(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】遺骨におけるリン還元によって得た触媒剤を活用した遺骨粉結晶体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20250206BHJP
C01B 25/32 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A47G33/00 Z
C01B25/32 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544900
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 KR2023000296
(87)【国際公開番号】W WO2023146154
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0011167
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524001938
【氏名又は名称】コ,ミ キョン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】コ,ミ キョン
(72)【発明者】
【氏名】ブ,セ ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ フン
(57)【要約】
本発明は、火葬した遺骨から抽出したリン酸を遺骨粉熱処理過程の触媒剤として活用して、単一個体に由来した遺骨成分のみで透明な遺骨粉結晶体を製造することができ、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比の調節などによって単一個体の遺骨のみを用いて結晶体内のリン含有量を調節することにより、遺骨粉結晶体の透明度を調節することができるため、需要者の審美的要求を満たし、各種宝石への活用も容易にする遺骨粉結晶体の製造方法を提供することを目的とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺骨粉と触媒剤とを混合して混合物を形成する混合ステップと、
前記混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップと、
前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップと、
前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップと、
前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップと、を含み、
前記混合ステップにおける触媒剤は、リン酸(H
3PO
4)であり、リン含有量を調節して、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節するようにすることを特徴とする、遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項2】
前記遺骨粉結晶体の製造方法は、
遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類する分類ステップと、
前記リン抽出遺骨粉からリン酸を取得するリン酸取得ステップと、をさらに含み、
前記混合ステップにおける触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項3】
前記リン酸取得ステップは、
前記リン抽出遺骨粉から五酸化リンを抽出し、抽出された五酸化リンを水に水和させてリン酸を取得することを特徴とする、請求項2に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項4】
前記混合ステップは、
前記原料遺骨粉と、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸とを混合して混合物を形成することを特徴とする、請求項2に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項5】
前記混合ステップは、
混合物の形成時に原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比率を調節して結晶体内のリン含有量を調節することにより、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節するようにすることを特徴とする、請求項4に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項6】
前記遺骨粉結晶体の製造方法は、
遺骨粉からリン酸を取得するリン酸取得ステップと、
前記リン酸取得ステップを行った後に残留する残留遺骨粉を回収する回収ステップと、をさらに含み、
前記混合ステップは、前記回収ステップで回収した前記残留遺骨粉と前記触媒剤としてのリン酸とを混合して混合物を形成することを特徴とする、請求項1に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項7】
前記混合ステップで前記残留遺骨粉と混合される前記触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項8】
前記遺骨粉結晶体の製造方法は、
前記残留遺骨粉の残留リン含有量を調節することにより、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節することを特徴とする、請求項7に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項9】
前記リン酸取得ステップは、
遺骨粉からリンを還元して抽出するリン還元ステップと、
抽出した前記リンを燃焼して酸化させることにより酸化物を形成する燃焼ステップと、
前記酸化物を水(H
2O)と反応させてリン酸を得る水和ステップと、を含むことを特徴とする、請求項8に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【請求項10】
前記熱処理過程は、
