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特表2025-504673シングルイベント効果の検出及び応答を伴うネットワーク物理層トランシーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】シングルイベント効果の検出及び応答を伴うネットワーク物理層トランシーバ
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/10 20060101AFI20250206BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G06F11/10
H04L25/02 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544932
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 US2023011812
(87)【国際公開番号】W WO2023147099
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】17/587,241
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】グリート ゴヴィンド モディ
(72)【発明者】
【氏名】スマントラ セス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクラム シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】シャンカール ラマクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ラグフ ガネサン
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029KK01
5K029KK21
(57)【要約】
物理層トランシーバ(106)と物理層トランシーバを含むネットワークノード。トランシーバは、媒体非依存インターフェース(200)と、ネットワーク通信媒体を介して送信するためにデジタル信号からアナログ信号に変換するように及び媒体を介して受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するよう構成される回路要素(214)を含むコンバータ回路ブロック(210)と、媒体非依存インターフェースとコンバータ回路ブロックとの間で通信されるデジタルデータをネットワークプロトコルに従って処理するよう構成される一つ又は複数の処理ブロック(202A、202B、202C)とを含む。電力管理回路要素及びリセット回路要素を含む管理及び制御回路要素(220)が提供される。トランシーバは、トランシーバにおけるSEEイベントを検出し、これに応答するように構成される環境モニタ(242)、構成レジスタモニタ(244)、状態機械モニタ(246)、又は位相ロックループ(PEL)ロックモニタ(250)など、少なくとも1つのシングルイベント効果(SEE)モニタ(240)を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理層トランシーバであって、
媒体非依存インターフェースと、
コンバータ回路ブロックであって、ネットワーク通信媒体を介した送信のためにデジタル信号からアナログ信号へと変換するように、及び、前記ネットワーク通信媒体を介して受信したアナログ信号をデジタル信号へと変換するように構成された回路要素を含む、前記コンバータ回路ブロックと、
前記コンバータ回路ブロックに結合される少なくとも1つの処理ブロックであって、ネットワークプロトコルに従って、前記媒体非依存インターフェースと前記コンバータ回路ブロックとの間で通信されるデータを処理するように構成された回路要素を含む、前記処理ブロックと、
前記少なくとも1つの処理ブロックに結合される管理及び制御回路要素であって、前記物理層トランシーバのための電力管理回路要素及びリセット回路要素を含む、前記管理及び制御回路要素と、
シングルイベント効果(SEE)効果を検出し、これに応答するように構成された、少なくとも1つのSEEモニタと、
を含む、物理層トランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の物理層トランシーバであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが、前記管理及び制御回路要素に結合される環境モニタと、前記処理ブロックのうちの1つにおける少なくとも1つの構成レジスタに結合されるレジスタモニタと、前記処理ブロックのうちの1つ又は前記管理及び制御回路要素における順序論理に結合される状態機械モニタと、前記コンバータ回路ブロックに結合される位相ロックループ(PLL)ロック外れモニタとからなるグループから選択される、物理層トランシーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の物理層トランシーバであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記環境モニタを含み、
前記環境モニタが、
前記トランシーバに印加される電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数のうちの第1の値をサンプリングするように、及び、第1のデジタル値を生成するために前記サンプリングされた第1の値をデジタル化するように構成される変調回路要素と、
前記変調回路要素に結合される履歴メモリであって、前記電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数の以前のデジタル値と共に前記第1のデジタル値を格納するための、前記履歴メモリと、
前記変調回路要素及び前記履歴メモリに結合されるシングルイベント機能割り込み(SEFI)エンジンであって、前記第1のデジタル値が前記電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数とは閾値よりも多く異なるかどうかを判定するように、また、前記第1のデジタル値が以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異なることに応答して、前記管理及び制御回路要素にリセット信号を発行するように構成される、前記SEFIエンジンと、
を含む、物理層トランシーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の物理層トランシーバであって、前記SEFIエンジンが、前記第1のデジタル値が以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異ならないことに応答して、前記第1のデジタル値に従って前記閾値を更新するように更に構成される、物理層トランシーバ。
【請求項5】
請求項3に記載の物理層トランシーバであって、
各々が電力供給電圧を受け取るための複数の電力供給端子と、
複数の供給電流センサであって、各供給電流センサが、前記複数の電力供給電圧のうちの1つからの電力供給電流を感知するように結合される、前記複数の供給電流センサと、
を更に含み、
前記変調回路要素が、
複数の入力を有するマルチプレクサであって、前記複数の入力の各々が、前記電力供給端子のうちの1つ又は前記複数の供給電流センサのうちの1つに結合され、選択信号を受信する選択入力を有する、前記マルチプレクサと、
前記マルチプレクサの出力においてアナログ信号をサンプリングし、前記サンプリングされたアナログ信号をデジタル化するように構成される変調器と、
前記履歴メモリ及び前記SEFIエンジンへの前記デジタル値を生成するために、前記デジタル化されたアナログ信号をフィルタリングするように構成されるデシメーションフィルタと、
を含む、物理層トランシーバ。
【請求項6】
請求項5に記載の物理層トランシーバであって、
デバイス温度センサを更に含み、
前記マルチプレクサがさらに、前記デバイス温度センサに結合された入力を有し、
前記変調回路要素が、デバイス温度についてのデジタル値を生成するために、前記デバイス温度センサからのアナログ信号をサンプリング及びデジタル化し、
前記SEFTエンジンが、デバイス温度についての前記デジタル値が、デバイス温度についての以前のデジタル値とは閾値よりも多く異なるかどうかを判定するように、及び、デバイス温度についての前記デジタル値が、以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異なることに応答して、前記管理及び制御回路要素にリセット信号を発行するように、更に構成される、
物理層トランシーバ。
【請求項7】
請求項2に記載の物理層トランシーバであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記レジスタモニタを含み、
前記レジスタモニタが、前記少なくとも1つの処理ブロックのうちの1つにおける構成レジスタに結合される誤り訂正符号(ECC)回路要素を含み、前記ECC回路要素が、前記構成レジスタからコードワードを読み取るように、及び、前記構成レジスタから読み取った前記コードワードが誤りビットを含むかどうかをECC符号に従って判定するように構成される、
物理層トランシーバ。
【請求項8】
請求項7に記載の物理層トランシーバであって、前記ECC回路要素が、前記ECC符号に従って、前記コードワード内で訂正限界まで多数の誤りビットを検出することに応答して、訂正されたコードワードを用いて前記構成レジスタをリロードするように構成され、
前記ECC回路要素が、前記ECC符号に従って、前記コードワード内で前記訂正限界より多くの多数の誤りビットを検出することに応答して、リセットを発行するように更に構成される、
物理層トランシーバ。
【請求項9】
請求項2に記載の物理層トランシーバであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記状態機械モニタを含み、
前記少なくとも1つの処理ブロック並びに管理及び制御回路要素のうちの少なくとも1つが、一つ又は複数の状態及び一つ又は複数の状態変数を有する状態機械に対応する順序論理を含み、
更に、
前記状態機械の現在の状態に対応する状態コードを格納するための状態レジスタと、
前記状態変数の値を、前記状態機械の前記現在の状態についての前記状態コードとして格納するためにワンホットエンコーディングにエンコードするように構成される状態変数エンコーダと、
を含み、
前記状態機械モニタが、
前記状態レジスタ及び前記状態機械に結合される状態レジスタ監視論理を含み、
前記状態レジスタ監視論理が、
前記状態機械の状態遷移に応答して、前記状態遷移が有効であるかどうかを判定するように、
前記格納された状態コードが有効であるかどうかを判定するために、前記状態レジスタを周期的にポーリングするように、及び、
無効な状態遷移又は無効な状態コードのいずれかの検出に応答して、前記トランシーバ内のリセット回路要素にリセット信号を発行するように、
構成される、
物理層トランシーバ。
【請求項10】
請求項2に記載の物理層トランシーバであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記PLLロック外れモニタを含み、
前記PLLロック外れモニタが、
位相ロックループの入力に印加される基準クロックが、タイミングウィンドウの外側のフィードバッククロックに関して位相の外にあるかどうかを検出するように、及び、
前記位相ロックループが、前記タイミングウィンドウの外側の前記フィードバッククロックに関して位相の外にあることを検出することに応答して、前記トランシーバのインターフェースにおけるレジスタ更新をディセーブルするように、
構成される、
物理層トランシーバ。
【請求項11】
ネットワークノードであって、
ネットワークノードプロセッサと、
前記ネットワークノードプロセッサに結合される媒体アクセス制御と、
ネットワーク通信媒体に結合するように適合される媒体依存インターフェースと、
物理層トランシーバと、
を含み、前記物理層トランシーバが、
前記媒体アクセス制御に結合される媒体非依存インターフェースと、
ネットワーク通信媒体に結合するように適合される媒体依存インターフェースと、
前記媒体依存インターフェースに結合されるコンバータ回路ブロックであって、前記ネットワーク通信媒体を介した送信のためにデジタル信号からアナログ信号へと変換するように、及び、前記ネットワーク通信媒体を介して受信したアナログ信号をデジタル信号へと変換するように構成される回路要素を含む、前記コンバータ回路ブロックと、
前記コンバータ回路ブロックに結合される少なくとも1つの処理ブロックであって、ネットワークプロトコルに従って、前記媒体非依存インターフェースと前記コンバータ回路ブロックとの間で通信されるデータを処理するように構成される回路要素を含む、前記少なくとも1つの処理ブロックと、
前記少なくとも1つの処理ブロックに結合される管理及び制御回路要素であって、前記物理層トランシーバのための電力管理回路要素及びリセット回路要素を含む、前記管理及び制御回路要素と、
シングルイベント効果(SEE)を検出し、これに応答するように構成される、少なくとも1つのSEEモニタと、
を含む、
ネットワークノード。
【請求項12】
請求項11に記載のネットワークノードであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが、前記管理及び制御回路要素に結合される環境モニタと、前記処理ブロックのうちの1つにおける少なくとも1つの構成レジスタに結合されるレジスタモニタと、前記処理ブロックのうちの1つに又は前記管理及び制御回路要素における順序論理に結合される状態機械モニタと、前記コンバータ回路ブロックに結合される位相ロックループ(PLL)ロック外れモニタと、前記少なくとも1つのSEEモニタの各々とからなるグループから選択される、ネットワークノード。
