(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】ナチュラルキラーT細胞及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20250204BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20250204BHJP
C12N 15/24 20060101ALI20250204BHJP
A61K 35/17 20250101ALI20250204BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250204BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20250204BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250204BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20250204BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20250204BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20250204BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20250204BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20250204BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20250204BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/24
A61K35/17
A61P35/00
A61K38/20
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/867 Z
C07K14/705
C07K16/30
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544707
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2023061600
(87)【国際公開番号】W WO2023147564
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドッティ, ジャンピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ランドーニ, イライザ
(72)【発明者】
【氏名】サヴォルド, バーバラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
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4B065CA25
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4C087AA01
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4C087BB37
4C087BB65
4C087MA16
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトIL-12を発現する修飾されたNKT、修飾されたNKTを含む組成物、及び修飾されたNKTを使用する治療方法が本明細書において開示される。本明細書において記載される修飾されたNKTは、IL-12の発現がCARの発現を備えたカップルされる場合に、長期間の存続性を実証するリプログラミングされたNKTである。これらのNKTは、腫瘍細胞を除去する長期間の能力及びIL-12を発現するNKTの長期間の存続性を獲得する。CAR及び外来性膜結合部分(IL-12等)を発現するように形質転換された修飾された細胞も本明細書において開示される。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾されたナチュラルキラーT(NKT)細胞であって、トランスジェニックIL-12を発現する、前記NKT細胞。
【請求項2】
キメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項3】
前記CARがGD2.CARである、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項4】
前記CARがCD19.CARである、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項5】
前記NKT細胞がヒトNKT細胞である、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項6】
前記NKT細胞が非ヒトNKT細胞である、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項7】
前記NKT細胞がマウスNKT細胞である、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項8】
前記NKT細胞が末梢血液から単離される、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項9】
トランスジェニックIL-12を発現する前記NKT細胞が、IL12を含むレトロウイルス上清によるNKT細胞の形質導入によって産生される、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項10】
前記トランスジェニックIL-12が、前記NKT細胞膜へ結合される、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項11】
前記トランスジェニックIL-12が、CD4またはCD8のスタークを介して前記NKT細胞膜へ結合される、請求項10に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項12】
前記トランスジェニックIL-12が、CD8スタークを介して前記NKT細胞膜へ結合される、請求項10に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項13】
前記CD8スタークが、CD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む、請求項12に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項14】
前記CD8スタークが、前記ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される、請求項13に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項15】
前記CD8スタークが、前記ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換するように修飾される、請求項13に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項16】
前記CD8スタークがCD8aスタークである、請求項12~15のいずれか1項に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項17】
前記CD8スタークが、配列番号12のアミノ酸配列を有するヒンジ領域を含む、請求項16に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項18】
前記トランスジェニックIL-12が、CD4スタークを介して前記NKT細胞膜へ結合される、請求項10に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項19】
前記CD4スタークが、CD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む、請求項18に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項20】
前記CD4スタークが、前記ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される、請求項19に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項21】
前記CD4スタークが、前記ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換するように修飾される、請求項19に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項22】
前記CD4スタークが、配列番号13のアミノ酸配列を有するヒンジ領域を含む、請求項18に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項23】
前記修飾されたNKT細胞が、対照細胞に比較して、腫瘍制御の促進及び生存の改善を増進する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項24】
前記NKT細胞が、対照細胞に比較して、腫瘍の再攻撃に際して腫瘍増殖を制御する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項25】
前記NKT細胞が、抗腫瘍性活性の増加を呈する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項26】
前記NKT細胞が、CD62Lの発現の増加を呈する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項27】
前記NKT細胞が、長期間の存続性を呈する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項28】
前記NKT細胞が、対照細胞に比較して、インビトロでの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を呈する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項29】
前記NKT細胞が、移植片対宿主病を引き起こすリスクの減少を呈する、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項30】
前記NKT細胞が、CD62Lを発現しない、請求項1に記載の修飾されたNKT細胞。
【請求項31】
請求項1に記載の修飾されたNKT細胞の集団。
【請求項32】
末梢血液から単離された遺伝的に修飾されたナチュラルキラーT細胞(NKT)の集団であって、前記NKTが、トランスジェニックIL-12を発現する、前記集団。
【請求項33】
前記NKTが、キメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項32に記載の集団。
【請求項34】
前記CARが、GD2.CARである、請求項33に記載の集団。
【請求項35】
前記CARが、CD19.CARである、請求項33に記載の集団。
【請求項36】
前記NKTが、CAR及びIL-12により形質導入される、請求項32に記載の集団。
【請求項37】
前記NKTが、CD62Lを発現しない、請求項32に記載の集団。
【請求項38】
請求項1に記載の修飾されたNKT細胞を製造する方法であって、レトロウイルスベクターにより前記NKT細胞を形質導入することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記レトロウイルスベクターが、IL-12を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記レトロウイルスベクターが、緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記レトロウイルスベクターが、内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記レトロウイルスベクターが、CARを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記レトロウイルスベクターが、CD19.CARを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記レトロウイルスベクターが、GD2.CARを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
治療有効量の請求項1に記載の修飾されたNKT細胞を対象へ投与することを含む、前記対象におけるがんを治療する方法。
【請求項46】
前記対象が哺乳動物である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象がヒトである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記修飾されたNKT細胞が、前記対象へ静脈内投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
CAR及び外来性膜結合部分を発現するように形質転換された細胞であって、前記外来性膜結合部分が、1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾された膜貫通ドメインを含む、前記細胞。
【請求項50】
除去された前記1つまたは複数のシステイン残基が、さもなければ前記CAR中に存在するシステイン残基によりジスルフィド結合を形成することが可能である、請求項49に記載の細胞。
【請求項51】
前記外来性膜結合部分が、IL-12である、請求項49に記載の細胞。
【請求項52】
前記外来性膜結合部分が、CD4またはCD8のスタークを介して細胞膜へ結合される、請求項49に記載の細胞。
【請求項53】
前記膜貫通ドメインが、CD8スタークを含む、請求項49に記載の細胞。
【請求項54】
前記CD8スタークが、CD8ヒンジ領域を含む、請求項53に記載の細胞。
【請求項55】
前記膜貫通ドメインが、前記1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換するように修飾される、請求項49に記載の細胞。
【請求項56】
前記膜貫通ドメインが、配列番号12のアミノ酸配列を有するCD8aヒンジ領域を含む、請求項49に記載の細胞。
【請求項57】
前記外来性膜結合部分が、CD4スタークを介して細胞膜へ結合される、請求項49に記載の細胞。
【請求項58】
前記CD4スタークが、CD4ヒンジ領域を含む、請求項57に記載の細胞。
【請求項59】
前記膜貫通ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列を有するCD4ヒンジ領域を含む、請求項49に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年1月28日に出願された米国仮出願第63/304,556号の利益を主張する。上記の出願の全体の教示は、参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
政府の助成
本発明は、National Institutes of Health(NIH)によって授与されたCA243543 のもとで政府の助成により行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
