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2025-504737バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250212BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20250212BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250212BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20250212BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M10/658
H01M10/617
H01M10/647
H01M50/291
H01M50/367
H01M50/35 201
H01M50/548 301
H01M50/293
H01M50/557
H01M50/249
H01M10/625
H01M50/50 201A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525489
(86)(22)【出願日】2023-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2023010606
(87)【国際公開番号】W WO2024135973
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0183382
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0043171
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-フン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ス-ユル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC09
5H012CC10
5H031AA09
5H031KK02
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD03
5H040NN03
5H043AA04
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA02
5H043FA04
(57)【要約】
本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールは、積層された複数のバッテリーセルを含むセルアセンブリと、セルアセンブリを収容するモジュールケースと、モジュールケースと結合され、複数のバッテリーセルと電気的に接続されるバスバーアセンブリと、を含み、セルアセンブリは、少なくとも1つのバッテリーセルに熱イベントが発生した時に、複数のバッテリーセルの積層方向において隣接するバッテリーセルへの熱伝播を防止するために、複数のバッテリーセルの一部分をカバーするように構成された遮断部材を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーモジュールにおいて、
前記バッテリーモジュールは、
積層された複数のバッテリーセルを含むセルアセンブリと、
前記セルアセンブリを収容するモジュールケースと、
前記モジュールケースと結合され、複数の前記バッテリーセルと電気的に接続されるバスバーアセンブリと、を含み、
前記セルアセンブリは、
少なくとも1つの前記バッテリーセルに熱イベントが発生した時に、複数の前記バッテリーセルの積層方向において隣接するバッテリーセルへの熱伝播を防止するために、複数の前記バッテリーセルの一部分をカバーするように構成された遮断部材を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記遮断部材は、
少なくとも1つの前記バッテリーセルに熱イベントが発生した時に少なくとも1つの前記バッテリーセルから噴出された噴出物を特定の方向に誘導して噴出するようにガイドする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記モジュールケースの底部には、前記噴出物を排出するための少なくとも1つのベント部が備えられ、
前記遮断部材は、
前記噴出物を前記モジュールケースの前記ベント部に向けて誘導して噴出できるように開放された下部を有する、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記セルアセンブリは、
複数の前記バッテリーセルの積層方向において複数の前記バッテリーセルの間に配置される遮熱部材を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記遮熱部材は、
複数の前記バッテリーセルの積層方向において前記遮断部材と接触する、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記遮断部材の両端部は、
前記バスバーアセンブリに隣接して配置される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記バスバーアセンブリは、
複数の前記バッテリーセルの両側面をカバーし、
前記遮断部材の両端部は、
前記バスバーアセンブリに隣接して配置される、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記遮断部材は、
フレキシブルな材料から成る、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記遮断部材は、
複数の前記バッテリーセルの上端部及び両側縁部をカバーする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記遮断部材は、
複数の前記バッテリーセルの積層方向において複数の前記バッテリーセルの両側縁部の前面部及び後面部をカバーする、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
複数の前記バッテリーセルはそれぞれ、
電極組立体と、
前記電極組立体を収容するケースボディー、及び前記ケースボディーの両側部から段差を有して延びるケーステラスを含む電池ケースと、
前記電極組立体に接続し、前記電池ケースのケーステラスから突出して前記バスバーアセンブリに接続する一対の電極リードと、を含み、
前記遮断部材は、
前記ケースボディーの上端部、前記ケーステラスの前面部及び後面部をカバーする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記ケースボディーの上端部には、
