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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ストラップ調整機構
(51)【国際特許分類】
   G02C 11/00 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024544406
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2023051926
(87)【国際公開番号】W WO2023144268
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】2201011.0
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500286078
【氏名又は名称】スピード・インターナショナル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オスマン トーマス フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン クリス
(72)【発明者】
【氏名】ホン ジーン
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006CA03
(57)【要約】
【解決手段】ユーザーの頭部に眼鏡を固定するためのストラップを備える前記眼鏡のためのストラップ調整機構であって、前記調整機構は、ヘッドストラップが延伸可能な細長いシャフトを有し、前記シャフトの前記細長い延伸部が縦方向を定める本体と、前記本体に移動可能に取り付けられる取付部と、前記本体に面するカム面を有し、前記取付部から自由端まで前記シャフトに向けて横方向に延伸する爪と、前記爪および前記本体の間を移動可能な係合部材とを備え、前記係合部材と前記爪のカム面は、前記爪の前記自由端において係合位置と係合解除位置の間を前記係合部材が横方向に移動するように協働するように構成され、前記係合位置は、前記シャフトの延伸時に前記自由端がストラップに係合可能であり、前記係合解除位置は、前記シャフトの延伸時にストラップから外れるように、前記自由端が前記シャフトから持ち上げられる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの頭部に眼鏡を固定するためのストラップを含む、前記眼鏡のためのストラップ調整機構であって、
ヘッドストラップが延伸可能な細長いシャフトを有し、前記シャフトの前記細長い延伸部が縦方向を定める本体と、
前記本体に移動可能に取り付けられる取付部と、前記本体に面するカム面を有し、前記取付部から自由端まで前記シャフトに向けて横方向に延伸する爪と、
前記爪および前記本体の間を移動可能な係合部材とを備え、
前記係合部材と前記爪のカム面は、前記爪の前記自由端において係合位置と係合解除位置の間を前記係合部材が横方向に移動するように協働するように構成され、
前記係合位置は、前記シャフトの延伸時に前記自由端がストラップに係合可能であり、
前記係合解除位置は、前記シャフトの延伸時にストラップから外れるように、前記自由端が前記シャフトから持ち上げられることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項2】
請求項1に記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材は、前記係合部材が横方向の移動中に前記カム面と係合する係合面を有し、
前記カム面および前記係合面の少なくとも一つは、前記係合部材が移動する基準面に対して傾斜していることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項3】
請求項2に記載のストラップ調整機構であって、
前記カム面および前記係合面の少なくとも一つの前記傾斜は、横方向に延伸するように配置されることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記取付部は、前記爪が爪回転軸を中心に回転するように、前記本体に取り付けられることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項5】
請求項4に記載のストラップ調整機構であって、
前記爪回転軸は、実質的にシャフトと平行であることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記爪は、前記爪が前記係合位置に付勢するように配置された爪付勢部を有することを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項7】
請求項6に記載のストラップ調整機構であって、
前記の爪付勢部は、前記爪の前記自由端に対して前記取付部の反対側で前記取付部から突出する弾性突起を有することを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項8】
請求項7に記載のストラップ調整機構であって、
前記弾性突起は、少なくとも前記係合解除位置にある前記本体に対して付勢されていることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記爪の前記自由端は、前記係合位置にあるとき、ストラップが前記シャフトを中心に一方向に移動できるように構成されることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材は、係合部材回転軸を中心に回転するように前記本体に取り付けられることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項11】
