(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20250212BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20250212BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20250212BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20250212BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20250212BHJP
B22F 10/80 20210101ALI20250212BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250212BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20250212BHJP
B64G 1/40 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F5/00 Z
B22F10/28
B22F10/64
B22F10/66
B22F10/80
B33Y10/00
B33Y50/00
B64G1/40 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559129
(86)(22)【出願日】2023-08-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2023113152
(87)【国際公開番号】W WO2024139251
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211678482.7
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520468807
【氏名又は名称】西安航天発動机有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Space Engine Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.69, 2nd Shenzhou Rd., Aerospace Industrial Base, Yanta District, Xi’an,Shaanxi,710100,China
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】楊 歓慶
(72)【発明者】
【氏名】彭 東剣
(72)【発明者】
【氏名】白 静
(72)【発明者】
【氏名】王 迎
(72)【発明者】
【氏名】王 雲
(72)【発明者】
【氏名】王 丁▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】謝 沖
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018FA06
4K018FA08
4K018HA03
4K018HA10
4K018KA07
4K018KA70
(57)【要約】
本発明は、液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法を開示する。この方法は、一体化ヘッド3次元モデルを構築するステップと、一体化ヘッド3次元モデルに基づいてヘッドの成長方向を確定するステップと、ヘッドの所望流動抵抗及び所望熱抵抗に応じて確定された毛細管の関連パラメータに基づいて、一体化ヘッド3次元モデルの最適化を実現し、最適化3次元モデルを得るステップと、ヘッドの成長方向及び最適化3次元モデルに基づいて、プロセス支持及びプロセス粉末排出口を確定し、ヘッドのプロセス3次元モデルを得るステップと、レーザ付加製造の成形プロセスを確定するステップと、ヘッドのプロセス3次元モデル及び成形プロセスによりレーザ付加製造成形を行うステップと、ワークの内部における金属粉末を除去し、熱処理によりプロセス支持を取り外すステップと、ワークを化学研磨してヘッドを得るステップとを含む。本発明によれば、異形毛細構造ヘッド全体の精密な成形が達成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法であって、
一体化ヘッド3次元モデルを構築するステップS1と、
一体化ヘッド3次元モデルに基づいてヘッドの成長方向を確定するステップS2と、
ヘッドの所望流動抵抗及び所望熱抵抗に応じて確定された毛細管の関連パラメータに基づいて、一体化ヘッド3次元モデルの最適化を実現し、最適化3次元モデルを得るステップS3と、
ヘッドの成長方向及び最適化3次元モデルに基づいて、プロセス支持及びプロセス粉末排出口を確定し、ヘッドのプロセス3次元モデルを得るステップS4と、
レーザ付加製造の成形プロセスを確定するステップS5と、
ステップS4で得られたヘッドのプロセス3次元モデル及びステップS5で得られた成形プロセスによりレーザ付加製造成形を行うステップS6と、
ステップS6で得られたワークの内部における金属粉末を除去し、熱処理によりプロセス支持を取り外すステップS7と、
ステップS7で得られたワークを化学研磨してヘッドを得るステップS8と、