前記ケーステラスに接続し、前記ケースボディー内部を封止するためのシール部が形成され、
前記遮断部材は、
前記シール部をカバーする、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記遮断部材には、
一対の前記電極リードとの干渉を防止できるように、一対の前記電極リードを通過させるためのガイドスリットが形成される、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのバッテリーモジュールと、
少なくとも1つの前記バッテリーモジュールを収容するパックケースと、を含む、バッテリーパック。
【請求項15】
少なくとも1つの請求項14に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より詳しくは、安全性が向上したバッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2022年12月23日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0183382号、及び2023年03月31日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0043171号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じて適用しやすく、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯型機器だけでなく電気駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)又はハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を劇的に減少できるという主な利点だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全然発生しないという点で、環境に配慮し、エネルギー効率性を向上させるための新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在広く使用されている二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セル、すなわち単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。したがって、これよりも高い出力電圧が求められる場合、複数のバッテリーセルを直列に接続してバッテリーパックを構成することがある。また、バッテリーパックに求められる充放電容量に応じて複数のバッテリーセルを並列接続してバッテリーパックを構成することもある。したがって、前記バッテリーパックに含まれるバッテリーセルの数を、求められる出力電圧又は充放電容量に応じて多様に設定することができる。
【0005】
一方、複数のバッテリーセルを直列/並列に接続してバッテリーパックを構成する場合、少なくとも1つのバッテリーセルを含むバッテリーモジュールを先に構成し、このような少なくとも1つのバッテリーモジュールを用いてその他構成要素を追加してバッテリーパックやバッテリーラックを構成する方法が一般的である。
【0006】
ところが、このように複数の二次電池(バッテリーセル)又は複数のバッテリーモジュールが狭い空間に密集している場合、熱イベントに対して脆弱になる可能性がある。特に、いずれかのバッテリーセルで熱暴走(thermal runaway)などのイベントが発生した場合、高温のガスや火炎、熱などが生じる可能性がある。このようなガスや火炎、熱などが同一のバッテリーモジュール内に含まれた他のバッテリーセルに伝達される場合、熱伝播(thermal propagation)のような爆発的な連鎖反応状況が発生するおそれがある。また、このような連鎖反応は、当該バッテリーモジュールで火災や爆発などの事故を引き起こすだけでなく、他のバッテリーモジュールに対しても火災や爆発などを引き起こすおそれがある。
【0007】
さらに、電気自動車などの中大型のバッテリーパックの場合、出力及び/又は容量を増加させるために多くの数のバッテリーセルとバッテリーモジュールが含まれるため、熱連鎖反応に対する危険性がさらに高まる可能性がある。これに加えて、電気自動車などに搭載されたバッテリーパックの場合、周辺に運転者などの利用者が存在する場合がある。したがって、特定のバッテリーモジュールで発生した熱イベントを適切に制御できず、連鎖反応が発生する場合、重大な物的損害だけでなく人命の損失まで引き起こすおそれがある。
【0008】
これによって、このような熱イベントが発生したときに、熱イベントに対する安全性を向上させることができる方法の模索が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、熱イベントに対する安全性を向上させることができるバッテリーモジュール、及び当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車を提供することである。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を解決するために、本発明は、バッテリーモジュールであって、積層された複数のバッテリーセルを含むセルアセンブリと、前記セルアセンブリを収容するモジュールケースと、前記モジュールケースと結合され、複数の前記バッテリーセルと電気的に接続されるバスバーアセンブリと、を含み、前記セルアセンブリは、少なくとも1つのバッテリーセルに熱イベントが発生した時に、複数の前記バッテリーセルの積層方向において隣接するバッテリーセルへの熱伝播を防止するために、複数の前記バッテリーセルの一部分をカバーするように構成された遮断部材を含む、バッテリーモジュールを提供する。
【0012】
また、望ましくは、前記遮断部材は、少なくとも1つの前記バッテリーセルの熱イベント時に少なくとも1つの前記バッテリーセルから噴出された噴出物を特定の方向に誘導して噴出するようにガイドすることができる。
【0013】
また、望ましくは、前記モジュールケースの底部には、前記噴出物を排出するための少なくとも1つのベント部が備えられ、前記遮断部材は、前記噴出物を前記モジュールケースの前記ベント部に向けて誘導して噴出できるように開放された下部を有することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記セルアセンブリは、複数の前記バッテリーセルの積層方向において複数の前記バッテリーセルの間に配置される遮熱部材を含むことができる。
【0015】
また、望ましくは、前記遮熱部材は、複数の前記バッテリーセルの積層方向において前記遮断部材と接触し得る。
【0016】