【請求項13】
請求項12に記載のネットワークノードであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記環境モニタを含み、
前記環境モニタが、
前記トランシーバに印加される電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数のうちの第1の値をサンプリングするように、及び、第1のデジタル値を生成するために前記サンプリングされた第1の値をデジタル化するように構成される変調回路要素と、
前記変調回路要素に結合される履歴メモリであって、前記一つ又は複数の電力供給電圧及び電力供給電流の以前のデジタル値と共に前記第1のデジタル値を格納するための、前記履歴メモリと、
前記変調回路要素及び前記履歴メモリに結合されるシングルイベント機能割り込み(SEFI)と、
を含み、
前記SEFIが、前記第1のデジタル値が前記一つ又は複数の電力供給電圧及び電力供給電流とは閾値よりも多く異なるかどうかを判定するように、また、前記第1のデジタル値が以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異なることに応答して、管理及び制御回路要素にリセット信号を発行するように構成される、
ネットワークノード。
【請求項14】
請求項13に記載のネットワークノードであって、前記第1のデジタル値が以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異ならないことに応答して、前記SEFIエンジンが、前記第1のデジタル値に従って前記閾値を更新するように更に構成される、ネットワークノード。
【請求項15】
請求項13に記載のネットワークノードであって、
複数の電力供給端子であって、各々が電力供給電圧を受け取るための前記複数の電力供給端子と、
複数の供給電流センサであって、各供給電流センサが、前記複数の電力供給電圧のうちの1つから電力供給電流を感知するために結合される、前記複数の供給電流センサと、
を更に含み、
前記変調回路要素が、
複数の入力を有するマルチプレクサであって、前記複数の入力の各々が、前記電力供給端子のうちの1つ又は前記複数の供給電流センサのうちの1つに結合され、選択信号を受信する選択入力を有する、前記マルチプレクサと、
前記マルチプレクサの出力においてアナログ信号をサンプリングし、前記サンプリングされたアナログ信号をデジタル化するように構成される変調器と、
前記履歴メモリ及び前記SEFIエンジンへの前記デジタル値を生成するために、前記デジタル化されたアナログ信号をフィルタリングするように構成されるデシメーションフィルタと、
を更に含む、ネットワークノード。
【請求項16】
請求項15に記載のネットワークノードであって、
デバイス温度センサを更に含み、
前記マルチプレクサが更に、前記デバイス温度センサに結合される入力を有し、
前記変調回路要素が、デバイス温度についてのデジタル値を生成するために、前記デバイス温度センサからのアナログ信号をサンプリング及びデジタル化し、
前記SEFTエンジンが、デバイス温度についての前記デジタル値が、デバイス温度についての以前のデジタル値とは閾値よりも多く異なるかどうかを判定するように、及び、デバイス温度についての前記デジタル値が、以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異なることに応答して、前記管理及び制御回路要素にリセット信号を発行するように、更に構成される、
ネットワークノード。
【請求項17】
請求項12に記載のネットワークノードであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記レジスタモニタを含み、
前記レジスタモニタが、前記少なくとも1つの処理ブロックのうちの1つにおける構成レジスタに結合される誤り訂正符号(ECC)回路要素を含み、前記ECC回路要素が、前記構成レジスタからコードワードを読み取るように、及び、前記構成レジスタから読み取った前記コードワードが誤りビットを含むかどうかをECC符号に従って判定するように構成される、
ネットワークノード。
【請求項18】
請求項17に記載のネットワークノードであって、前記ECC回路要素が、前記ECC符号に従って、前記コードワード内で訂正限界まで多数の誤りビットを検出することに応答して、訂正されたコードワードを用いて前記構成レジスタをリロードするように構成され、
前記ECC回路要素が、前記ECC符号に従って、前記コードワード内で、前記訂正限界より多くの多数の誤りビットを検出することに応答して、リセットを発行するように更に構成される、
ネットワークノード。
【請求項19】
請求項12に記載のネットワークノードであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記状態機械モニタを含み、
前記少なくとも1つの処理ブロック並びに管理及び制御回路要素のうちの少なくとも1つが、一つ又は複数の状態及び一つ又は複数の状態変数を有する状態機械に対応する順序論理を含み、
更に、
前記状態機械の現在の状態に対応する状態コードを格納するための状態レジスタと、
前記状態変数の値を前記状態機械の前記現在の状態についての前記状態コードとして格納するために、ワンホットエンコーディングにエンコードするように構成される状態変数エンコーダと、
を含み、
前記状態機械モニタが、
前記状態レジスタ及び前記状態機械に結合される状態レジスタ監視論理を含み、
前記状態レジスタ監視論理が、
前記状態機械の状態遷移に応答して、前記状態遷移が有効であるかどうかを判定するように、
前記格納された状態コードが有効であるかどうかを判定するために、前記状態レジスタを周期的にポーリングするように、及び、
無効な状態遷移又は無効な状態コードのいずれかの検出に応答して、前記トランシーバ内のリセット回路要素にリセット信号を発行するように、
構成される、
ネットワークノード。
【請求項20】
請求項12に記載のネットワークノードであって、前記少なくとも1つのSEEモニタが前記PLLロック外れモニタを含み、
前記PLLロック外れモニタが、
位相ロックループの入力に適用される基準クロックが、タイミングウィンドウの外側のフィードバッククロックに関して位相の外にあるかどうかを検出するように、及び、
前記位相ロックループが、前記タイミングウィンドウの外側の前記フィードバッククロックに関して位相の外にあることを検出することに応答して、前記媒体依存インターフェースにおけるレジスタ更新をディセーブルするように、
構成される、
ネットワークノード。
【請求項21】
方法であって、
ネットワークノードプロセッサにおける物理層トランシーバ内で、前記物理層トランシーバの媒体非依存インターフェースにおいて通信されるデータを処理するように、処理ブロックを動作させることと、
ネットワーク通信媒体に結合するように適合される媒体依存インターフェースを介した送信のために、前記処理ブロックからのデジタル信号をアナログ信号に変換すること、及び、前記ネットワーク通信媒体を介して受信したアナログ信号をデジタル信号に変換することと、
前記物理層トランシーバにおいて発生するシングルイベント効果(SEE)を検出することと、
前記SEEの検出に応答して、前記物理層トランシーバをリセットすることと、
を含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記SEEを検出することが、
第1のデジタル値を生成するために、前記トランシーバに印加される電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数のうちの第1の値をサンプリング及びデジタル化することと、
前記一つ又は複数の電力供給電圧及び電力供給電流の以前のデジタル値と共に、前記第1のデジタル値を履歴メモリ内に格納することと、
前記第1のデジタル値が、前記一つ又は複数の電力供給電圧及び電力供給電流とは閾値よりも多く異なるかどうかを判定することと、
前記第1のデジタル値が以前のデジタル値とは前記閾値よりも多く異なることに応答して、前記トランシーバ内の回路要素をリセットするためのリセット信号を発行することと、
を含む、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、前記SEEを検出することが、
構成レジスタ内に格納された誤り訂正符号(ECC)コードワードを読み取ることによって、前記処理ブロックに関連付けられた前記構成レジスタのコンテンツを監視することと、
前記構成レジスタから読み取った前記コードワードが、一つ又は複数の誤りビットを含むかどうかを判定することと、
前記構成レジスタから読み取った前記コードワードが、前記コードワード内で訂正限界まで多数の誤りビットを含むとの判定に応答して、訂正されたコードワードを用いて前記構成レジスタをリロードすることと、
前記構成レジスタから読み取った前記コードワードが、前記コードワード内で前記訂正限界より多くの多数の誤りビットを含むとの判定に応答して、前記トランシーバ内の回路要素をリセットするためのリセット信号を発行することと、
を含む、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、前記SEEを検出することが、
前記処理ブロック内又は前記トランシーバの管理及び制御回路要素内で状態機械を監視することを含み、
前記状態機械が、一つ又は複数の状態において及び一つ又は複数の状態変数に従って動作可能であり、
前記状態機械が、
前記状態機械の状態遷移に応答して、前記状態遷移が有効であるかどうかを判定することと、
前記格納された状態コードが有効であるかどうかを判定するために、前記状態レジスタを周期的にポーリングすることと、
無効な状態遷移又は無効な状態コードのいずれかの検出に応答して、前記トランシーバ内の回路要素をリセットするためのリセット信号を発行することと、
によって、前記状態機械の現在の状態に対応する状態コードを格納するための状態レジスタを含む、
方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法であって、前記SEEを検出することが、
前記変換することを実施する回路要素において位相ロックループの入力に適用される基準クロックが、タイミングウィンドウの外側のフィードバッククロックに関して位相の外にあるかどうかを検出することと、
前記位相ロックループが、前記タイミングウィンドウの外側の前記フィードバッククロックに関して位相の外にあることを検出することに応答して、前記媒体依存インターフェースにおけるレジスタ更新をディセーブルすることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ネットワークデータ通信機器に関し、より具体的には物理層トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク通信の分野において、通信プロトコルのアーキテクチャを記述するために用いられる一般的な参照モデルは、開放型システム間相互接続(OSI)階層化参照モデルである。この参照モデルは、抽象化層の積層を含み、その「最下層」は一般に物理層又は「PHY」と呼ばれる。OSI物理層は、電気的、タイミング、及び他のインターフェースを定義し、ワイヤード(例えば、イーサネット)であるかワイヤレス(例えば、セルラー電話、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、又はWiFi)であるかに関わらず、その上をデータビットが通信リンクを介して送られる。電気信号、シグナリング速度、媒体及びコネクタタイプ、並びにネットワークトポロジなどの通信要素は、PHY抽象化層内に含まれる。
【0003】
ハードウェアの観点から、「PHY」という用語は、ネットワークインターフェースコントローラ又は他のネットワークノードにおいてOSIモデルの物理層機能を実装する、通常は集積回路として実装される電子回路を指す。例えば、「PHY」は、別のネットワークノードとの間で信号を送受信する、ネットワークノードにおけるトランシーバ回路要素を指すためにしばしば用いられる。ネットワークノード内で、PHYが、リンク層デバイス(しばしば、媒体アクセス制御の頭字語として「MAC」と呼ばれる)を、光ファイバ又は銅ケーブルなどの物理媒体に接続する。例示のPHYデバイスが、物理符号化副層(PCS)及び物理媒体依存(PMD)層機能の両方を含む。
【0004】
イーサネットの文脈において、PHYは、実装される際のネットワークに従った、1000BASE-T(1000Mbps)、100BASE-TX(銅を介する100Mbps)、及び10BASE-T(10Mbps)規格のイーサネット物理層部分を実装するイーサネットフレームを送受信するための物理層トランシーバデバイスを指すことができる。これらの実装において、イーサネットPHYは、リンクへのアナログ信号物理アクセスを提供し、また、PHYは概してMACアドレス指定を取り扱わないため、マイクロコントローラ、又は、より高層の機能を実行する別のシステムにおいて、MACチップへの媒体非依存インターフェース(MII)とインターフェースを取る。
【0005】
多くのネットワークインターフェースカード(NIC)実装において、イーサネットPHYは、イーサネットフレームのハードウェア送受信機能や、リンク層パケットシグナリングのイーサネットアナログドメインとデジタルドメインとの間でのインターフェースを実装する集積回路として実現される。NICは、PHY、MAC、及び他の機能性を、単一の集積回路に、又は代替として別々の集積回路として、統合し得る。現代のイーサネットトランシーバの例は、テキサス・インスツルメンツ・インコーポレイテッドから入手可能なDP838xxデバイスファミリーを含む。
【0006】