前記粉砕物を800~1250℃の温度で10分~2時間熱処理して溶融させることを特徴とする、請求項1に記載の遺骨粉結晶体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火葬した遺骨から抽出したリン酸を遺骨粉熱処理過程の触媒剤として活用して、単一個体に由来した遺骨成分のみで透明な遺骨粉結晶体を製造することができ、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比の調節などによって単一個体の遺骨のみを用いて結晶体内のリン含有量を調節することにより遺骨粉結晶体の透明度を調節することができるため、需要者の審美的要求を満たし且つ各種宝石への活用も容易にする遺骨粉結晶体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋葬は、従来から韓国で主な遺体安置方法として行われたが、このように造成された墓は一基当たり平均15平程度の面積を占有し、統計によると、韓国の場合、済州島の半分程度の大きさに相当する面積の土地が墓地として使用されていると言われる。また、このように造成された墓は、概ね離れた場所又は山の中に位置し、その管理が非常に厄介である。このような埋葬風習は、可用面積が狭く、土地の価値が持続的に増加する韓国の実情に合わないという点、現代社会が全般的に西欧化及び核家族化されて葬礼風習による社会的認識が多く変化したという点によって遠慮されており、火葬がこれを漸進的に代替する趨勢にある。一方、伴侶動物養育文化の発達により、伴侶動物が死ぬとまるで人間のように火葬して葬式を行う場合が持続的に増加している。
【0003】
一方、一般に、火葬後に残った遺骨は、粉砕して粉骨として納骨函に入れ、納骨函や石造物などで築造された野外納骨墓に保管する。このとき、遺骨は、高温で燃焼することにより、多量の微細洞空が発達された形態の多孔構造を形成するようになり、非常に強い吸着特性を有する。よって、保管中に周辺環境から湿気、異物、細菌などの吸収又は吸着が強く現れるため、遺骨の変質及び腐敗を引き起こして悪臭を発生させ、害虫の侵入により遺骨が毀損してしまうという問題点がある。
【0004】
かかる問題点を解決するために、遺骨粉を追加的に加工してその安定性を高めると同時に、審美的価値と保管性を付与して、亡者、又は死亡した伴侶動物の遺骨粉を保管することができるように、遺骨粉を舎利化又は宝石化する技術が提案されてきた。但し、従来の遺骨粉舎利化工程の場合、一般的にガス直火方式又はプラズマ方式を使用することが多いが、このような方式の場合は、1,800~2,200℃の高温を用いて遺骨粉が溶融するときに酸性化される特徴、及び高融点急冷体の特性を活用して砂利状の舎利を製作する。ところが、このような場合、直火方式による酸化、高い温度を使用する工程上の揮散作用による遺骨粉の消失が必然的に発生するだけでなく、舎利化以後にも変質する可能性が大きいという問題がある。また、従来の宝石化技術の場合、遺骨粉内の特定元素のみを抽出してルビー及びサファイアと混合して合成するか、或いは炭素を抽出して人造ダイヤモンドを作る工程法が提案されている。ところが、これは、外観において審美的機能性は遵守するとしても、全体の遺骨粉と比較してごく一部の元素のみを原料として用いるので、遺骨の保存を重視する同量の葬礼文化とは相当の距離があり、結局、該当技術の根元的な目的を達成することができないという問題が生じた。
【0005】
<特許文献>
韓国特許第10-1516149号公報(2015年5月4日公告)「バーナー型遺骨粉成形装置」
遺骨粉を熱処理して玉状の結晶体を生成する装置、及びこれを用いた結晶体の製造方法が開示されているが、1,800℃以上の高温で遺骨粉を熱処理することにより、揮散作用による遺骨粉の消失が発生するおそれがあるという問題があった。
【0006】
<特許文献>
韓国公開特許第10-2013-0082462号公報(2013年7月19日公開)「炭組成物を混合した火葬遺骨結晶体の保管方法」
防腐、脱臭、抗菌効果に優れた遺骨結晶体の製造方法が開示されているが、製造過程において炭、セラミックス、七宝石、トルマリンなどの物質などを相当量添加して遺骨結晶体内の遺骨粉含有量が少ないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許第10-1516149号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2013-0082462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、火葬した遺骨から抽出したリン酸を遺骨粉熱処理過程の触媒剤として活用して、単一個体に由来した遺骨成分のみで透明な遺骨粉結晶体を製造することができ、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比の調節などによって単一個体の遺骨のみを用いて結晶体内のリン含有量を調節することにより、遺骨粉結晶体の透明度を調節することができるため、需要者の審美的要求を満たし、各種宝石への活用も容易にする遺骨粉結晶体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する実施形態によって実現される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉と触媒剤とを混合して混合物を形成する混合ステップと、前記混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップと、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップと、前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップと、前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップと、を含み、前記混合ステップにおける触媒剤は、リン酸(H3PO4)であり、リン含有量を調節して、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節するようにすることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類する分類ステップと、前記リン抽出遺骨粉からリン酸を取得するリン酸取得ステップと、をさらに含み、前記混合ステップにおける触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸であることを特徴とする。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、前記リン酸取得ステップは、前記リン抽出遺骨粉から五酸化リンを抽出し、抽出された五酸化リンを水に水和させてリン酸を取得することを特徴とする。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、前記混合ステップは、前記原料遺骨粉と、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸とを混合して混合物を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、前記混合ステップは、混合物の形成時に原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比率を調節して結晶体内のリン含有量を調節することにより、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節するようにすることを特徴とする。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による遺骨粉結晶体の製造方法において、前記遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉からリン酸を取得するリン酸取得ステップと、前記リン酸取得ステップを行った後に残留する残留遺骨粉を回収する回収ステップと、をさらに含み、前記混合ステップは、前記回収ステップで回収した前記残留遺骨粉と前記触媒剤としてのリン酸とを混合して混合物を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、前記混合ステップで前記残留遺骨粉と混合される前記触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸であることを特徴とする。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による遺骨粉結晶体の製造方法は、前記残留遺骨粉の残留リン含有量を調節することにより、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を調節することを特徴とする。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、前記リン酸取得ステップは、遺骨粉からリンを還元して抽出するリン還元ステップと、抽出した前記リンを燃焼して酸化させることにより酸化物を形成する燃焼ステップと、前記酸化物を水(H2O)と反応させてリン酸を得る水和ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による遺骨粉結晶体の製造方法において、前記熱処理過程は、前記粉砕物を800~1250℃の温度で10分~2時間熱処理して溶融させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、先立って本実施形態と下記に説明する構成、結合、使用関係によって次の効果を得ることができる。
【0021】
本発明は、火葬した遺骨から抽出したリン酸を遺骨粉熱処理過程の触媒剤として活用して、単一個体に由来した遺骨成分のみで透明な遺骨粉結晶体を製造することができ、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の分類比の調節などによって単一個体の遺骨のみを用いて結晶体内のリン含有量を調節することにより遺骨粉結晶体の透明度を調節することができるため、需要者の審美的要求を満たし且つ各種宝石への活用も容易にする遺骨粉結晶体の製造方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法のステップ図である。
【
図2】本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法におけるリン酸取得ステップの詳細ステップを示すステップ図である。
【
図3】前記リン酸取得ステップを含む遺骨粉結晶体の製造方法の全体的なステップを示すステップ図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法のステップ図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法のステップ図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって製造された遺骨粉結晶体の写真である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって製造された遺骨粉結晶体の写真である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって製造された遺骨粉結晶体の写真である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって製造された遺骨粉結晶体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法を添付図面を参照して詳細に説明する。特に定義がない限り、本明細書のすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的意味と同一であり、もし本明細書に使用された用語の意味と衝突する場合には、本明細書に使用された定義に従う。なお、本発明の要旨を不要に乱すおそれのある公知の機能及び構成について詳細な説明は省略する。
【0024】
他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通的に理解できる意味で使用できる。また、一般的に使用される、辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されない限り、理想的に又は過度に解釈されない。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0025】
