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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】温度感知手段を備えた喫煙装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20250204BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20250204BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024543915
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2023052189
(87)【国際公開番号】W WO2023144389
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22154295.4
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】シャトー マキシム
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD12
4B162AD18
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生物品(200)からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置(100)が提供されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品(200)を受容するための空洞(10)と、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのヒーター組立品と、電源(142)とを備える。電源(142)は、ヒーター組立品に電力を供給するように構成され、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であるようにコントローラ(140)によって制御される。コントローラ(140)は、最初は低電力モードで動作するように電源を制御するように構成される。低電力モードでは、コントローラ(140)は、ヒーター組立品の温度の変化率、または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成される。コントローラ(140)は、測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、低電力モードから高電力モードへと切り替えるように構成される。エアロゾル発生システム内の欠陥を検出する方法が提供されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、
エアロゾル発生物品を受容するための空洞と、
前記空洞内に受容されている前記エアロゾル発生物品を加熱するためのヒーター組立品と、
前記ヒーター組立品に電力を供給するように構成され、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であるようにコントローラによって制御される、電源と、を備え、
前記コントローラが、最初は前記低電力モードで動作するように前記電源を制御するように構成され、前記低電力モードでは、前記コントローラが、前記ヒーター組立品の温度の変化率、または前記空洞内に受容されている前記エアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成され、
前記コントローラが、前記測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、前記低電力モードから前記高電力モードへと切り替えるように構成される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記コントローラが、前記測定されたパラメータが前記所定の基準を満たさない場合に、前記低電力モードからエラーモードへと切り替えるように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記所定の基準が、前記測定されたパラメータの大きさと所定の閾値との比較を含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記測定されたパラメータの前記大きさが前記所定の閾値未満である場合、前記所定の基準が満たされる、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記測定されたパラメータの前記大きさが前記所定の閾値よりも大きい場合、前記所定の基準が満たされる、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記装置の起動後、または前記装置内に受容されているエアロゾル発生物品の検出後に、所定の時間の間、前記ヒーター組立品を前記低電力モードで動作させるために前記電源を制御するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記所定の時間が、3秒未満である、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記エアロゾル発生装置が、サセプタ要素を含むエアロゾル発生物品とともに使用されるためのものであり、前記ヒーター組立品が、インダクタコイルを含み、前記電源が、前記インダクタコイルに振動電流を提供するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記測定されたパラメータが、受容されたエアロゾル発生物品の前記サセプタ要素のコンダクタンスの変化率である、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記サセプタ要素の前記コンダクタンスの前記変化率が所定の閾値未満である場合、前記所定の基準が満たされる、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記低電力モードでは、前記コントローラが、2%未満の負荷サイクルで電流を供給するように前記電源を制御するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記ヒーター組立品が、使用時に前記空洞内に受容されている前記エアロゾル発生物品を加熱するように構成されたヒーター要素を含み、前記低電力モードの間、前記コントローラが、前記ヒーター要素の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品が、サセプタ要素を備える、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
エアロゾル発生装置のヒーター組立品を制御する方法であって、前記ヒーター組立品が、前記エアロゾル発生装置の空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのものであり、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であり、前記方法が、
前記ヒーター組立品が最初は低電力モードで動作するように前記ヒーター組立品に供給される電力を制御することと、
前記ヒーター組立品を前記低電力モードで動作させる間に、前記ヒーター組立品の温度の変化率、または前記エアロゾル発生装置の前記空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定することと、
前記測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、前記低電力モードから前記高電力モードへと切り替えることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置に関する。本開示はまた、エアロゾル発生装置のヒーター組立品を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生装置は、当技術分野で公知である。こうした装置は、典型的には基体の燃焼ではなく、基体への熱の適用を通して基体からエアロゾルを発生する。使用時に、エアロゾル発生装置は、例えば、空洞または装置の空洞内にエアロゾル形成基体を受容し得る。装置は、ヒーター組立品に電力を提供して熱を発生してもよく、熱は、エアロゾル形成基体に伝達されて揮発性化合物を放出し、揮発性化合物は凝縮してエアロゾルを形成する。加熱は、エアロゾル形成基体と熱的接触状態にあるエアロゾル発生装置のヒーター要素の抵抗加熱、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品のサセプタ要素の誘導加熱の結果であってもよく、サセプタ要素はエアロゾル形成基体と熱的接触状態にある。
【0003】
典型的に、エアロゾル発生装置は再使用可能であり、エアロゾル形成基体は使い捨てエアロゾル発生物品内に収容される。使用時に、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置によって加熱されてエアロゾルを発生する。使用期間、例えばエアロゾル発生物品の所定の吸煙回数の後に、エアロゾル形成基体は枯渇し得る。エアロゾル形成基体が枯渇した後は、エアロゾル発生装置のその後の使用前に、エアロゾル発生物品を未使用のエアロゾル発生物品と交換する必要がある。
【0004】
ユーザーが、意図的または偶発的のいずれかで、枯渇したエアロゾル形成基体をエアロゾル発生装置で使用しようと試み得るリスクがある。これは望ましくない。例えば、枯渇したエアロゾル形成基体が加熱されると、エアロゾルの量および化学的性質のいずれかまたは両方に関して、不十分なエアロゾルが発生される可能性がある。
【0005】
一部のエアロゾル発生装置は、二つの連続的な使用セッションを実施するように構成される。こうしたエアロゾル発生装置は、第一の使用セッションの終了直後に第二の使用セッションを実施するように構成されてもよい。エアロゾル形成基体は、単一の使用セッション後に枯渇する場合がある。こうした場合、第一の使用セッションと連続した第二の使用セッションとの間でエアロゾル発生物品を交換する必要がある。ユーザーが枯渇したエアロゾル形成基体を再使用しようとするリスクは、こうした装置の文脈において特定の問題となり得る。
【0006】
枯渇したエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置とともに使用される時を検出することができるエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方を含む先の使用セッションの直後に、枯渇したエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置とともに使用される時を検出することができるエアロゾル発生装置を提供することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
第一の態様によると、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置が提供されている。
【0008】
エアロゾル発生装置は、空洞を備えてもよい。空洞は、エアロゾル発生物品を受容するためのものであり得る。
【0009】
エアロゾル発生装置はヒーター組立品を備えてもよい。ヒーター組立品は、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのものであり得る。
【0010】
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。電源は、電力をヒーター組立品に供給するように構成され得る。電源は、コントローラによって制御されてもよい。電源は、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モードで動作可能であるようにコントローラによって制御されてもよい。電源は、エアロゾルを発生することができる高電力モードで動作可能であるようにコントローラによって制御されてもよい。電源は、少なくとも、低電力モードおよび高電力モードで動作可能であるようにコントローラによって制御されてもよい。
【0011】
コントローラは、最初は低電力モードで動作するように電源を制御するように構成されてもよい。
【0012】
低電力モードでは、コントローラは、ヒーター組立品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。低電力モードでは、コントローラは、代替的にまたは追加的に、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率を測定するように構成されてもよい。
【0013】
コントローラは、測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、低電力モードから高電力モードへと切り替えるように構成されてもよい。
【0014】
エアロゾルを発生することができる高電力モードは、有利なことに、装置のユーザーが吸入するエアロゾルが発生されるエアロゾル発生装置の主な使用段階中に電源を動作させるようにコントローラが構成されるモードであり得る。
【0015】
高電力モードの間、コントローラは、所定の加熱プロファイルに従って、電源を制御してヒーター組立品に電力を供給するように構成されてもよい。所定の加熱プロファイルは、使用セッションの進行全体を通して、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品を一つ以上の標的温度に加熱することを含み得る。所定の加熱プロファイル全体を通して、ヒーター組立品は、使用セッション中にユーザーが吸入するための適切な量のエアロゾルをエアロゾル発生物品から発生するように構成されてもよい。
【0016】
所定の基準は、有利なことに、未使用のエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の予想される変化率に関連し得る。コントローラは、所定の基準が満たされる場合に、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されていると判定するように構成されてもよい。コントローラは、所定の基準が満たされない場合に、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されていると判定するように構成されてもよい。
【0017】