自然免疫細胞(innate cell)として及びメモリー様細胞として応答することが実証されたT細胞の特定のサブセットであるナチュラルキラーT細胞(NKTまたはNKT細胞)は、自然免疫応答と適応免疫応答を橋渡しし、がん患者における養子T細胞療法のためのプラットフォームとして有望であることが示されている。キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作されたNKTは、前臨床的及び臨床的ながんの研究及び治療において有望な結果を示している免疫療法物質のクラスを代表する。
【0004】
NKT CARは、樹状細胞(DC)成熟の誘導ならびにNK細胞及びCD8+ T細胞活性化サイトカインの分泌を介して、間接的な抗腫瘍活性を増進し得る。しかしながら、悪性細胞がそれらの細胞外微小環境そして自身の表面タンパク質発現を生じさせる多数の免疫抑制性修飾は、これまで特定のがんのためのCAR治療法の有効性及び範囲を限定してきた。長期間の存続性及び腫瘍細胞除去の能力及び腫瘍再攻撃の保護を保持するように修飾されたNKT細胞についての必要性は、依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
修飾されたナチュラルキラーT(NKT)細胞が本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、NKTは、トランスジェニックIL-12を発現する。
【0006】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。CARは、GD2.CARまたはCD19.CARであり得る。
【0007】
一実施形態において、NKT細胞は、ヒトNKT細胞である。一実施形態において、NKT細胞は、非ヒトNKT細胞(例えばマウスNKT細胞)である。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、末梢血液から単離される。
【0008】
本明細書において記載される修飾されたNKT細胞は、当業者に公知の任意の方法(例えば形質導入またはトランスフェクションが挙げられる)を使用して産生され得る。一実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、IL12を含むレトロウイルス上清によるNKT細胞の形質導入によって産生される。一実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、レンチウイルスベクター(LV)形質導入を使用して産生される。一実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、mRNAのエレクトロポレーションを使用して産生される。
【0009】
いくつかの実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD4またはCD8のスタークを介してNKT細胞膜へ結合される。一実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD8スターク(例えばCD8aスターク)を介してNKT細胞膜へ結合される。CD8スタークは、CD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾され、いくつかの態様において、CD8スタークは、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって修飾される。一実施形態において、CD8スタークは、配列番号12のアミノ酸配列のヒンジ領域を含む。一実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD4スタークを介してNKT細胞膜へ結合される。CD4スタークは、CD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾され、いくつかの態様において、CD4スタークは、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって修飾される。一実施形態において、CD4スタークは、配列番号13のアミノ酸配列のヒンジ領域を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、対照細胞に比較して、腫瘍制御の促進及び生存の改善を増進すること、対照細胞に比較して、腫瘍の再攻撃に際して腫瘍増殖を制御すること、抗腫瘍性活性の増加、CD62Lの発現の増加、長期間の存続性、対照細胞に比較して、インビトロでの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進、及び/または移植片対宿主病を引き起こすリスクの減少を含む1つまたは複数の特色を呈する。
【0011】
一実施形態において、NKT細胞は、CD62Lを発現しない。
【0012】
本明細書において開示される修飾されたNKT細胞の集団も本明細書において開示される。末梢血液から単離された遺伝的に修飾されたNKTの集団であって、NKTがトランスジェニックIL-12を発現する、前記集団も本明細書において開示される。
【0013】
いくつかの実施形態において、NKTの集団は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えばGD2.CARまたはCD19.CARを含む。いくつかの実施形態において、NKTの集団は、CAR及びIL-12により形質導入される。
【0014】
一実施形態において、NKTは、CD62Lを発現しない。
【0015】
レトロウイルスベクターによるNKTの形質導入によって本明細書において開示されるNKTを製造する方法が本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、IL-12を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、緑色蛍光タンパク質(GFP)をさらに含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、内部リボソーム侵入部位(IRES)をさらに含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、CAR(例えばGD2.CARまたはCD19.CAR)をさらに含む。いくつかの実施形態において、CARは、B7H3 CARまたはCSPG4 CARである。
【0017】
本明細書において開示される修飾されたNKT細胞を対象へ投与することによってがんを治療する方法も本明細書において開示される。
【0018】
いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物(例えばヒトまたはマウス)である。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、対象へ静脈内投与される。
【0019】
形質転換されてCAR及び外来性膜結合部分を発現する細胞であって、外来性膜結合部分が、さもなければCAR中に存在するシステイン残基によりジスルフィド結合を形成することが可能な1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾された膜貫通ドメインを含む、前記細胞も本明細書において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1-1】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、CD62Lをアップレギュレートすることを示す。Aは、NKTを選択、形質導入、及び増幅するために使用されるプロトコルの図解タイムラインである。Bは、ヒトNKTを操作するために使用されるレトロウイルスベクターの概略図を示す。IL-12のp40サブユニット及びp35サブユニットは、柔軟なリンカーによって接続される。
【
図1-2】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、CD62Lをアップレギュレートすることを示す。Cは、非形質導入NKT(NT)、対照GFPベクター(GFP)により形質導入されたNKT、及びIL12(i)GFPベクターにより形質導入されたNKTにおけるNKT純度の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。 Dは、非形質導入NKT(NT)、対照GFPベクター(GFP)により形質導入されたNKT、及びIL12(i)GFPベクターにより形質導入されたNKTにおけるGFP
+細胞のパーセンテージとして測定されたNKT形質導入効率の代表的なフローサイトメトリープロットを提供する。Eは、非形質導入NKT(NT)、対照GFPベクター(GFP)により形質導入されたNKT、及びIL12(i)GFPベクターにより形質導入されたNKTにおけるCD62Lの代表的なフローサイトメトリープロットを示す。
【
図2A】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、インビトロでIL12を放出し、インビボでより長く存続することを実証する。休止条件(非刺激)のまたは抗CD3抗CD28抗体により活性化された、NT、GFP形質導入NKT、及びIL12(i)GFP形質導入NKTによって産生されたIL-12、IFN-γ、及びIL-4の定量を示す。サイトカイン無しの2mLの完全培地で24ウェルプレート中での1*10
6細胞/ウェルのプレーティングの24時間後に収集した上清で、サイトカインを測定した。平均を示し、n=4;*、P=0.0273;**、P=0.0022;***、P=0.0006;****、P<0.0001;二元配置ANOVA。
【
図2B】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、インビトロでIL12を放出し、インビボでより長く存続することを実証する。IL12(i)GFP NKT、GFP NKTとの間のRNAseqデータの差次的遺伝子発現(アルファ<0.2)を例証する火山型プロットを提供する。正のLFC値は、IL12(i)GFP NKT中の過剰発現を反映する。
【
図2C】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、インビトロでIL12を放出し、インビボでより長く存続することを実証する。異種移植NSGマウスモデルにおけるNKT存続性を査定するためのインビボの実験の図解表示を示す。マウスに、5*10
6のGFP NKTまたはIL12(i)GFPホタルルシフェラーゼ標識NKTを静脈内移植した。マウスを、NKT注射後の0、2、4、及び7日目でIVISキネティックマシンにより画像化し、10日目に安楽死させ、末梢血液、肝臓、及び脾臓を収集した。
【
図2D】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、インビトロでIL12を放出し、インビボでより長く存続することを実証する。代表的な腫瘍の生物発光画像化(BLI)を示す(合計のフラックスp/sとして測定した)。
【
図2E】IL12(i)GFPにより形質導入されたNKTが、インビトロでIL12を放出し、インビボでより長く存続することを実証する。NKT注入の10日間後に収集された末梢血液、肝臓、及び脾臓のサンプル中のヒトNKT(iNKT
+CD45
+)の定量を示す。平均を示し、n=10;*、P=0.0161、**、P=0.0020、***、P=0.0006、対応のないt検定。
【
図3A】GD2.CAR及びIL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。NKTを形質導入するために使用されるレトロウイルスベクターの図表を示す。CD19.CARに関してscFv FMC.63を使用し、GD2.CARに関して1A7 scFvを使用した。
【
図3B】GD2.CAR及びIL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。培養の10日目に査定された、対照NKT(NT)及びCAR形質導入NKTにおけるCAR発現の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。
【
図3C】GD2.CAR及びIL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。培養の10日目に査定された、対照NKT(NT)及びCAR形質導入NKTにおけるCD62L発現の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。
【
図4A】IL-12を産生するGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を有し、長期間の腫瘍の制御を媒介することを実証する。NKTをCHLA-225(E:T=1:1)により共培養し、次いで収集し、抗iTCR(Vβ11)及び抗GD2により染色してフローサイトメトリーによってそれぞれNKT及び神経芽腫細胞を同定した、各々のサイクル後の残存する腫瘍細胞の定量の要約を示す。平均を示し、n=4。
【
図4B】IL-12を産生するGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を有し、長期間の腫瘍の制御を媒介することを実証する。異種移植転移性神経芽腫モデルの図解表示を示す。マウスに、2*10
6のCHLA-225ホタルルシフェラーゼ標識神経芽腫腫瘍細胞を静脈内移植した。10日後に、マウスに、5*10
6のCAR
+ NKTを静脈内投与した。マウスを、毎週IVISキネティックマシンにより画像化し、80日目に安楽死させ、末梢血液、肝臓、及び脾臓を収集した。
【
図4C】IL-12を産生するGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を有し、長期間の腫瘍の制御を媒介することを実証する。代表的な腫瘍のBLIを示す(合計のフラックスp/sとして測定した)。
【
図4D】IL-12を産生するGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を有し、長期間の腫瘍の制御を媒介することを実証する。NKT注入の80日間後に収集された末梢血液、肝臓、及び脾臓のサンプル中のヒトNKT(iNKT
+CD45
+)の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。
【
図5A】GD2.CAR及び膜結合IL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。NKTを形質導入するために使用されるレトロウイルスベクターの図表を提供する。GD2.CARに関して1A7 scFvを使用した。NKTの膜へIL-12をアンカーするために、修飾されたCD8aスターク及び膜貫通ドメインを使用した。
【
図5B】GD2.CAR及び膜結合IL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。培養の10日目に査定された、対照CAR形質導入NKTにおけるCAR発現の代表的なフローサイトメトリープロットを提供する。
【
図5C】GD2.CAR及び膜結合IL-12により形質導入されたNKTが、CARを発現し、CD62Lをアップレギュレートすることを実証する。培養の10日目に査定された、対照CAR形質導入NKTにおけるCD62L発現の代表的なフローサイトメトリープロットを提供する。
【
図6A】膜結合IL-12が、細胞表面上で検出され、STAT4のリン酸化を誘導することを実証する。培養の10日目に査定された、対照NKT(NT)またはCAR形質導入NKTの細胞表面上で検出されたIL-12発現の代表的なフローサイトメトリープロットを提供する。
