(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】心電図記述及び結果の統合方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/346 20210101AFI20250206BHJP
A61B 5/353 20210101ALI20250206BHJP
A61B 5/366 20210101ALI20250206BHJP
A61B 5/355 20210101ALI20250206BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20250206BHJP
A61B 5/36 20210101ALI20250206BHJP
【FI】
A61B5/346
A61B5/353
A61B5/366
A61B5/355
A61B5/352 100
A61B5/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545261
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 KR2023000374
(87)【国際公開番号】W WO2023158102
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0021177
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520047532
【氏名又は名称】ビュノ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VUNO, INC.
【住所又は居所原語表記】9F, 479, Gangnam-daero, Seocho-gu, Seoul 06541 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】キム・キョンウン
(72)【発明者】
【氏名】チュ・スンフン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG01
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG07
4C127GG09
(57)【要約】
【要約】本開示の一実施例に基づき、医療データの処理方法及びこれを利用したコンピューティング装置が開示される。具体的には、本開示によると、コンピューティング装置が、1つ以上の心電図データを受信し、心電図記述モデルを用いて、上記受信された1つ以上の心電図データから生成された複数のサンプルに対応する心電図記述(ECG delineation)情報を生成し、上記複数の心電図記述情報を統合する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティング装置の1つ以上のプロセッサーにより実行される方法であって、
1つ以上の心電図データを受信する段階;
心電図記述モデルを用いて、前記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述(ECG delineation)情報を生成する段階;及び
前記複数の心電図記述情報を統合する段階;
を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記心電図データを受信する段階は、タイプの異なる複数の心電図測定装備の中の1つから、前記1つ以上の心電図データを受信する段階を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記予め設定された時間の長さは、前記心電図測定装備のリードの数又は測定時間の長さとは無関係に決定される、
方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記心電図記述モデルを用いて、前記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成する段階は:
心電図測定装備のリードの数及び測定時間の長さを確認する段階;
前記予め設定された時間の長さに基づき、前記1つ以上の心電図データを分割することで、前記複数のサンプルを生成する段階;及び
前記心電図記述モデルを用いて、前記複数のサンプルに対応する各々の心電図記述情報を生成する段階;
を含む、
方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記心電図記述情報は:
P波(P-wave)の位置情報
QRS群(QRS-complex)の位置情報;又は
T波(T-wave)の位置情報;
のうち、少なくとも1つを含むが、
前記プロセッサーは、前記心電図記述情報から
P波の振幅情報;
QRS群の振幅情報;又は
T波の振幅情報
のうち少なくとも1つを導出する、
方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数の心電図記述情報を統合する段階は:
前記複数のサンプルに係る平滑化(smoothing)された心電図記述情報を生成する段階;及び
前記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を統合する段階;
を含む、
方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を生成する段階は、
固定された時間間隔の中において前記複数のサンプルに係る心電図記述情報の複数の結果値のうち、代表値を導出する段階
をさらに含む、
方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を統合する段階は、
前記平滑化された心電図記述情報の複数の結果値のうち、代表値を導出する段階
をさらに含む、
方法。
【請求項9】
請求項1において、
前記方法は、
前記統合された心電図記述情報から、心電図特性を抽出する段階
をさらに含むが、
前記統合された心電図記述情報から、心電図特性を抽出する段階は:
前記統合された心電図記述情報を1回の心拍動の時間を基準に分割する段階;
前記1回の心拍動の時間ごとに分割された心電図記述情報から、各心電図特性を抽出する段階;及び
抽出された各心電図特性の代表値を導出する段階;
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記心電図特性は、
RR-間隔(RR-interval);
QRS持続期間(QRS duration);
QT間隔(QT interval);又は
QT-補正間隔(QT-corrected interval);
のうち、少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項11】
請求項1において、
前記方法は、
前記心電図記述情報に係る情報を含むユーザーインターフェース(UI)を生成する段階;
をさらに含み、
前記ユーザーインターフェースは;
前記心電図測定装備において測定された心電図データを表示する第1領域;
前記心電図記述情報を表示する第2領域;及び
心電図特性の値を表示する第3領域;
を含む、
方法。
【請求項12】
コンピューティング装置が動作を実行するようにさせる命令を含むコンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラムであって、前記動作は:
1つ以上の心電図データを受信する動作;
心電図記述モデルを用いて、前記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成する動作;及び
前記複数の心電図記述情報を統合する動作;
を含む、
コンピューター可読保存媒体に保存されたコンピュータープログラム。
【請求項13】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のコアを含むプロセッサー;
1つ以上の心電図データを受信するネットワーク部;及び
メモリー;
を含み、
前記プロセッサーは、
1つ以上の心電図データを受信し、
心電図記述モデルを用いて、前記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成し、且つ
前記複数の心電図記述情報を統合する、
コンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療データの処理方法に係り、より具体的には、1つ以上のリード(Lead)から測定された心電図データ(ECG data)に係る心電図記述(ECG delineation) 情報を生成し、これを統合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の電気的活性化段階を反映する心電図(ECG: Electrocardiogram)の波形は、基本的にP波(P-wave)、QRS群(QRS-complex)、T波(T-wave)の細部領域により構成され、各心拍のP波は、心房が脱分極するフェーズにおいて発生し、QRS群は心室が脱分極するフェーズ、T波は心室が再分極するフェーズを反映する。
【0003】
心電図記述は、心電図データから上述の細部領域を切り分ける信号処理プロセスである。心電図分析において、心電図記述は、非常に重要な位置を占めているが、その理由は、心電図記述の結果から心拍の細部特徴を取得し、細部領域の振幅(amplitude)やPR間隔(PR-interval)、ST間隔(ST-interval)、QT間隔(QT-interval)といった相対的な時間間隔に係る情報を取得することで、心拍リズムの異常や心臓疾患の有無を把握することができるためである。
【0004】
しかし、心電図測定装備の種類が多様化(Standard 12-Lead、Holter、Mobile single-lead、Limb lead)してきており、心電図の測定に用いられるリード(Lead)の種類及び数、並びに測定時間の長さが異なるため、各装備別に受信される複数のデータ間で差異が生じ、安定的に心電図記述情報を導出することが困難である。
