(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】医療用チューブおよび形成方法
(51)【国際特許分類】
B32B 1/08 20060101AFI20250204BHJP
F16L 11/04 20060101ALI20250204BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20250204BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20250204BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20250204BHJP
A61L 29/12 20060101ALI20250204BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20250204BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20250204BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20250204BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20250204BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
B32B1/08 B
F16L11/04
B32B27/30 Z
B32B27/28 101
B32B27/40
A61L29/12
A61L29/04 100
A61L29/06
A61L29/12 100
A61L29/14
A61M25/00 610
B32B27/32 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544771
(86)(22)【出願日】2023-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2023025506
(87)【国際公開番号】W WO2023244771
(87)【国際公開日】2023-12-21
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512116000
【氏名又は名称】テクニ-プレックス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】マクシェーン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ケニー,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ランデヘム,ロビン
【テーマコード(参考)】
3H111
4C081
4C267
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111BA34
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3H111CB14
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4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
1つの実施形態において、内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合した透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブ(10)であって、内層(3)はポリプロピレンを含み、外層(1)は熱可塑性ポリウレタンまたは環状オレフィンコポリマーを含み、中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は熱可塑性ポリウレタンを含み、かつ
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
【請求項2】
中間層(2)がエチレンエチルアクリレートコポリマーもしくはエチレンメチルアクリレートコポリマーもしくは無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマー、前記アクリレートの2種以上のコポリマーまたはそれらの2種以上の混合物を含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
中間層(2)がエチレン酢酸ビニルを含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、請求項1に記載のチューブ(10)。
【請求項5】
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントのエチルアクリレート含量を有するエチレンエチルアクリレートコポリマーを含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項6】
中間層(2)がエチレンメチルアクリレートコポリマーを90重量%より多く含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項7】
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントの酢酸ビニル含量を有するエチレン酢酸ビニルを含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項8】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーもしくはポリプロピレンコポリマーまたは前記ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーの混合物を90重量%より多く含み、外層(1)が90重量%より多くのポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項9】
ポリウレタン外層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、内側のポリプロピレン層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、中間層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)である、請求項1に記載のチューブ。
【請求項10】
内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて、中間層(2)から視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項11】
60℃で72時間水に浸されたときに視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項12】
チューブ(10)が、中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を通過させる経路であり、内層(3)が水性流体と接触する半径方向に内向きの壁面を有し、外層(1)および内層(3)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)からの層間剥離に抵抗し、チューブ(10)が60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項13】