【
図6B】膜結合IL-12が、細胞表面上で検出され、STAT4のリン酸化を誘導することを実証する。培養の10日目に査定された、対照NKT(NT)またはCAR形質導入NKTの細胞表面上で検出されたIL-12受容体β(IL-12RB)発現の代表的なフローサイトメトリープロットを提供する。
【
図6C】膜結合IL-12が、細胞表面上で検出され、STAT4のリン酸化を誘導することを実証する。培養の14日目での、NT、IL12(i)GFP NKT、及びCAR.GD2(i)IL12TM NKTにおけるSTAT4リン酸化を例証する代表的なウエスタンブロットを提供する。
【
図7A】膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際して可溶性IL-12と匹敵する細胞傷害性活性を有することを実証する。NKTをCHLA-225(E:T=1:1)により共培養し、次いで収集し、抗iTCR(Vβ11)及び抗B7-H3により染色してフローサイトメトリーによってそれぞれNKT及び神経芽腫細胞を同定した、各々のサイクル後の残存する腫瘍細胞の定量の代表的なフロープロットを提供する。
【
図7B】膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際して可溶性IL-12と匹敵する細胞傷害性活性を有することを実証する。E:T比1:1でCHLA-225と共培養された、対照NKTS(NT)またはCAR形質導入NKTによって産生されたIFN-γ及びIL-12prの定量を示す。サイトカイン無しの2mLの完全培地で24ウェルプレート中での2.5×10
5のNKT細胞/ウェルと2.5×10
5のCHLA-225/ウェルのプレーティングの24時間後に収集した上清で、サイトカインを測定した。平均及び標準偏差を示し、n=2。
【
図7C】膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTが、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際して可溶性IL-12と匹敵する細胞傷害性活性を有することを実証する。GD2.CAR(i)IL12TMのインビボでの存続性を示す。NSGマウスに10*10
6のGD2.CAR(i)IL12TM NKTを注入した。27日後に、NKTは末梢血液において検出され、CD62Lの高発現が維持された。
【
図8-1】様々なIL-12コンストラクトについてのアミノ酸配列を提供する。
【
図9】CD19.CAR及びGD2.CARについてのアミノ酸配列を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ナチュラルキラーT細胞(NKTまたはNKT細胞)は末梢血液から単離され、ヒトIL-12を発現するように遺伝的に操作された。これらのNKTは、養子移入後の免疫不全マウスにおいてCD62Lの高発現レベルを獲得し、移植片対宿主病を引き起ここと無しに長期間存続することが示された。驚くべきことに、トランスジェニックIL-12は、単にNKT細胞を増殖させる可溶性サイトカインとしてではなく、NKT細胞のIL-12発現をリプログラミングし改善するために使用され得ることが見出された。IL-12は、それ自体でNKT細胞の長期間の生着を支援するのに十分であることがさらに示された。いくつかの態様において、CD62Lは、トランスジェニックIL-12の効果を支援するのに必要でなくてもよい。
【0022】
修飾されたNKT細胞、修飾されたNKT細胞を含む組成物、及び修飾されたNKT細胞を利用する治療方法が本明細書において記載される。本明細書において記載される修飾されたNKT細胞は、長期間の存続性を呈すし、IL-12の発現がCARの発現とカップルされる場合に、これらのNKT細胞は、腫瘍細胞を除去する長期間の能力及び長期間の存続性を獲得する。
【0023】
修飾されたNKT
本開示の態様は、修飾されたT細胞(例えば修飾または操作されたナチュラルキラーT(NKT)細胞)に関する。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、トランスジェニックIL-12を発現するように修飾される。
【0024】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。概して当業者に公知であるように、CAR T細胞(例えばCAR NKT細胞)は、当該CAR T細胞を必要とする対象またはドナー対象等からNKT細胞を得て、それらがキメラ抗原受容体(CAR)を含むように、細胞をマニピュレーションすることによって産生され得る。CARは、特異的なタンパク質をがん細胞に対して標的化する能力を提供し、抗原認識ドメイン、細胞外ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び細胞内T細胞シグナリングドメインを含む。CAR T細胞は、第一世代、第二世代、第三世代、または第四世代として分類され得る。
【0025】
第一世代CARは、CD3ζドメインのみで操作される。第二世代CARは、CD3ζドメイン及び共刺激シグナリングドメイン(例えばCD28または4-1BB)で操作される。第三世代CARは、2つの共刺激シグナリングドメイン(例えばCD28及びCD137の両方)に加えてCD3ζドメインを含むように操作される。最後に、第四世代CAR(普遍的なサイトカイン媒介性殺傷のために向け直されたT細胞(T-cells redirected for universal cytokine-mediated killing)(TRUCK)とも称される)は、CD3ζドメイン、2つの共刺激シグナリングドメイン(例えばCD28及びCD137の両方)、及びいくつかの追加の遺伝子修飾(サイトカイン分泌または追加の共刺激シグナリングドメインのための導入遺伝子の追加)を含むように操作される。任意のタイプのCARは、修飾されたNKT細胞の製造において使用され得る。いくつかの実施形態において、CARは、第二世代CARである。いくつかの実施形態において、CARは、GD2.CAR、CD19.CAR、B7H3.CAR、及びCSPG4.CARからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、T細胞受容体(TCR)を含む。概して当業者に公知であるように、T細胞受容体を含むNKT細胞は、当該NKT細胞を必要とする対象またはドナー対象等からNKT細胞を得て、それらがT細胞受容体(TCR)を含むように、細胞をマニピュレーションすることによって産生され得る。任意のタイプのTCRは、修飾されたNKT細胞の製造において使用され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、ヒトNKT細胞または非ヒトNKT細胞である。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞が使用される。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、霊長動物細胞(ヒト細胞または非ヒト霊長動物細胞)、齧歯動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター)細胞、イヌ、ネコ、ウシ、または他の哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、トリ細胞が使用される。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、末梢血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官から単離される。NKT細胞は、当業者に公知の任意の方法によって単離され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、自己由来細胞である。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、自己由来細胞ではない。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、対象と同じ種である。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、対象の種とは異なる種である。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、当技術分野において公知の分化プロトコルを使用して、インビトロで幹細胞または祖先細胞から分化される。いくつかの実施形態において、NKT細胞の集団は、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、またはそれを超えて増幅されて、NKT細胞の数の増加を提供する。
【0029】
本明細書において記載される修飾されたNKT細胞は、1つまたは複数の特色を呈する。修飾されたNKT細胞の特色の非限定例としては、腫瘍制御の促進及び生存の改善を増進すること(対照細胞に比較して)、腫瘍の再攻撃に際して腫瘍増殖を制御すること(対照細胞に比較して)、抗腫瘍性活性の増加、CD62Lの発現の増加、長期間の存続性、インビトロでの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進(対照細胞に比較して)、移植片対宿主病を引き起こすリスクの減少、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、対照細胞に比較して、腫瘍制御の促進及び生存の改善を増進する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、対照細胞に比較して、腫瘍の再攻撃に際して腫瘍増殖を制御する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、抗腫瘍性活性の増加を呈する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、CD62Lの発現の増加を呈する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、長期間の存続性を呈する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、対照細胞に比較して、インビトロでの腫瘍細胞への反復暴露に際しての細胞傷害性活性の促進を呈する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、対象へ投与した場合に、移植片対宿主病を引き起こすリスクの減少を呈する。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、CD62Lを発現しない。
【0030】
いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、細胞表面(例えばNKT細胞の細胞表面)へ付着される膜結合サイトカインを含有する。一実施形態において、膜結合サイトカインは、IL-12である。いくつかの態様において、修飾されたNKT細胞はIL-12を分泌し、それは、次いでNKT細胞の表面へ膜結合される。いくつかの実施形態において、IL-12は、膜貫通ドメインを介して細胞膜(例えばNKT細胞膜)へ結合される。いくつかの実施形態において、IL-12は、膜貫通ドメインへ融合される。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、インテグリンファミリー、CD4、CD8、CD44、グリコフォリン、MHCクラスI及びII糖タンパク質、EGF受容体、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリー、受容体チロシンキナーゼ(例えばインスリン様増殖因子1受容体(IGFR)及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFR))、ポリンファミリー、当業者に公知の他の膜貫通タンパク質、ならびにその組み合わせからなる群から選択される分子の膜貫通ドメインに由来する配列を有する。一実施形態において、膜貫通ドメインは、CD4の膜貫通ドメインを含む。一実施形態において、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメインを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD4またはCD8のスタークを介してNKT細胞膜へ結合される。一実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD8スタークを介してNKT細胞膜へ結合される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、CD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む。好適なCD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインは、当業者に公知であり、例示的な例は配列番号6において提供される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域からすべてのシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって除去される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域のシステイン残基のすべてをセリン残基へ置換することによって修飾される。一実施形態において、CD8スタークは、CD8aスタークである。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、配列番号12のアミノ酸配列のヒンジ領域、またはそれへ少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、CD8スタークは、配列番号12のアミノ酸配列のヒンジ領域を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0032】
一実施形態において、トランスジェニックIL-12は、CD4スタークを介してNKT細胞膜へ結合される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、CD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む。好適なCD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインは、当業者に公知であり、例示的な例は配列番号8において提供される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域からすべてのシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって除去される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域のすべてのシステイン残基をセリン残基へ置換することによって修飾される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、配列番号13のアミノ酸配列のヒンジ領域、またはそれへ少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、CD4スタークは、配列番号13のアミノ酸配列のヒンジ領域を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0033】