米国公開特許第2021-0219920号は、内部心電図取得のためのシステムと方法について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、前述の背景技術に対応し案出されたものであり、測定装備のリードの数と測定時間の長さと関係なく、安定的な心電図記述情報を導出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置の1つ以上ののプロセッサーにより実行される心電図記述の方法が開示される。上記方法は:1つ以上の心電図データを受信する段階;心電図記述モデルを用いて、上記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述(ECG delineation)情報を生成する段階;及び上記複数の心電図記述情報を統合する段階を含むことが可能である。
【0007】
代案としての実施例において、上記心電図データを受信する段階は、タイプの異なる複数の心電図測定装備の中の1つから、上記1つ以上の心電図データを受信する段階を含むことが可能である。
【0008】
代案としての実施例において、上記心電図記述モデルを用いて、上記1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成する段階は:上記心電図測定装備のリードの数及び測定時間の長さを確認する段階;予め設定された時間の長さに基づき、上記1つ以上の心電図データを分割することで、上記複数のサンプルを生成する段階;及び上記心電図記述モデルを用いて、上記複数のサンプルに対応する各々の心電図記述情報を生成する段階を含むことが可能である。
【0009】
代案としての実施例において、上記予め設定された時間の長さは、上記心電図測定装備のリードの数又は測定時間の長さとは無関係に決定されることが可能である。
【0010】
代案としての実施例において、上記心電図記述情報は:P波(P-wave)の位置情報;QRS群(QRS-complex)の位置情報;又はT波(T-wave)の位置情報;のうち少なくとも1つを含むが、上記プロセッサーは、上記心電図記述情報から、P波の振幅情報;QRS群の振幅情報;又はT波の振幅情報のうち、少なくとも1つを導出することが可能である。
【0011】
代案としての実施例において、上記複数の心電図記述情報を統合する段階は:上記複数のサンプルに係る平滑化(smoothing)された心電図記述情報を生成する段階;及び上記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を統合する段階を含むことが可能である。
【0012】
代案としての実施例において、上記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を生成する段階は、固定された時間間隔の中において上記複数のサンプルに係る心電図記述情報の複数の結果値のうち、代表値を導出する段階をさらに含むことが可能である。
【0013】
代案としての実施例において、上記複数のサンプルに係る平滑化された心電図記述情報を統合する段階は、上記平滑化された心電図記述情報の複数の結果値のうち、代表値を導出する段階をさらに含むことが可能である。
【0014】
代案としての実施例において、本開示は、上記統合された心電図記述情報から、心電図特性を抽出する段階をさらに含むことが可能である。上記統合された心電図記述情報から、心電図特性を抽出する段階は、上記統合された心電図記述情報を1回の心拍動の時間を基準に分割する段階;上記1回の心拍動の時間ごとに分割された心電図記述情報から、各心電図特性を抽出する段階;及び抽出された各心電図特性の代表値を導出する段階;を含むことが可能である。
【0015】
代案としての実施例において、上記心電図特性は、RR-間隔(RR-interval);QRS持続期間(QRS duration);QT間隔(QT interval);QT-補正間隔(QT-corrected interval);PR-部分(PR-segment);PR-間隔(PR-interval);ST-部分(ST-segment);又はTP-部分(TP-segment)のうち少なくとも1つを含むことが可能である。
【0016】
代案としての実施例において、本開示における心電図記述方法は、上記心電図記述情報に係る情報を含むユーザーインターフェース(UI)を生成する段階をさらに含み、上記ユーザーインターフェースは、上記心電図測定装備において測定された心電図データを表示する第1領域;上記心電図記述情報を表示する第2領域;及び心電図特性の値を表示する第3領域;を含むことが可能である。
【0017】
本開示における代替としての実施例に基づき、コンピューティング装置が動作を実行するようにさせる命令を含むコンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラムが開示される。上記動作は:1つ以上の心電図データを受信する動作;心電図記述モデルを用いて、上記受信された1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成する動作;及び上記複数の心電図記述情報を統合する動作を含むことが可能である。
【0018】
本開示における代替としての実施例に基づく、コンピューティング装置が開示される。上記コンピューティング装置は:1つ以上のコアを含むプロセッサー;1つ以上の心電図データを受信するネットワーク部;及びメモリー;を含むことが可能であり、そのうち上記プロセッサーは、1つ以上の心電図データを受信し、心電図記述モデルを用いて、上記1つ以上の心電図データから、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに対応する心電図記述情報を生成し、且つ、上記心電図記述情報を統合するプロセスを含むことが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本開示は、リードの数と測定時間の長さとは無関係に、安定的に心電図記述情報を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の実施例の説明に用いられるために添付されている以下の図面は、あくまでも本開示の実施例の一部に過ぎず、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」という)にとっては、新規の発明に想到する努力なしにも、これらの図面に基づき他の図面を得ることが可能である。
【
図1】
図1は、本開示の一実施例に基づく、心電図記述情報を生成するための動作を行うコンピューティング装置のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例に基づくネットワーク関数を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例に基づく、心電図記述情報の生成及び統合方法に係るフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の一実施例に基づく、コンピューティング装置の心電図記述情報の生成プロセスを示すブロック構成図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施例に基づく、心電図記述情報の平滑化のプロセスを示す概念図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例に基づく、心電図特性を示す概念図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例に基づく、コンピューティング装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、心電図測定装備により測定された患者の心電図データを受信し、リードの数及び測定時間の長さとは無関係に、安定的に心電図記述情報を生成し、統合された結果を導出し、その結果から心電図特性を抽出する方法について開示する。
【0022】
多様な実施例が以下に図面を参照しながら説明されるが、図面を通して類似の図面番号は類似の構成要素を表すために使われる。本明細書において多様な説明が本開示に対する理解を容易にするために示される。しかし、これらの実施例がこれらの具体的な説明がなくても間違いなく実施されることができる。
本明細書において、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、コンピューター関連エンティティ、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、またはソフトウェアの実行を指す。例えば、コンポーネントは、プロセッサー上で実行される処理手順(procedure)、プロセッサー、オブジェクト、実行スレッド、プログラム、及び/またはコンピューターになり得るが、これらに限定されるものではない。例えば、コンピューティング装置で実行されるアプリケーションとコンピューティング装置は、両方ともコンポーネントになり得る。1つ以上のコンポーネントは、プロセッサー及び/または実行スレッドの中に常駐することができ、1つのコンポーネントは1つのコンピューターの中でローカル化されることができ、または2つ以上のコンピューターに配分されることもできる。また、このようなコンポーネントは、その内部に保存されている多様なデータ構造を持つ、多様なコンピューター可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば1つ以上のデータパケットを持つ信号(例えば、ローカルシステム、分散システムにおいて他のコンポーネントと相互作用する1つのコンポーネントからのデータ及び/または信号を通じて、他のシステムと、インターネットのようなネットワークを介して伝送されるデータ)によってローカル及び/または遠隔処理等を通じて通信することができる。
【0023】
