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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】BTLAに対する抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250204BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250204BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250204BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250204BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250204BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
A61K48/00
A61P37/02
A61P1/04
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P19/02
A61P19/00
A61P17/00
A61P27/02
A61P1/16
A61P11/00
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61K39/395 Y
A61K39/395 R
A61P29/00
A61K31/7088
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544441
(86)(22)【出願日】2023-01-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2023073699
(87)【国際公開番号】W WO2023143564
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/075109
(32)【優先日】2022-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522256668
【氏名又は名称】ハイファイバイオ(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】リー ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン ビンキン
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】シュワイツァー リアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C084AA13
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB051
4C084ZB052
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB151
4C084ZB152
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
BTLAに特異的なモノクローナル抗体及びその抗原結合断片、並びに併用療法を含む自己免疫疾患を処置するためにそれを使用する方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、ヒトBTLA(B-及びT-リンパ球アテニュエータ)に特異的であり、それを活性化し、任意選択で、カニクイザルBTLAと交差反応性であり、前記モノクローナル抗体が、
(1a)配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに
(1b)配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)、
又は、
(2a)配列番号61のHCVR CDR1配列、配列番号62のHCVR CDR2配列、及び配列番号63のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに
(2b)配列番号64のLCVR CDR1配列、配列番号65のLCVR CDR2配列、及び配列番号66のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含み、
任意選択で、前記モノクローナル抗体が、天然に存在しない、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
(1A)前記HCVR配列が、配列番号(7+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、
(1B)前記LCVR配列が、配列番号(8+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、
nが、1、0、及び2~24のうちのいずれか1つであるか、又は、
(2A)前記HCVR配列が、配列番号(67+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、
(2B)前記LCVR配列が、配列番号(68+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、
nが、0~24のうちのいずれか1つである、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体が、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、又はIgG4抗体である、請求項1又は2に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体が、IgG1抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記IgG1抗体が、配列番号57又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の重鎖定常領域配列と、配列番号58又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の軽鎖定常領域配列と、を含む、請求項4に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体が、
(1)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)を調節し(例えば、FcγRIIIaへの増加した結合を介して増強されたADCCを有するF243L、G236A、S239D/I332E、S239D/A330L/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、又はアフコシル化(非フコシル化)抗体(例えば、Fc領域におけるアフコシル化N297))、かつ/又は、
(2)血清半減期を増強する(例えば、T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E)、前記重鎖定常領域における変異を含むIgG1抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
マウス抗体、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、又は再表面化抗体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
ヒト化抗体である、請求項7に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記その抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖Fv若しくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcである、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、カニクイザル/アカゲザルBTLAと交差反応するが、マウスBTLAと実質的に交差反応しない、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、約25nM、20nM、15nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.5nM以下より少ないKでヒトBTLAを結合する、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
ヒトBTLAのアゴニストであり、BTLAに結合するとBTLAからの下流シグナル伝達を活性化する、請求項1~11のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
BTLAからの前記下流シグナル伝達が、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT細胞)及び/若しくはプラズマ細胞活性化を阻害する、請求項12に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
HVEMへのBTLA結合を遮断/干渉/消失しない、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
10mg/kg BIW×6の用量で(例えば、21日間)投与された場合(例えば、マウスに対してi.p.)、顕著な体重減少をもたらさない、請求項1~14のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
インビボで投与された場合(例えば、10mg/kg BIW×6の用量で14日間マウスに対してi.p.)、CD45T細胞を顕著に低減させる、請求項1~15のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
アイソタイプ適合対照Abと比較して、GvHD又はその動物モデルにおける病度(例えば、3週間で3未満の平均総疾患スコア)及び/又は全生存率(例えば、4週間で少なくとも80%の全生存率)を顕著に低減させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
ヒトBTLAへの結合について、請求項1~17のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と競合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
BTLAに結合すると、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT-細胞)活性化を阻害する、請求項18に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項20】
(1)配列番号9の前記HCVR配列、配列番号57の前記重鎖定常領域配列、配列番号10の前記LCVR配列、及び配列番号58の前記軽鎖定常領域配列、又は、
(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列、を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項21】
単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、
(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、
(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列、を含む/から本質的になる/からなる、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の重鎖若しくは軽鎖又はその抗原結合部分をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項23】
ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項22に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項25】
発現ベクター(例えば、哺乳動物、酵母、昆虫、又は細菌発現ベクター)である、請求項24に記載のベクター。
【請求項26】
請求項1~21のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、請求項22若しくは23に記載のポリヌクレオチド、又は請求項24若しくは25に記載のベクターを含む、薬学的組成物。
【請求項27】
静脈内(i.v.)注入若しくは投与、又は皮下(s.c.)投与のために製剤化されている、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するか、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、請求項22若しくは23に記載のポリヌクレオチド、請求項24若しくは25に記載のベクター、又は請求項26若しくは27に記載の薬学的組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
自己免疫疾患を処置するためのものである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス(SLE);小児潰瘍性大腸炎を含む潰瘍性大腸炎(UC);関節リウマチ(RA);慢性尋常性乾癬を含む乾癬(Ps);乾癬性関節炎(PsA);小児クローン病を含むクローン病(CD);炎症性腸疾患(IBD);強直性脊椎炎;多関節型若年性特発性関節炎を含む若年性特発性関節炎(JIA);汗腺膿瘍;非感染性中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、及び汎ブドウ膜炎;自己免疫性肝炎様疾患;実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE);MHC不適合心臓同種移植;急性気道アレルギーにおける肺の炎症;移植片対宿主疾患(GvHD);又は同種造血幹細胞移植(aHSCT)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記自己免疫疾患を処置するのに有効な更なる薬剤を前記患者に投与することを更に含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記自己免疫疾患が、狼瘡である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するための、又は自己免疫疾患を処置するための薬品の製造における、請求項1~21のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、請求項22若しくは23に記載のポリヌクレオチド、請求項24若しくは25に記載のベクター、又は請求項26若しくは27に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項34】
B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答の下方制御に使用するための、又は自己免疫疾患を処置するための、請求項1~21のいずれか一項に記載の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、請求項22若しくは23に記載のポリヌクレオチド、請求項24若しくは25に記載のベクター、又は請求項26若しくは27に記載の薬学的組成物を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2022年1月29日に出願された国際出願第PCT/CN2022/075109号の出願日の優先権及び利益を主張し、任意の図面及び配列表を含むその全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、XMLフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、配列表XMLファイルを含む。2023年1月23日に作成された当該XMLコピーは、131206-01219_SL_XML.xmlという名前が付けられ、サイズが170,638バイトである。
【背景技術】
【0003】
B及びTリンパ球アテニュエータ(B and T lymphocyte attenuator、BTLA;CD272としても知られている)は、CD28、CTLA-4、ICOS、及びPD-1も含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである(Watanabe et al.,Nat Immunol.4:670-679,2003)。BTLAは、免疫系全体にわたって、骨髄系細胞及びリンパ系細胞の両方で広く発現される(Han et al.,J Immunol.172:5931-9,2004)。そのリガンドヘルペスウイルス侵入メディエータ(herpesvirus entry mediator、HVEM)による関与に続いて、BTLAは、ホスファターゼSHP-1及びSHP-2をその細胞質ドメインに動員し(Sedy et al.,Nat Immunol.6:90-8,2005)、次に、活性化受容体のシグナル伝達カスケードを阻害する。
【0004】
無傷のBTLA遺伝子を欠くBTLAノックアウトマウスは、インビトロでの過剰増殖性B細胞及びT細胞応答、免疫化後のDNP-KLHに対するより高い力価、並びにEAEに対する感受性の増加を示す(Watanabe et al.,Nat.Immunol.4:670-679,2003)。老齢まで観察された場合、BTLAノックアウトマウスは、自己抗体、自己免疫性肝炎様疾患、及び多臓器における炎症性細胞浸潤物を自発的に発達させる(Oya et al.,Arthritis Rheum.58:2498-2510,2008)。したがって、BTLA阻害性受容体は、免疫ホメオスタシスの維持及び自己免疫の阻害において重要な役割を果たすようである。更に、HVEM-BTLAシグナル伝達は、粘膜炎症及び感染免疫の調節に関与している(Shui et al.,J Leukoc Biol.89:517-523,2011)。
【0005】
マウスBTLAに結合するモノクローナル抗体は、受容体を介したシグナル伝達を誘導して免疫細胞応答を阻害するアゴニストとして作用し得る。アゴニスト抗BTLA抗体(mAh)の存在下で、抗CD3及び抗CD28活性化T細胞は、低減したIL-2産生及び増殖を示す(Kreig et al.,J.Immunol.175,6420-6472,2005)。抗マウスBTLAアゴニスト抗体は、移植片対宿主疾患のマウスモデルにおいて疾患を改善することが示されている(Sakoda et al.,Blood117:2506-2514;Albring et al.,J Exp Med.207:2551-9,2010)。ヒトBTLA受容体を標的とするBTLAアゴニスト抗体は、エクスビボでのT細胞性応答を阻害することが示されているが(Otsuki et al.,Biochem Biophys Res Commun344:1121-7,2006;及び国際公開第2011/014438号)、そのような抗体は、いずれの疾患も処置するために承認されていない。
【0006】