内層(3)および外層(1)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項14】
外層(1)が芳香族ポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項15】
水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
請求項1に記載のチューブを通る流れを介して、1つまたは複数の選択された水性組成物をチューブを通じて対象に送達するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、透き通った外観を有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブの、それぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後に、層間剥離に対してチューブの完全性を維持し、透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは、内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものでありチューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることによって力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【請求項17】
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
チューブは、共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は環状オレフィンコポリマーを含み、
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ(10)。
【請求項18】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が環状オレフィンコポリマーを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、請求項17に記載のチューブ(10)。
【請求項19】
内層(3)および外層(1)が、20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、かつ60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項17に記載のチューブ。
【請求項20】
水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
請求項17に記載のチューブを通る流れを介して、1つまたは複数の選択された水性組成物をチューブを通じて対象に送達するステップ
とを含む、方法。
【請求項21】
水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、透き通った外観を有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択されるアクリレートコポリマーを含む第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブの、それぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後、層間剥離に対してチューブの完全性を維持し、その透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものであり、チューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることによって力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、医療用流体を患者に送達するためのポリマー性管材(tubing)および通例共押出プロセスにより行われる、各々の層が互いに引き続いて接着された同一または異なるポリマー材料の多くの層を有するかかる管材の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]ポリマー材料から構成される管材は医療分野を含む多くの産業および商業用途で使用される。所望の特性および意図された用途に応じて様々なFDAに準拠したプラスチック製品が使用される。ヒト患者のインビボの処置用に流体を輸送するために管材が使用される場合ポリマー材料の選択がある要因となることができる。
【0003】
[003]医療用流体と接触する最内層としてポリエチレン系ポリマーを用いる3層管材が使用されており、この最も内側のポリエチレン層は米国特許第10,646,704号に開示されたように接着剤の中央または中間の層を介してポリウレタンの最も外側の層に接合される。かかる管材構造はいくつかの利点を有しているが、典型的な医療処置用の水性流体と接触するポリエチレン管材層はインスリンおよびその他の薬剤の水性組成物のようなある種の一般に有用な医療用流体と負の相互作用をする可能性がある。
【0004】
[004]ポリ塩化ビニル(PVC)は最も広く使用されるプラスチック製品の1つである。構造上安定であり、所望の形状に容易に形成可能であるが、PVCは通例、PVCマトリックスから体液中に移動することができ、医療処置用途に理想的に適してはいない他の特性を有する可塑剤を用いて製作される。同様に、可塑化されたPVC管材の固有の属性に起因して、医療処置に使用される薬剤および水性流体のその他の成分がPVCチューブの側壁に吸収される可能性が生じる。ポリウレタンは潜在的にPVCの代用品である。しかしながら、ポリウレタンおよびポリエチレンから構成される二層管材は2つの層が低~中程度の応力、歪みまたは力学的操作条件の下で互いに接着されたままでいることができない。参照によりその開示内容が全体に記載されているかのように本明細書に組み込まれるSchmittの米国特許第4,627,844号は、Tekni-Plex, IncのNatvar Divisionにより商標「SUREPATH 151」で販売された市販品に具体化された三層チューブを開示する。Schmittに開示されたように、PVCの外層および内側の流体と接触する低密度ポリエチレン(LDPE)の層は中間のエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)のつなぎ層と共に共押出される。しかしながら、Schmittの内側のポリエチレン層はいくつかの医療用流体の成分に対して不活性であり得るかまたは干渉しない可能性があるが、ポリエチレンはインスリンを含有する多くの一般的な流体組成物のような他の医療用流体の成分とは逆の相互作用をする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]上述したように、ポリエチレン内層をもつ管材は長期間にわたり医薬成分と負の相互作用をする可能性がある。
[006]本発明によると、内層ポリマー材料としてポリプロピレンの選択は、成分の望まれない損失/医薬成分の吸収を防ぐことができ、薬剤懸濁液、化学療法薬およびインスリンのような水性流体をヒト対象に、またはヒト対象から送達する管材の通常の使用中製剤の完全性を保護することができる。
【0006】
[007]内側のポリプロピレン層および外側のポリウレタン層からなる二層管材は2つの層が互いに接着されたままでいることができない。