また、望ましくは、前記遮断部材の両端部は、前記バスバーアセンブリに隣接して配置され得る。
【0017】
また、望ましくは、前記バスバーアセンブリは、複数の前記バッテリーセルの両側面をカバーし、前記遮断部材の両端部は、前記バスバーアセンブリに隣接して配置され得る。
【0018】
また、望ましくは、前記遮断部材は、フレキシブルな材料から成り得る。
【0019】
また、望ましくは、前記遮断部材は、複数の前記バッテリーセルの上端部及び両側縁部をカバーすることができる。
【0020】
また、望ましくは、前記遮断部材は、複数の前記バッテリーセルの積層方向において複数の前記バッテリーセルの両側縁部の前面部及び後面部をカバーすることができる。
【0021】
また、望ましくは、複数の前記バッテリーセルはそれぞれ、電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースボディー、及び前記ケースボディーの両側部から段差を有して延びるケーステラスを含む電池ケースと、前記電極組立体に接続し、前記電池ケースのケーステラスから突出して前記バスバーアセンブリに接続する一対の電極リードと、を含み、前記遮断部材は、前記ケースボディーの上端部、前記ケーステラスの前面部及び後面部をカバーすることができる。
【0022】
また、望ましくは、前記ケースボディーの上端部には、前記ケーステラスに接続し、前記ケースボディー内部を封止するためのシール部が形成され、前記遮断部材は、前記シール部をカバーすることができる。
【0023】
また、望ましくは、前記遮断部材には、一対の前記電極リードとの干渉を防止できるように一対の前記電極リードを通過させるためのガイドスリットが形成され得る。
【0024】
また、本発明は、バッテリーパックであって、上述した実施形態に係る少なくとも1つのバッテリーモジュールと、少なくとも1つの前記バッテリーモジュールを収容するパックケースと、を含む、バッテリーパックを提供する。
【0025】
また、本発明は、自動車であって、上述した実施形態に係る少なくとも1つのバッテリーパックを含む、自動車を提供する。
【発明の効果】
【0026】
以上のような様々な実施形態によって、熱イベントに対する安全性を向上させることができるバッテリーモジュール、及び当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車を提供することができる。
【0027】
その他、本発明は様々な効果を有することができ、当該効果については各実施形態で説明するか、当業者が容易に類推できる効果などについては説明を省略する。
【0028】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールを説明するための図である。
図2図1のバッテリーモジュールの分解斜視図である。
図3図2のバッテリーモジュールのセルアセンブリとバスバーアセンブリとの接続部分を説明するための一部断面図である。
図4図1のバッテリーモジュールのセルアセンブリを説明するための図である。
図5図4のセルアセンブリのバッテリーセルに取り付けられた遮断部材の様子を示す図である。
図6図5のバッテリーセルに遮断部材を取り付けた状態を説明するための図である。
図7図6の遮断部材を説明するための図である。
図8図7の遮断部材の側面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る遮断部材を説明するための図である。
図10図9の遮断部材の側面図である。
図11】本発明のまた他の実施形態に係る遮断部材を説明するための図である。
図12図11の遮断部材の側面図である。
図13図1のバッテリーモジュールの少なくとも1つのバッテリーセルの異常状況による熱イベントが発生したときの、火炎やガスなどの噴出物のディレクショナルベント経路を説明するための図である。
図14図12の熱イベントが発生したときの、バッテリーセルの火炎やガスなどの噴出物のディレクショナルベント経路を説明するための図である。
図15図13の異常状況が発生したバッテリーセルで熱イベントが発生したときに、遮断部材による熱伝播の遮断及びディレクショナルベントガイドの様子を説明するための図である。
図16】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックを説明するための図である。
図17】本発明の一実施形態に係る自動車を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。
【0031】
したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0032】
一方、本明細書では上、下、左、右、前、後などの方向を示す用語が使用されるが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、対象となる物体の位置や観察者の位置などによって変わり得ることは本発明の当業者に自明である。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール10を説明するための図であり、図2は、図1のバッテリーモジュール10の分解斜視図であり、図3は、図2のバッテリーモジュール10のセルアセンブリ100とバスバーアセンブリ300との接続部分を説明するための一部断面図である。
【0034】
図1から図3を参照すると、バッテリーモジュール10は、セルアセンブリ100、モジュールケース200及びバスバーアセンブリ300を含むことができる。
【0035】
前記セルアセンブリ100は、積層された複数のバッテリーセル110を含むことができる。複数の前記バッテリーセル110は、互いに電気的に接続し、後述するバスバーアセンブリ300に接続し得る。このような複数の前記バッテリーセル110は二次電池であり、パウチ型二次電池として設けられ得る。
【0036】
前記モジュールケース200は、前記バッテリーモジュール10の外観を形成し、前記セルアセンブリ100を収容することができる。このために、前記モジュールケース200には、前記セルアセンブリ100を収容できる収容空間が設けられ得る。
【0037】
前記バスバーアセンブリ300は、前記モジュールケース200と結合され、前記モジュールケース200とともに前記バッテリーモジュール10の外観を形成することができる。このような前記バスバーアセンブリ300は、前記セルアセンブリ100の複数の前記バッテリーセル110と電気的に接続され、複数の前記バッテリーセル110の電圧をセンシングすることができる。
【0038】
前記セルアセンブリ100は、遮断部材130を含むことができる。
【0039】