したがって、BTLA機能を調節して、自己免疫疾患と関連して自己反応性リンパ球を阻害することができる治療試薬を開発するための必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、当該モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、ヒトBTLA(B-及びT-リンパ球アテニュエータ)に特異的であり、それを活性化し、任意選択で、カニクイザルBTLAと交差反応性であり、当該モノクローナル抗体が、(1a)配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(heavy chain variable region、HCVR)、並びに(1b)配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(light chain variable region、LCVR)、又は、(2a)配列番号61のHCVR CDR1配列、配列番号62のHCVR CDR2配列、及び配列番号63のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに(2b)配列番号64のLCVR CDR1配列、配列番号65のLCVR CDR2配列、及び配列番号66のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含み、任意選択で、当該モノクローナル抗体が、天然に存在しない、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0008】
ある特定の実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、(1A)HCVR配列は、配列番号(7+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、(1B)LCVR配列は、配列番号(8+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、nは、1、0、及び2~24のうちのいずれか1つであるか、又は、(2A)HCVR配列は、配列番号(67+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、(2B)LCVR配列は、配列番号(68+2n)、若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、nは、0~24のうちのいずれか1つである。
【0009】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、又はIgG4抗体である。
【0010】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体は、IgG1抗体である。
【0011】
ある特定の実施形態では、IgG1抗体は、配列番号57又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の重鎖定常領域配列と、配列番号58又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の軽鎖定常領域配列と、を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、(1)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody dependent cell mediated cytotoxicity、ADCC)及び/又は抗体依存性細胞媒介性食作用(antibody dependent cell mediated phagocytosis、ADCP)を調節し(例えば、FcγRIIIaへの増加した結合を介して増強されたADCCを有するF243L、G236A、S239D/I332E、S239D/A330L/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、又はアフコシル化(非フコシル化)抗体(例えば、Fc領域におけるアフコシル化N297))、かつ/又は、(2)血清半減期を増強する(例えば、T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E)、重鎖定常領域における変異を含むIgG1抗体である。
【0013】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、又は再表面化抗体である。
【0014】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体である。
【0015】
ある特定の実施形態では、その抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖Fv若しくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcである。
【0016】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、カニクイザル/アカゲザルBTLAと交差反応するが、マウスBTLAとは実質的に交差反応しない。
【0017】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、約25nM、20nM、15nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.5nM以下より少ないKでヒトBTLAを結合する。
【0018】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、BTLAに結合するとBTLAからの下流シグナル伝達を活性化する。例えば、ある特定の実施形態では、BTLAからの下流シグナル伝達は、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT細胞)及び/若しくはプラズマ細胞活性化を阻害する。
【0019】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、HVEMへのBTLA結合を遮断/干渉/消失しない。
【0020】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、10mg/kg BIW×6の用量で(例えば、21日間)投与された場合(例えば、マウスに対してi.p.)、顕著な体重減少をもたらさない。
【0021】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、インビボで投与された場合(例えば、10mg/kg BIW×6の用量で14日間マウスに対してi.p.)、CD45T細胞を顕著に低減させる。
【0022】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片がインビボで投与される場合に(例えば、10mg/kg BIW×6の用量で14日間マウスに対してi.p.)、アイソタイプ適合対照Abと比較して、GvHD又はその動物モデルにおける病度(例えば、3週間で3未満の平均総疾患スコア)及び/又は全生存率(例えば、4週間で少なくとも80%の全生存率)を顕著に低減させる。
【0023】
本発明の別の態様は、ヒトBTLAへの結合について、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と競合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0024】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、BTLAに結合すると、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT-細胞)活性化を阻害する。
【0025】
ある特定の実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0026】
本発明の別の態様は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列を含む/から本質的になる/からなる、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0027】
本発明の別の態様は、本発明の重鎖若しくは軽鎖又はその抗原結合部分をコードする、ポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている。
【0029】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチドを含む、ベクターを提供する。
【0030】
ある特定の実施形態では、ベクターは、発現ベクター(例えば、哺乳動物、酵母、昆虫、又は細菌発現ベクター)である。
【0031】
本発明の別の態様は、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターを含む、薬学的組成物を提供する。
【0032】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、静脈内(intravenous、i.v.)注入若しくは投与、又は皮下(subcutaneous、s.c.)投与のために製剤化されている。
【0033】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するか、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、方法が、有効量の本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
ある特定の実施形態では、方法は、自己免疫疾患を処置するためのものである。
【0035】
ある特定の実施形態では、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus、SLE);小児潰瘍性大腸炎を含む潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、UC);関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA);慢性尋常性乾癬を含む乾癬(psoriasis、Ps);乾癬性関節炎(psoriac arthritis、PsA);小児クローン病を含むクローン病(Crohn's Disease、CD);炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、IBD);強直性脊椎炎;多関節型若年性特発性関節炎を含む若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis、JIA);汗腺膿瘍;非感染性中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、及び汎ブドウ膜炎;自己免疫性肝炎様疾患;実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis、EAE);MHC不適合心臓同種移植;急性気道アレルギーにおける肺の炎症;移植片対宿主疾患(graft versus host disease、GvHD);又は同種造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation、hSCT)である。
【0036】
ある特定の実施形態では、方法は、自己免疫疾患を処置するのに有効な更なる薬剤を患者に投与することを更に含む。
【0037】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するための、又は自己免疫疾患を処置するための薬品の製造における、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0038】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答の下方制御に使用するための、又は自己免疫疾患を処置するための、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を含む、組成物を提供する。
【0039】
本明細書に記載される本発明の任意の一実施形態(実施例又は特許請求の範囲のみに記載されるものを含む)は、本発明の任意の他の1つ以上の実施形態と、その組み合わせが明確に否定されるか、又は不適切ではない限り、組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞(HEK293.hBTLA)又はカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞(HEK293.cynoBTLA)への抗BTLA抗体の結合を示す。標的細胞への抗BTLA抗体結合を、AF647コンジュゲート抗ヒトIgG Fc二次抗体でフローサイトメトリによって定量化した(読み出し:平均蛍光強度(mean fluorescence intensity、MFI))。
図2A】対照及び候補抗BTLA抗体による抗IgM刺激の4日後の初代B細胞増殖の阻害を示す。HFB6-4及びHFB6-5は、ベンチマーク22B3と同様の又はそれを上回る程度で抗IgM媒介性B細胞増殖を阻害するその能力に基づいて選択した。B細胞増殖を、非刺激B細胞に関連するCFSE希釈(CFSElo%)によって定量化し、分裂%として示した。
図2B】BTLAに結合した場合、HFB6-4及びHFB6-5がHVEM(HVEMの天然リガンド)を置き換える不能性を示す。上のパネルは、BTLA及びNFAT結合プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatレポーター細胞株と共培養された、TCR活性化因子(TCR activator、TCRa)及びHVEM(BTLAのリガンド)を発現するように操作されたCHO細胞株を示す例解的なスキームである。陽性対照抗BTLA遮断抗体JS004、及び多くの他の試験された抗BTLA抗体(下のパネルを参照されたい)は、HVEM媒介性T細胞阻害を用量依存的に逆転させることができた。しかし、HFB6-4及びHFB-5がHVEM媒介性T細胞阻害を逆転させる能力は、実質的に消失した(下のパネルを参照されたい)。
図3】ベンチマーク抗体22B3と比較した、HFB6-4及びHFB6-5によるTCRシグナル伝達の阻害を示す。左のパネルは、アッセイを描画する:細胞表面上にFcγRIIbを発現するCHO細胞を、まず、抗CD3抗体の存在下又は非存在下で、抗BTLA抗体、アイソタイプ対照MGO、又はベンチマーク抗体22B3とインキュベートした。次いで、抗体で覆われたCHO細胞を、表面TCR及びBTLAを発現するJurkatレポーター細胞とインキュベートした。TCRシグナル伝達を、レポーター細胞において、TCRシグナル伝達の下流のNFATプロモーターの転写制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を介して測定した。右のパネルは、アッセイにおける異なる抗体の試験からの発光読み出しを示す。
図4】アイソタイプ対照(MGO53)、ベンチマーク抗体22B3、HFB6-4、及びHFB6-5抗体による抗IgM刺激(10μg/ml)後の初代B細胞増殖の阻害を示す。抗体の効果を、3人の異なるドナーからの初代B細胞について(左のパネル)、様々な濃度(0.41~100nM)(右のパネル)で試験した。
図5】ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞(HEK293.hBTLA)又はカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞(HEK293.cynoBTLA)へのHFB6-4及びHFB6-5抗体のヒト化変異体の結合を示す。標的細胞への抗BTLA抗体結合を、AF647コンジュゲート抗ヒトIgG Fc二次抗体でフローサイトメトリによって定量化した(読み出し:平均蛍光強度、MFI)。
図6A】アイソタイプ対照抗体(MGO53)、ベンチマーク抗体22B3、並びに1及び10μg/ml濃度のHFB6-4及びHFB6-5のヒト化変異体による、抗IgM誘導性初代B細胞増殖の阻害を示す。B細胞増殖を、非刺激B細胞に関連するCFSE希釈(CFSElo%)によって定量化し、分裂%として示した。
図6B】Jurkatレポーター細胞における発光レポーター遺伝子の活性によって産生された発光シグナルによって測定された、アイソタイプ対照抗体(MGO53)、ベンチマーク抗体22B3、並びにHFB6-4及びHFB6-5のヒト化変異体による、抗CD3誘導性Jurkat細胞活性化の阻害を示す(RLU(relative light unit):相対光単位)。
図7】10mg/kg用量の静脈内注射後のC57BL6マウスにおけるHFB6-4及びHFB6-5のヒト化変異体の薬物動態プロファイルを示す。注射の1、24、及び72時間後に血液を採取した。
図8A】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。図8Aは、実験の概略図を示す。
図8B】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。図8Bは、詳細な実験計画及び実験の読み出しを示す。
図8C】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。総疾患スコア(図8C)を含む、接種後14~21日までの予備結果を示す。
図8D】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。RCBWのパーセント(図8D)を含む、接種後14~21日までの予備結果を示す。
図8E】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。リンパ球集団下のhCD45+細胞の割合(図8E)を含む、接種後14~21日までの予備結果を示す。
図8F】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。生存の割合(図8F)を含む、接種後14~21日までの予備結果を示す。
図8G】急性移植片対宿主疾患(GvHD)のNSGマウスモデルにおけるヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell、hPBMC)の接種後の免疫反応の阻害における目的の抗体の治療有効性を示す。生存の割合(図8G)を含む、接種後14~21日までの予備結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1.概要
本明細書に記載される本発明は、ヒトBTLA(B-及びT-リンパ球アテニュエータ)、すなわち、BTLAアゴニスト抗体に特異的であり、それを活性化する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。本発明のBTLAアゴニスト抗体は、任意選択で、非ヒト霊長類BTLA、例えばサル(例えば、アカゲザル及び/又はカニクイザル)BTLAと交差反応するが、齧歯類(例えば、マウス又はラットBTLA)とは交差反応しない場合がある。
【0042】
