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特表2025-504707光触媒顆粒状物質及びそのための調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-17
(54)【発明の名称】光触媒顆粒状物質及びそのための調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/39 20240101AFI20250207BHJP
   C01G 23/053 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B01J35/39
C01G23/053
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538678
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 KR2022021082
(87)【国際公開番号】W WO2023121350
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184890
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518033439
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ シビル エンジニアリング アンド ビルディング テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF CIVIL ENGINEERING AND BUILDING TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】(Daehwa-dong)283, Goyang-daero,Ilsanseo-gu Goyang-si Gyeonggi-do 10223,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クー、ヒュン-ボン
(72)【発明者】
【氏名】クワーク、ジョン-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、セオン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キ、ユン-ジョン
【テーマコード(参考)】
4G047
4G169
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CA06
4G047CB05
4G047CC03
4G047CD03
4G169AA08
4G169BA04A
4G169BA48A
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC04A
4G169BC50A
4G169CA11
4G169DA05
4G169EA02X
4G169EC25
4G169EC27
4G169EE01
4G169FB10
4G169FB15
4G169FB23
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB58
4G169FB61
4G169FB63
4G169FC07
4G169FC09
4G169FC10
4G169HA01
4G169HB01
4G169HB02
4G169HB06
4G169HD03
4G169HE07
(57)【要約】
【要約】
光触媒改質方法、それにより改質された光触媒結晶を含む光触媒顆粒状物質、及びそのための調製方法が開示され、光触媒改質方法は:光触媒の単原子層を分離させるために、光触媒を少なくとも100℃又はそれより高い温度でアルカリ性溶液と反応させることによって光触媒を水熱合成する段階;及び光触媒の結晶が管形状を有するように、水熱合成された光触媒を処理する段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒改質方法であって:
光触媒の単原子層を分離させるように、水熱合成を実施して前記光触媒を100℃又はそれより高い温度でアルカリ性溶液と反応させる段階;及び
前記光触媒の結晶が管形状を有するように前記水熱合成された光触媒を処理する段階
を備える、光触媒改質方法。
【請求項2】
前記水熱合成を前記実施する段階が、前記光触媒を前記アルカリ性溶液と混合することによって、前記光触媒を100℃から130℃の温度で反応させることである、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項3】
前記アルカリ性溶液が、Li、Na、及びKのうちの少なくとも1つを含有する、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項4】
前記光触媒がアナターゼ相を有する、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項5】
前記処理する段階が、前記水熱合成された光触媒を乾燥させる段階を有する、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項6】
前記処理する段階が、前記水熱合成された光触媒を焼成する段階を有する、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項7】
前記アルカリ性溶液が、Na及びKのうちの少なくとも1つを含有し、前記光触媒がアナターゼ相を有する、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項8】
前記アルカリ性溶液がNaOH及びKOHのうちの少なくとも1つを含有し、前記水熱合成を前記実施する段階が、超音波と同等のエネルギーによって、前記アナターゼ相を有する前記光触媒を前記アルカリ性溶液中に分散させ、次に、前記光触媒を100℃から130℃の温度で15から20時間にわたってアルカリ性溶液と反応させることによって前記水熱合成を実施することである、請求項7に記載の光触媒改質方法。
【請求項9】
前記光触媒が酸化チタン又はメタチタン酸である、請求項1に記載の光触媒改質方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の光触媒改質方法によって改質された複数の光触媒結晶を有する光触媒を備える、光触媒顆粒状物質。
【請求項11】
光触媒顆粒状物質調製方法であって:
請求項1から9のいずれか一項に記載の光触媒改質方法によって改質された光触媒を調製する段階;
前記改質された光触媒を蒸留水と混合することによって光触媒ペーストを生成する段階;
前記光触媒ペーストを顆粒へと成形する段階;及び
前記成形された顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒を形成する段階
を備える、光触媒顆粒状物質調製方法。
【請求項12】
前記光触媒ペーストを前記生成する段階が、前記改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られたオープンセルタイプの円形フォーム又は前記光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られた一片の糸をさらに混合することである、請求項11に記載の光触媒顆粒状物質調製方法。
【請求項13】
前記成形された顆粒を前記乾燥させる段階は、前記円形フォーム又は一片の糸の少なくとも一部が溶融されるように、前記成形された顆粒を前記円形フォーム又は前記一片の糸の前記融点より高い温度で乾燥させることである、請求項12に記載の光触媒顆粒状物質調製方法。
【請求項14】
前記円形フォーム又は前記一片の糸が、ポリエチレン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つを含有する材料で作られている、請求項12に記載の光触媒顆粒状物質調製方法。
【請求項15】
光触媒顆粒状物質調製方法であって:
液体光触媒で顆粒をコーティングする段階;及び
前記液体光触媒でコーティングされた前記顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒を形成する段階