いくつかの実施形態において、IL-12は、CD4またはCD8aのスタークを介して細胞膜へ結合される。CD4またはCD8のスタークは、ヒンジ及び膜貫通ドメインを含み得る。いくつかの態様において、ヒンジ領域(例えばCD8ヒンジ領域)は、共発現されるCARとの二量体化を最小限にするかまたはさもなければ防止するように修飾される。ヒンジ領域は、1つまたは複数の修飾(例えば1、2、3、4、5、またはそれを超えるアミノ酸の欠失及び/または置換)を含み得る。一実施形態において、CD8ヒンジ領域は、配列番号6において示されるCD8aヒンジ領域の位置(複数可)27及び/または44で、システイン(Cys)残基への修飾を含む。一実施形態において、CD8ヒンジ領域は、配列番号6の位置(複数可)C571及び/またはC588で、システイン(Cys)残基への修飾を含む。一実施形態において、CD4ヒンジ領域は、配列番号8において示されるCD4ヒンジ領域の位置(複数可)14及び/または56で、Cys残基への修飾を含む。一実施形態において、CD4ヒンジ領域は、配列番号8の位置(複数可)C558及び/またはC600で、Cys残基への修飾を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数のセリン(Ser)残基が置換される。一実施形態において、膜結合サイトカインの膜貫通ドメインは、配列TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEASRPAAGGAVHTRGLDFASD(配列番号12)を含む。一実施形態において、膜結合サイトカインの膜貫通ドメインは、配列VVMRATQLQKNLTSEVWGPTSPKLMLSLKLENKEAKVSKREKAVWVLNPEAGMWQSLLSDSGQVLLESNIKVLPTWSTPVQP(配列番号13)を含む。驚いたことには、システイン残基を除去するためにCD8aスタークを修飾することは、アンカーされたIL-12が共発現されたCARの有効性を予想外に改善したことが見出された。
【0034】
理論によりまたは適用の特定のモードにより束縛されるものではないが、膜結合部分(CD4またはCD8のスタークのネイティブな配列を含む)中に存在するシステイン残基が、概して、共発現されたCAR中に存在するシステイン残基とのジスルフィド結合をおそらく形成し、それによってCARの有効性を低減することが理解される。膜結合サイトカイン(例えばIL-12)とCARとの間でジスルフィド結合を形成することが予想されるシステイン残基を置換することによって、膜結合サイトカインとCARとの二量体化は、最小限にされるかまたはさもなければ防止され、それによってCARの有効性を回復させる。したがって、本開示は、形質転換されてCAR及び外来性膜結合部分を発現する細胞であって、外来性膜結合部分が、さもなければCAR中に存在するシステイン残基によりジスルフィド結合を形成することが可能な1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾された膜貫通ドメインを含む、前記細胞へも拡張される。
【0035】
いくつかの実施形態において、外来性膜結合部分は、CD4またはCD8のスタークを介して細胞膜へ結合される。一実施形態において、膜結合治療部分は、CD8スタークを介して細胞膜へ結合される。いくつかの態様において、CD8スタークは、CD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む。好適なCD8のヒンジ領域及び膜貫通ドメインは、当業者に公知であり、例示的な例は配列番号6において示される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域からすべてのシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって除去される。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、ヒンジ領域のすべてのシステイン残基をセリン残基へ置換することによって修飾される。一実施形態において、CD8スタークは、CD8aスタークである。いくつかの実施形態において、CD8スタークは、配列番号12のアミノ酸配列のヒンジ領域、またはそれへ少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、CD8スタークは、配列番号12のアミノ酸配列のヒンジ領域を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0036】
別の実施形態において、外来性膜結合部分は、CD4スタークを介して細胞膜へ結合される。いくつかの態様において、CD4スタークは、CD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインを含む。好適なCD4のヒンジ領域及び膜貫通ドメインは、当業者に公知であり、例示的な例は配列番号8において示される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域から1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域からすべてのシステイン残基を除去するように修飾される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシステイン残基は、1つまたは複数のシステイン残基をセリン残基により置換することによって除去される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、ヒンジ領域のすべてのシステイン残基をセリン残基へ置換することによって修飾される。いくつかの実施形態において、CD4スタークは、配列番号13のアミノ酸配列のヒンジ領域、またはそれへ少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、CD4スタークは、配列番号13のアミノ酸配列のヒンジ領域を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0037】
本開示は、CAR及び外来性膜結合部分を発現するように形質転換された細胞であって、CARのアミノ酸配列が、さもなければ外来性膜結合部分の膜貫通ドメイン中に存在するシステイン残基によりジスルフィド結合を形成することが可能な1つまたは複数のシステイン残基を除去するように修飾された、前記細胞へも拡張される。
【0038】
いくつかの実施形態において、外来性膜結合部分は、治療部分である。好適な治療部分は、当業者に公知であり、その例示的な実施形態としては、サイトカイン、インテグリンファミリーメンバー、CD4、CD8、CD44、グリコフォリン、MHCクラスI及びII糖タンパク質、EGF受容体、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーメンバー、受容体チロシンキナーゼ(例えばインスリン様増殖因子1受容体(IGFR)及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFR))、ポリンファミリーメンバー、ならびに上記の任意のものの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、治療部分は、サイトカインである。
【0039】
いくつかの実施形態において、細胞は、免疫細胞である。好適な免疫細胞は当業者に公知であり、T細胞が挙げられる。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞またはNKT細胞である。
【0040】
別の実施形態において、膜結合サイトカイン(例えばIL-12)のヒンジ及び/または膜貫通領域中に存在するシステイン残基によりジスルフィド結合を形成することが予想される膜結合CARのシステイン残基の1つまたは複数は、修飾され(例えばセリン残基について置換され)、それによって、膜結合サイトカインとCARとの二量体化を最小限にするかまたはさもなければ防止し得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9からなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、CD8膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号6または配列番号7の配列を含む。いくつかの実施形態において、CD4膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号8または配列番号9の配列を含む。いくつかの実施形態において、変異された膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号7または配列番号9の配列を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号6の配列を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号7の配列を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号8の配列を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインへ融合されたIL-12は、配列番号9の配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、膜結合されたまたはアンカーされたIL-12は、リンカーを含有する。リンカーは、概して当業者に公知である。いくつかの態様において、リンカーは、1つまたは複数アミノ酸を含む。例えば、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超えるアミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、リンカーは、柔軟なリンカーであり得る。
【0043】
NKT細胞は、例えば当業者に公知の任意の方法を使用して、IL-12を発現するように修飾され得る。いくつかの実施形態において、NKT細胞への修飾は、RNA標的化剤(RNAi、miRNA、またはリボザイム等)によって導入され得る。いくつかの事例において、修飾は、遺伝子編集系またはその構成要素を介して導入され得る。遺伝子編集系の例としては、CRISPR-Cas系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)系、TALE系、TALEN系、及びメガヌクレアーゼ系が挙げられる。いくつかの実施形態において、遺伝子編集系は、ベクター送達系を使用して送達され得る。いくつかの実施形態において、遺伝子編集系は、ウイルスベクター送達系を使用して送達され得る。いくつかの実施形態において、NKT細胞への修飾は、形質導入またはトランスフェクションを使用して導入され得る。NKT細胞を修飾するための方法の非限定例としては、ウイルス性、非ウイルス性、及びハイブリッド(ウイルス性及び非ウイルス性の)ベースの方法が挙げられる。形質導入の方法としては、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、オンコレトロウイルベクタース、及び/または当業者に公知の他のベクターの使用が挙げられ得る。トランスフェクション方法としては、リポフェクション、ヌクレオフェクション、微粒子銃、ビロゾーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、エレクトロポレーション、ソノポレーション、マグネトフェクション、遺伝子マイクロインジェクション、レーザー照射、及び当業者に公知の他の方法が挙げられ得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、IL-12を含むウイルスベクターによりNKT細胞を形質導入することによって産生され、例えばNKT細胞は、IL-12を含むレトロウイルス上清により形質導入され得る。一実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、レンチウイルスベクター(LV)形質導入を使用して産生される。一実施形態において、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞は、mRNAのエレクトロポレーションを使用して産生される。
【0045】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は、CD62Lの発現を低減またはノックアウトするように修飾される。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、遺伝子編集系(CRISPR関連系等、例えばCRISPR/Cas9)を使用して修飾される。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、CRISPR/Casを使用して、1つまたは複数の標的の発現を低減またはノックアウトするように修飾される。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、CRISPR/Casを使用して、CD62Lの発現を低減またはノックアウトするように修飾される。
【0046】
いくつかの実施形態において、NKT細胞は哺乳動物から単離され、IL-12により、及びいくつかの実施形態において、CARにより、遺伝子的に修飾される(すなわちインビトロで形質導入またはトランスフェクションされる)。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、ウイルスベクター(例えばレトロウイルスベクター)により形質導入され得るか、またはプラスミドもしくは核酸コンストラクトによりトランスフェクションされ得る。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、IL-12を含む。IL-12は、柔軟なリンカーを介して接続されるp40サブユニット及びp35サブユニットを有し得る。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、SFG及び/またはGFPをさらに含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、内部リボソーム侵入部位(IRES)をさらに含む。いくつかの実施形態において、NKT細胞は、CAR及びIL-12により形質導入される。
【0047】
対象への投与のために、本明細書において開示される方法によって産生された修飾されたNKT細胞は、例えば薬学的に許容される組成物において対象へ投与され得る。これらの薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加物)及び/または希釈物質と一緒に製剤化された、治療有効量の上で記載される修飾されたNKT細胞を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、希釈物質及び/または他の構成要素、及び/または他のサイトカイン及び/または細胞集団をさらに含む。
【0048】