用語「または」は、排他的な「または」ではなく、内包的な「または」を意味する意図で使われる。つまり、特に特定されておらず、文脈上明確ではない場合、「XはAまたはBを利用する」は、自然な内包的置換のうち1つを意味するものとする。つまり、XがAを利用したり;XがBを利用したり;またはXがA及びBの両方を利用する場合、「XはAまたはBを利用する」は、これらのいずれにも当てはまるとすることができる。また、本明細書における「及び/または」という用語は、取り挙げられた関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能なすべての組み合わせを指し、含むものと理解されるべきである。
【0024】
また、述語としての「含む(含める)」及び/または修飾語として「含む(含める)」という用語は、当該特徴及び/または構成要素が存在することを意味するものと理解されるべきである。ただし、述語としての「含む(含める)」及び/または修飾語として「含む(含める)」という用語は、1つ以上の他のさらなる特徴、構成要素及び/またはこれらのグループが存在すること、または追加されることを排除しないものと理解されるべきである。また、特に数が特定されていない場合や、単数の形を示すことが文脈上明確でない場合、本明細書と請求範囲において単数は、一般的に「1つまたはそれ以上」を意味するものと解釈されるべきである。
【0025】
そして、「A又はBのうち少なくとも1つ」という用語については、「Aだけを含む場合」、「Bだけを含む場合」、「AとBの組み合わせの場合」を意味するものと解釈されたい。
【0026】
当業者は、さらに、ここに開示される実施例に係るものとして説明された多様な例示的論理的ブロック、構成、モジュール、回路、手段、ロジック及びアルゴリズム段階が、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、またはその両方の組み合わせによって実現されることができることを認識すべきである。ハードウェアとソフトウェアとの相互交換性を明確に例示するために、多様な例示的コンポーネント、ブロック、構成、手段、ロジック、モジュール、回路及び段階が、それらの機能性の側面で一般的に上述された。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか或いはソフトウェアとして実装されるかは、全般的なシステムに係る特定のアプリケーション(application)及び設計制限によって決まる。熟練した技術者は、個々の特定アプリケーションのために多様な方法で説明された機能性を実現できる。ただし、そのような実現に係る決定が本開示内容の領域を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0027】
ここに示す実施例に係る説明は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が本発明を利用したりまたは実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者にとっては明確であり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
本開示において、ネットワーク関数、人工神経回路網及びニューラルネットワーク(neural network)は、相互置換可能に用いることが可能である。
【0028】
一方、本開示の詳細な説明及び請求項において、「イメージ」、「画像」若しくは「映像」又は「イメージデータ」「画像データ」若しくは「映像データ」といった用語は、離散的画像要素(例えば、2次元画像においてはピクセル)で構成されている多次元データを指すものであり、言い換えると、(例えば、ビデオ画面に表示された)目視で認識できる対象又は(例えば、CT、MRI検出器等におけるピクセル出力に対応するファイルのような)その対象のデジタル表現物を指す用語である。
【0029】
例えば、「イメージ」「画像」又は「映像」は、コンピューター断層撮影(CT;computed tomography)、磁気共鳴画像(MRI;magnetic resonance imaging)、超音波又はその他本発明の技術分野における公知のあらゆる医療画像システムにより収集された被検体(subject)の医療画像になり得る。画像が必ずしも医療的目的で提供されたものである必要はなく、非医療的目的で提供されたものにもなり得るが、例えば、セキュリティー検査用のエックス線撮影などが挙げられる。
【0030】
本開示の詳細な説明及び請求項において、『DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine;医療用デジタル画像及び通信)』標準は、医療用機器におけるデジタル画像表現と通信に利用されるあらゆる標準の総称となる用語であり、DICOM標準は、米国放射線学会(ACR)と米国電気工業会(NEMA)において構成された連合委員会にて発表している。
【0031】
また、本開示の詳細な説明及び請求項において、「医療用画像管理システム(PACS;Picture Archiving and Communication System)」は、DICOM標準に沿って、医療用画像を保存、加工、送信するシステムを指す用語であり、エックス線、CT、MRI等のデジタル医療画像装置を利用して取得した医療画像のデータを、DICOM形式に保存し、ネットワークを介して院内や外部の端末に送信することが可能であり、そのデータに読影結果や診療記録を追加することが可能である。
【0032】
図1は、本開示の一実施例に基づく、心電図結果記述情報を生成するコンピューティング装置のブロック構成図を示す図面である。
【0033】
図1に図示されたコンピューティング装置(100)の構成は、簡略化して示した例示に過ぎない。本開示の一実施例において、コンピューター装置(100)には、コンピューター装置(100)のコンピューティング環境を実装するための他の構成が含まれることが可能であり、開示されている構成のうち一部だけでコンピューター装置(100)を構成することも可能である。
【0034】
コンピューター装置(100)は、プロセッサー(110)、メモリー(130)、ネットワーク部(150)を含むことができる。
【0035】
本開示の一実施例において、プロセッサー(100)は、1つ以上のコアで構成されることが可能であり、コンピューティング中央処理装置(CPU:central processing unit)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU:general purpose graphics processing unit)、テンサー処理装置(TPU:tensor processing unit)等のデータ分析、ディープラーニングのためのプロセッサーを含むことができる。プロセッサー(110)は、メモリー(130)に保存されたコンピュータープログラムを読み取り、本開示の一実施例における機械学習のためのデータ処理を実行することができる。本開示の一実施例に基づき、プロセッサー(110)は、ニューラルネットワークの学習のための演算を行うことができる。プロセッサー(110)は、ディープラーニング(DL:deep learning)において、学習のための入力データの処理、入力データからのフィーチャーの抽出、誤差計算、逆伝播(backpropagation)を利用したニューラルネットワークの重みの更新等のニューラルネットワークの学習のための計算を実行することができる。プロセッサー(110)のCPUとGPGPUとTPUとのうち、少なくとも1つが、ネットワーク関数の学習を処理できる。例えば、CPUとGPGPUとがともにネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータの分類を行うことができる。なお、本開示の一実施例において、複数のコンピューティング装置のプロセッサーを一緒に使ってネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータ分類を行うことができる。また、本開示の一実施例における、コンピューティング装置において実行されるコンピュータープログラムは、CPU、GPGPU又はTPUで実行可能なプログラムになり得る。
【0036】
プロセッサー(110)は、タイプの異なる複数の心電図測定装備から1つ以上の心電図データを受信し、心電図記述情報を生成することが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、相異なるリードの数、又は、相異なる測定時間の長さを持つ複数の心電図測定装備から、1つ以上の心電図データを受信することが可能であり、各々の心電図測定装備に係る心電図記述情報を生成することが可能である。
【0037】
代案としての実施例において、プロセッサーは、『心電図測定装備のリードの数又は測定時間の長さとは無関係に決定された、予め設定された時間の長さ』に基づき、心電図データを分割することで、心電図データと対応する予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルを生成することが可能である。この場合、上記予め設定された時間の長さは、心電図記述モデルが入力として受け取れるほどの長さであることが可能である。
【0038】
プロセッサー(110)は、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ分割された複数のサンプルを、心電図記述モデルに入力し、出力として、各サンプルについて生成された心電図記述情報を取得することが可能である。心電図記述モデルの入力は、1つの固定された長さ、つまり、予め設定された時間の長さの心電図データであることが可能である。また、心電図記述モデルの出力は、心電図記述情報、つまり、入力された複数のサンプルに含まれている全ての拍動のP波、QRS群、T波の位置情報を含む情報であることが可能である。ここで、『対応』は、複数のサンプルの各々から1つの心電図記述情報が取得され、各々のサンプルと心電図記述情報が一対一の対応関係にあるという意味であることが可能である。この場合、出力された心電図記述情報の数は、入力された、予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルの数と、同数であることが可能である。