一方、遺骨粉とは、一般的に脊椎動物の死体から残留する骨成分を粉骨して得た物質を通称するが、本明細書における「遺骨粉」という用語は、故人、又は死んだ伴侶動物又は家畜などを火葬した後、残留した骨成分を粉骨して得た物質を意味するものと理解することが好ましい。
【0026】
本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法を
図1を参照して説明すると、本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉と触媒剤とを混合して混合物を形成する混合ステップ(S11)と、前記混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップ(S12)と、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップ(S13)と、前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップ(S14)と、前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップ(S15)と、を含むことを特徴とする。
【0027】
前記混合ステップ(S11)では、遺骨粉を触媒剤と均一に混合して混合物を形成するステップを意味し、前記混合物を形成するための混合方法は、特に制限なく適用でき、例えば、ボールミル、カッターミル、自動乳鉢、ビーズミル、ジェットミル、平板ミルなどの公知の機械的混合方法以外にも、手動でも容易に混合を行うことができる。より純粋な形態の混合物を形成するために、石英又はパイレックス(登録商標)などの耐化学特徴を有する素材を適用した混合器具を用いて混合することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0028】
前記触媒剤は、前記遺骨粉と混合されて遺骨自体の溶融温度よりも低い共融点を形成することができるなどの役割を果たすことができればいかなるものでもよく、好ましくは、シリコン化合物、ホウ素化合物、リン化合物、又はこれらの混合物からなることを意味し、さらに好ましくは、メタリン酸(HPO3)、ピロリン酸(H4P2O7)、リン酸(H3PO4)、これらのリン酸塩化合物、五酸化リン(P2O5)、又はこれらの混合からなる群のうちの1種以上から選択されるリン化合物であることを意味し、さらに好ましくは、前記触媒剤は、リン酸(H3PO4)であることを意味する。前記リン酸は、前記遺骨粉溶融過程において共融点を下げる融剤としての役割を果たすことができるとともに、その濃度が高くなると結晶化される性質を用いて遺骨粉内のリンを活性化することにより結晶体を形成するのにも密接な役割を果たすことができ、また、溶融過程において発生する主な問題点の一つである高温条件によって発生する揮散作用による遺骨粉の消失を防止する役割を果たすことができる。また、遺骨粉内のリン含有量に応じて、最終的に生成される結晶体の透明度が調節されるようにすることができる。
【0029】
前記混合ステップ(S11)において、前記触媒剤は、上述したようにリン酸であることを意味し、前記触媒剤としてのリン酸は、好ましくは、85%水溶液としてのリン酸を意味し、前記遺骨粉100重量部に対して、100~200重量部で混合されることを特徴とし、好ましくは、前記触媒剤は、前記遺骨粉100重量部に対して100~180重量部で混合され、より好ましくは、前記触媒剤は、前記遺骨粉100重量部に対して160重量部で混合される。前記触媒剤が前記遺骨粉100重量部に対して100重量部以下で混合される場合には、遺骨粉が十分に溶融しないため結晶体が形成されないという問題点が発生し、200重量部以上で混合される場合には、リンの過度な含有量により追っての熱処理過程において溶融モールドの外部に溶融物が噴出するか、或いは結晶化させた後に溶融モールドとの離型性が確保されず、最終的に得られる結晶体の形態が通常の形態とは異なり平面の形態を有することにより、審美的な機能性も低下するという問題点が発生する。一方、前記混合ステップ(S11)で、前記遺骨粉と前記触媒剤とのさらに円滑な反応のために、前記遺骨粉100重量部に対して20~60重量部の蒸留水をさらに添加することができる。
【0030】
前記乾燥ステップ(S12)では、前記混合ステップ(S11)で形成された均一な混合物を高温条件の下で、好ましくは、前記混合物を300~600℃の温度で乾燥させて乾燥物を形成するが、前記混合物の量及び混合物の状態などによって前記乾燥温度又は乾燥時間などを適切に設定して乾燥を行うことが好ましい。前記乾燥が足りなく行われるか或いは必要以上に過度に行われる場合、追って生成される結晶体の形状や透明度に影響を与える可能性がある。
【0031】
前記小分けステップ(S13)では、前記乾燥ステップ(S12)で形成された乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する。前記乾燥ステップ(S12)で乾燥が完了した前記乾燥物は、セメントのように固く固まった形態で存在するので、その溶融のためには、小分けして小さなサイズの粉砕物を得なければならない。前記小分けステップ(S13)で使用される粉砕方法としては、公知の多様な粉砕方法を使用することができるが、その粉砕による粉砕物の消失を最小化するために、ディスクミル、ボールミル又はカッターミルの中から選択された一つ以上の方法を用いることが好ましい。形成された前記粉砕物の大きさは、80~120meshの大きさを有することが好ましく、さらに好ましくは100meshの大きさを有する。
【0032】
前記熱処理ステップ(S14)では、前記小分けステップ(S13)で形成された粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する。前記熱処理過程は、準備された溶融モールドに前記粉砕物を仕込んだ後、熱処理を介して前記粉砕物を溶融させる。製作された結晶体の形態は、前記溶融モールドの形態によって異なるので、前記溶融モールドの形態は、製作しようとする結晶体の形態に合わせて任意に選択することができ、前記溶融モールド素材としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト(Mullite)又は石英よりなる群から1種又は1種以上が選択されることを特徴とするセラミック類素材、白金又はニッケルなどの鋳型金属として頻繁に用いられる金属から1種又は1種以上が選択されることを特徴とする金属素材、又はグラファイト(Graphite)であることが好ましく、結晶体の形状形成及び溶融モールドからの結晶体の円滑な分離のために、前記溶融モールドの素材はグラファイトであることがさらに好ましい。