本明細書に記載される本発明によれば、本発明のある特定のBTLAアゴニスト抗体は、最初に、ヒトBTLAの組換え細胞外ドメイン(extracellular domain、ECD)でマウスを免疫して一連の多様な抗体を産生することによって得られ、その後、それらの結合、交差反応性、選択性、及び/又は他の機能的活性について特徴付けられた。次いで、ある特定のそのような抗体を、初代B細胞及び/又はT細胞のIgM誘導性増殖を阻害するそれらの能力について選択した。機能的に選択された抗体はまた、ヒトBTLAの非ヒト霊長類(サルなど)オルソログに対して交差反応性を呈し得、これは、非ヒト宿主(例えば、非ヒト霊長類又はNHP)動物におけるヒト治療剤の毒性試験の有益な特徴であり得る。
【0043】
ヒトBTLAに対してナノモル未満又は一桁ナノモルの結合親和性を有する、本明細書においてHFB6-4及びHFB6-5と指定される2つの例示的なマウス抗体を、更なる特徴付け及びヒト化のために最初に同定した。
【0044】
HFB6-4hz1-hG1を含むこれらのマウス抗体のいくつかのヒト化変異体は、IgG1アイソタイプのように産生され、それらのそれぞれのマウス-ヒトキメラ親抗体の結合及び交差反応性プロファイル、並びにB細胞、T細胞、及び/又はプラズマ細胞を含む免疫細胞に対する阻害効果を保持した。
【0045】
マウス免疫障害モデルにおけるこれらの抗体についての予備的インビトロ及びインビボ有効性評価を行い、初期毒性及び開発可能性分析も行った。予備データは、主題のモノクローナル抗体がBTLAアゴニストとしてある特定のベンチマーク抗体よりも有効であり、B細胞及びT細胞をより有効に阻害することを示す。
【0046】
これらの抗体の機能プロファイルは、それらの有利な開発可能性及び薬物動態プロファイルとともに、様々な自己免疫疾患(例えば、移植片対宿主疾患又はGvHD)などの免疫障害を処置するための新規治療剤としてのそれらの開発を支持する。
【0047】
したがって、本発明の一態様は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、ヒトBTLA(B-及びT-リンパ球アテニュエータ)に特異的であり、それを活性化し、任意選択で、カニクイザルBTLAと交差反応性であり、当該モノクローナル抗体が、(1a)配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに(1b)配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)、又は、(2a)配列番号61のHCVR CDR1配列、配列番号62のHCVR CDR2配列、及び配列番号63のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに(2b)配列番号64のLCVR CDR1配列、配列番号65のLCVR CDR2配列、及び配列番号66のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含み、任意選択で、当該モノクローナル抗体が、天然に存在しない、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0048】
ある特定の実施形態では、CDR領域配列は、IMGT番号付けスキームに基づく。Kabat、Chothia、又はMartin(増強されたChothia)スキームなどの他の番号付けスキームに対応するCDR配列は、抗体配列アラインメントによって容易に導出され得る。
【0049】
関連する態様では、本発明は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列を含む/から本質的になる/からなる、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0050】
関連する態様では、本発明は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、ヒトBTLA(配列番号121など)への結合について、本明細書で定義されるような定義されたCDR及び/又はVH/VL領域配列を有する単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片と競合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0051】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されるようなモノクローナル抗体又はその抗原結合断片のいずれかの重鎖若しくは軽鎖又はその抗原結合部分をコードする、ポリヌクレオチドを提供する。関連する態様では、本発明はまた、厳しい条件下で、ポリヌクレオチドに、又はポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0052】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されるような本発明のポリヌクレオチドを含む、ベクターを提供する。
【0053】
本発明の別の態様は、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクターを含む、薬学的組成物を提供する。
【0054】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するか、又は自己免疫疾患を処置するための方法であって、方法が、有効量の本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0055】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するための、又は自己免疫疾患を処置するための薬品の製造における、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0056】
本発明の別の態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答の下方制御に使用するための、又は自己免疫疾患を処置するための、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を含む、組成物を提供する。
【0057】
本発明の詳細な態様は、以下の様々なセクションにおいて更に別々に記載される。しかしながら、本発明の任意の一実施形態(実施例又は図面のみに記載される実施形態、及び以下の1つのセクションのみに記載される実施形態を含む)は、本発明の任意の他の実施形態と組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0058】
2.定義
「抗体」という用語は、最も広い意味において、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。「抗体」という用語はまた、広義には、重鎖の相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む分子を指し得、分子は、抗原に結合することができる。「抗体」という用語はまた、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及びマウス、ヒト、カニクイザルなどの様々な種の抗体を含むが、これらに限定されない。
【0059】
しかしながら、より狭い意味では、「抗体」は、キメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、及びヒトモノクローナル抗体、特に本発明のヒト化モノクローナル抗体を含む、様々なモノクローナル抗体を指す。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの重鎖(heavy chain、HC)と、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの軽鎖(light chain、LC)とを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、各重鎖が重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部分を含む2つの重鎖と、各軽鎖が軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部分を含む2つの軽鎖とを含む。
【0061】
本明細書中で使用される場合、単鎖Fv(scFv)、又は例えば、6つ全てのCDR(3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR)を含む単一のポリペプチド鎖を含む任意の他の抗体は、重鎖及び軽鎖を有するとみなされる。いくつかのそのような実施形態では、重鎖は、3つの重鎖CDRを含む抗体の領域であり、軽鎖は、3つの軽鎖CDRを含む抗体の領域である。
【0062】
「重鎖可変領域(HCVR)」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも、重鎖CDR1(CDR-H1)、フレームワーク2(HFR2)、CDR2(CDR-H2)、FR3(HFR3)、及びCDR3(CDR-H3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域はまた、CDR-H1に対してN末端であるFR1(HFR1)の少なくとも一部分(例えば、全体)、及び/又はCDR-H3に対してC末端であるFR4(HFR4)の少なくとも一部分(例えば、全体)を含む。
【0063】
本明細書で使用される「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む領域を指す。非限定的な例示的重鎖定常領域としては、γ、δ、及びαが挙げられる。非限定的な例示的重鎖定常領域としてはまた、ε及びμが挙げられる。各重鎖定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体は、IgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体は、IgD抗体であり、α定常領域を含む抗体は、IgA抗体であり、ε定常領域を含む抗体は、IgE抗体であり、μ定常領域を含む抗体は、IgM抗体である。
【0064】
ある特定のアイソタイプは、サブクラスに更に細分することができる。例えば、IgG抗体としては、IgG1(γ1定常領域を含む)、IgG2(γ2定常領域を含む)、IgG3(γ3定常領域を含む)、及びIgG4(γ4定常領域を含む)抗体が挙げられるが、これらに限定されない。IgA抗体としては、IgA1(α1定常領域を含む)及びIgA2(α2定常領域を含む)抗体が挙げられるが、これらに限定されず、IgM抗体としては、IgM1(μ1定常領域を含む)及びIgM2(μ2定常領域を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、IgG1抗体である。
【0066】
「重鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を有するか又は有さない少なくとも重鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部分を含む。「完全長重鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含み、リーダー配列を有するか又は有さず、かつC末端リジンを有するか又は有さないポリペプチドを指す。
【0067】
「軽鎖可変領域(LCVR)」という用語は、本明細書で使用される場合、軽鎖CDR1(CDR-L1)、フレームワーク(FR)2(LFR2)、CDR2(CDR-L2)、FR3(LFR3)、及びCDR3(CDR-L3)を含む領域を指す。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域はまた、FR1(LFR1)の少なくとも一部分(例えば、全体)及び/又はFR4(LFR4)の少なくとも一部分(例えば、全体)を含む。
【0068】
「軽鎖定常領域」という用語は、本明細書で使用される場合、軽鎖定常ドメイン、Cを含む領域を指す。非限定的な例示的軽鎖定常領域としては、λ及びκが挙げられる。
【0069】
「軽鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、リーダー配列を有するか又は有さない少なくとも軽鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部分を含む。「完全長軽鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含み、リーダー配列を有するか又は有さないポリペプチドを指す。
【0070】
(抗体の)「抗体断片」、「抗原結合部分」、又は「抗原結合断片」という用語は、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、及び(Fab’)などの抗原に結合することができる断片を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖Fv若しくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcを含む。
【0071】
「Fab」という用語は、約50,000ダルトンの分子量を有する抗体断片を指し、抗原に結合する活性を有する。それは、ジスルフィド架橋によって連結された重鎖のN末端側の約半分及び軽鎖の全体を含む。Fabは、特に、プロテアーゼ、パパインによる免疫グロブリンの処理によって得ることができる。
【0072】
「F(ab’)」という用語は、約100,000ダルトンの断片及び抗原に結合する活性を指定する。この断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋を介して連結された2つのFab断片よりもわずかに大きい。これらの断片は、免疫グロブリンをプロテアーゼ、ペプシンで処理することによって得られる。Fab断片は、ヒンジ領域のジスルフィド架橋の切断によってF(ab’)2断片から得ることができる。
【0073】
単一Fv鎖「scFv」は、VL及びVHドメインをコードする遺伝子並びにこれらのドメインを結合することが意図されるペプチドをコードする配列を使用して合成されたVH:VLポリペプチドに対応する。本発明によるscFvは、例えば遺伝子組換え技術を使用して、適切な立体構造に維持されたCDRを含む。
【0074】
「scFv」の二量体は、ペプチド結合によって一緒に連結された2つのscFv分子に対応する。このFv鎖は、多くの場合、ペプチドをコードするリンカー配列によって連結されたVH及びVLをコードする遺伝子を含む融合遺伝子の発現の結果である。ヒトscFv断片は、好ましくは遺伝子組換え技術の使用によって、適切な立体構造で維持されるCDR領域を含み得る。
【0075】
「dsFv」断片は、ジスルフィド架橋によって安定化されたVH-VLヘテロ二量体であり、二価(dsFV)であり得る。二価Sc(Fv)又は多価抗体の断片は、一価scFvの会合によって自発的に形成され得るか、又はペプチド結合配列によってscFv断片を連結することによって産生され得る。
【0076】
Fc断片は、抗体の生物学的特性、特に、免疫エフェクターによって認識されるその能力又は相補体を活性化するその能力の支持体である。それは、ヒンジ領域を越える重鎖の定常断片からなる。
【0077】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原固定部位を有する小さい抗体断片を意味する。これらの断片は、同じVH-VLポリペプチド鎖中に、可変軽鎖ドメインVLに連結された可変重鎖ドメインVHを含む。同じ鎖の2つのドメインの適合を可能にするには短すぎる結合配列を使用して、別の鎖の2つの相補的ドメインとの適合が必然的に発生し、したがって2つの抗原固定部位が作成される。
【0078】
「同じエピトープに結合する抗体」又は「(別の)抗体と結合について競合する抗体」は、抗体競合アッセイによって決定され得る抗体を指す。それは、競合アッセイにおいて参照抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する。「競合する」という用語は、同じエピトープについて競合する抗体の文脈で使用される場合、抗体間の競合が、試験されている抗体が共通抗原への参照抗体の特異的結合を防止又は阻害するアッセイによって決定されることを意味する。
【0079】
多数のタイプの競合結合アッセイ、例えば、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay、RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(enzyme immunoassay、EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照されたい);固相直接標識アッセイ;固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);I125標識を使用する固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552を参照されたい);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.)を使用することができる。
【0080】
典型的には、そのようなアッセイは、これらの非標識試験抗原結合タンパク質及び標識参照抗体のいずれかを有する固体表面又は細胞に結合した精製抗原の使用を伴う。競合的阻害は、試験抗体の存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、試験抗体は、過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が発生するために参照抗体によって結合されたエピトープに十分に近位の隣接エピトープに結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、競合抗体が過剰に存在する場合、それは、共通抗原への参照抗体の特異的結合を少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%阻害する。いくつかの事例では、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、又は97%以上阻害される。
【0081】
「抗原」という用語は、抗体又はその免疫学的に機能的な断片などの選択的結合剤によって結合することができ、加えて、その抗原に結合することができる抗体を産生するために哺乳動物において使用することができる分子又は分子の一部分を指す。抗原は、抗体と相互作用することができる1つ以上のエピトープを保有し得る。
【0082】
「エピトープ」という用語は、抗体又はその断片などの選択的結合剤によって結合されている抗原分子の部分である。この用語は、抗体に特異的に結合することができる任意の決定基を含む。エピトープは、隣接的又は非隣接的であり得る(例えば、ポリペプチドにおいて、ポリペプチド配列において互いに隣接していないが、分子の文脈において抗原結合タンパク質によって結合されているアミノ酸残基)。いくつかの実施形態では、エピトープは、抗体を生成するために使用されたエピトープに類似する三次元構造を含むが、抗体を生成するために使用されたそのエピトープに見出されたアミノ酸残基を全く含まないか、又はいくつかのみを含むという点で模倣体であり得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面分子群を含み得、特異的な三次元構造特性及び/又は特異的な電荷特性を有し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、「エピトープ」は、それを決定するために使用される方法によって定義される。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、水素-重水素交換(hydrogen-deuterium exchange、HDX)によって決定されるように、それらが抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0084】