前記遮断部材130は、複数の前記バッテリーセル110の少なくとも1つのバッテリーセル110の過熱などの異常状況による熱イベントが発生したときに、複数の前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)において隣接するバッテリーセル110への熱伝播を防止するために、複数の前記バッテリーセル110の一部分をカバーするように構成され得る。
【0040】
前記熱イベント時に異常状況が発生したバッテリーセル110は、過熱による高い温度を有するとともに、火炎やガスなどの噴出物を発生し得る。このような特定のバッテリーセル110の熱や火炎やガスなどの噴出物が隣接するバッテリーセル110側に伝播される場合、隣接するバッテリーセル110の熱暴走につながり、バッテリーセル110の連鎖発火や爆発などのさらに大きい危険をもたらすことになる。
【0041】
本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール10では、複数の前記バッテリーセル110の一部分をカバーする前記遮断部材130により、前記熱イベント時に異常状況が発生したバッテリーセル110で発生した熱、火炎やガスなどの噴出物の隣接するバッテリーセル110への伝播を効果的に防止することができる。
【0042】
したがって、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール10は、前記遮断部材130によって、前記熱イベント時に引き起こされる連鎖発火や爆発などの二次被害の危険を最小化することができる。
【0043】
前記遮断部材130は、少なくとも1つの前記バッテリーセル110の熱イベント時に少なくとも1つの前記バッテリーセル110から噴出された噴出物を特定の方向に誘導して噴出するようにガイドすることができる。熱イベント時に異常状況が発生したバッテリーセル110やモジュールケース200内では、上述した火炎やガスなどの噴出物が発生することがある。このような噴出物は、前記バッテリーモジュール10の前記モジュールケース200の内部圧力を高めるか、周囲の構成部品などを発火させることがある。したがって、熱イベントが発生したとき、前記モジュールケース200の外に前記噴出物を迅速に排出すること必要がある。また、より迅速に前記モジュールケース200の外に噴出物を噴出するとともに、前記モジュールケース200の内部の構成部品などの被害を最小化するためには、前記噴出物の噴出方向を制御することが重要である。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記遮断部材130が隣接するバッテリーセル110への熱伝播を防止するとともに、前記噴出物の噴出方向も特定の方向に噴出するようにガイドすることができる。すなわち、前記遮断部材130は、より迅速に前記モジュールケース200の外に前記ガスや火炎などの噴出物を排出できるように、特定の方向へのディレクショナルベントをガイドすることによって、前記噴出物の噴出経路を制御することができる。
【0045】
以下、このような前記遮断部材130によるディレクショナルベントガイドに対してさらに詳しく検討する。
【0046】
前記モジュールケース200の底部(-Z軸方向)には、前記噴出物を排出するための少なくとも1つのベント部215を備えることができる。具体的に、前記ベント部215は、複数備えられ、前記モジュールケース200の底部の両側に設けられ得る。前記ベント部215は、前記熱イベントのような状況が発生したとき、前記モジュールケース200の内部の火炎やガスなどの噴出物を前記モジュールケース200の外に排出することができる。このような前記ベント部215は、所定の開口を有するベント孔として備えられるか、別途のベントユニットとして前記モジュールケース200に取り付けられ得る。一方、前記ベント部215は、前記熱イベントのような状況が発生したとき、所定温度や所定圧力以上で溶融又は破断して前記モジュールケース200の内外部を連通するように開放される構造で設けられることも可能である。
【0047】
前記遮断部材130は、前記噴出物を前記モジュールケース200の前記ベント部215に向けて誘導して噴出できるように開放された下部を有することができる。前記熱イベントが発生したとき、前記噴出物は、前記遮断部材130の開放された下部を介して前記モジュールケース200の底部に設けられたベント部215に向けて誘導され、前記ベント部215の外に迅速に排出され得る。
【0048】
このように、本実施形態に係る前記遮断部材130は、前記熱イベント時に発生したガスや火炎などの噴出物を特定の方向、具体的に前記バッテリーモジュール10の下側方向(-Z軸方向)に誘導して前記バッテリーモジュール10の外に排出することができる。
【0049】
以下では、このような前記遮断部材130を含む前記セルアセンブリ100に対してさらに詳しく検討する。
【0050】
図4は、図1のバッテリーモジュール10のセルアセンブリ100を説明するための図である。
【0051】
図4を参照すると、前記セルアセンブリ100は、遮熱部材150を含むことができる。
【0052】
前記遮熱部材150は、複数の前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)で複数の前記バッテリーセル110の間に配置され得る。前記遮熱部材150は、前記遮断部材130とともに熱イベント時に異常状況が発生したバッテリーセル110の熱、ガスや火炎などから引き起こされる、隣接するバッテリーセル110への熱伝播を防止することができる。
【0053】
前記遮熱部材150は、複数備えられ、前記バッテリーセル110の積層方向(YXの軸方向)で、前記バッテリーセル110をカバーできる大きさに設けられ得る。
【0054】
前記遮熱部材150は、複数の前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)で前記遮断部材130と接触し得る。これによって、複数の前記バッテリーセル110は、前記遮断部材130の開放された下部及び後述するガイドスリット135領域を除いては、前記遮断部材130と前記遮熱部材150によって取り囲まれ得る。
【0055】
したがって、本発明の一実施形態に係る前記バッテリーモジュール10では、前記遮断部材130と前記遮熱部材150により、熱イベント時に異常状況が発生したバッテリーセル110と隣接するバッテリーセル110への熱伝播をより確実に防止することができる。
【0056】
また図1から図4を参照すると、前記遮断部材130の一部分は、前記バスバーアセンブリ300に隣接して配置され得る。具体的に、前記遮断部材130の両端部が前記バスバーアセンブリ300に隣接して配置され得る。さらに具体的に、前記バスバーアセンブリ300は、複数の前記バッテリーセル110の両側面(X軸方向)をカバーすることができる。前記遮断部材130の両端部は、前記バスバーアセンブリ300に隣接して配置され得る。
【0057】