【0033】
前記熱処理過程で使用される熱処理方式は、通常使用される熱処理方式であればいかなる方式でも特に限定されないが、経済性、取り扱い容易性、及び装備の価格的な面で一般的な電気炉を用いた熱処理方式を採用することが好ましい。
【0034】
前記熱処理過程では、前記粉砕物を前記電気炉内で800~1250℃の温度条件下、10分~2時間溶融させることが好ましい。前記熱処理温度が800℃より低い場合、前記粉砕物を十分に溶融させることができず、結晶体の効果的な製造が難しく、前記熱処理温度が1250℃よりも高い場合、前記粉砕物の溶融は比較的効果的に達成されるが、必要以上のエネルギーを使用することにより発生する費用増加の問題点と共に、過度な温度により高温用特殊装備を別途に採用しなければならないという問題点が発生する。また、前記熱処理温度の条件下で前記熱処理時間が10分未満である場合も、前記粉砕物を十分に溶融させることができず、結晶体の効果的な製造が難しい問題が発生し、前記熱処理時間が2時間を超過する場合も、必要以上のエネルギーを使用することにより発生する問題点と共に、溶融モールドが過度に酸化されることにより最終結晶体の品質が低下するという問題点が発生する。前記熱処理時間は、製造される結晶体の大きさや形状に応じて前記時間範囲内で適宜選択されることが好ましい。
【0035】
前記熱処理過程についてより具体的に説明すると、溶融させようとする前記粉砕物を、前記電気炉内の温度が700~900℃であるときに仕込み、前記熱処理温度範囲内で既に設定した目的温度まで昇温を行った後、目標の結晶体の大きさ及び形状に応じて、前記目的温度を前記熱処理時間範囲内で既設定の時間維持することにより前記熱処理過程を行うようにする。
【0036】
前記結晶化ステップ(S15)では、前記熱処理ステップ(S14)で熱処理過程を経た前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する。前記熱処理過程が終了すると、前記電気炉内の温度を下降させ、減温を介して放出温度に到達すれば、前記溶融モールドを電気炉の外部に放出する。約750℃以下の低い温度で前記溶融モールドを電気炉の外部に放出する場合、結晶体において陶磁気化現象が発生する問題点があるので、前記放出温度は、750~950℃、好ましくは800~900℃であることを特徴とする。
【0037】
本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、前記結晶化ステップ(S15)後に分離洗浄ステップ(図示せず)をさらに含むことができる。前記分離洗浄ステップは、前記電気炉から放出した前記溶融モールドをさらに冷却させた後、前記結晶体を分離し、前記結晶体の表面に存在する溶融モールド粉などの異物を除去する過程を行うことを特徴とする。このとき、前記溶融モールドの温度が100℃以上を維持する状態で前記結晶体の分離を行う場合、前記結晶体の形状が歪むという問題点が発生するとともに、洗浄過程において割れなどの現象を誘発するおそれがあるので、前記溶融モールドの温度が10~100℃の温度範囲を維持する状態で前記結晶体を前記溶融モールドから分離することが好ましい。前記洗浄方法は、いかなる方法でも特に制限されないが、前記結晶体の形状維持及び傷などの発生を最小限に抑えるために超音波を用いた洗浄が好ましい。
【0038】
以下、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法におけるリン酸取得ステップ(S2)を
図2及び
図3を参照して説明する。本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法におけるリン酸取得ステップ(S2)は、遺骨粉からリンを還元して抽出するリン還元ステップ(S21)、抽出した前記リンを燃焼して酸化させることにより酸化物を形成する燃焼ステップ(S22)、及び前記酸化物を水と反応させてリン酸を得る水和ステップ(S23)を含むことを特徴とする。
【0039】
遺骨は、種によって一部異なる部分があるが、一般的に、55.82%の酸化カルシウム(CaO)、42.39%の五酸化リン(P2O5)、及び1.79%の水からなる組成を有することが知られている。リン(P)の原子量は30.9738g/molであるので、これに基づいて計算すると、遺骨におけるリン含有量は、全体重量に対して約25~30%を占める。したがって、遺骨は、それ自体で立派なリンの取得元になることができ、現在一般的に行われる燐光石からのリン化合物取得方式と比較しても、取得したリン化合物の品質が全く劣らない。よって、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉自体からリン酸を取得するリン酸取得ステップ(S2)をさらに含むことにより、その製造コストの低減を図ることができる。
【0040】
前記リン還元ステップ(S21)は、遺骨粉からリンを抽出するステップであって、前記抽出方法は、従来の公知の多様な方法の抽出方法であればいかなる方法でも特に制限されないが、好ましくは、加熱による酸化を最小限に抑えるために、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気、又は窒素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素ガスなどの還元雰囲気下で前記ガス雰囲気を自由に造成することが可能な形態のチューブ型電気炉を活用して遺骨粉からリンを還元及び抽出することを特徴とする。
【0041】
前記燃焼ステップ(S22)では、前記リン還元ステップ(S21)で抽出した前記リンを燃焼して酸化させることにより酸化物を形成する。前記酸化物は、リンが酸化された多様な形態の化合物を通称するが、好ましくは、五酸化リン(P2O5)を意味する。リンは、燃焼すれば酸化されて一般的に五酸化リン(P2O5)を形成し、その反応式は、次の通りである。
【0042】
[反応式1]
P4+5O2→2P2O5
