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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】がんの治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250204BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250204BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A61K39/395 D ZNA
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61P11/00
A61P17/00
A61P35/04
A61P43/00 105
A61K39/395 N
A61K45/00
C07K19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543937
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 NL2023050029
(87)【国際公開番号】W WO2023146394
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】2030691
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510340757
【氏名又は名称】メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルカ・ラウス
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・ヤーコプ・ヨハネス・ヘオルヘ・ボル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・キム・ユー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA891
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、結合分子の分野に関する。具体的には、本発明は、がん細胞などの異常細胞を含む疾患の治療のための治療的結合分子の分野に関する。特に、本発明は、2つ以上の異なる膜結合タンパク質の細胞外部分に結合し、それによって、細胞によって発現された生物学的活性を調節する多重特異性抗体、及び併用療法におけるかかる抗体の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体であって、前記治療が、PD-L1又はPD-1阻害剤を投与することを更に含む、多重特異性抗体。
【請求項2】
がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤と、を前記がんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項3】
前記多重特異性抗体が、前記PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される、請求項1に記載の使用のための多重特異性抗体、又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが、局所進行性又は転移性肺がん、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択されるなどの進行性又は転移性固形腫瘍である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項5】
前記がんが、NSCLCである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項6】
前記黒色腫が、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫から選択される、請求項4に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項7】
前記がんが、メルケル細胞がん(MCC)である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項8】
前記がんが、PD-1/PD-L1療法に対して再発し、かつ/又はPD-L1発現に対して陽性である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項9】
前記PD-1又はPD-LI阻害剤が、抗体、又はそのバリアント若しくは機能的断片である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項10】
前記PD-1又はPD-LI阻害剤が、PD-1阻害剤である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項11】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、請求項10に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項12】
前記多重特異性抗体が、10mg~1200mg、15~1200mg、又は25~1200mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項13】
前記多重特異性抗体が、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、又は75mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項14】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブであり、約300~500mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項15】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブであり、約100~300mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項16】
前記多重特異性抗体が、14日毎に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項17】
前記多重特異性抗体が、21日毎に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項18】
前記PD-1又はPD-L1阻害剤が、2、3、4、5、6、7、又は8週間毎に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項19】
前記多重特異性抗体が、静脈内投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項20】
前記多重特異性抗体が、2週間毎に1回投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項21】
前記多重特異性抗体が、3週間毎に1回投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項22】
前記第2の膜タンパク質が、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーではない、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項23】
前記第2の膜タンパク質が、B7ファミリーのメンバーである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項24】
前記第2の膜タンパク質が、PD-L1などの、PD-L1又はPD-L2である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項25】
前記多重特異性抗体が、PD-L1のPD-1結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項26】
前記多重特異性抗体が、CD137のCD137L結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項27】
前記多重特異性抗体が、リガンドのCD137への前記結合を遮断するか、又はCD137L遮断結合部位などのCD137の細胞外リガンド遮断結合部位に結合する、1つの抗原結合部位を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項28】
CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインが、CD137に結合する前記可変ドメインのうちの2つを含む二価の単一特異性抗体フォーマットにある場合、細胞上のCD137の活性を刺激しないか、又は前記B7ファミリーのメンバーなど、PD-L1などの腫瘍関連抗原に結合する第2の可変ドメインを有する二重特異性抗体の一部としての前記可変ドメインのうちの1つと比較して低減されたレベルで刺激する、可変ドメインとして定義される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項29】
前記多重特異性抗体が、CD137を発現する第1の細胞及びPD-L1を発現する第2の細胞の存在下にある場合、CD137の細胞外部分に結合する前記可変ドメインが、PD-L1に結合する第2の可変ドメインと多重特異性抗体内で組み合わされた場合、細胞上のCD137の活性を刺激することができる、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項30】
前記多重特異性抗体が、同時になどで、CD137及びPD-L1に結合することができる、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項31】
前記多重特異性抗体が、PD-L1発現細胞の前記存在下でのみ、CD137シグナル伝達を誘導又は活性化する、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項32】
前記多重特異性抗体の前記抗原結合部位が、CD137に結合する1つの免疫グロブリン可変ドメインと、第2の膜タンパク質の前記細胞外部分に結合する1つの免疫グロブリン可変ドメインと、からなる、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項33】
前記多重特異性抗体が、全長抗体である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項34】
前記多重特異性抗体が、Fcエフェクター機能を有しないIgG1分子である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項35】
前記第2の膜タンパク質が、T細胞によって著しい程度まで発現されない、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項36】
前記第2の膜タンパク質が、前記第2の膜タンパク質のうちの2つ以上を含む多量体膜タンパク質の一部として、前記細胞膜上に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項37】
前記第2の膜タンパク質が、ホモ二量体又はホモ三量体の一部として、前記細胞膜上に存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項38】
前記抗体が、CD137の細胞外部分に結合する配列番号23、配列番号27、配列番号34、若しくは配列番号52で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項39】
前記抗体が、CD137の細胞外部分に結合する配列番号22、配列番号26、配列番号33、若しくは配列番号51で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR2領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項40】
前記抗体が、CD137の細胞外部分に結合する配列番号21、配列番号25、配列番号32、若しくは配列番号50で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR1領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項41】
前記抗体が、配列番号20、配列番号24、配列番号31、若しくは配列番号49などの、CD137の細胞外部分に結合する配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号46、若しくは配列番号49で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項42】
前記抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号56、配列番号91、配列番号95、若しくは配列番号102などの、配列番号56、配列番号58、配列番号61、配列番号84、配列番号88、配列番号91、配列番号95、配列番号102、若しくは配列番号106で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項43】
前記抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号3、配列番号55、配列番号63、配列番号66、配列番号79、配列番号83、配列番号87、配列番号94、配列番号101、若しくは配列番号105で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR2領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項44】
前記抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号54、配列番号60、配列番号65、配列番号68、配列番号74、配列番号82、配列番号86、配列番号90、若しくは配列番号93で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR1領域を含む重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
【請求項45】
前記抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号67、配列番号89、配列番号92、若しくは配列番号100などの配列番号53、配列番号57、配列番号59、配列番号62、配列番号64、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号81、配列番号85、配列番号89、配列番号92、配列番号96、配列番号97、配列番号100、配列番号103、配列番号104、配列番号107で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項46】
前記多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項47】
前記多重特異性抗体が、配列番号49及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項48】
がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、前記抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
前記抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
前記多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される、多重特異性抗体。
【請求項49】
がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、多重特異性抗体であって、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
前記抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有する、多重特異性抗体と、
PD-1又はPD-L1阻害剤と、をがんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項50】
がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、前記抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
前記抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
前記多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与され、
前記がんが、進行性又は転移性固形腫瘍を選択する、多重特異性抗体。
【請求項51】
前記多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項52】
前記多重特異性抗体が、配列番号51及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、請求項49に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項53】
前記多重特異性抗体が、MF6783のCDR1、2、及び3、並びにMF5542のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項54】
前記多重特異性抗体が、配列番号1及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、請求項53に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項55】
前記多重特異性抗体が、MF6754のCDR1、2、及び3、並びにMF5561のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項56】
前記多重特異性抗体が、配列番号20及び配列番号100、又はそれらのバリアントを含む、請求項55に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項57】
前記多重特異性抗体が、MF6785のCDR1、2、及び3、並びにMF5439のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項58】
前記多重特異性抗体が、配列番号31及び配列番号89、又はそれらのバリアントを含む、請求項57に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項59】
前記多重特異性抗体が、MF6795のCDR1、2、及び3、並びにMF5442のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項60】
前記多重特異性抗体が、配列番号9及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、請求項59に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項61】
前記抗体が、配列番号110で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖可変ドメイン、若しくは配列番号109で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖、又はそれらのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項62】
前記抗体が、配列番号112で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン1(CH1)、配列番号114で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン2(CH2)、配列番号115で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び配列番号116で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、又はそれらのバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
【請求項63】
CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との併用での前記多重特異性抗体の使用指示書と、を含む、医薬品組み合わせ。
【請求項64】
使用指示書を更に含む、請求項61に記載の医薬品組み合わせ。
【請求項65】
前記使用指示書が、静脈内投与及び/又は投与量についての指示書を含む、請求項62に記載の医薬品組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合分子の分野に関する。具体的には、本発明は、がん細胞などの異常細胞を含む疾患の治療のための治療的結合分子の分野に関する。特に、本発明は、2つ以上の異なる膜結合タンパク質の細胞外部分に結合し、それによって、細胞によって発現された生物学的活性を調節する多重特異性抗体、及び併用療法におけるかかる抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、疾病の治療において遂げられている多くの進歩、及びがんにつながる分子的事象に関する知識の増加にもかかわらず、世界での依然として主要な死因である。
【0003】
従来、ほとんどのがん薬の発見は、必須細胞機能を遮断し、分裂細胞を死滅させる薬剤に焦点を当てている。しかしながら、進行がんの場合、どのように積極的に適用されても、たとえ患者が治療から生命を脅かす副作用を受ける点までであっても、化学療法は、完全な治癒をもたらすことはほとんどない。ほとんどの場合、患者における腫瘍は、増殖を停止させるか、又は一時的に縮小させる(寛解と称される)のみであり、再び、場合によっては、より迅速に(再発と称される)増殖を開始し、治療するのがますます困難になる。より最近では、がん薬の開発の焦点は、広範囲にわたる細胞傷害性化学療法から、毒性が低い標的細胞抑制療法へと移っている。進行がんの治療は、白血病及びいくつかの他のがんにおいて臨床的に検証されている。しかしながら、大部分のがん腫では、標的アプローチは、大部分の患者でがんを完全に消滅させるのに十分なほどは効果的でないことが依然として証明されている。
【0004】
がんの標的化は、例えば、がんが生存及び/又は成長に依存するシグナル伝達タンパク質に対して指向する小分子、腫瘍特異性タンパク質を有するワクチン、腫瘍細胞を能動的に死滅させる免疫細胞及び細胞傷害性分子を腫瘍に標的化する抗体を含む細胞療法、シグナル伝達の妨害及び/又は宿主の免疫系を腫瘍細胞に(再)指向させることを含む様々な異なる方法を使用して達成されている。
【0005】
免疫系の(再)指向は、いくつかの方式で達成され得る。1つの方式は、CD137(4-1BB、TNFRSF9)を含む、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーなどのT細胞共刺激分子を活性化することによるものである。CD137の活性化は、T細胞増殖の増加、サイトカイン産生、及びCD8T細胞生存の延長をもたらす。別の方式は、免疫チェックポイントに関与する分子、例えば、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、T細胞上で発現されたプログラム細胞死(PD-1)、又は腫瘍細胞上で発現され得るその同族リガンドプログラミング細胞死1リガンド1(PD-L1)によって誘導される陰性シグナルを遮断することによるものである。PD-1へのPD-L1の結合時に、シグナル伝達は、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達の減衰及びT細胞枯渇をもたらす。これは、免疫系を回避及び/又は抑制するために腫瘍によって使用される機序である。
【0006】
この免疫抑制は、PD-1又はPD-L1に対する拮抗抗体などの免疫チェックポイント阻害剤療法(ICI)によって遮断され得る。ICI治療は、活性化CD8T細胞の浸潤及び増殖と相関するがん患者のサブセットでは、著しく持続的な応答を実証している。ICI(例えば、抗PD-1及び抗CTLA-4)の組み合わせは、有効性を更に高めることが示されているが、その代償として毒性があり、大多数の患者がグレード3又は4の治療関連有害事象を経験する。
【0007】
PD-1/PD-L1軸及びCD137の二重標的化は、特異的抗腫瘍免疫を最適に係合することに有益であり得る。現在、臨床試験で最も進歩した治療用CD137アゴニスト抗体の2つは、ウレルマブ(IgG4)及びウトミルマブ(IgG2)である。患者におけるCD137経路の全身活性化に起因する用量依存性肝炎の結果として、ウレルマブの開発は、停止している。ウレルマブの安全な投与には、用量の減少が必要であり、PD-1阻害剤との併用研究については、0.1mg/kgが選択された。ウトミルマブは患者により良好な耐容性があるが、単剤療法としては控えめな抗腫瘍活性を有し、併用療法ではPD-1遮断との明確な相乗効果はない。
【0008】
したがって、がん、特に進行性又は転移性固形腫瘍を治療する医療従事者に、より多くのかつより良好な選択肢を提供するための必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法において、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体を、PD-L1又はPD-1阻害剤とともに使用する、併用療法に関する。
【0010】
本開示は、がん、特に進行性又は転移性固形腫瘍の治療における免疫系構成要素の(再)指向のための手段及び方法を提供する。
【0011】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体であって、治療が、PD-L1又はPD-1阻害剤を投与することを更に含む、多重特異性抗体を提供する。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体であって、多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時、順次、又は別個の投与のためのものである、多重特異性抗体を提供する。
【0013】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-L1又はPD-1阻害剤との組み合わせを提供する。
【0014】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤と、をがんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0015】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される。
【0016】
ある特定の態様では、がんは、局所進行性又は転移性肺がん、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択されるなどの、がんが、NSCLCであるなどの、進行性又は転移性固形腫瘍である。ある特定の態様では、黒色腫は、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫から選択される。ある特定の態様では、がんは、メルケル細胞がん(皮膚の神経内分泌がん又は索状がんとも呼ばれる)である。
【0017】
ある特定の態様では、がんは、PD-1/PD-L1療法に対して再発し、かつ/又はPD-L1発現に対して陽性である。
【0018】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、PD-1又はPD-L1阻害剤の前に投与される。
【0019】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。
【0020】
ある特定の態様では、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する多重特異性抗体の抗原結合部位は、PD-L1に結合する。
【0021】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個の投与のためのものである、多重特異性抗体を提供する。
【0022】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、多重特異性抗体であって、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有する、多重特異性抗体と、
PD-1又はPD-L1阻害剤と、をがんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、その後、又は別個の投与のためのものであり、
がんが、進行性又は転移性固形腫瘍である、多重特異性抗体を提供する。
【0024】
ある特定の態様では、本開示は、特にがんの治療のために、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との併用での多重特異性抗体の使用指示書と、を含む、医薬品組み合わせ又はパーツのキットを提供する。