ある特定の実施形態では、抗体は、X線結晶学によって決定されるように、それらが抗原の同じ領域に結合する場合、参照抗体と同じエピトープに結合する。
【0085】
「キメラ抗体」は、本明細書で使用される場合、第1の種(例えば、マウス、ラット、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの可変領域と、第2の種(例えば、ヒト、カニクイザル、ニワトリなど)からの少なくとも1つの定常領域とを含む抗体を指す。いくつかの実施形態では、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域及び少なくとも1つのヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態では、キメラ抗体の可変領域の全てが、第1の種からのものであり、キメラ抗体の定常領域の全てが、第2の種からのものである。
【0086】
「ヒト化抗体」は、本明細書で使用される場合、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、カニクイザル、ニワトリなど)のフレームワーク領域における少なくとも1つのアミノ酸が、ヒト可変領域からの対応するアミノ酸で置き換えられている抗体を指す。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体断片は、Fab、scFv、(Fab’)などである。
【0087】
「CDR移植抗体」は、本明細書で使用される場合、第1の(非ヒト)種のうちの1つ以上の相補性決定領域(CDR)が第2の(ヒト)種のフレームワーク領域(framework region、FR)上に移植されているヒト化抗体を指す。
【0088】
「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒトにおいて産生される抗体、XENOMOUSE(登録商標)などのヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒト動物において産生される抗体、及び抗体レパートリーがヒト免疫グロブリン配列に基づくファージディスプレイなどのインビトロ方法を使用して選択される抗体を指す。
【0089】
「宿主細胞」は、ベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか、又はレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。例示的な真核細胞としては、霊長類又は非霊長類動物細胞などの哺乳動物細胞;酵母などの真菌細胞;植物細胞;及び昆虫細胞が挙げられる。非限定的な例示的哺乳動物細胞としては、NSO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、並びに293及びCHO細胞、並びにそれぞれ、293-6E及びDG44細胞などのそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
「単離された」という用語は、本明細書で使用される場合、それが典型的に天然に見出される成分の少なくともいくつかから分離されているか、又はそれが典型的に産生される成分の少なくともいくつかから分離されている分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離される場合、「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合、産生した細胞からポリペプチドを含有する上清を物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離する」と考えられる。同様に、ポリヌクレオチドは、それが典型的に天然に見出されるより大きいポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合に、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNAなど)の一部ではない場合、又は例えば、RNAポリヌクレオチドの場合に、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離されている場合、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含有されるDNAポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドがそのベクター中に天然に見出されない限り、「単離された」と称され得る。
【0091】
「対象」及び「患者」という用語は、ヒトなどの哺乳動物を指すために本明細書で互換的に使用される。いくつかの実施形態では、他の非ヒト哺乳動物(齧歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳動物実験動物、哺乳動物家畜、哺乳動物スポーツ動物、及び哺乳動物ペットが挙げられるが、これらに限定されない)を処置する方法もまた提供される。いくつかの事例では、「対象」又は「患者」は、疾患又は障害の処置を必要とする(ヒト)対象又は患者を指す。
【0092】
「試料」又は「患者試料」という用語は、本明細書中で使用される場合、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理的特性に基づいて特徴付けられ、かつ/又は同定される細胞実体及び/又は他の分子実体を含有する目的の対象から得られるか、あるいはそれに由来する材料を指す。例えば、「疾患試料」という語句及びその変形は、特徴付けられる細胞実体及び/又は分子実体を含有することが予想されるか、あるいは含有することが知られている目的の対象から得られる任意の試料を指す。
【0093】
「組織又は細胞試料」とは、対象又は患者の組織から得られた類似の細胞の収集物を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器若しくは組織試料又は生検若しくは吸引物からのような固形組織;血液又は任意の血液構成成分;痰、脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液などの体液;対象の妊娠又は発達における任意の時点からの細胞であり得る。組織試料はまた、初代細胞若しくは培養細胞又は細胞株であり得る。任意選択で、組織又は細胞試料は、疾患組織/臓器から得られる。組織試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質などの、天然では組織と自然に混合されない化合物を含有し得る。
【0094】
「参照試料」、「参照細胞」、又は「参照組織」は、本明細書で使用される場合、本発明の方法又は組成物が同定のために使用されている疾患又は状態に罹患していないことが知られているか又は考えられる供給源から得られた試料、細胞、又は組織を指す。一実施形態では、参照試料、参照細胞、又は参照組織は、本発明の組成物又は方法を使用して疾患又は状態が同定されている同じ対象又は患者の身体の健常な部分から得られる。一実施形態では、参照試料、参照細胞、又は参照組織は、本発明の組成物又は方法を使用して疾患又は状態が同定されている対象又は患者ではない少なくとも1人の個体の身体の健常な部分から得られる。いくつかの実施形態では、参照試料、参照細胞、又は参照組織は、疾患若しくは状態を発症する前に、又は疾患若しくは状態の初期段階で、患者から予め得られた。
【0095】
「障害」又は「疾患」は、本発明の1つ以上のBTLAアンタゴニストによる処置から利益を得ることになる任意の状態である。これには、哺乳動物を問題の障害に罹りやすくする病理学的状態を含む慢性及び急性の障害又は疾患が含まれる。本明細書において処置される障害の非限定的な例としては、自己免疫疾患が挙げられる。
【0096】
「過活動性免疫障害」は、免疫系が対象の細胞、臓器、又は移植片を不必要に攻撃するか、又は免疫系の細胞が制御不能に増殖する任意の病気を意味する。一般的な過活動性免疫障害には、自己免疫疾患、及び移植片対宿主疾患などの同種移植の拒絶反応が含まれる。
【0097】
「処置」は、例えば、目的が標的とされる病的状態又は障害を遅らせる(減少させる)ことである治療的処置、並びに例えば、目的が状態又は障害の再発を阻害することである治療的処置を指す。「処置」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患(本明細書では「障害」又は「状態」とも称される)に対する治療薬の任意の投与又は適用を網羅し、疾患若しくは疾患の進行を阻害すること、疾患若しくはその進行を阻害若しくは遅延させること、その発症を停止させること、疾患を部分的若しくは完全に軽減すること、疾患の1つ以上の症状を部分的若しくは完全に軽減すること、又は失われた、欠落した、若しくは欠陥のある機能を回復若しくは修復すること、又は非効率的なプロセスを刺激することを含む。「処置」という用語はまた、任意の表現型特性の重症度を低減すること、及び/又はその特性の発生率、程度、若しくは可能性を低減することを含む。処置を必要とする者としては、既に障害を有する者、並びに障害の再発のリスクがある者、又は障害の再発を予防若しくは遅延させるべき者が挙げられる。
【0098】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、対象における疾患又は障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態では、有効量は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な投与量及び期間で有効な量を指す。本発明の抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発するアンタゴニストの能力などの要因に従って変動し得る。治療有効量は、治療的に有益な効果が主題の抗体の任意の毒性又は有害な効果を上回る量を包含する。
【0099】
「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要な投与量及び期間で有効な量を指す。典型的には、必ずしもそうではないが、予防用量は、疾患の前又は疾患の初期段階で対象に使用されるため、予防有効量は、治療有効量よりも少なくなる。
【0100】
「薬学的に許容される担体」は、対象への投与のための「薬学的組成物」を一緒に含む治療剤とともに使用するための、当該技術分野において従来的な非毒性の固体、半固体、若しくは液体の充填剤、希釈剤、封入材料、製剤補助剤、又は担体を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、用いられる製剤に適切である。例えば、治療剤が経口投与される場合、担体は、ゲルカプセルであり得る。治療剤が皮下投与される場合、担体は、理想的には皮膚に対して刺激性でなく、注射部位反応を引き起こさない。
【0101】
「製造品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患若しくは障害の処置のための薬品、又は本明細書に記載されるバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む任意の製造品(例えば、パッケージ又は容器)又はキットである。いくつかの実施形態では、製造品又はキットは、本明細書に記載される方法を実施するためのユニットとして販売促進、流通、又は販売される。
【0102】
3.過活動性免疫障害を処置する方法
本明細書に記載される本発明は、ヒト及び他の非ヒト哺乳動物を処置する方法に使用するための抗BTLA抗体を提供する。
【0103】
病理学的状況では、免疫系は、過剰活性であり、正常組織及び健常組織を攻撃して、自己免疫疾患を引き起こし得る。他の病理学的状況では、免疫系の細胞は、過剰増殖性であり得る例えば、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫など)。他の状況では、免疫系は、意図されるように外来実体を攻撃するが、同種移植の場合のように、同種実体の受容が所望の結果である。
【0104】
したがって、いくつかの非限定的な実施形態では、本発明の抗BTLAアゴニスト抗体又はその抗原結合断片は、免疫応答を弱める処置から利益を得る対象、例えば、自己免疫疾患を有する対象又は同種移植片を受けている対象に使用することができる。本発明の抗BTLA抗体は、例えば、T細胞及び/又はB細胞及びプラズマ細胞の増殖及び/又は活性を阻害することによって、免疫応答の抑制をもたらす。
【0105】
すなわち、本明細書に記載される本発明は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するか、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、方法が、有効量の本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0106】
関連する態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御すること、又は自己免疫疾患を処置することを必要とする患者において、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答を下方制御するための、又は自己免疫疾患を処置するための薬品の製造における、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0107】
別の関連する態様は、B細胞媒介性若しくはT細胞媒介性免疫応答の下方制御に使用するための、又は自己免疫疾患を処置するための、本発明の単離されたモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、又は本発明の薬学的組成物を含む、組成物を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態では、過活動性免疫障害を処置又は予防するための方法であって、有効量の主題の抗BTLA抗体又はその抗原結合断片のいずれかを、そのような処置を必要とする対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0109】
いくつかの実施形態では、過活動性免疫障害を処置するための方法であって、有効量の主題の抗BTLAアゴニスト抗体又はその抗原結合断片のいずれかを、それを必要とする対象、例えば、過活動性免疫障害、例えば、自己免疫疾患と診断された対象、それを有するリスクが高い対象、又はそれを有する症状を呈する対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0110】
主題の抗BTLA抗体又はその抗原結合断片で処置され得る、非限定的な例示的過活動性免疫障害、例えば、自己免疫疾患が本明細書に提供され、全身性エリテマトーデス(SLE);小児潰瘍性大腸炎を含む潰瘍性大腸炎(UC);関節リウマチ(RA);慢性尋常性乾癬を含む乾癬(Ps);乾癬性関節炎(PsA);小児クローン病を含むクローン病(CD);炎症性腸疾患(IBD);強直性脊椎炎;多関節型若年性特発性関節炎を含む若年性特発性関節炎(JIA);汗腺膿瘍;非感染性中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、及び汎ブドウ膜炎;自己免疫性肝炎様疾患;実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE);MHC不適合心臓同種移植;急性気道アレルギーにおける肺の炎症;移植片対宿主疾患(GvHD);又は同種造血幹細胞移植(aHSCT)を含む。
【0111】
ある特定の実施形態では、過活動性免疫障害は、全身性エリテマトーデス(SLE又は狼瘡)である。狼瘡は、B細胞及びT細胞免疫調節異常から生じる、核、細胞質、及び/又は細胞表面分子に対する病原性自己抗体の病理学的形成を特徴とする。循環抗原抗体免疫複合体の局所形成及び/又は沈着は、寛解及び増悪を特徴とする広範囲の全身性及び臓器特異的臨床所見の原因である炎症反応を誘発し、多臓器系損傷及び潜在的に末端臓器不全をもたらす。狼瘡は、身体障害症状及び進行性臓器損傷を特徴とする多面的自己免疫疾患である。
【0112】
ある特定の実施形態では、過活動性免疫障害は、炎症性腸疾患(IBD)である。IBDは、胃腸(GI)管への損傷をもたらす慢性炎症を特徴とする2つの状態、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)を包含する。IBDのいくつかの一般的な症状は、持続性下痢、腹痛、直腸出血/血便、体重減少、及び疲労である。
【0113】
ある特定の実施形態では、過活動性免疫障害は、対象の免疫系がドナーから得られた同種移植片を攻撃する状態、例えば、移植片対宿主疾患(GvHD)である。GvHDは、移植後の任意の時点で発生し得、急性又は慢性であり得る。骨髄移植において、GvHDは、より一般的には、骨髄が細胞を作り始めた後に発生する。症状は、どのくらい長く状態を有していたかに基づいて変動するが、口腔内潰瘍、腹痛、及び発疹を含み得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、過活動性免疫障害を予防するための方法であって、有効量の主題の抗BTLA抗体又はその抗原結合断片のいずれかを、過活動性免疫関連障害の症状を発症するリスクがある対象に予防的に投与することを含む、方法が提供される。例えば、主題の抗BTLA抗体又はその抗原結合断片は、同種移植を受ける前に対象に投与され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の抗BTLA抗体又はその抗原結合断片は、単独で使用することができるか、又は代替として疾患若しくは適応症を処置することができることが知られている任意の他の好適な化合物と組み合わせて使用することができる。
【0116】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、先に定義したように、BLTAを対象とし、T細胞及び/又はB細胞並びにプラズマ細胞を阻害する抗体は、過活動性免疫系に関連する疾患、例えば、狼瘡などの自己免疫疾患を処置するための第2の治療剤と組み合わせて使用される。
【0117】
そのような併用療法において、本発明の抗体は、第2の治療剤の前、後、又は同時に使用することができる。併用療法に関する以下の更なるセクションを参照されたい。
【0118】
4.投与経路及び担体
様々な実施形態では、主題のアゴニスト抗BTLAモノクローナル抗体は、皮下又は静脈内投与され得る。簡潔にするために、「主題の抗BTLAモノクローナル抗体」は、本発明のマウス-ヒトキメラ抗BTLA抗体、並びにそのヒト化変異体を指す。
【0119】