集積回路特徴が長年にわたって小型化されてきたのにつれて、現代の集積回路は、集積回路上の高エネルギーイオン又は原子スケール粒子の衝突によって引き起こされる機能障害に敏感になってきた。これに起因する集積回路における機能障害は、デバイス上のたとえ単一の粒子の衝突からも生じ得る。集積回路上のこれらのイオン及び粒子の効果は、概して、基礎となる機構のランダム及び非周期的な性質を反映して、「シングルイベント効果」又は「SEE」と呼ばれる。SEEに起因する多くのエラーは過渡的又は「ソフト」であるが、場合によっては、イベントの効果は、そのデバイスの壊滅的な機能障害又は永久的損傷となり得る。例えば、1つのタイプの「ソフト」又は非破壊的なSEEは、メモリ、レジスタ、又は他のデジタル機能及び信号経路における「ビットフリップ」(状態の変化)を指す、シングルイベントアップセット(SEU: Single Event Upset)と呼ばれる。別のタイプのソフトSEEは、アナログ信号経路上に過渡パルスとして現れる、シングルイベントトランジェント(SET)である。SEEは、デバイスに対して潜在的に破壊的となる恐れのある「ハード」エラーも含む。こうした「ハード」SEEの一例は、デバイス仕様を超える動作電流を生じさせる可能性のある(それによって、リカバリのための電力オフリセットを必要とするか、又は最悪の場合、デバイスを永久的に損傷させる)、シングルイベントラッチアップ(SEL)として知られる。他のタイプの「ハード」SEEエラーは、パワーMOSFETSのバーンアウト、MOSトランジスタ及びキャパシタのゲート破裂、フローズンビット、並びに過剰ノイズを含む。
【0007】
機能論理回路要素内に現れる可能性のある別のタイプのSEEは、シングルイベント機能割り込み(SEFI: Single Event Functional Interrupt)と呼ばれる。例えば、イオンストライクが、論理回路要素を「オフ」状態又は場合によっては無効状態を含み得る、異なる動作状態に入らせ得る。制御又は構成レジスタビットがフリップされるSEFIが、デバイスの構成を変更する可能性がある。また、リセット回路におけるSEFIが、論理回路要素の意図しないリセットを生じさせる可能性がある。
【0008】
宇宙環境に配備れた集積回路において、その環境における宇宙線及び高エネルギー陽子の強化された存在に起因して、集積回路のSEEに対する脆弱性が高まっている。宇宙線は、元来、銀河線又は太陽線であり得、しばしば、直接電離によってSEEを生じさせることが観察されている重イオン成分を含む。この機構は、メモリビットフリップ又は電気的過渡現象を生じさせるために、イオン粒子が集積回路内へと通過する際に充分な電荷を堆積させるイオン粒子から生じる。地球の放射線帯内に閉じ込められるか又は太陽フレアから発せられる高エネルギー陽子も、非常に感応性の高いデバイスにおいて直接電離SEEを生じさせ得る。別のSEE機構は、デバイス内の感応性デバイスエリアの近くで発生する高エネルギー陽子からの核反応によって生じる間接電離である。
【0009】
多くの場合、イーサネットPHYなどの複合集積回路において発生するSEEの効果は、例えば、SEEが、無効又は望ましくない動作モード、状態、又は条件に入らせる場合、又は最悪の場合、デバイスにラッチアップ又は同様の条件から過度な電力供給電流を引き出させる場合、デバイスの完全な機能障害によってのみ明らかとなり得る。
【0010】
本明細書に記載された実施例が発生することは、この文脈の範囲内である。
【発明の概要】
【0011】
一態様によれば、物理層トランシーバが、媒体非依存インターフェースと、ネットワーク通信媒体を介して送信するためにデジタル信号からアナログ信号に変換するように、及び、ネットワーク通信媒体を介して受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された回路要素を含むデジタルアナログ回路ブロックと、媒体非依存インターフェースとデジタルアナログ回路ブロックとの間で通信されるデジタルデータを、ネットワークプロトコルに従って処理するように構成された一つ又は複数の処理ブロックと、を含む。電力管理回路要素及びリセット回路要素を含む、管理及び制御回路要素が提供される。トランシーバは、トランシーバにおけるSEEイベントを検出し、これに応答するように構成された、少なくとも1つのシングルイベント効果(SEE)モニタを含む。
【0012】
一態様によれば、少なくとも1つのSEEモニタは、環境モニタを含み、環境モニタは、電力供給電圧及び電力供給電流のうちの一つ又は複数をサンプリングし、そのサンプリングされた電圧又は電流をデジタル化し、デジタル化された値が、そのパラメータについて以前の履歴とは閾値よりも大きく異なるかどうかを判定し、異なる場合はリセット信号を発行する。
【0013】
一態様によれば、少なくとも1つのSEEモニタは、処理ブロックにおける構成レジスタに結合されるレジスタモニタを含む。レジスタモニタは、誤り訂正符号(ECC)回路要素を含み、ECC回路要素は、コードワードのいずれかのビットが誤りであるかどうかを判定するために、ECC符号に従って構成レジスタからコードワードを読み取って復号するように構成される。一例において、ECC回路要素は、誤りビットを訂正し、訂正したコードワードを構成レジスタ内にリロードすることができる。
【0014】
一態様によれば、少なくとも1つのSEEモニタは、一つ又は複数の状態及び一つ又は複数の状態変数を有する状態機械に対応する、状態機械に対応する順序論理に結合される、状態機械モニタを含む。状態レジスタが、現在の状態における状態変数の値のワンホット(one-hot)エンコーディングに基づいて、状態コードを格納する。状態機械モニタは、状態機械の状態遷移が有効かどうか、又は、格納された状態コードが有効かどうかを判定するように構成される。有効でない場合、状態機械モニタはリセット信号を発行することができる。
【0015】
一態様によれば、少なくとも1つのSEEモニタは、位相ロックループ(PLL)又は他のタイミング回路要素の位相ロックの損失を監視するための、PLLロックモニタ回路を含む。PHYデバイスのデータインターフェースにおけるレジスタ更新は、ロック外れ条件に応答してディセーブルされ得る。
【0016】
一態様によれば、これらの態様に従ったトランシーバは、ネットワークノードに組み込まれ、これは更に、ネットワークノードプロセッサと、トランシーバ及びネットワークノードプロセッサに結合される媒体アクセス制御と、トランシーバとネットワーク通信プロセッサとの間のインターフェースとを含む。
【0017】
これらの態様のうちの一つ又は複数によって可能にされる技術的利点は、物理層トランシーバのデータ経路及び制御経路の両方においてSEEイベントを検出するため、並びに、トランシーバ内のそれらのSEEイベントに応答するための、改良された能力を含む。したがって、トランシーバに対する壊滅的な機能障害を、最悪の場合は永久的損傷を、回避し得る。これらの態様の実装は、SEEの可能性が特に大きい宇宙環境において、特に有益となり得る。
【0018】
説明する態様によって可能にされる他の技術的利点は、当業者であれば、下記明細書をその図面と共に参照することで明らかとなろう。、
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】いくつかの例に従って構築されるネットワークノードをブロック形式で示す電気回路図である。
【0020】
図2】一例に従って構築される物理層トランシーバ(PHY)をブロック形式で示す電気回路図である。
【0021】
図3】一例に従った、図2のPHYにおける管理及びPHY制御回路要素と組み合わせた環境モニタをブロック形式で示す電気回路図である。
【0022】
図4】一例に従った、図3の環境モニタの動作を示すフローチャートである。
【0023】
図5A】一例に従った、図2のPHYにおけるレジスタモニタをブロック形式で示す電気回路図である。
【0024】
図5B】一例に従った、図5Aの構成レジスタにおけるストレージビットを概略形式で示す電気回路図である。
【0025】
図6】一例に従った、図5Aの環境モニタの動作を示すフローチャートである。
【0026】
図7】一例に従った、図2のPHYにおける順序論理のインスタンスと組み合わせた状態機械モニタをブロック形式で示す電気回路図である。
【0027】
図8】一例に従った、図7の状態機械モニタの動作を示すフローチャートである。
【0028】
図9A】一例に従った、図2のPHYにおけるPLL及びロック外れ検出回路要素をブロック形式で示す電気回路図である。
【0029】
図9B】一例に従った、図9Aのロック外れ検出回路要素によって位相ロック及びロック外れの検出に用いられる、タイミングウィンドウを示すタイミング図である。
【0030】
図10】一例に従った、図9A及び図9BのPLLロック検出回路要素の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面において、同じ参照番号又は他の参照指示子が、(機能及び/又は構造において)同じか又は同様の特徴を示すために用いられている。
【0032】
本明細書において説明される一つ又は複数の実施例は、こうした実装がその文脈において特に有利であることが企図される際に、宇宙環境において配備され得るなどのイーサネットタイプのネットワークにおける物理層トランシーバデバイスに実装される。しかしながらこれらの実施例の態様は、他の応用例、例えば、他のタイプのネットワークのための通信ハードウェアにおいて、及び、デバイスが粒子誘発機能エラー又は障害に対して脆弱であり得る他の環境において、有利に適用され得ることも企図される。したがって、下記の説明は単なる例として提供される。
【0033】
図1は、いくつかの実施例が実装され得るネットワークノード100の一例を示す。ネットワークノード100は、ネットワークサーバ又はクライアントのいずれか又は両方の役割におけるコンピューティングデバイス、プリンタ又は他の入力/出力機能などの周辺デバイス、(例えば、モノのインターネット、又はIOTの文脈における)センサ又はコントローラ、ルータ、スイッチ、或いは別のネットワーク機能などの、いくつかのネットワーク機能のうちの任意のものとして実現され得る。ネットワークノード100は、データ及び制御情報を受信及び送信する際に経由するネットワーク通信媒体102に結合される。ネットワーク通信がイーサネットネットワークを介して実施されるこの特定の例において、ネットワーク通信媒体102はCAT6銅配線などとして実装される。他の実装において、ネットワーク通信媒体102は光ファイバなどとして実現され得る。
【0034】
図1の例において、ネットワークノード100は、一実施例に従って構築されるイーサネット物理層トランシーバ(PHY)106を含む。ネットワーク通信媒体102がハードワイヤードイーサネット接続である例の場合、PHY106は磁気結合インターフェース104によって媒体102に結合される。磁気結合インターフェース104は、信号経路を提供しながら、PHY106から媒体102を直流的に絶縁するために提供される。例えば、磁気結合インターフェース104は、ネットワーク通信媒体102に物理的に結合するためのコネクタジャックを備えるPHY106間の信号経路に配置される、個別イーサネット磁気モジュールとして実現され得る。代替として、磁気結合インターフェース104は、イーサネットコネクタジャックと同じハウジング又はパッケージ内に統合され得る。いずれの場合でも、この実装におけるPHY106と磁気結合インターフェース104との間のインターフェース122は、イーサネットの文脈において、その仕様がネットワーク通信媒体102に用いられる特定媒体に依存するという点で、媒体依存インターフェース(MDI)と呼ばれる。
【0035】
この例において、イーサネットPHY106は、アップストリーム機能とネットワーク通信媒体102との間でデータ及び制御情報を送信及び受信するための適切な回路要素を含む。イーサネットの文脈において、PHY106は、媒体アクセスコントローラ(MAC)108からイーサネットフレームの形態でデジタルデータを受信し、媒体102を介した送信のためにそれらのフレームに対応するアナログ信号を生成する。その受信機能において、PHY106は、媒体102を介して受信したアナログ信号を処理し、ネットワークノード100を対象とするデータを表すそれらの信号について、MAC108による及び更にアップストリームの機能による消費及び処理のために、デジタルデータをイーサネットフレームにデジタル化及びフォーマット化する。したがって、PHY106は、媒体102におけるイーサネットアナログドメインと、MAC108によって実施される際にネットワークノード100のためのリンク層パケットシグナリングのデジタルドメインとの間で、インターフェースとして働く。いくつかの例に従ったPHY106の構成及び動作を、下記でより詳細に説明する。
【0036】
この例によれば、PHY106は、インターフェース124によってMAC108に結合され、インターフェース124は、この実装ではイーサネットの文脈において、インターフェース仕様がネットワーク通信媒体102の物理実装に依存しないという点で、媒体非依存インターフェース(MII)又は低減ギガビット媒体非依存インターフェース(RGMII)と呼ばれる。ネットワークノード100における媒体アクセスコントローラ(MAC)108は、PHY106から受信され、送信のためにPHY106に通信されるべきデータを処理するための適切な回路要素を含む。この処理は、例えば、送信及び受信の両方向においてデータをバッファリングする管理フレーム、パケットのフォーマット化及び認識、タイマ機能、及び、データリンク層又はMAC層、OSIモデルの一部に関与する他の動作を含み得る。MAC108は、プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル回路要素、メモリ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせに統合され得る。MAC108は、PHY106及びMIIインターフェース124と同じ集積回路内で、或いは代替として、PHY106とは別個の一つ又は複数の集積回路として、実現され得る。