請求項5に従属する請求項10に記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材回転軸は、前記爪回転軸に実質的に垂直であることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材が、細長く、前記爪の幅の30%以上にわたって延伸することを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材を前記係合位置に偏らせるように構成されたバイアス部材を有することを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項14】
請求項13に記載のストラップ調整機構であって、
前記係合部材と前記バイアス部材は、固定的に接続されることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項15】
請求項13または14に記載のストラップ調整機構であって、
前記バイアス部材は、前記爪と前記本体の間に配置されているストラップ調整機構。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
前記バイアス部材は、少なくとも前記係合解除位置において前記本体に対して付勢されていることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項17】
請求項8に従属する請求項16に記載のストラップ調整機構であって、
前記本体は、隆起した当接部を有し、
前記弾性突起とバイアス部材のそれぞれは、少なくとも前記係合解除位置において、前記隆起した当接部に対して付勢されていることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一つに記載のストラップ調整機構であって、
動作可能に前記係合部材に取り付けられたボタンを有し、
前記動作可能な接続は、前記ボタンが押されると、前記本体と前記爪の間を横方向に移動するように構成されていることを特徴とするストラップ調整機構。
【請求項19】
ストラップアッセンブリであって、
請求項1から請求項18のいずれか一つに記載のストラップ調整機構と、
前記ストラップ調整機構の前記シャフトの周りに延伸するストラップと、を備え、
前記ストラップは、前記ストラップの長さの少なくとも一部に沿って間隔を開けて配置された複数の横方向の凹部を有し、
前記凹部は、前記ストラップ調整機構の前記爪の前記自由端と係合するように配置されることを特徴とするストラップアッセンブリ。
【請求項20】
眼鏡であって、
ノーズブリッジを介して接続される第1のアイピースおよび第2のアイピースを備え、
少なくとも一つの前記アイピースは、請求項1から請求項18のいずれか一つに記載の調整機構を有する眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡のストラップ調整機構、およびその調整機構を含む眼鏡に関する。このストラップ調整機構は、特にゴーグルやシュノーケリングマスクのような水中アクティビティで使用される保護眼鏡に使用されるが、それだけに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
眼鏡は、ファッション、目の保護、および/または視力の向上など、さまざまな目的で着用される。通常、眼鏡にはアイピース(すなわち、フレームの一部として形成される)と、アイピースを接続するノーズブリッジが含まれる。
【0003】
いくつかのケースでは、アイピースの外側側面から突出し、ユーザーの耳に引っ掛けるアームを介してアイピースをユーザーの頭に固定する。他の配置では、ヘッドストラップを使用してアイピースをユーザーの頭に固定する。このような配置は、アイピースとユーザーの顔の間をしっかりと密閉してその間の空間に水が浸入することを防ぐことが重要である水泳用ゴーグルやマスクでよく見られる。
【0004】
通常、ヘッドストラップは、アイピースの外側側面に接続され、アイピースの外側側面間を延伸する、伸縮性がある素材の細長いバンドの形をしている。特に、ストラップの両端は、それぞれのアイピースに形成された開口部に通されることが多く、ストラップの中央部分は、一方のアイピースから他方のアイピースまで(装着時に)装着者の頭部の周囲を延伸する。
【0005】
安全で快適な装着感を確保するには、ヘッドストラップのサイズが装着者の頭のサイズと形状に合っていること(つまり、ヘッドストラップによって加えられる張力)が重要である。このため、ユーザーがアイピース間(つまり、頭部の周囲)に延伸するストラップの長さを調整するように調整機構を有することが知られている。場合によっては、この調整機構はアイピースに設けられる(通常、各アイピースには調整機構が含まれる)。
【0006】
ある調整機構の既知のタイプには、アイピースの開口部を通るストラップのループ部分に選択的に係合および係合解除できる部品が含まれており、これにより、開口部を通るストラップの動きを制限したり許容したりできる。この部材は、ボタンを押すことで動くことができるため、ユーザーは、ストラップから部材を外して、アイピースとユーザーの頭部の周りに延伸するストラップの長さを調整できる。
【0007】
このような調整機構は、操作が難しい(例えば、ユーザーがかなりの力を加える必要がある)可能性があり、場合によっては、眼鏡を装着時に操作するとユーザーに不快感を与える可能性がある。例えば、いくつかの既知の配置では、ストラップを外すボタンは、装着時にユーザーの頭部の方向(通常はユーザーのこめかみの領域)に押されるように配置されている。ボタンが押されると、調整機構がユーザーの頭部に押し込まれ、不快感が生じる。
【0008】
この不快感を回避するために、ボタンが調整機構の上部と下部に配置され、ユーザーがそれらをつまんでストラップを外すという構成がある。ボタンを押すと、ボタンは垂直および互いに内側に向かってスライドし、それぞれが爪の上部または下部のエッジに係合して爪をストラップから持ち上げ、ストラップを外して調整できるようにする。これにより、前述のような不快感の問題は軽減されるが、このような調整機構は、ユーザーが指と親指を正確に配置してから、かなりの力を加えて外す必要があるため、使いにくい場合がある。
【0009】