前記燃焼ステップ(S22)における燃焼過程を行うための方法としては、公知の燃焼方法であればいかなる方法でも特に制限されない。
【0043】
前記水和ステップ(S23)では、前記燃焼ステップ(S22)で形成された前記酸化物を水と反応させてリン酸を取得する。前記酸化物は、上述したように、好ましくは五酸化リンであることを特徴とし、五酸化リンは、水と反応するとリン酸を形成するが、その反応式は、次の通りである。
【0044】
[反応式2]
P2O5+3H2O→2H3PO4
したがって、前記リン酸取得ステップ(S2)を含む遺骨粉結晶体の製造方法を、時系列的な方法を介してより具体的に説明すると、前記リン還元ステップ(S21)、前記燃焼ステップ(S22)及び前記水和ステップ(S23)を含む前記リン酸取得ステップ(S2)を介してリン酸を取得し、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸を遺骨粉と混合する混合ステップ(S11)、前記混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップ(S12)、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップ(S13)、前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップ(S14)、及び前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップ(S15)を含む方法によって遺骨粉結晶体を製造することを特徴とする。前記混合ステップ(S11)、乾燥ステップ(S12)、小分けステップ(S13)、熱処理ステップ(S14)及び結晶化ステップ(S15)についての詳細な説明は、上述した通りであるので、以下では省略する。
【0045】
以下、本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法を
図4を参照して説明する。本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類する分類ステップ(S3)と、前記リン抽出遺骨粉からリン酸を取得するリン酸取得ステップ(S2)と、をさらに含み、前記混合ステップにおける触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップで取得したリン酸であることを特徴とする。さらに、前記混合ステップは、前記原料遺骨粉と前記リン酸取得ステップで取得したリン酸とを混合して第2混合物を形成することを特徴とする。
【0046】
前記分類ステップ(S3)では、上述した本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造工程に先立ち、遺骨粉結晶体を製造しようとする遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類する。前記原料遺骨粉は、前記分類ステップ(S3)以後の前記混合ステップ(S11)で混合対象となる前記遺骨粉として使用されるための目的で分類しておく遺骨粉を意味し、前記分類後に前記混合ステップ(S11)で使用される前まで適切に保管されることが好ましく、前記保管方法は、前記遺骨粉の物性又は化学的性質などに影響を及ぼさない保管方法に該当すれば、いかなる方法でも特に制限されない。一方、前記リン抽出遺骨粉は、前記リン酸取得ステップ(S2)で前記リン酸を取得するために投入される遺骨粉として使用されるための目的で分類しておく遺骨粉を意味し、前記リン抽出遺骨粉を還元させ、燃焼及び水化させる過程を介して前記リン抽出遺骨粉から前記リン酸を取得する方法についての詳細な説明は、上述した通りであるので省略する。一方、前記第2混合物は、上述したように、前記混合ステップ(S11)において、前記原料遺骨粉と前記リン酸取得ステップ(S2)で取得したリン酸とを混合した混合物を意味する。
【0047】
一方、遺骨粉から得られるリン酸の質量は、投入された遺骨粉の質量とほぼ同じである。これは、 全体重量に対して、上述したように遺骨におけるリン含有量が約25~30%を占め、リンの原子量は上述したように30.9738g/mol、酸素(O)の原子量は15.999g/mol、水素(H)の原子量は1.008g/molに該当し、一つのリン酸分子の場合、水素原子が3個、酸素原子が4個、リン原子が1個含まれているという点で、前記リン、酸素及び水素の原子量を勘案すると、結局、一つのリン酸分子においてリンが占める質量パーセント(%)は約31.6%になるので、これを総合して計算すると、最終的に得られるリン酸の質量が、投入された遺骨粉の質量とほぼ同じ値を有することに起因する。したがって、このような点に基づいて、上述したように、本発明に係る遺骨粉結晶体の製造方法において、混合ステップ(S11)での好ましい配合比が、遺骨粉100重量部に対して触媒剤100~200重量部、さらに好ましくは遺骨粉100重量部に対して触媒剤100~180重量部、さらに好ましくは遺骨粉100重量部に対して触媒剤160重量部に該当するので、前記原料遺骨粉と前記リン抽出遺骨粉の分類比率も、上述した重量部の割合に従うことが好ましい。
【0048】
したがって、本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法を時系列的な方法によってより具体的に説明すると、まず、前記分類ステップ(S3)を介して遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類し、前記リン抽出遺骨粉を用いて前記リン酸取得ステップ(S2)を行うことにより前記リン酸を取得した後、取得した前記リン酸と前記原料遺骨粉とを混合して第2混合物を形成する混合ステップ(S11)と、前記第2混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップ(S12)と、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップ(S13)と、前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップ(S14)と、前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップ(S15)と、を含む方法によって、最終的に透明な遺骨粉結晶体を製造することを特徴とする。前記リン酸取得ステップ(S2)、乾燥ステップ(S12)、小分けステップ(S13)、熱処理ステップ(S14)及び結晶化ステップ(S15)についての詳細な説明は、上述した通りである。よって、以下では省略することとし、前記混合ステップ(S11)の場合、前記原料遺骨粉と前記リン酸取得ステップ(S2)を介して得られた前記リン酸とを混合して第2混合物を形成するという点で、上述したのと差異があるが、前記第2混合物を形成する詳しい混合方法については、上述した混合方法とは差異がないため、これも、以下では省略することとする。
