(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】軽量シャフト受け構造を有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/02 20150101AFI20250204BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20250204BHJP
【FI】
A63B53/02
A63B102:32
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024544514
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 US2023061330
(87)【国際公開番号】W WO2023147398
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラビス ディ. ミレマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ビー. マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. モラレス
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA07
2C002KK03
2C002MM01
(57)【要約】
本明細書では、軽量シャフト受け構造を備えるゴルフクラブヘッドについて説明する。軽量シャフト受け構造は、クラブヘッドの低応力領域に設けられた1つ又は複数の軽量コンポーネントを備える。軽量コンポーネントは、そうでなければより高密度のボディ材料によって形成されるシャフト受け構造の部分を形成する。軽量シャフト受け構造は、クラブヘッドの質量特性を改善するために再分配することができる裁量質量を生み出す。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、
ボディと、を備え、
前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、
前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、
前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、
前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、
前記ホーゼルは、
ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、
ホーゼルボア開口部を画定するホーゼル壁上部と、
前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、
前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に設けられており、
前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、
前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、
前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、
リップが、前記ホーゼル壁上部の底部に形成されており、
前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記リップから前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、
前記チューブインサートは、前記ホーゼル壁上部によって前記ホーゼルボア開口部から隔てられており、
前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、
前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールする、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記シャフト受け構造は、さらに、前記ホーゼルボア開口部から前記ホーゼル基部まで前記ホーゼルボア軸と平行に測定されるホーゼル長さを備え、
前記チューブインサートは、前記チューブインサートの上端から下端まで測定されるチューブインサート長さを備え、
前記チューブインサート長さは、前記ホーゼル長さの70~90%である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記チューブインサート長さが、1.00インチと1.50インチの間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記リップは、前記ホーゼル壁上部と、前記ホーゼル壁の前記残りの部分と、の間の厚さの変化によって形成されており、
前記ホーゼル壁上部は、前記ホーゼル壁の前記残りの部分よりも大きな厚さを備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第2の密度が3g/cm
3未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記チューブインサートの上端が、前記リップ、前記シャフトスリーブ、及び、前記ホーゼル壁によって保持されており、
前記チューブインサートの下端が、底部ラップジョイント、前記ホーゼル基部、及び、エンドキャップによって保持される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ホーゼル壁が、前記リップに近接する頂部ラップジョイントを画定し、
前記ボディが、前記ホーゼル基部から前記内部キャビティに延びる底部ラップジョイントを画定し、
前記チューブインサートは、前記頂部ラップジョイント、及び、前記底部ラップジョイントに接着して接続されるように構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、
ボディと、を備え、
前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、
前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、
前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、
前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、
前記ホーゼルは、
ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、
前記ホーゼルの上端に位置するホーゼルボア開口部と、
前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、
前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に形成されており、
前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、
前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、
前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、
前記ホーゼルは、さらに、前記ホーゼルボア開口部に近接するホーゼル壁上部を備え、
前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記ホーゼル壁上部から前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、
前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、
前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールし、
前記シャフト受け構造が、前記ホーゼルボア軸と平行に測定され、前記ホーゼルボア開口部と前記チューブインサートの上端との間の距離として定義されるチューブインサートオフセット距離を備え、
前記チューブインサートオフセット距離は、0.20インチより大きい、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記シャフト受け構造は、前記第1の材料のみで形成された同様のシャフト受け構造の質量よりも少なくとも3グラム小さい質量を有する、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第2の密度が3g/cm
3未満である、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、
ボディと、を備え、
前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、
前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、
前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、
前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、
前記ホーゼルは、
ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、
ホーゼルボア開口部を画定するホーゼル壁上部と、を備え、
前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、
前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、
下部開口部が、前記ソール上であって、前記ホーゼルボア開口部の反対側に位置し、
エンドキャップが、前記ソールに接続して前記下部開口部を閉じるように構成されており、
前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記ホーゼル壁上部から前記エンドキャップまで延びるチューブインサートを備え、
前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記エンドキャップは、前記第1の密度より小さい第3の密度を有する第3の材料で形成されており、
前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、
前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールする、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記エンドキャップは、さらに、前記チューブインサートの下端を受け入れるように構成された1つ又は複数の切欠きを備える、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記エンドキャップは、さらに、エンドキャップボディと、前記エンドキャップボディから上方に延びる突出部と、を備え、
前記突出部が、前記ホーゼルボア内を少なくとも部分的に延びる、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記エンドキャップは、さらに、エンドキャップ下面からエンドキャップ上面まで前記エンドキャップを通って延びる開口部を備える、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記チューブインサートは、前記下部開口部を通って前記内部キャビティに挿入されるように構成されている、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記第2の密度が3g/cm
3未満である、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記第3の密度が3g/cm
3未満である、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス優先順位)
本願は、2022年1月26日に出願された米国仮出願第63/267,183号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般にゴルフクラブに関し、より詳細には、軽量で調整可能なシャフト受け構造を有するゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフスポーツにおいて、性能を最大にするために、ゴルフクラブヘッドは、特定のプレーヤーにカスタマイズ可能でなければならない。ゴルフクラブヘッドの設計におけるカスタマイズ性の一例は、プレーヤーに合わせたロフト角及び/又はライ角を有するゴルフクラブヘッドを提供することである。ロフト角、及び、ライ角の調節可能性は、調節可能なシャフト受け機構の使用によって達成されることが多い。しかしながら、そのような機構は、(調節不可能なシャフト受け機構と比較して)かなりの質量を有する追加のコンポーネントを必要とする。調整可能なコンポーネントを含めることにより、クラブヘッドの戦略的な領域に再配分してクラブヘッドの質量特性(すなわち、重心位置及び慣性モーメント)を最適化してクラブヘッドの性能を改善することができ、かつ、裁量質量の量を減少させる。
【0004】
図1及び
図2に図示されている先行技術のクラブヘッドは調整可能なシャフト受け構造150を備える。調整可能なシャフト受け構造150はシャフトスリーブ166とホーゼル152とを含む。ホーゼル152はクラブヘッド100にかなりの質量を提供するシャフトスリーブ166を受け入れるように構成されている。典型的な先行技術のシャフト受け構造150は、ホーゼル152と、ホーゼル152に挿入可能なシャフトスリーブ166とを備える。シャフトスリーブ166は、ゴルフクラブシャフト(図示省略)をクラブヘッド100に接続し、アドレスにおけるクラブヘッド100のロフト角、及び/又は、ライ角の調整可能性を提供するように構成される。ホーゼル152は、シャフトスリーブ166を受け入れるように構成されたホーゼルボア156を備えることができる。ホーゼルボア156は、ホーゼルボア156と同心のホーゼルボア軸168を規定する。ホーゼル152は、ホーゼル壁154の上端にホーゼルボア開口部158を画定することができる。シャフトスリーブ166とホーゼル152は対応する受け入れ形状を有し、シャフトスリーブ166がホーゼルボア156内に取り外し可能かつ調節可能に接続されることを可能にすることができる。多くの場合、クラブヘッドのロフト角、及び/又は、ライ角は、ホーゼルボア156内のシャフトスリーブ166の位置を調整することによって調整することができる。シャフトスリーブ166は締結具176によってホーゼル152に固定することができる。締結具176は、シャフト受け構造150に形成された下部開口部174を通って延び、シャフトスリーブ166の下端に接続することができる。締結具176はシャフトスリーブ166をホーゼル152に取り外し可能に接続することができる。
【0005】
多くの先行技術のシャフト受け構造150は、クラブヘッドボディ101によって形成される複数の内部コンポーネントを備える。
図1に示されるように、多くの先行技術のシャフト受け構造150は、ホーゼルボア開口部158からホーゼル基部162まで延びるホーゼルチューブ160を備える。ホーゼルチューブ160は、シャフトスリーブ166を所定の位置に保持し、ホーゼルボア156を内部キャビティ107からシールする。先行技術では、ホーゼル152全体、ホーゼルチューブ160、及び、ホーゼル基部162は、すべて、典型的にはクラブヘッドボディ101と一体的に形成される。従って、シャフト受け構造150にかなりの質量を加える。シャフトスリーブ166は、締結具176によってホーゼル152に固定することができる。締結具176は、シャフト受け構造150に形成された下部開口部174を通って延び、シャフトスリーブ166の下端に接続することができる。
【0006】
図1及び
図2に示されているように、ホーゼルチューブ160は、シャフトスリーブ166がホーゼルボア156内に挿入されているとき、シャフトスリーブ166に接触して支えない。その代わりに、シャフトスリーブ166は、主に、ホーゼルボア開口部158でホーゼル壁154に支えられ、ねじ付き締結具176との張力によって支えられる。次に、ねじ付き締結具176の頭部は、下部開口部174に近接してホーゼル基部162と接触している。使用中にシャフトを通してゴルフクラブヘッド100に与えられる応力は、ホーゼルボア開口部158とホーゼル基部162の接触点でシャフトスリーブ166を通して伝達される。ホーゼルチューブ160がシャフトスリーブ166と接触していないので、ホーゼルチューブ160は、ゴルフスイングの応力負荷のうちわずかな量しか応力負荷を受けない。
【0007】
先行技術のシャフト受け構造150では、上述した様々なコンポーネント(即ち、ホーゼル壁154、ホーゼルチューブ160、ホーゼル基部162、シャフトスリーブ166、締結具176等)は、スチール、又は、他の比較的高密度の金属材料で形成されている。このように、ゴルフクラブヘッドに調整可能なシャフト受け構造を設けることは、従来、クラブヘッドの質量特性を改善するために利用可能な裁量質量の量を減少させてきた。ロフト、及び、ライの調整可能性を可能にし、性能向上のためにクラブヘッド全体に再分配される裁量質量を生み出し、クラブヘッドの構造的完全性を保つシャフト受け構造に対する必要性が当技術分野において存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態のさらなる説明を容易にするために、以下の図面が提供される。
【0009】
【
図1】先行技術のゴルフクラブヘッドのシャフト受け構造を示す正面断面図である。
【0010】
【
図2】
図1の先行技術のシャフト受け構造の分解詳細図である。
【0011】
【
図3】本発明に係るウッド型ゴルフクラブヘッドの正面斜視図である。
【0012】
【
図4】
図3のウッド型ゴルフクラブヘッドの正面図である。
【0013】
【
図5】
図3のウッド型ゴルフクラブヘッドのヒール側断面図である。
【0014】
【
図6】
図3のウッド型ゴルフクラブヘッドのソール図である。
【0015】
【
図7】チューブインサートと下部エンドキャップを備える軽量シャフト受け構造の正面断面図である。
【0016】
【
図8】
図7の軽量シャフト受け構造の分解断面図である。
【0017】
【
図9】
図7の下部エンドキャップの断面詳細図である。
【0018】
【