前述の問題の少なくとも一つを軽減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第1の態様は、ユーザーの頭部に眼鏡を固定するためのストラップを含む、前記眼鏡のためのストラップ調整機構を提供し、
前記調整機構は、
ヘッドストラップが延伸可能な細長いシャフトを有し、前記シャフトの前記細長い延伸部が縦方向を定める本体と、
前記本体に移動可能に取り付けられる取付部と、前記本体に面するカム面を有し、前記取付部から自由端まで前記シャフトに向けて横方向に延伸する爪と、
前記爪および前記本体の間を移動可能な係合部材とを備え、
前記係合部材と前記爪のカム面は、前記爪の前記自由端において係合位置と係合解除位置の間を前記係合部材が横方向に移動するように協働するように構成され、
前記係合位置は、前記シャフトの延伸時に前記自由端がストラップに係合可能であり、
前記係合解除位置は、前記シャフトの延伸時にストラップから外れるように、前記自由端が前記シャフトから持ち上げられることを特徴とするストラップ調整機構である。
【0011】
このような配置では、前記係合部材は、前記爪と前記本体の間を移動(例えばスイープ)して前記爪をストラップから持ち上げ、ストラップを外す。理解できるように、このような機構はボタンを1回押すだけで作動できる。このように、前記機構は、例えば複数のボタンを同時に押す必要がある機構より、ユーザーにとって操作が簡単(かつ便利)になる。
【0012】
同様に、前記係合部と前記カム面の連携により、係合部の横方向の動きが爪の持ち上げ動作に変換される。したがって、前記機構の少なくとも一つの配置では、ボタンは装着時に垂直に作動する(着用者の頭部に向かって水平方向に作動することで生じる不快感を回避する)。
【0013】
係合アームの横方向の動き(例えば、縦方向の動きではなく)に反応するようにカム面を構成すると、より堅牢な機構を提供できる。例えば、係合部材が少なくとも爪の幅の一部にわたって爪と係合し、したがって爪を動かすときに少なくともその幅の一部にわたって爪を支持することを意味する。これにより、例えば、爪が作動するときの爪のねじれを最小限に抑制できる(爪の一つのエッジおよび/または側面に持ち上げる力を加えると、ねじれが発生する可能性がある)。
【0014】
疑義を避けるために、ここでの機構のさまざまな部品が係合位置または係合解除位置にあるという言及は、爪が係合および/または係合解除位置にあるときのそれらの部品の位置の言及である。
【0015】
次に、本発明の任意の特徴について説明する。これらは、単独でまたは任意の組み合わせで本発明の任意の態様に適用できる。
【0016】
シャフトの延伸によって定義される縦方向(または軸)は、横方向に対して実質的に垂直でもよい。爪は、取付部から自由端まで、シャフトに対して実質的に垂直な方向に延伸してもよい。
【0017】
使用時の向き(例えば、ユーザーによって装着される眼鏡の一部を形成する場合)では、縦方向(または縦軸)は実質的に垂直に延伸してもよい。このような向きでは、ストラップはシャフトから水平に延伸し、装着者の頭部の周りを通過する。使用時は、横方向は実質的に水平であってもよい。横軸(すなわち、横方向に延伸する)は、使用時の前方および/または後方の軸であってもよい。同様に、使用時は、爪の自由端は、ユーザーの頭に対して内側および外側の方向(すなわち、概ね内向きおよび/または外向きの軸に沿って)へ動く。したがって、爪がシャフトから持ち上げられると、爪の自由端は外向きの方向に移動してもよい。
【0018】
前記機構は、係合部材に動作可能に接続されたボタンを備えてもよい。この動作接続は、ボタンが押されると、係合部材が爪と本体との間で横方向に移動するように構成されてもよい。言い換えれば、ボタンは、爪が係合位置にある解放位置と、爪が係合解除位置にある押下位置との間で移動可能でもよい。
【0019】
ボタンは、係合部材に固定接続されてもよい。ボタンは、係合部材と一体に形成されてもよい。ボタンは、ユーザーが押し下げて、ボタンを解放位置から押下位置に移動するように構成された押下面を備えてもよい。押下面は、本体の外部から(すなわち、ユーザーの指で)アクセス可能でもよい。押下面は、本体の外部に位置するように配置されてもよい。押下面は、係合位置において本体の外面から突出してもよい。ボタンは、本体に形成された凹部に少なくとも部分的に受け入れられてもよい。
【0020】
取付部は、爪を本体に回転可能に取り付けてもよい。取り付けは、本明細書では爪回転軸と呼ばれる回転軸(例えば、固定された回転軸)を中心に爪が回転するものでもよい。爪回転軸は、縦方向に(例えば、使用時の垂直方向に)延伸することができる。爪回転軸は、シャフト(すなわち、シャフトの細長い延伸部)と実質的に平行であり、シャフトから横方向に間隔をあけてもよい。使用時の向きでは、爪回転軸はシャフトの前方にある。
【0021】
取付部は、本体のピンまたは凹部と係合するように構成されたピンまたは凹部を備えてもよい。例えば、取付部は、本体の間隔を置いて対向する凹部またはピンと係合するように、爪回転軸に沿って並んだ間隔を置いて対向するピンまたは凹部を有してもよい。各凹部は、開口部の形状でもよい。ある実施形態では、例えば、本体には、回転軸に沿って間隔を置いて配置された二つの突起が設けられ、各突起には、対応する爪のピンまたは凹部と係合するための凹部またはピンが設けられる。爪は、突起間がスナップ係合するために構成されてもよい。
【0022】
係合部材は、本体と爪との間の基準面に沿って移動するように配置されてもよい(すなわち、係合部材は、単一の面内で移動および/または回転してもよい)。前述の使用時の向きでは、基準面は、概ね垂直な面であり、実質的に前方および/または後方に延伸してもよい。ある実施形態では、本体はベース面を備え、基準面は、ベース面と平行および/または同一平面でもよい。
【0023】
係合部材は、本体に回転可能に取付られてもよい。係合部材は、回転軸(例えば、固定された回転軸)を中心に回転可能でもよく、本明細書では、この回転軸を係合部材回転軸と呼ぶ。係合部材回転軸は、爪回転軸に対して実質的に垂直でもよい。係合部材回転軸は、シャフトに対して実質的に垂直でもよい。係合部材回転軸は、縦方向および横方向に対して実質的に垂直でもよい。使用時の向き(前述の通り)では、係合部材回転軸は、内向きおよび/または外向き方向(すなわち、ユーザーの頭部に向かっておよび/またはユーザーの頭部から離れる方向に延伸する方向)に延伸してもよい。