を含むことを特徴とする、液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項2】
ステップS1において、一体化ヘッド3次元モデルは、フランジと、噴出盤と、断熱枠と、毛細管とを含み、フランジ及び噴出盤は、それぞれ断熱枠の両端に位置し、複数の毛細管が断熱枠の内面に集積され、毛細管の両端は、それぞれフランジ及び噴出盤に接続され、
ステップS2において、一体化ヘッド3次元モデルに基づいて、最小応力、最小プロセス支持、取り外し可能との原則に従って、ヘッドの成長方向を確定し、即ち、フランジは基板に接続され、縦置きで配置されることを特徴とする、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項3】
ステップS3において、ヘッドの所望流動抵抗及び所望熱抵抗に応じて確定された毛細管の関連パラメータに基づいて、一体化ヘッド3次元モデルの最適化を実現し、最適化3次元モデルを得る方法は、
毛細管成形角度に関する毛細管形状補償計算式を構築するステップS3.1と、
毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式を構築するステップS3.2と、
ヘッド流動抵抗計算式により、ヘッドの所望流動抵抗に基づいて毛細管の管径及び毛細管の表面粗さを確定するステップと、
毛細管形状補償計算式により、ヘッドの所望熱抵抗に基づいて毛細管の数、毛細管の分布、毛細管の成形角度及び毛細管の長さを確定するステップS3.3と、
確定された毛細管の管径、毛細管の表面粗さ、毛細管の数、毛細管の分布、毛細管の成形角度及び毛細管の長さに基づいて、ヘッド3次元モデルの最適化を実現するステップS3.4と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項4】
ステップS3.1において、毛細管の成形角度に関する毛細管形状補償計算式を構築する方法では、
成形角度が0°~60°の範囲内で等間隔で変化し、管径が0.4~1mmの範囲内で等間隔で変化する一連の毛細管を設計し、前記一連の毛細管を含む一連のヘッド3次元モデルにより選択的レーザ溶融を行い、
各成形角度、各管径での毛細管の懸垂部位の崩壊情報を統計し、フィッティングして毛細管の成形角度に関する毛細管形状補償計算式を取得し、
前記成形角度は、毛細管の内面と水平面との夾角であり、
毛細管形状補償計算式は、
【数1】
であり、式中、θは、毛細管の成形角度であり、d
0は、毛細管の管径補償値であり、
ステップS3.2において、毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式を構築する方法では、
管径が0.4~1mmの範囲内で等間隔で変化する一連の毛細管を設計し、前記一連の毛細管を含む一連のヘッド3次元モデルにより選択的レーザ溶融を行い、異なる毛細管の管径を有する一連のヘッドを取得し、
異なる毛細管の管径のヘッドに対する化学研磨が全て完成するまで、同じ毛細管の管径を有するヘッドに対して異なる時間の化学研磨を行い、
3Dデジタル顕微鏡により異なる化学研磨時間での毛細管の表面粗さを測定し、
異なる管径、異なる表面粗さを含む各ヘッドの流体圧力降下及び流体圧力降下の均一性を測定し、フィッティングして毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式:
【数2】
を取得し、
式中、Pは、圧力降下であり、dは、毛細管の管径であり、Rは、毛細管の表面粗さであり、
ステップS3.3において、ヘッドの所望流動抵抗に基づいて確定された毛細管の数は30~100であり、毛細管の分布は、複数の同心円であり、同一の毛細管は、鉛直段部及び傾斜段部を含み、同一の同心円に分布する毛細管の傾斜段部の成形角度が同じであり、異なる同心円に分布する毛細管の傾斜段部の成形角度が外から内へ順に増大し、異なる同心円に分布する毛細管の長さが外から内へ順に減少し、毛細管の傾斜段部での管径が毛細管形状補償計算式により最適化されることを特徴とする、請求項3に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項5】
ステップS5において、毛細管の寸法精度を向上させるために毛細管パディング(padding)走査のプロセスパラメータを確定するステップを含み、
前記プロセスパラメータは、スポット38~42um、層厚0.01~0.03mm、レーザパワー90-120W、スキャン速度600-800mm/s、線間隔0.09-0.10mm、位相角67°を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項6】
ステップS5において、鉛直毛細管の表面品質を最適化するために、鉛直毛細管のパディング走査軌跡のエッジでボーダー(border)走査を行うステップをさらに含み、具体的には、
まず、エネルギが比較的高いレーザを用いて副外周走査を行い、さらに、エネルギが比較的低いレーザを用いて外周走査を行い、
副外周走査のプロセスパラメータは、レーザパワー50w、スキャン速度600mm/sであり、
外周走査のプロセスパラメータは、レーザパワー80w、スキャン速度400mm/sであり、
副外周走査の直径は、外周走査の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項5に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項7】