図10】チューブインサートと軽量カラーとを備える軽量シャフト受け構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【0019】
【0020】
【
図12】
図10の軽量シャフト受け構造の詳細分解図であり、軽量カラーとホーゼルとの間の接続を強調している。
【0021】
【
図13】ホーゼルインサートを有する軽量シャフト受け構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【0022】
【0023】
【
図15】チューブインサートのない軽量シャフト受け構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【0024】
【
図16】外部ホーゼルインサートを有する軽量シャフト受け構造の別の実施形態のヒール側断面図である。
【0025】
【
図17A】ホーゼルチューブを備える先行技術のクラブヘッドのインパクト時に発生する内部応力を示している。
【0026】
【
図17B】
図17Aのクラブヘッドに似ているが、ホーゼルチューブがないクラブヘッドのインパクト時に発生する内部応力を示している。
【0027】
【
図18A】ウッド型ゴルフクラブヘッドのシャフト受け構造の内部図である。
【
図18B】ウッド型ゴルフクラブヘッドのシャフト受け構造の内部図である。
【0028】
本明細書には、軽量で調整可能なシャフト受け構造を備えるゴルフクラブヘッドの様々な実施形態が記載される。軽量シャフト受け構造は、裁量質量を創出する低減された質量を有する。裁量質量はCG位置、及び、慣性モーメント等の質量特性を改善するためにクラブヘッドに適用することができる。シャフト受け構造は、様々なコンポーネントを備え、そのうちのいくつかは、シャフト受け構造の全体質量を低減するために軽量材料で構成することができる。シャフト受け構造の質量の低減は裁量質量を生み出し、裁量質量は改善された質量特性を有する高性能クラブヘッドを作成するために戦略的な位置に再配分することができる。
【0029】
特に、軽量シャフト受け構造は、ゴルフスイング中、又は、クラブヘッドとゴルフボールとの間のインパクト時に大きな応力負荷を受けないクラブヘッドの領域に軽量(即ち低密度)コンポーネントを提供する。多くの実施形態では、ホーゼルとシャフトスリーブとの間の接触点、及び/又は、ホーゼル基部と締結具との間の接触点から離れて間隔を置いたシャフト受け構造の部分は、典型的には、インパクト時に無視できる応力を受ける。従って、シャフト受け構造は、クラブヘッドの構造的完全性のために先述の低応力部分に設けられた、いかなる構造コンポーネントにも依存しない。多くの実施形態では、軽量ホーゼルチューブインサート、ホーゼルインサート、又は、エンドキャップ等の軽量コンポーネントが、負荷を受ける以外の目的で、先述の部分に提供されることができる。いくつかの実施形態では、ホーゼルチューブのような先行技術のシャフト受け構造に典型的に設けられる特定のコンポーネントは、クラブヘッドの構造的完全性を犠牲にすることなく、完全に取り除くことができる。
【0030】
軽量シャフト受け構造は、シャフト受け構造の全体質量を減らし、裁量質量を生み出すために軽量コンポーネントを提供する。軽量シャフト受け構造は、軽量コンポーネントを欠く類似の先行技術のシャフト受け構造と比較して、最大12グラム多い裁量質量を生み出すことができる。多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造は密度が3g/cm3未満の軽量ホーゼルチューブインサートを有している。これは、大きな質量を提供することなく内部キャビティからホーゼルボアをシールする。他の実施形態では、軽量シャフト受け構造は、ホーゼルチューブが完全に取り除かれた「チューブレス」で構成され、シャフト受け構造の質量を最大限に低減する。多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造によって作られる裁量質量は、改善された質量特性を有するクラブヘッドを提供する。多くの実施形態において、裁量質量を使用して、CG高さを低くし、及び/又は、CG深さを変更し、より高い打ち出し、より少ないスピン、及び/又は、より速いボール速度を有するクラブヘッドを提供することができる。いくつかの実施形態では、裁量質量を使用して、先行技術のシャフト受け構造を有する同様のクラブヘッドよりも増加した慣性モーメントを提供することができる。
【0031】
(定義)
図示を簡略化し明瞭にするために、図面は一般的な構造の態様を示しており、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の特徴、及び、技術の説明、及び、詳細は省略されている場合がある。さらに、図面の要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図中の同じ参照数字は、同じ要素を示す。
【0032】
本明細書に記載されている「軽量」又は「低密度」という用語は、シャフト受け構造のコンポーネントに関して、クラブヘッドボディの少なくとも一部を構成する金属材料よりも密度が小さい材料で構成されているコンポーネントを表す。
【0033】
本明細書で説明する、シャフト受け構造の軽量コンポーネントに関する「置き換えている」又は「置き換える」という用語は、先行技術の実施形態では、そうでなければ、より高密度の金属クラブヘッドボディ材料で形成されるシャフト受け構造の一部を形成する、対象となる軽量コンポーネントの能力を指す。本明細書に記載される軽量コンポーネントによって、代替、又は、置き換えることができるシャフト受け構造の特徴を例示するために、本開示は先行技術を参考として使用する。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語は、もしあれば、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の順序、又は、時系列的順序を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、本明細書で説明される実施形態が、例えば、本明細書で図示、又は、その他の方法で説明される順序以外の順序で動作可能であるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。さらに、用語「含む(include)」、及び「有する(have)」、並びに、それらの変形は、要素のリストを有するプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的に列挙されていない、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲において、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「~の上」、「~の下」等の用語は、もしあれば、説明のために使用されるものであり、必ずしも恒久的な相対位置を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、本明細書で説明される本発明の実施形態が、例えば、本明細書で図示、又は、その他の方法で説明される向き以外の向きでも動作可能であるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。
【0036】
「接続」、「接続された」、「接続する」「接続している」等の用語は、広く理解されるべきであり、電気的、機械的、及び/又はその他の方法で、2つ以上の要素、又は、信号を接続することを指す。
【0037】
「打撃フェース」という用語は、ゴルフボールを打撃するように構成されたクラブヘッド前面を指す。打撃フェースという用語は、“フェース”と互換的に使用することができる。
【0038】
本明細書で説明する「打撃フェース外周部」という用語は、打撃フェースの縁部を指すことができる。打撃フェース外周部は、曲率が打撃フェースのバルジ、及び/又は、ロールから逸脱する打撃フェースの外縁に沿って位置することができる。
【0039】
本明細書で説明する打撃フェースの「幾何学的中心点」又は「幾何学的中心」という用語は、打撃フェース外周部の幾何学的中心点、及び、打撃フェースのフェース高さの中間点を指すことができる。同じ例、又は、他の例では、幾何学的中心点は、打撃フェース上の溝の領域によって画定され得る工学的インパクトゾーンに関しても中心とすることができる。別のアプローチとして、打撃フェースの幾何学的中心点は、米国ゴルフ協会(USGA)のようなゴルフ統括団体の定義に従って配置することができる。
【0040】
本明細書で説明する「接地面」という用語は、ゴルフボールが置かれる表面に関連する基準面を指すことができる。接地面は、アドレス位置でソールに接する水平面とすることができる。
【0041】
本明細書で説明する「ロフト面」という用語は、打撃フェースの幾何学的中心点に接する基準面を指すことができる。
【0042】
本明細書で説明する「ロフト角」という用語は、ロフト面と接地面に垂直な面との間で測定される角度を指すことができる。
【0043】
本明細書で説明する「フェース高さ」という用語は、打撃フェース外周部の上端と打撃フェース外周部の下端との間のロフト面に平行に測定された距離を指すことができる。
【0044】
本明細書で説明する「ライ角」という用語は、ホーゼルを通って延びるホーゼル軸と接地面との間の角度を指すことができる。ライ角は正面から見て測定される。
【0045】
本明細書で説明するゴルフクラブヘッドの「深さ」は、ゴルフクラブヘッドの前部から後部までの寸法として定義することができる。
【0046】
本明細書に記載されるようなゴルフクラブヘッドの「高さ」は、ゴルフクラブヘッドのクラウンからソールまでの寸法として定義することができる。多くの実施形態において、クラブヘッドの高さは、米国ゴルフ協会(USGA)等のゴルフ統括団体に従って測定され得る。
【0047】
本明細書に記載されるようなゴルフクラブヘッドの「長さ」は、ゴルフクラブヘッドのヒールからトウまでの寸法として定義することができる。多くの実施形態において、クラブヘッドの長さは、米国ゴルフ協会(USGA)等のゴルフ統括団体に従って測定され得る。
【0048】
本明細書に記載されるフェアウェイ型ゴルフクラブヘッドの「幾何学的中心高さ」とは、接地面からゴルフクラブヘッドの幾何学的中心点に対して垂直に測定された高さである。
【0049】
本明細書で説明するクラブヘッドの「リーディングエッジ」は、打撃フェース外周部の最もソール側の部分として特定することができる。
【0050】
本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドの「XYZ」座標系は、打撃フェースの幾何学的中心に基づいている。本明細書に記載されるようなゴルフクラブヘッドの寸法は、以下に定義されるような座標系に基づいて測定され得る。座標系は、
図4及び
図5を参照して説明される。打撃フェース102の幾何学的中心120は、打撃フェース102の幾何学的中心120に位置する原点を有する座標系を定義する。座標系は、X軸1040、Y軸1050、及び、Z軸1060を定める。X軸1040は、打撃フェース102の幾何学的中心120を通り、クラブヘッド100のヒール104からトウ106に向かう方向に延びる。Y軸1050は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン110からソール112に向かう方向に打撃フェース102の幾何学的中心120を通って延びる。Y軸1050はX軸1040に垂直である。Z軸1060は、ゴルフクラブヘッド100の前端108から後端111に向かう方向に、打撃フェース102の幾何学的中心120を通って延びる。Z軸1060は、X軸1040及びY軸1050の両方に対して垂直である。
【0051】
「重心位置」又は「CG位置」という用語、又は、語句は、XYZ座標系に対するクラブヘッド重心(CG)199の位置を指すことができ、CG位置は、X軸1040、Y軸1050、及び、Z軸1060に沿った位置によって特徴付けられる。「CGx」という用語は、原点120から測定された、X軸1040に沿ったCG位置を指すことができる。「CG高さ」という用語は、原点120から測定された、Y軸1050に沿ったCG位置を指すことができる。「CGy」という用語は、CG高さと同義であることができる。「CG深さ」という用語は、原点120から測定された、Z軸1060に沿ったCG位置を指すことができる。用語「CGz」は、CG深さと同義であることができる。
【0052】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッドのXYZ座標系は、X軸1040及びY軸1050を通って延びるXY平面を規定する。座標系は、X軸1040及びZ軸1060を通って延びるXZ平面を規定する。座標系は、Y軸1050及びZ軸1060を通って延びるYZ平面をさらに定義する。XY平面、XZ平面、及び、YZ平面はすべて互いに垂直であり、打撃フェース102の幾何学的中心120に位置する座標系原点で交差する。これらの実施形態、又は、他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100は、XY平面に垂直な方向から打撃フェース102を見たときに正面図から見ることができる。さらに、これらの実施形態、又は、他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100は、ヒール104をYZ平面に垂直な方向から見たとき、側面図、又は、側断面図から見ることができる。
【0053】
図4、及び、
図5に示されるように、ゴルフクラブヘッド100は、重心199を中心とする座標系をさらに備える。座標系は、X´軸1070、Y´軸1080、及び、Z´軸1090を備える。X´軸1070は、ヒールからトウの方向に延びている。X´軸1070は、ヒール104に向かって正であり、トウ106に向かって負である。Y´軸1080は、ソールからクラウンの方向に延びており、Z´軸1090及びX´軸1070の両方と直交している。Y´軸1080はクラウン110に向かって正であり、ソール112に向かって負である。Z´軸1090は前後方向に延び、接地面に平行で、X´軸1070とY´軸1080の両方に直交する。Z´軸1090は打撃フェース102に向かって正、後部111に向かって負である。
【0054】
本明細書で定義される「慣性モーメント」(以下、「MOI」)という用語、又は、語句は、CG199について測定された値を指すことができる。「Ixx」という用語は、X´軸1070について、ヒールからトウの方向に測定されたMOIを指すことができる。「Iyy」という用語は、Y´軸1080について、ソールからクラウンの方向に測定されたMOIを指すことができる。「Izz」という用語は、Z´軸1090について、前後方向に測定されたMOIを指すことができる。MOI値Ixx、Iyy、Izzは、クラブヘッド100がゴルフボールとの中心を外れたインパクトに対してどの程度寛容であるかを決定する。
【0055】
本明細書で説明され、ドライバーとも呼ばれる「ドライバー型ゴルフクラブヘッド」は、特定の寸法範囲によって定義することができる。特に、本明細書に開示される本発明に関して記載されるようなドライバーは、以下に定義される範囲内のロフト角、及び、体積を含む。以下に規定される範囲は、ドライバー型ゴルフクラブヘッドをドライバー型クラブヘッドに限定する。換言すれば、ドライバー型ゴルフクラブヘッドは、フェアウェイ型、ハイブリッド型、アイアン型、又は、パター型ゴルフクラブヘッドではあり得ない。
【0056】
本明細書で定義するドライバーの「ロフト角」は、約16度未満、約15度未満、約14度未満、約13度未満、約12度未満、約11度未満、又は、約10度未満であることができる。
【0057】
本明細書で定義されるドライバーの「体積」は、約300cm3より大きく、約350cm3より大きく、約400cm3より大きく、約425cm3より大きく、約450cm3より大きく、約475cm3より大きく、約500cmより大きく3、約525cm3より大きく、約550cm3より大きく、約575cm3より大きく、約600cm3より大きく、約625cm3より大きく、約650cm3より大きく、約675cm3より大きく、又は、約700cm3より大きくなることができる。
【0058】
本明細書で定義される「フェアウェイ型ゴルフクラブヘッド」は、特定の寸法範囲によって定義できる特定のロフト、体積、及び、寸法を有するクラブヘッドである。特に、本明細書に開示される本発明に関して記載されるフェアウェイ型クラブヘッドは、以下に定義される範囲内のロフト角、及び、体積を含む。以下に規定される範囲は、フェアウェイ型ゴルフクラブヘッドをフェアウェイ型クラブヘッドに限定する。換言すれば、フェアウェイ型ゴルフクラブヘッドは、ドライバー型、ハイブリッド型、アイアン型、又は、パター型ゴルフクラブヘッドではあり得ない。
【0059】
本明細書で定義されるフェアウェイ型クラブヘッドの「ロフト角」は、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は、約30度未満であることができる。いくつかの実施形態では、フェアウェイ型ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約12度より大きく、約13度より大きく、約14度より大きく、約15度より大きく、約16度より大きく、約17度より大きく、約18度より大きく、約19度より大きく、又は、約20度より大きくなることができる。例えば、いくつかの実施形態では、フェアウェイ型ゴルフクラブヘッドのロフト角は、14度から35度の間、15度から35度の間、20度から35度の間、又は、12度から30度の間であることができる。
【0060】
本書で定義されるフェアウェイ型クラブの「体積」は、約170cm3未満、約180cm3未満、約190cm3未満、又は、約200cm3未満であることができる。しかしながら、フェアウェイ型クラブの体積は160cm3を下回ることはできない。いくつかの実施形態では、フェアウェイ型クラブヘッドの体積は、約150cm3から200cm3の間、約160cm3から170cm3の間、約160cm3から180cm3の間、又は、約170cm3から190cm3の間となることができる。フェアウェイ型クラブの体積は200cm3を超えることはできない。例示的な一実施形態では、フェアウェイ型クラブの体積は169cm3である。
【0061】
本明細書で定義される「ハイブリッド型ゴルフクラブヘッド」は、特定の寸法範囲によって定義できる特定のロフト、体積、及び、寸法を有するクラブヘッドである。特に、本明細書に開示される発明に関して説明されるフェアウェイ型クラブヘッドは、以下に定義される範囲内のロフト角、及び、体積を有する。以下に規定される範囲は、ハイブリッド型ゴルフクラブヘッドをハイブリッド型クラブヘッドに限定する。換言すれば、ハイブリッド型ゴルフクラブヘッドは、ドライバー型、フェアウェイ型、アイアン型、又は、パター型ゴルフクラブヘッドではあり得ない。