[008]本発明は、内層、外層、内層および外層を一緒に結合し、中程度の応力、歪みまたは力学的操作の下で多層構造の層間剥離を防ぐ真ん中の中間層に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[009]適当な中間層ポリマー材料の選択は多層構造の層間剥離を防ぎ、管材、管材および取り付け具の結合ならびに送達される製剤の完全性を保護する。
[0010]中間層のポリマー材料はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される。
【0008】
[0011]外層としての熱可塑性ポリウレタンは、可塑剤の存在のためにPVCが望まれない医療用管材に有益である。TPUはポストチューブ(post tube)製造作業および医療用デバイスの組み立て中取り付け具への確実な結合を提供する。あるいは、TPU外層が環状オレフィンコポリマーに代わられて、所望の性能特性をより低いコストで提供し得る。
【0009】
[0012]本発明の1つの実施形態における内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は熱可塑性ポリウレタンを含み、
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
【0010】
[0013]本発明の1つの実施形態において、中間層(2)はエチレンエチルアクリレートコポリマーもしくはエチレンメチルアクリレートコポリマーもしくは無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマー、前記アクリレートの2種以上のコポリマーまたは以上のものの2種以上の混合物を含む。
【0011】
[0014]本発明の1つの実施形態において、中間層(2)はエチレン酢酸ビニルを含む。
[0015]本発明の1つの実施形態において、内層(3)は90重量%より多くのポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを含み、外層(1)は90重量%より多くの芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタンを含み、中間層(2)は90重量%より多くのエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を含む。
【0012】
[0016]本発明の1つの実施形態において、中間層(2)は重量で少なくとも19.5パーセントのエチルアクリレート含量のエチレンエチルアクリレートコポリマーを含む。
[0017]本発明の1つの実施形態において、中間層(2)は90重量%より多くのエチレンメチルアクリレートコポリマーを含む。
【0013】
[0018]本発明の1つの実施形態において、中間層(2)は重量で少なくとも19.5パーセントの酢酸ビニル含量のエチレン酢酸ビニルを含む。
[0019]本発明の1つの実施形態において、内層(3)は90重量%より多くのポリプロピレンホモポリマーもしくはポリプロピレンコポリマーまたはホモポリマーおよびコポリマーの混合物を含み、外層(1)は90重量%より多くのポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを含む。
【0014】
[0020]本発明の1つの実施形態において、ポリウレタン外層の厚さは0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、内側のポリプロピレン層の厚さは0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、中間層の厚さは0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)である。
【0015】
[0021]本発明の1つの実施形態において、内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離しない。
[0022]本発明の1つの実施形態において、チューブ(10)は60℃で72時間水に浸されたとき視覚的に層間剥離しない。
【0016】
[0023]本発明の1つの実施形態において、チューブ(10)は、中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を通過させる経路であり、内層(3)は水性流体と接触する半径方向に内向きの壁面を有し、外側(1)および内側の(3)層は20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)からの層間剥離に抵抗し、チューブ(10)は60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない。
【0017】
[0024]本発明の1つの実施形態において、内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、チューブ(10)は60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない。
【0018】
[0025]本発明の1つの実施形態において、外層(1)は90重量%より多くの芳香族ポリエーテル系ポリウレタンを含み、チューブは60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない。
【0019】
[0026]本発明の1つの実施形態における水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
1つまたは複数の選択された水性組成物を、チューブを介してチューブを通る流れによって対象に送達するステップと、
を含む、方法。
【0020】
[0027]本発明の1つの実施形態における水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、視覚的清澄さを有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブのそれぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が少なくとも90重量%の第1のポリマー材料を含み、内層が少なくとも90重量%の第2のポリマー材料を含み、中間層が少なくとも90重量%の第3のポリマー材料を含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後、層間剥離に対するチューブの完全性を維持し、その透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものであり、チューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることにより力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【0021】
[0028]本発明の1つの実施形態における内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は環状オレフィンコポリマーを含み、
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
【0022】