【0037】
図1の例において、ネットワークノードプロセッサ110は、インターフェース126によってMAC108に結合される。ネットワークノードプロセッサ110は、ネットワークにおいてネットワークノード100の機能を実施するのに適切な、データ処理及び制御機能を提供する。ネットワークノードプロセッサ110は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA、スイッチファブリック、及び/又は他の適切な回路要素として、並びに/或いは、その機能のために、実現され得る。ネットワークノードプロセッサ110は、MAC108と同じ集積回路内で、或いは代替として、一つ又は複数の別個の集積回路として、実現され得る。後者の場合の一例において、MAC108、PHY106、及び磁気結合インターフェース104は、ネットワークインターフェースカード(NIC)において実現され得、それにネットワークノードプロセッサ110がインターフェース126を介して結合される。
【0038】
図2に関連して以下で説明するように、一つ又は複数の例によれば、PHY106は、SEEに起因した制御及びデータの両方の経路において、エラーを監視及びエラーに応答するための一つ又は複数の機構を含むように構築され動作する。したがって、PHY106は、衛星、宇宙船などの宇宙環境内に配備される通信機器において実装されるとき、有益であり得る。
【0039】
図2は、一例に従ったPHY106のアーキテクチャを図示する。上述のように、PHY106は、ネットワーク通信媒体102におけるイーサネットアナログドメインと、リンク層パケットのデジタルドメインとの間で、MAC108によって実行される際にネットワークノード100に対して信号を発信する、インターフェース通信の機能全体を有する。したがってこの例において、PHY106は、PHY106によって処理されるか又は処理されるべきデジタル信号が、場合によっては、適切なRGMII又はMIIプロトコルに従って、インターフェース124を介して、それぞれ、MAC108に通信され、またMAC108から受信される際に用いられる、MIIインターフェース回路要素200を含む。
【0040】
MAC108に通信されるべき、及びMAC108から受信される際の、デジタルデータの処理のために、PHY106は、一つ又は複数の通信処理ブロック202(例えば、処理ブロック202A、202B、202Cを含む)を含む。PHY106が3つのイーサネットプロトコルのいずれかに従って通信を処理するように動作可能な本例において、PHY106は、100BASE-TX処理ブロック202A、10Base-Te処理ブロック202B、及び1000BASE-T処理ブロック202Cを含む。各ブロック202は、一方の側でMIIインターフェース回路要素200に結合され、磁気結合インターフェース104を介したネットワーク通信媒体102との通信のために、他方の側でコンバータブロック210に結合される。処理ブロック202A、202B、202Cの各々は、関与する特定のプロトコルに適切にデジタルデータを処理するように構成され及び動作可能な、デジタル論理回路要素(或いは、他の回路要素、メモリ、及び/又はソフトウェア)を含む。例えば、処理ブロック202A、202B、202Cに含まれるデジタル論理回路要素は、一つ又は複数の状態機械の形態で少なくとも部分的に順序論理として実現され得る。この例において、処理ブロック202A、202B、202Cは、複数の動作モードのうちの選択した1つで動作するように、それらの処理ブロック及びPHY106を構成し得る、一つ又は複数の構成レジスタも含み得る。
【0041】
本例のイーサネットの文脈において、処理ブロック202A、202B、202Cの各々におけるデジタル論理回路要素は、適用可能なイーサネットプロトコルにおいて一つ又は複数の副層を実装するように配置される。この例において、100BASE-TX処理ブロック202Aは、物理符号化副層(PCS)、物理媒体アタッチメント(PMA)副層、及び物理媒体依存(PMD)副層を(MII側からイーサネット媒体側への順に)実装する。同様に、10BASE-Teブロック202B及び1000BASE-Tブロック202Cは、PCS及びPMA副層を実装するが、この例においては、銅配線媒体102を介したイーサネット通信のためのPMD副層を必要としない。図2で明らかなように、100BASE-TXブロック202A、10Base-Teブロック202B、及び1000BASE-Tブロック202Cの各々は、コンバータブロック210に結合される。
【0042】
本実装において、コンバータブロック210は、100BASE-TXブロック202A、10BASE-Teブロック202B、及び1000BASE-Tブロック202Cのデジタルドメインと、アナログドメイン(例えば、ネットワーク通信媒体102によって用いられる際に)との間で信号を変換するように構成され及び動作可能である。したがって、コンバータブロック210は、処理ブロック202A、202B、202Cの各々に結合される、デジタルアナログ及びアナログデジタル(DAC/ADC)サブシステム214を含む。DAC/ADCサブシステム214はドライバ/レシーバ回路要素216にも結合され、ドライバ/レシーバ回路要素216は、磁気結合インターフェース104を介してネットワーク通信媒体102に結合される。ネットワーク通信媒体102からの信号の受信のために、ドライバ/レシーバ回路要素216は、適切なアナログフィルタ、レベルシフタ、及び、受信したアナログ信号を(例えば、差分信号の形態で)DAC/ADCサブシステム214におけるADC(アナログデジタル)回路要素に通信するために適した他の回路要素を含み、DAC/ADCサブシステム214は、処理された受信したアナログ信号を、動作可能プロトコルの下で適切な処理ブロック202に通信するためのデジタル記号に変換する。ネットワーク通信媒体102へのデジタルデータの送信のために、DAC/ADCサブシステム214は、デジタル記号をアナログ信号(例えば、差分信号)に変換し、その後、磁気結合インターフェース104への適用のためにドライバ/レシーバ回路要素216内に含まれる、適切なドライバ回路要素によって駆動される、DAC(デジタルアナログ)回路要素を含む。コンバータブロック210は、変換動作のために、適切なクロック信号をDAC/ADCサブシステム214に提供するように構築され動作可能な、タイミング回路要素218を含む。タイミング回路要素218は、(例えば、PHY106の外部の水晶振動子又はバルク音波から)受信したマスタクロック信号、又は、PHY106内で生成されるマスタクロック信号に基づいて、これらのクロックを生成し得る。
【0043】
この例に従って、PHY106内に特定の付加的な機能も提供される。図2に示されるように、PHY106は、集積回路デバイスとしてPHY106の制御のための適切な動作を実行するように構成され及び動作可能な、管理及び制御回路要素220を含む。例えば、管理及び制御回路要素220は、例えば外部リセット信号に応答して、PHY106のハードウェアリセットを実行するためのリセット回路要素を含む。管理及び制御回路要素220は、ネットワークノード100内の他の場所のプロセッサに通信される割り込み信号を生成するための回路要素も含み得、外部回路要素との間で状況及び制御情報を受信及び通信するための回路要素を含み得る。管理及び制御回路要素220は、その1つの例が図2に示される端子VDDにおいて受け取られる一つ又は複数の電力供給電圧を受け取るため、及び、PHY106全体を通じて分配するためにそれらの電力供給電圧からバイアス及び基準電圧を生成するための、電力管理回路要素を更に含み得る。図2に示されない他の機能もPHY106内に提供され得、こうした機能には、「ウェイクオン(wake on)LAN」回路機能、オートネゴシエーション回路機能などが含まれる。
【0044】
この例によれば、PHY106は、PHY106を組み込む集積回路上の重イオン及び高エネルギー陽子の衝突から生じ得るような、SEE、SEU、及びSEFIを検出するためにPHY106内の回路要素を監視するように構成され及び動作可能な、監視及び検出回路要素240を含む。図2に示されるように、監視及び検出回路要素240は、環境モニタ242、レジスタモニタ244、及び状態機械モニタ246を含む。図2に示されるように、監視及び検出回路要素240は、処理ブロック202A、202B、202Cの各々に、及び、必要に応じて管理及びPHY制御回路要素220にも結合される。より具体的には、環境モニタ242、レジスタモニタ244、及び状態機械モニタ246のうちの一つ又は複数は、監視されている特定の機能又は動作に依存して、処理ブロック202並びに管理及びPHY制御回路要素220に結合される。環境モニタ242、レジスタモニタ244、及び状態機械モニタ246の各々の構成及び動作は、下記で更に詳細に説明する。
【0045】
またこの例において、位相ロックループ(PLL)ロックモニタ250は、DAC/ADCサブシステム214におけるタイミングアップセットを監視するために、コンバータブロック210の一部として別々に実装される。PLLロックモニタ250の構成及び動作も、下記で更に詳細に説明する。
【0046】
図3を参照すると、一例に従ってPHY106内に実装される際の、環境モニタ242の構成及び動作が示される。本実装において、環境モニタ242は、PHY106への電力供給における動作条件、及びまた、PHY106を含む集積回路の動作温度などの他の環境条件も、監視する。PHY106のこれらの条件を監視することによって、環境モニタ242は、そうでなければ、他のSEE検出技法によって検出不可能であり得るSEFIイベントを検出することができる。
【0047】
電力供給動作条件の監視に関連して、環境モニタ242は管理及びPHY制御回路要素220における電力管理回路要素300に結合される。この例において、電力管理回路要素300は、PHY106を介する電力(例えば、供給電圧及び/又は供給電流)の分配を管理するために適切な回路要素及び/又はソフトウェアを含み、その点で、必要に応じて、他の内部電圧を生成するために電圧調節及び基準電圧生成回路を含み得る。PHY106は、様々な回路ブロックのためのVDD電力供給として働くために、複数の電力供給電圧を利用し得る。例えば、図3に示されるように、電力管理回路要素300は、それぞれ、1.0V、1.8V、及び2.5Vの公称電圧において電力供給電圧を受け取るために、端子VDD_1V、VDD_1.8V、及びVDD_2.5Vに結合される。端子VDD_1V、VDD_1.8V、及びVDD_2.5Vにおける電圧は、それぞれ、線VA、VB、VCを介して環境モニタ242に結合される。また、それぞれ、電力供給端子VDD_1V、VDD_1.8V、及びVDD_2.5VからPHY106によって引き出される供給電流を感知するために、電流センサ312A、312B、312Cが電力管理回路要素300内に提供される。電流センサ312は、例えば、電圧が測定される際に横切る小型レジスタ、誘導又はホール効果センサなどとして、実装され得る。電流センサ312A、312B、312Cは、それぞれ、線1A、1B、1Cを介して、環境モニタ242に結合される。
【0048】
PHY106の環境モニタ242は、可能なSEFTイベントを検出するために、電力供給電圧及び電流を監視及び分析するように構成される回路要素を含む。この例において、環境モニタ242におけるマルチプレクサ320は、線VA、VB、VC(それぞれ、端子VDD_1V、VDD_1.8V、及びVDDcc_2.5Vにおける電圧に対応する)並びに、線IA、IB、IC(それぞれ、端子VDD_1V、VDD_1.8V、及びVDD_2.5VからPHY106によって引き出される供給電流に対応する)に接続される入力を有する。環境モニタ242内の制御回路要素から、例えば、図3に示されるようなSEFIエンジン330から、又は、PHY106内の他の場所からの、選択信号TSが、その出力に接続するためにマルチプレクサ320の入力のうちの1つを選択するように動作する。マルチプレクサ320の出力は、(例えば、オーバーサンプリングを介して)選択された出力において監視される信号をサンプリングし、対応する電圧又は電流に対応するデジタル値を提供するために、サンプリングされた信号をフィルタリングし、そうでなければ変調する、シグマデルタADC322(例えば、1ビットコンバータ)の入力に結合される。この例において、シグマデルタADC322のデジタル出力は、シグマデルタADC322のデジタル出力を効率性のためにより少ないデジタルビットにデシメートする、デシメーションフィルタ324の入力に結合される。デシメーションフィルタ324は、所望であればシグマデルタADC322内で実現され得る。デシメートされたデジタル化電圧又は電流の測定は、場合によっては、デシメーションフィルタ324から履歴メモリ326及びSEFIエンジン330へと転送される。履歴メモリ326は、経時的に環境モニタ242によって測定されたパラメータの履歴記録を維持する。
【0049】
この例において、集積回路の動作温度(例えば、PHY106が内部又は上に作製される集積回路の基板温度)も、環境モニタ242によって監視される。この環境チップ温度は、環境モニタ242によって監視される付加的な又は任意選択のパラメータであり、付加的な環境条件も、所望であれば、チップ温度に加えて環境モニタ242によって監視され得る。この点で、管理及びPHY制御回路要素220は、線TEMP上の温度に対応するアナログ信号を、環境モニタ242におけるマルチプレクサ320の付加的な入力に提供する、温度センサ310を含む。したがって、マルチプレクサ320は、デジタル化のためにシグマデルタ変調器322に接続する入力の1つとして線TEMP上の信号を含み、デシメーションフィルタ324は同様に、サンプリングされたデジタル値をデシメートし、線TEMP上のアナログ信号のデシメートされたデジタル化値は、それぞれ、格納及び分析のために履歴メモリ326及びSEFIエンジン330にも接続される。
【0050】