本明細書において記載される時、本発明の医薬組成物は、特に固体形態または液体形態での投与のために製剤化され得、以下の:(1)経口投与、例えば飲薬(水溶液もしくは非水溶液または懸濁物)、ロゼンジ、ドラジェ、カプセル、ピル、錠剤(例えば頬側、舌下、及び全身的な吸収のために標的化されたもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト;(2)非経口投与、例えば滅菌済みの溶液もしくは懸濁物または持続放出製剤として、例えば皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外の注射による;(3)局所適用、例えば皮膚へ適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくは噴霧として;(4)膣内または直腸内、例えばペッサリー、クリーム、または泡として;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻に適合したものが挙げられる。追加で、化合物は、患者の中へ植え込まれ得るか、または薬物送達系を使用して注射され得る。例えばUrquhart,et al.,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.24:199-236(1984);Lewis,ed.“Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals”(Plenum Press,New York,1981);米国特許第3,773,919号;及び米国特許第35 3,270,960号を参照されたい。いくつかの実施形態において、腫瘍及び/または体腔、開口部、及び/または腫瘍を含有する組織への直接投与が所望され得る。
【0049】
本明細書において使用される時、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症無しに、合理的なベネフィット/リスク比に見合うような、ヒト及び動物の組織と接触させる使用に好適な化合物、材料、組成、及び/または投薬形態を指す。
【0050】
本明細書において使用される時、「薬学的に許容される担体」という用語は、対象化合物を1つの器官または身体の一部分から別の器官または身体の一部分へ、運搬または輸送することに関与する、液体もしくは固体の充填物質、希釈物質、賦形剤、製造補助物質(例えば潤滑物質、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステリン酸(steric acid))、または溶媒カプセル化材等の薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各々の担体は、製剤の他の成分と適合性があり且つ患者へ有害でないという意味で「許容され」なくてはならない。薬学的に許容される担体として供され得る材料のいくつかの例としては、(1)糖(ラクトース、グルコース、及びスクロース等);(2)デンプン(トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等);(3)セルロース及びその誘導体(カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、及び酢酸セルロース等);(4)トラガント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルク等);(8)賦形剤(カカオバター及び坐剤用ワックス等);(9)油(落花生油、綿実油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油等);(10)グリコール(プロピレングリコール等);(11)ポリオール(グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール(PEG)等);(12)エステル(オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等);(13)アガー;(14)バッファー剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等);(15)アルギン酸;(16)パイロジェン不含有水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/またはポリ無水物;(22)充填剤(ポリペプチド及びアミノ酸等)、(23)血清構成要素(血清アルブミン、HDL、及びLDL等);(22)C2-C12アルコール(エタノール等);ならびに(23)薬学的製剤中で用いられる他の非毒性の適合性のある物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐物質、及び抗酸化物質も、製剤中に存在し得る。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」という用語、または同種のもの等は、互換的に本明細書において使用される。
【0051】
治療の方法
がんの治療または防止を必要とする対象においてがんを治療または防止する方法が本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、方法は、トランスジェニックIL-12を発現し、及びいくつかの実施形態において、本明細書において記載されるキメラ抗原受容体(CAR)を含む、修飾されたNKT細胞を投与することを包含する。いくつかの実施形態において、方法は、トランスジェニックIL-12を発現し、及びいくつかの実施形態において、CARを含む、治療有効量の修飾されたNKT細胞を投与することを包含する。
【0052】
修飾されたNKT細胞の集団を、対象(例えばがんと診断された及び/またはさもなければ当該集団を必要とする対象)において増幅及び/または生成する方法も本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、方法は、トランスジェニックIL-12を発現するNKT細胞を対象へ投与することを包含する。いくつかの態様において、修飾されたNKT細胞の集団は、対象への投与後のある期間(例えば少なくとも1週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、9か月、1年、2年、5年など)で対象において存続する。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される細胞(例えば修飾されたNKT細胞)は、移植可能である(例えば修飾されたNKT細胞は対象へ投与され得る)。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞が投与される対象は、修飾前のNKT細胞が得られた(例えば自己由来細胞治療法のために)ものと同じ対象である。いくつかの実施形態において、対象は、異なる対象である。いくつかの実施形態において、対象は、がんに罹患しているかまたは正常な対象である。例えば、移植のための修飾されたNKT細胞は、移植に好適な形態であり得る。
【0054】
方法は、修飾されたNKT細胞を、当該投与を必要とする対象(例えば哺乳動物対象、例えばヒト対象)へ投与することをさらに包含し得る。細胞の供給源は、哺乳動物(好ましくはヒト)であり得る。細胞の供給源またはレシピエントは、非ヒト対象(例えば動物モデル)でもあり得る。「哺乳動物」という用語は、生物体を包含し、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ウマ、サル、イヌ、ネコ、及び好ましくはヒトが挙げられる。同様に、移植可能細胞は、非ヒト遺伝子導入生物を包含するこれらの生物体のうちの任意のものから得られ得る。いくつかの態様において、細胞の供給源は、対象の末梢血液である。
【0055】
修飾されたNKT細胞を含む組成物は、植え込み型デバイスを使用して、対象へ投与され得る。植え込み型デバイス及び関連する技術は、当技術分野において公知であり、本明細書において描写される化合物または組成物の連続放出または時限放出の送達が所望される場合の送達系として有用である。追加で、植え込み型デバイス送達系は、化合物または組成物の送達の特異的なポイント(例えば局所化される部位、器官)を標的化するのに有用である。Negrin et al.,Biomaterials,22(6):563(2001)。代替送達方法を含む時限放出技術も、本発明において使用され得る。例えば、高分子技術、持続放出技法、及びカプセル化技法(例えばポリマー、リポソーム)にベースの時限放出製剤も、本明細書において描写される化合物及び組成物の送達のために使用され得る。
【0056】
本明細書において使用される時、「投与する」という用語は、所望される効果が産生されるように、所望される部位で組成物の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、対象の中へ組成物を配置することを指す。本発明の方法に好適な投与経路は、局所投与及び全身投与の両方を包含する。概して、局所投与は、投与される修飾されたNKT細胞が、対象の全身に比較して、特異的な所在位置へより多く送達されることをもたらすが、全身投与は、本質的に対象の全身への修飾されたNKT細胞の送達をもたらす。
【0057】
修飾されたNKT細胞の投与の文脈において、「投与」という用語は、対象におけるかかる細胞の移植も包含する。本明細書において使用される時、「移植」という用語は、少なくとも1つの細胞を対象へ植え込むかまたは移行させるプロセスを指す。「移植」という用語は、例えば自己移植(患者の1つの所在位置からの細胞の除去及び同じ患者の同じかまたは別の所在位置への移行)、同種移植(同じ種のメンバー間の移植)、及び異種移植(異なる種のメンバー間の移植)を包含する。当業者は、がんを治療するための細胞の植え込みまたは移植の方法を十分に承知しており、これらは本発明に適する。
【0058】
修飾されたNKT細胞またはそれを含む組成物は、当技術分野において公知の任意の適切な経路によって投与され得、経口経路または非経口経路が挙げられるがこれらに限定されず、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、及び、気道与(エアロゾル)、経肺投与、経鼻投与、直腸投与、及び局所(頬側及び舌下が挙げられる)投与を包含する。
【0059】
例示的な投与モードとしては、注射、注入、点滴、吸入、または経口摂取が挙げられるがこれらに限定されない。「注射」としては、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、脳脊髄内、及び胸骨内の注射及び注入が限定されずに挙げられる。好ましい実施形態において、組成物は、静脈内の注入または注射によって投与される。
【0060】
本明細書において使用される時、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、脊椎動物(霊長動物、齧歯動物、飼育動物、または狩猟動物等)である。霊長動物としては、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク(例えばアカゲザル)が挙げられる。齧歯動物としては、マウス、ラット、ヤマネズミ、フェレット、ウサギ、及びハムスターが挙げられる。飼育動物及び狩猟動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ科の種(例えばイエネコ)、イヌ科の種(例えばイヌ、キツネ、オオカミ)、トリの種(例えばニワトリ、エミュー、ダチョウ)、及び魚類(例えばマス、ナマズ、及びサケ)が挙げられる。患者または対象としては、上記のもののうちの任意のサブセット(例えば上記のもののすべてであるが、1つまたは複数の群または種(ヒト、霊長動物、または齧歯動物等)を除外する)が挙げられる。本明細書において記載される態様のある特定の実施形態において、対象は、哺乳動物(例えば霊長動物、例えばヒト)である。「患者」及び「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用される。「患者」及び「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用される。対象は、オスまたはメスであり得る。
【0061】
好ましくは、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長動物、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得るが、これらの例に限定されない。加えて、本明細書において記載される方法及び組成物は、飼育動物及び/またはペットを治療するために使用され得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、対象は、がんを有するかもしくは発症するかまたはがんを再発する「リスクがある」と見なされる。対象が、がんを有するかもしくは発症するか、またはがんの再発を有するリスクがあるかということは、対象をケアする当業者の裁量内にあり得る決定である。任意の好適な診断的試験及び/または基準も使用され得る。例えば、(i)対象が、突然変異または遺伝的多型を有していない一般集団の他のメンバーに比べて、がんを発症するかまたは有するリスクの増加と関連する、突然変異、遺伝的多型、遺伝子またはタンパク質の発現プロファイル、及び/または血液中の特定の物質の存在を有する;(ii)対象が、1つまたは複数のリスク因子(がんの家族歴を有すること、発がん物質または腫瘍促進性の薬剤もしくは条件(例えば石綿、タバコ煙、アフラトキシン、放射線、慣性的な感染/炎症など)へ曝露されたこと、加齢等)を有する;(iii)対象が、がんの1つまたは複数の症状を有する、(iv)対象が、がんの可能性を増加させる既知の医学的病態を有するなどであるならば、対象は、がんを有するかまたは発症する「リスクがある」と判断され得る。
【0063】
本明細書において使用される時、がんのタイプは限定されない。「がん」という用語は、本明細書において使用される時、そのユニークな形質(正常な制御の損失)が、無秩序な増殖、分化の欠如、局所組織浸潤、及び転移をもたらす細胞の過剰増殖として定義される。本発明の方法に関して、がんは任意のがんであり得、急性リンパ球性癌(lymphocytic cancer)、急性骨髄性白血病、腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、肛門癌、血管肉腫、B細胞リンパ腫、基底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、肛門、肛門管、または肛門直腸の癌、眼の癌、肝内胆管の癌、関節の癌、頸部、胆嚢、または胸膜の癌、鼻、鼻腔、または中耳の癌、口腔の癌、外陰部の癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、造血新生物、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、液性腫瘍、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、悪性中皮腫、肥満細胞腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜、腹膜網、及び腸間膜の癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎臓癌、肉腫、皮膚癌、小腸癌、軟部組織癌、固形腫瘍、扁平上皮癌、胃癌、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、尿管癌、膀胱癌、ならびに子宮癌のうちの任意のものが挙げられる。本明細書において使用される時、「腫瘍」という用語は、別段特に指摘されない限り、悪性タイプの細胞または組織の異常増殖を指し、良性タイプの組織を含まない。
【0064】