[0029]本発明の1つの実施形態において、内層(3)は90重量%より多くのポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを含み、外層(1)は90重量%より多くの環状オレフィンコポリマーを含み、中間層(2)は90重量%より多くのエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を含む。
【0023】
[0030]本発明の1つの実施形態において、内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、チューブ(10)は60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない。
【0024】
[0031]本発明の1つの実施形態において、水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
チューブを通る流れを介して、1つまたは複数の選択された水性組成物を、チューブを通して対象に送達するステップと、
を含む、方法。
【0025】
[0032]本発明の1つの実施形態における水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、視覚的清澄さを有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択されるアクリレートコポリマーを含む第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブのそれぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後、層間剥離に対するチューブの完全性を維持し、その透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものであり、チューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることにより力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【0026】
[0033]図面は本発明の実施例により示される本発明の1つまたは複数の実施形態を描く。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】[0034]
図1は、管材の構造および配置をより良く示すために破断された外側および中間層を示す三層チューブの概略透視図である;
【
図2】[0035]
図2は、
図1に示されたチューブ10の2-2線に沿ってとられた断面図である。
【
図3】[0036]
図3は、Lloyd引張試験機を用いて引張試験に供された内層、中間層および外層を有するチューブの横断面の写真である。三層のチューブがチューブの高い張力の引っ張りまたは引き伸ばしに付されて、かけられた高い張力の下で1つの層が別の層を過ぎて引っ張るかどうか決定し、こうして中間層の内層および外層への接着の相対的な程度を示す。
【
図4】[0037]
図4は、本発明によるEMAC中間層を有する3M3Lチューブの1つの実施例(SR#2597)、比較の2M2L実施例(SR#2604)、および本発明によるEVA中間層を有する3M3Lチューブの2つのさらなる実施例(SR#2605およびSR#2606)の層厚さおよび組成を示すマトリックスまたはチャートである。
【
図5】[0038]
図5は、2つのサンプルチューブ、すなわち左側の本発明による3M3L SR#2597、および右側の比較2M2Lの側面写真であり、層分離を視覚的に示し、挟まれ10回回転された後セ氏60度の蒸留水中で3日エージングされた各チューブに対して顕微鏡で測定され(L、単位0.0254mm=1ミル(n=5))、ここで左側の本発明のサンプルは0.11049mm(4.350ミル)のL値を有していたが、これに対して右側の比較チューブは1.3120624mm(51.656ミル)のずっと大きいL値を有していた(2M2Lチューブに対してより大きい層分離のみ)。
【
図6】[0039]
図6は、
図4と同様に側面顕微鏡測定値(L、単位0.0254mm=1ミル)を示すマトリックスまたはチャートであり、SR#2597(本発明、3M3L、EMAC中間層をもつ)、SR#2604(2M2L、比較)、ならびにSr#2605およびSR#2606(本発明、3M3L、EVA中間層をもつ)の各々に対して5つのサンプルをリストし、5つのサンプルの各々のグループに対して平均L値を記載し、ここでも3M3Lサンプルが2M2Lサンプルに対してずっと低い層分離L値を有することを示した。
【
図7】[0040]
図7は、2つのサンプルチューブ、左の本発明による3M3L SR#2597、および右の比較2M2L SR#2604の200X顕微鏡断面図であり、挟まれ10回回転された後セ氏60度の蒸留水中で3日エージングされた各々のチューブに対する視覚の評価等級(1~5等級)と共に層分離を視覚的に示し、ここで左の本発明のサンプルは2.5の等級を有しており、右の比較チューブはずっと大きい4.75の等級値を有していた(より低い値が望まれる)。
【
図8】[0041]
図8は、
図6のように断面の視覚評価等級を示すマトリックスまたはチャートであり、SR#2597(本発明、3M3L、EMAC中間層をもつ)、SR#2604(2M2L、比較)、ならびにSr#2605およびSR#2606(本発明、3M3L、EVA中間層をもつ)の各々に対して5つのサンプルをリストし、5つのサンプルの各々のグループに対する平均等級値を記載し、ここでも3M3Lサンプルが2M2Lサンプルに対してずっと低い層分離L値を有することを示した。
【
図9】[0042]
図9は、1つの2M2L(SR#2604)および各々異なる中間層(EMAC SR#2597、EVA SR#2605およびEVA SR#2606)をもつ様々な3M3Lチューブに対する引張曲線を示すグラフであり、チューブはインスリンの送達用に設定され、応力(psi)は垂直軸、歪み(%)は水平軸であり、ここで3M3Lチューブはすべて2M2Lサンプルよりずっと低い層分離(スリービング(sleeving)ともいわれる)を示した。
【
図10】[0043]
図10は、
図8に示された様々なチューブ、すなわち2M2L(SR#2604)および3M3Lチューブ内に異なる中間層(EMAC SR#2597、EVA SR#2605およびEVA SR#2606)をもつ3M3Lチューブに対する様々な引張特性を示すマトリックスまたはチャートであり、3M3Lチューブはすべて2M2Lサンプルよりずっと良好な引張特性およびより低い層分離(スリービングともいわれる)を示した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0044]
図1には、少なくとも約90重量%のポリウレタン材料、通例、1つの例がLubrizol TPU Pellethane 2363-90AEであるポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンから構成される外層1を含む本発明による共押出された三層管材10の1つの実施形態が示される。外層は代わりにTopas E-140のような環状オレフィンコポリマー材料を含むことができる。
【0029】
[0045]
