21重量%~25重量%の量で存在し得る。逆に、エチレン酸コポリマーのエチレン含有量は、50重量%超、又は60重量%超である。例えば、エチレン酸コポリマーのエチレン含有量は、50重量%~95重量%、70重量%~88重量%、75重量%~85重量%、又は75重量%~79重量%である。実施形態において、エチレン酸コポリマーは、ASTM D-1238(190℃/2.16Kg)に従って測定される、1~2000dg/10分、10~100dg/10分、20~80dg/10分、又は1500~2000dg/分のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0015】
溶媒
混合物は、少なくとも1つの溶媒を更に含み得る。一実施形態において、溶媒は、超臨界エチレンを含む。溶媒はまた、炭化水素溶媒を含み得、これは、これらに限定されないが、例えば、鉱油からの鉱物溶媒、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒、環状溶媒などを含み得る。炭化水素溶媒は、例えば、n-オクタン、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン)、n-ドデカン、イソドデカン(2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン)、及び他のイソパラフィン系溶媒からなる群から選択され得る。溶媒は、99重量%未満、5~95重量%、5~90重量%、又は10~90重量%で混合物中に存在し得る。
【0016】
共溶媒
上述されるように、共溶媒は、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有する1つ以上の飽和カルボン酸を含む。理論によって縛られるものではないが、これらのより低い沸点を有する飽和カルボン酸は、相分離の可能性を低減する一方で、腐食及び連鎖停止も低減する。好適な共溶媒としては、ギ酸、酢酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、酪酸、ペンタン酸、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、ピバル酸(2,2-ジメチルプロパン酸)、ヘキサン酸、2,3-ジメチルブタン酸、3,3-ジメチルブタン酸、2,3-ジメチルペンタン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。一実施形態において、飽和カルボン酸共溶媒は、ピバル酸、酢酸、又はそれらの組み合わせを含む。共溶媒は、混合物中に、1~25重量%、1~20重量%、3~20重量%、又は5~15重量%の範囲の量で存在し得る。
【0017】
フリーラジカル重合プロセスは、当該技術分野において概して知られている。概して、プロセスは、高温高圧で、バッチ式プロセス又は連続方式のいずれかで行われる。管型反応器又はオートクレーブ反応器などの好適な反応器は、当業者によく知られている。加えて、反応器の上流の圧縮器ユニット及び反応器の下流の分離器ユニットも、当業者によく知られている。重合圧力は、少なくとも1000atm(101.3MPa又は1013.25バール)、1000~5000atm、1200~4000atm、又は1500~3500atmの範囲にあり得る。重合温度は、典型的には、約70℃~約380℃の範囲にある。約70℃~約380℃の範囲の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、重合温度は、100℃~300℃、又は150℃~250℃の範囲にある。
【0018】
上に記載される成分に加えて、開始剤、阻害剤、連鎖移動剤などのような追加の添加剤も、反応器に供給される混合物の一部であるとして企図される。
【0019】
試験方法
メルトインデックス(190℃、2.16kg、「I」)試験方法:ASTM D 1238-13、Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer、190℃/2.16キログラム(kg)の条件を使用。結果を、10分当たりに溶出したグラム単位(g/10分)又は1.0分当たりのデシグラム(dg/1分)での等量で報告した。
【実施例
【0020】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0021】
曇り点実験
光学セルを使用して、Macromol.Chem.Phys.,2003,204,638-645に公開された実験方法に従って各共溶媒の曇り点曲線を測定した。曇り点は、それ未満で溶液が相分離する温度及び圧力である。実験溶液は、10重量%のエチレン酸コポリマー、超臨界エチレン溶媒、様々な重量パーセンテージで表1に列挙される共溶媒、及び0.5重量%のBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)阻害剤を含んだ。溶液を光学セルに入れ、所望の温度に加熱したが、これは、示されるように、178~240℃の範囲にあった。次いでセルを、曇り点より上に加圧して、単相(均質)レジームにあることを確実にした。次いで、曇り点が見つかるまで圧力を下げた。次いで、光学セルを次の温度点まで加熱した。
【0022】
実施例において利用されたエチレン酸コポリマーは、高圧を使用し、連続方式で操作する、標準的なフリーラジカル共重合方法によって調製した。モノマーを、モノマーの反応性、及び組み込まれることが望まれる量に関連する割合で反応混合物に供給する。このようにして、鎖に沿ったモノマー単位の均一でほぼランダムな分布を実現する。この方法での重合は、周知であり、米国特許第4.351.931号(Armitage)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。他の重合技術は、米国特許第5,028,674号(Hatchら)及び同第5,057,593号(Statz)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1