ステップS5において、付加製造過程で形成された上面及び下面を最適化するために、上面及び下面の走査パラメータを確定するステップをさらに含み、
前記上面は、次の成形される層に対する前の層の余分な表面であり、下面は、前の層に対する次に成形される層の余分な表面であり、
上面の走査パラメータは、レーザパワー80~120w、スキャン速度350~450mm/sであり、
下面の走査パラメータは、レーザパワー120~160w、スキャン速度2500~2700mm/sであることを特徴とする、請求項6に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項8】
ステップS4において、プロセス支持は、中実支持構造と、中空柱状支持構造とを含み、
中実支持構造の下端は、フランジの上面に接続され、中実支持構造の上端は、中空柱状支持構造の下端に接続され、中空柱状支持構造の上端は、噴出盤の下面に接続され、中実支持構造は、鉛直方向に対して45°であり、中空柱状支持構造は、鉛直方向に沿って設けられ、中空柱状支持構造の長さは、10~20mmであり、
中実支持構造の上端には、菱形孔が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項9】
ステップS4において、プロセス粉末排出口は、フランジ及び基板からなる密閉チャンバの最低部に位置し、毛細管の下端は、プロセス粉末排出口に連通し、
ステップS7において、ステップS6で得られたワーク内部の金属粉末を除去する方法は、毛細管の上端から1.2-1.5Mpaの高圧ガスを吹き込み、金属粉末をプロセス粉末排出口から吹き飛ばすことであり、
ステップS7において、熱処理によりプロセス支持を取り外す方法は、900-1000℃で3~4h保温した後、ワイヤ切断により中実支持を取り外すことであり、
前記ワイヤ切断は、高速往復ワイヤ放電加工機用いるワイヤ切断であり、パルス幅が10-15μs、パルス間隔が100-120μs、波形が矩形波パルスであることを特徴とする、請求項2に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【請求項10】
S9:ヘッドに対して液体流動試験を行い、ヘッドの流動抵抗が所望の流動抵抗を満たすか否かを判断し、
ヘッドに対してマイクロフォーカスCTにより不要物を検出し、ヘッド内部に金属粉末が残留しているか否かを判断するステップをさらに含み、
マイクロフォーカスCT検出のパラメータは、電圧240~290KV、電流280~330uA、検出器の感度2~4、露光時間500~1000ms、解像度ボクセルサイズ70umであり、光線方向が毛細管の鉛直段部に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造の技術分野に属し、具体的には、液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの高精度付加製造成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドは、姿勢制御エンジンのガス発生器と推進室で推進剤の導流と分配を完了し、分解室での推進剤の均一な分布を実現するための核心部品であり、直径0.6mm~0.8mm、肉厚0.1mm~0.2mm、空間的に異形でねじれた毛細管構造を多数含んでいる。現在、姿勢制御のヘッドは、伝統的な分割製造+ロウ付けのプロセスにより製造されており、以下の問題が主に存在する。1、一貫性が悪い。毛細管の曲げ加工は、手作業に依存するため、サイズの一貫性が悪く、ロウ付け後に毛細管を整備する必要があり、製品の組み立てと流体圧力降下(低下)の安定性に影響する。2、信頼性が低い。ヘッドは、毛細管、フランジ、噴出盤などの20以上の部品でロウ付けされてなり、ロウ付けの品質管理が難しく、溶接部の強度が本体材料よりも低く、溶接部は検出や測定できず、作業中に溶接部の強度が不足であると、毛細管が爆発する可能性があり、大きな熱爆発のリスクが存在し、エンジンの信頼性に影響する。3、加工周期が長い。製造には、鍛造、熱処理、表面処理、機械加工、試験及び部品の組み立て、ロウ付けなどの多くの専門分野と工程が関与しており、全生産周期は2ヶ月かかり、ヘッドの信頼性のある研究開発生産には不利である。付加製造技術は、現在の最新で最も先進的な製造技術の一つとして、CAD/CAMの一体化、高効率で敏捷な製造の特徴を持っており、異形毛細構造の姿勢制御エンジンヘッドの設計/製造に新しい解決策を提供しているが、成形に影響する要因が多く、技術が未熟で製品の品質が低下する技術的な問題が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上記の欠陥を克服するために、液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法を提供し、現在の姿勢制御エンジンヘッドの従来の分割製造+ロウ付けの組み合わせプロセスに存在する、毛細構造の寸法精度の一貫性が悪く、多くの溶接部が検査も測定もできないことで信頼性が不足で、熱爆発のリスクが高く、加工周期が長いなどの技術的問題を解決することである。本発明によれば、異形毛細構造ヘッドの全体の精密な成形を実現することができる。
【0004】
上記の発明目的を達成するために、本発明によれば、以下の技術的手段が提供される。