測定されたパラメータ(温度の変化率に関連する)が所定の基準を満たす場合にのみ低電力モードからより高電力モードへと切り替えることによって、エアロゾル発生装置が高電力モードで枯渇したエアロゾル発生物品とともに使用される確率が減少し得る。コントローラは、有利なことに、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合に、高電力モードへと切り替えない場合がある。それ故に、コントローラは有利なことに、枯渇したエアロゾル発生物品が検出された場合に、エアロゾル発生装置の主な使用段階を防止し得る。これにより、有利なことに、ユーザーが枯渇したエアロゾル発生物品を再使用することが防止され、そのため使用セッション中に満足のいくエアロゾルが発生するリスクが最小化され得る。
【0018】
コントローラが、電源が低電力モードで動作するように構成されている間に枯渇したエアロゾル発生物品の存在を判定するように構成されることは、有利なことに、最小限の電力使用で、未使用のまたは枯渇したエアロゾル発生物品がコントローラによって検出され得ることを意味し得る。これは、電源が、例えば、電池を含む場合に特に有利である。
【0019】
さらに、以下に記載されるように、所定の基準を使用した未使用のまたは枯渇したエアロゾル発生物品の検出は、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の初期温度の予想される値からの逸脱、および二つの構成要素間のその後の熱伝達に依存し得る。そのため、温度の変化率に関連するパラメータは、エアロゾル発生物品およびヒーター組立品が実質的に加熱されない低電力モードで測定されることが有利であり得る。制御ルーチンは、電源が高電力モードで動作するように構成されている間に実施される場合、効果的に機能しない場合がある。
【0020】
コントローラは、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合に、低電力モードからエラーモードへと切り替えるように構成されてもよい。上述のように、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されていると判定され得る。
【0021】
エラーモードでは、コントローラは、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されていることをエアロゾル発生装置のユーザーに示すように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、ユーザーインターフェース、または光などのインジケータを含んでもよい。コントローラは、ユーザーインターフェースまたはインジケータを制御して、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されていることを示すように構成されてもよい。
【0022】
エラーモードでは、コントローラは、ヒーター組立品への電力供給を防止するように構成されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、以前に加熱されておらず、かつエアロゾル発生基体が枯渇していないエアロゾル発生物品は、「未使用の」エアロゾル発生物品と称され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、以前に使用されたエアロゾル発生物品は、「枯渇した」エアロゾル発生物品と称され得る。エアロゾル発生物品は、枯渇するまでに所定の吸煙回数、例えば、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回の吸煙に使用されるように構成されてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品が所定の吸煙回数ためにエアロゾル発生装置とともに使用された時に、枯渇したと称され得る。
【0025】
エアロゾル発生物品の使用中、物品は、エアロゾル発生装置によって加熱され得る。エアロゾル発生装置は、コントローラが高電力モードで電源を動作させるように構成されている時に、エアロゾル発生物品を加熱するように構成され得る。
【0026】
枯渇したエアロゾル発生物品は、実質的に周囲温度を上回る温度を有し得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品とは異なり、枯渇したエアロゾル発生物品が以前に加熱されている場合があるためである。エアロゾル発生物品が最後に使用されてからの経過時間が短いほど、エアロゾル発生物品の温度は周囲温度を上回り得る。
【0027】
未使用のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品が最初にエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時に、周囲温度と実質的に等しい温度を有し得る。未使用のエアロゾル発生物品の温度は、例えば、エアロゾル発生物品が空洞内に最初に受容される前にユーザーがエアロゾル発生物品を取り扱う結果として、周囲温度をわずかに上回る場合がある。しかしながら、エアロゾル発生物品、特にエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度は、周囲温度が第一の温度よりも高い場合、第一の温度以下であるか、または周囲温度以下であってもよい。第一の温度は、摂氏25~40度であってもよい。第一の温度は、摂氏30~35度であってもよい。第一の温度は、摂氏40度以下であってもよい。
【0028】
未使用のエアロゾル発生物品は、枯渇したエアロゾル発生物品の使用直後の枯渇したエアロゾル発生物品よりも低い温度を有し得る。
【0029】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、サセプタ要素を備え得る。その場合、エアロゾル発生物品の温度への言及は、サセプタ要素の温度に対応し得る。
【0030】
エアロゾル発生装置のヒーター組立品は、抵抗ヒーター要素またはサセプタ要素などのヒーター要素を含み得る。ヒーター要素は、コントローラが高電力モードで電源を制御するように構成される場合、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するように構成されてもよい。高電力モードで電力が供給された後のヒーター組立品、特にヒーター組立品のヒーター要素の温度は、実質的に周囲温度を上回り得る。エアロゾル発生装置が高電力モードで最後に使用されてからの経過時間が短いほど、ヒーター組立品の温度は周囲温度を上回り得る。
【0031】
ヒーター組立品が高電力モードで最近使用されていない場合、ヒーター組立品の温度は周囲温度と実質的に等しくなり得る。
【0032】
未使用のおよび枯渇したエアロゾル発生物品と、最近使用されたおよび最近使用されていないヒーター組立品との間の温度差を考慮すると、エアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の変化率は、枯渇したエアロゾル発生物品が未使用のエアロゾル発生物品の代わりに空洞内に受容されている場合、温度の予想される変化率とは異なり得る。したがって、測定されたパラメータ(ヒーター組立品の温度の変化率またはエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連し得る)が所定の基準を満たすかどうかは、有利なことに、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されているかどうかを検出するために使用され得る。
【0033】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさと所定の閾値との比較を含み得る。
【0034】
一実施例では、所定の基準は、未使用のエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の予想される変化率に関連し得る。
【0035】
ヒーター組立品がヒーター要素を含む場合、所定の基準は、ヒーター組立品が高電力モードで最近使用されていない場合に未使用のエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の予想される変化率に関連し得る。
【0036】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさが第一の所定の閾値未満であり、好ましくは実質的にゼロに等しいことを含み得る。
【0037】
第一の所定の閾値は、摂氏1度/秒未満、好ましくは摂氏0.5度/秒未満、さらにより好ましくは摂氏0.25度/秒未満のエアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の変化率に対応する測定されたパラメータの値であってもよい。好ましくは、第一の所定の閾値は、測定されたパラメータの大きさであってもよい。
【0038】
この実施例では、第一の所定の閾値は、枯渇したエアロゾル発生物品が検出され得る最大の温度の変化率に対応し得る。エアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の予想される変化率がゼロに近いため、この実施例では、第一の所定の閾値は、有利なことに、低くなり得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品が、実質的に周囲および温度と等しい温度を有するためであり得る。これはまた、ヒーター組立品が実質的にエアロゾル発生物品と同じ温度を有し得るためであり得る。
【0039】
しかしながら、ゼロをわずかに上回る所定の閾値の値を選択することは、有利なことに、例えば、エアロゾル発生物品を取り扱う結果として、エアロゾル発生物品を空洞内に挿入する前のエアロゾル発生物品の意図しない加熱を考慮し得る。
【0040】
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準は満たされない場合がある。測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きいことは、有利なことに、未使用のエアロゾル発生物品の代わりに枯渇したエアロゾル発生物品がヒーター組立品の中に挿入されていることを示し得る。
【0041】
枯渇したエアロゾル発生物品は、周囲温度よりも高い温度を有してもよい。そのため、枯渇したエアロゾル発生物品の温度の変化率は、この実施例では未使用のエアロゾル発生物品の温度の変化率よりも大きい場合がある。さらに、枯渇したエアロゾル発生物品は、ヒーター組立品に対して加熱効果を有し得る。そのため、ヒーター組立品の温度の変化率は正であり得る。
【0042】
ヒーター組立品は、エアロゾル発生物品に対して冷却効果を有し得る。周囲温度で物品を囲む空気もまた、エアロゾル発生物品に対して冷却効果を有し得る。そのため、エアロゾル発生物品の温度の変化率は負であり得る。
【0043】
したがって、エアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の変化率の大きさは、所定の閾値より大きい場合がある。したがって、所定の基準が満たされない場合があり、枯渇したエアロゾル発生物品の存在が検出される場合がある。
【0044】
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準は満たされない場合があり、少なくとも、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率が正であることを示すか、または、
測定されたパラメータが、エアロゾル発生物品の温度の変化率が負であることを示す、のうちの少なくとも一つである。
【0045】
別の実施例では、所定の基準は、未使用のエアロゾル発生物品が、高電力モードで最近使用されたエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の予想される変化率に関連し得る。これは、ヒーター組立品自体がヒーター要素を含む場合にのみ当てはまり得る。
【0046】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値よりも大きいことを含み得る。第二の所定の閾値は、摂氏3度/秒超、好ましくは摂氏5度/秒超、好ましくは摂氏7度/秒超、さらにより好ましくは摂氏9度/秒超のエアロゾル発生物品または組立品の温度の変化率に対応する測定されたパラメータの値であってもよい。
【0047】
未使用のエアロゾル発生物品は、高電力モードで最近使用されたヒーター組立品と実質的に異なる温度を有してもよい。そのため、二つの構成要素の間に温度差があり得る。
【0048】
ヒーター組立品は、周囲温度を上回り得る。ヒーター組立品は、未使用のエアロゾル発生物品の温度よりも実質的に高い温度を有し得る。それ故に、エアロゾル発生装置の空洞内に受容されている未使用のエアロゾルエアロゾル発生物品は、ヒーター組立品に対して冷却効果を有し得る。ヒーター組立品は、未使用のエアロゾル発生物品に対して加熱効果を有し得る。
【0049】
測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値未満である場合、所定の基準は満たされない場合がある。枯渇したエアロゾル発生物品が代わりにヒーター組立品に挿入される場合、所定の基準は満たされない場合がある。
【0050】
枯渇したエアロゾル発生物品が未使用のエアロゾル発生物品の代わりに空洞の中に受容される場合、エアロゾル発生物品の初期温度は、未使用のエアロゾル発生が空洞内に受容される場合よりもヒーター組立品の温度に近い場合がある。枯渇したエアロゾル発生物品のヒーター組立品に対する冷却効果は、未使用のエアロゾル発生物品に対するものよりも小さくてもよい。ヒーター組立品のエアロゾル発生物品に対する加熱効果は、未使用のエアロゾル発生物品に対するものよりも小さくてもよい。それ故に、エアロゾル発生物品の温度の変化率は、第二の所定の閾値を超えない場合がある。したがって、所定の基準が満たされない場合があり、枯渇したエアロゾル発生物品の存在が検出される場合がある。
【0051】
測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値未満である場合、所定の基準は満たされない場合があり、測定されたパラメータは、ヒーター組立品の温度の変化率が負であることを示す。
【0052】
エアロゾル発生装置がヒーター要素を備える場合、コントローラは、ヒーター要素の初期温度に基づいて所定の基準を選択するように構成されてもよい。好ましくは、コントローラは、ヒーター要素の初期温度に基づいて、所定の基準で使用される所定の閾値を選択するように構成され得る。好ましくは、コントローラは、ヒーター要素の初期温度に基づいて、所定の基準が、測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きいか、小さいか、またはそれに等しいかどうかを含むかどうかを選択するように構成され得る。
【0053】
例えば、上述の第一および第二の所定の閾値の両方は、コントローラのメモリに保存されてもよい。コントローラは、ヒーター要素の初期温度に基づいて、第一の所定の閾値または第二の所定の閾値のいずれかを選択するように構成されてもよい。
【0054】