【0024】
係合部材回転軸は、シャフトから横方向に間をあけて配置してもよい。係合部材回転軸は、爪の取付部よりもシャフトから遠い位置に配置してもよい。したがって、係合部材回転軸は、爪の取付部よりもシャフトから遠くてもよい。
【0025】
係合部材は、係合部材回転軸とシャフトの間に配置されてもよい。
【0026】
係合部材は、爪とは分かれてもよい(すなわち、爪に接続されていない部品の一部であるか、またはその一部を形成してもよい)。係合部材は細長いものでもよい。係合部材は、例えば、爪の実質的な幅にわたって延伸してもよい(幅は、爪の縦方向の寸法である)。係合部材は、爪の幅の30%または50%または80%を超えて延伸してもよい。係合部材は、少なくとも爪の全幅にわたって延伸してもよい(爪の少なくとも全体にわたって延伸してもよい)。
【0027】
係合部材は、その長さに沿って実質的に直線でもよい(ただし、他の実施形態では、その長さに沿って湾曲してもよい)。係合部材は、少なくとも係合位置では、縦方向に延伸してもよい(例えば、シャフトと実質的に平行でもよい)。係合部材は、ボタンに近い近位端を有し、遠位端まで延伸してもよく、遠位端は自由端でもよい。
【0028】
係合部材は、カム面と連携する係合面(すなわち、爪に面する面)を備えてもよい。係合面は、係合部材の移動方向に対して傾斜してもよい。すなわち、係合面の傾斜は、横方向に延伸する向きに配置されてもよい。係合面は、基準面(および/またはベース面)に対して傾斜してもよい。
【0029】
係合面は、爪の実質的な幅にわたって延伸してもよい(幅は、爪の縦方向の寸法である)。係合面は、爪の幅の30%または50%または80%を超えて延伸してもよい。係合面は、爪の全幅にわたって延伸してもよい(爪全体にわたって延伸してもよい)。
【0030】
係合面は、係合部材がカム面に向かって移動するとき、先導する前縁を備えてもよい。係合面は、係合部材がカム面に向かって移動するとき、後続する後縁を備えてもよい。係合面は、前縁から後縁への方向に傾斜してもよい。係合面は、前縁から後縁への方向に、基準面(および/またはベース面)から離れる方向に傾斜してもよい。したがって、係合部材は、後縁で前縁よりも厚く(例えば、内向きおよび/または外向きの方向に)なってもよい。
【0031】
係合面の少なくとも一部は、係合部材の長さに沿った方向にさらに傾斜してもよい。係合面は、係合部材の近位端から遠位端への方向に基準面に向かって傾斜してもよい。したがって、係合部材の厚さは、近位端から遠位端に向かう方向に内向きに先細でもよい。
【0032】
係合部材は、近位部と遠位部(すなわち、その近位端と遠位端に配置されている)を備えてもよい。係合面は、近位部に設けられてもよい。したがって、近位部は、前述のように先細でもよい(例えば、縦方向と横方向の両方に)。遠位部は、概ね連続した断面形状を有してもよい。係合部材が係合解除位置にあるとき、爪(例えば、爪のカム面)は遠位部の上に乗ってもよい。
【0033】
爪のカム面は、係合部材の移動方向および/または軸に対して傾斜してもよい。すなわち、カム面の傾斜は、横方向に延伸する向きに配置されてもよい。カム面は、基準面(および/またはベース面)に対して傾斜してもよい(すなわち、基準面と角度を形成してもよい)。カム面は、爪の取付部と自由端との間の方向に傾斜してもよい。
【0034】
カム面は、取付部から自由端に向かう方向に、基準面(および/またはベース面)から離れて傾斜してもよい。したがって、カム面は、自由端(およびシャフト)に面してもよいし、自由端(およびシャフト)に向かって(自由端へ延伸して)もよい。取付部に向かうカム面の端部は、自由端に向かうカム面のカム面端部よりも基準面(および/または本体)に近い場合がある。カム面は、取付部に近い近位端と、取付部から遠い遠位端とを有する場合がある。カム面の近位端と本体との間の距離は、カム面の遠位端と本体との間の距離よりも小さい場合がある。
【0035】
爪は、カム面の遠位端またはその近くに限界面を備えてもよい。限界面は、本体に向かって延伸してもよい(例えば、ベース面に対して概ね垂直でもよい)。限界面は、係合部材の動きを制限するように配置されてもよい。係合部材は、係合位置で限界面に当接してもよい(限界面によってシャフトに向かってそれ以上動かないようにしてもよい)。
【0036】
爪の自由端は、使用時にストラップと係合する縦方向に延伸する自由縁(すなわち、使用時の向きにおいて実質的に垂直な縁)を定めてもよい。自由縁は、シャフトと実質的に平行でもよい。爪の自由端は、係合位置にあるときに、ストラップが爪を越えて単一の方向(すなわち、一方向のみ)に移動できるように構成されてもよい(すなわち、他の方向への移動を制限)。特に、爪の自由端は、ストラップが爪を越えて本体(例えば、ベース面)から離れる方向に移動できるように構成されてもよい。一方、爪の自由端は、ストラップが爪を越えて本体に向かう方向に動くことを制限および/または防止することができる。
【0037】
例えば、自由端は、非対称のプロファイルを有する先端部を含んでもよい。すなわち、先端部は、自由端で接合される内側および外側の先端面(内側の面は外側の面よりも本体に近い)によって定められ、非対称である。内側の先端面と基準面との間の角度は、外側の面と基準面との間の角度よりも大きくてもよい(内側の面は外側の面よりも急勾配でもよい)。
【0038】
爪は、係合位置に付勢してもよい。爪は、爪を係合位置に付勢するように配置された爪付勢部を含んでもよい。爪付勢部は、弾性(例えば、爪のうち、取付部から自由端まで延伸する部分よりも弾性)があってもよい。爪付勢部は、弾性のある突起を含んでもよい。弾性突起は、爪の自由端に対して取付部の反対側に取付部から(例えば横方向に)突出してもよい。弾性突起は、少なくとも係合解除位置で本体に対して付勢されてもよい(例えば、弾性突起の遠位端が本体に接触してもよい)。
【0039】