プロセッサー(110)は、上記予め設定された時間の長さをそれぞれ持つ複数のサンプルに係る心電図記述情報を、1つの心電図記述情報として統合することが可能である。例えば、複数のサンプルに係る心電図記述情報を平滑化した後、特定の時点における最頻値を、統合された心電図記述情報の値として用いることが可能であるが、本開示はこれに限定されない。平滑化に関する具体的な説明は、
図5を用いて後述する。
【0039】
プロセッサー(110)は、上記統合された心電図記述情報をもとに、心電図特性を抽出することが可能である。心電図特性は、心拍異常及び心臓疾患に関する判断の根拠となるRR-間隔(RR-interval)、QRS持続期間(QRS duration)、QT間隔(QT interval)、又はQT-補正間隔(QT-corrected interval)を含むことが可能であるが、本開示はこれに限定されない。統合された心電図記述情報は、複数回の心拍動を含んでいるため、心電図特性を抽出するためには、1回の心拍動の時間ごとに分割された心電図記述情報を生成する必要がある。
【0040】
プロセッサー(110)は、統合された心電図記述情報を1回の心拍動の時間を基準に分割し、生成された、1回の心拍動の時間ごとに分割された心電図記述情報の各々から、各心電図特性を抽出した後、各特性の代表値を導出することが可能である。
【0041】
本開示の一実施例において、メモリー(130)は、プロセッサー(110)が生成又は決定した任意の形態の情報と、ネットワーク部(150)が受信した任意の形態の情報とを保存することができる。
【0042】
本開示の一実施例において、メモリー(130)は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリー(例えばSD又はXDメモリー等)、ラム(Random Access Memory、RAM)、SRAM(Static Random Access Memory)、ロム(Read-Only Memory、ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリー、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの保存媒体を含むことができる。コンピューティン装置(100)は、インターネット(internet)上で前記メモリー(130)の保存機能を実行するウェブストレージ(web storage)と連携して動作することも可能である。前述のメモリーに係る記述は、例示に過ぎず、本開示はこれらに限定されない。
【0043】
本開示の一実施例によるネットワーク部(150)は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、xDSL(x Digital Subscriber Line)、RADSL(Rate Adaptive DSL)、MDSL(Multi Rate DSL)、VDSL(Very High Speed DSL)、UADSL(Universal Asymmetric DSL)、HDSL(High Bit Rate DSL)及び近距離通信網(LAN)などの様々な有線通信システムを使用することができる。
【0044】
また、本明細書で提示されるネットワーク部(150)は、CDMA(Code Division Multi Access)、TDMA(Time Division Multi Access)、FDMA(Frequency Division Multi Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multi Access)、SC-FDMA(Single Carrier-FDMA)及び他のシステムなどの様々な無線通信システムを使用することができる。
【0045】
本開示の一実施例におけるネットワーク部(150)は、 任意の形態の有線・無線通信システムを使用することができる。
【0046】
本明細書において説明されている技術は、前記のネットワークだけでなく、他のネットワークで使われることも可能である。
【0047】
ネットワーク部(150)は、身体器官が表現された医療画像を医療画像撮影システムから受信することができる。例えば、身体器官が表現された医療画像は、2次元特徴または3次元特徴を学習するニューラルネットワークモデルの学習用データまたは推論用データであってもよい。身体器官が表現された医療画像は、少なくとも1つの脳領域を含む3次元T1 MR画像であってもよい。身体臓器が表現された医療画像は、前述の例に限定されず、X線画像、CT画像など、撮影により取得された身体臓器に関連する画像を全て含むことができる。
【0048】
図2は、本開示の一実施例におけるネットワーク関数を示す概略図である。
【0049】
本明細書全体において、演算モデル、神経回路網、神経回路網モデル、サブ神経回路網モデル、ネットワーク関数、ニューラルネットワーク(neural network)は、同一の意味として用いられることが可能である。神経回路網は、一般的にノードと呼ばれる相互連結された計算単位の集合で構成されることが可能である。このようなノードは、ニューロン(neuron)と称されることも可能である。神経回路網は、少なくとも1つ以上のノードを含めて構成される。神経回路網を構成するノード(又はニューロン)は、1つ以上のリンクによって相互連結されることが可能である。
【0050】
神経回路網において、リンクを介して繋がっている1つ以上のノードは、相対的に入力ノード及び出力ノードの関係を形成することができる。入力ノード及び出力ノードの概念は相対的なものであり、あるノードに対して出力ノードとなる任意のノードは、他のノードとの関係においては入力ノードになり得るが、その逆も成立する。前述のように、入力ノードと出力ノードとの関係はリンクを中心にして成立することができる。1つの入力ノードに1つ以上の出力ノードがリンクを介して繋がることができ、その逆も成立する。
1つのリンクを介して繋がっている入力ノード及び出力ノードの関係において、出力ノードのデータは入力ノードに入力されたデータに基づきその値が決められることが可能である。ここで入力ノードと出力ノードとを相互連結するノードは加重値(weight)を持つことができる。加重値は可変的なものになり得るが、神経回路網が所望の機能を行うために、利用者またはアルゴリズムによって変わることが可能である。例えば、1つの出力ノードに1つ以上の入力ノードが各リンクによって相互連結されている場合、出力ノードは前記出力ノードに繋がっている入力ノードに入力された値及び各入力ノードに対応するリンクに設定された加重値に基づき出力ノードの値を決定することができる。
【0051】
前述のように、神経回路網は、1つ以上のノードが1つ以上のリンクを介して相互連結され神経回路網の中で入力ノードと出力ノードの関係を形成する。神経回路網において、ノードとリンクの数及びノードとリンクとの間の相関関係、各リンクに付与された加重値の値によって、神経回路網の特性が決まることが可能である。例えば、同数のノード及びリンクが存在し、リンクの加重値の値がそれぞれ異なる2つの神経回路網が存在する場合、その2つの神経回路網を、相異なるものと認識することができる。
【0052】
神経回路網は、1つ以上のノードの集合で構成することができる。神経回路網を構成するノードの部分集合は、レイヤー(layer)を構成できる。神経回路網を構成する複数のノードのうち一部は、第1入力ノードからの距離に基づき、1つのレイヤー(layer)を構成することができる。例えば、第1入力ノードからの距離がnであるノードの集合は、nレイヤーを構成することができる。第1入力ノードからの距離は、第1入力ノードから当該ノードに到達するために経由しなければならないリンクの最小限の数を基に定義することができる。しかし、このようなレイヤーの定義は、説明のために任意に取り挙げたものであり、神経回路網の中におけるレイヤーの構成は、前述の説明と異なる方法で定義されることができる。例えば、ノードのレイヤーは、最終出力ノードからの距離を基に定義することもできる。
【0053】
第1入力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係においてリンクを経由せずにデータが直接入力される1つ以上のノードを意味することができる。または、神経回路網のネットワークの中で、リンクを基準にしたノード間の関係において、リンクを介して繋がっている他の入力ノードを持たないノードを意味することができる。これと同様に、最終出力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係において、出力ノードを持たない1つ以上のノードを意味することができる。また、ヒドンノードは、第1入力ノード及び最終出力ノードではないノードで、神経回路網を構成するノードを意味することができる。
【0054】
本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードと同数で、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が一度減ってから、再び増加する形の神経回路網になり得る。本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より少なく、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が減少していく形の神経回路網になり得る。また、本開示の他の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より多く、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が増加していく形の神経回路網になり得る。本開示の他の一実施例における神経回路網は、上述の神経回路網を組み合わせた形の神経回路網になり得る。
【0055】