【0062】
本明細書で定義されるハイブリッド型クラブヘッドの「ロフト角」は、約40度未満、約39度未満、約38度未満、約37度未満、約36度未満、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は、約30度未満であることができる。さらに、多くの実施形態において、ハイブリッド型クラブヘッドのロフト角は、約16度より大きく、約17度より大きく、約18度より大きく、約19度より大きく、約20度より大きく、約21度より大きく、約22度より大きく、約23度より大きく、約24度より大きく、又は、約25度より大きくなることができる。
【0063】
本明細書で定義されるハイブリッド型クラブヘッドの「体積」は、約200cc未満、約175cc未満、約150cc未満、約125cc未満、約100cc未満、又は、約75cc未満であることができる。いくつかの実施形態では、ハイブリッド型クラブヘッドの体積は、約100ccから150cc、約75ccから150cc、約100ccから125cc、又は、約75ccから125ccであることができる。
【0064】
(説明)
I.一般的なゴルフクラブヘッドの構造
本明細書には、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用して裁量質量を作り出し、クラブヘッドの質量特性を改善することができる軽量シャフト受け構造の様々な実施形態が記載される。軽量シャフト受け構造は、ウッド型のゴルフクラブヘッドに適用することができる。図面を参照すると、クラブヘッド100は任意のクラブヘッドの一般的な特徴を説明するために使用され、ここには以下に説明する軽量シャフト受け構造のいずれかを適用することができる。
図3~
図6は、ウッド型ゴルフクラブヘッド100を様々な図で概略的に示す。具体的には、
図3は、ウッド型クラブヘッド100の正面斜視図を示す。クラブヘッド100は、共に固定されて、実質的に閉じた/中空の内部キャビティ107(
図5に図示)を画定する、打撃フェース102及びボディ101を備えることができる。クラブヘッド100は、クラウン110と、クラウン110の反対側のソール112と、ヒール104と、ヒール104の反対側のトウ106と、前部108と、前部108の反対側の後部111と、を備える。ボディ101は、クラウン110とソール112との間に隣接して位置するスカート114をさらに含むことができる。スカート114は、クラブヘッド100のヒール104付近からトウ106付近まで延びている。
【0065】
本開示に記載のように、クラブヘッド100は、ドライバー、フェアウェイウッド、又は、ハイブリッド等のウッド型のクラブヘッドである。フェアウェイウッド型のクラブヘッドの様々な図が描かれているが、本明細書で説明される軽量シャフト受け構造のいずれもが、ドライバー型、又は、ハイブリッド型のクラブヘッドを含む任意のウッド型のクラブヘッドに適用されることができることに留意されたい。打撃フェース102及びボディ101は、クラブヘッド100の内部キャビティ107を画定することができる。ボディ101は、クラウン110、ソール112、ヒール104、トウ106、後部111、及び、前部108の外周部にわたって延びることができる。これらの実施形態では、ボディ101は、クラブヘッド100の前部108に開口部を画定し、打撃フェース102は開口部内に配置されてクラブヘッド100を形成する。他の実施形態では、打撃フェース102は前部108の外周部にわたって延び、打撃フェース102から後方に延びるリターン部分122を含むことができる。リターン部分122は、クラウン110、ソール112、ヒール104、及び、トウ106のうちの少なくとも1つにわたって延びることができる。リターン部分122を有する実施形態では、打撃フェース102のリターン部分122がボディ101に固定されてクラブヘッド100を形成する。これらの実施形態では、
図3に示されるように、クラブヘッド100は、カップフェース、又は、フェースラップの設計に類似し得る。
【0066】
上述され、
図1、及び、
図2に示されるように、クラブヘッド100は、シャフト受け構造150を備える。シャフト受け構造150は、ホーゼル152を備える。ホーゼル152は、シャフトスリーブ166及びゴルフシャフト(図示省略)を受け入れることができる。シャフトスリーブ166は、ゴルフシャフト(図示せず)の端部に接続することができる。シャフトスリーブ166は、複数の構成でホーゼル152と接続することができ、それにより、ゴルフシャフトが複数の角度でホーゼル152に固定されることを可能にする。
【0067】
図5、及び、
図6を参照すると、クラブヘッド100は、取り外し可能なウェイト126を受けるように構成されたウェイトポート125を備えることができる。多くの実施形態では、ウェイトポート125は、後部111に近接して、ソール112内、及び/又は、スカート114内に配置することができる。クラブヘッド100は、マスパッド163又はウェイトパッド(以下、「マスパッド」)をさらに備えることができる。多くの実施形態では、マスパッド163は、ソール112上及び内部キャビティ107内に配置することができる。他の実施形態では、マスパッド163は、ソール112及びスカート114上、ならびに、内部キャビティ107内に配置することができる。さらに他の実施形態では、クラブヘッド100は、1つ又は複数のウェイトポート125と、1つ又は複数のマスパッド163と、を備えることができる。取り外し可能なウェイト126及びマスパッド163は、慣性モーメント(MOI)特性、及び、重心(CG)位置を調整することができる。多くの実施形態では、本明細書で説明する軽量シャフト受け構造によって生み出される裁量質量は、取り外し可能なウェイト126又はマスパッド163に質量を加えることによって再分配され、クラブヘッドの質量特性を改善することができる。
【0068】
多くの実施形態では、クラブヘッドボディ101のかなりの部分を金属材料で形成することができる。本明細書に記載の軽量シャフト受け構造は、完全に金属製であるか、又は、複数の材料からなるボディ101を有するクラブヘッド100に適用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の軽量シャフト受け構造は、ボディ101の少なくとも一部が軽量の非金属材料で形成されているクラブヘッド100に適用することができる。しかしながら、以下の様々なシャフト受け構造の説明では、「ボディ材料」という用語は、ボディの一部を形成する金属材料に関して使用される。
【0069】
ボディ材料は、鋼、鋼合金、ステンレス鋼合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、チタン合金、アモルファス金属合金、又は、他の同様の材料を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、ボディ材料は、Ti-8Al-1Mo-1V合金、17-4ステンレス鋼、C300、C350、Ni(ニッケル)-Co(コバルト)-Cr(クロム)-鋼合金、565鋼、AISIタイプ304、又は、AISIタイプ630ステンレス鋼、17-4ステンレス鋼、チタン合金、例えば、これらに限定されるものではないが、Ti-6-4、Ti-3-8-6-4-4、Ti-10-2-3、Ti15-3-3、Ti15-5-3、Ti185、Ti6-6-2、Ti-7s、Ti-9s、Ti-92、T9s+、又は、Ti-8-1-1チタン合金、アモルファス金属合金、又は、他の類似の金属を含むことができるが、これらに限定されない。ボディ材料は、シャフト受け構造の軽量コンポーネントを提供するために使用される軽量材料よりも大きな密度を有する。一般に、ボディ材料の密度は、約4g/cm3から約10g/cm3の間とすることができる。以下に説明する軽量シャフト受け構造の多くの実施形態では、シャフト受け構造は、ボディ材料と軽量材料の組み合わせによって形成することができる。
【0070】
(II.軽量シャフト受け構造)
多くの先行技術のクラブヘッドでは、調整可能なシャフト受け構造は、ボディ材料から一体的に形成された様々なコンポーネントを備える。シャフト受け構造の材料は、典型的には、クラブヘッドボディの少なくとも大部分と同じ材料であり、典型的には、鋼、又は、チタン合金のような鋳造に適した材料である。多くの先行技術の複数材質クラブヘッドでは、シャフト受け構造は、ボディの金属部品と一体的に形成され、ボディと同じ金属材料を有する。金属製のボディ材料は、耐久性と質量分布のために、ボディの多くの部分(ソール、クラウンリターン、後部等)で必要である。しかし、シャフト受け構造(即ち、ホーゼルチューブ)の一定の部分は、インパクト荷重のかなりの部分を受けないので、全体がボディ材料で形成される必要はない。以下でさらに詳細に議論されるように、シャフト受け構造は、ソール、クラウンリターン、又は、ボディによって形成されるクラブヘッドの他の部分と同じ強度要件を有さない。一例として、使用中にシャフトを通してゴルフクラブヘッドにかかる応力は、ホーゼルボア開口部とホーゼル基部との接点でシャフトスリーブを通して伝達される。ホーゼルチューブは、シャフトスリーブと接触していないので、ゴルフスイングの応力負荷のわずかな量しか負担しない。従って、ホーゼルチューブのようなシャフト受け構造の部分は、ゴルフクラブヘッドの構造的完全性を危うくすることなく、軽量材料で提供することができる。
【0071】
ゴルフボールを打撃するためにクラブヘッドが使用されるとき、シャフト受け構造の中、及び、その周囲にあるゴルフクラブヘッドの部分は受ける応力がより小さいので、それらの部分は、ゴルフボールとのインパクトの間により大きい応力を受けるゴルフクラブヘッドの部分と同じ材料特性を必要としない。その結果、材料強度がより低く、密度がより低い(重量がより軽い)材料が、受ける応力がより低いシャフト受け構造の部分に取って代わることができる。
【0072】
軽量で調整可能なシャフト受け構造は、一般的にボディ材料で形成されるシャフト受け構造の部分に代えて軽量コンポーネントを設ける(又は、場合によっては、先述のコンポーネントを完全に取り除く)ことにより、裁量質量を生み出す。多くの実施形態では、ホーゼルボディ、ホーゼル移行部、ホーゼルチューブ、及び/又は、ホーゼル基部の一部を軽量材料から構成することができる。このようなコンポーネントは、シャフト受け構造の質量を低減するために、軽量材料(即ち、ボディの材料よりも軽い材料)から構成することができる。
【0073】
軽量シャフト受け構造は、ボディ材料の密度よりも低い密度を有する軽量材料で構成された1つ又は複数の部分、又は、コンポーネントを有することができる。多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造の1つ又は複数の部分、又は、コンポーネントは、本体を形成する金属の密度よりも低い密度を有するポリマー材料、複合材料、又は、軽量金属材料で形成することができる。多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造の1つ又は複数の部分、又は、コンポーネントは、ポリマー樹脂、又は、繊維強化ポリマー樹脂を含む材料で形成することができるが、これらに限定されない。ポリマー樹脂は、熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又は、熱可塑性エラストマー(TPE)を含むことができる。例えば、樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、PA6又はPA66等のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコン又はシリコンプラスチック、ナイロン、ナイロン6、ナイロン66、ABS、ポリスチレン、アクリル、エンジニアリングポリウレタン、及び/又は、他の同様の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造の1つ又は複数の部分、又は、コンポーネントは、アルミニウム、又は、アルミニウム合金、マグネシウム、又は、マグネシウム合金、及び/又は、任意の他の適切な軽量合金を含むが、これらに限定されない、軽量金属材料で形成することができる。以下の実施形態において「軽量」材料で形成されるものとして説明されるコンポーネントのいずれも、上記の材料のいずれか1つ又は組み合わせを含むことができる。
【0074】
軽量シャフト受け構造の1つ又は複数の部分、又は、コンポーネントは、ボディ材料の密度よりもかなり低い密度を有することができる。多くの実施形態では、シャフト受け構造の1つ又は複数の軽量コンポーネントを形成する軽量材料の密度は、約3g/cm3未満であることができる。多くの実施形態では、軽量コンポーネントの1つ又は複数を形成する軽量材料の密度は、2.75g/cm3未満、2.50g/cm3未満、2.25g/cm3、2.00g/cm3以下、1.75g/cm3以下、1.50g/cm3以下、1.25g/cm3以下、1.00g/cm3以下、0.75g/cm3以下、又は、0.50g/cm3以下であることができる。本来ならボディ材料で形成されるシャフト受け構造の一部を軽量材料で形成することで、シャフト受け構造全体の質量を減らすことができる。
【0075】
このように、軽量シャフト受け構造の利点は、本明細書に記載のシャフト受け構造の様々な実施形態が、少なくとも部分的に金属製のボディを有するゴルフクラブヘッドに適用される場合にのみ実現される。例えば、軽量シャフト受け構造は、完全に金属製のクラブヘッドにおいて、又は、通常はシャフト受け構造を形成する金属製のコンポーネントを含む複数コンポーネントクラブヘッドにおいて適用可能であり、有益である。例えば、軽量シャフト受け構造は、完全に複合材ゴルフクラブヘッドに適用された場合、軽量材料に置き換えるための高密度のボディ材料がシャフト受け構造に存在しないため、特に利益をもたらさないであろう。本明細書で説明するシャフト受け構造は、複数材料クラブヘッドボディに図示されているが、先述のシャフト受け構造のいずれもが、代替的に単一材料、又は、完全に金属製のクラブヘッドボディに適用できることに留意すべきである。
【0076】
軽量シャフト受け構造は、ボディ材料と軽量材料の組み合わせで形成されてもよい。このように、ボディ材料は、依然としてシャフト受け構造の特定の部分を形成し得るが、シャフト受け構造の残りの部分は軽量材料を有する別個のコンポーネントで形成することができる。軽量材料が含まれることで、ボディ材料のみで形成されたシャフト受け構造と比べて裁量質量を作り出すことができる。
【0077】
軽量シャフト受け構造の利点は、ゴルフクラブヘッド全体に再分配できる裁量質量の創出である。軽量シャフト受け構造は、3グラムから12グラムの間の裁量質量を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造は、3グラムから6グラムの間、4グラムから7グラムの間、5グラムから8グラムの間、6グラムから9グラムの間、7グラムから10グラムの間、8グラムから11グラムの間、又は、9グラムから12グラムの間の裁量質量を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造は、3グラムより大きい、4グラムより大きい、5グラムより大きい、6グラムより大きい、7グラムより大きい、8グラムより大きい、8グラムより大きい、10グラムより大きい、11グラムより大きい、又は、12グラムより大きい裁量質量を作り出すことができる。
【0078】
裁量質量は、性能を向上させるために、ゴルフクラブヘッドの有利な位置に再配分することができる。裁量質量は、望ましいCG位置の提供、及び/又は、MOIの増加等、クラブヘッドの質量特性を変更するために再分配することができる。
【0079】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を含めることによって生じる裁量質量を再配分して、より低いCG位置(即ち、より低いCGy)を提供することができる。多くの実施形態では、裁量質量をソール上のマスパッドに追加してCG位置を下げることができる。そのため、クラブヘッドは、ソールに実質的に重いマスパッドを有することができる。多くの実施形態において、マスパッドは、15グラムと40グラムとの間の質量を有することができる。いくつかの実施形態では、マスパッドは、15グラムから20グラムの間、20グラムから25グラムの間、25グラムからと30グラムの間、30グラムから35グラムの間、又は、35グラムから40グラムの間の質量を有することができる。いくつかの実施形態において、マスパッドは、15グラムより大きい質量、20グラムより大きい質量、25グラムより大きい質量、30グラムより大きい質量、35グラムより大きい質量、又は、40グラムより大きい質量を有することができる。
【0080】
多くの実施形態において、軽量シャフト受構造体を含めることによって生じる裁量質量は、先行技術のシャフト受け構造を有する同様のクラブヘッドよりもクラブヘッドのMOIを増加させることにつなげることができる。本明細書に開示された軽量シャフト受け構造を含めることによって、高いMOIを有するクラブヘッドが提供される。多くの実施形態において、裁量質量は、クラブヘッドの後部の近くの取り外し可能なウェイトに加えることができる。軽量シャフト受け構造によって節約された質量を取り外し可能なウェイトに再分配することによって、クラブヘッドのMOIを高めることができる。このように、クラブヘッドは、後部の近くに、実質的に重い、取外し可能なウェイトを備えることができる。多くの実施形態では、取り外し可能なウェイトは、1.0グラムと35グラムの間の質量を備えることができる。いくつかの実施形態では、取り外し可能なウェイトの質量は、1.0グラムと20グラム、又は、20グラムと35グラムの範囲であることができる。いくつかの実施形態では、取り外し可能なウェイトの質量は、1.0グラムから15グラム、5グラムから20グラム、10グラムから25グラム、15グラムから30グラム、又は、20グラムから35グラムの範囲であることができる。例えば、取り外し可能なウェイトの質量は、1.0グラム、1.5グラム、2.0グラム、3.0グラム、4.0グラム、5.0グラム、6.0グラム、7.0グラム、8.0グラム、9.0グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、30グラム、31グラム、32グラム、33グラム、34グラム、又は、35グラムであることができる。