所定の基準がヒーター要素の初期温度に基づくようにすることで、有利なことに、コントローラが、ヒーター組立品が最近使用されたかどうかに基づいて所定の基準を選択することが可能になる。これは、ヒーター要素の初期温度は、ヒーター要素が最近使用されていない場合よりも最近使用されている場合に高くなるためである。コントローラは、有利なことに、ヒーター組立品が最近使用されたかどうかに応じて、適切な所定の基準を選択し得る。好ましくは、コントローラは、一方の実施例は第一の所定の閾値に関して説明され、他方の実施例は第二の所定の閾値に関して説明された、前述の実施例のうちのいずれかに従って動作するように選択することができ得る。
【0055】
コントローラは、ヒーター要素の判定された初期温度が閾値温度以下である場合、第一の所定の閾値を選択するように構成されてもよい。コントローラは、ヒーター要素の判定された初期温度が閾値温度以下である場合、測定されたパラメータの大きさが第一の所定の閾値未満である、および好ましくは実質的にゼロであることを含む所定の基準を選択するように構成されてもよい。
【0056】
コントローラは、ヒーター要素の判定された初期温度が閾値温度よりも大きい場合、第二の所定の閾値を選択するように構成されてもよい。コントローラは、ヒーター要素の判定された初期温度が閾値温度よりも大きい場合、測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値よりも大きいことを含む所定の基準を選択するように構成されてもよい。
【0057】
コントローラは、ヒーター要素の初期温度、またはヒーター要素の初期温度に関連するパラメータを判定するように構成されてもよい。コントローラは、電源が低電力モードで動作するように構成されている場合、ヒーター要素の初期温度、またはヒーター要素の初期温度に関連するパラメータを判定するように構成されてもよい。コントローラは、低電力モードでの電源の動作開始時に、ヒーター要素の初期温度、またはヒーター要素の初期温度に関連するパラメータを判定するように構成されてもよい。
【0058】
コントローラによって判定されるヒーター要素の初期温度に関連するパラメータは、ヒーター要素の抵抗またはコンダクタンスであり得る。
【0059】
閾値温度は、摂氏約15度~摂氏約60度であってもよく、摂氏約20度~摂氏約50度であることが好ましい。
【0060】
閾値温度は、コントローラのメモリに保存された所定の値であってもよい。別の方法として、閾値温度は、エアロゾル発生装置の温度センサーを使用してなされた周囲温度の測定から導出されてもよい。
【0061】
コントローラが、その初期温度自体ではなくヒーター要素の初期温度に関連するパラメータを判定するように構成される場合、コントローラは、閾値温度に等しいパラメータに対する閾値に基づいて所定の基準を選択するように構成されてもよい。コントローラは、ヒーター要素の温度に関連するパラメータの初期値とそのパラメータの閾値との比較に基づいて、所定の基準を選択するように構成されてもよい。
【0062】
例えば、閾値は、抵抗閾値であってもよい。抵抗閾値の値は、摂氏約15度~摂氏約60度、好ましくは摂氏約20度~摂氏50度のヒーター要素の温度に対応してもよい。抵抗閾値の値は、コントローラのメモリに保存されてもよい。
【0063】
コントローラは、装置の起動後、または装置内に受容されているエアロゾル発生物品の検出後に、所定の時間の間、ヒーター組立品を低電力モードで動作させるために電源を制御するように構成されてもよい。電源が高電力モードで動作する前に低電力モードで動作する時間が長いほど、装置の使用セッションの開始とエアロゾル発生と間の遅延が長くなる。この遅延は、短いことが有利であり得る。
【0064】
所定の時間は、有利なことに、比較的短く、エアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の変化率は、依然として正確に判定され得る。所定の時間は、3秒未満であってもよく、好ましくは2秒未満、最も好ましくは約1秒であってもよいことが好ましい。
【0065】
所定の時間は、装置の使用セッションの開始で開始し得る。所定の基準は、低電力モードで動作している間に経過した時間が、所定の時間以上であることを含み得る。したがって、コントローラは、所定の時間が経過した後にのみ、低電力モードから切り替えるように構成されてもよい。
【0066】
低電力モードでは、コントローラは、電流をヒーター組立品に流し、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度に間接的に関連する対応する電気パラメータを測定することによって、ヒーター組立品の温度の変化率または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成され得る。電気パラメータを測定することによって、コントローラは有利なことに、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の変化率を間接的に判定するように構成されてもよい。これについてはより詳細に後述する。
【0067】
温度を直接測定するのではなく、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度に間接的に関連する電気パラメータを測定することは、これにより専用の温度センサーの必要性が除去されるため、有利であり得る。
【0068】
コントローラは、低電力モードでヒーター組立品に電流を流すように電源を制御するように構成されてもよいが、ヒーター組立品に供給される実際の電力は有利なことに比較的低い場合がある。コントローラは、ヒーター組立品の実質的な加熱を引き起こすことなく、電気パラメータを測定するのに十分な電力をヒーター組立品に供給するように構成されてもよい。
【0069】
コントローラは、電気パラメータを繰り返し測定するように構成されてもよい。電気パラメータの変化率は、ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連し得る。コントローラは、異なる時間間隔で電気パラメータを繰り返し測定し、次いで、それらの時間間隔間の電気パラメータの変化率を計算することによって、電気パラメータの変化率を判定するように構成されてもよい。連続した測定間の時間間隔は、50ミリ秒~1秒、好ましくは100ミリ秒~500ミリ秒、さらにより好ましくは200ミリ秒~300ミリ秒、最も好ましくは約250ミリ秒であってもよい。
【0070】
低電力モードでは、コントローラは、電源を制御して、2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.4%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の負荷サイクルで電流を供給するように構成されてもよい。こうした負荷サイクル値は、有利なことに、ヒーター組立品の実質的な加熱を引き起こすことなく、ヒーター組立品に関連する電気パラメータを測定することを可能にし得る。
【0071】
低電力モードでは、コントローラは、複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成されてもよい。連続したパルスは、時間間隔で分離され得る。各パルスの長さは、連続したパルス間の時間間隔の長さよりも短くてもよい。各パルスの長さは、連続したパルス間の時間間隔の長さよりも著しく短くてもよい。パルス間では、電力が中断され得る。比較的大きなパルス間の間隔で、比較的短い電力パルスを使用することによって、低い電力モードにおけるヒーター組立品および空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の著しい加熱が回避され得る。ヒーター組立品またはエアロゾル発生物品の温度は、各パルスの間に間接的に判定されてもよい。
【0072】
各パルスの長さは、0.1ミリ秒~50ミリ秒、好ましくは約0.5ミリ秒~10ミリ秒、さらにより好ましくは約1ミリ秒であってもよい。
【0073】
連続したパルス間の間隔の長さは、25ミリ秒~500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒~300ミリ秒、さらにより好ましくは約250ミリ秒であってもよい。
【0074】
「中断」という用語は本明細書で使用される場合、効果的にヒーター組立品に電力が供給されないように電源からの電力供給が停止または低減される実施形態を網羅するために使用される。
【0075】
「連続」という用語は、本明細書で使用される場合、一連の、またはシーケンスの、連続した、隣接したまたは近接する値を指す。
【0076】
コントローラは、複数のパルスの少なくとも一部の間に、ヒーター組立品の温度の変化率、または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。複数のパルスの間、コントローラは、各パルスの間に電源から供給される電流を測定することによって、電気パラメータを測定するように構成されてもよい。電気パラメータは、コンダクタンスまたは抵抗であり得る。
【0077】
ヒーター組立品は、誘導ヒーター組立品であってもよい。
【0078】
ヒーター組立品は、インダクタコイルを含み得る。インダクタコイルは、エアロゾル発生装置の空洞の周りに、またはこれに隣接して位置付けられてもよい。
【0079】
インダクタコイルは、らせん状コイルの形態を有してもよい。らせん状インダクタコイルは、空洞を囲み得る。
【0080】
インダクタコイルは、フラットスパイラルコイルの形態を有してもよい。フラットスパイラルコイルは、空洞に隣接して位置付けられてもよい。
【0081】
ヒーター組立品は、複数のインダクタコイルを含み得る。第一のインダクタコイルは、空洞の第一の側面上に位置付けられてもよい。第二のインダクタコイルは、第一の側面の反対側の空洞の第二の側面上に位置付けられてもよい。
【0082】
エアロゾル発生装置は、サセプタ要素を備えたエアロゾル発生物品とともに使用するためのものであり得る。
【0083】
別の方法として、エアロゾル発生装置がサセプタ要素を備えてもよい。装置のサセプタ要素は、エアロゾル発生物品を受容するための空洞を囲み得る。別の方法としてサセプタ要素は、空洞内に位置付けられてもよい。
【0084】
空洞内に位置付けられたサセプタ要素は、細長くてもよい。サセプタ要素は、空洞の長軸方向軸に平行な長軸方向軸に沿って延びてもよい。サセプタ要素は、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を貫通するように構成されてもよい。サセプタ要素は、ブレード、ピン、またはロッドの形態を有し得る。
【0085】
エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品がサセプタ要素を備えるかどうかにかかわらず、電源は、インダクタコイルに振動電流を提供するように構成されてもよい。振動電流は、高周波振動電流であってもよい。本明細書で使用されると、「高周波」という用語は、約1メガヘルツ(MHz)~約30メガヘルツ(MHz)、約1メガヘルツ(MHz)~約10MHz(約1MHz~約10MHzの範囲を含む)、および約5メガヘルツ(MHz)~約7メガヘルツ(MHz)(約5MHz~約7MHzの範囲を含む)の範囲の周波数を記述するために使用される。これは、変化する磁界を発生し得る。空洞内に受容されているエアロゾル発生物品のサセプタ要素は、変化する電流がサセプタ要素内に誘導されるように、変化する磁界と相互作用してもよい。これは、熱を発生し得る。
【0086】
低電力モードでは、コントローラは、比較的低い電力がサセプタ要素に供給されるように、振動電流を供給するように構成されてもよい。このようにして、エアロゾル発生物品のサセプタ要素によって最小限の熱が発生されてもよく、エアロゾルが発生しない場合がある。
【0087】
高電力モードでは、コントローラは、比較的高い電力がサセプタ要素に供給されるように、振動電流を供給するように構成されてもよい。このようにして、エアロゾルを発生するのに十分な熱がエアロゾル発生物品のサセプタ要素によって発生され得る。特に、サセプタ要素内で発生した熱は、例えば、伝導によって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に伝達されて、エアロゾルを発生してもよい。
【0088】
コントローラが複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成される場合、振動電流は各パルス中にのみ供給されてもよい。
【0089】
電源は、電池などのDC電源を含み得る。ヒーター組立品が誘導ヒーター組立品である場合、エアロゾル発生装置は、DC電源に接続されたDC/ACコンバータをさらに備えてもよい。DC/ACコンバータは、電力増幅器を備えうる。具体的には、DC/ACコンバータは、トランジスタスイッチおよびトランジスタスイッチドライバ回路を備えるクラスE電力増幅器を備えうる。クラスE電力増幅器は一般に周知であり、例えばThe American Radio Relay League(ARRL)(米国コネティカット州ニューイントン)の隔月雑誌『QEX』2001年1月/2月号の9~20ページに掲載された、Nathan O.Sokal著の論文「Class-E RF Power Amplifiers」に詳細に説明されている。クラスE電力増幅器は、高周波数で動作するので有利でありうるが、同時に最小数の構成要素を備えた比較的単純な回路構造を有する(例えば、クラスE電力増幅器は、一個のトランジスタスイッチのみを必要し、これは、クラスD電力増幅器に比べて有利である。というのも、クラスD電力増幅器は、二個のトランジスタの一方がオフになっている時、二個のトランジスタの他方が確実にオンになるよう高周波数で制御される二個のトランジスタスイッチを必要とするからである)。さらに、クラスE電力増幅器については、スイッチング移行中のスイッチングトランジスタの両端間で低電力消費であることが公知である。クラスE電力増幅器は、単一のトランジスタスイッチのみを有するシングルエンドの一次クラスE電力増幅器であり得る。
【0090】
上述のように、エアロゾル発生装置は、サセプタ要素を含むエアロゾル発生物品を受容するためのものであってもよく、またはエアロゾル発生装置自体がサセプタ要素を備えてもよい。測定されたパラメータは、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率であってもよい。
【0091】
サセプタ要素は、温度依存性であるコンダクタンスを有する材料を含むか、またはそれからなることが好ましい。したがって、サセプタ要素のコンダクタンスまたは抵抗の変化率は、有利なことに、サセプタ要素の温度の変化率に関連し得る。好ましくは、測定されたパラメータは、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率であってもよい。コンダクタンスは抵抗の逆数であるため、以下のコンダクタンスへの言及は、抵抗についての対応する記述と置き換えられ得る。
【0092】