ディープニューラルネットワーク(DNN:deep neural network、深層神経回路網)は、入力レイヤーと出力レイヤー以外に複数のヒドンレイヤーを含む神経回路網を意味することができる。ディープニューラルネットワークを利用するとデータの潜在的な構造(latent structures)を把握することができる。つまり、写真、文章、ビデオ、音声、音楽の潜在的な構造(例えば、ある物が写真に映っているか、文章の内容と感情はどのようなものなのか、音声の内容と感情はどのようなものなのか等)を把握することができる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)、リカレントニューラルネットワーク(RNN;:recurrent neural network)、オートエンコーダー(auto encoder)、GAN(Generative Adversarial Networks)、制限ボルツマンマシン(RBM:restricted boltzmann machine)、深層信頼ネットワーク(DBN:deep belief network)、Qネットワーク、Uネットワーク、シャムネットワーク、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)等を含むことができる。前述のディープニューラルネットワークは、例示に過ぎず本開示はこれらに限定されない。
【0056】
本開示の一実施例において、ネットワーク関数は、オートエンコーダー(autoencoder)を含むこともできる。オートエンコーダーは、入力データに類似した出力データを出力するための人工神経回路網の一種になり得る。オートエンコーダーは、少なくとも1つのヒドンレイヤーを含むことができ、奇数個のヒドンレイヤーが入出力レイヤーの間に配置されることができる。各レイヤーのノード数は、入力レイヤーのノード数から、ボトルネックレイヤー(エンコード)という中間レイヤーに向かって減っていき、ボトルネックレイヤーから出力レイヤー(入力レイヤーと対称を成す)に向かって、縮小と対称する形で、拡張することもできる。オートエンコーダーは、非線形次元減少を行うことができる。入力レイヤー及び出力レイヤーの数は、入力データの前処理後に次元に対応することができる。オートエンコーダー構造において、エンコーダーに含まれたヒドンレイヤーのノードの数は、入力データから遠くなるほど減っていく構造を持つことができる。ボトルネックレイヤー(エンコーダーとデコーダーの間に位置する、ノードの数が最も少ないレイヤー)のノードの数が少なすぎる場合、十分な量の情報が伝わらない可能性があるため、特定の数以上(例えば、入力レイヤーの半分以上等)に維持されることもあり得る。
【0057】
ニューラルネットワークは、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi supervised learning)、または、強化学習(reinforcement learning)のうち、少なくともいずれか1つの方式で学習されることができる。ニューラルネットワークの学習は、ニューラルネットワークが特定の動作を行うための知識をニューラルネットワークに提供する過程になり得る。
【0058】
ニューラルネットワークは、出力のエラーを最小化する方向で学習されることが可能である。ニューラルネットワークの学習において、繰り返し学習データをニューラルネットワークに入力させ、学習データに関するニューラルネットワークの出力とターゲットのエラーを計算し、エラーを減らすための方向としてニューラルネットワークのエラーをニューラルネットワークの出力レイヤーから入力レイヤーの方向へ逆伝播(back propagation)してニューラルネットワークの各ノードの加重値を更新するプロセスが行われる。教師あり学習の場合、個々の学習データに正解がラベリングされている学習データを使い(つまり、ラベリングされた学習データ)、教師なし学習の場合は、個々の学習データに正解がラベリングされていない場合がある。つまり、例えばデータ分類に関する教師あり学習における学習データは、学習データの各々にカテゴリがラベリングされたデータになり得る。ラベリングされた学習データがニューラルネットワークに入力され、ニューラルネットワークの出力(カテゴリ)と学習データのラベルを比較することでエラー(error)を計算することが可能である。他の例として、データ分類に関する教師なし学習の場合、入力である学習データをニューラルネットワークの出力と比較することでエラーを計算することが可能である。計算されたエラーは、ニューラルネットワークにおいて逆方向(つまり、出力レイヤーから入力レイヤー方向)へ逆伝播され、逆伝播を通じてニューラルネットワークの各レイヤーの各ノードの連結加重値を更新することが可能である。更新される各ノードの連結加重値は、学習率(learing rate)によって変化量が決まることが可能である。入力データに対するニューラルネットワークの計算とエラーの逆伝播は、学習のサイクル(epoch)を構成することができる。学習率は、ニューラルネットワークの学習のサイクルの反復回数によって適用方式が変わることが可能である。例えば、ニューラルネットワークの学習初期においては、学習率を高くしてニューラルネットワークが早く一定のレベルの性能を確保するようにすることで効率を高め、学習の後半においては学習率を低くして精度を上げることが可能である。
【0059】
ニューラルネットワークの学習において、一般的に学習データは実際のデータ(つまり、学習されたニューラルネットワークを利用して処理しようとするデータ)の部分集合であることが可能であり、そのため学習データに係るエラーは減少するが、実際のデータに係るエラーは増加する学習サイクルが存在し得る。過剰適合(over fitting)は、このように学習データについて過度に学習したため、実際のデータにおいてエラーが増加する現象である。例えば、黄色い猫を見て猫を学習したニューラルネットワークが、黄色以外の色の猫を見ると猫であることを認識できない現象が過剰適合の一種になり得る。過剰適合は、マシンラーニングアルゴリズムのエラーを増加させる原因になり得る。このような過剰適合を防ぐために、多様な最適化方法を適用できる。過剰適合を防ぐためには、学習データを増加させる方法、正則化(regulaization)、学習の過程でネットワークのノードの一部を非活性化するドロップアウト(drop out)、バッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)の活用等の方法を適用できる。
【0060】
図3は、本開示の一実施例に基づく、心電図記述情報の生成及び統合方法に係るフローチャートである。
【0061】
S310段階において、コンピューティング装置(100)のプロセッサー(110)は、心電図測定装置から少なくとも1つの心電図データを受信することが可能である。心電図データは、心電図測定装置において2つの電極間の電位差に基づき計算された、1つ以上のリードで構成されることが可能である。ここで心電図データは、心電図測定装置の電極を介して心電図測定装置へ受信されたデータを意味することも、コンピューティング装置(100)に直接繋がっている電極から受信されたデータを意味することも可能である。
【0062】
段階S320において、プロセッサー(110)は、段階S310において受信された心電図データを、一定の長さを持つ複数のサンプルに分割し、分割された複数のサンプルの各々に係る心電図記述情報を生成することが可能である。ここで複数のサンプルの長さは、心電図記述情報を生成するための心電図記述モデルが分析できる長さであることが可能である。
【0063】
段階S330において、プロセッサー(110)は、分割された複数のサンプルに係る複数の心電図記述情報を1つに統合し、単一の心電図記述情報を生成することが可能である。この場合、上記プロセッサー(110)は、上記分割された複数のサンプルの各々に対し、平滑化プロセスを実行し、単一の心電図記述情報を生成することも可能である。平滑化の具体的なプロセスは、
図5を用いて後述する。
【0064】
図4は、本開示の一実施例に基づく、コンピューティング装置の心電図記述情報の生成プロセスを示すブロック構成図である。
【0065】
タイプの異なる複数の心電図測定装備の中の1つから、上記1つ以上の各リードにより測定された心電図データ(411)が受信される。このように受信された心電図データの全て(410)に対し、心電図記述モデル(420)が分析できる長さに分割することで複数のサンプルを生成する作業が行われることが可能である。心電図記述モデルは、心電図記述情報のうち、ラベリング(Labeling)のペアが1つ以上含まれている心電図データを学習セットにして学習された深層学習モデルであることが可能であるが、本開示はこれに限定されない。
【0066】
分割された複数の心電図データサンプル(412)は、心電図記述モデル(420)により分析され、複数のサンプルの各々と対応する心電図記述情報(431)が生成されることが可能である。心電図記述情報(431)の各々には、P波(P-wave)の位置情報、QRS群(QRS-complex)の位置情報、又はT波(T-wave)の位置情報が含まれることが可能である。
【0067】
一方、プロセッサー(110)は、上記複数のサンプルの各々に係る心電図記述情報(431)から、2次的にP波(P-wave)の振幅情報、QRS群(QRS-complex)の振幅情報、又はT波(T-wave)の振幅情報を導出することが可能であるが、本開示はこれに限定されない。
【0068】
一方、プロセッサー(110)により、複数のサンプルに係る心電図記述情報の集合(430)に対し、平滑化作業後に統合プロセスが実行される。統合プロセスを経て、単一の心電図記述情報(440)が生成されることが可能である。平滑化の具体的なプロセスは、
図5を用いて後述する。
【0069】
一方、心電図記述情報(440)から、心電図特性が抽出されることが可能である。心電図特性に関する具体的な説明は、