【0005】
一体化ヘッド3次元モデルを構築するステップS1と、
一体化ヘッド3次元モデルに基づいてヘッドの成長方向を確定するステップS2と、
ヘッドの所望流動抵抗及び所望熱抵抗に応じて確定された毛細管の関連パラメータに基づいて、一体化ヘッド3次元モデルの最適化を実現し、最適化3次元モデルを得るステップS3と、
ヘッドの成長方向及び最適化3次元モデルに基づいて、プロセス支持及びプロセス粉末排出口を確定し、ヘッドのプロセス3次元モデルを得るステップS4と、
レーザ付加製造の成形プロセスを確定するステップS5と、
ステップS4で得られたヘッドのプロセス3次元モデル及びステップS5で得られた成形プロセスによりレーザ付加製造成形を行うステップS6と、
ステップS6で得られたワークの内部における金属粉末を除去し、熱処理によりプロセス支持を取り外すステップS7と、
ステップS7で得られたワークを化学研磨してヘッドを得るステップS8と、
を含む液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法。
【0006】
さらに、ステップS1において、一体化ヘッド3次元モデルは、フランジと、噴出盤と、断熱枠と、毛細管とを含み、フランジ及び噴出盤は、それぞれ断熱枠の両端に位置し、複数の毛細管が断熱枠の内面に集積され、毛細管の両端は、それぞれフランジ及び噴出盤に接続され、
ステップS2において、一体化ヘッド3次元モデルに基づいて、最小応力、最小プロセス支持、取り外し可能との原則に従って、ヘッドの成長方向を確定し、即ち、フランジは基板に接続され、縦置きで配置される。
【0007】
さらに、ステップS3において、ヘッドの所望流動抵抗及び所望熱抵抗に応じて確定された毛細管の関連パラメータに基づいて、一体化ヘッド3次元モデルの最適化を実現し、最適化3次元モデルを得る方法は、
毛細管成形角度に関する毛細管形状補償計算式を構築するステップS3.1と、
毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式を構築するステップS3.2と、
ヘッド流動抵抗計算式により、ヘッドの所望流動抵抗に基づいて毛細管の管径及び毛細管の表面粗さを確定するステップと、
毛細管形状補償計算式により、ヘッドの所望熱抵抗に基づいて毛細管の数、毛細管の分布、毛細管の成形角度及び毛細管の長さを確定するステップS3.3と、
確定された毛細管の管径、毛細管の表面粗さ、毛細管の数、毛細管の分布、毛細管の成形角度及び毛細管の長さに基づいて、ヘッド3次元モデルの最適化を実現するステップS3.4と、
を含む。
【0008】
さらに、ステップS3.1において、毛細管の成形角度に関する毛細管形状補償計算式を構築する方法では、
成形角度が0°~60°の範囲内で等間隔で変化し、管径が0.4~1mmの範囲内で等間隔で変化する一連の毛細管を設計し、前記一連の毛細管を含む一連のヘッド3次元モデルにより選択的レーザ溶融を行い、
各成形角度、各管径での毛細管の懸垂部位の崩壊情報を統計し、フィッティングして毛細管の成形角度に関する毛細管形状補償計算式を取得し、
前記成形角度は、毛細管の内面と水平面との夾角であり、
毛細管形状補償計算式は、
【数1】
であり、式中、θは、毛細管の成形角度であり、d
0は、毛細管の懸垂部位の管径補償値であり、
ステップS3.2において、毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式を構築する方法では、
管径が0.4~1mmの範囲内で等間隔で変化する一連の毛細管を設計し、前記一連の毛細管を含む一連のヘッド3次元モデルにより選択的レーザ溶融を行い、異なる毛細管の管径を有する一連のヘッドを取得し、
異なる毛細管の管径のヘッドに対する化学研磨が全て完成するまで、同じ毛細管の管径を有するヘッドに対して異なる時間の化学研磨を行い、
3Dデジタル顕微鏡により異なる化学研磨時間での毛細管の表面粗さを測定し、
異なる管径、異なる表面粗さを含む各ヘッドの流体圧力降下及び流体圧力降下の均一性を測定し、フィッティングして毛細管の管径及び毛細管の表面粗さに関するヘッド流動抵抗計算式:
【数2】
を取得し、
式中、Pは、圧力降下であり、dは、毛細管の管径であり、Rは、毛細管の表面粗さであり、
ステップS3.3において、ヘッドの所望流動抵抗に基づいて確定された毛細管の数は30~100であり、毛細管の分布は、複数の同心円であり、同一の毛細管は、鉛直段部及び傾斜段部を含み、同一の同心円に分布する毛細管の傾斜段部の成形角度が同じであり、異なる同心円に分布する毛細管の傾斜段部の成形角度が外から内へ順に増大し、異なる同心円に分布する毛細管の長さが外から内へ順に減少し、毛細管の傾斜段部での管径が毛細管形状補償計算式により最適化される。
【0009】
さらに、ステップS5において、毛細管の寸法精度を向上させるために毛細管パディング(padding)走査のプロセスパラメータを確定するステップを含み、
前記プロセスパラメータは、スポット38~42um、層厚0.01~0.03mm、レーザパワー90-120W、スキャン速度600-800mm/s、線間隔0.09-0.10mm、位相角67°を含む。
【0010】
さらに、ステップS5において、鉛直毛細管の表面品質を最適化するために、鉛直毛細管のパディング走査軌跡のエッジでボーダー(border)走査を行うステップをさらに含み、具体的には、
