(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びこれを含む車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250212BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20250212BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20250212BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20250212BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20250212BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20250212BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20250212BHJP
H01M 10/655 20140101ALN20250212BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/291
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/643
H01M10/625
H01M10/6551
H01M10/655
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524461
(86)(22)【出願日】2023-08-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 KR2023012058
(87)【国際公開番号】W WO2024135985
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0183585
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0041543
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ファン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ヨブ・ソン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA03
5H012BB06
5H012CC10
5H031AA09
5H031KK01
5H040AA28
5H040AA33
5H040AS01
5H040AS04
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC01
(57)【要約】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパックは、複数のバッテリーと、複数の前記バッテリーを収容する内部空間、及び前記内部空間と連通する開口を備えるパックトレイと、前記パックトレイと結合して前記開口をカバーするように構成されたパック蓋と、複数の前記バッテリーと前記パック蓋との間に配置される放熱構造体と、を含み、前記放熱構造体は、複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと熱接触する第1接触部と、前記第1接触部から所定距離だけ離隔して前記パック蓋と熱接触する第2接触部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーと、
複数の前記バッテリーを収容する内部空間、及び前記内部空間と連通する開口を備えるパックトレイと、
前記パックトレイと結合して前記開口をカバーするように構成されたパック蓋と、
複数の前記バッテリーと前記パック蓋との間に配置される放熱構造体と、を含み、
前記放熱構造体は、
複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと熱接触する第1接触部と、
前記第1接触部から所定距離だけ離隔して前記パック蓋と熱接触する第2接触部と、を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記放熱構造体は、一端が前記第1接触部に連結され、他端が前記第2接触部に連結され、前記第1接触部と前記第2接触部との間隔を維持するように構成された少なくとも1つの連結レッグをさらに含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記放熱構造体は、前記第1接触部と前記第2接触部をそれぞれ複数含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記放熱構造体の複数の第1接触部は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと熱接触するように構成される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記放熱構造体の複数の第2接触部は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ前記パック蓋の互いに異なる部分に熱接触するように構成される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記放熱構造体の複数の第1接触部は、第1平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置され、