図6を用いて後述する。統合された心電図記述情報(440)は、その中に複数の心拍動を含むことが可能であり、心拍動ごとに心電図特性の値は僅かに変わることが可能である。従って、患者に対する診断を円滑に行うために、統合された心電図記述情報から、心拍単位で心電図特性を抽出し、その抽出されたものから心電図特性の代表値が抽出されることが可能である。例えば、代表値を抽出するために、心拍単位の心電図特性ごとに平均を求め、その平均から心拍単位の心電図特性の標準偏差の倍数よりさらに遠く離れている特性を除いたうえで、再び平均を求め、その値を各心電図特性の代表値として使うことが可能である。
【0070】
一方、前述の例示において、心拍リズムの異常や心臓疾患がある場合、心電図特性を抽出する方法は変わってくることが可能である。例えば、心房細動の患者から心電図が測定された場合、患者の心電図において心電図特性のうちR波の最大点(R-peak)が存在しないため、心電図特性のうちPR間隔(PR-interval)の値が定義されてはならない。従って、かかる場合は、P波(P-wave)の数とR波の最大点の数の比率を計算し、その値がしきい値を超えない場合は、心電図特性のうちPR間隔(PR-interval)は存在しないと定義されることが可能である。
【0071】
図5は、本開示の一実施例に基づく、心電図記述情報の平滑化プロセスの1つを示す概念図である。
図5を参照すると、プロセッサー(110)は、各リードと対応する心電図記述情報について、測定装備の出力ノイズ(output noise)を補正するために、複数のサンプルに係る心電図記述情報を平滑化することが可能である。例えば、コンピューティング装置(100)は、各々のリードについて生成された心電図記述情報に対し、固定されたサンプルの長さのウィンドウを指定し、ウィンドウの中にある結果値のうち最頻値を全てのウィンドウに適用する方法で、平滑化を行うことが可能であるが、本開示はこれに限定されない。
【0072】
図6は、一般的な心電図記述データから抽出できる複数の心電図特性を示す概念図である。心電図特性は、心拍リズムの異常及び心臓疾患の有無を把握する指標となる分割領域(segment)に係る情報であり、RR-間隔(RR-interval)、QRS持続期間(QRS duration)(620)、QT間隔(QT interval)(650)、又はQT-補正間隔(QT-corrected interval)を含むことが可能であるが、本開示はこれに限定されない。
【0073】
本開示の一実施例に基づき、データ構造を保存したコンピューター可読保存媒体が開示される。
【0074】
データ構造は、データに効率的なアクセスおよび修正を可能にするデータの組織、管理、保存を意味することができる。データ構造は、特定の問題(例えば、最短時間でデータ検索、データ保存、データ修正)を解決するためのデータ組織を意味することができる。データ構造は、特定のデータ処理機能をサポートするように設計されたデータ要素間の物理的または論理的な関係と定義することもできる。データ要素間の論理的な関係は、ユーザーが考えるデータ要素間の連結関係を含むことができる。データ要素間の物理的な関係は、 コンピューター可読保存媒体(例えば、ハードディスク)に物理的に保存されているデータ要素間の実際の関係を含むことができる。データ構造は具体的にデータの集合、データ間の関係、データに適用できる関数またはコマンドを含むことができる。効果的に設計されたデータ構造により、コンピューティング装置はコンピューティング装置のリソースを最小限に使用しながら計算を行うことができる。具体的にコンピューティング装置は効果的に設計されたデータ構造を通じて演算、読み取り、挿入、削除、比較、交換、検索の効率性を高めることができる。
【0075】
データ構造はデータ構造の形態によって線形データ構造と非線形データ構造に区分されることができる。線形データ構造は、一つのデータの後に一つのデータだけが連結される構造である可能性がある。線形データ構造はリスト(List)、スタック(Stack)、キュー(Queue)、デッキ(Deque)を含むことができる。リストは、内部的に順序が存在する一連のデータセットを意味することが可能である。リストは連結リスト(Linked List)を含むことができる。連結リストはそれぞれのデータがポインタを持って一列に連結されている方式でデータが連結されたデータ構造でありうる。連結リストでポインタは、次や以前のデータとの連結情報を含むことができる。連結リストは形態によって単一連結リスト、二重連結リスト、円形連結リストで表現できる。スタックは制限的にデータにアクセスできるデータリスト構造である可能性がある。スタックは、データ構造の片端でのみデータを処理(例えば、挿入または削除)できる線形データ構造である可能性がある。スタックに保存されたデータは、遅く入るほど早く出てくるデータ構造(LIFO-Last in First Out)である可能性がある。キューは制限的にデータにアクセスできるデータ羅列構造であり、スタックとは異なり遅く保存されたデータほど遅く出てくるデータ構造(FIFO-FirstinFirstOut)であることができる。デッキはデータ構造の両端でデータを処理できるデータ構造になり得る。
【0076】
非線形データ構造は、一つのデータの後に複数のデータが連結される構造である可能性がある。非線形データ構造はグラフ(Graph)データ構造を含むことができる。グラフデータ構造は頂点(Vertex)と幹線(Edge)で定義でき、幹線は互いに異なる二つの頂点を連結する線を含むことができる。グラフデータ構造ツリー(Tree)データ構造を含むことができる。ツリーデータ構造はツリーに含まれる複数の頂点のうち、互いに異なる2つの頂点を連結させる経路が一つのデータ構造になり得る。すなわち、グラフデータ構造でループ(loop)を形成しないデータ構造になり得る。
【0077】
本明細書にかけて、演算モデル、 神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワークは同じ意味で使用できる。(以下ではニューラルネットワークで統一して記述する。)データ構造はニューラルネットワークを含むことができる。そして、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造はまた、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークの学習のための損失関数を含むことができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造は、前記開示された構成のうち任意の構成要素を含むことができる。すなわち、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークのトレーニングのための損失関数など、全部またはこれらの任意の組み合わせを含んで構成されることができる。前述した構成以外にも、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークの特性を決定する任意の他の情報を含むことができる。また、データ構造は、ニューラルネットワークの演算過程で使用されたり発生するすべての形態のデータを含むことができ、前述の事項に制限されるわけではない。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読記録媒体および/またはコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。ニューラルネットワークは、一般的にノードと呼ばれる相互接続された計算単位の集合で構成されることができる。このようなノードはニューロン(neuron)と呼ばれることができる。ニューラルネットワークは、少なくとも1つ以上のノードを含んで構成される。
【0078】
データ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、ニューラルネットワークの学習過程で入力される学習データおよび/または学習が完了したニューラルネットワークに入力される入力データを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、前処理(pre-processing)を経たデータおよび/または前処理対象となるデータを含むことができる。前処理はデータをニューラルネットワークに入力させるためのデータ処理過程を含むことができる。したがって、データ構造は前処理対象となるデータおよび前処理で発生するデータを含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0079】
データ構造は、ニューラルネットワークの加重値を含むことができる。(本明細書で加重値、パラメータは同じ意味で使用できる。) そして、神経回路網の加重値を含むデータ構造はコンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークは、複数の加重値を含むことができる。加重値は可変的であり、ニューラルネットワークが望む機能を遂行するために、ユーザーまたはアルゴリズムによって可変することができる。例えば、一つの出力ノードに一つ以上の入力ノードがそれぞれのリンクによって相互接続された場合、出力ノードは前記出力ノードと連結された入力ノードに入力された値及びそれぞれの入力ノードに対応するリンクに設定されたパラメータに基づいて出力ノード値を決定することができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0080】
制限ではなく例として、加重値は神経回路網学習過程で可変する加重値および/または神経回路網学習が完了した加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値は、学習サイクルが始まる時点の加重値および/または学習サイクルの間に可変される加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習が完了した加重値は、学習サイクルが完了した加重値を含むことができる。したがって、ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値および/またはニューラルネットワーク学習が完了した加重値を含むデータ構造を含むことができる。したがって、上述した加重値および/または各加重値の組み合わせは、神経回路網の加重値を含むデータ構造に含まれるものとする。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0081】
ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、直列化(serialization)過程を経た後、コンピューター可読保存媒体(例えば、メモリ、ハードディスク)に保存されることができる。直列化は、データ構造を同一または他のコンピューティングデバイスに保存し、後で再構成して使用できる形態に変換する過程である可能性がある。コンピューティングデバイスは、データ構造を直列化し、ネットワークを介してデータを送受信することができる。直列化されたニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、逆直列化(deserialization)を通じて同じコンピューティング装置または他のコンピューティング装置で再構成されることができる。ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、シリアル化に限定されるものではない。さらに、神経回路網の加重値を含むデータ構造は、コンピューティング装置の資源を最小限に使用しながら演算の効率を高めるためのデータ構造(例えば、非線形データ構造でB-Tree、Trie、m-way search tree、AVLtree、Red-Black Tree)を含むことができる。前述の事項は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0082】
データ構造は、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ(Hyper-parameter)を含むことができる。そして、ニューラルネットワークのハイパーパラメータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ハイパーパラメータは、ユーザーによって可変される変数である可能性がある。ハイパーパラメータは、例えば、学習率(learning rate)、コスト関数(cost function)、学習サイクル反復回数、加重値初期化(例えば、加重値初期化対象となる加重値の範囲設定)、Hidden Unit個数(例えば、ヒドゥンレイヤーの個数、ヒドゥンレイヤーのノード数)を含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0083】
図7は、本開示の実施例が具現化されることのできる例示的なコンピューティング環境に係る簡略で一般的な概略図である。
【0084】
本開示が一般的にコンピューティング装置により具現化されることができると前述されているが、当業者であれば本開示が一つ以上のコンピューター上で実行されることのできるコンピューター実行可能命令及び/またはその他のプログラムモジュールと結合して及び/またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして具現化されることができるということをよく理解できるだろう。
【0085】
一般的に、本明細書におけるモジュールは、特定のタスクを実行したり特定の抽象的なデータ類型を実装するルーティン、プログラム、コンポーネント、データ構造、その他等々を含む。また、当業者なら本開示の方法がシングルプロセッサーまたはマルチプロセッサーコンピューターシステム、ミニコンピューター、メインフレームコンピューターはもちろん、パーソナルコンピューター、ハンドヘルド(handheld)コンピューティング装置、マイクロプロセッサー基盤、またはプログラム可能な家電製品、その他等々(これらは、それぞれ1つ以上の関連する装置と繋がって動作することができる)をはじめとする、他のコンピューターシステムの構成によって実施されることができることをよく理解できるだろう。
【0086】
本開示において説明された実施例は、さらに、あるタスクが通信ネットワークを通じて繋がっている遠隔処理装置によって実行される分散コンピューティング環境で実施されることができる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルや遠隔メモリー保存装置の両方に位置することができる。
【0087】
コンピューターは、多様なコンピューター可読媒体を含む。コンピューターによってアクセス可能な媒体はいずれもコンピューター可読媒体になり得るが、このようなコンピューター可読媒体は揮発性及び非揮発性媒体、一時的(transitory)及び非一時的(non-transitory)媒体、移動式及び非-移動式媒体を含む。制限ではなく例として、コンピューター可読媒体は、コンピューター可読保存媒体及びコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータのような情報を保存する任意の方法又は技術により実装される揮発性及び非揮発性媒体、一時的及び非-一時的媒体、移動式及び非移動式媒体を含む。コンピューター可読保存媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリーまたはその他のメモリー技術、CD-ROM、DVD(digital video disk)またはその他の光ディスク保存装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク保存装置またはその他の磁気保存装置、またはコンピューターによってアクセスされることができ、情報を保存するのに使われることのできる任意のその他の媒体を含むが、これに限定されない。
【0088】
コンピューター可読伝送媒体は、通常、搬送波(carrier wave)またはその他の伝送メカニズム(transport mechanism)のような被変調データ信号(modulated data signal)にコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたはその他のデータ等を実装し、すべての情報伝達媒体を含む。被変調データ信号という用語は、信号の中で情報をエンコードするように、その信号の特性のうち1つ以上を設定または変更した信号を意味する。制限ではなく例として、コンピューター可読伝送媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続(direct-wired connection)のような有線媒体、そして音響、RF、赤外線、その他の無線媒体のような無線媒体を含む。前述の媒体のいずれかによる任意の組み合わせもまたコンピューター可読伝送媒体の範囲に含まれるものとする。
【0089】
コンピューター(1102)を含む本開示の多様な側面を実現する例示的な環境(1100)が示されており、コンピューター(1102)は、処理装置(1104)、システムメモリー(1106)、システムバス(1108)を含む。システムバス(1108)は、システムメモリー(1106)(これに限定されない)をはじめとするシステムコンポーネントを処理装置(1104)につなげる。処理装置(1104)は、多様な商用プロセッサーのうち任意のプロセッサーになり得る。デュエルプロセッサーとその他のマルチプロセッサーアーキテクチャもまた処理装置(1104)として利用されることができる。
【0090】
システムバス(1108)は、メモリーバス、周辺装置バス、そして多様な商用バスアーキテクチャの中から、任意のものを使用するローカルバスにさらに相互連結されることのできる複数の類型のバス構造のうちいずれかになり得る。システムメモリー(1106)は、読み取り専用メモリー(ROM)(1110)やランダムアクセスメモリー(RAM)(1112)を含む。基本的な入出力システム(BIOS)は、ROM、EPROM、EEPROM等の非揮発性メモリー(1110)に保存され、このBIOSは、起動中の時等にコンピューター(1102)の中の複数の構成要素間の情報のやりとりをサポートする基本的なルーティンを含む。RAM(1112)は、またデータをキャッシュするための静的RAM等の高速RAMを含むことができる。
【0091】
コンピューター(1102)においては、また、内蔵型ハードディスクドライブ(HDD)(1114)(例えば、EIDE、SATA)―この内蔵型ハードディスクドライブ(1114)はまた適切なシャシー(図示は省略)の中で外付け型の用途で構成されることができる―、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)(1116)(例えば、移動式ディスケット(1118)から読み取ったりそれに書き込むためのものである)及び光ディスクドライブ(1120)(例えば、CD-ROMディスク(1122)を読み取ったり、DVD等のその他の高容量光媒体から読み取ったり、それに書き込むためのものである)を含む。ハードディスクドライブ(1114)、磁気ディスクドライブ(1116)及び光ディスクドライブ(1120)は、それぞれハードディスクドライブインターフェース(1124)、磁気ディスクドライブインターフェース(1126)及び光ドライブインターフェース(1128)によってシステムバス(1108)に繋がることができる。外付け型ドライブの実装のためのインターフェース(1124)は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394インターフェース技術のうち、少なくとも1つまたはその両方を含む。
【0092】
これらのドライブ及びこれらに係るコンピューター可読媒体は、データ、データ構造、コンピューターで実行可能な命令、その他等々の非揮発性保存を提供する。コンピューター(1102)の場合、ドライブ及び媒体は、任意のデータを適切なデジタル形式に保存することに対応する。前述におけるコンピューター可読保存媒体に係る説明が、HDD、移動式磁気ディスク及びCDまたはDVD等の移動式光媒体について触れているが、当業者ならジップドライブ(zip drive)、磁気カセット、フラッシュメモリーカード、カートリッジ、その他等々のコンピューターにより読み取り可能な他の類型の保存媒体もまた例示的な運営環境で使われることができ、さらに、このような媒体のうち任意のある媒体が、本開示の方法を実行するためのコンピューターで実行可能な命令を含むことができることをよく理解できるだろう。