【0025】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及びPD-L1の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との組み合わせを提供する。
【0026】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療のためのPD-1又はPD-L1阻害剤であって、PD-L1阻害剤が、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む多重特異性抗体との同時又は順次の投与のためのものである、PD-1又はPD-L1阻害剤を提供する。
【0027】
ある特定の態様では、本開示は、PD-1又はPD-L1阻害剤を投与されたことがあるか、又は投与される予定の対象における、がんの治療における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、PD-L1の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体を提供する。
【0028】
ある特定の態様では、本開示は、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、PD-L1の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体を投与されたことがあるか、又は投与される予定の患者における、がんの治療における使用のためのPD-1又はPD-L1阻害剤を提供する。
【0029】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、25~150若しくはmg25~100mgなど、又は25~50mg若しくは50~100mgなどの25~300mgの用量で投与される。
【0030】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、300~500など又は約400mgなどの200~600mgの用量で投与される。
【0031】
ある特定の態様では、がんは、進行性又は転移性固形腫瘍である。
【0032】
ある特定の態様では、多重特異性抗体、PD-L1又はPD-1阻害剤は、単離された抗体である。
【0033】
ある特定の態様では、対象は、ヒト対象である。
【0034】
ある特定の態様では、対象は、CD137アゴニストによる前治療、又はCAR T細胞療法による前療法、又は標的小分子療法若しくは放射線療法を含む前治療をいまだ受けていない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体であって、多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時、順次、又は別個の投与のためのものである、多重特異性抗体を提供する。ある特定の態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤と、を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0036】
ある特定の態様では、第2の膜タンパク質は、PD-L1であり、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位は、PD-L1に結合する。
【0037】
CD137は、活性化T細胞によって発現され得る。CD137は、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、顆粒球、及び炎症部位の血管壁の細胞などの他の細胞にも見出される。このタンパク質は、T細胞の活性化のための共刺激活性で知られている。CD137は、以下のような多数の異なる名称で知られている:TNFRSF9;TNF受容体スーパーファミリーメンバー9;腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9;T細胞抗原4-1BBホモログ;4-1BBリガンド受容体;T細胞抗原ILA;CD137抗原;CDw137;ILA;インターロイキン活性化受容体、マウスLy63のホモログ;リンパ球活性化によって誘導される(ILA);マウス4-1BBのホモログ;受容体タンパク質4-1BB;細胞抗原ILA;及び4-1BB。CD137についての外部Idは、HGNC:11924、Entrez Gene:3604、Ensembl:ENSG00000049249、OMIM:602250、及びUniProtKB:Q07011である。CD137は、活性化CD8+T細胞上で最も一般的に上方制御される誘導性受容体である。CD137シグナル伝達は、NF-κBを活性化することによってT細胞機能を増強する[Arch et al,1998]。CD4+T細胞、単球、B細胞、樹状細胞(DC)亜集団、及び粒球及びNK細胞を含む他の細胞免疫細胞型は、様々なレベルでCD137を発現することができる[Shao et al,2011]。単球では、CD137はリポ多糖(LPS)及びIL-1bによる活性化によって誘導可能である。Bリンパ球では、CD137発現は、細胞表面免疫グロブリンに対する抗体及びEBVによる形質転換によって誘導される。DCでは、CD137ライゲーションは、炎症性サイトカイン(IL-6及びIL-12)の産生及びそれらの生存率を向上させることに加えて、B7共刺激分子(CD80及びCD86)の上方制御を介して成熟を誘導する[Makkouk et al,2015]。好中球に対するCD137ライゲーションの自然な機能は、細菌性及び寄生虫性感染症の食作用の増加である。加えて、CD137のライゲーションは、インビトロでの好中球及び好酸球におけるIL-3/IL-5/GM-CSF受容体によって媒介される抗アポトーシスシグナルを遮断し、それによって顆粒球蓄積を防止する[Simon,2001、Vinay et al,2011]。軟骨細胞、内皮細胞、及び腫瘍細胞などの非リンパ系細胞では、CD137の発現は、軟骨細胞のIL-1b、内皮細胞の炎症性サイトカインTNFアルファ/IFNγ/内皮細胞のIL-1b、及び腫瘍細胞のIFNγなどのサイトカイン刺激によって駆動される。CD137を刺激するリガンド(CD137L)は、活性化された抗原提示細胞上で発現される。CD137は、単量体及び二量体として膜内に存在する[Pollok et al,1993]。
【0038】
B7ファミリーは、免疫応答を調節するリンパ球上の受容体に結合する、多数の構造的に関連する細胞表面タンパク質を含む。リンパ球の活性化は、細胞表面、抗原特異性T細胞受容体又はB細胞受容体の関与によって開始される。B7リガンドによって同時に送達される追加のシグナルは、これらの細胞の免疫応答を更に決定する。これらのいわゆる「共刺激」又は「共阻害」シグナルは、リンパ球上の受容体のCD28ファミリーを介してB7ファミリーメンバーによって送達される。共刺激受容体とのB7ファミリーメンバーの結合は、免疫応答を増強し、共阻害受容体との結合は、免疫応答を減弱させる。現在、以下のメンバーがこのファミリーの一員であると考えられている:B7.1(CD80)、B7.2(CD86)、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、プログラム死-1リガンド(PD-L1)、プログラム死-2リガンド(PD-L2)、B7-H3(CD276)、B7-H4、B7-H5、B7-H6、及びB7-H7。B7ファミリーメンバーは、リンパ及び非リンパ組織において発現される。免疫応答の調節に対するメンバーの効果は、B7ファミリー遺伝子の変異を有するマウスにおける免疫不全及び自己免疫疾患の発生において示される。B7リガンドによって送達されるシグナルの操作は、自己免疫、炎症性疾患、及びがんの治療における可能性が示されている。
【0039】
PD-L1は、妊娠、組織同種移植片、自己免疫疾患、及び肝炎などの他の疾患状態などの特定の事象中、免疫応答を抑制する役割を果たす1型膜貫通タンパク質である。PD-L1は、様々なタイプのがん、特にNSCLC(Boland et al.,2013、Velcheti et al.,2014)、黒色腫、腎細胞がん、胃がん、肝細胞、並びに様々な白血病及び多発性骨髄腫(Bernstein et al.,2014、Thompson et al.,2005)において発現される。PD-L1は、がん細胞の細胞質及び形質膜に存在するが、全てのがん又は腫瘍内の全ての細胞がPD-L1を発現するわけではない(Dong et al.,2002)。複数の腫瘍微小環境細胞は、PD-L1発現を上方調節することによって免疫抑制に寄与する。この効果は、腫瘍が活性化T細胞によって産生されるIFN-γに応答してPD-L1を誘導することによってそれ自体を保護するため、「適応免疫抵抗」と呼ばれる(Sharma et al.,2017)。PD-L1はまた、がん遺伝子によって調節することができ、この機序は固有の免疫抵抗として知られている(Akbay et al.,2013)。腫瘍微小環境内では、PD-L1はまた、骨髄細胞及び活性化T細胞上でも発現される(Tumeh et al.,2014)。PD-L1の発現は、I型及びII型IFN-γ、TNF-α、LPS、GM-CSF、及びVEGF、並びにサイトカインIL-10及びIL-4を含む複数の炎症誘発性分子によって誘導され、IFN-γが、最も効力のある誘導因子である(Sznol and Chen,2013)。
【0040】
プログラム細胞死1タンパク質(PD-1)は、受容体のCD28ファミリーに属し、T細胞及びプロB細胞上で発現される細胞表面受容体である。PD-1は、現在、2つのリガンド、PD-L1及びPD-L2に結合することが知られている。免疫チェックポイントとして機能するPD-1は、T細胞の活性化を阻害することにより、免疫系を下方制御する重要な役割を果たし、これにより自己免疫が低下し、自己寛容が促進される。PD-1の阻害効果は、リンパ節の抗原特異的T細胞におけるアポトーシス(プログラム細胞死)を促進すると同時に、調節T細胞(サプレッサーT細胞)におけるアポトーシスを低下させる二重の機序を介して達成されると考えられている。PD-1は、PDCD1、プログラム細胞死1、全身性エリテマトーデス感受性2、タンパク質PD-1、HPD-1、PD1、プログラム細胞死1タンパク質、CD279抗原、CD279、HPD-L、HSLE1、SLEB2、及びPD-1などの多数の異なる名称で知られている。PD-1についての外部Idは、HGNC:8760、Entrez Gene:5133、Ensembl:ENSG00000188389、OMIM:600244、及びUniProtKB:Q15116である。PD-1阻害剤であるPD-1の活性を遮断する新しいクラスの薬物は、免疫系を活性化して腫瘍を攻撃し、したがって、いくつかのタイプのがんを治療するために成功して使用されている。
【0041】
PD-1又はB7.1(CD80)へのPD-L1の結合は、PD-1発現T細胞の増殖を低減する阻害シグナルを伝達する。PD-1は、アポトーシスを介して外来抗原特異的T細胞の蓄積を制御することができると考えられている。PD-L1は様々ながん細胞によって発現され、その発現は、がん細胞に対する免疫応答の減衰に少なくとも部分的に関与していると考えられている。PD-L1は、タンパク質のB7ファミリーのメンバーであり、CD274分子、CD274抗原、B7ホモログ1、PDCD1リガンド1、PDCD1LG1、PDCD1L1、B7H1、PDL1、プログラム細胞死1リガンド1、プログラム死リガンド1、B7-H1、及びB7-Hなどの様々な他の名称で知られている。CD274についての外部Idは、HGNC:17635;Entrez遺伝子:29126、Ensembl:ENSG00000120217、OMIM:605402、UniProtKB:Q9NZQ7である。
【0042】
PD-L2は、PD-1の第2のリガンドである。PD-L2によるPD-1の関与は、T細胞受容体(TCR)媒介性増殖及びCD4+T細胞によるサイトカイン産生を阻害する。低抗原濃度では、PD-L2/PD-1結合は、B7-CD28シグナルを阻害する。高い抗原濃度では、PD-L2/PD-1結合は、サイトカイン産生を低減する。PD-L発現は、インターフェロンガンマ処理によって抗原提示細胞上で上方調節される。それは、いくつかの正常組織及び様々な腫瘍で発現される。PD-L1及びPD-L2は、重複する機能を有し、T細胞応答を調節すると考えられている。タンパク質は、プログラム細胞死1リガンド2、B7樹状細胞分子、プログラム死リガンド2、ブチロフィリンB7-DC、PDCD1リガンド2、PD-1リガンド2、PDCD1L2、B7-DC、CD273、B7DC、PDL2、PD-1-リガンド2、CD273抗原、BA574F11.2、及びBtdcなどのいくつかの他の名称で知られている。PD-L2についての外部Idは、HGNC:18731、Entrez Gene:80380、Ensembl:ENSG00000197646、OMIM:605723、及びUniProtKB:Q9BQ51である。
【0043】
PD-1阻害剤は、当該技術分野で既知である。それらには、PD-1に結合し、遮断する抗体が挙げられる。ペムブロリズマブは、黒色腫、肺がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、胃がん、及び子宮頸がんを治療するがん免疫療法において使用されるヒト化抗体である。これは、静脈にゆっくりと注射することによって与えられる。ペムブロリズマブは、リンパ球上に位置するPD-1に結合し、遮断する治療用抗体である。この受容体は、いわゆる「免疫チェックポイント」であり、したがって、概して、免疫系が身体自体の組織を攻撃するのを防止することを担う。通常、活性化T細胞上のPD-1受容体は、体内の正常細胞上に存在するPD-L1又はPD-L2リガンドに結合し、これらの細胞に対する任意の潜在的な細胞媒介性免疫応答を不活性化する。多くのがんは、PD-1受容体にも結合するPD-L1などのタンパク質を作製し、したがって、がんを殺す身体の能力を遮断する。ペムブロリズマブは、リンパ球PD-1受容体を阻害し、それを不活性化し、免疫応答を防止するであろうリガンドを遮断することによって機能する。これは、免疫系が、がん細胞を標的とし、破壊することを可能にするが、免疫系が身体自体を攻撃することを防止する重要な機序も遮断する。
【0044】
腫瘍は、多くの場合、DNAミスマッチ修復不全を引き起こす変異を有する。これは、ひいては、多くの場合、マイクロサテライトの不安定性をもたらして、腫瘍抗原として機能し得る多数の変異体タンパク質を腫瘍に生成させ、腫瘍に対する免疫応答を引き起こす。セルフチェックポイント系がT細胞を遮断することを防止することによって、[14][30]ペムブロリズマブは、免疫系による任意のかかる腫瘍のクリアランスを促進するようである。
【0045】
ペムブロリズマブは、2014年に米国で医療使用に対して承認された。2017年、米国食品医薬品局(FDA)は、ある特定の遺伝子異常(ミスマッチ修復不全又はマイクロサテライトの不安定性)を有する任意の切除不能な又は転移性の固形腫瘍に対してペムブロリズマブを承認した。
【0046】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーではない第2の膜タンパク質に結合する。ある特定の態様では、第2の膜タンパク質は、B7ファミリーのメンバーである。ある特定の態様では、第2の膜タンパク質は、PD-L1又はPD-L2であり、ある特定の態様では、PD-L1である。
【0047】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、PD-L1のPD-1結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む。
【0048】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、T細胞によって著しい程度まで発現されない第2の膜タンパク質に結合する。
【0049】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、抗原提示細胞、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、又は寄生虫感染細胞上で発現される第2の膜タンパク質に結合する。
【0050】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、細胞膜上の1つ以上のゾーンに存在する膜タンパク質である第2の膜タンパク質に結合する。ある特定の態様では、ゾーンは、細胞膜上のクラスター、ドメイン、マイクロドメイン、又は区画であり、ある特定の態様では、免疫学的シナプスである。
【0051】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、当該第2の膜タンパク質のうちの2つ以上を含む多量体膜タンパク質の一部として細胞膜上に存在する第2の膜タンパク質に結合する。ある特定の態様では、第2の膜タンパク質は、ホモ二量体又はホモ三量体の一部として細胞膜上に存在する。
【0052】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、CD137のCD137L結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む。
【0053】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、リガンドのCD137への結合を遮断するか、又はCD137の細胞外リガンド遮断結合部位、ある特定の態様では、CD137L遮断結合部位に結合する1つの抗原結合部位を含む。
【0054】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、CD137に結合する当該可変ドメインのうちの2つを含む二価の単一特異性抗体フォーマットにある場合、細胞上のCD137の活性を刺激しないか、又はB7ファミリーのメンバーなどの、若しくはPD-L1などの腫瘍関連抗原に結合する第2の可変ドメインを有する多重特異性抗体の一部としての当該可変ドメインのうちの1つと比較して低減されたレベルで刺激する、可変ドメインとして定義される、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む。
【0055】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインは、CD137に結合する当該可変ドメインのうちの2つを含む二価の単一特異性抗体フォーマット(IgG、特にIgG1、又はヒトIgG1など)にある場合、細胞上のCD137の活性を刺激しないか、又は腫瘍関連抗原に結合する第2の可変ドメインを有する二重特異性抗体(IgG、特にIgG1、又はヒトIgG1など)の一部としての当該可変ドメインのうちの1つと比較して低減されたレベルで刺激する、可変ドメインとして定義される。当業者は、上で言及された二価の単一特異性抗体と二重特異性抗体との間のCD137刺激活性を比較すると、抗体は、同じフォーマット(IgG、特にIgG1又はヒトIgG1など)にあり、比較される抗体間の相違点は、一方では、CD137に結合する二価形態の同一の可変ドメイン結合の存在を含む単一特異性抗体であり、他方では、当該CD137可変ドメインのうちの1つと、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5359(配列番号69)、MF5377(配列番号73)、MF5382(配列番号77)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5439(配列番号89)、MF5442(配列番号92)、MF5553(配列番号96)、MF5557(配列番号97)、MF5561(配列番号100)、MF5576(配列番号103)、MF5594(配列番号104)、又はMF5708(配列番号107)のVHのアミノ酸配列を含む可変ドメインなどの腫瘍関連抗原に結合する可変ドメインと、を含む、二重特異性抗体であることを認識するであろう。ある特定の態様では、二価の単一特異性抗体フォーマットにある場合、非刺激的であるCD137の細胞外部分に結合する当該可変ドメインは、MF6754、MF6808、MF6763、MF6785、又はMF6797などのVHのCDR配列を含む。
【0056】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、CD137を発現する第1の細胞及びPD-L1を発現する第2の細胞の存在下にある場合、PD-L1に結合する第2の可変ドメインと多重特異性抗体内で組み合わされた場合、細胞上のCD137の活性を刺激することができる、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む。
【0057】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、CD137及びPD-L1を同時に結合することができる。
【0058】
CD137及び第2の膜タンパク質、特にB7ファミリーのメンバーである膜タンパク質の細胞外部分に結合する本開示による多重特異性抗体は、B7ファミリーメンバーが「共刺激性」又は「共阻害性」シグナルをリンパ球に送達し、それによって免疫応答を増強又は減衰させるため、所望の免疫応答を特によく促進することができるという利点を提供する。したがって、第2の膜貫通タンパク質、特に、B7ファミリーのメンバーである膜貫通タンパク質を標的にすることによって、刺激シグナルを増強し、及び/又は阻害シグナルを阻害し、それによって、例えば、がん細胞などの異常細胞に対する所望の免疫応答を誘導又は増強することが可能である。その結果、本開示による多重特異性抗体は、がんに見出される異常細胞に対して所望の免疫応答が誘発される場合、がんの治療を必要とする対象における、がんの治療で使用される。
【0059】
ある特定の態様では、本開示による多重特異性抗体は、CD137の細胞外部分に結合することができる1つの抗原結合部位と、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーではないが、ある特定の態様では、B7ファミリーのメンバー、又はPD-L1などである、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合することができる第2の抗原結合部位と、を有する。これは、TNF受容体スーパーファミリーのいくつかの異なるメンバーを発現するT細胞などの(免疫)細胞のシス活性化では、少なくとも部分的に回避され、それによって非特異的T細胞活性化に起因する潜在的な有害な副作用及び毒性を減少させるという利点を提供する。先行技術のアプローチは、第2の標的の不在を意味するシスにおけるT細胞活性化をもたらし得、例えば、サイトカインストームをもたらす過剰なT細胞応答のリスクを伴い得る。その結果、かかる先行技術のアプローチは、CD137に結合することができる抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合することができる抗原結合部位と、を有する本開示による結合分子と比較して、有害な副作用の可能性が増加する。
【0060】
ある特定の態様では、本開示は、T細胞などの(免疫)細胞のシス活性化を部分的に回避するために、PD-L1及びCD137の両方を標的とする多重特異性抗体に関する。ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインは、かかるCD137結合ドメインのうちの2つを含む二価の単一特異性抗体フォーマットにある場合、細胞上のCD137の活性を刺激しないか、又は腫瘍関連抗原、ある特定の態様では、B7ファミリーのメンバー、若しくはPD-L1などに結合する第2の可変ドメインを有する多重特異性抗体の一部としての当該可変ドメインのうちの1つと比較して低減されたレベルで刺激するドメインである。好適なCD137結合アームは、WO2018/056821に開示されている。
【0061】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アゴニスティックCD137抗体、例えば、CD137の活性を刺激することができる抗体であってもよい。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アンタゴニスティックCD137抗体、例えば、CD137の活性を低減することができる抗体であってもよい。
【0062】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アゴニスティックB7抗体、例えば、B7の活性を刺激することができる抗体であってもよい。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アンタゴニスティックB7抗体、例えば、B7ファミリーメンバーの活性を低減することができる抗体であってもよい。
【0063】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アゴニスティックPD-L1抗体、例えば、PD-L1の活性を刺激することができる抗体であってもよい。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、アンタゴニスティックPD-L1抗体、例えば、PD-L1の活性を低減することができる抗体であってもよい。
【0064】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、B7ファミリーメンバーに結合した場合、CD137活性を刺激し得る。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、CD137及びPD-L1に結合した場合、CD137活性を刺激する。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、PD-L1発現細胞の存在下でのみ、CD137シグナル伝達を誘導又は活性化する。
【0065】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、CD137に結合する1つの免疫グロブリン可変ドメインと、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する1個の免疫グロブリン可変ドメインとからなる、抗原結合部位を含む。
【0066】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合し、かつCD137リガンドのCD137への結合を少なくとも部分的に遮断する、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法によって含まれる可変ドメインは、MF6783(配列番号1)、MF6861(配列番号5)、MF6795(配列番号9)、MF6808(配列番号13)、MF6798(配列番号17)、MF6754(配列番号20)、MF6763(配列番号24)、MF6744(配列番号28)、MF6785(配列番号31)、MF6825(配列番号35)、MF6737(配列番号39)、MF6749(配列番号43)、MF6788(配列番号46)、又はMF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列を含む可変ドメインである。
【0067】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合し、かつCD137リガンドのCD137への結合を少なくとも部分的に遮断する、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法によって含まれる可変ドメインは、MF6783(配列番号1)、MF6861(配列番号5)、MF6795(配列番号9)、MF6808(配列番号13)、MF6798(配列番号17)、MF6754(配列番号20)、MF6763(配列番号24)、MF6744(配列番号28)、MF6785(配列番号31)、MF6825(配列番号35)、MF6737(配列番号39)、MF6749(配列番号43)、MF6788(配列番号46)、又はMF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む可変ドメインである。
【0068】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF6808(配列番号13)、MF6754(配列番号23)、MF6763(配列番号27)、MF6785(配列番号34)、又はMF6797(配列番号52)の可変重鎖領域のCDR3領域のアミノ酸配列を含むCDR3領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0069】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF6808(配列番号13)、MF6754(配列番号22)、MF6763(配列番号26)、MF6785(配列番号33)、又はMF6797(配列番号51)の可変重鎖領域のCDR2領域のアミノ酸配列を含むCDR2領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0070】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF6808(配列番号13)、MF6754(配列番号21)、MF6763(配列番号25)、MF6785(配列番号32)、又はMF6797(配列番号50)の可変重鎖領域のCDR1領域のアミノ酸配列を含むCDR1領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0071】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF6808、MF6754、MF6763、MF6785、又はMF6797として提示されるVHのうちの1つの可変重鎖領域のCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の態様では、CDR1、CDR2、及びCDR3配列は、同じVH領域から選択される。