【0049】
本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉結晶体を製造する上で遺骨粉を原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉に分類した後、前記リン抽出遺骨粉から抽出したリン酸を前記原料遺骨粉と混合して遺骨粉結晶体を製造することができるため、別途の物質を添加することなく、単一個体に由来した遺骨のままのみを活用して、透明な遺骨粉結晶体を製造することができるため、遺骨粉結晶体を形成して故人、死んだ伴侶動物又は家畜を記念し、その遺骨を保存しようとする遺族又は保護者の根元的な意図と要求を満たすうえ、その審美的価値にも優れた遺骨粉結晶体を製造することができるという点にその特徴があるといえる。このとき、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の比率を調節して、結晶体内に存在するリンの含有量を調節するようにすることができ、リンの含有量が調節される場合、透明な最終結晶体の透明度を自由に調節するようにすることができ、これにより、需要者が所望する透明度を正確に実現して提供するようにすることができる。例えば、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の比率を調節して、結晶体内に存在するリンの含有量が約30~40%となるようにする場合、不透明な結晶体を得ることができ、約40~50%となるようにする場合、半透明な結晶体を得ることができ、約50~60%となるようにする場合、完全透明な結晶体を得ることができる。
図6及び
図7は、原料遺骨粉とリン抽出遺骨粉の比率を調節して、結晶体内に存在するリンの含有量が異なる、本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって製造された結晶体の写真であるが、これらの結晶体のXRF-EDで成分分析した結果、
図6に示された半透明な結晶体のリン含有量は48%であり、
図7に示された完全透明な結晶体のリン含有量は53%であった。これにより、透明な結晶体であるほど、リン含有量が高いことが分かる。
【0050】
以下では、本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法を
図5を参照して説明する。本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、前記リン酸取得ステップ(S2)を行った後、残留する残留遺骨粉を回収する回収ステップ(S4)をさらに含むことができ、前記混合ステップ(S11)は、前記回収ステップ(S4)で回収した前記残留遺骨粉と前記触媒剤としてのリン酸とを混合して第3混合物を形成することを特徴とし、好ましくは、前記混合ステップ(S11)で前記残留遺骨粉と混合される前記触媒剤としてのリン酸は、前記リン酸取得ステップ(S2)で取得したリン酸であることを特徴とする。
【0051】
前記回収ステップ(S4)では、前記リン酸取得ステップ(S2)を経てリン成分が抽出されて残存する残留遺骨粉を回収する。一方、前記第3混合物は、上述したように、前記混合ステップ(S11)において、前記残留遺骨粉と前記触媒剤としてのリン酸又は前記リン酸取得ステップ(S2)で取得したリン酸とを混合した混合物を意味する。
【0052】
したがって、本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法を時系列的な方法によってより具体的に説明すると、まず、遺骨粉を用いて前記リン酸取得ステップ(S2)を行うことにより前記リン酸を取得し、回収ステップ(S4)を行って前記リン酸取得ステップ(S2)を介してリン成分が抽出されて残存する前記残留遺骨粉を回収した後、回収した前記残留遺骨粉を、前記リン酸取得ステップ(S2)で取得した前記リン酸と混合して第3混合物を形成する混合ステップ(S11)と、前記混合物を乾燥させて乾燥物を形成する乾燥ステップ(S12)と、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を形成する小分けステップ(S13)と、前記粉砕物を熱処理過程を介して溶融させて溶融物を形成する熱処理ステップ(S14)と、前記溶融物を冷却させて結晶体を形成する結晶化ステップ(S15)と、を含む方法によって、最終的に不透明な遺骨粉結晶体を製造することを特徴とする。前記リン酸取得ステップ(S2)、乾燥ステップ(S12)、小分けステップ(S13)、熱処理ステップ(S14)及び結晶化ステップ(S15)についての詳細な説明は、前述した通りであるので、以下では省略することとする。前記混合ステップ(S11)の場合、前記残留遺骨粉と、前記触媒剤としてのリン酸又は前記リン酸取得ステップ(S2)を介して得られたリン酸とを混合して第3混合物を形成するという点で、上述したのと差異があるが、前記第3混合物は、上述した本発明の一実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法又は本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法における混合ステップで形成される前記混合物、前記第2混合物と構成成分などにおいてのみ差異があるだけであり、混合物を形成する詳しい混合方法については、上述した混合方法とは差異がないので、これも以下では省略することとする。
【0053】