を備え、
前記液体光触媒での前記顆粒の前記コーティングが、前記顆粒を前記液体光触媒に浸すこと、又は前記液体光触媒を前記顆粒上に噴霧させることであり、前記液体光触媒は、請求項1から9のいずれか一項に記載の光触媒改質方法によって改質された光触媒を含み、前記顆粒は前記光触媒を含有しない材料である
光触媒顆粒状物質調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光触媒顆粒状物質及びそのための調製方法に関する。本開示の一実施形態は、有機物分解、細菌除去、及びウイルス除去のうちの少なくとも1つを実施することが可能な光触媒顆粒状物質、及びそれを調製するための方法に関する。
【0002】
この研究は、2021年のKICT(韓国建設技術研究院)のメジャープログラム(プロジェクト番号:20210218-001、研究プロジェクト名:建設業界革新の企業サポート及び性能拡大、寄与率:1/2)の「光触媒改質技術及び空調フィルタ開発」プロジェクト、及び、2022年のKICTのメジャープログラム(プロジェクト番号:20220238-001、研究プロジェクト名:安全、セキュリティ、地上輸送技術開発、寄与率:1/2)の「ウイルス災害応答のための緊急モジュールシステムの開発_感染症の拡大を防止することができ、迅速な応答を可能にするモジュール設備及び隔離システムの開発」プロジェクトからの研究助成金によりサポートされた。
【背景技術】
【0003】
新たな/変異型のウイルスの大規模な発生により、人の命及び安全性が脅威に晒され、国民経済に深刻な損害がもたらされ得る。
【0004】
我々は、2003年のSARS、2009年の豚インフルエンザ、2015年のMERS、及び2020年のCOVID-19を含む、2000年代の新たな高リスクの呼吸器感染症の国内への到来により、ショック及び恐怖を継続的にかつ繰り返し経験している。これらの呼吸器感染症は、感染した人によって咳などを通して吐き出された感染性病原体(病原ウイルス又は細菌)が、感染していない人の気道を通して進入したときに広がるという特徴を有する。実際に、屋内の生活環境内の空気が感染性病原体によって汚染されて、感染症が深刻に広まる場合が頻繁に生じている。加えて、経済損失の観点からでさえ、2015年のMERSによってもたらされた社会的及び経済的損失の規模は10兆8448億韓国ウォンと報告されており、特に、COVID-19からの損失の規模は天文学的となることが予期される。
【0005】
この理由から、感染症に対応し、安全かつセキュアな生活環境を作るための有効な自宅隔離技術への関心及びその必要性が現在、国際的に高まっている。事実、海外の感染症の入口である入管施設、感染症を有する患者が集まる病院施設、感染症に罹りやすい人が住んでいる高齢者及び介護施設、幼児及びティーンエイジャーが一緒に住んでいる教育施設及び託児所、及び不特定多数の人が頻繁に入って利用する公共施設及び公共交通機関などにおいて、感染性病原体の汚染を管理して、感染症の拡大を抑制して損失を最小化することが非常に重要である。
【0006】
高リスクの呼吸器感染症が拡大するリスクを最小化した安全かつセキュアな生活環境を作るべく、空気感染性病原体を有効に除去することができる自宅隔離技術が必要とされている。特に、細塵の問題、加熱及び冷却の問題などに起因して十分な換気が困難である、又は、空間構造及び用法の特別な性質に起因して換気が不可能である密閉空間における感染症の空気拡大のリスクを最小化するべく、空気感染性病原体を常に、素早く、かつ直接的に除去することができる抗ウイルス又は抗菌特性を有する空気清浄デバイス(空気清浄機、空気除菌器、浄化及び換気デバイス)を開発する必要性が増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上で説明した関連技術の問題を解決することを意図しており、本開示の一態様は、関連技術と比較して向上した光触媒活性、及び増加した吸着能を有し、有機物及び/又は有機体の分解及び/又は酸化を可能にして、それにより有害物質(細塵前駆体又は揮発性有機化合物)及び有害な微生物(ウイルス又は細菌)を排除することができる浄化機能、抗ウイルス機能、及び抗菌機能を呈する光触媒顆粒状物質、及びこれを調製する方法を提供することである。
【0008】
しかしながら、本開示の実施形態において解決される技術的問題は、解決されるべき問題に限定ず、解決されるべき他の問題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的問題を達成するための技術的手段として、本開示の一態様による光触媒改質方法は、光触媒の単原子層を分離させるように、水熱合成を実施して光触媒を100℃又はそれより高い温度でアルカリ性溶液と反応させる段階;及び光触媒の結晶が管形状を有するように前記水熱合成された光触媒を処理する段階を含み得る。
【0010】
本開示の一態様による光触媒は、本開示の一態様による光触媒改質方法によって改質された複数の光触媒結晶を含み得る。
【0011】
本開示の一態様による光触媒顆粒状物質は、本開示の一態様による光触媒を含み得る。
【0012】
本開示の一態様による光触媒顆粒状物質を調製するための方法は:本開示の一態様による光触媒改質方法によって改質された光触媒を調製する段階;改質された光触媒を蒸留水と混合することによって光触媒ペーストを生成する段階;光触媒ペーストを顆粒(顆粒状物質)へと成形する段階;及び成形された顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒を形成する段階を含み得る。
【0013】
本開示の別の態様による光触媒顆粒状物質調製方法は:本開示の一態様による光触媒改質方法によって改質された光触媒を調製する段階;改質された光触媒を蒸留水と混合し、改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られたオープンセルタイプの円形フォーム又は光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られた一片の糸をさらに混合することによって光触媒ペーストを生成する段階;光触媒ペーストを顆粒へと成形する段階;及び成形された顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒を形成する段階を含み得る。
【0014】
本開示のさらに別の態様による光触媒顆粒状物質を調製するための方法は:液体光触媒で顆粒をコーティングする段階;及び液体光触媒でコーティングされた前記顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒を形成する段階を含んでよく、液体光触媒での顆粒のコーティングが、顆粒を液体光触媒に浸すこと、又は液体光触媒を顆粒上に噴霧させることであり得る。
【0015】
問題に対する解決策は例示に過ぎず、本開示を限定することが意図されているものと解釈されるべきではない。上で説明した実施形態に加えて、本開示の図面及び詳細な説明において追加の実施形態が存在し得る。
[有利な効果]
【0016】
上で説明した問題に対する解決策の実施形態によれば、関連技術と比較して、光触媒顆粒状物質が実装され得、光触媒活性の性能が向上し、吸着能が増加し、有機物及び/又は有機体の分解及び/又は酸化を可能にすることによって有機物除去効果が増加し、有害な微生物(ウイルス又は細菌)を不活性化させる及び/又は除去することによって浄化機能、抗ウイルス機能、及び抗菌機能が呈され得、それにより調製プロセスが単純化される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態による光触媒改質方法を示す概念図である。
【0018】
図2】本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質される前(改質されていない)光触媒(光触媒粉末)のSEM写真である。
【0019】
図3】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Liを使用することによって改質されたTi(Li-Ti)のSEM写真である。
【0020】
図4】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Naを使用することによって改質されたTi(Na-Ti)のSEM写真である。