前記セルアセンブリ100において前記バスバーアセンブリ300の隣近部分の場合、前記バスバーアセンブリ300と複数の前記バッテリーセル110との電気的な接続によって、前記熱イベントの発生時に隣接するバッテリーセル110への熱伝播が発生した場合、連鎖発火や爆発の危険が他の部分よりも大きい。本発明の一実施形態では、前記遮断部材130の両端部が前記バスバーアセンブリ300に隣接して配置されることで、前記熱イベントが発生したときに前記バスバーアセンブリ300の近くで発生する可能性がある、隣接するバッテリーセル110への熱伝播をより効果的に遮断することができる。
【0058】
前記遮断部材130は、フレキシブルな材料から成り得る。これによって、前記遮断部材130は、前記バッテリーセル110との取り付けの利便性を高めることができ、取り付け時に周囲の構成部品との組み立て公差などを吸収又は相殺することもできる。また、前記遮断部材130は、所定の伸縮性を有することができ、前記バッテリーセル110側に加えられる外部衝撃などを緩衝することができる。
【0059】
前記遮断部材130は、耐火素材を含むことができる。例えば、前記遮断部材130は、ガラスファイバー、ラバー、又はシリコンなどから成り得る。これは例示的なものに過ぎず、前記遮断部材130は、フレキシブルな材料として耐火素材を含むその他素材で備えることもできることは言うまでもない。
【0060】
前記遮断部材130は、絶縁材料を含むことができる。したがって、前記遮断部材130は、異常状況が発生したバッテリーセル110から隣接するバッテリーセル110への通電のような電気的問題を効果的に防止することができる。また、前記遮断部材130は、防炎素材を含むことができる。このように、前記遮断部材130は、前記熱イベントが発生したときに、熱伝播の遮断や遅延効果を高めることができる耐火、絶縁及び防炎素材などを含んで設けられ得る。
【0061】
前記遮断部材130は、前記バッテリーセル110の数に対応して複数備えられ得る。複数の前記遮断部材130は、複数の前記バッテリーセル110の一部分をそれぞれカバーすることができる。したがって、本発明の一実施形態においては、前記遮断部材130が前記バッテリーセル110の数に対応して複数設けられるため、それぞれのバッテリーセル110に対する熱伝播の遮断や遅延、及び下部ディレクショナルベントのガイドを複数のバッテリーセル110のいずれのバッテリーセル110でも均一に実現することができる。
【0062】
以下、このような本発明の一実施形態に係る前記遮断部材130に対してより具体的に検討する。
【0063】
図5は、図4のセルアセンブリ100のバッテリーセル110に取り付けられた遮断部材130の様子を示す図であり、図6は、図5のバッテリーセル110に遮断部材130を取り付けた状態を説明するための図である。
【0064】
図5図6及び図1から図4を参照すると、前記遮断部材130は、複数の前記バッテリーセル110の上端部及び両側縁部をカバーすることができる。したがって、前記遮断部材130は、前記熱イベントが発生したときに、複数の前記バッテリーセル110の上側及び両側縁部側で引き起こされる、隣接するバッテリーセル110への熱伝播を効果的に遮断することができる。また、前記遮断部材130は、上述したカバー構造により、前記熱イベント時に発生した火炎やガスなどの噴出物の移動もバッテリーセル110の下側方向(-Z軸方向)に誘導することができる。
【0065】
前記遮断部材130の前記バッテリーセル110の両側縁部のカバー構造を詳しく検討すると以下の通りである。
【0066】
前記遮断部材130は、複数の前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)で複数の前記バッテリーセル110の両側縁部の前面部(+Y軸方向)及び後面部(-Y軸方向)をカバーすることができる。
【0067】
複数の前記バッテリーセル110の両側縁部の場合、パウチ型二次電池の特徴的な形状によって、前後方向(Y軸方向)又は前後方向(Y軸方向)のいずれか一方向(+Y軸方向又は-Y軸方向)で、所定の段差空間を有するようになる。このような段差空間には、上述した熱イベント時に発生した噴出物などが対流作用などによって流入して滞留する場合がある。例えば、前記段差空間内で前記火炎やガスなどの噴出物が滞留又は蓄積すると、隣接するバッテリーセル110への伝播の危険が大きくなるだけでなく、前記モジュールケース200の内部圧力を急激に上昇させ、前記バッテリーモジュール10の爆発などのさらに大きい二次被害の発生可能性が大きくなる。
【0068】
本実施形態において、前記遮断部材130は、前記バッテリーセル110の両側縁部の前後方向(Y軸方向)をすべてカバーするため、前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)で段差空間全体のサイズを大幅に減らすことができる。したがって、本発明の一実施形態において、前記遮断部材130により前記段差空間の体積を減少させるため、前記段差空間内への前記火炎やガスなどの噴出物の流入量を大幅に低減又は防止でき、前記段差空間内での前記火炎やガスなどの噴出物の滞留可能性も大幅に低減することができる。
【0069】
また、前記モジュールケース200の前記ベント部215は、前記モジュールケース200の底部で前記段差空間に近く備えられ得る。これは前記段差空間内の前記火炎やガスなどの噴出物をより迅速に前記モジュールケース200の外に排出することができるためである。
【0070】
以下では、前記パウチ型二次電池として設けられる複数の前記バッテリーセル110に対してさらに具体的に検討する。
【0071】
複数の前記バッテリーセル110はそれぞれ、電極組立体111、電池ケース112及び一対の電極リード117を含むことができる。
【0072】
前記電極組立体111は、正極板、負極板及びセパレーターなどから構成され得る。前記電極組立体111は周知であるため、以下では詳細な説明を省略する。
【0073】
前記電池ケース112は、前記電極組立体111を収容することができる。このために、前記電池ケース112は、前記電極組立体111を収容できる収容空間が設けられ得る。
【0074】
前記電池ケース112は、ケースボディー113及びケーステラス115を含むことができる。
【0075】
前記ケースボディー113は、前記電極組立体111及び後述する一対の電極リード117の一部分を収容することができる。このために、前記ケースボディー113には、前記電極組立体111及び一対の電極リード117の一部分を収容できる収容空間が設けられ得る。
【0076】
前記ケーステラス115は、前記ケースボディー113の両側部から延び得る。前記ケーステラス115は、前記ケースボディー113の内部を封止するように熱融着などによりシールされ得る。前記ケーステラス115は、前記ケースボディー113の内部の前記電極組立体111の体積及び前記シールなどにより、前記ケースボディー113の両側部から段差を有して延び、前記ケースボディー113から所定の段差を有するように形成され得る。本実施形態においては、前記ケーステラス115の前方(+Y軸方向)及び後方(-Y軸方向)の両方で所定の段差空間を形成することができる。