本明細書において使用される時、「治療する」及び「治療」という用語は、対象が疾患の少なくとも1つの症状の低減または疾患の改善(例えば有益であるかまたは所望される臨床結果)を有するように、本明細書において記載される方法に従ってエクスビボで変更された有効量の修飾されたNKT細胞を、対象へ投与することを指す。本発明の目的のために、有益であるかまたは所望される臨床結果としては、検出可能か検出不可能かにかかわらず、1つまたは複数の症状の軽減、疾患の程度の縮小、安定化した(すなわち悪化せずに)疾患の状態、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の軽快または緩和、及び寛解(部分か完全かにかかわらず)が挙げられるがこれらに限定されない。治療することは、治療を受けない場合に予想される生存に比較して、生存を延長することを指し得る。したがって、当業者であれば、治療が疾患病態を改善し得るが、疾患の完全治癒とはなり得ないことを理解する。本明細書において使用される時、「治療」という用語は、予防を包含する。代替的に、疾患の進行が低減または停止されるならば、治療は「有効」である。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存に比較して、生存を延長することも意味し得る。治療を必要とする者は、ポリヌクレオチド配列の発現と関連する障害であると既に診断された者、そして遺伝的感受性または他の因子に起因するかかる障害を発症する可能性がある者を包含する。
【0065】
疾患または障害の「治療」、「予防」、または「軽快」によって、かかる疾患または障害の開始を遅延または予防すること、かかる疾患または障害と関連する病態の進行または重症度の進行、増悪、または悪化を好転、緩和、軽快、阻害、減速、または停止することが意味される。一実施形態において、疾患または障害の症状は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%まで緩和される。
【0066】
修飾されたNKT細胞の投薬量、投与スケジュール、及び投与方法は限定されない。投薬量は様々な因子に依存し、他の治療、用量の数、ならびに年齢、身体条件、サイズ、及び重量を包含する個別の患者パラメーターが挙げられる。これらは当業者に周知の因子であり、単なるルーチンの実験により対処され得る。いくつかの実施形態において、最大忍容用量は、妥当な医学的判断に従って使用され得る(すなわち最も安全且つ忍容される用量)。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞を含む医薬組成物は、約103~約1010細胞/kg体重の投薬量で投与され得、いくつかの実施形態において、投薬量は、それらの範囲内のすべての整数値(例えば104、105、106、107、108、109)を包含する約105~約106細胞/kg体重であり得る。
【0067】
使用される用量は、最大耐容用量もしくは治療下用量、またはその間の任意の用量であり得る。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、1つまたは複数の薬剤と併用して投与される。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞及び/または1つもしくは複数の薬剤は、定義された投与スケジュールに従って投与される。複数の用量が企図される。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞及び1つまたは複数の薬剤が併用で投与される場合に、1つまたは複数の治療下投薬量の薬剤が使用され得る。「治療下用量」は、本明細書において使用される時、もし他の薬剤の非存在下において投与されたならば対象における治療結果を産生する、その投薬量未満である投薬量を指す。いくつかの態様において、抗がん剤の治療下用量は、本明細書において記載される修飾されたNKT細胞の投与の非存在下において対象で有用な治療結果を産生しないものである。抗がん剤の治療用量は、がんの治療のための医薬品の分野において周知である。
【0068】
本明細書において使用される時、医薬組成物は、治療有用性を有する1つまたは複数の薬剤または組成物、及び薬学的に許容される担体(例えば薬剤または組成物の送達を容易にする担体)を含む。本明細書において開示される薬剤及び医薬組成物は、任意の好適な手段(経口的、鼻内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、非経口的、腹腔内、髄腔内に、気管内、眼内、舌下、経腟的、経直腸的、経真皮的に、またはエアロゾルとして等)によって投与され得る。治療される病態のタイプ(例えばがん)に依存して、本発明の化合物は、例えば経口摂取、吸入、または全身経路によって投与され得る。したがって、様々な投与モードまたは経路が利用可能である。選択された特定のモードは、典型的には、選択された特定の化合物、治療されている特定の病態、及び治療有効性のために要求される投薬量等の因子に依存するだろう。本明細書において記載される方法は、概して言えば、医学的に許容される任意の投与モードを使用して実践され得、臨床的に許容できない副作用を引き起こすこと無しに、許容されるレベルの有効性を産生する任意のモードを意味する。好ましい投与モードは、非経口経路及び経口経路である。「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、及び胸骨内の注射または注入の技法を包含する。いくつかの実施形態において、吸入医薬物は、例えば肺癌患者において肺へ直接的に送達されるので、特に有用である。複数のタイプの定量吸入器は、吸入による投与のために通常使用される。これらのタイプのデバイスとしては、定量吸入器(MDI)、呼吸作動式MDI、乾燥粉末吸入器(DPI)、MDIと併用したスペーサー/保持チャンバー、及びネブライザーが挙げられる。いくつかの実施形態において、薬剤は、肺エアロゾルによって送達される。他の適切な経路は、当業者に明らかである。
【0069】
修飾されたNKT細胞を含む組成物の投与の毒性及び治療有効性は、例えばLD50(集団の50%への致死性用量)及びED50(集団の50%における治療有効用量)の決定のための細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。大きな治療指数を呈する修飾されたNKT細胞を含む組成物は好ましい。
【0070】
修飾されたNKT細胞を含む組成物の量は、複数の十分に確立された動物モデルを使用して試験され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、細胞培養アッセイから及び動物研究において得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲の処方において使用され得る。かかる化合物の投薬量は、好ましくはほとんどまたはまったく毒性を伴わないED50を含む、血中循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。
【0072】
修飾されたNKT細胞を含む組成物の治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイからも推定され得る。代替的に、任意の特定の投薬量の効果は、好適なバイオアッセイによってモニタリングされ得る。
【0073】
治療の継続期間及び頻度に関して、治療がいつ治療利益を提供するかを決定するために対象をモニタリングすること、及び投薬量を増加もしくは減少させるか、投与頻度を増加もしくは減少させるか、治療を中止するか、治療を再開するか、または治療レジメンへ他の変更を行うかを決定することは、熟練した臨床医にとっては典型的である。投薬スケジュールは、多数の臨床的因子に依存して、1週間1回から毎日まで変動し得る。所望される用量は、一度で投与されるか、またはサブ用量(例えば2~4のサブ用量)へと分割され、ある期間にわたって(例えばその日を通して適切な間隔で、または他の適切なスケジュールで)投与され得る。かかるサブ用量は、単位投薬形態として投与され得る。いくつかの実施形態において、投与は、長期である(例えば数週間または数か月の期間にわたって毎日の1回または複数回の用量)。投薬スケジュールの例は、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月以上の期間にわたって、毎日、1日2回、1日3回、または1日4回以上の投与である。
【0074】
本発明の他の態様において、方法は、NKT細胞の単離された集団の使用を提供する。本発明の一実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞の単離された集団は、治療を必要とする対象(例えばがんを有するかまたはがんを発症するリスクがある対象)の中への移植における使用のための医薬組成物の産生のために使用され得る。例としては、メラノーマまたは膵臓癌の有る対象が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞の単離された集団は、自己由来及び/または同種異系であり得る。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物であり、他の実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0075】
本発明の一実施形態は、有効量の本明細書において開示される修飾されたNKT細胞を含む組成物を、がんの有る対象へ投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法に関する。他の実施形態は、有効量の本明細書において開示される修飾されたNKT細胞を含む組成物を、腫瘍の有る対象へ投与することを含む、対象における腫瘍を治療する方法に関する。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞は、第2の治療的処置(例えば化学療法、放射線、免疫抑制剤(シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート、及びFK506等)、抗体、または他の免疫アブレーション剤(CAMPATH、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトトキシン、フルダルビン(fludaribine)、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、及び/または照射等))と併用して、がんを有する対象へ投与される。
【0077】
いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、化学療法剤(フルダラビン、外照射療法(XRT)、シクロホスファミド等)または抗体(OKT3またはCAMPATH等)のいずれかを使用して、骨髄移植、T細胞アブレーション療法と併用して(例えばその前に、それと同時に、及び/またはそれに続いて)、患者へ投与される。別の実施形態において、修飾されたNKTは、B細胞アブレーション療法(CD20と反応する薬剤、例えばリツキサン等)に続いて投与される。例えば、一実施形態において、対象は、高用量化学療法による標準治療に続いて末梢血液幹細胞移植を受け得る。ある特定の実施形態において、移植に続いて、対象は、増幅した修飾されたNKT細胞の注入を受け得る。追加の実施形態において、増幅した細胞は、手術の前に及び/または手術に続いて投与され得る。
【0078】
がんまたは腫瘍の治療において、修飾されたNKT細胞は、本明細書において記載される障害または病態の治療において有用な化学療法薬または抗新生物性化合物または放射線療法等の他の異なる細胞傷害剤(例えば化学療法薬または抗新生物性化合物)と共に任意選択で投与され得る。他の化合物は、修飾されたNKT細胞の投与の前に、それと同時に、及び/またはその後に投与され得る。本明細書において使用される時、「同時に」という単語は、併用する効果を生ずるのに十分に時間的に近接することを意味する(すなわち、同時には、一斉であり得るか、または互いの前または後に起こる2つ以上の投与であり得る)。
【0079】
本明細書において使用される時、「放射線療法」という語句は、外部的に適用される供給源(ビーム等)からまたは小型放射性線源の植え込みによってのいずれかで照射されるX線またはγ線を包含するがこれらに限定されない。
【0080】
本明細書において記載される修飾されたNKT細胞により投与され得る好適な化学療法剤の非限定例としては、ダウノマイシン、シスプラチン、ベラパミル、シトシンアラビノシド、アミノプテリン、デモコルシン(democolcine)、タモキシフェン、アクチノマイシンD、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、及びトリアゼンが限定されずに挙げられる):ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、及びテモゾロマイド;抗代謝物質(葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害物質が限定されずに挙げられる):メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、ならびにゲムシタビン、天然産物及びそれらの誘導体(例えばビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、及びエピポドフィロトキシン):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ-C、パクリタキセル(パクリタキセルはTaxol(登録商標)として商業的に入手可能である)、ミトラマイシン、デオキシコ-ホルマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN-a)、エトポシド、及びテニポシドが挙げられる。他の抗増殖性細胞傷害剤は、ナベルベン(navelbene)、CPT-11、アナストラゾール、レトラゾール(letrazole)、カペシタビン、レロキサフィン(reloxafine)、シクロホスファミド、イホサミド(ifosamide)、及びドロロキサフィン(droloxafine)である。追加の抗増殖性細胞傷害剤としては、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン(cytarabin)、イダトレキサート(idatrexate)、トリメトレキサート、ダカルバジン、L-アスパラギナーゼ、カンプトテシン、トポテカン、ビカルタミド、フルタミド、ロイプロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロン、及びインターロイキンが挙げられるがこれらに限定されない。好ましいクラスの抗増殖性細胞傷害剤は、EGFR阻害物質、Her-2阻害物質、CDK阻害物質、及びHerceptin(登録商標)(トラスツズマブ)である(例えば米国特許第6,537,988号;同第6,420,377号を参照)。かかる化合物は、その投与について現在知られている技法に従って与えられ得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞は、任意の生理学的に許容される賦形剤で投与され得、修飾されたNKT細胞は、複製、分裂増殖、及び/または生着に適切な部位を見出し得る。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞は、注射、カテーテル、または同種のものによって導入され得る。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞は、液体窒素温度で凍結され、長期間保存され得、融解して使用することが可能である。凍結されたならば、修飾されたNKT細胞は、通常10%のDMSO、50%のFCS、40%のRPMI 1640培地中で保存されるだろう。