【0081】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、3000g*cm2から4800g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、3000g*cm2と3200g*cm2の間、3200g*cm2と3400g*cm2の間、3400g*cm2と3600g*cm2の間、3600g*cm2と3800g*cm2の間、3800g*cm2と4000g*cm2の間、4000g*cm2と4200g*cm2の間、4200g*cm2と4400g*cm2の間、4400g*cm2と4600g*cm2の間、又は、4600g*cm2と4800g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、4500g*cm2と6000g*cm2の間のIyy慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、4500g*cm2と5000g*cm2の間、4600g*cm2と5100g*cm2の間、4700g*cm2と5200g*cm2の間、4800g*cm2と5300g*cm2の間、4900g*cm2と5400g*cm2の間、5000g*cm2と5500g*cm2の間、5100g*cm2と5600g*cm2の間、5200g*cm2と5700g*cm2の間、5300g*cm2と5800g*cm2の間、5400g*cm2と5900g*cm2の間、又は、5500g*cm2と6000g*cm2の間のIyy慣性モーメントを備えることができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、2400g*cm2と3000g*cm2の間のIzz慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、2400g*cm2と2500g*cm2の間、2500g*cm2と2600g*cm2の間、2600g*cm2と2700g*cm2の間、2700g*cm2と2800g*cm2の間、2800g*cm2と2900g*cm2の間、又は、2900g*cm2と3000g*cm2の間のIzz慣性モーメントを備えることができる。
【0084】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1400g*cm2と2200g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1400g*cm2と1500g*cm2の間、1500g*cm2と1600g*cm2の間、1600g*cm2と1700g*cm2の間、1700g*cm2と1800g*cm2の間、1800g*cm2と1900g*cm2の間、1900g*cm2と2000g*cm2の間、2000g*cm2と2100g*cm2の間、又は、2100g*cm2と2200g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、2800g*cm2と4000g*cm2との間のIyy慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、2900g*cm2と4000g*cm2の間、3000g*cm2と3200g*cm2の間、3100g*cm2と3300g*cm2の間、3200g*cm2と3400g*cm2の間、3300g*cm2と3500g*cm2の間、3400g*cm2と3600g*cm2の間、3500g*cm2と3700g*cm2の間、3600g*cm2と3800g*cm2の間、3700g*cm2と3900g*cm2の間、又は、3800g*cm2と4000g*cm2の間のIyy慣性モーメントを備えることができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1600g*cm2と2400g*cm2の間の慣性Izzモーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1600g*cm2と1700g*cm2の間、1700g*cm2と1800g*cm2の間、1800g*cm2と1900g*cm2の間、1900g*cm2と2000g*cm2の間、2000g*cm2と2100g*cm2の間、2100g*cm2と2200g*cm2の間、2200g*cm2と2300g*cm2の間、又は、2300g*cm2と2400g*cm2の間の慣性Izzモーメントを備えることができる。
【0087】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、750g*cm2と1000g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、750g*cm2と800g*cm2の間、800g*cm2と850g*cm2の間、850g*cm2と900g*cm2の間、900g*cm2と950g*cm2の間、又は、950g*cm2と1000g*cm2の間のIxx慣性モーメントを備えることができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、2500g*cm2と3200g*cm2の間のIyy慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、2500g*cm2と2600g*cm2の間、2600g*cm2と2700g*cm2の間、2700g*cm2と2800g*cm2の間、2800g*cm2と2900g*cm2の間、2900g*cm2と3000g*cm2の間、3000g*cm2と3100g*cm2の間、又は、3100g*cm2と3200g*cm2の間のIyy慣性モーメントを備えることができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、2200g*cm2と3000g*cm2の間のIzz慣性モーメントを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、2200g*cm2と2300g*cm2の間、2300g*cm2と2400g*cm2の間、2400g*cm2と2500g*cm2の間、2500g*cm2と2600g*cm2の間、2600g*cm2と2700g*cm2の間、2700g*cm2と2800g*cm2の間、2800g*cm2と2900g*cm2の間、又は、2900g*cm2と3000g*cm2の間の慣性Izzモーメントを備えることができる。
【0090】
さらに、軽量シャフト受け構造を含むことによって作り出される裁量質量によって、質量を再配置して、より望ましいCG位置を提供することが可能である。多くの実施形態において、裁量質量は、CG高さを低くする、及び/又は、CG深さを深くするために再配置することができる。CG高さを低くすることは、打ち出し角を増加させ、ボールスピン速度を減少させ、及び/又は、ボール速度を改善することによって、クラブヘッドの性能特性を改善することができる。
【0091】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、0インチと-0.300インチの間のCG高さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、0インチと-0.050インチの間、-0.050インチと-0.100インチの間、-0.100インチと-0.150インチの間、-0.150インチと-0.200インチの間、-0.200インチと-0.250インチの間、又は、-0.250インチと-0.300インチの間のCG高さを備えることができる。
【0092】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、1.25インチと2.00インチの間のCG深さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるドライバー型クラブヘッドは、1.25インチと1.75インチの間、1.30インチと1.80インチの間、1.35インチと1.85インチの間、1.40インチと1.90インチの間、1.45インチと1.95インチの間、又は、1.50インチと2.00インチの間のCG深さを有し得る。
【0093】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、-0.140インチと-0.200インチの間のCG高さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、-0.140インチと-0.145インチの間、-0.145インチと-0.150インチの間、-0.150インチと-0.155インチの間、-0.155インチと-0.160インチの間、-0.160インチと-0.165インチの間、-0.165インチと-0.170インチの間、-0.170インチと-0.175インチの間、-0.175インチと-0.180インチの間、-0.180インチと-0.185インチの間、-0.185インチと-0.190インチの間、-0.190インチと-0.195インチの間、又は、-0.195インチと-0.200インチの間のCG高さを備えることができる。
【0094】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1.00インチと1.50インチの間のCG深さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型クラブヘッドは、1.00インチと1.05インチの間、1.05インチと1.10インチの間、1.10インチと1.15インチの間、1.15インチと1.20インチの間、1.20インチと1.25インチの間、1.25インチと1.30インチの間、1.30インチと1.35インチの間、1.35インチと1.40インチの間、1.40インチと1.45インチの間、又は、1.45インチと1.50インチの間のCG深さを備えることができる。
【0095】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、-0.220インチと-0.320インチの間のCG高さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、-0.220インチと-0.230インチの間、-0.230インチと-0.240インチの間、-0.240インチと-0.250インチの間、-0.250インチと-0.260インチの間、-0.260インチと-0.270インチの間、-0.270インチと-0.280インチの間、-0.280インチと-0.290インチの間、-0.290インチと-0.300インチの間、-0.300インチと-0.310インチの間、又は、-0.310インチと-0.320インチの間のCG高さを備えることができる。
【0096】
多くの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、0.900インチと1.25インチの間のCG深さを備えることができる。いくつかの実施形態において、軽量シャフト受け構造を備えるハイブリッド型クラブヘッドは、0.900インチと1.00インチの間、0.925インチと1.025インチの間、0.950インチと1.050インチの間、0.975インチと1.075インチ、1.00インチと1.100インチの間、1.025インチと1.125インチの間、1.050インチと1.150インチの間、1.075インチと1.175インチの間、1.100インチと1.200インチの間、1.125インチと1.225インチの間、又は、1.150インチと1.250インチの間のCG深さを備えることができる。
【0097】
軽量シャフト受け構造は、構造的支持を提供しない先行技術のシャフト受け構造の部分の質量を低減することができる。
図17A及び
図17Bを参照すると、先行技術のシャフト受け構造の一定の部分は、インパクト時に無視できる量の応力負荷を受ける。
図17Aを参照すると、インパクト時に最も高い応力が、打撃フェース中心付近の打撃フェース上に発生する。クロスハッチングパターンの変化によって示されるように、インパクト時の応力が徐々に低くなる領域が、応力が最も高い領域の周囲に示されている。ゴルフクラブヘッドの最後部、及び、ゴルフクラブヘッド内のシャフト受け構造は、インパクト時の応力が最も低い領域を示す、より薄いクロスハッチングパターンを共有する。
図17Bに示されるように、ホーゼルチューブ160が取り外されても、ゴルフクラブヘッド内のシャフト受け構造は依然としてインパクト時に受ける応力が最も低い。
【0098】
また、シャフト受け構造のいくつかの実施形態は、ホーゼルボア内にゴルフシャフトを保持するために必要とされない部分を有する。
図18A及び
図18Bを参照すると、シャフトスリーブ166がゴルフクラブヘッド100と接続されるとき、シャフトスリーブ166は、ねじ付き締結具176が締め付けられることによってかかる下向きの力によって張力で固定される。シャフトスリーブ166の上側部分にかかる力は、シャフトスリーブ166の上側部分とホーゼル壁154の上側部分(ホーゼルボア開口部158に近接)との接触が上部接触面186で生じるものとして単純化することによって分析することができる。シャフトスリーブ166の下側部分にかかる力は、シャフトスリーブ166の下側部分の接触が下部接触面187で生じるものとして単純化することによって分析することができる。
図18Bは、シャフトスリーブ166の上側部分に作用する力が、ホーゼル壁154の上端(ホーゼルボア開口部158に近接)において相殺されるか又は釣り合うことを示し、これにはホーゼルチューブ160は関与しない。
図18Bは、さらに、シャフトスリーブ166下側部分に作用する力が、ホーゼル基部162で相殺され、又は、釣り合い、これもホーゼルチューブ160が関与しないことを示している。これは、ホーゼルチューブ160は、ゴルフクラブヘッド100のホーゼル内にシャフトを保持するために必要な支えを提供しないことを示す。
【0099】
軽量コンポーネントを備えるシャフト受け構造の様々な実施形態を以下にさらに詳細に示す。様々な実施形態は、軽量コンポーネントによって置き換えられるか、又は、完全に取り除かれる先行技術のシャフト受け構造の部分に関して区別される。様々な実施形態は、先行技術のシャフト受け構造と比較して、作り出される裁量質量の全体量によってさらに区別される。多くの実施形態では、ホーゼル、ホーゼル壁、ホーゼルチューブ、及び/又は、ホーゼル基部の質量の一部、又は、全部を、軽量材料、又は、軽量コンポーネントで置き換えることができる。異なる実施形態は、軽量コンポーネントによって置き換えられるシャフト受け構造部分の異なる組み合わせを備える。異なる実施形態は、ロフト角、及び、ライ角の調整可能性を提供する必要性、内部キャビティをシールする必要性、並びに、シンプルな製造、及び/又は、組立工程を望む必要性と、最大量の裁量質量を創出する要望と、のバランスをとる。軽量シャフト受け構造のさらなる利点は、軽量コンポーネントで置き換えられる高価なボディ材料の除去を含むことができる。このように、軽量シャフト受け構造を提供することによって、クラブヘッドの製造コストを低減することができる。
【0100】
(III.下部エンドキャップを有する軽量シャフト受け構造)
図7~
図9は、ホーゼルチューブ、ホーゼル基部、及び、ホーゼル壁254の一部を軽量コンポーネントで置き換える軽量で調整可能なシャフト受け構造250を備えるウッド型ゴルフクラブヘッドの第1の実施形態を示す。このような軽量コンポーネントは、上述した軽量材料等、ボディ201の材料よりも密度の低い材料から形成することができる。軽量シャフト受け構造250は、全体がボディ材料で形成された同様のシャフト受け構造と比較して、3~12グラム低減された質量を備えることができる。ボディ材料ではなく、軽量材料からコンポーネントを形成することによってシャフト受け構造250の質量を低減することによって質量特性、及び、性能を改善するために、クラブヘッド200の他の領域に再分配される裁量質量を確保する。
【0101】
図7を参照すると、シャフト受け構造250は、ホーゼルチューブの全体、及び、ホーゼル壁254の一部に代わる軽量チューブインサート230を備える。多くの実施形態において、チューブインサート230は、内部キャビティ207内に位置する完全な円筒形のチューブである。チューブインサート230は、ホーゼル252とは別のコンポーネントとして形成され、製造中に内部キャビティ207内に挿入される。チューブインサート230は、ホーゼルボア開口部258付近からホーゼル基部262まで延びることができる。チューブインサート230は、ホーゼルチューブの質量、及び、ホーゼル壁254の質量の少なくとも一部を、より密度の低い材料で置換することにより質量を低減する。
図7に示すように、チューブインサート230は、ホーゼル壁254を薄くすることができるように、ホーゼル壁254の一部を置き換えることができる。チューブインサート230は、内部キャビティ207内に配置されているので、ホーゼル壁254内面の大部分に取って代わる。
図7に示されるように、ホーゼル壁254は、ホーゼルボア開口部258に近接するホーゼル壁上部280を形成する。多くの実施形態では、チューブインサート230は、ホーゼル壁上部280、及び、ホーゼルボア開口部258のいずれの部分も形成しない。このように、ホーゼル壁上部280は、クラブヘッドボディ201の一部であるホーゼル252によって完全に形成されることができる。シャフト受け構造250の調整可能性に必要な任意の受け形状は、ホーゼル壁上部280によって形成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ホーゼル壁上部280は、シャフトスリーブ266の1つ又は複数の表面特徴を受け入れ、クラブヘッドのロフト角、及び/又は、ライ角に対する調整可能性を提供するように構成された1つ又は複数のローブを形成することができる。チューブインサート230は、ホーゼル壁上部280の直下からホーゼル基部262まで延びることができる。
【0102】
チューブインサート230は、ホーゼル壁上部280に近接する上端231と、ホーゼル基部262に近接する下端232と、備える。多くの実施形態において、チューブインサート230は、ホーゼルボア軸268に平行に、上端231から下端232まで測定されたチューブインサート長さを備えることができる。多くの実施形態において、チューブインサートの長さは、1.00インチと1.50インチの間であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートの長さは、1.00インチと1.10インチの間、1.10インチと1.20インチの間、1.20インチと1.30インチの間、1.30インチと1.40インチの間、又は、1.40インチと1.50インチの間であることができる。
【0103】