【0077】
一対の前記電極リード117は、前記電極組立体111に接続し、前記電池ケース112のケーステラス115から突出して前記バスバーアセンブリ300に接続し得る。本実施形態において、一対の前記電極リード117は、前記電池ケース112のケーステラス115の両側(X軸方向)でそれぞれ突出し得る。
【0078】
前記遮断部材130は、前記ケースボディー113の上端部(+Z軸方向)、前記ケーステラス115の前面部(+Y軸方向)及び後面部(-Y軸方向)をカバーすることができる。したがって、遮断部材130は、下部を開放しているU字状に前記バッテリーセル110をカバーすることができる。
【0079】
前記ケースボディー113の上端部(+Z軸方向)には、前記ケーステラス115に接続し、前記ケースボディー113の内部を封止するためのシール部114が形成され得る。前記シール部114は、前記バッテリーセル110のスリム化のために、少なくとも1回折りたたむことができる。
【0080】
前記遮断部材130は、前記シール部114をカバーすることができる。前記バッテリーセル110で異常状況が発生したとき、前記シール部114側で意図せず開放されることがあり、このとき、前記火炎やガスなどの噴出物が前記シール部114の外に流出する可能性がる。本実施形態においては、前記遮断部材130が前記シール部114をカバーするため、前記シール部114の開放によって発生し得る火炎やガスなどの噴出物を効果的に遮断することができる。
【0081】
複数の前記バッテリーセル110はそれぞれ、セルベント部118を含むことができる。
【0082】
前記セルベント部118は、前記バッテリーセル110の内部過熱などの異常状況が発生したときに生成され得るガスや火炎などを排出するためのものであり、前記電池ケース112の一側に設けられ得る。具体的に、前記セルベント部118は、前記ケースボディー113の底部(-Z軸方向)の両側に備えられ得る。このような前記セルベント部118は、所定温度や所定圧力以上で溶融又は破断し、前記電池ケース112の内部を外部と連通するように開放させることができる。
【0083】
前記セルベント部118は、前記電池ケース112に一体に形成され、より迅速な溶融や破断のために前記電池ケース112の他の部分よりも相対的に薄い厚さに設けられ得る。しかしながら、これは例示的なものに過ぎず、前記セルベント部118は、別の部材として前記電池ケース112に設け、前記熱イベントが発生したときに前記電池ケース112の内部を開放できる構造で設けることもできることは言うまでもない。
【0084】
前記遮断部材130には、一対の前記電極リード117との干渉を防止できるように、一対の前記電極リード117を通過させるためのガイドスリット135が形成され得る。前記ガイドスリット135は、前記遮断部材130の両端部に所定の間隙を形成できるように設けられ得る。前記ガイドスリット135は、一対の前記電極リード117と前記バスバーアセンブリ300とのより容易な電気的接続をガイドすることができる。
【0085】
以下、このような本発明の一実施形態に係る前記遮断部材130の構造に対してより具体的に検討する。
【0086】
図7は、図6の遮断部材130を説明するための図であり、図8は、図7の遮断部材130の側面図である。
【0087】
図7及び図8を参照すると、前記遮断部材130は、遮断カバー131及び遮断レッグ136を含むことができる。
【0088】
前記遮断カバー131は、前記バッテリーセル110(図6を参照)の上端部(+Z軸方向)をカバーできるように所定の長さに形成され得る。また、前記遮断カバー131は、前記バッテリーセル110(図6を参照)の電池ケース112のケースボディー113の上端部の幅に対応して少なくとも同じ幅を有することができる。
【0089】
前記遮断レッグ136は、前記遮断カバー131の両端部から下方(-Z軸方向)に折り曲げられて延長形成され得る。前記遮断レッグ136は、前記遮断カバー131と一体に形成され、前記バッテリーセル110(図6を参照)の両側縁部を前後方向(Y軸方向)でカバーすることができる。
【0090】
このような前記遮断レッグ136は、第1レッグ137及び第2レッグ138を含むことができる。
【0091】
前記第1レッグ137は、前記遮断カバー131の両端の前方(+Y軸方向)に所定の長さに形成され得る。前記第2レッグ138は、前記前後方向(Y軸方向)で前記第1レッグ137と所定距離離隔し、前記遮断カバー131の両端の後方(-Y軸方向)に所定の長さに形成され得る。前記前後方向(Y軸方向)で、前記第1レッグ137と前記第2レッグ138との間の離隔によって、前記ガイドスリット135が形成され得る。
【0092】
図9は、本発明の他の実施形態に係る遮断部材170を説明するための図であり、図10は、図9の遮断部材170の側面図である。
【0093】
本実施形態に係る遮断部材170は、上記実施形態の前記遮断部材130と類似するため、上記実施形態と実質的に同一又は類似の構成については重複する説明を省略し、以下では上記の実施形態との相違点を中心に検討する。
【0094】
図9及び図10を参照すると、遮断部材170は、遮断カバー171及び遮断レッグ176を含むことができる。
【0095】
前記遮断カバー171は、上記実施形態の前記遮断カバー131と類似するため、以下では重複する説明を省略する。
【0096】
前記遮断レッグ176は、第1レッグ177及び第2レッグ178を含むことができる。
【0097】
前記第1レッグ177の厚さW1は、前記バッテリーセル110(図6を参照)の前記電池ケース112(図6を参照)の前記ケーステラス115(図6を参照)の前方(+Y軸方向)に形成される段差空間に対応し得る。例えば、前記第1レッグ177の厚さW1は、前記ケーステラス115(図6を参照)の前方(+Y軸方向)に形成される段差空間の厚さと少なくとも同一に形成され得る。
【0098】
前記第2レッグ178の厚さW2は、前記バッテリーセル110(図6を参照)の前記電池ケース112(図6を参照)の前記ケーステラス115(図6を参照)の後方(-Y軸方向)に形成される段差空間に対応し得る。例えば、前記第2レッグ178の厚さW2は、前記ケーステラス115(図6を参照)の後方(-Y軸方向)に形成される段差空間の厚さと少なくとも同一に形成され得る。
【0099】
また、このような前記第1レッグ177と前記第2レッグ178との間に形成される前記ガイドスリット175は、前記バッテリーセル110(図6を参照)の電池ケース112のケーステラス115の厚さに対応する厚さを有することができる。
【0100】