弾性突起は、その長さに沿って湾曲してもよい。弾性突起は、本体に向かって湾曲してもよい(例えば、本体に向かって凹状でもよい)。弾性突起は、爪が係合位置から係合解除位置に移動すると、本体との接触により弾性突起が撓む(例えば、曲がった形状からまっすぐになる)ように構成されてもよい。この撓みによって、爪が係合解除位置から外れて(つまり、係合位置に向かって)もよい。弾性突起は、取付部から離れる方向に内側に先細でもよい。爪(すなわち付勢部)は、取付部に沿って縦方向に間隔をあけて配置された二つの弾性突起(それぞれは前述のとおり)を備えてもよい。
【0040】
調整機構は、ボタンおよび/または係合部材を係合位置に偏らせるように構成されたバイアス部材をさらに備えてもよい。ボタンおよび/または係合部材用のバイアス部材と別の爪用の付勢手段とを備えることにより(すなわち、二つの異なる付勢手段を調整することにより)、爪を持ち上げるために必要な力を制御する能力が向上する。このような制御は、例えば異なるユーザーグループ(大人と子供など)に合わせて力を調整できるようにするために望ましい。
【0041】
バイアス部材は、係合部材に固定的に接続される(例えば、一体的に形成される)場合がある。バイアス部材は弾性を有する(例えば、係合部材よりも弾性が高い)場合がある。バイアス部材は、その長さに沿って湾曲している場合がある。バイアス部材(例えば、バイアス部材の自由端)は、少なくとも係合解除位置において、本体に対して付勢されてもよい。バイアス部材は、(本体との接触により)係合位置から係合解除位置に移動されるとき、撓むように構成されてもよい。バイアス部材は、縦方向に延伸してもよい。
【0042】
バイアス部材は、少なくとも係合解除位置において、本体の隆起した当接部(例えば、本体のベース面から突出している)に対して(接触するように)付勢されてもよい。隆起した当接部は、(例えば、縦方向に延伸する)リブの形状であってもよい。バイアス部材は、隆起した当接部の側面に接触してもよい。爪付勢部(例えば弾性突起)は、爪を付勢するために、少なくとも係合解除位置において、隆起した当接部に対して(接触するように)付勢されてもよい。爪付勢部は、隆起した当接部の遠位端面(例えば、使用時に外側を向いている面)に接触してもよい。バイアス部材は、爪付勢部の付勢部と本体(例えばベース面)との間に配置されてもよい。
【0043】
係合部材、ボタンおよびバイアス部材のそれぞれは、固定的に接続される(例えば、一体的に形成される)。係合部材、ボタンおよびバイアス部材は、調整機構のアクチュエータの少なくとも一部を形成してもよい。アクチュエータは、アクチュエータを本体に回転可能に取り付けるアクチュエータ取付部を備えてもよい(すなわち、前述のように係合部材を本体に回転可能に取り付ける)。アクチュエータ取付部は、本体の対応する突起または凹部と係合するための、凹部(例えば開口部)または突起を備えてもよい。
【0044】
アクチュエータ取付部は、ボタンとバイアス部材との間に接続されてもよい。つまり、バイアス部材は、アクチュエータ取付部から突出してもよい。したがって、バイアス部材は、アクチュエータ取付部のボタンに対して反対側に配置されてもよい。
【0045】
アクチュエータ取付部は、係合部材が延伸するボタンの第2の側端とは反対側のボタンの第1の側端に接続されてもよい。アクチュエータ取付部および係合部材の一方または両方は、押圧面とは反対側のボタンの表面から延伸したり、接続してもよい。このように、アクチュエータは、概ねU字型の形状を有し、バイアス部材およびアクチュエータ取付部は、“U”字型の第1の脚を形成し、係合部材は、“U”字型の第2の脚を形成し、ボタンは第1の脚と第2の脚とをつなぐ。
【0046】
第2の態様は、眼鏡をユーザーの頭部に固定するためのストラップを含む眼鏡用ストラップ調整機構を提供し、この調整機構は、
ヘッドストラップが延伸可能な細長いシャフトを有する本体と、
前記本体に回転可能に取り付けられる爪取付部を有し、前記爪取付部から前記シャフトの近くにある自由端まで延伸する爪と、
前記本体に回転可能に取り付けられるアクチュエータ取付部を有するアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、前記爪と前記本体の間に延伸する基準面に沿って回転可能であるように取り付けられ、それによって前記アクチュエータが係合位置と係合解除位置の間を回転できる。
前記係合位置は、前記シャフトの延伸時に前記自由端がストラップに係合可能であり、
前記係合解除位置は、ストラップから外れるように、前記自由端が前記シャフトから持ち上げられることを特徴とするストラップ調整機構である。
【0047】
第2の態様の調整機構(例えば、本体、爪および/またはアクチュエータ)は、第1の態様に関して前述のとおりでもよい(例えば、第1の態様で説明したオプション機能の一つ以上を含んでもよい)。
【0048】
第3の態様は、ストラップアッセンブリを提供し、
このストラップアッセンブリは、
第1の態様および第2の態様において記載したストラップ調整機構と、
前記ストラップ調整機構の前記シャフトの周りに延伸するストラップと、を備え、
前記ストラップは、前記ストラップの長さの少なくとも一部に沿って間隔を開けて配置された複数の横方向の凹部を有し、
前記凹部は、前記ストラップ調整機構の前記爪の前記自由端と係合するように配置されることを特徴とするストラップアッセンブリである。
【0049】
第4の態様は、眼鏡を提供し、
この眼鏡は、
ノーズブリッジを介して接続される第1のアイピースおよび第2のアイピースを備え、
少なくとも一つの前記アイピースは、第1の態様または第2の態様に記載の調整機構を有する眼鏡である。
【0050】
眼鏡は、ストラップ調整機構のシャフトの周りに延伸するストラップをさらに備えてもよい。ストラップは、ストラップの長さの少なくとも一部に沿って間隔をあけて配置される複数の横方向の凹部を備えてもよい。これらの凹部は、ストラップ調整機構の爪の自由端と係合するように配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以下、添付の図面を参照して実施形態について説明する。