本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法は、遺骨粉結晶体を製造する上で遺骨粉全体からリン酸を抽出した後、抽出した前記リン酸を残留した遺骨粉全体と再び混合して遺骨粉結晶体を製造することができるため、別途の物質を添加することなく、単一個体に由来した遺骨のままのみを活用して、不透明な遺骨粉結晶体を製造することができるため、遺骨粉結晶体を形成して故人、死んだ伴侶動物又は家畜を記念し、その遺骨を保存しようとする遺族又は保護者の根元的な意図と要求を満たすうえ、その審美的価値にも優れた遺骨粉結晶体を製造することができるという点にその特徴がある。
【0054】
一方、本発明の別の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法によって、リン成分が抽出されて残存する残留遺骨粉を活用して製造した遺骨粉結晶体は、リン成分が抽出されていない遺骨粉を活用して製造した遺骨粉結晶体とは異なり、不透明な形態を有する。これは、遺骨の組成が上述した本発明の他の実施形態に係る遺骨粉結晶体の製造方法の詳細な説明で説明したような組成を有するので、リン成分が抽出されて残存する前記残留遺骨粉は、概ねカルシウム、酸素及び水素の組成のみを有するため、これを用いて前記混合ステップ(S11)で形成される第3混合物は、前記混合物又は第2混合物に比べてリンの含有量が少なくなるので、結局、最終的に形成される遺骨粉結晶体に含有されるリン成分の含有量が、上述した本発明の一実施形態又は他の実施形態に係る製造方法などによって製造された遺骨粉結晶体に比べて相対的に少ないことに起因すると見られる。
【0055】
したがって、前記残留遺骨粉の残留リン含有量を調節することにより、最終的に生成される遺骨粉結晶体の透明度を自由に調節することができる。前記リン酸取得ステップ(S2)において、リン成分は、前記リン還元ステップ(S21)を介して遺骨粉から還元される。よって、前記リン還元ステップ(S21)におけるリン還元過程を調節して前記残留遺骨粉の残留リン含有量を調節することにより、最終的に形成される遺骨粉結晶体の透明度を自由に実現することができる。前記残留遺骨粉の残留リン含有量の調節方法は、既存の公知の多様な方法の抽出方法で利用できる還元過程の調節方法に該当すれば、いかなる方法でも特に制限されず、上述したように不活性雰囲気又は還元雰囲気を自由に造成可能な形態のチューブ型電気炉を活用して前記リン還元ステップ(S21)を行う場合、前記還元雰囲気の造成に投入される還元ガスの量を調整するか、或いは遺骨粉を電気炉内で還元させる過程の時間を調整するか、或いは電気炉の内部温度を調整するなどの方法で前記残留遺骨粉の残留リン含有量を調節することができる。
【0056】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。ところが、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
【0057】
<実施例1>
火葬後に粉骨して得た豚遺骨粉100g当たり市中で流通中の85%リン酸水溶液100mLを2分間1000RPMで高速攪拌して混合物を形成した後、形成された混合物を450℃の温度で20分間乾燥させて乾燥物を形成し、これを100Meshの大きさに粉砕した後、溶融モールドに仕込んだ。前記溶融モールドを温度700℃の電気炉に仕込んだ後、1000℃の温度まで1時間にわたって昇温させ、前記温度で20分間熱処理した後、電気炉を800℃の温度まで減温させ、しかる後に、室温まで自然冷却させ、冷却させた溶融モールドにおいて玉状の結晶体を分離させた後、超音波で洗浄して玉状の透明な結晶体を得た。
【0058】
<実施例2>
1.火葬後に粉骨して得た豚遺骨粉200gを原料遺骨粉85g及びリン抽出遺骨粉115gに分類した後、前記リン抽出遺骨粉115gを温度1,350℃の電気炉に仕込み、窒素及び水素ガスを仕込んだ後、還元を行った。これにより取得したリンを燃焼させた後、流れる水と反応させて約110gの液状のリン酸を得、前記液状のリン酸に蒸留水を25g仕込んで約135gの85%リン酸水溶液を得た。前記リン酸取得過程で還元した後、電気炉に残された残留遺骨粉は、別途分離して保管した。
【0059】
2.豚遺骨粉の代わりに、実施例2の1で別途分類した原料遺骨粉を使用し、市中で流通中のリン酸水溶液の代わりに、実施例2の1で得たリン酸水溶液を使用した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、
図8の透明な玉状の単結晶剤1を得た。
【0060】
<実施例3>
豚遺骨粉の代わりに、実施例2の1で別途分離して保管された残留遺骨粉を使用し、市中で流通中のリン酸水溶液の代わりに、実施例2の1で得たリン酸水溶液を使用した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、
図9の不透明な玉状の単結晶剤2を得た。
【0061】
<比較例1>
リン酸水溶液と豚遺骨粉との混合過程なしに直ちに豚遺骨粉のみを乾燥させながら工程を開始した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、結晶体の製造を試みたが、粉砕物の溶融がきちんと起こらず、最終的に玉状の遺骨粉結晶体が得られなかった。
【0062】
<比較例2>
リン酸水溶液100mLの代わりに50mLのみ使用した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、結晶体の製造を試みたが、この場合、粉砕物の溶融がきちんと起こらず、最終的に玉状の遺骨粉結晶体が得られなかった。
【0063】
<比較例3>
リン酸水溶液100mLの代わりに150mLのみを使用した以外は、他の条件を実施例1と同様にして、結晶体の製造を試みたが、この場合、結晶体が溶融モールドからきちんと分離されず、最終的に玉状の遺骨粉結晶体が得られなかった。
【0064】
<比較例4>
実施例1とは異なり、熱処理を750℃の温度で30分間行った以外は、他の条件を実施例1と同様にして、結晶体の製造を試みたが、この場合、粉砕物の溶融がきちんと起こらず、最終的に玉状の遺骨粉結晶体が得られなかった。
【0065】
以上、出願人は、本発明の多様な実施例を説明したが、これらの実施例は、本発明の技術的思想を実現する一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を実現する限り、いかなる変更例又は修正例も本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】