サセプタ要素の温度依存性は、サセプタ要素を形成する材料に依存し得る。一部のサセプタ要素は、温度の上昇とともにコンダクタンスが最初は降下する、コンダクタンスと温度との間のS字形状の依存関係を有する。温度が上昇を続けるにつれて、コンダクタンスが上昇し始め得る。温度がさらに上昇すると、コンダクタンスはその後再び降下し得る。
【0093】
測定されたパラメータがコンダクタンスである場合、所定の基準は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時のコンダクタンスの予想される挙動に関連し得る。
【0094】
第一の所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容さている時のサセプタ要素のコンダクタンスの変化率の最大値であってもよい。第一の所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時のサセプタ要素のコンダクタンスの最大変化率の大きさを表し得る。
【0095】
所定の基準は、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率が第一の所定の閾値未満であることを含み得る。これは、例えば、所定の基準が、未使用のエアロゾル発生物品が最近使用されていないエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のサセプタ要素の温度の予想される変化率に関連する場合であり得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品の温度はヒーター組立品の温度に類似するため、未使用のエアロゾル発生物品のごく最小限の加熱または冷却が存在するためであり得る。
【0096】
測定されたサセプタ要素のコンダクタンスの変化率が第一の所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準は満たされない場合がある。
【0097】
サセプタ要素のコンダクタンスの変化率が正である場合、所定の基準は満たされない場合がある。これは、サセプタ要素が、少なくとも周囲温度と最近枯渇したエアロゾル発生物品の予想される温度との間の温度領域において、逆温度および逆コンダクタンス関係を有する場合に有利であり得る。これは、コンダクタンスの正の変化率が、こうしたサセプタ要素が冷却されることを示し得るためである。
【0098】
サセプタのコンダクタンスの変化率の大きさが第一の所定の閾値よりも大きく、かつコンダクタンスの変化率が正である場合、所定の基準は満たされない場合があることが好ましい。
【0099】
エアロゾル発生物品がサセプタ要素を備える場合、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率を測定するように構成されたコントローラは、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するコントローラを含む。
【0100】
エアロゾル発生装置がサセプタ要素を備える場合、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率を測定するように構成されたコントローラは、ヒーター組立品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するコントローラを含む。
【0101】
エアロゾル発生装置がサセプタ要素を備える場合、第二の所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時のサセプタ要素のコンダクタンスの変化率の最小値であってもよい。これは、例えば、所定の基準が、未使用のエアロゾル発生物品が最近使用されたエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品の温度の予想される変化率に関連する場合であり得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品の温度がヒーター組立品の温度よりも低くてもよく、また好ましくは著しく低くてもよく、そのため未使用のエアロゾル発生物品のヒーター要素に対する著しい冷却効果が存在するためであり得る。
【0102】
測定されたサセプタ要素のコンダクタンスの変化率が第二の所定の閾値未満である場合、所定の基準は満たされない場合がある。
【0103】
コントローラは、異なる時間間隔でコンダクタンス値を繰り返し測定し、次いで、それらの時間間隔間の変化率を計算することによって、コンダクタンスの変化率を判定するように構成されてもよい。連続したコンダクタンス値間の時間間隔は、50ミリ秒~1秒、好ましくは100ミリ秒~500ミリ秒、さらにより好ましくは200ミリ秒~300ミリ秒、最も好ましくは約250ミリ秒であってもよい。
【0104】
コントローラは、電源から供給される電流の一つ以上の測定値、および電源の両端の電圧に基づいて、サセプタ要素のコンダクタンス値を判定するように構成され得ることが好ましい。コントローラが複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成される場合、コントローラは、複数のパルスの少なくとも一部の間にコンダクタンス値を判定し得る。
【0105】
コンダクタンス値は、電流測定値と電圧測定値の商または比から決定されうる。コントローラは、一つ以上の電流測定値および一つ以上の電圧測定値の商を判定するように構成され得る。言い換えれば、コントローラは、一つ以上の電流測定値を一つ以上の電圧測定値で割ることによって、コンダクタンス値を判定するように構成され得る。
【0106】
一実施例では、電源から誘導加熱組立品に供給される電圧は一定である。コントローラが複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成される場合、供給される電圧が一定であることは、パルスの持続時間を通して電圧が一定であることを意味し得る。サセプタ配設の電気コンダクタンスは、誘導加熱組立品によって引き出される供給電流に正比例し得る。したがって、サセプタ配設の加熱において誘導加熱配設によって引き出される供給電流を示す値を判定することによって、コントローラはまた、サセプタ要素の電気コンダクタンスを示す値を判定することもできる。同じことが、サセプタ要素の電気的見かけ抵抗に対して当てはまり、これは、サセプタ配設の加熱において誘導加熱組立品によって引き出される供給電流に反比例する。
【0107】
当然のことながら、本明細書で言及される電流の測定値に対するすべての参照は、電圧の測定値を追加的に含みうる。当然のことながら、本明細書で言及される電流の測定値に対するすべての参照は、電圧の測定値およびコンダクタンスの決定を追加的に含みうる。
【0108】
ヒーター組立品は、抵抗ヒーター組立品であってもよい。ヒーター組立品は、使用時に、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するように構成された抵抗ヒーター要素を含み得る。
【0109】
抵抗ヒーター要素は、エアロゾル発生物品を受容するために空洞を囲み得る。
【0110】
別の方法として、抵抗ヒーター要素は、空洞内に位置付けられてもよい。抵抗ヒーター要素は、細長くてもよい。抵抗ヒーター要素は、空洞の長軸方向軸に平行な長軸方向軸に沿って延びてもよい。抵抗ヒーター要素は、空洞内に受容されているエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を貫通するように構成されてもよい。抵抗ヒーター要素は、ブレード、ピン、またはロッドの形態であってもよい。
【0111】
電源は、電池などのDC電源を含み得る。
【0112】
低電力モードでは、コントローラは、比較的低い電力が抵抗ヒーター要素に供給されるように、電流を抵抗ヒーター要素に供給するように構成されてもよい。このようにして、最小の熱が抵抗ヒーター要素によって発生し、エアロゾルが発生しない場合がある。
【0113】
高電力モードでは、コントローラは、比較的高い電力が抵抗ヒーター要素に供給されるように電流を供給するように構成されてもよい。このようにして、エアロゾルを発生するのに十分な熱が抵抗ヒーター要素によって発生され得る。特に、抵抗ヒーター要素内に発生した熱は、例えば、伝導によって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に伝達されて、エアロゾルを発生してもよい。
【0114】
コントローラが複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成される場合、電流は各パルス中にのみ供給されてもよい。
【0115】
低電力モードの間、コントローラは、抵抗ヒーター要素を含むヒーター組立品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。
【0116】
測定されたパラメータは、ヒーター要素の抵抗またはコンダクタンス、好ましくは抵抗であってもよい。
【0117】
抵抗ヒーター要素は、温度依存性である抵抗を有する材料を含むか、またはそれからなることが好ましい。したがって、抵抗ヒーター要素の抵抗の変化率は、有利なことに、抵抗ヒーター要素の温度の変化率に関連する。
【0118】
測定されたパラメータがヒーター要素の抵抗である場合、所定の基準は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時の抵抗の予想される挙動に関連し得る。
【0119】
一実施例では、第一の所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時の抵抗ヒーター要素の抵抗の変化率の最大値であってもよい。所定の基準は、ヒーター要素の抵抗の変化率の大きさが第一の所定の閾値未満であることを含み得る。これは、例えば、所定の基準が、未使用のエアロゾル発生物品が最近使用されていないエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品の温度の予想される変化率に関連する場合であり得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品の温度はヒーター組立品の温度に類似するため、未使用のエアロゾル発生物品のヒーター要素に対する加熱または冷却効果が最小限となるためであり得る。
【0120】
一実施例では、第二の所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時の抵抗ヒーター要素の抵抗の変化率の最小値であってもよい。所定の基準は、ヒーター要素の抵抗の変化率の大きさが第二の所定の閾値よりも大きいことを含み得る。これは、例えば、所定の基準が、未使用のエアロゾル発生物品が最近使用されたエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている時のヒーター組立品の温度の予想される変化率に関連する場合であり得る。これは、未使用のエアロゾル発生物品の温度がヒーター組立品の温度よりも低く、また好ましくは著しく低く、そのため未使用のエアロゾル発生物品のヒーター要素に対する著しい冷却効果が存在するためであり得る。
【0121】
抵抗発熱体は、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープされた炭化ケイ素が含まれる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が含まれる。適切な金属合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0122】
コントローラは、マイクロプロセッサであってもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくはその他の電子制御回路であってもよい。
【0123】
第二の態様によると、第一の態様によるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムはエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0124】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基材に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、便宜上、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部でありうる。
【0125】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。あるいは、エアロゾル形成基体は、固体構成要素と液体構成要素との両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱時に基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する、たばこ含有材料を備えてもよい。あるいは、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にする、エアロゾル形成体をさらに備えてもよい。適切なエアロゾル形成体の実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0126】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0127】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を含有するカートリッジを備えてもよい。カートリッジは、エアロゾル発生装置の空洞内に受容可能であってもよい。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよいか、または固体構成要素と液体構成要素の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は液体であることが好ましい。
【0128】
エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含み得る。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。好ましくは、エアロゾル形成基体は、別の方法として、非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0129】
エアロゾル発生物品は、サセプタ要素を備えてもよい。別の方法として、エアロゾル発生装置のヒーター組立品は、サセプタ要素を含み得る。これについては、第一の態様を参照して上記で説明した。
【0130】