【0021】
図5】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Kを使用することによって改質されたTi(K-Ti)のSEM写真である。
【0022】
図6A】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従った改質の前後の光触媒の表面積の測定結果を示す表である。
【0023】
図6B】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従った改質の前後の光触媒の元素分析の結果を示す表である。
【0024】
図7A】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Li、Na、及びKによってそれぞれ改質された3種類の光触媒Li-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを乾燥させた後のXRDパターンの分析結果を示すグラフである。
【0025】
図7B】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Li、Na、及びKによってそれぞれ改質された3種類の光触媒Li-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを焼成した後のXRDパターンの分析結果を示すグラフである。
【0026】
図8】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Li、Na、及びKによってそれぞれ改質された3種類の光触媒Li-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを焼成した後の活性を評価した結果を示すグラフである。
【0027】
図9】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って、Li、Na、及びKによってそれぞれ改質された3種類の光触媒Li-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを評価した結果を要約する表である。
【0028】
図10】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従って化学的処理後にMTA粉末により焼成された光触媒の有機物除去性能を評価した結果を示すグラフである(処理温度ごとの光触媒活性評価の結果を示している)。
【0029】
図11】本開示の一実施形態による光触媒改質方法に従った化学的処理後に550℃の温度でMTA粉末により焼成された光触媒のXRD回折を分析した結果を示すグラフである。
【0030】
図12】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の一次粉砕に関する粒径分布データを示すグラフである。
【0031】
図13】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の二次粉砕/分類に関する粒径分布データを示すグラフである。
【0032】
図14】本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法を示す概略的なフローチャートである。
【0033】
図15】本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S700において連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0034】
図16】本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S700において非連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0035】
図17A】光触媒を蒸留水及びオープンセルタイプの円形フォームと混合することによって光触媒ペーストが生成される、本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法を示す概略的なフローチャートである。
【0036】
図17B】光触媒を蒸留水及び糸片と混合することによって光触媒ペーストが生成される、本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法を示す概略的なフローチャートである。
【0037】
図18】本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法のオープンセルタイプのフォームの例示的な図である。
【0038】
図19】本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S700における連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0039】
図20】本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S700における非連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0040】
図21】本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法を示す概略的なフローチャートである。
【0041】
図22】本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S300における連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0042】
図23】本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の段階S300における非連続式乾燥炉の場合の乾燥炉タイプに応じた加熱条件を列挙する表である。
【0043】
図24】改質前の光触媒の細菌及びウイルス除去性能を評価した結果を示すグラフである。
図25】改質前の光触媒の細菌及びウイルス除去性能を評価した結果を示すグラフである。
図26】改質前の光触媒の細菌及びウイルス除去性能を評価した結果を示すグラフである。
【0044】
図27】本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって調製されたそれぞれの改質された光触媒Li-Ti、Na-Ti、又はK-Tiのウイルス除去性能を評価した結果を示すグラフである。
【0045】
図28A】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
図28B】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
図29】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
図30A】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
図30B】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
図30C】本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質又は本開示の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法によって調製された光触媒顆粒状物質のウイルス除去性能を評価した結果を示す。
【0046】
図31】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階による効果を説明するためのグラフ、具体的には、焼成温度ごとに除去されたアセトアルデヒドの量を示すグラフである。
【0047】
図32】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階による効果を説明するためのグラフ、具体的には、焼成温度ごとに生成された二酸化炭素の量を示すグラフである。
【0048】