SEFIエンジン330は、本明細書において例として説明されるその機能を実施するように構成された、デジタル論理回路要素、例えば、専用の論理回路要素、(例えば、そのメモリ内、環境モニタ242におけるローカルメモリ内、又は、PHY106内の他の場所のメモリ内、或いはそれらの何らかの組み合わせ、に格納された)プログラム命令を実行するプログラマブル論理回路要素として構築され得る。一般的に、SEFIエンジン330は、可能なSEFIイベントを検出し、これに応答してPHY106における適切な回路要素に信号を発行するために、経時的に監視される際に、電圧、電流、及び(任意選択として)温度測定を分析するように動作する。図3の例において、SEFIエンジン330は、SEFIイベントのその検出に応答してリセット信号を生成し、そのリセット信号を線RST上で、管理及びPHY制御回路要素220内のリセット回路要素340へと通信する。
【0051】
図4は、一例に従った図3の環境モニタ242の動作を示す。プロセス400において、SEFIエンジン330は、例えば、シグマデルタADC322に転送するためのその入力のうちの1つを選択するために、マルチプレクサ320の選択入力に適用される制御信号TSを循環させることによって、電圧、電流、及び(任意選択として)温度測定をポーリングさせる。この例において、ポーリングプロセス400は、シグマデルタADC322に転送するために、マルチプレクサ320の入力のうちの1つ(例えば、VA、VB、VC、IA、IB、IC、TEMPのうちの1つ)を選択する。代替として、マルチプレクサ320に適用される入力信号のうちの複数が、信号の任意のものをシグマデルタADC322に転送するのに先立ち、プロセス400において獲得され得る。しかしながら、この説明では、環境モニタ242の動作は、その電流値がSEFIイベントを示すかどうかを判定するための処理の時点において、ポーリングプロセス400が1つの監視されたパラメータ(例えば、電圧、供給電流、又は温度)を獲得する場合について説明する。
【0052】
プロセス402において、シグマデルタADC322は、プロセス400においてマルチプレクサ320を介して獲得した信号を、この例では1ビットシグマデルタ変調を用いて、アナログ信号からデジタルデータワードへと変換する。またプロセス402において、デシメーションフィルタ324は、シグマデルタADC322によってデジタルデータワード出力をデシメートし、このデシメートされたデジタル値は、例えば現在時刻(例えば、獲得時間)を示すタイムスタンプに関連して、履歴メモリ326に格納される。デシメーションフィルタ324によるデジタル値のこのデシメーションは、依然としてSEE検出に適切な精度を提供しながら、履歴メモリ326に必要なサイズを減少させる。デシメーションフィルタ324によって出力されるデシメートされたデジタル値は、下記で説明するように、その測定されたパラメータについての最近の履歴と比較するために、図3に示されるSEFIエンジン330にも転送される。
【0053】
本例によれば、環境モニタ242は、電力供給電圧及び供給電流に影響を与えるSEFIイベントを検出するように動作する。より具体的には、集積回路上で高エネルギー陽子又は重イオンの衝突の結果として生じるようなSEEが、外部電力供給から引き出される電流における急激な変化として、しばしば、その供給電流における急激な降下として、現れ得ることが観察されている。SEEは、例えば供給電流における急激な変化と共に、電力供給電圧における急激な変化としても現れ得る。相補型金属酸化物半導体(CMOS)集積回路において、SEEの1つのタイプは、陽子又は重イオンによるラッチアップの開始(例えば、CMOS構造内の寄生サイリスタのトリガ)である。こうしたラッチアップはシングルイベントラッチアップ(SEL)と呼ばれる。ラッチアップイベントにおいて引き出される過剰電流は、図3に示されるような、温度センサ310によって感知され得、環境モニタ242に通信され得る、デバイス温度における急上昇として検出可能である。電力供給電圧、供給電流、又はデバイス温度においてこれらの急激な変化を生じさせるSEEは、PHY106の動作において他の方式で(例えば、格納された論理レベル又はデータ状態のSEUによって)必ずしも反映されるとは限らず、したがって、デバイスが壊滅的に機能故障するまで検出されない可能性がある。
【0054】
この例に従った環境モニタ242におけるSEFIエンジン330の動作は、その検出プロセスにおいてこれらのSEEを考慮する。前述のように、SEFIエンジン330は、監視されるパラメータ(例えば、電圧、電流、温度)に対応する現在のデシメートされたデジタル値を、経時的にそのパラメータの以前の値からSEFIによって以前に計算されたものと同じパラメータについての動的閾値と比較するため、判定を実行する。SEE検出のため、電力供給電圧、電流、又はチップ温度の最新の測定の絶対値は、その測定されたパラメータの最近の履歴と比較したその最新の測定の相対値よりも(ある場合)それほど重要ではない。この例によれば、監視されるパラメータの現在のデシメートされたデジタル値に対する動的閾値は、最近の時間間隔にわたって測定されるそのパラメータの平均値からのその値における割合、比例、又は絶対変化として、SEFIエンジン330によって計算され得る。この実装に従った相対的に最近の履歴からのパラメータについての動的閾値の判定は、PHY106の異なる使用可能な動作モードにおける電力消費において、起こり得る相違を可能にする。プロセス400において獲得される測定の現在又は最新のデシメートされたデジタル値が、動的閾値の範囲内である(例えば、そのパラメータについての格納された履歴に関して急激な変化を表さない)場合、判定403は結果として「はい」に戻る。次いで、SEFIエンジン330は、この最新の測定に基づいて、対象となるそのパラメータについての動的閾値を更新し、次に、監視されるパラメータは、プロセス400で始まる獲得及び処理について、選択信号TSを介して選択される。
【0055】
他方で、SEFIエンジン330が、プロセス400において獲得され、プロセス402においてデジタル化及びデシメートされた最新の測定が、そのパラメータについての最近の履歴に関して動的閾値の外にあるもの(判定403が「いいえ」である)と判定した場合、SEFIエンジン330は可能なSEEを検出しており、プロセス410において適切な処置を行うように動作する。この例では、環境モニタ242においてSEFIエンジン330によって検出される起こり得るSEEに対して示される処置は、PHY106のハードウェアリセットである。この例では、プロセス410(SEFIエンジン330によって実行される)は、管理及びPHY制御回路要素220におけるリセット回路要素340に対する線RST上のリセット信号の発行を含む。次いで、リセット回路要素340は、SEEの影響を明確にするための試みにおいて、PHY106のリセットを実行する。
【0056】
このようにして、環境モニタ242は、PHY106における電力供給電圧、PHY106によって引き出される供給電流、及び、PHY106のチップ動作温度、における急激な変化として現れる、起こり得るSEFIを検出するように、並びに、例えばデバイスのリセットによって、それらのSEFIに対する応答を開始するように、動作する。したがって、この検出及び応答は、他の方式ではPHY106においてデジタル論理の動作から検出されない可能性のあるSEEに対して迅速に応答可能である。
【0057】
図5Aは、一例に従った、PHY106内に実装されるようなレジスタモニタ244のアーキテクチャ及び動作を図示する。本実装において、レジスタモニタ244は、SEUイベントによって発生したビット誤りを検出し、場合によっては訂正するために、PHY106の機能及び他の回路要素における様々なレジスタのコンテンツを監視する。より具体的には、一例において、レジスタモニタ244は、これ以降に説明するように、構成レジスタのSEUのイベントにおいて、無効又は他の方式で望ましくない動作モード又は条件にPHY106が入るのを防ぐように動作し得る。
【0058】
図5Aに示されるように、多くの構成レジスタ502A、502B、502C、・・・、502N(集合的及び個別に、構成レジスタ502と呼ばれる)がイーサネットPHY106において用いられる。例えば、処理ブロック202A、202B、202Cの各々が、一つ又は複数の構成レジスタ502を含み得る。管理及びPHY制御回路要素220、MIIインターフェース200、コンバータブロック210などのサポート回路要素も、一つ又は複数の構成レジスタ502を含み得る。各構成レジスタ502は、使用可能なモードのセットからその機能回路要素について特定の動作モードを特定することができ、選択された動作モードにおいて使用可能オプションのセットからそのモードについて特定のオプションを特定することができるデジタルワードを格納する。場合によっては、構成レジスタ502は、適切な制御回路要素又はPHY106の外部の回路要素によって読み取り可能であり得る、一つ又は複数の状態ビットを更に含み得る。
【0059】
構成レジスタ502のビットストレージ位置は、PHY106内の他の場所のランダムアクセスメモリ(RAM)リソース内で用いられるような、メモリセルとして構築され得る。例えば、構成レジスタ502のビットストレージ位置は、各々が1つのデータビットを格納する静的RAMセル又はフリップフロップラッチとして構築され得る。代替として、構成レジスタビットストレージ位置のいくつか又はすべて、例えば最重要構成レジスタ又は構成ビットストレージ位置、が自己修正フリップフロップとして構築され得る。こうした自己修正フリップフロップは、PHY106において、最重要構成ビット及びレジスタにとって特に重要であり得る、付加的なSEU許容範囲を提供可能である。次に、構成レジスタ502のいくつか又はすべてのビットストレージ位置を構築するために用いられ得るような、こうした自己修正フリップフロップの一例を、図5Bを参照して説明する。
【0060】
図5Bは、自己修正トリプルモード冗長性(TMR)フリップフロップとして構築される、ビットストレージ位置520の一例を図示する。この例では、ビットストレージ位置520は、各々がクロック信号CLKによってクロック制御される、3つのD型フリップフロップ522A、522B、522Cを含む。フリップフロップ522AのD入力は、この構成レジスタ502に構成情報をロードする、PHY106内の機能回路要素によって提供され得るような、入力データ値IN_VALを受け取る。入力データ値IN_VALはインバータ524にも印加され、インバータ524は、出力信号IN_Δ1をフリップフロップ522BのD入力に提示する出力を有する。同様に、入力データ値IN_VALはインバータ526の入力に印加され、インバータ526は、第2のインバータ527の入力に結合される出力を有し、第2のインバータ527は、出力信号IN_Δ2をフリップフロップ522CのD入力に印加する出力を有する。したがって、フリップフロップ522Bにおいて受け取られる出力信号IN_Δ1は、インバータ524の伝搬遅延だけ入力データ値IN_VALから遅延され、フリップフロップ522Cにおいて受け取られる出力信号IN_Δ2は、2つの伝搬遅延だけ(一方はインバータ526について、及び他方はインバータ527について)入力データ値IN_VALから遅延される。
【0061】
フリップフロップ522A、522B、522Cは、出力信号Q_VAL、Q_Δ1、Q_Δ2を、それぞれ、多数決論理528の対応する入力に提供する。図5Bの例において、出力信号Q_VAL、Q_Δ2は、それぞれ、フリップフロップ522A、522CのQ出力から駆動され、出力信号Q_Δ1は、インバータ524によって入力値IN_VALの奇数反転を反映するために、フリップフロップ522Bの
出力から駆動される。多数決論理528は、その3つの入力信号Q_VAL、Q_Δ1、Q_Δ2のうちの2つ又はそれ以上において印加されるものに対応する論理レベルにおいて、出力信号OUT_VALを生成するように構築される。言い換えれば、信号Q_VAL、Q_Δ1、Q_Δ2のビット値のうちの1つの変化の影響を有するSEUは、そのうちの2つが影響を受けない論理レベルにある3つの入力の「多数決」に基づく出力値OUT_VALに影響を与えない。したがって、ビットストレージ位置520のこの構築は、特に構成レジスタ502などの重要な位置において、PHY106に付加的なSEU許容範囲を提供できる。この付加的なSEU許容範囲は、ビットストレージ位置520における物理的に別々のフリップフロップ522A、522B、522Cによって提供される空間的分離と、入力値IN_VALをフリップフロップ522A、522B、522Cに印加する際にインバータ524、526、528によって提供される時間的分離との両方からの結果として生じる。
【0062】
本説明の目的のため、構成レジスタ502Aは処理ブロック202A内に配され、構成レジスタ502Bは処理ブロック202B内に配され、構成レジスタ502Cは処理ブロック202C内に配される、というように見なされ、構成レジスタ502Nは、管理及びPHY制御回路要素220内に配されるものと見なされることになる。この例では、レジスタモニタ244は、PHY106全体を通じて配される、構成レジスタ502A、502B、502C、・・・、502Nの各々に双方向に結合される。より具体的には、レジスタモニタ244は、誤り訂正符号(ECC)回路要素510及び巡回冗長検査(CRC)回路要素512のいずれか又は両方を含む。ECC回路要素510及びCRC回路要素512の各々は、SEEの結果として生じ得るそれらのコンテンツにおける一つ又は複数の誤りビットを検出するために、構成レジスタ502の各々のコンテンツの読み取りが可能である。ECC回路要素510は、SEEのイベントにおけるそれらのコンテンツにおいて、一つ又は複数の誤りビットの書き換えも可能である。
【0063】