本明細書で使用される「サセプタ」または「サセプタ要素」は、変動磁場に供された時に加熱する導電性要素を意味する。これはサセプタ要素内で誘発される渦電流、またはヒステリシス損失(または渦電流とヒステリシス損失の両方の)結果であってもよい。サセプタのための可能性がある材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、および事実上あらゆる他の導電性元素が挙げられる。有利なことに、サセプタ要素はフェライト要素である。サセプタ要素のための材料および幾何学的形状は、望ましい電気抵抗および発熱を提供するように選ぶことができる。サセプタ要素は、例えばメッシュ、フラットスパイラルコイル、繊維、または織物を含んでもよい。有利なことに、サセプタは第一のエアロゾル形成基体と接触している。サセプタ要素は有利なことに、流体透過性であってもよい。
【0131】
サセプタ要素は、第一のサセプタ材料を含み得る。サセプタ要素は、第二のサセプタ材料を含み得る。
【0132】
第一のサセプタ材料は、第一のキュリー温度を有してもよい。第二のサセプタ材料は、第二のキュリー温度を有してもよい。第二のキュリー温度は第一のキュリー温度より低くてもよい。
【0133】
材料はそのキュリー温度を上回ると、もはや強磁性ではなくなり、そのためヒステリシス損失に起因する加熱はもはや生じない。サセプタ要素が単一の材料でできている場合、キュリー温度はサセプタ要素が有するべき最高温度に対応しうる(すなわち、キュリー温度はサセプタ要素が加熱されるべき最高温度と等しいか、またはこの最高温度から約1~3%だけ逸脱した温度である)。これは急激な過熱の可能性を低減する。
【0134】
サセプタ要素が二つ以上の材料から作製されている場合、サセプタ要素の材料をさらなる態様に関して最適化することができる。例えば、サセプタ要素が加熱されるべき最高温度を上回るキュリー温度をサセプタ要素の第一の材料が有してもよいように、材料を選択することができる。その後、サセプタ要素のこの第一の材料は、例えば最大発熱に関して最適化されてもよく、一方でサセプタの効率的な加熱を提供するためにエアロゾル形成基体への最大熱伝達に関して最適化されてもよい。しかしながら、サセプタ要素はその後、サセプタが加熱されるべき最高温度に対応するキュリー温度を有する第二の材料を追加的に備えてもよく、またサセプタ要素がこのキュリー温度に達すると、サセプタ要素全体の磁性は変化する。この変化を検出し、かつコントローラに通信することができ、次いで、サセプタ要素の温度が再びキュリー温度よりも低い温度まで冷めるまでヒーター組立品への電力の供給が中断され、冷めるとすぐに電力の供給を再開することができる。
【0135】
コントローラによって測定されるパラメータは、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率であってもよい。
【0136】
エアロゾル発生装置のヒーター組立品は、インダクタコイルを含んでもよい。電源は、インダクタコイルに振動電流を提供するように構成されてもよい。インダクタコイルは、空洞内に、またはこれと隣接して位置付けられてもよい。エアロゾル発生物品が空洞内に受容されると、インダクタコイルがエアロゾル発生物品を囲み得る。
【0137】
エアロゾル発生物品は、ロッド形状であり得る。エアロゾル形成基体は、ロッドの遠位端にあってもよく、またはこれに向かってもよい。ロッドの近位端は、マウスピースを形成してもよく、またはマウスピースを備えてもよい。
【0138】
第三の態様では、エアロゾル発生装置のヒーター組立品を制御する方法が提供されている。エアロゾル発生装置のヒーター組立品は、エアロゾル発生装置の空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのものであってもよい。ヒーター組立品は少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であり得る。エアロゾル発生装置は、第一の態様によるエアロゾル発生装置であってもよい。
【0139】
方法は、ヒーター組立品が最初は低電力モードで動作するようにヒーター組立品に供給される電力を制御することを含み得る。
【0140】
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間に、方法は、ヒーター組立品の温度の変化率、またはエアロゾル発生装置の空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定することを含み得る。
【0141】
方法は、測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、低電力モードから高電力モードへと切り替えるように構成されてもよい。
【0142】
方法は、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合に、低電力モードからエラーモードへと切り替えるようにさらに構成されてもよい。
【0143】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさと所定の閾値との比較を含み得る。
【0144】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさが第一の所定の閾値未満であり、好ましくは実質的にゼロに等しいことを含み得る。
【0145】
測定されたパラメータの大きさが第一の所定の閾値よりも大きい場合、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合がある。
【0146】
第一の所定の閾値は、摂氏1度/秒未満、好ましくは摂氏0.5度/秒未満、さらにより好ましくは摂氏0.25度/秒未満のエアロゾル発生物品またはヒーター組立品の温度の変化率に対応する測定されたパラメータの値であってもよい。好ましくは、第一の所定の閾値は、測定されたパラメータの大きさであってもよい。
【0147】
測定されたパラメータの大きさが第一の所定の閾値よりも大きい場合、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合があり、測定されたパラメータがヒーター組立品の温度の変化率が正であることを示すか、または測定されたパラメータがヒーター組立品の温度の変化率が負であることを示す。
【0148】
所定の基準は、測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値よりも大きいことを含み得る。第二の所定の閾値は、摂氏3度/秒超、好ましくは摂氏5度/秒超、好ましくは摂氏7度/秒超、さらにより好ましくは摂氏9度/秒超のエアロゾル発生物品または組立品の温度の変化率に対応する測定されたパラメータの値であってもよい。
【0149】
測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値未満である場合、所定の基準は満たされない場合がある。
【0150】
測定されたパラメータの大きさが第二の所定の閾値未満である場合、所定の基準は満たされない場合がある。測定されたパラメータは、ヒーター組立品の温度の変化率が負であることを示す場合がある。
【0151】
方法は、装置を起動すること、またはエアロゾル発生物品が装置内に受容されていることを検出することをさらに含み得る。
【0152】
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる工程は、装置を起動する工程、またはエアロゾル発生物品が装置内に受容されていることを検出する工程の直後に生じてもよい。
【0153】
ヒーター組立品は、所定の時間の間、低電力モードで動作されてもよい。
【0154】
所定の時間は、3秒未満、好ましくは2秒未満、さらにより好ましくは約1秒であってもよい。
【0155】
方法は、所定の時間が経過した後にのみ、低電力モードから切り替えることをさらに含み得る。
【0156】
方法は、ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間に、2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.4%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の負荷サイクルで電流を供給するように電源を制御することをさらに含み得る。
【0157】
方法は、複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給することをさらに含んでもよい。複数のパルスは、時間間隔によって分離されてもよい。各パルスの長さは、ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間、連続したパルス間の時間間隔の長さよりも短くてもよい。
【0158】
各パルスの長さは、0.1ミリ秒~50ミリ秒、好ましくは約0.5ミリ秒~10ミリ秒、さらにより好ましくは約1ミリ秒であってもよい。
【0159】
連続したパルス間の間隔の長さは、25ミリ秒~500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒~300ミリ秒、さらにより好ましくは約250ミリ秒であってもよい。
【0160】
方法は、ヒーター組立品の温度の変化率または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定することが、複数のパルスのうちの少なくとも一部の間に測定されることをさらに含み得る。
【0161】
複数のパルスの少なくとも一部の間にパラメータを測定する工程は、それぞれのパルス中に電源から供給される電流を測定することを含み得る。
【0162】
ヒーター組立品は、インダクタコイルを含み得る。方法は、振動電流としてインダクタコイルに電力を供給することを含み得る。
【0163】
電力は、電池などのDC電源によって供給されてもよい。方法は、DC電源によって供給された力を、DC電源に接続されたDC/ACコンバータを使用して交流電流に変換することをさらに含み得る。
【0164】
エアロゾル発生装置は、サセプタ要素を備えるエアロゾル発生物品を受容するためのものであり得る。別の方法として、エアロゾル発生装置は、サセプタ要素を備えてもよい。測定されたパラメータは、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率であってもよい。
【0165】
測定されたパラメータは、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率であってもよい。
【0166】
一態様、一実施例、または一実施形態に関して記述される特徴はまた、その他の実施例の態様、および実施形態に対しても適用可能であってもよい。具体的には、第一の態様の試験設備の特徴を、第二の態様および第三の態様の方法で使用される試験設備に適用してもよい。同様に、第二の態様の方法に関して記述した特徴はまた、第三の態様の方法にも適用されてもよく、逆も可である。
【実施例
【0167】
下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0168】
実施例1.
エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置であって、エアロゾル発生装置が、
エアロゾル発生物品を受容するための空洞と、
空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのヒーター組立品と、
ヒーター組立品に電力を供給するように構成され、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であるようにコントローラによって制御される、電源と、を備え、
コントローラが、最初は低電力モードで動作するように電源を制御するように構成され、低電力モードでは、コントローラが、ヒーター組立品の温度の変化率、または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成され、
コントローラが、測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、低電力モードから高電力モードへと切り替えるように構成される、エアロゾル発生装置。
実施例2.
コントローラが、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合に、低電力モードからエラーモードへと切り替えるように構成される、実施例1によるエアロゾル発生装置。
実施例3.
所定の基準が、測定されたパラメータの大きさと所定の閾値との比較を含む、実施例1または2によるエアロゾル発生装置。
実施例4.
所定の基準が、測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満であることを含む、実施例3によるエアロゾル発生装置。
実施例5.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準が満たされない、実施例3または4によるエアロゾル発生装置。
実施例6.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準が満たされず、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率が正であることを示すか、または、
測定されたパラメータが、エアロゾル発生物品の温度の変化率が負であることを示す、実施例3~5のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例7.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準が満たされる、実施例3によるエアロゾル発生装置。
実施例8.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満である場合、所定の基準が満たされない、実施例3または7によるエアロゾル発生装置。
実施例9.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満である場合、所定の基準が満たされず、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率を示し、かつ正である、実施例3、7または8によるエアロゾル発生装置。
実施例10.
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率に関連する、実施例7~9のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例11.
コントローラが、装置の起動後、または装置内に受容されているエアロゾル発生物品の検出後に、所定の時間の間、ヒーター組立品を低電力モードで動作させるために電源を制御するように構成される、実施例1~10のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例12.
所定の時間が、3秒未満、好ましくは2秒未満、さらにより好ましくは約1秒である、実施例11によるエアロゾル発生装置。
実施例13.
所定の時間が、装置の使用セッションの開始とともに開始する、実施例11または12によるエアロゾル発生装置。
実施例14.