前記放熱構造体の複数の第2接触部は、前記第1平面と平行な第2平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
複数の前記第1接触部と複数の前記第2接触部は、前記第1平面又は前記第2平面と平行な第1方向を基準に、互いに交互に配置される、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記放熱構造体は、複数の第1接触部と複数の第2接触部を一体に連結する複数の連結レッグを含む、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
複数の前記バッテリーはそれぞれ、前記放熱構造体の複数の第1接触部のうちの少なくとも1つの第1接触部と接触する接触面を有し、前記接触面のうちの少なくとも1つの前記第1接触部と接触する部分以外の部分に、ガスを排出するベント部が設けられる、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
複数の前記バッテリーはそれぞれ、
充放電可能な複数のバッテリーセルと、
前記ベント部が設けられた前記接触面を有し、内部に複数の前記バッテリーセルを収容するバッテリーケースと、を含む、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記放熱構造体は、前記パック蓋よりも高い熱伝導性を有する素材から構成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記パックトレイは、前記内部空間をなす壁体を含み、
前記壁体は、
前記第1接触部と前記第2接触部との間の空間と連通し、前記内部空間に収容されたバッテリーで発生したガスが流入するように構成された少なくとも1つのガス流入口と、
少なくとも1つの前記ガス流入口と連通する少なくとも1つのガス通路と、を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年12月23日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0183585号、及び2023年3月29日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0041543号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーパック及びこれを含む車両に関し、さらに詳しくは、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーパックと、このようなバッテリーパックを含む車両に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、二次電池(secondary battery)とは、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリーなどのように繰り返し充放電が可能なバッテリーを指す。最も基本的な二次電池に該当するバッテリーセル(battery cell)は、約2.5Vから4.2V程度の出力電圧を提供することができる。
【0004】
最近、このような二次電池が電気自動車(electric vehicle)やESS(Energy Storage System)などのように高い出力電圧と大量の充電容量を必要とする装置に適用されることで、複数のバッテリーセルを直列、並列、又は直列と並列を組み合わせた方式で接続して構成されたバッテリーモジュール(battery module)と、バッテリーモジュールを直列、並列、又は直列と並列を組み合わせた方式で接続して構成されたバッテリーパック(battery pack)とが広く用いられている。
【0005】
このように、バッテリーパックの内部に含まれるバッテリーセル又はバッテリーモジュールは、エネルギー密度を高めるために狭い空間に密集して配置されるため、過熱や熱暴走が発生しないように適切に管理する必要がある。
【0006】
しかしながら、従来技術は、バッテリーパックを製造する際に、上端に開口が設けられたボックス状のパックトレイ(pack tray)に、複数のバッテリーセルや複数のバッテリーモジュールを収容し、前記パックトレイの開口を単純な板構造の蓋(lid)で閉鎖するため、バッテリーパックの内部で発生する熱がバッテリーパックの内部にそのまま蓄積し、バッテリーセルやバッテリーモジュールの過熱又は熱暴走を引き起こすという問題がある。
【0007】