図33】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階による効果を説明するためのグラフ、具体的には、調製された光触媒粉末のTEM測定写真である。
【0049】
図34】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階において調製された光触媒粉末のXRD測定結果を示す。
【0050】
図35】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階において調製された光触媒粉末のSEM/EDX(X1,300)写真を示す。
【0051】
図36】本開示の一実施形態による光触媒改質方法の光触媒調製段階において調製された光触媒粉末のSEM/EDX(X10,000)写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、本開示が属する分野の当業者によって容易に具現化されるために、添付図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で実装され得、本明細書に記載される実施形態に限定されない。図面において本開示を明らかに説明するべく、説明に関係しない部品は省略され、同様の部品には本開示を通して同様の参照符号が与えられる。
【0053】
本明細書を通して、ある部品が別の部品に「結合されている」と言われた場合、これには、それらが「直接的に結合されている」場合のみでなく、間に別の要素が介在した状態でそれらが「電気的に結合されている」場合も含まれる。
【0054】
本明細書を通して、ある部材が別の部材の「上」、「上方」、「その上部に」、「下」、「下方」、又は「その底部に」位置していると言われた場合、これには、ある部材が別の部材の上に互いに接触して位置している場合、及び2つの部材間に介在する部材が存在する場合が含まれる。
【0055】
本明細書を通して、ある部品があるコンポーネントを「含む」場合、これは、他のコンポーネントを排除するのではなくむしろ、他のコンポーネントがさらに含まれ得ることを意味する。
【0056】
本開示は、光触媒顆粒状物質及びそのための調製方法に関する。
【0057】
以下では、本開示の容易な理解のために、本開示の一実施形態による光触媒改質方法(以下では「本開示による改質方法」と呼ばれる)について最初に説明する。
【0058】
本開示による改質方法は、光触媒の単原子層が分離されるように、光触媒を少なくとも100℃の温度でアルカリ性溶液と反応させる水熱合成を実施する段階(第1の段階)を含む。追加的に、本開示による改質方法は、光触媒結晶が管形状を有するように、水熱合成された光触媒を処理する段階(第2の段階)を含む。すなわち、本開示による改質方法において、単原子層が分離されるように、光触媒粉末及びアルカリ性溶液は互いに水熱合成されてよく、その後、光触媒結晶が管形状に変えられてよい。
【0059】
一例として、第1の段階において、光触媒及びアルカリ性溶液は100℃から130℃の温度で混合及び反応されてよい。
【0060】
一例として、アルカリ性溶液は、Li、Na、及びKのうちの少なくとも1つを含有してよい。
【0061】
追加的に、光触媒はアナターゼであってよい。
【0062】
また、光触媒は酸化チタン又はメタチタン酸であってよい。
【0063】
上で説明したように、図1を参照すると、本開示による改質方法において、光触媒(例えば、酸化チタン)粉末は、高温のアルカリ溶液中で長時間にわたって反応されてよく、それに応じて、光触媒がアルカリ性溶液によって単原子層へと分離される。分離された単原子層は、ロールされているため管形状を取ってよい。このプロセスにおいて、アルカリ性溶液によって溶解プロセスが実施されてよい。光触媒に含有される不純物が溶解プロセス中に除去されてよく、それにより、純粋な光触媒のみが回収される。本開示による改質方法において、反応は、一般的な光触媒(酸化チタン)を添加し、それをアルカリ性溶液と混合し、混合物を撹拌することによって実行された。このとき、改質反応器の温度を130℃に維持することによって水熱合成が実施され得る。
【0064】
追加的に、本開示において、好ましくは、アルカリ性溶液は、Na及びKのうちの少なくとも1つを含有してよい。具体的には、アルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)及び水酸化カリウム(KOH)のうちの少なくとも1つを含有してよく、第1の段階において、光触媒は、超音波と同等のエネルギーによってアルカリ性溶液中に分散されてよく(すなわち、超音波を適用することによって分散される)、光触媒を100℃から130℃の温度で15から20時間にわたって反応させることによって水熱合成が実行されてよい。加えて、第1の段階において、水熱合成の後、HCl及び蒸留水を使用した遠心分離での洗浄によって光触媒は単原子層へと分離されてよい。
【0065】
それに応じて、例えば、アルカリ性溶液は水酸化ナトリウム(NaOH)であってよく、第1の段階において、光触媒は超音波によって水酸化ナトリウム中に分散されてよく、次に、水熱合成が実行されて、光触媒を100℃から130℃の温度で15から20時間にわたって反応させてよい。加えて、第1の段階において、水熱合成の後、HCl及び蒸留水を使用した遠心分離での洗浄によって光触媒が単原子層へと分離されてよい。代替的には、アルカリ性溶液は水酸化カリウム(KOH)であってよく、第1の段階において、光触媒は超音波によって水酸化カリウム中に分散されてよく、次に、15から20時間にわたって、光触媒を100℃から130℃の温度で反応させるために水熱合成が実行されてよい。加えて、第1の段階において、水熱合成の後、HCl及び蒸留水を使用した遠心分離での洗浄によって光触媒が単原子層へと分離されてよい。
【0066】
追加的に、第2の段階は、水熱合成された光触媒を乾燥させる段階を含んでよい。
【0067】
追加的に、第2の段階は、水熱合成された光触媒を焼成する段階を含んでよい。
【0068】
以下では、本開示による改質方法をより詳細に理解するべく、本開示による改質方法に関連して実施した実験について説明する。
【0069】
3種類のサンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを調製するために、本開示による前述の改質方法によって実験を実施し、ここで、アルカリ性物質を使用して光触媒(酸化チタン)を前処理(改質)し、SEMによって各サンプルの粒子形状を確認した。図2の改質前の光触媒(酸化チタン)、及び図3の改質された光触媒サンプルLi-Tiの粒子形状を観察することにより、改質前の光触媒(酸化チタン)の粒子組成物よりも改質されたサンプルの粒子組成物がより密に結合していることを見ることができる。一般に、表面反応を実施する光触媒の活性及び/又は吸着能を増加させるべく、粒径を低減させる必要があるか、又は比表面積を増加させるために密な形状を形成する必要がある。Li-Tiサンプルの場合、粒径の大きな変化は伴わずに、粒子間の密度が向上していることを見ることができる。
【0070】
加えて、図4の改質された光触媒Na-Tiサンプルの粒子が、改質前の光触媒(酸化チタン)の粒子とは確定的な相違点を示していることを見ることができる。改質前は粉末の形態にあった粒子が管形状へと変化し、線維組織が形成されていることを見ることができる。
【0071】
加えて、図5を参照すると、改質された光触媒K-Tiサンプルが非常に滑らかな管状粒子を有し、そのため、改質により粒子形状の最も大きい変化を呈していることを確認することができる。
【0072】
本明細書における光触媒を改質する目的は、光触媒の活性及び吸着能を向上させることであるため、改質の前後における光触媒の変化を確認するためにBET分析を実施した。図6Aを参照すると、改質前の光触媒(酸化チタン)の比表面積は約59m/gであった。しかしながら、改質の後、3種類の光触媒サンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiの比表面積がすべて増加していることを見ることができる。実際に、改質された光触媒Li-Tiサンプルの比表面積が約271m/g(改質前の光触媒の比表面積の4.6倍)まで増加し、Na-Tiサンプルの比表面積が約369m/g(改質前の光触媒の比表面積の6.2倍)まで増加し、K-Tiサンプルの比表面積が約426m/g(改質前の光触媒の比表面積の7.2倍)まで増加していることを見ることができる。すなわち、前処理段階に対応する、本開示の改質プロセスによれば、光触媒が完全なナノ環状形状を示さない場合でさえ光触媒の比表面積における増加により、改質プロセスが光触媒の活性及び/又は吸着能の向上を助け得ることが決定され得る。