多くの実施形態において、チューブインサート230の長さは、さらに、ホーゼルボア開口部258とホーゼル基部262との間の距離(以下では、「ホーゼル長さ」と称する)に対して特徴付けることができる。ホーゼル長さは、ホーゼルボア軸268に平行に測定することができる。多くの実施形態において、チューブインサート長さは、ホーゼル長さの70%~90%であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートの長さは、ホーゼル長さの70%と75%の間、75%と80%の間、80%と85%の間、又は、85%と90%の間であることができる。チューブインサート長さは、ホーゼルの長さとの関連で重要である。チューブインサート長さが短すぎると、裁量質量は最大化されない。しかし、チューブインサート長さが長すぎると、チューブインサート上端231がホーゼルボア開口部258に近づきすぎ、チューブインサート230がインパクト時に受ける応力が高くなりすぎる可能性がある。
【0104】
クラブヘッド100の構造的完全性を損なわないために、チューブインサート230は、ホーゼルボア開口部258の近傍に位置する高応力領域から間隔を空けることができる。チューブインサート上端231は、ホーゼルボア開口部258の最上縁からチューブインサートオフセット距離234だけオフセットされることができる。チューブインサートオフセット距離234は、ホーゼルボア軸268に平行に測定することができる。多くの実施形態において、チューブインサートオフセット距離234は、0.150インチから0.350インチの範囲内であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートオフセット距離234は、0.150と0.200インチの間、0.200と0.250インチの間、0.250と0.300インチの間、又は、0.300と0.350インチの間であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートオフセット距離234は、0.150インチ、0.160インチ、0.170インチ、0.180インチ、0.190インチ、0.200インチ、0.210インチ、0.220インチ、0.230インチ、0.240インチ、0.250インチ、0.260インチ、0.270インチ、0.280インチ、0.290インチ、0.300インチ、0.310インチ、0.320インチ、0.330インチ、0.340インチ、又は、0.350インチであることができる。
【0105】
図17A及び
図17Bを参照して上述したように、ゴルフクラブヘッド200の打撃フェース202にボールが衝突することによる応力は、打撃フェース幾何学的中心220近傍のインパクト領域で最も高くなる。インパクト点からの距離が増加するにつれて、クラブヘッド材料が受ける応力は減少する。
図17A及び
図17Bは、応力が材料を通って伝播するにつれて、応力が主にゴルフクラブヘッド200の外面を通って伝播し、ゴルフクラブヘッド200の内部キャビティ207で減少するとともに、ゴルフクラブヘッド200の後部211に向かって減少することを図示する。チューブインサート上端231は、応力伝播から離れた位置にある。同様に、ホーゼル基部262のねじ付き締結具276へのシャフトスリーブ266の取り付け点も応力伝播から離れた位置にある。従って、シャフトスリーブ266とゴルフクラブヘッド200の間の接触点は、応力がより低い領域にある。チューブインサート230は、内部キャビティ207内に位置し、クラブヘッド200の外面から離れていることによって、インパクト時の高い応力から保護される。
【0106】
図7~
図9に示される実施形態において、ホーゼル壁254は、ホーゼル壁上部280と比較して薄くなっている。このように、リップ278が、ホーゼル壁上部180とホーゼル壁254の残りの部分の接合部に形成される。リップ278は、ホーゼル壁上部280の下端に形成することができる。リップ278は、ホーゼル壁上部280と薄くなったホーゼル壁254との間の厚さの急激な変化によって形成される。多くの実施形態において、ホーゼル壁上部280は、ホーゼル壁254の残りの部分の厚さ(ホーゼル壁254の外面からホーゼル壁254の内面まで測定)よりも大きな厚さ(ホーゼル壁上部280の外面からホーゼル壁上部280の内面まで測定)を備える。チューブインサート230の上端231は、ホーゼル壁上部280とホーゼル壁254とによって形成されるリップ278に接するように構成することができる。従って、チューブインサート230は、リップ278から内部キャビティ207へ下方に延び、ホーゼル基部262に至るまで延びている。
【0107】
ホーゼルボア開口部258は、ホーゼル252自体によって形成されるが、ホーゼルボア256の大部分は、チューブインサート230の内面によって画定される。多くの実施形態において、ホーゼル壁上部280は、ホーゼルボア開口部258とホーゼルボア256の上部(即ち、ホーゼルボア開口部258に近接するホーゼルボア256の部分)を形成し、チューブインサート230は、ホーゼルボア256の残りの部分を形成する。チューブインサート230は、ホーゼルボア256を内部キャビティ207の残部から完全に分離する。チューブインサート230は、上端231と下端232の両方で、それぞれ、リップ278とホーゼル基部262でシールされる。シャフトスリーブ266が取り外されても、破片や他の微粒子がホーゼルボア開口部258を通って内部キャビティ207に入り込むことはないように、チューブインサート230は、ホーゼルボア256を内部キャビティ207から完全にシールしている。また、チューブインサート230によって作られるシールにより、水がホーゼルボア開口部258を通って内部キャビティ207に侵入することもない。これは、クラブヘッド200の内面が錆びないようにするために特に重要になることができる。
【0108】
上述のように、チューブインサート230は、ボディ材料の密度よりも小さい密度を有する軽量材料で形成される。チューブ部分、及び、ホーゼル壁254の一部を軽量チューブインサート230で置き換えると、全体がボディ材料で形成された同様の構造と比較して、シャフト受け構造250の質量が減少する。軽量チューブインサート230を有することによって、シャフト、及び、シャフトスリーブ266をホーゼルボア256内に保持し、ホーゼルボア256を内部キャビティ207からシールするための構造を提供し、クラブヘッド200の質量特性を改善するために有利な位置に再配分することができる裁量質量を生み出す。
【0109】
上述のように、チューブインサート230の下端232は、ホーゼル基部262に接続し、シールを形成する。
図7~
図9の図示された実施形態において、ホーゼル基部262は、軽量の取り外し可能なエンドキャップ240によって形成されている。エンドキャップ240は、クラブヘッドボディ201、及び、チューブインサート230の両方とは別個のコンポーネントとして形成することができる。完全に組み立てられると、エンドキャップ240は、チューブインサート230の下端232を覆って下部開口部274を閉じ、チューブインサート230を内部キャビティ207内に囲って所定の位置に保持することができる。
【0110】
エンドキャップ240は、軽量材料で構成することができる(先述の軽量材料、及び、上記で定義した関連する密度をエンドキャップ240に適用することができる)。いくつかの実施形態では、エンドキャップ240の材料は、チューブインサート230の材料と同じにすることができる。他の実施形態において、エンドキャップ240、及び、チューブインサート230は、異なる軽量材料で形成することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、
図9に図示されているように、エンドキャップ240は、チューブインサート230を受け入れてエンドキャップ240に対して中央に配置し、チューブインサート230を所定位置に固定するように構成された1つ又は複数の位置合わせ特徴を有することができる。いくつかの実施形態において、
図9に図示されているように、エンドキャップ240は、チューブインサート230の下端232を受け入れるように構成された1つ又は複数の切欠き242を形成することができる。いくつかの実施形態において、
図9に図示されているように、エンドキャップ240は、さらに、エンドキャップボディ241からホーゼルボア256内へ上方に延びる突出部243を備えることができる。突出部243は、チューブインサート230の内面と面一にする形状にすることができ、エンドキャップ240をチューブインサート230内に形成されたホーゼルボア256と位置合わせする。エンドキャップ240は、さらに、エンドキャップボディ241の下面からホーゼルボア256の方向における上面までエンドキャップボディ241を通って延びる開口部248を備える。開口部248は、シャフトスリーブ266を接続する締結具276を受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、開口部248は、ねじ付き締結具276に対応するようにねじが切られていてもいなくてもよい。
【0112】
取り外し可能なエンドキャップ240を用いてホーゼル基部262を形成することによって、チューブインサート230を上部からホーゼルボア開口部258を通して挿入する必要がなく、下部開口部274を通してチューブインサート230を内部キャビティ207に挿入することができる。
図7、及び、
図8を参照すると、チューブインサート230は、チューブインサート230の上端231がホーゼル252のリップ278に接するように、下部開口部274を通して挿入することができる。チューブインサート230は、機械的手段、又は、接着手段のいずれかによって内部キャビティ207内に保持することができる。いくつかの実施形態では、チューブインサート230は、周囲の構造によって所定の位置に保持される。
図7が示すように、チューブインサート上端231は、リップ278によって上方から、シャフトスリーブ266によって内側方向から、リップ278の下方のホーゼル壁254によって外側方向から拘束される。チューブインサート下端は、ホーゼル基部262によって下方から、エンドキャップ240によって外側方向から、底部ラップジョイント238によって内側方向から拘束される。
【0113】
他の多くの実施形態において、チューブインサート230は、接着手段によって所定位置に保持することができる。そのような実施形態において、シャフト受け構造250は、チューブインサート230の下端232、及び、上端231の近くに複数のラップジョイントを形成することができる。
図7は、クラブヘッドボディ201によって、チューブインサート230の下端232とホーゼル基部262との間に形成された底部ラップジョイント238と、チューブインサート230の上端231とリップ278付近のホーゼル252の内部との間に形成された頂部ラップジョイント236と、を図示している。頂部ラップジョイント236は、リップ278に近接するホーゼル壁254の内面によって形成することができる。底部ラップジョイント238は、(エンドキャップ240によって形成される)ホーゼル基部262から上方に延び、内部キャビティ207内に入り込むことができる。底部ラップジョイント238は、底部ラップジョイント238の内面がチューブインサート230に対応し、チューブインサート230が付着するための表面を提供するように構成されることができる。チューブインサート230とクラブヘッドボディ201は、締結具276が緩められ、シャフトスリーブ266が取り外されても、チューブインサート230が所定位置に固定されたままとなるように、頂部ラップジョイント236と底部ラップジョイント238の両方においてエポキシ接着、又は、その他の方法で接着することができる。
【0114】
チューブインサート230を下部開口部274から挿入することにより、製造工程、及び、組立工程を簡略化することができる。ホーゼルボア開口部258を通してチューブインサート230を挿入する必要がないため、ホーゼル壁上部280、及び、ホーゼルボア開口部258は、ホーゼル252の残りの部分と一体的に形成することができる。チューブインサート230を下部開口部274から挿入する機能がなければ、チューブインサート230の上端231を囲むために、ホーゼル壁上部280、及び、ホーゼルボア開口部258をホーゼル252の残部とは別に形成し、これに接続する必要がある。従って、下部開口部274を通してチューブインサート230を受け入れることができるシャフト受け構造250は、シャフトスリーブ266を受け入れるように構成された受け入れ形状を含むホーゼル252の形状を、一体的に一部品として鋳造することを可能にする。
【0115】
上記したように、シャフト受け構造の一部を置き換えるために軽量コンポーネントを含めることにより、シャフト受け構造の質量が減少する。いくつかの実施形態では、軽量シャフト受け構造は、3グラムから12グラムの裁量質量を生み出す。軽量シャフト受け構造によって生み出された裁量質量をクラブヘッド全体に配分して、質量特性、及び、性能を改善することができる。
【0116】
(IV.軽量カラーを有する軽量シャフト受け構造)
図10~
図12は、ホーゼルチューブ、及び、ホーゼル壁354の一部(具体的にはホーゼル壁上部)を軽量材料で置き換えた軽量シャフト受け構造350を備えるクラブヘッド300の第2実施形態を示す。シャフト受け構造350は、下部開口部374からではなく上部から挿入可能な、第1の実施形態200のものと同様のチューブインサート330を有する。ホーゼル壁全体(ホーゼル壁上部を含む)がクラブヘッドボディ301の一部として一体的に形成された一体型ホーゼルではなく、シャフト受け構造350の第2実施形態は、ホーゼル壁上部に代わり、ホーゼル352の残りの部分とは別個に形成された軽量カラー386を有する。カラー386は、ホーゼル壁354に接続してツーピースホーゼル352を作ることができる。カラー386は、カラー386がツーピースホーゼル352の上部を形成するように、ホーゼル壁354の上部に接続することができる。
【0117】
カラー386は、シャフトスリーブ366と相互作用するように構成されている。カラー386は、ホーゼルボア開口部358を形成する。多くの実施形態において、カラーは、シャフトスリーブ366を受け入れるように構成された受け入れ形状を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ホーゼルカラー386は、シャフトスリーブ366の1つ又は複数の表面特徴を受け入れ、クラブヘッドのロフト角、及び/又は、ライ角に対する調節可能性を提供するように構成された1つ又は複数のローブを形成することができる。従って、カラー386は、シャフトスリーブ366を受け入れて所定の位置に保持するように構成される。
図10に示されるように、カラー386は、内部キャビティ307内にチューブインサート330を接続、及び/又は、固定するためのラップジョイント336として作用するリップ378を形成する。リップ378は、カラー386のすぐ下に配置することができる。挿入されると、チューブインサート330の上端331は、リップ378に接する。チューブインサート330は、クラブヘッド300の上部から、ホーゼル壁354の上縁355によって形成されたホーゼル壁開口部359を通って挿入され、その後、カラー386によって覆われることができる。
【0118】
ホーゼル壁354及びカラー386は、ホーゼル壁354の上縁355とカラー386の下縁388との間に形成された接合部で接続されることができる。多くの実施形態において、ホーゼル壁354、及び、カラー386は、機械的インターロック、及び/又は、接着によってカラー386をホーゼル壁354に接続することを容易にするように構成された嵌合形状を備える。幾つかの実施形態において、
図12によって示されるように、ホーゼル壁354は、ホーゼル壁上縁355から上方に延びる複数の歯391を形成する。カラー386は、複数の歯391の形状に対応して嵌合するカラー下縁388に形成された複数のくぼみ390を備えてもよい。複数の歯391は、複数のくぼみ390内に嵌合するように構成され、カラー386をホーゼル壁354に接続することができる。カラー386は、エポキシ樹脂、又は、追加の機械的締結具を使用して所定位置に固定することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、カラー386は、上で定義したような軽量材料を有する。多くの実施形態において、カラー386は、金属ボディ301の密度よりも小さい密度を有する軽量の金属材料で形成される。多くの実施形態において、カラー386が軽量金属によって提供されるのは、カラー386がホーゼル352の上端に位置し、これは、典型的には、シャフト受け構造350の他の部分よりも高い応力を受けるからである。例えば、いくつかの実施形態において、カラー386は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、又は、マグネシウム合金で形成されることができる。多くの実施形態では、カラー386は、シャフトスリーブ366の金属材料と類似の金属材料で形成される。カラー386とシャフトスリーブ366の両方が類似の金属であることによって、それぞれのコンポーネントのいずれの受け入れ形状間の摩耗も防止される。
【0120】
カラー386を有するシャフト受け構造350は、さらに、クラブヘッド200に関連して上述したチューブインサート230と同一、又は、実質的に同一の軽量チューブインサート330を備える。チューブインサート330の上端331は、カラー386によって形成されたリップ378に接し、ホーゼル基部362、及び、下部開口部374に向かって下方に延びる。第1の実施形態と同様に、チューブインサート330は、ホーゼルボア356の大部分を形成し、ホーゼルボア356を内部キャビティ307の残りの部分からシールする。
【0121】
ホーゼルチューブの質量を軽量チューブインサート330で置き換えることに加えて、ホーゼル壁上部のボディ材料を軽量カラー386で置き換えることにより、シャフト受け構造350の質量をさらに低減する。軽量チューブインサート330、及び、カラー386を介する質量の置換は、クラブヘッド300全体に再配分される裁量質量を生み出す。いくつかの実施形態では、チューブインサート330、及び、カラー386を含む軽量シャフト受け構造350は、3から12グラムの裁量質量を生み出すことができる。
【0122】
上述したチューブインサート230と同様に、チューブインサート330のチューブインサート上端331は、ホーゼルボア開口部358の最上端からチューブインサートオフセット距離334だけオフセットすることができる。チューブインサートオフセット距離334は、ホーゼルボア軸368に平行に測定することができる。多くの実施形態において、チューブインサートオフセット距離334は、0.150インチから0.350インチの範囲内であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートオフセット距離334は、0.150と0.200インチの間、0.200と0.250インチの間、0.250と0.300インチの間、又は、0.300と0.350インチの間であることができる。いくつかの実施形態において、チューブインサートオフセット距離334は、0.150インチ、0.160インチ、0.170インチ、0.180インチ、0.190インチ、0.200インチ、0.210インチ、0.220インチ、0.230インチ、0.240インチ、0.250インチ、0.260インチ、0.270インチ、0.280インチ、0.290インチ、0.300インチ、0.310インチ、0.320インチ、0.330インチ、0.340インチ、又は、0.350インチであることができる。