また、このような従来技術は、バッテリーパックに収容されたバッテリーセルやバッテリーモジュールの熱暴走時に発生する高温のガス及び火炎に、バッテリーパックの蓋が直接露出するため、露出した蓋部分に蓄積された熱によって熱転移が急速に進行され、他のバッテリーセルや他のバッテリーモジュールの連鎖的に熱暴走を引き起こし、さらにはバッテリーパックの発火や爆発を引き起こすという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、バッテリーパックに収容されたバッテリーの過熱や熱暴走を防止し、バッテリー間の連鎖的な熱暴走やバッテリーパックの発火を抑制又は遅延させるバッテリーパック及びこれを含む車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるバッテリーパックは、複数のバッテリーと、複数の前記バッテリーを収容する内部空間、及び前記内部空間と連通する開口を備えるパックトレイと、前記パックトレイと結合して前記開口をカバーするように構成されたパック蓋と、複数の前記バッテリーと前記パック蓋との間に配置される放熱構造体と、を含み、前記放熱構造体は、複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと熱接触する第1接触部と、前記第1接触部から所定距離だけ離隔して前記パック蓋と熱接触する第2接触部と、を含む。
【0010】
一実施形態において、前記放熱構造体は、一端が前記第1接触部に連結され、他端が前記第2接触部に連結され、前記第1接触部と前記第2接触部との間隔を維持するように構成された少なくとも1つの連結レッグをさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、前記放熱構造体は、前記第1接触部と前記第2接触部をそれぞれ複数含むことができる。
【0012】
一実施形態において、前記放熱構造体の複数の第1接触部は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと熱接触するように構成され得る。
【0013】
一実施形態において、前記放熱構造体の複数の第2接触部は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ前記パック蓋の互いに異なる部分に熱接触するように構成され得る。
【0014】
一実施形態において、前記放熱構造体の複数の第1接触部は、第1平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置され、前記放熱構造体の複数の第2接触部は、前記第1平面と平行な第2平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置され得る。
【0015】
一実施形態において、複数の前記第1接触部と複数の前記第2接触部は、前記第1平面又は前記第2平面と平行な第1方向を基準に、互いに交互に配置され得る。
【0016】
一実施形態において、前記放熱構造体は、複数の第1接触部と複数の第2接触部を一体に連結する複数の連結レッグを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、複数の前記バッテリーはそれぞれ、前記放熱構造体の複数の第1接触部のうちの少なくとも1つの第1接触部と接触する接触面を有し、前記接触面のうちの少なくとも1つの前記第1接触部と接触する部分以外の部分に、ガスを排出するベント部が設けられ得る。
【0018】
一実施形態において、複数の前記バッテリーはそれぞれ、充放電可能な複数のバッテリーセルと、前記ベント部が設けられた前記接触面を有し、内部に複数の前記バッテリーセルを収容するバッテリーケースと、を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、前記放熱構造体は、前記パック蓋よりも高い熱伝導性を有する素材から構成され得る。
【0020】
一実施形態において、前記パックトレイは、前記内部空間をなす壁体を含み、前記壁体は、前記第1接触部と前記第2接触部との間の空間と連通し、前記内部空間に収容されたバッテリーで発生したガスが流入するように構成された少なくとも1つのガス流入口と、少なくとも1つの前記ガス流入口と連通する少なくとも1つのガス通路と、を含むことができる。
【0021】
本発明の他の一態様による車両は、上述した実施形態のいずれかの一実施形態に係るバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、放熱構造体がパックトレイに収容された複数のバッテリーとパック蓋との間に位置し、複数の前記バッテリーで発生する熱を放出することで、バッテリーパックに収容されたバッテリーの過熱や熱暴走を防止し、バッテリー間の連鎖的な熱暴走やバッテリーパックの発火を抑制又は遅延でき、バッテリーパックの安全性を向上させることができる。
【0023】
また、前記放熱構造体が、複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと接触する第1接触部と、このような第1接触部から所定距離だけ離隔して前記パック蓋と接触する第2接触部とを含み、単純な板構造よりも相対的に広い表面積を有するため、バッテリーの冷却速度を高め、熱放出効率を向上させることができる。