いくつかの実施形態では、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、経口、動脈内、非経口、鼻腔内、筋肉内、心臓内、脳室内、気管内、頬側、直腸、腹腔内、静脈内、及び皮下投与、吸入、皮内、局所、経皮、及び髄腔内、又はその他、例えば、移植を含むがこれらに限定されない様々な経路によってインビボで投与され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、静脈内(i.v.)又は皮下(s.c.)投与を介して投与され得る。
【0121】
主題の抗体組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、浣腸剤、注射剤、吸入剤、及びエアロゾルを含むが、これらに限定されない、固体、半固体、液体、又は気体形態の調製物に製剤化され得る。
【0122】
様々な実施形態では、主題の抗BTLAモノクローナル抗体を含む組成物は、多種多様な薬学的に許容される担体を有する製剤で提供される(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20th ed.(2003);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippencott Williams and Wilkins(2004);Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照されたい)。ビヒクル、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な薬学的に許容される担体が利用可能である。更に、様々な薬学的に許容される補助物質(例えば、pH調整剤及び緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤など)もまた利用可能である。非限定的な例示的担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0123】
様々な実施形態では、主題の抗BTLAモノクローナル抗体を含む組成物は、それらを、植物油若しくは他の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、又はプロピレングリコールなどの水性又は非水性溶媒中に、かつ所望であれば、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、及び保存剤などの従来の添加剤とともに、溶解、懸濁、又は乳化することによって、皮下投与を含む注射用に製剤化され得る。
【0124】
様々な実施形態では、組成物は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴射剤を使用して、吸入用に製剤化され得る。
【0125】
組成物はまた、様々な実施形態では、生分解性又は非生分解性ポリマーなどを用いて徐放性マイクロカプセルに製剤化され得る。非限定的な例示的生分解性製剤としては、ポリ乳酸-グリコール酸(poly lactic acid-glycolic acid、PLGA)ポリマーが挙げられる。非限定的な例示的非生分解性製剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。そのような製剤を作製するある特定の方法は、例えば、欧州特許出願公開第1125584(A1)号に記載されている。
【0126】
各々が主題の抗BTLAモノクローナル抗体の1回以上の用量を含有する、1つ以上の容器を含む薬学的投与パックも提供される。いくつかの実施形態では、単位用量が提供され、単位用量は、1つ以上の追加の薬剤を含むか又は含まずに、主題の抗BTLAモノクローナル抗体を含む所定量の組成物を含有する。いくつかの実施形態では、そのような単位用量は、注射用の単回使用の充填済みシリンジで供給される。様々な実施形態では、単位用量に含有される組成物は、生理食塩水、スクロースなど;リン酸塩などの緩衝剤などを含み得、及び/又は安定かつ有効なpH範囲内で製剤化され得る。代替として、いくつかの実施形態では、組成物は、適切な液体(例えば、滅菌水)の添加時に再構成され得る凍結乾燥粉末として提供され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、スクロース及びアルギニンを含むがこれらに限定されない、タンパク質凝集を阻害する1つ以上の物質を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ヘパリン及び/又はプロテオグリカンを含む。
【0127】
薬学的組成物は、特定の適応症の処置又は予防に有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、処置されている対象の体重、対象の身体状態若しくは健康状態、処置される状態の広範性、又は処置されている対象の年齢に依存する。
【0128】
5.併用療法
本発明の主題の抗BTLAモノクローナル抗体(その機能的な断片を含む)は、疾患の処置のための他の生物学的に活性な物質又は他の処置手順と組み合わせて、それを必要とする対象に投与され得る。例えば、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、単独で、又は他の処置様式とともに投与され得る。それらは、免疫抑制剤などの他の処置様式の前に、それと実質的に同時に、又はその後に提供され得る。
【0129】
過活動性免疫障害の処置のために、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、コルチコステロイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤、IMDH阻害剤、及び他の免疫抑制剤などの免疫抑制剤のうちの1つ以上と併せて投与され得る。
【0130】
ある特定の実施形態では、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、対象、例えば、自己免疫疾患を有する対象に、同時に又は連続してのいずれかで、別の処置とともに投与される。例えば、主題の抗BTLAモノクローナル抗体は、免疫抑制剤のうちの1つ以上とともに投与され得る。
【0131】
ある特定の実施形態では、過活動性免疫障害を有する対象の処置方法は、対象に、本発明の抗BTLAモノクローナル抗体、及びコルチコステロイド(例えば、ステロイド)などの1つ以上の免疫抑制剤を投与することを含む。
【0132】
主題の抗BTLAモノクローナル抗体と組み合わせて投与され得る免疫抑制剤としては、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、メフェナム酸、エトリコキシブ、インドメタシン、及び高用量アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug、NSAID);ヒドロキシクロロキン及びリン酸クロロキンなどの抗マラリア薬;プレドニゾン、ブデソニド、及びプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;トファシチニブなどのヤヌスキナーゼ阻害剤;シクロスポリン及びタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;シロリムス及びエベロリムスなどのmTOR阻害剤;並びにアザチオプリン、レフルノミド、及びミコフェノレートなどのIMDH阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
6.例示的な抗BTLAモノクローナル抗体
本明細書に記載される本発明は、BTLAに特異的なアゴニストモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を提供する。
【0134】
したがって、本発明の一態様は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、HFB6-4又はHFB6-5によって結合されたエピトープへの結合について、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片のいずれかと競合する、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0135】
本発明の別の関連する態様は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、当該モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、ヒトBTLAに特異的であり、当該モノクローナル抗体が、(1a)配列番号1のHCVR CDR1配列、配列番号2のHCVR CDR2配列、及び配列番号3のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに(1b)配列番号4のLCVR CDR1配列、配列番号5のLCVR CDR2配列、及び配列番号6のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)、又は(2a)配列番号61のHCVR CDR1配列、配列番号62のHCVR CDR2配列、及び配列番号63のHCVR CDR3配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに(2b)配列番号64のLCVR CDR1配列、配列番号65のLCVR CDR2配列、及び配列番号66のLCVR CDR3配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0136】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるCDR領域配列は、IMGT番号付けスキームに基づく。Kabat、Chothia、又はMartin(増強されたChothia)スキームなどの他の番号付けスキームに対応するCDR配列は、抗体配列アラインメントによって容易に導出され得る。
【0137】
上に記載される本発明の態様のいずれかについて、いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において:(1A)HCVR配列は、配列番号7であり、かつ/又は(1B)LCVR配列は、配列番号8であるか、又は(2A)HCVR配列は、配列番号67であり、かつ/又は(2B)LCVR配列は、配列番号68である。
【0138】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号7若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号8若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0139】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号9若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号10若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0140】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号11若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号12若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0141】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号13若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号14若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0142】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号15若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号16若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0143】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号17若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号18若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0144】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号19若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号20若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0145】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号21若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号22若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0146】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号23若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号24若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0147】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号25若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号26若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0148】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号27若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号28若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0149】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号29若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号30若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0150】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号31若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号32若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0151】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号33若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号34若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0152】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号35若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号36若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0153】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号37若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号38若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0154】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号39若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号40若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0155】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号41若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号42若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0156】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号43若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号44若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0157】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号45若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号46若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0158】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号47若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号48若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0159】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号49若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号50若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0160】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号51若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号52若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0161】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号53若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号54若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