所定の基準が、低電力モードで動作している間に経過した時間が、所定の時間以上であることを含む、実施例11~13のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例15.
低電力モードでは、コントローラは、電源を制御して、2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.4%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の負荷サイクルで電流を供給するように構成される、実施例1~14のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例16.
低電力モードでは、コントローラが、各パルスの長さが連続したパルス間の時間間隔の長さ未満であるように、時間間隔で分離された複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給するように構成される、実施例1~15のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例17.
各パルスの長さが、0.1ミリ秒~50ミリ秒、好ましくは約0.5ミリ秒~10ミリ秒、さらにより好ましくは約1ミリ秒である、実施例16によるエアロゾル発生装置。
実施例18.
連続したパルス間の間隔の長さが、25ミリ秒~500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒~300ミリ秒、さらにより好ましくは約250ミリ秒である、実施例16または17によるエアロゾル発生装置。
実施例19.
コントローラが、複数のパルスの少なくとも一部の間に、ヒーター組立品の温度の変化率、または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成される、実施例16~18のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例20.
コントローラが、パルス中に電源から供給される電流を測定することによってパラメータを測定するように構成される、実施例19によるエアロゾル発生装置。
実施例21.
エアロゾル発生装置が、サセプタ要素を含むエアロゾル発生物品とともに使用されるためのものであり、ヒーター組立品が、インダクタコイルを含み、電源が、インダクタコイルに振動電流を提供するように構成される、実施例1~20のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例22.
電源が、電池などのDC電源を含み、エアロゾル発生装置が、DC電源に接続されたDC/ACコンバータをさらに備える、実施例21によるエアロゾル発生装置。
実施例23.
測定されたパラメータが、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率である、実施例21または22によるエアロゾル発生装置。
実施例24.
測定されたパラメータが、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率である、実施例23によるエアロゾル発生装置。
実施例25.
所定の基準が、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率が所定の閾値未満であることを含む、実施例24によるエアロゾル発生装置。
実施例26.
測定されたサセプタ要素のコンダクタンスの変化率が正であり、かつ所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準が満たされない、実施例24または25によるエアロゾル発生装置。
実施例27.
ヒーター組立品が、使用時に空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するように構成されたヒーター要素を含み、低電力モードの間、コントローラが、ヒーター要素の温度の変化率に関連するパラメータを測定するように構成される、実施例1~26のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例28.
ヒーター要素が、抵抗ヒーター要素である、実施例27によるエアロゾル発生装置。
実施例29.
ヒーター要素が、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時にエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を貫通するように構成される、実施例27または28によるエアロゾル発生装置。
実施例30.
ヒーター要素が、ブレードの形態である、実施例27~29のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
実施例31.
実施例1~30のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
実施例32.
エアロゾル発生物品が、サセプタ要素を備える、実施例31によるエアロゾル発生システム。
実施例33.
サセプタが、第一のキュリー温度を有する第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料および第二のキュリー温度とを含み、第二のキュリー温度が第一のキュリー温度未満である、実施例32によるエアロゾル発生システム。
実施例34.
第一および第二のサセプタ材料が、一緒に結合され、互いに密接な物理的接触をしている二つの別個の材料である、実施例33によるエアロゾル発生システム。
実施例35.
コントローラによって測定されたパラメータが、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率である、実施例32~34のいずれか一つによるエアロゾル発生システム。
実施例36.
エアロゾル発生装置のヒーター組立品が、インダクタコイルを含み、電源が、インダクタコイルに振動電流を提供するように構成される、実施例36~39のいずれか一つによるエアロゾル発生システム。
実施例37.
インダクタコイルが、空洞内、その周り、またはそれに隣接して位置付けられる、実施例36によるエアロゾル発生システム。
実施例38.
インダクタコイルが、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時にエアロゾル発生物品を囲む、実施例37によるエアロゾル発生システム。
実施例39.
エアロゾル発生物品が、ロッドの形状であり、エアロゾル形成基体が、ロッドの遠位端にあるか、またはこれに向かっている、実施例31~38のいずれか一つによるエアロゾル発生システム。
実施例40.
ロッドの近位端が、マウスピースを形成するか、またはこれを含む、実施例39によるエアロゾル発生システム。
実施例41.
エアロゾル発生装置のヒーター組立品を制御する方法であって、ヒーター組立品が、エアロゾル発生装置の空洞内に受容されているエアロゾル発生物品を加熱するためのものであり、少なくとも、エアロゾルが発生されない低電力モード、およびエアロゾルが発生され得る高電力モードで動作可能であり、方法が、
ヒーター組立品が最初は低電力モードで動作するようにヒーター組立品に供給される電力を制御することと、
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間に、ヒーター組立品の温度の変化率、またはエアロゾル発生装置の空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定することと、
測定されたパラメータが所定の基準を満たす場合にのみ、低電力モードから前記高電力モードへと切り替えることと、を含む、方法。
実施例42.
測定されたパラメータが所定の基準を満たさない場合に、低電力モードからエラーモードへと切り替えることをさらに含む、実施例41による方法。
実施例43.
所定の基準が、測定されたパラメータの大きさと所定の閾値との比較を含む、実施例41または42による方法。
実施例44.
所定の基準が、測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満であることを含む、実施例43による方法。
実施例45.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、測定されたパラメータが所定の基準を満たさない、実施例43または44による方法。
実施例46.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、測定されたパラメータが所定の基準を満たさず、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率が正であることを示すか、または、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率が負であることを示す、実施例43~45のいずれかによる方法。
実施例47.
所定の基準が、測定されたパラメータの大きさが所定の閾値よりも大きいことを含む、実施例43による方法。
実施例48.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満である場合、所定の基準が満たされない、実施例43または47による方法。
実施例49.
測定されたパラメータの大きさが所定の閾値未満である場合、所定の基準が満たされず、
測定されたパラメータが、ヒーター組立品の温度の変化率が負であることを示す、実施例43、47または48による方法。
実施例50.
装置を起動すること、またはエアロゾル発生物品が装置内に受容されていることを検出することをさらに含む、実施例41~49のいずれか一つによる方法。
実施例51.
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる工程が、装置を起動する、またはエアロゾル発生物品が装置内に受容されていることを検出する工程の直後に生じる、実施例50による方法。
実施例52.
ヒーター組立品が、所定の時間の間、低電力モードで動作する、実施例41~51のいずれか一つによる方法。
実施例53.
所定の時間が、3秒未満、好ましくは2秒未満、さらにより好ましくは約1秒である、実施例52による方法。
実施例54.
所定の時間が経過した後にのみ、低電力モードから切り替えることをさらに含む、実施例52または53による方法。
実施例55.
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間に、2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.4%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の負荷サイクルで電流を供給するように電源を制御することをさらに含む、実施例41~54のいずれか一つによる方法。
実施例56.
ヒーター組立品を低電力モードで動作させる間に、各パルスの長さが連続したパルス間の時間間隔の長さ未満であるように、時間間隔で分離された複数のパルスでヒーター組立品に電力を供給することをさらに含む、実施例41~55のいずれか一つによる方法。
実施例57.
各パルスの長さが、0.1ミリ秒~50ミリ秒、好ましくは約0.5ミリ秒~10ミリ秒、さらにより好ましくは約1ミリ秒である、実施例56による方法。
実施例58.
連続したパルス間の間隔の長さが、25ミリ秒~500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒~300ミリ秒、さらにより好ましくは約250ミリ秒である、実施例56または57による方法。
実施例59.
複数のパルスのうちの少なくとも一部の間に、ヒーター組立品の温度の変化率または空洞内に受容されているエアロゾル発生物品の温度の変化率に関連するパラメータを測定することをさらに含む、実施例56~58のいずれか一つによる方法。
実施例60.
複数のパルスの少なくとも一部の間にパラメータを測定する工程が、それぞれのパルス中に電源から供給される電流を測定することを含む、実施例59による方法。
実施例61.
ヒーター組立品が、インダクタコイルを含み、方法が、振動電流としてインダクタコイルに電力を供給することを含む、実施例41~60のいずれか一つによる方法。
実施例62.
電力が、電池などのDC電源によって供給され、方法が、DC電源に接続されたDC/ACコンバータを使用して、DC電源によって供給される電力を交流電流に変換することをさらに含む、実施例61による方法。
実施例63.
エアロゾル発生装置が、サセプタ要素を含むエアロゾル発生物品を受容するためのものであり、測定されたパラメータが、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率、またはサセプタ要素の抵抗の変化率である、実施例61または62による方法。
実施例64.
測定されたパラメータが、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率である、実施例63による方法。
実施例65.
所定の基準が、サセプタ要素のコンダクタンスの変化率が所定の閾値未満であることを含む、実施例64による方法。
実施例66.