図1A】係合位置にあるときの水泳用ゴーグルのストラップ調整機構の内部の正面図である。
図1B】係合位置にあるときのストラップ調整機構の底面図である。
図2A】係合解除位置にあるときのストラップ調整機構の内部の正面図である。
図2B】係合解除位置にあるときのストラップ調整機構の底面図である。
図3A】ストラップ調整機構の爪の斜視図である。
図3B】爪の側面図である。
図4A】ストラップ調整機構のアクチュエータの正面図である。
図4B】アクチュエータの背面斜視図である。
図5】ストラップ調整機構の本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、添付の図面を参照して、態様および実施形態について説明する。当業者には、さらなる態様および実施形態が明らかであろう。
【0053】
図1Aから2Bは、一対の水泳用ゴーグル12のアイピース11の一部を形成するストラップ調整機構10を示す(一部のみが示される)。特に、調整機構10は、アイピース11の外側側面13に設けられ、そこに(ゴーグル12をユーザーの頭部に固定するための)ヘッドストラップ14が取り付けられている。
【0054】
ストラップ調整機構10は、(アイピース11の後方に延伸するアームを定める)アイピース11と一体に形成された本体15を含む。本体15は縦方向に延伸するシャフト16を有し、このシャフトの周りをヘッドストラップ14がループ状に通り、ヘッドストラップ14がストラップ調整機構10に固定される。ストラップ調整機構10には、さらに、図示され、以下に説明されるさまざまな部品を囲むように本体15に取り付けられるハウジング(図示せず)を含む。
【0055】
図1Aおよび2Aの機構10の前述は、通常の使用時(つまり、ユーザーが装着しているとき)の機構10の向きを示す。この向きでは、シャフト16はほぼ垂直に延伸する(つまり、縦方向、または縦軸は、垂直である)。ここで使用される横方向は水平であり、ほぼ前方および/または後方軸(つまり、前方はユーザーの前方、後方はユーザーの後方)に沿って延伸しており、この軸はページ上の左右の軸である。同様に、内側方向への言及は着用者の頭に向かう方向(ページ内)への言及であり、外側方向への言及は着用者の頭から離れる方向(ページ外)への言及である。
【0056】
図示されていないが、シャフト15の片側にあるストラップ14の第一部分17は自由端まで延伸しており、シャフト15の反対側にあるストラップ14の第二部分18はゴーグル12の他方のアイピースに備わるさらなるストラップ調整機構まで延伸している(すなわち、第二部分17は、使用時にユーザーの頭の後ろの周囲に延伸する)。ヘッドストラップ14は細長い弾性バンドの形状をしている。ストラップ14の片側には、ストラップ14の幅にわたって延伸し、ストラップ14の長さの一部に沿って間隔をあけて配置された複数の横方向の凹部19(つまり溝)が設けられている。以下でさらに説明するように、これらの凹部19は調整機構10と連携して、使用時にユーザーの頭部の周囲に延伸するストラップ14の長さを調整できるようにする。
【0057】
特に、凹部19は、調整機構10の爪20と連携する。爪20は、爪20が爪回転軸を中心に回転するように、爪20を本体15に回転可能に取り付ける取付部21を有する。爪回転軸は、シャフト16と平行で、シャフト16の前方にある(図1Aおよび2Aに示すように、シャフト16に垂直で、左側にある)。爪20は、取付部21から自由端22までシャフト16に向かって横方向に延伸しており、ヘッドストラップ14の凹部19に係合する(図1Aおよび図1Bに示すように係合位置にある)。
【0058】
爪20の回転は、ストラップ調整機構10のアクチュエータ23によって行われる。アクチュエータ23は、アクチュエータ取付部24を介して本体15に回転可能に取り付けられている。アクチュエータ23は、アクチュエータ23が回転するとき、爪20と本体15(すなわち、本体15の実質的に平坦なベース面31)との間で移動する細長い係合部材25を有する。動作中、係合部材25の係合面26は、爪20の内側(本体15に面する側)のカム面27と連携し、係合部材24の横方向の移動によって爪20の自由端22が係合位置(図1Aおよび図1Bに示す)と係合解除位置(図2Aおよび図2Bに示す)との間で移動する。係合位置では、爪20の自由端22がストラップ14の横方向の凹部19に係合して、シャフト16の周りのストラップ14の動きが制限する。係合解除位置では、爪20の自由端22がストラップ14から持ち上げられ、シャフト16の周りのストラップ14の動きが可能になる。
【0059】
したがって、ユーザーは爪20を解放して、アイピース11間(および頭部の周り)に延伸するストラップ14の長さを調整し、次に、爪20をストラップ14に係合させて、アイピース11間のストラップ14の長さを固定できる(つまり、ゴーグル12をユーザーの頭に固定できる)。ユーザーは、アクチュエータ23の一部であるボタン28(したがって、係合部材25に動作可能に接続されている)を押すことによって、爪20のこのような動きを引き起こすことができる。特に、ボタン28を押すと、係合部材25が横方向に移動して、係合面26がカム面27に係合し、爪20が持ち上がる。
【0060】
爪20は、図3Aおよび図3Bに詳細に示される。これらの図から明らかなように、回転可能に取り付けるために、爪20の取付部21には、爪の回転軸に沿って間隔をあけて配置された二つの対向する円筒形のピン29が含まれている(爪20の上部および下部から突出している)。ピン29は、本体15に形成された対応する円形の開口部30に受け入れられる(図5に示す)。
【0061】
爪20のカム面27は、爪20の取付部21から自由端22に向かって延伸する。カム面27は湾曲しており、使用時に係合部材25が移動する平面(すなわち基準面)(すなわち、図示の実施形態では、基準面は本体15のベース面31に平行である)に対して傾斜している。特に、係合部材25は、爪20の取付部21から自由端22に向かう方向にベース面31から離れる方向に傾斜する。したがって、カム面27の近位端(取付部21側に位置する)は、カム面21の遠位端(自由端22側に位置する)よりも本体15のベース面31に近い。