まず、エネルギが比較的高いレーザを用いて副外周走査を行い、さらに、エネルギが比較的低いレーザを用いて外周走査を行い、
副外周走査のプロセスパラメータは、レーザパワー50w、スキャン速度600mm/sであり、
外周走査のプロセスパラメータは、レーザパワー80w、スキャン速度400mm/sであり、
副外周走査の直径は、外周走査の直径よりも大きい。
【0011】
さらに、ステップS5において、付加製造過程で形成された上面及び下面を最適化するために、上面及び下面の走査パラメータを確定するステップをさらに含み、
前記上面は、次の成形される層に対する前の層の余分な表面であり、下面は、前の層に対する次に成形される層の余分な表面であり、
上面の走査パラメータは、レーザパワー80~120w、スキャン速度350~450mm/sであり、
下面の走査パラメータは、レーザパワー120~160w、スキャン速度2500~2700mm/sである。
【0012】
さらに、ステップS4において、プロセス支持は、中実支持構造と、中空柱状支持構造とを含み、
中実支持構造の下端は、フランジの上面に接続され、中実支持構造の上端は、中空柱状支持構造の下端に接続され、中空柱状支持構造の上端は、噴出盤の下面に接続され、中実支持構造は、鉛直方向に対して45°であり、中空柱状支持構造は、鉛直方向に沿って設けられ、中空柱状支持構造の長さは、10~20mmであり、
中実支持構造の上端には、菱形孔が設けられる。
【0013】
さらに、ステップS4において、プロセス粉末排出口は、フランジ及び基板からなる密閉チャンバの最低部に位置し、毛細管の下端は、プロセス粉末排出口に連通し、
ステップS7において、ステップS6で得られたワーク内部の金属粉末を除去する方法は、毛細管の上端から1.2-1.5Mpaの高圧ガスを吹き込み、金属粉末をプロセス粉末排出口から吹き飛ばすことであり、
ステップS7において、熱処理によりプロセス支持を取り外す方法は、900-1000℃で3~4h保温した後、ワイヤ切断により中実支持を取り外すことであり、
前記ワイヤ切断は、高速往復ワイヤ放電加工機用いるワイヤ切断であり、パルス幅が10-15μs、パルス間隔が100-120μs、波形が矩形波パルスである。
【0014】
さらに、上記の液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法は、
S9:ヘッドに対して液体流動試験を行い、ヘッドの流動抵抗が所望の流動抵抗を満たすか否かを判断し、
ヘッドに対してマイクロフォーカスCTにより不要物を検出し、ヘッド内部に金属粉末が残留しているか否かを判断するステップをさらに含み、
マイクロフォーカスCT検出のパラメータは、電圧240~290KV、電流280~330uA、検出器の感度2~4、露光時間500~1000ms、解像度ボクセルサイズ70umであり、光線方向が毛細管の鉛直段部に垂直である。
【0015】
本発明は、従来技術と比較して以下の有益な効果を少なくとも1つ含む。
(1)本発明の付加製造技術により、異形毛細構造の姿勢制御ヘッド設計の革新が達成され、従来のヘッドの外置式毛細管を断熱枠に集積して内置式に最適化することによって、従来の高アスペクト比の外置式毛細管の手動曲げ加工による低い一貫性、低剛性、エンジン工作動作中で受ける振動、熱膨張による影響、高い熱爆発リスクなどの問題が解決される。
(2)本発明では、小スポット、小層厚のプロセスにより最適化された寸法精度最適化、傾斜毛細管截面形状補償による形状精度最適化、鉛直面、上/下面走査戦略及びプロセスパラメータ制御による表面品質の最適化によって、異形毛細構造ヘッドの高精度、高表面品質、高一貫性の製造が実現され、手動曲げ加工、ロウ付け変形、手動整備によるヘッドの低一貫性、低合格率の問題が解決される。
(3)本発明では、高精度マイクロフォーカスCTにより毛細管に対して不要物を検出することにより、ヘッド不要物のリスクが解消され、製品の信頼性が保証される。
(4)本発明では、軽量化の支持構造を設計することにより、安定支持作用を有しながら、容易に取り外されることが保証される。
(5)本発明では、ヘッド毛細管の管径-表面品質-流体圧力降下の反復最適化設計の技術経路により付加製造ヘッドの液体流動抵抗の制御方法が得られ、即ち、毛細管の管径及び表面品質を調整することにより、ヘッド流動抵抗の制御が達成される。毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗の反復最適化設計の技術経路により付加製造ヘッド熱抵抗の制御方法が得られ、即ち、毛細管の管径サイズ、数、分布を調整することにより、ヘッド熱抵抗の制御が達成される。
(6)本発明では、付加製造ヘッド流動抵抗、熱抵抗の製造方法により、設計要求を満たす付加製造ヘッド毛細構造の管径サイズ、数、長さ、分布が得られ、異形毛細管ヘッドの構造・機能一体化の設計及び製造が実現され、従来の「機械加工+曲げ加工+ケミカルミーリング+ロウ付け+溶着」という加工プロセスにおける30以上の部品を集積して製造することにより、従来の加工プロセスに存在する、多くの溶接部が検査も測定もできず、信頼性が不足で、加工周期が長く、工程が多いなどの問題が解決される。
(7)本発明では、様々な影響要因を総合的に考慮して熱抵抗制御及び流動抵抗制御を達成できる複数の関連計算式を提供し、普遍的な適用性を有し、製品設計の効率を効果的に向上させ、製品の熱抵抗及び流動抵抗性能を最適化することができる。また、毛細管の傾斜段部に対する形状補償方法を提供することで、崩壊の発生が回避され、製品の品質が向上する。