サセプタ要素のコンダクタンスの変化率が正であり、かつ所定の閾値よりも大きい場合、所定の基準が満たされない、実施例64または65による方法。
【0169】
ここで、図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0170】
図1図1は、第一のエアロゾル発生装置の断面図の概略である。
図2図2は、図1のエアロゾル発生装置のコントローラによって実施される方法の流れ図である。
図3図3は、エアロゾル発生物品が未使用のエアロゾル発生物品である場合に、図1のエアロゾル発生装置内に受容されているエアロゾル発生物品のサセプタ要素のコンダクタンスがどのように時間変化するかを示すグラフである。
図4図4は、エアロゾル発生物品が枯渇したエアロゾル発生物品である場合に、サセプタ要素のコンダクタンスがどのように時間変化するかを示すグラフである。
図5図5は、第二のエアロゾル発生装置の断面図の概略である。
図6図6は、図5のエアロゾル発生装置のコントローラによって実施される方法の流れ図である。
図7図7は、未使用のエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている場合、かつヒーターブレードが最近使用されていない場合に、図5のエアロゾル発生装置のヒーターブレードの抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。
図8図8は、枯渇したエアロゾル発生物品が図5のエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている場合、かつヒーターブレードが最近使用されていない場合に、ヒーターブレードの抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。
図9図9は、未使用のエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている場合、かつヒーターブレードが最近使用された場合に、図5のエアロゾル発生装置のヒーターブレードの抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。
図10図10は、枯渇したエアロゾル発生物品が図5のエアロゾル発生装置の空洞内に受容されている場合、かつヒーターブレードが最近使用された場合に、ヒーターブレードの抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0171】
図1は、第一のエアロゾル発生装置100の断面図の概略である。エアロゾル発生装置100は、装置ハウジングによって画定される空洞10を備える。空洞10は、管状であり、ステンレス鋼で作製され、上流端に基部12を有する。空洞10は、エアロゾル発生物品200を受容するように構成される。
【0172】
エアロゾル発生物品200は空洞10内に受容されている。エアロゾル発生物品200は、エアロゾル形成基体202を含有する。エアロゾル形成基体は、固体たばこ含有基体である。特に、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこのシートの集合体である。図1に示すように、エアロゾル発生物品および空洞は、エアロゾル発生物品が空洞10内に受容されている時に、エアロゾル発生物品200の口側端が空洞10から、およびエアロゾル発生装置から突出するように構成される。この口側端は、使用時にエアロゾル発生装置のユーザーが吸煙し得る、マウスピース204を形成する。
【0173】
エアロゾル発生物品は、サセプタ要素206をさらに備える。サセプタ要素206は、エアロゾル形成基体202内に包埋された導電性材料のシートで形成される。サセプタ要素206は、エアロゾル形成基体202内で半径方向中央に位置する。
【0174】
エアロゾル発生装置100は、インダクタコイル110を含むヒーター組立品をさらに備える。インダクタコイル110は、空洞10を囲むらせん状コイルである。エアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている時、サセプタ要素206は、インダクタコイル110によって囲まれるように位置付けられる。
【0175】
エアロゾル発生装置100はエアロゾル発生物品200と共に、エアロゾル発生システムと呼ばれ得る。
【0176】
気流チャネル120は、エアロゾル発生装置100の空気吸込み口122から延びる。空洞の上流で、気流チャネル120は、主に気流チャネル壁124によって画定される。気流チャネル壁124の下流で、気流チャネル120は、空洞の基部12に画定される空気吸込み口を通過する。次いで、気流チャネル120は、空洞10を通って延びる。
【0177】
エアロゾル発生装置100は、充電式電池の形態である電源142をさらに備える。電源142は、DC電源である。電源は、電源の直流を高周波の交流電流に変換するDC/ACコンバータ(図面には示さず)を介してヒーター組立品のインダクタコイル110に接続される。これにより、インダクタ110が装置の空洞10の遠位部分内に変動電磁場を発生させる。エアロゾル発生物品200が空洞10内に正しく位置付けられている場合、物品10のサセプタ要素206は、この変動電磁場内に位置する。変動場は、サセプタ要素206内に渦電流を発生させ、その結果サセプタ要素206内に熱が発生する。また、熱はサセプタ14内の磁気ヒステリシス損失によって発生し得る。
【0178】
電源は、コントローラ140によって制御可能である。電源は、図に示されない電気ワイヤおよび電気接続を介してコントローラおよびインダクタコイル110に接続される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのボタンなどの、図に図示されないさらなる要素を備えてもよい。
【0179】
エアロゾル発生装置100の使用時に、ユーザーは最初に、ボタンを押すことによって装置を起動する。起動直後に、コントローラ140は、図2に示す方法を実施するように構成される。
【0180】
方法の工程302で、コントローラは、ヒーター組立品のインダクタコイル110への電力供給を開始するように構成される。
【0181】
上述の通り、電力は高周波交流電流として供給される。工程302で、コントローラは、ヒーター組立品が低電力モードで動作するように、ヒーター組立品に電力を供給するようにのみ構成される。低電力モードでは、エアロゾル発生物品200のサセプタ要素206の実質的な加熱が回避される。これは、時間間隔で分離された一連の連続したパルスとしてインダクタコイル110に電力を供給することによって達成される。パルスは、約1ミリ秒の長さを有し、約250ミリ秒の時間間隔で分離される。時間間隔の間、インダクタコイル110に供給される電力は中断される。したがって、変動場はパルス中にのみインダクタコイル110によって発生され、そのため熱はパルス中にのみサセプタ要素206内に発生する。パルスはパルス間の間隔よりもはるかに短いため、低電力モードにおいてサセプタ要素206の温度は実質的に上昇しない。
【0182】
工程304は、工程302の間に実施される。方法の工程304は、サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率を判定することを含む。サセプタ要素206は、温度に依存するコンダクタンスを有する材料で作製される。したがって、サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率を判定することは、サセプタ要素206の温度の変化率に対するプロキシを提供する。
【0183】
低電力モードでのパルスの間、コントローラは、サセプタ要素206のコンダクタンスをプローブおよび測定するように構成される。コントローラは、インダクタコイル110に供給される電力の電圧および電流を測定することによって、サセプタ要素206のコンダクタンスを測定するように構成される。サセプタ要素206の電気コンダクタンスは、誘導加熱組立品によって引き出される電流の供給に正比例する。したがって、誘導加熱配設によって引き出される電流を測定することにより、コントローラはまた、サセプタ要素の電気コンダクタンスを示す値を判定することもできる。
【0184】
コントローラは、連続したパルス中のコンダクタンス値の差を比較し、それらの測定間の時間分離で割ることによって、コンダクタンスの変化率を判定することができる。この実施形態では、コントローラは、2秒の期間にわたるコンダクタンスの変化率を判定するように構成される。
【0185】
方法の工程306で、コントローラは、サセプタ要素206の判定されたコンダクタンスの変化率を、コントローラのメモリに保存された所定の閾値と比較するように構成される。所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている場合のサセプタ要素206のコンダクタンスの予想される最大変化率に対応する。
【0186】
サセプタ要素206の温度の予想される変化率は低いため、未使用のエアロゾル発生物品のサセプタ要素206のコンダクタンスの予想される変化率は比較的低くなる。これは、サセプタ要素206の初期温度は、周囲温度であるか、または周囲温度に近いと予想されるためである。したがって、所定の閾値は、摂氏0.25度未満の温度の変化率に対応する。
【0187】
サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率は、サセプタ要素206が最近加熱されたことがある場合、予想される率から逸脱し得る。これは、枯渇したエアロゾル発生物品を示す。逸脱は、枯渇したエアロゾル発生物品のサセプタ要素206の開始温度は周囲温度よりも高く、そのためエアロゾル発生物品が周囲条件で冷却されるにつれてサセプタ要素206の冷却が測定され得るためである。
【0188】
図3は、未使用のエアロゾル発生物品のサセプタ要素206のコンダクタンスがどのように時間変化するかを示すグラフである。図4は、枯渇したエアロゾル発生物品のサセプタ要素のコンダクタンスがどのように時間変化するかを表すグラフを示す。図3および図4の両方は、x軸に時間、y軸にコンダクタンスを示す。時間は、比較的短い2秒の期間にわたる。この期間にわたって、コンダクタンスの変化率は、より長い期間にわたってコンダクタンスの変化率が実際には非線形である場合であっても、線形として近似され得る。
【0189】
図3図4のグラフを比較すると、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞10内に受容されている場合にグラフの傾斜がより急であることが明らかである。
【0190】
図3のグラフの傾斜は、サセプタ要素206の温度が、ユーザーによるエアロゾル発生物品200の取り扱いの結果として周囲温度をわずかに上回る開始温度を有したため、ゼロでない勾配を有するのみである。非ゼロ勾配は、周囲温度に向けて戻るサセプタ要素206のわずかな冷却に対応する。しかしながら、非ゼロ勾配は、所定の閾値未満である。
【0191】
コントローラが、サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率の大きさが所定の閾値以下であると判定する場合、コントローラは、方法の工程308を実行するように構成される。
【0192】
方法の工程308は、低電力モードから高電力モードへと切り替えることを含む。高電力モードでは、サセプタ要素206の著しい加熱が生じるように、インダクタコイル110に電力が供給される。電力は、絶えず供給されるか、または電力がパルスで供給される場合は、パルスの長さが、実質的にパルス間の間隔よりも長いかのいずれかであり得る。高電力モードでは、ユーザーはエアロゾル発生装置を吸煙してエアロゾルを吸入することができる。高電力モードは、装置の通常の使用段階とみなされ得る。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、装置が吸煙のために準備ができていることをユーザーに示すユーザーインターフェースを備える。
【0193】
高電力モード中、ユーザーは、受容されているエアロゾル発生物品200のマウスピース204を吸煙し、その結果、空気が気流チャネル120を通ってユーザーの口に向かって引き込まれる。吸煙中、空気は、エアロゾル発生装置の外部から、空気吸込み口122を通して気流チャネル120に流入する。空気は、気流チャネル壁124によって画定される気流チャネルの一部分を通り、空洞10の基部12に画定される空気吸込み口を通って、空洞内へと引き込まれる。エアロゾル発生物品200は空洞内に受容されているため、空洞内に引き込まれた空気は、その遠位端でエアロゾル発生物品200に入る。したがって、空気はエアロゾル形成基体202を通過する。そうする中で、基体202の加熱によって発生した揮発性化合物が、空気に同伴されるようになり得る。空気がエアロゾル発生物品200の口側端に向かって進行するのにつれて、揮発性化合物が冷却されてエアロゾルを形成する。エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を通した気流の方向は、図1に破線矢印で表す。
【0194】
コントローラが、サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率の大きさが所定の閾値を超えると判定する場合、コントローラは、工程308の代わりに方法の工程310を実行するように構成される。