【0062】
図3Bから特に明らかなように、カム面27は、爪20の内側に設けられた凹部32を部分的に定める。凹部32は、カム面27の遠位端から本体15に向かって延伸する制限面33によっても部分的に定められる。以下でさらに説明するように、係合部材25は、係合位置にあるときに制限面33に当接する(これにより、係合部材25の横方向の動きが制限される)。
【0063】
図3Bからも明らかなように、爪20の自由端22は、ヘッドストラップ14が爪20を越えて一方向に移動できるように構成されている。特に、自由端22は、非対称の特徴を持っている。自由端22の内面34は、外面35よりも急な角度で(ベース面31または基準面の両方に対して)延伸する。したがって、爪の自由端22がストラップ14と(具体的には、ストラップに形成された横方向の凹部19で)係合すると、自由端22の非対称形状は、ストラップが緩むのを制限するが、ストラップ14をさらに締めることを可能にする。
【0064】
爪20は、係合位置に付勢されるように構成される。これを実現するために、爪20は、爪20を係合位置に付勢するように配置された爪付勢部36を備える。爪付勢部36は、取付部21に沿って縦方向に間隔をあけて配置された二つの弾性突起37(または突起)を備える。弾性突起37は、爪20の自由端22に対して取付部21の反対側で取付部21から突出する。弾性突起37は、それぞれの長さに沿って湾曲するように(本体15に向かって凹面になるように)形成され、両方の突起37は、その延伸方向に向かって内側に先細になっている。以下でさらに詳しく説明するように、弾性突起37は、動作時には、本体に接触して爪20を係合位置に付勢させる。
【0065】
図4Aおよび図4Bは、アクチュエータ23のより詳細な図を示す。アクチュエータ23は、係合部材25、ボタン28、細長いバイアス部材38、およびアクチュエータ23を本体15に回転可能に取り付けるためのアクチュエータ取付部24を含む。これらの部品は単一構造となるように一体的に形成されている。
【0066】
アクチュエータ取付部24は環状であり、本体15のベース面31から外側に延伸する対応する円筒形の突起39を受け入れるための開口部40を定める(図5を参照)。したがって、アクチュエータ23、ひいては係合部材25、ボタン28、およびバイアス部材38は、突起39に取り付けられると、突起39を中心に回転可能である。特に、アクチュエータ23は、図1Aおよび2Aに示すように、使用時の向きで内および/または外方向に延伸する回転軸(本明細書では係合部材回転軸と呼ぶ)を中心に回転可能である。係合部材の回転軸は、爪回転軸およびシャフト16の延伸方向に対して実質的に垂直である。
【0067】
バイアス部材38は、アクチュエータ取付部24に隣接する近位端41から、アクチュエータ取付部24から遠位にある遠位自由端42まで、概ね上方向(使用時の向き)に延伸している。バイアス部材38は(基準面で)円弧状であり、係合部材25から離れる方向に湾曲している。以下でさらに説明するように、バイアス部材38はアクチュエータ23を係合位置に付勢し、バイアス部材の円弧形状がこの機能を容易にする。
【0068】
ボタン28は、アクチュエータ取付部24のバイアス部材38とは反対側のアクチュエータ取付部24に接続されている。アクチュエータ取付部24への接続の反対側に、ボタン28は押圧面43を備えており、この押圧面43は、(本体15に組み立てられたときに)機構10の下部外面を定め、したがって、ユーザーが(指または親指を使用して)押圧して係合部材25を移動させ、その結果、爪20が係合位置から係合解除位置に移動される。具体的には、押圧面43はアイピース11の下部に(アクセス可能に)配置されている(図1Bおよび図2Bから明らかである)。
【0069】
アクチュエータ取付部24と同様に、係合部材25は、ボタン28の上面(押圧面の反対側)に接続される。アクチュエータ取付部24は、この表面の前部に接続され、係合部材25は、反対側の後部に接続される。その結果、アクチュエータ23は、ほぼ“U”字型の形状となり、バイアス部材38とアクチュエータ取付部24が“U”字型の第1の脚を形成し、係合部材25が“U”字型の第2の脚を形成し、ボタン28が第1の脚と第2の脚を結合する“U”字型のベースを形成する。
【0070】
係合部材25は、(ボタン28に固定されている)近位端44から、ボタン28から遠位にある遠位自由端45まで上方に延伸する。係合部材25は、その長さに沿って細長く、実質的に直線状であり、係合位置では縦方向に延伸する。
【0071】
係合部材25には、爪20のカム面27と連携する係合面46が設けられている(すなわち、係合面46は爪に面する面である)。係合面は、係合部材25がカム面27に向かって移動するとき、前に位置する前縁47と、係合部材25がカム面27に向かって移動するとき、後に位置する反対側の後縁48とを含む。係合面27は、ベース面31(したがって、係合部材25が移動する基準面)に対して傾斜しており、特に、前縁47から後縁48の方向にベース面31から離れる方向に傾斜している(つまり、係合部材25は、後縁48の方が前縁47よりも厚くなる)。
【0072】
係合面46も係合部材25の長さに沿った方向に傾斜する。具体的には、係合面26の近位部分49は、係合部材25の近位端44から遠位端45の方向にベース面31に向かって傾斜する。
【0073】
係合部材25は、係合面46の反対側に、本体15のベース面31に面し、(動作時に)ベース面31を横切ってスライドする平面ベアリング面62を含む。同様の平面ベアリング面63は、バイアス部材38およびアクチュエータ取付部24の内側(ベース面31に面する側)に設けられている。
【0074】