図1に示されるようにチューブは通例少なくとも約90重量%のIneos R01Cのようなポリプロピレン材料から構成される内側の流体と接触する層3および少なくとも約90重量%のエチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマー、前記アクリレートの2種以上のコポリマーまたはこれらのアクリレート系化合物もしくは組成物の2種以上の混合物から構成される中間結合層2を含む。適切なエチレンエチルアクリレートコポリマーの1つの例はDow Amplify EA 103(エチレンエチルアクリレートは約19.5重量%である)である。適切なエチレンメチルアクリレートコポリマーの例はWestlake MA SP2268(エチレンメチルアクリレートは約24重量%である)、Westlake MA SP2220(エチレンメチルアクリレートは約20重量%である)である。適切な無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマーの1つの例はWestlake Tymax GA 7001(無水物グラフト化エチレンメチルアクリレート)である。中間層は代わりにエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含むことができる。
【0030】
[0046]
図1に示されるように外層1は、中間層2の半径方向に外向きの面S2に結合し接着する半径方向に内向きの面S1を有する。同様に内層3は、中間層2の半径方向に内向きの面S3に結合し接着する半径方向に外向きの面S4を有する。中間層2は外層1および内層3と接着し、層1および3は、Lloyd LR5K Plus力学的試験機を約30.48cm(12インチ)/分の引張速度、約22.22℃(72°F)および約50%の相対湿度の周囲環境条件で用いて、軸方向の長さLが約5.08cm(2インチ)の管材10の長さをその軸Aに沿って引っ張ることにより測定されて、チューブ10が約20MPa以下の応力および約400%以下の歪みに付されたとき層2に、かつ互いに接着されたままであり、ここで管材10の破断点は約17-22MPaおよび約300~450%である。かかる管材10の層1、2、3は、60℃で36または72時間水への浸漬に付され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることにより力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない。
【0031】
[0047]
図1および2に示されるように、層1、2、3は中心の中空流路20を取り囲み包囲する構造的に安定な壁に形成され、水溶液はその中空流路20を経路として通過し、内層3の半径方向に内向きの面S5と接触しながら、軸A方向に流れる。中間層2は内層3および外層1と結合し、これらを一緒に保持する。
【0032】
[0048]内層3は半径方向に内向きの流体と接触する表面S5を提供し、内層3の厚さは通例約0.00254cm(0.001インチ)~約0.0635cm(0.025インチ)の断面厚さT1の範囲である。中間層2は通例約0.00254cm(0.001インチ)~約0.0635cm(0.025インチ)の断面厚さT2の範囲である。外層1は通例約0.00254cm(0.001インチ)~約0.0635cm(0.025インチ)の断面厚さT3の範囲である。
【0033】
[0049]ポリプロピレン材料は好ましくはプロペンおよびエテンのホモポリマーもしくはコポリマーまたは以上のものの混合物である。典型的なポリプロピレン材料はIneos R01Cである。
【0034】
[0050]ポリウレタンエラストマー(TPU)は通例ポリオールおよびイソシアネートの反応生成物であり、通常ハードおよびソフトセグメントドメインの組合せを含む。芳香族のポリエーテル系TPUまたは脂肪族のポリエーテル系TPU、例えばポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを使用することができる。好ましいTPUにはLubrizol Corporationから入手可能なPellethane 2363-80AEシリーズ、例えばLubrizol TPU Pellethane 2363-90AEおよびBASF 1190Aがある。
【0035】
[0051]管材10の各層のそれぞれの厚さはGeneral Cable Company, Clearwater, FlaのGenca Divisionにより製造される「Tri Die」押出装置のような利用される押出設備により制御されることができる。押出装置は3つの層1、2、3すべての軸方向長さLの実質的な全体に沿って層1、2、3の均一な厚さを提供するように選択される。
【0036】
[0052]層1、2、3が構成されるポリマー材料は透き通ったまたは透明な外観であり、かつ、管材の軸Aに沿ってその周りに手動で曲げられるように選択される。またポリマー材料は、エチレンオキサイド(EtO)およびガンマ線照射殺菌プロセスに付された後管材10の完全性(すなわち層間剥離が起きない)およびその透明性または清澄さを維持するように選択される。
【0037】
[0053]
図3は、ポリプロピレン内層、EMAC中間層および外層上のTPUまたはCOCの1つを有するチューブの横断面の写真である。左のチューブに関する写真はポリウレタン材料の外層、EMACの中間層およびポリプロピレン材料の内層を有する。Lloyd機器で引っ張る高い引張に付されたチューブの横断面から見ることができるように、3つの層は互いに実質的に接着されたままである。さらに
図3に示されるように、右のチューブは同じポリプロピレン内層材料および同じEMAC中間層材料を有するが、環状のオレフィンコポリマー(COC)材料から構成される外層を有する。示されるように、このチューブの3つの層は左のチューブと同様に実質的に互いに接着されたままでいる。
【0038】
[0054]本発明の様々な実施形態のさらなる試験が以下に記載され、
図4-10に図示される。以下に記載される3材料3層(3M3L)チューブに対する本発明によるサンプルおよび比較サンプルの2材料2層(2M2L)チューブの様々な材料および層構造が使用された:
材料:
・PP Flint Hills 23R2
・EMAC EMAC SP2268
・EVA Celanese 2604A
・EVA Celanese 2803A
・TPU Texin RXT90A
サンプル:
SR2604(2M2L)比較
PP Flint Hills 23R2
TPU Texin RXT90A
SR2597(3M3L)
PP Flint Hills 23R2
EMAC SP2268
TPU Texin RXT90A
SR2605(3M3L)
PP Flint Hills 23R2
EVA Celanese 2604A
TPU Texin RXT90A
SR2606(3M3L)
PP Flint Hills 23R2
EVA Celanese 2803A
TPU Texin RXT90A
[0055]
図4は本発明によるEMAC中間層を有する3M3Lチューブの1つの実施例(SR #2597)、比較の2M2L実施例(SR#2604)、および本発明によるEVA中間層を有する3M3Lチューブの2つのさらなる実施例(SR#2605およびSR #2606)の層厚さおよび組成を示すマトリックスまたはチャートである。
【0039】
[0056]
図5は、挟まれ10回回転された後セ氏60度の蒸留水中で3日エージングされた各々のチューブに対して顕微鏡で測定された層分離を視覚的に示す(L、単位0.0254mm=1ミル(n=5))、2つのサンプルチューブ、すなわち左の本発明による3M3L SR#2597、および右の比較の2M2Lの側面写真であり、左の本発明のサンプルは0.11049mm(4.350ミル)のL値を有していたが、これに対して右の比較のチューブは1.3120624mm(51.656ミル)のずっと大きいL値を有していた(2M2Lチューブに対して顕著に大きい層分離)。