【0072】
ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、及び0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6808、MF6754、MF6763、MF6785、又はMF6797の可変重鎖領域のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。ある特定の態様では、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせは、存在する場合、CDR領域のアミノ酸配列には存在しない。
【0073】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、又は方法によって含まれる、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメイン、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体は、CDR3のアミノ酸配列を有するVH領域、又はMF6808、MF6754、MF6763、MF6785、若しくはMF6797のVHのうちの1つのCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含む。ある特定の態様では、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインは、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6808(配列番号13)、MF6754(配列番号20)、MF6763(配列番号24)、MF6785(配列番号31)、又はMF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含む。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。ある特定の態様では、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせは、存在する場合、CDR領域のアミノ酸配列には存在しない。
【0074】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合し、かつPD-1のPD-L1への結合を遮断する、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法によって含まれる可変ドメインは、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5359(配列番号69)、MF5377(配列番号73)、MF5382(配列番号77)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5439(配列番号89)、MF5442(配列番号92)、MF5553(配列番号96)、MF5557(配列番号97)、MF5561(配列番号100)、MF5576(配列番号103)、MF5594(配列番号104)、又はMF5708(配列番号107)のVHのアミノ酸配列を含む可変ドメインである。ある特定の態様では、本明細書の他の場所で言及されるように、当該MF配列からのCDRは、Kabat番号付けシステムを使用して決定される。
【0075】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合し、かつPD-1のPD-L1への結合を遮断する、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法によって含まれる可変ドメインは、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5359(配列番号69)、MF5377(配列番号73)、MF5382(配列番号77)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5439(配列番号89)、MF5442(配列番号92)、MF5553(配列番号96)、MF5557(配列番号97)、MF5561(配列番号100)、MF5576(配列番号103)、MF5594(配列番号104)、又はMF5708(配列番号107)のVHのアミノ酸配列のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む可変ドメインである。
【0076】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF5554(配列番号56)、MF5576(配列番号58)、MF5578(配列番号61)、MF9375(配列番号56)、MF9376(配列番号56)、MF7702(配列番号56)、MF5424(配列番号84)、MF5561(配列番号102)、MF5439(配列番号91)、MF5553(配列番号56)、MF5594(配列番号106)、MF5426(配列番号88)、又はMF5442(配列番号95)の可変重鎖領域のCDR3領域のアミノ酸配列を含むCDR3領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0077】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF7702(配列番号56)、MF5424(配列番号84)、MF5561(配列番号102)、MF5439(配列番号91)、MF5553(配列番号56)、MF5594(配列番号106)、MF5426(配列番号88)、又はMF5442(配列番号95)の可変重鎖領域のCDR3領域のアミノ酸配列を含むCDR3領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0078】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、配列番号56、配列番号58、配列番号61、配列番号84、配列番号88、配列番号91、配列番号95、配列番号102、又は配列番号106で示されるアミノ酸配列を有するCDR3領域を含むPD-L1の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、配列番号56、配列番号91、配列番号95、若しくは配列番号102で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR3領域を含むPD-L1の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む。
【0079】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF5554(配列番号55)、MF5576(配列番号55)、MF5578(配列番号3)、MF9375(配列番号63)、MF9376(配列番号66)、MF7702(配列番号55)、MF5424(配列番号83)、MF5561(配列番号101)、MF5439(配列番号79)、MF5553(配列番号55)、MF5594(配列番号105)、MF5426(配列番号87)、又はMF5442(配列番号94)の可変重鎖領域のCDR2領域のアミノ酸配列を含むCDR2領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0080】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF7702(配列番号56)、MF5424(配列番号84)、MF5561(配列番号102)、MF5439(配列番号91)、MF5553(配列番号56)、MF5594(配列番号106)、MF5426(配列番号88)、又はMF5442(配列番号95)の可変重鎖領域のCDR2領域のアミノ酸配列を含むCDR2領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0081】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含み、抗体が、配列番号3、配列番号55、配列番号63、配列番号66、配列番号79、配列番号83、配列番号87、配列番号94、配列番号101、若しくは配列番号105で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR2領域を含むPD-L1の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む。
【0082】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF5554(配列番号54)、MF5576(配列番号54)、MF5578(配列番号60)、MF9375(配列番号60)、MF9376(配列番号65)、MF7702(配列番号68)、MF5424(配列番号82)、MF5561(配列番号93)、MF5439(配列番号90)、MF5553(配列番号68)、MF5594(配列番号74)、MF5426(配列番号86)、又はMF5442(配列番号93)の可変重鎖領域のCDR1領域のアミノ酸配列を含むCDR1領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0083】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF7702(配列番号56)、MF5424(配列番号84)、MF5561(配列番号102)、MF5439(配列番号91)、MF5553(配列番号56)、MF5594(配列番号106)、MF5426(配列番号88)、又はMF5442(配列番号95)の可変重鎖領域のCDR1領域のアミノ酸配列を含むCDR1領域を有する重鎖可変領域を含む。
【0084】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、配列番号54、配列番号60、配列番号65、配列番号68、配列番号74、配列番号82、配列番号86、配列番号90、若しくは配列番号93で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR1領域を含むPD-L1の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む。
【0085】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、MF5554、MF5576、MF5578、MF9375、MF9376、MF7702、MF5424、MF5561、MF5439、MF5553、MF5594、MF5426、又はMF5442として提示されるVHのうちの1つの可変重鎖領域のCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3領域を有する重鎖可変領域を含む。CDR1、CDR2、及びCDR3配列は、好ましくは、同じVH領域から選択される。
【0086】
ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインを含む本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体及び/若しくは類似体、又は方法は、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5424(配列番号81)、MF5561(配列番号100)、MF5439(配列番号89)、MF5553(配列番号96)、MF5594(配列番号104)、MF5426(配列番号85)、又はMF5442(配列番号92)の可変重鎖領域のアミノ酸配列を含み、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個などの、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。ある特定の態様では、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせは、存在する場合、CDR領域のアミノ酸配列には存在しない。
【0087】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくは機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法における特に好ましい組み合わせは、MF6797(配列番号49)及びMF7702(配列番号67)、MF6763(配列番号24)及びMF7702(配列番号67)、MF6785(配列番号31)及びMF7702(配列番号67)、MF6797(配列番号49)及びMF5553(配列番号96)、MF6763(配列番号24)及びMF5553(配列番号96)、MF6785(配列番号31)及びMF5553(配列番号96)、MF6754(配列番号20)及びMF5424(配列番号81)、MF6763(配列番号24)及びMF5561(配列番号100)、MF6785(配列番号31)及びMF5439(配列番号89)、MF6754(配列番号20)及びMF5553(配列番号96)、MF6744(配列番号28)及びMF5594(配列番号104)、若しくはMF6783(配列番号1)及びMF5594(配列番号104)の示される配列、又はそれらのバリアントを含む可変ドメインの組み合わせである。
【0088】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、
-CDR3のアミノ酸配列、又はMF6797(配列番号49)のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-CDR3のアミノ酸配列、又はMF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5594(配列番号104)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5553(配列番号96)、MF5442(配列番号92)、MF5561(配列番号100)、又はMF5439(配列番号89)のVHのCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む。
【0089】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、
-MF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5594(配列番号104)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5553(配列番号96)、MF5442(配列番号92)、MF5561(配列番号100)、又はMF5439(配列番号89)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0090】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6763(配列番号27)のVHのCDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5442(配列番号95)のVHのCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を更に提供する。
【0091】
ある特定の態様は、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体であって、
-MF6763(配列番号24)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5442(配列番号92)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。
【0092】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6763のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6763(配列番号24)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5442のVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5442(配列番号92)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0093】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6797(配列番号52)のVHのCDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF7702(配列番号56)のVHのCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を更に提供する。
【0094】
ある特定の態様は、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体であって、
-MF6797(配列番号49)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF7702(配列番号67)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。
【0095】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6797のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF7702のVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF7702(配列番号67)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0096】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6754(配列番号23)のVHのCDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5561(配列番号102)のVHのCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を更に提供する。
【0097】
ある特定の態様は、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体であって、
-MF6754(配列番号20)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5561(配列番号100)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。
【0098】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6754のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6754(配列番号20)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5561のVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5561(配列番号100)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0099】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6785(配列番号34)のVHのCDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5439(配列番号91)のVHのCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を更に提供する。
【0100】
また、提供されるのは、二重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体であって、
-MF6785(配列番号31)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5439(配列番号89)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体である。
【0101】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6785のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6785(配列番号31)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5439のVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5439(配列番号89)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0102】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6785(配列番号34)のVHのCDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5542(配列番号95)のVHのCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を更に提供する。
【0103】
ある特定の態様は、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体であって、
-MF6785(配列番号31)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5442(配列番号92)のVHのCDR1、CDR2、CDR3領域のアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。
【0104】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-MF6785のVHのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF6785(配列番号31)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むCD137結合可変ドメインと、
-MF5542のVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5442(配列番号92)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含むPD-L1結合可変ドメインと、を含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0105】
ある特定の態様は、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法であって、
-配列番号50によるCDR1、配列番号51によるCDR2、及び配列番号52によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号40に記載のCDR1、配列番号41に記載のCDR2、及び配列番号42に記載のCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号21によるCDR1、配列番号22によるCDR2、及び配列番号23によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号32によるCDR1、配列番号33によるCDR2、及び配列番号34によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメイン、並びに/あるいは
-配列番号68によるCDR1、配列番号55によるCDR2、及び配列番号56によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号93によるCDR1、配列番号94によるCDR2、及び配列番号95によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号93によるCDR1、配列番号101によるCDR2、及び配列番号102によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、あるいは
-配列番号90によるCDR1、配列番号79によるCDR2、及び配列番号91によるCDR3を含み、各CDR1、CDR2、及び/又はCDR3が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含む、多重特異性抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体を提供する。ある特定の態様では、CDRのアミノ酸配列は、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0又は1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0106】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体、若しくはその機能部分、誘導体、及び/若しくは類似体、又は方法は、CD137のCD137リガンドへの結合を遮断する、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインと、PD-1のPD-L1への結合を遮断する、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインと、を含む。ある特定の態様では、本抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体におけるPD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインは、CDR3のアミノ酸配列、又はMF5554、MF5576、MF5578、MF9375、MF9376、MF7702、MF5424、MF5561、MF5439、MF5553、MF5594、MF5426、MF5442のVHのうちの1つのCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有するVH領域を含む。ある特定の態様では、PD-L1の細胞外部分に結合する可変ドメインは、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、又は0、1、2、3、4、若しくは5個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5424(配列番号81)、MF5561(配列番号100)、MF5439(配列番号89)、MF5553(配列番号96)、MF5594(配列番号104)、MF5426(配列番号85)、MF5442(配列番号92)のVHのアミノ酸配列を有するVH領域を含む。ある特定の態様では、可変重鎖領域のアミノ酸配列は、示されるMFのVHのアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などの最大5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する。
【0107】
それは、WO2018/056821A1の実施例に示されており、MF6797(配列番号49)のCD137特異的VHの結合は、CD137アミノ酸配列のArg66、Gly70、及びPhe72を含むアミノ酸の存在と関連付けられる。
【0108】
したがって、ある特定の態様では、本開示はまた、CD137に結合することが可能である、単離された、合成された、若しくは組み換えられた抗体、又はその機能部分、誘導体、及び/又は類似体の使用又は治療方法を提供し、当該抗体、又は機能部分、誘導体、若しくは類似体のCD137への結合が、CD137アミノ酸配列(配列番号117)のArg66、Gly70、及びPhe72を含むアミノ酸の存在と関連付けられる。ある特定の態様では、当該抗体、又は機能部分、誘導体、若しくは類似体のCD137への結合は、CD137アミノ酸配列のVal71を含むアミノ酸にも関連付けられる。
【0109】
「Arg66」という用語は、CD137配列の66位にあるアルギニン残基を指す。「Gly70」という用語は、配列番号117によるCD137配列の70位にあるグリシン残基を指す。「Val71」という用語は、CD137配列の71位にあるバリン残基を指す。「Phe72」という用語は、CD137配列の72位にあるフェニルアラニン残基を指す。
【0110】
ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖を含む結合部位を含む。ある特定の態様では、結合部位の各々は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖を含む。
【0111】
ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖の、IMGTによるLCDR配列を含む結合部位を含む。ある特定の態様では、結合部位の各々は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖の、IMGTによるLCDR配列を含む。ある特定の態様では、当該置換は、アミノ酸が保存的アミノ酸に置換される保存的置換である。当業者は、本開示によるCDR配列内の1つ以上のアミノ酸を置換することが十分に可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換の例としては、1つの疎水性残基、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、又はメチオニンを別の疎水性残基への置換、及び1つの極性残基の別の極性残基への置換、例えば、アルギニンのリジンへの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸への置換、又はグルタミンのアスパラギンへの置換が挙げられる。ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体は、1若しくは2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖の、(imgt.orgのIMGTデータベースワールドワイドウェブによる)LCDR配列を含む結合部位を含む。ある特定の態様では、結合部位の各々は、1若しくは2個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号109による共通軽鎖の、IMGTによるLCDR配列を含む。
【0112】
ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体の1個、2個以上の結合ドメインの軽鎖可変領域は、アミノ酸配列QSISSYを含むLCDR1と、アミノ酸配列AASを含むLCDR2と、アミノ酸配列QQSYSTPPTを含むLCDR3と、を含む(すなわち、IMGTによるIGKV1~39のCDR)。
【0113】
ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体の1個、2個以上の結合ドメインは、配列番号109のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、ある特定の態様では少なくとも95%、ある特定の態様では少なくとも97%、ある特定の態様では少なくとも98%、ある特定の態様では少なくとも99%同一、又はある特定の態様では100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0114】
ある特定の態様では、本明細書に記載の多重特異性抗体は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、0、1、2、3、若しくは4個など、又は0、1、2、若しくは3個など、又は0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などのアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号110による共通軽鎖可変領域などの共通軽鎖可変ドメインを含む。ある特定の態様では、本明細書に記載の多重特異性抗体は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号111による共通軽鎖定常領域などの共通軽鎖定常ドメインを含む。本発明による「共通軽鎖」という用語は、同一であり得るか、又はいくつかのアミノ酸配列が異なり得るが、全長抗体の結合特異性が影響されない軽鎖を指す。例えば、保存的アミノ酸変化、重鎖と対合したときに結合特異性に寄与しないか、又は部分的にしか寄与しない領域におけるアミノ酸の変化などを導入し、かつ試験することにより、同一ではないが依然として機能的に等価である軽鎖を調製するか、又は見出すことは、例えば、本明細書で使用される共通軽鎖の定義の範囲内で可能である。「再配列された」という用語の付加を伴うか否かにかかわらず、「共通軽鎖」、「共通LC」、「cLC」、「単一軽鎖」という用語は全て、本明細書で互換的に使用される。「再配列された」という用語の付加を伴うか否かにかかわらず、「共通軽鎖可変領域」、「共通VL」、「共通LCv」、「cLCv」、「単一VL」という用語は全て、本明細書で互換的に使用される。本開示のある特定の態様では、多重特異性抗体は、機能的抗原結合ドメインを有する抗体を形成するために、異なる結合特異性の少なくとも2個、又は複数などの重鎖(可変領域)と組み合わせることができる、共通軽鎖(可変領域)を有する(WO2004/009618、WO2009/157771)。ある特定の態様では、共通軽鎖(可変領域)は、ヒト軽鎖(可変領域)である。ある特定の態様では、共通軽鎖(可変領域)は、生殖系列配列を有する。ある特定の態様では、生殖系列配列は、ヒトレパートリーで頻繁に使用され、良好な熱力学的安定性、収率、及び可溶性を有する軽鎖可変領域である。ある特定の態様では、共通軽鎖は、再配列された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01(配列番号109)である。ある特定の態様では、共通軽鎖可変領域は、再配列された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01の可変領域である。ある特定の態様では、共通軽鎖は、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0若しくは1個などのアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせなどの、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号110に提示される軽鎖可変領域を含む。ある特定の態様では、共通軽鎖は、カッパ軽鎖定常領域などの、軽鎖定常領域を更に含む。共通軽鎖をコードする核酸は、共通軽鎖タンパク質を発現するために使用される細胞系に対してコドンを最適化され得る。コード核酸は、生殖系列核酸配列から逸脱し得る。
【0115】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、全長抗体又は抗体の断片、例えば、Fab断片又は一本鎖可変断片(scFv)である。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、全長抗体である。
【0116】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、IgGである。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、Fcエフェクター機能を有しないIgG1分子である。
【0117】
Fc領域は、補体依存性細胞傷害性(CDC)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、及び抗体依存性細胞食作用(ADCP)などの抗体のエフェクター機能を媒介する。治療抗体又はFc融合タンパク質の用途に応じて、エフェクター機能を低減又は増加させることが望ましい場合がある。低減されたエフェクター機能は、本開示で好ましい。本開示のいくつかの態様におけるように、免疫応答が活性化されるか、増強されるか、又は刺激される場合、低減されたエフェクター機能が所望され得る。エフェクター機能が低下した抗体を使用して、とりわけ、免疫細胞の細胞表面分子を標的化することができる。ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体のCH2領域は、抗体のADCC及び/又はCDC活性を低減するように操作される。ある特定の態様では、多重特異性抗体のCH3領域は、重鎖のヘテロ二量体化を促進するように操作される。
【0118】
エフェクター機能が低減した抗体は、例えば、Fc受容体相互作用を低減させるか、又はC1q結合を低減させるように、好ましくは、修飾されたCH2/下部ヒンジ領域を含むIgG抗体である。ある特定の態様では、本開示の抗体は、多重特異性IgG抗体のFc-ガンマ受容体との相互作用が低減されるように、変異体CH2及び/又は下部ヒンジドメインを有するIgG抗体である。ある特定の態様では、本開示のCH2領域は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号114に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、本開示のヒンジ領域は、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号113に記載のアミノ酸配列を含む。
【0119】
ある特定の態様では、多重特異性抗体のCH3領域は、重鎖のヘテロ二量体化を促進するように操作される。ある特定の態様では、これらのバリエーションは、第1のCH3ドメイン(「KKバリアント」重鎖)における351位及び366位のアミノ酸置換、例えば、L351K及びT366K(EU番号付けによる番号付け)、並びに第2のCH3ドメイン(「DEバリアント」重鎖)における351位及び368位のアミノ酸置換、例えば、L351D及びL368E、又はその逆を有する、本質的に多重特異性全長IgG分子のみを産生するために存在する。DEバリアント重鎖(DE-DEホモ二量体)又はKKバリアント重鎖(KK-KKホモ二量体)のホモ二量体化は、同一重鎖間のCH3-CH3界面における荷電残基間の強い反発に起因してほとんど生じない。ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体は、DE/KKバリアントが変更されないことを条件として、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、又はそれらの組み合わせを有する、配列番号115及び116によるCH3ドメインを含む。
【0120】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、抗体又は他の結合分子である。
【0121】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、PD-1阻害剤である。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ペンプリマブ、レチファンリマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、及びドスタリマブから選択される。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブである。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、PD-L1阻害剤である。ある特定の態様では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから選択される。ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのアミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。
【0122】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、FDA承認によって設定された本推奨に従って投与される。
【0123】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ニボルマブであり、疾患進行又は許容できない毒性まで、2週間毎に(例えば、60分にわたって)静脈内注入として3mg/kgの量で投与される。
【0124】
代替的な態様では、ニボルマブは、2週間毎に240mg、又は4週間毎に480mg、又は3週間毎に同じ日に1mg/kg、続いて3mg/kgのイピリムマブを4回、次いで2週間毎に240mg、又は4週間毎に480mgで投与される。
【0125】
代替的な態様では、ニボルマブは、6週間毎にイピリムマブ1mg/kgとともに2週間毎に3mg/kg、又は6週間毎にイピリムマブ1mg/kgとともに3週間毎に360mg、及び2サイクルのプラチナ-ダブレット化学療法で投与される。
【0126】
代替的な態様では、ニボルマブは、6週間毎にイピリムマブ1mg/kgとともに3週間毎に360mgで投与される。
【0127】
代替的な態様では、ニボルマブは、2週間毎に240mg、又は4週間毎に480mg、又は2週間毎に3mg/kg、又は3週間毎に同じ日に3mg/kg、続いてイピリムマブ1mg/kgを4回、次いで2週間毎に240mg、又は4週間毎に480mgで投与される。
【0128】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、セミプリマブであり、疾患進行又は許容できない毒性まで、3週間毎に(例えば、30分にわたって)静脈内注入として350mgの量で投与される。
【0129】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ドスタリマブであり、3週間毎に500mgの第1の用量から第4の用量まで、続いて、その後、用量4の3週間後(用量5以降)に開始される以下の用量:6週間毎に1,000mgを、疾患進行又は許容できない毒性まで(例えば、30分にわたって)静脈内注入として投与される。
【0130】
ある特定の態様では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブであり、疾患進行又は許容できない毒性まで、3週間毎に(例えば、60分にわたって)静脈内注入として1200mgの量で投与される。最初の注入が耐容される場合、その後の全ての注入は、30分にわたって送達され得る。
【0131】
ある特定の態様では、PD-L1阻害剤は、アベルマブであり、疾患進行又は許容できない毒性まで、2週間毎に(例えば、60分にわたって)静脈内注入として10mg/kgの量で投与される。
【0132】
ある特定の態様では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブであり、疾患進行又は許容できない毒性まで、2週間毎に(例えば、60分にわたって)静脈内注入として10mg/kgの量で投与される。
【0133】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、静脈内注入として400mgの量で投与されるか、又は3週間毎に静脈内注入として2mg/kgで投与される。ある特定の態様では、投与は、400mgの均一用量であり、疾患進行又は許容できない毒性まで、6週間毎に行う。
【0134】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、静脈内注入として6週間毎に400mgの量で投与される。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で均一用量として投与される。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与される。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で均一用量として投与される。ある特定の態様では、投与は、400mgの均一用量であり、疾患進行又は許容できない毒性まで、6週間毎に行う。ある特定の態様では、投与は、200mgの均一用量であり、疾患進行又は許容できない毒性まで、3週間毎に行う。
【0135】
本明細書における「均一用量」という用語は、対象が、対象の体重とは無関係に、複数回の投与にわたって一定量の治療物質とともに投与される投与レジメンを指す。均一投与は、典型的には、qnwで省略され、式中、nは、間隔を示す整数であり、wは、週である。例えば、400mg抗体のq6w均一用量投与レジメンは、400mgの一定量の抗体が各6週間投与されることを意味する。ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、400mgのq6w投与レジメンで投与される。ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、200mgのq3w投与レジメンで投与される。
【0136】
均一用量は前投薬され得、これは、本開示の抗体を投与する前に薬物が対象に投与されることを意味する。ある特定の態様では、ペムブロリズマブ又は本開示の多重特異性抗体の均一用量は、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬、及び/又は抗炎症薬が前投薬される。
【0137】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、全長抗体又は抗体の断片、例えば、Fab断片又は一本鎖可変断片(scFv)である。ある特定の態様では、本開示の使用によるPD-1若しくはPD-L1阻害剤又は方法は、全長抗体である。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから選択される抗体、又はそれらの機能的断片若しくはバリアントであるか、又はそれらを含む。
【0138】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ、特にペムブロリズマブの抗原結合部位のアミノ酸配列であるか、又は実質的な配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなる。
【0139】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ、特にペムブロリズマブのCDRと同一であるか又は実質的に同一である少なくとも1個、少なくとも2個など、更には3個などのCDRであるか、又はそれらを含む。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブに見出されるCDRと同一である、少なくとも1個、少なくとも2個など、更には3個などのCDRを含む。
【0140】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR1と同一であるCDR1、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR2と同一であるCDR2、又はニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR3と同一であるCDR3、ある特定の態様では、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリズマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR1及びCDR2と同一であるCDR1及びCDR2、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR1及びCDR3と同一であるCDR1及びCDR3、又はニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つからのCDR2及びCDR3と同一であるCDR2及びCDR3、更にはニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのCDR1、CDR2、及びCDR3と同一であるCDR1、CDR2、及びCDR3などであるか、又はそれらを含む。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブからのCDR1、CDR2、及びCDR3と同一であるCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。
【0141】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、10~150mg又は25~100mgなど、25~75mgなどの10~300mgの用量で投与される。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、25、30、35、40、45、又は50mgの用量で投与される。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、25、30、35、40、45、又は50mgの均一用量で投与される。
【0142】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、約7日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、又は18日、又は21日毎に、特に約10日、14日、又は18日毎に、より具体的には約14日毎に投与される。
【0143】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、USFDAによって承認されたその承認された投与量及びスケジュールに従った用量で投与される。ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、350~450mgなど、375~425mgなどの約300~500mgの量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、325、350、375、400、425、450、又は475mgの用量で投与される。
【0144】
いくつかの態様では、多重特異性抗体は、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、125mg、又は150mgの用量で投与される。
【0145】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、均一用量で投与される。
【0146】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、75~150mgなど、25~125mg又は100~150mgなどの50~150mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、50~150mg、又は75~150mg、又は75~125mg、又は100~150mgの用量又は均一用量で投与される。
【0147】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、75~125mgの用量又は均一用量で投与される。
【0148】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、75~125mgなどの50~150mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、50~100mg、又は75~100mg、又は75~125mgの用量又は均一用量で投与される。
【0149】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、25~75mgの用量又は均一用量で投与される。
【0150】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、25~50mgなどの10~50mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、25~50mgなどの10~50mgの用量又は均一用量で投与される。
【0151】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、毎週1回、2週間毎に1回、又は3週間毎に1回投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、毎週1回投与される場合、多重特異性抗体は、15~75mgなどの10~100mgの用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、毎週1回投与される場合、多重特異性抗体は、15~50mg、又は15~40mg、又は15~30mg、又は15~25mgなどの10~100mg、又は15~75mgの用量で投与される。
【0152】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回、均一用量で投与される。
【0153】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回、25、30、35、40、45、又は50mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回、25mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回、40mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、2週間毎に1回、50mgの用量又は均一用量で投与される。
【0154】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回10mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回15mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回25mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回40mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。
【0155】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回10mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回15mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回25mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、2週間毎に1回40mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。
【0156】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回10mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回15mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回25mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、3週間毎に静脈内注入として200mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回40mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。
【0157】
ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回10mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回15mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回25mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。ある特定の態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、6週間毎に静脈内注入として400mgの量で投与され、治療は、3週間毎に1回40mgの量で本開示の多重特異性抗体を投与することを更に含む。
【0158】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、静脈内投与される。
【0159】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、1~3時間など、又は2時間などの30分~4時間の期間にわたって投与される。
【0160】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、1~3時間など、又は2時間などの30分~4時間の期間にわたって投与される。
【0161】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって均一用量として静脈内投与される。
【0162】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって10mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって15mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって25mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって30mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって40mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって50mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって60mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって70mgの(均一)用量として静脈内投与される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、28日サイクルで、14日毎に2時間の期間にわたって75mgの(均一)用量として静脈内投与される。