【0024】
また、前記放熱構造体がバッテリーとパック蓋との間にガス排出空間を提供する幾何学的立体構造で構成されることで、バッテリーで発生するガスや火炎の排出経路を容易に設計することができる。
【0025】
さらに、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明による様々な実施形態が上述していない様々な技術的課題を解決できることを以下の説明から明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックを示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示されたバッテリーパックの放熱構造体を示す図である。
【
図4】
図1に示されたバッテリーパックの熱放出構造を示す図である。
【
図5】
図1のS1-S1’ラインに沿った断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックに含まれるバッテリーを示す図である。
【
図8】
図7のS2-S2’ラインに沿った断面図である。
【
図9】
図8に示されたベント部の開放状態を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の技術的課題に対応する解決方法を明確にするために添付図面を参照して本発明による実施形態を詳しく説明する。ただし、本発明を説明するにあたって、関連する公知技術に関する説明が本発明の要旨を曖昧にする場合には、それに関する説明は省略することができる。また、本明細書で使用される用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、これらは設計者、製造者などの意図又は慣例などによって変わり得る。したがって、後述する用語に対しては、本明細書全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0028】
図1には、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック100が分解斜視図として示されている。
【0029】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック100は、バッテリー110、パックトレイ120、パック蓋130及び放熱構造体140を含む。
【0030】
前記バッテリー110は、バッテリーモジュール(battery module)で構成され得る。後述するが、前記バッテリー110がバッテリーモジュールに具現される場合、前記バッテリー110は、充放電の基本単位となる複数のバッテリーセル(battery cell)と、このような複数のバッテリーセルを収容するバッテリーケースとを含むことができる。
【0031】
一実施形態において、前記バッテリー110は、パウチ型、円筒型又は角型のバッテリーセルに具現することもできる。この場合、前記バッテリー110は、セパレーターを挟んで正極と負極が積層された電極組立体と、電解質物質をパウチ型、円筒型又は角型のケースに収納し、当該ケースを封止する方式によって製造することができる。
【0032】
前記パックトレイ120は、1つ又は2つ以上のバッテリー110を収容するように構成される。このために、前記パックトレイ120は、1つ又は2つ以上のバッテリー110を収容する内部空間と、このような内部空間と連通する開口とを備えることができる。例えば、前記パックトレイ120は、上端に開口を有するボックス状に構成され、その内部空間に複数のバッテリー110を収容することができる。
【0033】
一実施形態において、前記パックトレイ120は、前記内部空間をなす壁体122を含むことができる。前記内部空間と隣接する前記壁体122の一面には、バッテリー110で発生したガスが流入する少なくとも1つのガス流入口124が設けられ得る。また、前記壁体122の内部には、少なくとも1つの前記ガス流入口124と連通する少なくとも1つのガス通路が設けられ得る。この場合、前記パックトレイ120の外表面には、前記ガス通路を通って移動したガスを外部に排出するガス排出口126が設けられ得る。
【0034】
また、前記パックトレイ120は、前記内部空間を互いに独立した複数の収容室に分割するクロスビーム128をさらに含むことができる。この場合、各収容室には、少なくとも1つのバッテリー110が収容され得る。また、前記ガス流入口124は、各収容室ごとに設けられ得る。
【0035】
一実施形態において、前記パックトレイ120は、その内部空間に収容されたバッテリー110の充放電動作を制御するか、SOC(State Of Charge)、SOH(State Of Health)などをモニタリングする各種電装部品(図示せず)をさらに収容することができる。
【0036】
前記パック蓋130は、上述したパックトレイ120と結合してパックトレイ120の上端開口をカバーするように構成される。このようなパック蓋130は、ねじのような締結部材を用いるか、溶接や接着などの様々な方式を用いてパックトレイ120に結合し得る。