【0073】
加えて、図6Bを参照すると、改質の前後の光触媒の元素組成を決定するためのEXD分析の結果によれば、改質の前後に光触媒に含有される酸化チタンの量が約80から90%であることを見ることができ、これは、不純物の含量が高くないことを意味するが、光触媒活性を増加させるために焼成プロセス中に炭素が除去されることを考慮すると(高度に活性なアナターゼ結晶の形成)、改質前の光触媒に含有される酸化チタンの量は97%である一方、改質後に焼成された3種類の光触媒サンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiのそれぞれに含有される酸化チタンの量は、すべて99%超(最大99.6%)であり、それにより、改質による、不純物を除去する効果が確認された。
【0074】
加えて、図7Aを参照すると、アルカリ性物質を使用して改質された3種類の光触媒サンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiを乾燥させることによってXRDパターンを分析した結果によれば、3種類の光触媒サンプルのすべてがアモルファス結晶状態にあり、そのため、確定的なアナターゼピークが出現しないことを見ることができる。対照的に、図7Bを参照すると、3種類の光触媒サンプルを600℃の温度で焼成することによってXRDパターンを分析した結果によれば、3種類の光触媒サンプルのすべてが完璧なアナターゼピークを有することを見ることができる。
【0075】
加えて、図8を参照すると、アルカリ性物質を使用することによって改質され、次に焼成された3種類の光触媒サンプルの有機物除去効果を評価するとき、比表面積の増加、不純物の除去、及びアナターゼ結晶の形成により、3種類の光触媒サンプルのすべてにおいて有意なレベルの有機物除去性能が達成されていることを見ることができる。特に、図9を参照すると、改質及び焼成処理によってナノ管状アナターゼ結晶が形成されるため、K-Ti及びNa-Tiにおいて光触媒活性が大幅に向上していることを見ることができる。
【0076】
しかしながら、上記のプロセスは、上記のプロセスは、高い純度の光触媒を確保すること及び光触媒の活性及び吸着能を高めるという利点を有するが、処理プロセスが複雑であり、プロセスの間に多くの化学物質を使用しなればならないため製造コストが高くなる可能性が高いという欠点を有する。
【0077】
これを補償するために、本開示による改質方法によって、結晶化した光触媒(酸化チタン)ではなく結晶化前のメタチタン酸(metatitanic acid:MTA)を改質した。
【0078】
図10を参照すると、アルカリ性物質を用いてメタチタン酸(MTA)を改質し、次に、異なる温度で焼成した3種類のサンプルの有機物除去効果の観点から、300℃で焼成されたサンプルが既存の光触媒のものと同様の活性(約30%の有機物除去効果)を呈し、550℃で焼成されたサンプルはより増加した光触媒活性を呈するが、600℃で焼成されたサンプルでは光触媒活性が急激に減少することを見ることができる。
【0079】
一般に、光触媒活性はアナターゼ形状でよく観察され、光触媒を500℃から600℃の温度で焼成することによってアナターゼ結晶を取得することができ、アナターゼ形状がルチル形状に変換される温度は約700℃であるが、メタチタン酸(MTA)を改質する場合にはルチル形状への変化は600℃の温度で生じると決定されている。
【0080】
図11を参照すると、最も高い光触媒活性(有機物除去効果)を有することが確認されたサンプル550℃で焼成されたサンプル)のXRDパターン分析結果においてアナターゼピークが出現していることを見ることができる。
【0081】
光触媒ペーストを生成する段階において最も容易に混合される光触媒の粒径がおよそ10μmであり、光触媒調製段階において粉末化プロセスに通すことによって粒径をそれに近似させることができることが確認されている。すなわち、本開示による改質方法は、上記の第1の段階の前に光触媒を調製する段階を含んでよく、光触媒を調製する段階は光触媒粉末を粉末化する段階を含んでよく、光触媒粉末の粒径はかなり幅広い範囲であるものの、光触媒粉末を粉末化する段階は光触媒粉末の平均粒径がおよそ10μmとなるように実行されてよい。図12を参照すると、粒子を粉末化する段階によって、光触媒粉末が0.2から80μmの粒径分布及び約8μmの平均粒径を有するように処理されていることを見ることができる。加えて、後に記載される、本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法の場合、液体光触媒を調製する段階は、顆粒(顆顆粒状物質)を液体光触媒でコーティングする段階の前に実施されてよい。光触媒粉末を粉末化する段階は、液体光触媒を調製する段階の前に実施されてよい。
【0082】
加えて、小さ過ぎる又は大き過ぎる光触媒粒子は混合に干渉し得るため、粉末化された粉末は、粒子の分布をより正確に制御するために分類されてよい。図13を参照すると、図12において0.2から80μmの粒径分布及び約8μmの平均粒径を有する光触媒は、分類されて、1から40μmの粒径分布及び約10μmの平均粒径を有するように処理されたことを見ることができる。
【0083】
上で説明した実験結果に基づいて本開示に関する内容を要約すると、本開示は、光触媒を改質するプロセス、すなわち、光触媒(酸化チタン)粒子の比表面積を増加させるプロセス及び不純物を除去するプロセスによって活性及び吸着能を向上させ得る。この目的のために、本開示の改質方法では、光触媒(酸化チタン)粉末は、単原子層へと分離させるために高温のアルカリ溶液中で水熱合成され、次に乾燥されてよく、それにより、不純物が除去された、高度の純水は管状結晶が形成される。実際に、前述の実験結果によれば、光触媒を高温のアルカリ溶液で処理することによって3種類のサンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiが調製され、この場合、Li-Tiサンプルの粒子間密度が向上し(図3を参照されたい)、サンプル及びK-Tiサンプルは、粒子が管形状に変化し、線維組織を形成することができた(図4及び5を参照されたい)が確認された。
【0084】
加えて、前述の実験結果によれば、BET分析によって、高温のアルカリ溶液で処理(改質)された3種類の光触媒のすべてについて、改質前の光触媒のそれよりも比表面積が増加した(Li-Tiサンプルは4.6倍、Na-Tiサンプルは6.2倍、及びK-Tiサンプルは7.2倍増加した)ことが確認され、EXD分析によって、アルカリ性溶液で改質された3種類の光触媒のすべてについて酸化チタンの含有率が増加したことが確認され、XRDパターンによって、600℃で焼成された光触媒においてアナターゼ結晶が形成されたことが確認された。また、有機物除去実験によって、改質及び焼成された光触媒が、向上した活性及び吸着能により、優れた除去性能を呈することが確認された。
【0085】
加えて、アルカリ性物質を使用した光触媒の事前処理(改質)の結果が良好であったが、処理プロセスは複雑であり、製造コストが増加し得ることが確認された。これについて補償するために、結晶化された光触媒(酸化チタン)以外の、結晶化前のメタチタン酸(MTA)を、本開示による改質方法によって改質し得ることが確認された。
【0086】
メタチタン酸(MTA)は、上で説明した光触媒改質方法によって、すなわち、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ性溶液中に超音波によって光触媒を分散させ、続いて、光触媒を単原子層へと分離するために、100℃から130℃の温度で15から20時間にわたって水熱合成を行う方法によって改質されてよい。加えて、メタチタン酸(MTA)は、活性及び/又は吸着能を最大化するための、300℃から550℃(好ましくは550℃)の温度で焼成されてよい。
【0087】