【0163】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、20mg/mL又は20mg/mL付近などの1mg/mL~100mg/mLの濃度の液体として製剤化される。ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、1mg/mL~100mg/mL、又は20mg/mL若しくは20mg/mL付近の濃度の液体として製剤化される。
【0164】
ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、100~500mg、又は100~300mg、又は300~500mg、又は150~250mg、又は350~450mg、又は175~225mg、又は375~425mgの用量又は均一用量で投与される。
【0165】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、約150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、若しくは475mg、又は約175mg、200mg、225mg、375mg、400mg、若しくは425mgの用量又は均一用量で投与される。
【0166】
ある特定の態様では、ペムブロリズマブなどのPD-1又はPD-L1阻害剤は、3週間毎に1回投与される。ある特定の態様では、ペムブロリズマブなどのPD-1又はPD-L1阻害剤は、6週間毎に1回投与される。
【0167】
ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、3週間毎に1回100~300mg、又は150~250mg、又は175~225mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、ペムブロリズマブは、6週間毎に1回300~500mg、又は350~450mg、又は375~425mgの用量又は均一用量で投与される。
【0168】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約150mg、175mg、200mg、225mg、250mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約350mg、375mg、400mg、425mg、又は450mgの用量又は均一用量で投与される。
【0169】
ある特定の態様では、PD阻害剤は、多重特異性抗体の最初の投与の約21日後に最初に投与される。ある特定の態様では、PD阻害剤は、多重特異性抗体の最初の投与の約42日後に最初に投与される。
【0170】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約150mg、175mg、200mg、225mg、250mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約350mg、375mg、400mg、425mg、又は450mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約400mgの用量又は均一用量で投与される。
【0171】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、IV、特にIV注入を介して投与される。かかる注入は、例えば、15、30、又は45分にわたって投与され得る。
【0172】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、IV注入を介して21日毎に約150mg、175mg、200mg、225mg、250mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、IV注入を介して42日毎に約350mg、375mg、400mg、425mg、又は450mgの用量又は均一用量で投与される。
【0173】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に10mg、25mg、30mg、40mg、又は50mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約150mg、175mg、200mg、225mg、250mgの用量又は均一用量で投与される。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に10mg、25mg、30mg、40mg、又は50mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約350mg、375mg、400mg、425mg、又は450mgの用量又は均一用量で投与される。
【0174】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に10mg、15mg、25mg、又は40mgの均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの均一用量で投与される。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に10mg、15mg、25mg、又は40mgの均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約400mgの均一用量として投与される。
【0175】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、21日毎に10mg、15mg、25mg、又は40mgの均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの均一用量で投与される。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、21日毎に10mg、15mg、25mg、又は40mgの均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、42日毎に約400mgの均一用量として投与される。
【0176】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に40mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0177】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、21日毎に40mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0178】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に25mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0179】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に30mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0180】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に40mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0181】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、14日毎に50mgの用量又は均一用量として投与され、PD-1又はPD-L1阻害剤は、ペムブロリズマブであり、21日毎に約200mgの用量若しくは均一用量で、又は42日毎に約400mgの用量若しくは均一用量で投与される。
【0182】
ある特定の態様では、PD-1又はPD-L1阻害剤は、1mg/mL~100mg/mL、又は25mg/mL若しくは25mg/mL付近の濃度の液体として製剤化される。
【0183】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、麻薬、静脈内流体、解熱剤、気管支拡張薬、酸素、コルチコステロイド(IV/経口)、血管収縮剤、又はこれらの任意の組み合わせの前、それと同時に、又はその後などに投与され、注入関連反応を低減するために投与される。注入関連反応が発生した場合には、示された物質を用いた前投薬を対象について選択して、その発生率及び重症度を予防及び緩和してもよい。
【0184】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、対象が、進行性転移性疾患のための、化学療法、免疫療法、又は標的療法などの標準的なケア療法で前治療された後に投与される。
【0185】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、抗PD-L1抗体又はT細胞アゴニストなどの抗PD-L1剤で治療されていない対象に投与される。
【0186】
ある特定の態様では、がんは、進行性又は転移性固形腫瘍である。特に、がんは、肺がん、特に局所進行性若しくは転移性NSCLC、又は黒色腫、特に免疫チェックポイント療法で以前治療されたことがあり、かつ/又はPD-L1に対して陽性であるがんなどから選択され得る。ある特定の態様では、当該がんは、1%以上のPD-L1発現を有する進行性又は転移性固形腫瘍である。ある特定の態様では、当該がん若しくは当該がんを含む対象は、抗PD-1/PD-L1の承認療法免疫療法を以前受けており、かつ1%以上のPD-L1発現を有するがんを有するか、又は当該がん若しくは対象は、治療ナイーブであり、かつ1%以上のPD-L1発現を有するがんを有するかのいずれかである。
【0187】
ある特定の態様では、がんは、局所進行性又は転移性肺がん、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択されるなどの、進行性又は転移性固形腫瘍である。ある特定の態様では、当該黒色腫は、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫から選択される。ある特定の態様では、がんは、メルケル細胞がんである。本明細書で皮膚の神経内分泌がん又は索状がんとも称されるメルケル細胞がんは、メルケル細胞が制御不能に成長し、がん又は腫瘍を形成する場合に形成される、非常にまれなタイプの皮膚がんである。
【0188】
PD-L1発現は、当業者である臨床医によって決定され、その全体が本明細書に組み込まれる、de Ruiter et al.(2021)の例示的な方法を参照されたい。これらの方法のいずれか1つによって決定される高発現は、本開示の目的のために高発現を構成する。腫瘍割合スコア(tumor proportion score、TPS)によって評価する場合、1%以上のTPSスコアは、PD-L1陽性がんである。複合陽性スコア(combined positive score、CPS)によって評価する場合、1%以上のスコアは、PD-L1陽性がんである。がんは、腫瘍割合スコア(TPS)を使用して決定した場合、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、又は50%以上のPD-L1発現スコアを有する場合、PD-L1が高い。がんは、複合陽性スコア(CPS)を使用して決定した場合、5%以上、15%以上、又は20%以上のPD-L1発現スコアを有する場合、PD-L1が高い。複数のかかる方法によって評価される場合、いずれか1つ以上の方法がPD-L1陽性として腫瘍を同定する場合、本開示の基準を満たす。
【0189】
ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による前治療を受けていない。ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による前治療を受けておらず、対象のがんは、PD-L1発現に対して陽性である。ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による前治療を受けておらず、黒色腫、特に局所進行性又は転移性黒色腫の治療を受けている。ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による前治療を受けておらず、肺がん、特に非小細胞肺がん(NSCLC)の治療を受けている。
【0190】
NSCLCは、非扁平上皮又は扁平上皮であり得る。いくつかの態様では、対象は、BRAF、ALK、EGFR、及び/又はROS1の状態に基づく治療を受けたことがある場合がある。ある特定の態様では、対象は、かかる治療が進行しているか、又は耐容性がない場合がある。ある特定の態様では、NSCLCは、切除不可能である。
【0191】
ある特定の態様では、黒色腫は、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫である。黒色腫は、標準的な組織学的又は細胞学的プロセスによって確認することができる。ある特定の態様では、黒色腫は、眼黒色腫又はブドウ膜黒色腫ではない。ある特定の態様では、黒色腫は、(American Joint Staging Committeeなどの標準的な病期分類システムに従って)ステージIII又はステージIVの黒色腫である。これは、切除不能であり得、かつ/又は局所療法が無効であり得る。
【0192】
ある特定の態様では、黒色腫は、BRAF陽性であり得る。これらの態様では、対象は、BRAF±MEF標的療法を受けたことがある場合があり、特に進行を示した場合がある。
【0193】
ある特定の態様では、対象は、進行性又は再発性/転移性疾患に対する標準的な療法、特に全身療法を以前受けているか、又はかかる療法に対して不耐性であり得る。標準的な療法としては、例えば、化学療法、免疫療法、及び標的レジメンが挙げられ得る。対象は、例えば、1、2、3、4、又は5個のレジメンを受けていてもよいが、特に4個以下のレジメンを受けていてもよい。
【0194】
ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント療法、特にPD-L1/PD-1療法を以前受けている。いくつかのかかる態様では、対象は、進行性又は転移性がんに対する1つ以下のPD-1療法を以前受けている。いくつかのかかる態様では、対象は、以前の療法後に再発した場合があり、例えば、対象の疾患は進行しているか、又は最良で少なくとも6か月の治療後に安定したままである。ある特定の態様では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による前治療を受けていない。
【0195】
いくつかの態様では、対象は、併用療法を開始する前に、1、2、3、4、5、又は6か月間、特に1又は2か月間、多重特異性抗体による単剤療法を受けていてもよい。
【0196】
ある特定の態様では、対象は、成人である。ある特定の態様では、対象は、哺乳動物、特にヒトである。
【0197】
ある特定の態様では、対象は、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性白血病/リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、CNS転移/リンパ腫、がん性髄膜炎、自己免疫疾患、活動性HBV、活動性HCV、HIVから選択される1つ以上の状態を有しない。ある特定の態様では、対象は、4-1BBアゴニスト、CAR T細胞療法、又は固体臓器若しくは同種幹細胞移植を含有する前治療を受けていない。ある特定の態様では、対象は、特発性肺線維症、間質性肺疾患、器質化肺炎)、薬物誘導性肺炎、若しくは特発性肺炎、又は間質性肺炎の病歴を有しない。
【0198】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、特に、乳がん、より具体的には、ヒトMDA-MB-231腫瘍を担持する免疫不全マウスにおいて、CD8T細胞の数を増加させる。
【0199】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、同じ研究などにおいて、特に乳がん、より具体的には、ヒトMDA-MB-231腫瘍を担持する免疫不全マウスにおいて決定して、ウレルマブ及びアテゾリズマブの組み合わせよりも毒性が顕著に低い。
【0200】
ある特定の態様では、本開示の使用による多重特異性抗体又は方法は、移植片対宿主疾患を誘導しない。
【0201】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原上のエピトープに結合する1つ以上のドメインを含有する、タンパク質の免疫グロブリンクラスに属するなどのタンパク質性分子を意味し、かかるドメインは、抗体の可変ドメインを有する配列相同性に由来するか、又はその配列相同性を共有する。治療的使用のための抗体は、好ましくは、可能な限り治療される対象の天然抗体に近い(例えば、ヒト対象のためのヒト抗体)。抗体結合は、特異性及び親和性に関して表され得る。特異性は、どの抗原又はそのエピトープが結合ドメインによって特異的に結合されるかを決定する。親和性は、特定の抗原又はエピトープへの結合の強度の尺度である。本開示の多重特異性抗体などの抗体は、典型的には、例えば、ADCC及び/又はCDC活性を低減するために、本明細書の他の箇所に記載されるように操作され得る天然抗体の定常ドメイン(Fc部分)を含む。
【0202】
「多重特異性抗体」とは、異なる抗原又はエピトープ特異性を有する少なくとも2つの結合部位を含む抗体を指す。ある特定の態様では、抗原結合部位のうちの1つ以上は、免疫グロブリンVH/VL対を含む。ある特定の態様では、抗原結合部位の各々は、免疫グロブリンVH/VL対を含む。
【0203】
ある特定の態様では、本開示による多重特異性抗体は、2つ以下の抗原結合部位を有する。このことは、かかる多重特異性抗体の抗原結合部分が、追加の抗原結合部位の存在なしに、2つの抗原結合部位からなることを意味する。ある特定の態様では、2個の抗原結合部位の各々は、免疫グロブリンVH/VL対を含有する。
【0204】
ある特定の態様では、各VH/VL対におけるVLは、同様である。ある特定の態様では、各VH/VL対におけるVLは、同一である。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、CD137の細胞外部分に結合する1つの重/軽(H/L)鎖の組み合わせ、及びB7ファミリーのメンバーの細胞外部分に結合する1つのH/L鎖の組み合わせを有する全長抗体である。ある特定の態様では、当該第1のH/L鎖の組み合わせにおける軽鎖は、当該第2のH/L鎖の組み合わせにおける軽鎖と同様である。ある特定の態様では、第1及び第2のH/L鎖の組み合わせにおける軽鎖は、同一である。
【0205】
ある特定の態様では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。
【0206】
「二重特異性抗体」という用語は、抗体の一部が抗原上の1つのエピトープに結合する一方で、第2の部分が同じ抗原上の異なるエピトープ、又は異なる抗原のいずれかに結合することを意味する。異なるエピトープは、典型的には、異なる抗原上に存在する。しかしながら、異なるエピトープはまた、同じ抗原上に存在し得る。二重特異性抗体によって認識される2つの抗原の発現レベル、(亜)細胞局在化、及び化学量論に依存して、抗体の両方のFabアームは、それらのエピトープに同時に結合してもよく、又は同時に結合しなくてもよい。二重特異性抗体の一方のアームは、典型的には、一方の抗体の可変ドメインを含有し、他方のアームは、別の抗体の可変ドメインを含有する(すなわち、二重特異性抗体の一方のアームは、一方の軽鎖と対になった一方の重鎖によって形成され、他方のアームは、軽鎖と対になった異なる重鎖によって形成される)。ある特定の態様では、本開示の二重特異性抗体の重鎖可変領域は、互いに異なるが、軽鎖可変領域は、本開示の二重特異性抗体において同じである。異なる重鎖可変領域が同じ又は共通の軽鎖可変領域に関連付けられている二重特異性抗体は、共通の軽鎖可変領域(cLcv)を有する二重特異性抗体とも称される。ある特定の態様では、軽鎖定常領域も、同じである。かかる二重特異性抗体は、共通軽鎖(cLc)を有するものと称される。
【0207】
ある特定の好ましい実施形態は、本開示による二価結合分子/抗体/バリアントの半減期が、多価化合物と比較して典型的に長いという利点を提供する、IgGフォーマットを有する免疫グロブリンである。更に、本開示による二価結合分子の免疫原性は、典型的には、多価化合物と比較して低い。これらの態様による分子/抗体/バリアントは、好ましくは、天然IgGの構造を維持し、したがって、天然IgGのその構造に関連付けられる全ての利益を維持する。
【0208】
本明細書に記載の抗体又は多重特異性抗体の「バリアント」は、抗体又は多重特異性抗体の機能部分、誘導体、及び/又は類似体を含む。バリアントは、抗体の断片、例えば、Fab断片であり得る。バリアントは、一本鎖可変断片(scFv)であり得る。バリアントは、抗体の結合特異性を維持する。機能部分、誘導体、及び/又は類似体は、抗体の結合特異性を維持する。結合特異性は、本明細書に記載されるように、第1の膜タンパク質及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する能力によって定義される。バリアントは、所与のアミノ酸配列(例えば、本開示の配列番号)に対して、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有してもよく、所与の配列番号のアミノ酸配列に対して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個など、0、1、2、3、4、若しくは5個など、0、1、2、3、若しくは4個など、0、1、2、若しくは3個など、0、1、若しくは2個など、又は0又は1個などの最大15個のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを有してもよい。
【0209】
本明細書で使用される場合、「抗原結合部位」という用語は、抗原のエピトープに特異的に結合する結合分子又は抗体の部位を意味する。かかる抗原結合部位は、好ましくは、抗体の可変ドメイン、特に、そのCDR領域に由来するか、又はそれらと配列相同性を共有する。いくつかの好ましい態様では、当該抗原結合部位は、免疫グロブリンVH/VL対によって形成される免疫グロブリン可変ドメインである。他の態様では、当該抗原結合部位は、例えば、本明細書で先に記載されるアフィボディ分子、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アンチカリン、アビマー、DARPin、フィノマー、クニッツドメインペプチド、又はモノボディなどの抗体模倣物に由来する。
【0210】
本開示による「全長」という用語は、例えば、追加の抗原結合部位若しくは追加の活性化部位、又は追加のリガンド若しくは追加のリガンド結合部位などの、20個を超えるアミノ酸残基のサイズを有する1つ以上の人工的に添加された部分を含まない、本質的に完全な抗体を含むと定義される。しかしながら、全長抗体は必ずしもインタクトな抗体の全ての機能を有するわけではない。誤解を避けるために、全長抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含有する。各鎖は、定常(C)及び可変(V)領域を含有し、これらは、重鎖についてはCH1、CH2、CH3、VH、及び軽鎖についてはCL、VLと指定されたドメインに分類され得る。重鎖のドメインは、好ましくは、天然抗体の順序で存在する(VHCH1-CH2-CH3;VHドメインが、CH1ドメイン、続いてCH2ドメイン、及びその後に続いてCH3ドメインに隣接していることを意味する)。軽鎖のドメインはまた、好ましくは、天然抗体の順序で存在する(VL-CL;VLドメインがCLドメインに隣接していることを意味する)。抗体は、Fab断片部分に含まれる可変ドメインを介して抗原に結合する。抗体は、定常ドメインを介して、主にFc部分を介して、免疫系の分子及び細胞と相互作用することができる。
【0211】
ある特定の態様では、全長IgG抗体は、その典型的な好ましい半減期のため、かつ免疫原性の理由により完全に自己の(ヒト)分子の近くに留まることを望むことを理由として、好ましい。ある特定の態様では、本開示の多重特異性抗体は、全長IgG1、全長IgG2、全長IgG3、又は全長IgG4抗体である。
【0212】
全長抗体は、所望の特徴を提供するか、又は元の鎖内のものに対する単なる代替物であり得る変異が存在し得る抗体を包含する。かかる変異は、典型的には、いずれの領域の実質的な部分の欠失ではない。しかしながら、結果として得られた抗体の抗原結合特性を本質的に変化させることなく、1つ又はいくつかのアミノ酸残基が挿入、欠失、置換されるか、又はそれらの組み合わせを有する抗体は、「全長抗体」という用語に包含される。例えば、IgG抗体は、定常領域内で1~20個のアミノ酸残基挿入、置換、欠失、又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0213】
本明細書では、別途記載されない限り、抗体又は抗体断片の重鎖可変領域内のCDR及びフレームワークに割り当てられたアミノ酸位置がKabat番号付けに従って指定されていることに留意されたい(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991)を参照されたい)。定常領域内のアミノ酸は、EU番号付けシステムにより示される。
【0214】
ある特定の態様では、本明細書の核酸配列又はアミノ酸配列に関する「同一性パーセント(%)」は、最適比較目的のために配列をアライメントさせた後の、選択された配列内の残基と同一の候補配列内の残基のパーセンテージとして定義される。これらの2つの配列間のアラインメントを最適化するために、比較されるこれらの2つの配列のうちのいずれかにギャップが導入され得る。かかるアラインメントは、比較される配列の全長にわたって行うことができる。代替的に、アラインメントは、より短い長さ、例えば、約20、約50、約100以上の核酸/塩基又はアミノ酸にわたって行われ得る。アラインメントはまた、個々のCDR配列にわたって行われ得る。配列同一性は、報告されたアライメントされた領域にわたるこれらの2つの配列間の完全な一致のパーセンテージである。
【0215】
ある特定の態様では、配列の比較及び2個の配列間の配列同一性のパーセンテージの決定は、数学アルゴリズムを使用して達成される。当業者であれば、2つの配列をアライメントし、2つの配列間の同一性を決定するためのいくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であるという事実を認識するであろう(Kruskal,J.B.(1983)An overview of sequence comparison In D.Sankoff and J.B.Kruskal,(ed.),Time warps,string edits and macromolecules:the theory and practice of sequence comparison,pp.1-44 Addison Wesley)。2つのアミノ酸配列又は核酸配列間の配列同一性パーセントは、2つの配列のアラインメントのためのNeedleman及びWunschアルゴリズムを使用して決定され得る。(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443-453)。Needleman-Wunschアルゴリズムは、コンピュータプログラムNEEDLEに実装されている。ある特定の態様では、EMBOSSパッケージからのNEEDLEプログラムを使用して、アミノ酸及び核酸配列の同一性パーセントを決定する(バージョン2.8.0、EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite(2000)Rice,P.LongdenJ.and Bleasby,A.Trends in Genetics 16,(6)pp276- 277,http://emboss.bioinformatics.nl/)。ある特定の態様では、タンパク質配列については、EBLOSUM62が置換マトリックスに使用される。ある特定の態様では、DNAFULLが、DNA配列に使用される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ及び0.5のギャップ伸長ペナルティである。
【0216】
上述のようにプログラムNEEDLEによるアラインメントの後、クエリ配列と本開示の配列との間の配列同一性のパーセンテージは、以下のように計算される:アラインメントにおける対応する位置の数は、両方の配列内の同一のアミノ酸又は同一のヌクレオチドを、アラインメントにおけるギャップの総数の減算後のアラインメントの総長で除したものを示す。
【0217】
ある特定の態様では、治療の開始時に、以下の包含要因IF1~IF20のうちの少なくとも1つ、2つ以上、又は全てが、治療の対象に該当する。治療の開始とは、本開示の多重特異性抗体の最初の投与を意味する。ある特定の態様では、対象は、IF1~IFの全てを含むか、又は準拠する:
IF1.12週間以上の平均余命を有すること。
IF2.0又は1のECOGパフォーマンスステータスを有すること。
IF3.PD-L1/PD-1に対して再発し、腫瘍及び/又は腫瘍関連免疫細胞上でのPD-L1発現が陽性(1%以上)(最新の以前の療法ラインの完了後の局所試験に基づく)の局所進行性腫瘍を有すること
IF4.RECISTv1.1又はルガノ基準に従って測定可能な疾患を有すること。
IF5.腫瘍タイプに該当する進行性又は再発性/転移性疾患に対して標準的な療法を以前受け、治療に不耐性であるか、又は標準治療を拒否している。