【0037】
前記放熱構造体140は、複数の前記バッテリー110と前記パック蓋130との間に配置され、複数の前記バッテリー110で発生する熱を放出するように構成される。このために、前記放熱構造体140は、熱伝導性の高い金属素材から構成され得る。特に、前記放熱構造体140は、パック蓋130よりも高い熱伝導性を有する素材から構成され得る。例えば、前記パック蓋130はステンレス鋼から構成され、前記放熱構造体140はアルミニウムを含む素材から構成され得る。
【0038】
また、前記放熱構造体140は、バッテリー110及びパック蓋130とそれぞれ熱接触し、バッテリー110で発生した熱をパック蓋130全体に迅速に分散して放出するように構成され得る。
【0039】
一実施形態において、前記放熱構造体140は、板状又はシート状に構成され、パック蓋130の底面に結合し得る。この場合、前記パック蓋130は、その底面に放熱構造体が一体に結合された多層構造を有することができる。
【0040】
他の実施形態において、前記放熱構造体140は、幾何学的立体構造で構成され得る。
【0041】
図2には、
図1に示されたバッテリーパックの放熱構造体140が示されている。
【0042】
図2に示すように、前記放熱構造体140は、第1接触部142と第2接触部144を含むことができる。
【0043】
前記第1接触部142は、パックトレイ120に収容された複数のバッテリー110の少なくとも1つのバッテリーと熱接触するように構成され得る。このために、前記第1接触部142は板構造を有することができる。
【0044】
前記第2接触部144は、第1接触部142から所定距離だけ離隔して第1接触部142との間に段差を有し、前記パック蓋130と熱接触するように構成され得る。このために、前記第2接触部144は板構造を有することができる。
【0045】
また、前記放熱構造体140は、少なくとも1つの連結レッグ146をさらに含むことができる。前記連結レッグ146は、一端が第1接触部142に接続され、他端が第2接触部144に接続され、第1接触部142と第2接触部144との間隔を維持するように構成され得る。
【0046】
一実施形態において、前記放熱構造体140は、上述した第1接触部142と第2接触部144をそれぞれ複数含むことができる。
【0047】
例えば、複数の第1接触部142は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ複数の前記バッテリー110の少なくとも1つのバッテリーと熱接触するように構成され得る。この場合、複数の前記第1接触部142は、仮想の第1平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置され得る。
【0048】
また、複数の第2接触部144は、互いに間隔をおいて離隔し、それぞれ前記パック蓋130の互いに異なる部分に熱接触するように構成され得る。この場合、複数の前記第2接触部144は、前記第1平面と平行な仮想の第2平面上で互いに間隔をおいて格子状に配置され得る。
【0049】
このような複数の第1接触部142と複数の第2接触部144は、前記第1平面又は前記第2平面と平行な第1方向(例えば、X軸方向又はY軸方向)を基準に、互いに交互に配置され得る。
【0050】
図3には、
図2に示された放熱構造体140の断面図が示されている。
【0051】
図3に示すように、前記放熱構造体140は、複数の第1接触部142と複数の第2接触部144を含むことができる。
【0052】
複数の前記第1接触部142は、仮想の第1平面P1上で互いに離隔した位置に配置され得る。この場合、前記第1平面P1は、それぞれの第1接触部142が接触するバッテリー110の接触面に対応する平面であり得る。
【0053】
複数の前記第2接触部144は、前記第1平面P1と平行な仮想の第2平面P2上で互いに離隔した位置に配置され得る。この場合、前記第2平面P2は、それぞれの第2接触部144が接触するパック蓋130の底面に対応する平面であり得る。
【0054】
このような複数の第1接触部142と複数の第2接触部144は、前記第1平面P1又は前記第2平面P2と平行な第1方向(例えば、Y軸方向)を基準に、互いに交互に配置され得る。
【0055】
また、前記放熱構造体140は、複数の第1接触部142と複数の第2接触部144を一体に連結する複数の連結レッグ146を含むことができる。
【0056】
図4には、
図1に示されたバッテリーパックの熱放出構造が示されている。
【0057】
図4に示すように、前記放熱構造体140は、パックトレイ120に収容されたバッテリー110の上端面と、パックトレイ120の開口をカバーするパック蓋130との間に配置され得る。
【0058】
このような放熱構造体140は、パックトレイ120に収容されたバッテリーから発生した熱をパック蓋130全体に迅速に分散して冷却させることで、パック蓋130の一部分に熱が蓄積することを防止することができる。また、バッテリー110で発生した熱が、放熱構造体140の第1接触部142、連結レッグ146及び第2接触部144を介して伝達されながら冷却されることで、バッテリーパック100の冷却性能を向上させることができる。その結果、バッテリーの熱暴走やバッテリー間の連鎖的な熱暴走を抑制又は遅延することができ、バッテリーパックの発火を防止することができる。