【0123】
図17A及び
図17Bを参照して上述したように、ゴルフクラブヘッド300の打撃フェース302にボールが衝突することによる応力は、打撃フェース幾何学的中心320に近いインパクト領域で最も高くなる。インパクト点からの距離が増加するにつれて、クラブヘッド材料が受ける応力は減少する。
図17A及び
図17Bは、応力が材料を通って伝播するにつれて、応力が主にゴルフクラブヘッド300の外面を通って伝播し、ゴルフクラブヘッド300の内部キャビティ307で減少するとともに、ゴルフクラブヘッド300の後部311に向かって減少することを図示する。チューブインサート上端331は、応力伝播から離れた位置にある。同様に、ホーゼル基部362のねじ付き締結具376へのシャフトスリーブ366の取り付け点も応力伝播から離れた位置にある。従って、シャフトスリーブ366とゴルフクラブヘッド300の間の接触点は、応力がより低い領域にある。チューブインサート330は、内部キャビティ307内に位置し、クラブヘッド300の外面から離れていることによって、インパクト時の高い応力から保護される。
【0124】
図10~
図12に示される実施形態のような多くの実施形態では、別個のエンドキャップを形成するのではなく、第2実施形態のホーゼル基部362は、クラブヘッドボディ301と一体化することができる。ホーゼル基部362は、ボディ301の一部として下部開口部374に近接して鋳造することができる。ホーゼル基部362は、下部開口部374にわたって延び、クラブヘッド300の外部をソール312近傍の内部キャビティ307から分離する。第1の実施形態のエンドキャップ240と同様に、ホーゼル基部362は、チューブインサート330の下端332を受け入れるように構成されたプラットフォームを形成し、チューブインサート330を所定の位置に保持する。いくつかの実施形態において、ホーゼル基部362は、ホーゼル基部362に対してチューブインサート330を中央に配置するように構成された1つ又は複数の位置合わせ特徴を備えることができる。いくつかの実施形態では、
図10に示されるように、ホーゼル基部362は、ホーゼル基部362からホーゼルボア356内に上方に延びる突出部343を備えることができる。突出部343は、チューブインサート330の内面と面一な形状にすることができ、チューブインサート330をホーゼル基部362と位置合わせさせる。
図11に示されるように、ホーゼル基部362は、さらに、ホーゼルボア356内に延びる開口部348を備える。開口部348は、ホーゼルボア356内にシャフトスリーブ366を固定する締結具376を受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態において、開口部348は、ねじ付き締結具376に対応するようにねじが切られていてもよい。ホーゼル基部362は、下部開口部374をシールし、チューブインサート330を内部キャビティ307内の所定位置に保持する。他の実施形態(図示せず)において、カラー386を有するシャフト受け構造350を備えるクラブヘッド300を、クラブヘッド200のエンドキャップ240と同様のエンドキャップと組み合わせることができる。
【0125】
チューブインサート330は、機械的手段、及び/又は、接着手段によって内部キャビティ307内に保持することができる。いくつかの実施形態において、チューブインサート330は、周囲の構造によって所定の位置に保持される。
図10及び
図11に示されるように、チューブインサート上端331は、リップ378によって上方から、シャフトスリーブ366によって内側方向から、及び、リップ378の下方のホーゼル壁354によって外側方向から拘束される。チューブインサート下端は、ホーゼル基部362によって下方から、及び、突出部343によって内側方向から拘束される。
【0126】
多くの実施形態において、チューブインサート330は、接着手段によって所定位置に保持することができる。そのような実施形態において、シャフト受け構造350は、チューブインサート330の下端332、及び、上端331の近傍に複数のラップジョイントを形成することができる。
図10は、ホーゼル基部362によって形成された底部ラップジョイント338と、ホーゼル壁354の少なくとも一部とカラー386の少なくとも一部とによって組み合わせて形成された頂部ラップジョイント336と、を図示している。チューブインサート330及びクラブヘッド300は、締結具が緩められシャフトスリーブが取り外されても、ホーゼルインサートが所定位置に固定されたままであるように、頂部ラップジョイント及び底部ラップジョイントの両方で一緒にエポキシ接着することができる。
【0127】
上記したように、ホーゼル352に別個のカラー386を設けてホーゼル壁の上部に代えることで、カラー386をホーゼル352よりも軽い材料で形成することができるため、シャフト受け構造350の質量をより低減することができる。軽量チューブインサート330、及び、軽量カラー386を含むことにより、ボディ材料から形成された先行技術のシャフト受け構造と比べて、シャフト受け構造350の質量が低減される。いくつかの実施形態において、軽量チューブインサート330、及び、カラー386を含めてより高密度の材料に代えることにより、シャフト受け構造350の質量を3グラムから12グラム減少させる。シャフト受け構造350の質量低減により、クラブヘッド300全体へ分配し、質量特性、及び、性能を向上させることができる裁量質量を確保する。
【0128】
(V.ホーゼルインサートを有する軽量シャフト受け構造)
図13及び
図14は、軽量シャフト受け構造450の別の実施形態のゴルフクラブヘッド400を示す。軽量シャフト受け構造450は、ホーゼルチューブ、及び、ホーゼル壁454の全体を形成する軽量ホーゼルインサート430を備える。シャフト受け構造450は、(上で定義したような)軽量材料のホーゼルインサート430を有する。
図13に示されるように、ボディ401は、クラウン410をホーゼル壁454に接続するホーゼル移行部464を形成するが、ホーゼル移行部464を超えたホーゼル壁454は形成しない。その代わりに、ボディ401は、ホーゼル移行部464の上端にホーゼル移行開口部465を形成する。ホーゼルインサート430は、ホーゼル移行開口部465に挿入され、ホーゼル移行部464に接続されることができる。ホーゼルインサート430は、内部キャビティ407の外側に位置し、クラブヘッド400の外側から見える壁部435と、内部キャビティ407内に延び、内部キャビティ407の残りの部分からホーゼルボア456をシールする内部チューブ部437とを形成する。壁部435は、ホーゼル移行部464から上方に延びている。このように、壁部435の内面は、ホーゼルボア456の上部を画定する。壁部435は、ホーゼルボア開口部458を含むホーゼル壁の全体を形成する。このように、壁部435は、ホーゼルボア開口部458を通してシャフトスリーブ466を受け入れるように構成されている。また、壁部435は、シャフトスリーブ466を受け入れるように構成された任意の受け入れ形状を形成することができる。このような形状は壁部435の内面に形成することができる。
【0129】
ホーゼルインサート430は、さらに、壁部435の底部からホーゼル移行開口部465を通ってホーゼル基部462に向かって下方に延びるチューブ部437を備える。チューブ部437の内面は、ホーゼルボア456の下部を形成する。チューブ部437は、ホーゼルボア456とクラブヘッド400の外部とを内部キャビティ407からシールし、破片、粒子、及び、水がホーゼルボア456の開口部を通って内部キャビティ407に入るのを防止する。
【0130】
ホーゼルインサート430は、概してチューブ状の中空部材であり、それぞれ外面と内面によって規定される外径と内径を形成する。ホーゼルインサート430の外径は、ホーゼルインサート430の異なる部分に沿って変化し得る。
図13に示されるように、壁部435の外径は、チューブ部437の外径よりも実質的に大きい。ホーゼルインサート430の直径は、ホーゼル移行開口部465で急激に変化し、壁部435が終わり、チューブ部437が始まる位置を明確に規定する。直径の急激な変化により、壁部435とチューブ部437を隔てるレッジ478が形成される。レッジ478は、ホーゼル移行部464の上縁に接している。ホーゼル移行開口部465における壁部435の外径は、上縁におけるホーゼル移行開口部465の直径と一致することができる。このように、ホーゼル移行部464と壁部435は、その間に滑らかな連続面を形成し、一体的に形成された単一のホーゼルに類似する。ホーゼル移行部464より直径が小さいチューブ部437の外径は、ホーゼル移行開口部465を通って内部キャビティに延びることができる大きさである。壁部435の外径が比較的大きく、チューブ部437の外径が比較的小さいため、ホーゼルインサート430は、可能な限り大きな質量を軽量材料に置き換えることができる。内部では、ホーゼルインサート430がホーゼルチューブの質量を置換し、外部では、ホーゼルインサート430がホーゼル壁454を軽量材料で置換して、裁量質量を作り出す。
【0131】
いくつかの実施形態において、ホーゼル移行部464は、さらに、内部キャビティ407内に接合壁461を備えることができ、チューブ部437を中央に配置し、ホーゼルインサート430が接合するための表面を提供するように構成される。接合壁461は、ホーゼル移行部464と一体的に形成された円筒状壁とすることができる。接合壁461は、少なくとも部分的に、ホーゼル移行開口部465からホーゼル基部462に向かって延びている。接合壁461は、チューブ部437の外径に対応する内径を有する。ホーゼルインサート430のチューブ部437は、接合壁461とぴったり接し、密着する。従って、接合壁461は、ホーゼルインサート430を内部キャビティ407内に固定し、中心に配置できるラップジョイントとして機能する。
【0132】
第3実施形態のクラブヘッド400は、ホーゼルインサート430のためのフロアを形成するホーゼル基部462をさらに形成し、ホーゼルチューブ部437の下端は、ホーゼル基部462に接するように構成される。ホーゼルインサート430の下端(即ち、ホーゼルチューブ部437の下端)は、ホーゼル基部462上で支えられることができる。第3の実施形態のホーゼル基部462は、第2の実施形態の一体成形されたホーゼル基部462と実質的に同様であってもよい。ホーゼル基部462は、クラブヘッドボディ401と一体的に鋳造され、下部開口部474を閉じて、クラブヘッドの外部をソール近傍の内部キャビティ407から分離することができる。
図14に示されているように、ホーゼル基部462は開口部448を有し、締結具476がシャフトスリーブ466に接続するための通路をホーゼルボア456に提供することができる。いくつかの実施形態において、ホーゼル基部462は、ホーゼル基部462に対してホーゼルインサート430を中央に配置するように構成された1つ又は複数の位置合わせ特徴を有することができる。いくつかの実施形態(図示せず)において、ホーゼルインサート430を有するシャフト受け構造450を有するクラブヘッド400を、クラブヘッド200のエンドキャップ240と同様のエンドキャップと組み合わせることができる。
【0133】
ホーゼルインサート430は、機械的手段、及び/又は、接着手段によって、シャフト受け構造450内に保持することができる。多くの実施形態において、ホーゼルインサート430は、締結具476、シャフトスリーブ466、及び、ホーゼル基部462によって生じる拘束力によって所定位置に保持される。
図14が示すように、締結具476は、下部開口部474を通って延び、シャフトスリーブ466の下端に接続される。シャフトスリーブ466は、ホーゼルボア開口部458を通して挿入され、締結具476は、ホーゼル基部462の開口部448を通して挿入されるので、締結具476とシャフトスリーブ466は、ホーゼルインサート430を圧縮状態に保持し、相反する力を生じさせる。具体的には、締結具476は、シャフトスリーブ466をホーゼルインサート430に対して下方へ押さえつけ、その結果、ホーゼル基部462を下方に押す。締結具476とシャフトスリーブ466の間に生じる拘束力は、ホーゼルインサート430を内部キャビティ407内の所定の位置に保持する。
【0134】
他の多くの実施形態において、ホーゼルインサート430は接着手段によって所定位置に保持することができる。そのような実施形態では、シャフト受け構造450は、接着剤、又は、エポキシの使用を介して、ホーゼルインサート430をクラブヘッドボディ401に接続するように構成された複数のラップジョイントを形成することができる。
図13は、チューブ部437と接合壁461との間に形成されたラップジョイント436を示している。ホーゼルインサート430とクラブヘッド400は、締結具476が緩められ、シャフトスリーブ466が取り外されても、ホーゼルインサート430が所定位置に固定されたままとなるように、ラップジョイント436において、エポキシ樹脂、又は、その他の接着剤で接合することができる。
【0135】
軽量ホーゼルインサート430を含めることによって、ボディ材料のみから形成された同様の構造と比較して、シャフト受け構造450の質量が低減される。いくつかの実施形態において、より密度の高い材料に代わる軽量ホーゼルインサート430を含めることにより、シャフト受け構造450の質量が3グラムから12グラム減少する。シャフト受け構造450の質量低減は、質量特性、及び、性能を改善するために、クラブヘッド400全体に配分できる裁量質量を確保する。
【0136】
ホーゼルインサート430は、ホーゼル452の外側部分を形成する。ホーゼルインサート430は、ホーゼルボア開口部458まで延びるので、インパクト時に、これまでの実施形態のホーゼルチューブインサート230、330よりも大きな応力を受ける可能性があり、従って、複合材料よりも高い強度を有する材料でホーゼルインサート430を提供することが有利であり得る。多くの実施形態では、ホーゼルインサート430は、非金属材料ではなく、軽量の金属材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、ホーゼルインサート430は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は、ボディ材料よりも密度が低い任意の軽量金属材料で形成することができる。ホーゼルインサート430が軽量金属で設けられていることにより、シャフト受け構造450の質量を(軽量金属がボディ材料よりも低い密度を有することにより)低減することができ、クラブヘッド400の構造的完全性を依然として保つことができる。
【0137】
(VI.チューブレス軽量シャフト受け構造)
図15は、チューブインサートのない軽量シャフト受け構造550の別の実施形態(以下、「チューブレス」シャフト受け構造550と呼ぶ)を示している。
図15に示される実施形態では、先行技術の設計のホーゼルチューブが完全に排除されている。そのため、シャフトスリーブ566は、チューブ部、又は、チューブインサート内に隠されていない。従って、シャフトスリーブ566の少なくとも一部は、内部キャビティ507に露出している。多くの実施形態において、シャフトスリーブ外壁567の少なくとも一部が内部キャビティ507に露出している。チューブレスシャフト受け構造550は、全体がボディ材料で形成され、ホーゼルチューブを備える同様のシャフト受け構造と比較して、3から12グラム低減された質量を備えることができる。チューブレスシャフト受け構造550は、さらに、1つ又は複数のコンポーネントをそなえることができ、ホーゼル基部562等、従来技術ではボディ材料で形成されていたクラブヘッド500の他の部分を形成することができる。ホーゼルチューブをなくし、ボディ材料ではなく軽量材料で他のコンポーネントを形成することによりシャフト受け構造550の質量を減らすことは、質量特性、及び、性能を改善するためにクラブヘッド500の他の領域に再分配される裁量質量を確保する。
【0138】
チューブレスシャフト受け構造550は(
図7)~
図9に図示されたシャフト受け構造250と実質的に類似し得るが、チューブレスシャフト受け構造550にはチューブインサート(これまでの実施形態のチューブインサート230、330等)がない。チューブレスシャフト受け構造550は、ホーゼル552と、シャフトスリーブ566と、を備える。ホーゼル552は、ホーゼル壁554を形成し、ホーゼル壁上部580は、シャフトスリーブ566を受け入れるように構成されたホーゼルボア開口部558を形成する。
【0139】
シャフト受け構造550は、さらに、ホーゼル基部562を形成するエンドキャップ540を備える。エンドキャップ540は、クラブヘッドボディ101とは別個の部品として形成することができる。エンドキャップ540は、従来技術で一般的なように、ホーゼル基部をボディ材料から形成するのではなく、軽量材料でホーゼル基部562を形成するために設けられる。多くの実施形態において、エンドキャップ540は、エンドキャップ240と実質的に類似したものとすることができる。エンドキャップ540は、下部開口部574を閉じるように構成することができる。
【0140】
図15に示されるように、シャフト受け構造550は、さらに、下部開口部574から内部キャビティ507内に延びる基部壁561を備える。ホーゼル基部壁561の底部は、レッジ578を形成することができ、エンドキャップ540は、レッジ578に接するように構成される。エンドキャップ540は、下部開口部574全体を覆う形状にすることができ、クラブヘッド500の外部を内部キャビティ507から分離する。
【0141】
チューブインサート、又は、ホーゼルチューブがないため、チューブレスシャフト受け構造550は、連続したホーゼルボアを有さない。換言すると、チューブレスシャフト受け構造550は、ホーゼルボア開口部558からホーゼル基部562まで延びるホーゼルボアを有さない。