0162】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号55若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号56若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0163】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号67若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号68若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0164】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号69若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号70若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0165】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号71若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号72若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0166】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号73若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号74若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0167】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号75若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号76若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0168】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号77若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号78若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0169】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号79若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号80若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0170】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号81若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号82若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0171】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号83若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号84若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0172】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号85若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号86若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0173】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号87若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号88若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0174】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号89若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号90若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0175】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号91若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号92若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0176】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号93若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号94若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0177】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号95若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号96若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0178】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号97若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号98若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0179】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号99若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号100若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0180】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号101若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号102若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0181】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号103若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号104若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0182】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号105若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号106若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0183】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号107若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号108若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0184】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号109若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号110若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0185】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号111若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号112若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0186】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号113若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号114若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0187】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片において、HCVR配列は、配列番号115若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ重鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体であり、並びに/又は、LCVR配列は、配列番号116若しくはそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつ軽鎖フレームワーク領域において少なくとも1つのアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含む/から本質的になる/からなる変異体である。
【0188】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、(1a)配列番号117の重鎖配列、及び/若しくは配列番号118の軽鎖配列、又は(2a)配列番号119の重鎖配列、及び/若しくは(2b)配列番号120の軽鎖配列を有する。
【0189】
本発明の抗体の配列のうちのいくつかを以下に提供する。
HFB6-4-hG1(ヒト-マウスキメラモノクローナル抗体)
CDR-H1:CTTSGFNIKDTYIHW(配列番号1)
CDR-H2:GRNDPANGNTKYD(配列番号2)
CDR-H3:CASYEGYYERFGYW(配列番号3)
CDR-L1:CKSSQSLLDRDGKTYLNW(配列番号4)
CDR-L2:LVSKLDS(配列番号5)
CDR-L3:CWQDTHFPYTF(配列番号6)
HCVR:EVQLQQSGAELVNPGASVKLSCTTSGFNIKDTYIHWVKQRPEQGLEWIGRNDPANGNTKYDPKFQGKATITADTSSSTAYLQLSSLTSEDTAVYYCASYEGYYERFGYWGQGTLVTVSA(配列番号7)
LCVR:
DVVMTQAPLTLSVTIGQPASISCKSSQSLLDRDGKTYLNWLLQRPGQSPKRLIYLVSKLDSGVPDRFTGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCWQDTHFPYTFGGGTKLEIK(配列番号8)
HC:EVQLQQSGAELVNPGASVKLSCTTSGFNIKDTYIHWVKQRPEQGLEWIGRNDPANGNTKYDPKFQGKATITADTSSSTAYLQLSSLTSEDTAVYYCASYEGYYERFGYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号117)
LC:DVVMTQAPLTLSVTIGQPASISCKSSQSLLDRDGKTYLNWLLQRPGQSPKRLIYLVSKLDSGVPDRFTGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCWQDTHFPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号118)
HFB6-5-hG1(ヒト-マウスキメラモノクローナル抗体)
CDR-H1:CTASGVNIKDTYMYW(配列番号61)
CDR-H2:GRIDPANGYTRYD(配列番号62)
CDR-H3:CAVYDGYYESFDVW(配列番号63)
CDR-L1:CKSSQSLLDSDGKTYLNW(配列番号64)
CDR-L2:LVSKLDS(配列番号65)
CDR-L3:CWQGTLFPRTF(配列番号66)
HCVR:EVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGVNIKDTYMYWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGYTRYDPKFQGKATITADTSSNTAHLQLSSLTSEDAAVYYCAVYDGYYESFDVWGAGTTVTVSS(配列番号67)
LCVR:
DVVMTQAPLTLSVTIGQPASISCKSSQSLLDSDGKTYLNWLLQRPGQSPKRLIYLVSKLDSGVPDRFTGSGSGTDFTLKINRVEAEDLGVYYCWQGTLFPRTFGGGTKLEIK(配列番号68)
HC:EVQLQQSGAELVKPGASVKLSCTASGVNIKDTYMYWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGYTRYDPKFQGKATITADTSSNTAHLQLSSLTSEDAAVYYCAVYDGYYESFDVWGAGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号119)
LC:DVVMTQAPLTLSVTIGQPASISCKSSQSLLDSDGKTYLNWLLQRPGQSPKRLIYLVSKLDSGVPDRFTGSGSGTDFTLKINRVEAEDLGVYYCWQGTLFPRTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号120)
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、又は再表面化抗体である。
【0193】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、又はIgG4抗体である。
【0194】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、IgG1抗体である。
【0195】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号57又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の重鎖定常領域配列と、配列番号58又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の軽鎖定常領域配列と、を含むIgG1抗体である。
【0196】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、(1)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)を調節し(例えば、FcγRIIIaへの増加した結合を介して増強されたADCCを有するF243L、G236A、S239D/I332E、S239D/A330L/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、又はアフコシル化(非フコシル化)抗体(例えば、Fc領域におけるアフコシル化N297))、かつ/又は、(2)血清半減期を増強する(例えば、T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E)、重鎖定常領域における変異を含むIgG1抗体である。
【0197】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体、ヒト-マウスキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、又は再表面化抗体である。
【0198】
ある特定の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体である。
【0199】
いくつかの実施形態では、その抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、F、単鎖Fv若しくはscFv、ジスルフィド結合F、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH、ミニボディ、F(ab’)、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb、(scFv)、又はscFv-Fcである。
【0200】
ある特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒトBTLAに特異的であり、例えば、マウスBTLAと実質的に交差反応しない。
【0201】
ある特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、サルBTLA(例えば、カニクイザル又はアカゲザルBTLA、例えば配列番号122)などの非ヒト初代BTLAと交差反応する。ある特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、マウスBTLA(例えば、配列番号123)などの齧歯類BTLAと交差反応しない。ヒト、サル、及びマウスBTLAの当該技術分野において既知の例示的なアミノ酸配列を以下に列挙する。
【0202】
【表3】
【0203】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒトBTLAに対して≦1μΜ、≦100nM、≦50nM、≦25nM、≦20nM、≦15nM、≦10nM、≦5nM、≦2nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、HFB6-4によって結合されているエピトープに結合する。ある特定の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、HFB6-5によって結合されているエピトープに結合する。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、ヒトBTLAのアゴニストであり、BTLAに結合するとBTLAからの下流シグナル伝達を活性化する。
【0206】
いくつかの実施形態では、BTLAからの当該下流シグナル伝達は、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT細胞)及び/若しくはプラズマ細胞活性化を阻害する。