この例では、構成レジスタ502のうちの一つ又は複数において誤りビットを検出及び訂正するために、ECC回路要素510によって、系統的な誤り訂正コードが用いられる。したがって、ECC回路要素510によって監視されるべき各構成レジスタ502は、構成データ部分及びパリティデータ部分の両方を含む。例えば、図5Aを参照すると、構成レジスタ502Aは、構成データ部分CONFIG_Aと、パリティデータ部分PARITY_Aとを含む。ECCコーディングの場合のように、構成レジスタ502Aのパリティデータ部分PARITY_Aのコンテンツは、その構成データ部分CONFIG_Aのコンテンツに依存し、その依存性は、特定のECCが用いられることによって判定される。また、構成レジスタ502Aのパリティデータ部分PARITY_Aに含まれるビットの数は、その構成データ部分CONFIG_Aにおけるビットの数に依存し、また、用いられる特定のECCにも依存する。7,4ハミングECC符号の例では、32ビット構成データ部分CONFIG_Aは、24ビットパリティデータ部分PARITY_Aを必要とする。ECC回路要素510によって監視されるPHY106におけるそれらの構成レジスタ502は、特定の設計に依存して、すべて同じサイズであり、同じECCを用い得るか、又は、サイズが変動し、異なるECCを用い得るか、或いはその両方であり得る。また、この例では、その構成レジスタに関連付けられた処理ブロック202内にあるか、又は、PHY106内の別個のレジスタファイル(図示せず)内にあるかにかかわらず、所与の構成レジスタ502の構成データ部分及びパリティデータ部分の両方が、PHY106の同じ位置で物理的に実現され得る。代替として、構成レジスタ502の一つ又は複数は、所望であれば、レジスタモニタ244内に存在するそのパリティデータ部分を有し得る。
【0064】
また、構成レジスタ502の一つ又は複数が、非系統的ECCコーディングを利用し得、そのため、その構成レジスタ502内に格納される結果として生じるコードワードが、明確な構成データ部分及びパリティデータ部分を有さないようにし得る。
【0065】
ECC回路要素510において代替又は付加的に、レジスタモニタ244は、一つ又は複数の構成レジスタ502に対して巡回冗長検査を用いて誤り検出を実行するためCRC回路要素512を含み得る。CRC回路要素512によって監視されるべき構成レジスタ502は、構成データ部分及びCRC付加(affix)部分の両方も含む。一例において、図5Aの構成レジスタ502は、CRC回路要素512によって監視され、したがって、構成データ部分CONFIG_C及びCRC付加部分CRC_Cを含む。CRCコーディングの場合のように、構成レジスタ502CのCRC付加部分CRC_Cのコンテンツは、その構成データ部分CONFIG_Cのコンテンツへのジェネレータ多項式の適用から計算される付加部に対応する。ジェネレータ多項式及びその多項式をペイロードデータに適用する演算は、用いられる特定のCRCによって決まる。一例において、CRC-8、CRC-16、及びCRC-32のアルゴリズムのうちの1つが用いられ得、結果として、それぞれ、8、16、及び32のビットサイズのCRC付加部分が生じる。CRC回路要素512によって監視されるPHY106におけるそれらの構成レジスタ502は、特定の設計に依存して、すべて同じサイズであり、同じCRCを用い得るか、又は、様々なサイズであり、異なるCRCを用い得る、或いはその両方であり得る。また、この例では、所与の構成レジスタ502の構成データ部分及びCRC付加部分の両方が、その構成レジスタに関連付けられた処理ブロック202内にあるか、又はPHY106の別々のレジスタファイル(図示せず)内にあるかにかかわらず、PHY106の同じ位置において物理的に実現され得る。代替として、一つ又は複数の構成レジスタ502は、所望であれば、レジスタモニタ244内に存在するそのCRC付加部分を有し得る。
【0066】
前述のように、レジスタモニタ244は、ECC回路要素510及びCRC回路要素512の両方を含み得、各々が一つ又は複数の構成レジスタ502を監視する。例えば、或る構成レジスタ502が、他よりもPHY106の動作にとって重要であり得、この場合、ECC回路要素510の誤り訂正能力は、それらのより重要な構成レジスタ502を監視し得、一方で、CRC回路要素512が、それほど重要ではない構成レジスタ502を監視し得る。図5Aの例示の実装において、構成レジスタ502A、502Bは、重要な構成レジスタであり得、レジスタモニタ244におけるECC回路要素510によって監視され得、一方で、それほど重要ではない構成レジスタ502C、502Nは、CRC回路要素512によって監視される。
【0067】
いずれの場合でも、各構成レジスタ502のコンテンツは、その関連付けられた機能回路要素の構成又は再構成において書き込まれる。この構成又は再構成は、例えば、PHY106における不揮発性メモリ内又はPHY106外部のメモリ内に保持される構成に従って、一つ又は複数の構成レジスタ502をローディングするブートストラップコードを用いて、PHY106の電源オン時に成され得る。いくつかの実装において、構成レジスタ502の構成又は再構成は、ユーザ入力に応答するものとし得る。いずれの場合にも、構成レジスタ502のコンテンツの書き込みは、特定のECCコーディング又は用いられるCRCに従って、構成データ自体からのコードワード又はCRC検査のエンコーディングに関与し、次いで、コードワード又は付加部が、その構成レジスタ502内に書き込まれる。このエンコーディング及び書き込みは、構成レジスタ502に関連付けられた機能回路要素内の制御回路要素によって、又は代替として、レジスタモニタ244内の適用可能なECC回路要素510又はCRC回路要素512によって、成され得る。
【0068】
レジスタモニタ244は、レジスタモニタ244が図3に示される線RST/RECONFIG上でリセット又は再構成信号を発行する際に用いる、この例に従った管理及びPHY制御回路要素220内のリセット回路要素310に結合される出力を有する。
【0069】
次に図6を参照し、構成レジスタ502A、502B、502C、・・・、502Nのコンテンツに影響を与えるSEUイベントを検出してこれに応答する際のレジスタモニタ244の動作を、一例に関連して説明する。この動作は、ECC回路要素510と共にレジスタモニタ244内の回路要素(例えば、論理回路要素、プロセッサ、及び/又は状態機械)によって実行され得、こうした論理回路要素は、カスタム論理、プログラマブル論理回路要素、又はそれらの組み合わせとして実装され得る。図6の動作は、構成レジスタ502が、ECC回路要素510によって適用されるECCコーディングに従って、所望の構成データ及びパリティデータと共にローディングされたか又は書き込まれた後に、PHY106の機能動作の間に実施される。
【0070】
本例に従って、構成レジスタ502のコンテンツは、レジスタモニタ244によって周期的にポーリングされ、そのポーリングの周期性は、所望の間隔で設定されるか又は反復的及び連続的に実施される。プロセス602において、レジスタモニタ244は、構成レジスタ502A、502B、502C、・・・、502Nのうちの1つ(例えば、構成レジスタ502A)を選択するためにインデックスを初期化する。この例では、ECC回路要素510は、構成レジスタのうちのいくつか(例えば、図5Aにおける構成レジスタ502A、502B)を監視し、CRC回路要素512は、その他(例えば、構成レジスタ502C、502N)を監視する。したがって、判定603は、プロセス602において選択される構成レジスタがECC又はCRCによって監視されるかどうかを判定する。
【0071】
構成レジスタ502A及び502Bなど、本例においてECC回路要素510によって監視される構成レジスタ502の場合、判定603は「ECC」結果を戻す。この場合、レジスタモニタ244におけるECC回路要素510は、構成レジスタ502Aの現在のコンテンツが誤りであるかどうかを判定するために、プロセス604において適用可能なECC符号に従って、選択された構成レジスタ502Aのコンテンツを読み取って復号する。プロセス604における構成レジスタ502Aのこの読み取り及びデコーディングは、PHY106又はその構成レジスタ502Aに関連付けられた機能回路要素(例えば、機能ブロック202A)の動作に関連又は応答して実施されず、むしろ、レジスタモニタ244の制御下での周期的ポーリングに従って実施されることに留意することが有用である。したがって、本例におけるレジスタモニタ244は、SEUの結果として生じ得る、構成レジスタ502Aの一つ又は複数のビットのデータ状態における変化を検出する。構成レジスタ502A、502B、502C、・・・、502NにおけるSEUは、関連付けられた機能回路要素を、意図されたのとは異なる動作モードに、又は全体として無効な動作条件に、非意図的に「再構成」することによって、PHY106の深刻な機能障害を引き起こす可能性がある。
【0072】
プロセス604においてECC回路要素510によって実施される誤り検出、及び検出された誤りに対する応答は、構成レジスタコンテンツをエンコード及び復号するために用いられる特定のECC符号に依存する。当技術分野で知られるように、いくつかのECC符号は、一つ又は複数の誤りビットを検出すること(及び、いずれのビットが誤りであるかを識別すること)が可能であり、検出された誤りビットの一つ又は複数を訂正することも可能であり得る。例えば、7,4ハミングコードは、コードワード内の2つの誤りビットを検出可能であるが訂正不可能であり、1つの誤りビットを訂正可能である。図6は、例として、7,4ハミングコードの場合のレジスタモニタ244の動作を示す。
【0073】
したがって、プロセス604においてECC回路要素510によって実施されるECC検査は、構成レジスタ502A内に誤りビットはない、1つの誤りビットがある、或いは、2つ又はそれ以上の誤りビットがあるという、3つの可能な結果を提供可能である。レジスタモニタ244によるプロセス604の結果の分析が、構成レジスタ502Aが誤りビットを有さない旨を判定した場合、レジスタモニタ244は、プロセス606において監視されるべき構成レジスタ502の次の1つ(例えば、構成レジスタ502B)を選択するために、レジスタインデックスを前進させ、その次の構成レジスタ502Bは、プロセス604の次のインスタンスにおいて、読み取られ、復号される。
【0074】
レジスタモニタ244が、プロセス604から、構成レジスタ502Aの単一ビットが誤りである旨を判定した場合、プロセス608において、ECC回路要素510は、コードワード内のその誤りビットを訂正し、訂正されたコードワードを現在選択されている構成レジスタ502A内に書き込む。次いで、レジスタモニタ244は、プロセス606においてレジスタインデックスを前進させ、次の構成レジスタ502B(例えば)は、プロセスを反復するためにプロセス604においてECC検査される。しかしながら、レジスタモニタ244が、プロセス604から、構成レジスタ502Aの2つ又はそれ以上のビットが誤りである旨を判定した場合、レジスタコンテンツは7,4ハミングコードを用いて訂正することができない。したがってこの場合、レジスタモニタ244は、プロセス610を実施して、デフォルト条件への再構成など、影響を受ける機能回路要素の再構成を開始するため、又は、PHY106全体のリセットを開始するために、回路要素310又はPHY106のこうした他の適切な回路要素(例えば、管理及びPHY制御回路要素220)をリセットするためのリセット又は再構成信号を発行する。
【0075】
もちろん、異なるECC符号は、異なるレベルの検出及び訂正を有する。必要なパリティ又は付加的なコードビットの数は、誤り訂正及び検出能力の増加と共に増加する。一般に、所与のコードは、検出可能なよりも少ないコードワード内の誤りビットを訂正できる。したがって、図6の例は、こうした他のECC符号に同様に適用し得、構成レジスタ502コンテンツ内の誤りなし、訂正限界までの多数の誤りビットの訂正、及び、訂正限界よりも多い数の誤りビット検出時のリセット(例えば、PHY106又は処理ブロック202のリセット、或いは構成レジスタ502の再構成)の開始、の起こり得る結果を提供する。
【0076】
構成レジスタ502C及び502Nなど、本例におけるCRC回路要素512によって監視される構成レジスタ502の場合、判定603は「CRC」結果を戻す。この場合、レジスタモニタ244内のCRC回路要素512は、プロセス612において、選択された構成レジスタ502のコンテンツを読み取り、それらのコンテンツが一つ又は複数の誤りビットを含むかどうかを判定するために検査する。前述のように、CRC回路要素512は、CRCアルゴリズムの性質に起因して、評価されたデータワードにおける誤りの存在を検出することが可能であるが、訂正はしない。したがって、プロセス612におけるCRC検査が、選択された構成レジスタ502のコンテンツ内の誤りを検出する(プロセス612が「誤り」結果を戻す)場合、レジスタモニタ244は、デフォルト条件への再構成などの、誤り構成レジスタ及び影響を受けた機能回路要素の再構成を開始するために、回路要素310又はPHY106の他の適切な回路要素(例えば、管理及びPHY制御回路要素220)をリセットするように、プロセス610において、リセット又は再構成信号を発行する。場合によっては、プロセス612で検出される誤り構成レジスタ502は、プロセス610において発行されるリセット信号に応答して、その全体においてPHY106のリセットの開始を必要とし得る。
【0077】
本例によれば、監視及び検出回路要素240内にレジスタモニタ244を提供することによって、PHY106における機能及び他の回路要素の構成状態又は動作モードにアップセットを生じさせるSEEは、場合によってはPHY106の機能障害を回避し、イベントに続いて迅速に検出及び対処可能である。
【0078】
本例によれば、図2のPHY106における監視及び検出回路要素240は、状態機械モニタ246を更に含む。次に図7及び図8に関連して説明すると、状態機械モニタ246は、機能ブロック202A、202B、202Cにおける、管理及びPHY制御回路要素220における、並びに、PHY106内の他の機能における、順序論理機能又は状態機械の状態を監視するように構成され、動作する、デジタル論理回路要素を含む。