IF6.メディカルモニターによって承認されない限り、進行性又は再発性/転移性疾患に対する最大4回の全身治療レジメン(化学療法、免疫療法、及び標的療法レジメンを含む)を以前受けていること。
IF7.化学療法、標的療法、又は他の免疫療法との組み合わせで抗PD-1療法が許容されることを条件として、進行性/転移性の設定で、免疫療法レジメンを含有する抗PD-1療法を最大1回以前受けていること。
腫瘍特異的基準
IF8.組織学的又は細胞学的に確認された皮膚黒色腫、末端黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫を有する、組織学的又は細胞学的に確認された黒色腫を有する対象。
IF9.局所療法が無効である、American Joint Committee on Cancer病期分類システムに従って切除不能なステージIII又はステージIV黒色腫。
IF10.以前試験されていない場合、スクリーニング期間中のV600活性化BRAF変異状態を有すること、又はBRAF試験への同意。
IF11.BRAF変異陽性の場合、BRAF±MEK標的療法を受けており、進行が文書化されている必要がある。
IF12.PD-L1/PD-1療法に対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
IF13.PD-L1/PD-1療法に対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
IF14.PD-L1/PD-1療法にナイーブ
IF15.以下の基準のうちの1つを満たすことによって定義される抗PD-1療法の進行が文書化されている対象:
IF15a.一次難治性:進行性又は転移性の設定で少なくとも12週間、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)の治療を以前受けており、治療に対する最良の反応としてPDを有すること。
IF15b.二次抵抗性:進行性又は転移性の設定で、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前受けており、CR、PR、又はSDを達成したが、後に抗PD-1療法を受けている間にPDが確認されたこと(PDは少なくとも4週間[28日以上]後に確認された)。
IF16.組織学的又は細胞学的に確認されたNSCLC(非扁平上皮又は扁平上皮のいずれか)の診断を有する、組織学的又は細胞学的に確認されたNSCLCを有する対象。
IF16a.腫瘍が非扁平上皮組織型のみの場合、EGFR、ALK、BRAF、及びROS1の変異又は遺伝子再配列の試験結果の文書化、一方、変異又は遺伝子配列が存在する場合、対象は標的療法が進行しているか、又は耐容性がない。
IF17.局所療法が無効である、AJCC病期分類システムに従って切除不能な進行性又は転移性NSCLC。
IF18.PD-L1/PD-1療法に対して再発している対象(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
IF19.PD-L1/PD-1療法に対して再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)、又はPD-L1/PD-1療法ナイーブであるかのいずれかの対象。
IF20.以下の基準のうちの1つを満たすことによって定義される抗PD-1療法の進行が文書化されている対象:
IF20a.一次難治性の場合、進行性又は転移性の設定で、最低12週間、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前受けており、治療に対する最良の反応としてPDを有する対象。
IF20b.二次抵抗性の場合、進行性又は転移性の設定で、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前受けており、CR、PR、又はSDを達成したが、後に抗PD-1療法を受けている間にPDが確認された(PDは少なくとも4週間[28日以上]後に確認された)対象。
【0218】
ある特定の態様では、治療の対象は、IF1~IF20からなる群から選択される任意の1つ以上の要因に準拠する。
【0219】
ある特定の態様では、治療の開始時に、以下の除外要因EF1-EF23のうちの少なくとも1つ、2つ以上、又は全てが、治療の対象に該当する:
EF1.本開示の多重特異性抗体の第1の用量の投与前に、以下の間隔内で抗がん剤又は治験薬での治療を受けたこと:
EF1a:対象が、治療の結果として放射線肺臓炎を有さず、1週間のウォッシュアウト期間が、非CNS疾患への緩和放射線が許容される場合、化学療法(マイトマイシンC及びニトロソウレアの場合は6週間)、標的小分子療法、又は放射線療法の場合は少なくとも14日。
EF1b:抗がん療法に使用された以前の抗体については、少なくとも14日又は28日、
EF1c:長い半減期(例えば、5日超)を有する他の薬剤では、本開示の多重特異性抗体の投与は、第5半減期がメディカルモニターの承認を必要とする前である、
EF1d:放射線免疫療法の場合、少なくとも10週間、又は
EF1e:過去6か月以内に同種SCTを受けていないか、若しくは過去3か月以内に自己SCTを受けていない対象。
EF2:脱毛症及び安定したニューロパシー(グレード2以下)が見込まれることを条件として、本開示の多重特異性抗体の最初の投与前に、以前の療法(以前の免疫療法を含む)の毒性作用及び/又は以前の外科的介入からの合併症から、グレード1以下又はベースラインまで回復していない対象。
EF3.ベースラインのトランスアミナーゼ及びビリルビンが正常な限界外であることを条件として、以前の抗PD-1療法(±抗CTLA-4療法)からグレード1以上の肝臓毒性を有する対象。
EF4.以下のグレード3以上の有害事象が許容されることを条件として、抗PD-1療法による、グレード3以上の免疫媒介性有害事象を以前有する対象:局所療法で解決したグレード3の発疹;免疫媒介性副腎不全、1型糖尿病、又は医学的に安定しており、安定した用量の補充療法で適切に管理されている以前の免疫療法に起因する他の内分泌異常;及び治療の中断を必要としない無症候性アミラーゼ又はリパーゼ上昇。
EF5.任意のグレードの免疫媒介性の眼の有害事象の病歴を有すること。
EF6.以下の表に定義されたスクリーニング時の検査値を有する対象。
【表1】
EF7.不整脈を有する対象が、抗不整脈薬を服用しており、ECGスクリーニングで洞調律にあることを条件として、50%未満の左心室駆出率の既知の病歴、サイクル1日目の6か月以内の不安定狭心症、急性心筋梗塞、ニューヨーク心臓協会クラスIII若しくはIVのうっ血性心不全、又は療法を必要とする不整脈を含む、臨床的に著しい心疾患を有する対象。
EF7.治験責任医師の意見では、臨床的に有意義なECGの病歴又は存在を有する対象。
EF8.(製品ラベル又はコンセンサスガイドラインに従って)治療の恒久的な中止が推奨される以前のチェックポイント阻害剤療法中の免疫関連毒性、又は管理するために集中的若しくは長期の免疫抑制を必要とする任意の免疫関連毒性(補充ホルモンで十分に制御される内分泌障害を除く)を有する対象。
EF9.特発性肺線維症、間質性肺疾患、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬物誘導性肺炎若しくは特発性肺炎の病歴、又はスクリーニング胸部CTスキャンでの間質性肺炎の証拠を有する対象。
EF10.放射線野で放射線肺臓炎(線維症)の病歴を有することが許容されることを条件として、制御されていない喘息又は慢性閉塞性肺疾患の病歴を有する対象。
EF11.以前治療された脳転移を有する対象が、EF11aである場合、許容されることを条件として、既知の活動性CNS転移/リンパ腫及び/又はがん性髄膜炎を有する対象:放射線学的に安定している(すなわち、本開示の多重特異性抗体の最初の投与の前に、反復画像撮影によって少なくとも28日間進行の証拠が存在しない、EF11b:本開示の多重特異性抗体の最初の投与の前に、少なくとも14日間、ステロイド治療を必要としない、又はEF11c:がん性髄膜炎が、臨床的安定性にかかわらず除外されることを条件として、任意の神経学的徴候又は症状がベースラインに戻った状態で、臨床的に安定していること。
EF12:脳浮腫の証拠を有する対象、又はCNSに対する放射線療法から28日未満の対象。
EF13:白斑、解決した小児喘息/アトピー、ホルモン補充で安定した甲状腺機能低下症、制御された喘息、I型糖尿病、グレイブス病、又は橋本病、又はメディカルモニターの承認を得た対象が、他の全ての適格基準を満たす場合に許容されることを条件として、過去2年間に全身治療を必要とした活動性若しくは非活動性の自己免疫疾患若しくは症候群(例えば、関節リウマチ、中等度又は重度の乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患)を有する対象、又は自己免疫又は炎症性疾患の(すなわち、疾患改変剤、コルチコステロイド、又は免疫抑制薬の使用を伴う)全身療法を受けている対象。
EF14:画像撮影処理のための吸入又は局所コルチコステロイド若しくは全身コルチコステロイドの使用が許容され、かつ生理学的コルチコステロイド補充療法の使用が、メディカルモニターとの協議後に承認され得ることを条件として、本開示の多重特異性抗体の第1の用量の投与前7日以内に全身コルチコステロイド(10mg/日以上のプレドニゾン又は等価物)を使用している対象。
EF15.生ワクチン、限定されないが、麻疹、おたふく風邪、風疹、水痘、黄熱病、狂犬病、BCG、及び腸チフスワクチンを含む、本開示の多重特異性抗体又はペムブロリズマブの第1の用量の投与前の30日以内の生ワクチンの投与。
EF16.COVID-19生ワクチンが利用可能な場合、投与前にメディカルモニターに相談する必要がある。
EF17.弱毒化生ワクチンである鼻腔内インフルエンザワクチンが見込まれないことを条件として、注射用の季節性インフルエンザワクチンは、概して、不活化ウイルスワクチンであり、見込まれる。
EF18.全身療法を必要とする活動性感染を有すること。
EF19.固形臓器又は同種幹細胞移植の病歴を有すること。
EF20.HBV感染を以前クリアした(B型肝炎表面抗原陰性、B型肝炎表面抗体陽性、B型肝炎コア抗体陽性と定義される)対象、並びにHBVに対してワクチン接種を受けており、かつ以前の曝露のみを証拠としてB型肝炎表面抗原に対して抗体陽性を有するHBV感染の病歴を以前有しない対象、並びにHCV RNAレベルが検出不能であり、許容される場合、ウイルスを根絶することを意図したC型肝炎の治療を受け、かつ完了したC型肝炎抗体陽性の対象が、参加することができることを条件として、治療を必要とする活動性HBV又はHCV感染を有するが、B型肝炎ウイルスDNA及びHCV RNAは検出不能である必要があること。
EF21.既知のHIVの病歴(HIV1/2抗体)を有すること。
EF22.本開示の多重特異性抗体の任意の構成要素、ペムブロリズマブ、又は製剤構成要素に対して既知の過敏症又は重度の反応を有すること。
EF23.スクリーニング来院から開始して本開示の多重特異性抗体の最後の投与の90日後まで、妊娠若しくは授乳するか、又は研究の計画された期間内に受胎若しくは父となることを期待していること。
【0220】
ある特定の態様では、治療の対象は、EF1~EF23からなる群から選択される任意の1つ以上の要因に準拠する。ある特定の態様では、治療の対象は、要因EF1~EF23の全てに準拠する。
【0221】
条項
本開示のある特定の態様は、以下の条項で定義されるとおりである。
1.がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体であって、治療が、PD-L1又はPD-1阻害剤を投与することを更に含む、多重特異性抗体。
2.がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤と、をがんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
3.多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される、請求項1に記載の使用のための多重特異性抗体、又は請求項2に記載の方法。
4.がんが、局所進行性又は転移性肺がん、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択されるなどの進行性又は転移性固形腫瘍である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
5.がんが、NSCLCである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
6.黒色腫が、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫から選択される、請求項4に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
7.がんが、PD-1/PD-L1療法に対して再発し、かつ/又はPD-L1発現に対して陽性である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
8.PD-1又はPD-LI阻害剤が、抗体、又はそのバリアント若しくは機能的断片である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
9.PD-1又はPD-LI阻害剤が、PD-1阻害剤である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
10.PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ペンプリマブ、レチファンリマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、及びドスタリマブから選択される、条項9に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
11.PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、条項10に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
12.PD-1又はPD-LI阻害剤が、PD-L1阻害剤である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
13.PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから選択される、条項12に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
14.多重特異性抗体が、10~600mg、15~600mg、25~600mg、10~300mg、15~300mg、若しくは25~300mgなど、10~150mg、10~100mg、10~75mg、15~150mg、15~100mg、15~75mg、25~150mg、25~100mg、若しくは25~75mgなど、又は10~50mg、15~50mg、25~50mg、若しくは50~100mgなどの10mg~1200mg、15~1200mg、又は25~1200mgの用量で投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
15.多重特異性抗体が、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、又は75mgの用量で投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
16.PD-1又はPD-L1阻害剤が、325~475mgなど、350~450mg、又は375~425mgなどの約300~500mgの用量で投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
17.多重特異性抗体が、14日毎に投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
18.PD-1又はPD-L1阻害剤が、4、5、6、7、又は8週間毎に投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
19.PD-1又はPD-L1阻害剤が、6週間毎に投与される、条項18に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
20.多重特異性抗体及びPD-1又はPD-L1阻害剤が、以下の表に示される用量組み合わせで投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法:
【表2-1】
【表2-2】
21.多重特異性抗体が、静脈内投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
22.多重特異性抗体が、2週間毎に1回投与される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
23.当該第2の膜タンパク質が、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーではない、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
24.当該第2の膜タンパク質が、B7ファミリーのメンバーである、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
25.第2の膜タンパク質が、PD-L1などの、PD-L1又はPD-L2である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
26.多重特異性抗体が、PD-L1のPD-1結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
27.多重特異性抗体が、CD137のCD137L結合ドメインに結合する1つの抗原結合部位を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
28.多重特異性抗体が、リガンドのCD137への結合を遮断するか、又はCD137L遮断結合部位などのCD137の細胞外リガンド遮断結合部位に結合する、1つの抗原結合部位を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
29.CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインが、CD137に結合する当該可変ドメインのうちの2つを含む二価の単一特異性抗体フォーマットにある場合、細胞上のCD137の活性を刺激しないか、又はB7ファミリーのメンバーなど、PD-L1などの腫瘍関連抗原に結合する第2の可変ドメインを有する二重特異性抗体の一部としての当該可変ドメインのうちの1つと比較して低減されたレベルで刺激する、可変ドメインとして定義される、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
30.多重特異性抗体が、CD137を発現する第1の細胞及びPD-L1を発現する第2の細胞の存在下にある場合、CD137の細胞外部分に結合する可変ドメインが、PD-L1に結合する第2の可変ドメインと多重特異性抗体において組み合わされた場合、細胞上のCD137の活性を刺激することができる、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
31.多重特異性抗体が、同時になどで、CD137及びPD-L1に結合することができる、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
32.多重特異性抗体が、PD-L1発現細胞の存在下でのみ、CD137シグナル伝達を誘導又は活性化する、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
33.当該多重特異性抗体の抗原結合部位が、CD137に結合する1つの免疫グロブリン可変ドメインと、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する1個の免疫グロブリン可変ドメインと、からなる、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
34.当該多重特異性抗体が、全長抗体である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
35.当該多重特異性抗体が、Fcエフェクター機能を有しないIgG1分子である、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
36.第2の膜タンパク質が、T細胞によって著しい程度まで発現されない、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
37.当該第2の膜タンパク質が、当該第2の膜タンパク質のうちの2つ以上を含む多量体膜タンパク質の一部として、細胞膜上に存在する、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
38.当該第2の膜タンパク質が、ホモ二量体又はホモ三量体の一部として、細胞膜上に存在する、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
39.抗体が、配列番号23、配列番号27、配列番号34、若しくは配列番号52で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR3領域を含むCD137の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
40.抗体が、配列番号22、配列番号26、配列番号33、若しくは配列番号51で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR2領域を含むCD137の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
41.抗体が、配列番号21、配列番号25、配列番号32、若しくは配列番号50で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR1領域を含むCD137の細胞外部分に結合する重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
42.抗体が、配列番号20、配列番号24、配列番号31、若しくは配列番号49などの、CD137の細胞外部分に結合する配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号46、若しくは配列番号49で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
43.抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号56、配列番号91、配列番号95、若しくは配列番号102などの、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号56、配列番号58、配列番号61、配列番号84、配列番号88、配列番号91、配列番号95、配列番号102、若しくは配列番号106で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
44.抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号3、配列番号55、配列番号63、配列番号66、配列番号79、配列番号83、配列番号87、配列番号94、配列番号101、若しくは配列番号105で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR2領域を含む重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
45.抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号54、配列番号60、配列番号65、配列番号68、配列番号74、配列番号82、配列番号86、配列番号90、若しくは配列番号93で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有するCDR1領域を含む重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の多重特異性抗体。
46.抗体が、配列番号67、配列番号89、配列番号92、若しくは配列番号100などの、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号53、配列番号57、配列番号59、配列番号62、配列番号64、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号81、配列番号85、配列番号89、配列番号92、配列番号96、配列番号97、配列番号100、配列番号103、配列番号104、配列番号107で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
47.多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
48.多重特異性抗体が、配列番号49及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
49.がんが、メルケル細胞がんである、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
50.がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個の投与のためのものである、多重特異性抗体。
51.多重特異性抗体が、25~150、又はmg25~100mgなど、50~100mgなどの10~300mg、15~300mg、又は25~300mgの用量で投与される、条項49に記載の使用のための多重特異性抗体。
52.がんが、メルケル細胞がんである、条項50又は51に記載の使用のための多重特異性抗体。
53.がんの治療を必要とする対象における、がんを治療する方法であって、多重特異性抗体であって、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有する、多重特異性抗体と、
PD-1又はPD-L1阻害剤と、をがんの治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
54.多重特異性抗体が、25~150又はmg25~100mgなど、50~100mgなどの10~300mg、25~300mgの用量で投与される、条項53に記載の方法。
55.がんが、進行性又は転移性固形腫瘍である、条項50~54のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
56.進行性又は転移性固形腫瘍が、進行性又は転移性肺がん、特に非小細胞肺がん(NSCLC)、及び進行性又は転移性黒色腫から選択される、条項55に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
57.がんの治療を必要とする対象における、がんの治療方法における使用のための多重特異性抗体であって、抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
多重特異性抗体が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、その後、又は別個の投与のためのものであり、
がんが、進行性又は転移性固形腫瘍を選択する、多重特異性抗体。
58.多重特異性抗体が、静脈内投与される、条項50~57のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
59.多重特異性抗体が、2週間毎に1回投与される、条項50~58のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
60.多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、条項50~59のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
61.多重特異性抗体が、配列番号49及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、条項60に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
62.多重特異性抗体が、MF6783のCDR1、2、及び3、並びにMF5542のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、条項50~59のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
63.多重特異性抗体が、配列番号1及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、条項62に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
64.多重特異性抗体が、MF6754のCDR1、2、及び3、並びにMF5561のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、条項50~59のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
65.多重特異性抗体が、配列番号20及び配列番号100、又はそれらのバリアントを含む、条項64に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