【0207】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、HVEMへのBTLA結合を遮断/干渉/消失しない。
【0208】
いくつかの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、BTLAに結合すると、B細胞増殖を阻害し、かつ/又はT細胞(例えば、CD4、CD8、Th1、TFH、αβ、又はγδT-細胞)活性化を阻害する。
【0209】
ある特定の実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0210】
関連する態様では、本発明は、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片であって、(1)配列番号9のHCVR配列、配列番号57の重鎖定常領域配列、配列番号10のLCVR配列、及び配列番号58の軽鎖定常領域配列、又は、(2)配列番号59の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号60の軽鎖アミノ酸配列を含む/から本質的になる/からなる、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0211】
いくつかの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、高温下で(例えば、25℃又は40℃での貯蔵で安定)、低pH条件で(例えば、pH3.5、室温付近)、及び/又は数回の凍結/解凍サイクルの後に安定であることを含む、良好な開発可能性プロファイルを有する。
【0212】
ある特定の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を含む、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、抗体の開発可能性を改善するように設計されているアミノ酸配列の1つ以上の点変異を含む。例えば、Raybould et al.(Five computational developability guidelines for therapeutic antibody profiling,PNAS116(10):4025-4030,2019)は、治療用抗体プロファイラ(Therapeutic Antibody Profiler、TAP)(ダウンロード可能な可変ドメイン配列の相同性モデルを構築し、5つの開発可能性ガイドラインに対してそれらを試験し、潜在的な配列の役割及び古典的な形式を報告するための計算ツール)について記載している。著者らは、opig.stats.ox.ac.uk/webapps/sabdab-sabpred/TAP.phpで自由に利用可能なTAPを更に提供している。
【0213】
抗原に対する所望の親和性を達成することに加えて、治療的mAb開発に対する多くの障壁が存在する。これらには、固有の免疫原性、化学的及び立体構造的不安定性、自己会合、高粘度、多特異性、及び不十分な発現が含まれる。例えば、特に超可変相補性決定領域(CDR)における、高レベルの疎水性は、凝集、粘度、及び多特異性に繰り返し関与している。重鎖及び軽鎖可変ドメインの正味電荷の非対称性は、高濃度での自己会合及び粘度とも相関している。CDRにおける正電荷及び負電荷のパッチは、高率のクリアランス及び低い発現レベルに関連している。生成物の不均一性(例えば、酸化、異性化、又はグリコシル化による)は、翻訳後修飾又は同時翻訳修飾を受けやすい特定の配列モチーフから生じることが多い。配列の役割の同定を容易にするための計算ツールが利用可能である。Warszawski et al.(Optimizing antibody affinity and stability by the automated design of the variable light-heavy chain interfaces.PLoS Comput Biol 15(8):e1007207.https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1007207)はまた、可変軽鎖-重鎖界面の自動設計によって抗体親和性及び安定性を最適化する方法を記載した。追加の方法が、候補抗体の潜在的な開発可能性の問題を同定するために利用可能であり、本発明の好ましい実施形態では、1つ以上の点変異が、従来の方法を介して候補抗体に導入されて、そのような問題に対処し、本発明の最適化された治療用抗体をもたらすことができる。
【0214】
7.ヒト化抗体
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒト抗体に対するヒト免疫応答(例えば、ヒト抗マウス抗体(human anti-mouse antibody、HAMA)応答)を低減又は排除するため、治療用分子として有用であり、これは、抗体治療薬に対する免疫応答及び治療薬の有効性の低下をもたらし得る。
【0215】
抗体は、任意の標準的な方法によってヒト化され得る。ヒト化の非限定的な例示的方法としては、例えば、米国特許第5530101号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第6,180,370号;Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al,Nature 332:323-27(1988);Verhoeyen et al,Science 239:1534-36(1988);及び米国特許出願公開第2009/0136500号に記載されている方法が挙げられる。全てが参照により組み込まれる。
【0216】
ヒト化抗体は、非ヒト可変領域のフレームワーク領域における少なくとも1つのアミノ酸が、ヒトフレームワーク領域における対応する位置からのアミノ酸で置き換えられている抗体である。いくつかの実施形態では、非ヒト可変領域のフレームワーク領域における少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも15個、又は少なくとも20個のアミノ酸が、1つ以上のヒトフレームワーク領域における1つ以上の対応する位置からのアミノ酸で置き換えられる。
【0217】
いくつかの実施形態では、置換に使用される対応するヒトアミノ酸のうちのいくつかは、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子のフレームワーク領域からのものである。すなわち、いくつかのそのような実施形態では、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上は、第1のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの、又は第1のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる対応するアミノ酸で置き換えられ得、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上は、第2のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの、又は第2のヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる対応するアミノ酸で置き換えられ得、非ヒトアミノ酸のうちの1つ以上は、第3のヒト抗体のヒトフレームワーク領域からの、又は第3のヒト免疫グロブリン遺伝子などによってコードされる対応するアミノ酸で置き換えられ得る。更に、いくつかの実施形態では、単一のフレームワーク領域(例えば、FR2)における置換のために使用される対応するヒトアミノ酸の全てが、同じヒトフレームワークからのものである必要はない。しかしながら、いくつかの実施形態では、置換に使用される対応するヒトアミノ酸の全ては、同じヒト抗体からのものであるか、又は同じヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされる。
【0218】
いくつかの実施形態では、抗体は、1つ以上のフレームワーク領域全体を、対応するヒトフレームワーク領域で置き換えることによってヒト化される。いくつかの実施形態では、置換されている非ヒトフレームワーク領域に対して最高レベルの相同性を有するヒトフレームワーク領域が選択される。いくつかの実施形態では、そのようなヒト化抗体は、CDR移植抗体である。
【0219】
いくつかの実施形態では、CDR移植に続いて、1つ以上のフレームワークアミノ酸が、マウスフレームワーク領域における対応するアミノ酸に戻される。そのような「復帰変異」は、いくつかの実施形態では、CDRのうちの1つ以上の構造に寄与すると思われる、及び/又は抗原接触に関与し得る、及び/又は抗体の全体的な構造的完全性に関与すると思われる、1つ以上のマウスフレームワークアミノ酸を保持するために行われる。いくつかの実施形態では、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、1個、又はゼロ個の復帰変異が、CDR移植後に抗体のフレームワーク領域に対して行われる。
【0220】
いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はまた、ヒト重鎖定常領域及び/又はヒト軽鎖定常領域を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本発明のヒト化抗BTLA抗体又はその抗原結合断片は、表1~表2及び添付の配列表(本明細書の一部として本明細書に組み込まれる)に列挙される1つの抗体である。
【0222】
8.ヒト抗体
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、任意の好適な方法によって作製することができる。非限定的な例示的方法としては、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を作製することが挙げられる。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-55(1993);Jakobovits et al,Nature 362:255-8(1993);onberg et al,Nature 368:856-9(1994);並びに米国特許第5,545,807号;同第6,713,610号;同第6,673,986号;同第6,162,963号;同第5,545,807号;同第6,300,129号;同第6,255,458号;同第5,877,397号;同第5,874,299号;及び同第5,545,806号を参照されたい。
【0223】
非限定的な例示的方法としてはまた、ファージディスプレイライブラリを使用してヒト抗体を作製することが挙げられる。例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381-8(1992);Marks et al,J.Mol.Biol.222:581-97(1991);及びPCT国際公開第99/10494号を参照されたい。
【0224】
抗体定常領域
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化、キメラ、又はヒト抗体は、1つ以上のヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態は、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、ヒト軽鎖定常領域は、K及びλから選択されるアイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はFc融合パートナーは、例えば、IgG1定常領域にC237S変異を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG2重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施形態では、IgG2定常領域は、米国特許第6,900,292号に記載されているように、P331S変異を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかのそのような実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG4定常領域においてS241P変異を含む。例えば、Angal et al.Mol.Immunol.30(1):105-108(1993)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、配列番号57又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の重鎖定常領域配列と、配列番号58又はそれに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有し、かつその中にアミノ酸変化(例えば、挿入、欠失、及び/又は置換)を含むその変異体の軽鎖定常領域配列と、を含むヒトIgG1定常領域を含む。
【0226】
重鎖定常領域の選択は、抗体がインビボでエフェクター機能を有するか否かを決定することができる。そのようなエフェクター機能は、いくつかの実施形態では、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は相補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity、CDC)を含み、抗体が結合している細胞の死滅をもたらし得る。典型的には、ヒトIgG1又はIgG3重鎖を含む抗体は、エフェクター機能を有する。
【0227】
いくつかの実施形態では、本発明の単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)を調節する、重鎖定常領域における変異を含むIgG1抗体である(例えば、FcγRIIIaへの増加した結合を介して増強されたADCCを有するF243L、G236A、S239D/I332E、S239D/A330L/I332E、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S298A/E333A/K334A、又はアフコシル化(非フコシル化)抗体(例えば、Fc領域におけるアフコシル化N297)。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明の単離、重鎖定常領域における変異を含むIgG1抗体である(例えば、T250Q/M428L、及びM252Y/S254T/T256E)。
【0229】
いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、望ましくない。例えば、いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、炎症状態及び/又は自己免疫疾患の処置において望ましくない場合がある。いくつかのそのような実施形態では、ヒトIgG4又はIgG2重鎖定常領域が、選択又は操作される。いくつかの実施形態では、IgG4定常領域は、S241P変異を含む。
【0230】
本明細書に記載される抗体のいずれも、任意の好適な方法によって精製され得る。そのような方法としては、親和性マトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィの使用が挙げられるが、これらに限定されない。好適な親和性リガンドとしては、抗体が結合する抗原及び/又はエピトープ、並びに抗体定常領域を結合するリガンドが挙げられる。例えば、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質A/G、又は抗体親和性カラムを使用して、定常領域を結合し、抗体を精製し得る。
【0231】
いくつかの実施形態では、疎水性相互作用クロマトグラフィ(hydrophobic interactive chromatography、HIC)、例えば、ブチル又はフェニルカラムもまた、いくつかのポリペプチドを精製するために使用される。ポリペプチドを精製する多くの方法が、当該技術分野において既知である。
【0232】
代替として、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、無細胞系において産生される。非限定的な例示的無細胞系は、例えば、Sitaraman et al.,Methods Mol.Biol.498:229-44(2009);Spirin,Trends Biotechnol.22:538-45(2004);Endo et al,Biotechnol.Adv.21:695-713(2003)に記載されている。
【0233】
9.本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明はまた、本明細書に記載される抗体の1つ以上の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載される抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載される抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチド及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0234】
いくつかのそのような実施形態では、重鎖及び軽鎖は、1つの核酸分子から、又は2つの別個の核酸分子から、2つの別個のポリペプチドとして発現される。いくつかの実施形態では、抗体がscFvである場合など、単一のポリヌクレオチドは、一緒に連結された重鎖及び軽鎖の両方を含む単一のポリペプチドをコードする。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳された場合に重鎖又は軽鎖のN末端に位置するリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上で考察されたように、リーダー配列は、天然の重鎖若しくは軽鎖リーダー配列であり得るか、又は別の異種リーダー配列であり得る。
【0236】
核酸分子は、当該技術分野において従来的な組換えDNA技術を使用して構築され得る。いくつかの実施形態では、核酸分子は、哺乳動物細胞などの選択された宿主細胞における発現に好適な発現ベクターである。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。
【0238】
10.ベクター
本明細書に記載される抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクターが提供される。そのようなベクターとしては、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列及び軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖及び軽鎖は、2つの別個のポリペプチドとしてベクターから発現される。いくつかの実施形態では、重鎖及び軽鎖は、例えば、抗体がscFvである場合など、単一のポリペプチドの一部として発現される。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、発現ベクター(例えば、哺乳動物、酵母、昆虫、又は細菌発現ベクター)である。