【0059】
図5には、
図1のS1-S1’ラインに沿った断面図が示されている。
【0060】
図5に示すように、前記放熱構造体140は、パックトレイ120に収容されたバッテリー110の上端面と、パックトレイ120の開口をカバーするパック蓋130との間に配置され、バッテリー110で発生したベントガスVGの排出経路を提供することができる。すなわち、バッテリー110で発生したベントガスVGは、放熱構造体140の第1接触部142と第2接触部144との間に設けられた空間を通って移動して排出され得る。
【0061】
このために、前記パックトレイ120の壁体122は、パックトレイ120の内部空間と隣接する前記壁体122の一面のうち、放熱構造体140の第1接触部142と第2接触部144との間に位置する部分に設けられた、少なくとも1つのガス流入口124を備えることができる。
【0062】
すなわち、前記ガス流入口124は、放熱構造体140の第1接触部142と第2接触部144との間の空間と連通するように構成され得る。したがって、バッテリー110で発生したベントガスVGは、放熱構造体140の第1接触部142と第2接触部144との間の空間を通って移動して前記壁体122のガス流入口124に流入することができる。
【0063】
また、前記壁体122は、その内部に設けられ、前記ガス流入口124と連通するガス通路124aを備えることができる。ガス流入口124を通って流入したベントガスVGは、ガス通路124aを通って移動し、パックトレイ120の外表面に設けられたガス排出口126を通って外部に排出され得る。
【0064】
このように、幾何学的立体構造を有する放熱構造体140が、バッテリー110とパック蓋130との間に配置されてガス排出経路を提供することで、バッテリーパックで発生するガスや火炎の排出経路を容易に設計することができる。
【0065】
図6には、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックに含まれるバッテリー110が示されている。
【0066】
図6に示すように、前記バッテリー110は、上述した放熱構造体140の複数の第1接触部142の少なくとも1つの第1接触部と接触する接触面F1を有することができる。また、前記接触面F1のうちの第1接触部142と接触する部分以外の部分には、ガスを排出するベント部114が設けられ得る。
【0067】
このようなバッテリー110は、充放電の基本単位となる複数のバッテリーセル(battery cell)と、このような複数のバッテリーセルを収容するバッテリーケース112を含むバッテリーモジュール(battery module)に実現することができる。
【0068】
この場合、前記バッテリーケース112は、前記ベント部114が設けられた接触面F1を有し、内部に複数の前記バッテリーセルを収容するように構成され得る。このようなバッテリーケース112の外表面には、その内部空間に収容されたバッテリーセルと電気的に接続されるターミナルT1、T2が配置され得る。
【0069】
図7には、
図6のA1領域が拡大図として示されている。
【0070】
図7に示すように、前記バッテリーケース112の接触面F1には、少なくとも1つのベント部114が設けられ得る。前記ベント部114は蓋部114aと、少なくとも1つの支持部114bを備えることができる。
【0071】
前記蓋部114aは、バッテリー110の内部圧力が所定圧力以上に上昇する場合に、接触面F1の残りの部分から分離するように構成され得る。前記蓋部114aが接触面F1から分離されると、前記接触面F1には、バッテリーケース112の内部空間と連通する開口が形成され得る。
【0072】
前記支持部114bは、その一端が前記蓋部114aを除いた接触面F1の他の部分と一体に連結され、その他端が前記蓋部114aと一体に連結されるように構成され得る。このような支持部114bは、接触面F1から分離された蓋部114aが一定の位置を維持するように当該蓋部114aを支持することができる。
【0073】
このようなベント部114は、バッテリー110の接触面F1に切り込みや切開線を形成する方法によって設けられ得る。
【0074】
図8には、
図7のS2-S2’ラインに沿った断面図が示されている。
【0075】
図8に示すように、前記バッテリーケース112は、多層構造を有することができる。すなわち、前記バッテリーケース112は、ケースフレーム112aとベントホールカバー112bを含むことができる。
【0076】
前記ケースフレーム112aは、バッテリーケース112の本体を構成し、前記接触面F1に対応する一面に設けられたベントホールVHを備えることができる。
【0077】
前記ベントホールカバー112bは、ケースフレーム112aの外表面に取り付けられ、前記ベントホールVHをカバーするように構成され得る。この場合、上述したベント部114は、前記ベントホールカバー112bに設けられ得る。
【0078】