表2及び図1に示される実施例1について、エチレン酸コポリマーは、19重量%のメタクリル酸コモノマー及び60g/10分のメルトインデックス(I)を含んだ。様々な共溶媒量を利用し、共溶媒の量は6重量%のメタノールと等モルになるように選択した。示されるように、各温度点での曇り点圧力値は、特に飽和カルボン酸の量が増加するにつれて、メタノールよりも顕著に低かった。上述されたように、これは、メタノールの場合のように、より低い温度及び圧力で相分離がないので、有利である。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例2
表3及び図2に示される実施例2について、実施例1と同じエチレン酸コポリマーを、3重量%で添加された様々な共溶媒と共に使用した。実施例1と比較して示されるように、より少ない量の共溶媒でさえ、溶液の曇り点を低減した。
【0027】
【表3】
【0028】
実施例3
表4及び図3に示される実施例3について、実施例1及び2と同じエチレン酸コポリマーを、6重量%で添加された様々な共溶媒と共に使用した。実施例1と比較して示されるように、より少ない量の共溶媒でさえ、溶液の曇り点を低減した。更に、約194℃の温度では、曇り点は、メタノールと同じ濃度のピバル酸について顕著により低い。
【0029】
【表4】
【0030】
実施例4
表5及び図4に示される実施例4について、22重量%のメタクリル酸コモノマー及び25dg/分のメルトインデックス(I)を有するエチレン酸コポリマーを、6重量%で添加された様々な共溶媒と共に使用した。示されるように、より多くのメタクリル酸の組み込みでさえも、依然として飽和カルボン酸共溶媒に起因した溶液の低減した曇り点がある。
【0031】
【表5】
【0032】
腐食データ
腐食試験のために、40mLガラスバイアルに、テトラデカン、炭素鋼クーポン、メタクリル酸、及びピバル酸を充填した。炭素鋼クーポンの質量を除いたバイアル内部の総質量は、10gに等しかった。バイアルを、100℃に7日間加熱した。その後、バイアルを周囲温度まで冷却させ、炭素鋼クーポンを取り出した。腐食の量を、炭素鋼クーポンの質量バランス/重量損失によって決定し、表6に提供する。
【0033】
【表6】
【0034】
結果は、メタノール又はピバル酸単独では炭素鋼クーポンの顕著な腐食を示さないことを示した(<2.0mgの質量損失)。メタクリル酸のみのベースラインは、13.0mgに等しい質量損失を示した。これは、メタクリル酸がプロセス中に常に存在するという事実に由来する通常のバックグラウンド腐食と考えることができる。メタクリル酸及びメタノールの組み合わせは、顕著に増加した腐食をもたらす。2gのメタクリル酸及び0.5gのメタノール並びに2.0gのメタクリル酸及び1.0gのメタノールの2つの実験は、それぞれ、80mg及び95mgのクーポン質量損失を生じた。メタノール自体は全く腐食性ではないが、(プロセスにおいて現在実施されているような)メタクリル酸との組み合わせのみが炭素鋼に対する腐食を劇的に増加させた。ピバル酸は、メタノールと比較してメタクリル酸との組み合わせでより少ない腐食をもたらし、2つの実験は、それぞれ、26mg及び32mgのクーポン質量損失を生じた。よって、データは、ピバル酸がもたらす他の利点に加えて、共溶媒としてメタノールをピバル酸で置き換えることによって改善された腐食が達成されることを実証した。
【0035】
添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいか、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酸コポリマーを生成するための方法であって、
少なくとも1000気圧(atm)の圧力でのフリーラジカル重合を介してエチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーを重合して、前記エチレン酸コポリマーを生成することを含み、前記エチレンモノマー及び不飽和カルボン酸含有コモノマーが、少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒を含む混合物中にあり、前記少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、1atmの圧力で237℃未満の沸点を有し、前記混合物中に1~25重量%の量で存在する、方法。
【請求項2】
前記エチレン酸コポリマーが、5~35重量%、又は12~30重量%のその中に組み込まれた不飽和カルボン酸含有コモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エチレン酸コポリマーが、ASTM D-1238(190℃/2.16Kg)に従って測定される、1~2000dg/分のメルトインデックス(I)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不飽和カルボン酸含有コモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの飽和カルボン酸共溶媒が、ピバル酸、酢酸、ギ酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エチレンモノマー及びカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含むエチレン酸コポリマーであって、20重量%超の酸コモノマー、及びASTM D-1238(190℃/2.16Kg)に従って測定される1~2000dg/分のメルトインデックス(I2)を含む、エチレン酸コポリマー。
【国際調査報告】