(8)本発明では、循環流動化学研磨工具の設計及び研磨プロセスパラメータの制御により、付加製造毛細管の均一で効果的な研磨が達成され、ヘッドの流体圧力降下の要求が保証されるとともに、ヘッド毛細管に粘着した粉末が除去されて製品の信頼性が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のヘッド全体の設計構造の模式図である。
【
図3】本発明の外周、副外周の走査戦略の模式図である。
【
図5】本発明の毛細構造ヘッドの最適化3次元モデル模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の特徴及び利点は、これらの説明によってより明確になる。
【0018】
本明細書において、用語「例示的」とは、「例、実施例として又は説明的」を意味する。本明細書において、「例示的」に説明されるいずれかの実施例は、他の実施例よりも優れるか又は良いと解釈されるべきではない。図面に実施例の各態様を示しているが、別段の指示がない限り、図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【0019】
本発明に係る液体ロケットエンジンの異形毛細構造ヘッドの付加製造成形方法は、以下のステップを含む。
ステップ(1):付加製造による一体化ヘッドの3次元モデルを構築する。
ステップ(2):ステップ(1)で得られた一体化モデルの成形過程における応力分布及び支持構成に基づいて、最小応力、最小支持、取り外し可能との原則に従って、ヘッドの成長方向を確定する。
ステップ(3):ステップ(2)の成長方向に基づいて、モデルにおける典型的な構造、即ち、特徴的な毛細管を抽出し、毛細構造の精度及び表面の品質を最適化し、高精度、高表面品質の毛細管プロセスパラメータ及びスキャンパスを得る。
ステップ(4):プロセス、設計を反復最適化し、最適化した3次元モデルを得る。
ステップ(5):ステップ(4)で確定された3次元モデル及びステップ(2)で確定された成長方向に基づいて、プロセス支持及びプロセス粉末排出口を設計し、ヘッドのプロセス3次元モデルを得る。
ステップ(6):ステップ(3)で得られたプロセスパラメータ及びスキャン速度で、ステップ(5)で得られたプロセス3次元モデルをスライス処理し、各スライス層のレーザスキャンパスパラメータを取得し、レーザ付加製造成形を行う。
ステップ(7):ステップ(6)で得られたヘッド毛細構造内の金属粉末を除去し、熱処理後に、プロセス支持を取り外す。
ステップ(8):ステップ(7)で得られたヘッドに対して化学研磨処理を行った後、液体流動試験を行う。
ステップ(9):ステップ(8)で得られた毛細構造ヘッドに対してマイクロフォーカスCTにより不要物を検出する。
【0020】
前記ステップ(1)において、前記異形毛細管構造の特徴構成は、姿勢制御エンジンヘッドを例とすると、フランジと、噴出盤と、断熱枠と、毛細管とを含む。従来の毛細管構造ヘッドは、その高いアスペクト比の毛細管が露出し、独立して噴出盤、フランジ及び断熱枠の間に分布し、弱剛性であり、エンジンの動作中で振動及び熱膨張の影響により熱爆発が発生するリスクが高い。付加製造のプロセス設計の柔軟性の特徴を利用し、毛細管構造を断熱枠に集積することにより、毛細管の剛性及び信頼性を向上させ、付加製造の全体設計を達成する(
図1)。
【0021】
前記ステップ(2)において、成形過程における応力分布及び支持構成に基づいて、最小応力、最小支持、取り外し可能との原則に従ってヘッドの成長方向を確定する。大端フランジは、基板に接続され、縦置きで配置される。
【0022】
前記ステップ(3)において、モデル中の典型的な構造である特徴的な毛細管を抽出し、毛細構造の精度及び表面の品質を最適化する。
【0023】
(3-1)毛細管精度の最適化
精度の最適化は、寸法精度の最適化と、形状精度の最適化を含む。前記寸法精度の最適化について、部材の寸法精度は、主に溶融通路の幅及びスライス層の厚さに影響され、溶融通路の幅は、レーザスポットの大きさによって決定される。通常のスポット直径は80~100umであるが、本発明では、40umの小スポット、0.02mmの小層厚のプロセスパラメータで毛細管の成形を行う。小スポットにより溶融通路の幅を減少させ、小層厚によりスライスの階段効果(staircase effect)を減少させ、これによって、毛細管の高精度成形が達成される。前記40umの小スポット、0.02mm小層厚でのプロセスパラメータは、レーザパワー90-120W、スキャン速度600-800mm/s、線間隔0.09-0.10mm、位相角67°である。
【0024】
形状精度の最適化は、主に2つのステップを含む。第1ステップにおいて、成形角度0°、20°、30°、40°、50°、管径0.4mm-1mm(0.1mmで漸増)である一連の毛細構造を設計し、選択的レーザ溶融を行う。前記成形角度とは、毛細管の内面と水平との角度を指す。第2ステップにおいて、各成形角度、各管径での毛細管の懸垂部位の崩壊距離、崩壊形状を統計し、統計分析を行い、フィッティングにより異なる管径、異なる成形角度での形状補償計算式を得る。
【数3】
ここで、θは、毛細管の成形角度であり、d
0は、毛細管の懸垂部位の管径補償値である。懸垂部位は、毛細管の傾斜段部の横断面の上半円である。
【0025】
(3-2)表面品質の最適化