一旦融解されたならば、細胞は、NKT細胞の培養と関連する増殖因子及び/またはフィーダー細胞の使用によって増幅され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される修飾されたNKT細胞は、ヒト投与のために十分に滅菌済みの条件下で調製された等張賦形剤を含む医薬組成物の形態で供給され得る。医用製剤における一般的原理については、読者は、Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy,by G.Morstyn & W.Sheridan eds,Cambridge University Press,1996;及びHematopoietic Stem Cell Therapy,E.D.Ball,J.Lister & P.Law,Churchill Livingstone,2000を参照されたい。本明細書において開示される修飾されたNKT細胞を含む組成物の細胞性賦形剤及び任意の付随要素の選択は、投与のために使用される経路及びデバイスに合わせて適合されるだろう。いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞を含む組成物は、修飾されたNKT細胞の生着または機能的可動化を容易にする1つまたは複数の他の成分も含み得るかまたは当該成分も付随し得る。好適な成分としては、修飾されたNKT細胞または相補的な細胞タイプの接着を支援または増進するマトリックスタンパク質が挙げられる。別の実施形態において、組成物は、再吸収性または生物分解性のマトリックススキャフォールドを含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、個別の患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与のスケジューリング、患者の年齢、性別、体重、ならびに医療従事者に公知の他の因子を考慮に入れて、良質の医療のための原則に従って投与及び投薬され得る。本明細書における目的のための薬学的な「有効量」は、したがって、当技術分野において公知であるような考慮事項によって決定される。この量は、改善を達成するのに有効でなければならず、当該改善としては、生存率の改善もしくはより迅速な回復、または症状の改善もしくは消失、及び当業者によって適切な尺度として選択される他の指標が挙げられるがこれらに限定されない。修飾されたNKT細胞は、以下の場所:クリニック、医院、救急部、病棟、集中治療室、手術室、カテーテル挿入室(catheterization suite)、及び放射線室(radiologic suite)で対象へ投与され得る。
【0084】
他の実施形態において、修飾されたNKT細胞は、後の植え込み/注入のために保存される。修飾されたNKT細胞の一部分が後の適用のために保持され、一部が対象へ直ちに適用されるように、修飾されたNKT細胞は、2つ以上のアリコートまたは単位へと分割され得る。細胞バンクにおける細胞のすべてまたは一部の中~長期間の貯蔵も、本発明の範囲内であり、米国特許公開第2003/0054331号及び特許公開第WO 03/024215号(それらの全体は参照することによって本明細書に援用される)中で開示される。プロセシングの終了時に、濃縮された細胞は、レシピエントへの配置のために送達デバイス(シリンジ等)の中へ当業者に公知の任意の手段によってロードされ得る。
【0085】
有効量のNKT細胞を含む医薬組成物も、本発明によって企図される。これらの組成物は、有効数の修飾されたNKT細胞を、任意選択で薬学的に許容される担体、添加物、または賦形剤と併用して含む。修飾されたNKT細胞の対象への全身投与は、ある特定の適応症において好ましいかもしれないが、腫瘍の部位でのまたは近接における直接投与は、他の適応症において好ましいかもしれない。
【0086】
いくつかの実施形態において、修飾されたNKT細胞は、所望される目的(対象への投与前の修飾されたNKT細胞の再構成または融解(もし凍結されたならば)等)のための書面による指示書を備えた好適な容器中で、任意選択でパッケージングされ得る。
【0087】
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及された結果及び利点、そして本発明に固有のものを得るために良く適合することを容易に認識する。本明細書における記載の詳細及び実施例は、ある特定の実施形態を代表し、例示的であり、本発明の範囲に対する限定として意図されない。本明細書における修飾及び他の使用は、当業者に思い浮かぶだろう。これらの修飾は、本発明の趣旨内に網羅される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに、本明細書において開示される発明への変動する置換及び修飾が行われ得ることは、当業者に容易に明らかであろう。
【0088】
「a」及び「an」という冠詞は、本明細書において使用される時、明細書及び特許請求の範囲中で、相反することが明確に指摘されない限り、複数の指示物を包含するように理解されるべきである。群のうちの1つまたは複数のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または記載は、相反することが指摘されない限り、またはさもなければ文脈から明白ではない限り、群のメンバーのうちの1つ、1つを超える、またはすべてが、所与の産物またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、またはさもなければ関連しているならば、満たされていると判断される。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の産物またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、またはさもなければ関連している実施形態を包含する。本発明は、群の1つを超えるメンバーまたはすべてのメンバーが、所与の産物またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、またはさもなければ関連している実施形態も包含する。さらに、本発明は、すべての変動、組み合わせ、及び順列を提供することを理解すべきであり、ここで、リストされた請求項のうちの1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、条項、記述用語などは、別段の指示のない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当業者に明白でない限り、同じ基本請求項(または関連すれば、任意の他の請求項)に依存して、別の請求項の中へ導入される。本明細書において記載されるすべての実施形態は、適切な場合、本発明のすべての異なる態様へ適用可能であることが企図される。実施形態または態様のうちの任意のものは、適切な場合は常に、1つまたは複数の他のかかる実施形態または態様と自由に組み合わせられ得ることも企図される。要素が、例えばマーカッシュ群または類似のフォーマットでリストとして提示される場合、要素の各々の亜群も開示され、任意の要素(複数可)は群から除去され得ることが理解されるべきである。概して、本発明、または本発明の態様が、特定の要素、特色などを含むとして言及される場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様は、かかる要素、特色などからなるか、または本質的になることが理解されるべきである。単純性の目的のために、これらの実施形態は、すべての事例において、本明細書においてあまり多くの言葉で具体的には説明されてこなかった。特定の除外が明細書において列挙されるかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様は、特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解されるべきである。例えば、任意の1つまたは複数の活性剤、添加物、成分、任意選択の薬剤、生物体のタイプ、障害、対象、またはそれらの組み合わせが除外され得る。
【0089】
請求項または記載が物質の組成物に関する場合、別段指摘されない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当業者に明白でない限り、本明細書において開示される方法のうちの任意のものに従って主題の組成物を作製または使用する方法、及び本明細書において開示される目的のうちの任意のもののために主題の組成物を使用する方法は、本発明の態様であることが理解されるべきである。請求項または記載が方法に関する場合、別段指摘されない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当業者に明白でない限り、例えば方法の遂行のために有用な組成物を作製する方法、及び方法に従って産生された産物は、本発明の態様であることが理解されるべきである。
【0090】
範囲が本明細書において与えられる場合、本発明は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、及び1つのエンドポイントが含まれ、他のエンドポイントが除外される実施形態を包含する。別段指摘されない限り、両方のエンドポイントが含まれていることが想定されるべきである。さらに、別段の指示のない限り、またはさもなければ文脈及び当業者の理解から明白ではない限り、範囲として表現される値は、別段文脈が明確に定めない限り、本発明の異なる実施形態において述べられた範囲内の任意の特定の値または部分範囲を、範囲の下限の単位の10分の1までとり得ることを理解されたい。1シリーズの数値が本明細書において述べられる場合、本発明は、任意の間に入る値、または当該シリーズ中の任意の2つの値によって定義された範囲に相似して関連する実施形態を包含し、最小値は最小と見なされ得、最大値は最大として見なされ得ることも理解される。数値は、本明細書において使用される時、パーセンテージとして表現される値を含む。数値が「約」または「およそ」によって前置きされる本発明の任意の実施形態について、本発明は、正確な値が列挙される実施形態を包含する。数値が「約」または「およそ」によって前置きされない本発明の任意の実施形態について、本発明は、値が「約」または「およそ」によって前置きされる実施形態を包含する。
【0091】
本明細書において使用される時、A及びBが異なる請求項用語である「A及び/またはB」は、概して、A、B、またはA及びBの両方のうちの少なくとも1つを意味する。例えば、別の配列へ相補的である及び/またはハイブリダイズする1つの配列は、(i)たとえ1つの配列が、すべて条件下で他の配列へ必ずしもハイブリダイズしなくても、他の配列へ相補的である、1つの配列、(ii)たとえ1つの配列が他の配列へ完全に相補的でなくても、他の配列へハイブリダイズする、1つの配列、及び(iii)他の配列へ相補的であり且つハイブリダイズする、配列を包含する。
【0092】
「およそ」または「約」は、概して、別段述べられない限り、またはそうでなければ文脈から明白でない限り(かかる数が、可能な値の100%を許容されないほど越える場合を除いて)、いずれかの方向(その数を超えるかまたはそれ未満)において、1%の範囲内、またはいくつかの実施形態において、数の5%の範囲内、またはいくつかの実施形態において、数の10%の範囲内に入る数を包含する。相反することが明確に指摘されない限り、2つ以上の行為を包含する本明細書において請求される任意の方法において、方法の行為の順序は、必ずしも方法の行為が列挙される順序に限定されないが、本発明は、順序がそのように限定された実施形態を包含することが理解されるべきである。別段指摘されない限り、または文脈から明白でない限り、本明細書において記載される任意の産物または組成物は、「単離された」と判断され得ることも理解されるべきである。
【0093】
本明細書において使用される時、「含むこと」または「含む」という用語は、本発明に必須である組成物、方法、及びそのそれぞれの構成要素(複数可)を参照して使用され、必須であるかどうかにかかわらず、不特定の要素の組み入れへのさらなる余地がある。
【0094】
本明細書において使用される時、「~から本質的になること」という用語は、所与の実施形態のために要求される要素を指す。当該用語は、本発明の実施形態の基本的且つ新規または機能的な特徴(複数可)に物質的に影響しない追加の要素の存在を許容する。
【0095】
「~からなること」という用語は、本明細書において記載される時、組成物、方法、及びそのそれぞれの構成要素を指し、実施形態のその記載中で列挙されない任意の要素を除外する。
【実施例】
【0096】
修飾されたNKT細胞は、
図1A中で概説された方法を介して任意選択で得られる。0日目、NKT細胞を単離し;1~4日目、NKT細胞の集団をIL-2により増幅し;5日目、NKT細胞を少なくとも1つのレトロウイルスベクターにより形質導入し;6~13日目、NKT細胞の集団をIL-2により増幅し;14日目、NKT細胞を1つまたは複数の機能的アッセイを使用して査定する。5日目でのNKT細胞の形質導入は、1つまたは複数のレトロウイルスベクターにより生じる(
図1B)。1つのレトロウイルスベクターはSFG(i)GFPであり、第2のレトロウイルスベクターはSFG.IL12(i)GFPである。両方のベクターは、IRES及びGFPを含む。SFG.IL12(i)GRPベクターは、柔軟なリンカーを介して接続されるIL-12のp40サブユニット及びp35サブユニットを含む。
【0097】
サイトカインを与えた後に、修飾されたNKT細胞を査定した。フローサイトメトリープロットにより、非形質導NKT細胞(NT)、対照GFPベクター(GFP)により形質導入されたNKT細胞、及びIL12(i)GFPベクターにより形質導入されたNKT細胞におけるNKT細胞純度、GFP+細胞のパーセンテージとしてのNKT細胞形質導入効率、及びCD62L発現が示された(
図1C~1E)。
図1Eは、CD62LがIL12(i)GFPにより形質導入されたNKT細胞において有意にアップレギュレートされることを明確に示す。
【0098】
NKT細胞(NT細胞、GFP NKT細胞、及びIL12(i)GFP NKT細胞)によって産生されたIL-12、IFN-γ、及びIL-4を包含する様々なサイトカインを、測定及び定量した(
図2A)。NKT細胞は、休止条件(非刺激)であったか、または活性化(抗CD3抗体及び抗CD28抗体により処理)された。次いでマウスにGFP標識NKT細胞またはIL12(i)GFPホタルルシフェラーゼ標識NKT細胞を移植した異種移植NSGマウスモデルにおいて、NKT細胞存続性を査定した(
図2C)。マウスを、NKT細胞注射後の0、2、4、及び7日目にIVISキネティックマシンにより画像化し、次いで10日目に安楽死させた。組織収集には、末梢血液、肝臓、及び脾臓を含めた。腫瘍の生物発光画像化(BLI)が、0、2、4、及び7日目で、GFPマウス及びIL12(i)GFPマウスについて示された(
図2D)。加えて、末梢血液、肝臓、及び脾臓におけるヒトNKT細胞の定量も、NKT細胞注入の10日後に収集したサンプルのために提供した(
図2E)。
【0099】
NKTにおいてIL-12のトランスクリプトーム効果を完全に特徴付けるために、IL12(i)GFP NKT及びGFP NKTを、RNASeqの遂行によって比較した。IL12(i)GFP NKTにおいてレトロウイルスベクターによって導入されたIL-12A/Bの発現増加が観察された。追加で、IL12(i)GFP NKTとGFP NKTとの間でおよそ380の遺伝子の差次的発現が観察され(
図2B)、HAVRC2、SELL、及びIFNG、そして炎症誘発性遺伝子が挙げられる。加えて、GFP NKTに比較して、CD62Lの高発現が同定され、このことはインビボで高い増殖能を備えたヒトNKTと合致する。さらに、iTCRまたはCARを介する活性化後に、IL-12 NKTが、対照NKTに比較して、より多くのIFN-g、より少ないIL-4を産生したので、IL-12 NKTは炎症促進性表現型を獲得した。