66.多重特異性抗体が、MF6785のCDR1、2、及び3、並びにMF5439のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、条項50~59のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
67.多重特異性抗体が、配列番号31及び配列番号89、又はそれらのバリアントを含む、条項66に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
68.多重特異性抗体が、MF6795のCDR1、2、及び3、並びにMF5442のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、条項50~59のいずれか1つに記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
69.多重特異性抗体が、配列番号9及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、条項68に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
70.抗体が、配列番号110で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖可変ドメインのCDR1、CDR2、及びCDR3配列、若しくは配列番号109で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖、又はそれらのバリアントを含み、CDR命名法又は番号付けが、IMGTによる、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
71.抗体が、配列番号110で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖可変ドメイン、若しくは配列番号109で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖、又はそれらのバリアントを含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
72.抗体が、配列番号112で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン1(CH1)、配列番号114で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン2(CH2)、配列番号115で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び配列番号116で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、又はそれらのバリアントを含む、いずれかの先行条項に記載の使用のための多重特異性抗体又は方法。
73.PD-1又はPD-L1阻害剤が、PD-1阻害剤である、条項50~72のいずれかに記載の多重特異性抗体又は方法。
74.PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ペンプリマブ、レチファンリマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、及びドスタリマブから選択される、条項73に記載の多重特異性抗体又は方法。
75.PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、条項74に記載の多重特異性抗体又は方法。
76.PD-1又はPD-L1阻害剤が、PD-L1阻害剤である、条項50~72のいずれかに記載の多重特異性抗体又は方法。
77.PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから選択される、条項76に記載の多重特異性抗体又は方法。
75.先行条項のいずれか1つに定義される多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との併用での多重特異性抗体の使用指示書と、を含む、パーツのキット。
79.PD-1又はPD-L1阻害剤を更に含む、条項78に記載のパーツのキット。
80.PD-1又はPD-L1阻害剤が、PD-1阻害剤である、条項78又は79に記載のキット。
81.PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、及びドスタリマブから選択される、条項80に記載のキット。
82.PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、条項81に記載のキット。
83.PD-1又はPD-L1阻害剤が、PD-L1阻害剤である、条項78又は79に記載のキット。
84.PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから選択される、条項83に記載のキット。
85.10~75mg、又は25~75mg、又は25~50mg、又は25~40mg、又は25~30mg、又は10mg、又は25mg、又は30mg、又は40mg、又は50mg、又は60mg、又は70mg、又は75mgの用量又は均一用量での多重特異性抗体の使用指示書を更に含む、先行条項78~84のいずれかに記載のキット。
86.キットが、任意の進行性又は転移性固形腫瘍の治療における多重特異性抗体の使用指示書を含む、条項78~85のいずれかに記載のキット。
87.進行性又は転移性固形腫瘍が、局所進行性又は転移性肺がん、特に非小細胞肺がん(NSCLC)、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択される、条項86に記載のパーツのキット。
88.がんの治療を必要とする対象における、がんの治療における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との組み合わせであって、多重特異性抗体が、いずれかの先行条項に定義されるとおりであり、阻害剤が、いずれかの先行条項に定義されるとおりである、組み合わせ。
89.がんの治療を必要とする対象における、がんの治療のためのいずれかの先行条項に定義されるPD-1又はPD-L1阻害剤であって、PD-L1阻害剤が、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体との同時又は順次の投与のためのものである、PD-1又はPD-L1阻害剤。
90.いずれかの先行条項で定義されるPD-1又はPD-L1阻害剤を投与されたことがあるか、又は投与される予定の対象における、がんの治療における使用のための、CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体。
91.CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体を投与されたことがあるか、又は投与される予定の患者における、がんの治療における使用のための、いずれかの条項に定義されるPD-1又はPD-L1阻害剤。
【実施例
【0222】
実施例1:PD-L1及びCD137に結合する多重特異性抗体。
表1に記載される重鎖可変領域を含む多重特異性抗体を、WO2018/056821に記載されるように得た。
【表3】
【表4】
【0223】
実施例2-進行性又は転移性悪性腫瘍を有する参加者における、ペムブロリズマブと組み合わせた、MCLA-145の第1相、非盲検、用量漸増、安全性、耐容性、及び予備的有効性研究
治療群及び期間:
進行性又は転移性悪性腫瘍を有する成人参加者における、PD-1又はPD-L1阻害剤と組み合わせた、CD137及びPD-L1を標的とする多重特異性抗体の安全性、耐容性、及び予備的有効性を決定するために、非盲検、非無作為化、第1相研究を開始した。
【0224】
以下の多重特異性抗体は、本研究における使用及び本開示の方法における使用に好適である:MF6797×MF7702などのMF6797×MF7702、MF6763×MF5442、MF6754×MF5561、MF6785×MF5439、及びMF6785×MF5442。各多重特異性抗体は、それぞれ、CD137及びPD-L1に結合することができるMF番号によって指定される2つのVH、それぞれ、配列番号115及び配列番号116によって示されるKK/DE CH3ヘテロ二量体化ドメインを有するFc領域、配列番号114によって示されるCH2ドメイン、配列番号112によって示されるCH1ドメイン、並びに配列番号109によって示される共通軽鎖を含む。特に、MF6797×MF7702の重鎖配列を含む二重特異性抗体は、本開示の研究及び方法における使用に好適である。
【0225】
用量漸増研究を実施して、進行性又は再発/転移性固形腫瘍を有する参加者における、一定用量のPD-1阻害剤と組み合わせた多重特異性抗体のMTD及び/又はRDEを決定した。参加者は、本明細書では「研究抗体」と更に称される、上記の例示的な多重特異性抗体のうちの1つの漸増用量をMTD又はRDEに到達するまで2週間毎に投与された。用量を漸増させながらの各治療サイクルの期間は、28日であった。参加者はまた、6週間毎に400mgの一定用量のペムブロリズマブを受けた。
【0226】
研究デザイン全体
これは、進行性又は転移性悪性腫瘍を有する成人参加者におけるMCLA-145の安全性、耐容性、及び予備的有効性を決定するための非盲検、非無作為化、第1相研究であり、用量漸増及び用量拡大の2つの部分で実行される。6週間毎に均一用量で投与されるペムブロリズマブと組み合わせたMCLA-145は、28日サイクルで14日毎に2時間にわたって均一用量で静脈内投与される。
【0227】
パート1:用量漸増
パート1は、進行性又は転移性固形腫瘍を有する参加者に、ペムブロリズマブと組み合わせて14日毎に投与されるMCLA-145の最大耐容用量(MTD)及び/又は推奨拡大用量(RDE)を決定するための用量漸増である。
【0228】
参加者は、固定用量のペムブロリズマブと組み合わせて、10mgの用量レベルのMCLA-145で治療される。各用量レベルで、3~6人の評価可能な患者を含め、最初の28日サイクルで用量制限毒性(DLT)に遭遇しない場合、MCLA-145の用量は、次のレベルに漸増される。MTD又はRDEに達するまで、又は製品の全般的な安全性に基づいて治験依頼者によって決定されるまで、各用量レベルで最大6人の評価可能な患者が含まれ得る。
【0229】
参加者は、最初に以下のスキーマに従う。
【表5】
【0230】
30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、100mg、125mg、及び150mgを含む、組み合わせの更なる用量を探索してもよい。また、ペムブロリズマブは、3週間毎に200mgで提供されてもよい。
【0231】
パート2:用量確認/安全性の拡大
パート2は、安全性、耐容性、薬物動態、予備的抗腫瘍活性、及び機能的標的係合の更なる評価を通じて、ペムブロリズマブと組み合わせたMCLA-145の用量を確認するための用量拡大である。進行性又は転移性腫瘍を有する参加者は、以下のように登録される:
【0232】
PD1/PD-L1に対して再発した進行性又は転移性固形腫瘍を有する成人男性又は女性。現場治験責任医師によってペムブロリズマブとの組み合わせから利益を有するとみなされるPD1/PD-L1に対して再発した、1%超のPD-L1>のNSCLC及び黒色腫を有する参加者。
【0233】
MCLA-145によって予備的有効性が観察されたか、又は新たなデータが応答を示唆している、パート1の任意の他の腫瘍組織学は、治験依頼者メディカルモニターの同意後、パート2で治療することができる。拡張コホートへの最初の登録は、徴候毎に10又は20人の参加者に限定される。
【0234】
新たなデータによって支持される場合、任意の市販のアッセイによって現場で決定して、腫瘍発現1%以上として定義されるPD-L1陽性腫瘍に、登録は限定され得る。
【0235】
選択基準
参加者は、以下の全ての基準が適用される場合にのみ、本研究に参加する資格がある。黒色腫又はNSCLCを有する参加者は、適格性を確認するために、以下の全ての参加者セクション及び該当する腫瘍特異的基準セクションに列挙されている全ての基準を満たす必要がある。
【0236】
全ての参加者
研究のための書面によるICFに署名する理解能力及び意欲。
インフォームドコンセントに署名した時点で少なくとも18歳。
全ての予定された来院、及びプロトコル手順を含む、全てのプロトコル要件に適合し、かつ準拠する意欲及び能力。
12週間以上の平均余命。
0又は1のECOGパフォーマンスステータス。
パート1:局所進行性又は転移性NSCLC又は黒色腫が、PD-L1/PD-1に対して再発し、腫瘍及び/又は腫瘍関連免疫細胞上でのPD-L1発現が陽性(1%以上)(最新の以前の療法ラインの完了後の局所試験に基づく)
パート2:局所進行性又は転移性NSCLC又は黒色腫が、PD-L1/PD-1に対して再発したか、又は免疫療法ナイーブであるかのいずれか、かつ腫瘍及び/又は腫瘍関連免疫細胞上でのPD-L1発現が陽性(1%以上)(最新の以前の療法ラインの完了後の局所検査に基づく。
RECIST v1.1又はルガノ基準に従って測定可能な疾患。
注:以前照射された領域又は他の局所領域的療法を受けた領域に位置する腫瘍病変は、病変において明確な進行が実証されている場合に測定可能であるとみなされる。
腫瘍タイプに該当する進行性又は再発性/転移性疾患に対して標準的な療法を以前受け、治療に不耐性であるか、又は標準治療を拒否している。
メディカルモニターによって承認されない限り、進行性又は再発性/転移性疾患に対する最大4回の全身治療レジメン(化学療法、免疫療法、及び標的療法レジメンを含む)を以前受けた。
進行性/転移性の設定で、免疫療法レジメンを含有する抗PD-1療法を最大1回以前受けた。化学療法、標的療法、又は他の免疫療法と組み合わせた抗PD-1療法が許容される。
腫瘍組織を得るために治療前及び治療中の腫瘍生検を受ける意欲。
注:腫瘍組織が安全に得られない参加者では、メディカルモニターとの議論に基づいて、参加者は、依然として研究に登録することができる。
パート2のみ:PD-L1状態が既知の参加者、又はスクリーニング中にPD-L1発現を局所的に評価するための新たな腫瘍生検を受ける参加者。
以下の基準に基づいて、妊娠又は父となることを回避する意欲。
男性は、スクリーニングからMCLA-145の最後の投与の90日後にわたって(少なくとも99%の確実性で)父となることを回避するために適切な予防措置を講じることに同意する必要があり、この期間中は精子提供を控える必要がある。妊娠を予防するために少なくとも99%有効である許可された方法は、参加者に伝達され、彼女らの理解を確認する必要がある。
妊娠の可能性のある女性は、スクリーニング時及び1日目の最初の投与前に血清妊娠試験が陰性である必要があり、スクリーニングからMCLA-145の最後の投与の90日後にわたって(少なくとも99%の確実性で)妊娠を回避するために適切な予防措置を講じることに同意する必要がある。妊娠を予防するために少なくとも99%有効である許可された方法は、参加者に伝達され、彼女らの理解を確認する必要がある。妊娠の可能性のある女性は、MCLA-145の最初の投与の30日前から、MCLA-145の最後の投与の90日後まで、卵母細胞の提供を控えるべきである。
妊娠の可能性のない女性(すなわち、子宮摘出術及び/若しくは両側卵巣切除術による外科的不妊症、又は12か月以上の無月経及び少なくとも50歳の女性)は、登録の資格がある。
【0237】
併用療法について
MCLA145の単剤療法を少なくとも2か月間受けている患者は、研究に参加することができる。これらの患者は、MCLA145による単剤療法中に、グレード2以下の肝臓毒性が報告されてはならない。
【0238】
腫瘍特異的基準
組織学的又は細胞学的に確認された黒色腫を有する参加者:
組織学的又は細胞学的に確認された皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫。
注:眼黒色腫又はブドウ膜黒色腫を有する参加者は、除外される。
局所療法が無効である、現在のAJCC病期分類システムに従って切除不能なステージIII又はステージIV黒色腫。
以前試験されていない場合、スクリーニング期間中のV600活性化BRAF変異状態の文書化又はBRAF試験への同意。
BRAF変異陽性の場合、BRAF±MEK標的療法を受けており、進行が文書化されている必要がある。
併用療法のパート1参加者:PD-L1/PD-1療法に対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
併用療法のパート2参加者:
PD-L1/PD-1療法からPD-L1/PD-1療法ナイーブに対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
単剤療法のみパート2参加者:以下の基準の1つを満たすことによって定義される抗PD-1療法の進行が文書化されている必要がある:
一次難治性:進行性又は転移性の設定で少なくとも12週間、抗PD-1療法(単独又は抗CTLA-4療法との組み合わせの一部として)の治療を以前受けており、治療に対する最良の応答としてPDを有する必要がある。アジュバント設定で少なくとも12週間、抗PD-1療法で以前治療を受けた参加者、及び進行した参加者も見込まれる。
二次抵抗性:進行性又は転移性の設定で、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前に受けており、CR、PR、又はSDを達成したが、後に抗PD-1療法を受けている間にPDを確認する必要があった(PDは少なくとも4週間[28日以上]後に確認された)。
【0239】
組織学的又は細胞学的に確認されたNSCLCを有する参加者:
組織学的又は細胞学的にNSCLC(非扁平上皮又は扁平上皮のいずれか)の確定診断されている。
腫瘍が非扁平上皮組織型のみの場合、EGFR、ALK、BRAF、及びROS1の変異又は遺伝子再配列の試験結果の文書化(分子試験は、現在、扁平上皮組織型優位の診断ガイドラインの一部ではない)。変異又は遺伝子配列が存在する場合、参加者は標的療法が進行しているか、又は耐容性がない必要がある。
局所療法が無効である、現在のAJCC病期分類システムに従って切除不能な進行性又は転移性NSCLC。
併用療法のパート1参加者:PD-L1/PD-1療法に対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
併用療法のパート2参加者:
PD-L1/PD-1療法に対する再発(例えば、6か月を超える治療後に進行し、最良の応答として疾患が少なくとも安定である)
PD-L1/PD-1療法にナイーブ
パート2参加者のみ:以下の基準の1つを満たすことによって定義される抗PD-1療法の進行が文書化されている必要がある:
一次難治性:進行性又は転移性の設定で、少なくとも12週間、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前受けており、治療に対する最良の反応として進行性疾患(PD)を有する必要がある。
二次抵抗性:進行性又は転移性の設定で、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前に受けており、CR、PR、又はSDを達成したが、後に抗PD-1療法を受けている間にPDを確認する必要があった(PDは少なくとも4週間[28日以上]後に確認された)。
【0240】
MSI-H又はdMMR状態が確認された固形腫瘍の徴候を有する参加者:
IHC又はポリメラーゼ連鎖反応法を使用して現地の研究所によって決定されたMSI-H又はdMMR固形腫瘍、中央機関による診断確認のために利用可能な組織を有する必要がある。
抗PD-1療法に対して一次難治性とみなされるパート2参加者のみが、以下のように定義される:進行性又は転移性の設定で少なくとも12週間、抗PD-1療法(単独又は併用の一部として)を以前受けており、治療に対する最良の反応としてPDが文書化されている。
【0241】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかが適用される場合、参加者は、研究から除外される:
以下のB細胞新生物:バーキットリンパ腫、リンパ芽球性白血病/リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病。
以前の療法が4-1BBアゴニストを含有するか、又は以前の療法がCART細胞療法による。
MCLA-145の最初の投与前に以下の間隔内での抗がん剤又は治験薬での治療:
化学療法(マイトマイシンC及びニトロソウレアの場合は6週間)、標的小分子療法、又は放射線療法の場合は少なくとも14日間。
注:参加者は、治療の結果として放射線性肺炎を有していてはならない。1週間のウォッシュアウト期間は、治験依頼者の承認を得て、非CNS疾患に対する緩和放射線が許容される。
抗がん療法に使用された以前のmAbの場合、少なくとも28日間。
注:ビスホスホネート及び/又はデノスマブを投与された参加者は、登録の資格がある。
長い半減期(例えば、5日超)を有する他の薬剤の場合、第5の半減期前の登録は、メディカルモニターの承認を必要とする。
放射線免疫療法の場合、少なくとも10週間。
過去6か月以内に同種SCTを受けていないか、又は過去3か月以内に自己SCTを受けていない必要がある。
MCLA-145を開始する前に、以前の療法(以前の免疫療法を含む)の毒性作用及び/又は以前の外科的介入からの合併症から、グレード1以下又はベースラインまで回復していない。
注:脱毛症及び安定したニューロパシー(グレード2以下)が見込まれる。
以前の抗PD-1療法(±抗CTLA-4療法)関連の肝臓毒性がグレード1超ではない。
併用治療を受けた患者のみ:ベースライントランスアミナーゼ及びビリルビンが正常限界外
以前、抗PD-1療法を受けたグレード3以上の免疫媒介性有害事象。
注:以下のグレード3以上の有害事象は、許容される:局所療法で解決したグレード3の発疹;免疫媒介性副腎不全、1型糖尿病、又は医学的に安定しており、安定した用量の補充療法で適切に管理されている以前の免疫療法に起因する他の内分泌異常;及び治療の中断を必要としない無症候性アミラーゼ又はリパーゼ上昇。
任意のグレードの免疫媒介性の眼の有害事象の病歴。
以下の表に定義されたスクリーニング時の検査値を有する参加者。
【表6-1】
【表6-2】
50%未満の左心室駆出率の既知の病歴、サイクル1日目の6か月以内の不安定狭心症、急性心筋梗塞、ニューヨーク心臓協会クラスIII若しくはIVのうっ血性心不全、又は療法を必要とする不整脈を含む、臨床的に著しい心疾患。
注:不整脈を有する参加者は、参加者が抗不整脈薬を服用しており、スクリーニングECG上で洞調律にある場合、登録することができる。
治験責任医師の意見では、臨床的に有意義であるECGの病歴又は存在。
(製品ラベル又はコンセンサスガイドラインに従って)治療の恒久的な中止が推奨される以前のチェックポイント阻害剤療法中の免疫関連毒性、又は管理するために集中的若しくは長期の免疫抑制を必要とする任意の免疫関連毒性(補充ホルモンで十分に制御される内分泌障害を除く)。
特発性肺線維症、間質性肺疾患、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬物誘導性肺炎若しくは特発性肺炎の病歴、又はスクリーニング胸部CTスキャンでの間質性肺炎の証拠。制御不能な喘息又は慢性閉塞性肺疾患の病歴を有する参加者は、除外される。
注:放射線野における放射線肺臓炎(線維症)の病歴は、許容される。
既知の活動性CNS転移/リンパ腫、及び/又はがん性髄膜炎。
注:以前治療された脳転移を有する参加者は、1)放射線学的に安定である(すなわち、MCLA-145の最初の投与前に繰り返し画像撮影を行うことによる、少なくとも28日間進行の証拠がない[繰り返し画像撮影を行うことは、メディカルモニターの承認を得てスクリーニング期間中に実施することができる])、2)MCLA-145の最初の投与前に少なくとも14日間、ステロイド治療を必要としない、及び3)任意の神経学的徴候又は症状がベースラインに戻った状態で、臨床的に安定していることを条件として参加することができる。この除外は、臨床的安定性にかかわらず除外されるがん性髄膜炎は含まない。
注:脳浮腫の証拠を有する参加者、又はCNSに対する放射線療法から28日未満の参加者は、研究から除外される。
過去2年間に全身治療を必要とした活動性若しくは非活動性の自己免疫疾患若しくは症候群(例えば、関節リウマチ、中等度又は重度の乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患)を有する参加者、又は自己免疫疾患又は炎症性疾患の全身療法を受けている(すなわち、疾患改変剤、コルチコステロイド、又は免疫抑制薬を使用している)参加者。
注:白斑、解決した小児喘息/アトピー、ホルモン補充で安定した甲状腺機能低下症、制御された喘息、I型糖尿病、グレイブス病、若しくは橋本病を有する参加者、又はメディカルモニターの承認を得た参加者は、他の全ての適格基準を満たす場合、参加する資格がある。
MCLA-145の最初の投与前の7日以内の全身コルチコステロイド(10mg/日以上のプレドニゾン又は等価物)の使用。
注:画像撮影手順のための吸入、又は局所コルチコステロイド若しくは全身コルチコステロイドの使用は許容される。
注:生理学的コルチコステロイド補充療法の使用は、メディカルモニターに相談した後に承認される場合がある。
MCLA-145又はペムブロリズマブの最初の投与の30日以内の生ワクチンの投与。
注:生ワクチンの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:麻疹、おたふく風邪、風疹、水痘、黄熱病、狂犬病、BCG、及び腸チフスワクチン。COVID-19生ワクチンが利用可能な場合、投与前にメディカルモニターに相談する必要がある。注射用の季節性インフルエンザワクチンは、概して、不活化ウイルスワクチンであり、見込まれるが、しかしながら、鼻腔内インフルエンザワクチンは、弱毒化生ワクチンであり、見込まれない。
全身療法を必要とする活動性感染。
固形臓器又は同種幹細胞移植の病歴。
治療を必要とする活動性HBV又はHCV感染。B型肝炎ウイルスDNA及びHCV RNAは、検出可能ではない必要がある。以前のHBV感染をクリアした(B型肝炎表面抗原陰性、B型肝炎表面抗体陽性、B型肝炎コア抗体陽性として定義される)参加者は、研究に参加する資格がある。
注:HBV感染が以前クリアされた参加者の場合、HBV予防は、治験責任医師の裁量に従って考慮されるべきである。HBVウイルス負荷及びB型肝炎表面抗原血清学試験を実施することによって、3サイクル毎にHBV再活性化を監視する。追加のウイルス血清学的試験は、治験責任医師の裁量によって実施することができる。
注:HBVに対するワクチン接種を受けており、かつ以前の曝露のみを証拠としてB型肝炎表面抗原に対して抗体陽性を有するHBV感染の病歴を以前有しない参加者は、研究に参加することができる。
注:ウイルスを根絶することを意図したC型肝炎の治療を受け、完了したC型肝炎抗体陽性の参加者は、HCV RNAレベルが検出不能である場合、参加することができる。
既知のHIVの病歴(HIV1/2抗体)。地域の保健当局又は規制によって義務付けられない限り、HIV試験は必要ではない。
MCLA-145若しくはペムブロリズマブのいずれかの構成要素、又は製剤構成要素に対する既知の過敏症又は重度の反応。
スクリーニング来院から開始してMCLA-145の最後の投与の90日後まで、妊娠中若しくは授乳するか、又は研究の計画された期間内に妊娠若しくは父となることを期待しているか。
治験責任医師の判断では、MCLA-145又はペムブロリズマブの投与を含む、研究への完全な参加を妨げる任意の状態、参加者に著しいリスクをもたらすか、又は研究データの解釈を妨げる任意の状態。
【0242】
実施例3
1~10%のPD-L1スコアを有する、メルケル細胞がんを有すると診断された80歳の男性患者。患者は、放射線療法、手術、及び全身療法で前治療を受けた。アベルマブでの治療は、進行性疾患をもたらした。カルボプラチン及びエトポシド治療は、部分的な応答をもたらした。
【0243】
その後、3週間毎に25mgの用量(25mg、q3w)の、MF番号MF6797及びMF7702によって指定される2個のVH、それぞれ、配列番号115及び配列番号116によって示されるKK/DE CH3ヘテロ二量体化ドメインを有するFc領域、配列番号114によって示されるCH2ドメイン、配列番号112によって示されるCH1ドメイン、並びに配列番号109によって示される共通軽鎖を有する多重特異性抗体と、3週間毎に200mgの用量(200mg、q3w)のペムブロリズマブとを、患者に投与した。疾患部位は、足の皮膚結節であった。腫瘍評価には、標的病変直径の合計を含めた。初回投与後、患者は、病変直径の臨床的に著しい低減を生じた。
【0244】
実施例4
40mgの用量を3週間毎(40mg、q3w)又は2週間毎(40mg、q2w)に、MF番号MF6797及びMF7702によって指定される2個のVH、それぞれ、配列番号115及び配列番号116によって示されるKK/DE CH3ヘテロ二量体化ドメインを有するFc領域、配列番号114によって示されるCH2ドメイン、配列番号112によって示されるCH1ドメイン、並びに配列番号109によって示される共通軽鎖を有する二重特異性抗体を、実施例2に従って3週間毎に200mg(200mg、q3w)のペムブロリズマブの投与とともに使用して、がんを有する対象に投与し、その後、標的病変直径の合計を含む腫瘍評価を行う。初回投与後、患者は、病変直径の臨床的に著しい低減を生じることが可能になる。
【0245】
配列
配列番号1:重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNFAMNWVRRAPGQGLEWMGWINTNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDWGVIGGHYMDVWGKGTTVTVSS