加えて、上で説明したように、本開示による改質方法は、水熱合成段階の前に光触媒を調製する段階を含んでよく、光触媒を調製する段階は、光触媒粉末を調製する段階を含んでよい。光触媒粉末を調製する段階において、光触媒粉末は、抗酸性媒体を使用して調製されてよい。本開示による改質方法における光触媒粉末を調製する段階の効果については後に説明する。光触媒粉末を調製する段階は、上で説明した光触媒粉末を粉末化する段階の前に実施されてよい。
【0088】
追加的に、本開示は、本開示の一実施形態による光触媒を提供する。本開示の一実施形態による光触媒は、本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質された複数の光触媒結晶を含む。
【0089】
追加的に、本開示は、本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質(又は顆粒)を提供する。本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質は、光触媒改質方法によって改質された複数の光触媒結晶を含有する光触媒(改質された光触媒)を含む。
【0090】
追加的に、改質された複数の光触媒結晶を含む光触媒は、上で説明した、本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質された複数の光触媒結晶を含む。
【0091】
追加的に、本開示は、本開示の一実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法を提供する。以下では、本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法(以下では、「本開示の第1の光触媒顆粒状物質調製方法」と呼ばれる)について説明する。しかしながら、本開示の第1の光触媒顆粒状物質調製方法は、上で説明した本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質された光触媒を使用してよく、上で説明した本開示の一実施形態による光触媒改質方法を含んでよい。したがって、上で説明した、本開示の一実施形態による光触媒改質方法及び本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質の冗長な説明は簡潔に与えられるか、又は省略される。
【0092】
図14を参照すると、本開示の第1の調製方法は、上で説明した本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質された光触媒を調製する段階を含む(S100)。改質された光触媒は管状結晶を含んでよい。追加的に、管状結晶は、光触媒粉末及びアルカリ性溶液の間で水熱合成を実施し、単原子層を分離し、次に単原子層をロールすることによって形成されてよい。
【0093】
追加的に、図14を参照すると、第1の調製方法は、改質された光触媒及び蒸留水を混合することによって光触媒ペーストを生成する段階を含む(S300)。例えば、改質された光触媒及び蒸留水は、75:25の組成比で混合されてよい。追加的に、段階S300において、改質された光触媒に蒸留水を添加しながらペーストが生成されてよい。
【0094】
追加的に、図14を参照すると、第1の調製方法は、光触媒ペーストを顆粒形状に形作る(成形する)段階を含む(S500)。段階S500において、それをピルメーカー内に置くことによって光触媒ペーストが顆粒形状に形作られてよい。段階S500において、成形された顆粒が、後(に説明する段階S700(乾燥段階)の間に乾燥収縮を受ける(例えば、体積が約10%縮小され得る)という事実を考慮して、その大きさを設定することによって顆粒が成形され(形作られ)てよい。換言すると、段階S500において、顆粒の大きさが段階S700において低減されることを考慮して、顆粒は、最終的に調整される光触媒顆粒状物質(乾燥後の光触媒顆粒)より大きくなるよう形作られてよい。それに応じて、ピルメーカーの型は、顆粒状物質の大きさが乾燥後に約10%低減されることを考慮に入れることによって製造されてよい。
【0095】
参照のために、本開示において、顆粒(顆粒状物質)は、様々な形状、例えば、球体(球状)、四角形、三角形、ペレット、及び六面体、などを包含してよい。それに応じて、光触媒顆粒状物質は、球体、四角形、三角形、ペレット、及び六面体などの様々な形状に形作られてよい。
【0096】
追加的に、ピルメーカーの成形条件は、光触媒ペーストが型から放出されて顆粒形状に排出され得るように設定されてよい。
【0097】
追加的に、成形された顆粒は水分を含有してよい。
【0098】
追加的に、図14を参照すると、第1の調製方法は、成形された顆粒を乾燥させて、光触媒顆粒状物質(顆粒)を形成する段階を含む(S700)。段階S700において、段階S500において形成された水分含有ビーズ(環状)状の顆粒が乾燥されて、光触媒顆粒として完全に作られてよい。このとき、段階S700によって完全に作られた光触媒顆粒は、有害物質(細かい粉塵前駆体、揮発性有機化合物)及び有害な微生物(ウイルス又は細菌)などを除去するための様々な目的のために使用されるために、一定の硬度を有しなければならず、粉末は顆粒の表面から分離されるべきではない。段階S700は、そのような光触媒顆粒を調製するために実施されてよい。
【0099】
追加的に、段階S700において、顆粒は、乾燥炉を使用して乾燥されてよい。非連続式乾燥炉(バッチ式の炉)又は連続式乾燥炉(連続式の炉)が乾燥炉として使用されてよい。非連続式乾燥とは、生成物が周期単位で装填及び動作される、すなわち、熱処理が完了するまで生成物が乾燥炉の内部に残る方法を指す一方、連続式乾燥とは、生成物の熱処理条件、例えば温度プロファイル、酸素濃度などが設定され、生成物が直接動かされて、設定された条件に従って熱処理される方法を指す。
【0100】
連続式乾燥炉の場合における乾燥炉タイプによる加熱条件(段階S700の性能条件)は図15に示されており、非連続式乾燥炉場合における乾燥炉タイプによる加熱条件は図16にそれぞれ示されている。
【0101】
加えて、本開示は、本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質(以下では、「本開示の第2の光触媒顆粒状物質」と呼ばれる)を提供する。本開示の第2の光触媒顆粒状物質は、上で説明した本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法によって調製されてよい。したがって、本開示の一実施形態による光触媒改質方法、本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質、及び本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法の冗長な説明は簡潔に与えられるか、又は省略される。
【0102】
本開示の第2の光触媒顆粒状物質において、光触媒粒子は管状結晶を形成する。
【0103】
管状結晶は、光触媒及びアルカリ性溶液の水熱合成を通して単原子層を分離することによって生成されてよい。
【0104】
以下では、本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法(以下では、「本開示の第2の調製方法」と呼ばれる)について説明する。しかしながら、本開示の第2の調製方法に関する説明において、本開示の一実施形態による光触媒改質方法、本開示の第1の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法、又は本開示の第1及び第2の実施形態による光触媒顆粒状物質の冗長な説明は、簡潔に与えられるか、又は省略される。
【0105】
本開示の第2の調製方法は、多孔度を確実にするために、光触媒顆粒の成形に適用されてよい。光触媒顆粒が多孔性である場合、ガス状の有害物質の分解/酸化及び吸着能が強化され得る。
【0106】
図17A及び17Bを参照すると、本開示の第2の調製方法は、上で説明した本開示の一実施形態による光触媒改質方法によって改質された光触媒を調製する段階を含む(S100)。改質された光触媒は管状結晶を含んでよい。例えば、段階S100において、光触媒粉末及びアルカリ性溶液は、単原子層を分離するために水熱合成されてよく、それにより、光触媒粉末の結晶が管形状を有するように前処理される。例えば、段階S100において、光触媒粉末は、少なくとも100℃の高温で長時間にわたってアルカリ性溶液中での水熱合成を受けることによって単原子層へと分離されてよく、次に、光触媒結晶が管形状に変換されてよい。ここで、アルカリ性溶液は水酸化ナトリウム(NaOH)であってよい。