【0093】
運営システム(1130)、1つ以上のアプリケーションプログラム(1132)、その他のプログラムモジュール(1134)及びプログラムデータ(1136)をはじめとする多数のプログラムモジュールが、ドライブ及びRAM(1112)に保存されることができる。運営システム、アプリケーション、モジュール及び/またはデータの全部またはその一部分がまたRAM(1112)にキャッシュされることができる。本開示が商業的に利用可能な様々な運営システムまたは複数の運営システムの組み合わせにより実装されることができることをよく理解できるだろう。
【0094】
ユーザーは、1つ以上の有線・無線の入力装置、例えば、キーボード(1138)及びマウス(1140)等のポインティング装置を通じてコンピューター(1102)に命令及び情報を入力することができる。その他の入力装置(図示は省略)としてはマイク、IRリモコン、ジョイスティック、ゲームパッド、スタイラスペン、タッチスクリーン、その他等々があり得る。これら及びその他の入力装置が、よくシステムバス(1108)に繋がっている入力装置インターフェース(1142)を通じて処理装置(1104)に繋がることがあるが、並列ポート、IEEE1394直列ポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェース、その他等々のその他のインターフェースによって繋がることができる。
【0095】
モニター(1144)または他の類型のディスプレイ装置も、ビデオアダプター(1146)等のインターフェースを通じてシステムバス(1108)に繋がる。モニター(1144)に加えて、コンピューターは一般的にスピーカー、プリンター、その他等々のその他の周辺出力装置(図示は省略)を含む。
【0096】
コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信による(複数の)遠隔コンピューター(1148)等の1つ以上の遠隔コンピューターへの論理的接続を利用し、ネットワーク化された環境で動作することができる。(複数の)遠隔コンピューター(1148)は、ワークステーション、サーバーコンピューター、ルーター、パーソナルコンピューター、携帯用コンピューター、マイクロプロセッサー基盤の娯楽機器、ピア装置またはその他の通常のネットワークノードになることができ、一般的にコンピューター(1102)について述べられた構成要素のうち、多数またはその全部を含むが、簡略化するために、メモリー保存装置(1150)のみ図示されている。図示されている論理的接続は、近距離通信網(LAN)(1152)及び/または、より大きいネットワーク、例えば、遠距離通信網(WAN)(1154)における有線・無線の接続を含む。このようなLAN及びWANのネットワーキング環境は、オフィスや会社では一般的なもので、イントラネット等の全社的コンピューターネットワーク(enterprise-wide computer network)を容易にし、これらはすべて全世界のコンピューターネットワーク、例えば、インターネットに繋がることができる。
【0097】
LANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信ネットワークインターフェース、または、アダプター(1156)を通じてローカルネットワーク(1152)に繋がる。アダプター(1156)は、LAN(1152)への有線または無線通信を容易にすることができ、このLAN(1152)は、また無線アダプター(1156)と通信するためにそれに設置されている無線アクセスポイントを含む。WANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、モデム(1158)を含むことができたり、WAN(1154)上の通信サーバーに繋がったり、またはインターネットを通じる等、WAN(1154)を通じて通信を設定するその他の手段を持つ。内蔵型又は外付け型、そして、有線または無線装置になり得るモデム(1158)は、直列ポートインターフェース(1142)を通じてシステムバス(1108)に繋がる。ネットワーク化された環境において、コンピューター(1102)について説明されたプログラムモジュールまたはその一部分が、遠隔メモリー/保存装置(1150)に保存されることができる。図示されたネットワーク接続が例示的なものであり、複数のコンピューター間で通信リンクを設定する他の手段が使われることができるということは容易に理解できることである。
【0098】
コンピューター(1102)は、無線通信で配置されて動作する任意の無線装置またはユニット、例えば、プリンター、スキャナー、デスクトップ及び/または携帯用コンピューター、PDA(portable data assistant)、通信衛星、無線で検出可能なタグに係る任意の装備または場所及、及び電話と通信する動作をする。これは、少なくともWi-Fi及びブルートゥース(登録商標)無線技術を含む。従って、通信は、従来のネットワークのように予め定義された構造であったり、単純に少なくとも2つの装置の間でのアドホック通信(ad hoc communication)になり得る。
【0099】
Wi-Fi(Wireless Fidelity)は、有線で繋がっていなくても、インターネット等への接続を可能にする。Wi-Fiは、このような装置、例えば、コンピューターが室内及び室外で、つまり基地局の通話圏内のどこからでもデータを送受信できるようにするセル電話のような無線技術である。Wi-Fiネットワークは、安全で信頼性があり、高速である無線接続を提供するためにIEEE802.11(a、b、g、その他)という無線技術を使う。コンピューターを互いに、インターネット及び有線ネットワーク(IEEE802.3またはイーサネットを使う)に接続するためにWi-Fiが使われることができる。Wi-Fiネットワークは、非認可2.4や5GHzの無線帯域において、例えば、11Mbps(802.11a)または54Mbps(802.11b)のデータレートで動作したり、両帯域(デュエル帯域)を含む製品において動作することができる。
【0100】
本開示の技術分野における通常の知識を持つ者は情報及び信号が任意の多様な異なる技術及び手法を利用して示されることができることを理会できる。例えば、前記の説明において参照できるデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁気派、磁場等または粒子、光学場等または粒子、またはこれらの任意の組み合わせによって示されることができる。
【0101】
本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、ここに開示された実施例に係る説明で取り挙げられた多様な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサー、手段、回路、アルゴリズム段階が電子ハードウェア、(利便性のために、ここでは「ソフトウェア」と称される)多様な形のプログラムまたは設計コード、またはこれらすべての結合により実装されることができることを理解できるだろう。ハードウェア及びソフトウェアのこのような相互互換性を明確に説明するために、多様な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及び段階がこれらの機能に着目して前記で一般的に説明された。このような機能がハードウェアやソフトウェアで実装されるかどうかは、特定のアプリケーションおよび全体システムに対して付与される設計上の制限によって決まる。本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、個々の特定のアプリケーションについて多様な手法で説明された機能を実現することができるが、このような実現の決定は、本開示の範囲を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0102】
ここに示された多様な実施例は、方法、装置、または標準プログラミング及び/またはエンジニアリング技術を使った製造物品(article)によって実現できる。用語「製造物品」は、任意のコンピューターで可読な装置からアクセス可能なコンピュータープログラム、キャリアー、または媒体(media)を含む。例えば、コンピューターで可読保存媒体は、磁気保存装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ等)、光学ディスク(例えば、CD、DVD等)、スマートカード及びフラッシュメモリー装置(例えば、EEPROM、カード、スティック、キードライブ等)を含むが、これらに限定されるものではない。また、ここに示されている多様は保存媒体は、情報を保存するための1つ以上の装置及び/または他の機械可読媒体を含む。
【0103】
示されたプロセスにおける複数の段階の特定の順番または階層構造は、例示的なアプローチの一例であることを理解すべきである。設計上の優先順位に基づき、本開示の範囲内で、プロセスにおける段階の特定の順番または階層構造が再配列されることができることを理解すべきである。添付の方法請求項は、サンプルとしての順番で、多様な段階のエレメントを提供するが、示された特定の順番または階層構造に限定されることを意味するわけではない。
【0104】
示された実施例に関する説明は、任意の本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が、本開示を利用したりまたは実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものであり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【国際調査報告】