例えば、バッテリー110の内部でガスが発生していない定常状態では、前記ベント部114の蓋部114aは、ケースフレーム112aのベントホールVHの開口をカバーして閉鎖する。このために、ベント部114の蓋部114aは、ベントホールVHの開口面積と同一であるか又は当該開口の面積よりも大きな面積を有することができる。
【0079】
図9には、
図8に示されたベント部114の開放状態が示されている。
【0080】
図9に示すように、バッテリー110の内部でガスが発生する場合、ベント部114の蓋部114aは、当該ガスの圧力によってベントホールカバー112bの残りの部分から分離され、ケースフレーム112aのベントホールVHを開放させることができる。
【0081】
この場合、ベント部114の支持部114bは、ベントホールカバー112bから分離される蓋部114aを支持し、前記蓋部114aを一定の位置に維持することができる。
【0082】
参照までに、前記蓋部114aがベントガスの圧力によってベントホールカバー112bから完全に分離されると、分離した蓋部114aの破片がバッテリーパックの内部で様々な問題を引き起こす可能性がある。このような問題を防止するために、前記支持部114bは、蓋部114aがベントホールカバー112bから完全に分離されないように前記蓋部114aを支持することができる。
【0083】
このように、ベント部114を備えたベントホールカバー112bが、ケースフレーム112aのベントホールVHをカバーすることで、バッテリーモジュールの内部に異物が浸透することを防止するとともに、バッテリー110の内部で発生したガスをバッテリー110の外部に迅速に排出することができる。その結果、バッテリー110の内部に蓄積する熱エネルギーを最小化して熱伝播時間を遅延でき、バッテリーパック100に収容された他のバッテリーの連鎖的な熱暴走や発火を防止することができる。
【0084】
一実施形態において、前記ベントホールカバー112bは、可撓性材料のシート状に構成され、ケースフレーム112aの複数の面のうちの少なくとも2つの面を取り囲み、当該ケースフレーム112aに取り付けられるように構成され得る。その結果、バッテリー110の重さを減少させて製造工程を簡素化しながらも、ベントホールカバー112b全体がバッテリー110のガス圧力によってケースフレーム112aから外れる現象を防止することができる。
【0085】
図10には、本発明の一実施形態に係る車両10が示されている。
【0086】
図10に示すように、本発明の一実施形態に係る車両10は、上述した様々な実施形態に係るバッテリーパック100を含むことができる。この場合、バッテリーパック100は、前記車両10の様々な動作に必要な電気エネルギーを提供することができる。
【0087】
参照までに、本発明によるバッテリーパック100は、車両以外にも様々な電気装置や電気システムに適用できるだけでなく、ESS(Energy Storage System)にも適用することができる。
【0088】
上述したように、本発明によると、放熱構造体がパックトレイに収容された複数のバッテリーとパック蓋との間に位置し、複数の前記バッテリーで発生する熱を放出することで、バッテリーパックに収容されたバッテリーの過熱や熱暴走を防止し、バッテリー間の連鎖的な熱暴走やバッテリーパックの発火を抑制又は遅延でき、バッテリーパックの安全性を向上させることができる。
【0089】
また、前記放熱構造体が、複数の前記バッテリーのうちの少なくとも1つのバッテリーと接触する第1接触部と、このような第1接触部から所定距離だけ離隔して前記パック蓋と接触する第2接触部とを含み、単純な板構造よりも相対的に広い表面積を有するため、バッテリーの冷却速度を高め、熱放出効率を向上させることができる。
【0090】
また、前記放熱構造体がバッテリーとパック蓋との間にガス排出空間を提供する幾何学的立体構造で構成されることで、バッテリーで発生するガスや火炎の排出経路を容易に設計することができる。
【0091】
さらに、本発明による実施形態は、当該技術分野だけでなく関連技術分野で本明細書に言及された内容以外の他の様々な技術的課題を解決できることは言うまでもない。
【0092】
以上、本発明について具体的な実施形態を参考して説明した。しかしながら、当業者であれば本発明の技術的範囲で種々の変形実施形態が可能であることを明確に理解できるであろう。したがって、上記で開示された実施形態は、限定的な観点でなく説明的な観点で考慮されるべきである。すなわち、本発明の真の技術的思想の範囲は特許請求の範囲に示されており、それと均等範囲内のすべての相違点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0093】
10 車両
100 バッテリーパック
110 バッテリー
112 バッテリーケース
112a ケースフレーム
112b ベントホールカバー
114 ベント部
114a 蓋部
114b 支持部
120 パックトレイ
122 壁体
124 ガス流入口
124a ガス通路
126 ガス排出口
128 クロスビーム
130 パック蓋
140 放熱構造体
142 第1接触部
144 第2接触部
146 連結レッグ
F1 接触面
P1 第1平面
P2 第2平面
T1 ターミナル
T2 ターミナル
VG ベントガス
VH ベントホール
【国際調査報告】