前記表面品質の最適化は、鉛直面品質の最適化と、上下面の最適化とを含む。前記鉛直面とは、成形角度が90°の表面を指す。滑らかな表面を得るために、溶融通路による鋸歯状輪郭を除去するとともに、粉末粘着現象を減少させる必要がある。本発明は、パディング(padding)走査軌跡のエッジ(
図3における実際な輪郭)をボーダー(border)走査することにより、鉛直面の品質を向上させる。前記ボーダー走査は、外周(
図3における外周)及び副外周(
図3における追加外周)を含む。即ち、まず、エネルギが比較的高いレーザを用いて副外周走査を行い、鋸歯状輪郭の誤差を除去し、さらに、エネルギが比較的低いレーザを用いて外周走査を行い、表面の粉末粘着状況を軽減させる。追加外周がスライスの輪郭と重なり合うため、スライスによる誤差が解消される。外周の30%~50%は、追加外周とラップする(
図3における重なり領域;
図2)ため、副外周及び外周経路の設計及びそのエネルギ密度の設定により、鋸歯状の誤差が除去されるとともに、表面の粉末粘着現象が軽減し、毛細構造の鉛直面の品質が向上する。前記副外周プロセスパラメータは、レーザパワー50w、スキャン速度600mm/sである。前記外周プロセスパラメータは、レーザパワー80w、スキャン速度400mm/sである。成形角度が90°である縦孔については、
図2に示されるような溶融通路に起因する鋸歯状輪郭を除去し、粉末粘着現象を減少させ、滑らかな内孔表面を得るために、パディング走査軌跡のエッジでボーダー走査を行うことができる。
【0026】
上面は、次の成形される層に対する前の層の余分な表面であり、下面は、前の層に対する次に成形される層の余分な表面である。その模式図は、
図4に示される。上面については、その成長の支持点は、中実に成形されているため、溶融池崩壊及びドロス付着現象が発生することがなく、比較的高いエネルギ密度を設定することにより表面を平滑化処理する。下面については、その成長支持点は、緩んだ粉末であるため、成形過程において溶融池崩壊、ドロス付着現象が発生し、比較的低いエネルギ密度を設定することにより、溶融池崩壊、ドロス付着、及び表面の粉末粘着による表面品質の低下との問題を解決することができる。前記上面のパラメータは、上面レーザパワー100w、スキャン速度400mm/sであり、下面のパラメータは、下面レーザパワー140w、スキャン速度2600mm/sである。
【0027】
前記ステップ(4)において、付加製造の流動抵抗熱抵抗の制御方法、即ち、毛細管の管径-表面品質-流体圧力降下反復最適化設計及びヘッド毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗反復最適化設計に基づいて最適化してヘッド構造機能一体化設計モデルを得る(
図5)。
【0028】
このステップにおいて、一体化ヘッド設計をもとに、毛細構造の管径サイズ、数、分布などを反復設計し、ヘッドの液体流動抵抗、熱抵抗の制御方法を形成し、最終的に流動抵抗熱抵抗制御方法に基づいて最適化してヘッド構造機能一体化設計モデルを得る。ヘッド流動抵抗の制御技術経路は、ヘッド毛細管の管径-表面品質-流体圧力降下反復最適化設計であり、ヘッド熱抵抗の制御技術経路は、毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗反復最適化設計である。
【0029】
(4.1)ヘッド毛細管管径-表面品質-流体圧力降下の反復最適化
ヘッド毛細管の管径-表面品質-流体圧力降下の反復最適化方法は、主に3つのステップを含む。第1ステップ:管径が0.4mm-1mmであって0.1mmで漸増する一連の毛細構造ヘッドを設計する。第2ステップ:各管径のヘッドに対して異なる時間(0.5min、1min、2min、3min)の化学研磨を行い、3Dデジタル顕微鏡と用いて異なる化学研磨時間での毛細管表面の粗さを測定する。第3ステップ:異なる管径、異なる表面粗さのヘッド流体圧力降下及び異なる領域での圧力降下均一性を測定し、データを統計して分析し、フィッティングしてヘッド毛細管の管径-表面粗さ-流体圧力降下の対応関係を確定する。第4ステップ:管径が0.4mm-1mmであって0.05mmで漸増する一連の毛細構造ヘッドを設計し、異なるプロセスパラメータ(1mm、1.5min、2.5min、2min、3min)で化学研磨を行い、流体圧力降下及び均一性試験を行い、第3ステップでフィッティングしたヘッド毛細管の管径-表面粗さ-流体圧力降下の対応関係式を修正、検証し、最終的にヘッド流体圧力降下の計算式(下式)を確定する。
【数4】
式中、Pは圧力降下であり、dは管径であり、Rは粗さである。
【0030】
上記のヘッド流体圧力降下の計算式に基づいて、ヘッド設計圧力降下の要求に従って、毛細管管径及び表面粗さを計算し、毛細管のサイズ及び表面状態を得る。ここで、管径は0.4mm、化学研磨時間は3minである。
【0031】
ヘッド毛細管化学研磨は、毛細構造及び溶液流動阻力に影響される。毛細管内での溶液交換作用が弱く、しばらく研磨した後、化学溶液濃度が比較的に低く、各部分に濃度差があることで、ケミカルミーリング研磨が不十分又は不均一である。毛細管の均一で滑らかな研磨を保証するために、溶液循環流動ケミカルミーリング仕上げ工具-導流板状工具(工具の中央領域に直径がヘッドの上端の直径に適合した孔を形成し、4つ隅にそれぞれ直径5mmのネジ穴を形成し、ボルトにより工具とヘッドの上端に密封接続し、パイプによりポンプをヘッドに接続する)を設計し、電動ポンプにより、研磨溶液を特定の圧力及び速度で毛細管内に均一に充填し、これによって、化学溶液の交換の均一性が保証される。ここで、ポンプの圧力は0.7Mpaであり、溶液流動速度は50-60mm/sである。前記化学研磨溶液は、塩酸、硝酸、フッ化水素酸などの混合溶液であり、比例は4:3:1であり、前記0.5min、1min、2min、3minの研磨時間での研磨去除量は0.05mm以下であり、ヘッドの強度に影響を与えない。