【0107】
より具体的には、段階S100において、アナターゼ相を有する光触媒は、超音波によって水酸化ナトリウム中に分散され、続いて、100℃から130℃の温度で15から20時間にわたって光触媒を反応させるために水熱合成を受け、次に、HCl及び蒸留水を使用した遠心分離での洗浄によって単原子層へと分離されてよい。分離された単原子層は、管形状へとロールされて変換されてよい。追加的に、段階S100において、乾燥又は焼成は、単原子層が管形状へと変換されるように実施されてよい。これについては上で説明した光触媒改質方法において詳細に説明されているため、その詳細な説明は省略する。
【0108】
追加的に、図17A及び17Bを参照すると、本開示の第2の調製方法は、改質された光触媒及び蒸留水を混合することによって光触媒ペーストを生成する段階を含んでよい。光触媒ペーストを生成する段階において、光触媒ペーストは、改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られたオープンセルタイプの円形フォーム、又は改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られた一片の糸(糸片)を追加的に混合することによって生成されてよい。すなわち、本開示の第2の調製方法は、改質された光触媒粉末及び蒸留水を混合する段階、及び改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られたオープンセルタイプの円形フォーム又は改質された光触媒のそれより低い融点を有する材料で作られた一片の糸を追加的に混合することによって光触媒ペーストを生成する段階を含む(S300)。例えば、図17Aを参照すると、段階S300において、ペーストは、改質された光触媒粉末に円形フォーム及び蒸留水を添加しながら生成されてよい。代替的には、図17Bを参照すると、段階S300において、ペーストは、改質された光触媒粉末に一片の糸及び蒸留水を添加しながら生成されてよい。それに応じて、後で記載する段階S700において、円形フォーム又は一片の糸は、孔を形成するために少なくとも部分的に溶融されてよく、光触媒顆粒が多孔度を有してよい。
【0109】
円形フォームは、ポリエチレン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つを含有する材料で作られていてよい。しかしながら、円形フォームを形成する材料はこれに限定されず、光触媒のそれより低い融点を有する材料が円形フォームを形成してよい。追加的に、一片の糸は、ポリエチレン及びポリウレタンのうちの少なくとも1つを含有する材料で作られていてよい。しかしながら、一片の糸を形成する材料はこれに限定されず、光触媒と比較してより低い融点を有する材料が一片の糸を形成してよい。
【0110】
参照として、図18はオープンセルタイプのフォームの例を示す。
【0111】
追加的に、図17A及び17Bを参照すると、本開示の第2の調製方法は、光触媒ペーストを顆粒形状に形作る(成形する)段階を含む(S500)。段階S500において、それをピルメーカー内に置くことによって光触媒ペーストが顆粒形状に成形されてよい。段階S500において、成形された顆粒が、後(に説明する段階S700(乾燥段階)の間に乾燥収縮を受ける(例えば、体積が約10%縮小され得る)という事実を考慮して、その大きさを設定することによって顆粒が成形されてよい。換言すると、段階S500において、顆粒の大きさが段階S700において低減されることを考慮して、顆粒は、最終的に調整される光触媒顆粒状物質(乾燥後の光触媒顆粒)より大きくなるよう成形されてよい。それに応じて、ピルメーカーの型は、顆粒状物質の大きさが乾燥後に約10%低減されることを考慮に入れることによって製造されてよい。
【0112】
追加的に、ピルメーカーの成形条件は、光触媒ペーストが型から放出されて顆粒形状に排出され得るように設定されてよい。
【0113】
追加的に、成形された顆粒は水分を含有してよい。
【0114】
追加的に、図17A及び17Bを参照すると、本開示の第2の調製方法は、成形された顆粒を乾燥させて光触媒顆粒を形成する段階を含む(S700)。
【0115】
段階S700において、段階S300において形成された水分含有ビーズ(環状)状の顆粒が乾燥されて、光触媒顆粒として完全に作られてよい。このとき、段階S700によって完全に作られた光触媒顆粒は、有害物質(細かい粉塵前駆体、揮発性有機化合物)及び有害な微生物(ウイルス又は細菌)などを除去するための様々な目的のために使用されるために、一定の硬度を有しなければならず、粉末は顆粒の表面から分離されるべきではない。段階S700は、そのような光触媒顆粒を調製するために実施されてよい。
【0116】
追加的に、段階S700において、成形された顆粒は、円形フォーム又は糸片の少なくとも一部が溶融されるように、円形フォーム又は糸片の融点より高い温度で乾燥されてよい。換言すると、段階S700は、光触媒ペーストが円形フォームを含有する場合に円形フォームの少なくとも一部が溶融されるように実施されてよい。追加的に、段階S700は、光触媒ペーストが一片の糸を含有する場合に一片の糸の少なくとも一部が溶融されるように実施されてよい。それに応じて、円形フォーム又は一片の糸が溶融されて、孔が形成されてよく、光触媒顆粒が多孔度を有し得る。
【0117】
追加的に、段階S700において、顆粒は乾燥炉を使用して乾燥されてよい。非連続式乾燥炉(バッチ式の炉)又は連続式乾燥炉(連続式の炉)が乾燥炉として使用されてよい。非連続式乾燥とは、生成物が周期単位で装填及び動作される、すなわち、熱処理が完了するまで生成物が乾燥炉の内部に残る方法を指す一方、連続式乾燥とは、生成物の熱処理条件、例えば温度プロファイル、酸素濃度などが設定され、生成物が直接動かされて、設定された条件に従って熱処理される方法を指す。
【0118】
連続式乾燥炉の場合における乾燥炉タイプによる加熱条件(段階S700の性能条件)は図19に示されており、非連続式乾燥炉場合における乾燥炉タイプによる加熱条件は図20にそれぞれ示されている。
【0119】
追加的に、本開示は、本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を提供する。本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質は、本開示の第2の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法によって調製される。本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質は、改質された光触媒粉末によって形成された管状結晶、及び結晶の少なくとも一部の間に形成された孔を含む。孔は、円形フォーム又は一片の糸が少なくとも部分的に溶融されるように、円形フォーム又は一片の糸の融点より高い温度で、光触媒粉末(改質された光触媒粉末)のそれより低い融点を有する材料で作られたオープンセルタイプの円形フォーム又は光触媒(改質された光触媒粉末)のそれより低い融点を有する材料で作られた一片の糸を、改質された光触媒粉末及び蒸留水に添加することによって調製された光触媒ペーストを成形することによって調製された顆粒を乾燥させることによって形成される。
【0120】
加えて、管状結晶は、光触媒及びアルカリ性溶液の水熱合成を通して単原子層を分離することによって生成されてよい。
【0121】
以下では、本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質を調製するための方法(以下では、「本開示の第3の調製方法」と呼ばれる)について説明する。しかしながら、本開示の第3の調製方法に関する説明において、本開示の第1及び第2の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法又は本開示の第1から第3の実施形態による光触媒顆粒状物質の冗長な説明は簡潔に与得られるか又は省略される。
【0122】
図21を参照すると、本開示の第3の調製方法は、室温で顆粒を液体光触媒でコーティングする段階を含む(S100)。顆粒は、光触媒を含有しない材料である。例えば、顆粒は、セラミック、金属、ガラスなどのうちの少なくとも1つを含有する材料で作られていてよい。