【0240】
いくつかの実施形態では、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターは、同様の量(例えば、同様のモル量又は同様の質量)で宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、5:1~1:5の第1のベクター及び第2のベクターのモル比又は質量比が、宿主細胞にトランスフェクトされる。いくつかの実施形態は、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターについて1:1~1:5の質量比が使用される。いくつかの実施形態は、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターについて1:2の質量比が使用される。
【0241】
いくつかの実施形態では、CHO若しくはCHO由来細胞、又はNSO細胞におけるポリペプチドの発現のために最適化されているベクターが選択される。例示的なそのようなベクターは、例えば、Running Deer et al.,Biotechnol.Prog.20:880-889(2004)に記載されている。いくつかの実施形態では、ベクターは、ヒトを含む動物における主題の抗体のインビボ発現のために選択される。いくつかのそのような態様では、1つ又は複数のポリペプチドの発現は、組織特異的に機能する1つ又は複数のプロモーターの制御下にある。例えば、肝臓特異的プロモーターは、例えばPCT国際公開第2006/076288号に記載されている。
【0242】
11.宿主細胞
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、細菌細胞などの原核細胞において、又は、真菌細胞(酵母など)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞などの真核細胞において発現され得る。そのような発現は、例えば、当該技術分野において既知の手順に従って実施され得る。ポリペプチドを発現するために使用され得る例示的な真核細胞としては、COS7細胞を含むCOS細胞;293-6E細胞を含む293細胞;CHO-S及びDG44細胞を含むCHO細胞;PER.C6(登録商標)細胞(Cru細胞);及びNSO細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、酵母において発現され得る。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045(A1)号を参照されたい。いくつかの実施形態では、特定の真核宿主細胞は、抗BTLA抗体の重鎖及び/又は軽鎖に対して所望の翻訳後修飾を行うその能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態では、CHO細胞は、293細胞において産生される同じポリペプチドよりも高いレベルのシアル化を有するポリペプチドを産生する。
【0243】
所望の宿主細胞への1つ以上の核酸の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染などを含むがこれらに限定されない任意の方法によって達成され得る。非限定的な例示的方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に記載されている。核酸は、任意の好適な方法に従って、所望の宿主細胞において一過的又は安定的にトランスフェクトされ得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、任意の好適な方法に従って、ポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子で操作又はトランスフェクトされている動物においてインビボで産生され得る。
【実施例
【0245】
実施例1 カニクイザルBTLAと交差反応するヒトBTLAアゴニスト抗体の同定
この実施例は、ベンチマークBTLAアゴニスト抗体(本明細書において22B3と称される)と同様の又はそれを上回る程度まで抗IgM媒介性B細胞増殖を阻害するそれらの能力(図2A)並びにHVEM媒介性T細胞阻害を逆転させるそれらの不能性(図2B)に基づく、2つのマウスリード抗体候補(HFB6-4及びHFB6-5)
の同定を記載する。したがって、これらのマウス抗体は、BTLAに結合し、BTLAの下流で免疫抑制機能を開始するそれらの能力、並びにBTLAに結合した場合にBTLAの天然リガンド(すなわち、HVEM)を置き換えるそれらの不能性に起因して、「アゴニスト非遮断薬」と称されることがある。
【0246】
図1において、ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞及びカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞を、異なる濃度の抗BTLA親抗体とインキュベートした。標的細胞への抗BTLA抗体結合を、AF647コンジュゲート抗ヒトIgG Fc二次抗体でフローサイトメトリによって定量化した。HFB6-4及びHFB6-5親抗体は、一桁のnM親和性でヒトBTLA及びカニクイザルBTLAに結合することが見出された。
【0247】
図2Aでは、初代B細胞を、EasySep(商標)ヒトB細胞単離キットを使用して健常ドナーPBMCから単離し、CFSEで標識した。B細胞を、100nMの抗BTLA抗体又は対照抗体の存在下で10μg/mL抗IgMで刺激した。4日後、B細胞増殖を、非刺激B細胞に関連するCFSE希釈(CFSElo%)によって定量化した。
【0248】
HVEM-BTLA遮断レポーターアッセイにおいて、TCR活性化因子(TCRα)及びBTLAリガンドHVEMを発現するように操作されたCHO細胞株を、BTLA及びNFAT結合プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatレポーター細胞株と共培養した。ベンチマーク抗BTLA遮断抗体(本明細書においてJS004と称される)の適用は、HVEM媒介性T細胞阻害を逆転させることができたが、HFB6-4及びHFB6-5はできなかった(図2B)。
【0249】
ビニング実験に基づいて、HFB6-4及び22B3エピトープがBTLA/HVEM結合界面で重複することが更に確認された。したがって、異なる抗体が、一見同じ又は実質的に重複するエピトープに結合するが、実質的に異なる生物学的活性を有するようであることは特に驚くべきことである。
【0250】
具体的には、ELISAビニング実験において、ELISAプレートを5μg/mLのそれぞれの捕捉抗体(HFB6-4又は22B3)又はリガンド(組換えFcタグ付きHVEM)でコーティングした。遮断後、組換えhisタグ化BTLA(BTLA-his)を、溶液中の過剰量(30μg/mL)の競合抗体又はアイソタイプ対照抗体(MGO53)と一緒に投与した。捕捉されたBTLA-hisを、HRPコンジュゲート抗his二次抗体で検出した。BTLA-his捕捉阻害の割合を、競合抗体としてのMGO53の使用に対して定量化した(以下の表を参照されたい)。
【0251】
【表4】
【0252】
データは、HFB6-4が、組換えBTLA(BTLA-his)の固定化22B3への結合(逆もまた同様)及び逆に組換えHVEM(HVEM-Fc)への結合を防止することを示した。これらのデータは、HFB6-4及び22B3エピトープがBTLA/HVEM結合界面で重複することを示す。
【0253】
実施例2 hBTLAアゴニスト抗体HFB6-4及びHFB6-5は、T細胞活性化を阻害する
この実験は、単離されたHFB6-4及びHFB-6-5抗体が、T細胞活性化を阻害するそれらの能力によって証明されるように、機能的hBTLAアゴニストであることを実証する。
【0254】
このアッセイでは、細胞表面上にFcγRIIbを発現するCHO細胞を、まず、抗CD3抗体の存在下又は非存在下で、HFB6-4又はHFB6-5(又は陽性対照若しくは陰性対照抗体)などの試験抗体とインキュベートして、試験抗体(及び添加された場合は抗CD3抗体)を、Fc領域を介して表面FcγRIIbに結合させた。
【0255】
次いで、試験抗体で覆われたCHO細胞を、表面TCR及びBTLAを発現するJurkatレポーター細胞とインキュベートした。抗CD3抗体がCHO細胞上にも存在する場合、抗CD3抗体によるTCR活性化の際に、HFB6-4及びHFB6-5などのBTLAアゴニスト抗体は、BTLAに関与し、下流BTLAシグナル伝達を刺激し、したがって、TCR下流NFATプロモーターの転写制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子によってレポーター細胞において測定されるように、TCRシグナル伝達を阻害した。
【0256】
TCR活性化を刺激するために抗CD3抗体を添加しなかった陰性対照では、ルシフェラーゼ活性は検出されなかった。ルシフェラーゼ活性は、BTLAに結合しなかった対照抗体MGOの存在下で減衰しなかった。
【0257】
対照的に、ベンチマークBTLAアゴニスト抗体22B3は、用量依存的にTCR媒介性ルシフェラーゼ活性を低減/阻害した。HFB6-4及びHFB6-5の両方、並びに別のBTLAアゴニスト抗体H6S8-9A10Aは、ベンチマーク抗体22B3よりも大きい程度でTCR媒介性ルシフェラーゼ活性を阻害した。図3を参照されたい。
【0258】
データは、HFB6-4、HFB6-5、及びH6S8-9A10Aが、TCRシグナル伝達の阻害において、ベンチマークアゴニスト抗体22B3と少なくとも同程度(より良好ではないとしても)良好であることを示した。
【0259】
実施例3 hBTLAアゴニスト抗体HFB6-4/HFB6-5は、B細胞増殖を阻害する
この実施例は、BTLAアゴニスト抗体HFB6-4及びHFB6-5が、試験された全てのドナーにおいて、ベンチマークアゴニスト抗体22B3に匹敵する程度まで初代B細胞増殖を阻害することを実証する。
【0260】
初代B細胞を、EasySep(商標)ヒトB細胞単離キットを使用して健常ドナーPBMCから単離し、CFSEで標識した。B細胞を、抗BTLA抗体又は対照抗体の存在下で10μg/mLの抗IgMで刺激した。4日後、B細胞増殖を、非刺激B細胞に関連するCFSE希釈(CFSElo%)によって定量化した。
【0261】
HFB6-4及びHFB6-5は、3人の異なるドナーからの初代B細胞の増殖を、ベンチマーク22B3抗体と同様のレベル(ドナー015及びドナー017)又はそれよりも良好に(ドナー019)阻害した(図4、左のパネル)。HFB6-4及びHFB6-5の濃度を増加させると、初代B細胞増殖の阻害も増加した(図4、右のパネル)。
【0262】
実施例4 ヒト化HFB6-4/HFB6-5変異体の結合及び交差反応性
この実験は、HFB6-4及びHFB6-5のヒト化変異体が全て、親HFB6-4及びHFB6-5抗体のように、hBTLAに結合し、カニクイザルBTLAと高親和性で交差反応することを実証する。
【0263】
簡潔に述べると、HFB6-4及びHFB6-5の24個の各ヒト化変異体(例えば、HFB6-4-hz1~-hz24、及びHFB6-5-hz1~hz24)を、標準的なヒト化プロトコルに基づいて生成し、得られたヒト化変異体を試験して、hBTLA及びcynoBTLAに対する高親和性バインダーを同定した。
【0264】
ヒトBTLAを過剰発現するHEK293細胞及びカニクイザルBTLAを過剰発現するExpi293細胞を、異なる濃度のヒト化抗BTLA抗体とインキュベートした。標的細胞への抗BTLA抗体結合を、AF647コンジュゲート抗ヒトIgG Fc二次抗体でフローサイトメトリによって定量化した。図5を参照されたい
【0265】
結果は、HFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体が、ヒト及びカニクイザルBTLAに一桁のnM親和性で結合することを示す。
【0266】
実施例5 HFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体は、B細胞増殖及びT細胞レポーター活性を阻害する
B細胞増殖及びT細胞レポーター活性の阻害における選択されたHFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体の能力を、親抗体及びベンチマーク対照の能力と比較した。
【0267】
B細胞増殖抑制アッセイでは、初代B細胞を、EasySep(商標)ヒトB細胞単離キットを使用して健常ドナーPBMCから単離し、CFSEで標識した。B細胞を、1μg/mL及び10μg/mLの抗BTLA抗体又は対照抗体の存在下で10μg/mLの抗IgMで刺激した。4日後、B細胞増殖を、非刺激B細胞に関連するCFSE希釈(CFSElo%)によって定量化した。
【0268】
T細胞抑制レポーターアッセイにおいて、FcγRIIbを発現するように操作されたCHO細胞株を使用して、抗CD3抗体及び抗BTLA抗体を架橋した。Fc受容体交差時に、抗BTLAアゴニスト抗体は、BTLA及びNFATルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatレポーター細胞株において、TCR-NFAT経路活性化によって駆動されるルシフェラーゼレポーターシグナルを阻害することができた。
【0269】
結果は、選択されたHFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体が、B細胞増殖(図6A)及びT細胞レポーター活性(図6B)の阻害において親HFB6-4及びHFB6-5活性を維持することを示す。
【0270】
実施例6 野生型C57BL/6マウスにおける選択されたHFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体の望ましいPKプロファイル
HFB6-4及びHFB6-5ヒト化変異体の薬物動態プロファイルを調査するために、単回用量(10mg/kg)の選択された変異体を野生型C57BL/6マウスに静脈内注射した。1時間、24時間、及び72時間で血液を採取し、選択された抗体の血漿濃度をELISAによって測定した。
【0271】
データは、選択されたヒト化変異体、例えばHFB6-4ヒト化変異体HFB6-4hz1-hG1、HFB6-4hz6-hG1、並びにHFB6-5ヒト化変異体HFB6-5hz12-hG1、HFB6-5hz19-hG1、及びHFB6-5hz24-hG1が、10mg/kgの単回用量として投与された場合に、マウスにおいて長期曝露を呈したことを示す。
【0272】
実施例7 選択されたヒト化変異体の好ましい開発可能性
HFB6-4及びHFB6-5の選択されたヒト化変異体の開発可能性を調査し、変異体は、溶融温度アッセイ、4℃及び37℃での安定性、並びに低pH(例えば、pH3.8)での安定性などの複数のアッセイにおいて好ましい開発可能性特性を呈する。
【0273】
実施例8 hPBMC-NSG急性GvHDモデルにおける治療有効性
この実施例は、主題のBTLAアゴニスト抗体が、急性GvHD(移植片対宿主疾患)のNSGマウスモデルにおいて免疫反応を阻害するのに有効であることを実証する。
【0274】
この実験では、主題のBTLAアゴニスト抗体のインビボ有効性を、急性移植片対宿主疾患(GvHD)の異種ヒト化マウスモデルにおいて評価する。このマウスモデルは、亜致死的に照射されたNSGマウスにおけるヒトPBMCの関与によって誘導されるT細胞媒介性疾患である。実験プロトコルの概略図を図8Aに例解する。
【0275】
図8Bは、各処置群についての用量及び測定される読み出しを含む、より詳細な実験計画を示す。4つの処置群の各々は、8匹のマウスを有する。それらは、PBS陰性対照群(G1)、IgG1アイソタイプ適合対照群(MGO53-hG1、G2)、BTLAアゴニスト抗体(HFB6-4-hz1-hG1)群(G3)、及び22B3ベンチマーク対照群(G4)を含む。
【0276】
予備データは、hPBMC接種後14日目に、主題のBTLAアゴニスト抗体HFB6-4-hz1-hG1で処置されたG3マウスが、アイソタイプ適合対照群G2と比較して、hCD45+免疫細胞の割合の統計的に有意な低減を呈したことを示した。一方、ベンチマーク群G4は、同じ時点で、たとえ差があったとしても、統計的に有意な差を有するようには見えなかった。図8Eを参照されたい。
【0277】
更に、図8Fのカプラン-マイヤー生存曲線は、主題のBTLAアゴニスト抗体HFB6-4-hz1-hG1で処置されたG3マウスの85%超が28日目の実験の終了時に生存したことを示す。これは、PBS対照群(G1)及びアイソタイプ適合MGO53-hG1対照群(G2)の20%未満の生存率よりも統計的に有意に高い。
【0278】
一方、生存率は、22B3ベンチマーク抗体により処置されたG4対照処置群において15日後に着実に低下し、処置されたマウスの40%未満が生存した。G3群とG4群との間の生存率の差も統計的に有意である。
【0279】
加えて、HFB6-4hz1-hG1処置群(G3)は、PBS対照群G1、アイソタイプ適合対照群G2、及び22B3ベンチマーク群G4と比較して、顕著に低減した総疾患スコア(図8Cを参照されたい)及び相対対照体重(relative control body weight、RCBD)減少(図8D)を示した。
【0280】
HFB6-4hz1-hG1の用量応答有効性もまた、同じhPBMC-NSG急性GvHDモデルにおいて、高用量の対照抗体22B3と比較して低用量のHFB6-4hz1-hG1で評価した(図8G)。具体的には、1、3、10mg/kgのHFB6-4hz1-hG1による処置は全て、10mg/kgの22B3-hG4及び10mg/kgのIgG4バージョンのHFB6-4hz1(HFB6-4hz1-hG4P)よりも大きい生存利益をもたらした。IgG4フォーマットにおいてさえ、HFB6-4hz1-hG4Pは、10mg/kgで22B3-hG4Pよりも優れている。更に、HFB6-4hz1-hG1(10mg/kg)処置は、ヒトにおける急性GvHDに対する承認された予防であるアバタセプト(6.13mg/kg、10mg/kg抗体とモル当量)よりも長期生存利益を実証した。
【0281】
これらのデータは、主題のBTLAアゴニスト抗体HFB6-4-hz1-hG1が、実験条件下で急性GvHDのこのマウスモデルにおいてベンチマーク22B3アゴニストよりも、少なくとも処置経過全体にわたるより良好な治療有効性、全体的により長くより良好な生存率、並びに低減された毒性に関して優れていることを示した。
【0282】
全体として、上記のデータは、HFB6-4及びHFB6-5などの主題のBTLAアゴニスト抗体並びにそれらの誘導ヒト化変異体が、ヒト及びカニクイザルBTLAに対して一桁の結合親和性を有すること、これらの抗体の複数のヒト化変異体(HFB6-4hz1-hG1など)が、B細胞増殖抑制及びT細胞レポーターアッセイにおいて親抗体機能を保持していたこと、抗体が野生型マウスにおいて好ましいPKプロファイルを呈したことを実証し、これは、有効性評価のためのq3d以下の頻度の投与を支持する。更に、急性GvHDのインビボhPBMC-NSGマウスモデルにおいて、主題のヒト化変異体HFB6-4hz1-hG1は、対照抗体の用量の10分の1(1/10)又は3分の1(1/3)の用量であっても、ベンチマークアゴニスト抗体22B3よりも有効かつ低毒性であることが証明された。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
【配列表】
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【国際調査報告】