【0040】
[0057]
図6は、
図4と同様に側面顕微鏡測定値(L、単位0.0254mm=1ミル)を示すマトリックスまたはチャートであり、SR#2597(本発明、3M3L、EMAC中間層をもつ)、SR#2604(2M2L、比較)、ならびにSR#2605およびSR#2606(本発明、3M3L、EVA中間層をもつ)の各々に対して5つのサンプルをリストし、各グループに対して5つのサンプルの平均のL値を記載し、ここでも3M3Lサンプルが2M2Lサンプルに対してずっと低い層分離L値を有することを示す。
【0041】
[0058]
図7は、2つのサンプルチューブ、すなわち左の本発明による3M3L SR#2597、および右の比較の2M2L SR#2604の200X顕微鏡断面図であり、挟まれ10回回転された後3日間セ氏60度の蒸留水中でエージングされた各々のチューブに対する視覚評価等級(1~5等級)と共に層分離を視覚的に示し、左の本発明のサンプルは2.5の等級を有し、右の比較のチューブはずっと大きい4.75の等級値を有していた(より低い値が望まれる)。
【0042】
[0059]
図8は
図6と同様に断面の視覚評価等級を示すマトリックスまたはチャートであり、SR#2597(本発明、3M3L、EMAC中間層をもつ)、SR#2604(2M2L、比較)、ならびにSr#2605およびSR#2606(本発明、3M3L、EVA中間層をもつ)の各々に対して5つのサンプルをリストし、5つのサンプルの各々のグループに対する平均等級値を記載しており、ここでも3M3Lサンプルが2M2Lサンプルに対してずっと低い層分離L値を有することを示す。
【0043】
[0060]
図9は1つの2M2L(SR#2604)および各々が異なる中間層をもつ様々な3M3Lチューブ(EMAC SR#2597、EVA SR#2605およびEVA SR#2606)に対する引張曲線を示すグラフであり、チューブはインスリンの送達用に設定され、応力(psi)は垂直軸、歪み(%)は水平軸であり、3M3Lチューブはすべて2M2Lサンプルよりずっと低い層分離(スリービングともいわれる)を示した。
【0044】
[0061]
図10は
図8に示された様々なチューブ、すなわち2M2L(SR#2604)および3M3Lチューブ内に異なる中間層をもつ3M3Lチューブ(EMAC SR#2597、EVA SR#2605およびEVA SR#2606)に対する様々な引張特性を示すマトリックスまたはチャートであり、3M3Lチューブはすべて2M2Lサンプルよりずっと良好な引張特性およびより低い層分離(スリービングともいわれる)を示した。
【0045】
[0062]様々な実施形態において、中間層は通例可動性成分の層および中心流路間またはそこからの移動に対して障壁として役立ち、ここで可動性の成分はモノマー、短鎖ポリマー、イオン、水、小さい有機分子、金属、可塑剤、および触媒を含む。
【0046】
[0063]様々な実施形態において、ポリマー材料の層は一緒に共押出されて、外層および内層が中間層に接着され、中間層に接着されることによって互いに接着されるように管材を形成する。管材は、管材の壁として機能するポリマー性の層により半径方向で取り囲まれ画定される中心の中空チャンネル、穴または通路と共に形成される。
【0047】
[0064]
図1、2を参照して、好ましくは外層1は厚さT3が約0.00254cm(0.001”)~約0.0635cm(0.025”)であり、内層3は厚さT1が約0.00254cm(0.001”)~約0.0635cm(0.025”)であり、中間層2は厚さT2が約0.00254cm(0.001”)~約0.0635cm(0.025”)である。層1、2、3は共同して、中心の流体流路20を取り囲んで画定する管状の壁を形成する。
【0048】
[0065]ポリマー材料は好ましくは「汚染物質を含まない」、すなわち、有意でない量より多くの潜在的に望まれない物質を含有しない(通例重量で約(aboutout)0.5%未満、好ましくは約0.2%未満)、および/または可塑剤、触媒、モノマー、金属、塩、イオンまたはその他人間にとって潜在的に望まれない物質のような望まれない物質が、インスリン、化学療法薬およびその他潜在的に不安定な水性の薬剤懸濁液のような水性流体をヒト対象に、またはヒト対象から送達する管材の通常の使用中に3つの層の1つまたは他が接触し得る水性の溶液または媒体中に浸出するかまたは漏れるのを防ぐ。外層および内層間の接着剤として機能し、かつこれらの層に接着することに加えて、中間層は相対的に低い~中程度の応力または歪みの条件下で外層および内層の中間層からの層間剥離を防ぐ。さらに、中間層は、汚染物質が外層から内層へ、または内層を通ってチューブの中空の中心の穴または通路に浸出するかまたは漏れるのに対する障壁として機能する。
【0049】
[0066]ポリプロピレン材料は通例ポリプロピレンホモポリマーおよびポリプロピレンコポリマーの1つまたは複数を含む。
[0067]エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)コポリマーおよび無水物グラフト化(grated)エチレンメチルアクリレート(AEMA)コポリマーはエラストマー性の性質を有し、優れた視覚的清澄さを有する。典型的な3M3L共押出プロセスにおいて、TPU、EVA、EEAもしくはEMAまたはAEMAおよびPPがダイヘッドを通って溶融押出されて管状形状の押出物を形成し、次いでこれが慣用の水浴または水真空タンクを通って冷却され、その後巻き取られるかまたは使用のための特定の長さに切断される。EVA、EEA、EMA AEMAまたはこれらのコポリマーの弾性および軟らかさのレベルは共重合プロセスにエチレンと共に利用される酢酸ビニル、エチルアクリレートまたはメチルアクリレートのコモノマーの量によって制御される。かかる共押出プロセスにより製造される三層チューブは、引張法でチューブの縦軸に沿って約20MPa以下の応力および約400%以下の歪みで引っ張られたかまたは引き伸ばされた後に元の形状および寸法近くまで戻り、また水に約60℃で約36時間浸された後に任意の層間にいかなる視覚的な層間剥離もないという点でモノリシック的に作用する。
【0050】
[0068]環状オレフィンコポリマーは通例:
環状モノマーとエテンの連鎖共重合、または
環状モノマーの開環メタセシス重合とそれに続く水素化
により生産される。
【0051】
[0069]環状オレフィンコポリマーは:
8,9,10-トリノルボルン-2-エンおよび1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレンの1つまたは複数から構成される環状モノマーとエテンとの連鎖共重合、または
環状モノマーの開環メタセシス重合とそれに続く水素化
により生産されることができる。
【0052】
[0070]以上の記載は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定しないことが意図され、当業者は、その等価物が上記記載により予期されること、ならびに変更および修正が本発明から逸脱することなくなされ得、すべてのかかる等価物、変更および修正が以下の特許請求の範囲の範囲内に入ることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は熱可塑性ポリウレタンを含み、かつ
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
【請求項2】