このように、本発明の一実施形態に係る前記遮断部材170は、前記所定の厚さW1、W2に設けられる前記第1レッグ177及び前記第2レッグ178により、前記バッテリーセル110(図6を参照)の前記電池ケース112(図6を参照)の前記ケーステラス115(図6を参照)の前後方向(Y軸方向)の段差空間をすべて相殺するため、前記段差空間内で発生し得る火炎やガスなどの噴出物の流入や滞留などをより確実に遮断することができる。
【0101】
図11は、本発明のまた他の実施形態に係る遮断部材180を説明するための図であり、図12は、図11の遮断部材180の側面図である。
【0102】
本実施形態に係る遮断部材180は、上記実施形態の前記遮断部材130と類似するため、上記実施形態と実質的に同一又は類似の構成については重複する説明を省略し、以下では上記の実施形態との相違点を中心に検討する。
【0103】
図11及び図12を参照すると、遮断部材180は、遮断カバー181、遮断レッグ186及びコーティング層189を含むことができる。
【0104】
前記遮断カバー181は、上記実施形態の前記遮断カバー131と類似するため、以下では重複する説明を省略する。
【0105】
前記遮断レッグ186は、第1レッグ187及び第2レッグ188を含むことができる。前記第1レッグ187及び前記第2レッグ188は類似するため、以下では重複する説明を省略する。
【0106】
前記コーティング層189は、前記バッテリーセル110(図6を参照)に前記遮断部材180を取り付けるとき、前記バッテリーセル110と対向する前記遮断部材180の一面に備えられ得る。具体的に、前記コーティング層189は、前記遮断カバー181の内面、前記第1レッグ187の内面及び前記第2レッグ188の内面に設けられ得る。このような前記コーティング層189は、耐火及び防炎機能を有する物質で備えられ得る。
【0107】
したがって、本実施形態においては、前記バッテリーセル110(図6を参照)と対向する前記遮断部材180側に設けられた前記コーティング層189により、前記バッテリーセル110の異常状況による熱イベントが発生したときに、熱や火炎、ガスなどの遮断や伝播遅延効果をより高めることができる。
【0108】
図13は、図1のバッテリーモジュール10の少なくとも1つのバッテリーセル110の異常状況による熱イベントが発生したときの、火炎やガスなどの噴出物のディレクショナルベント経路を説明するための図であり、図14は、図12の熱イベントが発生したときの、バッテリーセル110の火炎やガスなどの噴出物のディレクショナルベント経路を説明するための図であり、図15は、図13の異常状況が発生したバッテリーセル110で熱イベントが発生したときの、遮断部材130による熱伝播の遮断及びディレクショナルベントガイドの様子を説明するための図である。
【0109】
図13から図15を参照すると、前記バッテリーモジュール10の少なくとも1つのバッテリーセル110の異常状況による熱イベントが発生したときに、火炎やガスなどの噴出物Gが発生することがある。
【0110】
前記遮断部材130は、下部を開放したまま異常状況が発生したバッテリーセル110の上側部及び両側縁部をカバーするため、異常状況の前記バッテリーセル110から噴出された火炎やガスなどの噴出物Gの下側(-Z軸方向)方向への移動をガイドすることができる。その後、前記火炎やガスなどの噴出物Gは、前記モジュールケース200の底部に設けられたベント部215を介して前記バッテリーモジュール10の下部に迅速に排出することができる。
【0111】
前記火炎やガスなどの噴出物Gの排出経路をさらに詳しく検討すると、図14に示すように、異常状況が発生したバッテリーセル110の内部で発生した火炎やガスなどの噴出物Gは、前記電池ケース112のケースボディー113の底部の両側に備えられるセルベント部118を介して前記バッテリーセル110の外に排出することができる。
【0112】
本発明の一実施形態において、前記バッテリーセル110の底部の両側に前記セルベント部118が備えられ、前記セルベント部118の近くの前記モジュールケース200の底部の両側にベント部215が設けられることによって、前記火炎やガスなどの噴出物Gの下部ベント経路を最小化することができる。したがって、本発明の一実施形態においては、前記熱イベントが発生したとき、前記バッテリーモジュール10の下部方向(-Z軸方向)へのディレクショナルベント速度をより高めることができる。
【0113】
また、本発明の一実施形態に係る前記遮断部材130は、前記バッテリーセル110の上側部(+Z軸方向)、前記バッテリーセル110の両端縁部の前面部(+Y軸方向)及び後面部(-Y軸方向)をカバーするため、前記バッテリーセル110の積層方向(Y軸方向)で隣接するバッテリーセル110への熱伝播を効果的に防止することができる。
【0114】
さらに、本発明の一実施形態においては、前記遮断部材130が前記積層方向(Y軸方向)で前記バッテリーセル110の間に配置される前記遮熱部材150と接触するように配置されるため、隣接するバッテリーセル110への熱伝播の遮断信頼性をより高めることができる。
【0115】
さらに、隣接するバッテリーセル110も、それぞれ前記遮断部材130によって上側部(+Z軸方向)、両端縁部の前面部(+Y軸方向)及び後面部(-Y軸方向)が覆われているため、熱イベントが発生したバッテリーセル110で発生した熱、火炎やガスなどの噴出物Gの伝播をより確実に防止することができる。
【0116】
また図1から図3を参照すると、前記モジュールケース200は、ケースベース210及びケースカバー230を含むことができる。
【0117】
前記ケースベース210は、略U字状に設けられ、前記セルアセンブリ100の底部及び両側面を支持することができる。このような前記ケースベース210の底部の両側には、上述したベント部215を備えることができる。前記ケースカバー230は、前記ケースベース210と結合され、前記セルアセンブリ100の上側をカバーすることができる。
【0118】
前記バスバーアセンブリ300は、バスバーフレーム310、バスバー部材320、ターミナル部材330及びバスバーカバー340を含むことができる。
【0119】
前記バスバーフレーム310は、一対で備えられ得る。一対の前記バスバーフレーム310は、前記セルアセンブリ100の長手方向(X軸方向)に沿った両側に備えられ得る。
【0120】
このような前記バスバーフレーム310には、前記バッテリーセル110の電極リード117を通過させるためのリードスロット312が形成され得る。このような前記リードスロット312は、前記バッテリーセル110の前記電極リード117を通過させ、後述するバスバー部材320との接続をガイドすることができる。
【0121】