【0195】
工程310は、低電力モードからエラーモードへと切り替えることを含む。エラーモードでは、コントローラは、ヒーター組立品への電力供給を防止し、そのためユーザーがエアロゾル発生装置を使用し続けることを防止するように構成される。エラーモードへと切り替えることによって、コントローラは、枯渇したエアロゾル発生物品200が再加熱および再使用されることを防止する。
【0196】
図5は、第二のエアロゾル発生装置400の断面図の概略である。エアロゾル発生装置400は、第一のエアロゾル発生装置と共通する多くの特徴を有し、同様の特徴はそれに応じて番号付けされている。
【0197】
誘導ヒーター組立品を備える第一のエアロゾル発生装置100とは異なり、第二のエアロゾル発生装置400のヒーター組立品は抵抗ヒーター組立品である。ヒーター組立品は、基部12から空洞10の中へと延びる抵抗ヒーターブレード402を含む。抵抗ヒーターブレード402は、電源142に電気的に接続されたヒーター要素を含む。第二のエアロゾル発生装置400には、DC/ACコンバータが必要ではない。電源142からヒーターブレード402に電力が供給されると、ヒーターブレード402の温度が上昇し得る。
【0198】
エアロゾル発生物品500は、空洞10内に受容されている。エアロゾル発生物品500は、固体たばこ含有基体であるエアロゾル形成基体502を含む。特に、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこのシートの集合体である。エアロゾル形成物品500が空洞10内に受容されると、ヒーターブレード402がエアロゾル形成基体502を貫通する。エアロゾル発生物品400の口側端は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、空洞10から、およびエアロゾル発生装置から突出する。この口側端は、使用時にエアロゾル発生装置のユーザーが吸煙し得るマウスピース504を形成する。
【0199】
エアロゾル発生装置400の使用時に、ユーザーは最初に、ボタンを押すことによって装置を起動する。起動直後に、コントローラ140は、図5に示す方法を実施するように構成される。
【0200】
方法の工程602で、コントローラは、ヒーター組立品のヒーターブレード402への電力供給を開始するように構成される。
【0201】
電力は、直流として供給される。工程602で、コントローラは、ヒーター組立品が低電力モードで動作するように、ヒーター組立品に電力を供給するように構成される。低電力モードでは、ヒーターブレード402の実質的な加熱が回避される。これは、時間間隔で分離された一連の連続したパルスとしてヒーターブレード402に電力を供給することによって達成される。パルスは、約1ミリ秒の長さを有し、約250ミリ秒の時間間隔で分離される。時間間隔の間は、ヒーターブレード402に供給される電力が中断される。パルスはパルス間の間隔よりもはるかに短いため、低電力モードにおいてヒーターブレード402の温度は実質的に上昇せず、そのため低電力モードにおけるエアロゾルの実質的な発生が回避される。
【0202】
ステップ604は、ステップ602の間に実施される。方法の工程604は、ヒーターブレード402の抵抗の変化率を判定することを含む。ヒーターブレード402は、温度に依存する抵抗を有する材料で作製される。このように、ヒーターブレード402の抵抗の変化率を判定することは、ヒーターブレード402の温度の変化率に対するプロキシを提供する。
【0203】
低電力モードでのパルスの間、コントローラは、ヒーターブレード402の抵抗をプローブおよび測定するように構成される。コントローラは、ヒーターブレード402に供給される電力の電圧および電流を測定し、電圧を電流で割ることによって、ヒーターブレード402の抵抗を測定するように構成される。
【0204】
コントローラは、連続したパルス中の抵抗値の差を比較し、それらの測定間の時間分離で割ることによって、抵抗の変化率を判定することができる。この実施形態では、コントローラは、2秒の期間にわたる抵抗の変化率を判定するように構成される。
【0205】
方法の工程606で、コントローラは、ヒーターブレード402の判定された抵抗の変化率を、コントローラのメモリに保存された所定の閾値と比較するように構成される。所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている場合、かつヒーターブレード402が最近加熱されていない場合のヒーターブレードの抵抗の予想される最大変化率に対応する。
【0206】
ヒーターブレードの温度の予想される変化率は低いため、ヒーターブレード402の抵抗の予想される変化率は比較的低くなる。これは、ヒーターブレード402およびエアロゾル発生物品の初期温度は、周囲温度であるか、または周囲温度に近いと予想されるためである。したがって、所定の閾値は、摂氏0.25度未満の温度の変化率に対応する。
【0207】
エアロゾル発生物品が周囲温度を上回る温度を有する場合、エアロゾル発生物品はヒーターブレード402に対して加熱効果を有し得るため、ヒーターブレード4023の抵抗の変化率は、予想される率から逸脱し得る。これは、枯渇したエアロゾル発生物品を示す。
【0208】
図7は、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合に、ヒーターブレード402の抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。図8は、周囲温度を上回る温度を有する枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合に、ヒーターブレード402の抵抗がどのように時間変化するかを表すグラフである。図7および図8の両方は、x軸に時間、y軸に抵抗を示す。時間は、比較的短い2秒の長さにわたる。
【0209】
図7図8のグラフを比較すると、枯渇したエアロゾル発生物品が空洞10内に受容されている場合にグラフの傾斜がより急であることが明らかである。これは、枯渇したエアロゾル発生物品のヒーターブレード402に対する加熱効果により、ヒーターブレードの温度が上昇し、次いで抵抗が増大するためである。
【0210】
コントローラが、ヒーターブレード402の抵抗の変化率の大きさが所定の閾値以下であると判定する場合、コントローラは、方法の工程608を実行するように構成される。
【0211】
方法の工程608は、低電力モードから高電力モードへと切り替えることを含む。高電力モードでは、電力は、ヒーターブレード402の著しい加熱が生じるようにヒーターブレード402に供給される。電力は、絶えず供給されるか、または電力がパルスで供給される場合は、パルスの長さが、実質的にパルス間の間隔よりも長いかのいずれかであり得る。高電力モードでは、ユーザーはエアロゾル発生装置を吸煙してエアロゾルを吸入することができる。高電力モードは、装置の通常の使用段階とみなされ得る。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、装置が吸煙のために準備ができていることをユーザーに示すユーザーインターフェースを備える。
【0212】
高電力モード中、ユーザーは、受容されているエアロゾル発生物品500のマウスピース504を吸煙し、その結果、空気が気流チャネル120を通ってユーザーの口に向かって引き込まれる。吸煙中、空気は、エアロゾル発生装置の外部から、空気吸込み口122を通して気流チャネル120に流入する。空気は、気流チャネル壁124によって画定される気流チャネルの一部分を通り、空洞10の基部12に画定される空気吸込み口を通って、空洞内へと引き込まれる。エアロゾル発生物品500は空洞内に受容されているため、空洞内に引き込まれた空気は、その遠位端でエアロゾル発生物品500に入る。それ故に、空気は、エアロゾル形成基体502を通過する。そうする中で、基体502の加熱によって発生した揮発性化合物が、空気に同伴されるようになり得る。空気がエアロゾル発生物品500の口側端に向かい続けるにつれて、揮発性化合物が冷却されてエアロゾルを形成する。
【0213】
コントローラが、ヒーターブレードの抵抗の変化率の大きさが所定の閾値を超えると判定する場合、コントローラは、方法の工程610を実行するように構成される。
【0214】
工程610は、低電力モードからエラーモードへと切り替えることを含む。エラーモードでは、コントローラは、ヒーター組立品への電力供給を防止し、そのためユーザーがエアロゾル発生装置を使用し続けることを防止するように構成される。エラーモードへと切り替えることによって、コントローラは、枯渇したエアロゾル発生物品が再加熱および再使用されることを防止する。
【0215】
第二のエアロゾル発生装置の代替的な実施形態では、方法の工程606で使用される所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている場合、かつヒーターブレード402が最近加熱されていない場合のヒーターブレードの抵抗の予想される最小変化率に対応する。この場合、最近加熱されたヒーターブレード402の開始ヒーターは周囲温度よりも著しく高いため、ヒーターブレード402の抵抗の予想される変化率は、比較的高くなる。ヒーターブレード402は、経時的に冷却される。冷却効果は、未使用のエアロゾル発生物品がヒーターブレード402の温度を著しく下回る温度を有する空洞10内に受容されている時に特に顕著となる。
【0216】
エアロゾル発生物品が周囲温度を上回る温度を有する場合、エアロゾル発生物品はヒーターブレード402に対して小さな冷却効果を有するため、サセプタ要素206のコンダクタンスの変化率は、予想される率から逸脱し得る。これは、枯渇したエアロゾル発生物品を示す。
【0217】
図9は、ヒーターブレード402が最近加熱された場合に、未使用のエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合に、ヒーターブレード402の抵抗がどのように時間変化するかを示すグラフである。図10は、周囲温度を上回る温度を有する枯渇したエアロゾル発生物品が空洞内に受容されている場合に、ヒーターブレード402の抵抗がどのように時間変化するかを表すグラフである。図9および図10の両方は、x軸に時間、y軸に抵抗を示す。時間は、比較的短い2秒の長さにわたる。
【0218】
図9図10のグラフを比較すると、未使用のエアロゾル発生物品が空洞10内に受容されている場合にグラフの傾斜がより急であることが明らかである。これは、未使用のエアロゾル発生物品のヒーターブレード402に対する冷却効果により、ヒーターブレードの温度が低下し、次いで抵抗が減少するためである。図10では、エアロゾル発生物品は、より高い開始温度を有し、そのためヒーターブレード402に対する冷却効果が小さい。
【0219】
コントローラが、ヒーターブレード402の抵抗の変化率の大きさが所定の閾値以上であると判定する場合、コントローラは、方法の工程608を実行するように構成される。
【0220】
コントローラが、ヒーターブレード402の抵抗の変化率の大きさが所定の閾値未満であると判定する場合、コントローラは、方法の工程610を実行するように構成される。
【0221】
第二のエアロゾル発生物品のさらなる実施形態では、方法の工程604は、ヒーターブレード402の抵抗を判定することと、抵抗をコントローラのメモリに保存された閾値抵抗値と比較することとを追加的に含む。コントローラは、工程602で電力がヒーターブレード402に供給された直後にヒーターブレードの抵抗を判定するように構成される。
【0222】
閾値抵抗は、ヒーターブレードが周囲温度にあるか、または周囲温度に近い時のヒーターブレードの抵抗である。例えば、閾値抵抗は、摂氏35度でのヒーターブレード402の抵抗である。判定された抵抗と閾値抵抗との比較の目的は、ヒーターブレード402が最初に周囲温度に近いか、または最初に周囲温度よりも高温であるかどうかを判定することである。これは、第二の装置400が最近使用されたかどうかを示す。
【0223】
判定された抵抗が閾値抵抗以下である場合、コントローラは、第二のエアロゾル発生装置400が最近使用されていないと判定することができる。その場合、コントローラが方法の工程606で使用するように構成された抵抗の変化率に対する所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている場合、かつヒーターブレード402が最近加熱されていない場合のヒーターブレードの抵抗の予想される最大変化率に対応する。
【0224】
判定された抵抗が閾値抵抗よりも大きい場合、コントローラは、第二のエアロゾル発生装置400が最近使用されたと判定することができる。その場合、コントローラが方法の工程606で使用するように構成された抵抗の変化率に対する所定の閾値は、未使用のエアロゾル発生物品200が空洞10内に受容されている場合、かつヒーターブレード402が最近加熱された場合のヒーターブレードの抵抗の予想される最小変化率に対応する。
【0225】
検出されたヒーターブレード402の抵抗に基づいて方法の工程606で使用される所定の閾値を選択することによって、コントローラは、ヒーターブレード402の開始条件に応じて、図6の方法に適合させることができる。実際には、上述の第二のエアロゾル発生装置400の前の二つの実施形態が組み合わされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】