中間層(2)がエチレンエチルアクリレートコポリマーもしくはエチレンメチルアクリレートコポリマーもしくは無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマー、前記アクリレートの2種以上のコポリマーまたはそれらの2種以上の混合物を含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
中間層(2)がエチレン酢酸ビニルを含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、請求項1に記載のチューブ(10)。
【請求項5】
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントのエチルアクリレート含量を有するエチレンエチルアクリレートコポリマーを含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項6】
中間層(2)がエチレンメチルアクリレートコポリマーを90重量%より多く含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項7】
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントの酢酸ビニル含量を有するエチレン酢酸ビニルを含む、請求項4に記載のチューブ。
【請求項8】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーもしくはポリプロピレンコポリマーまたは前記ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーの混合物を90重量%より多く含み、外層(1)が90重量%より多くのポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを含む、請求項1に記載のチューブ。
【請求項9】
ポリウレタン外層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、内側のポリプロピレン層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、中間層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)である、請求項1に記載のチューブ。
【請求項10】
内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて、中間層(2)から視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項11】
60℃で72時間水に浸されたときに視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項12】
チューブ(10)が、中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を通過させる経路であり、内層(3)が水性流体と接触する半径方向に内向きの壁面を有し、外層(1)および内層(3)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)からの層間剥離に抵抗し、チューブ(10)が60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項13】
内層(3)および外層(1)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項14】
外層(1)が芳香族ポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項1に記載のチューブ。
【請求項15】
水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、透き通った外観を有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブの、それぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後に、層間剥離に対してチューブの完全性を維持し、透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは、内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものでありチューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることによって力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【請求項16】
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
チューブは、共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は環状オレフィンコポリマーを含み、
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ(10)。
【請求項17】
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が環状オレフィンコポリマーを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、請求項
16に記載のチューブ(10)。
【請求項18】
内層(3)および外層(1)が、20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、かつ60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、請求項
16に記載のチューブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
[0070]以上の記載は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定しないことが意図され、当業者は、その等価物が上記記載により予期されること、ならびに変更および修正が本発明から逸脱することなくなされ得、すべてのかかる等価物、変更および修正が以下の特許請求の範囲の範囲内に入ることを理解するであろう。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は熱可塑性ポリウレタンを含み、かつ
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ。
[項目2]
中間層(2)がエチレンエチルアクリレートコポリマーもしくはエチレンメチルアクリレートコポリマーもしくは無水物グラフト化エチレンメチルアクリレートコポリマー、前記アクリレートの2種以上のコポリマーまたはそれらの2種以上の混合物を含む、項目1に記載のチューブ。
[項目3]
中間層(2)がエチレン酢酸ビニルを含む、項目1に記載のチューブ。
[項目4]
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、項目1に記載のチューブ(10)。
[項目5]
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントのエチルアクリレート含量を有するエチレンエチルアクリレートコポリマーを含む、項目4に記載のチューブ。
[項目6]
中間層(2)がエチレンメチルアクリレートコポリマーを90重量%より多く含む、項目4に記載のチューブ。
[項目7]