また、前記バスバーフレーム310には、前記遮熱部材150の端部を収容するためのバリアー部材収容部315が形成され得る。前記バリアー部材収容部315は、前記バスバーフレーム310の前記セルアセンブリ100と対向する一面に形成され得る。このような前記バリアー部材収容部315は、前記遮熱部材150の端部を挿入できる収容溝として設けられ得る。
【0122】
前記バスバー部材320は、前記バッテリーセル110の電極リード117に接続し、複数備えられ得る。このような複数の前記バスバー部材320は、前記バスバーフレーム310に取り付けられ得る。
【0123】
前記ターミナル部材330は、前記バッテリーセル110と外部電源などを接続するためのものであり、前記バスバーフレーム310に備えられ得る。このような前記ターミナル部材330は、前記外部電源などとの接続のために、少なくとも一部が前記バッテリーモジュール10の外部に露出し得る。
【0124】
前記バスバーカバー340は、一対で備えられ得る。一対の前記バスバーカバー340は、それぞれの前記バスバーフレーム310を覆うように設けられ得る。このような前記バスバーカバー340は、前記バスバーフレーム310の外への火炎やガスなどの噴出物の流出を遮断することができる。
【0125】
また、前記バッテリーモジュール10は、エンドプレート400を含むことができる。
【0126】
前記エンドプレート400は、一対で備えられ得る。一対の前記エンドプレート400は、前記バスバーアセンブリ300をカバーし、前記バッテリーモジュール10の長手方向(X軸方向)の両端部に備えられ得る。このような一対の前記エンドプレート400は、前記モジュールケース200と結合され、前記バッテリーモジュール10の外観を形成することができる。
【0127】
また、前記バッテリーモジュール10は、熱伝逹部材500を含むことができる。
【0128】
前記熱伝逹部材500は、一対で備えられ得る。一対の前記熱伝逹部材500は、前記セルアセンブリ100の上下側に接触して配置され、前記モジュールケース200の内面に接触し得る。前記セルアセンブリ100の上側に配置される熱伝逹部材500は、前記ケースカバー230の内面に接触し、前記セルアセンブリ100の下側に配置される熱伝逹部材500は、前記ケースベース210の内面に接触し得る。このような一対の前記熱伝逹部材500は、前記セルアセンブリ100で発生した熱を前記モジュールケース200側に伝達することで、前記バッテリーモジュール10の冷却性能を向上させることができる。
【0129】
図16は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1を説明するための図であり、図17は、本発明の一実施形態に係る自動車Vを説明するための図である。
【0130】
図16及び図17を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1は、上記実施形態に係る少なくとも1つ又はそれ以上の複数の前記バッテリーモジュール10、及び前記バッテリーモジュール10を収容するパックケース50を含むことができる。
【0131】
このような前記バッテリーパック1は、前記バッテリーモジュール10を制御するBMSなどの電装部品や前記バッテリーモジュール10の冷却のためのヒートシンクなどの冷却ユニットをさらに含むことができる。
【0132】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1は、本発明の出願時点に公知のバッテリーパック1の他の様々な構成要素をさらに含むことができる。例えば、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1は、電流センサ、ヒューズ及びサービスプラグなどの構成要素をさらに含むことができる。
【0133】
また、本発明の一実施形態に係る自動車Vは、本発明によるバッテリーパック1を1つ以上含むことができる。また、本発明の一実施形態に係る自動車Vは、このようなバッテリーパック1以外に、自動車に含まれる他の様々な構成要素などをさらに含むことができる。例えば、本発明の一実施形態に係る自動車Vは、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1以外に、車体やモータ、ECU(electronic control unit)などの制御装置などをさらに含むことができる。
【0134】
また、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1は、前記自動車V以外にも、二次電池を用いるエネルギー貯蔵装置(Energy Storage System)などその他装置や機構及び設備などに備えられることも可能なことは言うまでもない。
【0135】
以上のように、本発明の一実施形態に係る前記バッテリーパック1及び前記自動車Vは、上記実施形態の前記バッテリーモジュール10を含むため、前記バッテリーパック1及び前記自動車V単位でも、上述した熱イベントに対する安全性を確保することができる。
【0136】
以上のような様々な実施形態によって、熱イベントに対する安全性を向上させることができるバッテリーモジュール10、及びこれを含むバッテリーパック1及び自動車Vを提供することができる。
【0137】
以上、本発明の望ましい実施形態に対して図示及び説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって種々の変形実施が可能であることはもちろん、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見通しから個別に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0138】
1 バッテリーパック
10 バッテリーモジュール
50 パックケース
100 セルアセンブリ
110 バッテリーセル
111 電極組立体
112 電池ケース
113 ケースボディー
114 シール部
115 ケーステラス
117 電極リード
118 セルベント部
130 遮断部材
131 遮断カバー
135 ガイドスリット
136 遮断レッグ
137 第1レッグ
138 第2レッグ
150 遮熱部材
170 遮断部材
171 遮断カバー
175 ガイドスリット
176 遮断レッグ
177 第1レッグ
178 第2レッグ
180 遮断部材
181 遮断カバー
186 遮断レッグ
187 第1レッグ
188 第2レッグ
189 コーティング層
200 モジュールケース
210 ケースベース
215 ベント部
230 ケースカバー
300 バスバーアセンブリ
310 バスバーフレーム
312 リードスロット
315 バリアー部材収容部
320 バスバー部材
330 ターミナル部材
340 バスバーカバー
400 エンドプレート
500 熱伝逹部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
【国際調査報告】