図5は、調整機構10の本体15のより詳細を示す。前述のように、本体15は、(回転可能な取り付けをするため)爪20のピン29が受け入れられる開口部30を定める。具体的には、開口部30は、本体15のベース面31から突出し、爪の回転軸に合わせて間隔をあけて配置されたカラー51の形態の突起に形成されている。各カラー51の内面52(カラー51の他方に面する)には、ベース面31から遠いカラー51の端部に配置されたガイド凹部53が含まれる。ガイド凹部53は、ピン29を開口部30に案内するように構成される。特に、ガイド凹部53は、ピン29を開口部30にスナップ係合させるのを容易にする。つまり、組み立て時に、ピン29をガイド凹部53に受け、次に取付部21をさらに押し込んでピン29を開口部30にはめ込むことができる。
【0075】
本体15は、円筒状の突起39(前述において手短に説明)の形でアクチュエータ23を回転可能に取り付けており、この突起は、二つのカラー51のうちの下側のカラー51から横方向(前方方向)に間をあけて配置されている。円筒状の突起39は、ベース面31から外側に突出しており、アクチュエータ取付部24の中央開口部40に受け入れることができる。
【0076】
シャフト16(図5に図示せず)は、本体15の後端に取り付けられている。特に、シャフト16は、その縦軸を中心に回転できるように取り付けられる(ただし、他の実施形態では固定される場合もある)。これにより、シャフト16を中心としたストラップ14の移動が容易になる(つまり、ストラップ14を緩めたり締めたりできる)。この回転可能な取り付けを提供するために、本体15には、シャフト16の両端部を受け入れる軸方向に並んだ対向する穴54が含まれている。各穴54は、本体15の後方に向かって延伸するアーム55にそれぞれ形成されている。アーム55は、その間に内側開口部58を画定するように縦方向に間隔を置いて配置されており、シャフト16は、(穴54に取り付けられるとき)その開口部を横切って延伸する。クロスメンバー56は、アーム55を(それらの後方端で)接続する。クロスメンバー56は、アーチ型になっており、本体15の後方に面した開口部57を定め、着用時に二つのストラップ部分17、18が開口部57を通って延伸する。
【0077】
本体15の端と反対側の前方において、本体15は、ベース面31から外側に突出するリブ59の形状をした隆起した当接部を備える。リブ59は、縦方向に細長く(つまり、シャフト16とほぼ平行に延伸する)、遠位(外向き)当接面60と、後方に面する横向き当接面61とを含む。これらの当接面60、61により、アクチュエータ23と爪20の付勢が容易になる。これは、図1Aから図2Aを参照するとよく説明できる。これらの図から明らかなように、爪20の弾性突起37の遠位端は、リブ59の遠位当接面60に接触する。ボタン28が押されて係合部材25が移動し、爪20が持ち上げられると、爪20が回転して、弾性突起37がリブ59に当接し、弾性突起37が撓む。この突起37の曲率によって、突起37の撓む動きがいくらか促進される(弾性突起37が撓むと、突起はまっすぐになる)。したがって、係合解除位置では、弾性突起37は、自然な形状から曲がって内部応力が生じ、その結果、突起37が爪20を係合解除位置に戻す。
【0078】
バイアス部材38も同様に動作する。バイアス部材38の遠位端は、リブの横方向の当接面61に(バイアス部材38が弾性突起37の下を通過するように)接触する。ボタン28が押されてアクチュエータが(図示のように反時計回りに)回転すると、バイアス部材38が横方向の当接面61に押し付けられ、バイアス部材38が撓む(つまり、まっすぐになる)。したがって、係合解除位置では、バイアス部材38は、自然な形状から曲がり、内部応力が発生し、その結果、バイアス部材38がアクチュエータ23を係合位置に向けて押し戻す(つまり、図示のようにアクチュエータ23を時計回り方向に押し戻す)。
【0079】
バイアス部材38は、係合部材25が後方に移動して爪20が内側に移動できるようにするだけでなく、ボタン28が元の位置(本体15の下面から突出している位置)に戻ることも確実にする。アクチュエータ23が時計回り方向に(つまり、係合位置を超えて)それ以上移動することは、係合部材25と爪20の制限面33との係合によって妨げられる。同様に、アクチュエータが係合解除位置を超えて反時計回り方向に移動することは、ボタン28が受け入れられる本体15のボタン受容凹部64の底部において、ボタン28が係合することによって制限される。
【0080】
前述の例示的な実施形態は、例示であって、限定的ではないと考えられる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、説明された実施形態にさまざまな変更を加えることができる。
【0081】
疑義を回避するために、ここで提供される理論的な説明は、読者の理解を向上させる目的で提供されている。発明者らは、これらの理論的な説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0082】
本明細書および以下の請求項では、文脈上別段の定めがない限り、“comprise”および“include”という語、ならびに“comprises”、“comprising”および“including”などの変形は、記載された整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループが含まれることを意味するが、他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップのグループが除外されることを意味するものではないと理解される。
【0083】
本明細書および添付の請求項で使用されている単数形“a”、“an”および“the”は、文脈上別段の定めがない限り、複数の対象を含むことに留意する必要がある。本明細書では、範囲は、“約”ある特定の値から、および/または“約”別の特定の値までと表現される場合がある。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または別の特定の値までを含む。同様に、先行詞“約”の使用によって値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。数値に関する“約”という用語は、適宜変更可能であり、例えば+/-10%を意味する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】