【0123】
段階S100において、顆粒は液体光触媒に浸されるか、又は、顆粒に液体光触媒を噴霧される。
【0124】
顆粒が段階S100において液体浸漬方法を使用して液体光触媒でコーティングされる場合、セラミック、金属、及びガラスなどの材料で作られた、コーティングされる顆粒は、室温で液体光触媒を含有するコンテナに浸されてよく、その結果、液体光触媒が顆粒上に均等に分散されてよい。
【0125】
加えて、顆粒が段階S100において噴霧方法を使用して液体光触媒でコーティングされる場合、液体光触媒は、コーティングされるセラミック、金属、又はガラスなどの材料の上に室温で噴霧されることによって塗布されてよい。
【0126】
追加的に、図21を参照すると、本開示の第3の調製方法は、液体光触媒でコーティングされた顆粒を乾燥させることによって光触媒顆粒を形成する段階を含む(S300)。段階S300によって完全に形成された光触媒顆粒は、有害物質(細かい粉塵前駆体、揮発性有機化合物)及び有害な微生物(ウイルス又は細菌)などを除去するための様々な目的のために使用されるために、一定の硬度を有しなければならず、光触媒は顆粒の表面から分離されるべきではない。段階S300は、そのような光触媒顆粒を調製するために実施されてよい。液体光触媒は、上で説明した本開示の改質方法によって改質された光触媒を含む。
【0127】
追加的に、段階S300において、顆粒は乾燥炉を使用して乾燥されてよい。非連続式乾燥炉(バッチ式の炉)又は連続式乾燥炉(連続式の炉)が乾燥炉として使用されてよい。非連続式乾燥とは、生成物が周期単位で装填及び動作される、すなわち、熱処理が完了するまで生成物が乾燥炉の内部に残る方法を指す一方、連続式乾燥とは、生成物の熱処理条件、例えば温度プロファイル、酸素濃度などが設定され、生成物が直接動かされて、設定された条件に従って熱処理される方法を指す。
【0128】
連続式乾燥炉の場合における乾燥炉タイプによる加熱条件(段階S300の性能条件)は図22に示されており、非連続式乾燥炉場合における乾燥炉タイプによる加熱条件は図23にそれぞれ示されている。
【0129】
追加的に、本開示は、本開示の第4の実施形態による光触媒顆粒状物質を提供する。本開示の第4の実施形態による光触媒顆粒状物質は、本開示の第3の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法によって調製される。
【0130】
本開示のこの第4の光触媒顆粒状物質は、顆粒を含む。顆粒は、セラミック、金属、ガラスなどのうちの少なくとも1つを含有する材料で作られていてよい。
【0131】
追加的に、本開示の第4の光触媒顆粒状物質は、顆粒の表面上に形成され、かつ光触媒で作られている光触媒コーティング層を含む。光触媒コーティング層は、顆粒を液体光触媒に浸すこと、又は顆粒上に液体光触媒を噴霧することによって形成される。
【0132】
光触媒、及び上記の第1から第4の実施形態による光触媒顆粒状物質調製方法によって調製された光触媒顆粒状物質は、ウイルス又は細菌除去性能を有してよい。
【0133】
図24を参照すると、改質前の光触媒は、60分間で、細菌、例えば、大腸菌、サルモネラ菌などの99%を除去することができる。加えて、図25及び図26を参照すると、改質前の光触媒は、60分間で、様々なウイルス、例えば、ノロウイルス、ロタウイルス、バクテリオファージMS2、ヒトコロナウイルス(HcoV)などについて99%の除去性能を有することを確認することができる。換言すると、光触媒は、それらのタイプにかかわらず細菌及びウイルスを除去することができ、特に、時間が経過するにつれて除去するべき微生物を継続的に除去することができる。
【0134】
加えて、本開示による顆粒状物質を構成する光触媒として、本開示の上記の改質方法によるアルカリ性物質を使用して改質された3種類の光触媒サンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiのウイルス除去性能は、改質前の光触媒(対照)と比較して大幅に向上され得る。事実、図27を参照すると、改質前の光触媒は、30分間で99.9%のレベルのウイルス除去性能を呈することを確認することができる。対照的に、3種類の光触媒サンプルLi-Ti、Na-Ti、及びK-Tiは、30分間で最大99.9994%又はそれより高い(Li-Tiでは99.96%、Na-Tiでは99.997%、及びK-Tiでは99.9994%)、高い除去性能を呈することを確認することができる。
【0135】
加えて、図28A図28B、及び図29を参照すると、光触媒成形顆粒(より正確には、複数の包装光触媒顆粒を有する非フィルタ型の空気清浄フィルタ)の場合、インフルエンザウイルスの約99%が20分間で除去されることを確認することができる。
【0136】
加えて、光触媒成形顆粒及び光触媒コーティング顆粒のウイルス除去性能は、光触媒が塗布されていないフィルタ(セラミックフィルタ)と比較して顕著な抗ウイルス性能を呈し得る。事実、図30A図30B、及び図30Cを参照すると、セラミック顆粒のウイルス除去性能は最小であるが、光触媒顆粒は、25分間で約90%の優良なウイルス除去性能を呈することを見ることができる。
【0137】
追加的に、本開示において、光触媒又は光触媒粉末は酸化チタンを含有してよい。上で説明した本開示の一実施形態による光触媒改質方法が酸化チタンに適用される場合、酸化チタン結晶に含有される様々な不純物が除去されてよく、同時に、管状結晶が形成されてよく、それにより、粉末自体の吸着能が高められ、光触媒効率の相乗効果がもたらされ得る。
【0138】
本開示の一実施形態による光触媒改質方法によれば、酸化チタン粉末は、長時間にわたって高温のアルカリ溶液中で反応されてよく、それに応じて、酸化チタン粉末はアルカリ性溶液によって単原子層へと分離されてよい。また、分離された単原子層は管形状へとロールされてよい。アルカリ性溶液による分解のプロセスにおいて、酸化チタンに含有される不純物が除去されてよく、純粋な酸化チタンのみが回収され得る。加えて、光触媒粉末を前処理する段階(改質プロセス)において、一般的な酸化チタンが添加され、アルカリ性溶液と共に混合及び撹拌されて、それらの間で反応を実施してよい。このとき、水熱合成は、反応器の温度を130℃に維持しながら実行されてよい。
【0139】
また、参照のために、本開示において、上で説明したように、改質方法は光触媒粉末を調製する段階を含んでよい。
【0140】
光触媒粉末を調製する段階において、光触媒粉末は、抗酸性媒体を使用して調製されてよい。図31及び図32を参照すると、調製された光触媒粉末は、600℃又はそれより高い焼成温度で光触媒活性を呈し得るが、700℃の後に光触媒活性が大幅に減少し得る。加えて、640℃の焼成温度で再処理された光触媒サンプルの活性が優良であり得る。
【0141】
参照のために、図33は、本開示の光触媒粉末を調製する段階によって調製された光触媒粉末のTEM測定写真を示し、図34は、本開示の光触媒粉末を調製する段階によって調製された光触媒粉末のXRD測定結果を示し、図35は、本開示の光触媒粉末を調製する段階によって調製された光触媒粉末のSEM/EDX(X1,300)写真を示し、図36は、本開示の光触媒粉末を調製する段階によって調製された光触媒粉末のSEM/EDX(X10,000)写真を示す。
【0142】
本開示の前述の説明は例示目的のみのためのものであり、本開示の技術的思想又は本質的な特徴を変更することなく本開示を他の具体的な形態に容易に修正することができることが当業者によって理解される。したがって、上で説明した実施形態は、すべての態様において限定ではなく例示として理解されるべきである。例えば、単数の形態として説明した各コンポーネントが分散方式で実装されてよく、同様に、分散されているものとして説明したコンポーネントが、組み合わされた形態で実装されてもよい。
【0143】
本開示の範囲は、上の詳細な説明ではなく、後に記載される請求項によって決定される。請求項の意味及び範囲、及びそれらの同等の概念に由来するすべての変更又は修正は、本開示の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図30C
図31
図32
図33
図34
図35
図36
【国際調査報告】