【0079】
図7は、一例に従った、PHY106における順序論理のインスタンスと組み合わせた状態機械モニタ246の実装を図示する。この例では、状態機械700は、PHY106における機能ブロックのリセット制御のための順序論理のインスタンスに対応し、したがって、図2におけるPHY106の管理及びPHY制御回路要素220の一部として配され得る。例えば、状態機械700は、プログラマブル論理デバイス、プログラマブル論理コントローラ、論理ゲート、及びフリップフロップ、又は他のデジタルストレージから構築され得る。より具体的には、状態機械700の1つの可能なハードウェア実装が、状態変数を格納するためのレジスタ、状態遷移を判定する組み合わせ論理のブロック、及び、状態変数についての新しい値を含み得る状態機械700の出力を判定する組み合わせ論理のブロックを含み得る。
【0080】
図7から明らかなように、状態機械700は、3つの有効な動作状態及び2つの状態変数を有するという点で、相対的にシンプルな順序論理ブロックである。状態機械700の3つの状態は、BLOCK_RESET状態702、CLK_EN状態704、及びCLK_DIS状態706であり、それぞれ、リセット、クロックイネーブル、及びクロックディセーブルの条件に対応する。状態機械700の2つの状態変数712は、block_reset及びblock_clk_enである。このインスタンスにおいて、PHY106の主リセット又は再始動信号(図7に示される「main_reset|restart」)の際、状態機械700は、BLOCK_RESET状態702に入り、状態変数block_reset及びblock_clk_enの両方を「1」(例えば、論理「1」又は論理「高」)にセットする。2つの有効な状態遷移が、BLOCK_RESET状態702から使用可能である。
【0081】
状態機械700は、特定の値(例えば、7)に等しいリセットカウント値、アサートされたブロックイネーブル信号(「block_en」)、及びデアサートされた再始動信号(「~restart」)の論理組み合わせに応答して、BLOCK_RESET状態702からCLK_EN状態704へと遷移し得る。CLK_EN状態704に入ると、状態変数block_resetは「0」(例えば、論理「0」又は論理「低」)にリセットされ、状態変数block_clk__enは(「1」)にセットされたままである。機能の観点から、CLK_EN状態704は、例えば、クロック信号の適用及びその機能回路要素による受信を可能にすることによって、その対応する機能回路についてのアクティブ条件に対応する。CLK_EN状態704からの1つの有効状態遷移のみ、すなわち、デアサートされたブロックイネーブル信号(例えば、「0」にリセットされた信号を指す「~block_en」)と、アサートされた再始動信号(「restart)との論理組み合わせに応答したBLOCK_RESET状態702への遷移、が使用可能である。CLK_EN状態704からBLOCK_RESET状態702に入ると、状態変数block_resetがセットされ(「1」)、状態変数block_clk_enはセットされたまま(「1」)である。
【0082】
BLOCK_RESET状態702からの他の有効な遷移は、CLK_DIS状態706へのものであり、これは、特定の事前定義された値(例えば、7)に等しくないリセットカウント値と、デアサートされたブロックイネーブル信号(「~block_en」)との論理組み合わせに応答して、成される。CLK_DIS状態706に入ると、状態変数block_resetはセットされたまま(「1」)であり、状態変数block_clk_enはリセットされる(「0」)。機能の観点から、CLK_DIS状態704は、例えば、クロック信号の適用及びその機能回路要素による受信をディセーブルすることによって、その対応する機能回路についての非アクティブ条件に対応する。CLK_DIS状態706からの単一の有効状態遷移は、BLOCK_RESET状態702への遷移であり、これは、アサートされたブロックイネーブル信号(「block_en」)と、アサートされた再始動信号(「restart)との論理組み合わせに応答したものである。ここでも、CLK_DIS状態706からBLOCK_RESET状態702に入ると、状態変数block_resetはセットされたまま(「1」)であり、状態変数block_clk_enは(「1」)にセットされる。
【0083】
前述のように、状態機械のための状態変数の現在の値は、対応する状態機械に関連付けられた状態レジスタに格納され得る。状態機械700の場合、下記のように、これら2つの状態変数712、すなわち、block_reset及びblock_clk_en、の可能な値から状態テーブルを構築し得る。
【表1】
この表1に示されるように、その状態変数712を読み取ることによって、状態機械700の現在の状態を判定することができる。しかしながら、状態変数712の値、すなわちblock_reset及びblock_clk_en、が2ビットコードワードにエンコードされ、状態レジスタとして格納された場合、状態レジスタ内のそれら2つのビットのうちの1つの状態をフリップするSEUが、(例えば、単一の「1」ビットをBLOCK_RESET又はCLK_EN状態のいずれかにフリップすることによって)、未定義であり、したがって無効状態を含む、PHY106が意図し得る動作とは異なる状態に、状態機械700を置く可能性がある。この配置において、PHY106は、PHY106における他の機能回路要素、並びにサポートされる通信リンクが、意図された状態で動作する状態機械700に依存するとみなし、構成レジスタ502のうちの1つに対するSEUのイベントにおける壊滅的機能不全に対して脆弱となる。こうした機能不全からの回復は、特定の条件に依存して、たとえ可能な場合であっても、長期にわたり、煩雑であり得る。
【0084】
この例によれば、状態機械700についての状態変数712の値は、「ワンホット」エンコーディングに従ってエンコーディングするための状態変数エンコーダ714に通信される。より具体的には、状態変数エンコーダ714は、1ビットのみが「1」値であり、その他すべては「0」であるコードワードを作成することによって、状態変数712の値を、状態機械700の状態を示すために必要な長さよりも長いコードワードにエンコードする。このエンコーディングにおいて、状態変数712の各々が1ビット位置に対応するのではなく、状態機械700の各可能な状態が、コードワードの1ビット位置に対応する。また、コードワードは、可能な状態よりも多くのビット位置を用いて過剰指定され(over-specified)得る。2つの状態変数712及び3つの可能な状態を有するシンプルな状態機械700のこの例では、この例に従って状態変数エンコーダ714によって生成されるエンコーディングの一例は、以下のとおりである。
【表2】
他のすべての状態コードは未定義である。
【0085】
表2に示される疎なワンホットエンコーディングは、表1のエンコーディングに比べて、コードワードビットのうちの1つのSEUの検出尤度を向上させる。例えば、表1に従ってエンコードされたCLK_EN状態における状態変数712のいずれかのSEUは、単にBLOCK_RESET又はCLK_DIS状態のいずれかへの意図しない遷移を引き起こすことになる。このSEUの効果により、結果としてその通信動作においてPHY106の誤り動作を生じさせる可能性があり、データ損失又は他の壊滅的結果を生じさせる。これに対して、表2のエンコーディングに従ったコードワードにおけるSEUは、無効又は未定義状態(例えば、1つより多くの「1」ビット、又はすべて「0」ビット)として現れ得、容易に検出可能である。
【0086】
状態変数エンコーダ714は、この例では状態レジスタ720に結合される。状態レジスタ720は、状態変数エンコーダ714によってエンコードされたコードワードを格納し得、状態レジスタ監視論理730に結合される。状態レジスタ720のビットストレージ位置は、RAM及びPHY106内の他のレジスタ場所において用いられ得るようなメモリセルとして構築され得る。代替として、構成レジスタ502内のビットストレージ位置520について図5Bに関して説明した自己修正TMR構築は、状態レジスタ720の一つ又は複数のインスタンスを含む、PHY106内の他のストレージ場所にも適用され得る。
【0087】
この例では、状態変数エンコーダ714及び状態レジスタ720は、状態機械700を実装する順序論理に又はその近くに、例えば、図7の例における管理及びPHY制御回路要素220などの、その対応する機能ブロック内に、物理的に実現し得、状態レジスタ監視論理730は、図7において提案されるように、監視及び検出回路要素240における状態機械モニタ246の一部として実現され得る。代替として、状態変数エンコーダ714及び状態レジスタ720のいくつか又はすべてが、例えば状態機械モニタ246内に、その状態機械700とは別に物理的に実現され得る。状態レジスタ監視論理730は、状態機械700の動作における誤りを検出する事象において、PHY106内の適切な回路要素に、リセット又は再始動信号を提示するための出力を有する。この例では、状態機械700はPHY106におけるリセット制御状態機械であるため、状態レジスタ監視論理730は、リセット又は再始動信号を、図7に示される線RST/RESTRTを介して、状態機械700自体へと通信する。
【0088】
この例における状態レジスタ監視論理730は、一つ又は複数の信号線XITION上で状態機械700からも制御情報を受信する。下記で説明するように、状態機械700によって通信される制御情報は、状態レジスタ監視論理730が状態機械700の状態遷移の有効性を監視できるようにする。
【0089】
動作において、状態変数エンコーダ714及び状態レジスタ720と状態レジスタ監視論理230との協働的組み合わせは、次に状態機械700リセット制御の例について図8を参照して説明するように、PHY106の順序論理におけるSEUから迅速に検出し、急速に回復するための能力を提供する。プロセス800において、状態機械700は、例えば、PHY106の主リセット又は再始動信号(「main_reset|restart」)のいずれかのその受信の際、その動作を開始するためにインスタンス化される。インスタンス化されると、状態機械700は、前述のようにその使用可能状態702、704、706の間で遷移することになる。
【0090】
このようにして状態機械700が動作すると、その状態変数の値(例えば、block_reset及びblock_clk_en)は、プロセス802において、状態変数エンコーダ714によって状態レジスタ720におけるストレージのためにコードワードにエンコードされる。前述のように、状態変数エンコーダ714によって適用されるエンコーディングは、状態レジスタ720内の1つのビット位置(例えば、現在の状態に対応するビット位置)のみが「1」であり、すべての他のビット位置が「0」であるような、ワンホットエンコーディングである。また、状態変数エンコーダ714によって生成されるコードワードは、状態レジスタ700のための状態レジスタ720が有効状態の数よりも多い幅を有するように、過剰指定され得る。こうしたエンコーディングは、インスタンス化された状態機械700の動作全体を通じて継続する。
【0091】
図7及び図8の例によれば、状態レジスタ監視論理730は、制御線XITIONを介して状態機械700から制御情報を受信し、状態機械700の各状態遷移を分析して、SEEから生じ得るような遷移誤りを検出する。この例では、状態レジスタ監視論理730は、状態機械700の状態遷移の発生を検出するために、判定803を実施する。状態遷移の事象(判定803が「はい」である)において、状態機械700の以前の状態からの状態情報(例えば、状態変数の値)を、新しい状態における状態情報と比較して、以前の状態から新しい状態への遷移が有効かどうかを判定する。以前の状態情報と新しい状態情報との比較は、判定805における2つの状態について状態レジスタ720内のエンコードされたコードワードを比較することによって、状態レジスタ監視論理730によって実施され得る。図7における状態機械700の例の場合、状態704からの有効な遷移は、状態702への遷移のみであり、状態706からの有効な遷移は状態702への遷移のみである。したがって、SEEが、状態704から直接状態706への明らかな遷移を生じさせる事象(判定805が「いいえ」である)において、状態レジスタ監視論理730は、この無効な遷移を検出し、プロセス808において、線RST/RESTRT上で、状態機械700へのリセット又は再始動信号を発行する。この例では、必要に応じて、プロセス800において状態機械の再インスタンス化が実施される。
【0092】
状態遷移が検出されない(判定803が「いいえ」である)場合、又は、検出された状態遷移が有効な遷移である(判定805が「いいえ」である)場合、状態レジスタ監視論理730は、プロセス810において状態レジスタ720内でコードワードをポーリングするように、プロセス810において動作し、判定811においてそのコンテンツが有効であるかどうかを判定する。状態レジスタ720によって格納されたコードワードの疎なワンホットエンコーディングにより、状態レジスタ監視論理730は、例えば、いずれかが無効状態を示す、「1」状態を有する2つのビットを検出すること、又は、状態レジスタ720のすべてのビットが「0」であること、を検出することによって、SEUが状態レジスタ720のビットのうちの1つの状態をフリップしたかどうかを判定811で容易に検出することができる。こうした誤りが状態レジスタ720のコンテンツ内で検出される(判定811が「はい」である)場合、状態レジスタ監視論理730は、プロセス808において、線RST/RESTRT上で状態機械700に対してリセット又は再始動信号を発行する。
【0093】