【0100】
様々なレトロウイルスベクターを、CARによるNKT細胞の形質導入について査定した。第1のレトロウイルスベクターは、SFG.CAR.CD19(i)IL12であり;第2のレトロウイルスベクターは、SFG.CAR.GD2であり;第3のレトロウイルスベクターは、SFG.CAR.GD2(i)IL12であり;第4のレトロウイルスベクターは、SFG.CAR.GD2(i)IL12TMであった(
図3A及び
図5A)。CD19.CARはscFv FMC.63を使用し、GD2.CARは1A7 scFvを使用した。代表的なフローサイトメトリープロットにより、培養の10日目で査定された対照(NT)及びCAR形質導入NKT細胞におけるCAR発現、そしてCD62L発現が示された(
図3B~3C及び
図5B~5C)。
【0101】
図3Aからの上で考察した3つのCARレトロウイルスベクターにより形質導入されたNKT細胞を、CHLA-225(E:T=1:1)と共培養した。残存する腫瘍細胞を収集し、抗iTCR(Vβ11)及び抗GD2により染色してフローサイトメトリーによってそれぞれNKT細胞及び神経芽腫細胞を同定及び定量した(
図4A)。マウスに、2*10
6のCHLA-225ホタルルシフェラーゼ標識神経芽腫腫瘍細胞を静脈内移植した。10日後に、マウスに5*10
6のCAR+ NKT細胞を静脈内に与えた(
図3A中で記載されるように)。マウスをIVISキネティックマシンにより毎週画像化し、80日目に安楽死させた。サンプルを、末梢血液、肝臓、及び脾臓から収集した(
図4B)。加えて、腫瘍BLIを、0、14、21、35、56、及び79日目で提供し(
図4C)、末梢血液、肝臓、及び脾臓におけるヒトNKT細胞(iNKT
+CD45
+)の量を測定及びプロットした(
図4D)。
【0102】
NKT細胞を、
図5Aからの上で考察された3つのCARレトロウイルスベクターにより形質導入した。
図5B中で示されるように、GD2 CAR及び可溶性IL-12をコードするレトロウイルスベクターにより形質導入されたNKT細胞に比較した場合に(SFG.CAR.GD2(i)IL12;52%)、GD2 CAR及び膜結合IL-12をコードするレトロウイルスベクターにより予想外に形質導入されたNKT細胞は、より大きいレベルのGD2 CAR発現(SFG.CAR.GD2(i)IL12TM;78%)を示した。
図5Aからの上で考察した3つのCARレトロウイルスベクターにより形質導入されたNKT細胞を、CHLA-225(E:T=1:1)と共培養した。残存する腫瘍細胞を収集し、抗iTCR(Vβ11)及び抗GD2により染色してフローサイトメトリーによってそれぞれNKT細胞及び神経芽腫細胞を同定及び定量した。
図7A中で示されるように、インビトロの腫瘍細胞への反復暴露に際して、膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTは、可溶性IL-12を発現するGD2.CAR NKTと匹敵する細胞傷害性活性を示した。GD2.CAR NKTによるIFN-γ産生が、対照NKT(NT)を超えたにもかかわらず、膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTと可溶性IL-12を備えたGD2.CAR NKTとの間で、IFN-γ産生のレベルにおける有意差はなかった(
図7B)。予想されるように、可溶性IL-12を発現するように修飾されたGD2.CAR NKTは、NT及び膜結合IL-12を備えたGD2.CAR NKTに比較した場合に、より大きいIL-12産生を示した(
図7B)。
図7C中で示されるように、GD2.CAR(i)IL12TMレトロウイルスベクターにより形質導入されたNKTは、インビボで存続性を示した。マウスに、CHLA-225ホタルルシフェラーゼ標識された神経芽腫腫瘍細胞を静脈内移植するだろう。10日後に、マウスにCAR+ NKT細胞を静脈内に与えるだろう(
図5A中で記載されるように)。マウスをIVISキネティックマシンにより毎週画像化し、80日目に安楽死させるだろう。サンプルを、末梢血液、肝臓、及び脾臓から収集するだろう。加えて、腫瘍BLIを、様々なポイントの時間で提供し、末梢血液、肝臓、及び脾臓におけるヒトNKT細胞(iNKT
+CD45
+)の量は測定及びプロットするだろう。
【0103】
将来のマウスモデルは、上でならびに
図3A及び
図5A中で記載されるように、CARレトロウイルスベクターにより形質導入されたNKT細胞の使用を包含し、NKT細胞は、CD62Lの発現を低減または除去するようにさらに修飾されるだろう。CD62Lの発現は、当業者に公知の任意の技法を使用して、低減または除去され得る。
【0104】
上記の実験からのデータに基づいて、驚いたことには、IL-12が、長期間の存続性のためにNKTをリプログラミングすることが見出された。加えて、NKT細胞がCARを共発現するように形質導入された場合に、NKTは、予想外に腫瘍細胞を除去し、腫瘍の再攻撃からマウスを保護する長期間の能力を獲得し、IL-12を発現するNKTの長期間の存続をさらに示す。
【0105】
方法
細胞株。腫瘍細胞株CHLA-225を、37℃で5%のCO2を含有する加湿雰囲気において、10%のFBS(Sigma)、1%のL-グルタミン(Gibco、)及び1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を補足したRPMI 1640(Gibco)による培養中で維持した。CHLA-225細胞株に、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(FFluc)をコードするSFGγレトロウイルスベクターを形質導入した。細胞を連続2か月未満の間培養で維持し、その後は、元の増幅したバイアルからのアリコートを使用した。すべての腫瘍細胞株はルーチンに試験してマイコプラズマによる汚染を除外し、フローサイトメトリーによって腫瘍マーカーの発現を査定して同一性を確認した。
【0106】
レトロウイルスコンストラクト及びレトロウイルス上清の生成。レトロウイルス上清を、293T細胞の一過性のトランスフェクションによって調製し、これを使用してNKT(以下で述べるように単離した)を形質導入した。IL-12のp40サブユニット及びp35サブユニットの配列を、NCBIウェブサイトから得て、Anderson R.et al.からの記載された柔軟なリンカーと一緒にオーバーラップPCRを介して連結させた(フォワードp40:TATCCATGGGTCACCAGCAGTTGG(配列番号1);リバースp40:CCACCGCCGCTTCCGCCACCGCCGCTTCCACCGCCACCACTGCAGGGCACAGATGC(配列番号2);フォワードp35:GTGGCGGAAGCGGCGGTGGCGGCAGCGGCGGTGGCAGCAGAAACCTCCCCGTGGC(配列番号3);リバースp35:GACGCATGCTTAGGAAGCATTCAGATAGCTCATCACTC(配列番号4))。IL-12カセット全体を、IRES及びGFPを含有するSFGレトロウイルスベクターの中へクローニングした。対照として、IRES及びGFPのみを含有するベクターSFGを使用した。GD2特異的scFv(scFv14G2a)、CD8aのスターク及び膜貫通ドメイン、CD28細胞内ドメイン、ならびにCD3z鎖をコードするカセットを、事前にSFGバックボーン(GD2.CAR)の中へクローニングした。次いでIL-12を、IRESエレメント(GD2.CAR(i)IL12)によって分離されたGD2.CARカセット中でクローニングした。最終的に、選択された実験のために、GD2.CAR(i)IL12ベクター中のscFv14G2aを、CD19特異的scFv(scFv FMC.63)と交換して、CD19.CAR(i)IL12ベクターを得た。
【0107】
GD2.CAR(i)IL12TMコンストラクトを生成するために、終止コドンをp35サブユニットの端部のGD2.CAR(i)IL12から除去し、CD8aのスターク及び膜貫通ドメインを添加した。
【0108】
NKT細胞の単離、形質導入、及びインビトロ増殖。健康なボランティア血液ドナーからのバフィーコートを、Gulf Coast Regional Blood Center(Houston、Texas、USA)から購入した。末梢血液単核細胞(PBMC)を、Lymphoprep(Accurate Chemical and Scientific Corporation)密度勾配遠心分離によって単離した。NKTを、抗iNKTマイクロビーズ(Miltenyi Biotech)を使用してPBMCから精製した。NKTを、45%のClick培地(Irvine Scientific)、45%のRPMI 1640(Hyclone)、10%のFBS(Hyclone)、1%のL-グルタミン(glutammine)(Gibco)、及び1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)からなる完全培地中で培養した。NKTの選択に際して、陰性画分を、照射(40Gy)後に、α-ガラクトシルセラミド(αGalCer、100ng/mL、Diagnocine LLC)及びIL-2(200IU/mL、Stem Cell Factor)の存在下において10:1のPBMC:NKT比で、フィーダーとして使用した。NKTを、5日目にレトロネクチンコートプレートにおいて形質導入し、IL-2の存在下において10日間さらに増幅させ、次いで機能的アッセイのために使用した。
【0109】
免疫表現型分析:NKT細胞を、BD BiosciencesからのCD3(APC-H7、クローンSK7)、CD62L(BV605、クローンDREG-56)、CD4(PE-Cy7、クローンSK3)、CD8(Alexa Fluor、クローンRPA-T8 700)、及びCD45(APC)、ならびにMiltenyi BiotechからのIL-12(p70、APC)及びCD212(IL12R b2、APC)に対する抗体(Ab)により染色した。腫瘍細胞を、BD BiosciencesからのGD2(PE)及びCD276(B7-H3、BV421、クローン7-517)に対するAbにより染色した。NKTの純度を、TCR Va24鎖について特異的なPEコンジュゲートAb(抗iNKT、BD Biosciencesからのクローン6B11)またはTCRβ11鎖について特異的なAb(FITC、Beckman Coulter)により細胞を染色することによって査定した。形質導入されたNKT細胞におけるGD2.CAR発現を検出するために、14G2a.scFvについて特異的な1A7抗イディオタイプmAb及びPEまたはAPCコンジュゲートラット抗マウス二次mAbを使用した(BD Biosciences)。データ捕捉を、BD FACS-Divaソフトウェアを使用してBD FACSCanto IIまたはBD LSRFortessa上で遂行した。データ解析をFlowJoソフトウェアにより遂行した。
【0110】
ウエスタンブロット:タンパク質溶解物を、4%~15%のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動ゲル(SDS-PAGE、Bio-Rad)上で分離した。ポリフッ化ビニリデン膜(Bio-Rad)上へのタンパク質転写後に、膜を、TBS-T中の5%のスキムミルク中でブロッキングし、1%のミルクとTBS-T中で一次Ab及び二次Abによりインキュベーションした。以下のAb:Cell Signalingからのα-Stat4(C46B10、希釈1:1000)及びα-ホスホ-Stat4(Tyr693、希釈1:1000);Santa Cruzからのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートα-CD3ζ(希釈1:1000);Thermo ScientificからのHRPコンジュゲート二次Ab(ヤギ-α-ウサギ#32460、希釈1:500)を使用した。一次Abによるインキュベーションを4℃で一晩行った一方で、二次Abによるインキュベーションを室温で1時間行った。膜を、Clarity Max Western ECL Substarte(Bio-Rad)またはSuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(Thermo Scientific)によりゲルステーション(Bio-Rad)上で顕色させた。
【0111】
ELISA:NKT(5*105細胞/ウェル)を、抗CD3(1mg/mL、Miltenyi Biotech)及び抗CD28(1mg/mL、BD Biosciences)によりコーティングされた24ウェルプレート中で培養した。コーティングされていないウェルを、陰性対照として使用した。上清を、共培養の各々のサイクルから培養の24時間後に収集した。IFN-γ、IL-4、及びIL-12を、特異的なELISA(R&D System)を使用して測定した。
【0112】
反復共培養:NKT(2.5*105細胞/ウェル)を、サイトカインの非存在下において、24ウェルプレート中で1:1のE:T比でCHLA-225と共培養した(サイクルI)。3日目に、すべての細胞を、2.5*105の神経芽腫細胞により前播種した新たなウェルの中へ移した(サイクルII)。6日目に、すべての細胞を、2.5*105の神経芽腫細胞により前播種した新たなウェルの中へ移した(サイクルIII)。すべてのサイクルの終了時に、細胞を収集し、CD3またはTCRβ11及びGD2またはB7-H3のmAbについて染色して、NKT及び腫瘍細胞をそれぞれ検出した。培養中に残存する腫瘍細胞の数を、CountBright絶対計数ビーズ(Invitrogen)を使用して、フローサイトメトリーによって数えた。
【0113】
異種神経芽腫モデル:インビボでのNKTの存続を査定する実験において、メス及びオスのNSGマウス(7~9週齢、UNC Animal Coreから得た)に、尾部注射を介して5*106のFFluc標識のGFP NKTまたはIL12(i)GFP NKTを静脈内(i.v.)注射した。NKT存続性を、IVISキネティックインビボの画像化システム(PerkinElmer)を使用して、生物発光(BLI;合計のフラックス、光子/秒)によって7日間モニタリングした。マウスを10日目に安楽死させ、末梢血液を心臓及び脾臓から収集し、肝臓をセルストレーナー上で粉砕し、2mLのPBSにより洗浄した。末梢血液、脾臓、及び肝臓を分析して、NKTの存在[CD3(APC-H7、クローンSK7)及びCD45(APC、クローン2D1)に対するAbにより染色された]をフローサイトメトリーによって検出して、ヒトNKTのパーセンテージを数えた。NKTの抗腫瘍性活性をインビボで査定する実験において、メス及びオスのNSGマウス(7~9週齢、UNC Animal Coreから得た)に、尾部注射を介して2*106のFFluc標識CHLA-225細胞を静脈内(i.v.)注射した。腫瘍細胞注射の7日後に、マウスに、5*106のCAR.CD19(i)IL12、CAR.GD2、またはCAR.GD2(i)のIL12が形質導入されたNKTをi.v.注入した。神経芽腫腫瘍増殖を、IVISキネティックインビボの画像化システム(PerkinElmer)を使用して、生物発光(BLI;合計のフラックス、光子/秒)によって毎週モニタリングした。腫瘍増殖及び不快感の徴候のために、または実験を終了するために、あらかじめ決定したガイドラインに従ってマウスを屠殺した。マウスを安楽死させた場合に、末梢血液を心臓及び脾臓から収集し、肝臓をセルストレーナー上で粉砕し、2mLのPBSにより洗浄した。末梢血液、脾臓、及び肝臓を分析して、NKTの存在[CD3(APC-H7、クローンSK7)及びCD45(APC、クローン2D1)に対するAbにより染色された]をフローサイトメトリーによって検出して、ヒトNKTのパーセンテージを数えた。
【国際調査報告】