図15に示されるように、シャフト受け構造550は、上部ホーゼルボア556aと、上部ホーゼルボア556aとは別の下部ホーゼルボア556bと、を備える。上部ホーゼルボア556aは、ホーゼル壁上部580の内面によって形成することができる。多くの実施形態において、上部ホーゼルボア556aは、ホーゼル壁上部580の上縁によって形成されるホーゼルボア開口部558から、ホーゼル壁上部580の底部まで延びることができる。他の実施形態において、上部ホーゼルボア556aの一部は、ホーゼル壁554によって形成されることができる。上部ホーゼルボア556aは、内部キャビティ507内へ、急激に、又は、徐々に移行することができる。上部ホーゼルボア556aは、ホーゼル壁554がシャフトスリーブ566から分岐するにつれて、内部キャビティ507に移行する。下部ホーゼルボア556bは、ホーゼル基部壁561の内面によって形成されることができる。下部ホーゼルボア556bは、下部開口部574からホーゼル基部壁561の頂部まで延びている。上部ホーゼルボア556aと同様に、下部ホーゼルボア556bは、内部キャビティ507内に直接通じる。
【0142】
上部ホーゼルボア556aと下部ホーゼルボア556bとを接続する構造はない。上部ホーゼルボア556aと下部ホーゼルボア556bは、それぞれ個別に内部キャビティ507に通じている。上部ホーゼルボア556aと下部ホーゼルボア556bは互いに通じない。シャフトスリーブ566は、上部ホーゼルボア556aと下部ホーゼルボア556bとの間に形成された隙間557を通って延びており、シャフトスリーブ566はそれによって内部キャビティ507に露出している。
【0143】
チューブレスシャフト受け構造550は、締結具576、シャフトスリーブ566、及び、エンドキャップ540によって一緒に保持されることができる。シャフトスリーブ566は、ホーゼルボア開口部558を通して上部ホーゼルボア556aに挿入され、ホーゼル壁上部580に接するように構成されている。締結具576は、エンドキャップ540に形成された開口部548を通して下部ホーゼルボア556bに挿入され、エンドキャップ540の外面に接するように構成されている。締結具576は、締め付けられると、エンドキャップ540の外面に押し付けられ、シャフトスリーブ566に拘束力をかける。締結具576とシャフトスリーブ566は、しっかりと接続されると、シャフト受け構造550のコンポーネントを一緒に保持する拘束力を生じさせる。締結具576は、エンドキャップ540を押す上向きの力を生じさせ、シャフトスリーブ566はホーゼル壁上部580の内面に対して反対の下向きの力を生じさせる。このように、シャフトスリーブ566は、シャフトスリーブ566にかかる下方に引っ張る引張力によって上部ホーゼルボア556a内に保持される。締結具576とシャフトスリーブ566との間に生じる拘束力は、シャフト受け構造550のコンポーネントを所定の位置に保持する。
【0144】
チューブレスシャフト受け構造550は、クラブヘッド500に再分配される裁量質量の最大量を提供する。チューブレスシャフト受け構造550は、ホーゼルチューブが完全に取り除かれているため、最小限の構造を有する。さらに、チューブレスシャフト受け構造550は、別個のチューブインサートを含むことによって、たとえごくわずかであっても、いかなる質量も再導入しない。チューブレスシャフト受け構造550は、内部キャビティ507をシールする能力よりも最大限の質量の裁量が望まれるクラブヘッド500に含めるのに有利であることができる。
【0145】
(VII.外部ホーゼルインサートを有する軽量シャフト受け構造)
図16は、ホーゼル壁654の一部を置き換え、ホーゼル移行部664の一部を(上で定義したような)軽量材料で構成されたホーゼルインサート630で形成する軽量シャフト受け構造650の別の実施形態を示す。多くの実施形態において、ホーゼル壁654とホーゼル移行部664は、クラウン610においてクラブヘッドボディ601に接続するように構成された1つのインサート630として一緒に形成することができる。そのような実施形態では、クラブヘッド600は、クラウン610のヒール側近傍にホーゼル移行開口部665を形成することができる。ホーゼルインサート630は、ホーゼル移行開口部665の外周部でクラブヘッドボディ601に接続するように構成することができる。多くの実施形態では、ホーゼルインサート630は、機械的手段、及び/又は、接着手段によって、ホーゼル移行開口部665においてクラブヘッドボディ601に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、ホーゼルインサート630は、ホーゼル移行開口部665の外周部に形成された対応する嵌合形状に接続するように構成された嵌合形状を、ホーゼル移行部664において有することができる。ホーゼルインサート630は、ホーゼルボア開口部658を形成し、ホーゼルボア656内にシャフトスリーブ666を接続するように構成された任意の受け入れ形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ホーゼルインサート630は、シャフトスリーブ666の1つ又は複数の表面特徴を受け入れ、クラブヘッドのロフト角、及び/又は、ライ角に対する調整可能性を提供するように構成された1つ又は複数のローブを形成することができる。
【0146】
ホーゼルインサート630は、ホーゼルボア656の少なくとも上部を画定する、内径を有する内面を有する。多くの実施形態において、ホーゼル652の内面は、ホーゼルボア開口部658からホーゼル移行開口部665まで延びるホーゼルボア656の一部を画定する。多くの実施形態では、
図16によって示されるように、軽量ホーゼルインサート630は、外部にのみ配置され、ホーゼル移行開口部665を通って延在せず、内部キャビティ607のどの部分にも延在しない。シャフト受け構造650の内部部分(即ち、チューブ部660、ホーゼル基部662等)は、クラブヘッドボディ601の残りの部分と一体的に鋳造することができる。従って、軽量ホーゼルインサート630とは別体のチューブ部660は、ホーゼル移行開口部665からホーゼル基部662まで延びるホーゼルボア656の下部を形成する。チューブ部660とホーゼル基部が高強度のボディ材料で形成されているため、シャフト受け構造650は、ソール612の近傍で発生するあらゆる応力に対応できるようになっている。
【0147】
いくつかの実施形態において、軽量ホーゼル、及び、ホーゼル移行部664は、別個のインサートとして形成され、機械的手段、又は、接着手段を介してクラウンに取り付けられるのではなく、クラブヘッドボディ601の一部と一体的に形成することができる。この構成は、複合材料から作られたクラウンインサートのような、クラウン610の大部分を形成する軽量の非金属コンポーネントを有する多材料構造を有するクラブヘッドに適用可能である。軽量ホーゼルインサート630及びホーゼル移行部664は、クラウン610の延長部として機能することができ、ヒール端でクラウン610から上方に延び、ホーゼル移行部664及びホーゼル壁654を形成する。このような実施形態において、ホーゼル壁654及びホーゼル移行部664が複合クラウン610と一体的に形成されているため、ホーゼル壁654及びホーゼル移行部664の材料は、複合クラウン610の材料と同じにすることができる。一体型のホーゼル壁654及びホーゼル移行部664は、スカート614の周囲を包んでヒール604、及び/又は、トウ606にソール612の一部を形成する複合クラウン610等、上記で詳細に説明した複合クラウンの任意のバリエーションと組み合わせて形成することができる。
【0148】
ホーゼル壁654及びホーゼル移行部664を軽量材料で置き換えることは、多材料クラブヘッドの複合クラウン610と一体的に形成されるか、又は、ホーゼル移行開口部665で接続された別個のインサートとして形成されるかに関わらず、全体がボディ材料で形成された同様の構造と比較して、シャフト受け構造650の質量を低減する。いくつかの実施形態において、ホーゼルインサート630を含むことによって、ホーゼル壁654を置き換えてホーゼル移行部664を軽量材料で形成することにより、シャフト受け構造650の質量が3グラム~12グラム減少する。シャフト受け構造650の質量の低減は、質量特性、及び、性能を改善するためにクラブヘッド600全体に分配できる裁量質量を確保する。
【0149】
(例)
(例1:軽量シャフト受け構造におけるゴルフクラブヘッドの応力分布)
上述したように、先行技術のシャフト受け構造は、驚くべきことに、ホーゼルチューブ160のような、ゴルフクラブヘッドの構造的完全性に大きく寄与しない部分を有する。ホーゼルチューブ160にかかる応力がこのように低いことを示す分析が行われた後、裁量質量を提供するために、ホーゼルチューブを単に取り除くことができるか、又は、より軽い材料に置き換えることができるかどうかを判断するための実験が行われた。
【0150】
図17A及び
図17Bは、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールに衝突する間のピーク応力を図示する。
図17Aは、クラブヘッドボディ101と同じ材料を有するホーゼルチューブ160を有する先行技術のゴルフクラブヘッド100のピーク応力を図示する。
図17Aに示される有限要素解析は、ホーゼルチューブ160が、インパクト時に無視できる応力を受けることを示している。無視できる応力は、材料破壊荷重の50%未満の応力として定義される。これは、ホーゼルチューブ160が大きな構造的荷重を受けていないことを意味する。ホーゼルチューブ160が、インパクト時にこのように低い応力を有し、クラブヘッド100の構造的完全性に大きく寄与していないことは予想外であった。
【0151】
図17Aに図示された分析を拡大するために、ホーゼルチューブ160が除去され、それ以外は同一のクラブヘッド100がモデル化された。
図17Bは、ホーゼルチューブ160がなく、シャフトスリーブ166を内部キャビティ107に露出させたゴルフクラブヘッド100のピーク応力を図示する。ホーゼルチューブ160のないゴルフクラブヘッドの分析は、変更されたシャフト支持構造が依然としてインパクト時に非常に低いレベルの応力を受けることを示した。
【0152】
インパクト時のピーク応力では、リーディングエッジ103に近接する打撃フェース102、クラウンリターン部分122、及び、ソール112が衝撃力を吸収し、大きな応力を受ける。これらの部分には、衝撃による破損を避けるために、高強度のボディ材料が必要となる。対照的に、
図17Aに図示されたホーゼルチューブ160は、ボールインパクト時の衝撃力をほとんど受けない。上述したように、これにより、ホーゼルチューブを完全に取り除くか、又は、密度が低く、かつ、材料強度がより低い材料に置き換えることができる。
図17Bに示されるように、ホーゼルチューブ160は取り除くことができ、露出したシャフトスリーブ166は衝撃による応力をほとんど受けない。これは、ゴルフボールに衝突するときのゴルフクラブヘッドの耐久性に関して、ホーゼルチューブ160が不要であることを示している。
【0153】
ホーゼル152に近接し、クラブヘッド100の内部キャビティ107内にあるゴルフクラブヘッド100の部分は、ゴルフクラブヘッド100のリーディングエッジ103に近接する打撃フェース102、クラウンリターン122、及び、ソール112と比較して、インパクト時に応力が低い部分である。他の応力が低い領域は打撃フェース102からさらに離れたところに位置している。ホーゼル152に近接し、ゴルフクラブヘッドの内部キャビティ107内のクラブヘッド100の応力が低い部分は、インパクト時のクラブヘッドの耐久性を損なうことなく入れ替えることができる。上述したように、シャフト受け構造150が受ける衝撃力の大部分は、上部接触面186、及び、下部接触面187(
図18A及び
図18Bに図示)に近接して発生する。上部接触面186、及び、下部接触面187から離れれば離れるほど、シャフト受け構造150が受ける応力は小さくなり、クラブヘッド100を構造的に支持するために必要な質量は小さくなる。質量は、上部接触面186、及び、下部接触面187から離れたシャフト受け構造150の部分から減少させることができる。多くの実施形態において、質量は、チューブインサートオフセット距離に関連して後述するホーゼルボア開口部158から、ある距離だけ離れていることを特徴とするシャフト受け構造の部分から削減することができる。
【0154】
図17A及び
図17Bに示される分析は、耐久性の観点から、ホーゼルチューブ160は、任意の軽量材料で形成することができ、又は、完全に取り除くこともできることを示している。裁量質量を最大化するためには、所望の機能性に応じて、可能な限り軽量な材料で形成されたホーゼルチューブを提供するか、又は完全に取り除くことが望ましい。例えば、幾つかの実施形態では、内部キャビティ107をホーゼルボア156からシールしたり、シャフトスリーブ166を所定の位置に保持する等の負荷を受ける以外の目的のために、チューブインサート(チューブインサート230、330等)の形態で軽量ホーゼルチューブを維持することが望ましい場合がある。他の実施形態では、ホーゼルチューブ160の負荷を受ける以外の機能は所望されない場合があり、ホーゼルチューブ160は完全に取り除かれてもよい。上記で詳述したシャフト受け構造550の場合がそうである。そのようなクラブヘッドの例については後述する。
【0155】
(例2:軽量シャフト受け構造を備えるクラブヘッドの質量特性)
軽量シャフト受け構造を備える複数の例示的なクラブヘッドと対照クラブヘッドとの間で質量特性が比較された。各クラブヘッドのMOI値が比較された。さらに、それぞれの例示的なクラブヘッドに軽量シャフト受け構造を含めることによって生じる裁量質量の量が、対照クラブヘッドを基準として比較された。各クラブヘッドは、シャフト受け構造の違いを除いて同様に構成されていた。
【0156】
第1の例示的クラブヘッドは、シャフト受け構造250と同様の軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型のクラブヘッドであった。第1の例示的クラブヘッドは、ホーゼルチューブを形成する軽量チューブインサートと、ホーゼル基部を形成する軽量下部エンドキャップと、を有していた。チューブインサートは、下部開口部から内部キャビティに挿入された。エンドキャップは、下部開口部を覆い、チューブインサートを内部キャビティ内に取り囲んだ。
【0157】
第2の例示的なクラブヘッドは、シャフト受け構造550と同様の軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型のクラブヘッドであった。第2の例示的なクラブヘッドは、チューブレス設計を備えていた。第2の例示的な実施形態にはチューブインサートがなかった。クラブヘッドは、ホーゼル壁上部の内面によって形成された上部ホーゼルボアと、ホーゼル基部壁の内面によって形成された下部ホーゼルボアと、備えていた。上部ホーゼルボアと下部ホーゼルボアは接続されておらず、共に内部キャビティに通じていた。そのため、シャフトスリーブが挿入されると、シャフトスリーブ外壁は内部キャビティに露出した。第2の例示的クラブヘッドは、ホーゼル基部を形成し、下部開口部を覆う軽量エンドキャップを有していた。
【0158】
対照クラブヘッドは、シャフト受け構造150と同様の先行技術のシャフト受け構造を有する先行技術のフェアウェイウッド型のクラブヘッドであった。対照クラブヘッドは、ホーゼル、ホーゼルチューブ、ホーゼル基部を備えており、それぞれがクラブヘッドボディと一体的に形成され、ボディ材料から形成されていた。対照クラブヘッドのシャフト受け構造は、軽量コンポーネントを有していなかった。
【0159】
以下の表1は、各例示的クラブヘッドと対照クラブヘッドのCG位置を表示している。裁量質量の値は、各例示的なクラブヘッドに軽量シャフト受け構造を備えることによって、対照クラブヘッドと比較してどれだけの質量が節約されるかを表している。
【表1】
【0160】
表1から明らかなように、例示的なクラブヘッドは、裁量質量の増加を示す。ここで、裁量質量は、質量特性を改善するためにクラブヘッドについて再配分された。具体的には、本実施例では、裁量質量は、CG位置を改善するために再配分され、より高い打ち出し、より少ないスピン、及び、より速いボール速度を提供するために、より低いCG位置を優先した。裁量質量は、ソール上のマスパッドに質量を加えることによってクラブヘッドに再導入された。言い換えると、例示的なクラブヘッドでは、ソールのマスパッドの一部が厚くされ、より低いCG位置が生み出された。このように、対照クラブヘッドと例示的なクラブヘッドの両方は同じ全体質量を有していたが、例示的なクラブヘッドはCG配置の目的により有利な質量分布を有していた。
【0161】
例示的クラブヘッド1は、対照クラブヘッドに対して4.5グラムの裁量質量の増加を示し、0.031インチのCG高さ(CGy)の低下と、0.011インチのCG深さ(CGz)の増加をもたらした。第1の例示的なクラブヘッドのより低いCG深さは、より高い打ち出し、より少ないスピン、及び、より速いボール速度のような、より高い性能を提供することができる。CG深さの増加は、MOIの増加、及び/又は、保持を助けることができる。
【0162】
例示的クラブヘッド2は、対照クラブヘッドに対して5.5グラムの裁量質量の増加を示し、0.036インチのCG高さ(CGy)の低下と、0.015インチのCG深さ(CGz)の増加をもたらした。第2の例示的クラブヘッドのより低いCG深度は、より高い打ち出し、より少ないスピン、及び、より速いボール速度のような、より高い性能を提供することができる。CG深さの増加は、MOIの増加及び/又は保持を助けることができる。
【0163】
この比較は、軽量シャフト受け構造を提供することの利点を示している。軽量シャフト受け構造は、対照クラブヘッドと比較して4.5グラム~5.5グラムの裁量質量を生み出し、性能特性に影響を与えるクラブヘッドのCG位置の改善につながった。上述したように、本明細書に記載された軽量シャフト受け構造の軽量コンポーネントが応力荷重に耐えるのに重要でないため、裁量質量の創出とCG位置の改善はクラブヘッドの構造的完全性を犠牲にすることなくもたらされる。
【0164】
(例3:軽量シャフト受け構造を備えるクラブヘッドのボール飛行性能)
例示的なクラブヘッドのボール飛行性能を対照クラブヘッドと比較した。各クラブヘッドについてボール速度、打ち出し角,スピン速度を実地試験で測定し,比較した。
【0165】
例示的なクラブヘッドは、シャフト受け構造250と同様の軽量シャフト受け構造を備えるフェアウェイウッド型のクラブヘッドであった。第1の例示的なクラブヘッドは、ホーゼルチューブを形成する軽量のチューブインサートと、ホーゼル基部を形成する軽量の下部エンドキャップと、を有していた。チューブインサートは、下部開口部から内部キャビティに挿入された。エンドキャップは、下部開口部を覆い、チューブインサートを内部キャビティ内に取り囲んだ。
【0166】
対照クラブヘッドは、シャフト受け構造150と同様の先行技術のシャフト受け構造を備える先行技術のフェアウェイウッド型のクラブヘッドであった。対照クラブヘッドは、ホーゼル、ホーゼルチューブ、ホーゼル基部を有し、それぞれがクラブヘッドボディと一体的に形成され、ボディ材料から形成されていた。対照クラブヘッドのシャフト受け構造は、軽量コンポーネントを有していなかった。
【0167】