【0032】
(4.2)毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗の反復最適化設計
毛細管構造ヘッドの付加製造では、従来の設計スキームにおける独立して分布する毛細管を断熱枠内に集積することから、ヘッドの熱抵抗が比較的小さい。大流量、高集積度、高アスペクト比の設計により、冷却を強化し、熱侵入熱伝導面積を減少させ、熱伝導距離を増加させることで付加製造毛細管ヘッドの熱抵抗が向上する。複数回の毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗の反復設計により、熱抵抗要求を持たすヘッド毛細管の数、分布及び長さ情報が得られる。即ち、毛細管の数は合計39本であり、断熱枠内に集中して分布し、A、B、C、Dの4種類に分けられる。A、B、C、Dの4種類の異形毛細管は、環状に分布する。A異形毛細管は、最外周に分布し、合計18本あり、展開長さが160mmであり、傾斜部分の毛細管の成形角度が20°である。B、C、D毛細管は、順に中心へ分布し、Bが12本あり、展開長さが150mmであり、傾斜部分の毛細管の成形角度が23°である。Cが6本あり、展開長さが140mmであり、傾斜部分の毛細管の成形角度が26°である。Dが3本あり、展開長さが120mmであり、傾斜部分の毛細管の成形角度が28°である。ステップ(3)における毛細管形状補償放物線計算式により、A、B、C、Dの4種類の管径の毛細管傾斜部位の形状を計算する(
図7)。
【0033】
ヘッド毛細管管径-表面品質-流体圧力降下の反復最適化、毛細管の数/分布/長さ-熱抵抗の反復最適化設計により、最終的な毛細構造ヘッドの最適化3次元モデルを確定する(
図5)。
【0034】
ステップ(5)では、ステップ(2)で確定した成長方向において、上ヘッドの底面は懸垂状態にあるため、付加製造補助プロセスを設計して支持する必要がある。スムーズな成形の確保、温度場伝熱と応力の制御、取り外しの容易さの3つの観点から、中実+中空柱状の組み合わせ支持を設計することにより、中実支持による成形過程での安定性及び変形制御が保証されるとともに、中空柱状支持による取り外しの容易さが得られる。前記中実+中空柱状の組み合わせ支持において、中実支持構造は45°自己支持可能な成形構造であり、軸線に対して45°の角度になる。これによって、噴出盤の平面に落ちることができ、毛細特徴を有する円弧面に落ちることが回避される。また、支持に菱形孔を設計することにより、強度を保証しながら、軽量化設計を達成する(
図6)。前記中空柱状支持は、外径が1.23mm、肉厚が0.2mmであり、噴出盤の懸垂面に設けられるとともに、自己支持可能な中実支持に落ちることで、支持の取り外しが容易になる。
【0035】
ステップ(7)において、選択的レーザ溶融が終了した後、粉体材料が毛細管内に充填される。毛細管内の粉末が完全に除去されることを保証するために、ヘッドの底部フランジと基板からなる密閉チャンバの最低部に円周に沿って分布する18個のプロセス粉末排出口を設け、フランジの底部において粉末排出口を連通させることで構造の開放性を向上させ、各毛細管の上下口の連通を保証することにより、毛細管内の粉末は、圧縮空気による吹き飛ばしによって順調に流出する。前記プロセス粉末排出口は、形状が半円状であり、半径が2mmである。
【0036】
ステップ(7)において、1.2-1.5Mpaの高圧ガスを用いて噴出盤上の毛細管入口から吹き飛ばすことで、粉末をプロセス粉末排出口から完全に除去する。前記熱処理は、均質化熱処理であり、温度900-1000℃で3h保温し、空気冷却してヘッド成形過程における熱応力を除去し、組織及び性能を調整し、設計の要求を満たす。ワイヤ切断により中実支持を取り外し、研磨により柱状支持を取り外す。ここで、ワイヤ切断は、高速往復ワイヤ放電加工機を用いるワイヤ切断であり、パルス幅を10-15μsに設定し、パルス間隔が100-120μsであり、波形が矩形波パルスである。
【0037】
ステップ(9)において、毛細構造ヘッドに対してマイクロフォーカスCTにより不要物を検出する。マイクロフォーカスCTの検出パラメータは、電圧240~290KV、電流280~330uA、検出器の感度2~4、露光時間500~1000ms、解像度ボクセルサイズ70umであり、光線方向は、鉛直段部の毛細管に垂直である。
【0038】
以上、具体的な実施形態及び実施例により本発明を詳しく説明したが、これらの説明は、本発明を制限するものではない。当業者は、本発明の思想及び範囲から逸脱しない限り、本発明の技術的手段及びその実施形態に対して種々の同等置換、修飾又は改良を加えることができる。これらは、いずれも本発明の範囲内に含まれる。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものである。
【0039】
本発明の明細書で詳細に説明されていない内容は、当該技術分野での通常知識である。
【国際調査報告】