ポーリングプロセス810において読み取られる状態機械720のコンテンツが有効である(判定811が「いいえ」である)場合、状態レジスタ監視論理730は、状態遷移(判定803)についての状態機械720の動作の監視を続行し、また、状態機械700の動作の間、そのコンテンツの有効性を検査するために(判定811)状態レジスタ720を周期的にポーリングする。
【0094】
したがって、この例によれば、状態レジスタ720内に格納するための状態変数712の値の疎なワンホットエンコーディングは、状態レジスタ720においてSEEが発生するかを状態レジスタ監視論理730が検出し得る確率を高める。また、状態レジスタ監視論理730による状態遷移の監視は、SEEによって生じ得るような、無効又は意図しない状態遷移の早期検出を可能にする。これら2つの手法の組み合わせは、適切な訂正措置をタイムリーに開始するために、PHY106における監視及び検出回路要素240をイネーブルして、そのネットワーク適用においてPHY106によってサポートされる通信リンク内の壊滅的な誤りが回避される。
【0095】
図9A図9B、及び図10を参照して、一例に従った、コンバータブロック210内に配された際の、PLLロックモニタ250の構成及び動作を説明する。図2に示されるように、この例におけるコンバータブロック210は、PHY106の外部にあるソースから受信するか又はPHY106内で生成されるマスタクロック信号に基づいて、様々な内部クロックを生成するように構成される、タイミング回路要素218を含む。タイミング回路要素218によって生成されるこれらの内部クロックは、媒体依存インターフェース(MDI)122を介してデータ信号を送信及び受信するのに適した、適切なクロック信号を含む。MDI 122を介したデータ送信のためにこうしたクロック信号を生成するための一般的な回路は位相ロックループ(PLL)であり、その一例が図9AにおいてPLL900として示される。
【0096】
例として、図9AのPLL900は、タイミング回路要素218内又はPHY106内の他の場所でクロック基準回路(図示せず)によって生成され得る基準クロック信号REFCLKを受信するように結合された1つの入力を有する、位相検出器902を含む構成で構築される。位相検出器902は、基準クロック信号REFCLKの位相を、別の入力において受信されるフィードバック信号と比較するように動作し、その出力からの信号を、その位相差に対応するチャージポンプ及びフィルタ回路要素904へと転送する。チャージポンプ及びフィルタ回路要素904は、位相検出器902からの位相差信号に応答して、及び、所望のループフィルタ特徴に従って、或る電圧レベルを生成し、その電圧レベルを電圧制御発振器(VCO)906の制御入力に適用する。VOC906は、チャージポンプ及びフィルタ回路要素904からのその入力における電圧レベルに対応する周波数で、出力クロック信号OUTCLKを生成する。出力クロック信号OUTCLKは、この例では、MDI 122を介するデータ転送を同期化するために用いられるクロックとして働き得る。
【0097】
出力クロック信号OUTCLKは、フィードバッククロック信号FBCLKとしても働く。この例では、出力クロック信号OUTCLKは、位相検出器902に適用される基準クロック信号よりも高い周波数にある。したがって、周波数分割器908は、フィードバッククロック信号FBCLKの周波数を分割し、その分割されたフィードバッククロックを、基準クロックREFCLKとの比較のために位相検出器902に適用する。
【0098】
前述のように、位相ロックループ(PLL)ロックモニタ250は、SEEから発生し得るDAC/ADCサブシステム214においてタイミングアップセットを検出するため、及びそれゆえ、SEEに対して導通状態の環境内に配されるときのPHY106におけるデータ経路の完全性を監視するために、提供される。例えば、SEE衝突タイミング回路要素218が、PLL900に位相ロックを失わせ得る。したがって、この例では、PLLロックモニタ250のインスタンスは、ロック外れ条件を検出するためにPLL900の動作を監視するように動作する。図9Aに示されるように、ロック外れ検出回路920は、基準クロックREFCLKを受信する入力と、フィードバッククロックFBCLK(これは、この例では出力クロック信号OUTCLK)を受信する入力と、を有する。ロック外れ検出回路920は、PLL900が位相ロック状態にあるかどうかを判定するために、基準クロックREFCLKの位相をフィードバッククロックFBCLKのパルスと比較し、結果を示す論理レベルにおいて、MDIレジスタイネーブル論理922への信号を線
上で発行する。ロック外れ検出回路920は、この機能を有するいくつかの既知の回路のうちの任意のものに従って構築され得る。
【0099】
この例では、VCO906によって生成されるフィードバッククロック信号FBCLKは、基準クロックREFCLKよりも高い周波数にある。フィードバッククロック信号FBCLKのこの一層高い周波数のため、ロック外れ検出回路920は、フィードバッククロック信号FBCLKのパルスの「window」に対する基準クロックREFCLKの位相を測定することによって、PLL900が位相ロック状態にあるかどうかを判定する。図9Bは、ロック外れ検出回路920の例によって実施される比較の一例を図示する。図9Bに示されるように、基準クロックREFCLKが位相ロックにおいて整合される中央パルスのいずれかの側で、タイミングウィンドウ±twindowが、フィードバッククロックFBCLKの5期間にわたるように定義される。基準クロックREFCLKの立上りエッジがタイミングウィンドウ±twindowの外側で発生する場合、ロック外れ検出回路920は、信号線
上で低論理レベルをMDIレジスタイネーブル論理922に発行することになり、その逆に、タイミングウィンドウ±twindow内の基準クロックREFCLKの立上りエッジは、ロック外れ検出回路920に信号線
上で高論理レベルを発行させて、位相ロック条件を示す。図9Bに示されるように、タイミングウィンドウ±twindowを提供することによって、ロック外れ検出920は、PLL900において深刻な位相不整合を生じさせる可能性の高いSEEに起因するアップセットを、通常のPLL動作において遭遇するようなクロック位相内のジッタ又は他のわずかな変動と区別する。
【0100】
MDIレジスタイネーブル論理922は、レジスタ更新をイネーブルするために、線
上のその出力において高論理レベルをアサートすることによって、線
上に位相ロックを示す論理レベルに応答し、それによって、MDIインターフェース122を介するデータ転送が実施される。逆に、線
上の位相ロックの損失を示す低論理レベルに応答して、MDIレジスタイネーブル論理922は、線
上のその出力において低論理レベルをアサートすることによって、MDIレジスタ更新をディセーブルする。
【0101】
図10は、SEEによって生じる誤りについて、PHY106のデータ経路を監視し、それに応じて応答する、一般化された方法を図示する。図10の方法は、データ経路の通常の動作で開始し、PLL900は位相ロック状態であり、したがって、安定した位相及び周波数でその出力クロック信号を生成し、MDIレジスタ更新がイネーブルされる。この時間の間、位相ロックの監視はロック外れ検出回路920によって実施される。図9Bに示されるように、PLL900がタイミングウィンドウ±twindowの制限内の位相ロック状態のままである(判定1001が「いいえ」である)限り、MDIレジスタ更新はイネーブルのままである。
【0102】
しかしながら、ロック外れ検出回路920が、PLLが位相ロック外にある旨を検出し(判定1001が「はい」である)、それに応じてMDIレジスタイネーブル論理922に通知すると、MDIレジスタイネーブル論理922は、プロセス1002において、信号線
上に低論理レベルを発行することによって、更にMDIレジスタ更新をディセーブルする。MDIレジスタ更新は、PLL900が位相ロックに復帰するまで、MDIレジスタイネーブル論理922によってディセーブルされたままである。この例では、位相ロック条件は、基準クロックREFCLKのn個のサイクルにわたっていなければならず、n>1である。例えば、MDIレジスタ更新を再イネーブルするために、PLL900が位相ロック状態にあるn=5サイクルの基準クロックREFCLKが必要であり得る。その時間まで(判定1003が「いいえ」である)、MDIレジスタ更新はディセーブルされ、PHY106のMDIインターフェース122を介するデータフローが阻止される。nサイクルの間位相ロックが達成されると(判定1003が「はい」である)、MDIレジスタイネーブル論理922は、プロセス1004においてMDIレジスタ更新を再度イネーブルし、PLL900は、前述のように、ロック外れ検出回路920による監視を伴う動作を続行する。
【0103】
本明細書で説明する例によれば、SEEの観点から、宇宙環境などの厳しい環境に特に好適な、PHYトランシーバデバイスのためのアーキテクチャが提供される。これらの例に従ったPHYデバイスは、場合によってはPHYデバイスの完全リセットを必要としないが、必要なリセット及びリブートを行うために通信リンクの障害を余儀なくさせることのないいずれの場合にも、SEEの堅固な検出及びそれらの事象への急速な応答を提供する。したがって、通信における誤りを低減することができる。
【0104】
本明細書で用いられる場合、「端子」、「ノード」、「相互接続」、及び「ピン」という用語は、相互に交換可能に用いられる。特段の記載がない限り、これらの用語は一般に、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、或いは、他の電子機器又は半導体構成要素の間の相互接続、又はそれらの終端を意味するために用いられる。
【0105】
特に別途記載のない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「ほぼ」は、記載された値の+/-10パーセントを意味する。記載される例における改変が可能であり、特許請求の範囲内で他の例も可能である。
【0106】
或るタスク又は機能を実施する「ように構成された」デバイスは、製造業者による製造時点において、その機能を実施するように構成(例えば、プログラム及び/又はハード配線)され得、並びに/或いは、製造後、ユーザによって、その機能及び/又は他の付加的又は代替の機能を実施するように構成可能(又は、再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアのプログラミングを介してもよく、ハードウェア構成要素及びデバイスの相互接続の構成及び/又はレイアウトを介してもよく、或いは、それらの組み合わせを介してもよい。
【0107】
本明細書において或る構成要素を含むものとして説明される回路又はデバイスが、代わりに、説明された回路要素又はデバイスを形成するために、それらの構成要素に結合されるように適合されてもよい。例えば、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタなど)、一つ又は複数の受動要素(レジスタ、キャパシタ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は、一つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源ど)を含むものとして説明される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体要素のみを含んでいてもよく、また、製造時に、又は製造後のいずれかにおいて、例えば、エンドユーザ及び/又は第三者によって、説明された構造を形成するために、受動要素及び/又は供給源の少なくともいくつかに結合されるように適合されてもよい。いくつかの実施例の或る要素が集積回路に含まれる一方で、他の要素は集積回路の外部にあり、他の例において、付加的な又はより少ない特徴が集積回路に組み込まれ得る。また、集積回路の外部にあるものとして示される特徴のいくつか又はすべてが、集積回路内に含まれてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるものとして示されるいくつかの特徴が、集積の外部に組み込まれてもよい。本明細書で用いられる場合、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板内に/を介して組み込まれる、(2)単一の半導体パッケージ内に組み込まれる、(3)同じモジュール内に組み込まれる、及び/又は、(4)同じプリント回路基板内/上に組み込まれる、一つ又は複数の回路を意味する。
【0108】
本明細書で説明する回路は、構成要素交換に先立って利用可能な機能性と少なくとも部分的に同様の機能性を提供するために、交換される構成要素を含むように再構成可能である。レジスタとして示される構成要素は、特に別途記載のない限り、一般に、示されたレジスタによって表されるインピーダンスの量を提供するために、直列及び/又は並列に結合された一つ又は複数の要素の任意のものを表す。例えば、本明細書において単一の構成要素として図示及び説明されるレジスタ又はキャパシタが、代わりに、同じノード間で並列に結合される、それぞれ、複数のレジスタ又はキャパシタであってもよい。例えば、本明細書において単一の構成要素として図示及び説明されるレジスタ又はキャパシタが、代わりに、単一のレジスタ又はキャパシタと同じ2つのノード間で直列に結合される、それぞれ、複数のレジスタ又はキャパシタであり得る。
【0109】
前述において「接地」という言い回しの使用は、シャシー接地、接地、フローティング接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は、本説明の教示に適用可能又は好適な任意の他の形態の接地接続を含む。
【0110】
説明する実施例において改変が可能であり、特許請求の範囲内で他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】