中間層(2)が、少なくとも19.5重量パーセントの酢酸ビニル含量を有するエチレン酢酸ビニルを含む、項目4に記載のチューブ。
[項目8]
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーもしくはポリプロピレンコポリマーまたは前記ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーの混合物を90重量%より多く含み、外層(1)が90重量%より多くのポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを含む、項目1に記載のチューブ。
[項目9]
ポリウレタン外層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、内側のポリプロピレン層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)であり、中間層の厚さが0.0254~0.635mm(0.001~0.025インチ)である、項目1に記載のチューブ。
[項目10]
内層(3)および外層(1)は20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて、中間層(2)から視覚的に層間剥離しない、項目1に記載のチューブ。
[項目11]
60℃で72時間水に浸されたときに視覚的に層間剥離しない、項目1に記載のチューブ。
[項目12]
チューブ(10)が、中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を通過させる経路であり、内層(3)が水性流体と接触する半径方向に内向きの壁面を有し、外層(1)および内層(3)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)からの層間剥離に抵抗し、チューブ(10)が60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、項目1に記載のチューブ。
[項目13]
内層(3)および外層(1)が20MPa以下の応力および400%以下の歪みで中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、項目1に記載のチューブ。
[項目14]
外層(1)が芳香族ポリエーテル系ポリウレタンを90重量%より多く含み、60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、項目1に記載のチューブ。
[項目15]
水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
項目1に記載のチューブを通る流れを介して、1つまたは複数の選択された水性組成物をチューブを通じて対象に送達するステップと、
を含む、方法。
[項目16]
水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、透き通った外観を有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブの、それぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後に、層間剥離に対してチューブの完全性を維持し、透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは、内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものでありチューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることによって力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
[項目17]
内層(3)、中間層(2)および外層(1)を含む、対象への水性流体のインビボ輸送に適合したチューブ(10)であって、
チューブは、共押出プロセスにより形成され、内層(3)、中間層(2)および外層(1)は同心であり、内層(3)および外層(1)は中間層(2)に接着され、中間層(2)に接着されることによって互いに接着され、
内層(3)はポリプロピレンを含み、
外層(1)は環状オレフィンコポリマーを含み、
中間層(2)はエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択される、チューブ(10)。
[項目18]
内層(3)がポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンコポリマーを90重量%より多く含み、外層(1)が環状オレフィンコポリマーを90重量%より多く含み、中間層(2)がエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数を90重量%より多く含む、項目17に記載のチューブ(10)。
[項目19]
内層(3)および外層(1)が、20MPa以下の応力および400%以下の歪みにおいて中間層(2)から視覚的に層間剥離せず、かつ60℃で72時間水に浸された後に視覚的に層間剥離しない、項目17に記載のチューブ。
[項目20]
水性流体をインビボで送達する方法であって:
対象の状態の処置に有効な1つまたは複数の水性組成物を選択するステップであり、水性組成物は水性の薬剤懸濁液、化学療法薬を含む水性組成物およびインスリンを含む水性組成物の群から選択される、ステップと、
項目17に記載のチューブを通る流れを介して、1つまたは複数の選択された水性組成物をチューブを通じて対象に送達するステップ
とを含む、方法。
[項目21]
水性流体のインビボ輸送のための透き通ったまたは透明な外観であり、かつ手動で曲げられる医療用チューブを形成する方法であって、
特定の構造的安定性を有する芳香族または脂肪族のポリエーテル系ポリウレタン材料である第1のポリマー材料を選択するステップと;
水性流体に対して不活性なポリプロピレン材料である第2のポリマー材料を選択するステップと;
エラストマー性の性質を有し、透き通った外観を有し、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-アクリレート無水マレイン酸ターポリマー、エチレン-アクリレートメタクリル酸グリシジルターポリマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンの1つまたは複数から選択されるアクリレートコポリマーを含む第3のポリマー材料を選択するステップと、
選択された第1、第2および第3のポリマー材料を共押出して、医療用チューブの、それぞれ接着された外層、内層および中間層を、外層が第1のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、内層が第2のポリマー材料を少なくとも90重量%含み、中間層が第3のポリマー材料を少なくとも90重量%含む構成で形成するステップと
を含み、
材料は、エチレンオキサイドおよびガンマ線照射殺菌の1つまたは複数に供された後、層間剥離に対してチューブの完全性を維持し、その透き通ったまたは透明な外観を維持するように選択され、
医療用チューブは内層の半径方向に内向きの壁面により画定される中心の軸方向流体流路を有し、中心の軸方向流体流路は水性流体を輸送するものであり、チューブは60℃で72時間水に浸され、続いて通常の丸い断面状態からつぶされたまたは卵形の断面形状または状態に手動で押しつぶされることによって力学的に平たくされた後に視覚的に層間剥離しない、方法。
【国際調査報告】