以下の表2は、比較試験の結果を示している。
【表2】
【0168】
表2から明らかなように、例示的なクラブヘッドは、対照クラブヘッドと比較して、打ち出し角の増加、ボール速度のわずかな減少、及び、実質的に同様のスピン速度を示した。打ち出し角の増加は、(実施例2で明らかなように)軽量シャフト受け構造を含むことによって作り出された裁量質量によって達成された低いCG位置の結果である。例示的なクラブヘッドは生のボール速度においてわずかな減少を示したが、打ち出し角の増加は例示的なクラブヘッドをディロフトさせる能力を与え、例示的なクラブヘッドにボール速度を戻し、スピン速度を減少させる。増加した打ち出し角によって提供される例示的なクラブヘッドをディロフトさせる能力は、対照クラブヘッドと比較して同等以上のボール速度、及び、より少ないスピンを有するクラブヘッドをもたらすことによって、全体的に高い性能を提供する。
【0169】
(例4:軽量シャフト受け構造を備えるクラブヘッドの耐久性能)
例3の例示的なクラブヘッドは、耐久性についてさらに試験された。例示的なクラブヘッドの3つのサンプルが空気砲試験に供された。そこでは、ゴルフボールが115mphの速度でクラブヘッドフェースに向かって発射され、クラブヘッドとボールとの間でゴルフスイング中に発生する高速インパクトをシミュレートした。第1のサンプルは3164回のインパクトに耐え、第2のサンプルは3197回のインパクトに耐え、第3のサンプルは2413回のインパクトに耐えた。このように、3つのサンプルのそれぞれは、先行技術のゴルフクラブヘッドと同様の耐久性を有していた。典型的な数のインパクトを経験した3つのサンプルの耐久性は、例示的なクラブヘッドの構造的完全性が実地での使用に十分であることを示している。耐久性試験の結果は、軽量シャフト受け構造を含むことが、クラブヘッドの耐久性を犠牲にすることなく、(実施例1及び2に概説される)質量特性、及び、性能の利点を提供することを示す。
【0170】
(条項)
(条項1)ゴルフクラブヘッドであって、打撃フェースと、ボディと、を備え、前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記ホーゼルは、ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、ホーゼルボア開口部を画定するホーゼル壁上部と、前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に設けられており、前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、リップが、前記ホーゼル壁上部の底部に形成されており、前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記リップから前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、前記チューブインサートは、前記ホーゼル壁上部によって前記ホーゼルボア開口部から隔てられており、前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールする、ゴルフクラブヘッド。
【0171】
(条項2)前記シャフト受け構造は、さらに、前記ホーゼルボア開口部から前記ホーゼル基部まで前記ホーゼルボア軸と平行に測定されるホーゼル長さを備え、
前記チューブインサートは、前記チューブインサートの上端から下端まで測定されるチューブインサート長さを備え、前記チューブインサート長さは、前記ホーゼル長さの70~90%である、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0172】
(条項3)前記チューブインサート長さが、1.00インチと1.50インチの間である、条項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【0173】
(条項4)前記リップは、前記ホーゼル壁上部と、前記ホーゼル壁の前記残りの部分と、の間の厚さの変化によって形成されており、前記ホーゼル壁上部は、前記ホーゼル壁の前記残りの部分よりも大きな厚さを備える、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0174】
(条項5)前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0175】
(第6項)前記第2の密度が3g/cm3未満である、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0176】
(条項7)前記チューブインサートの上端が、前記リップ、前記シャフトスリーブ、及び、前記ホーゼル壁によって保持されており、前記チューブインサートの下端が、底部ラップジョイント、前記ホーゼル基部、及び、エンドキャップによって保持される、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0177】
(条項8)前記ホーゼル壁が、前記リップに近接する頂部ラップジョイントを画定し、前記ボディが、前記ホーゼル基部から前記内部キャビティに延びる底部ラップジョイントを画定し、前記チューブインサートは、前記頂部ラップジョイント、及び、前記底部ラップジョイントに接着して接続されるように構成されている、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0178】
(条項9)ゴルフクラブヘッドであって、打撃フェースと、ボディと、を備え、前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記ホーゼルは、ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、前記ホーゼルの上端に位置するホーゼルボア開口部と、前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に形成されており、前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、前記ホーゼルは、さらに、前記ホーゼルボア開口部に近接するホーゼル壁上部を備え、前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記ホーゼル壁上部から前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールし、前記シャフト受け構造が、前記ホーゼルボア軸と平行に測定され、前記ホーゼルボア開口部と前記チューブインサートの上端との間の距離として定義されるチューブインサートオフセット距離を備え、前記チューブインサートオフセット距離は、0.20インチより大きい、ゴルフクラブヘッド。
【0179】
(条項10)前記シャフト受け構造は、前記第1の材料のみで形成された同様のシャフト受け構造の質量よりも少なくとも3グラム小さい質量を有する、条項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【0180】
(条項11)前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、条項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【0181】
(条項12)前記第2の密度が3g/cm3未満である、条項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【0182】
(条項13)ゴルフクラブヘッドであって、打撃フェースと、ボディと、を備え、前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、前記ホーゼルは、ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、ホーゼルボア開口部を画定するホーゼル壁上部と、を備え、前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、下部開口部が、前記ソール上であって、前記ホーゼルボア開口部の反対側に位置し、エンドキャップが、前記ソールに接続して前記下部開口部を閉じるように構成されており、前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記ホーゼル壁上部から前記エンドキャップまで延びるチューブインサートを備え、前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、前記エンドキャップは、前記第1の密度より小さい第3の密度を有する第3の材料で形成されており、前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールする、ゴルフクラブヘッド。
【0183】
(条項14)前記エンドキャップは、さらに、前記チューブインサートの下端を受け入れるように構成された1つ又は複数の切欠きを備える、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0184】
(条項15)前記エンドキャップは、さらに、エンドキャップボディと、前記エンドキャップボディから上方に延びる突出部と、を備え、前記突出部が、前記ホーゼルボア内を少なくとも部分的に延びる、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0185】
(条項16)前記エンドキャップは、さらに、エンドキャップ下面からエンドキャップ上面まで前記エンドキャップを通って延びる開口部を備える、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0186】
(条項17)前記チューブインサートは、前記下部開口部を通って前記内部キャビティに挿入されるように構成されている、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0187】
(条項18)前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0188】
(条項19)前記第2の密度が3g/cm3未満である、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0189】
(条項20)前記第3の密度が3g/cm3未満である、条項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【0190】
特許請求された1つ、又は、複数の要素の交換は、再構築を構成するものであり、修理ではない。さらに、特定の実施形態に関して、利益、他の有利な点、及び、問題に対する解決策を説明した。しかしながら、利益、有利な点、問題に対する解決策、及び、利益、有利な点、又は、解決策を生じさせるか、又は、より顕著にさせる可能性のある要素は、そのような利点、利点、解決策、又は、要素が請求項に記載されていない限りは、いずれかの、又は、すべての請求項の重要な、必須の、又は、本質的な特徴、又は、要素として解釈されるものではない。
【0191】
さらに、本明細書に開示された実施形態、及び、限定は、実施形態、及び/又は、限定が(1)特許請求の範囲に明示的に記載されていない場合、及び、(2)均等物の原則に基づき、特許請求の範囲に記載された明示的な要素、及び/又は、限定の均等物であるか、又は、潜在的に均等物である場合には、Dedicationの法理に基づいて公衆に捧げられるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、
ボディと、を備え、
前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、
前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、
前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、
前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、
前記ホーゼルは、
ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、
ホーゼルボア開口部を画定するホーゼル壁上部と、
前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、
前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に設けられており、
前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、
前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、
前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、
リップが、前記ホーゼル壁上部の底部に形成されており、
前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記リップから前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、
前記チューブインサートは、前記ホーゼル壁上部によって前記ホーゼルボア開口部から隔てられており、
前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、
前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシール
しており、
前記シャフトスリーブは、前記チューブインサート内に配置されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記シャフト受け構造は、さらに、前記ホーゼルボア開口部から前記ホーゼル基部まで前記ホーゼルボア軸と平行に測定されるホーゼル長さを備え、
前記チューブインサートは、前記チューブインサートの上端から下端まで測定されるチューブインサート長さを備え、
前記チューブインサート長さは、前記ホーゼル長さの70~90%である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記チューブインサート長さが、1.00インチと1.50インチの間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記リップは、前記ホーゼル壁上部と、前記ホーゼル壁の前記残りの部分と、の間の厚さの変化によって形成されており、
前記ホーゼル壁上部は、前記ホーゼル壁の前記残りの部分よりも大きな厚さを備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第2の密度が3g/cm
3未満である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記チューブインサートの上端が、前記リップ、前記シャフトスリーブ、及び、前記ホーゼル壁によって保持されており、
前記チューブインサートの下端が、底部ラップジョイント、前記ホーゼル基部、及び、エンドキャップによって保持される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ホーゼル壁が、前記リップに近接する頂部ラップジョイントを画定し、
前記ボディが、前記ホーゼル基部から前記内部キャビティに延びる底部ラップジョイントを画定し、
前記チューブインサートは、前記頂部ラップジョイント、及び、前記底部ラップジョイントに接着して接続されるように構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、
ボディと、を備え、
前記打撃フェースと前記ボディとが固定されることによって内部キャビティが画定され、
前記ボディは、クラウンと、前記クラウンの反対側のソールと、ヒールと、前記ヒールの反対側のトウと、前記クラウンと前記ソールに隣接するスカートと、シャフト受け構造と、を備え、
前記シャフト受け構造は、ホーゼルと、シャフトスリーブと、を備え、
前記ホーゼルは、第1の密度を有する第1の材料で形成されており、
前記ホーゼルは、
ホーゼルボアの少なくとも第1部分を画定するホーゼル壁と、
前記ホーゼルの上端に位置するホーゼルボア開口部と、
前記ホーゼルボア開口部の反対側のホーゼル基部と、を備え、
前記ホーゼル基部は、前記ソールの内面において、前記ヒールの近傍に形成されており、
前記ホーゼルは、前記ホーゼルボアと同心のホーゼルボア軸を規定し、
前記シャフトスリーブは、前記ホーゼルボア開口部を通って前記ホーゼル内に挿入可能であり、かつ、ゴルフクラブシャフトを前記ホーゼルと接続するように構成されており、
前記ホーゼルボア開口部は、前記シャフトスリーブを受け入れるように構成されており、
前記ホーゼルは、さらに、前記ホーゼルボア開口部に近接するホーゼル壁上部を備え、
前記シャフト受け構造は、さらに、前記内部キャビティを通って、前記ホーゼル壁上部から前記ホーゼル基部まで延びるチューブインサートを備え、
前記チューブインサートは、前記第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料で形成されており、
前記チューブインサートが前記ホーゼルボアの残りの部分を画定し、
前記チューブインサートは、前記内部キャビティから前記ホーゼルボアをシールし、
前記シャフトスリーブは、前記チューブインサート内に配置されており、
前記シャフト受け構造が、前記ホーゼルボア軸と平行に測定され、前記ホーゼルボア開口部と前記チューブインサートの上端との間の距離として定義されるチューブインサートオフセット距離を備え、
前記チューブインサートオフセット距離は、0.20インチより大きい、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記シャフト受け構造は、前記第1の材料のみで形成された同様のシャフト受け構造の質量よりも少なくとも3グラム小さい質量を有する、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記第2の材料が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填熱可塑性物質、繊維強化複合材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び、アルミニウム合金からなる群から選択される、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第2の密度が3g/cm
3未満である、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【国際調査報告】