配列番号2:配列番号1からのKabatによるHCDR1
NFAMN

配列番号3:配列番号1からのKabatによるHCDR2
WINTNTGNPTYAQGFTG

配列番号4:配列番号1からのKabatによるHCDR3
DWGVIGGHYMDV

配列番号5重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNGNTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDSDGYGPKAFDYWGQGTLVTVSS

配列番号6:KabatによるHCDR1
SYGIS

配列番号7:KabatによるHCDR2
WISAYNGNTNYAQKLQG

配列番号8:KabatによるHCDR3
DSDGYGPKAFDY

配列番号9重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPDDSDTRYSPSFQGQVTISADKSSSTAYLQWSSLKASDTAMYYCASFYTGIVGATGAFDVWGQGTTVTVSS

配列番号10:KabatによるHCDR1
SYWIG

配列番号11:KabatによるHCDR2
IIYPDDSDTRYSPSFQG

配列番号12:KabatによるHCDR3
FYTGIVGATGAFDV

配列番号13重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSDAISWVRQAPGQGLEWMGGMIPILGTANYAQKFQGRVTITADRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCVRGATYYYGSGTYYSINWFDPWGQGTLVTVSS

配列番号14:KabatによるHCDR1
SDAIS

配列番号15:KabatによるHCDR2
GMIPILGTANYAQKFQG

配列番号16:KabatによるHCDR3
GATYYYGSGTYYSINWFDP

配列番号17重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCRASGYTFTNFAMTWVRQAPGQGPEYMGWINTNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVNTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDWASVMVRGDLDYWGQGTLVTVSS

配列番号18:KabatによるHCDR1
NFAMT

配列番号19:KabatによるHCDR3
DWASVMVRGDLDY

配列番号20重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGYTLSELSIHWVRQAPGKGVEWMGGFYPEDVEPIYARKFQGRVTMTEDTSTDTAYMELNSLRSEDTAVYYCAAEGFDNYGSGIRGNWFDPWGQGTLVTVSS

配列番号21:KabatによるHCDR1
ELSIH

配列番号22:KabatによるHCDR2
GFYPEDVEPIYARKFQG

配列番号23:KabatによるHCDR3
EGFDNYGSGIRGNWFDP

配列番号24重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGYTLTELSMHWVRQSPGKGLEWMGSFYPEDGETIYAQKFQGRITMTEDTSADTAYMELSSLRSEDTAVYYCATEGVGVIRGNWFDPWGQGTLVTVSS

配列番号25:KabatによるHCDR1
ELSMH

配列番号26:KabatによるHCDR2
SFYPEDGETIYAQKFQG

配列番号27:KabatによるHCDR3
EGVGVIRGNWFDP

配列番号28重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIFPDDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKPSDTAMYYCVRLGGYSGYAEDFVDFWGQGTLVTVSS

配列番号29:KabatによるHCDR2
IIFPDDSDTRYSPSFQG

配列番号30:KabatによるHCDR3
LGGYSGYAEDFVDF

配列番号31重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGYTLTKLSMHWVRQAPGKGLEWMGGFEPEDGETINAQKFQGRVTMTEDTSTDTAYMELSSLRSEDTAVYYCATDLRLGASYYYSYMDVWGRGTMVTVSS

配列番号32:KabatによるHCDR1
KLSMH

配列番号33:KabatによるHCDR2
GFEPEDGETINAQKFQG

配列番号34:KabatによるHCDR3
DLRLGASYYYSYMDV

配列番号35重鎖可変領域
QITLKESGPTLVKPTQTLTLSCTFSGFSLSTSGMSVGWIRQPPGKALEWLALIYWNDDKYFSPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTLTNMDPVDTATYYCAHTLWGSDDVFDVWGQGTMVTVSS

配列番号36:KabatによるHCDR1
TSGMSVG

配列番号37:KabatによるHCDR2
LIYWNDDKYFSPSLKS

配列番号38:KabatによるHCDR3
TLWGSDDVFDV

配列番号39重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKVSGYSFTNYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWHTLKASDTAMYYCARHQGYSFSGSHIDDYWGQGTLVTVSS

配列番号40:KabatによるHCDR1
NYWIG

配列番号41:KabatによるHCDR2
IIYPGDSDTRYSPSFQG

配列番号42:KabatによるHCDR3
HQGYSFSGSHIDDY

配列番号43重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVRKPGESLKISCKGSGYSFTTYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTVYLQWSSLKASDTAMYYCARHAGFIITSQNIDDYWGQGTLVTVSS

配列番号44:KabatによるHCDR1
TYWIG

配列番号41:KabatによるHCDR2
IIYPGDSDTRYSPSFQG

配列番号45:KabatによるHCDR3
HAGFIITSQNIDDY

配列番号46重鎖可変領域
EVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNFAMNWVRQAPGQGLEWMGWINTNTGNPTYAQDFTGRFVFSLDTSGNTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDWGLVAIGYFDYWGQGTLVTVSS

配列番号47:KabatによるHCDR2
WINTNTGNPTYAQDFTG

配列番号48:KabatによるHCDR3
DWGLVAIGYFDY
配列番号49重鎖可変領域
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTTGVGVNWIRQPPGEALEWLALIYWNDDTYYSPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCAHEGIIGFLGGNWFDPWGQGTLVTVSS

配列番号50:KabatによるHCDR1
TTGVGVN

配列番号51:KabatによるHCDR2
LIYWNDDTYYSPSLKS

配列番号52:KabatによるHCDR3
EGIIGFLGGNWFDP

配列番号53重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTSHAMNWVRQAPGQGLEWMGWINPNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDRKYVTNWVFAEDFQHWGQGTLVTVSS

配列番号54:KabatによるHCDR1
SHAMN

配列番号55:KabatによるHCDR2
WINPNTGNPTYAQGFTG

配列番号56:KabatによるHCDR3
DRKYVTNWVFAEDFQH

配列番号57重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTSHAMNWVRQAPGQGLEWMGWINPNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCAIDRGYMSNWVFAEYFPHWGQGTLVTVSS

配列番号58:KabatによるHCDR3
DRGYMSNWVFAEYFPH

配列番号59重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTSYAMNWVRQAPGQGLEWMGWINTNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCATDRGYISSWVFAEDFQHWGQGTLVTVSS

配列番号60:KabatによるHCDR1
SYAMN

配列番号61:KabatによるHCDR3
DRGYISSWVFAEDFQH

配列番号62重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCTASGYTFTSYAMNWVRQAPGQRLEWMACVNPNTGSPTYAQGSTGRFVVSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDRKYVTNWVFAEDFQHWGHGTLVTVSS

配列番号63:KabatによるHCDR2
CVNPNTGSPTYAQGSTG

配列番号64 重鎖可変領域QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYAMNWVRQAPGQGLEWMGWMNPNTGNPTYAQGSTGRFVVSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDRKYVTNWVFAEDFQHWGRGTLVTVSS

配列番号65:KabatによるHCDR1
NYAMN

配列番号66:KabatによるHCDR2
WMNPNTGNPTYAQGSTG

配列番号67重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYAINWVRQAPGQGLEWMGWINPNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDRKYVTNWVFAEDFQHWGRGTLVTVSS

配列番号68:KabatによるHCDR1
NYAIN

配列番号69重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDTFNTYSITWVRQAPGQGLEWMGSIVPIFGTINNAQKFQGRVTITADKSANTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDNTMVRGVDYYYMDVWGKGTMVTVSS

配列番号70:KabatによるHCDR1
TYSIT

配列番号71:KabatによるHCDR2
SIVPIFGTINNAQKFQG

配列番号72:KabatによるHCDR3
DNTMVRGVDYYYMDV

配列番号73重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGIFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTPNYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMDLSSLRSEDTAVYYCAKNVRGYSAYDLDYWGQGTLVTVSS

配列番号74:KabatによるHCDR1
TYAIS

配列番号75:KabatによるHCDR2
GIIPIFDTPNYAQKFQG

配列番号76:KabatによるHCDR3
NVRGYSAYDLDY

配列番号77重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKNPGSSVKVSCKATGGTFNTYGTNWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTTTAYMEVSSLRSEDTAVYYCARGGADMGTLDYWGQGTLVTVSS

配列番号78:KabatによるHCDR1
TYGTN

配列番号79:KabatによるHCDR2
GIIPIFGTANYAQKFQG

配列番号80:KabatによるHCDR3
GGADMGTLDY

配列番号81重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVMRPGSSVKVSCKASGGIFNTYTIIWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTPNFAQKFQGRLTITADKSTNTAYMELTSLRSEDTAVYYCAREGCNHGVCYPYWGQGTLVTVSS

配列番号82:KabatによるHCDR1
TYTII

配列番号83:KabatによるHCDR2
GIIPIFDTPNFAQKFQG

配列番号84:KabatによるHCDR3
EGCNHGVCYPY

配列番号85重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDTFRSYGITWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQKFQGRVTITADKSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARRRGYSNPHWLDPWGQGTLVTVSS

配列番号86:KabatによるHCDR1
SYGIT

配列番号87:KabatによるHCDR2
GIIPIFGTTNYAQKFQG

配列番号88:KabatによるHCDR3
RRGYSNPHWLDP

配列番号89重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGILWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADISTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGGGNYYEFVYWGQGTLVTVSS

Kabatによる配列番号90 HCDR1
TYGIL

配列番号91:KabatによるHCDR3
GGGNYYEFVY

配列番号92重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSVRVSCKASGGTFNTYAINWVRQAPGQGLEWVGRIIPIFDTANYAQKFQGRVTISADKSTTTAYMELSSLRSEDTAVFYCAKDETGYSSSNFQHWGQGTLVTVSS

Kabatによる配列番号93 HCDR1
TYAIN

Kabatによる配列番号94 HCDR2
RIIPIFDTANYAQKFQG

Kabatによる配列番号95 HCDR3
DETGYSSSNFQH

配列番号96重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYAINWVRQAPGQGLEWMGWINPNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDRKYVTNWVFAEDFQHWGQGTLVTVSS

配列番号97重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKRPGSSVKVSCKASGGTFNTYSITWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTSKYAQKFQDRVTITADKSTNTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDPSFSSSSGWFDPWGQGTLVTVSS

Kabatによる配列番号98 HCDR2
GIIPVFGTSKYAQKFQD

配列番号99:KabatによるHCDR3
DPSFSSSSGWFDP

配列番号100重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFNTYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTANYAQRFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCAKDQTGYSSTLFDYWGQGTLVTVSS

Kabatによる配列番号101 HCDR2
GIIPIFDTANYAQRFQG

Kabatによる配列番号102 HCDR3
DQTGYSSTLFDY

配列番号103重鎖可変領域
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTSHAMNWVRQAPGQGLEWMGWINPNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCAIDRGYMSNWVFAEYFPHWGQGTLVTVSS

配列番号104重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGWIIPIFDTGNYAQKIQGRVTITADKSTSTAYMELTSLRSEDTAVYYCARHDYTNTVDAFDIWGQGTMVTVSS

Kabatによる配列番号105 HCDR2
WIIPIFDTGNYAQKIQG

Kabatによる配列番号106 HCDR3
HDYTNTVDAFDI

配列番号107重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDTFRSYGITWVRQAPGQGLEWMGGIIPVFGTTNYAQKFQGRVTITADKSTSTVFMELNSLRSEDTAVYYCARRRGYSNPHWLDPWGQGTLVTVSS

Kabatによる配列番号108 HCDR2
GIIPVFGTTNYAQKFQG

配列番号109ヒト共通軽鎖IGKV1-39/jk1のアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号110共通軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK

配列番号111共通軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号112 CH1のアミノ酸配列
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRV

配列番号113ヒンジのアミノ酸配列
EPKSCDKTHTCPPCP

配列番号114 CH2のアミノ酸配列
APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK

配列番号115 KK変異を有するCH3のアミノ酸配列
GQPREPQVYTKPPSREEMTKNQVSLKCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号116 DE変異を有するCH3のアミノ酸配列
GQPREPQVYTDPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号117 HGNC:11924によるCD137のアミノ酸配列
MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFS
SAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCK
QGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCG
PSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKR
GRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL

配列番号118ペムブロリズマブ重鎖のアミノ酸配列
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK

配列番号119ペムブロリズマブ軽鎖のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASKGVSTSGYSYLHWYQQKPGQAPRLLIYLASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSRDLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D137の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位と、を含む、多重特異性抗体を含む、がんを治療するための医薬組成物であって、PD-L1又はPD-1阻害剤と組み合わせて投与される医薬組成物
【請求項2】
前記多重特異性抗体が、前記PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
前記がんが、局所進行性又は転移性肺がん、及び局所進行性又は転移性黒色腫から選択されるなどの進行性又は転移性固形腫瘍である、請求項1または2に記載の医薬組成物
【請求項4】
前記がんが、NSCLCである、請求項に記載の医薬組成物
【請求項5】
前記黒色腫が、皮膚黒色腫、末端黒色腫、又は粘膜黒色腫から選択される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記がんが、メルケル細胞がん(MCC)である、請求項に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記がんが、PD-1/PD-L1療法に対して再発し、かつ/又はPD-L1発現に対して陽性である、請求項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブである、請求項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記多重特異性抗体が、10mg~1200mgの用量で投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記多重特異性抗体が、約10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、又は75mgの用量で投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項11】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブであり、約300~500mgの用量で投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブであり、約100~300mgの用量で投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項13】
前記PD-1又はPD-L1阻害剤が、2、3、4、5、6、7、又は8週間毎に投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記多重特異性抗体が、2週間毎に1回投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記多重特異性抗体が、3週間毎に1回投与される、請求項に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記第2の膜タンパク質が、PD-L1などの、PD-L1又はPD-L2である、請求項に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記多重特異性抗体が、同時になどで、CD137及びPD-L1に結合することができる、請求項に記載の医薬組成物
【請求項18】
前記抗体が、MF6783(配列番号1)、MF6861(配列番号5)、MF6795(配列番号9)、MF6808(配列番号13)、MF6798(配列番号17)、MF6754(配列番号20)、MF6763(配列番号24)、MF6744(配列番号28)、MF6785(配列番号31)、MF6825(配列番号35)、MF6737(配列番号39)、MF6749(配列番号43)、MF6788(配列番号46)、又はMF6797(配列番号49)のVHのアミノ酸配列のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む可変ドメインを含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項19】
前記抗体が、配列番号20、配列番号24、配列番号31、若しくは配列番号49などの、CD137の細胞外部分に結合する配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13、配列番号17、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号31、配列番号35、配列番号39、配列番号43、配列番号46、若しくは配列番号49で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項20】
前記抗体が、MF5554(配列番号53)、MF5576(配列番号57)、MF5578(配列番号59)、MF9375(配列番号62)、MF9376(配列番号64)、MF7702(配列番号67)、MF5359(配列番号69)、MF5377(配列番号73)、MF5382(配列番号77)、MF5424(配列番号81)、MF5426(配列番号85)、MF5439(配列番号89)、MF5442(配列番号92)、MF5553(配列番号96)、MF5557(配列番号97)、MF5561(配列番号100)、MF5576(配列番号103)、MF5594(配列番号104)、又はMF5708(配列番号107)のVHのアミノ酸配列のCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む可変ドメインを含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項21】
前記抗体が、PD-L1の細胞外部分に結合する配列番号67、配列番号89、配列番号92、若しくは配列番号100などの配列番号53、配列番号57、配列番号59、配列番号62、配列番号64、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号81、配列番号85、配列番号89、配列番号92、配列番号96、配列番号97、配列番号100、配列番号103、配列番号104、配列番号107で示されるアミノ酸配列、又はそれらのバリアントを有する重鎖可変領域を含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項22】
前記多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項23】
前記多重特異性抗体が、配列番号49及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、請求項に記載の医薬組成物
【請求項24】
重特異性抗体を含むがんを治療するための医薬組成物であって、前記抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
前記抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
前記医薬組成物が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与される、医薬組成物
【請求項25】
重特異性抗体を含むがんを治療するための医薬組成物であって、前記抗体が、
配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号51で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号52で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号22で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、CD137に結合する結合ドメインを含み、かつ/又は
前記抗体が、
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号56で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号94で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号95で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号93で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号101で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号102で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、若しくは
配列番号90で示されるアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号91で示されるアミノ酸配列を有するCDR3を含む可変ドメイン、を含む、PD-L1に結合する結合ドメインを含み、
個々の配列番号の各々が、0、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸挿入、欠失、若しくは置換、又はそれらの組み合わせを有し、
前記医薬組成物が、PD-1又はPD-L1阻害剤と同時に、順次、又は別個に投与され、
前記がんが、進行性又は転移性固形腫瘍を選択する、医薬組成物
【請求項26】
前記多重特異性抗体が、MF6797のCDR1、2、及び3、並びにMF7702のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物
【請求項27】
前記多重特異性抗体が、配列番号49及び配列番号67、又はそれらのバリアントを含む、請求項26に記載の医薬組成物
【請求項28】
前記多重特異性抗体が、MF6783のCDR1、2、及び3、並びにMF5542のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物
【請求項29】
前記多重特異性抗体が、配列番号1及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、請求項28に記載の医薬組成物
【請求項30】
前記多重特異性抗体が、MF6754のCDR1、2、及び3、並びにMF5561のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物
【請求項31】
前記多重特異性抗体が、配列番号20及び配列番号100、又はそれらのバリアントを含む、請求項30に記載の医薬組成物
【請求項32】
前記多重特異性抗体が、MF6785のCDR1、2、及び3、並びにMF5439のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物
【請求項33】
前記多重特異性抗体が、配列番号31及び配列番号89、又はそれらのバリアントを含む、請求項32に記載の医薬組成物
【請求項34】
前記多重特異性抗体が、MF6795のCDR1、2、及び3、並びにMF5442のCDR1、2、及び3、又はそれらのバリアントを含む、請求項24又は25に記載の医薬組成物
【請求項35】
前記多重特異性抗体が、配列番号9及び配列番号92、又はそれらのバリアントを含む、請求項34に記載の医薬組成物
【請求項36】
前記抗体が、0~5個のアミノ酸挿入、欠失、置換、追加、又はそれらの組み合わせを有する配列番号109による共通の軽鎖のIMGTによるLCDR配列を含む、請求項1、24、又は25に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせは、存在する場合、CDR領域のアミノ酸配列には存在しない、請求項24又は25に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記抗体が、アミノ酸配列QSISSYを含むLCDR1、アミノ酸配列AASを含むLCDR2、及びアミノ酸配列QQSYSTPPTを含むLCDR3(すなわちIMGTによるIGKV1~39のCDR)を含む共通軽鎖可変領域を含む、請求項1、24、又は25に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記抗体が、配列番号110で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖可変ドメイン、若しくは配列番号109で示されるアミノ酸配列を有する共通軽鎖、又はそれらのバリアントを含む、請求項1、24、又は25に記載の医薬組成物
【請求項40】
前記抗体が、配列番号112で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン1(CH1)、配列番号114で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン2(CH2)、配列番号115で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び配列番号116で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメイン3(CH3)、又はそれらのバリアントを含む、請求項1、24、又は25に記載の医薬組成物
【請求項41】
CD137の細胞外部分に結合する抗原結合部位、及び第2の膜タンパク質の細胞外部分に結合する抗原結合部位を含む、多重特異性抗体と、PD-1又はPD-L1阻害剤との併用での前記多重特異性抗体の使用指示書と、を含む、医薬品組み合わせ。
【請求項42】
使用指示書を更に含む、請求項41に記載の医薬品組み合わせ。
【請求項43】
前記使用指示書が、静脈内投与及び/又は投与量についての指示書を含む、請求項42に記載の医薬品組み合わせ。
【国際調査報告】